(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】分配手段を含む消費財用の容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20230417BHJP
B65D 5/72 20060101ALI20230417BHJP
B65D 83/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D5/72 E
B65D83/02 A
(21)【出願番号】P 2020521461
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2018081646
(87)【国際公開番号】W WO2019097028
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】シャトラン ルーカス
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0127289(US,A1)
【文献】米国特許第02556707(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0147242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255839(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
B65D 5/72
B65D 83/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費財のための容器であって、
前記消費財を収容するためのボックスであって、ボックス前部壁、ボックス後部壁、ボックス底部壁、第一のボックス側壁および第二のボックス側壁を備え、前記ボックス
の上面が、少なくとも部分的に開口して、前記ボックスの前記内部にアクセスするための上部アクセス開口部を提供し、前記第一のボックス側壁が、前記ボックス底部壁の近傍にある側面開口部を備える、ボックスと、
前記ボックス後部壁にヒンジで接続されたリッドであって、前記上部アクセス開口部を覆う閉リッド位置と前記上部アクセス開口部が覆われない開リッド位置との間で移動可能である、リッドと、
前記容器から一つ以上の消費財を分配するための分配手段であって、一つ以上の消費財を保持するためのトレー部分を含み、前記トレー部分は、前記トレー部分が前記ボックスの内側にある閉位置と、前記トレー部分の一部が、前記トレー部分内の一つ以上の消費財を取り出すことができるように、前記側面開口部を通して突出する分配位置との間で、前記トレー部分が前記第一のボックス側壁内の前記側面開口部を通してスライド可能であるように、前記ボックスの内側に取り付けられる、分配手段と、を備え、
前記トレー部分が、トレー底部壁および前記トレー底部壁の上に提供されるヒンジ線を備え、前記ヒンジ線が、前記トレー底部壁の前部縁と後部縁との間に延び、前記分配位置にあるときに、前記側面開口部を通って突出する前記トレー底部壁の端部分が、前記ボックスに対して下向き方向に旋回できるように、前記ヒンジ線が前記ボックスの外側にある、消費財のための容器。
【請求項2】
前記トレー部分が、第一のトレー側壁を備え、前記分配手段の前記閉位置にあり、前記第一のトレー側壁が前記ボックスの前記側面開口部を覆う、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記トレー部分が、前記側面開口部の反対側にある前記トレー部分の前記側部に第二のトレー側壁を備え、前記分配手段の前記開位置では、前記第二のトレー側壁は、前記ボックスの内側に留まり、前記分配手段の前記トレー部分上の前記一つ以上の消費財が前記ボックス内に戻る移動を制限する、請求項1~2のいずれかに記載の容器。
【請求項4】
前記分配手段が、前記トレー部分が前記分配位置を越えての前記移動を防止するための保持手段をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記トレー部分が、トレー前部壁およびトレー後部壁をさらに備え、前記トレー前部壁および前記トレー後部壁のうちの少なくとも一つが、前記側面開口部の高さよりも大きな高さを有する高さが増加した部分を備え、前記高さが増加した部分が、前記トレー部分が前記分配位置に向かって移動すると、前記第一のボックス側壁に向かって移動し、前記トレー部分が前記分配位置に達すると、前記高さが増加した部分が前記第一のボックス側壁に当接して、前記分配位置を越えての前記トレー部分の移動を防止する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記分配手段が、前記分配手段の前記閉位置でプルタブが前記側面開口部を通って突き出すように、前記トレー部分から延びる前記プルタブをさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記側面開口部が、前記第一の側壁の前記底部縁に提供され、前記トレー部分が前記ボックス底部壁の前記内部表面に沿ってスライド可能である、請求項1~6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
前記分配位置において、前記トレー部分が、前記第一のボックス側壁と前記第二のボックス側壁との間の距離の少なくとも三分の一に対応する距離だけ前記側面開口部を通して突出する、請求項1~7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
前記分配手段が、個別の消費財を分配するように適合される、請求項1~8のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
前記ボックス内に取り付けられたセパレータ要素をさらに備え、前記セパレータ要素は、前記ボックスの内部容積を、前記上部アクセス開口部を通してアクセス可能な上部区画と前記消費財を含む下部区画とに分離し、前記消費財は、前記分配手段によって前記下部区画から分配される、請求項1~9のいずれかに記載の容器。
【請求項11】
前記セパレータ要素は、前記ボックス内でスライド可能であり、前記上部区画と前記下部区画の相対的容積を調節する、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記セパレータ要素が、前記ボックスの内部容積を横切って延びるセパレータの横断方向壁、前記セパレータの横断方向壁に従属するセパレータ前部壁、セパレータ後部壁、およびセパレータ側壁を備え、前記セパレータ前部壁、前記セパレータ後部壁、およびセパレータ側壁は、それぞれ前記ボックス前部壁、前記ボックス後部壁、および前記ボックス側壁の前記内部表面に対して置かれる、請求項10または11に記載の容器。
【請求項13】
バリア層が前記セパレータの横断方向壁の少なくとも一つの表面上に提供される、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記ボックスが、複数のエアロゾル発生物品を含み、前記エアロゾル発生物品が横断方向に配置され、それぞれのエアロゾル発生物品の前記長軸方向軸が水平に延び、前記分配手段が個別のエアロゾル発生物品を分配するよう適合される、請求項1~13のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費財を分配するための改良された手段を有する、消費財用の容器に関連する。本発明による容器には、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素のための容器としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物品およびその他の消費財を、折り畳まれた層状ブランクから形成された容器内に包装することが公知である。消費財は、一般に、消費財を収容するためのボックスと、容器の壁を横切って延びるヒンジ線を中心としてボックスに接続されたリッドとを有する容器に入れて販売されている。こうしたパックは通常、層状の厚紙ブランクから構成される。リッドは、リッドフラップまたは三次元のヒンジリッドの形態をとりうる。使用時、ヒンジ線を中心としてリッドを旋回してパックを開き、ボックスのアクセス開口部を露出させて、これを通して消費者は、ボックス内に保持されている消費財へのアクセスを得ることができる。
【0003】
エアロゾル発生物品をこれらの公知の容器の一つから取り出すためには、消費者はまずリッドを開き、その後容器内に収容されたエアロゾル発生物品の束からエアロゾル発生物品を引き出す必要がある。通常、エアロゾル発生物品は容器内に垂直方向に配置され、エアロゾル発生物品の端部がアクセス開口部に向かって方向付けられる。エアロゾル発生物品は一般的に長さが全て同一であり、かつ同一の高さで位置付けられているため、単一のエアロゾル発生物品を、その周りの他の喫煙物品と接触させることなく取り出すことは、特に容器が比較的満杯である場合に、困難でありうる。
【0004】
エアロゾル発生物品が消費者によって容易に掴まれて容器から取り出されうるように、残りの束から単一のエアロゾル発生物品を離して持ち上げるための手段を備えた容器を提供することが提案されてきた。しかしながら、こうした配置では、容器を開くと、一般的には容器内のすべてのエアロゾル発生物品がなおも露出している。さらに、エアロゾル発生物品が持ち上げ手段上に自動的に位置付けられないことがあるため、容器が空に近くなるにつれて、エアロゾル発生物品を排出することがより困難となる場合がある。持ち上げるための手段は一般的に、エアロゾル発生物品が垂直方向に配置される容器での使用のためにのみ適合しており、代わりにエアロゾル発生物品が容器を横断方向に横切って配置される容器には適していない。
【0005】
一つ以上の消費財を簡便に分配するための新規な分配手段を有する容器を提供することが望ましい。分配されるまで、残りの消費財を容器の内側で保護したままとすることを可能にする、こうした新規な分配手段を提供することが特に望ましい。容器の著しい構造修正を必要とすることなく、既存の容器設計に容易に組み込むことができるこうした新規な分配手段を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、消費財のための容器が提供されており、該容器は、消費財を収容するための、ボックス前部壁と、ボックス後部壁と、ボックス底部壁と、第一のボックス側壁および第二のボックス側壁と、を含み、ボックスの上面が少なくとも部分的に開口してボックスの内部にアクセスするための上部アクセス開口部を提供しており、第一のボックス側壁がボックス底部壁の近傍にある側面開口部を含む、ボックスと、ボックス後部壁にヒンジで接続され、リッドが上部アクセス開口部を覆う閉リッド位置と、上部アクセス開口部が覆われない開リッド位置との間で移動可能である、リッドと、一つ以上の消費財を容器から分配するための分配手段と、を備える。分配手段は、一つ以上の消費財を保持するためのトレー部分を含み、トレー部分は、トレー部分がボックスの内側にある閉位置と、トレー部分の一部が、トレー部分内の一つ以上の消費財を取り出すことができるように側面開口部を通して突出する分配位置との間で、トレー部分が第一のボックス側壁内の側面開口部を通してスライド可能であるように、ボックスの内側に取り付けられる。
【0007】
本発明は特に、消費財のための容器を提供しており、該容器は、消費財を収容するための、ボックス前部壁と、ボックス後部壁と、ボックス底部壁と、第一のボックス側壁および第二のボックス側壁とを含み、ボックスの上面が少なくとも部分的に開口してボックスの内部にアクセスするための上部アクセス開口部を提供しており、第一のボックス側壁がボックス底部壁の近傍にある側面開口部を含む、ボックスと、ボックス後部壁にヒンジで接続され、リッドが上部アクセス開口部を覆う閉リッド位置と、上部アクセス開口部が覆われない開リッド位置との間で移動可能である、リッドと、一つ以上の消費財を容器から分配するための、トレー部分が、トレー部分がボックスの内側にある閉位置と、トレー部分の一部が、トレー部分内の一つ以上の消費財を取り出すことができるように側面開口部を通して突出する分配位置との間で、第一のボックス側壁内の側面開口部を通してスライド可能であるように、ボックスの内側に取り付けられる、トレー部分を含む、分配手段と、を備え、トレー部分は、トレー底部壁およびトレー底部壁上に提供されたヒンジ線を含み、ヒンジ線はトレー底部壁の前部縁と後部縁との間に延び、分配位置において、ヒンジ線は、側面開口部を通して突出するトレー底部壁の端部がボックスに対して下向き方向に旋回しうるように、ボックスの外側にある。
【0008】
本発明の以下の記述において、本発明による容器の構成要素の相対的位置を記述するために使用される「側部」、「上部」、「底部」、「前部」、「後部」およびその他の用語は、上部に上部アクセス開口部を有する直立位置にある容器について言及するものである。本発明による容器を説明する時、説明されている容器の向きに関係なく、これらの用語が使用される。容器の「底部」は、容器の「上部」の反対側の容器の側を意味する。容器の「後部」は、リッドがそれに向かって動いて開く側を意味する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「高さ」という用語は、上部と底部との間に延びる寸法を意味する。本明細書で使用される場合、「幅」という用語は、二つの側部の間に延びる寸法を意味する。本明細書で使用される場合、「奥行き」という用語は、前部と後部との間に延びる寸法を意味する。高さ、幅、および奥行きは、相互に垂直である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「パネル」という用語は、材料の単一の連続した部分から形成される容器の一部分を意味する。パネルは、一つ以上の他のパネルに従属してもよい。「フラップ」という用語は、一つのみの他のパネルに従属するパネルを意味する。
【0011】
「壁」という用語は、より一般的に容器の面を意味し、また壁は単一のパネルまたはフラップから形成されてもよく、または壁は二つ以上の当接するまたは重なり合うパネルまたはフラップから形成されてもよい。
【0012】
本明細書で使用される「従属」という用語は、本発明による容器の二つの要素間の物理的接続を説明するために使用される。より詳細には、「従属する」という用語は、容器またはブランクの二つの壁またはパネルなどの、二つの要素の間に材料の連続性があることを示すために使用される。これは、壁またはパネルが、隣接する壁またはパネルに直接的に従属する場合、ならびに中間の壁またはパネルが二つの壁またはパネルを効果的に接続する場合の両方を包含する。
【0013】
一例として、側壁または側方パネルは、隣接する前部壁または前部パネルに直接的に従属しうる。こうした場合、壁またはパネルは典型的に、隣接する壁から虚弱線に沿って従属する。別の方法として、丸みのあるまたは面取りされた縁を有する容器では特に、側壁または側方パネルは、前部壁または前部パネルに間接的に従属してもよい。こうしたケースでは、丸みのあるまたは面取りされた縁を有する壁またはパネルは、側壁または側方パネルと前部壁または前部パネルとを接続する。面取りされた縁の場合、側壁または側方パネルおよび前部壁または前部パネルはどちらも、それぞれの折り目に沿って接続する面取りされた縁端を有する壁またはパネルに従属してもよい。これはまた、本発明による容器の随意の構成要素(例えば、内側フレームの形態で提供された補強部材)に適用される。
【0014】
本明細書で使用される場合、「折り目」という用語は、それを中心としてブランクが折り畳まれるブランクの任意の線を記述するために使用される。折り目は、折り畳み作用を支援するための虚弱線によって画定されてもよい。別の方法として、例えばブランク材料およびその他の材料の曲がりやすさの特徴に応じて、虚弱線の存在なしに折り畳みを形成することができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ヒンジ線」という用語は、それを中心として容器の構成要素が別の構成要素に対して旋回しうる線を指す。例えば、容器は、容器を開くために、それを中心としてリッドが旋回しうるヒンジ線を備える。ヒンジ線はまた、下記に説明する通り、分配後に分配手段の一部分が消費財から離れるように旋回しうるように、分配手段に提供されてもよい。ヒンジ線は、例えば、折り目またはスコアラインであってもよい。
【0016】
「トレー部分」という用語は、実質的に平坦なプラットフォームまたは分配される一つ以上の消費財を支持するための支持表面を提供する分配手段の構成要素を記述するために本明細書で使用され、一般的には、支持表面の周りに少なくとも途中まで延びる隆起した縁またはリムを提供して、消費財が支持表面から滑り落ちるのを防止する。トレー部分は、トレー部分がボックスの外側にある時に、一つ以上の消費財が平坦な表面から容易に取り出されうるように、上端で開いている。
【0017】
本発明による容器は、単にトレー部分をボックスから外向きに引っ張ることによって、一つ以上の消費財をボックスの側面開口部を通して分配することができるように適合された分配手段を備える。分配手段は、上部アクセス開口部を独立して使用しうるように、上部アクセス開口部とは別個に提供される。これにより、有利なことに、上部アクセス開口部を異なる目的で、例えば、容器を充填するために、または以下に説明するように、ボックスの別個の区画にアクセスするために使用することが可能になりうる。
【0018】
本発明による容器の分配手段は、消費財が分配された後に一つ以上の消費財が自動的に再充填されうるように、容器の底部端に向かって提供される。これは、残りの消費財が、重力の結果として容器の底部に向かって自動的に降下するためである。したがって、有利なことに、消費者は、使用間に分配手段を再充填するために、容器を操作する必要はない。
【0019】
分配手段は、第一の側壁に側面開口部を提供するのに必要な若干の修正のみで、既存の容器に容易に組み込むことができる。したがって、有利なことに、分配手段は、容器の外観または形状に影響を与えることなく、容器に組み込みうる。
【0020】
以下にさらに詳述する通り、本発明の容器には、ヒーター要素を備えるエアロゾル発生装置で使用されるよう適合された加熱式エアロゾル発生物品のための容器としての特定の用途がある。本発明の分配手段による個別のエアロゾル発生物品の分配により、エアロゾル発生物品が非接触の方法でエアロゾル発生装置の加熱チャンバー内に受けられるようになる。これは、消費者は全くエアロゾル発生物品に接触する必要はなく、単純に、容器から直接分配されたエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内に挿入しうることを意味する。したがって、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置内への挿入は、一方の手に容器を、他方の手にエアロゾル発生装置を有して、単一の非接触工程で単純かつ簡便に行われうる。
【0021】
上述の通り、本発明による容器は、上端に上部アクセス開口部を有するボックスと、第一の側壁に追加的な側面開口部とを備える。上部アクセス開口部はリッドによって閉じられ、リッドはボックス後部壁にヒンジで接続される。側面開口部は、分配手段のトレー部分がボックスの内側から分配位置へと移動できるように提供される。分配位置では、その上に支持される一つ以上の消費財を有するトレー部分は、側面開口部を通して突出し、一つ以上の分配される消費財は、容器から容易に取り出されうる。これは、容器内の残りの消費財を露出することなく達成されうる。
【0022】
上述のように、分配手段は、分配する一つ以上の消費財を保持するトレー部分を含む。トレー部分は、トレー底部壁を含むことが好ましく、トレー底部壁は、分配される消費財を支持し、これらの消費財を側面開口部を通して移動させるための平坦な支持表面を提供する。トレー部分はさらに、トレー底部壁から上向きに延びて、消費財がトレー底部からスライドまたはロールオフすること、ならびにトレー部分が使用中にボックスの内外に移動することを防止するための、一つ以上の壁を含む。トレー底部壁から上向きに延びる一つ以上の壁の高さは、トレー部分上に保持される消費財の寸法に応じて適合されうる。上向きに延びる一つ以上の壁は、分配される一つ以上の消費財の高さおよそ一つ以上の消費財の高さに対応する高さを有してもよく、または壁の高さは消費財の高さよりも小さいかまたはそれより高くてもよい。上向きに延びる一つ以上の壁の高さは、実質的に一定であってもよく、または壁の長さに沿って変化してもよい。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態では、分配手段のトレー部分には、トレー部分の前部縁と後部縁との間に延びるヒンジ線が提供され、分配位置において、ヒンジ線は、側面開口部から突出するトレー部分の端部がボックスに対して下向き方向に旋回しうるようにボックスの外側にある。したがって、ヒンジ線は、トレー部分の前部縁と後部縁との間の位置、より具体的には、トレー底部壁の前部縁と後部縁との間に配置される。
【0024】
従って、ヒンジ線はトレー部分のトレー底部壁上に提供されることが好ましい。ヒンジ線は、トレー底部壁を横切って、好ましくはトレー底部壁の第一の側縁からトレー底部壁の第二の側縁へと延びる。従って、実施形態では、ヒンジ線は、トレー底部壁を少なくとも二つの部分、第一のトレー底部壁部分および第二のトレー底部壁部分に分割する。第一のトレー底部壁部分は、トレー部分が分配位置にある時に、ボックスに対して下向き方向に旋回しうる側面開口部を通して突出するトレー部分の端部でありうる。トレー部分が分配位置にある時、第二のトレー底部壁部分はボックス内に完全に留まりうる。別の方法として、第二のトレー底部壁部分の一部は、トレー部分が分配位置にある時に、ボックスの側面開口部を通って延びてもよい。
【0025】
第一のトレー底部壁部分は、第二のトレー底部壁部分と同じ幅を有してもよい。第一のトレー底部壁部分は、第二のトレー底部壁部分よりも短い長さを有することが好ましい。
【0026】
トレー部分がトレー底部壁から上向きに延びるトレー前部壁またはトレー後部壁を含む場合、トレー前部壁およびトレー後部壁は、ヒンジ線において、またはヒンジ線の前で終結する、または、トレー部分の端部が下向きに旋回するにつれて二つの部分に分割されうるように、切り抜きが各壁に提供されるように配置されることが好ましい。
【0027】
こうしたヒンジ線をトレー部分に提供することは、トレー部分が分配位置になると、トレー部分の端部が、下向きに、かつ突出する消費財から離れるように旋回しうることを意味する。これは、有利なことに、トレー部分の端部がいずれの側上でも消費財を塞がなくなるため、消費財へのアクセスを改善しうる。従って、消費者は容器から取り出すために、一つ以上の消費財をより容易に掴むことができうる。
【0028】
ヒンジ線を組み込むためのトレー部分のこの配置は、加熱式エアロゾル発生物品を収容するために本発明の容器が使用される時に特に有利である。ボックスに対して下向き方向にトレー部分の端部を旋回することは、分配されたエアロゾル発生物品の突出部分から離れるようにトレー部分の端部を移動させる。したがって、分配されたエアロゾル発生物品の端は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内に直接挿入できうるように、完全に露出される。特に、エアロゾル発生装置を、ボックスから突出するエアロゾル発生物品の端に向かって持っていき、突出端は、エアロゾル発生装置を側面開口部に向かって押すことによって、エアロゾル発生装置の加熱チャンバー内に挿入することができる。側面開口部に隣接したエアロゾル発生装置の存在により、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内へと挿入する工程中に、トレー部分の端部がボックスに向かって戻って上向きに旋回することが防止される。
【0029】
したがって、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置内への挿入は、有利なことに、消費者がまずエアロゾル発生物品を容器から取り出す、またはエアロゾル発生物品に触れる必要さえなく、非接触の手段によって実行されうる。
【0030】
トレー部分は、トレー部分が閉位置にある時に、ボックスの第一の側壁の側面開口部を実質的に覆う第一のトレー側壁を含むことが好ましい。したがって、トレー側壁のサイズおよび形状は、側面開口部のサイズおよび形状に実質的に対応するように適合されることが好ましい。このように、トレー側壁は、トレー部分が閉位置にある時に第一のボックス側壁と実質的に同一平面上に置かれるため、容器の全体的な形状および外観は、分配手段の存在によって著しく影響を受けない。また、トレー側壁による側面開口部の覆いは、有利なことに、ボックス内の消費財の新鮮さが保持されることを確実にするのに役立つ。
【0031】
別の方法としてまたは追加的に、トレー部分は、側面開口部の反対側のトレー部分の側面にある第二のトレー側壁を含むことが好ましく、分配手段の開位置において、第二のトレー側壁がボックス内部に残り、分配手段のトレー部分上の一つ以上の消費財がボックス内に戻る移動を制限する。第二の側壁の存在は、トレー部分が分配位置にある時に、トレー部分上に支持された一つ以上の消費財がボックス内に戻ることを有利に防ぐ。これは、上述の通り、容器が、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内へと挿入するために収容するのに使用される時に特に有利でありうる。第二の側壁の存在は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の中へ挿入する間、分配されたエアロゾル発生物品がボックス内へ戻る移動を制限し、好ましくは実質的に防止する。
【0032】
トレー部分は、トレー部分が第一のボックス側壁の側面開口部を通して突出する閉位置と分配位置との間のボックスに対して横方向にスライド可能である。分配位置では、トレー部分は、消費財の十分な部分が露出されて、消費財がトレー部分から容易に取り外すことができるように、容器の幅の少なくとも三分の一に対応する距離だけ側面開口部を通して突出することが好ましい。
【0033】
閉位置では、トレー部分は、トレー側壁のみが側面開口部を通して見え、そしてトレー部分が側面開口部を通して突出しないように、実質的に完全にボックスの内側にあることが好ましい。
【0034】
トレー部分は、トレー部分がボックス底部壁の内部表面に沿ってスライドし、ボックスの側面開口部が第一のボックス側壁の底部端に提供されるように、ボックスの内側に取り付けられることが好ましい。こうした実施形態では、トレー部分はボックス底部壁によって支持され、ボックス底部壁はトレー部分の移動線を画定する。その他の実施形態では、適切なガイド手段が、トレー部分がそれに沿ってスライドするために、ボックスの内部内に組み込まれてもよい。
【0035】
トレー部分は、ボックスの内部深さに実質的に対応する奥行きを有しうるが、これはボックス前部壁とボックス後部壁との間の内部距離である。したがって、側面開口部はまた、容器の奥行き全体にわたって延びる必要がある。別の方法として、トレー部分は、ボックスの内部奥行きよりも小さい奥行きを有してもよい。トレー部分の奥行きは、ボックス内に収容される消費財の寸法に応じて選択されうる。
【0036】
本発明による容器の分配手段は、トレー部分が分配位置を越えての移動を防止するための保持手段をさらに含むことが好ましい。保持手段は、消費者がトレー部分をボックスから大きく離れるように引っ張り過ぎること、およびトレー部分をボックスから意図せずに取り出すことを防止する。保持手段は、最適な分配位置を画定し、消費者がトレー部分を直接分配位置に移動させることを可能にするさらなる機能を提供する。
【0037】
保持手段は、トレー部分の壁に組み込まれてもよい。例えば、一つの好ましい実施形態では、トレー部分はトレー前部壁およびトレー後部壁を含み、ここでトレー前部壁およびトレー後部壁のうちの少なくとも一つは、側面開口部の高さよりも大きな高さを有する高さが増加した部分を含む。高さが増加した部分は、トレー部分が分配位置に向かって移動するにつれて第一のボックス側壁に向かって移動し、トレー部分が分配位置に達した時に、高さが増加した部分が第一のボックス側壁に当接して、トレー部分が分配位置を越えての移動を防止する。トレー前部壁およびトレー後部壁の両方は、高さが増加した部分を含むことが好ましい。
【0038】
そのまたはそれぞれの高さが増加した部分は、側面開口部の反対側の第二の側壁からトレー部分の幅全体の2/3以下に延び、トレー部分の少なくとも1/3が側面開口部を通して延びることを可能にすることが好ましい。トレー部分が上述のようにヒンジ線を含む場合、そのまたはそれぞれの高さが増加した部分は、ボックスの外側でのヒンジ線の移動が防止されないように、ヒンジ線の前で終結すべきである。
【0039】
別の方法として、またはトレー前部壁またはトレー後部壁のうちの少なくとも一つ上への高さが増加した部分の提供に加えて、その他の形態の保持手段がトレー部分に組み込まれてもよい。例えば、トレー部分は、トレー部分から突出し、トレー部分が分配位置に移動したときに、ボックスの内部表面の対応するフラップまたはタブに当接する、追加的フラップまたはタブを備えてもよい。結果として得られるフラップまたはタブのロックは、ボックスから外側方向へのトレー部分のさらなる移動を防止する。
【0040】
別の方法として、または容器内に提供された保持手段に加えて、閉鎖手段は、使用の間に閉位置にある分配手段のトレー部分を保持するために提供されうる。例えば、閉鎖手段は、十分なサイズの力が消費者によって印加されるまで、トレー部分を閉位置にロックするために提供されうる。別の方法として、消費者が十分な力を印加して側面開口部を通してトレー部分を引っ張るまで、トレー部分がボックスに対してスライドすることが防止されるように、トレー部分とボックスの内部表面との間の摩擦を増大させるための手段が提供されてもよい。
【0041】
本発明による容器の分配手段はさらに、トレー部分の閉位置において、プルタブが側面開口部を通して外向きに延びるように、トレー部分から延びるプルタブを備えることが好ましい。プルタブは、消費者がトレー部分を掴み、閉位置から分配位置へと外向きに引っ張るための簡便な手段を提供する。別の方法としてまたはプルタブに加えて、トレー部分が側面開口部を通して外向きに、分配位置に向かって押し出されるように、側面開口部の反対側にある、第二の側壁に切り抜きが提供されてもよい。
【0042】
本発明による容器の分配手段は、個別の消費財を分配するように適合されることが好ましい。これは、トレー部分の寸法を、一度に一つの消費財のみが支持されてトレー部分と共に移動しうるように適合させることによって達成されうる。別の方法としてまたは追加的に、第一のボックス側壁の側面開口部の寸法は、側面開口部が一度に分配される単一の消費財のみに対して十分な大きさとなるように適合されうる。
【0043】
分配手段は、単一の層状ブランクから形成されることが好ましく、これは折り畳まれてトレー部分を画定する。分配手段を形成するための層状ブランクは、ボックスと同一のシート材料から形成されることが好ましい。別の方法として、分配手段を形成するための層状ブランクは、ボックスとは異なる材料から形成されてもよい。
【0044】
本発明による容器はさらに、ボックス内に取り付けられたセパレータ要素を備えてもよく、セパレータ要素は、ボックスの内部容積を、上部アクセス開口部を通してアクセス可能な上部区画と消費財を収容する下部区画とに分離し、消費財は、分配手段によって下部区画から分配される。
【0045】
したがって、セパレータ要素は、ボックス内に別個の区画を画定するために、本発明による容器のボックスの内側に組み込まれる。セパレータ要素の上方に画定される上部区画は、そこから消費財が分配される下部区画から分離している。したがって、上部区画は、有利なことに、使用済みのエアロゾル発生物品などの使用済みの消費財を保存するための廃棄物区画として使用されうる。別の方法として、上部区画は、下部区画に提供されるものと同一または代替的な消費財を保存するために使用されてもよいが、これは上部アクセス開口部を通して消費者にとって別々にアクセス可能である。
【0046】
セパレータ要素は、ボックス内でスライド可能であり、上部区画と下部区画の相対的容積を調節することが好ましい。したがって、セパレータ要素は、ボックス内で上向きまたは下向きにスライドしうるように、ボックス内に取り付けられることが好ましい。このように、消費財が容器から空になるのにつれて下部区画のサイズを減少させて上部区画のサイズを増大させることができ、このことは、上部区画が使用済みの消費財を保管することが意図される容器にとって有用でありうる。
【0047】
上部区画が使用済みの消費財を保管することが意図されている場合、使用済みの消費財が上部区画内に挿入されるのにつれて、セパレータ要素は自動的に下向きにスライドして、区画の相対的容積を調節する。別の方法としてまたは追加的に、セパレータ要素は、消費者が区画の相対的容積を制御する位置を手動で調節できるように適合されてもよい。
【0048】
セパレータ要素は一般に、ボックスの内部容積を横切って延びるセパレータの横断方向壁を含む。セパレータの横断方向壁は、区画がセパレータ要素によって互いに完全に分離されるように、実質的にボックスの内部横断断面に対応するサイズおよび形状を有することが好ましい。
【0049】
セパレータ要素はさらに、すべてセパレータの横断方向壁に従属する、セパレータ前部壁、セパレータ後部壁、およびセパレータ側壁を含むことが好ましい。これにより、良好な構造剛性を有する三次元形態のセパレータ要素が提供される。セパレータ前部壁、セパレータ後部壁およびセパレータ側壁は、ボックス前部壁、ボックス後部壁およびボックス側壁それぞれの内部表面に対して置かれることが好ましい。セパレータ要素の対応する表面とボックスとの間の摩擦は、ボックス内のセパレータ要素のスライドに対して特定のレベルの抵抗を提供する。したがって、セパレータ要素は自由にスライドしないが、力が直接印加されるか、または消費者によって示されるまで、ボックス内の適切な位置に保持されうる。
【0050】
セパレータの横断方向壁には、随意に、上部面および下部面のうちの少なくとも一つの上にバリア層を提供されてもよい。例えば、金属フィルムの層は、セパレータの横断方向壁の上部面または下部面のうちの少なくとも一つ上に提供されてもよい。こうしたバリア層は有利なことに、匂い、風味、水分またはその他の液体および気体の区画間の移動を防止しうる。これは、例えば、上部区画が使用済みの消費財用の廃棄区画として使用される場合、または区画が異なる風味を有する異なる消費財を保持するために使用される場合に、特に有益でありうる。
【0051】
セパレータ要素は、組立中に容器のボックス内に折り畳まれて挿入される単一の層状ブランクから形成されることが好ましい。セパレータ要素は、ボックスと同じシート材料で形成されてもよく、または異なるシート材料で形成されてもよい。
【0052】
本発明による容器のボックスは、消費財を収容するように適合される。上述の通り、ボックスの上端は少なくとも部分的に開口して、上部アクセス開口部を提供する。ボックスの上端は、上部アクセス開口部のサイズを最大化するために完全に開いていることが好ましい。こうした実施形態では、ボックスはボックス上部壁を含まない。こうした実施形態では、側壁の上部縁から上部アクセス開口部に従属するフラップが提供されることが好ましい。こうしたフラップの包含は、リッドが上部アクセス開口部上で閉じられた時に、リッドと側壁との間の任意のギャップを減少させるのに役立つ。代替的な実施形態では、ボックスはボックス上部壁を備えてもよく、上部アクセス開口部はボックス上部壁の切り抜きによって画定されうる。従って、上部アクセス開口部は、ボックスの上面上に部分的にのみ延びる。
【0053】
上部アクセス開口部は、随意にボックス前部壁の下方に途中まで延びうる。例えば、切り抜きがボックス前部壁の上部端に提供されてもよい。これは、有利なことに、リッドが開いている時のボックスの内側へのアクセスを改善しうる。別の方法としてまたは追加的に、例えば以下に説明するように、閉位置でリッドがボックス前部壁の後ろに押し込まれる実施形態では、リッドの開放を容易にすることができる。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、アクセス開口部は、製造工程中に容器内に組み込まれ、リッドが初めて開かれるときに存在する。本発明の代替的な実施形態では、初めて開く際に、上部アクセス開口部が取り外し可能な要素によって少なくとも部分的に被覆されるが、取り外し可能な要素は、初めてリッドを開いた際に、ボックスの内側へのアクセスを得るために消費者によって少なくとも部分的に除去される。
【0055】
本発明による容器のリッドは、開位置と閉位置との間を移動しうるように、ボックス後部壁にヒンジで接続される。リッドは、閉リッド位置において上部アクセス開口部が覆われることを可能にする任意の適切な形態をとりうる。
【0056】
本発明の特定の好ましい実施形態では、リッドは、上部アクセス開口部を覆うためのリッド上部壁を含むリッドフラップである。代替的な実施形態では、リッドは、リッド上部壁、リッド前部壁およびリッド側壁を含んで、三次元のカップ状のリッドを形成しうる。
【0057】
本発明による容器はさらに、リッドを閉リッド位置に保持するための閉鎖手段を備えることが好ましい。閉鎖手段は、容器を初めて開く前の確実な閉鎖を保持し、さらに使用間におけるリッドの繰り返しの開閉を可能にする、再び封じることができる構造を提供することが好ましい。閉鎖手段は、リッド上に、閉位置のリッドの下にあるボックス壁の任意の部分上、またはその両方に提供されうる。
【0058】
閉鎖手段は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、閉鎖手段はマイクロ吸引構造を含みうる。「マイクロ吸引構造」という用語は本明細書で使用される場合、材料の外部表面上に複数のマイクロキャビティを持つ柔軟な材料を含む物品を意味する。マイクロキャビティの壁は、材料の外表面が接触表面に対して押された時に、圧力が低減された密封された環境がキャビティの壁と接触表面との間に形成されるように、変形可能である。これは、キャビティの壁と接触表面との間で吸引力を提供する。マイクロ吸引構造はしたがって、リッドフラップをボックスに対して閉位置に固定するための効果的な手段を提供することができる。別の方法として、閉鎖手段は、リッドの接触面とボックスの接触面との間に提供される一つまたは幾つかの磁石と協働する再び封じることができる接着剤または磁化材料または磁化可能材料を含みうる。
【0059】
あるいは、または上述の閉鎖手段のいずれかに加えて、閉鎖手段は、リッドの縁から延びる閉鎖タブを含みうる。閉鎖タブは、閉リッド位置におけるボックス前部壁の後方への挿入に適合されうる。別の方法として、ボックスは、リッドが閉リッド位置にある時に、閉鎖タブを受けるための対応するスリットをボックス前部壁内に提供されうる。
【0060】
本発明による容器は、一つ以上の折り畳まれた層状ブランクから形成されることが好ましい。一つ以上の層状ブランクは、厚紙、ボール紙、プラスチック、金属、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。容器の異なる構成要素は、同一の材料から形成されてもよく、または異なる材料から形成されてもよい。本発明による容器のボックスおよびリッドは、単一の層状ブランクから一体的に形成されることが特に好ましい。
【0061】
本発明による容器は、ボックス内に一つ以上の細長い消費財を含むことが好ましい。一つ以上の細長い消費財は、一つ以上の消費財の長軸方向軸が実質的に水平であるように、ボックスを横断方向に横切って配置されることが好ましい。この配置は、横断方向に整列された消費財が水平トレー部分上に容易に保持され、ボックスの側面開口部を通して横方向に分配されうるため、本発明の分配手段において特に効果的である。この配置はまた、有利なことに、分配手段上の消費財の配置を容易にする。消費財が分配手段を通して容器から取り外された後、次の消費財は重力下で自動的に分配手段に落下する。したがって、消費者は、トレー部分をボックスに押し戻す以外に、分配手段を再充填するために何らかの動作をする必要はない。
【0062】
本発明による容器は、ボックス内に一つ以上のエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素を含むことが好ましい。上述の通り、本発明による容器は、ヒーター要素を含むエアロゾル発生装置での使用が意図される加熱式エアロゾル発生物品に特に適している。エアロゾル発生物品が分配手段を使用してボックスから分配された後、エアロゾル発生物品は、消費者がエアロゾル発生物品を容器から取り出す必要なく、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へと直接受けられうる。従って、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置内への挿入は、上述の通り、非接触の手段で簡便に実施されうる。
【0063】
寸法の適切な選択を通して、本発明による容器は、異なるタイプまたは数のエアロゾル発生物品またはその他の消費財を保持するように設計されうる。
【0064】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、本発明による容器の斜視図を示し、リッドは閉リッド位置にあり、分配手段は分配位置にある。
【
図2】
図2は、
図1の容器の斜視図を示し、ボックス前部壁の一部分および第一のボックス側壁が切り取られてボックスの内側を示している。
【
図3】
図3は、
図1および
図2の容器のボックスおよびリッドフラップを形成するのに適した層状ブランクを示す。
【
図4】
図4は、
図1および
図2の容器の分配手段を形成するのに適した層状ブランクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、ボックス12およびヒンジ線16に沿ってボックス12に接続されたリッドフラップ14を備える、本発明による容器10を示す。ボックス12は、直方体であり、ボックス前部壁18、ボックス後部壁、第一のボックス側壁22、第二のボックス側壁およびボックス底部壁を含む。ボックス12の上端は、容器10の上部アクセス開口部を提供するために開いている。半円形の切り抜き24が、ボックス前部壁18の上部縁に、上部アクセス開口部に隣接して提供される。側面開口部26は、第一のボックス側壁22の底部に提供されている。ボックス12は、ボックス12内に横断方向に配置される複数のエアロゾル発生物品28を収容する。
【0067】
リッドフラップ14は、ボックス後部壁の上部縁から垂れ下がり、リッド上部壁30およびリッド上部壁30の前部縁から延びる閉鎖タブ32を含む。
図1は、リッドフラップ14が閉リッド位置にある容器を示し、リッド上部壁30がボックス12の上部アクセス開口部を覆い、閉鎖タブ32がボックス前部壁18の後方に挿入されて、リッドフラップ14を定位置に保持している。リッドフラップ14は、ボックス前部壁の切り抜き24を通してリッドフラップに接触し、リッドフラップ14をボックス12から遠ざかるように上向きに引っ張ることにより、容易に開リッド位置に移動しうる。
【0068】
ボックス12およびリッドフラップ14は、単一の層状ブランクから一体的に形成される。ボックス12およびリッドフラップ14を形成するための適切な層状ブランク110を
図3に示す。
図3では、実線は切断線を示し、破線は折り目を示す。
【0069】
ブランク110は、ボックス12を形成するためのボックス画定部分112と、リッドフラップ14を形成するためのリッド画定部分114とを含み、リッド画定部分114はヒンジ線16に沿ってボックス画定部分112に接続される。第一のボックス側壁パネル122は、ボックス前部壁パネル118およびボックス後部壁パネル120のそれぞれの側縁から延びる。組み立てられた容器では、第一のボックス側壁パネル122は相互の上にあって、第一のボックス側壁22を画定する。第一のボックス側壁パネル122のそれぞれは、底部端から切り取られて、ボックス12内の側面開口部を画定する部分を有する。
【0070】
容器10はさらに、ボックス12の内側に取り付けられた分配手段40を備える。分配手段40は、トレー底部壁44を有するトレー部分42と、第一のトレー側壁46、第二のトレー側壁(図示せず)、トレー前部壁48およびトレー底部壁44から上方に延びるトレー後部壁50を備える。ヒンジ線52は、トレー底部壁44を横切って前部縁と後部縁との間に延びる。トレー前部壁48およびトレー後部壁50のそれぞれの第一の部分は、トレー底部壁の縁に沿って延び、第一のトレー側壁46からヒンジ線52へと延びる。高さが増加した部分(図示しない)は、ヒンジ線52から第二のトレー側壁へと延びる。トレー前部壁48およびトレー後部壁50のそれぞれの高さが増加した部分は、第一のボックス側壁22の側面開口部の高さよりも大きい。したがって、高さが増加した部分は側面開口部を通過することはできず、トレー部分42が
図2に示す分配位置を越えて移動することを防止する。プルタブ54は、トレー側壁46の底部縁から外向きに延びる。
【0071】
トレー部分42は、トレー底部壁44によって提供される支持表面上に個別のエアロゾル発生物品28を保持するように適合される。したがって、エアロゾル発生物品28は、一度に一つ、容器から分配されうる。
【0072】
閉位置では、分配手段40は、ボックス12の内側に完全に位置付けられ、トレー底部壁44は、ボックス底部壁上に保持され、第一のトレー側壁46はボックスの側面開口部26を覆う。プルタブ54は、側面開口部26から外向きに延びる。分配手段40を
図1に示す分配位置に移動するためには、消費者はプルタブ56を引っ張って、トレー部分42を側面開口部26を通して外向きにスライドする。分配位置では、トレー部分42は側面開口部26を通って突出し、ヒンジ線52はボックスのすぐ外側に位置付けられる。したがって、トレー部分42の端部は、図示した通り、下向きに旋回して、エアロゾル発生物品28の端を露出しうる。エアロゾル発生物品28は次に、消費者によって容器10から取り出されるか、またはエアロゾル発生装置内に直接挿入されうる。
【0073】
例えば、エアロゾル発生物品28が加熱式エアロゾル発生物品である場合、エアロゾル発生物品28の露出した端は、上述の通り、非接触の手段によってエアロゾル発生装置の加熱チャンバー内に挿入されうる。具体的には、エアロゾル発生装置を、エアロゾル発生物品28の露出した端に向かって持っていき、容器に向かって押し出して、エアロゾル発生物品を加熱チャンバー内に挿入する。エアロゾル発生物品28は、第二のトレー側壁によって、ボックス12内へと後向きに移動することが防止される。側面開口部に隣接したエアロゾル発生装置の存在により、トレー部分の端部がその元の位置まで戻って旋回することが防止される。エアロゾル発生物品28の端がエアロゾル発生装置の加熱チャンバー内へと挿入されると、定位置にエアロゾル発生物品を有するエアロゾル発生装置は容器から離れるように移動しうる。エアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置内への挿入は、消費者がエアロゾル発生物品に触れることなく実行されうる。
【0074】
分配手段40は、折り畳まれるとトレー部分42を形成する単一の層状ブランクから組み立てられ、次にボックス12の内側に、ボックス底部壁に対して取り付けられうる。トレー部分42を形成するための適切な層状ブランク140を
図4に示す。
図4では、実線は切断線を示し、破線は折り目を示す。
【0075】
図4に示すように、層状ブランク142は、ヒンジ線52を画定する折り目を含むトレー底部壁パネル144を含む。層状ブランク142は、上述の通り、トレー前部壁48の第一の部分を形成するための第一のトレー前部壁パネル148a、およびトレー後部壁50の第一の部分を形成するための第一のトレー後部壁パネル150aを含む。層状ブランクはさらに、上述の通り、トレー前部壁48の高さが増加した部分を形成するための第二のトレー前部壁パネル148b、およびトレー後部壁50の高さが増加した部分を形成するための第二のトレー後部壁パネル150bを含む。第一のトレー側壁パネル146は、第一のトレー側壁パネル46を形成するためにトレー底部壁パネル144の一方の端に提供され、第二のトレー側壁パネル147は、第二のトレー側壁を形成するために、トレー底部壁パネル144の反対側の端に提供される。
【0076】
図2に示すように、容器10はさらに、ボックス12の内側に取り付けられたセパレータ要素60をさらに備える。セパレータ要素60は、ボックス12の内側を横断方向に横切って延びるセパレータの横断方向壁、ならびにセパレータ前部壁62、セパレータ後部壁、およびセパレータの横断方向壁から下向きに延びるセパレータ側壁64を備える。セパレータ要素60は、ボックス12の内部容積を上部区画66および下部区画68に分離する。上部区画66は、リッドフラップ14を開けることによって、上部アクセス開口部を通してアクセス可能である。上部区画66は最初は空であり、使用済みのエアロゾル発生物品を保管することが意図されている。下部区画68は、複数のエアロゾル発生物品28を収容し、これらは分配手段40によって下部区画68から分配される。
【0077】
セパレータ要素60は、実質的にボックス12の内部横断断面に対応する横断断面を有するため、セパレータ要素60は、セパレータ要素60の壁と対応するボックス壁の内部表面との間の摩擦の結果、定位置に留まる。セパレータ要素60は、上部区画66と下部区画68の相対的容積を調節するために、ボックス12内で垂直方向にスライド可能である。したがって、セパレータ要素60は、下部区画68内のエアロゾル発生物品28の数が減少するのにつれて、下向きにスライドして、下部区画66のサイズを減少させうる。従って、上部区画66のサイズがそれに応じて増加し、増加した数の使用済みのエアロゾル発生物品が収容されうる。消費者が使用済みのエアロゾル発生物品を上部区画66内へと挿入すると、区画の相対的サイズを調節するために、セパレータ要素60は自動的に下向きに移動しうる。