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特許7263415車両シミュレーション方法、装置、機器及び媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】車両シミュレーション方法、装置、機器及び媒体
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/06 20060101AFI20230417BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230417BHJP
【FI】
B60W50/06
B60W60/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021033509
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2021138363
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】202010139855.8
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】タン, イーノン
(72)【発明者】
【氏名】ツイ, シャオ
(72)【発明者】
【氏名】グォ, ディンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ, ヂェングァン
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537025(JP,A)
【文献】特開2018-202894(JP,A)
【文献】MADLAB EXPO 2018 [Subtrack 2]Vehicle Dynamics Blockset,2018年04月26日,https://www.matlabexpo.com/content/dam/mathworks/mathworks-dot-com/images/events/matlabexpo/kr/2018/introduction-to-vehicle-dynamics-blockset.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シミュレーション装置によって実行される車両シミュレーション方法であって、
タイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するステップと、
車体動力学モジュールにより、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定するステップと、を含むことを特徴とする、車両シミュレーション方法。
【請求項2】
現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、前記方法は、
車体動力学モジュールにより、上層計画モジュールが前記現在の時刻の車体運動データに基づいて車両走行のシミュレーションを制御するように、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、前記方法は、
車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重をタイヤ動力学モジュールに送信するステップと、
タイヤ動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重に基づいて次の時刻のタイヤ並進力を決定するステップと、をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御命令は、シフトポジション、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度、及びステアリングホイールの回転方向のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する前に、前記方法は、
タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、前記制御命令を車両制御パラメータに変換するステップをさらに含み、
前記車両制御パラメータは駆動トルク及び/または制動トルクを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するステップは、
駆動トルク、制動トルク、タイヤ回転半径、タイヤ空気圧、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度とタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ運動パラメータを決定するステップと、
タイヤ回転半径、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦方向スリップ率を決定し、前記タイヤ縦方向スリップ率及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦力を決定するステップと、
タイヤホイールベース、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ横方向スリップ角を決定し、前記タイヤ横方向スリップ角及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ横力を決定するステップと、を含み、
前記タイヤ並進力はタイヤ縦力とタイヤ横力を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御命令及びタイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定するステップは、
風速及びタイヤホイールベースに基づいて、空気抵抗と空気抵抗モーメントをそれぞれ決定するステップと、
車両慣性モーメント、前記空気抵抗、空気抵抗モーメント、タイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車体加速度及び車体ヨー角加速度をそれぞれ決定するステップと、
前記車体加速度、前記車体ヨー角加速度、タイヤホイールベース、空気抵抗、及び空気抵抗モーメントに基づいて、前記タイヤ法線方向荷重を決定するステップと、
前記車体加速度及び車体ヨー角加速度に基づいて、車体運動パラメータを決定するステップと、を含み、
車体運動パラメータは、車体加速度、車体速度、車体位置、車体ヨー角、車体ヨー角速度、及び車体ヨー角加速度のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信する前に、前記方法は、
車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを車体動力学モジュールに用いられる第1の座標系から前記上層計画モジュールに用いられる第2の座標系に変換するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
車両シミュレーション装置であって、
上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するためのタイヤ動力学モジュールと、
前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定するための車体動力学モジュールと、を含むことを特徴とする、車両シミュレーション装置。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶しており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1から8のいずれか1項に記載の車両シミュレーション方法を実行できることを特徴とする、電子機器。
【請求項11】
コンピュータ命令を記憶している非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ命令はコンピュータに請求項1から8のいずれか1項に記載の車両シミュレーション方法を実行させるために用いられることを特徴とする、コンピュータ命令を記憶している非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
コンピュータ上で動作しているときに、請求項1から8のいずれか1項に記載の車両シミュレーション方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、データ処理技術に関し、特に、自動走行技術分野に関し、具体的には、車両シミュレーション方法、装置、機器及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人走行車両はスマート自動車の1種であり、車輪型移動ロボットとも呼ばれ、車載センサーシステムにより道路環境を感知し、走行ルートを自動的に計画し、所定の目的地に到達するように車両を制御する。
【0003】
技術の進歩に伴い、無人走行車両の性能が絶えず最適化されている。無人走行車両に新しい車両機能を組み込む場合には、通常、車両性能をテストする必要がある。テストはシミュレーションテスト及び路上テストを含む。
【0004】
従来技術において、無人走行車両をシミュレーションする場合には、主に、計画速度情報と位置情報などの車両状態情報を直接送信して実現していたが、車両の実際の実行状況は考慮していなかった。そのため、シミュレーション効果と車両の実際の運転結果との差が大きくなり、車両テストの時間的コスト及び経済的コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、シミュレーションテストと路上テストとの一致性を向上させ、さらに車両シミュレーションテストによる路上テストの置換を実現し、車両テスト効率を向上させ、テストコストを削減するための、車両シミュレーション方法、装置、機器及び媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本出願の実施例は車両シミュレーション方法を提供する。この方法は、タイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ力受けを決定するステップと、車体動力学モジュールにより、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定するステップと、を含む。
【0007】
本出願の実施例はタイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定し、車体運動学モデルにより、制御命令及び現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。上記技術案はタイヤ動力学モジュール及び車体運動学モジュールによる上層計画モジュールから送信された制御命令への処理、及び2つの動力学モジュール間のデータやり取りにより、タイヤ並進力及び車体運動学データとタイヤ法線方向荷重を決定することで、ダイナミクスモデルと従来の無人車両のフレーム全体との間の組み合わせを実現し、車両シミュレーションテストの完全な閉ループを形成し、車両シミュレーション結果のシミュレーション精度を向上させる。さらに、車両シミュレーション結果と路上テストとの一致性を向上させることにより、車両に新しい車両機能を組み込む場合に車両シミュレーションテストによる路上テストを置換でき、車両テスト効率を向上させ、テストコストを削減することができる。車体動力学モジュール及びタイヤ動力学モジュールによりタイヤ並進力及び車体運動データとタイヤ法線方向荷重をそれぞれ決定し、異なる動力学モジュールは、それぞれの役割を果たすとともに互いに補い合い、ダイナミクスモデルにおけるコードセグメント間のデカップリングを実現する。
【0008】
好ましくは、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、前記方法は、車体動力学モジュールにより、上層計画モジュールが前記現在の時刻の車体運動データに基づいて車両走行のシミュレーションを制御するように、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信するステップをさらに含む。
【0009】
上記出願における選択可能な一実施形態は、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、車体動力学モジュールにより、上層計画モジュールが現在の時刻の車体運動データに基づいて車両走行のシミュレーションを制御するように、現在の時刻の車体運動データを上層モジュールに送信することで、車両シミュレーションプロセスに対する制御を実現する。
【0010】
好ましくは、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、前記方法は、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重をタイヤ動力学モジュールに送信するステップと、タイヤ動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重に基づいて次の時刻のタイヤ並進力を決定するステップと、をさらに含む。
【0011】
上記出願における選択可能な一実施形態は、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、車体運動学モジュールにより、現在の時刻のタイヤ法線方向荷重をタイヤ動力学モジュールに送信し、タイヤ動力学モジュールにより、現在の時刻のタイヤ法線方向荷重に基づいて次の時刻のタイヤ並進力を決定することで、次の時刻の車両走行のシミュレーションにデータサポートを提供する。
【0012】
好ましくは、前記制御命令は、シフトポジション、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度、及びステアリングホイールの回転方向のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
上記出願における選択可能な一実施形態は、制御命令を細分化することで、車両シミュレーションテストを行う時の適用シーンを豊富にし、シフトアップ・ダウン、アクセルの増減、ブレーキング、及び回転などのいずれかの状況下でも車両のシミュレーションテストを実現できるようにする。
【0014】
好ましくは、制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する前に、前記方法は、タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、前記制御命令を駆動トルク及び/または制動トルクを含む車両制御パラメータに変換するステップをさらに含む。
【0015】
上記出願における選択可能な一実施形態は、タイヤ並進力を決定する前に、タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、制御命令をタイヤ動力学モジュール及び車体動力学モジュールによって識別可能な車両制御パラメータに変換し、後続の車体運動データ、タイヤ並進力及びタイヤ法線方向荷重の決定に保証を提供する。
【0016】
好ましくは、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するステップは、駆動トルク、制動トルク、タイヤ回転半径、タイヤ空気圧、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度とタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ運動パラメータを決定するステップと、タイヤ回転半径、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦方向スリップ率を決定し、前記タイヤ縦方向スリップ率及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦力を決定するステップと、タイヤホイールベース、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ横方向スリップ角を決定し、前記タイヤ横方向スリップ角及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ横力を決定するステップと、を含み、前記タイヤ並進力はタイヤ縦力とタイヤ横力を含む。
【0017】
上記出願における選択可能な一実施形態は、現在の時刻のタイヤ並進力の決定プロセスを、タイヤ運動パラメータの決定に細分化し、タイヤ運動パラメータに基づいてタイヤ縦力及びタイヤ横力をそれぞれ決定することにより、タイヤ並進力の決定機構を改善する。
【0018】
好ましくは、前記制御命令及びタイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定するステップは、風速及びタイヤホイールベースに基づいて、空気抵抗と空気抵抗モーメントをそれぞれ決定するステップと、車両慣性モーメント、前記空気抵抗、空気抵抗モーメント、タイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車体加速度及び車体ヨー角加速度をそれぞれ決定するステップと、前記車体加速度、前記車体ヨー角加速度、タイヤホイールベース、空気抵抗、及び空気抵抗モーメントに基づいて、前記タイヤ法線方向荷重を決定するステップと、前記車体加速度及び車体ヨー角加速度に基づいて、車体運動パラメータを決定するステップと、を含み、車体運動パラメータは、車体加速度、車体速度、車体位置、車体ヨー角、車体ヨー角速度、及び車体ヨー角加速度のうち少なくとも1つを含む。
【0019】
上記出願における選択可能な一実施形態は、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重の決定プロセスを、空気抵抗、及び空気抵抗モーメントの決定と、車体加速度及び車体ヨー角加速度の決定に細分化し、さらに、上記決定結果に基づいて現在の時刻の車体運動パラメータ及びタイヤ法線方向荷重を決定することにより、現在の時刻の車体運動パラメータ及びタイヤ法線方向荷重の決定機構を改善する。
【0020】
好ましくは、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信する前に、前記方法は、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを車体動力学モジュールに用いられる第1の座標系から前記上層計画モジュールに用いられる第2の座標系に変換するステップをさらに含む。
【0021】
上記出願における選択可能な一実施形態は、車体ダイナミクスモデルが上層計画モジュールに現在の時刻の車体運動データを送信する前に、現在の時刻の車体運動データを座標系に変換する。それにより、上層計画モジュールが車体運動データに基づいて車両走行を制御するようにし、上層計画モジュールのデータ演算量を減らすことで、上層計画モジュールの明らかな制御、及び既存上層計画モジュールの直接再利用を実現する。
【0022】
第2の態様において、本出願の実施例は車両シミュレーション装置を提供し、この装置は、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するためのタイヤ動力学モジュールと、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定するための車体動力学モジュールと、を含む。
【0023】
第3の態様において、本出願の実施例は電子機器をさらに提供し、この電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリとを含み、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶しており、前記少なくとも1つのプロセッサが第1の態様の実施例にて提供される車両シミュレーション方法を実行できるように、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0024】
第4の態様において、本出願の実施例はコンピュータ命令を記憶している非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ命令は前記コンピュータに第1の態様の実施例にて提供される車両シミュレーション方法を実行させるために用いられる。
【0025】
第5の態様において、本出願の実施例はコンピュータプログラムをさらに提供し、前記コンピュータプログラムは前記コンピュータに第1の態様の実施例にて提供される車両シミュレーション方法を実行させるために用いられる。
【0026】
上記選択可能な形態の有する他の効果は、具体的な実施例と合わせて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は、本技術案をよりよく理解するために使用され、本出願を限定するものではない。
図1A】本出願の実施例に係る車両シミュレーションシステムのソフトウェアアーキテクチャ概略図である。
図1B】本出願の実施例1における車両シミュレーション方法のフローチャートである。
図2A】本出願の実施例2における車両シミュレーション方法のフローチャートである。
図2B】本出願の実施例2における水平方向の車体モデルの概略図である。
図3】本出願の実施例3における車両シミュレーション装置の構成図である。
図4】本出願の実施例の車両シミュレーション方法を実現するための電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面と合わせて本開示の例示的な実施例を説明する。理解を容易にするためにその中には本開示の実施例の様々な詳細事項が含まれており、それらは単なる例示的なものと見なされるべきである。したがって、当業者は、本出願の範囲及び精神から逸脱することなく、ここで説明される実施例に対して様々な変更と修正を行うことができる。同様に、明確かつ簡潔のため、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明を省略する。
【0029】
後続の実施例の技術案を明確に説明するため、まず、本出願の実施例に係る車両シミュレーションシステムのソフトウェアアーキテクチャを例示的に説明する。
【0030】
図1Aに示す車両シミュレーションシステムは、上層計画モジュール10、タイヤ動力学モジュール20及び車体動力学モジュール30を含む。
上層計画モジュール10は、シミュレーションニーズに応じて、タイヤ動力学モジュール20及び車体動力学モジュール30に制御命令を送信するために用いられ、タイヤ動力学モジュール20及び車体動力学モジュール30は、予め構築されたタイヤモデル及び車体モデルに従って、制御命令に基づいて車体運動データを決定し、決定された車体運動データを上層制御モジュール10にフィードバックするために用いられ、上層制御モジュール10は、仮想シミュレーションプラットフォームにおいて車体運動データに基づいて車両の走行シミュレーションを行うように、車両を制御するために用いられる。
【0031】
実施例1
図1Bは本出願の実施例1における車両シミュレーション方法のフローチャートであり、本出願の実施例は無人走行車両にシミュレーションテストを行う状況に適用される。該方法は車両シミュレーション装置によって実行され、該装置はソフトフェア及び/ハードウェアによって実行され、具体的には電子機器に配置される。該電子機器は車両の制御システムに集積することができる。
【0032】
図1Bに示すような車両シミュレーション方法は、S101とS102を含む。
【0033】
S101、タイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する。
【0034】
制御命令は、シフトポジション、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度、及びステアリングホイールの回転方向のうちの少なくとも1つを含み、運転者が車両走行プロセスにおいて車両を制御する状況をシミュレーションするために用いられる。
【0035】
タイヤ並進力は、タイヤ横力であって、車両の走行方向に影響を与えるために用いられ、ステアリングホイールの回転方向を含む制御命令を送信することで、タイヤ横力を制御することができるものと、タイヤ縦力であって、車両の走行速度に影響を与えるために用いられ、シフトポジション、アクセルペダル開度、及びブレーキペダル開度を含む制御命令を送信することにより、車両の加減速を制御することができるものと、を含む。
【0036】
タイヤの中心を原点とすれば、縦方向はタイヤの回転方向に沿って水平に前に向く方向であり、横方向はタイヤの表面が左を向き、縦方向に垂直な方向である。
【0037】
タイヤ法線方向荷重とタイヤ並進力は、前輪及び後輪に対してそれぞれ計算する必要があるため、車両が操舵される時に、前輪及び後輪にそれぞれ対応する横方向も、縦方向も異なることは理解できるであろう。
【0038】
S102、車体動力学モジュールにより、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。
【0039】
車体運動データは、車体加速度、車体速度、車体位置及び車体ヨー角などのうち少なくとも1つを含む。
【0040】
タイヤ法線方向荷重は、タイヤの鉛直方向の力受け状況を特徴付ける。
【0041】
例示的に、車体動力学モジュールは、制御命令及びタイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定する。
【0042】
本出願の実施例の選択可能な一実施形態において、車体動力学モジュールは、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、さらに、上層計画モジュールが前記現在の時刻の車体運動データに基づいて車両走行のシミュレーションを制御するように、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信する。
【0043】
一般的には、車体動力学モジュールと上層計画モジュールに使用される座標系は異なるため、上層計画モジュールにおけるデータ演算量を減らし、上層計画モジュールの明らかな制御及び既存上層計画モジュールの直接再利用を実現するためには、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信する前に、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻の車体運動データを車体動力学モジュールに用いられる第1の座標系から前記上層計画モジュールに用いられる第2の座標系に変換する必要がある。
【0044】
第1の座標系は車体座標系であってもよく、第2の座標系はワールド座標系であってもよい。
【0045】
車体座標系では、車両質量中心を原点とし、車頭の向きをx軸方向とし、車頭の左側の垂直方向をy軸方向とし、鉛直方向をz軸方向とする。
【0046】
本出願の実施例の別の選択可能な実施形態において、次の時刻のタイヤ並進力を決定するため、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、さらに、車体動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重をタイヤ動力学モジュールに送信し、タイヤ動力学モジュールにより、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重に基づいて次の時刻のタイヤ並進力を決定することができる。
【0047】
タイヤ動力学モジュールにより、タイヤ並進力を決定し、車体動力学モジュールにより、タイヤ法線方向荷重及び車体運動データを決定する場合、設定されたアルゴリズムモデルに従ってベクトル計算を行う必要があり、制御命令は車両における被操作モジュール(例えばアクセル、ブレーキ、シフトポジションまたはステアリングホイールなど)のアナログ量のみを特徴付けるために用いられるため、制御命令をタイヤ動力学モジュール及び車体運動学モジュールによって識別可能なデータ量に変換する必要があることは理解されよう。
【0048】
上記目的を達成するため、上層計画モジュールが制御命令をタイヤ動力学モジュール及び車体動力学モジュールに送信するプロセスでは、前処理モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、前記制御命令を駆動トルク及び/または制動トルクを含む車両制御パラメータに変換する。それに応じて前処理モジュールは、車両制御パラメータをタイヤ動力学モジュール及び車体動力学モジュールに送信して、使用に備える。
【0049】
制御システムにおけるモジュール数を減らすため、前処理モジュールをタイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュール内に統合することができ、それによりタイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、制御命令を車両制御パラメータに変換することが理解される。タイヤ動力学モジュールまたは車体動力学モジュールにより制御命令を変換する場合には、変換して得られた車両制御パラメータを他の動力学モジュール内に伝送して、使用に備える。
【0050】
本出願の実施例はタイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定し、車体運動学モデルにより、制御命令及び現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。上記技術案はタイヤ動力学モジュール及び車体運動学モジュールによる上層計画モジュールから送信された制御命令への処理、及び2つの動力学モジュール間のデータやり取りにより、タイヤ並進力及び車体運動学データとタイヤ法線方向荷重を決定することで、ダイナミクスモデルと従来の無人車両のフレーム全体との間の組み合わせを実現し、車両シミュレーションテストの完全な閉ループを形成し、車両シミュレーション結果のシミュレーション精度を向上させ、さらに、車両シミュレーション結果と路上テストとの一致性を向上させる。これにより、車両に新しい車両機能を組み込む場合に、車両シミュレーションテストによる路上テストの置換を実現することができ、車両テスト効率を向上させ、テストコストを削減することができる。車体動力学モジュール及びタイヤ動力学モジュールによりタイヤ並進力及び車体運動データとタイヤ法線方向荷重をそれぞれ決定し、異なる動力学モジュールは、それぞれの役割を果たすとともに互いに補い合い、ダイナミクスモデルにおけるコードセグメント間のデカップリングを実現する。
【0051】
実施例2
図2Aは本出願の実施例2における車両シミュレーション方法のフローチャートである。本出願の実施例は、上記各実施例の技術案に基づいて、最適化及び改善される。
【0052】
さらに、「制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する」という操作の前に、「タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、前記制御命令を駆動トルク及び/または制動トルクを含む車両制御パラメータに変換する」を追加することで、後続する現在の時刻の車体運動データの決定にデータサポートを提供する。
【0053】
図2Bに示す3自由度(degree of freedom、DOF)の水平方向の車体モデルを参照しながら、本出願の実施例を詳細に説明する。自由度は独立した座標数を特徴付けるために用いられる。車両の横方向と縦方向の並進、及びz軸回りの回転は、3つの自由度を提供する。
【0054】
本出願の実施例は、それぞれタイヤ座標系、車体座標系及びワールド座標系である3つの座標系に関する。
【0055】
タイヤ動力学モジュールはタイヤ座標系に基づいて、データ演算を行う。前輪(Front Wheel)を例とすると、タイヤ座標系はOである。Oは前輪の中心であり、xは前輪が回転方向において水平に前を向き、yは前輪のタイヤ表面がxと垂直に左を指し、zは右手の法則に従い、鉛直に上を向く。それに対応して、後輪(Rear Wheel)のタイヤ座標系はOである。Oは後輪の中心であり、xは後輪が回転方向において水平に前を向き、yは後輪のタイヤ表面がxと垂直に左を指し、zは右手の法則に従い、鉛直に上を向く。
【0056】
車体動力学モジュールは車体座標系に基づいて、データ演算を行う。車体座標系はOxyzである。Oは車両の質量中心であり、車頭の向きをx軸方向とし、車頭の左側の垂直方向をy軸方向とし、鉛直方向をz軸方向とする。
【0057】
図2Aに示す車両シミュレーション方法はS210とS202を含む。
【0058】
S201、タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、上層制御モジュールから送信された制御命令を車両制御パラメータに変換する。
【0059】
前記車両制御パラメータは駆動トルク及び/または制動トルクを含む。
【0060】
例示的に、その後に現在の時刻の車体運動データを決定する場合、まず、タイヤ動力学モジュールによりタイヤ並進力を決定し、続いて、車体動力学モジュールによりタイヤ動力学モジュールによって決定されたタイヤ並進力に基づいて、車体運動データを決定する。したがって、上層計画モジュールと動力学モジュールとの間のデータやり取り量を減らすために、通常、タイヤ動力学モジュールにより制御命令から車両制御パラメータへの変換を行い、車体動力学モジュールがデータを必要とする場合に、タイヤ動力学モジュールから取得する。
【0061】
S202、タイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する。
【0062】
タイヤ動力学モジュールはタイヤ座標系を使用するタイヤモデルに基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する。
【0063】
例示的に、制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データ及び法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するステップは、駆動トルク、制動トルク、タイヤ回転半径、タイヤ空気圧、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度とタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ運動パラメータを決定し、タイヤ回転半径、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦方向スリップ率を決定し、前記タイヤ縦方向スリップ率及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦力を決定し、及び、タイヤホイールベース、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ横方向スリップ角を決定し、前記タイヤ横方向スリップ角及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ横力を決定するものであってもよい。前記タイヤ並進力は、タイヤ縦力とタイヤ横力を含む。
【0064】
タイヤ運動パラメータはタイヤ回転加速度またはタイヤ回転速度であってもよい。
【0065】
例示的に、以下の式を用いて、前輪速度のx及びy方向における成分Vxft及びVyft、並びに後輪速度のx及びy方向における成分Vxrt及びVyrtを決定する。
【数1】

、Vはそれぞれ前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度のx軸及びy軸における成分であり、δ、δはそれぞれ車両前輪回転角及び車両後輪回転角であり、ステアリングホイール回転角とステアリングホイールからタイヤまでのギア比との比率によって決定される。伝達率は定数である。rは前の時刻の車体ヨー角速度であり、l及びlはそれぞれ車輪の前輪ホイールベース及び車輪の後輪ホイールベースである。
【0066】
例示的に、以下の式を用いて、タイヤ回転加速度及びタイヤ回転速度を決定する。タイヤ回転加速度は前輪回転加速度
【数16】

及び後輪回転加速度
【数17】

を含み、タイヤ回転速度は前輪のタイヤ回転速度ω及び後輪のタイヤ回転速度ωを含む。
【数2】

【数3】

af及びTbfはそれぞれ前輪駆動トルク及び後輪駆動トルクであり、Tbf及びTbrはそれぞれ前輪制動トルク及び後輪制動トルクであり、Rはタイヤ回転半径であり、pはタイヤ空気圧であり、Fzf及びFzrはそれぞれ前の時刻に車体動力学モジュールから出力された前輪及び後輪のタイヤ法線方向荷重であり、a、b、c、α、βは定数であり、Myf及びMyrはそれぞれ前輪及び後輪の転がり摩擦トルクであり、ωf(t-1)及びωr(t-1)はそれぞれ前の時刻の前輪及び後輪のタイヤ回転速度である。Fxf及びFxrはそれぞれ前の時刻のタイヤ縦力Fに含まれる前輪縦力Fxf及び後輪縦力Fxrである。
【0067】
例示的に、v=0.01、b=0、c=0、α=0、β=1。
af及びTbf、Tbf及びTbrは車両の駆動方式及び制動方式により、駆動トルク及び制動トルクを割り振ることができる。
【0068】
例示的に、以下の式を用いて、現在の時刻のタイヤ縦方向スリップ率を決定する。タイヤ縦方向スリップ率は前輪縦方向スリップ率κと後輪縦方向スリップ率κを含む。
【数4】
【0069】
例示的に、以下の式を用いて、現在の時刻のタイヤ縦力を決定する。タイヤ縦力は前輪縦力Fxfと後輪縦力Fxrを含む。
【数5】

F()とはマジックフォーミュラによりタイヤ縦力を計算する時の第1の式であり、Fzf、Fzrはそれぞれ前の時刻の前輪法線方向荷重と後輪法線方向荷重である。
【0070】
例示的に、以下の式を用いて、現在の時刻のタイヤ横方向スリップ角を決定する。タイヤ横方向スリップ角は前輪タイヤ横方向スリップ角α及び後輪タイヤ横方向スリップ角αを含む。
【数6】
例示的に、以下の式を用いて、現在の時刻のタイヤ横力を決定する。タイヤ横力は前輪横力Fyf及び後輪横力Fyrを含む。
【数7】
G()とはマジックフォーミュラによりタイヤ横力を計算する時の第2の式であり、第1の式は、第2の式とは異なる。
【0071】
S203、車体動力学モジュールにより、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。
【0072】
例示的に、前記制御命令及びタイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定するステップは、風速及びタイヤホイールベースに基づいて、空気抵抗と空気抵抗モーメントをそれぞれ決定し、車両慣性モーメント、前記空気抵抗、空気抵抗モーメント、タイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車体加速度及び車体ヨー角加速度をそれぞれ決定し、前記現在の時刻の車体加速度、前記車体ヨー角加速度、タイヤホイールベース、空気抵抗、及び空気抵抗モーメントに基づいて、前記タイヤ法線方向荷重を決定することと、前記車体加速度及び車体ヨー角加速度に基づいて、車体運動パラメータを決定するものであってもよい。
車体運動パラメータは、車体加速度、車体速度、車体位置、車体ヨー角、車体ヨー角速度、及び車体ヨー角加速度のうち少なくとも1つを含む。
【0073】
車体動力学モジュールには車体座標系に基づいてデータを演算し、タイヤ動力学モジュールにはタイヤ座標系に基づいてデータを演算する。したがって、タイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力、即ち前輪縦力Fxf、後輪縦力Fxr、前輪横力Fyf及び後輪横力Fyrを用いる時、座標変換を行う必要があることは理解される。
【0074】
例示的に、以下の式を用いて、タイヤ並進力をタイヤ座標系から車体座標系に変換する。
【数8】
F ’xf、F’xr、F’yf及びF’yrは、それぞれ車体座標系での前輪縦力、後輪縦力、前輪横力及び後輪横力である。
【0075】
例示的に、以下の式を用いて、シミュレーションニーズにおける風速をワールド座標系から車体座標系に変換する。
【数9】

、W及びWはそれぞれシミュレーションニーズにおける風速のワールド座標系でのX、Y及びZ軸上の成分であり、w、w及びwはそれぞれシミュレーションニーズにおける風速の車体座標系でのx、y及びz軸上の成分であり、ψは前の時刻の車体ヨー角である。
【0076】
例示的に、以下の式を用いて、風速
【数31】
を決定する。
【数10】

【数18】

【数19】
はそれぞれ前の時刻の車体速度の縦方向成分及び横方向成分である。
【0077】
例示的に、車体座標系では、以下の式を用いて、空気抵抗の車体座標系でのx、y及びz軸上の成分Fdx、Fdy及びFdzを決定する。
【数11】
Rは気体定数であり、Tは周囲空気温度であり、C、C及びCはそれぞれ車体座標系での、x、y及びz軸に沿う空気抵抗係数であり、Aは車両前面投影面積であり、Pabsは周囲絶対気圧である。上記パラメータのパラメータ値は、既知である。
【0078】
例示的に、車体座標系では、以下の式を用いて、車体座標系のx軸に沿って回転する空気抵抗ピッチングモーメントMdp及び車体座標系のy軸に沿って回転する空気抵抗ヨーイングモーメントMdyを含む空気抵抗モーメントを決定する。
【数12】
pmとCymはそれぞれ車体座標系では、空気抵抗がy軸とz軸回りに回転するモーメント抵抗パラメータであり、l及びlはそれぞれ車両の前輪ホイールベース及び後輪ホイールベースである。上記パラメータのパラメータ値は既知である。
【0079】
例示的に、車体座標系では、以下の式を用いて、現在の時刻の車体加速度
【数20】
及び車体ヨー角加速度
【数21】
を決定する。
【数13】
mは車両の総質量であり、rt-1は前の時刻の車体ヨー角速度であり、
【数22】

及び
【数23】
はそれぞれ前の時刻の車体速度のx及びy軸における成分であり、Izzはz軸に沿う車両の慣性モーメントであり、
【数24】

及び
【数25】

はそれぞれ現在の時刻の車体加速度のx及びy軸における成分である。
【0080】
例示的に、車体座標系では、以下の式を用いて、現在の時刻の車体速度
【数26】

、車体位置(x,y)、車体ヨー角速度r、及び車体ヨー角ψを決定する。
【数14】
【数27】
及び
【数28】
はそれぞれ前の時刻の車体速度のx軸及びy軸における成分であり、
【数29】
及び
【数30】

はそれぞれ現在の時刻の車体速度のx軸及びy軸における成分であり、xt-1及びyt-1はそれぞれ前の時刻の車体位置のx軸及びy軸における成分であり、x及びyはそれぞれ現在の時刻の車体位置のx軸及びy軸における成分である。
【0081】
例示的に、車体座標系では、以下の式を用いて、現在の時刻のタイヤ法線方向荷重Fを決定する。タイヤ法線方向荷重は前輪法線方向荷重Fzf及び後輪法線方向荷重Fzrを含む。
【数15】
hは車両の質量中心から地面までの高さである。
【0082】
本出願の実施例は現在の時刻のタイヤ並進力を決定する前に、タイヤ動力学モジュール及び/または車体動力学モジュールにより、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、制御命令を車両制御パラメータに変換するステップを追加する。それにより、車両によって認識可能なアナログ量をタイヤ動力学モジュール及び車体動力学モジュールによって使用可能なデータ量に変換し、それによりタイヤ動力学モジュール及び車体動力学モジュールが車体運動データを最終的に決定することにデータサポートを提供する。
【0083】
実施例3
図3は本出願の実施例3における車両シミュレーション装置の構成図であり、本出願の実施例は無人走行車両にシミュレーションテストを行う状況に適用される。該装置はソフトフェア及び/ハードウェアによって実行され、具体的には電子機器に配置される。該電子機器は車両の制御システムに集積することができる。
【0084】
図3に示す車両シミュレーション装置300はタイヤ動力学モジュール301及び車体動力学モジュール302を含む。
タイヤ動力学モジュール301は上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュール302から出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定するために用いられ、車体動力学モジュール302は、前記制御命令及び前記現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定するために用いられる。
【0085】
本出願の実施例はタイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定し、車体運動学モデルにより、制御命令及び現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。上記技術案はタイヤ動力学モジュール及び車体運動学モジュールによる上層計画モジュールから送信された制御命令への処理、及び2つの動力学モジュール間のデータやり取りにより、タイヤ並進力及び車体運動学データとタイヤ法線方向荷重を決定することで、ダイナミクスモデルと従来の無人車両のフレーム全体との間の組み合わせを実現し、車両シミュレーションテストの完全な閉ループを形成し、車両シミュレーション結果のシミュレーション精度を向上させ、さらに、車両シミュレーション結果と路上テストとの一致性を向上させることにより、車両に新しい車両機能を組み込む場合に車両シミュレーションテストによる路上テストの置換を実現することができ、車両テスト効率を向上させ、テストコストを削減する。車体動力学モジュール及びタイヤ動力学モジュールによりタイヤ並進力及び車体運動データとタイヤ法線方向荷重をそれぞれ決定し、ダイナミクスモデルにおけるデータデカップリングを可能にする。
【0086】
現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、車体動力学モジュールは、上層計画モジュールが前記現在の時刻の車体運動データに基づいて車両走行のシミュレーションを制御するように、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信するために用いられる。
【0087】
現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定した後、車体動力学モジュールは、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重をタイヤ動力学モジュールに送信するために用いられ、タイヤ動力学モジュールは、前記現在の時刻のタイヤ法線方向荷重に基づいて次の時刻のタイヤ並進力を決定するために用いられる。
【0088】
前記制御命令は、シフトポジション、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度、及びステアリングホイールの回転方向のうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定する前に、タイヤ動力学モジュール301及び/または車体動力学モジュール302は、予め設定された制御パラメータ較正表に基づいて、前記制御命令を車両制御パラメータに変換するために用いられ、前記車両制御パラメータは駆動トルク及び/または制動トルクを含む。
【0090】
タイヤ動力学モジュール301は、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定することを実行する場合に、具体的には、駆動トルク、制動トルク、タイヤ回転半径、タイヤ空気圧、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度とタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ運動パラメータを決定し、タイヤ回転半径、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦方向スリップ率を決定し、前記タイヤ縦方向スリップ率及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ縦力を決定し、タイヤホイールベース、前記タイヤ運動パラメータ、及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体速度に基づいて、現在の時刻のタイヤ横方向スリップ角を決定し、前記タイヤ横方向スリップ角及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力されたタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ横力を決定するために用いられ、前記タイヤ並進力はタイヤ縦力とタイヤ横力を含む
【0091】
車体動力学モジュール302は、前記制御命令及びタイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、現在の時刻の車体運動データ及びタイヤ法線方向荷重を決定することを実行する場合に、具体的には、風速及びタイヤホイールベースに基づいて、空気抵抗と空気抵抗モーメントをそれぞれ決定し、車両慣性モーメント、前記空気抵抗、空気抵抗モーメント、タイヤ動力学モジュールから出力された現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車体加速度及び車体ヨー角加速度をそれぞれ決定し、前記車体加速度、前記車体ヨー角加速度、タイヤホイールベース、空気抵抗、及び空気抵抗モーメントに基づいて、前記タイヤ法線方向荷重を決定し、前記車体加速度及び車体ヨー角加速度に基づいて、車体運動パラメータを決定するために用いられ、車体運動パラメータは車体加速度、車体速度、車体位置、車体ヨー角、車体ヨー角速度、及び車体ヨー角加速度のうち少なくとも1つを含む。
【0092】
車体動力学モジュール302は、前記現在の時刻の車体運動データを前記上層計画モジュールに送信することを実行する前に、さらに前記現在の時刻の車体運動データを車体動力学モジュールに用いられる第1の座標系から前記上層計画モジュールに用いられる第2の座標系に変換するために用いられる。
【0093】
上記車両シミュレーション装置は本出願のいずれかの実施例にて提供される車両シミュレーション方法を実行でき、車両シミュレーション方法の実行に対応する機能モジュール及び有益な効果を備える。
【0094】
実施例4
本出願実施例によれば、本出願は電子機器及び読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0095】
図4に示すように、本出願の実施例の車両シミュレーション方法を実現する電子機器のブロック図である。電子機器は、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルディジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ及び他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを意図する。電子機器はさらに、例えば、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス及び他の同様のコンピューティング装置など、様々な形態の移動体装置を表すことができる。本明細書に示されるコンポーネント、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、単なる例であり、本明細書に記載及び/または請求される本出願の実施を限定することを意図しない。
【0096】
図4に示すように、該電子機器は、1つまたは複数のプロセッサ401と、メモリ402と、高速インタフェース及び低速インタフェースを含み、各コンポーネントを接続するためのインタフェースと、を含む。各コンポーネントは異なるバスによって相互接続され、共通のマザーボード上に実装し、または必要に応じて他の方式で実装することができる。プロセッサは、電子機器内で実行される、GUIのグラフィックス情報を外部入力/出力装置(例えば、インタフェースに結合された表示機器)上に表示するようにメモリ内またはメモリ上に記憶されている命令を含む命令を処理することができる。他の実施形態では、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/または複数のバスを、複数のメモリ及び複数のメモリとともに使用することができる。それぞれの機器が必要な操作の一部を提供する(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバ群、またはマルチプロセッサシステムとする)複数の電子機器を接続することができる。図4では、1つのプロセッサ401を例とする。
【0097】
メモリ402は、本出願にて提供される非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。前記メモリは、少なくとも1つのプロセッサに本出願にて提供される車両シミュレーション方法を実行させるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している。本出願の非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本出願にて提供される車両シミュレーション方法をコンピュータに実行させるために用いられるコンピュータ命令を記憶する。
【0098】
非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、メモリ402は、例えば、本出願の実施例における車両シミュレーション方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、図3に示すタイヤ動力学モジュール301及び車体動力学モジュール302)のような非一時的ソフトウェアプログラム、非一時的コンピュータ実行可能なプログラム及びモジュールを記憶するために用いることができる。プロセッサ401は、メモリ402に記憶された非一時的ソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することで、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上記方法の実施例における車両シミュレーション方法を実現する。
【0099】
メモリ402は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶可能なプログラム記憶領域と、車両シミュレーション方法を実現する電子機器の利用に応じて作成されるデータなどを記憶可能なデータ記憶領域とを含むことができる。メモリ402は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、さらに、例えば少なくとも1つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、または他の非一時的ソリッドステート記憶装置のような非一時的メモリを含むことができる。いくつかの実施例では、メモリ402は、任意選択的に、プロセッサ401に対して遠隔に配置されるメモリを含み、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介して車両シミュレーション方法を実現する電子機器に接続することができる。上記ネットワークの例としては、インターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0100】
車両シミュレーション方法を実現する電子機器は、入力装置403と出力装置404とをさらに含むことができる。プロセッサ401、メモリ402、入力装置403、及び出力装置404は、バスまたは他の方式で接続することができ、図4では、バスによる接続を例とする。
【0101】
入力装置403は、入力された数字または文字情報を受信し、車両シミュレーションを実現する電子機器のユーザ設定及び機能制御に関連するキー信号入力を生成することができ、例えば、タッチパネル、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、ポインティングスティック、1つ以上のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置が挙げられる。出力装置404は、表示機器、補助照明装置(例えば、LED)、触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含むことができる。該表示機器は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、及びプラズマディスプレイを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、表示機器はタッチパネルであってもよい。
【0102】
ここで説明されるシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはこれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム内で実施されることを含むことができ、この1つまたは複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行及び/または解釈することができ、このプログラマブルプロセッサは、専用または汎用のプログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、この記憶システム、この少なくとも1つの入力装置、及びこの少なくとも1つの出力装置にデータ及び命令を送信することができる。
【0103】
これらのコンピューティングプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとも呼ばれ)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、高度プロセス及び/またはオブジェクト指向プログラミング言語、及び/またはアセンブリ/機械語でこれらのコンピュータプログラムを実行することができる。本明細書に使用される用語の「機械読み取り可能な媒体」及び「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/またはデータを提供するための任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/または装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジック装置(PLD))を指し、機械読み取り可能な信号としての機械命令を受信する機械読み取り可能な媒体を含む。用語の「機械読み取り可能な信号」は、機械命令及び/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意の信号を指す。
【0104】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここで説明されるシステム及び技術をコンピュータ上で実施することができ、このコンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)やLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)であって、ユーザがこのキーボード及びこのポインティングデバイスによりコンピュータに入力を提供可能なものと、を有する。他の種類の装置は、ユーザとのインタラクションを提供するために用いることもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感知フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であってもよく、任意の形態(音響入力、音声入力、または触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信することができる。
【0105】
ここで説明されるシステム及び技術は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとする)、またはミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを有するユーザコンピュータであり、ユーザは、このグラフィカルユーザインタフェースまたはこのウェブブラウザによってここで説明されるシステム及び技術の実施形態とインタラクションできる)、またはこのようなバックエンドコンポーネントと、ミドルウェアコンポーネントと、フロントエンドコンポーネントとの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実施される。任意の形態または媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によってシステムのコンポーネントを相互接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)と、ワイドエリアネットワーク(WAN)と、インターネットと、ブロックチェーンネットワークとを含む。
【0106】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは、一般的に、互いに離れており、通常、通信ネットワークを介してインタラクションする。対応するコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって、クライアントとサーバとの関係が生成される。
【0107】
本出願の実施例はタイヤ動力学モジュールにより、上層計画モジュールから送信された制御命令及び前の時刻に車体動力学モジュールから出力された車体運動データとタイヤ法線方向荷重に基づいて、現在の時刻のタイヤ並進力を決定し、車体運動学モデルにより、制御命令及び現在の時刻のタイヤ並進力に基づいて、車両シミュレーションを行うための現在の時刻の車体運動データ及び次の時刻のタイヤ並進力を決定するための現在の時刻のタイヤ法線方向荷重を決定する。上記技術案はタイヤ動力学モジュール及び車体運動学モジュールによる上層計画モジュールから送信された制御命令への処理、及び2つの動力学モジュール間のデータやり取りにより、タイヤ並進力及び車体運動学データとタイヤ法線方向荷重を決定することで、ダイナミクスモデルと従来の無人車両のフレーム全体との間の組み合わせを実現し、車両シミュレーションテストの完全な閉ループを形成し、車両シミュレーション結果のシミュレーション精度を向上させ、さらに、車両シミュレーション結果と路上テストとの一致性を向上させることにより、車両に新しい車両機能を組み込む場合に車両シミュレーションテストによる路上テストの置換を実現することができ、車両テスト効率を向上させ、テストコストを削減する。車体動力学モジュール及びタイヤ動力学モジュールによりタイヤ並進力及び車体運動データとタイヤ法線方向荷重をそれぞれ決定し、異なる動力学モジュールは、それぞれの役割を果たすとともに互いに補い合い、ダイナミクスモデルにおけるコードセグメント間のデカップリングを実現する。
【0108】
以上に示される様々な形態のフローを使用して、ステップを新たに順序付け、追加、または削除することが可能であることを理解すべきである。例えば、本出願に記載されている各ステップは、並列に実行してもよいし、順次実行してもよいし、異なる順序で実行してもよいが、本出願に開示されている技術案の所望する結果を実現することができる限り、本明細書ではこれに限定されない。
【0109】
上記具体的な実施形態は、本出願の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、設計要件と他の要因によって、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション、及び代替を行うことができることを理解すべきである。本出願の精神及び原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4