(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】TTK阻害剤の固体形態
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230417BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230417BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021167806
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2019501928の分割
【原出願日】2017-07-13
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507148294
【氏名又は名称】ユニバーシティー ヘルス ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】リー,セー-ワン
(72)【発明者】
【氏名】ポールズ,ハインズ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】サンプソン,ピーター ブレント
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/070349(WO,A1)
【文献】長瀬博監訳,最新 創薬化学 下巻,株式会社テクノミック,1999年09月25日,pp. 347-365
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年01月15日,p.20-25
【文献】平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,pp. 17-23,37-40,45-51,57-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式により表される化合物(I)の臭化水素酸塩:
【化1】
またはその溶媒和物であって、化合物(I)と臭化水素酸との間のモル比は1:1である、臭化水素酸塩またはその溶媒和物。
【請求項2】
前記塩は非溶媒和形態である、請求項1記載の臭化水素酸塩。
【請求項3】
前記臭化水素酸塩は結晶性である、請求項1または2記載の臭化水素酸塩。
【請求項4】
前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークのうち、任意
の7つまたは8つにより特徴付けられる、請求項3記載の臭化水素酸塩。
【請求項5】
前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、請求項3記載の臭化水素酸塩。
【請求項6】
前記臭化水素酸塩は221±2℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる、請求項1~
5のいずれか一項記載の臭化水素酸塩。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項記載の臭化水素酸塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項8】
有効量の請求項1~
6のいずれか一項記載の臭化水素酸塩を含む
、癌を有する被験体を治療するための医薬組成物。
【請求項9】
前記癌は膵臓癌、前立腺癌、肺癌、メラノーマ、乳癌、結腸癌、または卵巣癌である、請求項
8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記癌は肺癌、乳癌
または結腸癌である、請求項
9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記癌は乳癌である、請求項
10記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年7月18に出願された米国仮特許出願第62/363,424号の恩典を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、TTK阻害剤の固体形態に関する。
【背景技術】
【0003】
チロシンスレオニンキナーゼ、二重特異性プロテインキナーゼTTK、モノポーラスピンドル1(Mps1)およびホスホチロシン選別(Phosphotyrosine-Picked)スレオニンキナーゼ(PYT)としても知られているヒトTTKプロテインキナーゼ(TTK)は、大腸菌において発現されると、セリン、スレオニンおよびチロシン残基をリン酸化することができる保存多特異性キナーゼである(非特許文献1)。TTK mRNAはヒトにおける生理的に正常な組織の大半において発現されない(同上)。TTK mRNAはいくつかの急速に増殖している組織、例えば精巣および胸腺、ならびにいくつかの腫瘍において発現される(例えば、TTK mRNAは腎細胞がんにおいて発現されず、乳癌試料の50%において発現され、精巣腫瘍および卵巣癌試料において発現された)(同上)。TTKは正常対応物と比較して、いくつかの癌細胞株および腫瘍において発現される(同上;特許文献1も参照されたい)。
【0004】
TTKを阻害する作用物質は癌を治療する可能性がある。多くの強力なTTK阻害剤が特許文献2および特許文献3において開示される(その全教示は参照により本明細書に組み込まれる)。1つの代表的なTTK阻害剤はN-シクロプロピル-4-(7-((((1s,3s)-3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチル)メチル)アミノ)-5-(ピリジン-3-イルオキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-2-メチルベンズアミドであり、その構造は以下で化合物(I)として再現される:
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO02/068444 A1号
【文献】国際特許出願公開第WO2014/075168号
【文献】国際特許出願公開第WO2015/070349号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Mills et al.,J.Biol.Chem.22(5):16000-16006(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結晶性である、そうでなければ、大規模製造に適している物理的性質を有するこの化合物の塩形態が必要である。その中でこの薬物候補が安定であり、効果的に患者に送達される医薬製剤もまた、必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化合物(I)および共形成剤分子の新規共結晶に関し、ここで、共形成剤分子はリン酸である。本発明はまた、化合物(I)の臭化水素酸塩に関し、ここで、化合物(I)と臭化水素酸の間のモル比は1:1である。化合物(I)の遊離塩基および他の塩形態と比べて、新規固体形態は、増加した水溶性、融点、および薬物動態曝露を含む、著しく改善された特性を示す。特に、下記実施例5で示されるように、化合物(I)およびリン酸の共結晶ならびに結晶形態の化合物(I)の臭化水素酸塩では、ラットおよびイヌの両方において、経口投与後、遊離塩基化合物(I)に比べて著しく増加した血漿濃度が得られる。これは、大きな利点を有する。というのも、新規固体形態は経口投与することができ、薬物の有効な血漿レベルが得られるからである。
【0009】
第1の実施形態では、本発明は化合物(I)および共形成剤分子の共結晶、または共結晶の溶媒和物に関し、ここで、共形成剤分子はリン酸である。
【0010】
第2の実施形態では、発明は第1の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶中の化合物(I):リン酸のモル比は1:2である。
【0011】
第3の実施形態では、発明は第1または第2の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は水和物である。
【0012】
第4の実施形態では、発明は第1、第2または第3の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶中の化合物(I):リン酸:H2Oのモル比は1:2:1/2である。
【0013】
第5の実施形態では、発明は第1、第2、第3、または第4の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は、2θにおける7.6°、12.0°、20.3°、23.5°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークのいずれかの3、4、または5つにより特徴付けられる。
【0014】
第6の実施形態では、発明は第1、第2、第3、または第4の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は、2θにおける7.6°、11.1°、12.0°、15.4°、17.5°、19.8°、20.0°、20.3°、21.2°、23.5°、23.6°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークのいずれかの3、4、5、6、7、8、9、10、または11個により特徴付けられる。
【0015】
第7の実施形態では、発明は第1、第2、第3、または第4の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は2θにおける7.6°、11.1°、12.0°、15.4°、17.5°、19.8°、20.0°、20.3°、21.2°、23.5°、23.6°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる。
【0016】
第8の実施形態では、発明は第1、第2、第3、または第4の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は
図1において示されるX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。
【0017】
第9の実施形態では、発明は第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は160±4℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる。
【0018】
第10の実施形態では、発明は第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態による共結晶を提供し、ここで、水素結合はリン酸の水素と化合物(I)のピリジン環の窒素原子の間で形成され、水素結合は2.5-2.9Åの距離を有する。
【0019】
第11の実施形態では、発明は第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10の実施形態による共結晶を提供し、ここで、共結晶は-122.5±2ppmの
15N-固体核磁気共鳴分光法(
15N-ssNMR)ピークにより特徴付けられ、-122.5ppmのピークの強度は-302ppmのピークより少なくとも40-70%小さい。1つの実施形態では、-122.5ppmのピークの強度は-302ppmのピークよりも少なくとも40%、50%、60%、または70%小さい。別の実施形態では、共結晶は、
図3Bにおいて示される
15N-固体核磁気共鳴分光法(
15N-ssNMR)ピークにより特徴付けられる。
【0020】
第12の実施形態では、発明は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、または第11の実施形態による共結晶、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
第13の実施形態では、発明は化合物(I)の臭化水素酸塩またはその溶媒和物を提供し、ここで、化合物(I)と臭化水素酸の間のモル比は1:1である。
【0022】
第14の実施形態では、発明は第13の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、塩は非溶媒和形態である。
【0023】
第15の実施形態では、発明は第13または第14の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、本発明の臭化水素酸塩は結晶性である。
【0024】
第16の実施形態では、発明は第15の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、結晶性臭化水素酸塩は2θにおける5.9°、11.9°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークの3または4つにより特徴付けられる。
【0025】
第17の実施形態では、発明は第15の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、結晶性臭化水素酸塩は2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークのいずれかの3、4、5、6、7、または8つにより特徴付けられる。
【0026】
第18の実施形態では、発明は第15の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、結晶性臭化水素酸塩は2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる。
【0027】
第19の実施形態では、発明は第15、第16、第17、または第18の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、臭化水素酸塩は
図7において示されるX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる。
【0028】
第20の実施形態では、発明は第13、第14、第15、第16、第17、第18、または第19の実施形態による臭化水素酸塩を提供し、ここで、臭化水素酸塩は221±2℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる。
【0029】
第21の実施形態では、発明は、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、または第20の実施形態による臭化水素酸塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0030】
1つの態様では、本発明は、被験体に有効量の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、または第11の実施形態による共結晶を投与することを含む、癌を有する被験体を治療する方法を提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、被験体に有効量の第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、または第20の実施形態による臭化水素酸塩を投与することを含む、癌を有する被験体を治療する方法を提供する。
【0032】
本発明の別の態様は、癌を有する被験体を治療するための薬剤の製造のための第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、または第11の実施形態による共結晶の使用である。
【0033】
本発明の別の態様は、癌を有する被験体を治療するための薬剤の製造のための、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、または第20の実施形態による臭化水素酸塩の使用である。
【0034】
本発明の別の態様は、癌の治療のための、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、または第11の実施形態による共結晶である。
【0035】
本発明の別の態様は、癌の治療のための、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、または第20の実施形態による臭化水素酸塩である。
【0036】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕下記構造式により表される化合物(I)の臭化水素酸塩:
【化I-1】
またはその溶媒和物であって、化合物(I)と臭化水素酸との間のモル比は1:1である、臭化水素酸塩またはその溶媒和物、
〔2〕前記塩は非溶媒和形態である、〔1〕記載の臭化水素酸塩、
〔3〕前記臭化水素酸塩は結晶性である、〔1〕または〔2〕記載の臭化水素酸塩、
〔4〕前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、11.9°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークの3つまたは4つにより特徴付けられる、〔3〕記載の臭化水素酸塩、
〔5〕前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークのうち、任意の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つにより特徴付けられる、〔3〕記載の臭化水素酸塩、
〔6〕前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、〔3〕記載の臭化水素酸塩、
〔7〕前記臭化水素酸塩は、
図7に示されるX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、〔3〕~〔6〕のいずれか一項記載の臭化水素酸塩、
〔8〕前記臭化水素酸塩は221±2℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる、〔1〕~〔7〕のいずれか一項記載の臭化水素酸塩、
〔9〕〔1〕~〔8〕のいずれか一項記載の臭化水素酸塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物、
〔10〕有効量の〔1〕~〔8〕のいずれか一項記載の臭化水素酸塩を含む、TTKを過剰発現する癌を有する被験体を治療するための医薬組成物、
〔11〕前記癌は膵臓癌、前立腺癌、肺癌、メラノーマ、乳癌、結腸癌、または卵巣癌である、〔10〕記載の医薬組成物、
〔12〕前記癌は肺癌、乳癌および結腸癌である、〔11〕記載の医薬組成物、
〔13〕前記癌は乳癌である、〔12〕記載の医薬組成物
に関する。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、TTK阻害剤の固体形態が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】化合物(I)二リン酸半水和物共結晶のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図2】化合物(I)二リン酸半水和物共結晶の示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す。
【
図3A-3B】それぞれ、化合物(I)および化合物(I)二リン酸半水和物共結晶の固体
15N-NMRスペクトルを示す。
【
図4】化合物(I)二リン酸半水和物共結晶のORTEP構造を示す。
【
図5】アモルファス1:2化合物(I)/リン酸のXRPDパターンを示す。
【
図6】1:1化合物(I)臭化水素酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図7】1:1化合物(I)臭化水素酸塩のXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明はN-シクロプロピル-4-(7-((((1s,3s)-3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチル)メチル)アミノ)-5-(ピリジン-3-イルオキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-2-メチルベンズアミドである、化合物(I)の新規固体形態を提供する。特定的には、化合物(I)およびリン酸は、明確に定義された条件下で共結晶を形成し、非吸湿性結晶形態を提供することができることが見出されている。化合物(I)の1:1臭化水素酸塩は明確に定義された条件下で結晶化され、非吸湿性結晶形態を提供することができることも見出されている。どちらの固体形態も、経口投与されると、高いバイオアベイラビリティを提供する。
【0040】
「共結晶」(または「共-結晶」)という用語は、1つもしくは複数のホスト有効活性成分分子(API、例えば、化合物(I))およびゲストまたは1つもしくは複数の共形成剤分子(例えば、リン酸)が存在する多成分系を示す。APIおよび共形成剤分子は、水素結合およびおそらく他の非共有結合性相互作用により相互作用し、イオン性相互作用および著しいまたは完全なプロトン交換は、API分子とゲスト分子の間で起こらない。開示された共結晶の水和物を含む溶媒和物もまた、発明に含まれる。共結晶では、API分子およびゲスト(または共形成剤)分子の両方は、それらの純粋形態で単独である場合、室温で固体として存在する。
【0041】
「溶媒和形態」は、遊離塩基または塩での化合物(I)の固体または結晶形態を示し、この場合、溶媒分子が一定比率(例えば、化合物(I):溶媒のモル比1:1または1:2)で、固体または結晶の一体部分として、遊離塩基化合物(I)または対応する塩と組み合わされている。「非溶媒和形態」は、溶媒和されておらず、すなわち、溶媒分子と化合物(I)の遊離塩基または化合物(I)の対応する塩との間に一定比率がない形態を示し、溶媒分子は固体形態中に実質的に存在しない(例えば、10重量%未満)。よく知られた溶媒分子としては、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。本発明で開示される新規固体形態は溶媒和形態または非溶媒和形態を含む。
【0042】
本明細書では、「結晶性」は、結晶構造を有する固体を示し、ここで、個々の分子は高度に均質な規則正しく閉じ込められた化学的配置を有する。化合物(I)およびリン酸の共結晶は1:2化合物(I):リン酸の単結晶形態の結晶、または異なる単結晶形態の結晶の混合物とすることができる。単結晶形態は単結晶または各結晶が同じ結晶形を有する複数の結晶としての1:2化合物(I)リン酸を意味する。
【0043】
化合物(I)およびリン酸の共結晶
発明の1つの実施形態では、およそ1:2のモル比を有する化合物(I):リン酸共結晶が提供される(本明細書の実施例を参照されたい)。発明はまた、化合物(I):リン酸の他のモル比の共結晶を包含する。
【0044】
別の実施形態では、本発明の共結晶は溶媒和形態(例えば、水)である。1つの特定の実施形態では、共結晶のモル比は下記の通りである:化合物(I)×2リン酸×1/2H2O。
【0045】
別の実施形態では、化合物(I)およびリン酸の共結晶の少なくとも特定の重量パーセンテージが単結晶形態である。特定の重量パーセンテージは、70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%-75%、75%-80%、80%-85%、85%-90%、90%-95%、95%-100%、70-80%、80-90%、90-100%の重量パーセンテージを含む。例えば、特定の実施形態では、特定の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%または99重量%)が単結晶形態である。値およびこれらの値の間の範囲および範囲は全て本発明により包含されることが意味されることが理解されるべきである。
【0046】
1:2の化合物(I)およびリン酸の共結晶の特定の重量パーセンテージが単結晶形態である場合、共結晶の残りは、アモルファス化合物(I)/リン酸、および/または単結晶形態を除く化合物(I)/リン酸の1つ以上の他の結晶形態のいくつかの組み合わせである。
【0047】
1:2化合物(I)およびリン酸共結晶では、化合物(I)は他の立体異性体に比べて、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%純粋であり、すなわち、立体異性体全ての重量に対するその立体異性体の重量の比である。
【0048】
1:1化合物(I)臭化水素酸塩の結晶形態
本発明の1つの実施形態では、およそ1:1のモル比を有する化合物(I)臭化水素酸が提供される(本明細書の実施例を参照されたい)。1つの実施形態では、1:1化合物(I)臭化水素酸塩の少なくとも特定の重量パーセンテージは結晶性である。
【0049】
別の特定の実施形態では、1:1化合物(I)臭化水素酸塩の少なくとも特定の重量パーセンテージは単結晶形態である。特定の重量パーセンテージは、70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%-75%、75%-80%、80%-85%、85%-90%、90%-95%、95%-100%、70-80%、80-90%、90-100%の重量パーセンテージを含む。例えば、1つの実施形態では、1:1化合物(I)臭化水素酸塩の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%または99重量%)が単結晶形態である。値およびこれらの値の間の範囲および範囲は全て本発明により包含されることが意味されることが理解されるべきである。
【0050】
結晶性1:1化合物(I)臭化水素酸塩は1:1化合物(I)臭化水素酸塩の単結晶形態の結晶、または異なる単結晶形態の結晶の混合物とすることができる。単結晶形態は、単結晶または各結晶が同じ結晶形を有する複数の結晶としての、1:1化合物(I)臭化水素酸塩を意味する。
【0051】
1:1化合物(I)臭化水素酸塩の特定の重量パーセンテージが単結晶形態である場合、1:1化合物(I)臭化水素酸塩の残りはアモルファス1:1化合物(I)臭化水素酸塩、および/または単結晶形態を除く1:1化合物(I)臭化水素酸塩の1つ以上の他の結晶形態のいくつかの組み合わせである。
【0052】
1:1化合物(I)臭化水素酸塩において、化合物(I)は、他の立体異性体に比べて少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9重量%純粋であり、すなわち、立体異性体全ての重量に対するその立体異性体の重量の比である。
【0053】
1:1化合物(I)臭化水素酸塩の結晶形態ならびに化合物(I)およびリン酸の共結晶の調製
1:1化合物(I)臭化水素酸塩ならびに化合物(I)およびリン酸の共結晶の特定の固体形態は、例えば、遅蒸発、徐冷、およびアンチソルベント沈殿により調製することができる。
【0054】
本明細書では、「アンチソルベント」は、1:1化合物(I)臭化水素酸塩または化合物(I)およびリン酸の共結晶が低い溶解度を有し、臭化物塩または共結晶を、溶液から微細粉末または結晶の形態で沈殿させる溶媒を示す。
【0055】
あるいは、1:1化合物(I)臭化水素酸塩(または化合物(I)およびリン酸共結晶)は、種晶の添加のありまたはなしで、好適な溶媒から再結晶させることができる。
【0056】
1つの実施形態では、本発明は、化合物(I)およびリン酸の共結晶を調製する方法を提供し、方法は、好適な溶媒中の化合物(I)およびリン酸の懸濁液を混合すること;ならびに溶媒を除去することを含む。好適な溶媒としては、アセトン、ジエチルエーテル、MeOH/THF、酢酸および1,4-ジオキサンが挙げられるが、それらに限定されない。MeOH/THFが調製方法において使用される場合、2つの溶媒間の比は3:2~2:3(V:V)である。
【0057】
1つの実施形態では、調製において使用される化合物(I)とリン酸の間のモル比は1:2~1:8である。
【0058】
1つの実施形態では、本発明は1:1化合物(I)臭化水素酸塩を調製する方法を提供する。特定的には、好適な溶媒(例えば、ブタノールおよび/またはMEK)中の化合物(I)の懸濁液に、HBrの溶液(例えば、ブタノールおよび/またはMEK溶液中)を添加し;混合物を60℃で2時間の間、それから5℃で一晩加熱した。それから固体を濾過により回収した。好適な溶媒としては、ブタノールおよび/またはMEK、および/または水が挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
各特定の固体形態の調製は下記実験セクションで記載される。
【0060】
治療方法
本教示の別の態様は、被験体に、有効量の、本明細書で記載される化合物(I)およびリン酸の共結晶(または化合物(I)の臭化水素酸塩)を投与することを含む、癌を有する被験体を治療する方法に関する。1つの実施形態では、本明細書で記載される共結晶(または化合物(I)の臭化水素酸塩)は腫瘍の増殖を阻害する。例えば、本明細書で記載される共結晶(または化合物(I)の臭化水素酸塩)はTTKを過剰発現する腫瘍の増殖を阻害する。
【0061】
本教示の方法により治療することができる(再発の可能性の低減を含む)癌としては、肺癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経芽細胞腫、前立腺癌、メラノーマ、多形神経膠芽腫、卵巣癌、リンパ腫、白血病、メラノーマ、肉腫、腫瘍随伴病変、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫および中皮腫が挙げられる。1つの実施形態では、癌は、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、乳癌、脳癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、肝細胞がん、肺腺がん、転移性メラノーマ、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌および腎癌から選択される。1つの実施形態では、癌は肺癌、結腸癌、脳癌、神経芽細胞腫、前立腺癌、メラノーマ、多形神経膠芽腫または卵巣癌である。別の実施形態では、癌は、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、メラノーマ、乳癌、結腸癌、または卵巣癌である。さらに別の実施形態では、癌は乳癌、結腸癌および卵巣癌である。さらに別の実施形態では、癌は乳癌である。さらに別の実施形態では、癌は基本サブタイプ乳癌またはルミナルBサブタイプ乳癌である。さらに別の実施形態では、癌はTTKを過剰発現する基本サブタイプ乳癌である。さらに別の実施形態では、基本サブタイプ乳癌はER(エストロゲン受容体)、HER2およびPR(プロゲステロン受容体)陰性乳癌である。さらに別の実施形態では、癌は軟部組織癌である。「軟部組織癌」は当該技術分野において承認されている用語であり、身体の任意の軟部組織由来の腫瘍を包含する。そのような軟部組織は、身体の様々な構造および器官を連結し、支持し、または取り囲み、平滑筋、骨格筋、腱、線維組織、脂肪組織、血管およびリンパ管、血管周囲組織、神経、間葉系細胞および滑膜組織が挙げられるが、それらに限定されない。よって、軟部組織癌は、脂肪組織、筋組織、神経組織、関節組織、血管、リンパ管、および線維組織のものとすることができる。軟部組織癌は良性または悪性となり得る。一般に、悪性軟部組織癌は肉腫、または軟部組織肉腫と呼ばれる。多くの型の軟部組織腫瘍が存在し、脂肪腫、脂肪芽細胞腫、褐色脂肪腫、脂肪肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、神経線維腫、シュワン腫(神経鞘腫)、神経腫、悪性シュワン腫、神経線維肉腫、神経原性肉腫、結節性腱滑膜炎、滑膜肉腫、血管腫、グロムス腫瘍、血管外皮腫、血管内皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管腫、線維腫、弾性線維腫、表在性線維腫症、線維性組織球腫、線維肉腫、線維腫症、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、悪性線維性組織球腫(MFH)、粘液腫、顆粒細胞腫、悪性間葉腫、胞状軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、および線維形成性小細胞腫瘍が挙げられる。特定の実施形態では、軟部組織癌は線維肉腫、胃腸肉腫、平滑筋肉腫、脱分化型脂肪肉腫、多形性脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、円形細胞肉腫、および滑膜肉腫からなる群より選択される肉腫である。
【0062】
本明細書では、「癌を有する被験体を治療する」は、部分的または実質的に、下記の1つ以上を達成することを含む:増殖を抑止する、癌の程度を低減する(例えば、腫瘍のサイズを低減する)、癌の増殖速度を阻害する、癌と関連する臨床症状または指標を寛解するまたは改善する(例えば、組織または血清成分)あるいは被験体の寿命を増加させる;ならびに癌の再発の可能性を低減する。
【0063】
本明細書では、「癌の再発の可能性を低減する」という用語は、原発部位でのもしくはその付近での、および/または緩解の期間後二次部位での癌の再発を部分的にまたは全体的に阻害する、遅延させることを意味する。癌は、本明細書で記載される治療を用いると、それなしと比べて、再発する可能性が低くなることもまた意味される。
【0064】
本明細書では、「緩解」という用語は、典型的には、被験体が抗癌療法でうまく治療された後に、癌と関連する臨床症状または指標が消失した、または検出できない癌の状態を示す。
【0065】
一般に、本明細書で教示される化合物の有効量は様々な因子、例えば与えられる薬物または化合物、医薬製剤、投与経路、疾患または障害の型、治療される被験体または宿主のアイデンティティ、などによって変動するが、それにもかかわらず、当業者によりルーチン的に決定され得る。本教示の化合物の有効量は、当技術分野で知られているルーチン方法により当業者により容易に決定され得る。
【0066】
「有効量」という用語は、被験体に投与されると、対照と比べて、被験体において有益な、または所望の結果(臨床結果を含む)が得られる、例えば、癌が阻害、抑制または低減される量を意味する(例えば、臨床症状または癌細胞の量により決定される)。
【0067】
一実施形態では、1:1化合物(I)臭化水素酸塩(または化合物(I)およびリン酸共結晶)の有効量は、約0.01~約1000mg/kg体重の範囲である。当業者は、ある一定の因子は癌を患う被験体を効果的に治療するのに必要とされる投与量に影響を与え得ることを認識するであろう。これらの因子としては、疾患または障害の重症度、前の治療、被験体の全体的な健康および/または年齢ならびに存在する他の疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
その上、有効量の本発明の化合物を用いた被験体の「治療」レジームは単回投与から構成されてもよく、あるいはその代わりに一連の適用を含んでもよい。例えば、1:1化合物(I)臭化水素酸塩(または化合物(I)およびリン酸共結晶)は少なくとも週に1回投与され得る。しかしながら、別の実施形態では、化合物は、所定の治療について週に約1回~1日1回被験体に投与され得る。治療期間の長さは、様々な因子、例えば疾患の重症度、患者の年齢、本発明の化合物の濃度および活性、またはそれらの組み合わせに依存する。治療または予防のために使用される化合物の有効な投与量は、特別な治療または予防レジームの過程にわたって増加または減少し得ることもまた認識されるであろう。投与量の変更は当技術分野で知られている標準診断アッセイにより得られ、明らかになり得る。場合によっては、慢性投与が必要とされ得る。
【0069】
「被験体」は哺乳類、好ましくはヒトであるが、獣医学的治療を必要とする動物、例えば、コンパニオン・アニマル(例えば、イヌ、ネコ、など)、農場動物(例えば、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、など)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、など)とすることもできる。
【0070】
発明の化合物は、当業者により理解されるように、選択された投与経路によって様々な形態で、患者に投与することができる。発明の化合物は、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、経鼻、直腸、パッチ、ポンプまたは経皮投与により投与され得、医薬組成物はそれにしたがって製剤化され得る。非経口投与としては、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内、くも膜下腔内、直腸および局所投与様式が挙げられる。非経口投与は選択した期間にわたる持続注入によるものとすることができる。
【0071】
医薬組成物
本明細書で開示される1:1化合物(I)臭化水素酸塩(または化合物(I)およびリン酸共結晶)は、被験体に投与するための医薬組成物に好適に製剤化することができる。
【0072】
1つの実施形態では、本発明は、以上で記載される1:1化合物(I)臭化水素酸塩(または化合物(I)およびリン酸共結晶)、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0073】
本教示の医薬組成物は任意で、そのための、1つ以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤、例えばラクトース、デンプン、セルロースおよびデキストロースを含む。他の賦形剤、例えば香味剤;甘味料;および保存剤、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチルパラベンもまた含めることができる。好適な賦形剤のより完全なリストは、the Handbook of Pharmaceutical Excipients(第5版, Pharmaceutical Press (2005))において見出すことができる。当業者であれば、様々な型の投与経路に好適な製剤をどのように調製するかを知っているであろう。好適な製剤の選択および調製のための従来の手順および材料成分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(2003-第20版)および1999年に発行された米国薬局方:国民医薬品集(USP 24 NF19)において記載される。担体、希釈剤および/または賦形剤は、医薬組成物の他の材料成分と適合可能であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される」。
【0074】
典型的には、経口治療的投与では、本教示の化合物は賦形剤と共に合体させることができ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハ、などの形態で使用することができる。
【0075】
典型的には、非経口投与では、本教示の化合物の溶液は、一般に、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製することができる。分散物もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSOおよびそれらの混合物中でアルコールと共にまたはそれなしで、および油中で調製することができる。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含む。
【0076】
典型的には、注射用途では、無菌注射用溶液または分散物の即時調製のための、本明細書で記載される化合物の無菌水溶液または分散物および無菌粉末が適切である。
【0077】
発明を下記実施例により説明する。それらは、いかなる意味でも制限することを意図しない。
【実施例】
【0078】
実験
略語:
BSA ベンゼンスルホン酸
DSC 示差走査熱量測定
Equiv 当量
NA 入手不可能
NMP N-メチル-2-ピロリドン
pTSA パラ-トルエンスルホン酸
RH 相対湿度
rt 室温
temp 温度
TGA 熱重量分析
THF テトラヒドロフラン
wt% 重量パーセント
XRPD X線粉末回折
【0079】
分析条件
X線粉末回折(XRPD)
XRPD分析を、DAVINCI構成を有するBruker D8 Discover回折計を用いて、試料を1.5~45°2θ角で走査して実施した。およそ、1-2mgの各スクリーニング試料を使用した。
【0080】
単結晶X線回折(SC-XRD)
SC-XRD分析を、293KでOxford Diffractions製のX-Calibur回折計で、Mo Kα源およびグラファイトモノクロメータを用いて実施した。構造解析および精密化を、それぞれ、SHELXS-97およびSHELXL-97を使用して実施した。
【0081】
温度-重量測定/示差走査熱量測定分析(TGA/DSC)
3-10mgの材料を空のアルミニウムパンに秤量し、同時Setaram LABSYS EVO温度-重量測定/示差走査熱量計(TGA-DTA/DSC)にロボットを用いてロードし、室温で保持した。試料をそれから、10℃/分の速度で30℃から350℃まで加熱し、その時間の間、試料重量の変化を任意の示差熱イベントと共に記録した。窒素をパージガスとして100cm3/分の流速で使用した。分析前に、機器を秤量し、温度を、それぞれ、100mg参照重量およびインジウム参照標準を用いて較正した。試料分析をCALISTOソフトウェアの助けにより実施し、この場合、熱イベントの対応する質量損失および温度をオンセット温度とし、製造者の仕様書に従い測定した。全ての分析を10℃/分の加熱速度を用いて実施し、バックグラウンドを減算した。
【0082】
示差走査熱量測定(DSC)
1-4mgの材料をアルミニウムDSCパンに秤量し、アルミニウム蓋で密封せずに封印した。試料パンをそれからTA Instruments Q2000(冷却器が取り付けられている)にロードした。安定な熱流応答が35℃で得られるとすぐに、試料および基準を300℃まで10℃/分の速度で加熱し、得られた熱流応答をモニタした。分析前に、インジウム参照標準を使用して機器を温度および熱流較正した。試料分析を TA Universal Analysis2000ソフトウェアの助けにより実施し、この場合、熱イベントの温度をオンセットおよびピーク温度とし、製造者の仕様書に従い測定した。
【0083】
1H-核磁気共鳴分光法(1H-NMR)
核磁気共鳴測定を、Bruker Avance DRX400機器で400MHzおよび室温で、DMSO-d6またはCD3ODを溶媒として内部標準なしで使用して、記録した。
【0084】
15N-固体核磁気共鳴分光法(15N-ssNMR)
15N固体核磁気共鳴分析を500MHz Bruker Avance III固体分光計で実施した。15NスペクトルをCP-MAS(マジック角回転下における交差分極)によりBruker 4mmプローブヘッド、2つのRFチャネル上で獲得し、試料回転数は7kHzとした。
【0085】
実施例1:コンビナトリアル塩スクリーン
塩スクリーンを、6つの溶媒(H2O、DMSO、1,4-ジオキサン、酢酸、MeOH/THF(1:1)、1-BuOH/MEK1:1、およびNMP)ならびに12の薬学的に許容される酸(HCl、HBr、H3PO4、H2SO4、pTSA、BSA、ナフタレンスルホン酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、L-マレイン酸、および2-アミノスルホン酸)を用いて実施した。
【0086】
酸を化合物(I)(15mg、所定の溶媒中の溶液またはスラリー)に、固体として、あるいは適切な溶媒中の10%溶液として加えた。NMPを除く全ての溶媒について、1.05:1および2.2:1の酸-塩基比を採用した。NMP実験を用いた実験では、2.2:1モル比のみを使用した。得られた溶液を室温で一晩エージングさせた。固体を回収し、分析した。残りの溶液を冷却するか、アンチソルベントで処理した。冷却/アンチソルベント処理後に沈殿が生じなかった場合、溶液を真空乾燥させた。最後に、回収固体全てを40℃および75%RHの人工気候室に5日間置き、再分析した。好適な溶媒および対イオンの組み合わせをその後、増大させた規模での化合物(I)との塩形成について再評価した。
【0087】
結晶性材料が調査した12の対イオンのうちの11で得られた。2-アミノスルホン酸を用いた実験でのみ、遊離塩基材料の回収が得られた。複数の結晶形態がHCl、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸およびp-TSA実験から得られた。ストレス試験により追加の結晶形態への変換が得られ、多形への傾向が示された。マレイン酸実験から得られた塩は、溶媒和され、低結晶度を有し、DSC分析中に分解した。ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸および硫酸から得られた塩は高吸湿性であった。
【0088】
臭化水素酸およびリン酸を用いた実験から得られた結晶性材料は、遊離塩基に比べて増加した溶解度、低い吸湿性を有することが示され、ストレス条件下で(40℃/75%、RH、80℃、周囲光で7日間)安定であった。どちらの固体形態も酸化ストレス(3%aq.H
2O
2)下で劣化した。各単離結晶形態の特性を表1において要約する。
【表1】
【0089】
実施例2:1:2化合物(I)/リン酸の共結晶の調製
方法A:化合物(I)(605.5mg、1当量)をアセトン(14mL)中でスラリー化した。スラリーを室温で5分間撹拌し均質化させた。次に、H3PO4(459.46mg、4当量)のアセトン溶液(6mL)を迅速に添加した。黄色ゲルが得られ、混合物を室温で撹拌しながら2日間維持した。沈殿物をその後濾過し、アセトン(20mL)で洗浄し、4℃/10mbarで乾燥させた。得られた固体をさらに、TGA、XRPD、DSC、1H NMR、固体15N NMR、IR、Raman、および単結晶X線結晶解析により二リン酸半水和物として特徴付けた。
【0090】
方法B:H3PO4(494.7g、4当量)のMeOH/THF(10.5ml、1:1v/v)溶液を、化合物(I)(506.88mg、1当量)を含むバイアルに添加した。得られた混合物を、黄色溶液が得られるまで室温で撹拌した。溶液を、50℃および大気圧で、ボルテックスの助けにより撹拌しながら蒸発させた。黄色ゲルが得られ、アセトンをそれから添加し(15mL)、室温で1日間ボルテックスさせた。スラリーをさらに3日間撹拌させた。結晶固体をそれから濾過し、さらに、方法Aで得られた材料と結晶形が同一であるとして特徴付けた。
【0091】
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ8.53-8.58(m、1H)、8.46-8.50(m、1H)、8.36(s、1H)、7.80-7.86(m、1H)、7.72-7.76(m、1H)、7.55-7.61(m、2H)、7.18(d、J=8.0Hz、1H)、5.92(s、1H)、3.52(d、J=6.8Hz、2H)、2.77-2.86(m、1H)、2.28-2.38(m、1H)、2.25(s、3H)、2.18-2.24(m、2H)、1.88-1.99(m、2H)、1.37(s、3H)、0.75-0.84(m、2H)、0.54-0.64(m、2H)。
【表2】
【0092】
化合物(I)のリン酸複合体の単結晶X線結晶解析データは、各単位格子は2つの化合物(I)の分子、4つのリン酸の分子および1つの水の分子を含むことを示す。複合体内の水素結合は全て2.5-2.9Åであり、リン酸プロトンとピリジン環の塩基性窒素の間で観察されるイオン性はないことが示される。この結果は固体
15N-NMRからの観察と一致する。まとめると、これらの結果により共結晶複合体としての化合物(I)二リン酸半水和物の形態が確認される。化合物(I)二リン酸半水和物についての結晶学的データは表3に提示される。ORTEP表示は
図4に提示される。
【表3】
【0093】
固体
15N-NMR分析を化合物(I)遊離塩基および化合物(I)二リン酸半水和物に対して実施した。重ね合わせたスペクトルが
図3に提示される。遊離塩基と比較した、リン酸化合物におけるピリジン窒素ピークのシフトおよび相対強度は、原子間の相互作用の性質が水素結合であり、イオン性を有さないことを示す。ピリジル窒素へのプロトン移動は認められず、よってリン酸塩が共結晶であることが確認された。
【0094】
化合物(I)二リン酸半水和物もまた、表4で示される条件を使用して、化合物(I)およびH
3PO
4のアモルファスまたは半結晶共結晶の結晶化により生成させることができる。あるいは、ゲルを少量の固体と共により大きなガラス表面上に堆積させ、それをスパチュラでこすることにより、粘性ゲルの結晶化を誘導して化合物(I)二リン酸半水和物を得ることができる。また、ゲルは超音波処理により結晶化させることができる。
【表4】
【0095】
実施例3:アモルファス1:2化合物(I)/リン酸の調製
MeOH/THF(9.7mL、1:1V/V)の混合物に、ガラスバイアル中、室温で化合物(I)(500mg、1当量)を添加した。H3PO4(238mg、2当量)をそれから添加し、得られた混合物を室温で2時間の間撹拌した。溶液は変色したが、沈殿は生じなかった。透明溶液をそれから、1日間5℃で、それから1日間-20℃で放置させた。固体は得られなかった。溶媒をその後、30℃/10mbarで除去し、得られた固体をXRPDにより分析し、アモルファス固体であることが示された。1H NMR(400MHz、CD3OD)δ8.53-8.58(m、1H)、8.46-8.50(m、1H)、8.36(s、1H)、7.80-7.86(m、1H)、7.72-7.76(m、1H)、7.55-7.61(m、2H)、7.18(d、J=8.0Hz、1H)、5.92(s、1H)、3.52(d、J=6.8Hz、2H)、2.77-2.86(m、1H)、2.28-2.38(m、1H)、2.25(s、3H)、2.18-2.24(m、2H)、1.88-1.99(m、2H)、1.37(s、3H)、0.75-0.84(m、2H)、0.54-0.64(m、2H)。
【0096】
アモルファス材料は、化合物(I)を1,4-ジオキサンに溶解し、酢酸エチルまたはアセトンをアンチソルベントとして添加することにより、または化合物(I)を1-エトキシエタノールに溶解し、酢酸エチルをアンチソルベントとして添加することにより得ることもできる。
【0097】
実施例4:1:1化合物(I)/HBr結晶塩の調製
1-ブタノールおよびMEK(60mL、1:1V/V)の混合物に化合物(I)(502mg、1当量)を添加した。スラリーを60℃で加熱し、HBr(1-ブタノールおよびMEK中4.8%溶液(2.5mL、2当量)を添加した。混合物を60℃で2時間の間、それから5℃で一晩撹拌した。それから、固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、XRPD、TGA、IR、RamanおよびDSCにより臭化水素酸塩として特徴付けた。
【表5】
【0098】
実施例5:薬物動態分析
方法:
各形態の1回経口、カプセル中粉末用量を、3(n=3)匹の雌スプラーグドーリーラットおよび3匹の雄ビーグル犬(n=3)に5mg有効活性成分/kg体重で投与した。血漿をその後、LC/MSにより化合物血漿レベルについて分析した。
【0099】
ラットおよびイヌにおけるカプセル投与のための被験物質の調製:
化合物を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、注意深く、化学天秤で風袋の重さを量ったゼラチンカプセル中に分注した。所望の化合物質量が達成されるまでロードし続けた。サイズ9カプセルをラット投与に使用し、サイズ3カプセルをイヌに使用した。注:化合物ロードは各形態の生物学的同等性比に対して補正した。
【0100】
経口投与後、血液を外側伏在静脈からリチウムヘパリンコートチューブ(ラット)またはK2EDTAコートチューブ(イヌ)中に、指定された時間点で引き出した。血漿を収集し、-80℃で分析まで凍結保存した。
【0101】
ラット血漿分析:
血漿試料(20μL)および添加済み血漿標準試料を、100ng/mLベラパミルを内部標準として含む氷冷アセトニトリルで5倍希釈した。試料および標準を、96ウェルフォーマットで0.22μmメンブランに通して濾過した。濾液をその後、水~30%アセトニトリルで希釈した。
【0102】
10μLの各試料および標準をWaters Acquity CSH1.7μm 2.1×100mmカラムに0.6mL/分でAcquity UPLCにより注入した。C18カラムを5%アセトニトリルを含む水で平衡化させた。化合物を99%アセトニトリルまでの勾配を用いて溶離させた。移動相は全て0.1%(v/v)ギ酸を含んだ。
【表6】
【0103】
カラム溶離液をエレクトロスプレーイオン化タンデム四重極型質量分析システム(ESI-MS/MS、Waters Xevo TQ)により分析した。溶離液組成を内部標準に特異的な3つのイオン対および分析物に特異的な3つのイオン対に対して分析した。実験試料を検量線試料と比較し、化合物濃度を決定した。薬物動態パラメータをExcelプラグイン「PKfit」を用いて決定した。
【0104】
イヌ血漿分析:
血漿試料(20μL)および添加済み血漿標準試料を、内部標準として40ng/mLジクロフェナクを含む氷冷アセトニトリルで11倍希釈した。混合物を2分間ボルテックスし、遠心分離した。0.5μL上清をWaters Acquity BEH1.7μm 2.1×50mmカラムに0.6mL/分で、Acquity UPLCにより注入した。カラムを10%メタノールを含む水で平衡化させた。化合物を95%メタノールまでの勾配を用いて溶離させた。移動相は0.025%(v/v)ギ酸および1mM NH
4OAcを含んだ。
【表7】
【0105】
カラム溶離液をエレクトロスプレーイオン化タンデム四重極型質量分析システム(ESI-MS/MS、API-6500)により分析した。溶離液組成を内部標準に特異的な1つのイオン対および分析物に特異的な1つのイオン対に対して分析した。実験試料を検量線試料と比較し、化合物濃度を決定した。薬物動態パラメータをWinNonlin Professional6.2を用いて決定した。
【0106】
化合物(I)の共結晶二リン酸半水和物および臭化水素酸塩は、遊離塩基に比べて優れた薬物動態を示す。化合物をカプセル中の粉末として、スプラーグドーリーラットおよびビーグル犬に経口投与した。表6に示されるように、化合物(I)の二リン酸半水和物共結晶および結晶性臭化水素酸塩は、遊離塩基化合物(I)に比べて増加した血漿濃度を示す。
【表8】
【0107】
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
[1]化合物(I)および共形成剤分子の共結晶
【化A-1】
または前記共結晶の溶媒和物であって、前記共形成剤分子はリン酸である、共結晶またはその溶媒和物。
[2]前記共結晶中の化合物(I):リン酸のモル比は1:2である、[1]記載の共結晶。
[3]前記共結晶は水和物である、[1]または[2]記載の共結晶。
[4]前記共結晶中の化合物(I):リン酸:H
2Oのモル比は1:2:1/2である、[1]~[3]のいずれか一項記載の共結晶。
[5]前記共結晶は、2θにおける7.6°、12.0°、20.3°、23.5°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークのうち、任意の3つ、4つまたは5つにより特徴付けられる、[1]~[4]のいずれか一項記載の共結晶。
[6]前記共結晶は、2θにおける7.6°、11.1°、12.0°、15.4°、17.5°、19.8°、20.0°、20.3°、21.2°、23.5°、23.6°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークのうち、任意の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、または11により特徴付けられる、[1]~[4]のいずれか一項記載の共結晶。
[7]前記共結晶は、2θにおける7.6°、11.1°、12.0°、15.4°、17.5°、19.8°、20.0°、20.3°、21.2°、23.5°、23.6°、および24.5°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、[1]~[4]のいずれか一項記載の共結晶。
[8]前記共結晶は、
図1にて示されるX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、[1]~[4]のいずれか一項記載の共結晶。
[9]前記共結晶は、160±4℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる、[1]~[8]のいずれか一項記載の共結晶。
[10]水素結合がリン酸の水素と化合物(I)のピリジン環の窒素原子との間で形成され、前記水素結合は2.5~2.9Åの距離を有する、[1]~[9]のいずれか一項記載の共結晶。
[11]前記共結晶は-122.5±2ppmの
15N-固体核磁気共鳴分光法(
15N-ssNMR)ピークにより特徴付けられ、-122.5ppmのピークの強度は、-302ppmのピークよりも少なくとも40-70%小さい、[1]~[10]のいずれか一項記載の共結晶。
[12][1]~[11]のいずれか一項記載の共結晶、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
[13]下記構造式により表される化合物(I)の臭化水素酸塩:
【化A-2】
またはその溶媒和物であって、化合物(I)と臭化水素酸との間のモル比は1:1である、臭化水素酸塩またはその溶媒和物。
[14]前記塩は非溶媒和形態である、[13]記載の臭化水素酸塩。
[15]前記臭化水素酸塩は結晶性である、[13]または[14]記載の臭化水素酸塩。
[16]前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、11.9°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークの3つまたは4つにより特徴付けられる、[15]記載の臭化水素酸塩。
[17]前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークのうち、任意の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つにより特徴付けられる、[15]記載の臭化水素酸塩。
[18]前記結晶性臭化水素酸塩は、2θにおける5.9°、10.0°、11.9°、13.8°、17.3°、19.4°、21.3°、21.6°、および22.0°±0.2のX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、[15]記載の臭化水素酸塩。
[19]前記臭化水素酸塩は、
図7に示されるX線粉末回折パターンピークにより特徴付けられる、[15]~[18]のいずれか一項記載の臭化水素酸塩。
[20]前記臭化水素酸塩は221±2℃の示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度により特徴付けられる、[13]~[19]のいずれか一項記載の臭化水素酸塩。
[21][13]~[20]のいずれか一項記載の臭化水素酸塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
[22][1]記載の化合物(I)およびリン酸の共結晶を調製する方法であって、好適な溶媒中のリン酸および化合物(I)の懸濁液を混合すること、ならびに前記溶媒を除去することを含む、方法。
[23]化合物(I)とリン酸との間のモル比が1:2~1:8である、[22]記載の方法。
[24]前記溶媒はアセトン、ジエチルエーテル、MeOH/THF、酢酸および1,4-ジオキサンである、[22]または[23]記載の方法。
[25]前記溶媒はTHF/MeOHであり、前記2つの溶媒間の比は3:2~2:3(V:V)である、[22]記載の方法。
[26]被験体に、有効量の、[1]~[11]のいずれか一項記載の共結晶、または有効量の、[13]~[20]のいずれか一項記載の臭化水素酸塩を投与することを含む、癌を有する被験体を治療する方法。
[27]前記癌は膵臓癌、前立腺癌、肺癌、メラノーマ、乳癌、結腸癌、または卵巣癌である、[26]記載の方法。
[28]前記癌は肺癌、乳癌および結腸癌である、[27]記載の方法。
[29]前記癌は乳癌である、[28]記載の方法。