(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】乗客コンベアの手すりベルト消毒装置および手すりベルト消毒方法
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
B66B31/02 A
(21)【出願番号】P 2021144562
(22)【出願日】2021-09-06
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】手塚 暁則
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-047792(JP,A)
【文献】実開昭50-119192(JP,U)
【文献】特開2016-141551(JP,A)
【文献】特開2019-052021(JP,A)
【文献】特開2005-200211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/24,31/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの走行に連動して循環移動する手すりベルトの出入口となるインレット部近傍の乗降板に設置され、前記手すりベルトに向かって紫外線を照射する第1の光源を備え、
前記第1の光源の照射時間は、乗降口において利用者が検出されてから当該利用者が前記手すりベルトを握るまでの時間である、手すりベルト消毒装置。
【請求項2】
前記インレット部付近のデッキ内部に設置され、前記手すりベルトの裏面側の帰り部分に紫外線を照射する第2の光源を備え、
前記第2の光源の照射時間は、乗降口において利用者が検出されてから当該利用者が前記手すりベルトを握るまでの時間である、請求項1に記載の手すりベルト消毒装置。
【請求項3】
前記第2の光源は、前記デッキ内部において、内側デッキと外側デッキの2か所に設置される、請求項2に記載の手すりベルト消毒装置。
【請求項4】
乗降口に設置された利用者検出センサによって利用者が検出されると、手すりベルトの出入口となるインレット部近傍の乗降板に設置された第1の光源から前記手すりベルトに向かって紫外線を照射するとともに、
前記インレット部付近のデッキ内部に設置された第2の光源から前記手すりベルトの裏面側の帰り部分に紫外線を照射し、
前記利用者検出センサによって利用者が検出されてから当該利用者が手すりベルトを握るまでの時間が経過すると、前記第1の光源および第2の光源による紫外線の照射を停止する、手すりベルトの消毒方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの手すりベルト消毒装置および手すりベルト消毒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の移動手段として、エスカレータに代表される乗客コンベアが利用されている。
【0003】
エスカレータには、利用者が立つステップの両側にステップと同期して移動する無端状の手すりベルトが設けられている。エスカレータを安全に利用するために、利用者は手すりベルトを手でつかんだ状態で踏段上に乗ることが望まれる。
【0004】
しかし、ウイルス感染が流行する時期に手すりベルトが正しく消毒されていない状況では利用者が感染する可能性がある。
【0005】
従来、手すりベルトに消毒液を散布する方法や、手すりベルトに紫外線を照射して消毒する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-121664号公報
【文献】特開2019-052021号公報
【文献】特開2016-132569号公報
【文献】特開2016-141551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、手すりベルトに消毒液を散布する方法では、利用者が濡れている状態の手すりベルトをつかむのを躊躇してしまうという不具合がある。
【0008】
また、常時、手すりベルトに紫外線を照射する方法では、紫外線照射による手すりベルトの劣化が早まるという不具合がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、手すりベルトの劣化を抑制しつつ効率的に手すりベルトを消毒することができる乗客コンベアの手すりベルト消毒装置および手すりベルト消毒方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための実施形態は、乗客コンベアの走行に連動して循環移動する手すりベルトの出入口となるインレット部近傍の乗降板に設置され、前記手すりベルトに向かって紫外線を照射する第1の光源を備える手すりベルト消毒装置である。
【0011】
また、他の実施形態では、乗降口に設置された利用者検出センサによって利用者が検出されると、手すりベルトの出入口となるインレット部近傍の乗降板に設置された第1の光源から前記手すりベルトに向かって紫外線を照射するとともに、前記インレット部付近のデッキ内部に設置された第2の光源から前記手すりベルトの裏面側の帰り部分に紫外線を照射し、前記利用者検出センサによって利用者が検出されてから当該利用者が手すりベルトを握るまでの時間が経過すると、前記第1の光源および第2の光源による紫外線の照射を停止する、手すりベルトの消毒方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るエスカレータの全体構成を示す説明図。
【
図2】実施形態に係るエスカレータにおける第1の光源および第2の光源の設置位置を示す側面図。
【
図3】実施形態に係るエスカレータにおける第2の光源の設置位置を示す断面図。
【
図4】実施形態に係るエスカレータの制御構成を示すブロック図。
【
図5】実施形態に係るエスカレータの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は実施形態に係るエスカレータの全体構成を示す説明図である。
【0014】
エスカレータ1は、下階の乗降口2と上階の乗降口3との間を循環移動する複数の踏段4を有している。また、利用者が把持する手すりベルト5が設置され、手すりベルト5は踏段4と連動して乗降口2と乗降口3との間を循環移動する。
【0015】
手すりベルト5は、踏段4を挟んで左右に立設された欄干パネル6に支持されて移動する。なお、実施形態では、欄干パネル6はステンレスパネルを想定しているが、ガラスパネルであってもよい。
【0016】
乗降口2,3の乗降板F付近には、赤外線式の利用者検出センサ7が設置されている。利用者検出センサ7が、乗降口2,3からエスカレータ1に乗り込む利用者を検出すると、エスカレータ1が走行を開始して踏段4が移動する。
【0017】
実施形態においては、手すりベルト5の出入口となるインレット部8の下方の乗降板Fには、第1の光源10が踏段4を挟んで左右に埋め込まれている。この第1の光源10と乗降板Fの表面とは同一面となっており、利用者の乗降の邪魔になることはない。また、インレット部8の下方において、手すりベルト5方向に紫外線を照射するので、利用者に紫外線が照射されることはない。
【0018】
また、スカート部9の内部には第2の光源11が左右に配されている欄干パネル6に対して並行に配置されており、欄干パネル6に沿って移動する手すりベルト5の真下に配置され、手すりベルト5の裏面側の帰り部分14に紫外線を照射する。
【0019】
具体的には、
図3に示すように、第2の光源11は内側の第2の光源11aと外側の第2の光源11bとから構成されている。内側の第2の光源11aは手すりベルト5を支持する手すりデッキの内側の空間S内に配置されている。また、手すりデッキを構成するパネル取付板12aには透光穴13が設けられており、この透光穴13を通して、内側の第2の光源11aから発する光が手すりベルト5の裏面顎部(帰り部分14)に届くようになっている。
【0020】
外側の第2の光源11bは、内側の第2の光源11aとは反対側の手すりベルト裏面顎部(帰り部分14)に光を照射するための光源であり、手すりベルト5を支持する手すりデッキ(パネル取付板12b)の外側に取付けられている。
【0021】
第1の光源10、第2の光源11a,11bは、紫外線を発する光源であり、波長222nm付近の紫外線を照射する。波長222nm付近の紫外線は人体に異常を発生させることなく、消毒(殺ウイルス、殺菌)が可能である。
【0022】
これにより、第1の光源10と第2の光源11a,11bが発する紫外線光を手すりベルト5に向けて照射することで手すりベルト5の消毒が可能となる。
【0023】
また、第1の光源10、第2の光源11a,11bは、エスカレータ1の運転を開始するために設けられている利用者検出センサ7が利用者を検出したときに紫外線の照射を開始する。
【0024】
また、手すりベルト5が、インレット部8から乗客が手すりベルト5をつかむ位置までの移動距離は約1000mmから1200mmである。また、利用者検出時から利用者が手すりベルト5をつかむまでの時間は利用者の歩く速度を考慮すると、約2秒となる。約2秒の間に手すりベルト5は、エスカレータ1の運転速度が30m/minの場合、秒速500mmのため、1000mm移動する。エスカレータ1が30m/minで運転しているのであれば、第1の光源10、第2の光源11a,11bから1秒間、紫外線を照射すると。手すりベルト5に紫外線を照射できる範囲は、500mmに光源の長さを加算した値となる。このような計算結果によって、利用者検出センサ7が利用者を検出したときに照射を開始し、1秒間照射すれば、利用者が手すりベルト5をつかむ位置の消毒が可能となる。
【0025】
このように本実施形態によれば、利用者がエスカレータ1に乗り込んだときに手すりベルト5をつかむ位置に向けてピンポイントで紫外線を照射することが可能となる。
【0026】
次に、実施形態の手すりベルト消毒装置および消毒方法について
図4、
図5に基づき説明する。
【0027】
図4に示すように、本実施形態の手すりベルト消毒装置は、エスカレータ制御装置20により構成されている。
【0028】
エスカレータ制御装置20は、制御部21と、駆動指令出力部22と、タイマ23とを備える。
【0029】
制御部21は、エスカレータ1を統括制御するコンピュータで構成される。駆動指令出力部22は、利用者検出センサ7により利用者が検出されたときに駆動装置「30に対して走行指令を出力し、エスカレータ1の走行を開始させる。また、光源制御回路40に対して紫外線照射指令を出力して第1の光源10および第2の光源11から紫外線を手すりベルト5に向けて照射させる。タイマ23は、前述した計算結果に基づき、予め、紫外線の照射時間をセットする。なお、エスカレータ1の利用状況に応じて、タイマ23に設定される照射時間を変更することができる。
【0030】
図5のフローチャートにおいて、利用者検出センサ7が利用者を検出すると(ステップS1YES)、エスカレータ1が走行を開始し、踏段4および手すりベルト5が乗降口2と乗降口3との間を循環移動する(ステップS2)。
【0031】
利用者検出センサ7の利用者検出に伴い、駆動指令出力部22から光源制御回路40に対して紫外線照射指令が出力される。これにより、第1の光源10および第2の光源11から手すりベルト5に向けて紫外線が照射される(ステップS3)。
【0032】
タイマ23の計時に基づき、利用者が手すりベルト5を握るまでの時間、紫外線の照射が継続する(ステップS4)。利用者が手すりベルト5を握ると、第1の光源10および第2の光源11からの紫外線照射が停止される(ステップS5)。
【0033】
また、利用者検出センサ7によって、連続して利用者が検出される場合には、利用者が不検出となるまで、紫外線照射が継続される。
【0034】
<変形例>
『このエスカレータは消毒済みです。安心して利用できます。』等の表示を入口付近に表示するようにしてもよい。その場合、利用者検出センサ7により利用者が検出されたときに、『消毒済み』、『消毒中』等の表示を利用者の見える場所に表示するようにしてもよい。これにより、利用者は安心して手すりベルト5を握ることができ、安心してエスカレータ1を利用することができる。
【0035】
また、第1の光源、第2の光源11a,11bは、混雑時等、エスカレータ1の利用状況に応じて、タイマ23の設定を変更することで、常時照射するようにしてもよい。
【0036】
なお、以上の実施形態では、エスカレータ1を例に説明したが、本発明は動く歩道等の乗客コンベアに広く適用できることは言うまでもない。
【0037】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…エスカレータ(乗客コンベア)、2,3…乗降口、4…踏段、5…手すりベルト、6…欄干パネル、7…利用者検出センサ、8…インレット部、9…スカート部、10…第1の光源、11…第2の光源、11a…第2の光源(内側)、11b…第2の光源(外側)、12a…パネル取付板(内側デッキ)、12b…パネル取付板(外側デッキ)、13…透光穴、20…エスカレータ制御装置、21…制御部、22…駆動指令出力部、23…タイマ、30…駆動装置、40…光源制御回路、F…乗降板、S…空間