(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】フケ防止組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230417BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230417BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230417BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20230417BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230417BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/58
A61K8/86
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2020518773
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2018078741
(87)【国際公開番号】W WO2019086274
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エーンジャー,ニコラス・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャービス,アダム・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョシー,キンジャルバヘン
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ニール・スコット
(72)【発明者】
【氏名】シュルマン,インナ
(72)【発明者】
【氏名】スタルク,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,サリー・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ファンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン,ヨアナ・スーザン
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0037170(US,A1)
【文献】特表2014-508772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/58
A61K 8/86
A61Q 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)アニオン性界面活性剤、双性イオン性または両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群から選択されるクレンジング界面活性剤;
(II)
亜鉛ピリチオンを含むフケ防止剤の懸濁粒子、および
(III)沈降防止増粘ポリマー
を含む、水性フケ防止シャンプー組成物であって、
前記沈降防止増粘ポリマーは、
(a)C
1-4アルキルアクリレートの構造単位40~74.5重量%;
(b)メタクリル酸の構造単位20~50重量%;
(c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.2
重量%以上5重量%
未満;
(d)下記構造の特殊化結合モノマー(specialized associated monomer)の構造単位5~25重量%:
【化1】
(式中、R
1は直鎖飽和C
10-24アルキル基であり;
R
2は水素またはメチル基であ
り、
nは20~28の平均であり、
ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位は、(i)単一の特殊化結合モノマ
ー;(ii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
12および直鎖飽和C
18アルキル基である、2つの特殊化結合モノマー;または(iii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基である、2つの特殊化結合モノマー;のうちの1つに由来する);
(e)アクリル酸の構造単位0~1重量%;および
(f)多エチレン性不飽和架橋モノマーまたは連鎖移動剤の構造単位0~2重量%を含み、
構造単位(a)~(f)の重量百分率の合計は、沈降防止増粘ポリマーの100重量%に等しい、水性フケ防止シャンプー組成物。
【請求項2】
前記沈降防止増粘ポリマーが、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を0.001重量%未満含み、
前記沈降防止増粘ポリマーが、連鎖移動剤の構造単位を0.1重量%未満含む、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記沈降防止増粘ポリマーが、25,000,000~300,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1または2に記載の水性組成物。
【請求項4】
不溶性コンディショニングシリコーンをさらに含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
pHが3~7である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項6】
前記フケ防止剤が、0.01~30重量%の量で存在する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項7】
15~25℃で水性
組成物において溶解性である更なるフケ防止剤をさらに含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の水性
組成物。
【請求項8】
前記クレンジング界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の水性組成物。
【請求項9】
前記クレンジング界面活性剤が2~40重量%の量で存在する、請求項1~
8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項10】
香料をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
毛髪および頭皮から選択される表面を処理する方法において使用するための、請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物であって、
前記方法が、前記組成物を前記表面に適用する工程を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪および/または頭皮の処理に使用するための、不溶性フケ防止剤および沈降防止増粘ポリマーを含有するフケ防止シャンプー組成物に関する。本発明はまた、頭皮のかゆみおよびフケなどの炎症性皮膚状態の処理のためのこれらの組成物の使用に関する。本発明はさらに、毛髪または頭皮を処理する方法におけるかかる組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不溶性成分が懸濁している水性組成物は、在宅ケアおよびパーソナルケアの分野など、従来の様々な用途に望ましい。かかる組成物の1つは、頭皮および毛髪への適用のためのフケ防止処理であり、ここで、フケ防止活性物質またはシリコーンなどの有益剤は典型的には、水性基剤中に懸濁される。使用中、有益剤は望ましくは頭皮または毛髪に沈着する。
【0003】
消費者に受け入れられるように、そのような水性組成物は望ましくは、包装(pack)中および使用中の両方において、魅力的な外観および感触(例えば、製品の分配、展延性、滑らかな感触など)の双方を示す。しかしながら、これは、懸濁した不溶性成分を含む複雑な水性製剤では重大な課題を提示する。
【0004】
水性フケ防止シャンプー組成物中に、懸濁されたフケ防止成分を組み込むことは、実際には、様々な複雑化を引き起こす。例えば、特定の不溶性フケ防止成分は、組成物の連続相とは異なる密度を有する。この密度の不一致により、組成が不安定になる可能性がある。連続相の密度より低い密度の不溶性物質を含む系では、不溶性物質は連続相の上面に浮く傾向がある(すなわちクリーミング)。連続相よりも密度の高い不溶性物質を含む系では、不溶性物質は連続相の底に沈む傾向がある(すなわち沈降)。
【0005】
懸濁した不溶性フケ防止粒子は、水性化粧品中で凝集する傾向があり、その結果、利用可能な表面積が減少し、結果としてフケ防止活性が失われる。
【0006】
さらに、懸濁剤の効果的な沈着は、特にリンスオフクレンジング組成物から問題になる可能性があり、かかる組成物は、表面から汚れや油などの物質を除去し、それらを洗い流すように設計されている。したがって、十分に大きな有益な効果を得るために、表面に十分な薬剤を提供することは困難である。
【0007】
さらに、フケ防止成分は、頭皮表面でのバイオアベイラビリティに大きな影響を与えない(つまり、頭皮表面での成分の溶解および/または拡散が過度に減少しない)方法で沈着させることが望ましい。
【0008】
構造化剤は伝統的にシャンプーに組み込まれ、粘度を調整し、相の安定性を維持する(すなわち、懸濁剤のクリーミングと沈降とを防ぐ)。構造化剤はまた、それらのアプローチと、その後の沈着とを防止することにより、懸濁した不溶性成分の凝集を制御する能力を有する。
【0009】
市販品は、構造化剤としてカチオン性ポリマーを利用している。例えば、米国特許第7,541,320号(Unilever)は、アルキルエーテルサルフェート(3EO)、ココアミドプロピルベタインおよびココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、およびコンディショニング活性剤としての非揮発性シリコーンを含んだクレンジングシステムにおけるカチオン変性セルロースを開示している。米国特許第4,298,494号(Lever Brothers)は、ポリガラクトマンナンガムのカチオン性誘導体を使用して、アルキル硫酸ナトリウムおよびアルキルエーテル硫酸塩界面活性剤系を安定化させることを報告している。
【0010】
商業的に人気のある構造化剤の別のグループは、アクリルポリマー、特にカルボマーとして既知である。例えば、米国特許第5,543,074号(Chesebrough-Ponds)および米国特許第5,977,039号(Helene Curtis)は、カルボポール(登録商標)の商標で市販されているアクリル酸の架橋ポリマーを使用することによってシリコーン沈着を調節している。米国特許第6,001,344号(Unilever)は、液体クレンジング組成物を安定化させるためにキサンタンガムおよびカルボポール(登録商標)の構造化剤組み合わせを利用している。米国特許第6,906,016号(Unilever)は、直鎖状Cs-Ci3脂肪酸と組み合わせた水溶性および水膨潤性デンプンで構成された液体クレンザーを報告している。米国特許出願公開2010/0009891(Unilever)は、細菌によって生成された微小繊維セルロースを懸濁系として配合したパーソナルケア液体組成物を報告している。
【0011】
水性クレンジング配合物における不溶性物質の懸濁へのアプローチは、LaPetinaらの米国特許第5,154,847号に開示されている。LaPetinaらは、フケ防止シャンプーを開示し、当該シャンプーは、約5重量%~約20重量%の量のアニオン性界面活性剤;約0.2重量%~約5重量%の量の粒子状フケ防止剤;約1重量%~約3重量%の量の、室温で固体の水不溶性懸濁剤;約0.3重量%~約1重量%の量の架橋中和ポリアクリル酸樹脂;および液体担体を含み、前記水不溶性懸濁剤は、懸濁アルカノールアミド、ワックスエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
水溶性クレンジング製剤中の不溶性物質の懸濁へのアプローチは、Souzyらの米国特許第8,642,056号に開示されている。Souzyらは、化粧品配合物をポリマーの直接水性エマルションと接触させた後、pHを5~7の値に調整することによって濃厚配合物を形成することを含む、配合物の増粘方法を開示し、当該方法において、エマルションは、界面活性剤および水以外の有機溶媒を含まず、ポリマーは、その中の各モノマーの重量%として表される、a)メタクリル酸および/またはアクリル酸(存在する場合、アクリル酸とメタクリル酸の合計重量と比較して、アクリル酸が少なくとも50重量%である)20~60重量%、b)アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルから選択される少なくとも1つのモノマー40~80重量%、c)疎水性基を含むモノマー0.5~25重量%、d)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸0.05~22重量%、およびe)少なくとも1つの架橋モノマー(当該モノマーは下記一般式の疎水性基を含む)0~1重量%からなる。
【化1】
【0013】
mおよびnは、150以下の整数であり、そのうちの少なくとも1つはゼロではなく、OE及びOPはそれぞれエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、Rは、メタクリレート基およびメタクリルウレタン基からなる群から選択される重合性基であり、R’は、少なくとも6かつ最大36の炭素原子を有する疎水性基である。
【0014】
水性クレンジング配合物における不溶性物質の懸濁に対する別のアプローチは、Hitchenの米国特許第6,106,816号に開示されている。Hitchenは、水に加えて以下を含む水性コンディショニングシャンプー組成物を開示する:(a)アニオン性、非イオン性および両性界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤2~40重量%、(b)髪を整える不溶性の不揮発性シリコーン0.01~10重量%、(c)シャンプーマトリックス中に分散された二酸化チタン被覆雲母粒子0.01~3重量%、(d)分散した二酸化チタン被覆雲母粒子を懸濁させ、それらが組成物中に沈澱するのを防ぎ、かつ、不溶性の不揮発性シリコーンコンディショニング剤が立った状態で組成物の上部にクリーミングするのを防ぐための架橋アクリル酸ポリマー0.2~3重量%。
【0015】
欧州特許出願公開第2933280号は、以下を含むHASEコポリマーを含む水性シャンプー組成物を開示している:a)メタクリル酸および任意にアクリル酸10~80重量%、b)少なくとも1つの非イオン性ビニルモノマー15~80重量%、c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはその塩0.05~9.5重量%、d)少なくとも1つの疎水性基を含有する少なくとも1つのモノマーの0.5~30重量%、ならびに、e)少なくとも1つの架橋性モノマー0.01~5重量%。コポリマーは、酸性条件下でパーソナルケアまたは化粧品配合物を増粘するのに有用であると言われている。
【0016】
当該先行技術にも関わらず、洗浄製剤からの不溶性フケ防止剤の懸濁および送達の改善、特に頭皮への改善された送達が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】米国特許第7,541,320号(Unilever)
【文献】米国特許第4,298,494号(Lever Brothers)
【文献】米国特許第5,543,074号(Chesebrough-Ponds)
【文献】米国特許第5,977,039号(Helene Curtis)
【文献】米国特許第6,001,344号(Unilever)
【文献】米国特許第6,906,016号(Unilever)
【文献】米国特許出願公開2010/0009891(Unilever)
【文献】米国特許第5,154,847号
【文献】米国特許第8,642,056号
【文献】米国特許第6,106,816号
【文献】欧州特許出願公開第2933280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者らは、不溶性のフケ防止成分について、本明細書に記載の沈降防止増粘ポリマーの使用が、製品中およびシャンプーの希釈時の両方において、懸濁したフケ防止成分の凝集を大幅に減少させ、フケ防止成分の個々の粒子の頭皮への沈着性を向上させることができることを見出した。凝集の減少は、沈着したフケ防止成分の利用可能な表面積を効果的に増加させるため、頭皮分泌物内の可溶化の後、頭皮上のフケ防止成分のピーク濃度を増加させることにより、そのバイオアベイラビリティを改善する。これにより、最小発育阻止濃度(MIC)に到達できる可能性が高くなる。MICは、試験された条件下におけるアラマーブルーの青色によって示されるように、完全な微生物の成長阻害を提供する活性物質の絶対最低濃度として定義される。
【0019】
発明の定義
本発明の第1の態様は、以下を含むフケ防止水性シャンプー組成物を提供する:
(I)陰イオン界面活性剤、双性イオンまたは両性界面活性剤、ならびに非イオン界面活性剤からなる群から選択されるクレンジング界面活性剤;
(II)フケ防止剤の懸濁粒子、
(III)沈降防止増粘ポリマー、ここで、沈降防止増粘ポリマーは、以下を含む:
(a)C
1-4アルキルアクリレートの構造単位40~74.5重量%;
(b)メタクリル酸の構造単位20~50重量%;
(c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.2~<5重量%;
(d)下記構造を有する特殊化結合モノマー(specialized associated monomer)の構造単位5~25重量%:
【化2】
【0020】
(式中、R1は直鎖飽和C10-24アルキル基であり、R2は水素またはメチル基(好ましくは、R2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位は、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基、直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基および直鎖飽和C18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR1が直鎖飽和C12および直鎖飽和C18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;または(iii)それぞれのR1が直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;のうちの1つに由来する。);
(e)アクリル酸の構造単位0~1重量%;ならびに
(f)多エチレン性不飽和架橋モノマーまたは連鎖移動剤の構造単位0~2重量%;
ここで、構造単位(a)~(f)の重量百分率の合計は、沈降防止増粘ポリマーの100重量%に等しい。
【0021】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様で定義した組成物の、表面の処理方法における使用を提供し、当該表面は毛髪および頭皮から選択され、当該方法は第1の態様の組成物を表面に適用する工程を含む。
【0022】
本発明の第3の態様は、頭皮のかゆみおよびフケなどの炎症性皮膚状態の処理のための、これらの組成物の使用を提供する。
【0023】
当該方法は、好ましくは、表面を水ですすぐ追加の工程をさらに含む。当該方法は、好ましくは、表面に抗真菌効果を提供する方法である。
【0024】
発明の概要
本発明の水性組成物は、表面処理に使用するための沈降防止増粘ポリマーを含む。
【0025】
水性組成物は、好ましくはクレンジング組成物である。より好ましくは、水性組成物は、パーソナルケアクレンジング組成物およびホームケアクレンジング組成物から選択され、最も好ましくはパーソナルケアクレンジング組成物である。最も好ましくは、組成物はヘアクレンジング組成物、好ましくはシャンプーである。
【0026】
好ましい組成物は、リンスオフ組成物である。
【0027】
沈降防止増粘ポリマー
本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下:
(a)C
1-4アルキルアクリレート(好ましくはC
2-4アルキルアクリレート;より好ましくはC
2-3アルキルアクリレート;最も好ましくはエチルアクリレート)の構造単位40~74.5重量%(好ましくは45~69.5重量%;より好ましくは50~65重量%;最も好ましくは52~60重量%);(b)メタクリル酸の構造単位20~50重量%(好ましくは25~45重量%;より好ましくは25~40重量%;最も好ましくは30~35重量%);(c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.2~<5重量%(好ましくは0.5~3重量%;より好ましくは0.75~2.0重量%;最も好ましくは0.75~1.5重量%);(d)以下の構造(式1)を有する特殊化結合モノマーの構造単位5~25重量%(好ましくは7.5~22.5重量%;より好ましくは10~20重量%;最も好ましくは12.5~18重量%):
【化3】
【0028】
(式中、R1は、直鎖飽和C10-24アルキル基であり、R2は水素またはメチル基(好ましくは、R2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、特殊化結合モノマー(d)の構造単位は、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基、直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基からなる群より選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基および直鎖飽和C18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR1が直鎖飽和C12および直鎖飽和C18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー、または(iii)それぞれのR1が直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;の1つに由来する;(e)アクリル酸の構造単位0~1重量%(好ましくは0~0.1重量%;より好ましくは0~0.01重量%;最も好ましくは0);ならびに、(f)多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位0~2重量%(好ましくは0~0.1重量%;より好ましくは0~0.001重要%;最も好ましくは0重量%)を含み;ここで、構造単位(a)~(f)の重量百分率の合計は、沈降防止増粘ポリマーの100重量%に等しい。
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下を含む:(a)アクリル酸エチルの構造単位50~65重量%、(b)メタクリル酸の構造単位25~40重量%、(c)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.75~2.0重量%、(d)特殊化結合モノマーの構造単位10~20重量%、(e)アクリル酸の構造単位0~0.1重量%、(f)多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位0~0.1重量%(好ましくは0~0.001重量%;より好ましくは0重量%)。ここで、構造単位(a)~(f)の重量パーセントの合計は、100重量%の沈降防止増粘ポリマーに等しい。
【0029】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、5,000,000~400,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、25,000,000~300,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、175,000,000~275,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0030】
沈降防止増粘ポリマーに関連して、重量平均分子量は、インライン多角度光散乱(MALS)および微分屈折率(RI)検出で非対称フローフィールドフローフラクショネーション(AF4)を使用して測定された重量平均分子量を指す。使用したAF4装置は、18角度の多角度光散乱(MALS)検出器(DAWN HELOS II、Wyatt Technology Corp.)と直列に接続されたEclipse(商標)DualTec(商標)分離システム(Wyatt Technology Corp.)で構成されていた。示差屈折計(RI)(Optilab rEX; Wyatt Technology Corp.)。AF4装置を通る流れは、マイクロ真空デガッサを装備したAgilent Technologies 1200シリーズアイソクラティックポンプを使用して提供された。注入はすべて、オートサンプラー(Agilent Technologies 1200シリーズ)を使用して行った。AF4装置からのデータは、Astraソフトウェアバージョン7.0。1。23(Wyatt Technology Corp.)を使用して収集および処理された。サンプルは、pH10の20mM酢酸アンモニウム溶液に1mg/mLの濃度で調製した(1.2μm孔ナイロンメンブレンによってろ過)。サンプル(25μl)を、チャネルの厚さが350μmであり、10kDAカットオフの再生セルロースを装備した限外濾過膜(ワイアットテクノロジー)を有する標準的な分離チャネルシステム(長さ25cm、幅寸法2.15cmから始まり、長さ全体で0.3cmに減少)に注入した。AF4分析に使用した移動相は、pH10の20mM酢酸アンモニウム溶液であった。分離は、1mL/minの適用チャネルフローで実行された。サンプルは、1.7mL/minのフォーカスフローで3分間チャネルに導入された。その後、溶出フローを0.5mL/minで3分間開始し、続いて直線的に減少するクロスフローグラジエント(12分間で0.5mL/minから0.05mL/minまで)を行い、0.05mL/minでさらに5分保持する。平均分子量は、Berryモデルの2次フィットで、すべての計算について、0.190mL/gの屈折率増分(dn/dc)のブランク注入を差し引いた後、Astraソフトウェアバージョン7.0.1.23を使用して計算した。本明細書では、分子量はダルトンの単位で報告される。
【0031】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマー中のC1-4アルキルアクリレートの構造単位は、C2-4アルキルアクリレートの構造単位である。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマー中のC1-4アルキルアクリレートの構造単位は、C2-3アルキルアクリレートの構造単位である。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマー中のC1-4アルキルアクリレートの構造単位は、エチルアクリレートの構造単位である。
【0032】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、C1-4アルキルアクリレートの構造単位(好ましくはC2-4アルキルアクリレート;より好ましくはC2-3アルキルアクリレート;最も好ましくはアクリル酸エチル)。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、C1-4アルキルアクリレート(好ましくはC2-4アルキルアクリレート;より好ましくはC2-3アルキルアクリレート;最も好ましくはエチルアクリレート)の構造単位45~69.5重量%を含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、C1-4アルキルアクリレート(好ましくはC2-4アルキルアクリレート;より好ましくはC2-3アルキルアクリレート;最も好ましくはアクリル酸エチル)の構造単位50~65重量%を含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、C1-4アルキルアクリレート(好ましくはC2-4アルキルアクリレート;より好ましくはC2-3アルキルアクリレート;最も好ましくはエチルアクリレート)の構造単位52~60重量%を含む。
【0033】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、メタクリル酸の構造単位を20~50重量%含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、メタクリル酸の構造単位を25~45重量%含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、メタクリル酸の構造単位を25~40重量%含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、メタクリル酸の構造単位を30~35重量%含む。
【0034】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.2~<5重量%を含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.5~3重量%を含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.5~1.5重量%を含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の構造単位0.5~1.0を含む。
【0035】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下の構造を有する特殊化結合モノマーの構造単位を5~25重量%含む:
【化4】
【0036】
(式中、R
1は、直鎖飽和C
10-24アルキル基であり、R
2は水素またはメチル基(好ましくはR
2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位が、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基、直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基からなる群より選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基および直鎖飽和C
18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
12および直鎖飽和C
18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー、または(iii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;の1つに由来する。)。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下の構造を有する特殊化結合モノマーの構造単位を7.5~2.5重量%含む:
【化5】
【0037】
(式中、R
1は直鎖飽和C
10-24アルキル基であり、R
2は水素またはメチル基(好ましくはR
2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位が、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基、直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基からなる群より選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基および直鎖飽和C
18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
12および直鎖飽和C
18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー、または(iii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;の1つに由来する。)。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下の構造を有する特殊化結合モノマーの構造単位を10~20重量%含む:
【化6】
【0038】
(式中、R
1は直鎖飽和C
10-24アルキル基であり、R
2は水素またはメチル基(好ましくはR
2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位が、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基、直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基からなる群より選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R
1が直鎖飽和C
12アルキル基および直鎖飽和C
18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
12および直鎖飽和C
18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー、または(iii)それぞれのR
1が直鎖飽和C
18アルキル基および直鎖飽和C
22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;の1つに由来する。)。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、以下の構造を有する特殊化結合モノマーの構造単位を12.5~18重量%含む:
【化7】
【0039】
(式中、R1は直鎖飽和C10-24アルキル基であり、R2は水素またはメチル基(好ましくはR2はメチル基)であり、nは20~28の平均であり、ただし、特殊化結合モノマー(d)の構造単位が、(i)単一の特殊化結合モノマー(好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基、直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基からなる群より選択される単一の特殊化結合モノマー;より好ましくは、R1が直鎖飽和C12アルキル基および直鎖飽和C18アルキル基からなる群から選択される単一の特殊化結合モノマー);(ii)それぞれのR1が直鎖飽和C12および直鎖飽和C18アルキル基である2つの特殊化結合モノマー、または(iii)それぞれのR1が直鎖飽和C18アルキル基および直鎖飽和C22アルキル基である2つの特殊化結合モノマー;の1つに由来する。)。
【0040】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、アクリル酸の構造単位を0~1重量%含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、アクリル酸の構造単位を0~0.1重量%含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、アクリル酸の構造単位を0~0.01重量%含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、アクリル酸の構造単位を検出限界未満含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物に使用するための沈降防止増粘ポリマーは、アクリル酸の構造単位を0重量%含む。
【0041】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位を0~2重量%含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位を0~0.1重量%含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位を0~0.001重量%含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位を検出限界未満含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物に使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーおよび連鎖移動剤の構造単位を0重量%含む。
【0042】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を0.001重量%未満含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を0.0001重量%未満含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を検出限界未満含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を0重量%含む。
【0043】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、連鎖移動剤の構造単位を0.1重量%未満含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、連鎖移動剤の構造単位を0.001重量%未満含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、連鎖移動剤の構造単位を検出限界未満含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、連鎖移動剤の構造単位を0重量%含む。
【0044】
好ましくは、本発明の水性組成物で使用する沈降防止増粘ポリマーは、0.001重量%未満の多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位および0.1重量%未満の連鎖移動剤の構造単位を含む。より好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、0.0001重量%未満の多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位および0.01重量%未満の連鎖移動剤の構造単位を含む。さらにより好ましくは、本発明の水性組成物で使用する沈降防止増粘ポリマーは、多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を検出限界未満および連鎖移動剤の構造単位を検出限界未満含む。最も好ましくは、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマーは、0重量%の多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位を含み、0重量%の連鎖移動剤の構造単位を含む。
【0045】
当業者は、適切な多エチレン性不飽和架橋モノマーを選択して、本発明の水性組成物で使用する沈降防止増粘ポリマー中に多エチレン性不飽和架橋モノマーの任意の構造単位を提供することを理解するであろう。多エチレン性不飽和架橋モノマーの構造単位は、例えば、多価不飽和芳香族モノマー(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン)を含む多価不飽和モノマー成分に由来するものを含み得る。多価不飽和脂環式モノマー(例えば、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン);フタル酸の二官能性エステル(フタル酸ジアリルなど);多価不飽和脂肪族モノマー(例えば、イソプレン、ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,5,9-デカトリエン、1,9-デカジエン、1,5-ヘプタジエン);ポリアルケニルエーテル(例えば、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、ジアリルスクロース、オクタリルスクロース、トリメチロールプロパンジアリルエーテル);多価アルコールまたは多価酸の多価不飽和エステル(例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレントリ(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート);アルキレンビスアクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミド);メチレンビスアクリルアミドのヒドロキシおよびカルボキシ誘導体(例、Ν、Ν’-ビスメチロールメチレンビスアクリルアミド);ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート);多価不飽和シラン(例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、ジアリルジメチルシラン、テトラビニルシラン);多価不飽和スタンナン(例えば、テトラアリルスズ、ジアリルジメチルスズ)など。
【0046】
当業者は、適切な連鎖移動剤を選択して、本発明の水性組成物で使用するための沈降防止増粘ポリマー中に連鎖移動剤の任意の構造単位を提供することを理解するであろう。連鎖移動剤の構造単位には、モノマーが含まれてよく、当該モノマーとしては、さまざまなチオおよびジスルフィド含有化合物(C1-18アルキルメルカプタン、メルカプトカルボン酸、メルカプトカルボン酸エステル、チオエステル、CMSアルキルジスルフィド、アリールジスルフィド、多官能チオール);亜リン酸塩および次亜リン酸塩;ハロアルキル化合物(例えば、四塩化炭素、ブロモトリクロロメタン)および不飽和連鎖移動剤(例えば、α-メチルスチレン)に由来するものが挙げられる。
【0047】
好ましくは、本発明のシャンプーは、沈降防止増粘ポリマーを全組成物の重量%の0.05~4重量%、より好ましくは0.05~3重量%、さらにより好ましくは0.1~1重量%、最も好ましくは0.2~0.8重量%を含む。
【0048】
フケ防止剤
本発明の組成物は、フケ防止剤の懸濁粒子を含む。
【0049】
フケ防止剤は、フケに対して活性な化合物であり、典型的には抗菌剤、好ましくは抗真菌剤である。フケ防止剤は、典型的にはマラセチアに対して約50mg/ml以下の最小発育阻止濃度を示す。
【0050】
フケ防止剤の総量は、組成物全体に対して好ましくは0.01重量%~30重量%、より好ましくは0.05重量%~10重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.2重量%~4重量%のレベルで存在する。
【0051】
しかしながら、フケ防止剤が亜鉛ピリチオンである場合、本発明の組成物における好ましいレベルは、組成物の総量に基づいて、0.1~3重量%、より好ましくは0.2~2重量%、最も好ましくは0.5~1.5重量%である。
【0052】
フケ防止剤は、本発明の組成物に不溶性であるため、懸濁粒子を形成できるように選択される。フケ防止剤の溶解度は、他の成分の存在およびレベルに応じて異なるであろう。フケ防止剤は、通常の使用および保管の温度、好ましくは15~25℃で不溶性であるべきである。
【0053】
フケ防止剤は、好ましくは、金属ピリチオン、アゾール、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、硫化セレン、サリチル酸およびそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、金属ピリチオン、アゾールおよびオクトピロックスから選択される。最も好ましいふけ防止剤は、金属ピリチオンから選択され、最も好ましくは亜鉛ピリチオンである。
【0054】
適切な金属ピリチオンとしては、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、銀ピリチオン、ジルコニウムピリチオンおよびそれらの混合物が挙げられる。最も好ましい金属ピリチオンは亜鉛ピリチオンである。
【0055】
亜鉛ピリチオンの粒子は無定形であってよく、あるいは、棒(rod)、針、ブロック、小板およびそれらの混合物など、様々な規則的または不規則な結晶形をとってもよい。亜鉛ピリチオン粒子の平均粒子直径(最大寸法)は、典型的には約0.1~約50μm、好ましくは約0.1μm~約10μm、より好ましくは約0.1μm~約5μmであり、例えば、Horiba LA-910レーザー散乱粒度分布分析装置用して決定される。
【0056】
アゾールベースの抗真菌剤としては、ケトコナゾールおよびクリンバゾール、好ましくはクリンバゾールが挙げられる。
【0057】
他の適切なフケ防止剤は、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、硫化セレンおよびサリチル酸である。
【0058】
更なるフケ防止剤
本発明の組成物は、本発明のクレンジング組成物内で可溶性の更なるフケ防止剤をさらに含み得る。これらは、好ましくは、本発明の組成物に可溶性の、アゾール(好ましくはケトコナゾールおよびクリンバゾールから選択される)、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、サリチル酸およびそれらの組み合わせから選択される。
【0059】
任意の亜鉛塩
本発明の組成物は、有利には亜鉛塩を含む。更なる亜鉛塩は、有機酸の亜鉛塩、無機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛およびそれらの混合物から適切に選択することができる。
【0060】
本発明で使用する追加の亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛およびそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
本発明の配合製品で使用するための更なる亜鉛塩は、(亜鉛塩の総質量に基づいて)好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%の亜鉛質量%を有する。
【0062】
本発明で使用するための更なる亜鉛塩は、水への溶解度が、好ましくは25℃で20g/l以下、より好ましくは0.1g/l以下である。
【0063】
本発明で使用するのに好ましい更なる亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物中の更なる亜鉛塩のレベルは、組成物の総重量に基づいて、一般に0.1~5重量%、好ましくは0.2~3重量%、より好ましくは0.25~2.5重量%の範囲である。
【0065】
本発明による特に好ましい組成物において、更なる亜鉛塩は、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛およびそれらの混合物から選択され;組成物の総重量に基づいて、約0.25~約2.5重量%の範囲のレベルである。
【0066】
クレンジング界面活性剤
本発明の組成物は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む。
【0067】
好ましくは、クレンジング界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0068】
好ましくは、アニオン性、非イオン性および両性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物は、シャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の含有重量に基づいて、1:1~10:1、より好ましくは2:1~9:1、最も好ましくは3:1~8:1の1次界面活性剤:2次界面活性剤の比を有する。
【0069】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、1~50%、好ましくは2~40%、より好ましくは4~25%の総界面活性剤を含む。
【0070】
化粧品成分-一般
本発明の組成物は、好ましくは化粧品成分を含む。好ましくは、シリコーン、抗菌剤、泡増強剤、香料、カプセル(例えば、カプセル化された香料)、染料、着色剤、顔料、防腐剤、増粘剤、タンパク質、リン酸エステル、緩衝剤、pH調整剤、真珠光沢剤(例えば、マイカ、二酸化チタン、二酸化チタン被覆マイカ、エチレングリコールジステアレート(INCI グリコールジステアレート))および/または乳白剤、粘度調整剤、皮膚軟化剤、日焼け止め、乳化剤、知覚活性物質(例えば、メントールおよびメントール誘導体)、ビタミン、ミネラルオイル、エッセンシャルオイル、脂質、天然活性物質、グリセリン、植物性果実、果実抽出物、糖誘導体、アミノ酸などの天然毛髪栄養素、微結晶セルロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される化粧品成分。
【0071】
好ましくは、本発明の水性組成物は、全組成物の重量に対して、少なくとも1つの化粧品成分0.01~20重量%、より好ましくは0.05~10重量%、さらにより好ましくは0.075~7.5重量%、最も好ましくは、少なくとも1つの化粧品成分0.1~5重量%を含む。
【0072】
相乗的な抗菌化合物
本発明の組成物はまた、フケ防止活性物質(例えば、亜鉛ピリチオン)と組み合わせて使用すると相乗的な抗菌効果をもたらす相乗的な抗菌化合物を含み、その特性を高め、マラセチア・フルフルの成長をさらに阻害する。これらの化合物の非限定的な例としては、ベンゾフェノンクラスの化合物(例えば、ベンゾフェノン-1およびベンゾフェノン-2)、アルコール基を有する化合物のクラス(例えば、ホノキオール、マグノロールまたはペオノール)、ピペラジン、および天然植物エキスに見出されるフェノール化合物、すなわちチモールが挙げられる。
【0073】
他の成分
組成物は、ビタミンB3化合物をさらに含み得る。好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。
【0074】
ナイアシンアミドの構造は以下のとおりである:
【化8】
【0075】
ナイアシンアミドはケラチン細胞からのAMP(抗菌タンパク質)の分泌で知られている。このようにして分泌されたAMPは、体の外表面、例えば頭皮上の免疫の改善を提供する。したがって、本発明の組成物にナイアシンアミドを使用すると、本発明の組成物の抗真菌活性だけでなく、細菌に対する頭皮自体の保護シールドをナイアシンアミドの使用によって強化することによって、抗フケ効力を高めることが期待される。この組み合わせは、さらに長期的な保護、例えば、細菌に対する最大24時間の保護を提供できると期待されている。
【0076】
ナイアシンアミドは、組成物の重量に対して、0.1~5重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらにより好ましくは0.5~3重量%、最適には1.0~3.0重量%で存在する。
【0077】
シリコーン
好ましい化粧成分は、シリコーンである。
【0078】
本発明の組成物は、コンディショニング性能を高めるために、シリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含んでもよい。
【0079】
適切なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA指定ジメチコーンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)の使用に適しているのは、CTFA指定のジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンである。例えば国際公開第96/31188号に記載されるように、わずかな程度の架橋を有するシリコーンガムも本発明の組成物における使用に適している。
【0080】
乳化シリコーン自体(エマルションまたは最終的なヘアコンディショニング組成物ではなく)の粘度は通常、25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000である。好ましくは、粘度は、処方を容易にするために109cstを超えない。
【0081】
本発明のシャンプー組成物で使用するための乳化シリコーンは、通常、組成物中で30未満、好ましくは20未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンのD90シリコーン液滴サイズを有するであろう。0.15ミクロンの平均シリコーン液滴サイズ(D50)を有するシリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0082】
シリコーン粒子サイズは例えば、Malvern Instrumentsの2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定してもよい。
【0083】
適切な事前形成されたエマルジョンの例には、ダウコーニングから入手可能なXiameter MEM 1785およびマイクロエマルジョンDC2-1865が含まれる。これらは、ジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。架橋シリコーンガムは、事前に乳化された形で入手可能であり、処方を容易にするために有利である。
【0084】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含めるためのさらに好ましいクラスのシリコーンは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基、または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。適切なアミノ官能性シリコーンの例としては、CTFA指定「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが含まれる。
【0085】
本発明における使用に適したアミノ官能性シリコーンの特定の例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166およびDC2-8566(すべてDow Corningから)である。
【0086】
適切な第四級シリコーンポリマーは、EP-A-0 530 974に記載されている。好ましい第四級シリコーンポリマーは、ゴールドシュミット社からのK3474である。
【0087】
非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤を含むアミノ官能性シリコーン油のエマルジョンも適している。
【0088】
アミノ官能性シリコーンの事前形成されたエマルションは、ダウコーニングやゼネラルエレクトリックなどのシリコーンオイルのサプライヤーからも入手できる。特定の例としては、DC939カチオンエマルジョン、ならびに非イオンエマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべてDow Corningから)が挙げられる。
【0089】
シリコーンの総量は、好ましくは全組成物の0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.5重量%~3重量%が適切なレベルである。
【0090】
好ましい実施形態では、本発明の水性組成物は、少なくとも1つの不溶性コンディショニング剤と少なくとも1つの他の化粧品成分とを含む。好ましくは、少なくとも1つの油性コンディショニング剤は、シリコーンおよび非シリコーン油性コンディショニング剤から選択される。
【0091】
組成物のpH
本発明の組成物は、好ましくは3~7、好ましくは4~7、より好ましくは4~6.5、最も好ましくは4.2~6.5のpHを有する。
【0092】
シャンプー
本発明のシャンプー組成物は一般に水性であり、すなわちそれらは、それらの主成分として水もしくは水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。
【0093】
適切には、シャンプー組成物は、組成物の総重量に基づいて、50~98重量%、好ましくは60~92重量%の水を含むであろう。
【0094】
界面活性剤は、それらが溶解している水溶液の表面張力を低下させるように作用する親水性および疎水性部分を有する化合物である。本発明によるシャンプー組成物は一般に、1つまたは複数のクレンジング界面活性剤を含み、化粧品として許容可能であり、毛髪への局所適用に適している。クレンジング界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性および双性イオン性化合物ならびにそれらの混合物から選択されてよい。
【0095】
本発明で使用するためのシャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、一般に1~50%、好ましくは2~40%、より好ましくは4~25%の総重量界面活性剤である。
【0096】
クレンジング界面活性剤の非限定的な例には、アニオン性クレンジング界面活性剤が含まれ、アニオン性クレンジング界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリールスルホン酸塩、N-アルキルサルコシン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アシルアミノ酸系界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸、アシルタウリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アルキルグリシン酸塩およびその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩が挙げられる。上記のリストのアルキルおよびアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸およびそれらの塩は、1分子あたり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含み得る。
【0097】
クレンジング界面活性剤のさらなる非限定的な例には、非イオン性クレンジング界面活性剤を含んでよく、非イオン性クレンジング界面活性剤としては、脂肪族(C8-C18)アルキレンオキシド、通常はエチレンオキシド、一般に6~30のエチレンオキシド基を有する、第一級または第二級の直鎖または分岐鎖アルコールが挙げられる。他の代表的なクレンジング界面活性剤としては、モノまたはジアルキルアルカノールアミド(例えば、ココモノエタノールアミドおよびココモノイソプロパノールアミド)ならびにアルキルポリグリコシド(APG)が挙げられる。本発明での使用に適したアルキルポリグリコシドは市販されており、例えば、BASFからのPlantapon 1200およびPlantapon 2000として識別される材料が含まれる。本発明で使用するための組成物に含めることができる他の糖由来界面活性剤としては、例えば、国際公開第92 06154号およびUS 5 194 639に記載されるように、C12-C18 N-メチルグルカミドなどのC10-C18 N-アルキル(C1-C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ならびに、C10-C18 N-(3-メトキシプロピル)グルカミドなどのN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【0098】
クレンジング界面活性剤のさらなる非限定的な例としては、両性または双性イオンクレンジング界面活性剤が含まれてよく、これらとしては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウリン酸塩、およびアシルグルタミン酸塩が挙げられ、前記アルキルおよびアシル基は8~19個の炭素原子を有する。
【0099】
本発明で使用するためのシャンプー組成物で使用するための典型的なクレンジング界面活性剤としては、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸コハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0100】
好ましいクレンジング界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0101】
前述のアニオン性、非イオン性および両性クレンジング界面活性剤の任意の混合物も適切であり、好ましくは、一次界面活性剤と二次界面活性剤との比が、シャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の含有重量に基づいて、1:1~10:1、より好ましくは2:1~9:1、最も好ましくは3:1~8:1であってよい。
【0102】
場合により、本発明で使用するためのシャンプー組成物は、性能および/または消費者の受容性を向上させるために、さらなる成分(その非限定的な例は以下に記載される)を含み得る。
【0103】
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるために本発明で使用するシャンプー組成物の好ましい成分である。
【0104】
適切なカチオン性ポリマーは、カチオン性に置換されたホモポリマーであってよく、または2以上の種類のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に100,000~300万ダルトンであろう。ポリマーは、第四級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基などのカチオン性窒素含有基、またはそれらの混合物を有するであろう。ポリマーの分子量が低すぎると、コンディショニング効果が不十分となる。高すぎる場合、高い伸長粘度が問題となり、注がれたときに組成物の糸引きをもたらす可能性がある。
【0105】
カチオン性窒素含有基は一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、それはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版に記載されている。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーが得られるように選択され、一般には、0.2~3.0 meq/gmである。ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験の下で米国薬局方に記載されているケルダール法によって適切に決定される。
【0106】
適切なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー(例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンなど)とのコポリマーが挙げられる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~3アルキル基を有する。他の適切なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
カチオン性アミンは、特定の種および組成物のpHに応じて、第一級、第二級または第三級アミンであり得る。一般に、第二級および第三級アミン、特に第三級アミンが好ましい。
【0108】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態で重合された後、四級化によってアンモニウムに変換され得る。
【0109】
カチオン性ポリマーは、アミン-および/または第四級アンモニウム-置換モノマーおよび/または適合性のあるスペーサーモノマーに由来するモノマー単位の混合物を含み得る。
【0110】
カチオン性ポリマーの適切な(非限定的な例)としては、以下のものが挙げられる:
-カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー:例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーや、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロライドとのコポリマー。それぞれ業界で(CTFA)でポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と呼ばれる;
-3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載される);
-カチオン性ポリアクリルアミド(国際公開第95/22311号に記載される)。
【0111】
使用することのできる他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーが挙げられる。
【0112】
本発明で使用するための組成物における使用に適したカチオン性多糖ポリマーとしては、下記式のモノマーが挙げられる:
【化9】
【0113】
(式中:Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残留物などの無水グルコース残留基であり、Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレンもしくはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの組み合わせである。R1、R2およびR3は、独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、またはアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含む。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2およびR3における炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。)
別のタイプのカチオン性セルロースとしては、業界(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの高分子第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Amerchol Corporationから、例えば、Polymer LM-200の商品名で入手することができる。
【0114】
他の適切なカチオン性多糖ポリマーとしては、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば米国特許第3,962,418号に記載される)およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば米国特許第3,958,581号に記載される)があげられる。このような材料の例としては、業界(CTFA)で一般にポリクオタニウム10と呼ばれるDowのポリマーLRおよびJRシリーズが挙げられる。
【0115】
使用することのできる特に適切なタイプのカチオン性多糖ポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(ローディア社からJAGUAR商標シリーズで市販)などである。そのような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14およびJAGUAR C17である。
【0116】
上記カチオン性ポリマーのうちの任意の混合物を使用することができる。
【0117】
カチオン性ポリマーは一般に、本発明で使用するためのシャンプー組成物中、組成物の総重量に基づいて、0.01~5%、好ましくは0.02~1%、より好ましくは0.05~0.8%のレベルのカチオン性ポリマー総重量で存在する。
【0118】
特に明記しない限り、本明細書で言及する比率、パーセンテージ、部などは、重量による。
【0119】
実施例
実施例1:本発明の組成物で使用するためのポリマー
ポリマーP1と称される本発明の組成物において使用するためのポリマーは、式1に従って調製した。詳細を下記表1に示す。
【表1】
【0120】
ポリマーP1の合成
メカニカルスターラー、熱電対、コンデンサー、窒素スパージを備えた3リットルの4つ口丸底フラスコに、430gの脱イオン水と4.7gのラウリル硫酸ナトリウムを入れた。次いで、フラスコを窒素でパージし、その内容物を90℃に温めた。次いで10gの脱イオン水に溶解した0.33gの過硫酸アンモニウムを含む第1の開始剤溶液をフラスコに加えた。次に、モノマー溶液を107分かけて徐々にフラスコに装填し、ここでモノマー溶液は、633gの脱イオン水、18gのラウリル硫酸ナトリウム、および(表1に示す)量のアクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸(MAA)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および下記構造を有する親油性修飾モノマー(LIPO):
【化10】
【0121】
(式中、R1は直鎖飽和C12-14アルキル基であり、R2は水素またはメチルから選択され;R2は水素またはメチルから選択され、好ましくはメチルであり;nは20~28の平均である)を含んでいた。モノマー溶液の投入と同時に開始し、49gの脱イオン水中に0.33gの硫酸アンモニウムを含有する第2の開始剤溶液を、112分かけて徐々にフラスコに投入した。モノマー装入および第2の開始剤溶液装入の後、トランスファーラインを、脱イオン水、続いてフリーラジカル触媒および活性剤チェイス溶液でリンスした。得られたラテックス製品(ポリマーP1)を回収した。
【0122】
実施例2:本発明によるフケ防止シャンプーS1ならびに比較フケ防止シャンプーSAおよびSBの調製
SAと指定された、比較のフケ防止シャンプーを、以下の方法で調製した:
1.カルボマーを水に加えた。
【0123】
2.次に、適切なpH調整剤を使用して、pHをpH5.5~6.5に上げることによってカルボマーを膨潤させた。
【0124】
3.次いで、クレンジング界面活性剤、カチオン性ポリマー、フケ防止活性物質、香料および保存剤を、膨潤させたポリマーに加え、完全に分散させた。
【0125】
4.得られた配合物は、適切なpH調整剤および粘度調整剤を使用して、所望のpHおよび粘度に調整された。
【0126】
本発明によるフケ防止シャンプーS1および比較例SBは、以下の方法で調製した:
1.ポリマー(ポリマーP1)を水に添加した。
【0127】
2.次いで、適切なpH調整剤を使用して、pHを上げることにより、透明な溶液が得られるまでポリマーを膨潤させた。
【0128】
3.次いで、クレンジング界面活性剤、カチオン性ポリマー、フケ防止活性物質、香料および保存剤を膨潤したポリマーに加え、完全に分散させた。
【0129】
4.得られた配合物は、適切なpH調整剤および粘度調整剤を使用して、所望のpHおよび粘度に調整された。
【0130】
シャンプーS1、比較シャンプーSAおよび比較シャンプーSBの組成を下記表2に示す。
【表2】
【0131】
校正したpHメータで測定すると、pHは5.5~6.5の範囲であった。
【0132】
実施例4:本発明によるシャンプーS1ならびに比較シャンプーSAおよびSBの熱安定性および粒子凝集度
本発明によるシャンプーS1ならびに比較シャンプーSAおよびSBの熱安定性および粒子凝集度は、以下の手順を使用して測定した:
熱安定性は、シャンプー組成物S1、SAおよびSBをオーブン中に45℃で12週間置くことにより試験した。組成物は、粒子の沈降について12週間にわたって頻繁な間隔で評価された。
【0133】
粒子凝集度は、最初にシャンプー組成物(S1、SAおよびSB)を水中で10分の1のレベルに希釈することによって評価した。得られた混合物の微細構造の外観は、偏光フィルターを使用した光学顕微鏡を使用して、20倍の倍率でキャプチャした。各サンプルを、一貫した露出で3回イメージングした。次に、得られた顕微鏡写真をImageJ(http://imagej.nih.gov/ij/で入手可能な画像分析用のオープンソースおよびフリーソフトウェア)を使用して分析した。顕微鏡写真は最初に16ビット画像に変換され、可視粒子は分析に適した設定で、閾値関数を使用して強調表示された。得られた平均粒子面積は、μm2の単位で報告された。
【0134】
【0135】
懸濁した亜鉛ピリチオンの粒子凝集の程度は、本発明のシャンプーでは、比較のシャンプーSAおよびSBよりも低いことが理解され、比較のシャンプーは、従来のポリマーを含むため、はるかに小さな粒子サイズになる。以下の実施例5に見られるように、小さな粒子は頭皮上により多く沈着する。
【0136】
実施例5:本発明によるシャンプーS1および比較シャンプーSAによる処理後の、毛髪および頭皮へのフケ防止活性物質(亜鉛ピリチオン)の沈着レベル;ならびにマラセチアフルファー(Malassezia Furfur)の対数減少
シャンプーS1と比較シャンプーSAで処理した、毛髪および頭皮に沈着したフケ防止活性物質の量(頭皮を模倣するために人工皮膚を使用した);ならびにマラセチアフルファーの対数減少は、次の手順で測定した。
【0137】
髪への亜鉛沈着の測定
バージンヘアスイッチは、目的のシャンプーで処理された。X線蛍光(XRF)を使用して亜鉛のレベルを定量化する前に、スイッチをすすぎ、乾燥させた。
【0138】
VITROSKIN(登録商標)に対するの亜鉛ピリチオン沈着の測定
VITROSKIN(登録商標)の処理は、組成物(シャンプーS1または比較シャンプーSA)0.2gをVITROSKIN(登録商標)に加え、その後、水1.8mlを加えることで構成された。これをテフロン(登録商標)棒で30秒間こすり、その後、溶液を取り除いた。次に、VITROSKIN(登録商標)に滅菌水4mlを加え、テフロン(登録商標)棒を使用して30秒間こすり、溶液を除去することにより表面をすすいだ。すすぎ工程をもう一度繰り返した。
【0139】
処理後、DPS(2,2’-ジピリジルジスルフィド)誘導体化が行われる前に、亜鉛ピリチオンを、VITROSKIN(登録商標)からメタノールに抽出した。次に、得られた液体中の亜鉛ピリチオンレベルを、235nmの吸収波長でUV検出器に接続したWaters ACQUITYUPLCシステムを使用して定量化した。
【0140】
マラセチアフルファー(Malassezia Furfur)のインビトロ対数減少の測定
ピチロスポラム培養液(細菌性ペプトン10g、酵母エキス0.1g、牛胆汁10g、タウロコール酸2.5g、グルコース10g、脱イオン水1L、Tween 60 0.5ml、グリセロール1mlおよびUHTミルク0.5mLを含む;pH6.2に調整)における、マラセチアフルファー(Malassezia furfur)7019を2日間増殖させ、最終濃度2~6x105細胞/mlに調整した。上記のマラセチア0.2mlをVITROSKIN(登録商標)(約10.34cm2)上にピペットで取り出し、30分間静置した。VITROSKIN(登録商標)の処理は、0.2gの組成物(シャンプーS1または比較シャンプーSA)をVITROSKIN(登録商標)に加え、その後1.8mlの水を加えることで構成された。これをテフロン(登録商標)棒で20秒間こすり、溶液を取り除いた。次に、VITROSKIN(登録商標)に4mlの滅菌水を加え、テフロン(登録商標)ロッドを使用して30秒間こすり、溶液を除去することにより、表面をすすいだ。すすぎ工程をもう一度繰り返した。
【0141】
マラセチアフルファー(Malassezia furfur)の対数減少を測定するために、処理したVITROSKIN(登録商標)を最初に改変Dixon寒天プレートに置き、32℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、VITROSKIN(登録商標)の各ピースを切り取り、10mlのPBSバッファー(pH7.2)、0.1%Triton X-100および0.5%Tween-80を含むバイアルに入れた。VITROSKIN(登録商標)を入れたバイアルを1分間ボルテックスに供した。100~10-3希釈液20μlを改変Dixon寒天プレートに播種し、32℃で3~4日間インキュベートした。次いで、各プレート上のコロニーの数をカウントし、適切な希釈を掛けて最終的な数を決定した。次に、マラセチアフルファーの対数減少を測定から計算した。
【0142】
各サンプルを3回繰り返し、3回試験した。
【0143】
【0144】
本発明のシャンプー(S1)を使用する場合、フケ防止活性物質は、毛髪ではなく頭皮に選択的に沈着することが理解されるであろう。フケ防止剤の生物学的利用能が結果的に頭皮上で増加するため、これは有利である。さらに、亜鉛ピリチオンの毛髪への沈着が少ないと、消費者の好みに沿って、より良好な毛髪の感触が得られる。さらに、亜鉛ピリチオンは、本発明のシャンプーで使用される場合、高度に離解する(disaggregate)(表3)。これにより、カルボマー構造化シャンプー(SA)における高凝集亜鉛ピリチオンと比較して、VITROSKIN(登録商標)のマラセチアフルファーのレベルが有意に低下する。