(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】防護シェルターのためのモジュール式NBCろ過システム
(51)【国際特許分類】
A62B 23/04 20060101AFI20230417BHJP
A62B 31/00 20060101ALI20230417BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20230417BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20230417BHJP
G21F 7/00 20060101ALI20230417BHJP
G21F 7/015 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A62B23/04
A62B31/00
B01D46/00 F
E04H9/14 K
G21F7/00 S
G21F7/015
(21)【出願番号】P 2021525112
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 IL2019050376
(87)【国際公開番号】W WO2020100132
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-02-10
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】521040488
【氏名又は名称】ベス-エル ジフロン ヤアコヴ インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beth-El Zikhron Yaaqov Industries, Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】コーガー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジョナサン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/015943(WO,A1)
【文献】特開2014-167379(JP,A)
【文献】米国特許第06328775(US,B1)
【文献】特開2004-270445(JP,A)
【文献】実開平06-048695(JP,U)
【文献】実公昭49-028837(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3147237(JP,U)
【文献】特開平05-268812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00-33/00
B01D 46/00
E04H 9/14
G21F 7/00
G21F 7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムであって、
a)細長い形状で、前記防護シェルターの壁の上部に沿って水平方向に配置されるフィルタユニットであって、該フィルタユニットの第1の先端近くで互いに近接して位置する入口ポートおよび出口ポートを備える、フィルタユニット;
b)電気モータによって駆動されるブロワーであって、前記入口ポートおよび前記出口ポートから遠位の第2の先端近くで前記フィルタユニットに沿って配置される、ブロワー;
c)互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、手動の空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が前記電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持し、平常時は選択的に折り畳まれている、手動の空気交換バックアップユニット;および
d)前記フィルタユニットおよび前記ブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、前記フィルタユニットの前記第1の先端近くで前記フィルタユニットに沿って伸長する管状ハウジング、内部の長手方向に移動可能な管状弁膜、および、前記管状弁膜を移動させ換気状態とろ過状態との間で前記切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁
を含む、NBCろ過システム。
【請求項2】
前記NBCろ過システムを構成する4つの主な構成要素の各々が、他の構成要素に影響を与えることなく、異なる容量を有する同じ機能性の構成要素と交換されてもよいことを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項3】
前記ヒンジ式セグメントが、互いの間で回転運動を伝達するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項4】
前記ヒンジ式セグメントの少なくとも1つが、第1の増速トランスミッションの少なくとも1つのステージを含み、前記手回しクランクの手動操作により前記電気モータが該電気モータの実質的に定格回転数で回転することを特徴する、請求項3に記載のNBCろ過システム。
【請求項5】
3つのヒンジ式セグメントを含み、前記ヒンジ式セグメントの各々が、前記第1の増速トランスミッションのローラーチェーンドライブの1つのステージを含むことを特徴とする、請求項4に記載のNBCろ過システム。
【請求項6】
前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部が、前記手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で前記防護シェルターの壁にしっかりと取り付けることができることを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項7】
前記フィルタユニットの前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記防護シェルターの前記壁に面し、前記フィルタユニットの目に見える面が良い審美的な外観を有することを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項8】
前記ブロワー、前記手動の空気交換バックアップユニットおよび前記切替弁が、前記フィルタユニットと前記防護シェルターの壁との間に配置され、したがって、前記シェルターの占有者の目に触れないことを特徴とする、請求項7に記載のNBCろ過システム。
【請求項9】
取付けブラケットとしても機能する外周カバーが、前記フィルタユニットを前記防護シェルターの壁に固定し、前記外周カバーが、前記ブロワー、前記切替弁、および、折り畳まれた場合の前記空気交換バックアップユニットを被包することを特徴とする、請求項8に記載のNBCろ過システム。
【請求項10】
前記外周カバーが、その底面において開口を含み、該開口が、前記カバーを所定の位置に維持しながら、前記空気交換バックアップユニットの展開を可能とすることを特徴とする、請求項9に記載のNBCろ過システム。
【請求項11】
前記フィルタユニットがさらに、粒子フィルタおよびガス吸着フィルタを含むことを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項12】
前記ブロワーが、第2の増速トランスミッションを介して前記電気モータにより駆動され、前記第2の増速トランスミッションが、ギアドライブ、ベルトドライブ、マルチグルーブベルトドライブ、歯付きベルトドライブ;ローラーチェーンドライブ;および逆歯チェーンドライブからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項13】
前記ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース、および、前記モータの速度を電気的に調整するよう構成される調整ノブをさらに含む、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項14】
前記ブロワーから遠位の前記管状ハウジングの第1の端部が、前記切替弁の一次入口として作用し、前記ブロワーに近位の前記
長手方向に移動可能な管状弁膜の第1の端部が、前記切替弁の一次出口として作用し、前記フィルタユニットの前記入口ポートに気流接続される前記管状ハウジングから伸長する第1の横ダクトが、前記切替弁の二次出口として作用し、前記フィルタユニットの前記出口ポートに気流接続される前記管状ハウジングから伸長する第2の横ダクトが、前記切替弁の二次入口として作用することを特徴とする、請求項1に記載のNBCろ過システム。
【請求項15】
前記切替弁の前記一次出口は、拡張式ダクトによって前記ブロワーの入口に気流接続されることを特徴とする、請求項14に記載のNBCろ過システム。
【請求項16】
前記管状弁膜の軸方向の移動が、前記管状ハウジングの前記第1の端部に向かい、前記一次入口が前記一次出口に気流接続され、したがって前記フィルタユニットが迂回されることを特徴とする、請求項14に記載のNBCろ過システム。
【請求項17】
前記管状弁膜の軸方向の移動が、前記管状ハウジングの前記第1の端部から離れ、前記一次入口が前記二次出口に気流接続され、前記一次出口が前記二次入口に気流接続され、したがって気流が前記フィルタユニットを通過するよう方向付けられることを特徴とする、請求項14に記載のNBCろ過システム。
【請求項18】
モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムの操作方法であって、
a.以下を含む天井近くに取り付けられたNBCろ過システムを提供する工程:前記防護シェルターの壁の上部に沿って配置されるフィルタユニット;電気モータによって駆動され、前記フィルタユニットに沿って配置されるブロワー;互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が前記電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持する、空気交換バックアップユニット;前記ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース;前記モータの速度を調整するよう構成される調整ノブ;および、前記フィルタユニットおよび前記ブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、換気状態とろ過状態との間で前記切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁;
b.前記防護シェルター内へ入ることが必要な場合に、前記ブロワーを駆動する前記電気モータの電源をオンにする工程;
c.前記状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に前記調整ノブを調整する工程;および
d.前記ブロワーを駆動する前記電気モータの電源をオフにし、平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に前記防護シェルターから離れる工程
を含む、方法。
【請求項19】
工程cとdとの間に、
e.前記空気交換バックアップユニットがまだ展開されていない場合に、停電時に前記空気交換バックアップユニットを展開する工程;
f.前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部を、前記手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で前記防護シェルターの壁に取り付ける工程;
g.前記取り外し可能な手回しクランクを前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部に取り付ける工程;
h.停電が続く間に前記手回しクランクをクランキングさせる工程;および
i.前記状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に前記手回しクランクのクランキング速度を調整する工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程iの後に、
j.電力が復活したときに前記
手回しクランクをクランキング
させる工程hを停止する工程;
k.平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に、前記取り外し可能な手回しクランクを前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部から取り外す工程;
l.前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部を前記防護シェルターの壁から取り外す工程;および
m.前記空気交換バックアップユニットを折り畳む工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程cとdとの間に、
n.NBC災害宣言の場合に前記状態選択ハンドルをろ過状態に切り替える工程;および
о.NBC災害宣言が取り消される際に、汚染物質が検出されない場合にのみ、前記状態選択ハンドルを換気状態に戻すように切り替える工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井近くに取り付けられた、共同防護シェルターのためのNBCろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
イスラエルでは、オフィスビル、ショッピングモール、商業施設、娯楽施設などの公共建造物は、緊急時に使用するためにNBC防護スペースを保持する必要がある。防護スペースには、NBCろ過システムが含まれる。保持されたスペースは、平時は他の定期的な目的に使用されてもよい。通常、このスペースは、重い家具を必要とせず、緊急時に迅速に片付けることができる会議室または待合室として使用される。このような建物における床面積1平方メートルあたりのコストが高いため、NBCろ過システムが占めるスペースは最小限であることが所望である。
【0003】
規制では、そのような公共のNBCろ過システムは、粒子フィルタおよびガス吸着フィルタで構成されるフィルタユニット、および、一定の空気交換率に適した電動ブロワーを含むべきであることが示されている。さらに、NBCろ過システムには、停電時に手動で操作するための手回しクランクのような人力インターフェースを含む、人力によって活動される空気交換バックアップユニットが必要である。空気交換バックアップユニットは、電力が利用できない場合は電力の代わりに人力を使用して防護シェルターに新鮮な空気を導入する。通常、空気交換バックアップユニットは、手回しクランクによって手動で回転される入力シャフトおよび電動ブロワーを回転させるために係合される出力シャフトを有する、増速トランミッションを含む。
【0004】
さらに、平常時または従来の災害時に有効な換気モードとNBC災害時に有効なNBC防護モードとの間で、NBCろ過システム状態を変える必要がある。
【0005】
「Nuclear Biological Chemical」の略であるNBCという用語は、ここでは広義の解釈で使用されており、核、生物、放射能、および化学の1つまたは複数を意味する。したがって、ろ過システムに必ずしもすべての機能が実装されていない。例えば、生物学的および化学的攻撃防護を提供するが、核攻撃防護を全くまたは部分的にしか提供しないろ過システムは、依然としてNBCろ過システムと考えられる。
【0006】
イスラエル国特許出願第244631号は、セキュリティルームの換気およびろ過システムを開示し、これは以下を含む:セキュリティルームを換気するために空気を送るブロワー;ブロワーに接続されて空気をろ過するエアフィルタ;エアフィルタおよびブロワーを内部に収納できるハウジング;および、ハウジング下の空間を利用できるようにハウジングをセキュリティルームの天井の収納位置に上昇させ、かつ、ハウジングをセキュリティルームの床の作動位置に降下させる機構。
【0007】
しかしながら、提案された解決策は煩雑であり、緊急時にろ過システム全体を降下させる必要がある。システム全体の重量が100kgに達する可能性があり、平均的な人が簡単に操作できるようにする必要がある昇降機構は、それ自体が複雑になる。
【0008】
本出願人のイスラエル国特許出願第246827号は、特許文献1としても公開され、床面積を節約し全体的なスペースを節約する、共同防護シェルター用の操作が簡単なNBCろ過システムについて説明する。イスラエル国出願第246827号によると、NBCろ過システムは、シェルターの占有者が快適に手の届かない場所にあるスペースに含まれているため、使用可能な床面積を節約する一方で、起動およびNBCろ過システムの状態を変更するための手段は、シェルターの占有者が快適に手の届く範囲内の位置から操作される。上記の出願はまた、本発明を実施するための基本的な構造上のオプションを示唆している。
【0009】
上述のイスラエル国出願第246827号は、濾過システムの異なる構成要素を高度に統合することによって、スペースの問題を解決する。そのような高度な統合は、それぞれの気流容量または設置タイプのために特定のシステム設計を必要とする。結果として、8、15、30、50、および100人の占有者を対象としたシステムは、各サイズの気流容量範囲のために全体のシステムの完全な再設計を必要とする。さらに、時に物理的なスペース制限のために必要とされる右手または左手用の設置も制限される。防護スペースは通常他の目的で使用されるので、審美的な外観もまた、公共建築においても必要条件となる。さらに、イスラエル国出願第246827号に提供される解決策は原則的なものであるが、より具体的な構造上の実装が必要である。
【0010】
本出願人のイスラエル国特許出願第261094号は、フィルタユニット、ブロワー、および空気交換バックアップユニットを備える、共同防護シェルターの天井近くに取り付けられたNBCろ過システムを開示する。空気交換バックアップユニットは、互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む。空気交換バックアップユニットの第1の端部は、ブロワーを駆動する電気モータに旋回可能に取り付けられる。また、空気交換バックアップユニットの第2の端部は、取り外し可能な手回しクランクを支持する。手回しクランクを手動で回転させると、電気モータのシャフトが実質的に電気モータの定格回転数で回転する。空気交換バックアップユニットの第2の端部は、手回しクランクの手動クランキングに便利な位置で防護シェルターの壁にしっかりと取り付けられる。空気交換バックアップユニットは、平常時に選択的に折り畳まれる。
【0011】
上記のイスラエル国出願第261094号は、空気交換バックアップユニットおよびその独特の構造に特に関係する。本発明は、モジュール式NBCろ過システムの構成要素として上記の空気交換バックアップユニットを利用しうる。
【0012】
したがって、モジュール式の、審美的で、製造が効率的で、設置が簡単な、かつ製造コストの低いNBCろ過システムを提供するために、従来のシステムをさらに最適化および詳述することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の主な目的は、従来技術のシステムの欠点および制限を克服し、共同防護シェルターのためのNBCろ過システムの最適化構造を提供することである。提案される最適化構造は、標準的なビルディングブロックのモジュラー構築を実施しながら、ろ過システムの様々の構成要素の高度な統合を提供する。その結果、異なる気流容量のろ過システムを容易に組み立てることができ、製造が単純化できる。さらに、ほとんどの機械的構成要素は、審美的なフィルタユニットおよび随意的な周辺カバーの陰になり、シェルターの占有者の目に触れない。最適化構造は、本出願人により行われた長期の研究および開発プロセスの結果である。
【0015】
ある実施形態によれば、モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムが提供され、以下を備える:
a)細長い形状で、防護シェルターの壁の上部に沿って水平方向に配置されるフィルタユニットであって、フィルタユニットの第1の先端近くで互いに近接して位置する入口ポートおよび出口ポートを備える、フィルタユニット。
b)電気モータによって駆動されるブロワーであって、入口ポートおよび出口ポートから遠位の第2の先端近くでフィルタユニットに沿って配置される、ブロワー。
c)互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、手動の空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持し、平常時は選択的に折り畳まれている、手動の空気交換バックアップユニット。および
d)フィルタユニットおよびブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、フィルタユニットの第1の先端近くでフィルタユニットに沿って伸長する管状ハウジング、内部の長手方向に移動可能な管状弁膜、および、管状弁膜を移動させ換気状態とろ過状態との間で切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁。
【0016】
本発明のある態様によれば、NBCろ過システムを構成する4つの主な構成要素の各々は、他の構成要素に影響を与えることなく、異なる容量を有する同じ機能性の構成要素と交換してもよい。
【0017】
別の態様によれば、フィルタユニットの入口ポートおよび出口ポートは、防護シェルターの壁に面し、フィルタユニットの目に見える面が良い審美的な外観を有する。
【0018】
さらなる態様によれば、ブロワー、手動の空気交換バックアップユニットおよび切替弁は、フィルタユニットと防護シェルターの壁との間に配置され、したがって、シェルターの占有者の目に触れない。
【0019】
1つの態様によれば、ろ過システムはさらに、ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース、および、モータの回転速度を電気的に調整するよう構成される調整ノブを含む。
【0020】
1つの態様によれば、切替弁の一次出口は、拡張式ダクトによってブロワーの入口に気流接続される。
【0021】
ある実施形態によれば、ろ過システムの動作方法がさらに開示される。この方法は、以下の1つまたは複数の工程を含む:
a.以下を含む天井近くに取り付けられたNBCろ過システムを提供する工程:防護シェルターの壁の上部に沿って配置されるフィルタユニット;電気モータによって駆動され、フィルタユニットに沿って配置されるブロワー;互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持する、空気交換バックアップユニット;ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース;モータの速度を調整するよう構成される調整ノブ;および、フィルタユニットおよびブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、換気状態とろ過状態との間で切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁。
b.防護シェルター内へ入ることが必要な場合に、ブロワーを駆動する電気モータの電源をオンにする工程。
c.状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に調整ノブを調整する工程。および
d.ブロワーを駆動する電気モータの電源をオフにし、平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に防護シェルターから離れる工程。
【0022】
ある態様によれば、本発明の方法はさらに、工程cとdとの間に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
e.空気交換バックアップユニットがまだ展開されていない場合に、停電時に空気交換バックアップユニットを展開する工程。
f.空気交換バックアップユニットの第2の端部を、前記手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で防護シェルターの壁に取り付ける工程。
g.取り外し可能な手回しクランクを空気交換バックアップユニットの第2の端部に取り付ける工程。
h.停電が続く間に手回しクランクをクランキングさせる工程。および
i.状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に手回しクランクのクランキング速度を調整する工程。
【0023】
さらなる態様によれば、本発明の方法はさらに、工程iの後に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
j.電力が復活したときにクランキング動作を停止する工程。
k.平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に、取り外し可能な手回しクランクを空気交換バックアップユニットの第2の端部から取り外す工程。
l.空気交換バックアップユニットの第2の端部を防護シェルターの壁から取り外す工程。および
m.空気交換バックアップユニットを折り畳む工程。
【0024】
別の態様によれば、本発明の方法はさらに、工程cとdとの間に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
n.NBC災害宣言の場合に状態選択ハンドルをろ過状態に切り替える工程。および
d.NBC災害宣言が取り消される際に、汚染物質が検出されない場合にのみ、状態選択ハンドルを換気状態に戻すように切り替える工程。
【0025】
本発明、および本発明を実際に実行することができる方法は、非限定的な例としてのみ、以下の説明のための図を参照して理解され、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に従って作製されたNBCろ過システムの正面図
【
図2】防護シェルターの壁上の位置に示されるNBCろ過システムの異なる実装形態の斜視図
【
図3】半分折り畳まれた折り畳み式空気交換バックアップユニットを示す、
図1のNBCろ過システムの斜視図
【
図4】
図3に示されるNBCろ過システムの斜視背面図
【
図7】異なる動作状態を示す、
図6に示されるような断面図
【
図8】
図4に示されるNBCろ過システムの分解斜視図
【
図9】空気交換バックアップユニットの拡大分解斜視図
【
図10】空気交換バックアップユニットの電気的および手動駆動システムを示す斜視スケルトン図
【
図11】本発明の別の実施形態に従って作製された切替弁の分解斜視図
【
図12】本発明の別の実施形態に従って作製された切替弁の分解斜視図
【
図15】本発明の異なる実施形態に従った、NBCろ過システムの斜視図
【
図16】完全に折り畳まれた空気交換バックアップユニットを示す、
図15のNBCろ過システムの斜視図
【
図19】本発明の実施形態のろ過システムを動作するために取られる方法の工程を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を詳細に説明する前に、本発明に関連するいくつかの用語を定義する。本出願を通して以下の定義が用いられることに留意すべきである。
【0028】
本発明の目的で、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「下(below)」、「上(above)」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上方(upper)」、「下方(down)」などの方向を示す用語は、本発明のさまざまの実装形態の説明において単に便宜のために使用される。本発明を実施するアセンブリは、さまざまに方向づけられてもよい。
【0029】
本発明の目的で、「複数」という用語は、2つまたは2つより多くを指す。
【0030】
本発明の目的で、「ヒンジ式要素」という用語は、少なくとも1つのヒンジを備えているか、またはヒンジ点の周りで当該要素の旋回を可能にする少なくとも1つのヒンジ点を有する要素を指す。
【0031】
本発明の目的で、「セグメント」という用語は、アセンブリが分離または分割される部品の1つを指す。
【0032】
本発明の目的で、「空気交換バックアップユニット」という用語は、停電の場合に防護シェルターに新鮮な空気を導入するように構成された、人力によってエネルギーを与えられる装置を指す。
【0033】
本発明の目的で、「折り畳み可能」という用語は、それが使用されていないときに小さいスペースに折り畳むことができる構造を指す。
【0034】
本発明の目的で、「逆歯チェーン」または「サイレントチェーン」という用語は、標準または修正歯車と係合するようにそのリンク上に形成された歯を備えたある種のチェーンを指す。
【0035】
本発明の目的で、「ピッチ」という用語は、ローラーチェーン内のローラーなどの、連続対応する物理的事象の間の距離を指す。
【0036】
「NBC」という用語は、核、生物、化学、放射能およびそれらの任意の組合せのいずれかを含む、あらゆる種類の危険物質または脅威の一般的な略語として、この文章を通して使用される。そのような組合せには、例えば、NBC、CBRN、CBR、BC、BおよびCが含まれ得る。
【0037】
図を参照すると、本発明の一実施形態によれば、
図1には、全体が10で示された天井近くに取り付けられたNBCろ過システムの正面図が示されている。
図2は、NBCろ過システムの斜視図を示しており、破線は防護シェルターの近くの内部境界を表している。以下にさらに説明されるように、
図1のNBCろ過システムは、第1の方向に取り付けられ、
図2のNBCろ過システムは逆方向に取り付けられることが留意されるであろう。
図1および2には、プレフィルタ14、フィルタユニット30、および全体が20で示された空気交換バックアップユニット20が見える。
【0038】
粗い粒子を保持することを目的としたプレフィルタ14は、建設中に建物のコンクリート壁に埋め込まれた空気取り入れ口に取り付けられる。空気取り入れ口は、従来技術で知られているように、ブラストバルブをさらに含んでもよい。フィルタユニット30は通常、粒子フィルタ32(
図6)およびガス吸着フィルタ34(
図6)を含む。空気交換バックアップユニット20は、停電時にブロワー40(
図4)を手動で動作するよう構成される。
【0039】
図8を参照すると、システムのモジュール性を示す、NBCろ過システム10の分解背面図が示される。
図8に示されるように、NBCろ過システム10は、4つのメインのサブアセンブリを含む:入口ポート36および出口ポート38を有するフィルタユニット30、電気モータ42によって駆動されるブロワー40、フィルタユニット30およびブロワー40を選択的に気流接続する切替弁50、および空気交換バックアップユニット20。
【0040】
ある実施形態によれば、空気交換バックアップユニット20は、折り畳み可能なアームを形成する複数のヒンジ式セグメント22(a、b、およびc)を含む。空気交換バックアップユニット20は、以下に詳細に説明されるように、平常時に折り畳まれていてもよい。
【0041】
図15~18を参照すると、本発明の別の実施形態が示されており、取付けフレームとしても機能する外周カバー150が、フィルタユニット30を防護シェルターの壁に固定する。外周カバー150は、ブロワー40、切替弁50、および、
図16に示されるように折り畳まれた場合の空気交換バックアップユニット20を被包する。空気交換バックアップユニット20が折り畳まれる場合、ろ過システムの様々の構成要素が、フィルタユニット30および外周カバー150の陰に隠れて防護シェルターの占有者に見えないことが理解されるであろう。
【0042】
フィルタユニット30および外周カバー150の目に見える前面154は、近審美的外観を特徴とし、防護シェルターは平常時に任意の他の目的に使用できる。様々の実施形態により開示されるろ過システムは、以下に説明されるように最小限の労力で常にすぐに使える状態であることも理解されるであろう。
【0043】
上述のように、手動の空気交換バックアップユニットは、停電時にブロワーを手動で操作するために設計される。本発明の実施形態によれば、手動の空気交換バックアップユニットは、折り畳み式アームとして構成される。
図8~10を参照すると、折り畳み式アームは、互いに連続的にリンクされる複数のヒンジ式セグメント22(a、b、およびc)を含む。ヒンジ式セグメント22(a、b、およびc)は、互いの間の回転運動の伝達のために構成される。ヒンジ式セグメント22(a、b、およびc)の少なくとも1つは、第1の増速伝達の少なくとも1つのステージを含む。手動の空気交換バックアップユニット20の第1の端部24は、電気モータ42に旋回可能に取り付けられている。手動の空気交換バックアップユニット20の第2の端部26は、取り外し可能な手回しクランク28を支持する。約40rpmの通常の手動操作での手回しクランク28の回転によって、電気モータ42が実質的に電気モータの定格速度で回転される。回転運動は、通常は一方向フリーホイールを介して、最上部のヒンジ式セグメント22cから電気モータ42のシャフト44に伝達される。折り畳み式アームの第2の端部26は、専用のブラケット60によって、手回しクランクの手動クランキングに便利な位置で防護シェルターの壁にしっかりと取り付けることができる。手動の空気交換バックアップユニット20は、平常時に選択的に折り畳まれてもよい。
【0044】
図3および
図4を参照すると、手動の空気交換バックアップユニット20は部分的に折り畳まれた状態で示され、ヒンジ式セグメント22は、ヒンジの周りに折り畳まれて、Z字形を形成する。
図17に示されるように、セグメントは、下部セグメント22aが上部セグメント22cと近接触する点までさらに折り畳まれて、手動の空気交換バックアップユニット20は、フィルタユニット30の後ろに隠れ、防護シェルターの占有者には実質的に見えなくなる。
図2に示すように、NBCろ過システム10は、全体として、天井近くの防護シェルターの壁に取り付けられている。したがって、平常時に、手動の空気交換バックアップユニット20が折り畳まれると、NBCろ過システム10は、防護された空間で行われる通常の活動を妨害しない。
【0045】
図4、9および10を参照して、図示される実施形態によれば、ヒンジ式セグメント22(a、b、およびc)の各々は、手動の空気交換バックアップユニット20の第1の増速伝達の1つのステージを含む。
図10において、構造要素が取り外され、伝達要素が露出している手動の空気交換バックアップユニット20が図示される。第1の増速トランスミッションは、3つのステージ72(a、b、およびc)を含むローラーチェーンドライブとして構成される。他の任意の数のヒンジ式セグメントおよび伝達ステージを使用してもよいことが明らかであるが、効率の理由から、最適な数は、所望の増速比を提供する最小数である。ローラーチェーンドライブのピッチサイズは、6mm~8mmの間で選択される。第1の増速トランスミッションの異なるステージは、各ステージに関連する異なるモーメントおよび回転速度のために、異なるピッチサイズを許容しうることが理解されよう。
【0046】
より詳細には、さらに
図10を参照すると、停電の際の取外し可能な手回しクランク28の手動操作中に、入力シャフト66に取り付けられた第1のスプロケット82が手回しクランク28によって直接回転される。第1のスプロケット82は、第1のドライブチェーン86を介して、第1のスプロケット82よりも小さい第2のスプロケット84を回転させる。第1のスプロケット82、第1のドライブチェーン86、および第2のスプロケット84は共に、空気交換バックアップユニット20の第1の増速トランスミッションの第1のステージ72aを形成している。
図10に示されるように、第2のスプロケット84は、空気交換バックアップユニット20を構成する折り畳み式アームの第1のセグメント22aと第2のセグメント22bとの間のヒンジ軸も画定する第1の中間シャフト88の一端に取り付けられる。第3のスプロケット92は、第1の中間シャフト88の他端に取り付けられ、したがって、第2のスプロケット84と同じ回転速度を許容する。
【0047】
第3のスプロケット92は、第2のドライブチェーン96を介して、第3のスプロケット92よりも小さい第4のスプロケット94を回転させる。第3のスプロケット92、第2のドライブチェーン96、および第4のスプロケット94は共に、空気交換バックアップユニット20の第1の増速トランスミッションの第2のステージ72bを形成している。第4のスプロケット94は、空気交換バックアップユニット20を構成する折り畳み式アームの第2のセグメント22bと第3のセグメント22cとの間のヒンジ軸も画定する第2の中間シャフト98の一端に取り付けられる。第5のスプロケット102は、第2の中間シャフト98の他端に取り付けられ、したがって、第4のスプロケット94と同じ回転速度を許容する。
【0048】
第5のスプロケット102は、第3のドライブチェーン106を介して、第5のスプロケット102よりも小さい最終スプロケット104を回転させる。第5のスプロケット102、第3のドライブチェーン106、および最終スプロケット104は共に、空気交換バックアップユニット20の第1の増速トランスミッションの第3のステージ72cを形成している。
【0049】
最終スプロケット104は、フリーホイールクラッチまたはフリーホイールベアリングとしても知られている一方向フリーホイールを介してモータシャフト44の第1の端部107にリンクされている。一方向フリーホイールは、手動の空気交換バックアップユニット20によるモータシャフト44の回転を可能にするが、モータが電圧印加されているときのフリーホイールによる第1の増速トランスミッションの回転を防止する。異なるタイプの一方向またはクラッチ機構、例えば、当技術分野で知られているラチェット機構または巻線ばね機構を代わりに使用してもよいことが理解されよう。
【0050】
図5~8を参照すると、フィルタユニット30は、粒子フィルタ32およびガス吸着フィルタ34を含む。入口ポート36および出口ポート38は、切替弁50に気流接続され、以下にさらに説明されるように、
図6において換気モードおよび
図7においてNBCろ過モードを示す。最適な実施形態によれば、フィルタユニット30は、細長い形状で、防護シェルターの壁の上部に沿って水平方向に配置される。フィルタユニットの入口ポート36および出口ポート38は、フィルタユニットの第1の先端近くで互いに近接して配置される。必要に応じて、フィルタユニットの入口ポートおよび出口ポートは、防護シェルターの壁に面している。
【0051】
図15~18を参照すると、ある実施形態によれば、取付けフレームとしても機能する外周カバー150が、フィルタユニット30を防護シェルターの壁に固定する。ブロワー40、切替弁50および空気交換バックアップユニット20はすべて、フィルタユニット30の内面156(
図17)に直接固定される。フィルタユニット30を含む外周カバー150を防護シェルターの壁から取り外す、または、外周カバー150を防護シェルターの壁から取り外すことなくフィルタユニット30を外周カバー150から取り外すことにより、交換またはメンテナンスのためにろ過システム10全体を取り外すことが可能である。
【0052】
外周カバー150は、底面において開口152を備える。開口152は、外周カバー150を所定の位置に維持しながら、空気交換バックアップユニット20の展開を可能とする。取外し可能な、ヒンジ式の、スライド形または他の開放可能なカバー(図示せず)を、平常時に審美的理由のために開口152に取り付けてもよい。
【0053】
必要に応じて、平常時に折り畳まれた位置で折り畳み式空気交換バックアップユニット20をロックするために、外周カバーの底面における凹部および固定ピン158が設けられる。空気交換バックアップユニット20の第2の端部26から伸長するシャフト66が凹部にロックされ、空気交換バックアップユニット20を折り畳まれた位置に固定する。停電時には、固定ピン158が取り外され、空気交換バックアップユニット20は手動操作位置に拡張される。
【0054】
ある実施形態によれば、外周カバー150は、ろ過システム10の底部に設けられる部分的なカバーでもよい。そのような部分的なカバーによって、材料および製造コストを低減しながら、審美的な外観が提供される。
【0055】
さらに
図15および16を参照すると、一例として、外周カバー150の底面にユーザパネル180が設けられる。ユーザパネル180は、ブロワー40のモータ42の電源をオンおよびオフにするよう配線される電気スイッチ181、モータ42の速度を調整するよう構成される速度調整ノブ184、および状態表示インターフェース182を含む。随意的な光源186が、停電時の照明のために提供される。
【0056】
状態表示インターフェース182は、防護シェルター内に入る新鮮な空気の流速の目に見えるまたは別の方法で認知できる読み取りを提供する。状態表示は、当該技術において知られるような機械的ベーンタイプのものでもよい、または、本出願人のイスラエル国特許出願第257934号に記載されるような電気的タイプのものでもよい。測定された気流は、好ましくは電動操作され、または、停電の結果として手動で空気交換バックアップユニット20を使用して、ブロワー40によって生成される。電気的な状態表示インターフェース182は、液晶ディスプレイ(LCD)または表示されるように一連の発光ダイオード(LED)を用いてもよく、気流の速度を視覚的に表示する。一例として、一連のLEDが用いられる場合、気流の速度は、発光するLEDの数または位置により判断される。
【0057】
電気モータ42は通常、部分的に塞がれたフィルタユニット30を補填するようにオーバーサイズであることに留意すべきである。しかしながら、過剰の気流によって吸着フィルタの操作時間が短くなり、所望でない。通常の電動操作中のそのような状態を避けるために、気流速度を定期的に調整する必要がある。通常の電動操作中、オペレータは、調整ノブ184を使用してブロワー速度を電気的に調整しうる。停電時に、オペレータは、手回しクランク28の回転の速度を増加または減少させ、状態表示インターフェース182条に示される所望の気流速度を得ることができ、したがって、吸着フィルタの操作時間を延ばし、物理的労力を節約して手回しクランクをより長く手動操作することが可能となる。
【0058】
図6、8、9および10を参照すると、ブロワー40の吸引ポート46は、拡張式ダクト70を介して切替弁50に気流接続される。ブロワー40の排気ポート48は、防護シェルターのスペースに対して開かれており、ろ過された空気が制限なくスペース中に広がる。ブロワー40は、直接または
図10に示されるように第2の増速トランスミッション74を介して、電気モータ42によって駆動される。経済的および長期間の信頼性の理由で、標準的な4極誘導モータが好ましい。第2の増速トランスミッションは、該当する場合、モータシャフト44の第2の端部108に取り付けられた第1のスプロケット110、ドライブチェーン112、および第1のスプロケット110よりも小さい第2のスプロケット114を備える。第2の増速トランスミッション74の第2のスプロケット114は、ブロワーシャフト116の第1の端部に取り付けられている。ブロワーシャフト116の第2の端部は、ブロワー40のインペラ76を支持する。
【0059】
ブロワーを駆動する第2の増速トランスミッション74は、4極誘導モータを使用して、3000rpmを超える回転速度でブロワーのインペラ76を駆動することができる。伝送損失を最小限に抑えるために、第2の増速トランスミッション74は、歯付きベルトドライブ、ローラーチェーンドライブ、またはサイレントチェーンとしても知られている逆歯チェーンドライブとして構成されてもよい。この第2の増速トランスミッションの高速および低トルクにより、ローラーチェーンドライブまたはサイレントチェーンドライブを使用する場合、ピッチサイズは3mm~6mmの間で選択される。ダイレクトギアドライブ、シングルVベルトドライブ、Vリブ(V-Ribbed)またはポリグルーブとしても知られるマルチグルーブ(multi-groove)ベルトドライブ、フラットベルトドライブおよびラダーチェーンドライブなどの他のトランスミッションタイプを使用できることが理解されよう。ブロワー40は、それぞれ入口ポート36、出口ポート38から遠位に、第2の先端近くにフィルタユニット30に沿って配置される。必要に応じて、ブロワー40は、フィルタユニット30と防護シェルターの壁との間に配置されてもよい。
【0060】
図6、7、8、13および14を参照すると、上述の切替弁50は、平常時または従来の災害時に有効な換気モードとNBC災害時に有効なNBC防護モードとの間で、NBCろ過システム状態を変えるよう構成される。ある実施形態によれば、切替弁50は、管状ハウジング52および内部の軸方向に移動可能な管状弁膜54を含む。管状ハウジング52は、フィルタユニット30の第1の先端近くでフィルタユニット30に沿って伸長し、ここに入口ポート36および出口ポート38が配置される。ブロワー40から遠位の管状ハウジング52は、切替弁の一次入口56として作用する。一次入口56は、プレフィルタ14に気流接続される。ブロワー40に近位の軸方向に移動可能な管状弁膜の第1の端部は、切替弁の一次出口57として作用する。一次出口57は、拡張式ダクト70を介してブロワー40の吸引ポート46に気流接続される。フィルタユニット30の入口ポート36に気流接続される管状ハウジング52から伸長する第1の横ダクトは、切替弁の二次出口58として作用する。また、フィルタユニット30の出口ポート38に気流接続される管状ハウジング52から伸長する第2の横ダクトは、切替弁の二次入口59として作用する。
【0061】
上述のように、切替弁50の一次出口57は、気密接続を維持しながら管状弁膜54の軸方向の移動を可能とする拡張式ダクト70によって、ブロワー40の吸引ポート46に気流接続される。
図6および13に示されるように、管状弁膜54の軸方向の移動は、ブロワー40から遠位の管状ハウジングの第1の端部に向かい、気流によって一次入口56は一次出口57に接続され、したがって、フィルタユニット30を迂回する。また、
図7および14に示されるように、管状弁膜54の軸方向の移動は、管状ハウジングの第1の端部から離れ、気流によって一次入口56は二次出口58に接続され、一次出口57が二次入口59に接続され、一次入口56から一次出口57への直接の通路が遮断され、したがって、気流がフィルタユニット30を通過するよう方向付けられる。
【0062】
より詳細には、
図11および12は、異なる方向から図示される、切替弁の2つの分解斜視図を示す。概して54と示される管状弁膜は、概して52と示される管状ハウジング中の位置から、一次入口56を介してその軸に沿って引き抜くことにより引き出される。管状弁膜54は、第1の管状部分120、第1の管状部分120よりも直径が小さい第2の管状部分122、およびその間に位置する空気力学的に形成された楕円錘部分124を含む。楕円錘部分124は、第2の管状部分122のものと実質的に同様であるベース直径を受容する。楕円錘部分124は、第1の管状部分120の方を指し、その中に部分的に入れられる。すべての3つの構成要素、すなわち、第1の管状部分120、第2の管状部分122、および楕円錘部分124は、共通の長手軸を共有する。3つの構成要素は、複数の放射状に配置された縦型フィン126によって単一のユニットに接合される。第1の管状部分120と楕円錘部分124との間に位置する外周ギャップ128を介して、および、第2の管状部分122と楕円錘部分124との間に位置する円筒ギャップ130を介して、気流が可能である。
【0063】
環状エラストマーシール131が、管状弁膜54に提供される。一対のシール131が、第1の管状部分120の両端に提供され、別の対のシール131が、第2の管状部分122の両端に提供され、第3の対のシールが、楕円錘部分124のベースに提供される。
【0064】
管状ハウジング52は、段階的直径のシリンダとして構成され、より大きい直径部分132は、管状弁膜54の第1の管状部分120を受容し、より小さい直径部分134は、管状弁膜54の第2の管状部分122を受容する。第1の横ダクト136は、管状ハウジング52のより大きい直径部分132から伸長する。また、第2の横ダクト138は、管状ハウジング52のより小さい直径部分134から伸長する。
【0065】
ある実施形態によれば、随意的な取付けブラケット55が、管状ハウジング52に提供され、防護シェルターの壁へのNBCろ過システム10の取付けを促進する。フィルタユニット30の長さおよびNBCろ過システムの総重量に依存して、追加の取付けブラケット(図示せず)をブロワー40に取り付けてもよい。補完的な壁ブラケットを防護シェルターの壁に取り付けてもよく、NBCろ過システム全体は、安心して追加の準備をすることなく補完的な壁ブラケットに掛けられる。
【0066】
動作中に
図13および14を参照すると、
図6および7に関して上記で簡単に説明されたように、換気モード(
図13)およびNBCろ過モード(
図14)において、概して50で示される切替弁の断面図が示される。
【0067】
この実施形態によれば、
図13に示されるような換気モードにおいて、管状弁膜54の第1の管状部分120は、第1の横ダクト136中への出口を遮断する。また、管状弁膜54の第2の管状部分122は、第2の横ダクト138中への出口を遮断する。その結果、切替弁50の一次入口56に入る空気は、外周ギャップ128を介して、管状弁膜54の楕円錘部分124の周りを流れる。次いで、空気は、第2の管状部分122と楕円錘部分124との間に位置する円筒ギャップ130を通って流れる。また、管状弁膜54の第2の管状部分122を通って、切替弁50の一次出口57に流れる。気流パターンは、矢印の付いた中心線により示される。空気力学的に形成された楕円錘部分124は、最小損失で円滑なフローパターンを提供することが留意されるであろう。このフローパターンは、特に、ブロワーが手動で操作される停電時に人的エネルギーを節約するために極めて重要である。
【0068】
図14に示されるようなNBCろ過モードにおいて、管状弁膜54は、一次入口56から離れて軸方向に移動し、楕円錘部分124が、一次入口56から一次出口57までの軸方向経路を遮断する。管状弁膜54の第1の管状部分120は、第1の横ダクト136中への出口を空け、空気は一次入口56から二次出口58まで流れることができる。他方、管状弁膜54の第2の管状部分122は、第2の横ダクト138中への出口を空け、空気は二次入口59から一次出口57まで流れることができる。気流パターンは、矢印の付いた中心線により示され、切替弁50の外側の直線部分は、フィルタユニット30を通る空気の経路を示す。
【0069】
状態選択レバー140は、二次入口59の反対側の管状ハウジング52の上部に回転可能に取り付けられる。状態選択レバー140は、それぞれ第1のリンク要素142および第2のリンク要素144、および、選択レバー140の角変位を管状弁膜54の線形変位に変換するよう配置されるピボット146を備える。ピボット146は、一次出口57の近くで管状弁膜54に設けられた開口を通過する。第1のリンク要素142および第2のリンク要素144によるピボット146の動きによって、管状弁膜54が上述のような操作状態の1つに移動する。
【0070】
図17および18を参照すると、代替的な実施形態によれば、異なる状態選択機構が提供される。状態選択機構は、ベルクランク162のような方向変化機構の第1のアームにリンクされたプッシュプル式ハンドル160、および、一端でベルクランク162の第2のアームに取り付けられ他端でピボット146に取り付けられたリンク164を含み、ピボット146は第1の実施形態に関して上述されるように管状弁膜54を通過する。
【0071】
ハンドル160は、外周カバー150の下方に伸長し、NBC災害の宣言時に操作のモードをろ過モードに切り替えるために握って引くことが容易である。ハンドル160を情報に押すことにより、ろ過システムが換気モードに戻される。
【0072】
上述のように、
図1のNBCろ過システムは第1の方向に取り付けられ、
図2のNBCろ過システムは逆方向に取り付けられる。理解の容易のために、
図1に示される方向は右手用設置と称され、
図2に示される方向は左手用設置と称される。
図4、8および9を参照すると、手動の空気交換バックアップユニット20は、上述のように電気モータ42に旋回可能に取り付けられて任意の方向に回転されてもよい。手動の空気交換バックアップユニット20の第3のセグメント22cは、必要に応じて、旋回可能な接合部を介して電気モータ42のフレームに取り付けられてもよい。したがって、空気交換バックアップユニット20は所望の下向きの方向を維持しながら、NBCろ過システム全体が逆になってもよい。右手用設置および左手用設置操作は、防護シェルターのエッジに関して空気取り入れ口の異なる位置を通知することが必要とされる。明らかに、空気取り入れ口のそのような異なる位置は、建造物の異なる建築上の設計により共通である。上記の説明から、NBCろ過システムは、任意の方向を受容し、したがって、変則的または間違った位置ですら空気取り入れ口の任意の位置を採用しうることが理解されよう。
【0073】
本発明の説明される実施形態および可能な他の実施形態は、標準的なビルディングブロックのモジュラー構築を実施しながら、NBCろ過システムの4つの主な構成要素の高度な統合を提供する。したがって、NBCろ過システムを構成する4つの主な構成要素の各々は、他の構成要素に影響を与えることなく、異なる容量を有する同じ機能性の構成要素と交換してもよい。例えば、異なる占有者容量または異なる防護時間のためにより長いまたはより短いフィルタユニット30を用いて、他の構成要素は標準的なものを使用してもよい。必要に応じて、ブロワー40のみを、用途により適切な異なる流速または異なる圧力のブロワーと交換してもよい。切替弁および空気交換バックアップユニットを、NBCろ過システムのいくつかの容量のために効果的に使用してもよい。その結果、異なる気流容量のろ過システムが容易に組み立てられ、製造が単純化される。
【0074】
本発明は、上記のような装置に関する防護、並びに、平常時または従来の災害時に防護シェルターを換気し、並びに、NBC汚染の際に導入される空気を精製するという所望の結果を達成するために取られる方法の工程を求める。いずれの操作も、停電時であっても実行可能である。方法の工程は、即時利用のためにNBCろ過システムの操作が容易で準備ができていることを示す。
【0075】
したがって、
図19を参照して、以下の1つまたは複数の工程を含む、モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムの操作方法が提供される:
a.以下を含む天井近くに取り付けられたNBCろ過システムを提供する工程:防護シェルターの壁の上部に沿って配置されるフィルタユニット30;電気モータ42によって駆動され、フィルタユニット30に沿って配置されるブロワー40;互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメント22(a、b、c)を含む、空気交換バックアップユニット20であって、第1の端部24が電気モータ42に旋回可能に取り付けられ、第2の端部26が取外し可能な手回しクランク28を保持する、空気交換バックアップユニット20;ブロワー40の空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース182;モータ42の速度を調整するよう構成される調整ノブ184;および、フィルタユニット30およびブロワー40を選択的に気流接続する切替弁50であって、換気状態とろ過状態との間で切替弁50を切り替えるための状態選択ハンドル140、160を含む、切替弁50。
b.防護シェルター内へ入ることが必要な場合に、電気スイッチ181を用いてブロワー40を駆動する電気モータ42の電源をオンにする工程。
図19のフローチャートの開始200および活動202として示される。
c.状態表示インターフェース182を監視し、必要な場合に調整ノブ184を調整する工程。フローチャートの活動204、決定250、252および活動254として示される。
d.スイッチ181を用いて、ブロワーを駆動する電気モータの電源をオフにし、平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に防護シェルターから離れる工程。決定240、活動260および終了262として示される。
【0076】
本発明の方法はさらに、工程cとdとの間に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
e.空気交換バックアップユニット20がまだ展開されていない場合に、停電時に空気交換バックアップユニット20を展開する工程。決定206、207および活動208として示される。
f.空気交換バックアップユニット20の第2の端部26を、通常はブラケット60を用いて、手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で防護シェルターの壁に取り付ける工程。活動210として示される。
g.取り外し可能な手回しクランク28を空気交換バックアップユニット20の第2の端部26に取り付ける工程。活動212として示される。
h.停電が続く間に手回しクランク28をクランキングさせる工程。フローチャートの活動214および決定216として示される。
i.状態表示インターフェース182を監視し、必要な場合に手回しクランク28のクランキング速度を調整する工程。フローチャートの活動204、決定250、252および活動256として示される。
【0077】
本発明の方法はさらに、工程iの後に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
j.電力が復活したときにクランキング動作を停止する工程。フローチャートの活動218として示される。
k.平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に、取り外し可能な手回しクランクを空気交換バックアップユニットの第2の端部から取り外す工程。フローチャートの活動222および決定220として示される。
l.空気交換バックアップユニット20の第2の端部26を防護シェルターの壁から取り外す工程。フローチャートの活動224として示される。
m.空気交換バックアップユニット20を折り畳む工程。フローチャートの活動226として示される。
【0078】
本発明の方法はさらに、工程cとdとの間に以下の1つまたは複数の工程を含んでもよい:
n.NBC災害宣言の場合に状態選択ハンドル140、160をろ過状態に切り替える工程。
図19のフローチャートの決定230および活動232として示される。
d.NBC災害宣言が取り消される際に、汚染物質が検出されない場合にのみ、状態選択ハンドル140、160を換気状態に戻すように切り替える工程。
図19のフローチャートの決定234、236および活動237、238として示される。汚染が生じた場合、ろ過システムはろ過状態のままでなければならず、ろ過ユニットは適切な設備を有する専門のスタッフにより交換されなければならないことが理解されよう。
【0079】
フローチャートの活動208から214により示される工程e、f、gは、空気交換バックアップユニットの手動操作を開始するために必要であることが理解されよう。しかしながら、活動220から226により示される続く工程k、l、mは、随意的である、または、後になってあるいは準備状態および折り畳み状態に戻す前にシステムをさらにチェックする専任の保守担当者によって実行されてもよい。
【0080】
上記で説明され添付図面に示される本発明の特定の実施形態は、単に例示のためだけに示されていることが理解されるであろう。本発明の他の変形、修正、および応用を、当業者は容易に思いつくであろう。したがって、すべてのそのような変形が本発明の範囲および原理内と考えられることが明らかである。よって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載される。
他の実施形態
1. モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムであって、
a)細長い形状で、前記防護シェルターの壁の上部に沿って水平方向に配置されるフィルタユニットであって、該フィルタユニットの第1の先端近くで互いに近接して位置する入口ポートおよび出口ポートを備える、フィルタユニット;
b)電気モータによって駆動されるブロワーであって、前記入口ポートおよび前記出口ポートから遠位の第2の先端近くで前記フィルタユニットに沿って配置される、ブロワー;
c)互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、手動の空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が前記電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持し、平常時は選択的に折り畳まれている、手動の空気交換バックアップユニット;および
d)前記フィルタユニットおよび前記ブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、前記フィルタユニットの前記第1の先端近くで前記フィルタユニットに沿って伸長する管状ハウジング、内部の長手方向に移動可能な管状弁膜、および、前記管状弁膜を移動させ換気状態とろ過状態との間で前記切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁
を含む、NBCろ過システム。
2. 前記NBCろ過システムを構成する4つの主な構成要素の各々が、他の構成要素に影響を与えることなく、異なる容量を有する同じ機能性の構成要素と交換されてもよいことを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
3. 前記ヒンジ式セグメントが、互いの間で回転運動を伝達するように構成されることを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
4. 前記ヒンジ式セグメントの少なくとも1つが、第1の増速トランスミッションの少なくとも1つのステージを含み、前記手回しクランクの手動操作により前記電気モータが該電気モータの実質的に定格回転数で回転することを特徴する、実施形態3に記載のNBCろ過システム。
5. 前記ヒンジ式セグメントの各々が、前記第1の増速トランスミッションの1つのステージを含むことを特徴とする、実施形態4に記載のNBCろ過システム。
6. 前記第1の増速トランスミッションが、ローラーチェーンドライブの3つのステージを含むことを特徴とする、実施形態5に記載のNBCろ過システム。
7. 手動操作中、前記第1の増速トランスミッションが、前記モータのシャフトに取り付けられた一方向フリーホイールを介して、前記モータに回転運動を伝達することを特徴とする、実施形態4に記載のNBCろ過システム。
8. 前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部が、前記手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で前記防護シェルターの壁にしっかりと取り付けることができることを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
9. 前記フィルタユニットの前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記防護シェルターの前記壁に面し、前記フィルタユニットの目に見える面が良い審美的な外観を有することを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
10. 前記ブロワー、前記手動の空気交換バックアップユニットおよび前記切替弁が、前記フィルタユニットと前記防護シェルターの壁との間に配置され、したがって、前記シェルターの占有者の目に触れないことを特徴とする、実施形態9に記載のNBCろ過システム。
11. 取付けブラケットとしても機能する外周カバーが、前記フィルタユニットを前記防護シェルターの壁に固定し、前記外周カバーが、前記ブロワー、前記切替弁、および、折り畳まれた場合の前記空気交換バックアップユニットを被包することを特徴とする、実施形態10に記載のNBCろ過システム。
12. 前記外周カバーが、その底面において開口を含み、該開口が、前記カバーを所定の位置に維持しながら、前記空気交換バックアップユニットの展開を可能とすることを特徴とする、実施形態11に記載のNBCろ過システム。
13. 前記フィルタユニットがさらに、粒子フィルタおよびガス吸着フィルタを含むことを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
14. 前記電気モータが、3000rpm超の回転速度で前記ブロワーのインペラを回転させることを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
15. 前記ブロワーが、第2の増速トランスミッションを介して前記電気モータにより駆動されることを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
16. 前記ブロワーを駆動する前記電気モータが、4極誘導モータであることを特徴とする、実施形態15に記載のNBCろ過システム。
17. 前記第2の増速トランスミッションが、ギアドライブ、ベルトドライブ、マルチグルーブベルトドライブ、歯付きベルトドライブ;ローラーチェーンドライブ;および逆歯チェーンドライブからなる群より選択されることを特徴とする、実施形態15に記載のNBCろ過システム。
18. 前記ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース、および、前記モータの速度を電気的に調整するよう構成される調整ノブをさらに含む、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
19. 前記ブロワーから遠位の前記管状ハウジングの第1の端部が、前記切替弁の一次入口として作用し、前記ブロワーに近位の前記軸方向に移動可能な管状弁膜の第1の端部が、前記切替弁の一次出口として作用し、前記フィルタユニットの前記入口ポートに気流接続される前記管状ハウジングから伸長する第1の横ダクトが、前記切替弁の二次出口として作用し、前記フィルタユニットの前記出口ポートに気流接続される前記管状ハウジングから伸長する第2の横ダクトが、前記切替弁の二次入口として作用することを特徴とする、実施形態1に記載のNBCろ過システム。
20. 前記切替弁の前記一次出口は、拡張式ダクトによって前記ブロワーの入口に気流接続されることを特徴とする、実施形態19に記載のNBCろ過システム。
21. 前記管状弁膜の軸方向の移動が、前記管状ハウジングの前記第1の端部に向かい、前記一次入口が前記一次出口に気流接続され、したがって前記フィルタユニットが迂回されることを特徴とする、実施形態19に記載のNBCろ過システム。
22. 前記管状弁膜の軸方向の移動が、前記管状ハウジングの前記第1の端部から離れ、前記一次入口が前記二次出口に気流接続され、前記一次出口が前記二次入口に気流接続され、したがって気流が前記フィルタユニットを通過するよう方向付けられることを特徴とする、実施形態19に記載のNBCろ過システム。
23. モジュール式の、天井近くに取り付けられた、防護シェルターのためのNBCろ過システムの操作方法であって、
a.以下を含む天井近くに取り付けられたNBCろ過システムを提供する工程:前記防護シェルターの壁の上部に沿って配置されるフィルタユニット;電気モータによって駆動され、前記フィルタユニットに沿って配置されるブロワー;互いに連続的にリンクされて折り畳み式アームを形成する複数のヒンジ式セグメントを含む、空気交換バックアップユニットであって、第1の端部が前記電気モータに旋回可能に取り付けられ、第2の端部が取外し可能な手回しクランクを保持する、空気交換バックアップユニット;前記ブロワーの空気流量を示すよう構成される状態表示インターフェース;前記モータの速度を調整するよう構成される調整ノブ;および、前記フィルタユニットおよび前記ブロワーを選択的に気流接続する切替弁であって、換気状態とろ過状態との間で前記切替弁を切り替えるための状態選択ハンドルを含む、切替弁;
b.前記防護シェルター内へ入ることが必要な場合に、前記ブロワーを駆動する前記電気モータの電源をオンにする工程;
c.前記状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に前記調整ノブを調整する工程;および
d.前記ブロワーを駆動する前記電気モータの電源をオフにし、平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に前記防護シェルターから離れる工程
を含む、方法。
24. 工程cとdとの間に、
e.前記空気交換バックアップユニットがまだ展開されていない場合に、停電時に前記空気交換バックアップユニットを展開する工程;
f.前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部を、前記手回しクランクの手動クランキングに都合のよい位置で前記防護シェルターの壁に取り付ける工程;
g.前記取り外し可能な手回しクランクを前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部に取り付ける工程;
h.停電が続く間に前記手回しクランクをクランキングさせる工程;および
i.前記状態表示インターフェースを監視し、必要な場合に前記手回しクランクのクランキング速度を調整する工程
をさらに含むことを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
25. 工程iの後に、
j.電力が復活したときに前記クランキング動作を停止する工程;
k.平常時に戻るまたはシェルターを出ることが宣言された場合に、前記取り外し可能な手回しクランクを前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部から取り外す工程;
l.前記空気交換バックアップユニットの前記第2の端部を前記防護シェルターの壁から取り外す工程;および
m.前記空気交換バックアップユニットを折り畳む工程
をさらに含むことを特徴とする、実施形態24に記載の方法。
26. 工程cとdとの間に、
n.NBC災害宣言の場合に前記状態選択ハンドルをろ過状態に切り替える工程;および
d.NBC災害宣言が取り消される際に、汚染物質が検出されない場合にのみ、前記状態選択ハンドルを換気状態に戻すように切り替える工程
をさらに含むことを特徴とする、実施形態23に記載の方法。