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  • 特許-眼鏡を備えた聴覚保護具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】眼鏡を備えた聴覚保護具
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
H04R1/10 101A
H04R1/10 101B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020553603
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019057725
(87)【国際公開番号】W WO2019192906
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】102018107957.5
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513096082
【氏名又は名称】ファンナー・シュッツベクライドゥング・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Pfanner Schutzbekleidung GmbH
【住所又は居所原語表記】Herrschaftswiesen 11 6842 Koblach Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファンナー、アントン
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】渡辺 努
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-118401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/47322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡を備えた聴覚保護具であって、
前記聴覚保護具は、少なくとも1つの耳保護具および1つのヘッドバンドを有し、
前記眼鏡は、前記聴覚保護具に前記眼鏡を固定するための2つのテンプルを有し、
前記ヘッドバンドが少なくとも1つの枢動軸を有し、前記枢動軸に少なくとも1つの前記耳保護具が枢動可能に取り付けられ、かつ、少なくとも1つの前記枢動軸がその両端部に受容部を有し、前記テンプルが両受容部に嵌合する突部を有する嵌合部材によって、少なくとも1つの前記枢動軸に取り付けられていることを特徴とする、聴覚保護具。
【請求項2】
前記テンプルの少なくとも1つが少なくとも2つの部分に分かれていることにより、ヘッドバンド部がテンプル前部に多関節的に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の聴覚保護具。
【請求項3】
前記テンプルの少なくとも1つが少なくとも3つの部分からなり、ヘッドバンド部が中間部に連結し、テンプル前部が前記中間部に変位可能に支持されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の聴覚保護具。
【請求項4】
テンプル前部が、中間部に少なくとも2つの係止位置を取ることができることを特徴とする、請求項1に記載の聴覚保護具。
【請求項5】
少なくとも1つの前記耳保護具が、フォーク状に分岐したサポートブラケットによって少なくとも1つの前記枢動軸に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の聴覚保護具。
【請求項6】
前記耳保護具が2つの突部を介して前記サポートブラケットに取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載の聴覚保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡を備えた聴覚保護具に関し、少なくとも1つの耳保護具およびヘッドバンドを備える聴覚保護具、ならびに眼鏡を聴覚保護具に固定するための2つのテンプルを有する眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
このような聴覚保護具は、特に人の聴覚や目や顔を保護する環境下で使用される。このようにして、例えば、林業従事者、建設現場、その他の聴覚や目に危険を及ぼす可能性のある職業において、安全性が向上することが保証されている。同様に、色付きのメガネが防眩具として使用されている。
【0003】
ここでは、「聴覚保護具」という用語を使用しているが、これは広く一般的な意味で理解されるべきである。また、通信を目的とした装置や、音楽を聴くためだけでなく、他の通信を知覚するための装置のことも指す。また、イヤフォンとヘッドバンドを備えた従来のヘッドフォンも、本開示では、「聴覚保護具」を意味する。「聴覚保護具」と「ヘッドフォン」の一般的な組み合わせは、現代の聴覚保護装置が通信手段を備えていることが多いという点で明らかになっている。言い換えれば、聴覚保護具は、しばしば拡声器と、場合によってはマイクインターフェースとを含み、これにより、関係者同士の通信が可能となる。
【0004】
一般的な聴覚保護具は、米国特許第4,802,243号明細書で知られている。聴覚保護具のヘッドバンドには、サポートブラケットが取り付けられている。これは聴覚保護をサポートしている。また、眼鏡もサポートブラケットに枢動可能に取り付けられており、比較的複雑な構造になっている。
【0005】
本発明は、可能な限り簡単な設計の提供により、聴覚保護具をさらに発展させることを目的とする。さらに、聴覚保護具を可変的に備えられることが達成されるべきである。この目的は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、テンプルをヘッドバンドに装着して眼鏡を装着する点において、一般的な聴覚保護具をベースとしている。眼鏡を聴覚保護具のヘッドバンドに取り付けることは、特に簡単な構造的解決策の基礎となる。眼鏡の聴覚保護具への取り付け箇所は、ヘッドバンドに接続可能な耳保護具から十分に離れていることが好ましく、これによって眼鏡と耳保護具が独立して動くことができ、特に、その動きにおいて互いに干渉しなくなる。聴覚保護具に眼鏡を取り付けるオプションを提供する耳保護具用のサポートブラケットである必要はない。むしろ、聴覚保護具には様々なサポートブラケットを設けることができる。なぜなら、眼鏡と聴覚保護具との間のインターフェースは、聴覚保護具の構造的基本要素、すなわちヘッドバンドに割り当てられるからである。したがって、最終的に本発明の基本的思想を具現化するのは、ヘッドバンドおよび眼鏡の構造設計である。これを出発点として、聴覚保護具は、高い構造的変動性を有する。上述した異なるタイプの聴覚保護具、すなわち、通信手段なしの、もしくは通信手段を含む、または単なるヘッドフォンとしてのものにも加えて、様々な眼鏡が使用される場合があることに留意すべきである。眼鏡は、例えば、もっぱら機械的な保護機能を有していてもよく、後方の良好な換気を可能にするために開放された端部を有していてもよい。また、例えば、化学物質などの有害な物質が端から侵入するのを防ぐために端部が閉じられてもよい。眼鏡は防眩のために提供されてもよい。眼鏡はまた、視覚的な補助具であってもよく、すなわち、いわゆる光学レンズを備えていてもよい。また、メガネはバイザーと呼ばれるようなデザインにすることも可能である。これは、フルバイザーであってもよいし、ハーフバイザーであってもよい。一対の眼鏡の上述したすべての特徴は、部分的にまたは全てを組み合わせることができる。
【0007】
ヘッドバンドが、少なくとも1つの耳保護具が枢動する少なくとも1つの枢動軸を有し、テンプルが少なくとも1つの枢動軸に取り付けられていることが有用である。耳保護具のために提供される枢動軸は、聴覚保護具を快適に装着することを保証するのに役立ち、それは聴覚保護具を着用者の耳に可変的に、したがって安全な装着を提供する。この実施形態によれば、枢動軸は二重の機能を果たす。それは、耳保護具を固定するためだけでなく、眼鏡を固定するためにも意図されている。このようにして、特にシンプルで合理的な設計が提供される。
【0008】
さらに、少なくとも1つの枢動軸がその端部に受容部を有し、テンプルが、受容部に嵌合する嵌合部材によって少なくとも1つの枢動軸に取り付けられている形態が特に有利である。眼鏡に設けられた嵌合部材は、枢動軸の受け部に嵌合するため、このようにしてヘッドバンド上での眼鏡の確実な支持が保証される。嵌合部材は、テンプルのブラケット状の端部に配置され、ブラケット状の端部は、ヘッドバンドを確実におよび/または摩擦的に把持する。ここで、嵌合部材が突部であると有利である。
【0009】
本発明は、少なくとも1つのテンプルが、少なくとも2つの部分からなり、ヘッドバンド部がテンプル前部に係合している点で、特に有用な方法でさらに発展する。テンプルが複数に分かれているため、眼鏡はヘッドバンドに固定されたままとなる。同時に、眼鏡は、例えば、着用者の視野の外、例えば上向きに枢動するように移動可能である。これに関連して、テンプルの相互に連結された部分の寸法は、眼鏡が自重によって再び落下することなく上方の位置に留まることができるように選択されている。また、テンプルの多関節設計により、顔の形が異なる場合でも安定して安全に眼鏡をかけることができるため、眼鏡のフィット感が向上する。
【0010】
少なくとも1つのテンプルが少なくとも3つの部分から構成されており、ヘッドバンド部分が中間部にヒンジ結合され、テンプル前部が中間部にスライド可能に取り付けられるようになっていることが特に有用である。つまり、眼鏡はヘッドバンドに枢動可能に取り付けられるだけでなく、テンプルの長さを調整することも可能である。このようにして、例えば、作業条件の異なる様々な設定の中から選択するように、眼鏡のフィット感を変化させることができる。さらに、このようにして、聴覚保護具をどのような着用者にも確実にフィットさせることができる。また、関節は、テンプル前部と中間部との間であってもよく、一方スライド部分は、ヘッドバンド部と中間部との間に位置する。
【0011】
これに関連して、ブラケットの前部が中間部の少なくとも2つの係止位置を想定できることが有利である。係止された位置にあるため、テンプルの長さが意図せず変化することがない。
【0012】
さらに、本発明による聴覚保護具は、少なくとも1つの耳保護具が、フォーク状に分岐したサポートブラケットを介して少なくとも1つの枢動軸に取り付けられるように設計されてもよい。上述の分岐したサポートブラケットは、前記眼鏡が固定される枢動軸を介して前記ヘッドバンドに枢動可能に連結されている。実際の耳保護具は、支持ブラケットに容易に取り付けることができる。
【0013】
これに関連して、耳保護具が2つの突部を介してサポートブラケットに取り付けられていると特に有用である。サポートブラケットに突部を介して耳保護具を配置することで、サポートブラケット内で耳保護具を旋回させることができる。
【0014】
本発明は、さらに、本発明に従った聴覚保護具と共に使用するための眼鏡に関する。
【0015】
本発明はさらに、本発明による聴覚保護具と共に使用するためのヘッドバンドに関する。
【0016】
ここで、本発明を特に好ましい設計に基づいて、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による聴覚保護具の正面図を示す。
図2】本発明による聴覚保護具の斜視側面図を示す。
図3】眼鏡が片側でヘッドバンドから取り外されている、本発明による聴覚保護具の斜視側面図を示す。
図4】テンプルをヘッドバンドに取り付けることができる留め具の配置の詳細を示す。
図5】テンプルを取り付けることができる留め具の配置の詳細を示す。
図6】本発明の聴覚保護具の詳細を示す図であり、3分割構造のテンプルを識別可能にしている。
図7】聴覚保護具を装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の図面の説明では、同じ参照番号は、同一または同等の構成要素を示す。
【0019】
図1は、本発明による聴覚保護具10の正面図である。聴覚保護具10は、ヘッドバンド18を含む。ヘッドバンド18には、ヒンジによりサポートブラケット38が設けられている。多関節性を提供する枢動軸24は、実質的に図1の観察者の視野方向に延びている。サポートブラケット38には、耳保護具14,16が係合して取り付けられている。関節は、突部40と、耳保護具14,16上の対応する受容部によって提供される。突部も受容部も、サポートブラケット38または耳保護具14,16によって覆われているため、図からは認識することができない。
【0020】
第1の耳保護具14は、通信手段を備えた耳保護具であって、スピーカーが内蔵されており、マイク42が接続されている。通信手段は、例えばブルートゥース(登録商標)インターフェースなどの無線通信インターフェースを介して動作してもよい。第2の耳保護具16は、受動的な耳保護具、すなわち、耳を保護する役割を果たすのみであり、通信手段を含まない。また、第1の耳保護具14と同様に、第2の耳保護具16にも通信手段を設けることが可能である。別の変形例では、一方の耳保護具、例えば第1の耳保護具14は、上述のような通信手段を備え、他方の耳保護具、例えば、第2の耳保護具16は、デジタルラジオ機能によって音楽を聴くことが可能となっていてもよい。これは、必ずしも耳保護具16に内蔵されている必要はないが、携帯電話、特にスマートフォンのデジタル無線機能を利用するために設けられていてもよく、受信用の装置、場合によっては送信用の装置、および音を再生するための装置が耳保護具16に設けられていれば十分である。ヘッドバンド18には、さらに、眼鏡12が取り付けられている。この眼鏡12は、他の構成要素とは別に、透明なガラス44と、それに取り付けられたテンプル20,22とを含む。テンプル20,22の端部には、ブラケット状のリテーナ46,48が設けられている。これらのリテーナ46,48は、ヘッドバンド18を部分的に把持する。
【0021】
図2は、本発明に従った聴覚保護具10の透視側面図である。ここでは、テンプル20,22の複数ピースのデザインを見ることができる。各テンプル20,22はヘッドバンド部32を含み、テンプル20,22をヘッドバンド18に連結するリテーナ46,48は、各ヘッドバンド部32の端部に設けられている。各ヘッドバンド部32は、それぞれ1つの係合軸50を介して中間部36に連結されている。これらの係合軸50により、眼鏡12を上方、すなわちヘッドバンド18に向かう方向に枢動させることが可能になる。中間部36は、テンプル前部34をスライド可能に収容する。中間位置は図示されている。テンプル前部34は、中間部36からさらに引き出されてもよいし、中間部36内にさらに押し込まれてもよい。このようにして、テンプル20,22の全体としての長さが変更される。図2はまた、サポートブラケット38がヘッドバンド18に連結する枢動軸24が、テンプル20,22のリテーナ46,48に対して相対的にどこに位置するかをある程度詳細に示している。具体的には、枢動軸24は、リテーナ46,48のブラケット状の延長部を連結している。耳保護具14の外側には、通信を制御するための制御部52が設けられている。
【0022】
図3は、本発明に従った聴覚保護具10の透視側面図であり、眼鏡12は、片側がヘッドバンド18から取り外されている。リテーナ48がアタッチメントから取り外されたので、サポートブラケット38がヘッドバンド18に連結されていることを介して、枢動軸24をより明確に見ることができる。このような枢動軸24は、サポートブラケット38と同様にヘッドバンド18の一端をそれぞれ貫通するピン54を含む。各ピン54の端部には、受容部26(図5参照)が設けられている。リテーナ46,48がこの領域でヘッドバンド18を把持すると、突部28,30(図4参照)が受容部24によって取り込まれて、リテーナ46,48がヘッドバンド18に確実に保持されるようになる。
【0023】
図4は、テンプル20,22をヘッドバンド18に取り付けることができる留め具の配置の詳細を示す図である。テンプル20のブラケット状の端部として形成されたリテーナ46は、観察者の観察方向後方側に配置された中央部と、観察者の観察方向に対向する2つの端部とから構成されている。端部には、図4の紙面内に実質的に延びる突部28,30が配置されている。これらの突部28,30は、受容部26(図5参照)に保持されている。
【0024】
図5は、テンプル20,22を取り付けることが可能な締結配置の詳細を示す図である。ここで、枢動軸24として機能するピン54は、その端部に見ることができ、2つの同心円で図示されている。内側の円は、突部28,30(図4参照)のうちのいずれか一方の突部用受容部26の外周を示す。
【0025】
図6は、聴覚保護具10の詳細を示す図であり、3分割構造のテンプル20,22を視認することができる。この点において、リテーナ48を有するヘッドバンド部32と、中間部36と、テンプル前部34とを含む。中間部36は、中間部36におけるテンプル前部34の係止位置を示す3つのマークを有する。
【0026】
図7は、聴覚保護具10を装着した状態を示す図である。
【0027】
上記の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別にまたは任意の組み合わせで本発明を実現するために必須のものであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 :聴覚保護具
12 :眼鏡
14,16 :耳保護具
18 :ヘッドバンド
20,22 :テンプル
24 :枢動軸
26 :受容部
28,30,40 :突部
32 :ヘッドバンド部
34 :テンプル前部
36 :中間部
38 :サポートブラケット
42 :マイク
44 :ガラス
46,48 :リテーナ
50 :係合軸
52 :制御部
54 :ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7