(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】フェロトーシスを介して栄養欠乏がん細胞の細胞死を誘導するための極小ナノ粒子を使用する処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20230417BHJP
A61K 9/51 20060101ALN20230417BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230417BHJP
【FI】
A61K33/00
A61K9/51
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021180243
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017560717の分割
【原出願日】2016-05-26
【審査請求日】2021-12-03
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(73)【特許権者】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル エス. ブラッドベリー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ウィーズナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル オーバーホルツアー
(72)【発明者】
【氏名】ハワード シェア
(72)【発明者】
【氏名】カイ マ
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0039848(US,A1)
【文献】Cancer Res,2009年,Vol.69,No.16,pp.6515-6521
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00-33/44
A61K 9/00-9/72
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍組織のフェロトーシスを誘導するための1μMを超える投与濃度のナノ粒子を含む、被験体の処置のための組成物であって、前記組成物が、
処理されていない細胞と比較して前記腫瘍組織内において鉄の細胞内濃度を増加させるために投与されるものであることを特徴とし、
前記ナノ粒子は15nm以下の平均直径を有し、
前記投与されたナノ粒子は、シリカを含むコアおよび、前記コアの少なくとも一部を取り囲むシリカシェルを含む、組成物。
【請求項2】
前記腫瘍組織がアミノ酸が欠乏している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
腫瘍組織のフェロトーシスを誘導するための1μMを超える投与濃度のナノ粒子を含む、被験体の組み合わせ処置における使用のための組成物であって、前記腫瘍組織はホルモンが欠乏しており、組成物は処置されていない細胞と比較して前記腫瘍組織において鉄の細胞内濃度を増加させるために投与されるものであることを特徴とし、
前記ナノ粒子は15nm以下の平均直径を有し、
前記投与されたナノ粒子は、シリカを含むコアおよび、前記コアの少なくとも一部を取り囲むシリカシェルを含む、組成物。
【請求項4】
前記腫瘍組織は、去勢を経てホルモンが欠乏している、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記腫瘍組織が、アミノ酸が欠乏している、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記腫瘍組織が、腎臓、前立腺、メラノーマ、膵臓、肺、線維肉腫、乳房、脳、卵巣および結腸腫瘍組織からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記膵臓腫瘍組織がBxPC3細胞を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記肺腫瘍組織がH1650細胞を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記ナノ粒子が10nm以下の平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ナノ粒子が約5nmから約7nmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ナノ粒子が1から20個の標的化部分を含み、前記標的化部分が細胞上の受容体に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ナノ粒子が1から20個の標的化部分を含み、1から20個の前記標的化部分がアルファ-メラニン細胞刺激ホルモン(αMSH)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ナノ粒子が標的化部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が処置の過程にわたって複数回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、処置の過程にわたって3または4日ごとに投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記
腫瘍組織が栄養欠乏組
織を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
増加した鉄の細胞内濃度が8.32パーツパービリオン(ppb)以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
増加した鉄の細胞内濃度が144.7パーツパービリオン(ppb)以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
増加した鉄の細胞内濃度が2.58μM以上である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2015年5月29日に出願された米国出願第62/168,636号および2016年1月20日に出願された米国出願第62/280,960号(これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
政府の支援
この発明は、National Institutes of Health(NIH)/National Cancerによって付与された助成金1U54 CA199081-01、R01GM111350および1R01CA161280-01A1の下、政府の支援を受けてなされた。
【0003】
本発明は、分子レベルの相互作用を調節するための、ナノ粒子、例えば極小ナノ粒子の使用に一般的に関する(例えば、細胞性/非細胞性機能、例えば、細胞死)。特定の実施形態では、本発明は、フェロトーシス(ferroptosis)を経て栄養欠乏がん細胞で細胞死を選択的に誘導するための、極小ナノ粒子(例えば、CまたはC’ドット)を用いる処置の方法に関する。
【背景技術】
【0004】
高度に統合されたがん標的化ナノ医薬の設計および開発は、疾患特異的標的化を増強し、細胞内薬理学的標的へのアクセスを改善する見込みがある。しかし、生体系でのナノ医薬の消長を推進する分子レベルの相互作用(例えば、細胞性/非細胞性機能の調節)の詳細な理解は、捉えどころがないままである。例えば、エンドサイトーシスと細胞内輸送、生理的および/または代謝経路の間の複雑な相互作用、ならびに標的化ナノ粒子がこれらの複雑な系をナビゲートする方法は、ホメオスタシス調節にとって重要である可能性がある。さらに、この相互作用は、粒子プローブの特性、周囲の生物学的状態および疾患自体の性質のために異なることがある。さらに、粒子取り込みおよび特異的細胞内コンパートメントの中の蓄積は、機能的、代謝的および/またはエネルギーホメオスタシスを変更することができる。例えば、エンドサイトーシスおよび細胞内輸送を起こすいくつかの粒子ベースのプローブが、オートファジーを誘導し、リソソーム機能を阻害することが示されている。しかし、これらの効果が細胞生存を経時的に調節する方法は、不明なままである。
【0005】
PET放射性標識およびインテグリン標的化ペプチドシクロ-(Arg-Gly-Asp-Tyr)(cRGDY)で前に表面適応された極小(例えば、20nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の直径を有する)のFDA承認蛍光性有機シリカ粒子(Cドット)は、ヒトで作用する分子がん造影剤であることが見出された。例えば、Cドットは、小動物およびより大きな動物およびヒト被験体のメラノーマモデルでαvβ3インテグリンを発現する一次および/または転移性病変の中に優先的に蓄積することに加えて、大半の腎臓クリアランスを実証することが示された。Cドットに関する詳細は、米国特許第8298677B2「Fluorescent silica-based nanoparticles」、米国特許出願公開第2013/0039848A1「Fluorescent silica-based nanoparticles」および米国特許出願公開第2014/0248210A1「Multimodal silica-based nanoparticles」に記載され、それらの内容は参照により完全に本明細書に組み込まれる。さらに、14merペプチド類似体、アルファ-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)でさらに表面改変された、10nm未満の範囲に下方制御可能な直径を有する、C’ドットと呼ばれる極小ポリ(エチレングリコール)でコーティングされた(PEG化)近赤外(NIR)蛍光性シリカナノ粒子は、悪性メラノーマ細胞で発現されるメラノコルチン-1受容体(MC1-R)を標的にすることが見出された。しかし、これらの粒子がどのように細胞機能および細胞内輸送を調節することができるかについて、未知のままである。
したがって、適用特異的ナノ医薬(例えば、CおよびC’ドット)プラットフォームの設計を改善するために、濃度および時系列過程の変動が粒子ベースのプローブの内部移行後の消長にどのように影響を与えるか決定する必要性がまだある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,298,677号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0039848号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0248210号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ナノ粒子摂取によりフェロトーシスを経て誘導された細胞死の方法が、本明細書に記載される。さらに、本開示は、栄養枯渇環境と組み合わせた、処置の過程にわたって複数回の極小(例えば、20nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下の直径を有する)ナノ粒子の高濃度の投与、それにより、細胞性代謝経路を調節して、フェロトーシス機構により細胞死を誘導することについて記載する。フェロトーシスは、鉄、反応性酸素種、および同期モードの細胞死実行を含む。
【0008】
特定の栄養欠乏環境でのα-MSH-PEG-C’ドットを用いる細胞の処置は、薬物が存在しない場合でさえ、がん細胞でフェロトーシスを誘導することができることが見出された(または、α-MSHのないPEG-C’ドット、例えばα-MSH-PEG-C’ドットと比較して長期間を必要とする)。合わせると、本明細書に記載される結果は、アミノ酸の非存在下で培養され、α-MSH-PEG-C’ドットで処置される細胞がフェロトーシスにより細胞死を起こすことを示した。この文脈において、フェロトーシスは、細胞から細胞に波状式に伝播することが観察された。理論に拘束される必要はないが、これは死誘導シグナルの細胞間伝達を示唆した。
【0009】
一態様では、本発明は、腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与して、フェロトーシス(例えば、鉄依存性壊死または反応性酸素種依存性壊死を含むフェロトーシス細胞死)を誘導することを含む、被験体の処置方法に関する。
【0010】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、高い濃度は、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える。ある特定の実施形態では、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)。
【0012】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)。
【0013】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、フェロトーシスの誘導に感作されている。
【0014】
別の態様では、本発明は、腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のために薬物を投与すること;および腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与すること(それによりフェロトーシスを誘導すること)を含む、被験体の組み合わせ処置の方法に関する。
【0015】
ある特定の実施形態では、薬物は化学療法剤(例えば、TAS-102)を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、高い濃度は、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える。ある特定の実施形態では、高い濃度は、腫瘍組織における0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)。
【0018】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)。ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、フェロトーシスの誘導に感作されている。
【0019】
ある特定の実施形態では、薬物を投与することおよびナノ粒子を投与することは、薬物およびナノ粒子の両方を含む組成物を投与することによって達成される。
【0020】
ある特定の実施形態では、組成物はナノ粒子薬物コンジュゲートを含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、腫瘍組織(例えば、前立腺がん組織)からホルモンを欠乏させること;および腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与し、フェロトーシスを誘導することを含む、被験体の組み合わせ処置の方法に関する。
【0022】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、去勢(例えば、化学的去勢)を経てホルモンが欠乏する。
【0023】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、高い濃度は、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える。ある特定の実施形態では、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)。
【0025】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)。
【0026】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、フェロトーシスの誘導に感作されている。
【0027】
ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、腎臓、前立腺、メラノーマ、膵臓、肺、線維肉腫、乳房、脳、卵巣および結腸腫瘍組織からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、膵臓腫瘍組織は、BxPC3細胞を含む。ある特定の実施形態では、肺腫瘍組織は、H1650細胞を含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は15nm以下の平均直径を有する。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は10nm以下の平均直径を有する。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、約5nmから約7nm(例えば、約6nm)の平均直径を有する。
【0029】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、1から20個の標的化部分を含み、ここで標的化部分は腫瘍細胞上の受容体に結合する(例えば、ナノ粒子は、15nm以下、例えば10nm以下、例えば約5nmから約7nm、例えば約6nmの平均直径を有する)。ある特定の実施形態では、1から20個の標的化部分は、アルファ-メラニン細胞刺激ホルモン(αMSH)を含む。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、標的化部分(例えば、αMSH)を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、処置の過程にわたって複数回投与される。
【0031】
ある特定の実施形態では、本方法は、処置の過程にわたってナノ粒子を3または4日ごとに投与することをさらに含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、投与されるナノ粒子は、付着している薬物(例えば、化学療法剤)を有する。ある特定の実施形態では、薬物は、リンカー部分を介して付着している(例えば、共有結合または非共有結合で付着している)。
【0033】
ある特定の実施形態では、がん処置および/または組織修復プロセス(例えば、創傷治癒)においてCドットの治療能力を増加させるために、薬物送達は、投与されるナノ粒子の天然の免疫調節特性と組み合わされる(例えば、ナノ粒子はα-MSH-PEG-C’ドットを含む、例えば、α-MSHがナノ粒子の表面に結合している)(例えば、ナノ粒子は有機ポリマーコーティング(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))を含む)。
【0034】
別の態様では、本発明は、被験体を処置する方法で使用するためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む組成物であって、ここで、処置は、腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために被験体の腫瘍組織に組成物を送達し、フェロトーシスを誘導することを含む(例えば、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)(例えば、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、組成物に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、療法で使用するためにフェロトーシスを誘導するために、腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む組成物に関する(例えば、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)(例えば、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)。
【0036】
別の態様では、本発明は、被験体を処置する方法で使用するための薬物(例えば、化学療法剤、例えばTAS102)を含む第1の組成物およびナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む第2の組成物であって、処置は、被験体の腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のために第1の組成物を送達すること;ならびに腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために被験体の腫瘍組織に第2の組成物を送達し(例えば、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)(例えば、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、フェロトーシスを誘導することを含む、第1の組成物および第2の組成物に関する。
【0037】
別の態様では、本発明は、療法で使用するためにフェロトーシスを誘導するために、被験体の腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のために薬物(例えば、任意の化学療法剤、例えばTAS102)を含む第1の組成物;および腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む第2の組成物に関する(例えば、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)(例えば、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)。
【0038】
別の態様では、本発明は、被験体を処置する方法で使用するためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む組成物であって、処置は、被験体の腫瘍組織(例えば、前立腺組織)からホルモン(例えば、去勢(例えば、化学的去勢)を経て)を欠乏させること;および腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために被験体の腫瘍組織に組成物を送達し(例えば、高い濃度は、腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)(例えば、腫瘍組織は、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、フェロトーシスを誘導することを含む、組成物に関する。
【0039】
本発明の1つの態様を含む実施形態(例えば、方法)の要素は、本発明の他の態様を含む実施形態(例えば、系)に適用することができ、逆もまた同じである。
【0040】
定義
本開示がより容易に理解されるように、ある特定の用語を先ず下で定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、本明細書全体で説明される。
【0041】
本出願では、「または」の使用は、特に明記しない限り「および/または」を意味する。本出願で使用されるように、用語「含む(comprise)」ならびにその用語の変形、例えば「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」は、他の添加物、構成要素、整数またはステップを排除するものではない。本出願で使用されるように、用語「約」および「およそ」は、同義語として使用される。約/およその有無に関係なくこの出願で使用されるいかなる数字も、関連分野の当業者によって理解されるいかなる正常な変動も含むものである。ある特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、特に明記されない限り、または文脈からそうでないことが明白でない限り(そのような数字が可能な値の100%を超える場合を除く)、明記された参照値のいずれかの方向(大きいか小さい)への25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満に入る値の範囲を指す。
【0042】
「投与」:用語「投与」は、被験体に物質を導入することを指す。一般に、例えば、非経口(例えば、静脈内)、経口、局所、皮下、腹膜、動脈内、吸入、膣、直腸、経鼻、脳脊髄液への導入または体コンパートメントへの点滴注入を含む、任意の投与経路を利用することができる。ある特定の実施形態では、投与は経口である。さらに、または代わりに、ある特定の実施形態では、投与は非経口である。ある特定の実施形態では、投与は静脈内である。
【0043】
「生体適合性」:本明細書で使用されるように、用語「生体適合性」は、in vivoで実質的な有害応答を導き出さない材料を記載するものである。ある特定の実施形態では、材料が細胞に毒性でないならば、それらは「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、in vitroでの細胞への材料の添加が20%またはそれ未満の細胞死をもたらすならば、および/または材料のin vivo投与が炎症もしくは他のそのような有害作用を誘導しないならば、それらは「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、材料は生分解性である。
【0044】
「生分解性」:本明細書で使用されるように、「生分解性」材料は、細胞に導入したときに、細胞への有意な毒性作用なしで、細胞が再利用または処分することができる構成要素に細胞機構(例えば酵素分解)または加水分解によって分解される材料である。ある特定の実施形態では、生分解性材料の分解によって生じる構成要素は、in vivoで炎症および/または他の有害作用を誘導しない。ある特定の実施形態では、生分解性材料は、酵素的に分解される。あるいは、またはさらに、ある特定の実施形態では、生分解性材料は、加水分解によって分解される。ある特定の実施形態では、生分解性ポリマー材料は、それらの構成要素ポリマーに分解する。ある特定の実施形態では、生分解性材料(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、エステル結合の加水分解を含む。ある特定の実施形態では、材料(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、ウレタン結合の開裂を含む。
【0045】
「がん」:本明細書で使用されるように、用語「がん」は、悪性の新生物または腫瘍を指す(Stedman’s Medical Dictionary、25版;Hensly編;Williams & Wilkins:Philadelphia、1990年)。例示的ながんには、限定されずに、聴神経腫;腺癌;副腎がん;肛門がん;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、血管肉腫);虫垂がん;良性単クローン性高ガンマグロブリン血症;胆管がん(例えば、胆管癌);膀胱がん;乳がん(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳がん(mammary cancer)、乳房の髄様癌);脳がん(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、希突起膠細胞腫)、髄芽細胞腫);気管支がん;カルチノイド腫瘍;子宮頸がん(cervical cancer)(例えば、頸部の腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結合組織がん;上皮癌;上衣細胞腫;内皮肉腫(endotheliosarcoma)(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮体がん(例えば、子宮がん、子宮肉腫);食道がん(例えば、食道の腺癌、バーレット腺癌);ユーイング肉腫;目のがん(例えば、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆のうがん;胃がん(例えば、胃腺癌);消化管間質腫瘍(GIST);胚細胞がん;頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉がん(例えば、喉頭がん、咽頭がん、鼻咽頭がん、口腔咽頭がん));造血がん(例えば、白血病、例えば急性のリンパ球性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性の骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性の骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)および慢性のリンパ球性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞NHL、例えば散在性大細胞リンパ腫(DLCL)(例えば、散在性大B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫)、一次縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)(例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、毛様細胞性白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫および一次中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびに、T細胞NHL、例えば、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫および未分化大細胞リンパ腫);前記のような1つまたは複数の白血病/リンパ腫の混合;ならびに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病);血管芽腫;下咽頭がん;炎症性筋線維芽細胞腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor);免疫細胞アミロイド症;腎臓がん(例えば、腎芽細胞腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌);肝がん(例えば、肝細胞がん(HCC)、悪性の肝癌);肺がん(例えば、気管支原性癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症);筋肉がん;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、原因不明骨髄様化生(AMM)別名骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES);神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症);神経内分泌がん(例えば、胃腸膵臓の神経内分泌腫瘍(GEP NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨がん);卵巣がん(例えば、嚢胞腺癌、卵巣の胎生期癌、卵巣の腺癌);乳頭状腺癌;すい臓癌(例えば、膵臓の腺癌、管内乳頭状粘液性新生物(intraductal papillary mucinous neoplasm)(IPMN)、島細胞腫瘍);陰茎がん(例えば、陰茎および陰嚢のページェット病);松果体腫;未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞新生物;新生物随伴症候群;上皮内新生物;前立腺がん(例えば、前立腺腺癌);直腸がん;横紋筋肉腫;唾液腺がん;皮膚がん(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、メラノーマ、基底細胞癌(BCC));小腸がん(例えば、虫垂がん);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性の末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;小腸がん;汗腺癌;滑膜腫;精巣がん(例えば、セミノーマ、精巣胎生期癌);甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭状癌、乳頭状甲状腺癌(PTC)、髄質甲状腺がん);尿道がん;膣がん;ならびに外陰部がん(例えば、外陰部のページェット病)が含まれる。
【0046】
「担体」:本明細書で使用されるように、「担体」は、化合物と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。そのような医薬担体は、無菌の液体、例えば水および油、例えば、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであってもよい。特に注射可能な溶液のために、水または水溶液食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が担体として好ましくは用いられる。適する医薬担体は、E. W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。
【0047】
「化学療法剤」:本明細書で使用されるように、用語「化学療法剤」(例えば、抗がん薬)はその技術分野で理解されている意味を有し、例えば、具体的には、望ましくない細胞増殖に関連した1つまたは複数の疾患、障害または状態を処置するのに使用するために利用および/または推奨される薬剤を含む、1つまたは複数のアポトーシス誘発性、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性の薬剤を指す。多くの実施形態では、化学療法剤はがんの処置において有益である。一部の実施形態では、化学療法剤は、1つもしくは複数のアルキル化剤、1つもしくは複数のアントラサイクリン、1つもしくは複数の細胞骨格撹乱化学物質(例えば、微小管標的化薬剤、例えば、タキサン、マイタンシンおよびその類似体)、1つもしくは複数のエポチロン、1つもしくは複数のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、1つもしくは複数のトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼIおよび/もしくはトポイソメラーゼIIの阻害剤)、1つもしくは複数のキナーゼ阻害剤、1つもしくは複数のヌクレオチド類似体もしくはヌクレオチド前駆体類似体、1つもしくは複数のペプチド抗生物質、1つもしくは複数の白金ベースの薬剤、1つもしくは複数のレチノイド、1つもしくは複数のビンカアルカロイドならびに/または以下の(すなわち、関連する増殖抑制活性を共有する)ものの1つもしくは複数の1つもしくは複数の類似体であってよいか、それを含むことができる。一部の特定の実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシン、all-transレチノイン酸、オーリスタチン(Auiristatin)、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、クルクミン、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、マイタンシンおよび/またはその類似体(例えば、DM1)、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、マイタンシノイド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンならびにその組み合わせの1つまたは複数であってよいか、それを含むことができる。一部の実施形態では、化学療法剤は、抗体-薬物コンジュゲートとの関連で利用することができる。一部の実施形態では、化学療法剤は、以下からなる群より選択される抗体-薬物コンジュゲートで見出されるものである:hLL1-ドキソルビシン、hRS7-SN-38、hMN-14-SN-38、hLL2-SN-38、hA20-SN-38、hPAM4-SN-38、hLL1-SN-38、hRS7-Pro-2-P-Dox、hMN-14-Pro-2-P-Dox、hLL2-Pro-2-P-Dox、hA20-Pro-2-P-Dox、hPAM4-Pro-2-P-Dox、hLL1-Pro-2-P-Dox、P4/D10-ドキソルビシン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレムバツモマブベドチン(glembatumomab vedotin)、SAR3419、SAR566658、BIIB015、BT062、SGN-75、SGN-CD19A、AMG-172、AMG-595、BAY-94-9343、ASG-5ME、ASG-22ME、ASG-16M8F、MDX-1203、MLN-0264、抗PSMA ADC、RG-7450、RG-7458、RG-7593、RG-7596、RG-7598、RG-7599、RG-7600、RG-7636、ABT-414、IMGN-853、IMGN-529、ボルセツズマブマフォドチン(vorsetuzumab mafodotin)およびロルボツズマブメルタンシン(lorvotuzumab mertansine)。一部の実施形態では、化学療法剤は、ファルネシル-チオサリチル酸(FTS)、4-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-N-ヒドロキシブタンアミド(CMH)、エストラジオール(E2)、テトラメトキシスチルベン(TMS)、δ-トコトリエノール(δ-tocatrienol)、サリノマイシンまたはクルクミンの1つまたは複数であってよいか、またはそれを含んでよい。
【0048】
「組み合わせ療法」:本明細書で使用されるように、用語「組み合わせ療法」は、被験体が2つまたはそれを超える治療レジメン(例えば、2つまたはそれを超える治療剤)に同時に曝露される状況を指す。一部の実施形態では、2つまたはそれを超える薬剤が同時に投与されてもよく、一部の実施形態では、そのような薬剤は、逐次的に投与されてもよく、一部の実施形態では、そのような薬剤は、重複する投薬レジメンで投与される。
【0049】
「ペプチド」または「ポリペプチド」:用語「ペプチド」または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって一緒に連結される少なくとも2つの(例えば、少なくとも3つの)アミノ酸のストリングを指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸を含み、代わりに、またはさらに、ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の非天然のアミノ酸を含む(すなわち、天然に存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込むことができる化合物;例えば、機能的イオンチャネルに首尾よく組み込まれた非天然アミノ酸の構造を提示する、http://www.cco.caltech.edu/~dadgrp/Unnatstruct.gifを参照)および/または当該技術分野で公知であるアミノ酸類似体を代わりに用いることができる)。ある特定の実施形態では、タンパク質中のアミノ酸の1つまたは複数を、例えば、化学実体、例えば炭水化物基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション、官能化(functionalization)または他の改変のためのリンカーの付加などによって改変することができる。
【0050】
「放射性標識」:本明細書で使用されるように、「放射性標識」は、少なくとも1つの元素の放射性同位体を含む部分を指す。例示的な適する放射性標識には、本明細書に記載されるものが限定されずに含まれる。ある特定の実施形態では、放射性標識は、陽電子放射断層撮影(PET)で使用されるものである。ある特定の実施形態では、放射性標識は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)で使用されるものである。ある特定の実施形態では、放射性同位体は、99mTc、111In、64Cu、67Ga、186Re、188Re、153Sm、177Lu、67Cu、123I、124I、125I、11C、13N、15O、18F、186Re、188Re、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、213Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Ag、89Zr、225Acおよび192Irを含む。
【0051】
「被験体」:本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、ヒトおよび哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、イヌおよびウマ)を含む。多くの実施形態では、被験体は、哺乳動物、特に霊長類、特にヒトである。ある特定の実施形態では、被験体は、畜産動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、雌ウシ、ブタなど;家禽、例えばニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウなど;および家畜化された動物、特にペット、例えばイヌおよびネコである。ある特定の実施形態(例えば、特に研究関連)では、被験体の哺乳動物は、例えば、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類または近交系ブタなどのブタなどである。
【0052】
「実質的に」:本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の範囲または程度を示す定性的状態を指す。生物分野の当業者は、生物的および化学的現象が完結すること、および/または完了まで進行すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは、あるとしても稀であることを理解する。したがって、用語「実質的に」は、本明細書で、多くの生物的および化学的現象に内在する完全性の潜在的欠如を捉えるために使用される。
【0053】
「治療剤」:本明細書で使用されるように、「治療剤」という語句は、被験体に投与したときに治療効果を有する、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を導き出す任意の薬剤を指す。
【0054】
「処置」:本明細書で使用されるように、用語「処置」は(「処置する」または「処置すること」も)、特定の疾患、障害および/または状態を部分的または完全に軽減、改善、緩和、阻害する、その発症を遅らせる、その重症度を低減する、ならびに/またはその1つもしくは複数の症状、特徴および/もしくは原因の発生率を低減する物質の任意の投与を指す。そのような処置は、関連する疾患、障害および/もしくは状態の徴候を示さない被験体、ならびに/または疾患、障害および/もしくは状態の初期の徴候だけを示す被験体のものであってもよい。あるいは、またはさらに、そのような処置は、関連する疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の確立された徴候を示す被験体のものであってもよい。ある特定の実施形態では、処置は、関連する疾患、障害および/または状態を患っていると診断された被験体のものであってもよい。ある特定の実施形態では、処置は、関連する疾患、障害および/または状態の発生の危険の増加と統計学的に相関する1つまたは複数の感受性因子を有することが既知の被験体のものであってもよい。
【0055】
限定でなく例示目的のために、本明細書に図が提示される。
【0056】
本開示の前述のおよび他の目的、態様、特徴および利点は、添付の図面と併せて得られる以下の記載を参照することによってより明らかになり、より良好に理解される。
例えば、本発明の実施形態において、以下の項目が提供される。
(項目1)
腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与し、フェロトーシス(例えば、鉄依存性壊死または反応性酸素種依存性壊死を含むフェロトーシス細胞死)を誘導するステップ
を含む、被験体の処置方法。
(項目2)
前記ナノ粒子が極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記高い濃度が、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記高い濃度が、前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記腫瘍組織がフェロトーシスの誘導に感作されている、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のために薬物を投与するステップ;および
(フェロトーシスを誘導するために)前記腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与するステップ
を含む、被験体の組み合わせ処置の方法。
(項目8)
前記薬物が化学療法剤(例えば、TAS-102)を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ナノ粒子が極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む、項目7または8に記載の方法。
(項目10)
前記高い濃度が、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える、項目7~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記高い濃度が、前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、前記高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)、項目7~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)、項目7~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記腫瘍組織がフェロトーシスの誘導に感作されている、項目7~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記薬物を投与するステップおよび前記ナノ粒子を投与するステップが、前記薬物および前記ナノ粒子の両方を含む組成物を投与することによって達成される、項目7~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記組成物がナノ粒子薬物コンジュゲートを含む、項目7~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
腫瘍組織(例えば、前立腺がん組織)からホルモンを欠乏させるステップ;および
前記腫瘍組織における十分に高い濃度での蓄積のためにナノ粒子を投与し、フェロトーシスを誘導するステップ
を含む、被験体の組み合わせ処置の方法。
(項目17)
前記腫瘍組織が去勢(例えば、化学的去勢)を経てホルモンを欠乏させる、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ナノ粒子が極小ナノ粒子(例えば、Cドット、例えばC’ドット)を含む、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記高い濃度が、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える、項目16~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記高い濃度が、前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(例えば、前記高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである)、項目16~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)、項目16~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記腫瘍組織がフェロトーシスの誘導に感作されている、項目16~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記腫瘍組織が、腎臓、前立腺、メラノーマ、膵臓、肺、線維肉腫、乳房、脳、卵巣および結腸腫瘍組織からなる群より選択される、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記膵臓腫瘍組織がBxPC3細胞を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記肺腫瘍組織がH1650細胞を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記ナノ粒子が15nm以下の平均直径を有する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記ナノ粒子が10nm以下の平均直径を有する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記ナノ粒子が約5nmから約7nm(例えば、約6nm)の平均直径を有する、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記ナノ粒子が1から20個の標的化部分を含み、前記標的化部分が腫瘍細胞上の受容体に結合する(例えば、前記ナノ粒子が、15nm以下、例えば10nm以下、例えば約5nmから約7nm、例えば約6nmの平均直径を有する)、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
1から20個の前記標的化部分がアルファ-メラニン細胞刺激ホルモン(αMSH)を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記ナノ粒子が標的化部分(例えば、αMSH)を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記ナノ粒子が処置の過程にわたって複数回投与される、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
処置の過程にわたって前記ナノ粒子を3または4日ごとに投与するステップをさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
投与される前記ナノ粒子に薬物(例えば、化学療法剤)が付着している、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記薬物がリンカー部分を介して付着している(例えば、共有結合または非共有結合で付着している)、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
がん処置および/または組織修復プロセス(例えば、創傷治癒)においてCドットの治療能力を増加させるために、薬物送達が、投与される前記ナノ粒子の天然の免疫調節特性と組み合わされる(例えば、前記ナノ粒子がα-MSH-PEG-C’ドットを含む、例えば、α-MSHが前記ナノ粒子の表面に結合している)(例えば、前記ナノ粒子が有機ポリマーコーティング(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))を含む)、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
被験体を処置する方法で使用するためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む組成物であって、
前記処置が、腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために前記被験体の腫瘍組織に前記組成物を送達し、フェロトーシスを誘導することを含む(例えば、前記高い濃度が前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)(例えば、前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、組成物。
(項目38)
療法で使用するためにフェロトーシスを誘導するために、腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む(例えば、前記高い濃度が前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)(例えば、前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)組成物。
(項目39)
被験体を処置する方法で使用するための薬物(例えば、化学療法剤、例えばTAS102)を含む第1の組成物およびナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む第2の組成物であって、
前記処置が、
前記被験体の腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のために前記第1の組成物を送達すること;ならびに
腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために前記被験体の前記腫瘍組織に前記第2の組成物を送達し(例えば、前記高い濃度が前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)(例えば、前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、フェロトーシスを誘導すること
を含む、第1の組成物および第2の組成物。
(項目40)
療法で使用するための、フェロトーシスを誘導するために、被験体の腫瘍組織への輸送(および/または腫瘍組織における蓄積)のための薬物(例えば、任意の化学療法剤、例えばTAS102)を含む第1の組成物;
および腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む第2の組成物(例えば、前記高い濃度が前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)(例えば、前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)。
(項目41)
被験体を処置する方法で使用するためのナノ粒子(例えば、極小ナノ粒子、例えばCドット、例えばC’ドット)を含む組成物であって、
前記処置が、
前記被験体の腫瘍組織(例えば、前立腺組織)からホルモン(例えば、去勢(例えば、化学的去勢)を経て)を欠乏させること;および
腫瘍組織における十分に高い濃度(例えば、1μMを超える、例えば15μMを超える、例えば60μMを超える)での蓄積のために前記被験体の前記腫瘍組織に前記組成物を送達し(例えば、前記高い濃度が前記腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である)(例えば、前記高い濃度が、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの前記腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、前記ナノ粒子がシリカをベースとしており、例えば、前記ナノ粒子がCドットまたはC’ドットである)(例えば、前記腫瘍組織が、十分にアミノ酸が欠乏している(または代謝的に欠乏している)か、またはその他の点でフェロトーシスの誘導に対して感受性である)、フェロトーシスを誘導すること
を含む、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1-1】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1Aは、例示的なα-MSH-PEG-C’ドットが、蛍光性(例えば、Cy5封入)コアおよびポリエチレングリコール(PEG)コーティングおよびアルファメラニン細胞刺激ホルモン(αMSH)改変外部を有する、極小の直径6nmのシリカベースの粒子であることを示す。
【0058】
【
図1-2】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1Bは、α-MSH-PEG-C’ドットが、細胞内のリソソームネットワークに局在化することを示す。LAMP1-GFPを発現するM21メラノーマ細胞を、α-MSH-PEG-C’ドット(15μM)で24時間処置した。ナノ粒子(Cy5蛍光、偽着色およびLAMP1-GFP)の間の共局在は画像中で併合していることに留意する。バー=10μm。
【0059】
【
図1-3】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1C~1Eは、栄養豊富な培地で、および指示したα-MSH-PEG-C’ドット濃度で処置して40時間培養したM21細胞で、α-MSH-PEG-C’ドットが十分に耐容されることを示す。ナノ粒子は、細胞生存(
図1D)や細胞増殖(
図1E)に有意な影響を及ぼさなかった。バーは、平均+/-平均の標準誤差を示す。各々につき5つの独立した視野を有する、N=3の生物実験。個々の実験値については、
図10Aおよび10Bを参照のこと。スケールエラーバーは、S.D.を示す。バー=10μm。
【0060】
【
図1-4】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1F~1Hは、ナノ粒子処置細胞でオートファジーおよびリソソーム機能が撹乱されていないことを示す。ブロットは、リソソーム阻害剤であるコンカナマイシンA(ConA、100nMで1時間)の存在下(+)および非存在下(-)での、未処置およびアミノ酸飢餓(AA-st)細胞と比較した、α-MSH-PEG-C’ドットの漸増用量で24時間処置した細胞でのLC3-Iおよび-IIを示す。LC3-II(
図1G)のレベルはナノ粒子処置によって変更されず、ConAによって誘導可能なLC3-II蓄積(
図1H)、オートファジーターンオーバーの尺度は、処置細胞と対照細胞の間で類似している。SEMバーは、平均+/-平均の標準誤差を示す。各群でN=3。個々の実験値については、
図10Cおよび10Dを参照のこと。
【0061】
【
図1-5】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1I~1Jは、ナノ粒子処置が無アミノ酸培地で培養されたM21細胞の細胞死を誘導することを示す。画像は、AA-st条件での生きている対照細胞および死んだSytoxグリーン陽性ナノ粒子処置細胞を示す。スケールバー=10μm。
図1Iは、経時的顕微鏡検査法によって決定した、50時間後の完全培地(完全)またはAA-st条件でのパーセントSytoxグリーン陽性細胞を示す(
図1J)。バーは、平均+/-標準偏差を示す。各群についてN=4。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0062】
【
図1-6】
図1A~1Kは、シリカをベースとした極小α-MSH-PEG-C’ドット粒子がアミノ酸欠乏条件で細胞死を誘導することを示す。
図1Kは、免疫不全(SCID/Beige)マウスで異種移植片を作製する前に、72時間の培養において、完全培地中の15μMのα-MSH-PEG-C’ドットを用いて処置したM21細胞が、未処置の細胞(丸)に対して成長阻害(逆三角形)を実証することを示す。概略図は、異種移植腫瘍成長対対照細胞をアッセイするために(1)培養中の粒子をローディングするM21メラノーマ細胞および(2)粒子をローディングされたM21細胞をマウスに注射することを含むワークフローを示す。データは、1群につき3つの腫瘍からの22日間の成長にわたる平均腫瘍体積を示す。バーは、平均+/-平均の標準誤差を示す。粒子処置M21細胞は、研究間隔を通して対照と比較して統計的に有意な(p<0.001)成長阻害を示した。P値は、データの長軸方向の性質を考慮するために一般化推定方程式によって推定された回帰モデルでのワルド検定からのものである。
【0063】
【
図2-1】
図2A~2Fは、α-MSH-PEG-C’ドット粒子によって誘導された細胞死が、アポトーシスでもネクロトーシスでもオートーシス(autosis)でもないことを示す。
図2Aは、アミノ酸の非存在下で15μMのα-MSH-PEG-C’ドットを用いて培養されたMCF10Aヒト乳房上皮細胞が、壊死性の特徴を伴う細胞死を30時間後に起こすことを示す。挿入図は、矢印で示す瀕死細胞を示す。蛍光画像は、死細胞核のSytoxグリーン標識を示す。バー=10μm。
【0064】
【
図2-2】
図2A~2Fは、α-MSH-PEG-C’ドット粒子によって誘導された細胞死が、アポトーシスでもネクロトーシスでもオートーシス(autosis)でもないことを示す。
図2B~2Fは、経時的顕微鏡検査法によって決定した、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における完全培地またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件でのMCF10Aおよびマウス胚線維芽細胞(MEF)培養における、および40時間後(MCF10A)(
図2B)または45時間後(MEF)(
図2C)の細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0065】
【
図2-3】
図2A~2Fは、α-MSH-PEG-C’ドット粒子によって誘導された細胞死が、アポトーシスでもネクロトーシスでもオートーシス(autosis)でもないことを示す。
図2B~2Fは、経時的顕微鏡検査法によって決定した、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における完全培地またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件でのMCF10Aおよびマウス胚線維芽細胞(MEF)培養における、および40時間後(MCF10A)(
図2B)または45時間後(MEF)(
図2C)の細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
図2D~2Fは、細胞死アッセイ(
図2B~2Cに示されるアッセイと類似の)が、38時間の経時実験の後に定量化された、MCF10AでのBcl2過剰発現によるアポトーシスの阻害(
図2D)、または、45時間後に定量化された、MEFでのBaxおよびBakの欠失(
図2E)、または、45時間後に定量化された、MEFでのripk3の欠失によるネクロトーシスの阻害(
図2F)、または、45時間(
図2F)後のMEFでのAtg5のノックアウトによるオートファジーの阻害は、アミノ酸飢餓および15μMのα-MSH-PEG-C’ドット処置によって誘導される細胞死を阻害しないことを示すことを示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【
図2-4】
図2A~2Fは、α-MSH-PEG-C’ドット粒子によって誘導された細胞死が、アポトーシスでもネクロトーシスでもオートーシス(autosis)でもないことを示す。
図2B~2Fは、経時的顕微鏡検査法によって決定した、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における完全培地またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件でのMCF10Aおよびマウス胚線維芽細胞(MEF)培養における、および40時間後(MCF10A)(
図2B)または45時間後(MEF)(
図2C)の細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
図2D~2Fは、細胞死アッセイ(
図2B~2Cに示されるアッセイと類似の)が、38時間の経時実験の後に定量化された、MCF10AでのBcl2過剰発現によるアポトーシスの阻害(
図2D)、または、45時間後に定量化された、MEFでのBaxおよびBakの欠失(
図2E)、または、45時間後に定量化された、MEFでのripk3の欠失によるネクロトーシスの阻害(
図2F)、または、45時間(
図2F)後のMEFでのAtg5のノックアウトによるオートファジーの阻害は、アミノ酸飢餓および15μMのα-MSH-PEG-C’ドット処置によって誘導される細胞死を阻害しないことを示すことを示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【
図2-5】
図2A~2Fは、α-MSH-PEG-C’ドット粒子によって誘導された細胞死が、アポトーシスでもネクロトーシスでもオートーシス(autosis)でもないことを示す。
図2B~2Fは、経時的顕微鏡検査法によって決定した、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における完全培地またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件でのMCF10Aおよびマウス胚線維芽細胞(MEF)培養における、および40時間後(MCF10A)(
図2B)または45時間後(MEF)(
図2C)の細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
図2D~2Fは、細胞死アッセイ(
図2B~2Cに示されるアッセイと類似の)が、38時間の経時実験の後に定量化された、MCF10AでのBcl2過剰発現によるアポトーシスの阻害(
図2D)、または、45時間後に定量化された、MEFでのBaxおよびBakの欠失(
図2E)、または、45時間後に定量化された、MEFでのripk3の欠失によるネクロトーシスの阻害(
図2F)、または、45時間(
図2F)後のMEFでのAtg5のノックアウトによるオートファジーの阻害は、アミノ酸飢餓および15μMのα-MSH-PEG-C’ドット処置によって誘導される細胞死を阻害しないことを示すことを示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0066】
【
図3-1】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3A~3Cは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドット、ならびに、(
図3A)40時間後の1μMのフェロスタチン-1(Fer-1)、(
図3B)38時間後の100μMのデフェロキサミン(DFO)、および(
図3C)40時間後の50μMのブチルヒドロキシアニソール(BHA)、200μMのアスコルビン酸(AA)、100μMのトロロクス、10mMのN-アセチルシステイン(NAC)または5mMのグルタチオン(GSH)の存在下または非存在下における、完全培地(完全)またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件で培養されたMCF10A細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【
図3-2】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3A~3Cは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドット、ならびに、(
図3A)40時間後の1μMのフェロスタチン-1(Fer-1)、(
図3B)38時間後の100μMのデフェロキサミン(DFO)、および(
図3C)40時間後の50μMのブチルヒドロキシアニソール(BHA)、200μMのアスコルビン酸(AA)、100μMのトロロクス、10mMのN-アセチルシステイン(NAC)または5mMのグルタチオン(GSH)の存在下または非存在下における、完全培地(完全)またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件で培養されたMCF10A細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【
図3-3】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3A~3Cは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドット、ならびに、(
図3A)40時間後の1μMのフェロスタチン-1(Fer-1)、(
図3B)38時間後の100μMのデフェロキサミン(DFO)、および(
図3C)40時間後の50μMのブチルヒドロキシアニソール(BHA)、200μMのアスコルビン酸(AA)、100μMのトロロクス、10mMのN-アセチルシステイン(NAC)または5mMのグルタチオン(GSH)の存在下または非存在下における、完全培地(完全)またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件で培養されたMCF10A細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0067】
【
図3-4】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3Dおよび3Eは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットによりアミノ酸飢餓条件でフェロトーシスを起こすMCF10Aの経時分析からの画像を示す。画像の左側から右にかけて死(Sytoxグリーン陽性)が細胞から細胞に広がることに留意する。スケールバー=10μm。
【
図3-5】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3Dおよび3Eは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットによりアミノ酸飢餓条件でフェロトーシスを起こすMCF10Aの経時分析からの画像を示す。画像の左側から右にかけて死(Sytoxグリーン陽性)が細胞から細胞に広がることに留意する。スケールバー=10μm。
【0068】
【
図3-6】
図3A~3Gは、フェロトーシスが、α-MSH粒子誘導細胞死の基礎をなす機構であることを示す。
図3F~3Gは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットを用いて処置した細胞における死およびアミノ酸撤去の前に脂質ROSが蓄積することを示す。
図3Fは、脂質ROSを検出するC11-BODIPYの存在下で培養された処置細胞を示す。細胞死の数時間前(一番下の画像の細胞死より前の、各画像で示される時間)にC11-BODIPYの蛍光強度が増加することに留意する。
図3Gは、粒子処置およびアミノ酸飢餓細胞(点線)またはエラスチン処置細胞(黒線)でのC11-BODIPY蛍光の定量化を示す。1つの生物実験から、5つの細胞からの平均強度+/-標準偏差を示す。ゼロ時間は、DIC顕微鏡検査法によって決定された細胞死の時間を示す。細胞死の3時間から4時間前の間にC11-BODIPY染色の強度が増加することに留意する。
【0069】
【
図4-1】
図4A~4Gは、α-MSH-PEG-C’ドットが、異なるタイプのがん細胞で細胞死を誘導することができることを示す。
図4A~4Fは、15μMα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)での(
図4A~4B)40時間後のBxPC3膵癌細胞、(
図4C~4D)45時間後のH1650肺癌細胞および(
図4E~4F)65時間後のHT1080線維肉腫細胞における細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。スケールバー=10μm。
【
図4-2】
図4A~4Gは、α-MSH-PEG-C’ドットが、異なるタイプのがん細胞で細胞死を誘導することができることを示す。
図4A~4Fは、15μMα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)での(
図4A~4B)40時間後のBxPC3膵癌細胞、(
図4C~4D)45時間後のH1650肺癌細胞および(
図4E~4F)65時間後のHT1080線維肉腫細胞における細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。スケールバー=10μm。
【
図4-3】
図4A~4Gは、α-MSH-PEG-C’ドットが、異なるタイプのがん細胞で細胞死を誘導することができることを示す。
図4A~4Fは、15μMα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)での(
図4A~4B)40時間後のBxPC3膵癌細胞、(
図4C~4D)45時間後のH1650肺癌細胞および(
図4E~4F)65時間後のHT1080線維肉腫細胞における細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。スケールバー=10μm。
【0070】
【
図4-4】
図4A~4Gは、α-MSH-PEG-C’ドットが、異なるタイプのがん細胞で細胞死を誘導することができることを示す。
図4Gは、α-MSH-PEG-C’ドットナノ粒子によって誘導されたフェロトーシスの例示的なモデルを示す。アミノ酸欠乏(I)およびリソソームへのナノ粒子摂取(II)の両方は、グルタチオンの枯渇につながり(
図7D~7Eを参照)、リソソーム鉄、反応性酸素種(ROS)の公知のインデューサー、に依存するフェロトーシス、およびフェロスタチン-1およびリポロキシスタチン-1によってブロックされる脂質過酸化の誘導に一緒に寄与する。
【0071】
【
図5-1】
図5A~5Kは、α-MSH-PEG-C’ドットがHT1080および786-O異種移植モデルで腫瘍成長を阻害することを示す。
図5A、5Bおよび5Kは、α-MSH-PEG-C’ドット処置(T;n=5)および食塩水処置(C;n=3)マウスにおける786-O(
図5K)およびHT1080(
図5B)平均腫瘍体積測定のグラフによる要約を各々示し、エラーバーは、標準偏差を示す。3つの高用量α-MSH-PEG-C’ドット(または、対照ビヒクル)処置を、10日間にわたってi.v.注射した(a;矢印)。一部(
図5A)からの個々のHT-1080腫瘍体積測定は、
図5Bに示す。対照腫瘍体積に対して、データは粒子処置後の腫瘍成長の著しい阻害および部分的腫瘍退縮を示す(HT-1080:p<0.001;786-OL:P<0.01)。P値は、データの長軸方向の性質を考慮するために一般化推定方程式によって推定された回帰モデルでのワルド検定からのものである。
【
図5-2】
図5A~5Kは、α-MSH-PEG-C’ドットがHT1080および786-O異種移植モデルで腫瘍成長を阻害することを示す。
図5A、5Bおよび5Kは、α-MSH-PEG-C’ドット処置(T;n=5)および食塩水処置(C;n=3)マウスにおける786-O(
図5K)およびHT1080(
図5B)平均腫瘍体積測定のグラフによる要約を各々示し、エラーバーは、標準偏差を示す。3つの高用量α-MSH-PEG-C’ドット(または、対照ビヒクル)処置を、10日間にわたってi.v.注射した(a;矢印)。一部(
図5A)からの個々のHT-1080腫瘍体積測定は、
図5Bに示す。対照腫瘍体積に対して、データは粒子処置後の腫瘍成長の著しい阻害および部分的腫瘍退縮を示す(HT-1080:p<0.001;786-OL:P<0.01)。P値は、データの長軸方向の性質を考慮するために一般化推定方程式によって推定された回帰モデルでのワルド検定からのものである。
【0072】
【
図5-3】
図5A~5Kは、α-MSH-PEG-C’ドットがHT1080および786-O異種移植モデルで腫瘍成長を阻害することを示す。
図5Cは、代表的H1080腫瘍異種移植片の代表的な全身Cy5蛍光イメージングを示す。
図5Dは、代表的な対照および処置腫瘍からのH&E染色組織切片の低倍率像が、対照検体が対応する処置検体よりサイズが不相応に大きいことを明らかにすることを示す。
図5E~5Hは、Mac-2による腫瘍切片の免疫組織化学的染色が、(
図5E)低いおよび(
図5G)高い倍率の像で対照腫瘍切片(T)の周辺の散乱したマクロファージ(矢印)を示すが、Mac-2染色処置切片の対応する(
図5F)低いおよび(
図5H)高い倍率の像は、類似の位置で腫瘍を囲む多数のMac-2陽性細胞を示す(ボックス、d、f;矢印)ことを示す。少数の腫瘍内Mac-2陽性細胞にも留意のこと。
【0073】
【
図5-4】
図5A~5Kは、α-MSH-PEG-C’ドットがHT1080および786-O異種移植モデルで腫瘍成長を阻害することを示す。
図5E~5Hは、Mac-2による腫瘍切片の免疫組織化学的染色が、(
図5E)低いおよび(
図5G)高い倍率の像で対照腫瘍切片(T)の周辺の散乱したマクロファージ(矢印)を示すが、Mac-2染色処置切片の対応する(
図5F)低いおよび(
図5H)高い倍率の像は、類似の位置で腫瘍を囲む多数のMac-2陽性細胞を示す(ボックス、d、f;矢印)ことを示す。少数の腫瘍内Mac-2陽性細胞にも留意のこと。
図5Iは、阻害剤および粒子の組み合わせ処置(T+L;n=3)対粒子処置単独(T;n=3)を受けたマウスにおける個々のHT1080腫瘍体積測定のグラフによる要約を示す。10日間にわたる3つの高用量α-MSH-PEG-C’ドット処置(腹腔内注射阻害剤を用いるまたは用いない)。阻害剤および粒子の組み合わせ処置の後、粒子処置単独に対して腫瘍増殖の著しい進行が見られる(p<0.001)。
【0074】
【
図5-5】
図5A~5Kは、α-MSH-PEG-C’ドットがHT1080および786-O異種移植モデルで腫瘍成長を阻害することを示す。
図5Jは、代表的な粒子曝露腫瘍が、リプロクススタチン-1(右の腫瘍)でさらに処置したとき、検体のサイズが不相応により大きいことを明らかにすることを示す。スケールバー:1mm(
図5D、
図5Eおよび
図5F);50μm(
図5G、
図5H);1cm(
図5J)。
図5A、5Bおよび5Kは、α-MSH-PEG-C’ドット処置(T;n=5)および食塩水処置(C;n=3)マウスにおける786-O(
図5K)およびHT1080(
図5B)平均腫瘍体積測定のグラフによる要約を各々示し、エラーバーは、標準偏差を示す。3つの高用量α-MSH-PEG-C’ドット(または、対照ビヒクル)処置を、10日間にわたってi.v.注射した(a;矢印)。一部(
図5A)からの個々のHT-1080腫瘍体積測定は、
図5Bに示す。対照腫瘍体積に対して、データは粒子処置後の腫瘍成長の著しい阻害および部分的腫瘍退縮を示す(HT-1080:p<0.001;786-OL:P<0.01)。P値は、データの長軸方向の性質を考慮するために一般化推定方程式によって推定された回帰モデルでのワルド検定からのものである。
【0075】
【
図6-1】
図6A~6Cは、786-OおよびHT-1080細胞でのナノ粒子誘導細胞死およびHT-1080腫瘍の血管化を示す。(
図6A)50時間後のSKOV3卵巣癌細胞および(
図6B)5日後のHT1080線維肉腫細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化。細胞は、示された濃度のα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下で、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)で培養した。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。
【0076】
【
図6-2】
図6A~6Cは、786-OおよびHT-1080細胞でのナノ粒子誘導細胞死およびHT-1080腫瘍の血管化を示す。(
図6A)50時間後のSKOV3卵巣癌細胞および(
図6B)5日後のHT1080線維肉腫細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化。細胞は、示された濃度のα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下で、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)で培養した。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。
図6C~6Eは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの存在下または非存在下における、アミノ酸飢餓786-O腎臓がん細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。スケールバー=10μm。アポトーシス死(
図6E)と比較した形態および迅速なSytoxグリーン陽性(
図6D)によって、壊死性の細胞死を決定した。
【0077】
【
図7-1】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7A~7Cは、25μMのHDCFDAを使用してサイトゾルROSのレベルについて(
図7B)、および2μMのC11-BODIPY(581/591)を使用して脂質過酸化レベルについて(
図7C)、完全培地中の15μMのα-MSH-PEG-C’ドットで24時間処置したMCF10A細胞をフローサイトメトリーによって調べたことを示す。
図7Aは、粒子処置細胞(青色の集団)のCy5蛍光を示す。
【0078】
【
図7-2】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7Dは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットまたは400μMのブチオニンスルホキシミン(BSO)、グルタチオンのための律速酵素であるγ-グルタミルシステインシンテターゼの阻害剤、の存在下または非存在下において、完全培地(完全)または無アミノ酸培地(AA-st)で24時間培養したMCF10A細胞での還元型グルタチオン(GSH)レベルの定量化を示す。BSO処置と同様に、ナノ粒子処置およびアミノ酸欠乏が、単独で、または組み合わせてグルタチオンレベルを低減することに注意すべきである。バーは、3つの独立した実験からの平均+/-平均の標準誤差を示す。個々の実験値については、
図12Dを参照のこと。
図7Eは、全グルタチオンレベルがナノ粒子処置細胞で低減されること、ならびに、アミノ酸飢餓細胞、ナノ粒子処置細胞(αMSH)およびグルタチオン生産阻害剤BSOで処置した細胞における24時間後の全グルタチオンの相対レベルを示す。
図7Fは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドット(白色のバー)またはαMSHペプチドを欠くPEG-C’ドット(陰影のついたバー)の存在下における、AA-st条件で培養したMCF10A細胞の40時間および68時間での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0079】
【
図7-3】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7Gは、α-MSH-PEG-C’ドットが鉄に結合し、処置細胞が鉄レベルを増加させたことを示す。データは、αMSHナノ粒子保存試料および未処置細胞(両方とも検出限界未満の「対照」である)、培養培地から精製されたα-MSH-PEG-C’ドット(NP+培地)、およびナノ粒子で処置した細胞(NP+細胞)から決定された鉄濃度を示す。鉄濃度標準は、赤色データポイントとして示す。全ての測定は、三連で実行された1つの生物実験からの平均である。生データは、表1に示す。
図7Hは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットを用いる処置、またはクエン酸鉄アンモニウム(FAC)を用いる処置によってフェリチン重鎖発現がアミノ酸飢餓(AA-st)細胞で増加し、DFOを用いる処置によって減少することを示す。ウェスタンブロットは、示された試薬を用いる処置の24時間後の、アクチンローディング対照と比較したフェリチン重鎖(FTH1)発現を示す。
【0080】
【
図7-4】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7Iは、鉄(FAC)を用いる細胞の処置が、アミノ酸飢餓(AA-st)条件でα-MSH-PEG-C’ドット誘導死を模倣するのに十分であることを示す。グラフは、表示されるように処置された細胞のパーセント細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。
【0081】
【
図7-5】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7Jは、エラスチンを用いる前処置がナノ粒子によって誘導されたフェロトーシスに対して感作することを示す。グラフは、示された処置の18時間後(白色のバー)または24時間後(陰影をつけたバー)の、パーセントHT-1080細胞死(Sytoxグリーン+細胞)を示す。エラスチンを用いる4時間の前処置は、「-」または「+」と示す。エラスチン前処置はそれ自体細胞死を誘導しない(「無処置」)が、前処置培養(「+」)は18および24時間でより多くの細胞死を起こすので、連続エラスチン処置(「エラスチン」)およびα-MSH-PEG-C’ドット(15μM)とアミノ酸飢餓の組み合わせ(「AA-st+αMSH」)の両方に対して感作することに留意する。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0082】
【
図7-6】
図7A~7Kは、ナノ粒子が鉄取り込みおよびグルタチオンレベルに影響することを示す。
図7Kは、GPX4活性が粒子処置によって阻害されないことを示す。データは、示された処置の後に収集された細胞溶解物からのGPX4の比活性を示す。データは、3つの独立した生物実験からのものであり、バーは、平均+/-平均の標準誤差を表す。
【0083】
【
図8-1】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Aは、無アミノ酸培地で培養し、100nMのコンカナマイシンA(ConA)で処置したMCF10A細胞が細胞死を起こし、細胞小疱形成および断片化を含むアポトーシスの形態学的特徴を伴うことを示す。
【0084】
【
図8-2】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Bは、Bcl2過剰発現およびConA処置の存在下または非存在下において完全培地(完全)またはアミノ酸飢餓(AA-st)条件で培養されたMCF10A細胞での細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化を示す。Bcl2は、AA-st条件でConA処置によって誘導されるアポトーシスを阻害することに留意する。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0085】
【
図8-3】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Cは、RIPK3のノックアウトがネクロトーシスを阻害することを示す。グラフは、ネクロトーシスを誘導するために、100ng/mlのTNFα、1μg/mlのシクロヘキシミド(CHX)および20μMのzVADの組み合わせで処置した、野生型(wt)およびRIPK3-/-MEFのパーセント細胞死(Sytoxグリーン+)を示す。RIPK3-/-MEFは細胞死を起こさず、30μMのネクロスタチン-1(Nec-1)、ネクロトーシス阻害剤、で処置したwt細胞に類似することに留意する。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0086】
【
図8-4】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Dは、50μg/mlのシクロヘキシミドを用いる処置に応答してアポトーシスを起こすMCF10A細胞が、細胞死の非同期パターンを示すことを示す。左の画像は、アポトーシスを起こす細胞の経時的顕微鏡検査法からの画像を示す(明るい=Sytoxグリーン)。右の画像は、個々の細胞死のタイミングを表すために偽着色した、左の画像からのSytoxグリーン陽性の核を示す。ここで細胞死の時間的パターンは、
図3Dおよび3Eと比較して非同期である。全てのスケールバー=10μm。
【0087】
【
図8-5】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Eは、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットの非存在下(左)および存在下(右)において完全培地で72時間培養されたM21細胞を示す(粒子蛍光はシアンで示す)。
図8Fは、完全培地で72時間の粒子処置の3日および10日での、対照および粒子処置細胞のパーセント細胞死(Sytoxグリーン+細胞)を示す。完全培地条件での粒子処置は、細胞生存度を阻害しないことに留意する。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0088】
【
図8-6】
図8A~8Gは、アポトーシスおよびネクロトーシス阻害細胞およびリプロキシスタチン-1の対照アッセイを示す。
図8Gは、リプロキシスタチン-1処置が粒子誘導細胞死を阻害することを示す。15μMのα-MSH-PEG-C’ドットおよび1μMのリプロキシスタチン-1の存在下または非存在下においてアミノ酸飢餓(AA-st)条件で培養された、MCF10A細胞での40時間後の細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。各反復は、1つの生物実験からのものであり、5つの独立視野で定量化されている。
【0089】
【
図8-7】
図8Hは、リプロキシスタチン-1処置がエラスチン処置によって誘導されるC11-BODIPY染色を阻害することを示す。画像は、対照細胞から6時間後に、エラスチン(5μM)で処置したC11-BODIPYとインキュベートした細胞が、
図3F~3Gにおけるように細胞死を起こしたことを示す。エラスチン+リプロキシスタチン-1処置細胞におけるC11-BODIPY染色の非存在に留意する。
【0090】
【
図9A】
図9A~9Cは、粒子処置腫瘍の画像を示す。
図9Aは、違った大きさのPEG-C’ドットで処置したHT-1080細胞での細胞死測定を示す。αMSHペプチドを欠く6nmまたは10nmの15μMのPEG-C’ドットの非存在下または存在下において、完全培地またはAA-st条件で48時間培養したHT-1080細胞死(Sytoxグリーン+)の定量化。エラーバーは、S.D.を表す。バーは、平均+/-標準偏差を示す。1群につきN=5。
【0091】
【
図9B】
図9A~9Cは、粒子処置腫瘍の画像を示す。
図9Bは、HT-1080腫瘍が良く血管化されていることを示す。画像は、粒子注射の10日後に収集し、内皮マーカーCD31のために免疫組織化学によって染色した、代表的なHT-1080異種移植検体を示す。全腫瘍の低倍率(4×)顕微鏡画像(上の画像)および腫瘍領域の高倍率(40×)画像(下の像)。腫瘍全体における血管の存在に留意する。スケールバー=500μm(低倍率);50μm(高倍率)。
【0092】
【
図9C】
図9A~9Cは、粒子処置腫瘍の画像を示す。
図9Cは、α-MSH-PEG-C’ドット処置786-O腫瘍が、動員された多数のマクロファージを示すことを示す。Mac-2染色処置切片の低(上の画像)および高(下の画像)倍率像は、類似の位置(ボックス)で腫瘍を囲む顕著なMac-2陽性細胞を示す。
【0093】
【
図10-1】
図10A~10Jは、
図1C~1Fおよび
図2A~2Eからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図10Aは、
図1Cの細胞生存グラフ(左側)からのデータが示されることを示す。N=3の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図10Bは、
図1Cの細胞増殖グラフ(右側)からのデータが示されることを示す。N=3の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図10Cは、個々のLC3-II/アクチン値が、
図1Dの左のグラフから示されることを示す。各群につきN=3のウェスタンブロット。15μmの条件が、0.79にプロットされる2つの値を有することに留意する。
図10Dは、個々のLC3-IIターンオーバー値が、
図1Dの右のグラフから示されることを示す。各群につきN=3のウェスタンブロット。
【0094】
【
図10-2】
図10A~10Jは、
図1C~1Fおよび
図2A~2Eからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図10Eは、
図1Eの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。N=4の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図10Fは、
図2Bの左側の細胞死グラフからのデータが、各群のN=5について示されることを示す。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図10Gは、
図2Bの右側の細胞死グラフからのデータが、各群のN=5について示されることを示す。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図10Hは、
図2Cの細胞死グラフからのデータが、各群のN=5について示されることを示す。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【0095】
【
図10-3】
図10A~10Jは、
図1C~1Fおよび
図2A~2Eからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図10Iは、
図2Dの細胞死グラフからのデータが、各群のN=5について示されることを示す。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図10Jは、
図2Eの細胞死グラフからのデータが、各群のN=5について示されることを示す。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【0096】
【
図11-1】
図11A~11Iは、
図3A~3F、4A~4Cおよび8A~8Gからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図11Aは、
図3Aの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。N=3の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図11Bは、
図3Cの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図11Cは、
図3Bの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。N=3の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図11Dは、
図4Aの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【0097】
【
図11-2】
図11A~11Iは、
図3A~3F、4A~4Cおよび8A~8Gからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図11Eは、
図4Bの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図11Fは、
図4Cの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。N=3の生物実験、各データポイントは5つの独立した視野からの平均を表す。
図11Gは、
図8Bの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図11Hは、
図8Cの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図11Iは、
図8Fの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【0098】
【
図12-1】
図12A~12Eは、
図6B~6Cおよび7B~7Hからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図12Aは、
図6Bの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図12Bは、
図7Cの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【0099】
【
図12-2】
図12A~12Eは、
図6B~6Cおよび7B~7Hからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図12Cは、
図7Fの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
図12Dは、
図7B(上のグラフ)からのグルタチオン定量化のデータが示されることを示す。N=3の独立した生物実験。
【0100】
【
図12-3】
図12A~12Eは、
図6B~6Cおよび7B~7Hからのグラフの個々のデータポイントを示す。
図12Eは、
図7Gの細胞死グラフからのデータが示されることを示す。各群につきN=5。各反復は、同じ生物実験の独立した視野である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
明細書全体で、組成物が特定の構成成分を有する(having)、含む(including)もしくは含む(comprising)と記載される場合、または、方法が特定のステップを有する(having)、含む(including)もしくは含む(comprising)と記載される場合、さらに、列挙される構成成分から本質的になる(consist essentially of)、またはそれからなる(consist of)本発明の組成物があること、および列挙される加工ステップから本質的になる(consist essentially of)、またはそれからなる(consist of)本発明による方法があることが考えられる。
【0102】
本発明が作動可能なままである限り、ステップの順序またはある特定の動作を実行する順序は重要でないことを理解すべきである。さらに、2つまたはそれを超えるステップまたは動作を同時に実行することができる。
【0103】
例えば背景技術の節での任意の刊行物への本明細書での言及は、その刊行物が本明細書に提示される請求項のいずれかに関して先行技術としての役目をすることを認めるものではない。背景技術の節は明瞭さのために提供され、いかなる請求項に関する先行技術の記載も意味するものでない。
【0104】
本明細書に記載される様々な実施形態は、FDA-IND承認の極小ナノ粒子、例えばCおよびC’ドットを利用する。本明細書に記載される様々な実施形態は、薬物送達適用へのそれらの適合を実証し、(1)細胞および異種移植モデルが、ある範囲の濃度および時間(例えば、数日から数週)にわたってメラノーマ標的化C’ドット(例えば、α-MSH-PEG-C’ドット)処置にどのように応答するか、ならびに(2)細胞経路が粒子摂取によって影響されるかどうかを検討する詳細な細胞生物学的分析を実行した。
【0105】
細胞死プログラムフェロトーシスを誘導するために、α-MSH-PEG-C’ドットを用いる細胞の処置およびアミノ酸飢餓の組み合わせがどのように相乗的に作用するかが、本明細書に記載される。さらに、メラノーマ標的化ペプチドと適合された直径10nm未満の蛍光性(Cy5色素含有)シリカナノ粒子(例えば、C’ドット)を使用する濃度依存的および時間依存的処置が細胞に及ぼす影響が本明細書で実証される。本開示は、鉄、反応性酸素種および細胞死実行の同期モードを含むフェロトーシス機構によって、高濃度の極小ナノ粒子(例えば、直径10nm未満、例えばCドットまたはC’ドット)が細胞死をどのように誘導するかを記載する。ある特定の実施形態では、高い濃度は、被験体の腫瘍組織において0.18μMから1.8μMの範囲内の局所濃度である(ここで、この範囲は本明細書に記載されるマウス研究に基づく推定値である)。ある特定の実施形態では、高い濃度は、少なくとも0.18μM、少なくとも0.3μM、少なくとも0.4μM、少なくとも0.5μMまたは少なくとも0.6μMの腫瘍組織における局所濃度であり;例えば、ナノ粒子はシリカをベースとしており、例えば、ナノ粒子はCドットまたはC’ドットである。ある特定の実施形態では、局所濃度は、腫瘍タイプおよび/または被験体に依存する。
【0106】
本開示は、これらの粒子の高い濃度は、栄養豊富な培地で培養した非がん細胞およびがん細胞の両方で概して良好に耐容されたことを記載する。粒子処置および代謝的(例えば、アミノ酸)欠乏の組み合わせは相乗的に作用して、がん細胞を高率に死滅させた。理論に拘束される必要はないが、摂取されたナノ粒子はリソソームネットワークに局在化するが、リソソーム機能を阻害せず、ナノ粒子誘導死がオートファジー経路と独立して起こる。
【0107】
これらの効果がin vivoにおける栄養枯渇状態に拡張するかどうか決定するために、異種移植片を粒子曝露がん細胞から生成したか、または粒子複数回投薬戦略を使用して静脈内処置した。この目的で、濃度依存的持続的成長阻害が観察され、部分的腫瘍退縮を伴った腫瘍成長動態の抑制が起こった。したがって、これらのデータは、高濃度および栄養欠乏条件の下で用いられた極小の表面官能化されたシリカベースのナノ粒子が、フェロトーシス機構によって細胞死を誘導したことを実証した。
【0108】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、シリカ、ポリマー(例えば、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA))、生物学的製剤(例えば、タンパク質担体)および/または金属(例えば、金、鉄)を含む。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、ここに参照により本明細書に組み込まれる、Bradburyらによる米国特許出願公開第2013/0039848A1号に記載される「Cドット」である。
【0109】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は球状である。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は非球状である。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、金属/半金属/非金属、金属/半金属/非金属酸化物、-スルフィド、-カーバイド、-ニトリド、リポソーム、半導体、および/またはその組み合わせからなる群より選択される材料であるか、またはそれを含む。ある特定の実施形態では、金属は、金、銀、銅および/またはその組み合わせからなる群より選択される。
【0110】
ナノ粒子は、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ゲルマニウム(GeO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、NbO2などを含む金属/半金属/非金属酸化物、ならびに/または金属/半金属/非金属ホウ化物、カーバイド、スルフィドおよびニトリド、例えばチタンおよびその組み合わせ(Ti、TiB2、TiC、TiNなど)を含む非酸化物を含むことができる。
【0111】
ナノ粒子は、1つまたは複数のポリマー、例えば、ヒトで使用するために21C.F.R.§177.2600の下で米国食品医薬品局(FDA)によって承認された1つまたは複数のポリマー、例えば、限定されずに、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3-ジオキサン-2-オン));ポリ酸無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリシアノアクリレート;PEGおよびポリ(エチレンオキシド)(PEO)のコポリマーを含むことができる。
【0112】
ナノ粒子は、1つまたは複数の分解性ポリマー、例えば、ある特定のポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、ある特定のポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリアセタール、ポリエーテル、生分解性ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタンおよび多糖を含むことができる。例えば、使用することができる具体的な生分解性ポリマーには、限定されずに、ポリリシン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)(PLC)およびポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGC)が含まれる。別の例示的な分解性ポリマーはポリ(ベータ-アミノエステル)であり、それは本出願に従って使用するのに好適かもしれない。
【0113】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、1つまたは複数の官能基を有するか、または有するように改変することができる。そのような官能基(ナノ粒子の中またはその表面の)は、任意の薬剤(例えば、検出可能な実体、標的化実体、治療的実体またはPEG)との会合のために使用することができる。表面官能性を導入または改変することによって表面電荷を変化させることに加えて、異なる官能基の導入は、リンカー(例えば、(開裂可能なまたは(生)分解可能な)ポリマー、例えば、限定されずに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PLGAなど)、標的化/ホーミング薬剤、および/またはその組み合わせのコンジュゲーションを可能にする。
【0114】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、1つまたは複数の標的化リガンド(または、部分)(例えば、それに付着している)、例えば、限定されずに、小分子(例えば、フォレート、色素など)、アプタマー(例えば、A10、AS1411)、多糖、小生体分子(例えば、葉酸、ガラクトース、ビスホスホネート、ビオチン)、オリゴヌクレオチドおよび/またはタンパク質(例えば、(ポリ)ペプチド(例えば、αMSH、RGD、オクトレオチド、APペプチド、上皮成長因子、クロロトキシン、トランスフェリンなど)、抗体、抗体断片、タンパク質など)を含む。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、1つまたは複数の造影/画像化剤(例えば、蛍光色素、(キレート化)放射性同位体(SPECT、PET)、MR活性剤、CT剤)、および/または治療剤(例えば、小分子薬、治療的(ポリ)ペプチド、治療的抗体、(キレート化)放射性同位体など)を含む。
【0115】
ある特定の実施形態では、PET(陽電子放射断層撮影)トレーサは、画像化剤として使用される。ある特定の実施形態では、PETトレーサは、89Zr、64Cu、[18F]フッ化デオキシグルコースを含む。ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、これらのおよび/または他の放射性標識を含む。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の標的化リガンド(または、部分)は、同じタイプのものであってよいか、または異なる種であってもよい。
【0116】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、1つまたは複数のフルオロフォアを含む。フルオロフォアは、蛍光色素、蛍光色素クエンチャー分子、任意の有機もしくは無機の色素、金属キレートまたは任意の蛍光性酵素基質、例えばプロテアーゼで活性化可能な酵素基質を含む。ある特定の実施形態では、フルオロフォアは、長鎖炭素親和性シアニン(long chain carbophilic cyanine)を含む。他の実施形態では、フルオロフォアは、DiI、DiR、DiDなどを含む。蛍光色素は、遠赤外および近赤外蛍光色素(NIRF)を含む。蛍光色素は、限定されずに、カルボシアニンおよびインドシアニン蛍光色素を含む。ある特定の実施形態では、画像化剤には、市販の蛍光色素、例えば、限定されずに、Cy5.5、Cy5およびCy7(GE Healthcare);AlexaFlour660、AlexaFlour680、AlexaFluor750およびAlexaFluor790(Invitrogen);VivoTag680、VivoTag-S680およびVivoTag-S750(VisEn Medical);Dy677、Dy682、Dy752およびDy780(Dyomics);DyLight547、DyLight647(Pierce);HiLyte Fluor 647、HiLyte Fluor 680およびHiLyte Fluor
750(AnaSpec);IRDye 800CW、IRDye 800RSおよびIRDye 700DX(Li-Cor);ならびに、ADS780WS、ADS830WSおよびADS832WS(American Dye Source)およびKodak X-SIGHT650、Kodak X-SIGHT691、Kodak X-SIGHT751(Carestream Health)が含まれる。
【0117】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、例えば目的のがん組織/細胞を標的にする、1つまたは複数の標的化リガンドを含む(例えば、それらが付着している)。
【0118】
処置することができるがんには、例えば、前立腺がん、乳がん、精巣がん、子宮頸がん、肺がん、結腸がん、骨がん、神経膠腫、神経膠芽腫、多発性骨髄腫、肉腫、小細胞癌、メラノーマ、腎臓がん、肝がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、リンパ腫、膵臓(例えば、BxPC3)、肺(例えば、H1650)および/または白血病が含まれる。
【0119】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、治療剤、例えば、薬物(例えば、化学療法薬)および/または治療的放射性同位体を含む。本明細書で使用されるように、「治療剤」は、被験体に投与したときに治療効果を有する、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を導き出す任意の薬剤を指す。
【0120】
ある特定の実施形態では、例えば、組み合わせ療法が使用される場合、治療方法の実施形態は、ナノ粒子の投与および1つまたは複数の薬物(例えば、別個に、またはナノ粒子にコンジュゲートして)、例えば、1つまたは複数の化学療法薬、例えばソラフェニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、MEK162、エトポシド、ラパチニブ、ニロチニブ、クリゾチニブ、フルベストラント、ベムラフェニブ、ベキソロテンおよび/またはカンプトテシンの投与を含む。
【0121】
ナノ粒子の表面化学、コーティングの均一性(コーティングがある場合)、表面電荷、組成、濃度、投与の頻度、形状および/またはサイズは、所望の治療効果、例えばがん細胞のフェロトーシスを生じるように調整することができる。
【0122】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子薬物コンジュゲート(NDC)が、薬物送達適用のために使用される。NDCに関する詳細は、例えば、その内容が参照により本明細書に完全に組み込まれる、国際公開第WO2015/183882A1号に記載される。
【実施例】
【0123】
本明細書で記載されるように、細胞の取り込みを促進するためにMC1-R-標的化C’ドットを使用した(
図1A)。粒子で24時間処置した、MC1-Rを発現しているヒトメラノーマ細胞(M21)細胞のライブイメージングは、α-MSH-PEG-C’ドットのリソソームとの共局在を明らかにした。摂取された粒子がリソソームまたは後期エンドソームのネットワークに存在したことを示すために、GFPタグ付きのリソソーム結合膜タンパク質1(LAMP1)の発現によって共局在を可視化した(
図1B)。最高15μMまで増加する濃度のα-MSH-PEG-C’ドット粒子を用いて処置したM21細胞は、対照細胞において観察される率と同様の生存率および増殖率を示した(
図1C~1E)。これらの結果は、高濃度のこれらのナノ粒子とのインキュベーションが、細胞によって十分に耐容されることを実証した。α-MSH-PEG-C’ドットを用いて処置した細胞内でリソソームが適切に機能していたかどうかを次に調査した。これを決定するために、リソソーム分解のために細胞内基質を標的とする、オートファジー経路を調査した。オートファジーは、オートファゴソーム膜上に脂質付加され、リソソームとのオートファゴソームの融合後に分解される、オートファジータンパク質微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3)の基底レベルおよびターンオーバー率を定量化することによって調査した。オートファゴソームと結合し、脂質付加された形態のLC3(LC3-IIと呼ばれる)の蓄積を、サイトゾルの、脂質付加されていない形態(LC3-Iと呼ばれる)に対する、リソソームを通るフラックスの尺度またはオートファジー誘導の尺度としてウェスタンブロットによって定量化した(
図1F~1H)。
【0124】
リソソーム依存的な様式で生じるLC3-IIのターンオーバーは、リソソーム機能の読み出しとして測定することもできる。リソソームが適切に機能しているときには、リソソーム阻害剤、例えば、リソソーム液胞型H+-ATPアーゼ(V-ATPアーゼ)を阻害するコンカナマイシンA(ConA)などでの処置は、分解の欠如に起因するLC3-IIの蓄積を導く。対照的に、リソソームが機能不全である場合には、ConAでの処置は、LC3-IIレベルを変化させないことになる。0.15μMから15μMまで増加する濃度のα-MSH-PEG-C’ドットで24時間処置した細胞は、対照細胞と比較して同様の相対LC3-IIレベルを有しており、オートファジーがナノ粒子処置によって誘導も撹乱もされないことが示唆される。pHを高めることによってリソソーム機能を阻害してオートファゴソーム分解をブロックする、リソソーム阻害剤ConAでの細胞の処置は、粒子で処置した細胞において対照と比較して同様のLC3-IIの蓄積をもたらしており、細胞に高濃度のα-MSH-PEG-C’ドットをローディングしたときでもリソソームが適切に機能していることを実証している(
図1F~1H)。
【0125】
次に、オートファジーを誘導するために栄養欠乏条件下で培養した細胞にナノ粒子を投与した。無アミノ酸培地中で培養した細胞をα-MSH-PEG-C’ドットで処置し、経時的イメージングによって調査した。アミノ酸欠乏は、粒子の非存在下でM21細胞によって十分に耐容されたのに対して、アミノ酸欠乏細胞の15μMのα-MSH-PEG-C’ドットでの処置は、これは栄養豊富な培地中の細胞には影響しなかったが、高い率で細胞死に導いた。細胞死は、断裂した形質膜を有する細胞を標識する膜不透過性核酸色素である、Sytoxグリーンの取り込みによって検出した(
図1I~1J)。これは、α-MSH-PEG-C’ドットは、概して十分に耐容されるが、栄養欠乏がん細胞は処置に感受性であることを実証する。この発見がin vivoでの腫瘍成長について結果を有しうるかどうかを決定するために、M21メラノーマ細胞を、栄養豊富な条件下での培養においてα-MSH-PEG-C’ドットと共にインキュベートし、これは細胞生存率に影響しなかったが(
図1C~1Eおよび
図8E~8F)、次いで、粒子曝露された細胞、ならびに粒子曝露されていない細胞をマウス内に側腹部腫瘍異種移植片として注射して栄養欠乏状態を促進させた。αMSH-PEG-C’ドットをローディングしたM21メラノーマ細胞は、粒子曝露されていない細胞と比較して統計的に有意な成長阻害を示した(p<0.001)。測定可能な腫瘍成長は、粒子曝露した細胞から、細胞注射の10日後まで生じなかった。理論に拘束される必要はないが、これらの発見により、高濃度のα-MSH-PEG-C’ドットでの処置は、培養およびin vivoにおいて栄養欠乏の条件下で細胞死を誘導しうることが示唆される。
【0126】
次に、α-MSH-PEG-C’ドットで処置した細胞が、栄養欠乏条件下で細胞死を起こす機構を調査した。理論に拘束される必要はないが、死にかけている細胞の形態の検査により、アポトーシス中に通常観察される細胞の小疱形成および断片化なしで、細胞の膨張および形質膜の断裂を引き起こしている、壊死の形態が示唆された(
図2Aおよび
図8A)。細胞死の機構をより明確に特定するために、2種の非腫瘍細胞株、ヒト乳腺上皮細胞MCF10Aおよびマウス胚性線維芽細胞(MEF)を利用し、無アミノ酸培地中でα-MSH-PEG-C’ドットの存在下で培養したときに、高い率で死ぬことも観察された(
図2B~2C)。抗アポトーシス性タンパク質Bcl-2の過剰発現によってアポトーシスに対して抵抗性にされた細胞(MCF10A-Bcl2)(
図8B)またはBaxおよびBakの遺伝的欠失によってアポトーシスに対して抵抗性にされた細胞(Bax/Bak-/-MEF)は、対照細胞の率と同様の率で細胞死を起こしており、α-MSH-PEG-C’ドットで誘導された細胞死は、アポトーシスによって生じないことが示唆される(
図2Dおよび
図2E)。
【0127】
次に、細胞死が、RIPK3キナーゼを必要とする、プログラムされた形態の壊死である、ネクロトーシスによって生じていたかどうかを決定した。Bax/Bak-/-MEFと同様に、ネクロトーシスに耐性である(
図8C)Ripk3-/-ノックアウトMEFも、対照と比較して同様の率で細胞死を起こした。理論に拘束される必要はないが、この結果により、ナノ粒子処置は、ネクロトーシスを誘導しないことが示唆された(
図2F)。
【0128】
次に、オートーシスと呼ばれる、オートファジー経路を含む最近記載されている形態の細胞死が関与しうるかどうかを、オートファジーを完全に欠損したオートファジー関連遺伝子5ノックアウトMEF(Atg5-/-MEF)をアミノ酸の非存在下でα-MSH-PEG-C’ドットで処置することによって決定した。Atg5-/-MEFは、対照細胞と同様の率で細胞死を起こしており、α-MSH-PEG-C’ドットで誘導された細胞死は、オートファジーを伴わず、オートーシスではないことが実証される(
図2F)。合わせて、これらのデータより、α-MSH-PEG-C’ドット処置とアミノ酸欠乏との組み合わせによって誘導される細胞死は、アポトーシス、ネクロトーシス、およびオートーシスとは独立に生じることが実証された。
【0129】
次に、鉄および脂質活性酸素種(ROS)に依存的なプロセスを介して生じる最近記載されている細胞死機構である、フェロトーシスが、グルタチオン枯渇によって誘導されるかどうか、およびα-MSH-PEG-C’ドットで誘導された細胞死に関与するかどうかを決定した。最初に、脂質ROSのスカベンジャーであるフェロトーシスの薬理学的阻害剤である、フェロスタチン-1およびリプロクススタチン-1が、この状況において細胞死をブロックすることができるかどうかを決定した。フェロスタチン-1またはリプロクススタチン-1のいずれかでの処置は、細胞生存率をレスキューし、アミノ酸欠乏条件下でナノ粒子の非存在下で生じるレベルまで細胞死を減少させた(
図3A、
図8G)。
【0130】
ナノ粒子で誘導された細胞死は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸(Asc酸)およびトロロクスを含む、他の抗酸化剤での処置によっても阻害され、あるいは、代替的に、グルタチオンまたは、グルタチオンの前駆体である、N-アセチルシステイン(NAC)の添加を通してのグルタチオン過多によっても阻害された(
図2B~2C)。ナノ粒子で誘導される細胞死中に脂質ROSが蓄積するかどうかを調査するために、粒子曝露した細胞を脂質酸化指示薬C11-BODIPYの存在下でイメージングした。リプロクススタチン-1で阻害可能な様式で、公知のフェロトーシス誘導剤エラスチンでの処置に応じて、細胞死の前の染色の増加が生じるのを認めた(
図3F~G、
図8H)。エラスチン処置によって誘導される細胞死と同様に、C11-BODIPY染色によって検出される脂質ROSは、無アミノ酸条件下でのナノ粒子処置による細胞死の誘導の数時間前に蓄積した(
図3F~3G)。ナノ粒子で誘導される死が、フェロトーシスの要件である、鉄に依存するかどうかをさらに調査するために、鉄過剰症を処置するために使用される鉄キレート剤でありフェロトーシスをブロックすることが報告されている薬剤である、デフェロキサミン(DFO)で処置した細胞が、細胞死をほぼ完全に阻害したことが見出された(
図3B)。これらのデータは、アミノ酸飢餓細胞の高いα-MSH-PEG-C’ドット濃度での処置が、フェロトーシスを誘導することを実証している(
図3C)。注目すべきことに、この状況におけるフェロトーシスは、アポトーシスなどの他の型の死を起こす細胞について見出されるもの(
図8D)とは異なり、細胞から細胞に波状式に伝播することも観察された(
図3Dおよび3E)。理論に拘束される必要はないが、これにより、死を誘導するシグナルの細胞から細胞への伝達が示唆された。
【0131】
MCF10A細胞およびMEFがフェロトーシスによって細胞死を起こすことを決定した後に、より広い種類のがん細胞においてこの様式でアミノ酸欠乏およびナノ粒子処置によって細胞死を誘導することができるかどうかを決定した。例えば、MCF10A、MEF、およびM21細胞、BxPC3膵癌細胞、H1650肺癌細胞、HT1080線維肉腫細胞、および786-O腎癌細胞も、アミノ酸の非存在下においてα-MSH-PEG-C’ドットで処置したときに、高い率の壊死を起こす。このデータは、多様な種々のがん細胞型においてアミノ酸の非存在下でナノ粒子によって細胞死を誘導することができることを示している(
図4A~4F、
図6C~6E)。
【0132】
注目すべきことに、HT-1080細胞は、完全培地中で培養したとき(
図4E~4F)および飢餓培地中で1/10の低粒子濃度で培養したとき(
図6B)、ナノ粒子処置に応じて壊死を起こし、これらの細胞は、この形態の細胞死に特に感受性であることが示唆される。
【0133】
これらの結果に基づき、粒子で誘導される処置の応答が、786-O腎癌およびHT1080線維肉腫の異種移植モデルにおいて生じうるかどうかをさらに決定した。複数回投薬送達スキームを使用して、側腹部の786-OまたはHT-1080腫瘍を有する免疫抑制されたマウスにおいて、標的化された粒子プローブ(n=5)または0.9%食塩溶液(n=3)のいずれかの3種の高用量静脈内(i.v.)処置後10日の期間にわたって腫瘍成長を評価した。食塩水ビヒクルでの注射後に測定された時間と共に急速に増大している腫瘍体積と比較して、両方の腫瘍型について実験間隔にわたって複数用量の粒子処置で統計的に有意な腫瘍成長の阻害が観察されたが(
図5A、5B、5I、5K)、HT-1080異種移植片ではより大きかった。注目すべきことに、これは、最初の注射後4~5日の間隔の中で、粒子処置したすべてのHT-1080腫瘍について50%を超える部分的な腫瘍退縮を伴った(例えば、部分的な腫瘍退縮の範囲57%~78%;約64%の平均部分的腫瘍退縮を有する)(
図5B)。残りの実験間隔にわたり、粒子処置した腫瘍体積は減少した。例えば、10日の実験期間の終わりまでに、処置したHT-1080腫瘍体積は、対照体積と比較して約85%の統計的に有意な減少を示し(p<0.001)、処置した786-O腫瘍体積は、約73%の統計的に有意な低減を示した(p<0.01)(
図5A、5B)。HT1080側腹部異種移植片を有するマウスにおける代表的な全身光学イメージングは、最初のαMSH-PEG-C’ドット注射後に腫瘍配置の部位で強い蛍光シグナルを示し、静脈内に注射された粒子の局在を示唆した(
図5C)。
【0134】
代表的な対照腫瘍(n=1)および処置した腫瘍(n=2)からの対応するH&E染色組織切片(
図5D)により、多病巣性の壊死を示している高密度で細胞性かつ侵襲性の新生物が明らかにされた。対照腫瘍は、明白な形態学的な相違なく、処置した腫瘍よりも平均で有意に大きかった。マクロファージマーカーMac-2の免疫組織化学的染色により、低倍率および高倍率の両方で、対照腫瘍の周りに認められるものと比較して、多数の、処置した腫瘍を取り囲む動員されたマクロファージが明らかにされた(
図5E~5H)。腫瘍内のMac-2陽性細胞は、すべての腫瘍において同様に少数で存在した。
【0135】
ナノ粒子処置から生じる腫瘍成長の阻害がフェロトーシスに関連していた可能性があったかどうかをさらに調査するために、腫瘍を有するマウスを、10日の期間にわたってリプロクススタチン-1の毎日の腹腔内(i.p.)用量で処置し、粒子で誘導される腫瘍収縮に対する効果を決定した。HT1080異種移植マウス(n=3)において、その後投与した3種の高用量粒子処置リプロクススタチン-1は、粒子に曝露していない腫瘍において認められるものとほぼ同等のレベルまで成長阻害を有意に低下させた(
図5I)。リプロクススタチン-1で処置した粒子曝露した腫瘍における平均的な毎日の成長は、14.6mm
3(95%CI:10.1~18.9)であり、粒子処置のみについての-0.87mm
3(95%CI:-1.06~-0.69)と比較して、15.3mm
3(CI:13.1~17.6;p<0.001)の相違であった。対応する粒子曝露した腫瘍検体は、毎日リプロクススタチン-1を投与した粒子処置した腫瘍よりも平均で有意に小さかった(
図5J)。
【0136】
α-MSH-PEG-C’ドットおよびアミノ酸飢餓での細胞の組み合わせ処置は、細胞死プログラムフェロトーシスを誘導するのに相乗的に働いており、そのナノ粒子の高用量送達は、腫瘍成長を阻害して腫瘍退縮を引き起こすことができる;これらの効果は、リプロクススタチン-1の存在下で逆にすることもできる。例えば、この状況におけるフェロトーシス誘導のための栄養欠乏およびナノ粒子処置の組み合わされた要件は、正常細胞を残したまま、in vivoで腫瘍細胞に関与する可能性がある(例えば、腫瘍組織は、代謝ストレスを受けることが知られており、かつ正常組織と比較して栄養が限られているため)。標的化された極小のシリカナノ粒子それ自体も、標的化を促進するリガンドで改変されたときに、非腫瘍組織よりも効率良く腫瘍組織内に優先的に蓄積されることが示されている。
【0137】
本明細書で記載されるように、静脈内送達後のHT1080異種移植片内でのナノ粒子の蓄積が腫瘍成長を有意に阻害して部分的な腫瘍退縮を誘導することを見出した。リプロクススタチン-1のさらなる添加は、粒子に曝露していない腫瘍において認められるものとほぼ同等のレベルまでこれらの効果を逆にした。これらの発見により、選択されたがんの型において観察される粒子処置と栄養欠乏との間の潜在的な相乗効果が強調され、理論に拘束される必要はないが、そのような代謝戦略を利用することによって、フェロトーシスの関与が治療的な潜在可能性を有しうることが示唆される。
【0138】
細胞残渣を貪食することによる疾患防御および創傷修復におけるマクロファージの役割は十分に確立されているが、粒子処置した腫瘍の周囲のマクロファージの数における、対照腫瘍についてのものと比較して顕著な増加の重要性は完全に明らかなわけではない。高度なマクロファージ可塑性が腫瘍微小環境からの局所的な合図に応じて生じうること、および、活性化に応じて、マクロファージが、腫瘍収縮に関連したそれらの機能におけるシフトを含む、組織恒常性を維持するために必要とされる一範囲の役割を引き受けることができることをさらに認めることができる。これらのデータは、すでにがんのイメージングおよび検出のための臨床試験中であるが、例えば、表面に付着する細胞傷害剤の必要ない、分子的に標的化されたC’ドットの治療的適用を示す。
【0139】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、フェロトーシスを誘導する。がんを標的化するためのαMSHペプチドでの粒子の表面改変は、細胞の内部移行を促進する(データは示していない)。αMSHでの粒子表面改変は、αMSH標的化リガンドで改変されていないPEGコーティングしたC’ドットで、たとえより遅い速度であっても、その誘導が生じる(これは、α-MSH改変されたプラットフォームと比較してより遅いベース粒子の内部移行を反映しうる)ので、試験した細胞株においてフェロトーシスのために必要とされない(
図7F)。
【0140】
したがって、ある特定の実施形態では、脱プロトン化された表面シラノール基および/またはフラクタル内部構造がその構造内での鉄の吸着および/または組み込みを導くことができるので、天然のシリカ粒子それ自体がフェロトーシスを誘導する活性を有する。二重に脱イオン化した水調製物と比較して、培養培地と共にインキュベートしたα-MSH-PEG-C’ドットの鉄ローディングが見出された(
図7G、
図8A~8F)。増加した鉄ローディングは、酸化第二鉄溶液と共にインキュベートしたときに濃度依存的な様式で生じ、鉄ローディング能力における低下を伴った(
図8A~8F)。さらに、α-MSH-PEG-C’ドットナノ粒子処置した細胞について、処置していない細胞と比較して上昇した細胞内鉄レベルが見出された(
図7G、表1)。また、粒子処置した細胞は、サイトゾルの鉄を結合するフェリチンの重鎖(FTH1)の発現を上方調節する(
図7H)。クエン酸鉄アンモニウム(FAC)での処置による細胞内への鉄ローディングは、粒子処置を模倣しかつアミノ酸飢餓細胞においてフェロトーシスを誘導するのに十分であることも見出されており(
図7I)、これらのシリカベースのナノ粒子は、細胞内に鉄をローディングすることによってフェロトーシスに関与しうることが示唆される。増加した鉄取り込みは、考えられるところでは増加したROS生成によって、グルタチオンの枯渇を導くことができる。グルタチオンレベルは、粒子で処置した細胞において抑制されることが見出され(
図7D~7E)、シスチン取り込みをブロックすることによってグルタチオン産生を阻害する、エラスチンでの前処置は、粒子で誘導されるフェロトーシスに対して細胞を感作させ、グルタチオン枯渇は、粒子で誘導される死に対して律速であることが示唆される(
図7J)。
【0141】
表1は、マイクロ波プラズマ原子発光分光法(MP-AES)によって測定される鉄濃度を示す。
【表1】
【0142】
まとめると、本明細書に記載の例示的なデータは、粒子処置によって誘導されるフェロトーシスが、フェロトーシスを実行する、グルタチオンの抑制および脂質ROSの蓄積を導く、細胞内への鉄取り込みに関与するというモデルを支持する(
図4G)。脂質ROSは、脂質過酸化に対して細胞を保護してフェロトーシスを阻害するグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)酵素の低下した活性により、グルタチオンを抑制した細胞内に蓄積しうる。粒子処置が、処置した細胞溶解物からの酵素アッセイにおいてGPX4活性を阻害することは見出されなかった(
図7K)。同様に、粒子処置が、GPX4の直接的な阻害によって脂質過酸化を導かないモデルは見出されなかった。
【0143】
一部のがん(例えば、HT1080、786-0)も同様に、この細胞死の機構に特に感受性であり得、これにより、抗腫瘍効果を達成するために必要な粒子濃度の閾値を低下させることができる。HT-1080がん細胞は、栄養豊富な条件下でも、α-MSH-PEG-C’ドットで誘導されるフェロトーシスを起こすことが見出されており(
図4E~4F)、これらの細胞は、アミノ酸を欠乏させた条件において1/10のナノ粒子濃度でも死滅する(
図6B)。HT-1080腫瘍は、十分に血管化され(
図9B)、粒子で誘導される死に対するこれらのがん細胞の感受性は、栄養豊富な条件下でも(
図4E~4F)、静脈内粒子送達後に観察される強い抗腫瘍効果に寄与しうることが示唆される。
【0144】
本明細書中で使用されるナノ粒子の濃度は、in vitroで細胞死を誘導するため(例えば、15μM)またはin vivoでの腫瘍成長阻害および退縮を阻害するため(例えば、60μM)のいずれかのために選択されており、ヒト被験体において単一用量のイメージングに基づく解析のために現在使用されているものよりも少なくとも4桁高いのに対して、局所的な濃度は、複数回投薬戦略、組み合わせ処置レジメンの部分として、かつ/または標的部位における直接的なカテーテル注入によって腫瘍部位においてかなり高いレベルまで動かすことができる。このような投薬スケジュールは、オフターゲット毒性を低減しかつ効率的な腎クリアランスを促進しながら最大の腫瘍対バックグラウンド比を得るように設計することができる。注目すべきことに、腫瘍血管系の漏れやすさは、全身注射したナノ粒子の腫瘍組織における蓄積をもたらす可能性があり、さらには腫瘍内での栄養欠乏にも寄与する。理論に拘束される必要はないが、これにより、ナノ粒子および栄養欠乏の相乗効果がin vivoの腫瘍部位に制限されうることがさらに示唆される。異なる腫瘍細胞株は、フェロトーシス誘導機構に対するそれらの感受性において明らかに異なりうることも見出された。例えば、卵巣がん細胞株、SKOV3は、アミノ酸欠乏およびα-MSH-PEG-C’ドットの組み合わせ処置による細胞死に対する耐性を示したことが見出された(
図6A)。対照的に、HT1080線維肉腫細胞は、栄養豊富な条件下でも(
図4E~4F)、アミノ酸欠乏条件において1/10のナノ粒子濃度(1.5μM)で、α-MSH-PEG-C’ドットナノ粒子で誘導されるフェロトーシスを起こした(
図6B)。この場合、HT1080細胞内への標的化粒子取り込みは、おそらく、非特異的なエンドサイトーシス経路を介して生じた。フェロトーシスは鉄依存的な細胞死であるので、理論に拘束される必要はないが、異なる感受性は、部分的に、細胞内で利用可能な鉄の量によりうる。例えば、鉄は、細胞恒常性に必須の成分であるが、細胞小器官を損傷しうるROSも生成しうる。細胞は、取り込み、排出、または貯蔵所から不安定な鉄プール(LIP)へのシフトによって鉄利用可能性を調節することができ、これらのプロセスの一部はがんにおいて変化する。癌遺伝子c-mycおよびE1aは、貯蔵所から代謝的に活性なLIPに鉄をシフトさせることができる、サイトゾルの主要な鉄貯蔵タンパク質である、フェリチンのレベルを低下させ、フェリチンの抑制は、DNA合成を活性化することによってRas依存的な増殖を刺激することができる。フェロトーシスを誘導する薬物は、最初は、Ras駆動性腫瘍細胞の選択的な死滅を付与する小分子のスクリーニングにおいて発見された。さらに、試験した上記のがん細胞株の中で、HT1080は、Ras変異を有する唯一の細胞株である。したがって、変異体Rasを有するがん細胞が、一般的にナノ粒子処置に対してより感受性であるかどうかが決定されることになる。
【0145】
一部のナノ材料(例えば、63nm程度(例えば、C’ドットよりも1桁大きい)の直径を有するコーティングされていないシリカ粒子)は、細胞内でROSを誘導することが示されている。対照的に、10nm未満の直径のα-MSH-PEG-C’ドットで24時間処置した細胞におけるサイトゾルまたは脂質のROSのいずれのレベルの上昇も検出されなかった(
図7A~7C)。上記のように、アミノ酸飢餓およびナノ粒子処置は、いずれも細胞内のグルタチオンレベルを低下させ、相加効果も有することが見出された(
図7D~7E)。理論に拘束される必要はないが、このデータにより、この状況における細胞死が、少なくとも部分的には、システインの取り込みを制限することによってグルタチオン産生を阻害するフェロトーシス誘導剤エラスチンと同様のグルタチオン枯渇によって引き起こされうることが示唆される。
【0146】
本明細書中で使用されるナノ粒子は、in vivoでがんを標的化するためのαMSHペプチドで表面改変された。この改変も細胞の取り込みを促進することが示された(データは示していない)。フェロトーシス誘導は、αMSH標的化リガンドで改変されていないPEGコーティングしたC’ドットでも観察されているので、この粒子表面改変は、フェロトーシスに関与するようには見えない。しかし、αMSH改変のないPEGコーティングしたC’ドットによって引き起こされる死は、MC1-Rを発現しているメラノーマ細胞において、α-MSH改変されたプラットフォームであるものと比較して低下したベース粒子の取り込みの率に起因して細胞集団内でより遅い動態で生じた(
図7F)。他方では、アミノ酸欠乏条件下でのフェロトーシスの誘導において粒子サイズがきわめて重要な役割を果たすことが見出された。より小さな直径(約6nm)のPEG化C’ドットへの曝露の48時間後に見出された高い百分率のSytoxグリーン標識HT1080細胞(例えば、80%)と比較して、より大きな直径(約10nm)の粒子とのインキュベーションの後に見出された標識細胞の百分率はかなり低く、25%程度であり、無処置の細胞を超えてわずかに上昇しただけであった(
図9A~9C)。
【0147】
考えられるところでは、一部のがんの感受性は、抗腫瘍効果を発揮するために必要な粒子濃度を低下させることができたのに対して、複数の高用量の処置が十分に耐容されることも見出された。粒子およびビヒクルで処置したHT-1080および786-Oを有するマウスからの腫瘍、肝臓、腎臓、および血液学の検体の評価を実験例の終了時に行った。完全血球算定、血清化学、ならびに肝臓および腎臓の組織病理学において、対照動物と比較して、粒子で処置したマウスにおいて中程度に上昇した間接および総ビリルビン血清濃度を除き、有意な群差は見出されなかった(表2、表3)。しかし、完全血球算定において溶血反応がないことならびに組織病理学および血清化学において肝臓損傷のないことを考慮に入れると、この発見に帰することができた機構はない。したがって、これらの発見により、複数の高用量のα-MSH-PEG-C’ドット処置は十分に耐容されることが示唆される。粒子処置した(顕著)およびビヒクル処置した(軽度)腫瘍検体間のマクロファージ染色の程度についてもまとめている(表4)。
【0148】
表2は、腫瘍を有するマウスにおける代謝濃度プロファイル、腎プロファイル、および肝機能プロファイルを示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0149】
表3は、腫瘍を有するマウスにおける血液学的プロファイルを示す。
【表3】
【0150】
表4は、腫瘍を有するマウスにおける組織病理学的プロファイルを示す。
【表4】
【0151】
Cドットがフェロトーシスに寄与する機構は、他の種類のナノ材料が、この形態の細胞死を誘導するための同様の効果を有しうるかどうか、ならびに粒子構造、組成、または表面化学特性における他の制御されたバリエーションがフェロトーシスの誘導を変える、またはさらに排除することができるかどうかを特定するために決定されうる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、細胞の運命のレドックスモジュレーター、ならびに腫瘍退縮および成長阻害のメディエーターとしての、ナノ粒子で誘導されたフェロトーシスの能力は、同期的かつ選択的に、この機構に対して感受性が最も高いがんに感受性のがんを死滅させるために治療的にこのプロセスを利用することが可能でありうることを示唆している。
【0152】
ある特定の実施形態では、腫瘍の血管分布は、粒子送達、栄養および酸素状態、および処置応答に影響する。ある特定の実施形態では、多様な前臨床腫瘍型にわたる腫瘍の血管分布の評価は、フェロトーシスによる細胞死の誘導に好適なモデルの改良されたスクリーニングを提供する。ある特定の実施形態では、評価は、適切な組み合わせ処置パラダイムを特定する。
【0153】
ある特定の実施形態では、C’ドット特性(例えば、構造、組成、または表面化学)における制御されたバリエーションは、フェロトーシスの誘導を促進する、または排除する。例えば、C’ドットサイズは、アミノ酸欠乏条件下で観察される効果の大きさにおいてきわめて重要な役割を果たすことが見出された(
図9A)。より小さな直径(約6nm)のPEG化C’ドットは、より大きな直径(約10nm)のC’ドットについて見出されるもの(約25%)と比較して有意に高い百分率のSytoxグリーン標識HT-1080細胞(約80%)細胞を導いた。
【0154】
さらに、リプロクススタチン-1に対する応答は、in vivoでの抗腫瘍機構としてのフェロトーシスのための一例を提供するのに対して、他の機構は、粒子処置した腫瘍への顕著なマクロファージ動員を考慮に入れると、これに限定されないが腫瘍微小環境の調節などに寄与しうる(
図5Gおよび5H、HT-1080;
図9C、786-O)。
【0155】
ある特定の実施形態では、組み合わせ療法は、フェロトーシスの誘導を促進するために被験体に投与されうる。例えば、薬物(例えば、TAS-102)を腫瘍細胞に投与することができ、次いで、十分に高い濃度のナノ粒子を投与し、フェロトーシスを誘導することができる。TAS-102についての詳細は、R. J. Mayerら、NEJM、2015年5月14日による「Randomized Trial of TAS-102 for Refractory Metastatic Colorectal Cancer」の中で見出すことができ、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、腫瘍からホルモンを欠乏させることができ(例えば、去勢)、腫瘍に投与する十分に高い濃度のナノ粒子は、ホルモンまたは阻害剤の処置に曝露していない腫瘍と比較して、フェロトーシスの細胞死プログラムを誘導および/またはさらに促進することもできる。
【0156】
いかなる特定の理論にも制限されることを望むものではないが、ホルモン性去勢(および/または栄養、例えば、アミノ酸の欠乏)は、近くにある粒子を内部移行する受容体を過剰発現することによって細胞が補うことを引き起こすことが仮定される。ある特定の実施形態では、フェロトーシスに対する鉄の効果をさらに利用することができる。例えば、代替の実施形態では、ある特定の細胞型は、フェロトーシスの誘導のためのナノ粒子を内部移行するために代謝的またはホルモン的に欠乏させることを必要としなくてもよい。
【0157】
腫瘍微小環境およびマクロファージ可塑性/活性化のナノ粒子調節
異なるマクロファージサブセットは、がんにおける保護性または病原性のいずれかの役割と関連付けられている。典型的に活性化された、「炎症促進性」M1表現型マクロファージは、抗腫瘍免疫における役割を有し、腫瘍発生における保護性の役割を有する。これらのマクロファージは、腫瘍を死滅させる機構を活性化し、腫瘍関連マクロファージおよび骨髄由来の抑制性細胞の抑制性の活性に拮抗する。M1マクロファージは、Toll様受容体リガンド(リポ多糖など)およびインターフェロン-γによって活性化され、これは、ヘルパーT細胞サブタイプTH1の応答を増幅し、抗腫瘍応答における正のフィードバックループをもたらす。さらに、M1マクロファージは、中でも、炎症促進性サイトカインおよび誘導型一酸化窒素合成酵素を発現する。代替的に、活性化された、「消散促進性(pro-resolving)」マクロファージ(M2マクロファージ)は、抗炎症性機能を有し、創傷治癒を調節する。さらに、これらは、腫瘍特異性適応免疫応答を抑制し、腫瘍の増殖、浸潤、転移、間質リモデリングおよび血管新生を促進する。
【0158】
腫瘍標的化部分(例えば、アルファメラニン細胞刺激ホルモン)を含まないおよび含むシリカナノ粒子を、細胞死プログラム(例えば、フェロトーシス)および薬物療法を評価するために動物モデルにおいて引き続き試験する。本明細書で記載されるように、少数のMac-2陽性マクロファージ、ネズミマクロファージマーカーが、免疫組織化学的染色によって対照腫瘍を取り囲む軟組織内に示され、一方、粒子処置腫瘍は、低および高倍率の両方で同じ位置にはるかに多数のMac-2陽性細胞によって囲まれていた。対照病変部付近のものと比べて粒子処置腫瘍を取り囲むマクロファージの数のこの顕著な増加は、細胞残渣を貪食することによって疾患防御および創傷修復における役割を有する。これは、マクロファージは、腫瘍微小環境からの局所的な合図に応じて高い程度の可塑性を実証する(例えば、個別の安定な亜集団ではなく、一連の活性化表現型を表す)ことで知られていることをさらに認識することができ、腫瘍収縮に関連したこれらの機能のシフトを含めた組織恒常性を維持するのに必要とされる活性化の際の一連の役割を仮定することができる。
【0159】
記載した上記の結果、ならびに関連した腫瘍成長阻害および収縮は、極小シリカナノ粒子サイズ(例えば、6nm)を様々な正味電荷、サイズ、およびコンホメーションの表面官能性と組み合わせるこのハイブリッド無機-有機プラットフォームにとって完全に予想外であった。ある特定の実施形態では、これらの結果が単にフェロトーシスに起因し得るか否か、または腫瘍微小環境内の免疫調節および/もしくは他の活性化代謝/非免疫プロセスが役割を果たしたか否かに関する機構を決定することができる。いずれの理論にも拘束されることを望むことはないが、Cドットの物理化学的性質(例えば、サイズ、電荷、付着した表面化学部分)は、腫瘍微小環境からの局所的な合図に応じてこのようなプロセスを調節することができる。
【0160】
ある特定の実施形態では、タンパク質コロナ(protein corona)(例えば、IgG、アルブミンなど)が、全身投与後に粒子表面付近に形成することが決定されており、マクロファージの表現型活性化(例えば、炎症促進性(M1)および/または消散促進性(M2))をもたらす。ある特定の実施形態では、血液/血漿検体、ネズミ腫瘍組織、ex vivoヒト腫瘍組織検体内で抽出された粒子間のマクロファージの表現型活性化のプロファイルの差異を決定する。
【0161】
ある特定の実施形態では、粒子の存在に対する単球/マクロファージ応答を決定および/または制御する。ある特定の実施形態では、殺腫瘍性挙動を達成するための腫瘍微小環境の他のコンポーネントの応答を決定および/または制御する。ある特定の実施形態では、治療用ナノ粒子の表面化学が単球/マクロファージ応答に影響を及ぼす。ある特定の実施形態では、治療用ナノ粒子の表面化学を、単球/マクロファージ応答を制御するように設計する。
【0162】
ある特定の実施形態では、天然のおよび/または表面官能化された極小シリカナノ粒子(例えば、Cドット)が、マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)を活性化する。ある特定の実施形態では、IL-12がTH1細胞によるIFNγ産生を刺激するため、高IL-12レベルが存在する(例えば、IL-10レベルは、低いはずである)。ある特定の実施形態では、iNOS発現、ならびにTNFα、GM-CSF、およびLPSのレベルを測定する。ある特定の実施形態では、転写因子(例えば、IRF-5、STAT-1)を測定する。ある特定の実施形態では、M1細胞が分泌するサイトカイン(例えば、IL-1、IL-6、Il-15、IL-18、およびIL-23)を測定する。M1マクロファージは、他のタイプの免疫細胞を誘引し、免疫応答を統合/編成する炎症促進性サイトカインおよびケモカインを分泌する。M1マクロファージは、高レベルの主要組織適合複合体(MHC)、共刺激分子、およびFcγRも発現する。
【0163】
ある特定の実施形態では、M1表現型に関連した遺伝子の上方調節および/または下方調節が起こる。ある特定の実施形態では、シグナル伝達経路および/または免疫エフェクター、例えば、p38MAPK、p44/p42 MAPK、JNKなど、CD40、CD80、CD86の上方調節(例えば、共刺激分子)、ならびにI-A/I-E活性化マーカー(例えば、B細胞活性化)が、天然のおよび/または表面官能化された極小シリカナノ粒子によって生じる。
【0164】
ある特定の実施形態では、マクロファージ活性化は、細胞を殺すのにTLR4(Toll様受容体4)およびROSシグナル伝達に依存する。ある特定の実施形態では、LPS誘導表現型(例えば、発現プロファイリング)は、天然のおよび/または表面官能化された極小シリカナノ粒子に曝露されるとき起こる。
【0165】
ある特定の実施形態では、マクロファージポドソーム(例えば、細胞外マトリックス分解形成および細胞外マトリックス分解活性に必要とされる因子を送達することによって遊走および浸潤を可能にするアクチンに富む細胞表面構造)に対するCドットの機能的効果を決定することができる。
【0166】
ある特定の実施形態では、がん関連炎症を、表面官能化されたCドットを使用して患者において標的とすることができる。
【0167】
ある特定の実施形態では、「悪い」および「良い」炎症プロセスを、Cドット生理化学的特性によって変更して腫瘍発達の代わりに適応免疫を促進する。
【0168】
ある特定の実施形態では、薬物送達(または他の療法)を、Cドットの天然の免疫調節特性と組み合わせて、がん処置および/または組織修復プロセス(例えば、創傷治癒)におけるCドットの治療可能性を増大させる。
【0169】
ある特定の実施形態では、デュアルモダリティ粒子プローブを用いた用量漸増試験を使用して、イメージング所見が組織学的に確認されている、PDGFB駆動性神経膠腫におけるダサチニブ-NDCおよびEGFRmt+前臨床側腹部/脳異種移植片モデルにおけるゲフィチニブ-NDCの両方についての天然薬物に対する標的化治療薬送達、浸透、および最大処置応答の改善を調査する。薬物動態学的試験も、これらの薬剤を用いて実施して予想外の毒性を評価し、粒子薬量測定を評価した。マウスの別個のコホートに、デュアルモダリティ粒子プローブを注射して薬物対粒子送達および分布を追跡することによって、プラットフォームの安定性をモニターすることができる。腫瘍部位における有効薬物濃度の予期される増大は、以前に観察された優先的な腫瘍での貯留、および治療薬投薬要件を定量的に推定する能力に基づく。
【0170】
細胞培養および構築物
MEFおよびHT1080細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、Corning、NY)と共に10%ウシ胎仔血清(FBS、Sigma、St.Louis、MO)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(MSKCC Media Preparation Facility)中で培養した。MCF10A細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシンと共に5%ウマ血清(Atlanta Biologicals、Flowery Branch、GA)、20ng/ml EGF(Peprotech、Rocky Hill、NJ)、10μg/mlインスリン(Sigma)、0.5μg/mlヒドロコルチゾン(Sigma)、および100ng/mlコレラ毒素(Sigma)を補充したDMEM/F12(Gibco、Grand Island、NY)中で培養した。M21、BxPC3、H1650、および786-O細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシンと共に10% FBSを補充したRPMI-1640(Gibco)中で培養した。SKOV3細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシンと共に10% FBSを補充したマッコイ5a変法培地(Gibco)中で培養した。無アミノ酸培地を、熱不活化FBS(MEF、HT1080、M21、BxPC3、H1650、およびSKOV3細胞について)またはウマ血清(MCF10A細胞について)を4時間透析し、その後、MWCO3500透析管(21-152-9;Fisherbrand、Pittsburgh、PA)内のリン酸緩衝食塩水(PBS)中で4℃にて一晩インキュベートし、アミノ酸を用いずに調製した基本培地に添加することによって調製した。PRetro-Lamp1-GFPを、レトロウイルス形質導入によってM21細胞内に導入し、安定細胞株を、ピューロマイシン(2μg ml-1)を用いて選択した。
【0171】
試薬
以下の試薬を示した濃度で使用した:コンカナマイシンA(ConA)(Sigma)100nM;SYTOXグリーン核酸染色剤(S7020;Invitrogen、Carlsbad、CA)5nM;フェロスタチン-1(Fer-1)(EMD Millipore、Billerica、MA)1μM;リプロクススタチン-1(Selleckchem)、in vitroおよびin vivoについてそれぞれ1μMおよび125mg/kg;デフェロキサミン(DFO)(Sigma)100μM;ブチルヒドロキシアニソール(BHA)(Sigma)50μM;アスコルビン酸(Asc酸)(Sigma)200μM;トロロクス(Sigma)100μM;N-アセチルシステイン(NAC)(Sigma)10mM;グルタチオン(GSH)(Sigma)5mM;TNFα(Sigma)100ng/ml;シクロヘキシミド(CHX)(Sigma)、ネクロトーシスおよびアポトーシスを誘導するために、それぞれ1μg/mlおよび50μg/ml;zVAD(Sigma)20μM;ネクロスタチン-1(Sigma)30μM;ブチオニンスルホキシミン(BSO)(Sigma)400μM;クエン酸鉄アンモニウム(FAC)(Sigma、F5879)400μM;エラスチン(Sigma)、5μM、C11-BODIPY(581/591)2μM(Invitrogen)。試薬は、ConAを例外として生物学的アッセイの開始時に培養物に添加し、ConAは、ウエスタンブロッティングのための溶解の1時間前に添加した。
【0172】
ペプチド合成
二重アミノヘキサン酸(Ahx2)脂肪族リンカーおよびN-Ac-Cysを有する改変メラノコルチン-1受容体標的化ペプチドRe(Arg11)CCMSHを、標準的な固相Fmocペプチド化学を使用して合成した。レニウム環化αMSHペプチド類似体、Ac-Cys1-(Ahx)2-dLys2-Re[Cys-Cys-Glu-His-dPhe-Arg-Trp-Cys]-Arg-Pro-Val-NH2を、LCQ FLEETイオントラップ質量分析計(Thermo Fisher Scientific)とカップリングしたBeckman Coulter高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムで分析および精製し、凍結乾燥によって最終的に回収した。
【0173】
α-MSH-PEG-C’ドットの合成および特徴付け
αMSHは、神経免疫モジュレーターであり、その受容体、MC1-Rは、マクロファージ上に存在する。ある特定の実施形態では、αMSHペプチドをナノ粒子(例えば、C’ドット)に付着させる。ある特定の実施形態では、α-MSH-PEG-C’ドットを組み合わせ療法に使用する。例えば、α-MSH-PEG-C’ドットは、フェロトーシスを誘導し、αMSHペプチドを介して免疫調節をもたらす。
【0174】
有機色素Cy5を封入する異なるサイズの蛍光シリカナノ粒子(C’ドット)を水中で合成した。αMSHペプチドを、マレイミド末端シラン-ポリエチレングリコール(PEG)に、そのN末端アセチル化システインチオールを介してコンジュゲートしてα-MSH-PEGを形成した。コンジュゲートをPEG化ステップにおいて粒子表面に付着させて、αMSH官能化されたC’ドットすなわちα-MSH-PEG-C’ドットを生成した。合成された粒子試料を水で透析し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Bio-Rad Laboratories,Inc、Hercules、California)によって精製した後、さらに特徴付けた。封入および天然Cy5色素の吸収および発光スペクトルプロファイルを、Varian Cary 5000分光光度計(Varian、Palo Alto、CA)および蛍光分光計(Photon Technology International,Inc、Birmington、NJ)を使用して得た。遊離Cy5色素に対するα-MSH-PEG-C’ドットの流体力学半径、明度、および濃度を、固体状態633nm励起で構成された自家製の蛍光相関分光法(FCS)セットアップを使用して決定した。
【0175】
ウエスタンブロッティング
細胞をこすり取って氷冷RIPA緩衝液(プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む、pH7.4の50mMのTris、150mMのNaCl、2mMのEDTA、1% NP40、0.1% SDS)中に入れ、氷上で10分間溶解させた。次いで溶解物を、15,870gで4℃にて20分間遠心分離し、タンパク質をBCAアッセイ(Pierce、Waltham、MA)によって定量化した。試料を、15%ポリアクリルアミドSDS-PAGEゲルで分離し、ポリビニルジフルオリド膜に移し、これを、TBSTおよび5%
BSAでブロックし、ブロッキング緩衝液中に希釈した一次抗体(抗LC3A/B(4108;Cell Signaling、Danvers、MA)、抗FTH1(3998;Cell Signaling)、および抗アクチン(A1978;Sigma))と共に4℃で一晩インキュベートした。ブロットを、西洋わさびペルオキシダーゼにコンジュゲートした二次抗体と共にインキュベートし、タンパク質を、高感度化学発光検出(Invitrogen)を使用して検出した。デンシトメトリー分析を、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して実行した。
【0176】
経時的顕微鏡検査法
細胞をガラス底皿(MatTek、Ashland、MA)上に蒔いた。一晩および蛍光および微分干渉コントラスト(DIC)画像を、Nikon TI-E倒立顕微鏡、CoolSNAP HQ2 CCD(電荷結合素子)カメラ(Photometrics、Tucson、AZ)を使用して示した時間にわたって30分毎に取得した。生細胞インキュベーションチャンバーにより、細胞を37℃および5%CO2で維持した。NIS Elementsソフトウェア(Nikon、Melville、NY)を使用した。細胞生存、死、および増殖を含めた細胞運命を手作業で定量化し、NIS ElementsソフトウェアおよびImage Jを使用して処理した。
【0177】
グルタチオン定量化
グルタチオン測定のために、HT-1080細胞を6cm細胞培養皿上に蒔き、無アミノ酸DMEM+10%透析済みFBS中で、15μMのα-MSHタグ付きナノ粒子と共にインキュベートし、死の予測時間のおよそ2時間前に回収した。対照として、細胞を、完全または無アミノ酸DMEM 3部およびH2O 1部のミックス、または完全培地中100μMのBSOで処置した。細胞を冷PBSで3回洗浄し、冷溶解緩衝液50μL中で細胞擦過によって回収した。タンパク質濃度を、BCAアッセイを使用して測定し、試料体積を、それぞれが同じ最終タンパク質濃度を有するように調整した。製造者の指示に従って、全グルタチオンを、グルタチオンアッセイキット(Cayman Chemicals、703002)を使用して測定し、還元型グルタチオンを、QuantiChrom(商標)グルタチオンアッセイキット(BioAssay Systems、DIGT-250)を使用して測定した。
【0178】
反応性酸素種の分析
細胞を、15μMのα-MSH-PEG-C’ドットを用いてまたは用いずに24時間処置し、次いでH2DCFDA(25μM)またはC11-BODIPY(581/591)(2μM)(共にInvitrogen製)を補充したハンクス平衡塩溶液(HBSS)(Gibco)500μL中に回収および再懸濁し、37℃で15分間インキュベートした。次いで、細胞を新鮮なHBSS 500μL中に再懸濁し、フローサイトメーター(MoFlo、Beckman Coulter)のFL1チャネルを使用して分析した。データは、条件1つ当たり最低10,000細胞から収集した。
【0179】
鉄測定
C’ドットの鉄ローディング能力測定について、α-MSH-PEG-C’ドット(60μM)50μLを鉄含有培地(8.6μM)150μLまたは一連の鉄(Fe3+)濃度(2μM~2mM、表1)にわたって調製したFeCl3溶液150μLに添加した。溶液を室温で48時間回転させ(160rpm)、その後、PD-10カラムを使用してC’ドットから遊離鉄を分離し、水で溶出した。細胞試料を、培地中で粒子と共に、および粒子無しで48時間インキュベートした後、遠心分離し、ペレット化し、3回洗浄した後、リン酸緩衝食塩溶液中に再懸濁した。鉄測定値(パーツパービリオン、ppb)を、鉄ローディング能力と共に、マイクロ波プラズマ-原子発光分光法を使用して決定した。鉄ローディング能力は、精製粒子に曝露されたC’ドット(または細胞)中の鉄の量を精製前に測定した初期の鉄の合計量によって除し、100を乗じた比として計算した。すべての実験は、三連で実施した。
GPX4活性アッセイ
GPX4比活性アッセイは、Roveriおよび共同研究者によって実施された。簡単に言えば、凍結細胞ペレットを、溶解緩衝液(100mMのKH2PO4/K2HPO4、pH7.4、1mMのEDTA、150mMのKCl、0.1% CHAPS、3mMのβ-メルカプトエタノール、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)100μL中に再懸濁し、50回乳棒でストロークすることによってホモジナイズした。試料を氷上で15分間インキュベートし、細胞残渣を遠心分離(20000gおよび10分、4℃)によって除去した。ホモジナイズされた細胞由来の上清50μLを使用して、20μMホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PCOOH)の存在下で、アッセイ緩衝液(5mMのEDTA、0.1% Triton X、3mMのGSH、200μMのNADPH、および0.6U/mlグルタチオン還元酵素を含有する100mMのTrisHCl pH7.8)1ml中で酵素活性を測定した。GPX4活性を、SpectraMaxプレートリーダー(Molecular Device GmbH)で340nmの吸光度の低下によって検出可能なNADPHのグルタチオン還元酵素依存性消費量によって決定した。試料中のタンパク質含有量を、比色660nm Pierce Protein Assay法(Pierce、Waltham、MA)によって決定した。
【0180】
動物モデルおよび腫瘍接種
すべての動物実験は、Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの施設内動物管理使用委員会によって承認されたプロトコールによって、かつ動物愛護のNIH指針に従って実施した。ヒトメラノーマ(M21)異種移植片を、免疫不全雄SCID/Beige(C.B-17/IcrHsd-PrkdcscidLystbg-J)マウス(生後6~8週;Harlan Laboratories、South Easton、MA)の剃毛した側腹部に生成した。ヒト肉腫HT1080および786-O側腹部異種移植片(約2×106細胞/100μl)を、静脈内粒子注射の同じモデルを使用してさらに生成した。45~75mm3の平均初期腫瘍体積を、すべての実験に使用した。
【0181】
in vivo投薬ストラテジーおよび検査
血清補充培地中で培養した500万個のM21細胞を、粒子曝露の2日後に(n=3)または曝露無しで(n=3)、23ゲージトロカール針を使用してマウスの右側腹部内に皮下移植して、メラノーマ異種移植片を確立した。後続の試験において、マウスを、2つの異なる処置群のうちの1つに割り当てて、10日の期間にわたって3回(すなわち、0、4、7日目に)投与した高濃度(60μM)のi.v.注射α-MSH-PEG-C’ドット(n=5匹のマウス;200μl)に対するHT-1080および786-O腫瘍の応答を評価した。対照HT-1080および786-Oマウス(n=3)に、0.9%食塩水ビヒクルを同じ時点に投与した。第3の処置試験では、HT-1080マウスを、2つの群のうちの1つに割り当てて、10日の期間にわたって、単独での、またはリプロクススタチン1を腹腔内投与した後の(n=3匹のマウス、125mg/kg)、3回の高濃度用量(60μM)のi.v.注射α-MSH-PEG-C’ドット(n=3匹のマウス;200μl)に対する応答を評価した。腫瘍サイズは、処置の間隔にわたってカリパスを使用して測定した。すべてのマウスを、腫瘍細胞接種の部位において触診によって検査し、病的状態または死亡の徴候についての腫瘍成長試験が終結するまで毎日観察した。腫瘍体積(V;4/3・π・d1
2・d2/8)を計算するのに使用される腫瘍の2つの直交する直径(d1≦d2)を、細胞を注射した後毎日カリパスで測定した。
【0182】
蛍光イメージング
動物を、イソフルランを使用して麻酔し、全身光学蛍光イメージングを取得して腫瘍部位におけるナノ粒子蛍光を特定した。マウスを、製造者の推奨に従って選択したCy5蛍光(励起650nm、発光680nm)およびバックグラウンド蛍光(励起465nm、発光600nm)のためのブロックおよびフィルターと共にIVISスペクトル光子計数装置光学イメージングシステム(Xenogen、Alameda、CA)を使用して0.1~1秒間走査した。蛍光バックグラウンドを、製造者の指示に従って同様に差し引いた。蛍光信号を、放射効率((光子/秒/cm2/sr)/(mW/cm2)として報告した。
【0183】
組織病理学的分析
in vivoイメージング試験の終結直後に、HT-1080および786-O雄および雌マウスを、CO2吸入によって安楽死させ、代表的な粒子曝露(n=2)および対照(n=1)腫瘍ならびに肝臓および腎臓検体を剖検で切り取った。血液検体を完全血球算定および血清化学のためにさらに得た。切り取った腫瘍、肝臓、および腎臓を、10%中性緩衝ホルマリン中で24時間固定し、アルコールおよびキシレンで処理し、パラフィン中に包埋し、5ミクロンの厚さで切片にし、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。追加の切片を、Mac-2(pH6.0緩衝液中の熱誘導エピトープ回復[HIER]後に1:100の濃度で施用した一次抗体Cedarlane CL8942B)、ミエロペルオキシダーゼ(Dako A0398、1:1000、HIER pH6.0)、切断カスパーゼ-3(Cell Signaling Technology
9661、1:250、HIER pH6.0)、およびKi-67(Abcam ab16667、1:100、HIER pH9.0)について免疫組織化学によって染色した。Mac-2染色を、アビジン-ビオチン検出システム(Vectastain ABC Elite Kit、Vector Laboratories、PK-6100)を用いて手作業で実施した。他の染色は、Bond Polymer Refine検出キット(Leica Biosystem DS9800)を使用してLeica Bond RX自動染色機で実施した。腫瘍切片は、以前に記載したTUNEL法によっても染色した。すべてのスライドは、有資格獣医病理学者によって検査された。
【0184】
腫瘍血管分布評価
腫瘍血管分布を、Leica Bond RX自動染色プラットフォーム(Leica
Biosystems)で、CD31について免疫組織化学によりHT-1080腫瘍を染色することによって評価した。pH9.0で熱誘導エピトープ回復をした後、一次抗体(ラットモノクローナル、カタログ#DIA-310;Dianova)を1:250の濃度で施用し、その後ポリマー検出システム(Novocastra Bond Polymer Refine Detection、Leica Biosystems)を利用した。
【0185】
統計
体積-時間プロファイルを、一般化推定方程式手法によって計算したロバストな標準誤差を使用して、2つの処置群間で比較した。フェロトーシスに対する薬理学的阻害剤、リプロクススタチン-1を用いた、および用いない粒子処置腫瘍成長プロファイルを、線形モデルを使用して比較した。データの長軸方向のアスペクト(longitudinal
aspect)を、一般化推定方程式を使用して考慮に入れた。統計的有意性は、P<0.05であるとされた。