(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/704 20060101AFI20230417BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20230417BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230417BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230417BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230417BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230417BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230417BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K36/258
A61K47/10
A61K47/36
A61P25/00
A61P35/00
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2021569187
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2020006590
(87)【国際公開番号】W WO2020235929
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0058675
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ド・ユ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・キ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ナム・フン・チョ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0112323(KR,A)
【文献】国際公開第2014/132430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/704
A61K 36/258
A23L 33/105
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参(black ginseng)抽出物を含み、
前記ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して20重量部~90重量部で含
み、
前記Rk1及びRg5の含量の合計は、9mg/g以上であり、
前記黒参抽出物は、さらにポリフェノールを含み、前記ポリフェノールの含量は、15mg/g以上のものである、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項2】
黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のAUC(Area under the plasma level-time curve)値の合計は、500~1200ug・hr/mlである、請求項1に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項3】
黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRk1のAUC(Area under the plasma level-time curve)値は、20~40ug・hr/mlである、請求項2に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項4】
黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRg3のAUC(Area under the plasma level-time curve)値は、40~80ug・hr/mlである、請求項2に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項5】
黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRh2のAUC(Area under the plasma level-time curve)値は、250~400ug・hr/mlである、請求項2に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項6】
黒参抽出物のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のTmax値は、5時間~10時間である、請求項1に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項7】
前記黒参抽出物は、酸性多糖
体をさらに含むものである、請求項1に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【請求項8】
前記組成物は、食品又は薬学組成物である、請求項1に記載の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒参(black ginseng)抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人参(ginseng)は、ウコギ科(Araliaceae)人参属(Panax)に属する多年生草本であって、韓方で使用される韓薬材の一つである。一般的な人参の生理活性効能は、中枢神経系に対する作用、抗癌作用(特許文献1)などが報告されている。特に、ジンセノサイドは、今まで約40余種が発見されており、中枢神経系を含めて内分泌系、代謝系などに広範囲な影響を及ぼし、身体機能の調節、すなわち、生理機能の正常化に卓越した効果を奏すると確認されている。これらジンセノサイドは、互いに類似した作用をするか、又は互いに反対の作用を示すが、特定の成分が単独で又は様々な種類が相互作用を介して多様な効能を発揮することが知られている。
【0003】
本発明者は、人参から由来した加工物の中でも、様々な原料に対して研究し、人参を加工する条件を調節することにより、人参には微量で存在するジンセノサイドの含量が増加された黒参を製造し、黒参抽出物に含まれるジンセノサイドの生体利用率と体内吸収速度とが紅参に比べて大きく向上することを確認した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0134463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の目的を達成するための一様態として、本出願の一側面は、黒参抽出物の製造方法を提供する。
【0007】
本出願のさらに他の側面は、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物を提供する。
【0008】
以下、本出願を詳細に説明する。
【0009】
本出願の一具現例は、人参を蒸熟(steaming)して黒参を製造する段階;製造された黒参を溶媒として抽出する段階;及び抽出された黒参抽出物を熟成する段階;を含むジンセノサイドRk1及びRg5が強化された(enriched)黒参抽出物の製造方法を提供する。
【0010】
前記黒参抽出物は、人参を複数回蒸熟して得た黒参から由来したものである。
【0011】
前記人参は、高麗人参(Panax ginseng)、花旗参(P.quiquefolius)、田七人参(P.notoginseng)、竹節人参(P.japonicus)、三葉人参(P.trifolium)、ヒマラヤ人参(P.pseudoginseng)、ベトナム人参(P.vietnamensis)、又はアメリカ人参(Panax quinquefolium)などであってよい。人参は、一般的に加工方法によって白参と紅参とに区分され、白参は、畑で採掘した加工されていない人参、すなわち、水参をそのまま乾燥したものを指し、紅参は、水参を蒸熟して乾燥加工したものであって、製造過程でサポニンの変形とアミノ酸の変化などの様々な化学的変化を伴う。紅参は、製造過程で加えられる熱により人参に存在しないジンセノサイド成分が生成され、紅参特有の有効成分は、癌の予防作用、癌細胞成長の抑制作用、血圧の降下作用、脳神経細胞の保護、学習能力の改善作用を示す。
【0012】
本出願の黒参は、人参の葉、若い芽、茎、茎の皮、根、根の皮、種子、果実、未熟果、完熟果、果肉、果皮、花、雄蕊群(androecium)、雌蕊群(gynoecium)、萼、雄蕊、花びら、萼裂片、心皮及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを9回蒸熟して得ることができる。前記雄蕊群は、一つの花にある雄蕊全体を示し、前記雌蕊群は、一つの花にある雌蕊全体を示す。前記心皮は、花の雌蕊を作る構成要素であって、一般的に花葉と総称する葉の変形形態を示す。前記人参は根であってよいが、これに限定されず、人参の他の部位を9回蒸熟したものを混合することができる。
【0013】
前記ジンセノサイドRk1は、下記式で示す:
【化1】
(前記式で、Glcは、グリコシル残基を示す。)
【0014】
前記ジンセノサイドRg5は、下記式で示す:
【化2】
(前記式で、Glcは、グリコシル残基を示す。)
【0015】
前記蒸熟は、70℃~120℃で3回~12回行われるものであってよい。
【0016】
前記蒸熟は、75℃~115℃、80℃~110℃、85℃~105℃、87℃~103℃、又は90℃~100℃で行われてよい。前記温度条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。
【0017】
前記蒸熟は、3回~11回、4回~10回、5回~9回、6回~9回、7回~9回、8回、又は9回行われてよい。前記蒸熟回数条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。本出願の蒸熟条件を適用して得た黒参抽出物が、生体利用率の増大及び吸収速度が向上する限り、蒸熟回数は多様に適用することができる。
【0018】
蒸熟は、蒸熟1回当り1.5時間~6時間、2時間以上、2時間~6時間、2時間~5.5時間、2時間~5時間、2時間~4.5時間、2時間~4時間、2時間~3.5時間、又は2時間~3時間行ってよい。前記時間条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。
【0019】
前記黒参抽出物の製造方法は、蒸熟を完了するたびに蒸熟した参を乾燥する段階;をさらに含んでよい。乾燥は、25℃~60℃、27℃~58℃、又は30℃~55℃で行われてよい。また、乾燥は、10時間~30時間、12時間~28時間、12時間~26時間、又は12時間~24時間行われてよい。
【0020】
本出願において用いられる用語「抽出物」は、原料から任意の方法で抽出された物質を意味し、このように抽出された抽出液、これにより得られる濃縮液、前記濃縮液の乾燥物及び粉末を制限なしに全て含む意味として使用される。
【0021】
前記抽出物は、原料又はこの乾燥物から抽出して得られ、前記抽出物の原料は、栽培したもの又は市販されているものなど、制限なしに使用することができる。
【0022】
前記抽出物を原料から抽出して得る際に、抽出方法としては、溶媒抽出法、超音波抽出法、濾過法及び還流抽出法など、従来知られた通常の抽出方法を全て使用することができ、溶媒抽出法や還流抽出法を用いることにより製造することができる。前記抽出過程は、数回繰り返すことができ、その後に濃縮又は凍結乾燥などの段階をさらに経ることができる。例えば、得た抽出物を減圧濃縮して濃縮液を得て、前記濃縮液を凍結乾燥させた後、粉砕機を用いて高濃度の抽出粉末を製造することができる。抽出物は、抽出物を追加的に分画して得た分画物も含む。
【0023】
前記抽出物は、水、有機溶媒又はこれらの混合物を抽出溶媒にして抽出され得る。前記有機溶媒は、アルコール、炭素数1~4の低級アルコール、ヘキサン(n-ヘキサン)、エーテル、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチルアセテート、メチルアセテート、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、ベンゼン及びこれらの混合溶媒からなる群から選択されるいずれか一つであってよい。
【0024】
水及び有機溶媒の混合物を抽出溶媒として使用する場合、水及び有機溶媒の混合物は、水及び炭素数1~4の低級アルコールの混合物であってよく、水及びエタノールの混合物であってよく、この場合、前記溶媒は、20%(v/v)~90%(v/v)エタノール水溶液、25%(v/v)~85%(v/v)エタノール水溶液、30%(v/v)~80%(v/v)エタノール水溶液、20%(v/v)~40%(v/v)エタノール水溶液、30%(v/v)~60%(v/v)エタノール水溶液、35%(v/v)~75%(v/v)エタノール水溶液、40%(v/v)~70%(v/v)エタノール水溶液、45%(v/v)~65%(v/v)エタノール水溶液、又は50%(v/v)~80%(v/v)エタノール水溶液であってよい。前記黒参抽出物を製造する際に、抽出溶媒は、抽出原料である黒参に対して4倍~10倍、5倍~9倍、又は6倍~8倍に投入されてよい。前記エタノール水溶液条件で抽出する際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなる。
【0025】
前記黒参抽出物を製造する際に、抽出時間は、2時間~12時間、3時間~11時間、4時間~10時間、4時間~9時間、又は4時間~8時間行われてよい。前記時間条件で抽出する際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなる。
【0026】
前記黒参抽出物は、下記のような工程で製造され得る。最終蒸熟が完了し、乾燥した黒参を50%(v/v)~80%(v/v)エタノール水溶液で1次抽出し、1次抽出の際に発生した残渣を同一の濃度のエタノール水溶液で2次抽出し、2次抽出の際に発生した残渣を30%(v/v)~60%(v/v)エタノール水溶液で3次抽出し、3次抽出の際に発生した残渣を20%(v/v)~40%(v/v)エタノール水溶液で4次抽出することができる。黒参抽出物は、各回次で得た抽出物のそれぞれであってよく、1次抽出~4次抽出の際に得た抽出物を混合した混合物であってよい。各抽出回次に使用される溶媒は多様な濃度で使用され得る。すなわち、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量を高めるために、多様な組み合わせで抽出溶媒が使用され得る。
【0027】
前記黒参抽出物は、55Brix%~85Brix%、57Brix%~83Brix%、60Brix%~80Brix%、62Brix%~78Brix%、又は65Brix%~75Brix%であってよい。前記Brix%濃度範囲の場合、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量などの品質が最適化され、黒参抽出物の粘度があまり高くないので、所望の剤形で製造することができる。
【0028】
前記黒参抽出物の製造方法は、抽出段階後に黒参抽出物を熟成する段階;をさらに含んでよい。
【0029】
黒参抽出物を熟成する段階は、80℃以上、82℃~95℃、84℃~93℃、86℃~91℃、又は88℃~90℃で行われてよい。前記温度条件で熟成する際に、ジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加する。
【0030】
黒参抽出物を熟成する段階は、3時間以上、3時間~48時間、3時間~44時間、3時間~40時間、3時間~36時間、3時間~32時間、3時間~28時間、又は3時間~24時間行われてよい。前記時間条件で熟成する際に、ジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加する。
【0031】
前記黒参抽出物に含まれるジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して20重量部~90重量部、25重量部~85重量部、30重量部~80重量部、35重量部~75重量部、40重量部~70重量部、45重量部~65重量部、又は50重量部~60重量部であってよい。ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計が前記範囲である場合、黒参抽出物による生体利用率の増大の効果に優れる。
【0032】
前記黒参抽出物の製造方法において、蒸熟の間には圧力を加えない。本出願の黒参抽出物は、蒸熟の際に圧力を別途加えないことにより、ベンゾピレンのような危害物質が生成されないので、安定性の側面で品質に優れる。
【0033】
前記黒参は、人参を蒸熟して製造され、製造された黒参を抽出した後に熟成することにより、ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の高い黒参抽出物を得ることができる。例えば、人参を70℃~120℃で3回~12回蒸熟し、この際、蒸熟1回当り2時間以上の条件で黒参を製造し、この黒参に、黒参の重量に対して水、炭素数1~4の低級アルコール又はこれらの混合溶媒を4倍~10倍投入し、2時間~12時間抽出して黒参抽出物を得た後、濃縮し、黒参濃縮液を80℃以上で3時間以上の条件で熟成すると、得た黒参抽出物には、人参には含まれていないか、紅参には微量で含まれたものと知られたジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計が、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して20重量部~90重量部で含まれ、紅参抽出物に対して顕著に高かった。
【0034】
本出願の他の側面は、ジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物を含み、前記ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して20重量部~90重量部で含まれる黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物を提供する。
【0035】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して25重量部~85重量部、30重量部~80重量部、35重量部~75重量部、40重量部~70重量部、45重量部~65重量部、又は50重量部~60重量部であってよい。ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計が前記範囲である場合、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進の効果に優れる。
【0036】
本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、前記黒参抽出物に含まれるジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、9mg/g以上、9mg/g~30mg/g、9mg/g~28mg/g、9mg/g~26mg/g、9mg/g~24mg/g、9mg/g~22mg/g、9.1mg/g~20mg/g、9.1mg/g~18mg/g、9.2mg/g~16mg/g、9.2mg/g~14mg/g、又は9.2mg/g~12mg/gであってよい。ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計が前記範囲である場合、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進の効果に優れる。
【0037】
本出願において黒参抽出物のジンセノサイドに関連して用いられる用語「生体利用率(bioavailability)」は、黒参抽出物を投与する際に、ジンセノサイドが吸収され、変化していない形態で全身循環に到達する量の割合を意味する。
【0038】
本明細書において用いられる用語「吸収率」は、前記生体利用率と同様の意味で混用して使用されてよい。
【0039】
本出願において生体利用率は、黒参抽出物を服用した場合に測定されるジンセノサイドの血中濃度-時間曲線下面積(AUC、Area under the plasma level-time curve)で示してよく、又は、黒参抽出物を服用した場合のAUC値を、同量の紅参抽出物を服用した場合に測定されるジンセノサイドのAUC値と比較して示してもよい。
【0040】
本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のAUC値の合計は、500~1200ug・hr/mlであってよい。
【0041】
具体的には、本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のAUC値の合計は、550~1150ug・hr/ml、600~1100ug・hr/ml、650~1050ug・hr/ml、700~1000ug・hr/ml、又は750~950ug・hr/mlであってよい。
【0042】
また、本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRk1のAUC値は、20~40ug・hr/ml、より具体的には25~40ug・hr/ml、25~38ug・hr/ml、25~35ug・hr/ml、又は30~35ug・hr/mlであってよい。
【0043】
また、本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRg3のAUC値は、40~80ug・hr/ml、より具体的には45~75ug・hr/ml、50~70ug・hr/ml、又は55~65ug・hr/mlであってよい。
【0044】
また、本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRh2のAUC値は、250~400ug・hr/ml、より具体的には270~380ug・hr/ml、290~360ug・hr/ml、300~350ug・hr/ml、310~350ug・hr/ml、又は320~340ug・hr/mlであってよい。
【0045】
本明細書において用いられる用語「Tmax値」は、黒参抽出物又は紅参抽出物の投与後、これらの血中濃度が最高値に到達する時間であって、これは抽出物の吸収が最高に到達した時点で抽出物の吸収速度と排泄速度とが同一になる瞬間を意味し、抽出物の吸収を比較すると、吸収速度に対する指標となる。
【0046】
本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、黒参抽出物のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のTmax値は、5時間~10時間であってよい。具体的には、前記黒参抽出物のジンセノサイドのTmax値は、5.5時間~9.5時間、6.0時間~9.0時間、6.5時間~9.0時間、6.7時間~8.8時間、6.9時間~8.7時間、又は7.0時間~8.5時間であってよい。
【0047】
本出願のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、前記黒参抽出物は、酸性多糖体及びポリフェノールをさらに含んでよい。
【0048】
前記酸性多糖体は、1mg/g以上、1mg/g~20mg/g、1mg/g~18mg/g、1mg/g~16mg/g、1mg/g~14mg/g、1mg/g~12mg/g、1.5mg/g~10mg/g、1mg/g~8mg/g、2mg/g~6mg/g、1mg/g~4mg/g、又は2.5mg/g~4mg/gで含まれてよい。酸性多糖体が前記範囲で含まれると、酸性多糖体と黒参抽出物に含まれたジンセノサイドRk1及びRg5との相乗効果が高くなり、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進の効果に優れる。
【0049】
前記ポリフェノールは、15mg/g以上、15mg/g~40mg/g、15mg/g~38mg/g、15mg/g~36mg/g、16mg/g~34mg/g、17mg/g~32mg/g、18mg/g~30mg/g、19mg/g~28mg/g、20mg/g~26mg/g、又は20mg/g~24mg/gで含まれてよい。ポリフェノールが前記範囲で含まれると、ポリフェノールと黒参抽出物に含まれたジンセノサイドRk1及びRg5との相乗効果が高くなり、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進の効果に優れる。
【0050】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物は、食品又は薬学組成物であってよい。
【0051】
本出願において用いられる用語「投与」は、或る適切な方法で個体に所定の物質を導入することを意味し、本出願の組成物が生体内の標的に到達することができる或る一般的な経路を介して投与され得る。本出願の組成物の投与経路は特に制限されないが、経口又は非経口で投与することができる。本出願の投与は、1日に1回~4回、2回~3回、又は2回実施してよい。また、本出願の投与は、4週以上、8週以上、4週~12週又は8週~12週の期間に実施してよい。
【0052】
前記黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物に含有されるジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物の投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路及び期間に応じて異なるが、場合によって適宜選択され得る。例えば、前記ジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物は、1日に0.0001~1000mg/kg、0.001~700mg/kg、0.01~500mg/kg、0.1~100mg/kg、又は0.1~100mg/kg、0.1~10mg/kg、0.1~8mg/kg、0.1~6mg/kg、0.1~5mg/kg、0.1~4mg/kg、0.3~3.5mg/kgの用量で投与されてよく、前記投与は、一日に一回、又は数回分けて適用してもよい。本出願のジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物は、生体利用率の増大及び吸収促進用組成物であって、通常他のジンセノサイドを含む抽出物の投与量の同等量を投与する場合、より優れたジンセノサイドの生体利用率を有することができ、通常他のジンセノサイドを含む組成物の効能を優れて有することができる。また、通常他のジンセノサイドを含む抽出物の投与量よりも少ない量を投与しても、同等、類似、あるいは優れたジンセノサイドの生体利用率を有することができ、通常他のジンセノサイドを含む組成物の効能を同等、類似、あるいは優れて有することができる。本出願のジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物の投与量は、投与経路、疾病の程度、性別、体重、又は年齢などに応じて増減され得る。したがって、前記投与量は、如何なる側面でも本出願の範囲を限定するものではない。
【0053】
本出願の食品組成物は、粉末、顆粒剤、錠剤、カプセル、シロップ又は飲料の形態で提供されてよく、前記食品組成物は、有効成分である本出願のジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物以外に他の食品又は食品添加物とともに使用されてよい。有効成分の混合量は、その使用目的、例えば、予防、健康、又は治療的処置により適宜決定されてよい。
【0054】
ジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物は、食品組成物に0.001重量%~60重量%、例えば0.01重量%~50重量%、0.1重量%~45重量%、1重量%~40重量%、又は1重量%~20重量%の含量で含まれてよい。前記食品組成物内の前記黒参抽出物の含量が0.001重量%未満の場合には、黒参抽出物による効果が十分に発現されないことがあり、60重量%を超える場合には、投入濃度に対して黒参抽出物による効果が相対的に低いことがあるが、安全性の側面で何等の問題もないので、前記範囲以上の量でも使用されてよい。
【0055】
本出願の食品の種類には特別な制限がなく、例えば、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられる。
【0056】
本出願の薬学組成物は、薬学組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含んでよい。
【0057】
本出願の薬学組成物で使用可能な担体、賦形剤又は希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート又は鉱物油などが挙げられる。
【0058】
本出願の薬学組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤、及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用されてよい。例えば、本出願の薬学組成物は、粘膜に塗布が容易であるようにエアロゾル、粉末、ゲル、軟膏、点滴剤(drop)の形態で提供されてよい。前記粘膜は、鼻腔粘膜、口腔粘膜、気道粘膜、目の粘膜であってよいが、これに限定しない。
【0059】
製剤化する場合には、一般的に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記化合物は少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤してよい。
【0060】
また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、及び保存剤などが含まれてよい。
【0061】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用されてよい。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてよい。
【0062】
経口投与のための固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤及びカプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本出願の薬学的組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース及びゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウム、ステアレート、タルクのような潤滑剤も使用されてよい。
【0063】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤及びシロップ剤などが該当されるが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤及び保存剤などが含まれてよい。
【0064】
皮膚投与のための製剤としては、ダスティングパウダー、エマルジョン、懸濁剤、オイル、スプレー、軟膏、クリームペースト、ゲル、フォーム、又は溶液であってよい。本出願の薬学製剤は、無水状態の軟膏であってよく、局所用途に適しており、体温状態で液体であるパラフィン、特に低粘度パラフィンを含有するか、又は、前記天然脂肪又は部分合成脂肪、例えば、ココナッツ脂肪酸トリグリセライド、硬化油、例えば、水素化されたピーナッツオイル又はキャスターオイル、グリセロールの脂肪酸部分エステル、例えば、グリセロールモノステアレート及びジステアレート、シリコーン、例えば、ポリメチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルトリシロキサンを含有してよく、例えば、水性クリームと関連しており、水分吸収容量を増加させる脂肪アルコール、そしてステロール、ウールワックス、他の乳化剤及び/又はその他添加剤を含有してよい。
【0065】
本出願の薬学組成物に含有されるジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物の投与量に対しては、前述のとおりである。
【0066】
本出願の薬学組成物は、鼠、マウス、家畜、人間などの哺乳動物に多様な経路で投与され得る。投与は、例えば、経口、直腸内、静脈、筋肉、皮下、気管支内の吸入、子宮内硬膜又は脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与され得る。
【0067】
本出願のジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物は有効量でこれを必要とする個体に投与され得る。
【0068】
本出願においてこれを必要とする個体は、黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進が必要な個体を意味する。
【0069】
本出願において前記個体は、人間を含む動物であるか、又は人間を除いた動物であってよい。
【0070】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、前記黒参抽出物は、人参を蒸熟して黒参を製造する段階;製造された黒参を溶媒として抽出する段階;及び抽出された黒参抽出物を熟成する段階;を含むジンセノサイドRk1及びRg5が強化された黒参抽出物の製造方法により製造されるものであってよい。
【0071】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、前記蒸熟は、70℃~120℃で3回~12回行われてよい。
【0072】
前記蒸熟は75℃~115℃、80℃~110℃、85℃~105℃、87℃~103℃、又は90℃~100℃で行われてよい。前記温度条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。
【0073】
上記蒸熟は、3回~11回、4回~10回、5回~9回、6回~9回、7回~9回、8回、又は9回行われてよい。前記蒸熟回数条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。
【0074】
蒸熟は、蒸熟1回当り1.5時間~6時間、2時間以上、2時間~6時間、2時間~5.5時間、2時間~5時間、2時間~4.5時間、2時間~4時間、2時間~3.5時間、又は2時間~3時間行わってよい。前記時間条件で蒸熟を行う際に、有効成分であるジンセノサイドRk1、Rg5の含量が高くなり、健康に有害な物質が生成されないので、品質が最適化され得る。
【0075】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物において、前記黒参抽出物を熟成する段階は、80℃以上、82℃~95℃、84℃~93℃、86℃~91℃、又は88℃~90℃で行われてよい。前記温度条件で熟成する際に、ジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加する。
【0076】
黒参抽出物を熟成する段階は、3時間以上、3時間~48時間、3時間~44時間、3時間~40時間、3時間~36時間、3時間~32時間、3時間~28時間、又は3時間~24時間行われてよい。前記時間条件で熟成する際に、ジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加する。
【0077】
本出願の一具現例である黒参抽出物の製造方法に対して、本明細書で説明した内容は、前記黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物に適用され得、これらの間に共通する内容は、明細書の過度な複雑性を避けるために重複して説明されない。例えば、人参を蒸熟して黒参を製造する段階、製造された黒参を溶媒として抽出する段階、及び抽出された黒参抽出物を熟成する段階に関する内容は、ジンセノサイドの生体利用率の増大及び吸収促進用組成物に適用され得る。
【0078】
本出願の他の側面として、本出願は、ジンセノサイドRk1及びRg5を含む黒参抽出物を含み、前記ジンセノサイドRk1及びRg5の含量の合計は、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1、Rg3(s)、Rk1、Rg5及びRh1(s)の含量の合計100重量部に対して20重量部~90重量部で含まれる黒参抽出物を含む組成物を個体に投与する段階を含む黒参抽出物のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法を提供する。
【0079】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、前記黒参抽出物を9g投与する際に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、及びPPT(s)のAUC(Area under the plasma level-time curve)値は、500~1200ug・hr/mlであってよい。
【0080】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、黒参抽出物のジンセノサイドのTmaxは、5時間~10時間であってよい。
【0081】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、黒参抽出物は、酸性多糖体及びポリフェノールをさらに含んでよい。
【0082】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、黒参抽出物を含む組成物は、食品組成物、又は薬学組成物であってよい。
【0083】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、黒参抽出物は、人参を蒸熟して黒参を製造する段階;製造された黒参を溶媒として抽出する段階;及び抽出された黒参抽出物を熟成する段階;を含むジンセノサイドRk1及びRg5が強化された黒参抽出物の製造方法により製造されるものであってよい。
【0084】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、前記蒸熟は、70℃~120℃で3回~12回行われてよい。
【0085】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、前記蒸熟は、蒸熟1回当り2時間以上の条件で行われてよい。
【0086】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、前記黒参抽出物を熟成する段階は、80℃以上で行われてよい。
【0087】
本出願のジンセノサイドの生体利用率を増大させ、吸収を促進させる方法において、前記黒参抽出物を熟成する段階は、3時間以上行われてよい。
【発明の効果】
【0088】
本出願の黒参抽出物のジンセノサイドは、生体利用率が増大し、吸収速度が向上する効果があるので、健康機能食品及び薬学的組成物の有効成分として有用に用いられてよい。
【0089】
ただし、本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されなかったさらに他の効果は、下記の記載から本技術分野における通常の技術者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1a】黒参製造時の蒸熟時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図1b】黒参製造時の蒸熟時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図1c】黒参製造時の蒸熟時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図2a】黒参濃縮液の熟成温度、及び熟成時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図2b】黒参濃縮液の熟成温度、及び熟成時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図2c】黒参濃縮液の熟成温度、及び熟成時間によるジンセノサイドの変化量を示す図である。
【
図3】黒参濃縮液のジンセノサイドの生体利用率を測定するための臨床試験デザインの計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下、本発明を製造例及び実験例により詳細に説明する。
ただし、下記製造例、実験例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本出願の内容が下記製造例及び実験例により限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
製造例1.黒参の製造
1-1.紅参(黒参1蒸曝)の製造
4年根水参の根をスクリュー洗浄機(三角fmc、韓国)に入れ、土又は異物を除去するために3分間1回洗浄した。洗浄された水参の根を蒸熟器に入れた後、予熱時間を除いて98℃で水蒸気を用いて2時間1次蒸熟した。蒸熟器の温度を55℃に冷却させた後、蒸熟された水参の根を蒸熟器から取り出した。熱風乾燥器の内部温度を55℃に維持させた後、蒸熟された水参の根を入れて約18時間乾燥させた。乾燥させた紅参は、日乾場(自然光による乾燥施設)に移して一ヶ月以上乾燥させた。以上の過程により、紅参(1蒸曝)930kgを製造した。
【0093】
1-2.九蒸九曝黒参の製造
前記製造例1-1で製造された紅参930kgを、製造例1-1と同一の蒸熟、乾燥条件で蒸熟した。前述した蒸熟及び乾燥工程を繰り返し行い、繰り返しが行われる回数に応じて2蒸曝~9蒸曝と称した。蒸熟及び乾燥を繰り返すにつれて色が次第に黒色に近くなった。前記工程を介して九蒸九曝黒参853.8kgを製造した。下記製造例2の黒参抽出物又は製造例3の黒参濃縮液の製造時には、九蒸九曝黒参を原料として使用した。
【0094】
製造例2.黒参抽出物の製造
製造例1-1で製造された紅参、製造例1-2で製造された黒参284.6kgをそれぞれ取って粉砕した後、粉砕物重量に対して6倍に70%(v/v)エタノール水溶液を投入し、82℃で6時間1次抽出した。1次抽出の際に発生した抽出残渣物を、1次抽出と同一の条件で2次抽出した。2次抽出の際に発生した抽出残渣物重量に対して6倍に50%(v/v)エタノール水溶液を投入し、85℃で6時間3次抽出した。3次抽出の際に発生した抽出残渣物重量に対して6倍に30%(v/v)エタノール水溶液を投入し、90℃で6時間4次抽出した。4次抽出の際に発生した抽出残渣物重量に対して6倍の精製水を投入し、95℃で6時間5次抽出した。
【0095】
製造例3.黒参濃縮液の製造
製造例2で得た1次~4次紅参抽出物、1次~4次黒参抽出物をそれぞれ濾過して、抽出物と抽出残渣を分離した。各原料に対して分離した抽出物のみを濃縮器に入れ、55℃で減圧濃縮器で4時間濃縮した。70Brix%である紅参濃縮液231kgを得て、70Brix%である黒参濃縮液212kgを得た。得た紅参濃縮液、黒参濃縮液を、下記の成分分析及び生体利用率の増大及び吸収速度実験の試料として使用した。
【0096】
実験例1.蒸熟時間別の黒参濃縮液のジンセノサイド含量変化の確認
蒸熟時間を1時間、2時間、3時間に変更した以外には、製造例1-1の蒸熟条件と同様にして9蒸曝した。製造された紅参は、製造例2及び製造例3により抽出して濃縮した。ジンセノサイドの含量は、下記実験例3の方法と同様に測定した。
【0097】
蒸熟時間を1時間にすると、
図1aに示したように、9蒸曝してもジンセノサイドRk1、Rg5が存在しないと確認された。一方、蒸熟時間を2時間にすると、蒸熟時間を1時間にして製造された黒参濃縮液に比べてジンセノサイドRk1、Rg5の含量が顕著に高くなった(
図1b)。併せて、蒸熟時間を3時間にすると、蒸熟を2時間条件にする場合に比べてジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加した(
図1c)。
【0098】
実験例2.熟成温度又は熟成時間別の黒参濃縮液のジンセノサイド含量変化の確認
製造例3で得た黒参濃縮液を2mlバイアルに入れ、ウォーターバスで70℃、80℃、90℃でそれぞれ8時間熟成し、時間によるジンセノサイド含量変化を測定した。ジンセノサイドの含量は、実験例3の方法と同様に測定した。
【0099】
その結果、70℃で熟成すると、8時間熟成してもジンセノサイドの含量が増加されなかった(
図2a)。一方、80℃で熟成すると、時間の経過につれてジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加し、90℃でも80℃で熟成した場合と同様に、時間の経過につれてジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加した。
【0100】
また、
図2b~
図2cから分かるように、熟成時間に応じてジンセノサイドRk1、Rg5の含量が変化した。熟成を80℃以上の条件で3時間以上行った黒参濃縮液の場合、ジンセノサイドRk1、Rg5の含量が増加した。
【0101】
実験例3.黒参濃縮液のジンセノサイド成分の分析
製造例3で得た紅参濃縮液又は黒参濃縮液に存在するジンセノサイド成分の分析は、HPLCを用いて実施した。試料は、前記製造例3から得た黒参濃縮液をメタノールに1/30の割合で希釈した後、0.45umのフィルターで濾過した溶液を使用した。HPLCは、HPLC1260(DAD)(Agilent、USA)を使用した。コラムは、VENUSIL XBPC18(4.6MM×250MM、5.0um)を使用し、移動相は、LC級水をA溶媒に、アセトニトリルをB溶媒に使用した。コラム温度は、35℃に維持した。勾配条件は、0~3.8分間1ml/分の流速でB溶媒を30%に維持し、3.81分から4.5分間0.5ml/分の流速でB溶媒を30%に維持し、4.51分から6分間1.2ml/分の流速でB溶媒を30%から42%に増加させ、7.5分から13分間0.5ml/分の流速でB溶媒を42%に維持し、18分まで0.5ml/分の流速でB溶媒を47.4%に増加させ、18.1分から25分間1ml/分の流速でB溶媒を55%に増加させ、30分から32分まで1ml/分の流速でB溶媒を60%に増加させ、42分から50分まで1ml/分の流速でB溶媒を60%から90%に増加させ、50.1分から53分まで1ml/分の流速でB溶媒を30%に維持した。成分分析の結果を下記に示す(単位mg/g)。
【0102】
【0103】
黒参濃縮液のジンセノサイドを分析した結果、Rb1 0.832mg/g、Rf 1.157mg/g、Rg2(S) 1.008mg/g、Rg2(R) 0.265mg/g、Rh1(S) 0.941mg/g、Rh1(R) 0.416mg/g、Rg6 0.274mg/g、F4 0.777mg/g、Rk3 0.862mg/g、Rh4 1.714mg/g、Rg3(S) 4.122mg/g、Rg3(R) 1.184mg/g、Rk1 4.747mg/g、Rg5 4.539mg/gが存在することを確認した。
【0104】
黒参濃縮液と紅参濃縮液に含まれたジンセノサイドの含量を比較した時、Rk1、Rg5の場合、紅参濃縮液に比べてそれぞれ約40倍、約10倍増加した。
【0105】
実験例4.黒参濃縮液の酸性多糖体成分の分析
製造例3で得た紅参濃縮液、黒参濃縮液に存在する酸性多糖体成分の分析は、カルバゾール硫酸比色法を介して測定した。試料は、前記製造例3で得た各濃縮液300mgずつ10mlの蒸溜水に希釈して使用した。希釈液を90℃で3時間湯煎した後、冷却して遠心分離(3000rpm、10分)し、上澄液から1mlを取り、ここに4mlのエタノールを添加して白色沈殿物を形成した。白色沈殿物を得るために遠心分離(3000rpm、10分)した後、上澄液を除去し、4mlの蒸溜水を添加して白色沈殿物を溶解させた後、n-ブタノールとCHCl3を1:4で混合した溶液1mlを入れて撹拌し、再び遠心分離(3000rpm、10分)した。これから上澄液である水抽出液4mlを取り、ソニケーションを進行した。
【0106】
ソニケーションが完了した溶液20ulと蒸溜水80ul、0.1%カルバゾールエタノール試薬50ul(カルバゾール0.125g/無水エタノール100mlで製造)、硫酸600ulを2mlのチューブに入れて撹拌した後、96ウェルプレートに200ulずつ入れて530nmで吸光度を測定し、検量線を用いて含量を計算した。
【0107】
標準品の場合、ガラクツロン酸を蒸溜水に溶解させて1000、500、250、125mg/Lの濃度で調剤し、標準溶液20ul、蒸溜水80ul、0.1%カルバゾールエタノール試薬50ul(カルバゾール0.125g/無水エタノール100mlで製造)、硫酸600ulを2mlのチューブに入れて撹拌した後、96ウェルプレートに200ulずつ入れて530nmで吸光度を測定し、検量線を作製して濃度を測定した。下記に酸性多糖体の含量を示す(単位mg/g)。
【0108】
【0109】
表2に示したように、黒参濃縮液は、紅参濃縮液に比べて酸性多糖体を多量に含んだ。
【0110】
実験例5.黒参濃縮液のポリフェノール成分の分析
製造例3で得た紅参濃縮液、黒参濃縮液に存在するポリフェノールの含量を、Microplate Reader(Powerwave XS、BioTek、USA)を用いて測定した。炭酸ナトリウム(Sigma223484、CAS No.497-19-8)2gを100mlの定容フラスコに取った後、蒸溜水で100ml定容して2%炭酸ナトリウム試薬を製造する。フォリン-チオカルトー(Folin-Ciocalteu’s)フェノール試薬(SigmaF9252-1L)と蒸溜水を1:1の割合で混合し、50%フォリン-チオカルトーフェノール試薬を製造し、光が透過されないようにアルミニウムホイルで覆った。
【0111】
試験溶液は、製造例3で得た紅参濃縮液、黒参濃縮液を、それぞれ1:1の割合で蒸溜水で希釈して0.1mlずつ取り、0.1mlの50%フォリン-チオカルトーフェノール試薬を、2mlの2%炭酸ナトリウムを混合し30分暗所放置して750nmで吸光度を測定した。標準溶液は、没食子酸(Gallic acid、SigmaG7384、CAS No.149-91-7)0.4gを100mlの定容フラスコに取った後、蒸溜水で100ml定容して31.25ppm、62.5ppm、125ppm、250ppm及び500ppmの濃度別に希釈して標準溶液にした。標準溶液は、試験溶液と同様の方法で試薬を混合し、30分暗所放置した後、750nmで吸光度を測定した。
【0112】
吸光度の測定後、標準溶液の吸光度を横軸に、標準溶液の濃度を縦軸にして検量線を作成し、下記式1を使用して製造例3で得た紅参濃縮液、黒参濃縮液に対して、それぞれの総ポリフェノールの含量を求めた。
[式1]
総ポリフェノールの含量(mg/ml)=(A×B×C)/D
*A:試験溶液の全量(ml)、B:希釈倍数、C:試験溶液中の総ポリフェノールの濃度(mg/ml)、D:試料採取量(ml)
【0113】
下記にポリフェノールの含量を示す(単位mg/g)。
【表3】
表3に示したように、黒参濃縮液は、紅参濃縮液に比べてポリフェノールを多量に含んだ。
【0114】
実験例3~5の整理
製造例3で製造された黒参濃縮液は、ジンセノサイドRk1、Rg5、酸性多糖体、ポリフェノールの含量が、製造例3で製造された紅参濃縮液に比べて高く、これにより製造例3の黒参濃縮液を標準化黒参濃縮液と命名した。前記標準化黒参濃縮液をジンセノサイドの生体利用率の測定に使用した。
【0115】
実験例6.黒参濃縮液のジンセノサイドの生体利用率の測定
実験例6では、健康な男性志願者を対象にして、黒参濃縮液と紅参濃縮液とを単回経口投与した後、ジンセノサイド(ginsenoside)の薬動学的(生体利用率)特性を比較評価した。
【0116】
臨床試験デザインの計画は、無作為割り当て(randomization)、公開(open)、2元(two-way)、交差(crossover)試験の形態で進行した(
図3参照)。志願者に限り、第1期健康機能性食品の投薬予定日(1d)から3週以内(-21d~-1d)に、問診、身体検診及び臨床実験室検査などのスクリーニング検査を行って、臨床試験に適していると判断される試験対象者を選定した。選定された試験対象者は、2つの順序群のいずれか一つに無作為割り当てられ、-1d午後に臨床試験センターに入院するようにし、夕食後に飲み水を除いては断食するようにする。健康機能性食品の投薬日(1d)午前、割り当てられた順序群に基づいて黒参濃縮液又は紅参濃縮液を経口投与し、その後、定められた日程に従い臨床試験を行い、2d午前に退院した。休薬期は、最初投薬後の少なくとも14日であり、第2期の一日前である14d午後に再び入院して、夕食後に断食を維持し、15d午前に黒参濃縮液又は紅参濃縮液を投与された。その後、日程に従い臨床試験を行い、16d午前に退院した。
【0117】
黒参投与用量の設定の根拠は、以下のとおりである。ジンセノサイド(ginsenoside)は、食薬処から免疫力の増進、疲労の改善、血小板凝集の抑制による血行の改善、記憶力の改善及び抗酸化効果に役立つことができるという機能に対して承認された。このような5つの機能性内容が認められるためには、ジンセノサイド(ginsenoside)の指標物質であるジンセノサイド(ginsenoside)Rb1、Rg1及びRg3の合計の一日摂取量が3mg-80mgでなければならない。したがって、臨床試験では、ジンセノサイド(ginsenoside)の指標物質であるRb1、Rg1、及びRg3の合計が、黒参濃縮液(T)9g及び紅参濃縮液(R)9gでそれぞれ80mg未満であるので、当該容量(9g)を臨床試験の単回投与量として設定した。
【0118】
薬動学(生体利用率)の評価のための採血時点は、1d/15d投与前及び投与後、0、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、24hにした。サンプルの測定方法は、以下のとおりである。採血した血液から分離した血漿で、ジンセノサイド(ginsenoside)の主要成分(Rb1、S-Rg3、S-Rh2、S-PPD、Rg1、S-Rh1、Rg5、Rk1、S-PPT、Rd、Rb2、Rc、CK)の濃度をLC-MS/MSを用いて、それぞれのジンセノサイドの最高血中濃度(Cmax)と測定可能な最後採血時点までの血中濃度-時間曲線下面積(AUClast)とを分析した。
【0119】
6-1.黒参ジンセノサイド14種の生体利用率程度の評価
実験対象者2人で紅参濃縮液と黒参濃縮液とを2週間隔で摂取した後、ジンセノサイド(Ginsenoside)14種(Rb1、Rb2、Rc、Rd、Rg3(s)、Rk1、Rg5、CK、Rh2(s)、PPD(s)、Re、Rg1、Rh1(s)、PPT(s))に対して吸収率分析を行った。吸収率分析の結果、以下の表4に示したように、紅参濃縮液に対して黒参濃縮液の吸収率(AUC基準)は、ジンセノサイド(Ginsenoside)14種の合計は1.8倍、Rg3は15.7倍、Rh2は11.7倍にそれぞれ増大された。特に、紅参濃縮液摂取群で、Rk1は吸収が0であるのに対し、黒参濃縮液摂取群では、Rk1(AUC基準)は32ug・hr/mlの摂取率が測定された。全てのジンセノサイドを合わせた総吸収率で、紅参は456ug・hr/mlであり、黒参は770ug・hr/mlで、1.7倍増加した。また、吸収速度の側面で、紅参濃縮液は、総ジンセノサイド最高含量の到達時間が投与後の11時間(Tmax 11hr)であるのに対し、黒参濃縮液は、総ジンセノサイド最高含量の到達時間は投与後の8.5時間(Tmax 8.5hr)であるので、吸収速度も黒参濃縮液に優れた。
【0120】
【0121】
製造例4.食品の製造
4-1.小麦粉食品の製造
本発明の黒参抽出物0.5~5.0重量部を小麦粉に添加し、この混合物を用いてパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造した。
【0122】
4-2.スープ及び肉汁(gravies)の製造
本発明の黒参抽出物0.2~5.0重量部をスープ及び肉汁に添加して健康増進用肉加工製品、麺類のスープ及び肉汁を製造した。
【0123】
4-3.グラウンドビーフ(ground beef)の製造
本発明の黒参抽出物10重量部をグラウンドビーフに添加して健康増進用グラウンドビーフを製造した。
【0124】
4-4.乳製品(dairy products)の製造
本発明の黒参抽出物5~10重量部を牛乳に添加し、前記牛乳を用いてバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0125】
4-5.禅食の製造
玄米、麦、もち米、鳩麦を公知の方法でアルファ化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0126】
黒豆、黒ごま、えごまも公知の方法で蒸して乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0127】
本発明の黒参抽出物を真空濃縮器で減圧濃縮し、噴霧、熱風乾燥器で乾燥して得た乾燥物を、粉砕機で粒度60メッシュに粉砕して乾燥粉末を得た。
【0128】
前記で製造した穀物類、種実類及び本発明の黒参抽出物を、次の割合で配合して製造した。
【0129】
穀物類(玄米30重量部、鳩麦15重量部、麦20重量部)、種実類(えごま7重量部、黒豆8重量部、黒ごま7重量部)、本発明の黒参抽出物(3重量部)、霊芝(0.5重量部)、地黄(0.5重量部)
【0130】
4-6.健康飲料の製造
液状果糖(0.5%)、オリゴ糖(2%)、砂糖(2%)、食塩(0.5%)、水(75%)のような副材料と、本発明の黒参抽出物5gとを均質に配合して瞬間殺菌した後、これをガラス瓶、ペット瓶などの小包装容器に包装して製造した。
【0131】
4-7.野菜ジュースの製造
本発明の黒参抽出物5gを、トマト又はニンジンジュース1,000mlに加えて野菜ジュースを製造した。
【0132】
4-8.果物ジュースの製造
本発明の黒参抽出物1gを、リンゴ又はブドウジュース1,000mlに加えて果物ジュースを製造した。
【0133】
製造例5.薬学的組成物の製造
5-1.散剤の製造
本発明の黒参抽出物2g
乳糖1g
前記成分を混合し、気密包に充填して散剤を製造した。
【0134】
5-2.錠剤の製造
本発明の黒参抽出物100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
前記成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法により打錠して錠剤を製造した。
【0135】
5-3.カプセル剤の製造
本発明の黒参抽出物100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
前記成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によりゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0136】
5-4.丸薬の製造
本発明の黒参抽出物1g
乳糖1.5g
グリセリン1g
キシリトール0.5g
前記成分を混合した後、通常の方法により1丸当り4gになるように製造した。
【0137】
5-5.顆粒の製造
本発明の黒参抽出物150mg
大豆抽出物50mg
ブドウ糖200mg
澱粉600mg
前記成分を混合した後、30%エタノール100mgを添加し、摂氏60℃で乾燥して顆粒を形成した後、包に充填した。