(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】乾燥装置、およびノズル乾燥方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230417BHJP
B08B 13/00 20060101ALI20230417BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
B08B13/00
B08B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2022511432
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2020014976
(87)【国際公開番号】W WO2021199369
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和馬
(72)【発明者】
【氏名】下坂 賢司
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0913953(KR,B1)
【文献】特開2017-147457(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244197(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B08B 13/00
B08B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着ノズルを挿入するための
複数の凹部と、
前記
複数の凹部の底面に形成されたエアの噴出口と、
前記吸着ノズルの種類に応じて前記
複数の凹部
の内のいずれかに
前記吸着ノズルを挿入
し、挿入された
前記吸着ノズルに向って前記噴出口からエアを噴出する制御装置と、
を備える乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥装置が、内径の異なる複数の前記凹部を備え、
前記複数の凹部の深さが、前記内径に応じて異なる請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記吸着ノズルが、フランジ部を有しており、
前記凹部の内径が、当該凹部に挿入される吸着ノズルのフランジ部の外形より小さい請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記吸着ノズルが、伸縮可能なノズルを有し、
前記制御装置が、
前記凹部に挿入された吸着ノズルのノズルに向って前記噴出口からエアを噴出する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の乾燥装置。
【請求項5】
吸着ノズルの種類に応じて複数の凹部
の内のいずれかに挿入された
前記吸着ノズルに、当該
吸着ノズルが挿入された凹部の底面からエアを噴出することで、吸着ノズルを乾燥させるノズル乾燥方法。
【請求項6】
前記凹部に挿入された吸着ノズルの先端と前記凹部の底面との間の距離が5mm以下となる位置で、前記凹部に挿入された吸着ノズルに、当該凹部の底面からエアを噴出する請求項5に記載のノズル乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸着ノズルを乾燥させる乾燥装置、およびノズル乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、エアの噴出により吸着ノズルを乾燥させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、エアの噴出により吸着ノズルを適切に乾燥させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、吸着ノズルを挿入するための複数の凹部と、前記複数の凹部の底面に形成されたエアの噴出口と、前記吸着ノズルの種類に応じて前記複数の凹部の内のいずれかに前記吸着ノズルを挿入し、挿入された前記吸着ノズルに向って前記噴出口からエアを噴出する制御装置と、を備える乾燥装置を開示する。
【0006】
また、本明細書は、吸着ノズルの種類に応じて複数の凹部の内のいずれかに挿入された前記吸着ノズルに、当該吸着ノズルが挿入された凹部の底面からエアを噴出することで、吸着ノズルを乾燥させるノズル乾燥方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、凹部に挿入された吸着ノズルに、当該凹部の底面からエアが噴出されることで、吸着ノズルを適切に乾燥させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】ノズル管理装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図8】ノズル管理装置の備える制御装置を示すブロック図である。
【
図14】変形例のノズル乾燥装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1に、電子部品装着装置10を示す。先ず、電子部品装着装置10の構成について説明する。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、装着機と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0011】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30を備えている。装着機本体20は、フレーム32と、そのフレーム32に上架されたビーム34とによって構成されている。
【0012】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図示省略)によって保持される。
【0013】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータの作動によって、フレーム32上の任意の位置に移動させられる。
【0014】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル60が設けられている。吸着ノズル60は、
図2に示すように、胴体筒64とフランジ部66と吸着管68と掛止ピン70とによって構成されている。胴体筒64は、円筒状をなし、フランジ部66は、胴体筒64の外周面に張り出すようにして固定されている。吸着管68は、細いパイプ状をなし、胴体筒64の下端部から下方に向かって延び出した状態で、胴体筒64に軸線方向に移動可能に保持されている。掛止ピン70は、胴体筒64の径方向に延びるように、胴体筒64の上端部に設けられている。吸着ノズル60は、掛止ピン70を利用して、装着ヘッド26にワンタッチで着脱可能に取り付けられる。なお、掛止ピン70の図示は、後述する
図5、
図7、
図9乃至
図14では省略される。また、装着ヘッド26には、バネ(図示省略)が内蔵されており、そのバネは、装着ヘッド26に取り付けられる吸着ノズル60の吸着管68に、弾性力を付与する。これにより、その吸着管68は、装着ヘッド26に内蔵されたバネの弾性力によって、胴体筒64の下端部から下方に延び出す方向に付勢されている。また、フランジ部66の上面には、2Dコード74が付されている。2Dコード74には、個別情報として、吸着ノズル60のID(identification)等が示されている。なお、2Dコード74に代えて、バーコード又はRFタグがフランジ部66の上面に付されてもよい。但し、RFタグがフランジ部66の上面に付される場合には、RFタグから個別情報を取得するためのリーダが、後述するノズル管理装置(
図3参照)80の移載ヘッド(
図4参照)120に取り付けられる。
【0015】
また、吸着ノズル60は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図示省略)に通じている。吸着ノズル60は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図示省略)を有している。そのノズル昇降装置によって、装着ヘッド26は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。
【0016】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、
図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(図示省略)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
【0017】
ノズルステーション30は、ノズルトレイ76を有している。ノズルトレイ76には、複数の吸着ノズル60が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60との交換等が、必要に応じて行われる。また、ノズルトレイ76は、ノズルステーション30に着脱可能であり、ノズルトレイ76に収容された吸着ノズル60の回収や、ノズルトレイ76への吸着ノズル60の補給等を装着機14の外部において行うことが可能である。
【0018】
次に、装着機14による装着作業について説明する。装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、装着機14の制御装置(図示省略)の指令により、回路基板が、作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置によって保持される。また、テープフィーダ72は、制御装置の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル60によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、回路基板の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板上に装着する。
【0019】
装着機14では、上述したように、テープフィーダ72によって供給された電子部品を、吸着ノズル60によって吸着保持し、その電子部品が回路基板上に装着される。このため、吸着ノズル60に不具合が生じている場合には、装着作業を適切に行うことができない虞があるため、吸着ノズル60を適切に管理する必要がある。そこで、以下に説明するノズル管理装置により、吸着ノズル60の管理が行われる。
【0020】
次に、ノズル管理装置の構成について説明する。ノズル管理装置80は、
図3に示すように、概して直方体形状をなしており、正面に、ノズルトレイ76をノズル管理装置80内に収納、若しくは、ノズル管理装置80からノズルトレイ76を取り出すための扉82が設けられている。その扉82の上方には、各種情報を表示し、各操作が行われるタッチパネル86等が配設されている。
【0021】
ノズル管理装置80は、
図4に示すように、管理装置本体90、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、ノズル乾燥装置100を有している。なお、
図4は、ノズル管理装置80の外殻部材を取り外した状態を示す斜視図であり、ノズル管理装置80の内部構造を示している。また、ノズル管理装置80には、制御装置200が接続されている。なお、制御装置200の詳細な説明は、後述する。
【0022】
管理装置本体90は、フレーム102と、そのフレーム102に上架されたビーム104とによって構成されている。フレーム102は、中空構造とされており、フレーム102内にパレット収容装置92が配設され、パレット収容装置92の上端部が、フレーム102の上面に露出している。
【0023】
パレット収容装置92は、複数のパレット載置棚106と、支持アーム108とを含む。パレット載置棚106は、ノズルパレット110を載置するための棚であり、複数のパレット載置棚106が、フレーム102の内部において、上下方向に並んで配設されている。なお、ノズルパレット110には、複数の吸着ノズル60が収容される。また、支持アーム108は、アーム移動装置(図示省略)の作動により、複数のパレット載置棚106の前方において、上下方向に移動するとともに、パレット載置棚106に接近・離間する。これにより、パレット載置棚106へのノズルパレット110の収納、パレット載置棚106からのノズルパレット110の取出しが、支持アーム108によって行われる。なお、パレット載置棚106から取り出されたノズルパレット110は、支持アーム108が上方に移動することで、フレーム102の上面側に移動する。
【0024】
ノズル移載装置94は、ノズルトレイ76とノズルパレット110との間で吸着ノズル60を移載するための装置であり、ビーム104に配設されている。ノズル移載装置94は、移載ヘッド120とヘッド移動装置122とを有している。移載ヘッド120の下端面には、下方を向いた状態のカメラ126と、吸着ノズル60を保持するための保持チャック128と、エア供給装置130とが取り付けられている。
【0025】
保持チャック128は、
図5に示すように、2本の保持爪132を有しており、それら2本の保持爪132を接近させることで、吸着ノズル60を胴体筒64において保持し、2本の保持爪132を離間させることで、保持した吸着ノズル60を離脱する。また、保持チャック128の本体部134には、エア流路136が形成されている。そのエア流路136の下端部は、2本の保持爪132の間に開口しており、上端部は、エア供給装置130に接続されている。このため、保持チャック128が吸着ノズル60を保持した状態において、エア供給装置130によってエア流路136にエアが供給されることで、吸着ノズル60の内部に向かってエアが、エア流路136の下端部から噴き出される。これにより、吸着ノズル60の内部にエアが噴きこまれ、吸着管68の先端部からエアが噴き出される。さらに、保持チャック128は、自身を自転させる自転装置(
図8参照)138を有している。これにより、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が自転する。
【0026】
また、ヘッド移動装置122は、
図4に示すように、移載ヘッド120をフレーム102の上において前後方向、左右方向、上下方向に移動させるXYZ型の移動装置である。なお、フレーム102の前方側の上面には、ノズルトレイ76をセットするための固定ステージ131が設けられており、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76と、パレット収容装置92の支持アーム108に支持されたノズルパレット110との間で、吸着ノズル60が移載される。
【0027】
ノズル検査装置96は、カメラ140とロードセル142とジョイント146とを有している。カメラ140は、上方を向いた状態でフレーム102の上面に配設されており、カメラ140を用いて、吸着ノズル60の先端部が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、下方からカメラ140によって撮像される。これにより、吸着ノズル60の先端部の撮像データが得られ、その撮像データに基づいて、吸着ノズル60の先端部の状態が検査される。
【0028】
また、ロードセル142は、カメラ140の隣に配設されており、ロードセル142を用いて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60の先端部がロードセル142に当接される。吸着ノズル60の先端部は、上述したように、伸縮可能とされており、ロードセル142により測定された荷重に基づいて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。
【0029】
また、ジョイント146は、エア供給装置130の下面に配設され、そのエア供給装置130からエアが供給される。そして、エア供給装置130からジョイント146に供給されるエアを用いて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。詳しくは、ジョイント146が、ヘッド移動装置122の作動により、後述する洗浄パレット158に載置された吸着ノズル60の上方に移動する。そして、ジョイント146が、検査対象の吸着ノズル60に接続され、エア供給装置130からエアが供給される。この際にエア圧が測定され、そのエア圧に基づいて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。
【0030】
なお、フレーム102の上面には、複数の廃棄ボックス148が配設されており、上記検査により不良ノズルと判定された吸着ノズル60は、廃棄ボックス148に廃棄される。また、上記検査により正常なノズルと判定された吸着ノズル60は、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻される。
【0031】
ノズル洗浄装置98は、吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う装置であり、パレット収容装置92の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98は、洗浄・乾燥機構150と洗浄パレット移動機構152とを備えている。洗浄・乾燥機構150は、内部において吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う機構である。また、洗浄パレット移動機構152は、洗浄パレット158が露出する露出位置(
図4で洗浄パレット158が図示されている位置)と、洗浄・乾燥機構150の内部との間で、洗浄パレット158を移動させる機構である。
【0032】
ノズル乾燥装置100は、吸着ノズル60の乾燥を行う装置であり、露出位置に位置する洗浄パレット158の隣に配設されている。ノズル乾燥装置100は、
図6に示すように、ハウジング160とエアブロー装置162とを有している。ハウジング160は、概してブロック状をなし、ハウジング160には、3つの有底穴164,166,168が形成されている。各有底穴164,166,168は、ハウジング160の上面に開口するとともに、下方に向って凹んだ円筒形状とされている。そして、それら3つの有底穴164,166,168の内部が、吸着ノズル60を乾燥させるための3つの乾燥室170,172,174として機能する。それら3つの乾燥室170,172,174の内径は異なっており、乾燥室170の内径が最も大きく、乾燥室174の内径が最も小さく、乾燥室172の内径は、乾燥室170の内径と乾燥室174の内径との中間程度とされている。また、それら3つの乾燥室170,172,174の深さ寸法は、内径の寸法に応じて異なっている。具体的には、乾燥室170の深さ寸法が最も深く、乾燥室172の深さ寸法が最も浅く、乾燥室174の深さ寸法は、乾燥室172の深さ寸法より僅かに、例えば、1~3mm程度、深くされている。なお、3つの乾燥室170,172,174を区別する際に、乾燥室170を第1乾燥室170と記載し、乾燥室172を第2乾燥室172と記載し、乾燥室174を第3乾燥室174と記載する。
【0033】
また、ハウジング160には、
図6のAA線における断面図である
図5に示すように、有底穴164の径方向に延びるように、2つの貫通穴176,178が形成されており、それら2つの貫通穴176,178は、ハウジング160の外壁面と第1乾燥室170の内壁面とに開口している。貫通穴176は、ハウジング160の外壁面から第1乾燥室170の内壁面に向かって斜め上方にハウジング160の側壁を貫通している。一方、貫通穴178は、貫通穴176の上方において、概して水平方向に延びるように、ハウジング160の側壁を貫通している。また、貫通穴176のハウジング160の外壁面への開口に、バルブ180が連結されており、貫通穴178のハウジング160の外壁面への開口にも、バルブ182が連結されている。そして、バルブ180は、配管184を介して、エアブロー装置162に接続されており、バルブ182は、配管186を介して、エアブロー装置162に接続されている。これにより、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ180,182が開放されることで、第1乾燥室170の内部に向って、貫通穴176,178からエアが噴き出される。なお、バルブ180,182は、常閉弁である。
【0034】
また、ハウジング160には、
図6に示すように、有底穴166の底面、つまり、第2乾燥室172の底面から下方に向って延び出し、ハウジング160の外壁面に向って直角に折れ曲がり、ハウジング160の外壁面に開口する貫通穴188が形成されている。その貫通穴188のハウジング160の外壁面への開口には、バルブ190が連結されており、バルブ190は、配管192を介して、エアブロー装置162に接続されている。これにより、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ190が開放されることで、第2乾燥室172の内部に向って、貫通穴188からエアが噴き出される。つまり、第2乾燥室172では、第2乾燥室172の底面から上方に向ってエアが噴出される。なお、バルブ190は、常閉弁である。
【0035】
さらに、ハウジング160には、有底穴168の底面、つまり、第3乾燥室174の底面から下方に向って延び出し、ハウジング160の外壁面に向って直角に折れ曲がり、ハウジング160の外壁面に開口する貫通穴194が形成されている。その貫通穴194のハウジング160の外壁面への開口には、バルブ196が連結されており、バルブ196は、配管198を介して、エアブロー装置162に接続されている。これにより、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ196が開放されることで、第3乾燥室174の内部に向って、貫通穴194からエアが噴き出される。つまり、第3乾燥室174では、第3乾燥室174の底面から上方に向ってエアが噴出される。なお、バルブ196は、常閉弁である。
【0036】
また、制御装置200は、
図8に示すように、コントローラ202と、複数の駆動回路206とを備えている。複数の駆動回路206は、パレット収容装置92、エア供給装置130、自転装置138、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、エアブロー装置162、バルブ180,182,190,196に接続されている。コントローラ202は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路206に接続されている。これにより、パレット収容装置92、ノズル移載装置94等の作動が、コントローラ202によって制御される。
【0037】
ノズル管理装置80では、上述した構成によって、吸着ノズル60を適切に管理するべく、吸着ノズル60の洗浄などが行われる。詳しくは、作業者は、洗浄対象の吸着ノズル60が収容されているノズルトレイ76を、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。ノズル管理装置80では、固定ステージ131にノズルトレイ76が載置されると、載置されたノズルトレイ76の上方に、カメラ126が、ヘッド移動装置122の作動により移動し、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60を撮像する。この際、コントローラ202は、その撮像により得られた撮像データに基づいて、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60のIDを取得する。そして、コントローラ202は、取得した吸着ノズル60のIDを利用して、ノズル管理装置80において吸着ノズル60を管理する。なお、制御装置200には、吸着ノズル60のID毎に吸着ノズル60のサイズ等が記憶されており、吸着ノズル60のIDに基づいて、吸着ノズル60のサイズ等も取得することが可能である。
【0038】
そして、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60の撮像により、吸着ノズル60のIDが取得されると、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60が、ノズル移載装置94によって、ノズル洗浄装置98の洗浄パレット158に移載される。この際、洗浄パレット158は、洗浄パレット移動機構152の作動により、露出位置に移動している。そして、洗浄パレット158への吸着ノズル60の移載が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部に移動し、吸着ノズル60の洗浄および乾燥が行われる。洗浄・乾燥機構150による吸着ノズル60の洗浄および乾燥が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部から露出位置に移動する。この際、露出位置に移動した洗浄パレット158の上方に、保持チャック128が、ヘッド移動装置122の作動により移動する。そして、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60に向って、保持チャック128からエア供給装置130の作動により、エアが噴き出される。これにより、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60の上面、特に、フランジ部66の上面等から水分が吹き飛ばされる。
【0039】
なお、吸着ノズル60は、洗浄・乾燥機構150での乾燥および、保持チャック128からのエアの噴き出しにより、ある程度乾燥している。ただし、洗浄・乾燥機構150での乾燥および、保持チャック128からのエアの噴き出しは、洗浄パレット158に吸着ノズル60が搭載された状態で行われるため、吸着ノズル60に水分が残存している虞がある。特に、吸着ノズル60では、上述したように、胴体筒64と吸着管68とが相対移動可能となっており、胴体筒64と吸着管68との間に水が浸入するため、胴体筒64と吸着管68との間に浸入した水が残存している場合がある。このように胴体筒64と吸着管68との間に水分が残存した吸着ノズル60は、上記ロードセル142を用いた検査において、不良ノズルと判定される虞がある。詳しくは、ロードセル142を用いた検査は、上述したように、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態の検査であり、胴体筒64と吸着管68との間に水分が残存した吸着ノズル60では、水分によって胴体筒64と吸着管68との摺動抵抗が大きくなり、ロードセル142により測定される荷重が高くなる。このため、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が適切でないと判定され、その吸着ノズル60は、不良ノズルと判定される虞がある。
【0040】
このようなことに鑑みて、ノズル管理装置80では、洗浄・乾燥機構150での乾燥および、保持チャック128からのエアの噴き出しが完了すると、ノズル乾燥装置100を用いて、吸着ノズル60の乾燥が行われる。詳しくは、洗浄・乾燥機構150での乾燥および、保持チャック128からのエアの噴き出しが完了すると、洗浄パレット158に搭載されている吸着ノズル60が、保持チャック128によって保持される。次に、保持チャック128が、ヘッド移動装置122の作動により、ノズル乾燥装置100のハウジング160の第1乾燥室170の上方に移動し、下降する。ちなみに、第1乾燥室170の内径は、3つの乾燥室170,172,174のうちで最も大きく、第1乾燥室170の深さ寸法は、3つの乾燥室170,172,174のうちで最も深くされている。このため、保持チャック128に保持された吸着ノズル60の全体が、
図5に示すように、ハウジング160の第1乾燥室170の内部に挿入される。なお、吸着ノズル60のフランジ部66の下面側及び吸着管68の側面が、貫通穴178の横方向に位置する箇所まで、保持チャック128は下降する。
【0041】
その後、第1乾燥室170の内部において、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、自転装置138の作動により自転する。この際、保持チャック128から、エア供給装置130の作動により、エアが噴き出され、保持チャック128に保持された吸着ノズル60の上方から噴き出されたエアが、吸着ノズル60の内部に吹き付けられる。このように、吸着ノズル60の内部にエアが吹き付けられることで、吸着管68が胴体筒64に対して下方に向かって相対移動し、下方に延び出す。これにより、フランジ部66の下側において、吸着管68の胴体筒64に対する摺動面が露出する。また、保持チャック128が自転している際に、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ180,182が開放されることで、自転している吸着ノズル60に向って、貫通穴176,178からエアが噴き出される。この際、貫通穴178から噴き出されたエアは、吸着ノズル60の胴体筒64から露出している吸着管68の摺動面に、吹き付けられるとともに、貫通穴176から噴き出されたエアは、吸着ノズル60の吸着管68の先端に、吹き付けられる。つまり、貫通穴176,178から噴き出されたエアが、吸着ノズル60の全周に渡って、フランジ部66の下方全体に吹き付けられる。これにより、胴体筒64と吸着管68との間に残存している水分を好適に除去することが可能となる。なお、ノズル乾燥装置100は、水分以外の付着物、具体的には、例えば、油分、埃、電子部品又はその一部、半田、接着剤等を除去することも可能である。
【0042】
このように、ノズル乾燥装置100において、保持チャック128に保持された吸着ノズル60にエアが噴出されることで、吸着ノズル60を好適に乾燥させることができる。ただし、ノズル乾燥装置100では、サイズの異なる多くの種類の吸着ノズルが管理されるため、大きいサイズの吸着ノズルを、上記方法により好適に乾燥させることができない虞がある。具体的には、ノズル乾燥装置100では、吸着ノズル60のノズル径より大きなノズル径の吸着ノズル210(
図9参照)も管理される。その吸着ノズル210が、ノズル洗浄装置98で洗浄された後に、保持チャック128により保持され、
図9に示すように、第1乾燥室170に挿入される。なお、第1乾燥室170の内径は、吸着ノズル210のフランジ部212の外径より大きいため、吸着ノズル210の全体を、第1乾燥室170に挿入することができる。この際、吸着ノズル210のフランジ部212の下面側及び吸着管214の側面が、貫通穴178の横方向に位置する箇所まで、保持チャック128は下降して、吸着ノズル210が第1乾燥室170に挿入される。
【0043】
そして、保持チャック128に保持された吸着ノズル210も、吸着ノズル60と同様に、自転するとともに、貫通穴176,178からエアが噴出され、保持チャック128からもエアが噴出される。これにより、フランジ部212の下側において、吸着管214の胴体筒216に対する摺動面が露出し、貫通穴178から噴き出されたエアは、吸着ノズル210のフランジ部212の下面側および、胴体筒216から露出している吸着管214の摺動面に、吹き付けられる。ただし、吸着ノズル210は、吸着ノズル60より大きいため、貫通穴176から噴き出されたエアも、吸着ノズル210の吸着管214の摺動面に吹き付けられる。つまり、第1乾燥室170において、保持チャック128に保持された吸着ノズル210にエアが吹き付けられる際に、吸着ノズル210のフランジ部212の下面側および、吸着管214の側面に、エアが吹き付けられるが、吸着管214の先端に、エアは吹き付けられない。このため、第1乾燥室170でのエアの吹き付けにより、吸着ノズル210の全体を好適に乾燥させることができない虞がある。
【0044】
そこで、保持チャック128に保持された吸着ノズル210は、第1乾燥室170での乾燥が終了すると、
図7に示すように、ノズル乾燥装置100の第2乾燥室172に挿入される。ただし、吸着ノズル210のフランジ部212の外径は、第2乾燥室172の内径より大きいため、吸着ノズル210の吸着管214のみが第2乾燥室172に挿入される。この際、第2乾燥室172のハウジング160の上面への開口が、吸着ノズル210のフランジ部212により覆われるように、吸着ノズル210の吸着管214が第2乾燥室172に挿入される。ただし、ハウジング160の上面と、吸着ノズル210のフランジ部212の下面との間に、僅かな隙間、例えば、0.5mm程度の隙間ができるように、第2乾燥室172のハウジング160の上面への開口が、フランジ部212により覆われる。
【0045】
また、第2乾燥室172の深さ寸法は、吸着ノズル210の寸法に応じた寸法とされている。具体的には、第2乾燥室172の深さ寸法は、吸着ノズル210が伸長した状態、つまり、吸着管214が胴体筒216から延び出した状態でのフランジ部212の下面と吸着管214の先端面との間の距離(以下、「ノズル先端距離」と記載する)より僅かに長くされている。このため、例えば、第2乾燥室172の深さ寸法がノズル先端距離より2mm程度、長くされており、吸着ノズル210が第2乾燥室172に挿入された際にハウジング160の上面とフランジ部212の下面との間に0.5mm程度の隙間がある場合に、吸着管214の先端と第2乾燥室172の底面との間の距離は、1.5mm程度となる。つまり、吸着ノズル210の吸着管214が第2乾燥室172に挿入された際に、吸着管214の先端が第2乾燥室172の底面の非常に近くまで接近する。この際、第2乾燥室172の底面には、貫通穴188が形成されているため、第2乾燥室172に挿入された吸着ノズル210の吸着管214の先端は、非常に近い位置において貫通穴188の開口と向かい合う。
【0046】
このように、保持チャック128に保持された吸着ノズル210の吸着管214が第2乾燥室172に挿入されると、まず、保持チャック128から、エア供給装置130の作動により、エアが噴き出され、保持チャック128に保持された吸着ノズル210の上方から噴き出されたエアが、吸着ノズル210の内部に吹き付けられる。このように、吸着ノズル210の内部にエアが吹き付けられることで、吸着管214が胴体筒216に対して下方に向かって相対移動し、下方に延び出す。これにより、フランジ部212の下側において、吸着管214の胴体筒216に対する摺動面が露出する。また、吸着管214の先端が、第2乾燥室172の底面に開口する貫通穴188の開口の非常に近くまで下降する。
【0047】
次に、エア供給装置130の作動が停止し、保持チャック128からのエアの噴き出しが停止した後に、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ190が開放される。これにより、貫通穴188の開口の非常に近くまで下降している吸着管214の先端に向って、その貫通穴188の開口からエアが噴き出される。この際、吸着管214の先端の非常に近い貫通穴188の開口から噴き出されたエアにより、吸着管214の先端に付着していた水分が吹き飛ばされる。なお、吸着管214はデフォルメして図示されており、実際の吸着管214の外径は、貫通穴188の内径より小さい。このため、貫通穴188から噴き出されたエアは、吸着管214の先端面だけでなく、吸着管214の側面にも吹き付けられることで、胴体筒216から露出している吸着管214の全体の水分が吹き飛ばされる。また、貫通穴188から噴き出されたエアによって、
図10に示すように、吸着管214が胴体筒216に対して上方に向かって相対移動することで、上方に延び出して、胴体筒216の上側において、吸着管214の胴体筒216に対する摺動面が露出する。
【0048】
そして、胴体筒216の上側において、吸着管214の胴体筒216に対する摺動面が露出すると、エアブロー装置162の作動が停止するとともに、バルブ190が閉じられて、貫通穴188からのエアの噴き出しが停止した後に、再度、保持チャック128から、エア供給装置130の作動により、エアが噴き出される。この際、胴体筒216の上側において露出する吸着管214の摺動面に、保持チャック128からエアが吹き付けられる。これにより、胴体筒216の上側において露出する吸着管214の摺動面に付着した水分が吹き飛ばされる。そして、保持チャック128からのエアの噴き出しにより、
図7に示すように、吸着管214が、再度、下方に延び出す。
【0049】
このように、保持チャック128からのエアの噴き出しにより、吸着管214が下方に延び出すと、エア供給装置130の作動が停止し、保持チャック128からのエアの噴き出しが停止した後に、再度、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ190が開放される。これにより、貫通穴188からエアが噴き出され、
図10に示すように、吸着管214が、再度、上方に延び出す。つまり、第2乾燥室172では、保持チャック128からのエアの噴き出しと、貫通穴188からのエアの噴き出しとが交互に行われ、吸着管214を胴体筒216に対して上下に繰り返し摺動させた状態で、吸着管214にエアが噴き出される。これにより、吸着ノズル210の胴体筒216と吸着管214との間に残存している水分を好適に除去することができる。
【0050】
つまり、吸着ノズル60のノズル径より大きなノズル径の吸着ノズル210は、第1乾燥室170において、フランジ部212の下方の吸着管214の先端以外の箇所に、エアが吹き付けられる。そして、第1乾燥室170での吸着ノズル210へのエアの吹き付けが完了した後に、第2乾燥室172において、吸着管214の先端にエアが吹き付けられるともに、吸着管214を胴体筒216に対して摺動させた状態で、吸着管214にエアが吹き付けられる。これにより、吸着ノズル210の全体を好適に乾燥させることができる。特に、第2乾燥室172では、第2乾燥室172の底面からエアが噴き出され、その噴き出されたエアが直接的に吸着管214の先端に吹き付けられる。これにより、好適に吸着ノズル210を乾燥させることができる。さらに言えば、第2乾燥室172の深さ寸法は、吸着ノズル210の寸法に応じた寸法とされているため、第2乾燥室172に挿入された吸着管214の先端と第2乾燥室172の底面との間の距離が非常に短くなり、吸着管214の先端に非常に近い位置からエアが吹き付けられる。これにより、更に好適に吸着ノズル210を乾燥させることができる。なお、第2乾燥室172において、保持チャック128及び貫通穴188から噴き出されるエアは、ハウジング160の上面と、吸着ノズル210のフランジ部212の下面との隙間からリークする。これにより、第2乾燥室172内のエア圧の上昇が抑制される。
【0051】
また、ノズル乾燥装置100では、吸着ノズル60のノズル径より大きいが、吸着ノズル210のノズル径より小さいノズル径の吸着ノズル230(
図11参照)も管理される。その吸着ノズル230も、ノズル洗浄装置98で洗浄された後に、保持チャック128により保持され、
図11に示すように、第1乾燥室170に挿入される。なお、第1乾燥室170の内径は、吸着ノズル230のフランジ部232の外径より大きいため、吸着ノズル230の全体を、第1乾燥室170に挿入することができる。この際、吸着ノズル230のフランジ部232の下面側及び吸着管234の側面が、貫通穴178の横方向に位置する箇所まで、保持チャック128は下降して、吸着ノズル230が第1乾燥室170に挿入される。
【0052】
そして、保持チャック128に保持された吸着ノズル230も、吸着ノズル60と同様に、自転するとともに、貫通穴176,178からエアが噴出され、保持チャック128からもエアが噴出される。これにより、フランジ部232の下側において、吸着管234の胴体筒236に対する摺動面が露出し、貫通穴178から噴き出されたエアは、吸着ノズル60のフランジ部232の下面側および、胴体筒236から露出している吸着管234の摺動面に、吹き付けられる。ただし、吸着ノズル230も、吸着ノズル60より大きいため、貫通穴176から噴き出されたエアは、吸着管234の摺動面に吹き付けられ、吸着管234の先端に吹き付けられない。このため、第1乾燥室170でのエアの吹き付けにより、吸着ノズル230の全体を好適に乾燥させることができない。
【0053】
そこで、保持チャック128に保持された吸着ノズル230は、第1乾燥室170での乾燥が終了すると、
図12に示すように、ノズル乾燥装置100の第3乾燥室174に挿入される。ただし、吸着ノズル230のフランジ部232の外径は、第3乾燥室174の内径より大きいため、吸着ノズル230の吸着管234のみが第3乾燥室174に挿入される。この際、第3乾燥室174のハウジング160の上面への開口が、吸着ノズル230のフランジ部232により覆われるように、吸着ノズル230の吸着管234が第3乾燥室174に挿入される。ただし、ハウジング160の上面と、吸着ノズル230のフランジ部232の下面との間に、僅かな隙間、例えば、0.5mm程度の隙間ができるように、第3乾燥室174のハウジング160の上面への開口が、フランジ部232により覆われる。
【0054】
また、第3乾燥室174の深さ寸法は、吸着ノズル230の寸法に応じた寸法とされている。具体的には、第3乾燥室174の深さ寸法は、吸着ノズル230が伸長した状態でのフランジ部232の下面と吸着管234の先端面との間の距離つまり、ノズル先端距離より僅かに長くされている。このため、例えば、第3乾燥室174の深さ寸法がノズル先端距離より2mm程度、長くされており、吸着ノズル230が第3乾燥室174に挿入された際にハウジング160の上面とフランジ部232の下面との間に0.5mm程度の隙間がある場合に、吸着管234の先端と第3乾燥室174の底面との間の距離は、1.5mm程度となる。つまり、吸着ノズル230の吸着管234が第3乾燥室174に挿入された際に、吸着管234の先端が第3乾燥室174の底面の非常に近くまで接近する。この際、第3乾燥室174の底面には、貫通穴194が形成されているため、第3乾燥室174に挿入された吸着ノズル230の吸着管234の先端は、非常に近い位置において貫通穴194の開口と向かい合う。
【0055】
このように、保持チャック128に保持された吸着ノズル230の吸着管234が第3乾燥室174に挿入されると、第2乾燥室172と同様に、保持チャック128からのエアの噴き出しと、貫通穴194からのエアの噴き出しとが交互に行われる。つまり、まず、保持チャック128から、エア供給装置130の作動により、エアが噴き出され、保持チャック128に保持された吸着ノズル230の上方から噴き出されたエアが、吸着ノズル230の内部に吹き付けられる。これにより、
図12に示すように、吸着管234が胴体筒236に対して下方に向かって相対移動し、下方に延び出すことで、フランジ部232の下側において、吸着管234の胴体筒236に対する摺動面が露出する。また、吸着管234の先端が、第3乾燥室174の底面に開口する貫通穴194の開口の非常に近くまで下降する。
【0056】
次に、エア供給装置130の作動が停止し、保持チャック128からのエアの噴き出しが停止した後に、エアブロー装置162が作動するとともに、バルブ196が開放される。これにより、貫通穴194の開口の非常に近くまで下降している吸着管234の先端に向って、その貫通穴194の開口からエアが噴き出される。この際、吸着管234の先端の非常に近い貫通穴194の開口から噴き出されたエアにより、吸着管234の先端に付着していた水分が吹き飛ばされる。なお、吸着管234はデフォルメして図示されており、実際の吸着管234の外径は、貫通穴194の内径より小さい。このため、貫通穴194から噴き出されたエアは、吸着管234の先端面だけでなく、吸着管234の側面にも吹き付けられることで、胴体筒236から露出している吸着管234の全体の水分が吹き飛ばされる。また、貫通穴194から噴き出されたエアによって、
図13に示すように、吸着管234が胴体筒236に対して上方に向かって相対移動することで、上方に延び出して、胴体筒236の上側において、吸着管234の胴体筒236に対する摺動面が露出する。
【0057】
そして、保持チャック128からのエアの噴き出しと、貫通穴194からのエアの噴き出しとが交互に行われることで、吸着管234を胴体筒236に対して上下に繰り返し摺動させた状態で、吸着管234にエアが噴き出される。これにより、吸着ノズル230の胴体筒236と吸着管234との間に残存している水分を好適に除去することができる。
【0058】
つまり、吸着ノズル60のノズル径より大きく、吸着ノズル210のノズル径より小さいノズル径の吸着ノズル230は、第1乾燥室170において、フランジ部232の下方の吸着管234の先端以外の箇所に、エアが吹き付けられる。そして、第1乾燥室170での吸着ノズル230へのエアの吹き付けが完了した後に、第3乾燥室174において、吸着管234の先端にエアが吹き付けられるともに、吸着管234を胴体筒236に対して摺動させた状態で、吸着管234にエアが吹き付けられる。これにより、吸着ノズル230の全体を好適に乾燥させることができる。特に、第3乾燥室174においても、第3乾燥室174の底面からエアが噴き出され、その噴き出されたエアが直接的に吸着管234の先端に吹き付けられる。これにより、好適に吸着ノズル230を乾燥させることができる。さらに言えば、第3乾燥室174の深さ寸法は、吸着ノズル230の寸法に応じた寸法とされているため、第3乾燥室174に挿入された吸着管234の先端と第3乾燥室174の底面との間の距離が非常に短くなり、吸着管234の先端に非常に近い位置からエアが吹き付けられる。これにより、更に好適に吸着ノズル230を乾燥させることができる。なお、第3乾燥室174において、保持チャック128及び貫通穴194から噴き出されるエアは、ハウジング160の上面と、吸着ノズル230のフランジ部232の下面との隙間からリークする。これにより、第3乾燥室174内のエア圧の上昇が抑制される。
【0059】
このように、ノズル管理装置80では、比較的小さなサイズの吸着ノズル60は、第1乾燥室170でのエアの吹き付けにより乾燥される。また、比較的大きなサイズの吸着ノズル210は、第1乾燥室170でのエアの吹き付けにより乾燥された後に、第2乾燥室172でのエアの吹き付けにより乾燥される。また、吸着ノズル60と吸着ノズル210との中間ぐらいのサイズの吸着ノズル230は、第1乾燥室170でのエアの吹き付けにより乾燥された後に、第3乾燥室174でのエアの吹き付けにより乾燥される。つまり、ノズル管理装置80では、吸着ノズルは、サイズに応じて、3つの乾燥室170,172,174のうちの1以上の乾燥室において乾燥される。これにより、様々なサイズの吸着ノズルを適切に乾燥させることができる。
【0060】
なお、乾燥対象の吸着ノズルのサイズは、先に取得されている吸着ノズルのIDに基づいて判定される。つまり、吸着ノズルはノズル管理装置80に収納されると、上述したように、カメラ126による撮像データに基づいて、コントローラ202が吸着ノズルのIDを取得している。また、制御装置200には、吸着ノズルのIDと、その吸着ノズルのサイズとが対応付けられたデータが記憶されている。このため、コントローラ202は、そのデータを参照することで、乾燥対象の吸着ノズルのIDに基づいて、乾燥対象の吸着ノズルのサイズを特定する。そして、コントローラ202は、特定した吸着ノズルのサイズに応じて、上述した方法で吸着ノズルを乾燥させる。
【0061】
ちなみに、吸着ノズルのサイズに応じた方法で乾燥された吸着ノズルは、ノズル検査装置96において検査が行われ、検査結果の良好な吸着ノズルが、固定ステージ131に載置されたノズルトレイ76、若しくは、パレット収容装置92のノズルパレット110に収納される。また、検査結果の良好でない吸着ノズルは、固定ステージ131の隣に配設された廃棄ボックス148に廃棄される。
【0062】
なお、吸着ノズル60は、吸着ノズルの一例である。フランジ部66は、フランジ部の一例である。吸着管68は、ノズルの一例である。ノズル乾燥装置100は、乾燥装置の一例である。第2乾燥室172は、凹部の一例である。第3乾燥室174は、凹部の一例である。貫通穴188の開口は噴出口の一例である。貫通穴194の開口は、噴出口の一例である。制御装置200は、制御装置の一例である。吸着ノズル210は、吸着ノズルの一例である。フランジ部212は、フランジ部の一例である。吸着管214は、ノズルの一例である。吸着ノズル230は、吸着ノズルの一例である。フランジ部232は、フランジ部の一例である。吸着管234は、ノズルの一例である。
【0063】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0064】
ノズル乾燥装置100では、第2乾燥室172と第3乾燥室174との各々において、第2乾燥室172と第3乾燥室174との各々の底面に形成された貫通穴188と貫通穴194との各々から吸着ノズル210,230に向ってエアが噴出される。これにより、吸着ノズル210,230に直接的にエアを噴出することが可能となり、適切に吸着ノズル210,230を乾燥させることができる。
【0065】
また、ノズル乾燥装置100では、第2乾燥室172の内径と第3乾燥室174の内径とが異なっており、第2乾燥室172の深さと第3乾燥室174の深さとが、内径に応じて異なっている。つまり、第2乾燥室172と第3乾燥室174との深さ寸法が、第2乾燥室172と第3乾燥室174との各々に挿入される吸着ノズルのノズル先端距離に応じた寸法とされている。これにより、第2乾燥室172と第3乾燥室174との各々の底面と、吸着管の先端との間の距離を短くすることが可能となり、吸着管の非常に近くから吸着管にエアを噴出することで、適切に吸着ノズルを乾燥させることができる。
【0066】
また、ノズル乾燥装置100では、第2乾燥室172の内径が、吸着ノズル210のフランジ部212の外径より小さくされており、第3乾燥室174の内径が、吸着ノズル230のフランジ部232の外径より小さくされている。これにより、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174の開口をフランジ部212,232により覆った状態で、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174に挿入された吸着管214,234にエアを噴出することで、適切に吸着ノズルを乾燥させることができる。
【0067】
また、ノズル乾燥装置100では、吸着ノズル210,230の伸縮するノズル、つまり、吸着管214,234に向って、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174において、底面からエアが噴出される。これにより、吸着管214,234の摺動面に入り込んでいる水滴などを好適に除去し、適切に吸着ノズルを乾燥させることができる。
【0068】
また、ノズル乾燥装置100では、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174に挿入された吸着管214,234の先端と、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174の底面との間の距離が5mm以下、具体的には、1.5mm程度となる位置で、吸着管214,234にエアが噴出される。これにより、吸着管214,234の先端に非常に近い位置から、吸着管214,234にエアが噴出されることで、適切に吸着ノズルを乾燥させることができる。
【0069】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施形態では、第2乾燥室172若しくは第3乾燥室174の底面に開口する貫通穴188,194が形成されているが、側面に開口する貫通穴が形成されてもよい。具体的には、例えば、
図14に示すように、第2乾燥室250として機能する有底穴252の側面に開口する貫通穴254が形成され、第3乾燥室260として機能する有底穴262の側面に開口する貫通穴264が形成されてもよい。このような場合には、貫通穴254,264から噴出されたエアが、有底穴252,262の底面で反射することで、有底穴252,262の底面から、吸着ノズル210,230に向って吹き付けられる。なお、有底穴252,262の底面に傾斜部,凸部などを形成することで、有底穴252,262の底面から好適に吸着ノズルに向ってエアを吹き付けることが可能となる。
【0070】
また、上記実施形態では、吸着ノズル210,230が第1乾燥室170で乾燥された後に、第2乾燥室172若しくは、第3乾燥室174で乾燥されているが、第2乾燥室172若しくは、第3乾燥室174で乾燥された後に、第1乾燥室170で乾燥されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、吸着ノズル210,230が、3つの乾燥室170,172,174のうちの2つの乾燥室で乾燥されているが、1つの乾燥室で乾燥されてもよい。このような場合には、吸着ノズル210,230の全体にエアを吹き付けることが可能な乾燥室を設ける必要がある。具体的には、例えば、第1乾燥室170に、第2乾燥室172の貫通穴188と同様の貫通穴が形成された乾燥室を設けることで、その1つの乾燥室において、吸着ノズル210,230の全体にエアを吹き付けることができる。
【0072】
また、上記実施形態では、例えば、ハウジング160の上面と、吸着ノズルのフランジ部の下面との間に、僅かな隙間ができるように、第2乾燥室172のハウジング160の上面への開口が、フランジ部により覆われることで、第2乾燥室172のエア圧の上昇が抑制されている。一方、第2乾燥室172若しくは、貫通穴188にリーク穴を形成することで、第2乾燥室172のエア圧の上昇が抑制されてもよい。このような場合には、ハウジング160の上面と、吸着ノズルのフランジ部の下面とを密着させるように、第2乾燥室172のハウジング160の上面への開口が、フランジ部212により覆われてもよい。また、そのリーク穴にサイレンサーを配設することで、風切り音を抑制することができる。なお、第3乾燥室174においても、当然、同様の手法を採用することができる。
【符号の説明】
【0073】
60:吸着ノズル 66:フランジ部 68:吸着管(ノズル) 100:ノズル乾燥装置(乾燥装置) 172:第2乾燥室(凹部) 174:第3乾燥室(凹部) 188:貫通穴(噴出口) 194:貫通穴(噴出口) 200:制御装置 210:吸着ノズル 212:フランジ部 214:吸着管(ノズル) 230:吸着ノズル 232:フランジ部 234:吸着管(ノズル)