(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】翼突管神経切除処置を実行するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20230417BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230417BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20230417BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B18/14
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2020568301
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2019054771
(87)【国際公開番号】W WO2019234705
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ティネス・ジュニア・ジョン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】シタルディ・マーティン・ジェイ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0164571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0114184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、前記プローブが、
(i)遠位先端であって、前記遠位先端が組織表面を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、
(ii)アブレーション要素であって、前記アブレーション要素が前記神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、を備える、プローブと、
(c)前記遠位先端の近位に配置された停止要素であって、前記停止要素が前記遠位先端によって穿刺された前記組織表面に当接するように構成されている、停止要素と、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記遠位先端が、組織表面を穿刺して患者の翼突管神経管に入るように構成され、前記アブレーション要素が、前記翼突管神経管内に位置する翼突管神経をアブレーションするように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記プローブ及び前記停止要素が、前記患者の鼻腔内に挿入されるような大きさである、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記プローブが、約8ミリメートルの長さを有する、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記停止要素は前記プローブの近位端に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記停止要素がカラーを含む、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記アブレーション要素がRF電極を備え、前記RF電極が、前記神経にRFエネルギーを送達し、それによって前記神経をアブレーションするように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
ナビゲーションセンサを更に備え、前記ナビゲーションセンサが、前記患者の体内の前記プローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ナビゲーションセンサが前記プローブの内部に位置する、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項11】
神経センサを更に備え、前記神経センサが、前記プローブによって治療された前記神経の状態を検出するように動作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記神経センサが前記プローブによって保持されている、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記神経センサは温度センサを備える、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記神経センサが一対の検出電極を備え、前記検出電極が、神経刺激信号を前記神経を通して方向付け、それによって、前記神経のアブレーションが完了する前に前記神経の存在を検出するように動作可能である、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項15】
外科システムであって、
(a)請求項11に記載の外科用器具と、
(b)アブレーションエネルギーを前記アブレーション要素に送達するように動作可能なアブレーションエネルギー源と、
(c)プロセッサであって、前記プロセッサが、前記神経センサ及び前記アブレーションエネルギー源と通信し、前記プロセッサが、前記神経センサによって検出された前記状態に基づいて、前記アブレーションエネルギー源から前記アブレーション要素に送達される前記アブレーションエネルギーを調節するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
【請求項16】
外科システムであって、
(a)外科用器具であって、前記外科用器具が、
(i)シャフトと、
(ii)前記シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、前記プローブが、
(A)遠位先端であって、前記遠位先端が組織を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、
(B)アブレーション要素であって、前記アブレーション要素が、前記神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、
(C)ナビゲーションセンサであって、前記ナビゲーションセンサが、前記患者の体内の前記プローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、を備える、プローブと、を備える、外科用器具と、
(b)プロセッサであって、前記プロセッサが前記ナビゲーションセンサと通信しており、前記プロセッサが、前記ナビゲーションセンサによって生成された前記信号に基づいて、前記患者の体内の前記プローブの位置を追跡するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
【請求項17】
前記アブレーション要素が一対のRF電極を備え、前記RF電極が、双極RFエネルギーを前記神経に送達し、それによって前記神経をアブレーションするように動作可能である、請求項16に記載の外科システム。
【請求項18】
前記ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、請求項16に記載の外科システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
鼻炎は、鼻腔内の粘膜の刺激作用及び炎症として呈する医学的状態である。炎症は、過剰な量の粘液の生成をもたらし、これは鼻汁、鼻詰まり、くしゃみ、及び/又は後鼻漏を引き起こす可能性がある。アレルギー性鼻炎は、空中のアレルゲンなどの環境因子に対するアレルギー反応であり、非アレルギー性(又は「血管運動性の」)鼻炎は、環境要因とは独立して呈する慢性的な状態である。鼻炎の従来の治療としては、例えば、抗ヒスタミン剤、局所又は全身コルチコステロイド、及び局所抗コリン薬が挙げられる。
【0002】
症状が重度かつ持続的である難治性鼻炎の場合、更なる治療の選択肢は、翼突管(すなわち「翼状の」)神経の一部の外科的除去であり、翼突管神経切除術として知られる処置である。翼突管神経切除術の理論的な基礎は、鼻炎が鼻腔の副交感神経と交感神経の神経支配間の不均衡、及び結果として生じる粘膜の粘液腺の過剰刺激によって引き起こされるということである。翼突管神経切除術は、この不均衡をかき乱し、翼突管神経の外科的治療を介して鼻粘膜分泌物を減少させることを目的とする。しかしながら、翼突管神経切除術を実施するための従来の外科用器具及び処置は、望ましくない程度の外傷を患者の組織に引き起こし、一貫しない結果をもたらすことが知られている。
【0003】
図1は、鼻腔(10)、前頭洞(12)、蝶形骨洞(14)、及び蝶形骨(16)を示す、患者の頭部の一部分の左矢状面の様相を示す。鼻腔(10)は、鼻甲介(20)と、中部鼻甲介(22)と、上部鼻甲介(24)とを含む鼻部の壁(18)によって横方向に画定される。翼突管神経(32)は、蝶形骨(16)によって部分的に画定され、中部鼻甲介(22)と概ね整列して蝶形骨洞(14)の後方に位置する翼突(すなわち「翼状の」)管(30)の内部に存在する。翼突管神経(32)は、より大きな錐体神経(34)と深い錐体神経(36)との接合部によってその後方の端部に形成され、その前方の端部において、鼻粘膜への血流の調節を司る翼口蓋神経節(38)と接合する。
【0004】
翼突管神経切除術を行うための器具及び方法は知られているが、本発明者らより早くに、添付の特許請求の範囲に説明された発明を発案し又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】特定の副鼻腔及び翼突管神経を含む神経の詳細を示す、患者の頭部の一部分の左矢状面の図を示す。
【
図2】医療処置用の椅子に座した患者の外科的処置を実行するために使用されている例示的な手術ナビゲーションシステムの概略的な斜視図を示す。
【
図3】
図2の外科システムの例示的な翼突管神経切除外科用器具の概略的な正面図を示す。
【
図4】
図3の外科用器具の遠位部分の斜視図を示し、アブレーション要素を有するプローブの細部、及びプローブの近位端にある停止カラーを示す。
【
図5】ナビゲーションセンサ及び神経センサを含む器具の内部機構を示す、
図4の外科用器具の遠位部分の概略的な側方の断面図を示す。
【
図6A】鼻腔内に挿入されている
図3の外科用器具の遠位端を示す、患者の頭部の一部分の概略的な左矢状面図を示す。
【
図6B】外科用器具のプローブが翼突管に対して位置付けられていることを示す、
図6Aの患者の頭部の概略的な左矢状面図を示す。
【
図6C】翼突管の側部に隣接して配置された器具プローブを示す、
図6Bの翼突管及び翼突管神経の概略的な上面図を示す。
【
図6D】
図6Cの解剖学的構造の概略的な上面図を示し、アブレーション要素が第1の軸に沿って翼突管神経に係合するように、翼突管の側部を貫通するプローブを示す。
【
図6E】器具プローブのアブレーション要素によるアブレーション後の翼突管神経を示す、
図6Dの解剖学的構造の概略的な上面図を示す。
【
図7A】例示的な代替外科的処置において翼突管の端部に隣接して位置付けられた器具プローブを示す、
図6Aの翼突管及び翼突管神経の概略的な上面図を示す。
【
図7B】アブレーション要素が第2の軸に沿って翼突管神経と係合するように、翼突管の端部を貫通するプローブを示す、
図7Aの解剖学的構造の概略的な上面図を示す。
【
図7C】器具プローブのアブレーション要素によるアブレーション後の翼突管神経を示す、
図7Bの解剖学的構造の概略的な上面図を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0008】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医により近く配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないと理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0009】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその所期の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0010】
I.翼突管神経切除外科用器具を備える例示的な外科用ナビゲーションシステム
A.手術ナビゲーションシステムの概観
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の体内に挿入された器具の場所の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の場所を術前に得られた画像に重ねる技術である。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)が装着された特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、器具装着センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各外科用器具のリアルタイムでの位置を示す指標(例えば、クロスヘア、照明ドットなど)と共にビデオモニタに表示される。これにより、外科医は、器具自体を体内のその現在の位置において直接見ることができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0011】
ENT及び副鼻腔手術で使用できる電磁IGSシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)による、CARTO(登録商標)3 Systemである。機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)、バルーン副鼻腔手術、及び/又は他のENT手技に適用される場合、IGSシステムを使用することで、外科医は、内視鏡単独による視野によって行うよりも正確に手術用器具を動かして位置決めすることが可能になる。結果として、IGSシステムは、解剖学的ランドマークが存在しない、又は内視鏡で視覚化することが困難な医療処置の実行中に特に有用であり得る。
【0012】
図2は、画像のガイダンスを使用して患者(P)に対して医療処置を行うことを可能にする、IGS構成要素を備えた例示的な外科用ナビゲーションシステム(100)を示す。より詳細に以下に記載されるように、本実施例の外科用ナビゲーションシステム(100)は、患者(P)に対して翼突管神経切除処置を実行するように動作可能であり、処置の最中に患者(P)の体内の器具(200)の遠位端の追跡を可能にするナビゲーションセンサ(240)を含む外科用器具(200)を含む。他の実施例では、外科用ナビゲーションシステム(100)は、患者(P)に対して様々な他のタイプの外科的処置を行うように動作可能な1つ以上の他のタイプの外科用器具を含んでもよい。例えば、外科用ナビゲーションシステム(100)は、以下であるように動作可能な拡張器具を含み得る、すなわち、患者(P)の副鼻腔の小孔を拡張する、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)を拡張する。その点に関し、外科用ナビゲーションシステム(100)は、鼻腔、副鼻腔、耳管などの内部、患者の喉の内部、又は患者の体内の他の場所を含むがこれらに限定されない、患者の頭部(H)の内部で、様々な種類の医療処置を実行するために使用され得る。外科用ナビゲーションシステム(100)を使用することができる様々な適当な位置及び臨床状況は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる。
【0013】
本実施例の外科用ナビゲーションシステム(100)は、患者(P)の頭部(H)の周りに配置されるように構成されている馬蹄形フレーム(104)の内部に一体化された磁場発生器(106)のセットを含む磁場発生器アセンブリ(102)を含む。磁場発生器(106)は、患者の頭部(H)の周りに周波数の異なる交流磁場を発生させるように動作可能である。それによって、磁場発生器(106)は、患者の頭部(H)に挿入される外科用器具(200)などのナビゲーション器具の位置を追跡することを可能にする。磁場発生器(106)を形成及び駆動するために使用することができる様々な好適な構成要素は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0014】
本実施例では、フレーム(104)が医療処置用の椅子(150)の最も硬い所に装着され、患者(P)が椅子(150)に座って、フレーム(104)が患者の頭部(H)に隣接して配置されるようにする。ほんの一例として、椅子(150)及び/又は磁場発生器アセンブリ(102)は、米国特許出願第15/933,737号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年3月23日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の少なくとも一部の教示に従って構成され、動作可能であり得る。他の実施例では、患者(P)は、他の様々な手術台などの好適な支持構造物に支えられてもよく、フレーム(104)は、患者支持構造物によって、又は患者支持構造物に隣接して配置された独立した構造物によって支えられてもよい。他の実施例では、フレーム(104)は、患者(H)の頭部に直接、固定されてもよい。
【0015】
外科用ナビゲーションシステム(100)は、1つ以上のメモリと通信を行うプロセッサ(108)を更に含み、磁場発生器(106)及び外科用ナビゲーションシステム(100)の他の要素を制御するように構成されている。例えば、プロセッサ(108)は、磁場発生器(106)を駆動して交流電磁場を生成し、外科用器具(200)の遠位端の内部に配置されたナビゲーションセンサ(240)から受信した信号を処理するように動作可能である(
図5を参照)。以下により詳細に記載されるように、ナビゲーションセンサ(240)は、磁場発生器(106)によって患者(P)の周囲に生成された交流電磁場の内部のセンサ(240)の存在に反応して、患者(P)の体内の外科用器具(200)の遠位端の位置に対応する信号を生成するように動作可能である。プロセッサ(108)は、これらの信号を受信し、アルゴリズムを実行して、外科用器具(200)の遠位端の位置の座標を計算する。このようにして、プロセッサ(108)は、医療処置の最中にリアルタイムで患者(P)の体内にある外科用器具(200)の遠位端の位置を追跡するように、ナビゲーションセンサ(240)と協働する。
【0016】
図2に示すように。本実施例のプロセッサ(108)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(112)を含むコンソール(110)内に装着されている。医師は、外科的処置を行いながら、プロセッサ(108)と相互作用する動作制御部(112)を使用する。プロセッサ(108)はプロセッサ(108)のメモリに格納されたソフトウェアを用いてシステム(100)を較正し、動作させる。このような動作としては、磁場発生器(106)の駆動、ナビゲーションセンサ(240)から受信したデータの処理、操作制御部(112)からのデータの処理、及びスクリーンの形態で示される表示デバイス(114)の駆動が挙げられる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形態でプロセッサ(108)にダウンロードされてもよいし、又は、代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体に提供及び/又は格納されてもよい。
【0017】
図5に示すように、そのナビゲーションセンサ(240)を含む外科用器具(200)は、外科用器具(200)の近位端と連結された通信ユニット(116)を介してプロセッサ(108)と通信する。本実施例の連結ユニット(116)は、コンソール(110)と外科用器具(200)との間でデータ及び他の信号の無線通信を提供するように構成されている。一部の変形では、通信ユニット(116)は、外科用器具(200)からのデータ又は他の信号を、コンソール(110)からのデータ又は他の信号をやはり通信することなく、コンソール(110)へと一方向に単に通信する。一部の他の変形では、通信ユニット(116)は、外科用器具(200)とコンソール(110)との間でデータ又は他の信号の双方向の通信をもたらす。本実施例の通信ユニット(116)は、コンソール(110)と無線で連結しているが、一部の他の変形では、通信ユニット(116)とコンソール(110)との間を有線で連結していてもよい。通信ユニット(116)に組み込むことができる様々な他の好適な特徴及び機能が、本明細書における教示を考慮することで当業者には明白となろう。
【0018】
プロセッサ(108)は、患者の頭部(H)のビデオカメラの画像、患者の頭部(H)のCTスキャンの画像、及び/又は患者の鼻腔(10)内及び患者の鼻腔(10)に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関して、外科用器具(200)の遠位端の位置を示すディスプレイ(114)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイ(114)は、外科的処置の最中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像は、外科用器具(200)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、その結果、操作者は、その実際の場所で、リアルタイムで器具の仮想的なレンダリングを視認することができる。単に例として、ディスプレイ(114)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像を提供してもよい。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイ(114)に表示することもできる。
【0019】
いずれかの好適なデバイスを使用して、電磁場がその周辺に発生され、外科用器具(200)が外科的処置の最中に挿入されることになる患者(P)の体内の解剖学的構造の三次元モデルを生成することができる。単に例として、このようなモデルは、米国特許出願公開第2016/0310042号、発明の名称「System and Method to Map Structures of Nasal Cavity」(2016年10月27日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って生成することができる。三次元の解剖学的モデルが生成され得る他の更なる好適な方法は、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明白となろう。三次元モデルを生成する方法又は場所に関係なく、モデルをコンソール(110)に記憶させてもよいことも、やはり理解されるべきである。このようにして、コンソール(110)は、ディスプレイ(114)を介してモデルの少なくとも一部分の画像をレンダリングすることができ、更にディスプレイ(114)を介して、モデルに対する外科用器具(200)の遠位端の位置のリアルタイムなビデオ画像を更にレンダリングすることができる。
【0020】
様々な実施例では、外科用ナビゲーションシステム(100)は、以下の1つ以上の教示に従って更に構成され得る:米国特許出願公開第15/695,520号、発明の名称「Sensor Guided Instrument with Penetrating Feature」(2017年9月5日出願);米国特許出願公開第15/797,049号、発明の名称「Dilation Catheter with Navigation Sensor and Vent Passageway in Tip」(2017年10月30日出願);米国特許出願公開第8,702,626号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年4月22日発行);米国特許出願第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3-D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行);米国特許第8,190,389号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2012年5月29日発行);米国特許第8,123,722号、発明の名称「Devices,Systems and Methods for Treating Disorders of the Ear,Nose and Throat」(2012年2月28日発行);米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行);米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開);米国特許出願公開第2014/0200444号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年7月17日公開);米国特許第9,198,736号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2015年12月1日発行);米国特許出願公開第2011/0060214号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2011年3月10日公開);米国特許第9,167,961号、発明の名称「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Ear Nose and Throat」(2015年10月27日発行);及び/又は、米国特許出願公開第2007/0208252号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2007年9月6日公開)。これらの参考文献のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
B.ナビゲーションプローブを備える翼突管神経切除用器具
図3は、上述のIGS外科用ナビゲーションシステム(100)と共に使用するように構成された例示的な翼突管神経切除外科用器具(200)を示す。外科用器具(200)は、長手方向のシャフト軸に沿って延在する細長いシャフト(202)を含む。プローブ(204)は、シャフト軸に沿ってシャフト(202)の遠位端から遠位に延在する。プローブ(204)は、円筒状シャンク(206)と、かなり詳細に後述するように組織及び神経チャネルを穿刺するよう構成された鋭利な遠位先端(208)と、を含む。プローブ(204)は、後述するように、シャンク(206)に配置され、神経の管の内部に配置された神経をアブレーションするように構成されたアブレーション要素(210)を更に含む。いくつかの実施例では、プローブ(204)は、ねじ式の係合などによって、シャフト(202)の遠位端に解放可能に接続されてもよい。外科用器具(200)は、シャフト(202)の遠位端及びプローブ(204)の近位端に配置された環状カラーの形態の停止要素(212)を更に含む。カラー(212)は、いくつかの実施例では、シャフト(202)の遠位端と一体に形成され得る。プローブ(204)は、外科的処置の最中に患者の組織を貫通する遠位先端(208)の穿刺を促進するために、完全に剛性であってもよい。シャフト(202)は、外科用器具(200)の患者の鼻腔(10)への挿入を促進するために、また処置の最中に外科医によってシャフト(202)に加えられる遠位方向の穿刺力を遠位先端(208)に適切に伝達するために、完全に又は部分的に剛性であってもよい。
【0022】
図3に示すように、第1の導管(214)は、器具シャフト(202)の近位端から近位方向に延在し、アブレーションシステムプロセッサ(252)と通信するアブレーションエネルギー源(250)と連結するように構成された第1の電気コネクタ(216)で終端する。アブレーションシステムプロセッサ(252)は、外科的処置の最中に神経又は他の組織を治療するために、アブレーションエネルギー源(250)からプローブ(204)のアブレーション要素(210)に向けられたアブレーションエネルギーの量を制御するように動作可能である。第2の導管(218)は、器具シャフト(202)の近位端から近位に延在し、例えば通信ユニット(116)を介して上述のナビゲーションシステムプロセッサ(108)と通信するように構成された第2の電気コネクタ(220)で終端する。いくつかの実施例では、アブレーションシステムプロセッサ(252)及びナビゲーションシステムプロセッサ(108)は、1つであってもよく、同一であってよく、及び/又は別の方法で、資本的設備の同じユニットに組み込まれてもよい。他の実施例では、アブレーションシステムプロセッサ(252)は、ナビゲーションシステムプロセッサ(108)とは別個であるが、直接通信してもよい。
【0023】
図4及び
図5は、外科用器具(200)のプローブ(204)及び停止カラー(212)の更なる詳細を示す。使用中、プローブ(204)の遠位先端(208)は、翼突管(30)などの神経管の壁を通る組織表面を穿刺する。停止カラー(212)は、プローブ(204)が神経管内に方向付けられる際に組織表面に当接するように構成され、それによって、プローブアブレーション要素(210)を神経管に入っている神経との係合を維持し、神経がアブレーションされ得るようにする。したがって、停止カラー(212)は、遠位先端(208)から距離(X)近位に配置させ、使用中にプローブ(204)を神経管の内部に適切に配置する、対応する長さ(X)をプローブ(204)が備えるようにする。その点に関し、距離(X)は、標的化されている特定の神経及び神経管に基づいて寸法決めされ得ることが理解されよう。本実施例では、外科用器具(200)は、翼突管(30)の内部に位置する翼突管神経(32)をアブレーションするように構成されている。したがって、本実施例のプローブ(204)及び停止カラー(212)は、翼突管神経切除処置の間、距離(X)が翼突管(230)の内部で翼突管神経(32)と係合するようにプローブ(204)及びアブレーション要素(210)の適切な位置決めをするよう構成される。例えば、プローブ(204)及び停止カラー(212)は、距離(X)が約8ミリメートルであるように構成されてもよい。他の実施例では、距離(X)は、特定の用途に基づいて当業者に容易に明らかな様々な他の好適な量であってもよいことが理解されよう。
【0024】
図5に示すように、アブレーション要素(210)は、両方の電極(222、224)と接触して位置付けられた神経に双極RFエネルギーを印加し、それによって神経をアブレーションするように動作可能な一対のRF電極(222、224)の形態で提供される。各RF電極(222、224)は、実質的にプローブシャンク(206)の全長にわたって長手方向に延在し、シャンク(206)のそれぞれの第1又は第2の半体の周囲で円周方向に延在する。RF電極(222、224)は、RF電極(222、224)と電気的に接触して配置されている神経又は他の組織が存在しない場合に、RF電極(222、224)間の電気的な短絡を防止する、対向する一対の軸方向に延在する間隙(226)によって、互いから円周方向に離間される。第1のRF電極(222)は、活性電極として機能させることができ、第2のRF電極(224)は、リターン電極として機能させることができる。更に、本実施例では、アブレーションエネルギー源(250)は、好適なユーザーインターフェース(図示せず)を介して外科医によって指示され得る、アブレーションシステムプロセッサ(252)により命令されたような電力及び持続時間で、RF電極(222、224)に双極RFエネルギーを送達するように動作可能なRFエネルギー源の形態である。他の実施例では、アブレーション要素(210)は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第15/797,091号、発明の名称「Suction Device With Bipolar RF Cuff」(2017年10月30日)に開示されているように、プローブシャンク(206)の周囲に円周方向に位置付けられた3つ以上のRF電極を介して双極RFエネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0025】
更なる実施例では、アブレーション要素(210)は、患者の神経をアブレーションするのに好適な様々な他の形態で設けられてもよい。例えば、図示されていないが、アブレーション要素(210)は、患者の皮膚と接触させて位置付けられた接地パッドと組み合わせて、単極RFエネルギーを神経に印加するように動作可能な単一のRF電極の形態であってもよい。代替的に又は追加的に、アブレーション要素(210)は、抵抗加熱装置、冷凍焼灼アプリケータ、化学アプリケータ、及び/又は光学エネルギー伝送デバイスを備えてもよい。アブレーションエネルギー源(250)は、神経切除の処置の最中に器具プローブ(204)により係合された神経に、対応するアブレーションエネルギー又は媒体を供給し、それによって神経をアブレーションする代替的な例で適切に構成され得ることが理解されよう。
【0026】
外科用器具(200)は、プローブ(204)によって治療されている神経の状態を検出するように構成され、アブレーションシステムプロセッサ(252)と通信する神経センサを更に含んでもよい。
図4は、プローブシャンク(206)の遠位端に位置付けられた一対の環状検出電極(228、230)の形態の第1の例示的な神経センサを示す。検出電極(228、230)は、互いに軸方向に離間しており、検出電極(228、230)と接触させて位置付けられた神経に低出力の神経刺激信号を送達し、それによって神経の存在を検出するように動作可能である。その点で、第1の検出電極(228)は、伝送電極として動作可能であり、第2の検出電極(230)は、受信電極として動作可能である。神経のアブレーション全体にわたって、検出電極(228、230)は、刺激信号を神経に送達するために作動させ得る。神経が、検出電極(228、230)の両方と同時に接触するように実質的に無傷でアブレーションされない限り、神経刺激信号は、神経を介して第1の電極(228)から第2の電極(230)へと通り、それによって、神経が少なくとも部分的に無傷であり、したがって依然として完全にアブレーションされていないことをアブレーションシステムプロセッサ(252)に示す。神経が完全にアブレーションされると、神経刺激信号は、もはや神経を通って第2の検出電極(230)へと通らなくなり、したがってアブレーションシステムプロセッサ(252)は、神経のアブレーションが完了したことを検出する。
【0027】
いくつかの実施例では、検出電極(228、230)は省略されてもよく、RF電極(222、224)は、高電力レベルのRFエネルギーで神経をアブレーションし、低電力レベルのRFエネルギーで神経の状態を検出するように動作可能であり得る。例えば、RF電極(22、224)は、上述の検出電極(228、230)と同様の様式でアブレーションされている神経に神経刺激信号を送達するように動作可能であり得る。このような信号は、RFアブレーションエネルギーと同時に又は迅速に交互に送達されてもよい。いくつかの実施例では、RF電極(22、24)、又は代替的に検出電極(228、230)を用いて、当業者に容易に明らかな様々な方法及び構成要素を使用して、神経の電気インピーダンスを追跡することができる。例えば、検出されたインピーダンスが閾値に達すると、アブレーションシステムプロセッサ(252)は、神経アブレーションが完了したと判定し、続いてRF電極(22、24)を非活性化して、アブレーションエネルギーの送達を停止することができる。
【0028】
図5は、プローブ(204)の遠位先端(208)の内部に配置された温度センサ(232)の形態の第2の例示的な神経センサを含む、外科用器具(200)の更なる特徴を示す側方の断面図を示す。温度センサ(232)は、他の実施例ではプローブシャンク(206)の内部に配置され得る。温度センサ(232)は、アブレーション要素(210)によって、双極RFエネルギーなどのアブレーションエネルギーで治療されている神経の温度を検出するように動作可能である。温度センサ(232)はアブレーションシステムプロセッサ(252)と通信し、それは、アブレーションを通して温度センサ(232)によって示される神経の温度を監視して、神経が完全にアブレーションされたときを判定するように構成されている。例えば、プロセッサ(252)は、検出された温度が所定の程度まで上昇すると、神経が完全にアブレーションされたと判定できる。温度センサ(232)は、上記の検出電極(228、230)と組み合わせて、又はその代わりに設けられてもよい。
【0029】
アブレーションシステムプロセッサ(252)は、神経センサ(228、230、232)によって検出される神経の状態に基づいて、アブレーションエネルギー源(250)からアブレーション要素(210)に供給されるアブレーションエネルギーを調節するように構成され得る。例えば、プロセッサ(252)は、第2の検出電極(230)によって受信された漸進的弱化信号によって、及び/又は温度センサ(232)によって検出される漸進的に上昇する温度によって示されるように、神経の劣化状態を監視し得る。これに応答して、アブレーションシステムプロセッサ(252)は、神経が完全にアブレーションされた状態に近づくにつれて、供給されたアブレーションエネルギーを漸進的に減少させることができる。神経が完全にアブレーションされていると判定すると、神経センサ(228、230、232)によって提供される信号を介して、アブレーションシステムプロセッサ(252)は、外科医によって与えられる更なる入力なしに、アブレーションエネルギーの印加を自動的に停止し得る。
【0030】
図5に示すように、本実施例のナビゲーションセンサ(240)は、外科用器具(200)の長手方向軸を中心にプローブ(204)の内部に配置された導電性コイル(例えば、コイルの構成に螺旋状に巻かれた金属ワイヤ)の形態で提供される。ナビゲーションセンサ(240)がプローブシャンク(206)の遠位端の内部に配置されて示されているが、ナビゲーションセンサ(240)は、遠位先端(208)の内部など、他の実施例では、プローブ(204)の様々な他の部分の内部に配置され得ることが理解されよう。加えて、ナビゲーションセンサ(240)が器具(200)の長手方向軸の周りに配置されて示されているが、センサ(240)は、他の実施例では、様々な他の向きに配置され得る。例えば、ナビゲーションセンサ(240)は、例えば米国特許出願公開第15/923,164号、発明の名称「Navigation Instrument With Obliquely Oriented Sensing Coil」(2018年3月19日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)に開示されているように、器具(200)の長手方向軸に対して斜めに延在する軸の周りに配置され得る。他の実施例では、外科用器具(200)は、2つ以上のナビゲーションセンサを含んでもよく、これらの各々は、ナビゲーションセンサ(240)の導電性コイルと同様の導電性コイルを備えてもよく、これらの各々は、異なる対応する軸を中心にして配向され得る。例えば、2つ又は3つのコイルセンサが使用されてもよく、センサは、互いに直交する各々の軸の周りに配向されている。
【0031】
上述のように、ナビゲーションセンサ(240)は、外科的処置の最中に患者の体内のプローブ(204)の位置を追跡するためにナビゲーションシステムプロセッサ(108)と通信するように動作可能である。具体的には、磁場発生器(106)によって生成された交流電磁場にナビゲーションセンサ(240)が存在していることは、センサ(240)の導電コイル内に電流を誘導し、これは、ナビゲーションシステムプロセッサ(108)に信号として近位に伝達される。次いで、プロセッサ(108)は、これらの信号に基づいてアルゴリズムを実行して、患者の体内のナビゲーションセンサ(240)の位置、したがってプローブ(204)の遠位端を判定する。プロセッサ(108)は、患者の体内のプローブ(204)の位置をリアルタイムの位置で表示するためにディスプレイ(114)と通信し、そのため、外科医は、外科的処置の最中にプローブ(204)の位置を確信しながら追跡できる。
【0032】
図5に概略的に示されるように、ナビゲーションセンサ(240)は、外科用器具(200)を通って長手方向に延在する第1の通信部材(242)を介して、ナビゲーションシステムプロセッサ(108)と通信する。神経センサ(228、230、232)は、第2の通信部材(244)を介して、アブレーションシステムプロセッサ(252)と通信する。加えて、RF電極(222、224)は、第3の通信部材(246)を介してRFエネルギー源(250)と通信する。通信部材(242、244、246)のうちの任意の1つ以上は、例えば、プローブ(204)とシステム(100)の適切な部材との間の通信を確立するのに好適な、導電性ワイヤ、光学経路、又は流体経路などの複数の個別の通信要素を含んでもよいことが理解されよう。いくつかの実施例では、通信部材(242、244、246)は、上述の通信ユニット(116)を介して、それぞれのナビゲーションシステムプロセッサ(108)、アブレーションシステムプロセッサ(252)、及び/又はアブレーションエネルギー源(250)と通信し得る。
【0033】
C.例示的な翼突管神経切除処置
図6A~6Eは、上述の外科用器具(200)を使用して患者に対して実施される例示的な翼突管神経切除処置の工程を示す。
図6Aに示すように、器具(200)の遠位端は、患者の鼻孔を通して鼻腔(10)内に挿入される。
図6Bに示すように、器具プローブ(204)は、鼻腔(10)を通して後方方向に進ませ、一方、外科医はナビゲーションシステム(100)のディスプレイ(114)を介して患者の体内のプローブ(204)の位置を監視する。上述のように、ナビゲーションセンサ(240)は、ナビゲーションシステム(100)の磁場発生器(106)によって生成された電磁場と相互作用して、患者の体内のプローブ(204)の位置を示す信号を発生し、ナビゲーションシステムプロセッサ(108)に通信する。このようにして、外科医は、ディスプレイ(114)のプローブ(204)の位置を監視し、それによって、概略的に描写されているように、プローブ(204)を患者の翼突管(30)の選択された部分に向かって誘導することができる。
【0034】
図6Cは、翼突管神経(32)を含んでいる翼突管(30)の側部に沿って配置された器具プローブ(204)を示し、プローブ(204)は、翼突管(30)の長手方向軸に対して概ね垂直な挿入軸に沿って延在する。あるいは、プローブ(204)は、別様に翼突管(30)の長手方向軸に対して横方向に(例えば、斜めに)配向され得る。
図6Dに示されるように、外科医は、プローブ(204)の遠位先端(208)が翼突管(30)の壁を画定する組織表面(26)を通して穿刺するように、外科用器具(200)を更に患者の体内に前進させる。プローブ(204)は前進し、翼突管(30)内に入り、停止カラー(212)が組織表面(26)に当接し、それによってプローブ(204)が翼突管(30)内へ更に前進することを防止する。上述のように、本実施例のプローブ(204)は、停止カラー(212)が組織表面(26)に当接するときに、プローブ(204)が翼突管(30)内の翼突管神経(32)と係合するように好適に位置付けられるように、好適な距離(X)の分、停止カラー(212)から遠位に延在する。
【0035】
図6Dに概略的に示されるように、プローブ(204)のアブレーション要素(210)は、アブレーションエネルギーを翼突管神経(32)に送達し、それによって神経(32)をアブレーションするよう作動させる。上述のように、本実施例のアブレーション要素(210)は、双極RFエネルギーで神経(32)をアブレーションするように動作可能な一対のRF電極(222、224)の形態である。一旦アブレーションシステムプロセッサ(252)が翼突管神経(32)が完全にアブレーションされたことを検出すると、プロセッサ(252)は、アブレーションエネルギーの適用を自動的に停止でき、又は別の方法でアブレーションが完了したという表示を外科医に提示でき、その結果、外科医は、アブレーションエネルギーの適用を手動で中止し得る。
図6Eに示すように、翼突管神経(32)は今や完全にアブレーションされ、外科医は、鼻腔(10)から患者の外科用器具を引き抜く。示される例示的な処置は、翼突管神経(32)の完全なアブレーションを描写しているが、外科システム(100)は、他の例において、翼突管神経(32)の部分的アブレーションのみを実行するように動作され得ることが理解されよう。
【0036】
図7A~7Cは、別様に記載されていることを除き、
図6C~6Eに示される翼突管神経切除処置と同様の例示的な代替の翼突管神経切除処置を示す。特に、器具プローブ(204)は、翼突管(30)及び翼突管神経(32)の長手方向軸に概ね平行に延在する挿入軸に沿うように外科医によって誘導され、遠位先端(208)が翼突管(30)の端部を通って穿刺する。したがって、
図7Bに示されるように、プローブ(204)は、プローブ(204)が翼突管神経(32)を通って略平行に延在するように、挿入軸に沿って翼突管神経(32)と係合する。次に、
図7Cに示すように、プローブ(204)のアブレーション要素(210)を上記の方法で作動させて、翼突管神経(32)をアブレーションする。外科用器具(200)は、所望に応じて、神経の完全又は部分的アブレーションを提供するのに好適な様々な他の配向で、患者の翼突管神経(32)又は他の神経に対して位置付けられ得ることが理解されよう。
【0037】
II.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0038】
外科用器具であって、(a)シャフトと、(b)シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、プローブが、(i)遠位先端であって、遠位先端が組織表面を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、(ii)アブレーション要素であって、アブレーション要素が神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、を備える、プローブと、(c)遠位先端の近位に配置された停止要素であって、停止要素が遠位先端によって穿刺された組織表面に当接するように構成されている、停止要素と、を備える、外科用器具。
【実施例2】
【0039】
遠位先端が、組織表面を穿刺して患者の翼突管神経管に入るように構成され、アブレーション要素が、翼突管神経管内に位置する翼突管神経をアブレーションするように動作可能である、実施例1に記載の外科用器具。
【実施例3】
【0040】
プローブ及び停止要素が、患者の鼻腔内に挿入されるような大きさである、実施例1~2のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例4】
【0041】
プローブが、約8ミリメートルの長さを有する、実施例1~3のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例5】
【0042】
停止要素はプローブの近位端に配置されている、実施例1~4のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例6】
【0043】
停止要素がカラーを含む、実施例1~5のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例7】
【0044】
アブレーション要素がRF電極を備え、RF電極が、神経にRFエネルギーを送達し、それによって神経をアブレーションするように動作可能である、実施例1~6のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例8】
【0045】
ナビゲーションセンサを更に備え、ナビゲーションセンサが、患者の体内のプローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、実施例1~7のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例9】
【0046】
ナビゲーションセンサがプローブの内部に位置する、実施例8のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例10】
【0047】
ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、実施例8~9のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例11】
【0048】
神経センサを更に備え、神経センサが、プローブによって治療された神経の状態を検出するように動作可能である、実施例1~10のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例12】
【0049】
神経センサがプローブによって保持されている、実施例11に記載の外科用器具。
【実施例13】
【0050】
神経センサは温度センサを備える、実施例11~12のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例14】
【0051】
神経センサが一対の検出電極を備え、検出電極が、神経刺激信号を神経を通して方向付け、それによって、神経のアブレーションが完了する前に神経の存在を検出するように動作可能である、実施例11~12のいずれかに記載の外科用器具。
【実施例15】
【0052】
外科システムであって、(a)実施例11~14のいずれかに記載の外科用器具と、(b)アブレーションエネルギーをアブレーション要素に送達するように動作可能なアブレーションエネルギー源と、(c)プロセッサであって、プロセッサが、神経センサ及びアブレーションエネルギー源と通信し、プロセッサが、神経センサによって検出された状態に基づいて、アブレーションエネルギー源からアブレーション要素に送達されるアブレーションエネルギーを調節するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
【実施例16】
【0053】
外科システムであって、(a)外科用器具であって、外科用器具が、(i)シャフトと、(ii)シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、プローブが、(A)遠位先端であって、遠位先端が組織を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、(B)アブレーション要素であって、アブレーション要素が、神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、(C)ナビゲーションセンサであって、ナビゲーションセンサが、患者の体内のプローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、を備える、プローブと、を備える、外科用器具と、(b)プロセッサであって、プロセッサがナビゲーションセンサと通信しており、プロセッサが、ナビゲーションセンサによって生成された信号に基づいて、患者の体内のプローブの位置を追跡するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
【実施例17】
【0054】
アブレーション要素が一対のRF電極を備え、RF電極が、双極RFエネルギーを神経に送達し、それによって神経をアブレーションするように動作可能である、実施例16に記載の外科システム。
【実施例18】
【0055】
ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、実施例16~17のいずれかのいずれかに記載の外科用器具。
【実施例19】
【0056】
シャフトと、アブレーション要素を備えるプローブと、停止要素とを有する外科用器具により患者に対して翼突管神経切除術を行う方法であって、(a)外科用器具の遠位部分を患者の鼻腔内に挿入することと、(b)プローブの遠位先端で、組織表面を通って、翼突管内に穿刺することと、(c)停止要素が組織表面に当接するまで、プローブを翼突管に前進させることと、(d)翼突管内の翼突管神経の少なくとも一部分をアブレーション要素でアブレーションすることと、(e)患者から鼻腔を通して外科用器具を引き抜くことと、を含む、方法。
【実施例20】
【0057】
外科用器具がナビゲーションセンサを含み、方法が、ナビゲーションセンサによって提供される信号に基づいて、患者の体内のプローブの位置を追跡することを更に含む、実施例19に記載の外科用器具。
【0058】
III.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例など)、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書における教示を鑑みると、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲に含まれるものとする。
【0059】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0060】
上述の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単なる例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日に交付された「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号;1998年10月6日発行の、「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する、米国特許第5,817,084号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;1999年3月2日に発行された、「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する、米国特許第5,878,193号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2001年5月15日に発行された、「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する、米国特許第6,231,565号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2004年8月31日に発行された、「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する、米国特許第6,783,524号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2002年4月2日に発行された、「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する、米国特許第6,364,888号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2009年4月28日に発行された、「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する、米国特許第7,524,320号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2010年4月6日に発行された、「Platform Link Wrist Mechanism」と題する、米国特許第7,691,098号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2010年10月5日発行の、「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する、米国特許第7,806,891号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2014年9月30日発行の、「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する、米国特許第8,844,789号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2014年9月2日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical Instruments」と題する、米国特許第8,820,605号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2013年12月31日に発行された、「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」と題する、米国特許第8,616,431号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2013年11月5日に発行された、「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」と題する、米国特許第8,573,461号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2013年12月10日に発行された、「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する、米国特許第8,602,288号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2016年4月5日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題された米国特許第9,301,759号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2014年7月22日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する、米国特許第8,783,541号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2013年7月9日に発行された、「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する、米国特許第8,479,969号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;2014年8月12日に発行された「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する、米国特許出願公開第8,800,838号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる;及び/又は2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する、米国特許第8,573,465号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、一方又はその両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前に使用者によってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0062】
単なる例として、本明細書に記載される変形形態は、処置前及び/又は処置後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に配置する。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0063】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0064】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、前記プローブが、
(i)遠位先端であって、前記遠位先端が組織表面を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、
(ii)アブレーション要素であって、前記アブレーション要素が前記神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、を備える、プローブと、
(c)前記遠位先端の近位に配置された停止要素であって、前記停止要素が前記遠位先端によって穿刺された前記組織表面に当接するように構成されている、停止要素と、を備える、外科用器具。
(2) 前記遠位先端が、組織表面を穿刺して患者の翼突管神経管に入るように構成され、前記アブレーション要素が、前記翼突管神経管内に位置する翼突管神経をアブレーションするように動作可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記プローブ及び前記停止要素が、前記患者の鼻腔内に挿入されるような大きさである、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記プローブが、約8ミリメートルの長さを有する、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記停止要素は前記プローブの近位端に配置されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0065】
(6) 前記停止要素がカラーを含む、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記アブレーション要素がRF電極を備え、前記RF電極が、前記神経にRFエネルギーを送達し、それによって前記神経をアブレーションするように動作可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) ナビゲーションセンサを更に備え、前記ナビゲーションセンサが、前記患者の体内の前記プローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記ナビゲーションセンサが前記プローブの内部に位置する、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、実施態様8に記載の外科用器具。
【0066】
(11) 神経センサを更に備え、前記神経センサが、前記プローブによって治療された前記神経の状態を検出するように動作可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(12) 前記神経センサが前記プローブによって保持されている、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記神経センサは温度センサを備える、実施態様11に記載の外科用器具。
(14) 前記神経センサが一対の検出電極を備え、前記検出電極が、神経刺激信号を前記神経を通して方向付け、それによって、前記神経のアブレーションが完了する前に前記神経の存在を検出するように動作可能である、実施態様11に記載の外科用器具。
(15) 外科システムであって、
(a)実施態様11に記載の外科用器具と、
(b)アブレーションエネルギーを前記アブレーション要素に送達するように動作可能なアブレーションエネルギー源と、
(c)プロセッサであって、前記プロセッサが、前記神経センサ及び前記アブレーションエネルギー源と通信し、前記プロセッサが、前記神経センサによって検出された前記状態に基づいて、前記アブレーションエネルギー源から前記アブレーション要素に送達される前記アブレーションエネルギーを調節するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
【0067】
(16) 外科システムであって、
(a)外科用器具であって、前記外科用器具が、
(i)シャフトと、
(ii)前記シャフトの遠位端から遠位に延在するプローブであって、前記プローブが、
(A)遠位先端であって、前記遠位先端が組織を穿刺して患者の神経管に入るように構成されている、遠位先端と、
(B)アブレーション要素であって、前記アブレーション要素が、前記神経管内に位置する神経をアブレーションするように動作可能である、アブレーション要素と、
(C)ナビゲーションセンサであって、前記ナビゲーションセンサが、前記患者の体内の前記プローブの位置に対応する信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、を備える、プローブと、を備える、外科用器具と、
(b)プロセッサであって、前記プロセッサが前記ナビゲーションセンサと通信しており、前記プロセッサが、前記ナビゲーションセンサによって生成された前記信号に基づいて、前記患者の体内の前記プローブの位置を追跡するように動作可能である、プロセッサと、を備える、外科システム。
(17) 前記アブレーション要素が一対のRF電極を備え、前記RF電極が、双極RFエネルギーを前記神経に送達し、それによって前記神経をアブレーションするように動作可能である、実施態様16に記載の外科システム。
(18) 前記ナビゲーションセンサが導電性コイルを備える、実施態様16に記載の外科システム。
(19) シャフトと、アブレーション要素を備えるプローブと、停止要素とを有する外科用器具により患者に対して翼突管神経切除術を行う方法であって、
(a)前記外科用器具の遠位部分を前記患者の前記鼻腔内に挿入することと、
(b)前記プローブの遠位先端で、組織表面を通って、前記翼突管内に穿刺することと、
(c)前記停止要素が前記組織表面に当接するまで、前記プローブを前記翼突管に前進させることと、
(d)前記翼突管内の前記翼突管神経の少なくとも一部分を前記アブレーション要素でアブレーションすることと、
(e)前記患者から前記鼻腔を通して前記外科用器具を引き抜くことと、を含む、方法。
(20) 前記外科用器具がナビゲーションセンサを含み、前記方法が、前記ナビゲーションセンサによって提供される信号に基づいて、前記患者の体内の前記プローブの位置を追跡することを更に含む、実施態様19に記載の方法。