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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/53 20100101AFI20230417BHJP
   G01S 19/14 20100101ALI20230417BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20230417BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20230417BHJP
   G01C 21/28 20060101ALN20230417BHJP
【FI】
G01S19/53
G01S19/14
A61B5/11 200
G01C21/26 P
G01C21/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022174684
(22)【出願日】2022-10-31
【審査請求日】2023-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
(72)【発明者】
【氏名】木下 淳之
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142637(JP,A)
【文献】特開2016-197093(JP,A)
【文献】特開2021-004754(JP,A)
【文献】特開2012-198068(JP,A)
【文献】特開2015-127674(JP,A)
【文献】特開2014-202617(JP,A)
【文献】特開2003-177033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00 -19/55
A61B 5/11
G01C 21/26
G01C 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着又は携帯している装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定する特定部と、
前記ユーザが所定の基準点を向いた際の前記装置を基準とした向きである第2向きを検出する検出部と、
前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正する補正部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記装置の位置から、予め設けられた物体の位置である前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部が前記第2向きを検出する際に前記ユーザが位置すべき所定の位置と、前記検出部が前記第2向きを検出するために用いる前記物体を示す情報と、を前記ユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記ユーザが利用する情報端末の表示部に前記物体の位置を示す地図を表示させる、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記装置の位置から、前記ユーザが利用する情報端末において前記ユーザによって指定された前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記装置の位置から、前記少なくとも2つの測位部とは異なる測位部によって測位された位置である前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの測位部とは異なる前記測位部は、前記装置とは異なる他装置に含まれており、
前記他装置を装着又は携帯している前記ユーザとは異なる他ユーザを示す情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検出部が前記第2向きを検出するための複数の検出処理の中から、前記装置の位置又は前記特定部が特定した前記第1向きに基づいて、いずれかの検出処理を選択する選択部をさらに有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記装置の位置と前記基準点の位置との関係に基づいて前記複数の検出処理の中から前記検出処理を選択する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
所定期間における前記第1向きの変化量又は前記少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された高さの変化量が閾値を超えたことを条件として、前記検出部による前記第2向きの検出を行うことを提案する情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つの測位部のうち少なくとも1つの測位部が測位する位置の測位品質が閾値以下になったことを条件として、前記検出部による前記第2向きの検出を行うことを提案する情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
所定期間内に前記検出部による前記第2向きの検出が行われた回数が閾値を超えたことを条件として、前記装置の位置を示す情報を前記装置に関連付けられた管理者に通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
プロセッサが実行する、
ユーザが装着又は携帯している装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定するステップと、
前記ユーザが所定の基準点を向いた際の前記装置を基準とした向きである第2向きを検出するステップと、
前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項14】
ユーザが装着又は携帯する装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定する特定部と、
前記ユーザが移動した向き又は前記ユーザが前記ユーザによって保持された情報端末を向けている向きである第2向きを検出する検出部と、
前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正する補正部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項15】
前記検出部は、第1時点の前記装置の位置から、前記第1時点より後の第2時点の前記装置の位置へ向かう向きを、前記第2向きとして検出する、
請求項14に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが装着又は携帯している装置によって向きを特定するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの左右又は前後に設けられた一対の測位装置が測位した一対の測位データが示す位置において、一方の位置から他方の位置への方向を算出し、算出した方向に基づいてユーザの向きを特定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-4754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、ユーザが測位装置を正しく装着しなかったり、ユーザの体の動きにより測位装置がずれたりした場合に、測位装置が測位した位置に基づいて向きを特定する精度が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが装着又は携帯している装置によって測位された位置に基づいて特定される向きをユーザが向いている向きに近付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、ユーザが装着又は携帯している装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定する特定部と、前記ユーザが所定の基準点を向いた際の前記装置を基準とした向きである第2向きを検出する検出部と、前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正する補正部と、を有する。
【0007】
前記検出部は、前記装置の位置から、予め設けられた物体の位置である前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記検出部が前記第2向きを検出する際に前記ユーザが位置すべき所定の位置と、前記検出部が前記第2向きを検出するために用いる前記物体を示す情報と、を前記ユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
【0009】
前記通知部は、前記ユーザが利用する情報端末の表示部に前記物体の位置を示す地図を表示させてもよい。
【0010】
前記検出部は、前記装置の位置から、前記ユーザが利用する情報端末において前記ユーザによって指定された前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出してもよい。
【0011】
前記検出部は、前記装置の位置から、前記少なくとも2つの測位部とは異なる測位部によって測位された位置である前記基準点へ向かう向きを、前記第2向きとして検出してもよい。
【0012】
前記少なくとも2つの測位部とは異なる前記測位部は、前記装置とは異なる他装置に含まれており、前記情報処理装置は、前記他装置を装着又は携帯している前記ユーザとは異なる他ユーザを示す情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、前記検出部が前記第2向きを検出するための複数の検出処理の中から、前記装置の位置又は前記特定部が特定した前記第1向きに基づいて、いずれかの検出処理を選択する選択部をさらに有してもよい。
【0014】
前記選択部は、前記装置の位置と前記基準点の位置との関係に基づいて前記複数の検出処理の中から前記検出処理を選択してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、所定期間における前記第1向きの変化量又は前記少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された高さの変化量が閾値を超えたことを条件として、前記検出部による前記第2向きの検出を行うことを提案する情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
【0016】
前記情報処理装置は、前記少なくとも2つの測位部のうち少なくとも1つの測位部が測位する位置の測位品質が閾値以下になったことを条件として、前記検出部による前記第2向きの検出を行うことを提案する情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
【0017】
前記情報処理装置は、所定期間内に前記検出部による前記第2向きの検出が行われた回数が閾値を超えたことを条件として、前記装置の位置を示す情報を前記装置に関連付けられた管理者に通知する通知部をさらに有してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、ユーザが装着又は携帯している装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定するステップと、前記ユーザが所定の基準点を向いた際の前記装置を基準とした向きである第2向きを検出するステップと、前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第3の態様の情報処理装置は、ユーザが装着又は携帯する装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、前記装置を基準とした向きである第1向きを特定する特定部と、前記ユーザが移動した向き又は前記ユーザが前記ユーザによって保持された情報端末を向けている向きである第2向きを検出する検出部と、前記第1向きと前記第2向きとの差を用いて、前記第1向きを補正する補正部と、を有する。
【0020】
前記検出部は、第1時点の前記装置の位置から、前記第1時点より後の第2時点の前記装置の位置へ向かう向きを、前記第2向きとして検出してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザが装着又は携帯している装置によって測位された位置に基づいて特定される向きをユーザが向いている向きに近付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
図2】本実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図3】測位装置の構成を説明するための模式図である。
図4】特定部が第1向きを特定する方法を説明するための模式図である。
図5】例示的な通知情報を表示している情報端末の模式図である。
図6】第1検出処理を説明するための模式図である。
図7】第2検出処理を説明するための模式図である。
図8】本実施形態に係る情報端末が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。
図9】本変形例に係る情報処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報端末1と、測位装置2と、を含む。情報処理システムSは、その他の端末、サーバ、装置等を含んでもよい。
【0024】
情報端末1は、ユーザが使用する情報処理装置である。ユーザは、例えば、測位装置2を装着又は携帯している人である。情報端末1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。
【0025】
情報端末1は、例えば、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。情報端末1は、測位装置2が測定した測位データに基づいてユーザの向きを特定し、特定した向きに基づいて所定の情報を表示部上に表示する。
【0026】
測位装置2は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して位置を測位(測定)するための装置である。測位装置2は、GNSSを利用するための少なくとも2つの測位部を含む。測位装置2が含む測位部は、例えば、GNSSの測位衛星が送信した信号を受信するアンテナと、受信した信号に基づいて当該測位部の位置を算出するプロセッサと、を有する。測位装置2は、測位部が測位した位置を示す測位データを無線通信により送信する通信部を有し、少なくとも2つの測位部それぞれが測位した位置を示す測位データを、通信部を介して情報端末1に送信する。
【0027】
測位装置2は、ユーザによって装着又は携帯される。測位装置2は、例えば、ユーザが装着又は携帯する鞄やアクセサリ等に設けられる。測位装置2がユーザによって装着又は携帯された状態で、測位装置2が含む少なくとも2つの測位部は、ユーザの体の上において少なくとも2点の位置を測位する。情報処理システムSは、後述の方法により、測位装置2が測位した少なくとも2点の位置に基づいて、ユーザが向いている向きを特定する。
【0028】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。ユーザが装着又は携帯している測位装置2は、少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置を示す測位データを、無線通信により情報端末1に送信する(図1の(1))。情報端末1は、測位装置2が送信した測位データを取得する。
【0029】
情報端末1は、取得した測位データが示す、測位装置2に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、測位装置2を基準とした向きである第1向きを特定する(図1の(2))。
【0030】
情報端末1は、第1向きの補正に用いる第2向きを検出する(図1の(3))。情報端末1は、例えば、ユーザが所定の基準点(ランドマークや他ユーザ等)を向いた際の測位装置2を基準とした向きを、第2向きとして検出する。また、別の方法として、情報端末1は、例えば、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きを、第2向きとして検出してもよい。
【0031】
情報端末1は、第1向きと第2向きとの差を用いて、第1向きを補正する(図1の(4))。情報端末1は、例えば、第1向きを、鉛直方向に沿った回転軸を中心に第1向きと第2向きとの差である角度だけ回転させることにより、第1向きを補正する。
【0032】
このように、情報処理システムSは、ユーザが装着又は携帯している測位装置2によって測位された位置に基づいて特定された第1向きを、ユーザが基準点を向いた際の向き、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きである第2向きを用いて補正する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが測位装置2を正しく装着しなかったり、ユーザの体の動きにより測位装置2がずれたりした場合であっても、測位装置2によって測位された位置に基づいて特定される第1向きを、ユーザが正面を向いている状態に対応する第2向きに合わせることにより、第1向きをユーザが向いている向きに近付けることができる。
【0033】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0034】
情報端末1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、情報端末1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、測位装置2によって測位された位置を示す測位データを関連付けて記憶する。また、記憶部11は、第2向きの検出に必要な条件を示す検出条件情報を予め記憶している。
【0036】
制御部12は、取得部121と、特定部122と、選択部123と、通知部124と、検出部125と、補正部126と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、特定部122、選択部123、通知部124、検出部125及び補正部126として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は、制御部12がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0037】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、情報処理システムSにおいて測位に用いられる測位装置2の構成を説明する。図3(a)~図3(c)は、測位装置2の構成を説明するための模式図である、図3(a)~図3(c)は、それぞれユーザに装着又は携帯された状態の測位装置2の外観を表している。図3(a)~図3(c)の例では、測位装置2はそれぞれ2つの測位部21を含んでいるが、3つ以上の測位部21を含んでもよい。
【0038】
図3(a)の例では、2つの測位部21は、ユーザが携帯する鞄を吊り下げるための吊下部(ベルト、ストラップ等)上に設けられている。ユーザが鞄を携帯している状態で、2つの測位部21は、ユーザの体に対して前後方向に異なる2点に位置する。
【0039】
図3(b)の例では、2つの測位部21は、ユーザが装着するアクセサリ(髪留め、帽子、携帯型スピーカ等)上に設けられている。ユーザがアクセサリを装着している状態で、2つの測位部21は、ユーザの体に対して左右方向に異なる2点に位置する。
【0040】
図3(c)の例では、2つの測位部21は、ユーザが携帯する玩具(ぬいぐるみ、人形等)上に設けられている。玩具は、クリップ等の留め具によってユーザの体に固定される。ユーザが玩具を携帯している状態で、2つの測位部21は、ユーザの体に対して左右方向に異なる2点に位置する。
【0041】
図3(a)~図3(c)に示すように、少なくとも2つの測位部21は、測位装置2上の互いに異なる少なくとも2点に設けられている。測位部21は、測位装置2において外部から視認可能な位置に設けられ、又は測位装置2において外部から視認不可能な位置に内蔵される。
【0042】
ユーザが装着又は携帯している測位装置2は、少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置を示す測位データを、無線通信により情報端末1に送信する。測位装置2は、所定の時間間隔で測位データを繰り返し送信し、又は測位された位置が変わったことに応じて測位データを送信する。
【0043】
情報端末1において、取得部121は、測位装置2が送信した測位データを取得する。測位データは、例えば、測位された位置(座標等)と、当該位置が測位された時刻と、当該位置を測位した測位部21の識別情報と、を示すデータである。取得部121は、取得した測位データを、測位装置2を装着又は携帯しているユーザを識別するためのユーザID(Identification)と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0044】
特定部122は、取得部121が取得した測位データが示す、ユーザが装着又は携帯している測位装置2に含まれる少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置に基づいて、測位装置2を基準とした向きである第1向きを特定する。なお、特定部122が特定する第1向きは、後述の補正部126による補正処理が行われていないため、ユーザの実際の向きと異なり得る。
【0045】
図4は、特定部122が第1向きD1を特定する方法を説明するための模式図である。図4は、2つの測位部21である第1測位部21A及び第2測位部21Bそれぞれが測位した位置に基づいて第1向きD1を特定する状況を表している。第1測位部21A及び第2測位部21Bは、測位データが示す測位部21の識別情報によって識別される。
【0046】
特定部122は、第1測位部21Aによって測定された位置から第2測位部21Bによって測定された位置へのベクトルVを算出する。特定部122は、ベクトルVの向きを所定の角度だけ回転させた向きを、第1向きD1として特定する。
【0047】
ベクトルVの向きを回転させる角度は、測位データの送信元である測位装置2の種類に予め関連付けられている。図3(a)に示す測位装置2では、特定部122は、例えば、2つの測位部21は前後方向の異なる2点に位置するため、ベクトルVの向きを0度だけ回転させた向き(すなわち、ベクトルVの向き自体)を、第1向きD1として特定する。図3(b)、図3(c)に示す測位装置2では、特定部122は、例えば、2つの測位部21は左右方向の異なる2点に位置するため、ベクトルVの向きを、鉛直方向に沿った回転軸を中心に90度だけ回転させた向きを、第1向きD1として特定する。
【0048】
測位装置2が3つ以上の測位部21を含む場合に、特定部122はいずれか2つの測位部21によって測位された2つの位置に基づいて第1向きD1を特定してもよい。これにより、3つ以上の測位部21のいずれかが測位できない状況であっても、特定部122は残りの測位部21によって測位された位置を用いて第1向きD1を特定できる。
【0049】
また、測位装置2が3つ以上の測位部21を含む場合に、特定部122は3つ以上の測位部21のうち2つの測位部21の複数の組み合わせを用いて特定した複数の向きに基づいて、第1向きD1を特定してもよい。この場合に、特定部122は、例えば、3つ以上の測位部21のうち2つの測位部21の複数の組み合わせそれぞれに対してベクトルVを算出し、複数のベクトルVそれぞれの向きを所定の角度だけ回転させた複数の向きを特定する。特定部122は、例えば、特定した複数の向きから算出した統計量(平均値、中央値等)を、第1向きD1として特定する。これにより、特定部122は、複数の測位部21のいずれかが誤った位置を測位した場合であっても、第1向きD1をユーザが向いている向きに近付けることがができる。
【0050】
選択部123は、後述の検出部125が第2向きD2を検出するための複数の検出処理の中から、測位装置2の位置(少なくとも2つの測位部21のいずれかの位置)又は特定部122が特定した第1向きD1に基づいて、いずれかの検出処理を選択する。選択部123は、第2向きD2を検出する必要がない場合(既に第2向きD2の検出が行われている場合等)に、検出処理を選択しなくてもよい。
【0051】
選択部123は、例えば、測位装置2の位置と後述の基準点の位置との関係が所定の条件(100メートル以内にあること等)を満たす場合に、所定の基準点を用いて第2向きD2を検出する第1検出処理を選択する。また、選択部123は、特定部122が特定した第1向きD1の前方に基準点があることを条件として、第1検出処理を選択してもよい。
【0052】
一方、選択部123は、例えば、測位装置2の位置が所定期間(5秒間等)にわたって変化している場合に、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きを用いて第2向きD2を検出する第2検出処理を選択する。選択部123は、ここに示した具体的な条件に限られず、その他の条件に従って検出処理を選択してもよい。
【0053】
情報処理システムSは、選択部123による検出処理の選択を行うことなく、所定の検出処理を実行してもよい。
【0054】
通知部124は、検出部125が実行する検出処理(すなわち、選択部123が選択した検出処理、又は所定の検出処理)を実行するために必要な通知情報を、ユーザに通知する。
【0055】
検出部125が第2向きD2を検出するために所定の物体の位置を用いる場合に、通知部124は、例えば、記憶部11に記憶された、第2向きD2の検出に必要な条件を示す検出条件情報を取得する。検出条件情報は、例えば、検出部125が第2向きD2を検出する際にユーザが位置すべき所定の位置と、検出部125が第2向きD2を検出するために用いる所定の物体の位置と、を含む。また、検出条件情報は、所定の物体の撮像画像又は物体の外観を表すイラスト画像を含んでもよい。
【0056】
通知部124は、取得した検出条件情報に基づいて、検出部125が第2向きD2を検出する際にユーザが位置すべき所定の位置と、検出部125が第2向きD2を検出するために用いる物体を示す情報と、を含む通知情報を、表示部に表示させる。通知部124は、例えば、ユーザが位置すべき所定の位置と、所定の物体の位置と、を示す地図を、表示部に表示させる。また、通知部124は、例えば、物体の撮像画像又は物体の外観を表すイラスト画像を表示部に表示させてもよい。
【0057】
図5は、例示的な通知情報を表示している情報端末1の模式図である。図5の例では、通知部124は、検出部125が第2向きD2を検出する際にユーザが位置すべき所定の位置の地図を表示部に表示させている。また、通知部124は、検出部125が第2向きD2を検出するために用いる物体の撮像画像を表示部に表示させている。これにより、ユーザは、第2向きD2の検出に必要な条件を容易に把握することができる。
【0058】
検出部125が第2向きD2を検出するために他ユーザの位置を用いる場合に、通知部124は、例えば、記憶部11において、ユーザとは異なる他ユーザのユーザIDに関連付けられた測位データを取得する。他ユーザは、ユーザと同様に、測位部21を含む測位装置2を装着又は携帯している人である。
【0059】
検出部125は、第2向きD2を検出するための基準とする他ユーザ(例えば、ユーザに最も近い位置の他ユーザ)を自動的に選択してもよい。また、検出部125は、ユーザがユーザによって保持された情報端末1を他ユーザによって保持された情報端末1に近付けることにより、当該他ユーザを第2向きD2を検出するための基準として選択してもよい。また、検出部125は、ユーザが情報端末1の表示部に表示されている他ユーザを示すアイコン等を指定することにより、当該他ユーザを第2向きD2を検出するための基準として選択してもよい。
【0060】
また、通知部124は、記憶部11に予め記憶された、他ユーザの撮像画像(顔写真等)、又は他ユーザが装着又は携帯している測位装置2の種類(例えば、図3(a)~図3(c)に示すいずれの測位装置2であるか)を示す情報を取得してもよい。
【0061】
通知部124は、取得した他ユーザの測位データに基づいて、他ユーザを示す情報を含む通知情報を、表示部に表示させる。通知部124は、例えば、ユーザの測位装置2の位置及び他ユーザの測位装置2の位置を示す地図を、表示部に表示させる。また、通知部124は、例えば、他ユーザの撮像画像、又は他ユーザが装着又は携帯している測位装置2の種類を示す情報を、表示部に表示させてもよい。
【0062】
また、通知部124は、通知情報を、表示部上に表示することに代えて又は加えて、音声によりユーザに通知してもよい。この場合に、通知部124は、情報端末1が有するスピーカ又はユーザが保持するその他のスピーカから、通知情報を示す音声を出力させる。これにより、情報処理システムSは、ユーザに表示部を見る手間を掛けさせることなく、通知情報を通知することができる。
【0063】
情報処理システムSは、ユーザに通知情報を通知することが必要でない場合に、通知部124によるユーザへの通知を行うことなく検出処理を実行してもよい。検出部125は、例えば、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きを用いて第2向きD2を検出する第2検出処理を選択部123が選択した場合に、通知部124によるユーザへの通知を行うことなく第2検出処理を実行する。
【0064】
検出部125は、第1向きの補正に用いる第2向きD2を検出する検出処理を実行する。検出部125は、例えば、選択部123が選択した検出処理、又は所定の検出処理を実行する。検出部125は、検出処理として、所定の基準点を用いて第2向きD2を検出する第1検出処理と、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きを用いて第2向きD2を検出する第2検出処理と、のどちらか一方を実行する。
【0065】
図6(a)~図6(c)は、第1検出処理を説明するための模式図である。検出部125は、第1検出処理として、ユーザが所定の基準点Pを向いた際の測位装置2を基準とした向きである第2向きD2を検出する。
【0066】
図6(a)は、特定の物体の位置を基準点Pとして用いる例を表している。図6(a)の例では、通知部124は、所定の案内板に対して正面を向くことを示す通知情報をユーザに通知する。検出部125は、例えば、ユーザが情報端末1上で所定の操作(ボタン押下等)を行ったことを条件として、ユーザが物体(案内板)に対して正面を向いている状態であることを検出する。
【0067】
検出部125は、ユーザが物体に対して正面を向いている状態であることを検出したことに応じて、取得部121が取得した測位データが示す少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置から、測位装置2の位置を算出する。検出部125は、例えば、2つの測位部21によって測位された2つの位置の中点、当該2つの位置を結ぶ線分上のいずれかの点、当該2つの位置のどちらかの点等を、測位装置2の位置として算出する。
【0068】
検出部125は、記憶部11に記憶された検出条件情報を取得し、取得した検出条件情報が示す物体の位置を基準点Pとして決定する。そして検出部125は、測位装置2の位置から基準点Pへ向かう向きを、第2向きD2として検出する。これにより、情報処理システムSは、例えば、ユーザが案内板等のランドマークに対して正面を向いている状態を、測位装置2を用いて特定した向きの補正に用いる基準とすることができる。
【0069】
図6(b)は、特定の物体の位置を基準点Pとして用いる別の例を表している。図6(b)の例では、通知部124は、方位を記載したマンホール上でE(東)を向くことを示す通知情報をユーザに通知する。検出部125は、例えば、ユーザが情報端末1上で所定の操作(ボタン押下等)を行ったことを条件として、ユーザが物体(マンホール)の上で所定の方位を向いている状態であることを検出する。
【0070】
検出部125は、ユーザが物体の上で所定の方位を向いている状態であることを検出したことに応じて、取得部121が取得した測位データが示す少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置から、測位装置2の位置を算出する。検出部125は、例えば、2つの測位部21によって測位された2つの位置の中点、当該2つの位置を結ぶ線分上のいずれかの点、当該2つの位置のどちらかの点等を、測位装置2の位置として算出する。
【0071】
検出部125は、記憶部11に記憶された検出条件情報を取得し、取得した検出条件情報が示す物体の位置を基準として所定の方位にあるいずれかの点(例えば、図6(b)のEマーク)を、基準点Pとして決定する。そして検出部125は、測位装置2の位置から基準点Pへ向かう向きを、第2向きD2として検出する。これにより、情報処理システムSは、例えば、ユーザが特定の物体上で所定の方位に向いている状態を、測位装置2を用いて特定した向きの補正に用いる基準とすることができる。
【0072】
また、検出部125は、情報端末1においてユーザから指定された物体に対応する基準点Pに基づいて第2向きD2を検出してもよい。図6(a)の例では、検出部125は、情報端末1において、ユーザから、正面に見える物体の指定を受け付ける。この場合に、通知部124は、例えば、測位装置2の位置を基準とした所定範囲内にある複数の物体(案内板等のランドマーク)を表示部に表示させ、検出部125は、当該複数の物体の中からユーザが正面に見える物体の選択を受け付ける。検出部125は、ユーザが選択した物体の位置を基準点Pとして、第2向きD2を検出する。
【0073】
図6(b)の例では、検出部125は、情報端末1において、ユーザから、所定の物体(マンホール等)上で向いている方位の指定を受け付ける。検出部125は、物体の位置を基準としてユーザが指定した方位にあるいずれかの点(例えば、図6(b)のN、S、E、Wマークのいずれか)を基準点Pとして、第2向きD2を検出する。これにより、情報処理システムSは、ユーザによって指定された内容に応じて基準点Pを決定できるため、第2向きD2を検出する際にユーザが位置すべき位置の自由度を向上させることができる。
【0074】
図6(c)は、他ユーザの位置を基準点Pとして用いる例を表している。図6(c)の例では、通知部124は、他ユーザに対して正面を向くことを示す通知情報をユーザに通知する。検出部125は、例えば、ユーザが情報端末1上で所定の操作(ボタン押下等)を行ったことを条件として、ユーザが他ユーザに対して正面を向いている状態であることを検出する。
【0075】
検出部125は、ユーザが他ユーザに対して正面を向いている状態であることを検出したことに応じて、取得部121が取得した測位データが示す少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置から、ユーザの測位装置2及び他ユーザの測位装置2の位置を算出する。検出部125は、例えば、ユーザの測位装置2及び他ユーザの測位装置2それぞれに対して、2つの測位部21によって測位された2つの位置の中点、当該2つの位置を結ぶ線分上のいずれかの点、当該2つの位置のどちらかの点等を、当該測位装置2の位置として算出する。
【0076】
検出部125は、他ユーザの測位装置2の位置を基準点Pとして決定する。そして検出部125は、ユーザの測位装置2の位置から基準点Pへ向かう向きを、ユーザの第2向きD2として検出する。同様に、検出部125は、他ユーザの測位装置2の位置からユーザの測位装置2の位置である基準点Pへ向かう向きを、他ユーザの第2向きD2として検出してもよい。
【0077】
これにより、情報処理システムSは、例えば、ユーザが他ユーザに対して正面を向いている状態を、測位装置2を用いて特定した向きの補正に用いる基準とすることができる。また、情報処理システムSは、2人のユーザの測位装置2に対して同時に第2向きD2を検出できるため、2人のユーザに対して別々に検出処理を行うよりも計算負荷を低減できる。
【0078】
図7は、第2検出処理を説明するための模式図である。検出部125は、第2検出処理として、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きである第2向きD2を検出する。図7は、ユーザが一方向に移動している例を表している。
【0079】
検出部125は、ユーザの過去の測位データに基づいて、ユーザが移動した向きを推定する。検出部125は、例えば、第1時点(例えば5秒前)の測位装置2の位置から、第1時点より後の第2時点(例えば現在時刻)の測位装置2の位置へ向かう向きを、ユーザが移動した向きとして推定する。検出部125は、推定したユーザが移動した向きを、第2向きD2として検出する。これにより、情報処理システムSは、ユーザによる操作を必要とせずに第2向きD2を検出できるため、第2向きD2を検出するためのユーザの手間を削減できる。
【0080】
別の方法として、検出部125は、ユーザがユーザによって保持された情報端末1を向けている向きを、第2向きD2として検出してもよい。この場合に、検出部125は、情報端末1が電子コンパス等によって特定した情報端末1の向き(例えば、情報端末1の背面の法線ベクトルの向き)を取得し、取得した情報端末1の向きを第2向きD2として検出する。ユーザは情報端末1を見ている際(例えば、ユーザが情報端末1に表示された地図を見ながら移動している際)に、情報端末1を正面に保持している傾向がある。そこで、情報処理システムSは、ユーザが情報端末1を向けている向きをユーザの正面の向きと推定することにより、ユーザによる操作を必要とせずに第2向きD2を検出できる。
【0081】
検出部125は、第1検出処理又は第2検出処理によって検出された第2向きD2を、ユーザIDと関連付けて記憶部11に記憶させる。検出部125は、新たに第2向きD2を検出したことに応じて、記憶部11に記憶された第2向きD2を更新する。記憶部11に記憶された最新の第2向きD2が、補正部126による第1向きD1の補正に用いられる。
【0082】
補正部126は、特定部122が特定した第1向きD1と記憶部11に記憶された第2向きD2との差を用いて、特定部122が特定した第1向きD1を補正する。第1向きD1と第2向きD2との差は、例えば、図6(a)~図6(c)、図7において第1向きD1と第2向きD2との間の角度θである。補正部126は、例えば、第1向きD1を鉛直方向に沿った回転軸を中心に角度θだけ反時計回りに回転させることにより、第1向きD1を補正する。
【0083】
第1検出処理又は第2検出処理によって検出された第2向きD2は、ユーザが正面を向いた状態に対する、補正されていない第1向きD1のずれを表している。そのため、補正部126は、第1向きD1と第2向きD2との差を相殺するように第1向きD1を補正し、第1向きD1をユーザが正面を向いた状態に合わせることにより、第1向きD1をユーザが向いている向きに近付けることができる。
【0084】
補正部126は、補正後の第1向きD1を、ユーザIDと関連付けて記憶部11に記憶させ、又は第1向きD1を利用する情報端末1とは異なる情報提供装置にユーザID及び測位データと関連付けて送信する。
【0085】
情報端末1又は情報提供装置は、補正部126により補正された第1向きD1に対応する情報を、ユーザに提供する。情報端末1又は情報提供装置は、例えば、ユーザの測位装置2の位置及び補正部126により補正された第1向きD1が所定条件(ユーザが特定の位置で特定の向きを向いたこと等)を満たしたことに応じて、情報端末1の表示部に所定情報を表示させ、又は情報端末1が有するスピーカ又はユーザが保持するその他のスピーカから所定情報を示す音声を出力させる。
【0086】
通知部124は、検出部125が第2向きD2を検出した後に、再び第2向きD2の検出が必要になった場合に、検出部125による第2向きD2の検出を行うことを提案する提案情報をユーザに通知してもよい。通知部124は、例えば、提案情報として、図5に例示した画面を情報端末1の表示部に表示させる。
【0087】
通知部124は、例えば、所定期間(5秒間等)における、第1向きD1の変化量、又は測位装置2が含む少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された高さの変化量が閾値を超えたことを条件として、提案情報をユーザに通知する。第1向きD1又は高さの変化量の閾値は、記憶部11に予め記憶されている。これにより、情報処理システムSは、例えば、第1向きD1又は高さが変化した場合にユーザが測位装置2を着脱した可能性があると推定し、再び第2向きD2を検出することをユーザに促すことができる。
【0088】
また、通知部124は、例えば、測位装置2が含む少なくとも2つの測位部21のうち少なくとも1つの測位部21が測位する位置の測位品質が閾値以下になったことを条件として、提案情報をユーザに通知してもよい。測位品質の閾値は、記憶部11に予め記憶されている。これにより、情報処理システムSは、例えば、測位品質が低下した場合にユーザが測位装置2を着脱した可能性があると推定し、再び第2向きD2を検出することをユーザに促すことができる。
【0089】
また、通知部124は、所定期間内に検出部125による第2向きD2の検出が行われた回数が閾値を超えたことを条件として、取得部121が測位装置2から取得した測位データを、測位装置2に関連付けられた管理者に通知してもよい。回数の閾値は、記憶部11に予め記憶されている。管理者は、例えば、ユーザ又は測位装置2を管理する人である。通知部124は、例えば、第2向きD2の検出が行われた回数が閾値を超えた測位装置2の測位データを、管理者が使用する情報端末に表示させる。これにより、情報処理システムSは、第2向きD2の検出が何度も行われている測位装置2に異常が発生している可能性があると推定し、測位装置2の状態を確認することを管理者に促すことができる。
【0090】
[情報処理方法のフロー]
図8は、本実施形態に係る情報端末1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。取得部121は、測位装置2が送信した測位データを取得する(S11)。測位データは、例えば、測位装置2が含む少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置を示すデータである。
【0091】
特定部122は、取得部121が取得した測位データが示す、ユーザが装着又は携帯している測位装置2に含まれる少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置に基づいて、測位装置2を基準とした向きである第1向きD1を特定する(S12)。
【0092】
選択部123は、検出部125が第2向きD2を検出するための複数の検出処理の中から、測位装置2の位置又は特定部122が特定した第1向きD1に基づいて、いずれかの検出処理を選択する。
【0093】
基準点Pを用いて第2向きD2を検出する第1検出処理を選択部123が選択した場合に(S13のYES)、通知部124は、第1検出処理を実行するために必要な通知情報を、ユーザに通知する(S14)。
【0094】
検出部125は、取得部121が取得した測位データが示す少なくとも2つの測位部21それぞれによって測位された位置から、測位装置2の位置を算出する。検出部125は、所定の物体の位置又は他ユーザの位置に基づいて、基準点Pを決定する(S15)。検出部125は、測位装置2の位置から基準点Pへ向かう向きを、第2向きD2として検出する(S16)。検出部125は、検出された第2向きD2を、ユーザIDと関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0095】
ユーザが移動した向きを用いて第2向きD2を検出する第2検出処理を選択部123が選択した場合に(S13のNO、S17のYES)、検出部125は、ユーザの過去の測位データに基づいて、ユーザが移動した向きを推定する(S18)。別の方法として、検出部125は、ユーザがユーザによって保持された情報端末1を向けている向きを、第2向きD2として検出してもよい。検出部125は、推定したユーザが移動した向きを、第2向きD2として検出する(S19)。検出部125は、検出された第2向きD2を、ユーザIDと関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0096】
第2向きD2を検出する必要がない場合(既に第2向きD2の検出が行われている場合等)に(S17のNO)、情報端末1はステップS20に進む。
【0097】
補正部126は、特定部122が特定した第1向きD1と記憶部11に記憶された第2向きD2との差を用いて、特定部122が特定した第1向きD1を補正する(S20)。補正部126は、補正後の第1向きD1を、ユーザIDと関連付けて記憶部11に記憶させ、又は第1向きD1を利用する情報端末1とは異なる情報提供装置にユーザID及び測位データと関連付けて送信する。
【0098】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSは、ユーザが装着又は携帯している測位装置2によって測位された位置に基づいて特定された第1向きD1を、ユーザが基準点Pを向いた際の向き、ユーザが移動した向き又はユーザが情報端末1を向けている向きである第2向きD2を用いて補正する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが測位装置2を正しく装着しなかったり、ユーザの体の動きにより測位装置2がずれたりした場合であっても、測位装置2によって測位された位置に基づいて特定される第1向きD1を、ユーザが正面を向いている状態に対応する第2向きD2に合わせることにより、第1向きD1をユーザが向いている向きに近付けることができる。
【0099】
[変形例]
上述の実施形態では情報端末1が測位装置2の向きに関する処理を実行するのに対して、本変形例では管理サーバ3が測位装置2の向きに関する処理を実行する。以下、本変形例において上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0100】
図9は、本変形例に係る情報処理システムSのブロック図である。情報処理システムSは、情報端末1及び測位装置2に加えて、管理サーバ3を含む。管理サーバ3は、情報端末1及び測位装置2と通信可能な情報処理装置である。
【0101】
管理サーバ3は、記憶部31と、制御部32とを有する。記憶部31は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部31は、管理サーバ3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部32との間でデータの授受を行ってもよい。
【0102】
記憶部31は、制御部32が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部31は、情報端末1の記憶部11の代わりに、測位データ及び検出条件情報を予め記憶している。
【0103】
制御部32は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部31に記憶されたプログラムを実行することにより、情報端末1の制御部12の代わりに、取得部121、特定部122、選択部123、通知部124、検出部125及び補正部126として機能する。制御部32の機能の少なくとも一部は、制御部32がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0104】
本変形例に係る情報処理システムSによれば、管理サーバ3が測位装置2の向きに関する処理を実行するため、情報端末1における計算負荷を低減することができる。
【0105】
また、情報端末1の制御部12が取得部121、特定部122、選択部123、通知部124、検出部125及び補正部126のうち一部の機能を実行し、管理サーバ3の制御部32が残りの機能を実行してもよい。すなわち、情報端末1及び管理サーバ3が協同して本実施形態に係る情報処理装置として機能してもよい。これにより、情報処理システムSは、計算負荷を情報端末1と管理サーバ3とで分散させることができる。
【0106】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0108】
情報端末1又は管理サーバ3のプロセッサは、図8に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。情報端末1又は管理サーバ3のプロセッサは、例えば、図8に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、図8に示す情報処理方法を実行する。図8に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0109】
S 情報処理システム
1 情報端末
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 特定部
123 選択部
124 通知部
125 検出部
126 補正部
2 測位装置
21 測位部
3 管理サーバ
31 記憶部
32 制御部

【要約】
【課題】ユーザが装着又は携帯している装置によって測位された位置に基づいて特定される向きをユーザが向いている向きに近付けることができるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る情報端末1は、ユーザが装着又は携帯している装置に含まれる少なくとも2つの測位部それぞれによって測位された位置に基づいて、装置を基準とした向きである第1向きを特定する特定部122と、ユーザが所定の基準点を向いた際の装置を基準とした向きである第2向きを検出する検出部125と、第1向きと第2向きとの差を用いて、第1向きを補正する補正部126と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9