(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】積み重ねられたプレートの4パスクラッチを有するトルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
F16H 45/02 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
F16H45/02 X
F16H45/02 Y
(21)【出願番号】P 2021573552
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020035762
(87)【国際公開番号】W WO2020251808
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カイル ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ノーウィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン パーシンガー
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0353235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータであって、
トルクを受容するように配設されたカバーと、
前記カバーに固定されたインペラシェルおよび前記インペラシェルに固定された少なくとも1つのインペラブレードを含むインペラと、
タービンシェルおよび前記タービンシェルに固定された少なくとも1つのタービンブレードを含むタービンと、
前記インペラシェルと前記タービンシェルの間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレードを含むステータと、
ロックアップクラッチであって、
前記カバーに回転不可能に接続されたピストンプレートと、
ダムプレートと、
軸線方向において前記カバーと前記ダムプレートとの間
に配置されたセンタリングプレートと、
前記カバーおよび前記ピストンプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャンバと、
前記ピストンプレートおよび前記ダムプレートによって少なくとも部分的に境界された第2のチャンバと、
前記第1のチャンバに接続され、かつ前記カバーおよび前記センタリングプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャネルと、
前記第2のチャンバに接続され、かつ前記センタリングプレート
の半径方向最内部分および前記ダムプレート
の半径方向最内部分によって
半径方向最内端部が形成された第2のチャネルと、を含む、ロックアップクラッチと、を備える、トルクコンバータ。
【請求項2】
ねじり振動ダンパであって、
入力プレートと、
トランスミッションの入力シャフトに回転不可能に接続されるように配設された出力フランジと、
前記入力プレートおよび前記出力フランジと係合された少なくとも1つのばねであって、前記第1のチャネルが、前記第1のチャンバに加圧流体を転送して、前記ピストンプレートを軸線方向に変位させて、前記ピストンプレートおよび前記ねじり振動ダンパの前記入力プレートを回転不可能に接続するように配設されている、少なくとも1つのばねと、を含む、ねじり振動ダンパをさらに備える、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記センタリングプレートが、第1の面であって、前記第1の面の少なくとも一部分が第1の軸線方向に面している、第1の面と、第2の面であって、前記第2の面の少なくとも一部分が前記第1の軸線方向とは逆の第2の軸線方向に面している、第2の面と、を含み、
前記第1の軸線方向が、前記少なくとも1つのインペラブレードから前記少なくとも1つのタービンブレードに向かうものであり、
前記第2のチャネルのいかなる部分も、前記センタリングプレートの前記第1の面によって境界されておらず、前記第1のチャネルのいかなる部分も、前記センタリングプレートの前記第2の面によって境界されていない、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記第1のチャネルの一部分および前記第2のチャネルの一部分が、円周方向に逐次的に整列されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記第1のチャネルが、半径方向最内端部と、半径方向最外端部と、を含み、
前記第2のチャネルが、
前記半径方向最内端部と、半径方向最外端部と、を含み、
前記第1の
チャネルの前記半径方向最内端部が、前記カバーと前記第2の
チャネルの前記半径方向最内端部との間に軸線方向に配置され、
前記第1のチャネルの前記半径方向最外端部が、前記カバーと前記第2のチャネルの前記半径方向最外端部との間に軸線方向に配置されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
前記センタリングプレートが、前記センタリングプレートの壁から軸線方向に延在している第1の突出部と、前記センタリングプレートの前記壁から前記軸線方向に延在している第2の突出部と、を含み、
前記第1のチャネルが、前記第1の突出部と前記第2の突出部との間を通っている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記カバーが、前記第1の突出部および前記第2の突出部に固定して接続されているか、または
前記第1の突出部および前記第2の突出部が、円周方向に逐次的に整列されているか、又は
前記第1の突出部および前記第2の突出部が、前記カバーに封着されている、請求項6に記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
前記センタリングプレートが、前記センタリングプレートの壁から軸線方向に延在しているくぼみと、前記くぼみに開口しているスロットと、を含み、
前記第2のチャネルが、前記スロットを通っている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
前記センタリングプレートが、前記センタリングプレートの壁から軸線方向に延在している複数のくぼみを含み、
前記センタリングプレートが、前記複数のくぼみの各くぼみに開口しているそれぞれのスロットを含み、
前記少なくとも1つの第2のチャネルが、複数の第2のチャネルを含み、それぞれの第2のチャネルが、前記それぞれのスロットを通り、
前記壁が、前記それぞれのスロットの間でダムプレートに円周方向に封着されている、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
前記ダムプレートが、前記トルクコンバータの回転軸が通る前記ダムプレートの中央開口部を除いて、前記ダムプレートを通る貫通孔を含まず、
前記センタリングプレートが、前記トルクコンバータの回転軸が通る前記センタリングプレートの中央開口部を除いて、前記センタリングプレートを通る貫通孔を含まない、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積み重ねられたプレートがロックアップクラッチのチャンバの少なくとも一部分と、該チャンバに、かつ該チャンバから転送するためのチャネルの少なくとも一部分と、を形成する、4パストルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の4パストルクコンバータは、時として軸線方向に重複する穿設された通路を有するモノリシックハブを使用して、ロックアップクラッチのチャンバに、かつ該チャンバから流体を転送する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に示される態様によれば、トルクコンバータが提供され、該トルクコンバータは、トルクを受容するように配設されたカバーと、カバーに固定されたインペラシェルおよびインペラシェルに固定された少なくとも1つのインペラブレードを含むインペラと、タービンシェルおよびタービンシェルに固定された少なくとも1つのタービンブレードを含むタービンと、インペラシェルとタービンシェルの間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレードを含むステータと、ロックアップクラッチと、を含む。ロックアップクラッチは、カバーに回転不可能に接続されたピストンプレートと、ダムプレートと、カバーとダムプレートとの間に軸線方向に配置されたセンタリングプレートと、カバーおよびピストンプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャンバと、ピストンプレートおよびダムプレートによって少なくとも部分的に境界された第2のチャンバと、第1のチャンバに接続され、かつカバーおよびセンタリングプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャネルと、第2のチャンバに接続され、かつセンタリングプレートおよびダムプレートによって少なくとも部分的に境界された少なくとも1つの第2のチャネルと、を含む。
【0004】
本明細書に示される態様によれば、トルクコンバータのためのロックアップクラッチを動作させる方法が提供される。トルクコンバータは、カバーと、カバーに固定されたインペラシェルおよびインペラシェルに固定された少なくとも1つのインペラブレードを含むインペラと、タービンシェルおよびタービンシェルに固定された少なくとも1つのタービンブレードを含むタービンと、インペラシェルとタービンシェルとの間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレードを含むステータと、トランスミッションの入力シャフトに回転不可能に接続されるように配設された構成要素と、を含む。本方法は、カバーでトルクを受容することと、カバーおよびカバーに回転不可能に接続されたセンタリングプレートの第1の面によって少なくとも部分的に境界された第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送することであって、第1の面が、第1の軸線方向に面している、転送することと、カバーおよびトルクコンバータのロックアップクラッチのピストンプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャンバに第1の加圧流体を転送することと、第2のチャネルを通して、センタリングプレートの第2の面とセンタリングプレートに回転不可能に接続されたダムプレートとの間に半径方向外向きに第2の加圧流体を転送することであって、第2の面が、第1の軸線方向とは逆の第2の軸線方向に面している、転送することと、ピストンプレートおよびダムプレートによって少なくとも部分的に境界された第2のチャンバに第2の加圧流体を転送することと、第1の加圧流体によって、ピストンプレートを第2の軸線方向に変位させることと、ピストンプレートを構成要素に回転不可能に接続することと、を含む。
【0005】
本明細書に示される態様によれば、トルクコンバータが提供され、該トルクコンバータは、トルクを受容するように配設されたカバーと、カバーに固定されたインペラシェルおよびインペラシェルに固定された少なくとも1つのインペラブレードを含むインペラと、タービンシェルおよびタービンシェルに固定された少なくとも1つのタービンブレードを含むタービンと、インペラシェルとタービンシェルの間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレードを含むステータと、トランスミッションの入力シャフトに回転不可能に接続されるように配設され、かつ入力プレートを含むねじり振動ダンパと、ロックアップクラッチと、を含む。ロックアップクラッチは、カバーに回転不可能に接続されたピストンプレートと、トルクコンバータの回転軸が通るダムプレートの中央開口部を除いて、ダムプレートを通る貫通孔を含まないダムプレートと、カバーとダムプレートとの間に軸線方向に配置され、トルクコンバータの回転軸が通るセンタリングプレートの中央開口部を除いて、センタリングプレートを通る貫通孔を含まないセンタリングプレートと、カバーおよびピストンプレートによって少なくとも部分的に境界される第1のチャンバと、ピストンプレートおよびダムプレートによって少なくとも部分的に境界された第2のチャンバと、第1のチャンバに接続され、かつカバーおよびセンタリングプレートの第1の面によって少なくとも部分的に境界された第1のチャネルと、第2のチャンバに接続され、かつダムプレートおよびセンタリングプレートの第2の面によって少なくとも部分的に境界された第2のチャネルと、を含む。第1のチャネルは、第1のチャンバに第1の加圧流体を転送して、ピストンプレートを軸線方向に変位させて、ピストンプレートおよびねじり振動ダンパの入力プレートを回転不可能に接続するように配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
様々な実施形態を、添付の概略図を参照しながら、単なる例として開示し、対応する参照シンボルは、対応する部分を示す。
【
図1】積み重ねられたプレートの4パスクラッチを有するトルクコンバータの正面図である。
【
図4】カバーを取り外した、
図1に示されるトルクコンバータの正面図である。
【
図5】
図1に示されるトルクコンバータのセンタリングプレート、ピストンプレート、弾性要素、クラッチプレート、およびカバーの背面図である。
【
図7】
図1に示されるトルクコンバータのダムプレート、クラッチプレート、ピストンプレート、およびカバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、異なる図面に現れる同様の図面番号は、本開示と同一の、または機能的に類似した構造要素を特定することを理解されたい。特許請求される本開示は、開示される態様に限定されないことを理解されたい。
【0008】
さらに、本発明は、記載されている特定の方法論、材料、および修正例に限定されるものではなく、したがって、当然ながら、異なる可能性があることを理解されたい。また、本明細書において使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0009】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で説明するものと同様または同等である任意の方法、装置、または材料は、本開示の実践または試験に使用することができることを理解されたい。
【0010】
図1は、積み重ねられたプレートの4パスクラッチを有するトルクコンバータ100の正面図である。
【0011】
【0012】
図3は、
図1の線3-3に沿った断面図である。以下は、
図1~
図3に照らして考察されるべきである。積層プレート4パスクラッチ100は、ロックアップクラッチ102と、トルクを受容するように配設されたカバー104と、インペラ106と、タービン108と、ステータ110と、構成要素112と、を含む。インペラ106は、カバー104に固定されたインペラシェル114と、インペラシェル114に固定された少なくとも1つのインペラブレード116と、を含む。タービン108は、タービンシェル118に固定されたタービンシェル118と、少なくとも1つのタービンブレード120と、を含む。ステータ110は、インペラシェル114とタービンシェル118との間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレード122を含む。構成要素112は、トランスミッション(図示せず)の入力シャフト(図示せず)に回転不可能に接続されるように配設されている。例示的な一実施形態では、構成要素112は、ねじり振動ダンパである。
【0013】
ロックアップクラッチ102は、カバー104に回転不可能に接続されたピストンプレート124と、ダムプレート126と、カバー104とダムプレート126との間に軸線方向に配置されたセンタリングプレート128と、カバー104およびピストンプレート124によって少なくとも部分的に境界されたチャンバ130と、ピストンプレート124およびダムプレート126によって少なくとも部分的に境界されたチャンバ132と、チャンバ130に接続され、かつカバー104およびセンタリングプレート128によって少なくとも部分的に境界されたチャネル134と、チャンバ132に接続され、かつセンタリングプレート128およびダムプレート126によって少なくとも部分的に境界されたチャネル136と、を含む。
【0014】
「回転不可能に接続された」構成要素とは、構成要素の1つが回転するときには常にすべての構成要素が回転するように構成要素が接続されること、および構成要素間の相対回転が除外されることを意味する。互いに対して回転不可能に接続された構成要素の半径方向および/または軸方向の移動が可能である。タブ、歯車、歯、またはスプラインによって接続された構成要素は、接続に固有のラッシュが起こり得るとしても、回転不可能に接続されているものとみなされる。閉じたクラッチの入力要素および出力要素は、クラッチに固有のスリップが起こり得るとしても、回転不可能に接続されているものとみなされる。振動ダンパのばねと係合した、振動ダンパの入力および出力部品は、ばねの圧縮および巻き戻しのため、回転不可能に接続されているとみなされない。
【0015】
例示的な一実施形態では、ねじり振動ダンパ112は、入力プレート138と、入力シャフトに回転不可能に接続するように配設された出力フランジ140と、入力プレート138および出力フランジ140と係合された少なくとも1つのばね142と、ばね142と係合され、かつ、例えばリベットRによって、入力プレート138に回転不可能に接続されたカバープレート144と、を含む。例示的な一実施形態では、クラッチ102は、入力プレート138に回転不可能に接続されたクラッチプレート146と、カバー104に固定されたリアクションプレート147と、を含む。チャネル134は、トルクコンバータ100のロックアップモードのために、加圧流体PF1をチャンバ130に転送して、ピストンプレート124を軸線方向に変位させて、ピストンプレート124、入力プレート138、クラッチプレート146、およびリアクションプレート147を回転不可能に接続するように配設されている。
【0016】
図1の実施例では、トルクコンバータ100は、ピストンプレート124をカバー104に接続する板ばね148と、弾性要素149、例えばベルビルワッシャと、を含む。弾性要素149は、ダムプレート126およびピストンプレート124と接触して、ピストンプレート124を力Fで軸線方向AD1に付勢する。板ばね148は、カバー104に回転可能に固定したままにしながら、ピストンプレート124を、カバー104に対して軸線方向に変位させることを可能にする。したがって、ロックアップモードの場合、流体PF1は、力Fに打ち勝って、ピストンプレート124を、軸線方向AD1とは逆の方向AD2に変位させる。トルクコンバータ100のトルクコンバータモードの場合、流体PF1は、チャンバ130から排出されるか、またはチャンバ130で減圧され、それにより、力Fは、ピストンプレート124を方向AD1に変位させて、クラッチプレート146からピストンプレート124を係合解除することが可能である。例示的な一実施形態(図示せず)では、トルクコンバータ100は、弾性要素149を含まない。
【0017】
センタリングプレート128は、少なくとも一部分が軸線方向AD1に面している面150と、少なくとも一部分が軸線方向AD2に面している面152と、を含む。チャネル136のいかなる部分も面150によって境界されておらず、チャネル134のいかなる部分も面152によって境界されていない。
【0018】
図4は、カバー104を取り外した、
図1に示されるトルクコンバータ100の正面図である。
【0019】
図5は、
図1に示されるトルクコンバータ100のセンタリングプレート128、ピストンプレート124、弾性要素149、クラッチプレート146、およびカバー104の背面図である。
【0020】
【0021】
図7は、
図1に示されるトルクコンバータ100のダムプレート126、クラッチプレート146、ピストンプレート124、およびカバー104の背面図である。以下は、
図1~
図7に照らして考察されるべきである。センタリングプレート128は、面150から軸線方向AD1に延在している突出部154を含む。
図1の実施例では、プレート128は、3つの突出部154を含む。
図4では、方向AD1に最も遠くまで延在している突出部154の一部分を形成している突出部154の壁156が、視点を明確にするために点描されている。各チャネル134は、2つのそれぞれの円周方向に隣接する突出部154の間を通る。
【0022】
図5および
図6を参照すると、センタリングプレート128は、突出部154によって形成されたくぼみ158を含む。例えば、壁156は、くぼみ158の一部分を境界する。くぼみ158は、面152から方向AD1に延在する。面152は、明確に提示するのを補助するために、
図5および
図6では点描されている。センタリングプレート128は、それぞれのくぼみ158と流体連通するスロット160を含む。スロット160は、くぼみ158の端部162と、チャンバ132の端部164と、を含む。突出部154およびスロット160は、円周方向CD1に交互配置される。すなわち、突出部154およびスロット160は、方向CD1に逐次的に整列されている。
【0023】
例示的な一実施形態では、チャネル134および136のそれぞれの一部分は、円周方向CD1に逐次的に整列されている。例えば、チャネル134および136は、方向CD1に交互配置され、円Cは、トルクコンバータ100の回転軸ARを中心として、チャネル134および136を通る。
【0024】
センタリングプレート128は、カバー104に固定される。例示的な一実施形態では、溶接部166は、プレート128、例えば突出部154をカバー104に、およびシール壁156をカバー104に固定して接続する。例えば、各溶接部166は、壁156またはその周りに連続した線を形成する。センタリングプレート128、例えば壁152は、ダムプレート126に固定して接続されている。例示的な一実施形態では、溶接部168は、センタリングプレート128をダムプレート126に固定し、面152をダムプレート126に封着する。例えば、溶接部168は、面152の一部分をスロット160の間で円周方向に封着する。
図6では、溶接部168は、面152と対比するために点描されている。
【0025】
例示的な一実施形態では、クラッチプレート146は、クラッチプレート146を入力プレート138およびカバープレート144と回転不可能に接続するために、入力プレート138のタブ172と交互配置されたタブ170を含む。
【0026】
ダムプレート126の半径方向最内部分174は、トランスミッションの入力シャフトに対して封着するように配設されている。センタリングプレート128の半径方向最内部分176は、入力シャフトに対して封着するように配設されている。チャネル136の半径方向最内端部178は、部分174と176との間にある。チャネル134の半径方向最内端部180は、カバー104と部分176との間にある。半径方向最内端部180は、カバー104と半径方向最内端部178との間に軸線方向に配置されている。チャネル134は、チャンバ130に半径方向最外端部182を含み、チャネル136は、チャンバ132に半径方向最外端部184を含む。例示的な一実施形態では、端部182は、カバー104と端部184との間に軸線方向に配置されている。
【0027】
例示的な一実施形態では、ダムプレート126は、回転軸ARが通るダムプレート126の中央開口部186を除いて、ダムプレート126を通る孔を含まず、ダムプレート126を形成する材料M1によって全体的に取り囲まれている。例えば、ダムプレート126は、部分174から半径方向外向きに連続した完全な表面である。例示的な一実施形態では、センタリングプレート128は、回転軸ARが通るセンタリングプレート128の中央開口部188を除いて、センタリングプレート128を通る孔を含まず、センタリングプレート128を形成する材料M2によって全体的に取り囲まれている。例えば、センタリングプレート128は、部分176から半径方向外向きに連続した完全な表面である。
【0028】
例示的な一実施形態では、加圧流体PF2は、チャンバ132に転送されて、トルクコンバータ100を動的にバランスさせ、具体的には、チャンバ130の流体PF1を動的にバランスさせる。
【0029】
チャネル134および136の形態は、トルクコンバータ100の別個の流体回路を形成する。加圧流体PF1およびPF2は、入力シャフトのそれぞれの別個のチャネルを通して、チャネル134および136に転送される。
図1の実施例では、トルクコンバータ100は、4パスまたは4流体回路のトルクコンバータであり、加圧流体PF3およびPF4が、入力シャフトのそれぞれの別個のチャネルを通してチャンバ190およびトーラス192に転送される。チャンバ190は、カバー104、ダムプレート126、およびタービンシェル118によって少なくとも部分的に境界されている。
【0030】
ピストンプレート124は、センタリングプレート128の半径方向外側部分194に載置され、センタリングプレート128によって半径方向にセンタリングされている。例示的な一実施形態では、シールS1およびS2は、それぞれ、ピストン124を、カバー104に固定されたセンタリングプレート128および保持プレート196に対して封着する。シールS1およびS2は、チャンバ132および190からチャンバ130を液圧隔離している。例示的な一実施形態では、シールS3は、ダムプレート126をピストンプレート124に対して封着し、チャンバ190からチャンバ132を油圧的に隔離している。シールS1、S2、およびS3は、チャンバ130および132の液圧隔離を維持しながら、ピストンプレート124の軸線方向変位を可能にする。
【0031】
以下は、
図1~
図7に照らして考察されるべきである。以下は、トルクコンバータのロックアップクラッチを動作させる方法を説明する。トルクコンバータは、カバーと、カバーに固定されたインペラシェルおよびインペラシェルに固定された少なくとも1つのインペラブレードを含むインペラと、タービンシェルおよびタービンシェルに固定された少なくとも1つのタービンブレードを含むタービンと、インペラシェルとタービンシェルとの間に軸線方向に配置された少なくとも1つのステータブレードを含むステータと、トランスミッションの入力シャフトに回転不可能に接続されるように配設されたねじり振動ダンパと、を含む。第1のステップは、カバーでトルクを受容する。第2のステップは、カバーおよびカバーに回転不可能に接続されたセンタリングプレートの第1の面によって少なくとも部分的に境界された第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送し、第1の面は、第1の軸に面している。第3のステップは、カバーおよびトルクコンバータのロックアップクラッチのピストンプレートによって少なくとも部分的に境界された第1のチャンバに第1の加圧流体を転送する。第4のステップは、第2のチャネルを通して、センタリングプレートの第2の面とセンタリングプレートに回転不可能に接続されたダムプレートとの間に半径方向外向きに第2の加圧流体を転送し、第2の面は、第1の軸線方向とは逆の第2の軸線方向に面している。第5のステップは、ピストンプレートおよびダムプレートによって少なくとも部分的に境界された第2のチャンバに第2の加圧流体を転送する。第6のステップは、第1の加圧流体によって、ピストンプレートを第2の軸線方向に変位させる。第7のステップは、ピストンプレートをねじり振動ダンパの入力プレートに回転不可能に接続する。
【0032】
第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送することは、ダムプレートを通る貫通孔を通して、またはセンタリングプレートを通る貫通孔を通して、第1のチャンバに第1の加圧流体を転送することを妨げることを含む。
【0033】
第2のチャネルを通して半径方向外向きに第2の加圧流体を転送することは、ダムプレートを通る貫通孔を通して、またはセンタリングプレートを通る貫通孔を通して、第2のチャンバに第2の加圧流体を転送することを妨げることを含む。
【0034】
第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送することは、カバーと第2のチャネルの半径方向最内端部との間に軸線方向に配置された第1のチャネルの半径方向最内端部を通して第1の加圧流体を転送することを含む。第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送することは、第1のチャンバの第1のチャネルの端部を通して、かつカバーと第2のチャンバの第2のチャネルの端部との間に軸線方向に配置された、第1の加圧流体を転送することを含む。
【0035】
第1のチャネルを通して半径方向外向きに第1の加圧流体を転送することは、第2のチャネルと整列された第1のチャネルのセグメントを通して逐次的に円周方向に第1の加圧流体を転送することを含む。
【0036】
様々な上で開示したならびに他の特徴および機能、またはこれらの代替例は、望ましくは他の多くの異なるシステムまたは用途に組み合わせられ得ることが認識されるであろう。以下の特許請求の範囲によって包含されることも意図する、現時点では予見または予期されていない様々な代替例、修正例、変更例、またはその改善が、後に当業者によって行われ得る。
【符号の説明】
【0037】
AD1 軸線方向
AD2 軸線方向
C 円
CD1 円周方向
F 力
M1 材料
M2 材料
PF1 加圧流体
PF2 加圧流体
PF3 加圧流体
PF4 加圧流体
R リベット
S1 シール
S2 シール
S3 シール
100 トルクコンバータ
102 ロックアップクラッチ
104 カバー
106 インペラ
108 タービン
110 ステータ
112 構成要素
114 インペラシェル
116 インペラブレード
118 タービンシェル
120 タービンブレード
122 ステータブレード
124 ピストンプレート
126 ダムプレート
128 センタリングプレート
130 チャンバ
132 チャンバ
134 チャネル
136 チャネル
138 入力プレート、ダンパ
140 出力フランジ、ダンパ
142 ばね、ダンパ
144 カバープレート、ダンパ
146 クラッチプレート
147 リアクションプレート
148 板ばね
149 弾性要素
150 面、センタリングプレート
152 面、センタリングプレート
154 突出部、センタリングプレート
156 壁、突出部
158 くぼみ
160 スロット
162 端部、スロット
164 端部、スロット
166 溶接部
168 溶接部
170 タブ、クラッチプレート
172 タブ、入力プレート
174 一部分、ダムプレート
176 一部分、センタリングプレート
178 半径方向最内端部、チャネル136
180 半径方向最内端部、チャネル134
182 端部、チャネル134
184 端部、チャネル136
186 中央開口部、ダムプレート
188 中央開口部、センタリングプレート
190 チャンバ
192 トーラス
194 半径方向外側部分、センタリングプレート
196 保持プレート