(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】発光ダイオードチップ及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20230417BHJP
【FI】
H01L33/38
(21)【出願番号】P 2020571519
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2018109910
(87)【国際公開番号】W WO2020073294
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-01-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518281982
【氏名又は名称】廈門市三安光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN SAN’AN OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】5F., Zonghe Bldg., No.1721, Luling Rd., Siming Dist. Xiamen, Fujian 361009, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 燦源
(72)【発明者】
【氏名】黄 少華
(72)【発明者】
【氏名】曾 暁強
(72)【発明者】
【氏名】徐 宸科
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518709(JP,A)
【文献】特開2012-138499(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0006821(KR,A)
【文献】特開2014-195055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0254384(US,A1)
【文献】特開2017-054963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086043(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101867002(CN,A)
【文献】特表2019-519935(JP,A)
【文献】特表2018-530917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長基板の上に半導体積層体を製作するステップであって、半導体積層体は、第1のタイプの半導体層と、活性層と、第2のタイプの半導体層と、を有するステップ1と、
第2のタイプの半導体層の裏側から、第2のタイプの半導体層及び活性層を貫通するくぼみを掘るステップであって、くぼみは、少なくとも第1のタイプの半導体層まで貫通するステップ2と、
第2のタイプの半導体層の表面におけるくぼみのない箇所を導電層で覆うと共に、導電層、くぼみの底部と側壁を絶縁層で覆うステップであって、導電層は、同一平面にある第1の導電層と第2の導電層とを含むステップ3と、
絶縁層の上に穴を掘って、くぼみの底部にある第1のタイプの半導体層及び第1の導電層の一部を少なくとも露出させるステップ4と、
くぼみの底部、絶縁層、第1の導電層の一部を第1の導電層の材料で覆い続け、第1の導電層の表側と第1のタイプの半導体層の裏側との接触面積は、第1のタイプの半導体層の面積の1.5%よりも大きいステップ5と、
第1の導電層の裏側にセラミック基板の表側を直接に連接するステップ6と、
成長基板を取り除くステップ7と、
第1のタイプの半導体層の表側から半導体積層体の一部を、第1の導電層と第2の導電層が露出するまで取り除くステップ8と、
露出した第1の導電層の上に第1の電極を製作すると共に、露出した第2の導電層の上に第2の電極を製作するステップ9と、を含む、 ことを特徴とする、発光ダイオードチップの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に関し、特に、発光ダイオードのチップ構造及び製作技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高ワット且つ高輝度の発光ダイオード(Light-emitting diode、略称:LED)は、現在の照明市場で高輝度の需要をもとに重要性が高くなりつつある。サファイアを基板とする水平構造のLEDは、サファイアの放熱問題及び電流クラウディング現象の原因で、高電流密度で操作されると、過熱が発生してチップが焼損されやすいことで、高ワットのLEDは水平構造を採用することができない。一方、垂直構造のLEDについては、その基板を良好な放熱性及び熱伝導性のある材料(例えば、Si、CuWなど)に替えることができると共に、垂直構造においては電流クラウディング現象が発生せず電流がよく流れ得るため、超高電流密度(例えば、2.5A/mm2以上)で操作し、高ワット且つ高輝度のLEDを実現することができる。より優れた電流の流れを得るために、どのようにして垂直型LEDにより高い電流密度、輝度、及び信頼性を実現して高ワットのLEDを実現するかが、現在のLED市場におけるホットスポットの1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高圧でより強い効率、より高い電流密度、より優れた電気的特性及び信頼性を有する薄膜発光ダイオードの構造を提供することを目的とする。それらの目的は、特許請求の範囲の独立項における薄膜発光ダイオードの構造及び該構造を製作する技術方法によって達成される。本発明に係る拡張方式及び改善方式については、それぞれ特許請求の範囲の従属項において説明し、それらの開示内容は明細書の中に明確に結合される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
背景技術における輝度向上に関する需要が解決されるように、一方で、本発明は、第1のタイプの半導体層と第2のタイプの半導体層との間にあると共に放射を生成するよう設計された活性層を有する半導体積層体を具えた発光ダイオードチップを提供し、
第1のタイプの半導体層は、半導体積層体の表側にあり、
半導体積層体は、絶縁層のくぼみを覆う少なくとも1つの側壁を含み、くぼみは、半導体積層体における表側と反対する裏側から活性層を貫通して第1のタイプの半導体層に延伸し、
第1の導電層と接続する第1の電極、及び第2の導電層と接続する第2の電極は、第1の導電層によってくぼみを通して第1のタイプの半導体層と電気的に接続し、
第1の導電層と第2の導電層とは、くぼみに沿って延伸する絶縁層によって互いに電気的に絶縁し、
第1の導電層と第2の導電層とは、いずれも半導体積層体の裏側にあり、ここで、半導体積層体の裏側にある第1の導電層とは、主にくぼみ内の第1の導電層を含まないものを指し、第2の導電層は、第2のタイプの半導体層の裏側と直接に接続し、そして導電層は、良好な放熱性のある材料を選択するものである。
【0005】
支持及び放熱のための基板については、その基板は、その上に半導体積層体をエピタキシャル成長させるための成長基板ではなく、独立の支持部材であり、半導体積層体は、上記した構造において成長基板を有しない。ここで、「成長基板を有しない」とは、必要である時に成長するよう用いられる成長基板が半導体積層体から取り除かれていること、又は大いに薄くされていることを指す。
【0006】
第1の導電層は、基板の表側と接続する。第1の導電層と第1のタイプの半導体層の裏側との接触面積は、第1のタイプの半導体層の面積の1.5%よりも大きい。第1の導電層は、第1の電極を設置するために少なくとも表側の一部が露出する一方、第2の導電層は、第2の電極を設置するために少なくとも表側の一部が露出する。露出する第1の導電層と露出する第2の導電層とは、同じ高さである。当該同じ高さという設計とは、半導体積層体を取り除いてボンディング窓を製作する際に、半導体積層体を第1の導電層まで取り除くだけで窓の露出を実現することができ、絶縁層又は金属層などの比較的に取り除きにくい部分を貫通する必要がなく、技術に係るプロセス周期を短くし、且つ技術の信頼性を向上させることができる。例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)イオンビームが遊離基のエッチングを補助して、半導体積層体の側壁に打たれた金属が電気回路のショートを及ぼし、或いは、金属と絶縁層に対して湿式エッチングを行なう効率が低いなどの問題を避けるために、くぼみから延伸する絶縁層は、第1の導電層及び第2の導電層の裏側を覆う。ここで、「くぼみから延伸する絶縁層は、第1の導電層及び第2の導電層の裏側を覆う」とは、くぼみから水平に延伸する絶縁層が少なくとも第2の導電層の一部領域の裏側を覆うことを指す。いくつかの実施形態では、すべての第2の導電層の裏側は、絶縁層により覆われることができ、第2の導電層、特に第1の導電層は垂直方向において多層に設置することができ、表側が絶縁層により覆われる構造が存在する可能性がある。第1の電極と第2の電極とは表側へ向かう。本発明の実施形態において、すべての第2の導電層は絶縁層の表側を覆い、且つ本発明の第1の電極と第2の電極とは、電気的に接触する領域、例えば、ボンディングパッドを指し、表側から発光ダイオード本体に電気的に接触するように適用されるものである。第1の電極と第2の電極とは、同一平面に製作されるものであり、即ち、第1の電極と第2の電極とが露出して、同一平面にある電極の窓を製作することに用いられ、全体の構造を製作し、技術を簡単化し、同じ高さの電極を製作することに有利であり、異なる高さの電極は、ボンディングの困難性が増加し、ボンディングの効率が低くなることがある。第1の電極と第2の電極とは、半導体積層体の側部にあり、それによって、第1の電極及び/又は第2の電極が半導体積層体の上側に設置されることで、放射を遮蔽すること、放射効率の低下を及ぼすことを避けることだけではなく、ボンディングを実行しやすい。第1の電極は第1の導電層の表側と電気的に接続するよう設計され、同様に、第2の電極は第2の導電層の表側と電気的に接続するよう設計される。
【0007】
有利なことに、第1の導電層は、放熱基板及び第1のタイプの半導体層とそれぞれ接続し、良好な熱伝導チャネルを構成して、熱量を第1のタイプの半導体層から放熱基板に導く。重量子井戸の励起放射は第1のタイプの半導体層を経由して起きるため、熱量が第1のタイプの半導体層に容易に蓄積され、本発明の第1の導電層が熱量を第1のタイプの半導体層から放熱基板によく伝えることができる。
【0008】
それだけではなく、第1の電極と第2の電極とは、共に表側へ向かい、露出する第1の導電層と第2の導電層とは同じ高さであり、露出する第1の導電層と露出する第2の導電層とは半導体積層体の側部にあり、成長基板の上に複数の直列接続及び/又は並列接続の構造を製作するよう適用され、高圧構造のユニット部品として設計することに有利である。
【0009】
本発明のいくつかの拡張の実施例において、第1の導電層と第1のタイプの半導体層の裏側との接触面積は、第1のタイプの半導体層の面積の2.3%以上2.8%以下、2.8%以上4%以下、又は4%以上6%以下の範囲内にあることが好ましい。その中で、4%以上6%以下という範囲であれば熱量を第1のタイプの半導体層から導出することに対して有利である。
【0010】
本発明によれば、第1の導電層及び/又は第2の導電層は、金属材料であることが好ましい。金属の導電材料は、非金属の導電材料と比べてより優れた熱伝導性を有する。
【0011】
本発明によれば、くぼみの開口直径は、15μm以上32μm以下、又は32μm以上40μm以下の範囲内にあることが好ましい。くぼみの開口直径が小さくなると、熱抵抗が増加してしまうので、単にくぼみの数量を増やして総面積を増やしても、より優れた放熱性及び熱伝導性の実現にはつながらない。
【0012】
本発明のいくつかの実施例において、くぼみの開口直径が34μm以上36μm以下の範囲内にある場合、くぼみの数量は、20~25個であることが好ましい。
【0013】
本発明のいくつかの拡張の実施例において、第1のタイプの半導体層の厚さは、2μm以上であり、くぼみの第1のタイプの半導体層内の深さは、0.6μm以上であることが好ましい。本設計は、第1のタイプの半導体層内における熱量が蓄積される問題を解決することに重点を置いている。
【0014】
本発明によれば、第1のタイプの半導体層が放射を吸収することを減少するために、第1のタイプの半導体層の厚さは、2μm~3μmの範囲内にあることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、絶縁層の機能は、第1の導電層と第2の導電層とを互いに電気的に遮蔽することにあることが好ましい。ここで説明した電気的に遮蔽するとは、互いに電気的に接続しないことではなく、第1の導電層と第2の導電層とが短絡を避けるために、直接に電気的に接続されないということを指す。その材料は、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、又はセラミックから選択されるものである。
【0016】
本発明によれば、第1の導電層は、オーム接触層、金属反射層、金属結合層、又は以上の組み合わせからなる群から選択されるものであることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、第2の導電層は、透明導電層、金属反射層、金属拡散阻止層、又は以上の各層の組み合わせからなる群から選択されるものであることが好ましい。
【0018】
第1の導電層は、第1のタイプの半導体層と良好な電気接続性能を有するオーミック接触層、例えば、Cr、Ni、Au、Liなどを含む。放射を生成する半導体積層体における支持部材に向かう、特に支持基板と半導体積層体との間に金属反射層を加え又は構築し、当該金属反射層は、半導体積層体において生成した電磁放射の少なくとも一部を当該半導体積層体の中に反射し戻す。その中で、放射を生成する半導体積層体は、特に放射を生成するエピタキシャル積層体であり、金属反射層の材料は、例えば、Agである。結合層は、主に基板と接触する一側の良好な結合特性のある第1の導電層の金属材料、例えば、よく見られるAuを指すものである。導電層と半導体層との接触を高めて、両者の電気抵抗を小さくするために、導電層と半導体層との間にTCL(transparent conductive layer)透明接触層を増設し、例えば、1層のITO(Indium Tin Oxide)を増設する。ここで説明した導電層は、第1の導電層及び第2の導電層を含み、半導体層は、順次に対応する第1のタイプの半導体層及び第2の導電層を含み、その中の1組又は2組を任意に選択してTCL透明接触層を挿入する。
【0019】
本発明によれば、第2の導電層の材料は、Ag、Au、Ti、Al、Cr、Pt、TiW、Ni又は以上の組み合わせからなる群から選択されるものであることが好ましい。その中で、Agは金属反射材料として適用され、TiWは金属クラッド材料及び金属拡散阻止材料として適用され、Cr、Ni、Auはオーミック接触材料として適用される。
【0020】
本発明によれば、半導体積層体は、高さが5μm以上7μm以下の範囲内にある薄膜構造であり、又は7μm以上8μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、第1の電気的接続層と第2の導電層とは、少なくとも一部が共に製作するよう設計されると共に、同一平面にあり、且つ露出する第1の導電層と絶縁層の裏面側にある第1の導電層とは、異なる技術によって製作されることが好ましい。
【0022】
本発明によれば、チップは、上から下に順次に積み重なる第2の導電層、絶縁層、第1の導電層を含むことが好ましい。第1の導電層と放熱基板とが直接に接触するため、第1の導電層は絶縁層の熱量を導出することもできる。
【0023】
本発明によれば、基板については、温度が100℃にある場合に熱伝導係数が150W/(m・kK)以上であり、例えば、Si、Cu、又はセラミックであることが好ましい。特にセラミックの基板のチップを採用すると、セラミックの基板は良好な放熱性を有して第1の導電層と共に熱量を第1の導電層からよりよく導出することができる一方、セラミックの基板の絶縁性のため、高圧製品において同一の基板の上に複数の直列接続及び/又は並列接続の構造を製作することに有利である。第1の導電層は、セラミック基板のすべての表側を覆う。ここで説明した基板のすべての表側とは、第1の導電層が基板の上側を覆う大部分の領域を指すものであり、100%覆うということではない。これは、実際の製品においては基板の上にいくつかの分離処理をやりやすくするための残余空間を予め残すことがあるためである。
【0024】
上記した発光ダイオードチップの構造に基づいて、本発明は、発光ダイオードチップの製作方法をも提供する。該方法は、以下のステップを含む。
【0025】
ステップ1において、例えば、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)金属気相成長などのエピタキシャル技術により、成長基板の上に半導体積層体を製作する。半導体積層体は、第1のタイプの半導体層と、活性層と、第2のタイプの半導体層と、を順次に含む。第1のタイプの半導体層と活性層と第2のタイプの半導体層とは、放射能力を具備するPN接合を構成する。
【0026】
ステップ2において、第2のタイプの半導体層の裏側から、第2のタイプの半導体層及び活性層を貫通するくぼみを掘る。該くぼみは、少なくとも第1のタイプの半導体層まで貫通する。且つ該くぼみは、1つ又は複数を有する。
【0027】
ステップ3において、第2のタイプの半導体層の表面におけるくぼみのない箇所を導電層で覆う。技術の精度により制限されるため、くぼみに近い第2のタイプの半導体層の表面は導電層で覆わない。導電層は、同一平面にある第1の導電層と第2の導電層とを含む。導電層に向かって、くぼみの底部と側壁を絶縁層で覆う。
【0028】
ステップ4において、絶縁層に穴を掘って、くぼみの底部にある第1のタイプの半導体層及び第1の導電層の一部を少なくとも露出させる。
【0029】
ステップ5において、くぼみの底部、絶縁層、第1の導電層の一部に第1の導電層の材料を覆い続ける。そして、本発明の説明を容易にするために、第1のタイプの半導体層と接触するオーミック接触層、金属反射層、基板と接触する金属接合層などは、第1の導電層と定義する。本ステップにおいて説明した第1の導電層はくぼみの底部においてオーミック接触材料であり、絶縁層上および露出する第1の導電層の一部においては主に金属接合層である。
【0030】
ステップ6において、第1の導電層の裏側に放熱基板を直接に接続する。
【0031】
ステップ7において、成長基板を取り除く。
【0032】
ステップ8において、第1のタイプの半導体層の表側から半導体積層体の一部を、第1の導電層と第2の導電層が露出するまで取り除く。
【0033】
ステップ9において、露出する第1の導電層の上に第1の電極を製作すると共に、第2の導電層の上に第2の電極を製作する。
【0034】
従来の技術に比べて、本発明が提供する発光ダイオードチップは以下の技術効果を含む。
【0035】
第1の電極と第2の電極は表側へ向かい、第1の導電層は基板の表側及び第1のタイプの半導体層の裏側にそれぞれ接触し、その接触面積は、第1のタイプの半導体層の面積の1.5%よりも大きい。よって、第1の導電層を経由して半導体積層体における熱量、特に第1のタイプの半導体層における熱量を放熱基板に導出して、製品の信頼性を増加する。
【0036】
作動する際に電流が半導体積層体を垂直に流れ、垂直型発光ダイオードの電流の均一分布の特性を具備する。
【0037】
第1の電極と第2の電極とは表側へ向かい、且つくぼみによって電流の均一分布を実現し、複数の直列接続及び/又は並列接続の設計を容易に実行することができる。成長基板の上に製作された複数の直列接続及び/又は並列接続の構造は、優れた高圧特性のある高圧構造のユニット部品(COB、chip on boardの市場)として設計することに有利である。
【0038】
例えば、UVの固化の分野に用いられるUVLEDに係る特殊な応用において、UV光が半導体積層体の材料により容易に吸収される。なお、放熱を拡散する問題については、本発明のチップ構造の熱電分離の設計は、光取り出し面の第1のタイプの半導体層における熱量を放熱基板からよく導出することができる。
【0039】
上記した発光ダイオードチップの構造及び製作方法によれば、複数の発光ダイオードユニットを含む発光ダイオード素子を更に設計する。
【0040】
発光ダイオードユニット同士の間は、直列接続を採用する。
【0041】
発光ダイオードユニット同士の間の半導体積層体は互いに離れている。上記の直列接続は、互いに離れた半導体積層体が直列接続となることを更に指す。該半導体積層体は、第1のタイプの半導体層と第2のタイプの半導体層との間にあると共に放射を生成するよう設計された活性層を有する。
【0042】
その中で、第1のタイプの半導体層は、半導体積層体の表側にある。
【0043】
半導体積層体は、1つ又は複数の絶縁層に覆われたくぼみを含み、該くぼみは、半導体積層体における表側と反対する裏側から活性層を貫通して第1のタイプの半導体層に延伸する。
【0044】
第1の導電層は、くぼみを通して第1のタイプの半導体層と電気的に接続し、第2の導電層は、第2のタイプの半導体層と電気的に接続する。
【0045】
第1の導電層と第2の導電層とは、くぼみによって互いに電気的に絶縁する。
【0046】
複数の発光ダイオードユニットにおける一つ目の発光ダイオードユニットは、少なくとも一部の第1の導電層が露出していて、且つその露出する第1の導電層と電気的に接続する第1の電極を具える。最後の発光ダイオードユニットは、少なくとも一部の第2の導電層が露出していて、且つその第2の導電層と電気的に接続する第2の電極を具える。第1の電極と第2の電極とは、発光ダイオード素子の外側にあり、発光領域は、発光ダイオード素子の内部に集中することができ、それによってより強い光取り出しの集中度を具備する。
【0047】
第1の電極と第2の電極とは表側へ向かい、第1の導電層の裏側は、基板の表側と接続し、第1の導電層の表側と第1のタイプの半導体層の裏側との接触面積は、第1のタイプの半導体層210の面積の1.5%よりも大きい。くぼみから延伸する絶縁層は、第2の導電層の裏側を覆う。任意の隣り合う2つの発光ダイオードユニットにおいては、その1つの発光ダイオードユニットの第2の導電層と他の1つの発光ダイオードユニットの第1の導電層との間に一体接続するための接続部を設けている。
【0048】
複数の発光ダイオードユニットは、同一の支持及び放熱基板を共用する。基板は、その上に半導体積層体をエピタキシャル成長させるための成長基板ではなく、独立の支持部材であり、半導体積層体は、上記した構造において成長基板を有しない。ここでは、「成長基板を有しない」とは、必要である時に成長するよう用いられる成長基板が半導体積層体から取り除かれていること、又は大いに薄くされていることを指す。
【0049】
本発明のいくつかの実施例において、互いに離れた半導体積層体の間で部分的に一体接続する接続部を少なくとも露出させ、例えば、そのうちの1つの発光ダイオードユニットは第2の導電層が露出し、他の1つの発光ダイオードユニットは第1の導電層が露出する。その2つの導電層は、一体接続されて、互いに離れた半導体積層体の間で一体接続するための接続部が露出する。第1の発光ダイオードユニットにおける露出する第2の導電層と第2の発光ダイオードにおける露出する第1の導電層とは同じ高さである。ここでの同じ高さとは、主に第1の発光ダイオードユニットにおける露出する第2の導電層と第2の発光ダイオードにおける露出する第1の導電層との表側の高さが同じであることを指す。更に言うと、厚さ、材料、及び構造が同じあって、導電層をパターン化する際にのみ第1の発光ダイオードユニットの第2の導電層及びその第1の導電層を離間して、第2の発光ダイオードユニットの第1の導電層及びその第2の導電層を離間するだけでよい。ここでの第1の発光ダイオードユニットにおける第2の導電層、及び第2の発光ダイオードユニットにおける第1の導電層は、全体の導電層の構造を指すのではなく、半導体積層体に近づく一部の第1の発光ダイオードユニットにおける第2の導電層及び一部の第2の発光ダイオードユニットにおける第1の導電層を特に指す。これらの導電層の他に、後に蒸着などの更なる技術を通して他の部分の導電層、例えば、金属接合層をも製作する。
【0050】
上記した実施例において、各々の発光ダイオードユニットを表側から一部の絶縁層が露出するようにし、少なくとも一部が一体接続する接続部が当該一部の絶縁層の下側にあって、直接に露出する接続部が損壊されて性能が低下してしまうことを避けることができる。
【0051】
本発明によれば、複数の発光ダイオードユニットは、同じチップ構造を有することが好ましい。ここでの同じチップ構造とは、周期性を有するパターンを製作することを指す。これは互いに近似した半導体積層体、第1の導電層、第2の導電層、及び絶縁層を有する構造に製作することである。ここでの同じチップ構造とは、完全に同じである必要ではなく、特に電極(溶接ワイヤー電極)の部分が実際の需要に基づいて異なる形状又は組み合わせに設計することができる。
【0052】
本発明によれば、複数の発光ダイオードユニットは、同一の成長基板の上に共に成長された半導体積層体によって製作されたものであることが好ましい。
【0053】
本発明のいくつかの実施例において、第1の導電層と第1のタイプの半導体層の裏側との接触面積は、第1のタイプの半導体層210の面積の4%以上6%以下の範囲内にあることが好ましい。これはより高い放熱要求に適用され、例えば、より大きな負荷の状況での放熱問題を解決することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施例において、第1の導電層及び/又は第2の導電層は、金属材料を含むことが好ましい。金属の導電材料は、非金属の導電材料と比べてより優れた熱伝導性を有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施例において、半導体積層体は、高さが7μm以下にあり、半導体薄膜チップに属することが好ましい。
【0056】
各々の発光ダイオードユニットは、上から下に順次に積み重なる第2の導電層、絶縁層、第1の導電層を含むことが好ましい。第1の導電層と放熱基板とが直接に接触するため、第1の導電層は絶縁層の熱量を導出することもできる。
【0057】
本発明のいくつかの実施例において、基板の材料は、セラミックであることが好ましい。金属材料と比べて、セラミックは優れた放熱特性を確保することができるだけではなく、絶縁性を利用して全体的な素子の信頼性を向上させることもできる。
【0058】
本発明のいくつかの実施例において、隣り合う2つの発光ダイオードユニットの第1の導電層は、絶縁層によって離間されることが好ましい。
【0059】
本発明のいくつかの実施例において、発光ダイオード素子は、3個~6個、又は7個~9個の発光ダイオードユニットを含むことが好ましい。直列接続される発光ダイオードユニットが多ければ多いほど、従来の構造と比べて、本発明は光の集中又は放熱に関する利点を更に具備するようになる。
【0060】
高圧の発光装置を製作するための発光ダイオード素子の製作方法は、以下のステップを含む。
【0061】
ステップ1において、成長基板の上に半導体積層体を製作する。半導体積層体は、第1のタイプの半導体層と、活性層と、第2のタイプの半導体層と、を含む。
【0062】
ステップ2において、第2のタイプの半導体層の裏側から、第2のタイプの半導体層及び活性層を貫通するくぼみを掘る。該くぼみは、少なくとも第1のタイプの半導体層まで貫通する。
【0063】
ステップ3において、第2のタイプの半導体層の表面におけるくぼみのない箇所を導電層で覆う。導電層は、n対の同一平面にある第1の導電層と第2の導電層とを含み、n≧2である。導電層、くぼみの底部と側壁を絶縁層で覆う。
【0064】
ステップ4において、絶縁層の上に穴を掘って、くぼみの底部にある第1のタイプの半導体層及びn個の第1の導電層の一部領域を少なくとも露出する。
【0065】
ステップ5において、くぼみの底部、絶縁層、n個の第1の導電層の一部領域を第1の導電層の材料で覆い続ける。n個の第1の導電層の間に絶縁層を設置して離間する。なお、製作時には上記の順序に厳格に従って本技術において第1の導電層の材料を覆う順序を決める必要がなく、即ち、その順序は需要に基づいて任意に調整することができる。
【0066】
ステップ6において、第1の導電層の裏側に放熱基板を直接に接続する。
【0067】
ステップ7において、成長基板を取り除く。
【0068】
ステップ8において、第1のタイプの半導体層の表側から半導体積層体の一部を、第1の導電層と第2の導電層が露出するまで取り除いて、n個の互いに離間した半導体積層体を形成する。
【0069】
ステップ9において、一つ目の半導体積層体に露出する第1の導電層の上に第1の電極を製作すると共に、最後の半導体積層体に露出する第2の導電層の上に第2の電極を製作する。
【0070】
従来の技術に比べて、本発明が提供する発光ダイオードチップは以下の技術効果を含む。良好な放熱機能を有する高圧の発光ダイオードを提供する。本発明で設計された発光ダイオードユニットの構造を利用して直列接続の高圧の発光ダイオードのアレイを容易に製作することができる。
【発明の効果】
【0071】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明において陳述するが、一部は明細書から明白なものであり、もしくは本発明を実施することにより理解できる。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面により特に示される構造によって実現及び獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図面は本発明に対する一層の理解のために供するものであり、また明細書の一部を構成し、本発明の実施例と共に本発明の解釈に用いられ得るが、本発明に対して限定するものではない。この他、図面のデータは概要を説明するものであり、比率に応じて描かれたものではない。
【0073】
【
図1】実施例1のステップ1~3において製作された構造の模式図である。
【
図2】実施例1のステップ4において製作された構造の模式図である。
【
図3】実施例1のステップ5において製作された構造の模式図である。
【
図4】実施例1のステップ6~7において製作された構造の模式図である。
【
図5】実施例1のステップ8~9において製作された構造の模式図である。
【
図6】実施例1のLEDの構造の模式的上面図である。
【
図7】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図8】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図9】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図10】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図11】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図12】実施例1の新構造と従来技術の旧構造とのエージングデータの対比曲線図である。
【
図13】実施例7のステップ1~2において製作された構造の模式図である。
【
図14】実施例7のステップ3において製作された構造の模式図である。
【
図15】実施例7のステップ4において製作された構造の模式図である。
【
図16】実施例7のステップ5において製作された構造の模式図である。
【
図17】実施例7のステップ6~9において製作された構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、模式図を組み合わせて、本発明の発光ダイオードチップ及びその製作方法について詳細に説明する。更に本発明を説明する前に、要するに、特定の実施例に対して改造することができるため、本発明において以下の特定の実施例を限定しない。更に要するに、本発明の範囲は、特許請求の範囲により限定され、そこで採用する実施例が説明性であり、限定性ではない。他に説明する限り、ここで用いられる全部の技術及び科学用語は、本分野における通常の知識を有する者が理解することができる意味と同じである。
【0075】
図1~
図5は、方法の各段階の模式的断面図で、第1の実施例に基づく光電子半導体本体を製作する方法を示す。
【0076】
第1の実施例において、表側から光を取り出すよう設計された発光ダイオードチップの製作技術をまず提供する。それは以下のステップを含む。
【0077】
図1にはステップ1~ステップ3において制作される構造を示している。
【0078】
ステップ1において、成長基板100の上に発光エピタキシャル層とする半導体積層体200を製作する。該半導体積層体200は、第1のタイプの半導体層210と、活性層230と、第2のタイプの半導体層220と、を含む。本実施例の半導体積層体200は、実質的に発光のPN接合である。第1のタイプの半導体層210は、N型半導体層である一方、第2のタイプの半導体層220は、P型半導体層である。なお、設計に基づいてその順序を変えることもできる。また、該活性層230は、重量子井戸の放射を生成するためのものである。ステップ2において、第2のタイプの半導体層220の裏側から、第2のタイプの半導体層220及び活性層230を貫通するくぼみを掘る。該くぼみは、少なくとも第1のタイプの半導体層210まで貫通するだけではなく、第1のタイプの半導体層210の中に貫通することもできる。ステップ3において、第2のタイプの半導体層の表面におけるくぼみのない箇所をパターン化された導電層で覆う。導電層は、同一平面にある第1の導電層310と第2の導電層320とを含む。導電層、くぼみの底部と側壁を絶縁層400で覆う。
【0079】
図2を参照して、ステップ4において、導電チャネルを有する回路構造を更に製作する。絶縁層400の上に穴を掘って、取り除かれた一部を電気的遮蔽バリアの絶縁材料とし、くぼみの底部にある第1のタイプの半導体層210を少なくとも露出させ、第1の導電層310の一部も露出させる。
【0080】
図3を参照して、ステップ5において、くぼみの底部、絶縁層400、ステップ4で露出した第1の導電層310の一部を第1の導電層310の材料で覆い続ける。これは、第1の導電層310でくぼみを充填して第1の電極610と第1のタイプの半導体層210とが容易に電気的に接続することに有利である。該ステップにおける第1の導電層310の材料の融点は接合温度よりも低く、より優れた流動性を有する。例えば、Ni又はSnを採用して、第1の導電層310の内部にある穴を減少して、製品の放熱及び信頼性を増加することに有利である。
【0081】
図4を参照して、ステップ6において、第1の導電層310の裏側に支持及び放熱基板500を直接連接する。当該直接連接は、通常は金属接合技術又は粘着技術を採用する。接合技術を採用する場合、通常はステップ6の前に基板500及び第1の導電層319の上に1層の接合金属を設ける。ここでの接合金属は、第1の導電層310とする。ステップ7において、
成長基板100を取り除く。
【0082】
図5を参照して、
図5はステップ8~ステップ9における構造について描写する。ステップ8において、第1のタイプの半導体層210の表側から半導体積層体200の一部領域を、第1の導電層310と第2の導電層320が露出するまで取り除く。本技術における1つの優勢は、エッチングにより半導体積層体200を直接に取り除いて電極の窓を形成することができ、絶縁媒体又は導電層などの取り除きにくい材料を取り除く必要がなく、技術がより簡単で高い効率及び信頼性を有することにある。ステップ9において、露出した第1の導電層310の上に第1の電極610を製作すると共に、露出した第2の導電層320の上に第2の電極620を製作する。
【0083】
本発明の第2の実施例においては、上記した技術方法を用いて得られた、信頼性を向上し、高圧のチップを製作するプロセスを簡単化することができる発光ダイオードの構造を提供する。
【0084】
図5を参照して、まず、放射のための半導体積層体200を具え、その半導体積層体200は、第1のタイプの半導体層210と、第2のタイプの半導体層220と、第1のタイプの半導体層210と第2のタイプの半導体層220との間にある上に放射を生成するよう設計された活性層230と、を有する。その中で、第1のタイプの半導体層210は、半導体積層体200の表側と隣接する。且つ、半導体積層体200は、例えば、III/V化合物半導体材料、又はII/VI化合物半導体材料に基づく。II/V化合物半導体材料は、第3族からの元素、例えば、Al、Ga、In、及び第5族からの元素、例えば、B、N、P、Asを少なくとも有する。特に、「III/V化合物半導体材料」との用語は、二元、三元、又は四元化合物の族を含む。これらの化合物は、第3族からの少なくとも1種の元素、及び第5族からの少なくとも1種の元素、特に、窒化物の化合物の半導体とリン化物の化合物の半導体を含む。このような二元、三元、又は四元化合物は、この他に、例えば、1種又は多種のドーパント、及び付加の組成成分を具えることがある。III/V化合物半導体材料に所属するものは、例えば、第III族の窒化物の化合物の半導体材料、及び第III族のリン化物の化合物の半導体材料のようなものであり、例えば、GaN、GaAs、及びInGaAlPである。半導体積層体200の高さは、5μm以上7μm以下、又は7μm以上8μm以下の範囲内にある。ここで、半導体積層体200の高さは、7μm以下であり、且つ技術性能を考えると、半導体積層体200の高さは5μm以上である。
【0085】
半導体積層体200は、絶縁層400に覆われた少なくとも1つのくぼみを含む。本実施例において、該くぼみの数量は、20~25個である。くぼみは、半導体積層体200における表側と反対する裏側から活性層230を貫通して第1のタイプの半導体層210に延伸する。第1の導電層310の裏側が基板500の表側と連接する。当該第1の導電層310は、第1の電極610を設置するために少なくとも表側の一部が露出している一方、第2の導電層320は、第2の電極620を設置するために少なくとも表側の一部が露出している。露出する第1の電極610の接続層と第2の導電層320とは同じ高さであり、当該同じ高さとは、上面が高さが一致する水平面の上にあることを指すことである。当該同じ高さの設計とは、実際には半導体積層体200に近い第1の導電層310と第2の導電層320に対して一体設計することによって製作することである。第1の導電層310と接続する第1の電極610、及び第2の導電層320と接続する第2の電極620については、第1の電極610と第2の電極620とが表側へ向かう。該第1の電極610と該第2の電極620とは、主にパッケージボンディングのための金属電極を指すものである。
【0086】
第1の導電層310がくぼみを通して第1のタイプの半導体層210と電気的に接続することによって、第1の導電層310の表側と第1のタイプの半導体層210の裏側と・BR>フ接触面積は、第1のタイプの半導体層210の面積の1.5%よりも大きい。
【0087】
第1の導電層310と第2の導電層320とは、くぼみの絶縁層400によって互いに電気的に絶縁する。くぼみから延伸する絶縁層400は、第1の導電層310と第2の導電層320との裏側を覆う。絶縁層400が第1の導電層310を覆うということは、第1の導電層310におけるすべての裏側を覆うことを指すのではなく、第1の導電層310の一部領域だけを覆うことを指す。これによって、放熱効果の低下を防止する。絶縁層400の材料は、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、又はセラミックを含む。第1の導電層310及び/又は第2の導電層320は、金属材料である。
【0088】
支持及び放熱のための基板500について、基板500の材料は、Si、Cu、又はセラミックである。ここで、特にセラミックの基板500のチップを採用すると、セラミックの基板500は良好な放熱性を有して第1の導電層310と共に熱量を第1の導電層310からよりよく導出する一方、セラミックの基板500の絶縁性のため、高圧の製品において同一の基板500の上に複数の半導体の直列接続の構造を製作することに有利である。
【0089】
第1の導電層310及び/又は第2の導電層320の材料は、Ag、Au、Ti、Al、Cr、Pt、TiW合金、Ni、又は以上の組み合わせからなる群から選択されるものである。具体的には、本実施例において第1の導電層310と第1の電極610との接触部分、及び第2の導電層320と第2の電極620との接触部分は、性能が比較的に安定なTi、Pt、Au、Cr、TiW合金である。くぼみを充填するための第1の導電層310の材料は、Al、Cr、又はAgなどの反射材料を含む。発光領域の下側にある第2の導電層320は順に、電流を拡げるためのITO、発光領域の光取り出しに対して反射を行なうAg、Ni、又はTiW、上記した材料の拡散を防止するための安定な金属材料Ti、Pt、Au、Cr、又はTiWなどである。
【0090】
図6を参照して、
図6は、本実施例の構造を更に説明するために、上面から見た角度により本発明の構造のチップを示す模式的上面図を提供する。該模式図において、光取り出し面の位置において複数のくぼみを分布する設計が見られる。当該設計には、優れた電流の拡張性及び放熱性があり、且つ第1の電極610と第2の電極620とがチップの外側に設置されている。このような発光ダイオードチップの構造は、簡単な各材料の積層、簡単な製作技術、及び高信頼性を具備する。
【0091】
図7~
図9に示されるように、外部干渉の接合温度の条件でエージング試験を行なった。従来の旧構造は、125℃の接合温度及び2000mAの電流の条件でLEDの損傷の現象が速やかに発生した。このため、本発明の新構造に対してより厳しいエージング試験の条件を提供した。新構造に対しては125℃の接合温度で2000mAの電流の条件を採用してエージング試験を行なったのに対し、旧構造に対しては75℃の接合温度で1500mAの電流の条件を採用してエージング試験を行なった。
図7には、1000時間内における新構造及び旧構造の輝度ΔLOPの対比が示され、新構造の1000時間内における輝度の変動が比較的に小さくて輝度の安定性がよいことが見て取れる。
図8には、1000時間内における新構造及び旧構造の順方向電圧の変化値ΔVFの対比が示される。該ΔVFは初期の順方向電圧との差分値であり、両者の差は大きくない。
図9には、1000時間内における新構造及び旧構造のリーク電流ΔIRの対比が示される。該ΔIRは初期のリーク電流との差分値であり、新構造では基本的にリーク電流がないのに対し、旧構造ではリーク電流がエージングの過程につれて高まっている。上記した試験のデータをまとめると、基本的に、本発明の新構造は高温、大電流密度の条件で、従来の旧構成よりも信頼性が高いという結論が得られる。
【0092】
図10~
図12に示されるように、外部干渉の接合温度の条件でエージング試験を行なった。新構造と旧構造とのそれぞれに対して、125℃の接合温度で1500mAの中程度の電流密度の条件を採用してエージング試験を行なった。
図10及び
図11には、1000時間内における新構造及び旧構造の輝度ΔLOP、順方向電圧の変化値ΔVFの対比が示される。新構造と旧構造との1000時間内における差は小さく、安定性が近似していることがわかる。
図12には、1000時間内における新構造及び旧構造の輝度ΔIRの対比が示される。新構造では基本的にリーク電流がないのに対し、旧構造ではリーク電流がエージングの過程につれて高まっている。上記した試験のデータをまとめると、基本的に、本発明の新構造は高温、中大程度の電流密度の条件で、従来の旧構成よりも信頼性が高いという結論が得られる。
【0093】
実施例3は、実施例2のいくつかの変化例である。本実施例においては、第1の導電層310と第1のタイプの半導体層210の裏側との接触面積を拡大する。該接触面積は、第1のタイプの半導体層210の面積の2.3%以上2.8%以下、2.8%以上4%以下、又は4%以上6%以下の範囲内にある。くぼみの開口直径は、15μm以上32μm以下の範囲内にある。上記した実施例と異なっているのは、第1の導電層310と第1のタイプの半導体層210との直接な接触面積を増加して、高ワットの製品に係る放熱問題を解決することにある。その高ワットの製品とは、例えば、大型のチップ又は高圧のチップである。
【0094】
実施例4は、実施例3の更なる設計である。一般に、第1の導電層310と第1のタイプの半導体層210との接触面積を確保して放熱特性を高めることができるが、開口直径が比較的に小さい場合、比較的細い第1の導電層310は熱抵抗との比率が非線形になることがある。その場合での放熱を確保するために、本実施例の設計においては、くぼみの開口直径が32μm以上40μm以下の範囲内となるように設計する。より好ましい実施方式として、くぼみの開口直径が34μm以上36μm以下の範囲内にある場合、くぼみを数量が20~25個となるように設置する。
【0095】
実施例2~実施例4のような構成のように、実施例5においては、第1のタイプの半導体層210の厚さがより厚くなるように、例えば、その厚さが2μm以上となるように設計する場合、くぼみを、第1のタイプの半導体層210内の深さが1μm以上になるまで掘る。それによって、第1のタイプの半導体層210から熱量を容易に導出することができる。例えば、第1のタイプの半導体層210の厚さは、2μm以上3μm以下の範囲内にある。
【0096】
本発明の実施例6においては、実施例1~実施例5の発光ダイオードチップをボンディングによ接続し、即ち、一つ目の発光ダイオードチップの第1の電極610を外部回路と接続し、一つ目の発光ダイオードチップの第2の電極620を2つ目の発光ダイオードチップの第1の電極610と金線により接続する。この方式によって、複数の発光ダイオードチップに対して順次に金線の回路により直列接続し、最後の発光ダイオードチップの第2の電極620を外部回路と接続して一連の直列接続の発光ダイオードチップのシリーズを構成する。応用において、直列接続された複数の発光ダイオードチップは、外部回路の電流が一定であるため、より高い使用電圧を有することが多く、他の構成に比べて、当該発光ダイオードの構成は、より容易に直列接続となるように設計することができ、且つ高圧でも信頼性が高いという利点を有する。
【0097】
本発明の実施例7においては、より簡単な技術で信頼性が高い、高圧の発光装置を製作するための発光ダイオードの製作方法を開示している。当該方法は以下のステップを含む。
【0098】
図13を参照して、ステップ1において、まず、発光ダイオード素子のエピタキシャル構造を製作する。これは
成長基板100の上に半導体積層体200を製作する。該半導体積層体200は、第1のタイプの半導体層210と、活性層230と、第2のタイプの半導体層220とを有し、これら三者によりPN接合を構成する。ステップ2において、例えば、湿式エッチング又は乾式エッチングにより、第2のタイプの半導体層220の裏側から、第2のタイプの半導体層220及び活性層230を貫通する複数のくぼみを掘る。当該くぼみは、少なくとも第1のタイプの半導体層210まで貫通する。
【0099】
図14を参照して、ステップ3において、第2のタイプの半導体層220の表面におけるくぼみのない箇所を導電層で覆う。続いての回路接続に対応する図形設計をすることができるように、導電層は離散分布される。当該導電層は、n対の同一の水平面にある第1の導電層310及び第2の導電層320を含む。各対の第1の導電層310及び第2の導電層320は、後続で製作される独立の半導体積層体200にあり、n≧2である。そして、導電層、及びくぼみの底部と側壁の各部分を、絶縁層400で覆う。
【0100】
図15を参照して、ステップ4において、絶縁層400におけるいくつかの領域に穴を掘って、くぼみの底部にある第1のタイプの半導体層210及びn個の第1の導電層310の一部領域を少なくとも露出させる。露出したくぼみの底部にある第1のタイプの半導体層210及びn個の第1の導電層310は、電気的接続の窓を製作するために用いられるものである。
【0101】
図16を参照して、ステップ5において、くぼみの底部、絶縁層400、n個の第1の導電層310の一部領域を第1の導電層310の材料で覆い続ける。ここで説明した第1の導電層310とは、主に多種の材料層から構成されるものを指し、第1の導電層310と統一して定義する。n個の第1の導電層310の間に、絶縁層400を設置して離間し、且つ新たに覆われる第1の導電層310の材料によって、電気的接続をステップ3で製作された第2の導電層320と同じ高さである第1の導電層310に導出する。
【0102】
図17を参照して、ステップ6において、第1の導電層310の裏側に放熱基板500を直接連接する。該放熱基板500は、セラミック又は金属を含む。当該直接連接は、通常は金属接合技術又は粘着技術を採用する。接合技術を採用する場合、通常はステップ6の前に基板500及び第1の導電層319の上に1層の接合金属を設ける。ここでの接合金属は、第1の導電層310とする。ステップ7において、
成長基板100を取り除く。ここでの
成長基板100を取り除くことは、
成長基板100を完全に取り除くこと、又は
成長基板100を薄くすることを含む。ステップ8において、第1のタイプの半導体層210の表側から半導体積層体200の一部を、第1の導電層310と第2の導電層320が露出するまで取り除く。この技術の設計では第1の導電層310と第2の導電層320との比較的に安定な材料を取り除くことができるので、当該技術は可制御性が良くて、n個の互いに離間する半導体積層体200を形成することができる。ステップ9において、半導体積層体200において露出した第1の導電層310の上に第1の電極610を製作すると共に、最後の半導体積層体200において露出した第2の導電層320の上に第2の電極620を製作する。該第1の電極610と該第2の電極620とは外部回路と接続するように用いられるものである。
【0103】
図17を参照して、上記した技術に基づいて主に高圧部品に用いられる発光ダイオード素子の構造を提供する。本発明の実施例8において、当該構造では、発光ダイオードユニット同士の間に直列接続を採用し、且つ発光ダイオード素子は、3つ~6つ、又は7つ~9つの発光ダイオードユニットを含む。直列接続の形式を設計するために、発光ダイオードユニット同士の間の半導体積層体200が互いに離間しており、互いに半導体積層体200の内部にある導電層により直列の電気的接続を構成する。半導体積層体200は、第1のタイプの半導体層210と第2のタイプの半導体層220との間にあると共に放射を生成するよう設計される活性層230を具える。その中で、第1のタイプの半導体層210は、半導体積層体200の表側にある。該半導体積層体200は、絶縁層400に覆われる1つ又は複数のくぼみを含む。該くぼみは、電流チャネルとして半導体積層体200の表側と反対する裏側から活性層230を貫通して第1のタイプの半導体層210に延伸する。導電の特性を有する第1の導電層310は、くぼみを貫通して第1のタイプの半導体層210と電気的に接続すると共に、導電の特性を有する第2の導電層320は、第2のタイプの半導体層220と電気的に接続する。第1のタイプの半導体層210と第2のタイプの半導体層220とは、くぼみから延伸する絶縁層400により互いに電気的に絶縁する。複数の発光ダイオードユニットにおける、一つ目の発光ダイオードユニットは、少なくとも第1の導電層310の一部が露出し、且つ露出した第1の導電層310と電気的に接続する第1の電極610を具え、最後の発光ダイオードユニットは、少なくとも第2の導電層320の一部が露出し、且つ露出した第2の導電層320と電気的に接続する第2の電極620を具える。第1の電極610と第2の電極620とは、発光ダイオード素子の外側にあると共に表側へ向かう。
【0104】
第1の導電層310の裏側と基板500の表側とが連接し、第1の導電層310の表側と第1のタイプの半導体層210の裏側との接触面積は第1のタイプの半導体層210の面積の1.5%よりも大きい。くぼみから延伸する絶縁層400は、第2の導電層320の裏側を覆う。任意の隣り合う2つの発光ダイオードユニットにおいては、その内の1つの発光ダイオードユニットの第2の導電層320と他の1つの発光ダイオードユニットの第1の導電層310とは一体接続の接続部を設けている。隣り合う2つの発光ダイオードユニットの第1の導電層310は、絶縁層400により離間されている。発光ダイオードユニットにおけるいくつかの領域において、上から下に順次に積み重なる第2の導電層320、絶縁層400、及び第1の導電層310を含む。
【0105】
該複数の発光ダイオードユニットは、同一の支持及び放熱基板500を共用する。薄膜発光ダイオードにおいて、半導体積層体200の高さは7μm以下である。
【0106】
本実施例において、第1の導電層310及び/又は第2の導電層320は、主に金属材料であり、ITOといった電流を拡げるための材料を有しない可能性もある。互いに離間した半導体積層体200の間に、少なくとも一体接続する接続部の一部を露出させる。該構造は、主に互いに離間した半導体積層体200を製作する際に、取り除く工程を接続部まで行なうだけでよいことにし、技術上制御をより容易にするためのものである。
【0107】
図18を参照して、上記した実施例8によれば、接続部を保護し、外部環境から直接影響を受けてひいては破損に至ることを減少させるために、本発明は実施例9を提供する。各々の発光ダイオードユニットの表側から絶縁層400の一部を露出させ、一体接続する接続部の少なくとも一部が該絶縁層400の下側にあるようにする。構造から見ると、水平方向において製作技術のステップ5における離間するように用いられる絶縁層400の位置を変更するだけでよい。ステップ8において、半導体積層体200を絶縁層400が露出する位置まで取り除くことで実現することができる。
【0108】
実施例8及び実施例9において、複数の発光ダイオードユニットは、同一の
成長基板100の上に共に
成長された半導体積層体200により製作されるものである。該複数の発光ダイオードユニットは、同じチップ構造を具え、即ち、
図11及び
図12において見られる周期性のユニット構造である。
【0109】
本発明の実施例10において、複数の半導体積層体200の直列接続の高圧条件について、第1の導電層310と第1のタイプの半導体層210の裏側との接触面積を拡大する。その接触面積が第1のタイプの半導体層210の面積の4%以上6%以下の範囲内に設計されている。
【0110】
上述の具体的な実施方式は本発明の部分的な好ましい実施例に過ぎず、以上の実施例は更にあらゆる組み合わせや変形を行える。本発明の範囲は以上の実施例に限定されるものではなく、本発明に基づくあらゆる変更も、本発明の保護の範囲内にあることを理解されたい。
【符号の説明】
【0111】
100:成長基板、200:半導体積層体、210:第1のタイプの半導体層、220:第2のタイプの半導体層、230:活性層、310:第1の導電層、320:第2の導電層、400:絶縁層、500:基板、610:第1の電極、620:第2の電極