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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】配線装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
H01L21/60 301J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022570553
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023469
【審査請求日】2023-02-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000124959
【氏名又は名称】株式会社カイジョー
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 墾基
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-308408(JP,A)
【文献】特開平10-256299(JP,A)
【文献】特開平04-214644(JP,A)
【文献】特開昭59-112630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0299983(US,A1)
【文献】特開2018-107195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた穴と、前記穴から所定距離離れた前記基板上の接続点とをワイヤ又は被覆線により布線する配線装置であって、
前記ワイヤ又は前記被覆線を繰り出すキャピラリと、
前記ワイヤ又は前記被覆線を吸着する吸着口を備えたワイヤガイドと、
前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを保持するホーンと、
前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線に前記吸着口を近づける方向及び遠ざける方向に前記ワイヤガイドを移動させるワイヤガイド移動機構と、
を有することを特徴とする配線装置。
【請求項2】
前記ワイヤガイドは溝を有しており、前記吸着口は前記溝の内面に設けられており、
前記溝の内面の断面は、V字形状又はU字形状を有することを特徴とする請求項1に記載の配線装置。
【請求項3】
前記ホーンに保持された前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを昇降させる昇降機構と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線を前記ワイヤガイドの前記吸着口に吸着させ、前記昇降機構により前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを下降させることにより前記穴に前記ワイヤ又は前記被覆線を挿入するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記穴に前記ワイヤ又は前記被覆線が挿入された後、前記吸着口から前記ワイヤ又は前記被覆線の吸着を外し、前記昇降機構により前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを上昇させ、前記ワイヤガイド移動機構により前記ワイヤ又は前記被覆線を前記吸着口から遠ざける方向に前記ワイヤガイドを移動させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の配線装置。
【請求項5】
前記基板を載置するXYステージを有し、
前記XYステージをX方向に移動させるX軸移動機構を有し、
前記XYステージをY方向に移動させるY軸移動機構を有し、
前記接続点が電極であり、前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線が前記電極にボンディングされることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線装置。
【請求項6】
前記昇降機構は、昇降可能なスライド部材を有し、
前記ホーンは、接続部材を介して前記スライド部材に取り付けられており、
前記ワイヤガイド移動機構は、前記スライド部材に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の配線装置。
【請求項7】
前記ワイヤガイド移動機構は、前記吸着口に吸着された前記ワイヤ又は前記被覆線の軸心と、前記ホーンの軸心とが含まれる面内で前記ワイヤガイドを移動させる機構であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線装置。
【請求項8】
前記ワイヤガイド移動機構は、前記ワイヤガイドに取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転させる回転機構と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に設けられた複数の穴が並んだ列が2列以上あり、それら複数の穴の一つに超音波ホーンに保持されたキャピラリの先端から繰り出されたワイヤ又は被覆線を通し、そのワイヤ又は被覆線を基板下に引き込み、被覆線を繰り出しながらキャピラリを上昇させ、基板が水平移動し、キャピラリを下降させることで、ワイヤ又は被覆線の他端を基板に接合する。その後、そのワイヤ又は被覆線を切断し、キャピラリを上昇させ、基板を水平移動させてキャピラリを上記の複数の穴の一つの上方に位置させ、キャピラリを下降させつつキャピラリの先端から繰り出されたワイヤ又は被覆線を穴に通し、そのワイヤ又は被覆線を基板下に引き込み、上記と同様の操作をすることで、ワイヤ又は被覆線の他端を基板に接合する。これらを繰り返すことで、複数の穴が並んだ2列以上の各々の穴にワイヤ又は被覆線を通し、その各々のワイヤ又は被覆線の他端を基板に接合する。このようにして配線が組み立てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したようにワイヤ又は被覆線の他端を基板に接合しているが、図9に示すように基板16に設けられた2列以上の穴17から所定距離離れた基板17上に基板ベース(ある程度厚みのある土台)18が配置され、その基板ベース18上に設けられた電極(図示せず)が上記のワイヤ又は被覆線の他端に相当するような基板がある。
【0004】
このような基板16の場合、図9に示すように超音波ホーン22と基板ベース18が干渉するため、キャピラリ21の先端と基板16を十分に近づけることができない状態で、キャピラリ21の先端から繰り出されたワイヤ11又は被覆線を複数の穴17の一つに挿入することになる。そのため、ワイヤ11又は被覆線の挿入時に基板16の穴17とワイヤ11又は被覆線との間に抵抗がある場合、ワイヤ11又は被覆線が曲がって穴17へ挿入されることがある(図9参照)。
【0005】
また、図10に示すように、ワイヤ11又は被覆線の挿入時にワイヤ11又は被覆線の先端が装置の振動や周囲の気流の流れ等で揺れることがあるため、ワイヤ11又は被覆線が穴17に入らないこともある。
【0006】
上述したようなワイヤ11又は被覆線の穴17への挿入の失敗を防止することが必要である。
【0007】
本発明の一態様は、ワイヤ又は被覆線を基板に設けられた穴に精度よく挿入できる配線装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
[1]基板に設けられた穴と、前記穴から所定距離離れた前記基板上の接続点とをワイヤ又は被覆線により布線する配線装置であって、
前記ワイヤ又は前記被覆線を繰り出すキャピラリと、
前記ワイヤ又は前記被覆線を吸着する吸着口を備えたワイヤガイドと、
前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを保持するホーンと、
前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線に前記吸着口を近づける方向及び遠ざける方向に前記ワイヤガイドを移動させるワイヤガイド移動機と、
を有することを特徴とする配線装置。
【0009】
[2]前記ワイヤガイドは溝を有しており、前記吸着口は前記溝の内面に設けられており、
前記溝の内面の断面は、V字形状又はU字形状を有することを特徴とする上記[1]に記載の配線装置。
【0010】
[3]前記ホーンに保持された前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを昇降させる昇降機構と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線を前記ワイヤガイドの前記吸着口に吸着させ、前記昇降機構により前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを下降させることにより前記穴に前記ワイヤ又は前記被覆線を挿入するように制御することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の配線装置。
【0011】
[4]前記制御部は、前記穴に前記ワイヤ又は前記被覆線が挿入された後、前記吸着口から前記ワイヤ又は前記被覆線の吸着を外し、前記昇降機構により前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを上昇させ、前記ワイヤガイド移動機構により前記ワイヤ又は前記被覆線を前記吸着口から遠ざける方向に前記ワイヤガイドを移動させるように制御することを特徴とする上記[3]に記載の配線装置。
【0012】
[5]前記基板を載置するXYステージを有し、
前記XYステージをX方向に移動させるX軸移動機構を有し、
前記XYステージをY方向に移動させるY軸移動機構を有し、
前記接続点が電極であり、前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線が前記電極にボンディングされることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の配線装置。
【0013】
[6]前記昇降機構は、昇降可能なスライド部材を有し、
前記ホーンは、接続部材を介して前記スライド部材に取り付けられており、
前記ワイヤガイド移動機構は、前記スライド部材に取り付けられていることを特徴とする上記[3]に記載の配線装置。
【0014】
[7]前記ワイヤガイド移動機構は、前記吸着口に吸着された前記ワイヤ又は前記被覆線の軸心と、前記ホーンの軸心とが含まれる面内で前記ワイヤガイドを移動させる機構であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の配線装置。
【0015】
[8]前記ワイヤガイド移動機構は、前記ワイヤガイドに取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転させる回転機構と、を有することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の配線装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の種々の態様によれば、ワイヤ又は被覆線を基板に設けられた穴に精度よく挿入できる配線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一態様に係る真空吸着ワイヤガイドを備えた配線装置を説明するための断面図である。
図2図1に示す配線装置の全体を模式的に示す斜視図である。
図3図1に示す配線装置の全体を図2とは異なる方向から視た斜視図及び真空吸着ワイヤガイドの一部を拡大した斜視図である。
図4】(A)~(D)は、ワイヤ11又は被覆線の布線方法を説明するための断面図である。
図5】(A)~(D)は、ワイヤ11又は被覆線の布線方法を説明するための断面図である。
図6】基板の複数の穴のそれぞれと、基板上に配置された基板ベース上に設けられた複数の接続点のそれぞれとをワイヤ又は被覆線により布線する様子を示す斜視図である。
図7】基板の複数の穴のそれぞれと、基板上に配置された基板ベース上に設けられた複数の接続点のそれぞれとをワイヤ又は被覆線により布線する様子を示す斜視図である。
図8】(A)は、図6及び図7に示す配線装置を除いた基板16、基板ベース18及び基板39を示す上面図、(B)は、(A)の断面図である。
図9】基板に設けられた穴にワイヤ又は被覆線を挿入するのに失敗した例を示す断面図である。
図10】基板に設けられた穴にワイヤ又は被覆線を挿入するのに失敗する例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の一態様に係る真空吸着ワイヤガイドを備えた配線装置を説明するための断面図である。図2は、図1に示す配線装置の全体を模式的に示す斜視図である。図3は、図1に示す配線装置の全体を図2とは異なる方向から視た斜視図及び真空吸着ワイヤガイドの一部を拡大した斜視図である。
【0020】
<真空吸着ワイヤガイド10>
まず真空吸着ワイヤガイド10について説明する。
図1に示すように、真空吸着ワイヤガイド10は、ワイヤ11(被覆線であってもよい)をガイドするものである。図3に示すように、真空吸着ワイヤガイド10はワイヤガイド12を有し、このワイヤガイド12は溝12aを有し、溝12aの内面12bには第1の吸着口13a、第2の吸着口13b及び第3の吸着口13cが設けられている。第1~第3の吸着口13a~13cはワイヤ11又は被覆線を真空吸着する吸着口である。
溝の断面は、V字形状又はU字形状を有することが好ましい。この場合は、溝12aの底部に第1~第3の吸着口13a~13cを設けることが好ましい。
【0021】
図1に示すように、第1~第3の吸着口13a~13cは排気経路14と接続されており、この排気経路14はワイヤガイド12の内部に設けられている。排気経路14は真空排気機構15に接続されている。つまり、第1~第3の吸着口13a~13cは、排気経路14を介して真空排気機構15に接続されており、真空排気機構15によって排気経路14を排気することで第1~第3の吸着口13a~13cにワイヤ11又は被覆線が吸着される。なお、真空排気機構15は、例えば真空ポンプ等によって構成されている。
【0022】
本実施形態による真空吸着ワイヤガイド10によれば、溝12aの内面12bに第1の吸着口13a、第2の吸着口13b及び第3の吸着口13cを設け、第1~第3の吸着口13a~13cにワイヤ11又は被覆線を吸着する。そのため、ワイヤ11又は被覆線を位置精度よく確実に固定することができる。
また、溝12aの断面形状をV字形状又はU字形状とし、溝12aの底部に第1~第3の吸着口13a~13cを設けることで、溝12aの底部にワイヤ11をより位置精度よく固定することが可能となる。
【0023】
<配線装置>
図1に示すように、配線装置100は、基板16に設けられた穴17と、この穴17から所定距離離れた基板16上の接続点19(図5(C),(D)参照)とをワイヤ11又は被覆線により布線する装置である。詳細には、接続点19は、基板16上に配置された基板ベース18上に設けられている。
【0024】
詳細には、図1図3に示すように、配線装置100は前述した真空吸着ワイヤガイド10を備えている。また配線装置100は、ワイヤ11又は被覆線を繰り出すキャピラリ21を有し、このキャピラリ21は超音波ホーン22に保持されている。また、配線装置100は、キャピラリ21から繰り出されたワイヤ11又は被覆線に第1~第3の吸着口13a~13cを近づける方向61及び遠ざける方向62にワイヤガイド12を移動させる図2及び図3に示すワイヤガイド移動機構30を有している(図4(A)及び図5(B)参照)。また配線装置100は、超音波ホーン22に保持されたキャピラリ21及びワイヤガイド12を昇降させる昇降機構(Z軸移動機構)40を有している。
【0025】
図1に示すように、配線装置100は、基板16を載置するXYステージ26を有している。XYステージ26をX方向27に移動させるX軸移動機構29を有する。また、配線装置100は、XYステージ26をY方向28に移動させるY軸移動機構33を有する。
【0026】
図2に示すように、配線装置100は制御部50を有している。この制御部50は、図1に示す真空排気機構15のオン・オフ、キャピラリ21、超音波ホーン22、図2に示すワイヤガイド移動機構30、Z軸移動機構40、図1に示すX軸移動機構29及びY軸移動機構33を制御するものである。
【0027】
図1及び図3に示すように、ワイヤガイド移動機構30は、第1~第3の吸着口13a~13cに真空吸着されたワイヤ11又は被覆線の長手方向に対する平行面と、超音波ホーン22の長手方向に対する平行面とが重なる面70内でワイヤガイド12を移動させる機構である(図5(A)、(B)参照)。別言すれば、ワイヤガイド移動機構30は、第1~第3の吸着口13a~13cに真空吸着されたワイヤ11又は被覆線の軸心と、超音波ホーン22の軸心とが含まれる面70内でワイヤガイド12を移動させる機構である。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、Z軸移動機構40は、昇降可能なスライド部材41を有している。このスライド部材41にはワイヤガイド移動機構30が取り付けられている。
【0029】
詳細に説明すると、ワイヤガイド移動機構30は回転機構32を有しており、この回転機構32は例えばモーターやロータリーアクチュエータ等を用いることができる。回転機構32は回転軸31を回転させるものであり、回転軸31はワイヤガイド12に取り付けられている。スライド部材41には、接続部材42を介して超音波ホーン22が取り付けられているとともに回転機構32が取り付けられている。これにより、スライド部材41が矢印43のように昇降することで、キャピラリ21が取り付けられた超音波ホーン22及びワイヤガイド12を昇降させることが可能となる。なお、スライド部材41と接続部材42は一体的に形成されていてもよい。
【0030】
上記の図2に示す制御部50は、キャピラリ21から繰り出されたワイヤ11又は被覆線をワイヤガイド12の第1~第3の吸着口13a~13cに真空吸着させ、Z軸移動機構40によりキャピラリ21及びワイヤガイド12を下降させることにより穴17にワイヤ11又は被覆線を挿入するように制御してもよい。
【0031】
また、制御部50は、穴17にワイヤ11又は被覆線が挿入された後、第1~第3の吸着口13a~13cからワイヤ11又は被覆線の真空吸着を外し、Z軸移動機構40によりキャピラリ21及びワイヤガイド12を上昇させ、ワイヤガイド移動機構30によりワイヤ11又は被覆線を第1~第3の吸着口13a~13cから遠ざける方向62にワイヤガイド12を移動させるように制御してもよい。
【0032】
<ワイヤ11又は被覆線の布線方法>
図4(A)~(D)及び図5(A)~(D)は、ワイヤ11又は被覆線の布線方法を説明するための断面図である。
【0033】
まず、図4(A)に示すように、ワイヤガイド12を矢印61のように移動させることで、ワイヤガイド12の第1~第3の吸着口13a~13cをワイヤ11又は被覆線を固定する位置に移動させる。
【0034】
次に、図4(B)に示すように、キャピラリ21からワイヤ11又は被覆線を繰り出し、その後にワイヤガイド12の排気経路14に接続された図1に示す真空排気機構15をオンすることで、第1~第3の吸着口13a~13cにワイヤ11又は被覆線を真空吸着して固定する。
【0035】
次いで、図4(C)に示すように、ワイヤ11又は被覆線をワイヤガイド12に固定した状態で、図2及び図3に示すZ軸移動機構40によりワイヤガイド12、キャピラリ21及び超音波ホーン22を下降させ、ワイヤ11又は被覆線の先端を基板16の穴17に挿入し、そのワイヤ又は被覆線を基板16下に引き込む。
【0036】
次に、図4(D)に示すように、排気経路14に接続された図1に示す真空排気機構15をオフすることで、ワイヤガイド12の第1~第3の吸着口13a~13cからワイヤ11又は被覆線の真空吸着を外し、ワイヤガイド12を仮退避させる。
【0037】
次いで、図5(A)に示すように、キャピラリ21からワイヤ11又は被覆線を繰り出しながら図2及び図3に示すZ軸移動機構40によりワイヤガイド12、キャピラリ21及び超音波ホーン22を矢印25の方向に上昇させる。
【0038】
次に、図5(B)に示すように、ワイヤ11又は被覆線から第1~第3の吸着口13a~13cを遠ざける方向62にワイヤガイド12を移動させることで、ワイヤガイド12を退避させる。詳細には、図2及び図3に示すワイヤガイド移動機構30の回転機構32によって回転軸31を回転させ、ワイヤガイド12を退避させる。
【0039】
次いで、図5(C)に示すように、基板16をX方向27に移動させる。詳細には、図1に示すX軸移動機構29により基板16が載置されたXYステージ26をX方向27に移動させることで、基板16がX方向27に移動される。この際、図5(B)に示す工程でワイヤガイド12を退避させているため、ワイヤガイド12が基板ベース18に干渉することがない。この後に、ワイヤガイド12、キャピラリ21及び超音波ホーン22を矢印36のように下降させ、キャピラリ21先端で基板ベース18上に設けられた接続点19にワイヤ11又は被覆線を布線する。なお、接続点19が例えば図6に示す電極37である場合は、その電極37にワイヤ11又は被覆線がボンディング接合されてもよい。
【0040】
次に、図5(D)に示すように、ワイヤ11又は被覆線がカットされてワイヤガイド12、キャピラリ21及び超音波ホーン22が図2及び図3に示すZ軸移動機構40により矢印38の方向に上昇させる。
【0041】
上記の図4(A)から図5(D)までの配線装置の動作は図2に示す制御部50により制御される。
【0042】
また、上記の図4(A)から図5(D)までの工程を繰り返すことで、図6図7及び図8に示すような基板16に複数の列状に設けられた複数の穴17のそれぞれと、複数の穴17から所定距離離れた基板16上に配置された基板ベース18上に設けられた複数の接続点19のそれぞれとをワイヤ11又は被覆線により布線することができる。なお、図5(D)に示す実施形態では、接続点19は基板ベース18上に直接設けられているが、これに限定されるものではなく、図6図8に示すような接続点19であってもよい。つまり、接続点19は、基板ベース18上に配置された基板39上の接続点であってもよい。この接続点が電極であってもよい。なお、図8(A)は、図6及び図7に示す配線装置を除いた基板16、基板ベース18及び基板39を示す上面図であり、図8(B)は、図8(A)の断面図である。
【0043】
本実施形態によれば、キャピラリ21から繰り出されたワイヤ11又は被覆線をワイヤガイド12により真空吸着して固定した状態で、キャピラリ21を下降させてワイヤガイド12によってワイヤ11又は被覆線をガイドしつつ基板16の穴17に挿入する。このため、ワイヤ11又は被覆線が曲がって穴17へ挿入されることを防止でき、ワイヤ11又は被覆線の挿入時にワイヤ11又は被覆線の先端が揺れることで、ワイヤ11又は被覆線が穴17に入らないことを防止できる。従って、ワイヤ11又は被覆線を基板16の穴17に精度よく安定して挿入することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
10…真空吸着ワイヤガイド
11…ワイヤ
12…ワイヤガイド
12a…溝
12b…内面
13a…第1の吸着口
13b…第2の吸着口
13c…第3の吸着口
14…排気経路
15…真空排気機構
16…基板
17…穴
18…基板ベース
19…接続点
21…キャピラリ
22…超音波ホーン
26…XYステージ
27…X方向
28…Y方向
29…X軸移動機構
30…ワイヤガイド移動機構
31…回転軸
32…回転機構(モーター)
33…Y軸移動機構
40…昇降機構(Z軸移動機構)
41…スライド部材
42…接続部材
50…制御部
100…配線装置
【要約】
【課題】ワイヤ又は被覆線を基板に設けられた穴に精度よく挿入するために用いる真空吸着ワイヤガイドを提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、基板16に設けられた穴17と、前記穴から所定距離離れた前記基板上の接続点とをワイヤ11又は被覆線により布線する配線装置100であって、前記ワイヤ又は前記被覆線を繰り出すキャピラリ21と、前記ワイヤ又は前記被覆線を吸着する吸着口13a~13cを備えたワイヤガイド12と、前記キャピラリ及び前記ワイヤガイドを保持するホーン22と、前記キャピラリから繰り出された前記ワイヤ又は前記被覆線に前記吸着口を近づける方向及び遠ざける方向に前記ワイヤガイドを移動させるワイヤガイド移動機を有する配線装置100である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10