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▶ ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】コンポーネントの光誘起選択転写
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20230417BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230417BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20230417BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20230417BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230417BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230417BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/00 H
H01L33/60
H01L33/58
G09F9/33
G09F9/00 338
H05K3/32 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528020
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 NL2018050776
(87)【国際公開番号】W WO2019103603
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】17202786.4
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511095850
【氏名又は名称】ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト-ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ガリ・アルティノフ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・スタウト
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・コンスタント・ピーテル・スミッツ
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105870265(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0278734(US,A1)
【文献】特開2010-251359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0217517(US,A1)
【文献】特開2002-343944(JP,A)
【文献】特開2013-211443(JP,A)
【文献】特表2016-512347(JP,A)
【文献】特開2006-041500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162552(US,A1)
【文献】特表2017-503356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336304(US,A1)
【文献】特開2002-118124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
G09F 9/00 - 9/46
H05K 3/00 - 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントの光誘起選択転写のための方法であって、
-異なるサブセットに分割された複数のコンポーネント(11、12、13)を備えるドナー基材(10)を提供するステップであって、前記サブセットは少なくとも
第1の転写ステップの間の転写のために選択され、第1のコンポーネントレイアウト(A)に従って配置構成されるコンポーネント(11)の第1のサブセットと、
前記第1の転写ステップの間に前記ドナー基材(10)上に留まるように選択され、第2のコンポーネントレイアウト(B)に従って配置構成されるコンポーネント(12)の第2のサブセットとを含む、ステップと、
-ターゲット基材(20)を提供するステップであって、前記ターゲット基材(20)は前記第1のコンポーネントレイアウト(A)に対応する相対的位置(A’)に少なくとも配設されている陥凹部(21)と、前記第2のコンポーネントレイアウト(B)に対応する相対的位置(B’)に少なくとも配設されている前記ターゲット基材(20)の非陥凹領域によって形成される突出部(25)とを備える、ステップと、
-前記ドナー基材(10)と前記ターゲット基材(20)とを位置合わせするステップであって、
コンポーネント(11)の前記第1のサブセットは、前記ターゲット基材(20)に接触することなく対応する陥凹部(21)の上に懸架され、
コンポーネント(12)の前記第2のサブセットは、前記ターゲット基材(20)の対応する突出部(25)と接触する、ステップと、
-前記第1の転写ステップにおいて、光(L)を前記ドナー基材(10)上の少なくとも前記第1のコンポーネントレイアウト(A)上に投射し、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットが前記ドナー基材(10)に取り付けられたままである一方で、コンポーネント(11)の前記第1のサブセットを対応する陥凹部(21)にわたって、その中に転写するステップとを含む方法。
【請求項2】
コンポーネント(12)の前記第2のサブセットは、第2の転写ステップの間の転写のために選択され、前記第2の転写ステップは、前記第1の転写ステップから分離しており、前記第2の転写ステップは、前記ドナー基材(10)を前記第2のコンポーネントレイアウト(B)に対応する相対的位置に少なくとも配設されている陥凹部を含む同じかまたは別のターゲット基材の上のコンポーネント(12)の残りの第2のサブセットと位置合わせするステップを含み、前記第2の転写ステップにおいて、光(L)は前記ドナー基材上の少なくとも前記第2のコンポーネントレイアウト上に投射され、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットを対応する陥凹部にわたって、その中に転写する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各転写ステップは、光(L)の別個のパルスによって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
コンポーネント(11)の第1のサブセットのコンポーネントは、前記ドナー基材(10)上のコンポーネント(12)の前記第2のサブセットのコンポーネントの間に散在し、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットは、コンポーネント(11)の前記第1のサブセットと同じ相対的位置を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のサブセットの前記コンポーネント(12)は、前記ドナー基材(10)上の前記第1のサブセットの前記コンポーネント(11)に隣接している、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
接触しているターゲット基材(20)は、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットに対するヒートシンクとして作用し、前記光(L)によって発生する熱の20%超の部分が前記ターゲット基材(20)との接触を通じて放散される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光(L)は、コンポーネント(11)の前記第1のサブセットを第1の温度(T1)に加熱し、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットを第2の温度(T2)に加熱し、前記第2の温度(T2)は前記第1の温度(T1)より低く、前記第1の温度(T1)は、コンポーネント(11)の前記第1のサブセットを前記ドナー基材(10)から解放するための閾値より高く、前記第2の温度(T2)は、前記閾値より低い、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記陥凹部(21)の外縁は、前記ターゲット基材(20)および/または底部の表面法線に関して角度(θ)で傾斜し、前記角度(θ)は、10度から80度の間にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コンポーネント(11)は、発光デバイスを備え、前記陥凹部(21)は、反射面(20r)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンポーネント(11、12)は、100マイクロメートル未満のコンポーネント直径(Wc)を前記ドナー基材(10)の表面に沿って有し、前記コンポーネント直径(Wc)は、コンポーネント厚さ(Hc)より少なくとも2倍大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ターゲット基材(20)上のコンポーネントのピッチ(Pt)は、前記ドナー基材(10)上のコンポーネントのピッチ(Pd)より少なくとも2倍大きい、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の転写ステップの間に、第1のコンポーネント(11r)が第1のドナー基材(10r)から前記ターゲット基材(20)上の第1の陥凹部(21r)内に転写され、第2の転写ステップの間に、第2のコンポーネント(11g)が第2のドナー基材(10g)から第2の陥凹部(21g)内に転写され、前記第2の転写ステップの間に、前記第2のドナー基材(10g)上の別のコンポーネント(17g)が前記第1の陥凹部(21r)内のすでに堆積されている第1のコンポーネント(11r’)の上に懸架され、前記第1の陥凹部(21r)は、前記すでに堆積されている第1のコンポーネント(11r’)の厚さと少なくとも同じ深さを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に従ってすでに製造されている、陥凹部(21)内すでに堆積されているコンポーネント(11)を有するターゲット基材(20)を修理するための方法であって、前記ターゲット基材(20)は、すでに堆積されているコンポーネント(11)を有する前記陥凹部(21)に隣接する冗長な空の陥凹部を備え、前記方法は、すでに堆積されているコンポーネント(11)のうちから壊れているコンポーネントを特定するステップと、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を使用して前記壊れているコンポーネントに隣接する冗長陥凹部内に別のコンポーネントを追加するステップとを含む、方法。
【請求項14】
ディスプレイ画面を製造するための方法であって、
-請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に従って陥凹部内にコンポーネントを有するターゲット基材を製造するステップであって、前記コンポーネントは発光デバイスである、ステップと、
-前記ターゲット基材上の壊れているコンポーネントの存在を検査するステップと、
-任意の壊れているコンポーネントについて請求項13に記載の方法を繰り返して前記ターゲット基材を修理するステップとを含む、方法。
【請求項15】
コンポーネントの光誘起選択転写のための装置(100)であって、
-異なるサブセットに分割されている複数のコンポーネント(11、12、13)を有するドナー基材(10)であって、前記サブセットは少なくとも
第1の転写ステップの間の転写のために選択され、第1のコンポーネントレイアウト(A)に従って配置構成されるコンポーネント(11)の第1のサブセットと、
前記第1の転写ステップの間に前記ドナー基材(10)上に留まるように選択され、第2のコンポーネントレイアウト(B)に従って配置構成されるコンポーネント(12)の第2のサブセットとを含む、ドナー基材(10)と、
-ターゲット基材(20)であって、前記第1のコンポーネントレイアウト(A)に対応する相対的位置(A’)に少なくとも配設されている陥凹部(21)と、前記第2のコンポーネントレイアウト(B)に対応する相対的位置(B’)に少なくとも配設されている前記ターゲット基材(20)の非陥凹領域によって形成される突出部(25)とを備える、ターゲット基材(20)と、
-基材ハンドラ(43、44)であって、前記ドナー基材(10)および前記ターゲット基材(20)を、
コンポーネント(11)の前記第1のサブセットが、前記ターゲット基材(20)に接触することなく対応する陥凹部(21)の上に懸架され、
コンポーネント(12)の前記第2のサブセットが、前記ターゲット基材(20)の対応する突出部(25)と接触する、ように位置合わせするための、基材ハンドラ(43、44)と、
-前記第1の転写ステップにおいて、光(L)を前記ドナー基材(10)上の少なくとも前記第1のコンポーネントレイアウト(A)上に投射し、コンポーネント(12)の前記第2のサブセットが前記ドナー基材(10)に取り付けられたままである一方で、コンポーネント(11)の前記第1のサブセットを対応する陥凹部(21)にわたって、その中に転写するように構成されている光源(30)とを備える、装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、たとえば、マイクロLEDディスプレイを製造または修理するための、コンポーネントの光誘起選択転写(light induced selective transfer)のための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロLED(μLED)ディスプレイは、(潜在的な)高い輝度、安定性、低消費電力、および優れた色域を有することから将来のディスプレイの一候補である。その輝度により、高輝度ディスプレイに対して画素面積のうちごく小さな面積が発光するだけでよい。言い換えると、必要な被覆範囲は比較的少ないということである。したがって、比較的高いディスプレイ解像度であっても、たとえば、用途に応じて、インチ当たりピクセル数(PPI)が70~600個程度である場合、LEDは、非常に小さな寸法、たとえば、30μm未満であってよい。しかし、μLEDは、サファイアなどの高価な基材上に高温で成長させるのに費用がかかり得るので、LED加工に利用されるウェハの面積を可能な限り広く取ることが好ましい。したがって、コンポーネントを成長基材または他のドナー基材(donor substrate)からターゲット基材(target substrate)に、コンポーネント間のピッチ(間隔)を広げて選択転写することが望ましい。たとえば、米国特許第8,056,222号では、埋め込みマイクロ電子機器を作製するために基材上に、または基材内の陥凹部の内側に、半導体ベアダイもしくは表面実装受動および能動コンポーネントなどのコンポーネントを転写するために使用されるレーザー直接書き込み方法を説明している。しかしながら、ドナー基材上のコンポーネントが非常に小さく、および/または密接しているときに、隣接するコンポーネントが転写するのを防ぐことが困難な場合がある。
【0003】
これらの理由および他の理由から、たとえばディスプレイまたは他のデバイスを製造するために、高解像度の配置および精度を高生産性と組み合わせて、μLEDなどのコンポーネントの組み立て方法を改善することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8,056,222号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の様々な態様は、コンポーネントの光誘起選択転写に関する方法およびシステムに関する。ドナー基材は、異なるサブセットに分割された複数のコンポーネントを備える。コンポーネントの第1のサブセットは、第1の転写ステップの間の転写のために選択され、第1のコンポーネントレイアウトに従って配置構成される。コンポーネントの第2のサブセットは、第1の転写ステップの間にドナー基材上に留まるように選択され、第2のコンポーネントレイアウトに従って配置構成される。ターゲット基材は、第1のコンポーネントレイアウトに対応する相対的位置に少なくとも配設されている陥凹部を備える。ターゲット基材上の突出部は、第2のコンポーネントレイアウトに対応する相対的位置に少なくとも配設される。ドナー基材およびターゲット基材は、相対的に位置決めされるか、または位置合わせされ、たとえば、近接させられる。位置合わせによって、コンポーネントの第1のサブセットは、ターゲット基材に接触することなく対応する陥凹部の上に懸架される。さらに、コンポーネントの第2のサブセットは、好ましくは、ターゲット基材の対応する突出部と接触する。次いで、光がドナー基材上の少なくとも第1のコンポーネントレイアウト上に投射される。これにより、コンポーネントの第1のサブセットを対応する陥凹部にわたって、その中に転写することができ、コンポーネントの第2のサブセットはドナー基材に取り付けられたままである。
【0006】
対応する突出部との接触により、コンポーネントの第2のサブセットの転写を防ぎ得ることは理解されるであろう。たとえば、この接触は、それらの位置における転写を物理的に阻止するものであり得る。たとえば、接触しているターゲット基材は、接触位置においてコンポーネントの加熱を少なくとも部分的に減じるヒートシンクとして働き得る。それと同時に、陥凹部は転写を円滑にし得る。たとえば、ターゲット基材に接触することなく、コンポーネントはドナー基材から解放され、ターゲット基材へ移動し得る。移動距離は、陥凹部の画成された接点および/または深さによってうまく制御され得ることが理解されるであろう。これは、転写プロセスの制御を改善し得る。さらに、接触しているターゲット基材のヒートシンク効果がない場合、懸架されているコンポーネントは比較的高い温度まで加熱され、たとえばそれらの接触位置における接着剤または他の反応を弱めることによってそれらを解放させ得る。
【0007】
本開示の装置、システム、および方法のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、次の説明、付属の請求項、および添付図面を見るとよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態によるドナー基材からターゲット基材へのコンポーネントの選択転写におけるステップの概略を例示する図である。
図1B】一実施形態によるドナー基材からターゲット基材へのコンポーネントの選択転写におけるステップの概略を例示する図である。
図1C】一実施形態によるドナー基材からターゲット基材へのコンポーネントの選択転写におけるステップの概略を例示する図である。
図2A】別の実施形態による異なるドナー基材からの異なるコンポーネントの選択転写のためのステップの概略を例示する図である。
図2B】別の実施形態による異なるドナー基材からの異なるコンポーネントの選択転写のためのステップの概略を例示する図である。
図2C】別の実施形態による異なるドナー基材からの異なるコンポーネントの選択転写のためのステップの概略を例示する図である。
図3A】いくつかの実施形態による様々なコンポーネントを通る熱伝達の概略を例示する図である。
図3B】ターゲット基材が反射面を有する一実施形態の概略を例示する図である。
図3C】コンポーネントの選択転写のための装置の一実施形態の概略を例示する図である。
図4A】いくつかの実施形態による可能な形状、サイズ、および距離の概略を例示する図である。
図4B】いくつかの実施形態による可能な形状、サイズ、および距離の概略を例示する図である。
図4C】いくつかの実施形態による可能な形状、サイズ、および距離の概略を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明の制限となることを意図されていない。本明細書で使用されているように、単数形「ある/1つの(a)」、「ある/1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も含むことが意図されている。「および/または(and/or)」という用語は、関連する列挙されている項目の1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。「含む/備える(comprises)」および/または「含んでいる/備えている(comprising)」という用語は、述べられている特徴の存在を指定するが1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を除外しないことは理解されるであろう。方法の特定のステップが別のステップの後に続くものとして参照されるときに、これは、別段の指定のない限り、前記他のステップの直後に続き得るか、または1つもしくは複数の中間ステップが特定のステップを実行する前に実行され得ることはさらに理解されるであろう。同様に、構造またはコンポーネントの間の接続が説明されているときに、この接続は、別段の指定のない限り、直接的に、または中間構造もしくは中間コンポーネントを通じて確立され得ることは理解されるであろう。
【0010】
本発明は、本発明の実施形態が示されている、添付図面を参照しつつ、より完全に以下で説明される。図面中、システム、コンポーネント、層、および領域の絶対的および相対的サイズは、分かりやすくするために誇張されている場合がある。実施形態は、本発明の可能ならば理想化された実施形態および中間構造の概略ならびに/または断面図を参照しつつ説明される。説明および図面において、類似の番号は、全体を通して類似の要素を指す。相対語さらにはその派生形は、その後説明されるような、または説明中の図面に示されているような配向を指すと解釈されるべきである。これらの相対語は、説明の便宜上のものであり、別段の断りのない限り、システムが特定の配向で製作されるか、または操作されることを要求しない。
【0011】
図1A図1Cは、一実施形態によるドナー基材10からターゲット基材20へのコンポーネント11の選択転写におけるステップの概略を例示している。
【0012】
一実施形態において、図1Aに示されているように、ドナー基材10は、異なる、すなわち、排他的サブセットに分割された複数のコンポーネント11、12、13を備える。たとえば、コンポーネント11の第1のサブセットは、第1の転写ステップの間の転写のために選択され、第1のコンポーネントレイアウト「A」に従って配置構成される。図示されている実施形態において、コンポーネント12の第2のサブセットは、第1の転写ステップの間にドナー基材10上に留まるように選択され、第2のコンポーネントレイアウト「B」に従って配置構成される。また、さらなるサブセットが定められてよく、たとえば、図示されている実施形態において、コンポーネント13の第3のサブセットは、レイアウト「C」に従って配置構成され、この場合、これは第1の転写ステップの間にドナー基材上に留まるようにも選択される。もちろん、残りのコンポーネント12および13も、この点に関して単一のレイアウトの一部として考慮され得る。
【0013】
好ましい一実施形態において、ターゲット基材20は、第1のコンポーネントレイアウト「A」に対応する相対的位置A’に少なくとも配設されている陥凹部21を備える。言い換えると、陥凹部21の間の距離は、コンポーネント11の第1のサブセットの間の距離に対応する。また、陥凹部21のサイズ、たとえば、直径はコンポーネント11のサイズに対応し、したがって、これらは以下でさらに説明されているように陥凹部に嵌合する。本明細書において使用されているような陥凹部の概念は、一般的に、レベルがターゲット基材20の平均表面レベルより低いターゲット基材20の凹面または領域を指す。
【0014】
好ましい一実施形態において、ターゲット基材20は、突出部25を備える。突出部25は、第2のコンポーネントレイアウト「B」に対応する相対的位置B’に少なくとも配設される。言い換えると、突出部25の寸法の間の距離は、コンポーネント12の第2のサブセット(およびこの場合にコンポーネント13の第3のサブセット)の距離に対応する。たとえば、突出部は、ターゲット基材20の非陥凹領域によって、または他の形で形成され得る。本明細書において使用されているような突出部の概念は、一般的に、レベルがターゲット基材20の平均表面レベルより高いターゲット基材20の凸面または領域を指す。ターゲット基材20の表面上の突出部は、それらの間に陥凹部を画成し、および/またはその逆もあり得る。
【0015】
一実施形態において、たとえば、図1Bに示されているように、ドナーおよびターゲット基材10、20は位置合わせされ、すなわち、相対的に位置決めされる。図示されている実施形態において、コンポーネント11の第1のサブセットは、ターゲット基材20に接触することなく対応する陥凹部21の上に懸架される。さらに、図示されているように、(少なくとも)コンポーネント12の第2のサブセットは、好ましくは、ターゲット基材20の対応する突出部25と接触する。
【0016】
いくつかの実施形態において、光「L」が、たとえば、第1の転写ステップで、少なくともドナー基材10上の第1のコンポーネントレイアウト「A」上に投射される。好ましくは、ドナー基材10は、光「L」がドナー基材10を透過し、背後からコンポーネント11を照らすようにその光を透す。代替的に、またはそれに加えて、光は、他の方向からも照射されるものとしてよく、たとえば、その後度ドナー基材の領域、またはそれらの間の層を、解放のために加熱するコンポーネントを加熱する。図示されている実施形態において、この光は、コンポーネント11の第1のサブセットのすべてが対応する陥凹部21にわたって、その中に堆積されるか、または転写されることを引き起こす。それと同時に(少なくとも)コンポーネント12の第2のサブセットはドナー基材10に取り付けられたままであるものとしてよい。図示されている実施形態において、コンポーネント13の第3のサブセットもドナー基材10上に留まる。対応する突出部25との接触が、第1の転写ステップにおけるコンポーネント12(およびここではコンポーネント13も)の第2のサブセットの転写を防ぎ得ることは理解されるであろう。たとえば、接触は転写を物理的に阻止する。
【0017】
図示されている実施形態において、光「L」の少なくとも一部も、第2のコンポーネントレイアウト「B」上に投射される。たとえば、ドナー基材10全体またはその大部分の領域は照射され得る。別の、またはさらなる実施形態(ここでは図示されていない)において、光は、たとえば、コンポーネント11の第1のサブセットを選択的にまたは排他的に照射するようにパターン化され得る。またその場合、本方法は、たとえば、特にコンポーネントおよびそれらの間の距離がマイクロメートルのオーダーであるときに、ドナー基材10を介して間接的に加熱され得る付近のコンポーネントを意図せず転写するのを防ぐうえで有利であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態(図示せず)において、コンポーネント12の第2のサブセットは、第2の転写ステップの間の転写のために選択される。第2の転写ステップは第1の転写ステップから分離しているものとしてよく、たとえば、異なる時点および/または場所で行われてよい。たとえば、第2の転写ステップは、ドナー基材10を第2のコンポーネントレイアウト「B」に対応する少なくとも相対的位置に配設されている陥凹部を含むターゲット基材(図示せず)上でコンポーネント12の残りの第2のサブセットと位置合わせすることを含む。いくつかのそのような実施形態において、第2の転写ステップに対するターゲット基材は他の陥凹部を備える別の基材である。他のそのような実施形態では、たとえば第1の転写ステップで使用されない追加の陥凹部を備える同じ基材が、第2の転写ステップにおいて使用される。たとえば、第2の転写ステップにおいて、光はドナー基材上の少なくとも第2のコンポーネントレイアウト上に投射され、コンポーネント12の第2のサブセットを対応する陥凹部にわたって、その中に転写する。
【0019】
図示されている実施形態において、複数のコンポーネントは、コンポーネント13の第3のサブセット、たとえば、第1および第2の両方の転写ステップ(図示せず)の間にドナー基材10上に留まることを選択されたコンポーネントを含む。実施形態では、コンポーネント13の第3のサブセットは、第3のコンポーネントレイアウトCに従って配置構成される。たとえば、第2の転写ステップにおける転写のためのターゲット基材は、第2の転写ステップの間にコンポーネント13の第3のサブセットと接触するための第3のコンポーネントレイアウトCに対応する少なくとも相対的位置に配設されている突出部を備える。たとえば、コンポーネント13の第3のサブセットは、第3の転写ステップ(図示せず)の間の転写のために選択される。もちろん、コンポーネントは、また、2つのサブセットのみに分割されるか、またはコンポーネントの3個より多いサブセット、たとえば、4個、5個、10個、またはそれ以上のサブセットに分割され得る。
【0020】
一般に、コンポーネントの異なるサブセットは、異なる転写ステップで同じまたは異なるターゲット基材上の異なる陥凹部内に転写することができる。好ましくは、各転写ステップは、光「L」の別個の(単一)パルスまたは別個の一連のパルスによって達成される。代替的に、原理上連続光源も使用することが可能である。
【0021】
いくつかの実施形態において、コンポーネント11の第1のサブセットのコンポーネントは、ドナー基材10上のコンポーネント12の第2のサブセットのコンポーネントの間に散在する。したがって、ドナー基材10上のコンポーネントの密度は、ターゲット基材20上の密度と比較して比較的高い場合がある。図示されている実施形態において、第2のサブセット内のコンポーネント12は、第1のサブセット内のコンポーネント11と同じ相対的位置を有する。言い換えると、第2のコンポーネントレイアウト「B」は、第1のコンポーネントレイアウト「A」と同じであるがずらされている。これは、陥凹部の同じターゲットレイアウトがコンポーネントレイアウト「A」または「B」のいずれかで満たされ得るという利点を有するものとしてよい。たとえば、陥凹部を有する第1のターゲット基材はコンポーネント11の第1のサブセットで満たされ、同一の陥凹部レイアウトを有する第2のターゲット基材は、コンポーネント12の第2のサブセットで満たされる。
【0022】
図示されている実施形態において、第2のサブセットのコンポーネント12は、ドナー基材10上の第1のサブセットのコンポーネント11に(直接的に)隣接している。特に、そのような隣接するコンポーネントについて、特に小さなコンポーネントおよび/または高い密度に対して、ドナー基材10内の局部的熱堆積(heat deposition)を制御することが困難な場合があることは理解されるであろう。したがって、本方法および本システムは、そのような隣接するコンポーネントの意図しない転写を防ぎ得る。
【0023】
いくつかの実施形態(ここでは例示されていない)において、コンポーネントは、それとの接続のために回路上に転写される。たとえば、ハンダ材料または導電性接着剤は、コンポーネントを回路、たとえば、電極と接続するためにターゲット基材上に配設される。代替的に、またはそれに加えて、ハンダまたは他の材料がドナー基材上のコンポーネントの下に配設され、コンポーネントと一緒に転写され得る。いくつかの実施形態において、ハンダ付けまたは他のタイプの接続は1ステップで実行され得る。たとえば、光からの熱は、転写とハンダ付けの両方を引き起こし得る。代替的に、またはそれに加えて、コンポーネントは、また、転写後に回路に接続され得る。いくつかの実施形態において、コンポーネントは、1つまたは複数の電気的接続部を頂部に備え、すなわち、ターゲット基材から遠ざかる方に面しているものとしてよい。たとえば、有利には頂部に接続するターゲット基材の上に電極を堆積すること、たとえば、印刷することによってそのようなコンポーネントに接続することができる。陥凹コンポーネントは、いくつかの実施形態においてコンポーネントと同一の平面上にあり得るターゲット基材の隣接する(比較的隆起している)レベルから頂部により容易に接続できることは理解されるであろう。また、コンポーネントの側部への接続も企図され得る。側部接続は、傾斜した縁を陥凹部に付けることによってさらに円滑にされ得ることは理解されるであろう。
【0024】
図2A図2Cは、別の実施形態による異なるドナー基材10r、10g、10bからの異なるコンポーネント11r、11g、11bの選択転写のためのステップの概略を例示している。
【0025】
図示されている実施形態において、光「L」は、第1のコンポーネントレイアウト「A」に従ってパターン化される。言い換えると、光「L」は、コンポーネント11の第1のサブセット上に排他的に投射され、および/または光「L」は、他のコンポーネントレイアウト(ここではレイアウト「B」から「G」)のうちのどれかに投射することを阻止される。たとえば、マスクは、光源(ここには図示せず)とドナー基材10との間に配設される。マスクは、フラッシュランプなどの光源に特に有用であり得る。たとえば、マスクは、光が少なくとも第2のコンポーネントレイアウト「B」上に投射するのを防ぎ、またこの場合、光が他のレイアウトのうちのどれかに投射されるのを妨げながら第1のコンポーネントレイアウト「A」上に投射する光を通すか、または反射する。マスクの代わりに、またはそれに加えて、光は、異なる方法でパターン化されるか、または他の何らかの形で局在化され得、たとえば、(レーザー)光の1つもしくは複数の比較的狭いビームまたは集束ビームが使用され得る。
【0026】
図2Aは、いくつかの実施形態による、第1の転写ステップを例示しており、第1のコンポーネント11rは、第1のドナー基材10rからターゲット基材20上の第1の陥凹部21r内に転写される。もちろん、また、同じ第1のコンポーネント11rの複数が第1のコンポーネントレイアウトAに応じて異なる配置に転写され得る。図示されている実施形態において、たとえば、コンポーネント12r、13rはターゲット基材20と接触し、したがって第1のドナー基材10r上に留まる。図示されている実施形態において、第1のドナー基材10r上の別のコンポーネント14rは、第2の陥凹部21g上に懸架されるが、光「L」によって照射されず、したがって、第1の転写ステップにおいて第2の陥凹部21g内に転写されない。同じことが、ここではコンポーネント17rについても言える。好ましくは、図示されているように、マスク31が光ビーム内に配設され、光が前記他のコンポーネント14rに到達するのを選択的に阻止する。
【0027】
図2Bは、いくつかの実施形態による、第2の転写ステップを例示しており、第2のコンポーネント11gは第2の陥凹部21g内に転写される。いくつかの実施形態において、第2のコンポーネント11gは、第2のドナー基材10gから転写される。たとえば、第2のドナー基材10gは、たとえば、異なるコンポーネントを備える、第1のドナー基材10rと異なる。図示されている実施形態において、第2のドナー基材10g上の別のコンポーネント17gは、第1の陥凹部21r内のすでに堆積されている第1のコンポーネント11r’の上に懸架される。好ましくは、必ずしもそうではないが、前記別のコンポーネント17gは、すでに堆積されている第1のコンポーネント11r’と接触しない。たとえば、第1の陥凹部21rは、すでに堆積されている第1のコンポーネント11r’の厚さより深い。これは、前記別のコンポーネント17gの意図しない転写を防ぐものとしてよい。さらに、図示されているように、第2の転写ステップにおいて、第2のドナー基材10g上のさらに別のコンポーネント14gは、第3の陥凹部21b上に懸架されるものとしてよいが、光「L」によって照射されず、したがって、第2の陥凹部21g内に転写されない。
【0028】
図2Cは、いくつかの実施形態による、第3の転写ステップを例示しており、第3のコンポーネント11bは、第3のドナー基材10bからターゲット基材20上の第3の陥凹部21b内に転写される。図示されている実施形態において、第3のドナー基材10b上の他のコンポーネント14b、17bは、それぞれの第1および第2の陥凹部内のすでに堆積されている第1および第2のコンポーネント11r’、11g’の上に懸架される。
【0029】
いくつかの実施形態(図示せず)において、ターゲット基材20は、たとえば、ピクセルが壊れているディスプレイ画面などの壊れているコンポーネントを有するデバイスを修理するために、追加のコンポーネントを堆積するために使用され得る冗長陥凹部を備える。本開示のいくつかの態様は、陥凹部21内のすでに堆積されているコンポーネント11、たとえば、本明細書または別のところで説明されているような方法に従ってすでに製造されているコンポーネントを使用してターゲット基材20を修理するための方法を提供し得る。たとえば、いくつかの実施形態において、ターゲット基材20は、すでに堆積されているコンポーネント11とともに陥凹部21に隣接する冗長な空の陥凹部を備える。したがって、修理方法は、たとえば、すでに堆積されているコンポーネント11のうちから壊れているコンポーネントを特定することと、本明細書で説明されているような方法を使用して壊れているコンポーネントに隣接する冗長陥凹部内に別のコンポーネントを追加することとを含み得る。冗長陥凹部を使用することの代わりに、基材は、壊れているコンポーネントを何らかの方法で取り出し、本明細書で説明されているような方法に従って壊れているコンポーネントを取り除いた陥凹部内への新しいコンポーネントの挿入を続けることによって修理されてもよい。
【0030】
修理のこれらまたは他の方法は、また、たとえば、1つまたは複数の初期転写ステップの後にターゲット基材上の壊れているコンポーネントの存在を検査および/または特定することによって製造プロセスの一部として組み込まれ得る。壊れているコンポーネントが検出され、および/または特定された場合、本明細書において説明されているような方法は、任意の壊れているコンポーネントを直すか、または補完してターゲット基材を修理するために使用することができる。たとえば、ディスプレイ画面を製造するための方法は、本明細書において説明されている方法に従ってコンポーネントが陥凹部内にあるターゲット基材を製造することを含むものとしてよく、コンポーネントはピクセルを形成する発光デバイスである。壊れているピクセルが見つかった場合、これらは、追加のコンポーネントを加えることによって説明されている通りに修理することができる。冗長陥凹部を使用することの代わりに、またはそれに加えて、壊れているコンポーネントは、また、それらのそれぞれの陥凹部から取り除かれ、本明細書において説明されているような方法によって交換され得る。
【0031】
図3Aは、いくつかの実施形態において見られるような様々なコンポーネントを通る熱伝達Hの原理の概略を例示している。すでに述べているように、接触するターゲット基材20は、コンポーネント12の第2のサブセットに対するヒートシンクとして働き得る。たとえば、光、たとえば、パルスによって発生する熱の大部分が、ターゲット基材20との接触を通じて放散するが、これは、たとえば、20%超、50%超、または80もしくは90%超ですらある。これは、光「L」の少なくとも一部がコンポーネント12の第2のサブセットに当たり、たとえば、コンポーネント12の第2のサブセットを直接加熱する場合に有用であり得る。代替的に、またはそれに加えて、これは光「L」の少なくとも一部がコンポーネント12の第2のサブセットの近くに当たり、たとえば、ドナー基材10を介してコンポーネント12の第2のサブセットを間接的に加熱する場合に有用であり得る。
【0032】
図示されている実施形態において、光「L」は、コンポーネント11の第1のサブセットが第1の温度T1に加熱され、コンポーネント12の第2のサブセットが第2の温度T2に加熱されることを引き起こす。本明細書で説明されている方策によって、第2の温度T2は第1の温度T1より低いこともあり得る。好ましくは、第1の温度T1は、コンポーネント11の第1のサブセットをドナー基材10から解放するための閾値より高い。いくつかの実施形態において、コンポーネント11の第1のサブセットを保持するドナー基材10の領域10aは、加熱によってバラバラになる。他の、またはさらなる実施形態において、ドナー基材10とコンポーネント11の第1のサブセットとの間の接着剤は、コンポーネント11の第1のサブセットを解放するように弱められる。たとえば、ドナー基材10とコンポーネント12の第2のサブセットとの間の接着剤は、コンポーネント12の第2のサブセットを解放するように十分に弱められない。代替的に、またはそれに加えて、接着剤は、コンポーネント12の第2のサブセットがドナー基材10に依然として接触している間に光「L」が消失し、接着強度が回復した後、冷やされ得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、ターゲット基材20が少なくとも接触界面のところで比較的高い熱伝導係数を有することが好ましい。たとえば、ターゲット基材20の熱伝導係数および/または熱容量は、ドナー基材10の熱伝導係数および/または熱容量と比較して比較的高く、たとえば、10%以上高く、たとえば、2倍多い。比較的低い熱伝導係数を有するドナー基材10を提供することでも、熱Hの側面伝導を下げ、および/またはコンポーネント11の加熱を円滑にするというさらなる利点をもたらし得る。
【0034】
図3Bは、ターゲット基材20が反射面20rを有する一実施形態の概略を例示する図である。そのような特徴は、本明細書で説明されている任意の実施形態と組み合わされてよく、堆積されたコンポーネント11’が発光デバイス、たとえば、LEDを備える場合に特に有用である。図示されているように、反射面20rは、そうしない場合に横に反射されるであろう光を前方に反射することによってLEDの知覚される輝度を改善し得る。図示されている実施形態において、陥凹部は、反射をさらに改善し得、またたとえばコンポーネントの堆積および位置合わせにおいて相乗効果的な利点をもたらし得る傾斜した縁を備える。いくつかの実施形態において層20rは表面の残り部分の上にも延在し得ることはさらに理解されるであろう。たとえば、反射層は、本明細書で説明されているような突出部と接触するコンポーネントに対して改善されたヒートシンクとしても働き得る金属コーティングを含み得る。
【0035】
図3Cは、コンポーネントの選択転写のための装置100の一実施形態の概略を例示している。
【0036】
図示されている実施形態において、装置100は、先に説明されているように複数のコンポーネント11、12が異なるサブセットに分割されるドナー基材10を備えるか、または提供/製造するように構成される。装置100は、また、先に説明されているように陥凹部21および突出部25を備えるターゲット基材20を具備するか、または提供/製造するように構成される。好ましくは、装置100は、ドナー基材10およびターゲット基材20を位置合わせするための基材ハンドラを備える。たとえば、図示されている実施形態において、基材ハンドラは、コンポーネント11の第1のサブセットがターゲット基材20と接触せずに対応する陥凹部21の上に懸架され、コンポーネント12の第2のサブセットがターゲット基材20の対応する突出部25と接触するように基材を寄せてくっつけるローラー43、44を備える。基材が位置合わせされている間、光源30は光「L」をドナー基材10上のコンポーネントレイアウトのうちの1つまたは複数上に投射する。図示されているように、これは、コンポーネント11の第1のサブセットを対応する陥凹部21にわたって、その中に転写することを引き起こすものとしてよく、その際にコンポーネント12の第2のサブセットはドナー基材10に付着したままである。実施形態は連続的な、たとえば、ロールツーロールの、プロセスを例示しているが、転写は離散的であってもよく、たとえば、シートツーシート、シートツーロール、またはロールツーシートであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、陥凹部形成デバイスが、ターゲット基材20内に陥凹部21を形成するように構成される。たとえば、エンボス加工ツール41、42がここに示されている。もちろん、他の手段、たとえば、レーザーも、陥凹部21を作製するために企図され得る。陥凹部21をターゲット基材20内に掘ることの代わりに、またはそれに加えて、たとえば、突出部25をターゲット基材20上に堆積し、陥凹部が堆積された突出部がない領域に形成されるようにすることも企図され得る。また組合せも企図され得る。基材ハンドラは、たとえば、位置合わせおよび/または転写プロセスの同期のための他のデバイスも備え得る。位置合わせは、また、たとえば、ドナー基材10上のコンポーネント11、12の第1のサブセットを形成するコンポーネント形成デバイス(図示せず)に関する陥凹部形成デバイスなどの様々な装置コンポーネントの相対的位置決めにおいて、本質的であり得る。
【0038】
図4Aは、一実施形態によるコンポーネント11、13を備えるドナー基材10の概略を例示している。
【0039】
図示されている実施形態において、ドナー基材10上の隣接するコンポーネント11、12は、コンポーネント間間隔Scだけ離間される。たとえば、コンポーネント間間隔Scは、10マイクロメートル未満、好ましくは5マイクロメートル未満、またはそれ以下、たとえば、1マイクロメートルから3マイクロメートルの間である。有利には、コンポーネント同士の間のコンポーネント間間隔Scが小さければ小さいほど、ドナー基材10または前駆体基材、たとえば、成長基材の表面の有効利用は高まり得る。
【0040】
図示されている実施形態において、コンポーネント11、12は、コンポーネント直径Wc(ドナー基材10の表面に沿った)を有する。たとえば、コンポーネント直径Wcは、100マイクロメートル未満、好ましくは50マイクロメートル未満、または5マイクロメートル未満ですらあり、たとえば、0.1から100μmの間である。有利には、コンポーネントが小さければ小さいほど、コンポーネントは表面によりぴったり合い、したがって表面はコンポーネント転写のためのソースとしてより効率的に使用できる。
【0041】
図示されている実施形態において、コンポーネント11、12は、コンポーネント厚さHc(ドナー基材10の表面を横断する)を有する。たとえば、コンポーネント厚さHcは、10マイクロメートル未満、好ましくは5マイクロメートル未満、または3マイクロメートル未満ですらあり、たとえば、0.1から10μmの間である。有利には、コンポーネントが薄ければ薄いほど、それらの製造に必要な材料は少なくて済み、したがってより安価に生産することが可能になり得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、図示されているように、好ましくは、コンポーネント直径Wcはコンポーネント厚さHcより、たとえば、少なくとも2倍、3倍、5倍、またはそれ以上の倍数だけ大きいことがあり得る。有利には、それらの厚さに比較して比較的大きい直径を有するコンポーネントは、本明細書で説明されているように、転写により適しているものとしてよく、たとえば、光によって速く加熱され、空気中で転写しながら回転する傾向が減らされる。
【0043】
図4Bは、コンポーネント11が陥凹部21内に配設されているターゲット基材20の一実施形態の概略を例示している。
【0044】
図示されている実施形態において、陥凹部21の底部は、コンポーネント直径Wcに少なくとも等しい底部直径Wbを有する。そうでなければ、コンポーネントを陥凹部に嵌合することは困難である場合がある。好ましくは、陥凹部21の底部は、コンポーネント直径Wcの1.3倍未満、好ましくは1.2倍未満、より好ましくは1.1倍未満、たとえば、コンポーネント直径Wcの1.00倍から1.05倍の間である底部直径Wbを有する。有利には、コンポーネント直径Wcと底部直径Wbとの間の嵌合がきつければきついほど、定められるターゲット位置の正確さは高められ得る。
【0045】
図示されている実施形態において、陥凹部21の頂部は、底部直径Wbに少なくとも等しく、好ましくは少なくとも1.1倍大きく、より好ましくは少なくとも1.2倍大きい頂部直径Wtを有し、たとえば、頂部直径Wtは底部直径Wbの1.2から1.5倍の間である。有利には、底部直径と比較して比較的広い頂部直径を有する陥凹部を設けることによって、コンポーネントを陥凹部内に転写することがより容易になり得る。他のまたはさらなる実施形態において、図示されているように、陥凹部21の外縁は、ターゲット基材20および/または底部の表面法線に関して角度θで傾斜している。たとえば、角度θは、10度より大きく、好ましくは20度より大きく、または30度より大きく、たとえば、40度から70度の間である。有利には、傾斜した外縁は、ドナー基材上のコンポーネントレイアウトが陥凹部に関して位置合わせがわずかにずれている場合でも、コンポーネントを陥凹部内に誘導することを助け得る。いくつかの実施形態において、傾斜した縁は、陥凹部内のコンポーネントによって放射される光を反射することなどのさらなる機能を提供し得る。
【0046】
好ましくは、陥凹部は、コンポーネント厚さHcの少なくとも1/2に等しく、好ましくはより深い深さHrを有する。十分な陥凹部深さを設けることによって、ターゲット基材は、効果的なコンポーネント転写に対して十分に取り除かれ得る。いくつかの実施形態において、図示されているように、陥凹部は、コンポーネント厚さHcに少なくとも等しく、好ましくはたとえば少なくとも1.01倍以上深い深さHrを有し、たとえば、陥凹部深さHrはコンポーネント厚さの1.1から1.5倍である。陥凹部の深さをコンポーネント厚さより大きくすることによって、コンポーネントは、様々な理由から、たとえば、その後の転写ステップにおいて、または電極をターゲット基材の頂面と同一の平面にあるコンポーネントの頂部に接続するために有益であり得るターゲット基材の表面の下に完全に入るものとしてよい。
【0047】
図4Cは、異なるコンポーネント11r、11g、11bがたとえば図2A図2Cを参照しつつ説明されているように製造されたターゲット基材20の一実施形態の概略を例示している。
【0048】
いくつかの実施形態において、たとえば図示されているように、ターゲット基材20上のコンポーネントの周期的距離またはピッチPtは、ドナー基材10上のコンポーネントの周期的距離またはピッチPdより、たとえば少なくとも2倍、3倍、5倍、またはそれ以上大きい。たとえば、ドナー基材10上のコンポーネントのピッチPdは10マイクロメートルであるが、ターゲット基材20上のコンポーネントのピッチPtは20マイクロメートル超、たとえば、最大100マイクロメートル、またはそれ以上である。
【0049】
いくつかの実施形態において、コンポーネント11は発光デバイス、たとえば、μLEDを含む。他の、またはさらなる実施形態において、コンポーネントはグループ化される。たとえば、各グループは、異なる色、たとえば、赤色、緑色、および青色を放射するように構成されている発光デバイスを備える。図示されている実施形態において、コンポーネント11r、11g、11bのグループは、ここではpix1およびpix2として示されるピクセルを形成する。たとえば、ターゲット基材20は、ディスプレイ画面、たとえば、モノクロまたはカラーディスプレイの一部である。図示されている実施形態において、コンポーネントのグループ、たとえばピクセルは、コンポーネント間間隔Scより大きいピクセル間間隔Spで離間されるが、これは必ずというわけではない。典型的には、ピクセルは、40から400マイクロメートルの間、またはそれ以上のピッチPpを有する。たとえば、70ピクセルパーインチ(PPI)の解像度は、25400/70=363μmのピッチに対応し得る。たとえば、600PPIの解像度は、42μmのピッチに対応し得る。したがって、600PPIの解像度について、グループ化されたコンポーネントのピッチPtは、なおいっそう小さく、たとえば、コンポーネント当たりマイクロメートルで42μm/3コンポーネント=14μm以下であるものとしてよい。もちろん、他の解像度も可能である。
【0050】
分かりやすくするため、および簡潔に説明するために、特徴は、同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書において説明されているが、本発明の範囲は、説明されている特徴の全部または一部の組合せを有する実施形態を含み得ることは理解されるであろう。たとえば、実施形態は、一列のコンポーネントを含む断面図で示されたが、もちろん、基材およびレイアウトは2次元であり、たとえば、様々なレイアウトの追加の列のコンポーネントを含むものとしてよい。また、類似の機能および結果を得るために本開示の利点を有する代替的方法も、当業者によって企図され得る。たとえば、異なるレイアウトの特徴は組み合わされるか、または1つもしくは複数の代替的実施形態に分割されてよい。
【0051】
本明細書において説明されているような接触/非接触ハイブリッドアプローチはターゲットコンポーネントに対する利点を有するものとしてよく、たとえば、キャビティの設計がコンポーネントの寸法に適合されている場合、高い配置精度を確実にする機械的セルフアライメントが提供される。これは、任意選択で、キャビティ内のリフローセルフアライメントを通じてさらに強化され得る。非ターゲットコンポーネントでは、転写プロセスにおいて、非ターゲットコンポーネントは受け入れ基材と接触したままであり、一方で、望ましくない/意図しない転写に対する機械的ストッパーを形成する。その一方で、コンポーネントと受け入れ基材との物理的接触は、選択転写に対する追加のアプローチを使用可能にする。いくつかの転写方法において光をターゲットコンポーネントにのみ向けるパターン化された光源を使用し得るが、コンポーネントの物理的接触は、非ターゲット配置においてヒートシンクを形成することができ、これにより、非パターン化光源を用いても選択的コンポーネント転写が可能になる。また、基材と接触している非ターゲットコンポーネントは、ターゲットコンポーネントに対する明確に定められている孤立した高さを確実にするものとしてよい。
【0052】
こうして説明され図示されているような実施形態の様々な要素は、様々な利点を提供し、これは、ターゲット基材が非転写コンポーネントと接触する部分が、物理的阻止およびヒートシンク機能によってその転写を妨げ得る利点であって、第2の繰り返しにおいて(たとえば、異なるLEDを使用する)、すでに配置されているコンポーネントは新しいコンポーネントを妨害しない、利点と、陥凹部が配置されたコンポーネントの位置合わせおよび締付をもたらすことができるという利点と、陥凹部の傾斜した縁が配置をさらに助けることが可能であり、またたとえばLEDに対する反射面を形成し得るという利点とを含む。もちろん、上記の実施形態またはプロセスの任意の1つが1つもしくは複数の他の実施形態またはプロセスと組み合わされ、設計および利点を見つけ、マッチングさせる作業のなおいっそうの改善をもたらし得ることは理解されるべきである。本開示は、微視的大きさのLEDを特に使用してディスプレイを製造し修理することに対して特に利点があることを提示し、一般に、コンポーネントが光によって選択的に転写される任意の用途に対して応用することができることは理解される。
【0053】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に、「含んでいる/備えている(comprising)」という単語は、所与の請求項にリストされているもの以外の要素または活動の存在を除外しないこと、要素の前に付いている「ある/1つの(a)」または「ある/1つの(an)」という単語は、複数のそのような要素の存在を除外しないこと、請求項内の任意の参照記号は、その範囲を制限しないこと、いくつかの「手段(means)」は、同じまたは異なる項目または実装された構造もしくは機能によって表現され得ること、これらの開示されているデバイスまたはその一部のうちのどれも、特に別段の断りのない限り、一緒に組み合わされるか、またはさらなる部分に分離され得ることは理解されるべきである。1つの請求項が別の請求項を参照している場合、これはそれらのそれぞれの特徴の組合せによって達成される相乗利点を示し得る。しかし、特定の方策が、相互に異なる請求項において引用されているという単なる事実は、これらの方策の組合せも有利に使用され得ないことを示すものではない。したがって、本実施形態は、請求項のすべての使用できる組合せを含むものとしてよく、各請求項は、原則として、文脈上明確に除外されない限り、先行する任意の請求項を参照する。
【符号の説明】
【0054】
10 ドナー基材
10a 領域
10r 第1のドナー基材
10g 第2のドナー基材
10b 第3のドナー基材
11、12、13 コンポーネント
11’ コンポーネント
11r 第1のコンポーネント
11g 第2のコンポーネント
11b 第3のコンポーネント
11g’ 第2のコンポーネント
11r’ 第1のコンポーネント
12r、13r コンポーネント
14b、17b コンポーネント
14r コンポーネント
14g コンポーネント
17g コンポーネント
17r コンポーネント
20 ターゲット基材
20r 反射面、層
21 陥凹部
21b 第3の陥凹部
21g 第2の陥凹部
21r 第1の陥凹部
25 突出部
30 光源
31 マスク
41、42 エンボス加工ツール
43、44 ローラー、基材ハンドラ
100 装置
A 第1のコンポーネントレイアウト
A’ 相対的位置
B’ 相対的位置
B 第2のコンポーネントレイアウト
C 第3のコンポーネントレイアウト
D~G レイアウト
H 熱伝達、熱
Hc コンポーネント厚さ
Hr 深さ
L 光
Pd ピッチ
pix1、pix2 ピクセル
Pp ピッチ
Pt ピッチ
Sc コンポーネント間間隔
Sp ピクセル間間隔
T1 第1の温度
T2 第2の温度
Wb 底部直径
Wc コンポーネント直径
Wt 頂部直径
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C