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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】流体移送組立体
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/22 20060101AFI20230417BHJP
   A61M 39/18 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F16L33/22
A61M39/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020560861
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2018014947
(87)【国際公開番号】W WO2019147223
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】520170265
【氏名又は名称】ザルトリウス ステディム ノース アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ズムブラム マイケル エイ
(72)【発明者】
【氏名】パーデュー ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス マルク
(72)【発明者】
【氏名】ノイハウス ヤン
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-060715(JP,A)
【文献】特表2007-508103(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02677223(EP,A1)
【文献】米国特許第04498691(US,A)
【文献】特開平06-313059(JP,A)
【文献】特開2014-095461(JP,A)
【文献】特開2005-198858(JP,A)
【文献】特開2011-000132(JP,A)
【文献】実開昭61-200984(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0314719(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138518(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/305577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/22
A61M 39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する管腔と、前記開口に近接して前記管腔の周囲に延びる少なくとも1つの鉤状部とを有する取付具と、
可撓性導管と、
カラーであって、
内面を有する変形可能なスリーブと、
前記スリーブの前記内面に接着されたエラストマーライナであって、前記カラーが前記導管の上に配置されたときに前記スリーブと前記導管と間に位する、前記エラストマーライナと、
を備える前記カラーと、
を備える流体移送組立体であって、
前記取付具は、前記導管が前記少なくとも1つの鉤状部の上に延びるように、少なくとも部分的に前記導管の中に延び、
前記エラストマーライナは、前記導管が前記取付具の前記少なくとも1つの鉤状部の周りでシール状態で押し付けられるように、前記導管に対して実質的に360度の半径方向圧力を加え、
前記流体移送組立体は、前記導管の破裂圧力に至るまで、流体密封の状態にされる、
体移送組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの鉤状部は、最大直径部から挿入端に向かうテーパー面を備え、
前記エラストマーライナは、前記導管が前記テーパー面上に押し付けられるのを維持して、前記少なくとも1つの鉤状部と前記導管の内面との間のシールを形成する、請求項1に記載の流体移送組立体。
【請求項3】
前記取付具は、前記取付具上の外側表面むらをもたらす前記取付具の軸線に沿った分割線を有し、
前記エラストマーライナによって加えられた圧力は、前記取付具の外側表面むらの周りで前記導管に適合して漏れを最小にする、請求項2に記載の流体移送組立体。
【請求項4】
前記エラストマーライナと前記スリーブとの間に配置された接着剤層をさらに備える、請求項1に記載の流体移送組立体。
【請求項5】
前記エラストマーライナは、-100℃で弾性を維持するようになっているシリコーンを含む、請求項1に記載の流体移送組立体。
【請求項6】
前記エラストマーライナは、PMVQシリコーンを含む、請求項5に記載の流体移送組立体。
【請求項7】
前記導管は、エチレン酢酸ビニルを含む単一壁を有する、請求項1に記載の流体移送組立体。
【請求項8】
前記スリーブは、油圧式締め付け機を用いて変形可能である剛性ステンレス鋼を含み、使い捨て構成要素として前記導管の周りに永久的に位置付けられる、請求項1に記載の流体移送組立体。
【請求項9】
体移送取付具に対して可撓性導管をシールする方法であって、
少なくとも1つの鉤状部を含む前記流体移送取付具の一部を前記可撓性導管の端部に挿入する段階と、
前記可撓性導管が前記流体移送取付具と重なる部分の周りにカラーを位置付ける段階であって前記カラーは、内部エラストマーライナを取り囲み前記エラストマーライナに接着された金属スリーブを備える、前記カラーを位置付ける段階と、
前記可撓性導管及び前記流体移送取付具の周りで、前記可撓性導管の内面が前記取付具の外側表面むらに適合するように前記カラーを締め付ける段階と、
を含み、
記可撓性導管及び前記流体移送取付具の周りで前記カラーを締め付ける段階は、前記可撓性導管の前記内面を前記取付具に対して押し付けてその間にシールを形成することを含む、方法。
【請求項10】
前記カラー、前記可撓性導管、及び前記流体移送取付具を殺菌する段階をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記カラーを位置付ける段階の前に、前記内部エラストマーライナを前記金属スリーブの内面に接着する段階をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記カラーを位置付ける段階は、前記少なくとも1つの鉤状部を前記内部エラストマーライナの少なくとも一部で取り囲む段階をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記カラーを位置付ける段階は、実質的に前記可撓性導管と前記流体移送取付具との間の重なり長さ全体を取り囲む段階をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの鉤状部は、最大直径部から挿入端に向かうテーパー面を備え、
前記可撓性導管及び前記流体移送取付具の周りで前記カラーを締め付ける段階は、前記可撓性導管の前記内面を前記テーパー面に対して押し付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記カラーを締め付ける段階は、前記カラーが使い捨て構成要素であるように、前記金属スリーブを永久変形させることを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体移送取付具及び組立体、例えば、供給源から目的地への流体流れを容易にするのに適した無菌流体移送組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ医薬品及び調合剤の開発者及び製造者は、製品を流体形態で開発及び製造することが多い。これらの製品は、慎重に処理して無菌環境を維持しかつ汚染を防止する必要がある。バイオ医薬品会社及び製薬会社で開発されて生産される薬剤は、1又は2以上のステップの間での流体移送を必要とする可能性がある多数のステップを通して生産される場合が多い。加えて、試料は、限定されるものではないが、細胞の存在、密度及び特性決定、流体化学、pH、及び無菌状態を含む特性を監視するために、製造プロセス全体にわたって各バッチから取り出される場合が多い。
【0003】
バイオ医薬品会社及び製薬会社が必要とする製造及び試験プロセスは、流体移送の著しい機会を与える。供給源から出て目的地に到着するために別個の容器、導管、又は構成要素に依存する流体移送のそれぞれの発生は、漏れ又は汚染の機会を作る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、流体移送の間に無菌環境を維持して汚染を防止する改善された流体移送組立体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの実施形態は、開口を有する管腔と、開口に近接して管腔の周囲に延びる少なくとも1つの鉤状部とを有する取付具を含む流体移送組立体を備える。また、組立体は、可撓性導管と、変形可能なスリーブと、スリーブと導管との間に配置されたエラストマーライナとを備える。取付具は、導管が少なくとも1つの鉤状部の上に延びるように、少なくとも部分的に導管の中に延びる。エラストマーライナは、導管が取付具の少なくとも1つの鉤状部の周りでシール状態で押し付けられるように、導管に対して実質的に360度の半径方向圧力を加える。組立体は、導管の破裂圧力に至るまで、流体密封の状態にされる。
【0006】
本開示の他の実施形態は、少なくとも1つの鉤状部及び表面むらを有する流体移送取付具に対して可撓性導管をシールするためのカラーを含む。カラーは、可撓性導管と取付具との間の重なり位置の周りに永久変形可能に締め付けられるように構成された金属スリーブと、スリーブの内面に取り付けられたエラストマーライナとを備える。
【0007】
本開示の他の実施形態は、流体移送取付具に対して可撓性導管をシールする方法を含む。本方法は、少なくとも1つの鉤状部を含む流体移送取付具の一部を可撓性導管の端部に挿入する段階を含む。本方法は、可撓性導管が流体移送取付具と重なる部分の周りに、金属スリーブ及び内部エラストマーライナを備えるカラーを位置付ける段階を含む。また、本方法は、可撓性導管及び流体移送取付具の周りで、可撓性導管の内面が取付具の何らかの外側表面むらに適合するようにカラーを締め付ける段階を含む。カラーを可撓性導管及び流体移送取付具に締め付ける段階は、可撓性導管の内面を取付具に対して押し付けてその間にシールを形成することを含む。
【0008】
上記及び他の態様は、当業者には図面を参照して好ましい実施形態の以下の説明を読むことで明らかになるはずである。上記の概要及び下記の詳細な説明は、例示的であり特許請求の範囲に記載された本発明を制限しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態で使用するのに適した従来型の取付具を示す。
図2】本開示の実施形態によるカラーを示す。
図3】本開示の実施形態による流体移送組立体を示す。
図4】カラーが締め付けられる前の図3の流体移送組立体の縦方向断面図を示す。
図5】カラーが締め付けられた後の図3の流体移送組立体の縦方向断面図を示す。
図6図5の流体移送組立体の横方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本開示の例示的な実施形態が記載されかつ添付図面に示されており、複数の図面にわたって同じ参照番号は同じ部品を指している。記載された実施形態は、実施例を提示し、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。当業者であれば他の実施形態、記載された実施形態の変形例及び改善例を想定できるはずであり、全てのそのような他の実施形態、変形例及び改善例は、本発明の範囲内にある。1つの実施形態からの特徴部、又は態様は、何らかの他の実施形態からの特徴部又は態様と何らかの適切な組み合わせで組み合わせることができる。例えば、方法の態様又は実施形態の何らかの個別の又は集合的な特徴部は、装置、製品、又は構成要素の態様又は実施形態に適用することができ、その逆も同様である。
【0011】
図1は、取付具10を示す。図示の取付具10は、L型曲がり管の取付具であるが、通過する流体流を分配又は混合する直線的構成又は取付具に適用することもできる。管腔14は、取付具10の第1の開口18から第2の開口22まで延びることができる。図示の実施例において、鉤状部26は、開口18、22の各々に近接して設けられている。他の実施形態において、鉤状部26は、管腔14の一端だけに隣接して用いられる。一部の実施形態において、2以上の鉤状部26は、開口18、22の1又は2以上に隣接して形成することができる。鉤状部26は、管腔14の周囲に延びることができる。鉤状部26は、鉤状部の最大直径部34から挿入端38へのテーパー面30を備えることができる。図示の実施形態において、挿入端38は、第1の開口18に対応する。随意的に、取付具10は、挿入端38の対応する導管の中への挿入を制限するための肩部42を含むことができる。実質的に円筒形とすることができる軸部46は、取付具10の鉤状部26と肩部42との間の部分として定めることができる。
【0012】
取付具10は、成型、鋳造、付加製造、又は他の公知のプロセスによって形成することができる。取付具は、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びガラス充填熱可塑性プラスチックなどの熱可塑性プラスチックから作ることができる。また、取付具は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン及びノボラックの共重合体などの熱硬化性樹脂から作ることができる。他の適切な材料としては、シアン酸エステル、ポリウレタン、及びウレタンメタクリル樹脂を挙げることができる。さらに例えば、ステンレス鋼、アルミ、銅、及びチタンといった他の金属材料を使用することができる。
【0013】
一部の実施形態において、選択された製造プロセス、選択された材料、又はこれらの何らかの組み合わせは、表面むら50を引き起こす可能性がある(図6参照)。例えば、表面むら50は、管腔14の軸線Aに沿って延びることができる取付具10の外面52に沿った隆起継ぎ目(seam)を構成する可能性がある。表面むら50は、取付具10を製作するのに使用した鋳型の各半分の間の分割線の結果とすることができる。本発明者は、取付具10の外面52に沿った表面むら50は、取付具10と対応する導管との間の漏れ箇所の可能性を高めることを見出している。本開示の実施形態は、取付具10と導管との間の漏れの可能性を最小にするものである。
【0014】
取付具10の挿入端38は、導管が鉤状部26の上に広がるように導管60の遠位端56の中に挿入されるように構成されている。取付具10の挿入端38は、遠位端56が肩部42に当接するまで挿入することができる。好ましくは、導管60は、医療又は薬学環境での使用に適している可撓性導管とすることができる。導管60は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性ポリマーで構成することができる。熱硬化性樹脂が使用される場合、シリコーン、ポリウレタン、フルオロエラストマ、又はペルフルオロポリエーテルは、導管用の好ましい構成材料である。熱可塑性ポリマーが使用される場合、C-Flex(登録商標)管体、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体、PureWeld、PVC、ポリオレフィン、又はポリエチレンは好ましい構成材料である。エチレン酢酸ビニル(EVA)から構成された導管60は、EVAから作られている構成要素が溶着できるという理由で好ましいであろう。
【0015】
導管60は、管腔14の寸法及び取付具の壁厚に基づいて取付具10と共に適切に使用するために選択された内径を有することができる。導管60は、内面62(図4及び5を参照)と、導管の使用方法によって決まる内部流体圧に耐えるのに適するように選択された壁厚を有することができる。導管60は、単一壁の導管とすることができる。単一壁導管の使用は、多壁導管の各壁の間に生じる可能性がある何らかの間隙空間を最小にするのに好ましく、この間隙空間は、漏れ又は細菌成長の機会を与える可能性がある。
【0016】
従来の実施形態によれば、鉤状部26と導管60との間の表面接触は、取付具10上への導管の十分な保持をもたらす場合がある。他の従来の実施形態において、ケーブルタイ又はオエティカ(Oetiker)クランプなどのファスナーは、取付具10の軸部46に沿って導管60の周りにしっかりと固定されていた。本発明者は、導管60を取付具10の鉤状部26へしっかりと固定するための別の実施形態を提供することを目指している。好ましくは、提案された実施形態は、鉤状部26と導管60との間にシールをもたらし、その間の流体漏れを最小にする。
【0017】
図2は、導管60(図1)を取付具10の鉤状部26に対してシールするためのカラー100を示す。カラー100は、金属スリーブ110及びエラストマーライナ120を含む。好ましくは、金属スリーブ110は、約0.010インチから約0.100インチの壁厚の鋼又はステンレス鋼で作られている。1つの実施形態において、金属スリーブは、3161ステンレス鋼を用いて形成され、壁厚は0.049インチで外径は0.75インチであった。金属スリーブ110は、油圧式締め付け機を伴う公知の締め付けプロセスを用いて永久変形させることができる、実質的に剛体のスリーブをもたらす。金属スリーブ110は、エラストマーライナ120を囲むように構成される。エラストマーライナ120は、金属スリーブ110に取り付けること又はそれとは分離することができる。1つの実施形態において、エラストマーライナ120は、接着剤層130を用いて金属スリーブ110の内面112に取り付けられる(図5)。
【0018】
エラストマーライナ120は、シリコーン(VMQ)、又はフェニルシリコーン(PMVQ)などの他の材料から作ることができる。好ましくは、エラストマーライナ120は、-100℃の低温で弾性を維持する。1つの実施形態において、エラストマーライナ120は、0.062インチの非圧縮厚さを有する層で、Nusil Technologies社からのRTV MED-6010を使用してPMVQから形成した。
【0019】
カラー100は、図3-6に示すように導管60及び取付具10の周りに位置して流体移送組立体200を形成することが意図されている。取付具10に沿って所望の位置に配置されると、カラー100、詳細には金属スリーブ110は、該金属スリーブ110の内径を低減してエラストマーライナ120に圧縮力を加えるために、油圧式締め付け機を用いて実質的に永久変形させることができる。図4は、締め付け前のカラーの配置を示し、図5は締め付け後の結果として生じる断面図を示す。1つの実施形態において、フィンパワー油圧式締め付け機(モデルP32)をセットしてスリーブ110の外径を0.700インチに低減するのに十分な力を加えた。当業者であれば、油圧式締め付け機は、カラー100を再利用が容易でなく取付具10の周りから外すことができない使い捨てファスナーにすることを理解できるはずである。
【0020】
カラー100は、鉤状部26とオーバーラップしてこれを取り囲む導管60の一部の周りに位置することが意図されている。従って、取付具10の軸部46を取り囲むように構成されている従来のファスナーとは異なり、カラー100は、導管60を取付具10の鉤状部26に締結してシールするように構成されている。例えば、エラストマーライナ120は、導管60が鉤状部26のテーパー面30上に押し付けられた状態を維持して、鉤状部と導管60の内面62との間のシールを形成するように構成することができる。加えて、図4に示すように、導管60が最初に鉤状部26の上に挿入された際に導管60と最大直径部34に隣接する外面52との間に空隙66がもたらされる場合がある。この空隙66は、導管が従来のファスナーで締結される場合に漏れ箇所を生じる可能性がある。しかしながら、本開示のカラー100を用いると、一旦、金属スリーブ110が締め付けられると(図5)、空隙は排除することができる。また、一旦締め付けられると、エラストマーライナ120は、導管60に対して実質的に360度の半径方向圧力を加えるので、導管は取付具10の鉤状部26に対してシール状態で押し付けられる。上記の構成は、導管60の破裂圧力に至るまで流体移送組立体200を流体密封の状態にする。
【0021】
エラストマーライナ120は、金属スリーブ110と導管60との間の隙間の差分を吸収することができる柔軟材料を備えるように構成される。その結果、エラストマーライナ120は、導管60及び鉤状部26に作用する圧縮力の均一性を改善する。エラストマーライナ120を使用することで、取付具上の何らかの表面むら50(図6)を補償するやり方で、カラー100が導管60を取付具10にしっかりと固定する能力が高くなる。実際には、エラストマーライナ120から加えられる圧力は、取付具10の外側の表面むら50の周りの導管60に適合して、上記のような何らかの空隙66を最小にする又は排除する可能性も含めて、漏れを最小にする。
【0022】
カラー100及び流体移送組立体200の構造は、新規な使用又は組み立てプロセスを提供することができる。例えば、上記のようなカラー100を使用すると、少なくとも1つの鉤状部26を含む流体移送取付具の一部を導管の端部に挿入することを含む、導管60を流体移送取付具10に対してシールする方法を提供することができる。本方法は、さらに導管60が流体移送取付具10と重なる位置の周りでカラー100を位置付ける段階をさらに含むことができる。1つの実施形態において、カラー100は、該カラー100のエラストマーライナ120の少なくとも一部で少なくとも1つの鉤状部26を取り囲むように位置付けることができる。1つの実施形態において、カラー100は、実質的に導管60と取付具10との間の重なり長さ全体を取り囲むことができる。また、本方法は、導管の内面62が取付具の何らかの外側表面むら50に適合するように、カラー100を導管60及び流体移送取付具10の周りで締め付ける段階を含むことができる。カラー100を導管60及び流体移送取付具10の周りで締め付ける段階は、導管60の内面62を取付具10に対して押し付けてその間にシールを形成することを含む。1つの実施例において、導管60の内面62は、カラー100によって鉤状部26のテーパー面30に対して押し付けられる。
【0023】
1つの実施形態において、流体移送組立体200は組み立てることができ、次に、全組立体又はその構成要素は、例えば、ガンマ放射線で殺菌すること又は実質的に無菌にすることができる。もしくは、全流体移送組立体又はその構成要素は、微生物を除去するのに十分な時間で121°Cを超える蒸気に晒すことで実質的に無菌にすることができる。また、全組立体又はその構成要素は、例えばエチレンオキシド(ETO)を用いて化学的処理で無菌にすることができる。実質的に無菌にされると、流体移送組立体は、使える状態になるまで実質的に無菌に維持するために、適切に包装及び保管することができる。
【0024】
上記の開示は例示的な実施形態との関連において示されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者が容易に理解できるような変形例及び変更例を使用できることを理解されたい。この変形例及び変更例は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲及び範疇の中にあると見なされる。
【符号の説明】
【0025】
26 鉤状部
30 テーパー面
34 最大直径部
38 挿入端
42 肩部
46 軸部
60 導管
62 内面
110 金属スリーブ
112 内面
120 エラストマーライナ
130 接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6