(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B60R1/06 D
(21)【出願番号】P 2019084078
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中山 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和宏
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-124355(JP,U)
【文献】実開昭60-157447(JP,U)
【文献】実開昭60-124356(JP,U)
【文献】実開昭60-124357(JP,U)
【文献】国際公開第2018/047744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 - 1/31
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられる支持体と、
前記支持体に回動可能に支持され、前記支持体との間に回動径方向における隙間が設けられる回動体と、
前記回動体に設けられると共に、車両の乗員の視認を補助し、前記回動体が一側又は他側に回動されて格納又は展開される視認手段と、
前記支持体及び前記回動体の一方に設けられ
、前記回動体の回動軸方向に延びる側壁及び前記側壁の前記隙間とは反対側において前記回動体の回動径方向に延びる上壁が設けられる制限部材と、
前記
側壁に設けられ、弾性変形されて前記隙間の一側と他側との連通を制限する制限部と、
前記制限部材に設けられる変位部と、
前記
上壁に設けられると共に、前記変位部の前記制限部とは反対側に配置され、前記制限部が押圧されることによる前記変位部の変位を許容する許容部と、
を備える車両用視認装置。
【請求項2】
前記許容部が、前記制限部材の脆弱部とされる請求項1に記載の車両用視認装置。
【請求項3】
前記脆弱部が、貫通孔とされる請求項2に記載の車両用視認装置。
【請求項4】
前記制限部材は、前記変位部と前記貫通孔の前記変位部とは反対側を繋ぐ繋ぎ部を備えた請求項3に記載の車両用視認装置。
【請求項5】
前記許容部が、前記変位部と前記支持体及び前記回動体の一方との間の空隙とされる請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラーでは、車体のドアに取り付けられるミラーステーとミラーボデーとの間に形成される隙間が軟質のシールで充塞されている。
このようなドアミラーでは、ミラーボデーをミラーステーに対して回動した際にシールにより生じる摺動抵抗を低減できることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、回動体が回動する際に制限部により生じる摺動抵抗を低減できる車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様の車両用視認装置は、車体側に設けられる支持体と、前記支持体に回動可能に支持され、前記支持体との間に回動径方向における隙間が設けられる回動体と、前記回動体に設けられると共に、車両の乗員の視認を補助し、前記回動体が一側又は他側に回動されて格納又は展開される視認手段と、前記支持体及び前記回動体の一方に設けられる制限部材と、前記制限部材に設けられ、弾性変形されて前記隙間の一側と他側との連通を制限する制限部と、前記制限部材に設けられる変位部と、前記制限部材に設けられると共に、前記変位部の前記制限部とは反対側に配置され、前記制限部が押圧されることによる前記変位部の変位を許容する許容部と、を備えている。
【0006】
本発明の第2態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様の車両用視認装置において、前記許容部が、前記制限部材の脆弱部とされている。
【0007】
本発明の第3態様の車両用視認装置は、本発明の第2態様の車両用視認装置において、前記脆弱部が、貫通孔とされている。
【0008】
本発明の第4態様の車両用視認装置は、本発明の第3態様の車両用視認装置において、前記制限部材は、前記変位部と前記貫通孔の前記変位部とは反対側を繋ぐ繋ぎ部を備えている。
【0009】
本発明の第5態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様~第4態様の車両用視認装置において、前記許容部が、前記変位部と前記支持体及び前記回動体の一方との間の空隙とされている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1態様の車両用視認装置では、車体側の支持体に回動体が回動可能に支持されており、回動体の視認手段が車両の乗員の視認を補助する。また、回動体が一側又は他側に回動されて、視認手段が格納又は展開される。さらに、支持体と回動体との間に回動体の回動径方向における隙間が設けられると共に、支持体及び回動体の一方に制限部材が設けられており、制限部材の制限部が弾性変形されて当該隙間の一側と他側との連通を制限する。
【0011】
ここで、制限部材には、変位部及び制限部が設けられると共に、変位部の制限部とは反対側に許容部が設けられており、制限部が押圧されることによる変位部の変位を許容部が許容する。このため、回動体が回動する際に制限部により生じる摺動抵抗を低減することができる。
【0012】
本発明の第2態様の車両用視認装置では、許容部は、制限部材の脆弱部とされている。このため、制限部が押圧されることによる変位部の変位を許容することができる。
【0013】
本発明の第3態様の車両用視認装置では、脆弱部は、貫通孔とされている。このため、制限部が押圧されることによる変位部の変位を適切に許容することができる。
【0014】
本発明の第4態様の車両用視認装置では、制限部材は、変位部と貫通孔の変位部とは反対側を繋ぐ繋ぎ部を備えている。このため、制限部材の成形時における制限部材の変形を抑制できる。
【0015】
本発明の第5態様の車両用視認装置では、許容部は、変位部と支持体及び回動体の一方との間の空隙とされている。このため、制限部が押圧されることによる変位部の変位を許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置を示す車両前側かつ車幅方向外側(車両右側)から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置のミラーステーを示す車幅方向外側から見た側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置におけるシールを車両上方側から見た平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置の
図2の3-3線に沿って切断された部分を車両下方側から見た断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置を
図2の4-4線に沿って切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用視認装置としての車両用ミラー装置10を車両前側かつ車幅方向外側(車両右側)から見た分解斜視図が示されている。なお、図面では、車両前方側を矢印FRで示し、車幅方向外側を矢印OUTで示し、上方側を矢印UPで示している。
【0018】
本実施形態に係る車両用ミラー装置10は、車両のドア(車体側)としてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の車両上下方向中間部かつ車両前側端に設置されて、車両外側に配置されている。なお、車両用ミラー装置10は、車幅方向の両側に左右対称に構成されている。このため、以下の説明では、車両右側の側部に配置された車両用ミラー装置10について説明し、車両左側の側部に配置された車両用ミラー装置10についての説明は省略する。
【0019】
図2に示されるように、車両用ミラー装置10には、支持体を構成するミラーステー12が設けられており、ミラーステー12には、金属製又は樹脂製のベース14(
図1参照)が設けられている。ベース14の下部は、サイドドアに固定されており、これにより、車両用ミラー装置10がサイドドアに設置されている。ベース14の上端部14Aは、略有底円筒状にされており、ベース14の上端部14Aは、軸方向が上下方向に平行にされると共に、内部が上方側に開放されている。
【0020】
ベース14の外周には、樹脂製の略円筒状のベースカバー16が設けられており、ベースカバー16内は、下方側に開放されている。ベースカバー16は、ベース14に固定されており、ベースカバー16は、周壁がベース14の外周を被覆すると共に、上壁(底壁)にベース14の上端部14Aが貫通されている。また、ベースカバー16の周壁上部16A(
図4参照)は、車幅方向外側部分から車両後側部分までの範囲において、ベース14の上端部14Aと同軸上に湾曲されている。
【0021】
図1に示されるように、ベースカバー16の周壁上部16Aの車幅方向外側部分には、車両側面視で略台形状の凹部18が形成されており、凹部18は、車幅方向外側及び上方側に開放されると共に、下面が車両後側へ向かうに従い下方側へ向かう方向に傾斜されている。凹部18の車両前側端部、車両後側端部及び下端部には、嵌合面18Aが形成されており、
図4に示されるように、嵌合面18Aは、凹部18の底壁とベースカバー16の周壁上部16Aの外周面との間に配置されている。
【0022】
凹部18の底壁には、車両前側部及び車両後側部において、平面視で略鉤状の溝部18Bが形成されており、溝部18Bは、上下方向に延伸されて、上側及び下側に開放されている。溝部18Bは、車幅方向外側へ向けて開放されると共に車幅方向内側へ向けて略直線状に延在された平面部18B1と、平面部18B1の車幅方向内側端部から車両前方側又は車両後方側へ各々延在された爪部係合面18B2と、を備える。ここで、平面部18B1の幅寸法T1(車両前後方向の寸法)は、爪部係合面18B2の長辺側の寸法T2(車両前後方向の寸法)と爪部係合面18B2の短辺側の寸法D2(車幅方向の寸法)よりも短く形成されている。
【0023】
図1に示されるように、ベースカバー16の上側及び車幅方向外側には、制限部材としての樹脂製で板状のシール20が設けられており、シール20は、剛性がベースカバー16の剛性に比べて小さく形成されて、弾性を有している。
図3に示されるように、シール20の上壁22は、円環板状に形成されており、上壁22は、ベースカバー16の上壁の上面側を被覆している。シール20の上壁22には、許容部(脆弱部及び貫通孔)を構成する略円状の孔部26が貫通形成されており、孔部26には、ベース14の上端部14Aが貫通されている。シール20の制限部かつ変位部としての側壁24は、車両側面視略台形の湾曲板状に形成されており、側壁24は、車両前後方向中央部を除き、ベース14の上端部14Aと同軸上に湾曲されている。また、
図2に示されるように、側壁24の下面は、車両後側へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されており、側壁24は、ベースカバー16の凹部18に略嵌合されている。側壁24の車両前側端部、車両後側端部及び下端部は、凹部18の嵌合面18Aに嵌合されており、凹部18は、側壁24によってシールされている。
【0024】
図4に示されるように、側壁24の車両前方側部分及び車両後方側部分には、変位部を構成する取付爪24Aが一体形成されており、取付爪24Aは、断面略L字状に形成されると共に、上下方向に延伸されて上壁22と一体にされている。取付爪24Aは、その車幅方向内側に延出された軸部24A1と、軸部24A1の車幅方向内側端部から車両前方側及び車両後方側へ各々突出されると共に平面視で略矩状に形成された爪部24A2と、を備える。側壁24は、取付爪24Aが凹部18の溝部18Bに上方側から挿通されることにより、ベースカバー16に取付けられている。ここで、軸部24A1の幅寸法(車両前後方向の寸法)は、溝部18Bの平面部18B1の幅寸法T1よりも短く形成されている。また、爪部24A2の長辺側の寸法(車両前後方向の寸法)と短辺側の寸法(車幅方向の寸法)は、平面部18B1の幅寸法T1よりも各々長く形成されている。このため、取付爪24Aは、例えば、側壁24を車幅方向外側へ向けて引張った場合に、その爪部24A2が、溝部18Bの爪部係合面18B2に車幅方向外側から係合され、車幅方向外側への移動が制限される。
【0025】
図5に示されるように、取付爪24Aの下端には、ベースカバー16に係合するための断面直角三角形状の係合爪24A3が形成されている。具体的には、取付爪24A下端の車幅方向外側への移動が凹部18の底壁によって規制された状態で、係合爪24A3は、車幅方向内側へ向けて突出され、爪部係合面18B2の周壁の車幅方向内側下端に形成された係止部18Cに係合されている。このため、取付爪24Aの上側への移動が制限されると共に、取付爪24A車幅方向内側には、爪部係合面18B2の周壁との間に許容部としての空隙AGが形成されている。
【0026】
図4に示されるように、側壁24の車両前後方向中央部には、略円筒側壁状の変形板24Bが形成されており、変形板24Bは、車幅方向外側へ凸状に湾曲されている。変形板24Bは、上下方向に延伸されており、変形板24Bの上面及び下面は、閉塞されている。変形板24Bは、幅寸法(車両前後方向寸法)が突出寸法(車幅方向寸法)に対し大きくなるように形成されており(例えば、5倍にされている)、変形板24Bの曲率は、周壁上部16Aの曲率よりも小さくなるように形成されている。
【0027】
図3に示されるように、シール20の上壁22における側壁24より孔部26側には、許容部(脆弱部及び貫通孔)を構成する切欠28が形成されている。具体的には、上壁22において、孔部26の径方向外側(ベースカバー16径方向外側)から側壁24へ向けて孔部26径方向(車幅方向)に沿って径方向切欠28Aが形成されている。また、径方向切欠28Aの孔部26径方向外側端部から車両前方側へ向けて孔部26周方向(ベースカバー16周方向)に沿って周方向切欠28Bが形成されている。上壁22の切欠28より車両後側には、許容部(脆弱部及び貫通孔)としての許容孔29が貫通形成されており、許容孔29は、孔部26から車両後側かつ車幅方向外側へ向かう方向に延伸されている。これにより、側壁24が、例えば、変形板24Bの上側かつ車幅方向外側端部の接触部分(作用部分)FPにおいて車幅方向内側(孔部26径方向内側)へ向けて押圧された場合に、シール20の上壁22の側壁24側部分を変位させることができる。具体的には、側壁24(変形板24Bを含む)は、押圧されることにより車幅方向内側に弾性変形する。ここで、上壁22の側壁24と孔部26、切欠28(径方向切欠28Aと周方向切欠28B)及び許容孔29との間の部分(
図2中の斜線部)は、変形板24Bの弾性変形により、車幅方向内側へ変位後形状SPまで変位(スライド)する。このため、弾性変形する側壁24が変形部DFとされ、上壁22の側壁24と孔部26、切欠28及び許容孔29との間の部分が変位部DPとされている。
【0028】
径方向切欠28Aの孔部26側の端部には、径方向切欠28Aの車両前後方向両側面を略直線状に連結した繋ぎ部30が形成されている。繋ぎ部30は、シール20の上壁22の他の部分の剛性よりも小さくなるように構成されている。このため、繋ぎ部30は、シール20と同様に弾性変形される。上壁22における径方向切欠28Aと許容孔29との間の部分及び周方向切欠28Bと孔部26との間の部分は、その周囲に孔部26、切欠28及び許容孔29が形成されることにより、シール20の成形時に(車両上方側へ向けて)跳ね上がりが生じる可能性がある。このため、径方向切欠28Aと許容孔29との間の部分と周方向切欠28Bと孔部26との間の部分とを繋ぐように繋ぎ部30が設けられている。
【0029】
図4に示されるように、ミラーステー12の上側には、格納機構36が支持されている。格納機構36には、支持体を構成する支持部としての略円柱状のスタンド36Aが設けられており、スタンド36Aは、ミラーステー12のベース14の上端部14Aに同軸上に固定されている。
【0030】
図4に示されるように、スタンド36Aには、回動体としてのミラーボデー38(
図1参照)の車幅方向内側部分が支持されており、ミラーボデー38内の車幅方向内側部分には、作動体(図示省略)が設けられている。作動体は、格納機構36を構成して、スタンド36Aに支持されており、格納機構36が作動されることで、作動体がスタンド36Aに対し回動されて、ミラーボデー38がスタンド36Aを中心として格納方向(
図4の矢印Aの方向)及び展開方向(復帰方向、
図4の矢印Bの方向)に回動可能にされている。
【0031】
ミラーボデー38には、樹脂製のバイザ40が設けられており、バイザ40は、その剛性がミラーステー12のシール20の剛性に比べて大きくなるように構成されている。バイザ40の車幅方向内側部分は、格納機構36の作動体に固定されており、バイザ40は、作動体と一体回動可能にされている。
【0032】
バイザ40の車両前側部分には、バイザカバー40Aが設けられており、バイザ40の車両後側部分には、バイザボデー40Bが設けられている。バイザカバー40Aは、バイザボデー40Bに組付けられており、バイザカバー40Aは、バイザボデー40Bの車両前方側を被覆している。
【0033】
バイザ40の下部の車幅方向内側端部には、断面U字形枠状の対向枠42が設けられており、対向枠42内は、車幅方向内側及び車両下方側に開放されている。対向枠42は、車幅方向内側においてミラーステー12のベースカバー16の周壁上部16Aに対向されており、対向枠42とベースカバー16の周壁上部16Aとの間には、ミラーボデー38の回動径方向における隙間44が形成されている。
【0034】
対向枠42の車両前側部分には、略湾曲板状の延出板42Aが設けられており、延出板42Aは、バイザカバー40Aに設けられている。延出板42Aは、車幅方向内側に延出されており、延出板42Aの先端は、ミラーステー12のベースカバー16の周壁上部16Aに離間された状態で対向されている。
【0035】
対向枠42の車幅方向内側かつ車両前方側の部分には、略平板状の第1対向板42Bが設けられており、第1対向板42Bは、バイザカバー40Aに設けられている。第1対向板42Bの車両前側端は、延出板42Aの車幅方向外側端と一体にされており、第1対向板42Bは、車幅方向に略垂直に配置されている。対向枠42の車幅方向内側かつ車両後方側の部分には、略平板状の第2対向板42Cが設けられており、第2対向板42Cは、バイザボデー40Bに設けられると共に、車幅方向に略垂直に配置されている。
【0036】
第1対向板42Bの車両後側端部と第2対向板42Cの車両前側端部とは、重合されており、第1対向板42Bの車幅方向内側面と第2対向板42Cの車幅方向内側面とは、面一にされて、平面状の接触面42Dが形成されている。接触面42Dには、車両上下方向全体において、ミラーステー12におけるシール20の側壁24の変形板24Bが弾性変形された状態で接触部分FP(
図3参照)において接触されており、シール20の側壁24(変形板24Bを含む)は、バイザ40の対向枠42とベースカバー16の周壁上部16Aとの間をシールして、対向枠42とベースカバー16の周壁上部16Aとの隙間44の車両前方側(展開方向側、他側)と車両後方側(格納方向側、一側)との連通を制限している。
【0037】
バイザボデー40B内には、視認手段としての板状のミラー(図示省略)が一体回動可能に収容されており、ミラーは、バイザボデー40Bから車両後方側に露出されている。ミラーの鏡面は、車両後側に向けられており、ミラーの鏡面による光の反射によって、車両の乗員の車両後側の視認が補助される。
【0038】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0039】
以上の構成の車両用ミラー装置10では、ミラーボデー38が展開されて、バイザ40の対向枠42の接触面42Dにミラーステー12におけるシール20の側壁24の変形板24Bが接触部分FPにおいて接触されており、シール20の側壁24が弾性変形されて、対向枠42とベースカバー16の周壁上部16Aとの隙間44の車両前側と車両後側との連通を制限している。このため、車両の走行時に、走行風が隙間44を車両前側から車両後側へ通過することをシール20の側壁24が制限することで、隙間44による風切音の発生が抑制される。
【0040】
また、格納機構36が作動されることで、ミラーボデー38(格納機構36の作動体、バイザ40及びミラーを含む)が格納機構36のスタンド36Aを中心として回動される。この場合、ミラーボデー38が格納方向に回動されることで、ミラーボデー38が格納される。さらに、ミラーボデー38が展開方向に回動されることで、ミラーボデー38が展開(復帰)される。
【0041】
ミラーボデー38が格納及び展開される際には、ミラーボデー38の接触面42Dが、側壁24の接触部分FPを摺動するため、接触面42Dと側壁24との間に摺動抵抗が生じる。ここで、シール20の上壁22には、孔部26、切欠28(径方向切欠28Aと周方向切欠28B)及び許容孔29が形成されている。このため、
図3に示されるように、側壁24(変形板24Bを含む)は、孔部26側へ向けて弾性変形し、上壁22の側壁24と孔部26、切欠28及び許容孔29との間の部分(変位部DP)は、側壁24の弾性変形により、孔部26側(車幅方向内側)へ向けて変位後形状SPまで変位(スライド)する。これにより、側壁24の接触面42Dへ対する反力を低減することができるため、ミラーボデー38と側壁24との間に生じる摺動抵抗を低減することができる。
【0042】
また、上壁22には、径方向切欠28Aと許容孔29との間の部分と周方向切欠28Bと孔部26との間の部分とを繋ぐように繋ぎ部30が設けられている。このため、シール20の成形時における上壁22の変形を抑制すると共に、繋ぎ部30が、変位部DPの孔部26側への変位を阻害することを抑制できる。
【0043】
さらに、側壁24の取付爪24Aは、孔部26側においてベースカバー16の溝部18B周壁との間に空隙AGを設ける。このため、ミラーボデー38が格納又は展開される際に、変位部DP(取付爪24Aを含む)を孔部26側へ向けて適切に変位させることができ、ミラーボデー38と側壁24との間に生じる摺動抵抗を適切に低減することができる。
【0044】
また、側壁24は、取付爪24Aがベースカバー16の溝部18Bに上方側から挿通されることにより、ベースカバー16に取り付けられている。ここで、取付爪24Aの爪部24A2の長辺側と短辺側の寸法は、平面部18B1の幅寸法T1よりも各々長く形成されている。このため、取付爪24Aは、例えば、側壁24に車幅方向外側へ向けて引張った場合に、その爪部24A2が溝部18Bの爪部係合面18B2に車幅方向外側から係合されて、車幅方向外側への移動が制限される。これにより、側壁24の車幅方向外側への移動が制限され、シール20が凹部18から外れることを抑制することができる。
【0045】
さらに、取付爪24Aの下端には、ベースカバー16の係止部18Cに係合するための係合爪24A3が形成されている。このため、シール20をベースカバー16に組付ける際にクリック感を得ることができると共に、シール20のベースカバー16(係止部18C)に対する半嵌合状態を抑制することができる。これにより、シール20のベースカバー16への組み付け性を向上させることができる。
【0046】
また、シール20の上壁22と一体とされた取付爪24Aは、断面略L字状に形成されている。このため、シール20を成形するための金型における取付爪24A間の成形部分の構造を、例えば、断面略T字状の取付爪とされた場合と比べて簡単にすることができる。これにより、シール20の製造コストを低減することができる。
【0047】
なお、ここでは、許容部(脆弱部)は、切欠28により形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、シールの肉厚を薄くすることや材質変更部を形成することにより許容部(脆弱部)が形成されてもよい。
【0048】
また、ここでは、繋ぎ部30は、径方向切欠28Aの孔部26側の端部に形成されていると説明したが、これに限らず、繋ぎ部は、例えば、径方向切欠の孔部側の端部よりも径方向外側に形成されてもよい。
【0049】
なお、ここでは、周方向切欠28Bは、車両前方側に延伸されているとして説明したが、これに限らず、周方向切欠は、車両後方側に延伸されてもよい。
【0050】
また、ここでは、切欠28として、径方向切欠28Aと周方向切欠28Bが設けられているとして説明したが、これに限らず、径方向切欠だけで、切欠が設けられてもよい。
【0051】
なお、ここでは、シール20は、ベースカバー16に設けられているとして説明したが、これに限らず、シールは、ミラーボデー側に設けられてもよい。
【0052】
なお、ここでは、視認手段として板状のミラーが用いられているとして説明したが、これに限らず、視認手段として、カメラが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…車両用ミラー装置(車両用視認装置)、12…ミラーステー(支持体)、20…シール(制限部材)、24…側壁(制限部、変位部)、24A…取付爪(変位部)、26…孔部(許容部、脆弱部及び貫通孔)、28…切欠(許容部、脆弱部)、28A…径方向切欠(許容部、脆弱部及び貫通孔)、28B…周方向切欠(許容部、脆弱部及び貫通孔)、29…許容孔(許容部、脆弱部及び貫通孔)、30…繋ぎ部、36A…スタンド(支持体)、38…ミラーボデー(回動体)、AG…空隙、DP…変位部