(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】スプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20230417BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20230417BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20230417BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L21/20
(21)【出願番号】P 2022503772
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2019101506
(87)【国際公開番号】W WO2021012340
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】201910655060.X
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514298830
【氏名又は名称】中国▲電▼子科技集▲団▼公司第五十五研究所
【氏名又は名称原語表記】CHINA ELECTRONICS TECHNOLOGY GROUP CORPORATION NO.55 RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】NO.524 Zhongshan East Road, Nanjing, Jiangsu 210016 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 凱
(72)【発明者】
【氏名】朱 広潤
(72)【発明者】
【氏名】周 建軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 堂勝
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-524911(JP,A)
【文献】特開2014-041965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20、21/338、
29/778、29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN高電子移動度トランジスタの製造方法であって、
基板(1)の上方において、バッファ層(2)およびバリア層(3)を順次成長させるステップ1と、
前記バリア層(3)の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングし、続いて、
前記基板(1)の上方に形成された構造物の一側において、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層(3)を順次除去し、バッファ層(2)にオーバーエッチングしてから、フォトレジストを除去するステップ2と、
III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第2選択的エピタキシャルバッファ層(4)および第2選択的エピタキシャルバリア層(5)を順次成長させ、続いて、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去するステップ3と、
前記第2選択的エピタキシャルバリア層(5)
および前記バリア層(3)の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングし、続いて、
前記基板(1)の上方に形成された構造物の他の一側において、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層(3)を順次除去し、バッファ層(2)にオーバーエッチングしてから、フォトレジストを除去するステップ4と、
III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第3選択的エピタキシャルバッファ層(6)および第3選択的エピタキシャルバリア層(7)を順次成長させ、続いて、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去するステップ5と、
前記バリア層(3)、前記第2選択的エピタキシャルバリア層(5)および前記第3選択的エピタキシャルバリア層(7)の両端のそれぞれにおいて、フォトレジストマスクを作製し、
蒸着またはスパッタリングにより金属を堆積し、オーミック金属を形成するためにリフトオフを実行し、続いて、N
2雰囲気で熱アニーリング処理を行い、ソース電極(8)およびドレイン電極(9)をそれぞれ作製するステップ6と、
前記バリア層(3)、前記第2選択的エピタキシャルバリア層(5)、前記第3選択的エピタキシャルバリア層(7)、前記ソース電極(8)および前記ドレイン電極(9)の上方において、パッシベーション層(10)を堆積させるステップ7と、
前記パッシベーション層(10)の上方において活性領域マスクを作製し、続いて、エッチングまたはイオン注入によって分離させ、活性領域を形成するステップ8と、
前記パッシベーション層(10)の上方において、ゲート電極フットマスクを作製し、続いて、RIEまたはICP方法でエッチングすることによってパッシベーション層(10)を除去してゲート電極溝を形成するステップ9と、
前記ゲート電極溝の上方においてゲート電極キャップマスクを定め、
蒸着またはスパッタリングによってゲート電極金属を堆積し、リフトオフを実行してT型ゲート電極(11)を形成するステップ10と、
前記ソース電極(8)および前記ドレイン電極(9)の上方において、相互接続される開口領域マスクを定め、エッチングによってパッシベーション層(10)を除去して、相互接続された開口を形成するステップ11と、
前記ソース電極(8)および前記ドレイン電極(9)の上方において、相互接続される金属領域マスクを定め、
蒸着とリフトオフのプロセスによって相互接続された金属を形成するステップ12と、
を有する
、GaN高電子移動度トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ1において、前記基板(1)の材料は、SiC、Si、ダイヤモンドおよびGaNのうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項
1に記載
のGaN高電子移動度トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記ステップ2および前記ステップ4において、前記選択的成長マスクの材料は、SiN、SiON、SiO
2およびNiのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項
1または2に記載
のGaN高電子移動度トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記ステップ3および前記ステップ5において、III-V族窒化物のエピタキシャル装置は、MOCVD、MBEまたはPLDであることを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載
のGaN高電子移動度トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造技術分野に関し、特にスプライシングサブデバイス(splicing sub-device)を備えるGaN高電子移動度トランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代半導体GaNベースの高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、高出力電力密度、高効率、耐高温および耐放射などの特性を有しており、高周波数、高効率および高出力の電子デバイスを製造するための主流技術になっており、レーダーをはじめとする兵器装備の性能向上を積極的に推進している。近年、通信技術分野の急成長に伴い、高性能デバイスに対する需要が高まっており、高出力の利点を備えるGaNマイクロ波やミリ波デバイスは、将来の移動体通信基地局に適したデバイスとして認識されている。レーダーの応用とは異なり、通信はデバイスの線形性に対する要件が厳しく、デバイスの線形性が不十分な場合、パワーバックオフまたは線形化モジュールを使用することによって必要な信号波形を確保することが多い。これだと、GaNデバイスおよびシステム全体の動作効率を大幅に犠牲してしまう。逆に、高い線形性は、より効率的な周波数スペクトル利用率をもたらし、線形化モジュールに対する需要を低減でき、システム全体の効率および集積度を向上できる。
【0003】
従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンス(gm)は、典型的なピーク特性を示し、すなわち、相互コンダクタンスは大電流の下で深刻に劣化するため、高い入力電力の下でデバイスのゲインが急速に縮小し、相互変調特性が悪く、線形性が低くなってしまう。このような問題を解消するため、香港科技大学は2005年にAl0.05Ga0.95N/GaN複合チャネルを提案し、チャネルの縦方向の電界を低減することにより、相互コンダクタンスの線形性がある程度改善された(参考文献:Jie Liu et al, Highly Linear Al0.3Ga0.7N-Al0.05Ga0.95N-GaN Composite-Channel HEMTs, IEEE Electron Device Lett., vol. 26, no. 3, pp. 145-147, 2005)。ピーキング後の相互コンダクタンスの劣化に加えて、ピーキング前の相互コンダクタンスの上昇率も、デバイスの線形性を制限する重要な要素である。実際の作業では、デバイスがクラスABにバイアスされることが多いため、このような領域の線形特性はさらに重要である。gm’およびgm’’はそれぞれ相互コンダクタンスの導関数と2次導関数を指し、デバイスの線形性を評価するための重要なパラメータである。gm’およびgm’’が小さいほど、線形性が高くなり、相互コンダクタンスが急激に上昇すると、gm’およびgm’’の値が大きくなるため、線形性がさらに低下する。2016年、MITは、デバイス物理モデルを介してGaN高周波数回路の線形性性能を研究し(参考文献:Ujwal Radhakrishna et al., Study of RF-Circuit Linearity Performance of GaN HEMT Technology using the MVSG compact device model IEDM Tech. Dig., Dec. 2016, pp. 3.7.1-3.7.4)、デュアルバイアスベースの相互コンダクタンス補償方法を提案し、すなわち、相互コンダクタンスの立ち上がり領域のgm’およびgm’を低減することにより回路の線形性を向上させながら、高い作業効率を維持した。
【0004】
また、中国特許出願第201611122851.9号には、「高線形性GaNフィン型高電子移動度トランジスタおよびその製造方法」が開示され、該方法に係るGaNベース3次元フィン型デバイスでは、ゲート電極溝の下方領域のバリア層およびバッファ層に周期的に配置されたGaNベース3次元フィンがエッチングされ、GaNベース3次元フィンの長さは、溝の長さと同じである。該方法では、3次元フィン型構造を使用することにより、従来の平面構造においてピーク値に達した後の相互コンダクタンスの劣化を解消している。その結果、領域内のgm’およびgm’’はゼロに近づき、平坦な相互コンダクタンス特性を示し、信号の歪みを抑制し、線形性を向上させ、高い作業効率および優れた放熱特性の維持できる。しかしながら、該方法に係るトランジスタは、立ち上がり領域の相互コンダクタンスの線形性を向上できず、該領域のgm’およびgm’’を抑制できないため、デバイスの全体の線形性をさらに向上させる必要がある。
【0005】
現在、従来技術における問題をどのように解消するかは、半導体デバイスの製造の技術分野におけるすぐにでも解決されるべき重要課題の1つになっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、スプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタおよびその製造方法を提供することにより、大電流下での相互コンダクタンスの深刻な劣化および相互コンダクタンスの立ち上がり領域の急激な程度を抑制し、デバイスの周波数特性を犠牲にすることなく、デバイスの線形性をより全面的に改善でき、ミリ波周波数帯に適用可能にすることを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタは、基板、バッファ層、バリア層、ソース電極、ドレイン電極、パッシベーション層およびゲート電極を含み、
前記バッファ層および前記バリア層は、サブデバイスの凸状の第1ヘテロ接合を形成し、前記第1ヘテロ接合の凸状の両側には、それぞれスプライシングサブデバイスの第2ヘテロ接合選択領域とスプライシングサブデバイスの第3ヘテロ接合選択領域とが対称的に設けられ、
前記第2ヘテロ接合選択領域は、第2選択的エピタキシャルバッファ層および第2選択的エピタキシャルバリア層から構成され、
前記第3ヘテロ接合選択領域は、第3選択的エピタキシャルバッファ層および第3選択的エピタキシャルバリア層から構成され、
前記ゲート電極は、それぞれ前記バリア層、前記第2選択的エピタキシャルバリア層および前記第3選択的エピタキシャルバリア層の上方に配置され、
前記ソース電極および前記ドレイン電極は、前記ゲート電極の両側のそれぞれに配置され、
第2ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は、第1ヘテロ接合に位置するサブデバイスの閾値電圧以上であり、第3ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は、第1ヘテロ接合に位置するサブデバイスの閾値電圧以下であり、第2ヘテロ接合選択領域および第3ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は異なる。
【0008】
本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタのさらなる好ましい技術的解決手段は、以下のとおりである。
前記バリア層、前記第2選択的エピタキシャルバリア層または前記第3選択的エピタキシャルバリア層の材料は、AlGaN,InAlN,AlInGaNまたはAlNである。
【0009】
前記バッファ層、前記第2選択的エピタキシャルバッファ層または前記第3選択的エピタキシャルバッファ層の材料は、GaNおよびAlGaNのうちのいずれか1つまたは2つの組み合わせである
【0010】
本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法は、
基板の上方において、バッファ層およびバリア層を順次成長させるステップ1と、
前記バリア層の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングし、続いて、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層を順次除去し、バッファ層にオーバーエッチングしてから、フォトレジストを除去するステップ2と、
III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第2選択的エピタキシャルバッファ層および第2選択的エピタキシャルバリア層を順次成長させ、続いて、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去するステップ3と、
前記第2選択的エピタキシャルバッファ層および前記第2選択的エピタキシャルバリア層の左側の前記バリア層の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングし、続いて、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層を順次除去し、バッファ層にオーバーエッチングしてから、フォトレジストを除去するステップ4と、
III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第3選択的エピタキシャルバッファ層および第3選択的エピタキシャルバリア層を順次成長させ、続いて、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去するステップ5と、
前記バリア層、前記第2選択的エピタキシャルバリア層および前記第3選択的エピタキシャルバリア層の両端のそれぞれにおいて、フォトレジストマスクを作製し、蒸発またはスパッタリングにより金属を堆積し、オーミック金属を形成するためにリフトオフを実行し、続いて、N2雰囲気で熱アニーリング処理を行い、ソース電極およびドレイン電極をそれぞれ作製するステップ6と、
前記バリア層、前記第2選択的エピタキシャルバリア層、前記第3選択的エピタキシャルバリア層、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上方において、パッシベーション層を堆積させるステップ7と、
前記パッシベーション層の上方において活性領域マスクを作製し、続いて、エッチングまたはイオン注入によって分離させ、活性領域を形成するステップ8と、
前記パッシベーション層の上方において、ゲート電極フットマスクを作製し、続いて、RIEまたはICP方法でエッチングすることによってパッシベーション層を除去してゲート電極溝を形成するステップ9と、
前記ゲート電極溝の上方においてゲート電極キャップマスクを定め、蒸発またはスパッタリングによってゲート電極金属を堆積し、リフトオフを実行してT型ゲート電極を形成するステップ10と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極の上方において、相互接続される開口領域マスクを定め、エッチングによってパッシベーション層を除去して、相互接続された開口を形成するステップ11と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極の上方において、相互接続される金属領域マスクを定め、蒸発とリフトオフのプロセスによって相互接続された金属を形成するステップ12と、
を有する。
【0011】
<本発明の実現原理>
初期のGaNヘテロ接合エピタキシャル材料(バッファ層およびバリア層を含む)に基づいて、選択的エピタキシャル技術(マスク成長、マスクのリソグラフィおよびエッチング、GaN層、マスク除去を含む)により、2つの異なるGaNヘテロ接合材料がそれぞれ初期ヘテロ接合材料の両側で成長させる。続いて、3つのヘテロ接合材料(初期ヘテロ接合材料および2つの選択的成長ヘテロ接合材料を含む)においてサブデバイスを同じ作製プロセス(ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極などを含む)で作製する。2つの新しいヘテロ接合材料を合理的に選択することにより、2つの選択的成長ヘテロ接合材料において作製されたスプライシングサブデバイスの閾値電圧を、1つは初期ヘテロ接合材料のサブデバイスの閾値電圧以上にし、他の1つは初期ヘテロ接合材料のサブデバイスの閾値電圧以下にし、2つのスプライシングサブデバイスの閾値電圧を異ならせる。最後に、3つのヘテロ接合材料(初期ヘテロ接合材料と2つの選択的成長ヘテロ接合材料を含む)に配置されたゲート電極が電気的に接続されてデバイスを形成する。本発明では、「スプライシングサブデバイス」の概念を提出し、スプライシングサブデバイスの閾値電圧の差を利用して、サブデバイス起動時の電圧範囲を拡大し、ピーキング時の相互コンダクタンス、つまりgm’とgm’’を抑制でき、最終的にはデバイスの線形性(直線性)を改善する目的を達成できる。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比較して、本発明は以下のような有益な効果を奏する。
第一に、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタによれば、選択的エピタキシャル技術を使用することにより異なる閾値電圧を有するサブデバイスの結合を創作的に実現し、デバイスを起動する際の電圧範囲を拡大することによって相互コンダクタンスの急激な上昇を抑制し、電力飽和状態に達していないときのデバイスの線形性を大幅に向上できる。
【0013】
第二に、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタによれば、高線形性、高周波数および大電力の3つの機能特徴を統合しているため、移動体通信および衛星通信などの分野に適用可能で、特にミリ波通信およびブロードバンド受信/送信一体化の電子システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの断面図である。
【
図2】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図3】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図4】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図5】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図6】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図7】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図8】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図9】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図10】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図11】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図12】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図13】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図14】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法の流れを説明するための図である。
【
図15】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンス(g
m)と、従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンス(g
m)とを比較した図である。
【
図16】本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスの二次導関数(g
m’’)と、従来の相互コンダクタンスの二次導関数(g
m’’)とを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施例に合わせて本発明の具体的な実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタは、基板1、バッファ層2、バリア層3、ソース電極8、ドレイン電極9、パッシベーション層10およびゲート電極11を含む。バッファ層2およびバリア層3は、サブデバイスの凸状の第1ヘテロ接合を形成し、第1ヘテロ接合の凸状の両側には、それぞれスプライシングサブデバイスの第2ヘテロ接合選択領域と第3テロ接合選択領域とが対称的に設けられている。第2ヘテロ接合選択領域は、第2選択的エピタキシャルバッファ層4および第2選択的エピタキシャルバリア層5から構成される。第3ヘテロ接合選択領域は、第3選択的エピタキシャルバッファ層6および第3選択的エピタキシャルバリア層7から構成される。ゲート電極11は、それぞれバリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5および第3選択的エピタキシャルバリア層7の上方に配置されている。ソース電極8およびドレイン電極9は、ゲート電極11の両側のそれぞれに配置されている。第2ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は、第1ヘテロ接合に位置するサブデバイスの閾値電圧以上であり、第3ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は、第1ヘテロ接合に位置するサブデバイスの閾値電圧以下であり、第2ヘテロ接合選択領域および第3ヘテロ接合選択領域に位置するスプライシングサブデバイスの閾値電圧は異なる。
【0017】
バリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5または第3選択的エピタキシャルバリア層7の材料は、AlGaN,InAlN,AlInGaNまたはAlNである。
【0018】
バッファ層2、第2選択的エピタキシャルバッファ層4または第3選択的エピタキシャルバッファ層6の材料は、GaNおよびAlGaNのうちのいずれか1つまたは2つの組み合わせである。
【0019】
図2~14に示されるように、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造方法は、以下のステップを含む。
【0020】
(ステップ1)
図2に示すように、基板1の上方において、バッファ層2およびバリア層3を順次成長させる。ここで、基板1の材料は、SiC、Si、ダイヤモンドおよびGaNのうちのいずれか1つである。
【0021】
(ステップ2)
図3に示すように、バリア層3の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングする。続いて、
図4に示すように、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層3およびバッファ層2の一部を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。ここで、選択的成長マスクの材料は、SiN、SiON、SiO
2およびNiのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせである。
【0022】
(ステップ3)
図5に示すように、III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第2選択的エピタキシャルバッファ層4および第2選択的エピタキシャルバリア層5を順次成長させる。続いて、
図6に示すように、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去する。ここで、III-V族窒化物のエピタキシャル装置は、有機金属化学蒸着(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)およびパルスレーザー蒸着(PLD)のうちのいずれか1つである。
【0023】
(ステップ4)
図7に示すように、第2選択的エピタキシャルバッファ層4および第2選択的エピタキシャルバリア層5の左側のバリア層3の上方において、選択的成長マスクを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングする。続いて、
図8に示すように、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、選択的成長マスク、バリア層3およびバッファ層2の一部を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。ここで、選択的成長マスクの材料は、SiN、SiON、SiO
2およびNiのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせである。
【0024】
(ステップ5)
図9に示すように、III-V族窒化物用のエピタキシャル装置を用いて、第3選択的エピタキシャルバッファ層6および第3選択的エピタキシャルバリア層7を順次成長させる。続いて、
図10に示すように、ウェットエッチングによって、選択的成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去する。ここで、III-V族窒化物用のエピタキシャル装置は、MOCVD、MBEおよびPLDのうちのいずれか1つである。
【0025】
(ステップ6)
バリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5および第3選択的エピタキシャルバリア層7の両端のそれぞれにおいて、フォトレジストマスクを作製する。
蒸着またはスパッタリングにより金属を堆積し、オーミック金属を形成するためにリフトオフを実行する。続いて、
図11に示すように、N
2雰囲気で熱アニーリング処理を行い、ソース電極8およびドレイン電極9をそれぞれ作製する。
【0026】
(ステップ7)
図12に示すように、バリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5、第3選択的エピタキシャルバリア層7、ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、パッシベーション層10を堆積させる。
【0027】
(ステップ8)
パッシベーション層10の上方において活性領域マスク(active-region mask)を作製し、続いて、エッチングまたはイオン注入によって分離させ、活性領域を形成する。
【0028】
(ステップ9)
図13に示すように、パッシベーション層10の上方において、ゲート電極フットマスクを作製し、続いて、RIEまたはICP方法でエッチングすることによってパッシベーション層10を除去してゲート電極溝を形成する。
【0029】
(ステップ10)
図14に示すように、ゲート電極溝の上方においてゲート電極キャップマスクを定め、
蒸着またはスパッタリングによってゲート電極金属を堆積し、リフトオフを実行してT型ゲート電極11を形成する。
【0030】
(ステップ11)
ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、相互接続される開口領域マスクを定め、エッチングによってパッシベーション層10を除去して、相互接続された開口を形成する。
【0031】
(ステップ12)
ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、相互接続される金属領域マスクを定め、蒸着とリフトオフのプロセスによって相互接続された金属を形成する。
【0032】
本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaAN高電子移動度トランジスタおよびその製造方法について、以下では、具体的な実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0033】
<実施例1>
スプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造において、基板1はSiCで、バリア層3は厚さが21nmのAlxGa1-xN、x=0.28で、第2選択的エピタキシャルバリア層5は、厚さが15nmのAlyGa1-yN、y=0.28で、第3選択的エピタキシャルバリア層7は、厚さが28nmのAlzGa1-zN、z=0.28である。具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0034】
(ステップ1)
有機金属化学蒸着(MOCVD)技術を使用して950°Cで、2μmの意図せずにドープされたGaN層をSiC基板1上に成長させてバッファ層2を形成し、続いて、厚さが21nmのAlGaNバリア層3をバッファ層2上に成長させる。Al成分は28%である。
【0035】
(ステップ2)
バリア層3の上方において、選択的成長マスクSiO2を堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングする。続いて、ドライエッチングによって、SiO2、Al0.28Ga0.72Nバリア層3および2μmのGaNバッファ層2を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。
ここで、SiO2を堆積するプロセス条件は次のとおりである。
PECVD装置
ガス:それぞれSiH4、NO2、He、N2
流量:それぞれ20 sccm、6 sccm、100sccm、100 sccm
圧力:200 mTorr
温度:250°C
電力:25 W
厚さ:200 nm
また、SiO2をエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
RIE
ガス:SF4
流量:30 sccm
圧力:0.2 pa
電力:120W
さらに、AlxGa1-xNおよびGaNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれBCl3、Cl2
流量:それぞれ30 sccm、5 sccm
圧力:30 mTorr
温度:25°C
上部電極電力:100W
下部電極電力:3W
【0036】
(ステップ3)
MOCVD装置を使用して1030°Cで、2μmのGaN第2選択エピタキシャルバッファ層4と15nmのAl0.28Ga0.72N第2選択エピタキシャルバリア層5を順次成長させ、続いて、HF酸で選択的成長マスクとその上方のエピタキシャル材料を除去する。
【0037】
(ステップ4)
第2選択的エピタキシャルバリア層5の左側のバリア層3の上方において、選択的成長マスクSiO2を堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをエッチングする。続いて、ドライエッチングによって、SiO2、Al0.28Ga0.72Nバリア層3および2μmのGaNバッファ層2を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。
ここで、SiO2を堆積するプロセス条件は次のとおりである。
PECVD装置
ガス:それぞれSiH4、NO2、He、N2
流量:それぞれ20 sccm、6 sccm、100sccm、100 sccm
圧力:200 mTorr
温度:250°C
電力:25 W
厚さ:200 nm
また、SiO2をエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
RIE
ガス:SF4
流量:30 sccm
圧力:0.2 pa
電力:120W
さらに、AlxGa1-xNおよびGaNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれBCl3、Cl2
流量:それぞれ30 sccm、5 sccm
圧力:30 mTorr
温度:25°C
上部電極電力:100W
下部電極電力:3W
【0038】
(ステップ5)
MOCVD装置を使用して1030°Cで、2μmのGaN第3選択エピタキシャルバッファ層6および28nmのAl0.28Ga0.72N第3選択エピタキシャルバリア層7を順次成長させ、続いて、HF酸で選択成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去する。
【0039】
(ステップ6)
バリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5および第3選択的エピタキシャルバリア層7の両端のそれぞれにおいて、フォトレジストマスクを作製する。電子ビーム蒸着によって、金属を堆積し積層する。オーミック金属を形成するために、リフトオフを実行する。続いて、N2雰囲気で熱アニーリング処理を行い、ソース電極8およびドレイン電極9をそれぞれ作製する。堆積し積層された金属の材料は、下から上に順次、Ti、Al、NiおよびAuであり、堆積し積層された金属の厚さは、それぞれ22nm、170nm、30nm、40nmである。
電子ビーム蒸着のプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦2.0×10-6Torr
堆積速度<3Å/s
ラピッドサーマルアニーリングのプロセス条件は次のとおりである。
温度:845°C
時間:30秒
【0040】
(ステップ7)
PECVDによってバリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5、第3選択的エピタキシャルバリア層7、ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、SiNを堆積してパッシベーション層8を形成する。
SiNを堆積するプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれSiH4、NH3、He、N2
流量:それぞれ8 sccm、3 sccm、150 sccm、200 sccm
圧力:300 mTorr
温度:340°C
電力:25W
厚さ:100nm
【0041】
(ステップ8)
パッシベーション層10の上において活性領域マスクを作製し、続いて、イオン注入によって分離させ、活性領域を形成する。
イオン注入のプロセス条件は次のとおりである。
イオン:B+
電流:6μA
エネルギー:120 KeV
用量:4e14
【0042】
(ステップ9)
パッシベーション層10の上方において、ゲート電極フットマスクを作製し、続いて、RIE方法でエッチングによってパッシベーション層10を除去してゲート電極溝を形成する。
ここで、RIEエッチングのプロセス条件は次のとおりである。
ガス:CF4
流量:30 sccm
圧力:0.5 pa
電力:5W
【0043】
(ステップ10)
ゲート電極溝の上方においてゲート電極キャップマスクを定義し(定め)、電子ビーム蒸着によってゲート電極金属を堆積して積層し、リフトオフを実行してT型ゲート電極11を形成する。
ここで、金属を堆積して積層するプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦2.0×10-6Torr
堆積速度<3Å/s
堆積して積層された金属の材料は、下から上に順次、Ti、Au、Niであり、堆積し積層された金属の厚さは、それぞれ30nm、500nm、20nmである。
【0044】
(ステップ11)
ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、相互接続される開口領域マスクを定義し、RIEエッチングによってパッシベーション層10を除去して、相互接続された開口を形成する。
ここで、RIEエッチングのプロセス条件は次のとおりである。
流量:30 sccm
圧力:0.2 pa
電力:20W
【0045】
(ステップ12)
ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、相互接続される金属領域マスクを定義し、蒸着とリフトオフのプロセスによって相互接続された金属を形成する。
金属を堆積するためのプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦1.5×10-6Torr
堆積速度<4Å/s
堆積して積層された金属の材料は、下から上に順番にTi、Auであり、堆積して積層された金属の厚さはそれぞれ20nm、600nmである。
【0046】
<実施例2>
スプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの製造において、基板1はSiで、バッファ層2はGaNで、バリア層3は厚さが12nmのAlxGa1-xN、x=0.28で、第2選択的エピタキシャルバリア層5は、厚さが12nmのAlyGa1-yN、y=0.20で、第3選択的エピタキシャルバリア層7は、厚さが10nmのAlzGa1-zN、z=0.87である。具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0047】
(ステップ1)
有機金属化学蒸着(MOCVD)技術を使用して950°Cで、2μmの意図せずにドープされたGaN層をSi基板1上に成長させてバッファ層2を形成し、続いて、厚さが12nmのAlGaNバリア層3をバッファ層2上に成長させる。Al成分は28%である。
【0048】
(ステップ2)
バリア層3の上方において、選択的成長マスクSiNを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをフォトエッチングする。続いて、ドライエッチングによって、SiN、Al0.28Ga0.72Nバリア層3および0.3μmのGaNバッファ層2を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。
ここで、SiNを堆積するプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれSiH4、NH3、He、N2
流量:それぞれ8 sccm、3 sccm、150sccm、200 sccm
圧力:300 mTorr
温度:340°C
電力:25 W
厚さ:200 nm
また、SiNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
RIE
ガス:CF4
流量:30 sccm
圧力:0.2 pa
電力:20W
さらに、AlxGa1-xNおよびGaNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれBCl3、Cl2
流量:それぞれ30 sccm、5 sccm
圧力:30 mTorr
温度:25°C
上部電極電力:100W
下部電極電力:3W
【0049】
(ステップ3)
分子線エピタキシー装置を使用して750°Cで、0.3μmのGaN第2選択エピタキシャルバッファ層4と12nmのAl0.2Ga0.8N第2選択エピタキシャルバリア層5を順次成長させ、続いて、HF酸で選択的成長マスクとその上方のエピタキシャル材料を除去する。
【0050】
(ステップ4)
第2選択的エピタキシャルバリア層5の左側のバリア層3の上方において、選択的成長マスクSiNを堆積させ、フォトレジストをスピンコーティングし、パターンをエッチングする。続いて、ドライエッチングによって、SiN、Al0.28Ga0.72Nバリア層3および0.3μmのGaNバッファ層2を順次除去し、続いて、フォトレジストを除去する。
ここで、SiNを堆積するプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれSiH4、NH3、He、N2
流量:それぞれ8 sccm、3 sccm、150sccm、200 sccm
圧力:300 mTorr
温度:340°C
電力:25 W
厚さ:200 nm
また、SiNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
RIE
ガス:CF4
流量:30 sccm
圧力:0.2 pa
電力:20W
さらに、AlxGa1-xNおよびGaNをエッチングするプロセス条件は次のとおりである。
ガス:それぞれBCl3、Cl2
流量:それぞれ30 sccm、5 sccm
圧力:30 mTorr
温度:25°C
上部電極電力:100W
下部電極電力:3W
【0051】
(ステップ5)
分子線エピタキシー装置を用いて750℃で、0.3μmのGaN第3選択エピタキシャルバッファ層6および10nmのAl0.87Ga0.13N第3選択エピタキシャルバリア層7を順次成長させ、続いて、HF酸で選択成長マスクおよびその上方のエピタキシャル材料を除去する。
【0052】
(ステップ6)
バリア層3、第2選択的エピタキシャルバリア層5および第3選択的エピタキシャルバリア層7の両端のそれぞれにおいて、フォトレジストマスクを作製する。電子ビーム蒸着によって、金属を堆積し積層する。オーミック金属を形成するために、リフトオフを実行する。続いて、N2雰囲気で熱アニーリング処理を行い、ソース電極8およびドレイン電極9をそれぞれ作製する。堆積し積層された金属の材料は、下から上に順次、Ti、AlおよびTiNであり、その厚さは、それぞれ20nm、50nm、150nmである。
電子ビーム蒸着のプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦2.0×10-6Torr
堆積速度<3Å/s
ラピッドサーマルアニーリングのプロセス条件は次のとおりである。
温度:550°C
時間:60秒
【0053】
(ステップ7)
実施例2のステップ7は、実施例1と同様である。
【0054】
(ステップ8)
実施例2のステップ8は、実施例1と同様である。
【0055】
(ステップ9)
実施例2のステップ9は、実施例1と同様である。
【0056】
(ステップ10)
ゲート電極溝の上方においてゲート電極キャップマスクを定義し(定め)、電子ビーム蒸着によってゲート電極金属を堆積して積層し、リフトオフを実行してT型ゲート電極11を形成する。
ここで、金属を堆積して積層するプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦1.5×10-6Torr
堆積速度<4Å/s
堆積して積層された金属の材料は、下から上に順次、TiN、Ti、Al、Tiであり、厚さは、それぞれ20nm、30nm、500nm、30nmである。
【0057】
(ステップ11)
実施例2のステップ11は、実施例1と同様である。
【0058】
(ステップ12)
ソース電極8およびドレイン電極9の上方において、相互接続される金属領域マスクを定義し、蒸発とリフトオフのプロセスによって相互接続された金属を形成する。
金属を堆積するためのプロセス条件は次のとおりである。
真空度≦2×10-6Torr
堆積速度<4Å/s
堆積して積層された金属の材料は、下から上に順番にTi、Al、Tiであり、堆積して積層された金属の厚さはそれぞれ20nm、600nm、30nmである。
【0059】
図15は、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンス(gm)と、従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンス(gm)とを比較した図である。従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスにはスパイク現象が存在し、ピーキング後に急速に劣化するが、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスは、ゲート電極電圧の増加とともに徐々に上昇し、劣化しない。
【0060】
図16は、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスの二次導関数(g
m’’)と、従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスの二次導関数(g
m’’)とを比較した図である。本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスの二次導関数の絶対値(g
m’’)は、従来のGaN高電子移動度トランジスタの相互コンダクタンスの二次導関数の絶対値(g
m’’)よりも小さい。結果として、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタがより高い線形性を有することを示している。
【0061】
上述した詳細な説明および実施例は、本発明に係るスプライシングサブデバイスを備えるGaN高電子移動度トランジスタおよびその製造方法の技術的思想に対する具体的なサポートであり、本発明の保護範囲はこれらに限定されない。本発明に係る技術的思想にしたがい、本発明に係る技術的解決手段に基づいて行われたいわゆる均等の変更または改良のすべては、本発明の技術的解決手段の保護範囲に含まれる。