(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230418BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20230418BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2022013960
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2022-05-30
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518070618
【氏名又は名称】株式会社レブセル
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 健二
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-327207(JP,A)
【文献】特開2021-008852(JP,A)
【文献】特開2020-065945(JP,A)
【文献】特開2019-098874(JP,A)
【文献】特開2021-113519(JP,A)
【文献】特開2019-181451(JP,A)
【文献】CO2貯留量を売買、企業間取引のルール策定へ 経産省,[online],2021年10月04日,インターネット<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0409A0U1A001C2000000/>,[2022年6月16日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報端末と通信可能に構成され、空気中の二酸化炭素を吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する二酸化炭素回収管理システムであって、
空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報を含む、吸収部材情報であって、当該吸収部材の飽和度又は当該吸収部材の重量増加量をさらに含む吸収部材情報及びユーザIDを、前記複数の情報端末の各々から取得する情報取得部と、
吸収部材の識別情報と吸収可能量とが関連付けて記憶された吸収部材データベースを参照して、前記情報取得部により取得した前記吸収部材の飽和度に、前記情報取得部により取得した吸収部材の識別情報に関連付けられた吸収可能量を乗算した値を、二酸化炭素の回収量に決定するか、又は、前記吸収部材の重量増加量に基づいて二酸化炭素の回収量を決定する回収量決定部と、
前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量を前記ユーザIDに関連付けて、回収量データベースに記憶する記憶制御部と、を備え、
前記複数の情報端末は、前記吸収部材を回収する第2回収者が使用する回収者端末と、前記第2回収者が回収した前記吸収部材
に二酸化炭素をさらに回収させた後に貯蔵する貯蔵者が使用する貯蔵者端末と、を含み、
前記回収量決定部は、
前記吸収部材データベースと前記回収者端末から取得した
前記吸収部材の飽和度と基づいて前記二酸化炭素の回収量に決定するか、又は、前記回収者端末から取得した吸収部材の重量増加量に基づいて前記二酸化炭素の回収量を決定し、
前記吸収部材データベースと前記貯蔵者端末から取得し
た吸収部材情報
とに基づいて、前記貯蔵者によってさらに回収された二酸化炭素の追加回収量及び貯蔵量を決定
するか、又は、前記貯蔵者端末から取得した吸収部材の重量増加量に基づいて前記二酸化炭素の追加回収量及び前記貯蔵量を決定し、
前記記憶制御部は、前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量
を前記回収者端末から取得したユーザIDに関連付けて、前記回収量データベースに記憶し、前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の追加回収量及び貯蔵量
を前記貯蔵者端末から取得したユーザIDに関連付けて、前記
回収量データベースに記憶する
、二酸化炭素回収管理システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素の回収量に基づいて、前記吸収部材によって二酸化炭素の吸収を行った第1回収者による二酸化炭素の排出が許可された量である回収者排出権情報を決定する回収者排出権決定部を、さらに備える、請求項1に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項3】
前記二酸化炭素の貯蔵量に基づいて、前記貯蔵者による二酸化炭素の排出が許可された量である貯蔵者排出権情報を決定する、貯蔵者排出権決定部を、さらに備える、請求項
1に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項4】
前記複数の情報端末は、前記第2回収者から前記吸収部材を受け取り、前記貯蔵者に前記吸収部材を引き渡すまで前記吸収部材を保管する中間保管者が使用する中間保管者端末、をさらに含み、
前記回収量決定部は、
前記吸収部材データベースと前記中間保管者端末から取得し
た吸収部材情報に基づいて、前記二酸化炭素の中間保管量を決定
するか、又は、前記中間保管者端末から取得した吸収部材の重量増加量に基づいて前記二酸化炭素の中間保管量を決定し、
前記記憶制御部は、前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の中間保管量を、前記
回収量データベースに記憶する、請求項
3に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記複数の情報端末の各々から、前記吸収部材情報及び情報端末ユーザ属性情報を取得し、
前記記憶制御部は、前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量を前記ユーザ属性情報に関連付けて、前記
回収量データベースに記憶し、
同一のユーザ属性情報に関連付けられた前記二酸化炭素の回収量を合計するとともに、前記二酸化炭素の回収量の合計値を出力する合計値出力部を、さらに備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項6】
前記吸収部材は、前記複数の情報端末の少なくとも1つにより読取可能な識別符号であって、前記吸収部材情報の少なくとも一部が記憶された識別符号が付されており、
前記情報取得部は、前記複数の情報端末の少なくとも1つから、前記識別符号から読み取った情報を取得する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項7】
前記識別符号は、前記吸収部材が回収可能な二酸化炭素の量の情報を含み、
前記回収量決定部は、前記吸収部材情報のうちの前記吸収部材が回収可能な二酸化炭素の量の情報と、前記飽和度又は前記重量
増加量とに基づいて、前記二酸化炭素の回収量を決定する、請求項
6に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項8】
複数の情報端末と通信可能に構成され、空気中の二酸化炭素を吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する二酸化炭素回収管理システムであって、
空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材と、
前記吸収部材の識別情報を含む、吸収部材情報であって、当該吸収部材の飽和度又は当該吸収部材の重量増加量をさらに含む吸収部材情報を、前記複数の情報端末の各々から取得する情報取得部と、
吸収部材の識別情報と吸収可能量とが関連付けて記憶された吸収部材データベースを参照して、前記情報取得部により取得した前記吸収部材の飽和度に、前記情報取得部により取得した吸収部材の識別情報に関連付けられた吸収可能量を乗算した値を、二酸化炭素の回収量に決定するか、又は、前記吸収部材の重量増加量に基づいて二酸化炭素の回収量を決定する回収量決定部と、
前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量を、回収量データベースに記憶する記憶制御部と、を備え、
前記吸収部材は、前記複数の情報端末の少なくとも1つにより読取可能な識別符号であって、前記吸収部材情報の少なくとも吸収部材の識別情報が記憶された識別符号が付されており、
前記情報取得部は、前記複数の情報端末の少なくとも1つから、前記識別符号から吸収部材の識別情報を取得し、
前記識別符号は、前記吸収部材内において、前記吸収部材が開封されない状態では読取できない位置で、かつ、前記吸収部材が開封された状態で読取可能な位置に付されてい
る、二酸化炭素回収管理システム。
【請求項9】
複数の情報端末と通信可能に構成され、空気中の二酸化炭素を、吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する二酸化炭素回収管理システムであって、
前記複数の情報端末により読取可能な識別符号であって、空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報が記憶された識別符号が付された吸収部材の画像と、当該吸収部材に付された前記識別符号とを撮影する撮影部と、前記吸収部材の画像に基づいて、吸収部材の飽和度を決定する状態決定部
と、を含む前記複数の情報端末の各々から前記吸収部材の識別情報と前記吸収部材の飽和度とを含む吸収部材情報を、取得する情報取得部と、
吸収部材の識別情報と吸収可能量とが関連付けて記憶された吸収部材データベースを参照して、前記情報取得部により取得した前記吸収部材の飽和度に、前記情報取得部により取得した吸収部材の識別情報に関連付けられた吸収可能量を乗算した値を、二酸化炭素の回収量として決定する回収量決定部と、
前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量を、回収量データベースに記憶する記憶制御部と、を備える、二酸化炭素回収管理システム。
【請求項10】
前記吸収部材は、周囲の二酸化炭素濃度を計測する二酸化炭素計測器と、前記周囲の二酸化炭素濃度に基づいて、前記吸収部材の吸収が飽和する時期を出力する飽和時期出力部と、を含む、二酸化炭素回収機内に配置されている、請求項1~
9のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項11】
前記
回収量データベースに記憶された前記二酸化炭素の回収量の合計値と所定の基準値とを比較し、前記二酸化炭素の回収量の合計値が前記所定の基準値以上となった場合に、前記複数の情報端末のうちの少なくとも1つに、通知信号を送信する送信部を、さらに備える、請求項1~
10のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収管理システム。
【請求項12】
空気中の二酸化炭素の回収量を管理するためのプログラムであって、
空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報を含む、吸収部材情報であって、当該吸収部材の飽和度又は当該吸収部材の重量
増加量をさらに含む吸収部材情報
を、複数の情報端末の各々から取得する処理と、
二酸化炭素の回収量を決定する処理
であって、
吸収部材の識別情報と吸収可能量とが関連付けて記憶された吸収部材データベースを参照して、前記複数の情報端末のうちの前記吸収部材を回収する第2回収者が使用する回収者端末から取得した前記吸収部材の飽和度に、前記回収者端末により取得した吸収部材の識別情報に関連付けられた吸収可能量を乗算した値を、二酸化炭素の回収量に決定するか、又は、前記回収者端末により取得した前記吸収部材の重量増加量に基づいて前記二酸化炭素の回収量を決定することと、
吸収部材の識別情報と吸収可能量とが関連付けて記憶された吸収部材データベースを参照して、前記複数の情報端末のうちの前記第2回収者が回収した前記吸収部材に二酸化炭素をさらに回収させた後に貯蔵する貯蔵者が使用する貯蔵者端末から取得した前記吸収部材の飽和度に、前記貯蔵者端末により取得した吸収部材の識別情報に関連付けられた吸収可能量を乗算した値を、前記貯蔵者によってさらに回収された二酸化炭素の追加回収量に決定するか、又は、前記貯蔵者端末により取得した吸収部材の重量増加量に基づいて前記二酸化炭素の追加回収量を決定することと、を含む、二酸化炭素の回収量を決定する処理と、
決定された前記二酸化炭素の回収量を、
回収量データベースに記憶する処理で
あって、決定された前記二酸化炭素の回収量を前記回収者端末から取得したユーザIDに関連付けて、前記回収量データベースに記憶し、決定された前記二酸化炭素の追加回収量を前記貯蔵者端末から取得したユーザIDに関連付けて、前記回収量データベースに記憶する処理と、コンピュータのプロセッサに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護活動への取り組みが社会的に行われている。特に、地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素の排出量を抑制するための取り組みが、企業及び公的機関において行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、CO2排出削減量評価装置が開示されている。このCO2排出削減量評価装置は、主要因特定DBに記憶されている主要因特定情報に基づいて活動項目のうちから主要因を特定する。そして、CO2排出削減量評価装置は、CO2排出原単位DBに記憶されているCO2排出原単位に基づいて、ICTソリューションの導入前後における、主要因に関するCO2排出量を算出する。これにより、ICTソリューションの導入によるCO2排出削減量が評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、二酸化炭素の回収量を、二酸化炭素の排出量と等しくすることにより、地球環境への二酸化炭素による影響をゼロにする状態であるカーボンニュートラルが、社会的に目指されている。そこで、特許文献1のような二酸化炭素の排出量のみならず、二酸化炭素の回収量を管理することが可能なシステムが望まれている。なお、「回収」とは、二酸化炭素を吸収部材に吸収させることなどによって、大気中に二酸化炭素を排出させないことを意味する。
【0006】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素の回収量を管理することが可能な二酸化炭素回収管理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する、本開示の第1の態様に係る二酸化炭素回収管理システムは、複数の情報端末と通信可能に構成され、空気中の少なくとも一方における二酸化炭素を吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する二酸化炭素回収管理システムであって、空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度、及び当該吸収部材の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を、前記複数の情報端末の各々から取得する情報取得部と、前記吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定する回収量決定部と、前記回収量決定部により決定された前記二酸化炭素の回収量を、データベースに記憶する記憶制御部と、を備える。「吸収の飽和度」とは、吸収部材が吸収可能な二酸化炭素の量に対する、既に吸収した二酸化炭素の量の割合を、連続値または離散値で表したデータである。
【0008】
本開示の第2の態様に係るプログラムは、大気中及び機器から排気される空気中の少なくとも一方における二酸化炭素の回収量を管理するためのプログラムであって、大気中又は機器から排気される空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度、及び当該吸収部材の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を、複数の情報端末の各々から取得する処理と、前記吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定する処理と、決定された前記二酸化炭素の回収量を、データベースに記憶する処理と、コンピュータのプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、吸収部材情報に含まれる二酸化炭素を回収した吸収部材の識別情報、吸収の飽和度、又は吸収部材の重量に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定することができる。この結果、回収した二酸化炭素の量を直接的に測定する必要がなくなるので、二酸化炭素の回収量を容易に算出することができる。そして、二酸化炭素の回収量がデータベースに記憶されるので、二酸化炭素の回収量を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態における二酸化炭素回収管理システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、二酸化炭素回収管理システム100の構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、第1回収者端末20の構成を示すブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、第2回収者端末120の構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、第1回収者端末20の表示部23に表示される会員登録画面(前半)の例を説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、第1回収者端末20の表示部23に表示される会員登録画面(後半)の例を説明するための図である。
【
図4C】
図4Cは、第1回収者端末20の表示部23に表示されるユーザIDの通知画面の例を説明するための図である。
【
図4D】
図4Dは、第2回収者端末120の表示部123に表示される画面の例を説明するための図である。
【
図4E】
図4Eは、第1回収者端末20の表示部23に表示される画面の例を説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、吸収部材61の構成と色彩の変化について説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、報知部64に表示される画面の例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、中間保管者が保管する吸収部材群161の模式図である。
【
図7】
図7は、貯蔵者が貯蔵する吸収部材群261の模式図である。
【
図8】
図8は、中間保管者端末30の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、貯蔵者端末40の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、管理者端末50の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、サーバ装置10の制御部11の機能ブロック図である。
【
図12】
図12は、情報取得部11aが各端末から取得する吸収部材情報の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、データベース12bに記憶された吸収部材61の品番と二酸化炭素の吸収可能量との対応を示す図である
【
図14】
図14は、データベース12bに記憶された吸収部材群161の番号と保管料との対応を示す図である。
【
図15】
図15は、データベース12bに記憶された吸収部材群261の番号と貯蔵量との対応を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、データベース12bに記憶されたユーザIDと二酸化炭素の合計量、排出権、及びポイントとの対応を示す図である。
【
図16B】
図16Bは、ユーザID、認証マーク使用許可の情報、及び認証グレードが関連付けられたデータベース12bを説明するための図である。
【
図17】
図17は、属性、合計量、排出権及びポイント、及び認証マーク使用許可の情報が関連付けられたデータベース12bを説明するための図である。
【
図18A】
図18Aは、認証マークの使用を許可する通知を説明するための図である。
【
図18B】
図18Bは、認証グレードが上がったことの通知を説明するための図である。
【
図19】
図19は、排出権及びポイントの取引の情報が記憶されたデータベース12bを説明するための図である。
【
図20A】
図20Aは、第2実施形態による二酸化炭素回収管理システム200のブロック図である。
【
図21A】
図21Aは、第2実施形態による第1回収者端末220aによる撮影画面の例を説明するための図である。
【
図21B】
図21Bは、第2実施形態による第2回収者端末220bによる撮影画面の例を説明するための図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態による二酸化炭素回収管理システム300のブロック図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態による除湿機361の構成を示す模式図である。
【
図24】
図24は、第3実施形態による撮影画面の例を説明するための図である。
【
図25】
図25は、第1~第3実施形態の変形例による二酸化炭素回収管理システム400の構成を示す図である。
【
図26】
図26は、第1~第3実施形態の変形例による吸収部材561の構成を示す図である。
【
図27】
図27は、第1~第3実施形態の変形例による吸収部材661の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0012】
[第1実施形態]
(二酸化炭素回収管理システムの全体構成)
図1は、第1実施形態における二酸化炭素回収管理システム100(以下、「システム100」という)の構成を示すブロック図である。
図2は、第1実施形態における二酸化炭素回収管理システム100の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、システム100は、人間、動物又は機器類及び自然環境から排気される空気中又は大気中の少なくとも一方における二酸化炭素を吸収部材61によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理するシステムである。人間から排気される空気中の二酸化炭素が回収される場合、例えば、個人宅、企業のオフィス、飲食店、スポーツクラブ、商業施設、自動車内、電車内、飛行機内、船舶内などが回収場所として使用される。動物から排気される空気中の二酸化炭素が回収される場合、例えば、畜舎、ペットショップ、養鶏場、養豚場などが回収場所として使用される。機器類から排気される空気中の二酸化炭素が回収される場合、例えば、火力発電所、製造工場、自動車の排ガス、焼却炉などが回収場所として使用される。この他にも、火山、又は温泉が、自然環境から排気される空気中の二酸化炭素の回収場所として利用されてもよい。また、大気中から二酸化炭素が回収されてもよい。
【0014】
第1回収者は、吸収部材61の外袋61b(
図5A参照)を開封し、吸収部材61による二酸化炭素の吸収を開始させる。第2回収者は、二酸化炭素を吸収した吸収部材61を回収する。吸収部材61は、例えば、
図2に示す二酸化炭素回収機60に配置されている。「第1回収者」及び「第2回収者」は、二酸化炭素回収機60を使用する個人であってもよいし、二酸化炭素回収機60を管理する事業者であってもよいし、二酸化炭素回収機60を管理する公的機関(自治体、国、国際機関、及び学校など)であってもよい。「第2回収者」は、「第1回収者」と同一の者であってもよいし、後述する「中間保管者」又は「貯蔵者」が、「第2回収者」として行動してもよい。
【0015】
第1回収者は、吸収部材61を二酸化炭素回収機60から第2回収者に引き渡し、第1回収者は、二酸化炭素を未だ吸収していない新たな吸収部材61を二酸化炭素回収機60内に配置する。システム100は、吸収部材61の識別情報、当該吸収部材61の吸収の飽和度、及び当該吸収部材61の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を回収者(例えば、第2回収者)から取得し、当該吸収部材情報に基づく二酸化炭素の回収量をデータベース12bに記憶する。そして、システム100は、二酸化炭素の回収量に基づく排出権及びポイントを、第1回収者に付与する。「排出権」とは、排出を国又は国際機関によって許可された二酸化炭素の排出量である。第1回収者は、自身の二酸化炭素の排出量が、所有している排出権を超える場合には、他者から「排出権」を譲受する必要がある。「ポイント」とは、「排出権」以外のもので、与えられた者にとって利得のある数値を示すものである。例えば、「ポイント」は、与えられた者が所属する国の通貨と同等の価値を有するものであってもよいし、当該ポイントの大きさによって、所定のサービスの優遇度を向上させる(例えば、公共料金・医療負担額が低くなる)又は税率を下げるものであってもよい。「吸収部材61の識別情報」とは、当該吸収部材61の種類、重量、二酸化炭素の最大吸収量(吸収可能量)、提供地域(エリア)、製造会社名、製造日、材料、当該吸収部材61に広告掲載している企業が有ればその企業情報、及び広告ランク(第1回収者との排出権又はポイントの案分割合等)などのデータを特定するための情報であり、後述するデータベース12b内でこれらのデータと関連付けられている。
【0016】
第2回収者は、回収した吸収部材61(二酸化炭素)を、中間保管者に引き渡す。また、図示しないが、第2回収者は、回収した吸収部材61(二酸化炭素)を、貯蔵者に引き渡してもよい。また、第1回収者が所有する吸収部材61(二酸化炭素)を、中間保管者自身が回収してもよい。「中間保管者」は、複数の第2回収者から回収した吸収部材61(二酸化炭素)を貯蔵者に引き渡すまで一時的に保管する自治体、国、国際機関又は民間事業者である。例えば、中間保管者による保管場場所として、ゴミ収集場所、ゴミ焼却場コンビニエンスストア、郵便局、商業施設、ガソリンスタンド、配送業者などの倉庫及び公共施設などが挙げられる。システム100は、吸収部材情報を中間保管者から取得し、当該吸収部材情報に基づく二酸化炭素の中間保管量をデータベース12bに記憶する。そして、システム100は、二酸化炭素の中間保管量に基づく排出権及びポイントを、中間保管者に付与する。
【0017】
中間保管者は、複数の第2回収者から回収した複数の吸収部材61(二酸化炭素)を、貯蔵者に引き渡す。また、中間保管者が保管している吸収部材61(二酸化炭素)を、貯蔵者自身が回収してもよいし、中間保管者から貯蔵者に引き渡す第3の回収者がさらに居ても良い。貯蔵者は、複数の中間保管者又は複数の第2回収者から回収した吸収部材61(二酸化炭素)を大気以外の場所に貯蔵する。貯蔵者は、吸収部材61自体を、大気以外の場所に貯蔵してもよいし、吸収部材61から二酸化炭素を抽出し、当該二酸化炭素を大気以外の場所に貯蔵してもよい。貯蔵場所としては、地中、水中(海中)、及び宇宙が挙げられる。「貯蔵者」は、回収した二酸化炭素を大気以外の場所に貯蔵する者であり、貯蔵者は、例えば、自治体、国、国際機関、又は事業者である。システム100は、吸収部材情報を貯蔵者から取得し、当該吸収部材情報に基づく二酸化炭素の貯蔵量をデータベース12bに記憶する。そして、システム100は、二酸化炭素の貯蔵量に基づく排出権及びポイントを、貯蔵者に付与する。
【0018】
上記の構成によれば、二酸化炭素の回収量、中間保管量、及び貯蔵量の各々を管理することができるとともに、回収量、中間保管量、及び貯蔵量に関連する排出権及びポイントを管理することができる。
【0019】
(二酸化炭素回収管理システムの各部の構成)
図2に示すように、システム100は、サーバ装置10を含む。サーバ装置10は、ネットワークNを介して、複数の第1回収者端末20と、複数の第2回収者端末120と、複数の中間保管者端末30と、複数の貯蔵者端末40と、管理者端末50と、通信可能に構成されている。なお、ネットワークNは、例えば、インターネット及びLocal Area Network(LAN)等であるが、これら以外のネットワークを用いてもよい。
【0020】
サーバ装置10は、二酸化炭素の回収量、二酸化炭素の中間保管量、二酸化炭素の貯蔵量、複数の第1回収者の各々の排出権及びポイント、複数の中間保管者の各々の排出権及びポイント、及び、複数の貯蔵者の各々の排出権及びポイントを管理するための装置である。サーバ装置10は、オンプレミス型(据え置き型)のサーバ装置でもよいし、クラウド上に構成されたサーバ装置であってもよい。
【0021】
また、複数の第1回収者端末20、複数の第2回収者端末120、複数の中間保管者端末30、複数の貯蔵者端末40、及び管理者端末50の各々には、サーバ装置10にアクセスするためのアプリケーションプログラムがインストールされている。「管理者」とは、システム100を管理する自治体、国、国際機関、又は民間事業者である。複数の第1回収者端末20、複数の第2回収者端末120、複数の中間保管者端末30、複数の貯蔵者端末40、及び複数の管理者端末50の各々は、サーバ装置10にアクセスすることにより、サーバ装置10が提供する情報及び画像を取得する。なお、専用のアプリケーションソフトウェアを用いることに限られず、ブラウザ用ソフトウェア(例えば、Webブラウザ)が複数の第1回収者端末20、複数の第2回収者端末120、複数の中間保管者端末30、複数の貯蔵者端末40、及び複数の管理者端末50の各々にインストールされていてもよい。この場合、複数の第1回収者端末20、複数の第2回収者端末120、複数の中間保管者端末30、複数の貯蔵者端末40、及び複数の管理者端末50の各々において、ブラウザ上で、サーバ装置10が提供する情報及び画像が表示される。
【0022】
(各情報端末の構成)
第1回収者端末20は、第1回収者が使用する情報端末である。第2回収者端末120は、第2回収者が使用する情報端末である。中間保管者端末30は、中間保管者が使用する情報端末である。複数の貯蔵者端末40は、貯蔵者が使用する情報端末である。管理者端末50は、管理者が使用する情報端末である。「情報端末」としては、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末を用いることができる。
【0023】
図3Aは、第1回収者端末20の構成を示すブロック図である。
図3Aに示すように、第1回収者端末20は、制御部21と、操作部22と、表示部23と、通信部24と、撮影部25と、記憶部26と、位置情報センサ27と、を含む。制御部21は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部21は、第1回収者端末20の各制御処理を実行する。また、操作部22は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースである。表示部23は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。また、表示部23がタッチパネルとして構成されている場合には、当該タッチパネルが操作部22と表示部23とを兼ねてもよい。通信部24は、通信インターフェイスであり、ネットワークNに接続されている。撮影部25は、吸収部材61及び吸収部材61に付されたQRコード(登録商標)61aを撮影するカメラである。記憶部26は、例えば、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)の少なくとも一方を含む。記憶部26には、アプリケーションプログラム26aが記憶されている。位置情報センサ27は、例えば、GPS(Global Positioning System)センサである。
【0024】
図3Bは、第2回収者端末120の構成を示すブロック図である。
図3Bに示すように、第2回収者端末120は、制御部121と、操作部122と、表示部123と、通信部124と、撮影部125と、記憶部126とを含む。そして、制御部121は、第2回収者端末120の各制御処理を実行する。制御部121と、操作部122と、表示部123と、通信部124と、撮影部125と、記憶部126とは、制御部21と、操作部22と、表示部23と、通信部24と、撮影部25と、記憶部26と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0025】
図4Aは、第1回収者端末20の表示部23に表示される会員登録画面(前半)の例を説明するための図である。
図4Aに示すように、アプリケーションプログラム26aが初めて制御部21により起動されると、会員登録画面が表示される。会員登録画面が表示されると、撮影部25による撮影が開始される。表示部23には、QRコード61aの画像が表示される。また、表示部23には、例えば、「QRコードが写るように撮影してください」、「あなたの位置情報が送信されます」等のメッセージ、及び撮影を実行させるためのボタンが表示される。第1回収者端末20は、撮影が実行されると、QRコード61aに記憶された情報と、第1回収者端末20の識別情報と、第1回収者端末20の位置情報とを、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、QRコード61aに記憶された情報と、第1回収者端末20の識別情報と、第1回収者端末20の位置情報とを関連付けたユーザIDを新たに発行し、データベース12bに記憶する。なお、会員登録は、上記の方法以外に、当段落の上記の情報が記入された登録用紙を管理者へ送付(郵送または電子メール等)で行うこともでき、その場合は、後述する
図4Cに示す処理において、管理者端末50から、会員番号(QRコード23aなど)が第1回収者端末20に送信されるか、郵送でQRコード23aが記載されたステッカーが第1回収者に送付される。
【0026】
また、
図4Bは、第1回収者端末20の表示部23に表示される会員登録画面(後半)の例を説明するための図である。
図4Bに示すように、表示部23には、ユーザ自身の氏名又は名称、ユーザの属性(自身が所属する企業・団体、所在地など)の情報、及び他者情報取得権限の情報を入力するための会員登録画面が表示される。そして、第1回収者端末20に第1回収者が入力し、入力された情報は、第1回収者端末20からサーバ装置10に送信される。ここで、第一回収者は、上記したように、個人、企業、任意の団体や組織が挙げられるが、企業の場合、各支店、各営業所の回収実績(回収量)などの情報を本部が確認したい場合がある。また、企業に関わらず任意の団体や組織が、他社の回収量を把握しながら、温暖化対策を啓蒙し二酸化炭素を回収する場合がある。そこで、第1回収者は、他者情報取得権限の情報を入力することにより、第1回収者に対する他者情報取得権限の付与を、サーバ装置10に要求することができる。「会員」とは、システム100に自身の氏名又は名称、及び自身の属性等を登録したユーザである。なお、第1回収者が会員登録しない状態でも、後述する
図4Dの場面に進み、第2回収者によって第1回収者から吸収部材61が回収されてもよい。「他者情報取得権限」とは、データベース12b内の自身が権限を有する他のユーザIDに関連付けられた情報にアクセス(閲覧)できる権利を意味する。
【0027】
図4Cは、第1回収者端末20の表示部23に表示されるユーザID通知画面の例を説明するための図である。サーバ装置10は、第1回収者端末20から会員登録画面において撮影及び入力された情報を取得し、ユーザIDを新たに発行する。そして、サーバ装置10は、第1回収者端末20にユーザIDが記憶されたQRコード23aを第1回収者端末20に送信する。第1回収者端末20は、QRコード23aを受信すると、
図4Cに示すように、表示部23にQRコード23aを表示させる。QRコード23aは、バーコードであってもよいし、数字として表示されるものであってもよい。また、サーバ装置10は、第1回収者端末20(例えば、「個人A」)から他者情報取得権限の情報を受信した場合(例えば、AがA自身が所属する組織団体Bの情報を閲覧したい場合)、組織団体Bの端末に、承認を求める通知等を行う。そして、サーバ装置10は、組織団体Bの端末から、承認する旨の回答を得た場合、個人Aの第1回収者端末20からは、データベース12bに記憶された第1回収者(個人A)の情報(回収量の情報など)と、データベース12bに記憶された組織団体Bの情報とが閲覧できるように制御する。また、サーバ装置10は、組織団体Bの端末からデータベース12bに記憶された個人Aの情報(回収量の情報など)を閲覧できるように制御する。上記の承認の手続きは、上記のように会員登録時に行われてもよいし、会員登録後に行われてもよい。また、ユーザ本人がデータベース12bに記憶された自身の情報を公表することを承認している場合は、全ての他のユーザが当該情報にアクセスすることができる。例えば、ユーザ自身が所属する組織以外のその他の団体や組織、及び個人の回収量については、当該ユーザは、公表することを承認した組織、団体、個人の情報の閲覧が可能となる。また、公表することを承認した組織、団体、個人の情報は、当該システム上とは別に、ウェブサイト上に公開されてもよい。そして、
図4Cに示すように、例えば、表示部23に「あなたは、『○○株式会社』に所属するユーザの情報を閲覧することができます」等のメッセージが表示される。そして、第1回収者は、データベース12b内において、「○○株式会社」に所属するユーザIDに関連付けられた情報にアクセスすることができる。また、承認が拒否されると、例えば、表示部23に「承認が拒否されました。あなたは、『○○株式会社』に所属するユーザの情報を閲覧することはできません」等のメッセージが表示される。
【0028】
図4Dは、第2回収者端末120の表示部123に表示される画面の例を説明するための図である。第2回収者が吸収部材61を回収する際に、第2回収者端末120のアプリケーションプログラム26aを起動させ、撮影部125による撮影が開始される。
図4Dに示すように、表示部123には、撮影部125により撮影された吸収部材61の画像、QRコード61aの画像、広告QRコード61d、及び第1回収者端末20の表示部23内のQRコード23aが表示される。また、表示部123には、例えば、「全体とQRコードが写るように撮影してください」等のメッセージ、第1回収者のユーザID、後述する飽和率、吸収部材61内の二酸化炭素の重量、広告主、及び撮影を実行させるためのボタンが表示される。なお、
図4Dでは、吸収部材61、QRコード23a、QRコード61a及び広告QRコード61dが、1度に撮影される例を示しているが、これらが別々に撮影されてもよい。また、上記の例に限られず、定期的に第1回収者は、第2回収者に吸収部材61を渡し、第2回収者から吸収部材61を取得した中間保管者が中間保管者端末30により、吸収部材61の重さや吸収部材61の色彩の変化などの情報を取得し、当該情報をサーバ装置10に送信してもよいし、第2回収者又は中間保管者から吸収部材61を取得した貯蔵者が貯蔵者端末40により、吸収部材61の重さや吸収部材61の色彩の変化などの情報を取得し、当該情報をサーバ装置10に送信してもよい。また、第1回収者は、吸収部材61を第2回収者に直接引き渡すことに限られず、所定の回収場所(例えば、ゴミ捨て場)に、任意の時に吸収部材61を置き、第2回収者が所定の回収場所に置かれた吸収部材61を回収してもよい。この場合、サーバ装置10は、データベース12bを参照し、吸収部材61のQRコード61aに関連付けられたユーザIDを有する第1回収者が、第2回収者に引き渡したものとして、後述する第1回収者の合計量(
図16A参照)に二酸化炭素を回収量を加算する。また、第1回収者は、吸収部材61に自身のユーザIDが記憶されたQRコード23aが記載されたステッカを貼った状態で、当該吸収部材61を第2回収者に渡してもよいし、第1回収者がユーザIDを口頭で第2回収者に伝えてもよいし、第1回収者がユーザIDを紙に記載したものを第2回収者に渡してもよい。この場合、第2回収者は、第2回収者端末120に、第1回収者のユーザIDを入力し、ユーザIDをサーバ装置10に送信する。
【0029】
図4Eは、第1回収者端末20の表示部123に表示される画面の例を説明するための図である。上記のように、第2回収者による吸収部材61の回収に、第1回収者が同席しない場合には、
図4Eに示すように、第1回収者は、二酸化炭素の回収が終了して吸収部材61を引き渡す時に、第1回収者端末20により、吸収部材61の吸収部材情報を読み取り、第1回収者端末20からサーバ装置10に送信する。この時点で、データベース12bにおいて、吸収部材61に添付されているQRコード61a(識別情報)と関連付けられている飽和度や重量の情報が更新若しくは書き加えが行われる。データベース12b上のデータが更新された状態で、第1回収者が、中間保管場所に自ら届けたり、第2回収者に引き渡せば、中間保管者又は第2回収者の手間が省ける。
【0030】
図5Aは、吸収部材61の構成と色彩の変化について説明するための図である。
図5Aに示すように、吸収部材61は、例えば、吸収した二酸化炭素の量に応じて色彩が変化するように構成されている。吸収部材61は、例えば、水酸化カルシウム系の吸収部材であり、二酸化炭素を吸収すると「白色」から「赤色、紫色、又はピンク色」に変わる。また、吸収部材61として、二酸化炭素を吸収すると「赤又は紫色」から「白色又はピンク色」に変わるものが用いられてもよいし、上記以外の色彩に変化するものが用いられてもよい。また、吸収部材61への二酸化炭素の吸着方法は、水酸化カルシウム系に代表される化学反応を利用した吸着方法に限られず、ゼオライト等の鉱物系に代表される多孔質素材を利用した二酸化炭素の捕集方法であってもよいし、中空糸膜等を利用した二酸化炭素の補修方法であってもよいし、その他の方法であってもよい。なお、化学反応系は、個体(紛体)にて二酸化炭素を回収できるため、他の方法に比べて効率良く二酸化炭素を回収し貯蔵することができる。
【0031】
また、アプリケーションプログラム26aは、サンプルの吸収部材61の画像に二酸化炭素の吸収の飽和度が関連付けられたデータ又はモデルを含む。これにより、
図4Dに示すように、制御部121は、撮影した吸収部材61の画像(例えば、色彩)から、吸収の飽和度(飽和率)を決定する。飽和率とは、吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量に対する既に吸収した二酸化炭素の量の割合である。例えば、
図4Dに示すように、表示部123に決定(推定)された飽和率が表示される。なお、「吸収の飽和度」は飽和率に限定されない。吸収の飽和度を、2値またはそれ以上の個数の値で表される離散値で示しても良い。吸収の飽和度を2値で表す場合、吸収部材61が飽和しておりこれ以上二酸化炭素を吸収できない状態を例えば「0」、まだ二酸化炭素を吸収可能な状態を例えば「1」としても良い。あるいは、吸収の飽和度を、例えば、「吸収部材61が飽和しておりこれ以上二酸化炭素を吸収できない状態」、「吸収部材61が二酸化炭素を吸収する能力が半分以下になった状態」、「吸収部材61が二酸化炭素を吸収する能力が半分以上残っている場合」のように3段階に以上に分け、それぞれの段階を固有の数値で表しても良い。また、このような場合に、ユーザが理解しやすいように、制御部121が、吸収の飽和度を「×」、「△」、および「○」のようなグラフィック記号に置換して表示部123に表示させるようにしても良い。
【0032】
また、制御部121は、表示部123に、吸収の飽和度(飽和率)から算出した吸収部材61内の二酸化炭素の重量を表示させる。例えば、吸収部材61が24.64gの二酸化炭素を吸収することが可能な場合、制御部121は、23.64gに飽和率76%を乗算し、二酸化炭素の重量を約18gと算出する。吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量は、QRコード61aの情報(例えば、品番)と関連付けられてアプリケーションプログラム26aに予め記憶されていてもよい。この場合、制御部121は、吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量を読み出して、二酸化炭素の重量を算出する。また、吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量がアプリケーションプログラム26aに予め記憶されていない場合は、制御部121は、QRコード61aの情報(例えば、品番)に基づいて、データベース12b(
図13参照)から吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量を読み出してもよい。なお、上記の二酸化炭素の重量の算出は、サーバ装置10の制御部11により実行されてもよい。また、第2回収者端末120が、吸収の飽和度を算出する例を示したが、第1回収者端末20、中間保管者端末30、貯蔵者端末40、及び二酸化炭素回収機60の少なくとも1つが、吸収の飽和度を算出可能に構成されてもよいし、別途吸収の飽和度を算出するための専用の計測器が準備されてもよい。
【0033】
また、制御部121は、表示部123に、広告主の情報を表示する。広告主の情報は、広告QRコード61dの情報(例えば、後述する広告番号)と関連付けられてアプリケーションプログラム26aに予め記憶されていてもよい。この場合、制御部121は、広告主の情報を読み出して、表示部123に広告主の情報を表示する。また、吸収部材61が広告主の情報がアプリケーションプログラム26aに予め記憶されていない場合は、制御部121は、広告QRコード61dの情報(広告番号)に基づいて、データベース12b(
図16A参照)から広告主の情報を読み出してもよい。
【0034】
QRコード61aは、吸収部材61の識別情報が固定されている識別符号である。広告QRコード61dは、広告主を識別するための番号(広告番号)が固定されている識別符号である。吸収部材61に付された識別符号の例として、QRコード61a及び広告QRコード61dを挙げたが、バーコードであってもよいし、吸収部材61の品番、吸収部材61が回収可能な二酸化炭素の量、シリアル番号、広告主の情報が数字、文字又は記号により表示されていてもよい。制御部21は、撮影したQRコード61a及び広告QRコード61dから上記の各情報を読み取る。そして、第1回収者端末20は、QRコード61a及び広告QRコード61dから読み取った情報を含む吸収部材情報を、サーバ装置10に送信する。また、第1回収者端末20は、飽和率、及び広告番号を吸収部材情報に含めて、当該吸収部材情報をサーバ装置10に送信してもよい。なお、第1回収者端末20は、複数の吸収部材61を同時に撮影した場合は、吸収部材61の数を、サーバ装置10に送信する。また、第1回収者端末20は、ユーザID、及びユーザ属性情報を、吸収部材情報とともに、サーバ装置10に送信する。「ユーザ属性情報」には、ユーザが「第1回収者」、「中間保管者」、及び「貯蔵者」のいずれであるかを示す情報、ユーザが所属する企業、又は団体の情報、及びユーザの住所・国籍の情報などが含まれる。なお、各第1回収者、各中間保管者、及び各貯蔵者は、データベース12bにユーザIDが登録(会員登録)されている。また、QRコード61aを読み取ることにより、吸収部材61から情報を容易に取得することができる。この結果、第2回収者端末120に吸収部材情報を入力する第2回収者の作業負担を軽減することができる。
【0035】
図5Aに示すように、QRコード61aは、吸収部材61内において、吸収部材61が開封されない状態では読取できない位置で、かつ、吸収部材61が開封された状態で読取可能な位置に付されている。例えば、
図5Aに示すように、QRコード61aは、吸収部材61の外袋61bによって覆われた位置に付されている。これにより、吸収部材61が外袋61bから取り出されると、QRコード61aが露出する。また、吸収部材61は、外袋61b内に配置された状態では外気に触れず、外袋61bから取り出された状態で外気に触れ、二酸化炭素の吸収を開始する。また、外袋61b及び吸収部材61には、広告61cが貼付されていている。なお、
図5Aでは、外袋61b及び吸収部材61の両方に広告61cが貼付されている例を示したが、外袋61b及び吸収部材61のいずれか一方のみに広告61cが貼付されていてもよいし、外袋61b及び吸収部材61の両方に広告61cが貼付されていなくてもよい。また、吸収部材61には、広告61cの広告主を識別するための上記した広告QRコード61dが貼付されている。このように、吸収部材61に広告が付されることにより、広告主からの広告費が吸収部材61の販売者に提供される。この結果、第1回収者は、吸収部材61の購入費の軽減や、場合によっては吸収部材61の代金を無料にすることができる。
【0036】
図3Aに示すように、吸収部材61は、二酸化炭素回収機60に配置されている。二酸化炭素回収機60は、例えば、自動販売機等の冷蔵装置、空気洗浄機(クリーナ)、除湿機、加湿機、換気装置、及びエアーコンディショナー等の空調装置として構成されている。また、二酸化炭素回収機60は、空調装置に限られず、ボイラー、焼却炉、ガスレンジ等の調理器具、加工機、火力発電機、風力発電機、地熱発電機、太陽光発電機、その他機械類として構成されてもよいし、自販機、冷蔵庫、自動車・バイク・電車等、移動体のエアインテークやエアダクトに吸収部材61が取り付けられたものであってもよいし、電柱、郵便ポスト、ガスメーター、水道メーター、家具、時計、照明、壁、天井、床等に吸収部材61(吸収部材61を含む機器)が取り付けられたものでもよい。例えば、二酸化炭素回収機60を、火力発電機として構成すれば、二酸化炭素を効率よく回収できる。これと同様に、二酸化炭素回収機60を、その他の発電機も含め、発電機として構成する(発電機の内部に二酸化炭素回収機60を配置する)ことで、二酸化炭素回収機60の稼働時に必要な電力も発電機により賄うことが可能になる。
【0037】
吸収部材61は、例えば、空気を通過させるフィルタとして構成されている。吸収部材61は、これに限られず、吸着剤(フィルター)が載置された状態で配置されてもよいし、携帯型であってもよいし、マスク等のように身につけるものであってもよいし、吸着剤(フィルター)に空気を送り込む(吸着器)であってもよいし、吸着剤(フィルター)を通して空気を吸い出すもの(吸着器)であってもよい。
【0038】
二酸化炭素回収機60は、制御部62と、計測部63と、報知部64と、を含む。制御部62は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部62は、二酸化炭素回収機60の各制御処理を実行する。計測部63は、二酸化炭素回収機60の周囲の二酸化炭素濃度と、湿度を計測するセンサである。制御部62には、吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量と、吸収部材61が交換された日時とが登録されている。例えば、第1回収者は、使用済みの吸収部材61が第2回収者により回収され、新たな吸収部材61を配置したときに、交換された日時を制御部62に登録する。また、制御部62には、二酸化炭素濃度と所定の期間当たりの二酸化炭素の吸収量とが関係付けられたデータが記憶されている。そして、制御部62は、上記データと、計測部63により計測された二酸化炭素濃度と湿度と、吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量と、交換された日時とに基づいて、吸収部材61の吸収が飽和する時期を決定する。また、制御部62は、飽和する時期(予測飽和日)を、回収期間中の日々の二酸化炭素濃度と湿度とにより時期が都度変更され決定される。制御部62は、吸収部材61の吸収が飽和する時期(予測飽和日)を報知部64から出力する。
【0039】
図5Bは、報知部64に表示される画面の例を説明するための図である。
図5Bに示すように、報知部64は、例えば、ディスプレイとして構成されており、報知部64は、吸収部材61の吸収が飽和する時期を表示する。例えば、報知部64は、温度、湿度、及び二酸化炭素濃度と、これらそれぞれのグラフとが表示される。グラフは、例えば、1日分のデータ、又は1週間分のデータなど所定の期間のデータが表示されたものである。そして、制御部62は、報知部64(例えば、ディスプレイ)に、二酸化炭素回収機60の設置される場所、その時々の二酸化炭素濃度、湿度を計測して予測飽和日を修正し表示する。この予測飽和日において、第2回収者又は中間保管者が吸収部材61を回収したり、第1回収者が吸収部材61を第2回収者又は中間保管者に引き渡しても良い。
【0040】
ここで、吸収部材61に有るQRコード61aと紐付けて測定された二酸化炭素の回収量(吸収の飽和度)のデータうち、サーバ装置10に最後に送信されたデータが最終の回収量(確定されたデータ)となる。例えば、第1回収者(X)が第2回収者(Y)に引き渡す前に回収量(飽和度など)を第1回収者端末20からサーバ装置10に送信し、データベース12bでは、Xによる測定値が二酸化炭素の回収量の暫定値となる。そして、第2回収者(Y)が飽和度など測定し、当該飽和度などのデータがサーバ装置10に送信されると、Xの測定値が暫定値から確定値になり、Xの回収量として加算される。Yはその時点の飽和度が低ければさらに回収を進めることができ、二酸化炭素の回収後、改めて飽和度のデータをサーバ装置10に送信すると、Yの回収量(Yの測定値から上記Xの確定値が減算されたもの)がデータベース12bに加算される。第2回収者(Y)は、中間保管者で有っても良いし、貯蔵者であっても良いし、第3の回収者で有っても良い。
【0041】
図6は、中間保管者が保管する吸収部材群161の模式図である。
図6に示すように、中間保管者は、複数の第1回収者(第2回収者)から回収した複数の吸収部材61を1つの集合体として、吸収部材群161を作成する。吸収部材群161にはQRコード161aが貼り付けられている。QRコード161aには、吸収部材群161に含まれる各吸収部材61の吸収部材情報が固定されている。
図7は、貯蔵者が貯蔵する吸収部材群261の模式図である。
図7に示すように、貯蔵者は、複数の中間保管者から回収した複数の吸収部材群161を1つの集合体として、吸収部材群261を作成する。吸収部材群261にはQRコード261aが貼り付けられている。QRコード261aには、吸収部材群261に含まれる各吸収部材群161の情報が固定されている。あるいは、複数の第1回収者から回収した複数の吸収部材61から、内部の二酸化炭素吸着剤のみを取出して、二酸化炭素吸着剤からなる1つの集合体を形成し、吸収部材群161を作成してもよい。吸収部材群161にはQRコード161aが貼り付けられている。すなわち、二酸化炭素吸着剤が、水酸化カルシウム系の吸着剤である場合、紛体で回収できるため、二酸化炭素を吸着した紛体のみを取出し、新たに貯蔵用の容器に詰め替える事で、吸収部材群161を作成することができる。
【0042】
図8は、中間保管者端末30の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、中間保管者端末30は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、通信部34と、撮影部35と、を含む。制御部31は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部31は、中間保管者端末30の各制御処理を実行する。また、操作部32、表示部33、通信部34、及び撮影部35は、それぞれ、操作部22、表示部23、通信部24、及び撮影部25と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
中間保管者は、中間保管者端末30により、QRコード161a(
図6参照)を撮影する。制御部31は、QRコード161aから吸収部材群161に含まれる各吸収部材61の吸収部材情報を読み取る。そして、中間保管者端末30は、QRコード161aから読み取った情報と、ユーザID(中間保管者のID)、及びユーザがどの自治体又は企業に所属しているか等を示すユーザ属性情報とともに、サーバ装置10に送信する。
【0044】
図9は、貯蔵者端末40の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、貯蔵者端末40は、制御部41と、操作部42と、表示部43と、通信部44と、撮影部45と、を含む。制御部41は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部41は、貯蔵者端末40の各制御処理を実行する。また、操作部42、表示部43、通信部44、及び撮影部45は、それぞれ、操作部22、表示部23、通信部24、及び撮影部25と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
貯蔵者は、貯蔵者端末40により、QRコード261a(
図7参照)を撮影する。制御部41は、QRコード261aから吸収部材群261に含まれる各吸収部材61の吸収部材情報を読み取る。そして、貯蔵者端末40は、QRコード261aから読み取った情報と、ユーザID(中間保管者のID)、及びユーザがどの自治体又は企業に所属しているか等を示すユーザ属性情報とともに、サーバ装置10に送信する。
【0046】
図10は、管理者端末50の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、管理者端末50は、制御部51と、操作部52と、表示部53と、通信部54と、を含む。制御部51は、プログラムを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部51は、管理者端末50の各制御処理を実行する。また、操作部52、表示部53、及び通信部54は、それぞれ、操作部22、表示部23、及び通信部24と同様であるため、説明を省略する。システム100を管理する管理者は、管理者端末50を操作して、データベース12b内の編集を行う。
【0047】
(サーバ装置の構成)
図2に示すように、サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含む。制御部11は、プログラム12aを実行することにより制御処理を実行するプロセッサを含む。そして、制御部11は、サーバ装置10の各制御処理を実行する。通信部13は、通信インターフェイスであり、ネットワークNに接続されている。
【0048】
記憶部12は、プログラム12aと、データベース12bとが記憶されている。プログラム12aは、大気中及び機器から排気される空気中の少なくとも一方における二酸化炭素の回収量を管理するために、制御部11のプロセッサに、各制御処理を実行させるプログラムである。
【0049】
(サーバ装置の制御部の詳細構成)
図11は、サーバ装置10の制御部11の機能ブロック図である。
図11に示すように、制御部11は、情報取得部11aと、回収量決定部11bと、記憶制御部11cと、排出権決定部11dと、通知制御部11eと、取引制御部11fとを含む。なお、
図11では、制御部11の構成を機能ブロックとして記載しているが、各機能ごとに別個のハードウェアを構成してもよい。制御部11は、プログラム12aを実行することにより、情報取得部11a、回収量決定部11b、記憶制御部11c、排出権決定部11d、通知制御部11e、及び取引制御部11fとして機能する。
【0050】
図12は、情報取得部11aが各端末から取得する吸収部材情報の一例を示す図である。情報取得部11aは、第1回収者端末20、中間保管者端末30、及び、貯蔵者端末40から、吸収部材情報及び各ユーザのユーザ属性情報を取得する。例えば、
図12に示すように、例えば、情報取得部11aが取得する情報には、取得した日時(例えば、「2022/1/1/10:32」)と、ユーザID(例えば、「10001」)と、ユーザ属性(例えば、第1の属性として「第1回収者」、第2の属性として「○○株式会社」、第3の属性として「○○市、日本」)と、吸収部材情報(吸収部材61の識別情報、当該吸収部材61の飽和率、及び広告番号)とが含まれる。
【0051】
図13は、データベース12bに記憶された吸収部材61の識別情報のうちの品番と二酸化炭素の吸収可能量との対応を示す図である。
図14は、データベース12bに記憶された吸収部材群161の番号と保管料との対応を示す図である。
図15は、データベース12bに記憶された吸収部材群261の番号と貯蔵量との対応を示す図である。
図16Aは、データベース12bに記憶されたユーザIDと二酸化炭素の合計量、排出権、及びポイントとの対応を示す図である。
【0052】
図13に示すように、データベース12bには、吸収部材61の品番が、当該吸収部材61が吸収することが可能な二酸化炭素の量(吸収可能量)と関連付けられて記憶されている。回収量決定部11bは、情報取得部11aが第2回収者端末120から取得した吸収部材情報と、吸収可能量とに基づいて、第1回収者による二酸化炭素の回収量を決定する。例えば、情報取得部11aが、ユーザID「10001」の第1回収者(
図16A参照)が品番「0001」の飽和率76%の吸収部材61を1つ回収したことを示す吸収部材情報を取得した場合、回収量決定部11b及び記憶制御部11cは、
図13に示す「○○g」に飽和率(例えば、76%)を乗算した値(二酸化炭素の回収量)の少なくとも一部を、データベース12bのユーザID「10001」の合計量に加算する。なお、記憶制御部11cは、
図16Aに示すように、第1回収者(例えば、ユーザID「10001」)が初めて吸収部材61の回収を行った場合で、吸収部材61に広告61cが付されていなかった場合、「○○g×0.76」の値を、データベース12bの合計量として記憶する。また、記憶制御部11cは、第1回収者のユーザIDと、属性情報(例えば、属性1~3の情報)と、第1回収者の合計値と、広告番号とを関連付けてデータベース12bに記憶する。なお、
図16Aでは、広告を発行していないユーザについては「なし」と記載している。これにより、吸収部材情報に含まれる二酸化炭素を回収した吸収部材61の数又は吸収の飽和度に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定することができる。この結果、回収した二酸化炭素の量を直接的に測定する必要がなくなるので、二酸化炭素の回収量を容易に算出することができる。そして、二酸化炭素の回収量がデータベース12bに記憶されるので、二酸化炭素の回収量を管理することができる。
【0053】
図14に示すように、データベース12bには、吸収部材群161の番号が、当該吸収部材群161に含まれる二酸化炭素の合計値(中間保管量)と関連付けられて記憶されている。回収量決定部11bは、吸収部材群161に含まれる吸収部材61の品番及び吸収部材61の数と、
図13に示すデータベース12bに記憶された吸収可能量とに基づいて、吸収部材群161に含まれる二酸化炭素の量(中間保管量)を決定する。例えば、情報取得部11aが、ユーザID「24584」の中間保管者(
図16A参照)が品番「1234」の吸収部材群161を1つ保管したことを示す吸収部材情報を取得した場合、回収量決定部11bは、吸収部材群161に含まれる複数の吸収部材61の品番の各々と紐づけられた二酸化炭素を回収量(
図4D及び
図12参照)の合計量に基づいて、中間保管量を算出する。そして、
図14に示すように、記憶制御部11cは、吸収部材群161の番号を中間保管量に関連付けてデータベース12bに記憶する。そして、回収量決定部11b及び記憶制御部11cは、
図16Aに示すように、中間保管者(例えば、ユーザID「24584」)の合計値に算出された中間保管量を加算する。また、記憶制御部11cは、中間保管者のユーザIDと、属性情報(例えば、属性1~3の情報)と、中間保管量の合計値と、広告番号とを関連付けてデータベース12bに記憶する。
【0054】
中間保管者は、保管することのみにかかわらず、自身により吸収部材61に二酸化炭素を吸収させて、飽和率を向上させてもよい。この場合、例えば、第1回収者から回収した吸収部材61の飽和率が76%だった場合、中間保管者によって当該吸収部材61の飽和率をほぼ100%にした状態で、中間保管者は当該吸収部材61を保管する。この場合、回収量決定部11bは、吸収可能量(
図13参照)と当該品番の吸収部材61の数とを乗算して、中間保管量を算出してもよい。また、回収量決定部11bは、中間保管者自身が回収した二酸化炭素の回収量を、上記第1回収者の二酸化炭素の回収量と同様の方法で算出する。中間保管者自身が回収した二酸化炭素の回収量は、
図16Aに示すように、中間保管者のユーザIDと関連付けられて「追加回収量」として、データベース12bに記憶される。また、中間保管者自身が、吸収部材61に二酸化炭素を吸収させる場合、当該吸収部材61の飽和率をほぼ100%ではなく、100%未満(例えば、90%)の状態であってもよい。
【0055】
図15に示すように、データベース12bには、吸収部材群261の番号が、当該吸収部材群261に含まれる二酸化炭素の合計値(貯蔵量)と関連付けられて記憶されている。回収量決定部11bは、吸収部材群261に含まれる吸収部材61の品番及び吸収部材61の数と、
図13に示すデータベース12bに記憶された吸収可能量とに基づいて、吸収部材群261に含まれる二酸化炭素の量(貯蔵量)を決定する。例えば、情報取得部11aが、ユーザID「34568」の貯蔵者(
図16A参照)が品番「2456」の吸収部材群261を1つ保管したことを示す吸収部材情報を取得した場合、回収量決定部11bは、吸収部材群261に含まれる複数の吸収部材61の品番の各々と紐づけられた二酸化炭素を回収量(
図4D及び
図12参照)の合計量に基づいて、貯蔵量を算出する。そして、
図15に示すように、記憶制御部11cは、吸収部材群261の番号を貯蔵量に関連付けてデータベース12bに記憶する。そして、回収量決定部11b及び記憶制御部11cは、
図16Aに示すように、また、記憶制御部11cは、貯蔵者のユーザIDと、属性情報(例えば、属性1~3の情報)と、貯蔵量の合計値と、広告番号とを関連付けてデータベース12bに記憶する。
【0056】
貯蔵者は、貯蔵することのみにかかわらず、自身により吸収部材61に二酸化炭素を吸収させて、飽和率を向上させてもよい。この場合、例えば、第1回収者による二酸化炭素の回収により吸収部材61の飽和率が76%となり、中間保管者による二酸化炭素の回収により吸収部材61の飽和率が90%となっている場合、貯蔵者によって当該吸収部材61の飽和率をほぼ100%にした状態で、貯蔵者は当該吸収部材61を保管する。この場合、回収量決定部11bは、吸収可能量(
図13参照)と当該品番の吸収部材61の数とを乗算して、貯蔵量を算出してもよい。また、回収量決定部11bは、貯蔵者自身が回収した二酸化炭素の回収量を、上記第1回収者の二酸化炭素の回収量と同様の方法で算出する。貯蔵者自身が回収した二酸化炭素の回収量は、
図16Aに示すように、貯蔵者のユーザIDと関連付けられて「追加回収量」として、データベース12bに記憶される。また、貯蔵者自身が、吸収部材61に二酸化炭素を吸収させる場合、当該吸収部材61の飽和率をほぼ100%ではなく、100%未満(例えば、95%)の状態であってもよい。
【0057】
図16Aに示すように、データベース12bには、各ユーザIDに関連付けられた排出権及びポイントが記憶されている。排出権決定部11dは、二酸化炭素の回収量、中間保管量、及び貯蔵量のいずれか(例えば、
図16Aに示す「合計量」)に基づいて、ユーザ(第1回収者、中間保管者、又は貯蔵者)による二酸化炭素の排出が許可された量である排出権を決定する。例えば、排出権は、合計量に比例する大きさに設定される。また、排出権決定部11dは、二酸化炭素の回収量、中間保管量、及び貯蔵量のいずれか(例えば、
図16Aに示す「合計量」)に基づいて、ユーザ(第1回収者、中間保管者、又は貯蔵者)のポイントを決定する。例えば、ポイントは、合計量に比例する大きさに設定される。そして、記憶制御部11cは、各ユーザIDに関連付けて排出権及びポイントをデータベース12bに記憶する。また、第1回収者が二酸化炭素を回収した吸収部材61に広告61cが付されていた場合、広告主にも、排出権及びポイントの少なくとも一方が加算される。この場合、第1回収者と広告主とは、あらかじめ決まった比率で排出権及びポイントの少なくとも一方が按分される。
【0058】
図16Bは、ユーザID、認証マーク使用許可の情報、及び認証グレードが関連付けられたデータベース12bを説明するための図である。
図17は、属性、合計量、排出権及びポイント、及び認証マーク使用許可の情報が関連付けられたデータベース12bを説明するための図である。
図18Aは、認証マークの使用を許可する通知を説明するための図である。
図19は、排出権及びポイントの取引の情報が記憶されたデータベース12bを説明するための図である。
図16Bに示すように、データベース12bには、ユーザIDごとに、認証マーク使用許可の情報及び認証グレードが記憶されている。認証マーク使用許可の情報とは、ユーザIDに一致する企業又は個人が、認証マークの使用が許可されているかを示す情報である。「認証マーク」とは、二酸化炭素の回収量、中間保管量、又は貯蔵量が基準値以上になっており、環境保護(カーボンニュートラル)に貢献しているユーザであることを証明するマークである。「認証マーク」の基準値は、国際機関、国(政府)、自治体、又は民間機関によって設定される。例えば、ユーザは、認証マークを広告等に使用して、環境保護を行っていることをアピールすることができる。また、「基準値」は、複数の値設けられており、大きさに応じて、認証グレードが設定されている。例えば、基準値が小さいものから「シルバー」、「ゴールド」、「ダイアモンド」等の認証グレードがデータベース12b内でユーザIDと紐付けられている。また、
図16Bに示すように、データベース12bには、ユーザIDごとに、他者情報取得権限の情報が記憶されている。
【0059】
また、
図17に示すように、データベース12bには、属性ごとに、合計量、排出権及びポイント、及び認証マーク使用許可の情報が記憶されている。例えば、属性が「○○株式会社」に含まれる複数のユーザIDの二酸化炭素の回収量が合計された合計量と、複数のユーザIDの排出権及びポイントが合計されたものと、認証マーク使用許可の情報とがデータベース12bに記憶されている。
【0060】
図18Aに示すように、通知制御部11eは、データベース12bに記憶された合計量が所定の基準値以上となった場合、各第1回収者端末20、各中間保管者端末30、及び各貯蔵者端末40の表示部(
図18Aの例では、表示部23)に、合計量(
図18Aの例では、回収量)が基準値以上となったことを示す通知を表示させる。また、通知制御部11eは、認証マークとともに、認証マークの使用を許可する旨をユーザに通知する。
図18Bは、認証グレードが上がったことの通知の例を説明するための図である。そして、通知制御部11eは、データベース12bに記憶された合計量がさらに、上記所定の基準値よりも大きい基準値以上となった場合、各第1回収者端末20、各中間保管者端末30、及び各貯蔵者端末40の表示部(
図18Bの例では、表示部23)に、合計量(
図18Bの例では、回収量)が基準値以上となったことを示す通知と、認証マークのグレード(認証グレード)が上がったことを示す通知とを表示させる。
【0061】
また、ユーザは、他のユーザと排出権及びポイントを取り引きすることができ、取引結果を、各情報端末からサーバ装置10に送信する。例えば、
図19に示すように、取引制御部11fは、第1回収者端末20(譲渡元ユーザ)から「譲渡元ユーザIDが『10001』」であること、「譲受先ユーザIDが『13546』」であること、「取り引きしたポイントが『××pt』」であることを示す情報を取得する。記憶制御部11cは、データベース12b内のユーザID「10001」のポイントからポイント「××pt」を減らし、ユーザID「24568」のポイントにポイント「××pt」を追加させる。また、
図19に示すように、ユーザから、他のユーザに限られず、国と他の国との排出権の取引結果も、データベース12bに記憶される。
【0062】
[第2実施形態]
次に、
図20A~
図21Bを参照して、第2実施形態による二酸化炭素回収管理システム200の構成について説明する。第2実施形態では、システム200は、吸収部材61の重量と吸着期間中の平均湿度とに基づいて、二酸化炭素の回収量を算出する。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0063】
図20Aは、第2実施形態による二酸化炭素回収管理システム200(以下、「システム200」という)のブロック図である。
図20Bは、第2回収者端末220bのブロック図である。
図21Aは、第2実施形態による第1回収者端末220aによる撮影画面の例を説明するための図である。
図21Bは、第2実施形態による第2回収者端末220bによる撮影画面の例を説明するための図である。
【0064】
図20Aに示すように、システム200は、第1回収者端末220aを含む。
図20Bに示すように、システム200は、第2回収者端末220bを含む。また、システム200は、重量計71及び湿度計72を備える。第1回収者端末220aは、アプリケーションプログラム226aを実行する制御部221aを含む。第2回収者端末220bは、アプリケーションプログラム226aを実行する制御部221bを含む。
【0065】
図21Aに示すように、制御部211aは、撮影部25により撮影されたQRコード23aの画像、QRコード61aの画像、広告QRコード61dの画像、重量計71の重量表示、及び湿度計72の湿度表示を、表示部23に表示させる。また、表示部23には、例えば、ユーザのID、「QRコードと重量計の表示と湿度計の表示が写るように撮影してください」等のメッセージ、重量、湿度、吸収部材61内の二酸化炭素の重量、広告主、及び撮影を実行させるためのボタンが表示される。なお、
図21Aでは、QRコード23a、QRコード61a、広告QRコード61d、重量の重量表示、及び湿度の湿度表示が、1度に撮影される例を示しているが、これらが別々に撮影されてもよい。第1回収者端末220aは、図示しないサーバ装置に、第1回収者のユーザID、QRコード61aの情報(例えば、品番)、及び湿度の情報を送信する。サーバ装置は、データベースに、第1回収者のユーザID、QRコード61aの情報(例えば、品番)、及び湿度の情報を記憶させる。
【0066】
図21bに示すように、制御部211bは、撮影部125により撮影されたQRコード23aの画像、QRコード61aの画像、広告QRコード61dの画像、重量計71の重量表示、及び湿度計72の湿度表示を、表示部123に表示させる。また、表示部123には、例えば、ユーザのID、「QRコードと重量計の表示と湿度計の表示が写るように撮影してください」等のメッセージ、重量、湿度、吸収部材61内の二酸化炭素の重量、広告主、及び撮影を実行させるためのボタンが表示される。なお、
図21Bでは、QRコード23a、QRコード61a、広告QRコード61d、重量の重量表示、及び湿度の湿度表示が、1度に撮影される例を示しているが、これらが別々に撮影されてもよい。第2回収者端末220bは、サーバ装置に、第1回収者のユーザID、QRコード61aの情報(例えば、品番)、及び湿度の情報を送信する。サーバ装置は、データベースから、第1回収者が登録した湿度の情報を第2回収者端末220bに送信する。
【0067】
制御部211bは、QRコード61aの情報(例えば、品番)、重量の重量表示、及び湿度の湿度表示と、第1回収者が登録した湿度の情報とに基づいて、二酸化炭素の重量を算出する。例えば、制御部221は、重量の重量表示「118g」から、吸収部材61の開封前の重量「100g」を引き、増加分「18g」を算出する。そして、制御部221は、増加分「18g」と、第1回収者が登録した湿度「○○%」と第2回収者が撮影した湿度「○○%」との平均値と所定の係数とを乗算することにより、増加分「18g」の水分の重量(例えば、「2g」とする)を算出する。この結果、制御部221は、二酸化炭素の重量を約16gと算出する。吸収部材61の開封前の重量は、QRコード61aの情報(例えば、品番)と関連付けられてアプリケーションプログラム226aに予め記憶されていてもよい。この場合、制御部221は、吸収部材61の開封前の重量を読み出す。また、吸収部材61の開封前の重量がアプリケーションプログラム226aに予め記憶されていない場合は、制御部221は、QRコード61aの情報(例えば、品番)に基づいて、データベースから吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量を読み出してもよい。なお、上記の二酸化炭素の重量の算出は、第2回収者端末220bではなく、サーバ装置の制御部により実行されてもよい。
【0068】
第2実施形態による構成によっても、二酸化炭素のみの重量を直接的に計測することなく、二酸化炭素の回収量を算出することができる。第2実施形態によるその他の構成及び効果は、第1実施形態による構成及び効果と同様である。
【0069】
[第3実施形態]
次に、
図22~
図24を参照して、第3実施形態による二酸化炭素回収管理システム300の構成について説明する。第3実施形態では、吸収部材61が除湿機361の排気口361aに配置されている。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成には、第1又は第2実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0070】
図22は、第3実施形態による二酸化炭素回収管理システム300(以下、「システム300」という)のブロック図である。
図23は、第3実施形態による除湿機361の構成を示す模式図である。
図24は、第3実施形態による撮影画面の例を説明するための図である。
図22に示すように、システム300は、第2回収者端末320と除湿機361とを含む。第2回収者端末320は、アプリケーションプログラム326aを実行する制御部321を含む。
【0071】
図23に示すように、第3実施形態では、吸収部材61は、除湿機361の排気口361aに配置されている。すなわち、除湿機361の給気口361bでは、空気中には水分が多く含まれるが、排気口361aから排出される空気中には水分はほとんど含まれないでので、上記の第2実施形態とは異なり、吸収部材61が吸収する水分の量を無視することができる。
図24に示すように、制御部311は、撮影部125により撮影されたQRコード61aの画像、広告QRコード61dの画像、及び重量計71の重量表示を表示部23に表示させる。また、表示部123には、例えば、ユーザのID、「QRコードと重量計の表示が写るように撮影してください」等のメッセージ、重量、吸収部材61内の二酸化炭素の重量、広告主、及び撮影を実行させるためのボタンが表示される。なお、
図24では、QRコード61a、広告QRコード61d、及び重量の重量表示が、1度に撮影される例を示しているが、これらが別々に撮影されてもよい。
【0072】
そして、制御部311は、QRコード61aの情報(例えば、品番)、及び重量の重量表示に基づいて、二酸化炭素の重量を算出する。例えば、制御部321は、重量の重量表示「118g」から、吸収部材61の開封前の重量「100g」を引き、増加分「18g」を算出する。そして、制御部321は、増加分「18g」を二酸化炭素の重量「約16g」とする。吸収部材61の開封前の重量は、QRコード61aの情報(例えば、品番)と関連付けられてアプリケーションプログラム326aに予め記憶されていてもよい。この場合、制御部321は、吸収部材61の開封前の重量を読み出す。また、吸収部材61の開封前の重量がアプリケーションプログラム326aに予め記憶されていない場合は、制御部321は、QRコード61aの情報(例えば、品番)に基づいて、データベースから吸収部材61が吸収可能な二酸化炭素の量を読み出してもよい。なお、上記の二酸化炭素の重量の算出は、第2回収者端末320ではなく、サーバ装置の制御部により実行されてもよい。
【0073】
第3実施形態による構成によっても、二酸化炭素のみの重量を直接的に計測することなく、二酸化炭素の回収量を算出することができる。第3実施形態によるその他の構成及び効果は、第1又は第2実施形態による構成及び効果と同様である。
【0074】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0075】
(1)上記第1実施形態では、吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度を、第2回収者端末からサーバ装置に送信する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、吸収部材の識別情報のみの情報が第2回収者端末からサーバ装置に送信されてもよいし、吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度を、第1回収者端末からサーバ装置に送信してもよい。
【0076】
(2)上記第1~第3実施形態では、データベースには、全てのユーザのユーザIDが登録されている例(会員登録されている)を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ユーザIDが登録されていないユーザが、吸収部材情報を、サーバ装置に送信してもよい。サーバ装置は、例えば、送信したユーザが所属する国の回収量に、この二酸化炭素の回収量を加算する。
【0077】
(3)上記第1実施形態では、第2回収者端末(情報端末)により、飽和度(飽和率)を決定する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、サーバ装置が情報端末から吸収部材の画像を取得して、サーバ装置によって飽和度(飽和率)を決定してもよいし、第1回収者端末、中間保管者端末、又は貯蔵者端末によって飽和度を決定してもよい。
【0078】
(4)上記第1~第3実施形態では、吸収部材をフィルタとして構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、吸収部材がフィルタ(通気させるもの)ではなく、大気中に配置したもの(単に空気に接触するもの)として構成されてもよい。この場合、二酸化炭素回収機に、吸収部材を配置してもよいし、吸収部材を単独で大気中に放置してもよい。
【0079】
(5)上記第1~第3実施形態では、撮影部により撮影した画像から、飽和率、重量、湿度、及び広告番号等を取得する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図25に示す変形例による二酸化炭素回収管理システム400のように、ユーザが数値を手入力してもよい。
【0080】
(6)上記第1~第3実施形態では、吸収部材の色彩が「白色」からから「赤色、紫色、又はピンク色」に変わる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図26に示す吸収部材561のように、二酸化炭素を吸収すると「赤又は紫色」から「白色又はピンク色」に変わるものが吸収部材として用いられてもよい。
【0081】
(7)上記第1~第3実施形態では、第2回収者が、第1回収者のユーザIDを示すQRコードを読み取り、当該ユーザIDと吸収部材情報とをサーバ装置に送信する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、第1回収者が自身の第1回収者端末により、ユーザIDと吸収部材情報とをサーバ装置に送信してもよいし、中間保管者が中間保管者端末により、第1回収者のユーザIDと吸収部材情報とをサーバ装置に送信してもよいし、貯蔵者が貯蔵者端末により、第1回収者のユーザIDと吸収部材情報とをサーバ装置に送信してもよい。
【0082】
(8)上記第1~第3実施形態では、第1回収者、中間保管者、及び貯蔵者が、会員登録する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、第2回収者も、第1回収者と同様に会員登録されてもよい。この場合、データベースでは、第2回収者のユーザIDと、当該第2回収者による二酸化炭素の回収量の合計量、排出権・ポイントの情報、及び認証マークの使用許可の情報等と関連付けられる。
【0083】
(9)上記第1~第3実施形態では、吸収部材を外袋で覆う例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、吸収部材を外袋で覆わずに、吸収部材製造工場にて、製造完了時から二酸化炭素の吸収が始まってもよい。この場合、より早期から二酸化炭素を吸収することができるので、温暖化対策等の地球環境保護の点から有効である。吸収部材を外袋で覆わない場合、
図27に示す変形例による吸収部材661のように、QRコード61aが見えなくなるように、カバーシール661bが貼り付けられていても良い。この場合、第1回収者がQRコード61aを読み取る際に、第1回収者がカバーシール661bを取り外せばよい。この場合、第1回収者とは、吸収部材661を購入した者であり、二酸化炭素を吸収部材661に吸着させた者である。吸収部材661の費用を製造業者又は販売業者に支払うのは、第1回収者、広告主、国や自治体などである。製造業者は、吸収部材661の発注が来なければ製造しないので、製造時点では発注者が第1回収者になる。その吸収部材661を上記発注者から別の者が購入した場合、その時点で第1回収者が上記発注者から当該別の者に変更される。広告主が要れば所定の条件に則り、排出権及びポイントを、第1回収者と広告主とで按分する。
【0084】
また、上述した二酸化炭素回収管理システム及びプログラムは、以下のように説明することができる。
【0085】
第1の構成に係る二酸化炭素回収管理システムは、複数の情報端末と通信可能に構成され、大気中及び機器から排気される空気中の少なくとも一方における二酸化炭素を吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する二酸化炭素回収管理システムであって、大気中又は機器から排気される空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度、及び当該吸収部材の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を、複数の情報端末の各々から取得する情報取得部と、吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定する回収量決定部と、回収量決定部により決定された二酸化炭素の回収量を、データベースに記憶する記憶制御部と、を備える(第1の構成)。
【0086】
上記第1の構成によれば、吸収部材情報に含まれる二酸化炭素を回収した吸収部材の識別情報、吸収の飽和度、又は吸収部材の重量に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定することができる。この結果、回収した二酸化炭素の量を直接的に測定する必要がなくなるので、二酸化炭素の回収量を容易に算出することができる。そして、二酸化炭素の回収量がデータベースに記憶されるので、二酸化炭素の回収量を管理することができる。
【0087】
第1の構成において、二酸化炭素回収管理システムは、二酸化炭素の回収量に基づいて、吸収部材によって二酸化炭素の吸収を行った第1回収者による二酸化炭素の排出が許可された量である回収者排出権情報を決定する回収者排出権決定部を、さらに備えてもよい(第2の構成)。
【0088】
上記第2の構成によれば、二酸化炭素の回収量に応じた回収者排出権を決定することができる。この結果、回収者排出権情報を、第1回収者同士による排出権の取り引きに利用することができる。
【0089】
第1または第2の構成において、複数の情報端末は、吸収部材を回収する第2回収者が使用する回収者端末と、第2回収者が回収した吸収部材を貯蔵する貯蔵者が使用する貯蔵者端末と、を含んでもよく、回収量決定部は、回収者端末から取得した吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定し、貯蔵者端末から取得した吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の貯蔵量を決定するように構成されてもよく、記憶制御部は、回収量決定部により決定された二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の貯蔵量を、データベースに記憶するように構成されてもよい(第3の構成)。
【0090】
上記第3の構成によれば、吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の貯蔵量を決定することができるので、貯蔵した二酸化炭素の量を直接的に計測することなく、二酸化炭素の貯蔵量を管理することができる。
【0091】
第3の構成において、二酸化炭素回収管理システムは、二酸化炭素の貯蔵量に基づいて、貯蔵者による二酸化炭素の排出が許可された量である貯蔵者排出権情報を決定する、貯蔵者排出権決定部を、さらに備えてもよい(第4の構成)。
【0092】
上記第4の構成によれば、二酸化炭素の貯蔵量に応じた貯蔵量排出権を決定することができる。この結果、貯蔵量排出権情報を、貯蔵者同士による排出権の取り引きに利用することができる。
【0093】
第4の構成において、複数の情報端末は、第2回収者から吸収部材を受け取る貯蔵者に吸収部材を引き渡すまで保管する中間保管者が使用する中間保管者端末、をさらに含んでもよく、回収量決定部は、中間保管者端末から取得した吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の中間保管量を決定するように構成されてもよく、記憶制御部は、回収量決定部により決定された二酸化炭素の中間保管量を、データベースに記憶するように構成されてもよい(第5の構成)。
【0094】
上記第5の構成によれば、第2回収者と貯蔵者との間で管理する中間保管者が保管している二酸化炭素の中間保管量を管理することができる。
【0095】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、情報取得部は、複数の情報端末の各々から、吸収部材情報及び情報端末ユーザ属性情報を取得するように構成されてもよく、記憶制御部は、回収量決定部により決定された二酸化炭素の回収量をユーザ属性情報に関連付けて、データベースに記憶するように構成されてもよく、二酸化炭素回収管理システムは、同一のユーザ属性情報に関連付けられた二酸化炭素の回収量を合計するとともに、二酸化炭素の回収量の合計値を出力する合計値出力部を、さらに備えてもよい(第6の構成)。
【0096】
上記第6の構成によれば、ユーザの属性に応じて二酸化炭素の回収量を集計することができる。
【0097】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、吸収部材は、複数の情報端末の少なくとも1つにより読取可能な識別符号であって、吸収部材情報の少なくとも一部が記憶された識別符号が付されていてもよく、情報取得部は、複数の情報端末の少なくとも1つから、識別符号から読み取った情報を取得するように構成されてもよい(第7の構成)。
【0098】
上記第7の構成によれば、情報端末によって吸収部材から情報を容易に取得することができる。この結果、情報端末に吸収部材情報を入力するユーザの作業負担を軽減することができる。
【0099】
第7の構成において、識別符号は、吸収部材が回収可能な二酸化炭素の量の情報を含んでもよく、回収決定部は、吸収部材情報のうちの吸収部材が回収可能な二酸化炭素の量の情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定するように構成されてもよい(第8の構成)。
【0100】
上記第8の構成によれば、吸収部材が飽和度であれば、当該吸収部材が回収可能な二酸化炭素の量を回収したものと推定することができ、飽和度の吸収部材の識別情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を容易に計算することができる。
【0101】
第7または第8の構成において、識別符号は、吸収部材内において、吸収部材が開封されない状態では読取できない位置で、かつ、吸収部材が開封された状態で読取可能な位置に付されていてもよい(第9の構成)。
【0102】
上記第9の構成によれば、使用前の吸収部材から誤って識別符号が読み取られることを防止することができる。
【0103】
第7~第9の構成のいずれか1つにおいて、複数の情報端末の少なくとも1つは、識別符号及び吸収部材の画像を撮影する撮影部を含んでもよく、二酸化炭素回収管理システムは、吸収部材の画像に基づいて、吸収部材の飽和度を決定する状態決定部を、さらに備えてもよい(第10の構成)。
【0104】
上記第10の構成によれば、識別符号及び吸収部材を撮影することで、吸収部材情報を容易に取得することができる。
【0105】
第7~第10の構成のいずれか1つにおいて、吸収部材は、周囲の二酸化炭素濃度を計測する二酸化炭素計測器と、前記周囲の二酸化炭素濃度量に基づいて、前記吸収部材の吸収が飽和する時期を出力する飽和時期出力部と、を含む、二酸化炭素回収機内に配置されていてもよい(第11の構成)。
【0106】
上記第11の構成によれば、吸収部材を交換すべき時期を予測することができるので、交換すべき時期に吸収部材が交換されれば、飽和度の吸収部材が放置される期間を短くすることができる。これにより、効率良く二酸化炭素を回収することができる。
【0107】
第1~第11の構成のいずれか1つにおいて、二酸化炭素回収管理システムは、データベースに記憶された二酸化炭素の回収量の合計値と所定の基準値とを比較し、二酸化炭素の回収量の合計値が所定の基準値以上となった場合に、複数の情報端末のうちの少なくとも1つに、通知信号を送信する送信部をさらに備えてもよい(第12の構成)。
【0108】
上記第12の構成によれば、情報端末を使用するユーザが、二酸化炭素の回収量の合計値が所定の基準値以上となったことを認識することができる。
【0109】
第13の構成に係るプログラムは、大気中及び機器から排気される空気中の少なくとも一方における二酸化炭素の回収量を管理するためのプログラムであって、大気中又は機器から排気される空気中から二酸化炭素を吸収する吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度、及び当該吸収部材の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を、複数の情報端末の各々から取得する処理と、吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定する処理と、決定された二酸化炭素の回収量を、データベースに記憶する処理と、コンピュータのプロセッサに実行させる(第13の構成)。
【0110】
上記第13の構成によれば、二酸化炭素の回収量を管理することが可能なプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0111】
10…サーバ装置、11…制御部、11a…情報取得部、11b…回収量決定部、11c…記憶制御部、11d…排出権決定部、11e…通知制御部、11f…取引制御部、12…記憶部、12a…プログラム、12b…データベース、20、220、320…回収者端末、21、221、321…制御部、23…表示部、25…撮影部、26a、226a、326a…アプリケーションプログラム、30…中間保管者端末、33…表示部、35…撮影部、40…貯蔵者端末、43…表示部、45…撮影部、60…二酸化炭素回収機、61、561…吸収部材、61a…QRコード、61b…外袋、63…計測部、64…報知部、100、200、300、400…二酸化炭素回収管理システム、161…吸収部材群、161a…QRコード、261…吸収部材群、261a…QRコード
【要約】
【課題】二酸化炭素の回収量を管理することが可能な二酸化炭素回収管理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収管理システム100は、複数の第1回収者端末20と通信可能に構成され、空気中の二酸化炭素を吸収部材によって回収し、二酸化炭素の回収量を管理する。二酸化炭素回収管理システム100は、吸収部材の識別情報、当該吸収部材の飽和度、及び吸収部材の重量の少なくとも1つを含む吸収部材情報を、複数の第2回収者端末120の各々から取得し、吸収部材情報に基づいて、二酸化炭素の回収量を決定し、決定された二酸化炭素の回収量を、データベース12bに記憶するサーバ装置10を備える。
【選択図】
図2