(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】情報端末、端末管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04847 20220101AFI20230418BHJP
【FI】
G06F3/04847
(21)【出願番号】P 2018236057
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 嘉洋
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182778(JP,A)
【文献】特開2011-060035(JP,A)
【文献】特開2012-008702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04847
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段を介して自機に対する設定内容が入力される際に、前記操作手段に対するユーザによる操作履歴情報を取得する取得手段と、
前記取得された操作履歴情報に所定の操作シーケンスが含まれる際に、当該所定の操作シーケンスを、他の情報端末の個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する第1の変換手段と、
自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、前記第1の変換手段で変換された前記操作履歴情報を他の情報端末に送信する送信手段と、を備え
、
前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子、当該項目識別子の削除情報、個別設定情報、終了識別子、当該終了識別子の削除情報を順に有する文字情報を含み、
前記第1の変換手段は、前記所定の操作シーケンスのうちの前記項目識別子から前記終了識別子の削除情報までの文字情報を当該項目識別子に変換する、
ことを特徴とする情報端末。
【請求項2】
前記操作手段に対する操作情報に応じて、自機の設定を行う第1の設定手段を備える請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記送信手段は、前記他の情報端末の個別設定情報と、前記操作履歴情報と、を当該他の情報端末に送信する請求項1又は2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子を含み、
前記操作手段に対する操作情報の前記項目識別子を自機の個別設定情報に変換する第2の変換手段を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項5】
前記他の情報端末の個別設定情報に基づいて、前記所定の操作シーケンスの前記項目識別子を当該他の情報端末に対応する個別設定情報に変換する第3の変換手段を備える請求項1又は2に記載の情報端末。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の情報端末としての第1の情報端末と、
前記他の情報端末としての第2の情報端末と、を備え、
前記第2の情報端末は、
前記操作履歴情報を前記第1の情報端末から受信する受信手段と、
前記操作履歴情報に応じて、前記項目識別子に対応する個別設定情報の設定を含む自機の設定を行う第2の設定手段と、を備える端末管理システム。
【請求項7】
前記受信手段は、前記第2の情報端末の個別設定情報と、前記操作履歴情報と、を前記第1の情報端末から受信し、
前記第2の情報端末は、
前記受信された第2の情報端末の個別設定情報に基づいて、前記所定の操作シーケンスの前記項目識別子を当該第2の情報端末に対応する個別設定情報に変換する第4の変換手段を備え、
前記第2の設定手段は、前記第4の変換手段により変換された操作履歴情報に応じて、自機の設定を行う請求項6に記載の端末管理システム。
【請求項8】
前記受信手段は、前記項目識別子が前記第2の情報端末に対応する個別設定情報に変換された操作履歴情報を前記第1の情報端末から受信する請求項7に記載の端末管理システム。
【請求項9】
情報端末のコンピュータを、
操作手段を介して自機に対する設定内容が入力される際に、前記操作手段に対するユーザによる操作履歴情報を取得する取得手段、
前記取得された操作履歴情報に所定の操作シーケンスが含まれる際に、当該所定の操作シーケンスを、他の情報端末の個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する第1の変換手段、
自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、前記第1の変換手段で変換された前記操作履歴情報を他の情報端末に送信する送信手段、
として機能させ、
前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子、当該項目識別子の削除情報、個別設定情報、終了識別子、当該終了識別子の削除情報を順に有する文字情報を含み、
前記第1の変換手段は、前記所定の操作シーケンスのうちの前記項目識別子から前記終了識別子の削除情報までの文字情報を当該項目識別子に変換する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末、端末管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットなどの店舗や、倉庫の商品管理などの業務に関する情報の入力を受け付けて管理する情報端末として、ハンディターミナルが知られている。ハンディターミナルは、例えば、管理対象の商品に付された商品識別番号などの情報が含まれるシンボル(バーコード、2次元コード)のスキャンを行うスキャナ部を有する。
【0003】
工場出荷されたハンディターミナルを店舗などに導入する場合に、業務向けの初期セットアップとしてキッティングをすることが知られている。
【0004】
キッティングや変更設定は、導入先によっては、数十台から数千台のハンディターミナルに対して行う必要がある。このため、端末の設定の負担を低減する方法が知られている。例えば、POS(Point Of Sales)ターミナルで利用する複数のスキャナについて、ある変更設定があった1つのスキャナから設定情報を取得し、当該変更設定用の情報を含む一括設定用のバーコードを生成して印刷し、印刷された一括設定用のバーコードを他の各スキャナが読み込むことにより当該各スキャナの変更設定を行うPOSシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ハンディターミナルを顧客向けにキッティングする際の手法として、親機となるハンディターミナルを仕立て、親機に記憶された情報をコピーして順次子機を作成する方法がある。この時、マスタデータなどのファイル及びプログラムから設定する方法が公開されている設定項目については、キッティングツールにて自動的に親機の内容を子機にコピーすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のキッティング方法において、アプリケーションプログラムのインストール時に求められるアクセス権限の許可操作、プログラムからの設定方法が公開されていないOS(Operating System)標準設定画面の設定項目、WEB画面上で操作せねばならない設定項目など、どうしても1台ずつ手動操作によって個別に異なる設定が必要な項目(端末個別設定項目)については自動化を行うことができず、大量キッティング時に手間と時間がかかっていた。
【0008】
本発明の課題は、複数の情報端末に対して個別に異なる設定情報を含む設定変更を容易に実施可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の情報端末は、操作手段を介して自機に対する設定内容が入力される際に、前記操作手段に対するユーザによる操作履歴情報を取得する取得手段と、前記取得された操作履歴情報に所定の操作シーケンスが含まれる際に、当該所定の操作シーケンスを、他の情報端末の個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する第1の変換手段と、自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、前記第1の変換手段で変換された前記操作履歴情報を他の情報端末に送信する送信手段と、を備え、前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子、当該項目識別子の削除情報、個別設定情報、終了識別子、当該終了識別子の削除情報を順に有する文字情報を含み、前記第1の変換手段は、前記所定の操作シーケンスのうちの前記項目識別子から前記終了識別子の削除情報までの文字情報を当該項目識別子に変換する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の情報端末に対して個別に異なる設定情報を含む設定変更を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は、本発明の実施の形態の端末管理システムを示すシステム構成図である。(b)は、ハンディターミナルの外観図である。
【
図2】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の親機処理を示すフローチャートである。
【
図4】PCから親機のハンディターミナルへのファイル群のコピーを示す図である。
【
図5】(a)は、端末個別設定リストの一例を示す図である。(b)は、操作記録ファイルの一例を示す図である。
【
図6】操作記録ファイルが生成された親機のハンディターミナルを示す図である。
【
図8】親機のハンディターミナルから子機のハンディターミナルへのファイル群のコピーを示す図である。
【
図10】キッティング中の子機のハンディターミナルを示す図である。
【
図11】使用者情報入力画面の一例を示す図である。
【
図12】第2の親機処理を示すフローチャートである。
【
図13】(a)は、項目識別子変換前の使用者情報入力画面を示す図である。(b)は、項目識別子変換後の使用者情報入力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態)
図1~
図11を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、
図1、
図2を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。
図1(a)は、本実施の形態の端末管理システム1を示すシステム構成図である。
図1(b)は、ハンディターミナル10の外観図である。
図2は、ハンディターミナル10の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1(a)に示す端末管理システム1は、複数の情報端末としてのハンディターミナル10と、PC(Personal Computer)2と、を備える。ハンディターミナル10は、スーパーマーケット、量販店などの店舗や、商品を格納する倉庫などの導入先に導入され、当該導入先の店員、管理担当者などの操作者に操作される情報端末である。ハンディターミナル10は、少なくとも、シンボルのスキャン機能、無線LAN(Local Area Network)通信機能を有する。
【0015】
しかし、ハンディターミナル10は、キッティング前には、通信設定が完了していないため、アクセスポイントを介する無線LAN通信を行うことはできない。ここで、ハンディターミナル10は、キッティング前に、ダイレクトの無線LAN通信を行うことが可能であるものとする。つまり、キッティング前の各ハンディターミナル10の記憶部15には、端末間でダイレクトの無線LAN通信を行うための無線LAN用プログラムが記憶されているものとする。無線LAN用プログラムとして、「Wi-Fi Direct(登録商標) Soft AP」のプログラムを用いるものとする。「Soft AP」は、端末を無線LAN通信音のアクセスポイントとして機能させることを意味する。具体的には、親機のハンディターミナル10をアクセスポイントとして機能させ、子機のハンディターミナル10をアクセスポイントと通信するクライアントとして機能させる。
【0016】
PC(Personal Computer)2は、ハンディターミナル10にキッティングを行うために用いる情報処理装置であり、操作部を介する操作者(ハンディターミナル10を導入する設定者)からの入力などに応じてハンディターミナル10のキッティングに用いる後述する端末個別設定リストを生成し、ハンディターミナル10にコピーするための端末個別設定リストと、後述する各種ファイル、アプリケーションプログラム(アプリケーション)とを含むファイル群を記憶しているものとする。PC2は、サーバなど、他の情報処理装置としてもよい。また、PC2は、ダイレクトの無線LAN通信機能を有するものとする。
【0017】
また、
図1(b)に示すように、ハンディターミナル10は、操作者の各種情報の入力を受け付ける操作部12と、各種情報を表示する表示部14と、を備える。操作部12は、スキャンのトリガキー、カーソルキー、数字、文字などの入力キー、ファンクションキーなどの機能キーを含む。表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0018】
ハンディターミナル10は、導入先に応じて、複数台が導入される。ハンディターミナル10の導入時には、(1)無線LANなどの通信設定、(2)スキャナ部などのデバイス設定、(3)オートパワーオフ時間、セキュリティなどの端末設定、(4)端末IDなど、各ハンディターミナルの個別設定、(5)業務向けアプリ(アプリケーションプログラム)のコピー及びインストール、といった一連のキッティングが実行される。本実施の形態では、複数のハンディターミナルのうち1台をキッティングの親機として、他の残りを子機として扱い、親機が子機のキッティングを行う構成とする。ただし、各ハンディターミナル10は、親機にも子機にも使用できる構成とする。
【0019】
ついで、
図2を参照して、ハンディターミナル10の内部の機能構成を説明する。
図2に示すように、ハンディターミナル10は、第1~第4の変換手段、取得手段、第1、第2の設定手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作手段としての操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、送信手段、受信手段としての無線通信部16と、スキャナ部17と、ROM(Read Only Memory)18と、を備える。ハンディターミナル10の各部は、バス19を介して接続されている。
【0020】
CPU11は、ハンディターミナル10の各部を制御する。CPU11は、記憶部15に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、当該展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0021】
操作部12は、各種キーを有し、操作者からのキー入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。また、操作部12は、表示部14の表示画面に設けられ、操作者からのタッチ入力を受け付けるタッチパネルを含むものとする。
【0022】
RAM13は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。表示部14は、CPU11から指示された表示情報に従い、LCDなどの表示画面に各種表示を行う。
【0023】
記憶部15は、情報を読み出し及び書き込み可能なフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。記憶部15には、各種データ及びプログラムが記憶されている。特に、記憶部15には、後述する第1の親機処理を実行するための第1の親機処理プログラムP1と、子機処理を実行するための子機処理プログラムP2と、が記憶されているものとする。また、記憶部15には、ダイレクトの無線LAN通信の「Wi-Fi Direct Soft AP」のプログラムが記憶されているものとする。
【0024】
無線通信部16は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有し、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN通信の通信方式の通信部である。CPU11は、無線通信部16を介して、アクセスポイントとの無線送受信を行い、当該アクセスポイントにネットワーク接続された通信先の機器と情報の送受信を行う。
【0025】
スキャナ部17は、シンボルを読み取るスキャナ部である。スキャナ部17は、例えば、光学系及び撮像素子を有するデジタルカメラ部であり、CPU11の指示に従い、シンボルとしてのバーコード、又はQR(Quick Response)コード(登録商標)などの2次元コードを被写体として撮像してその画像データを生成する。特に、スキャナ部17は、バーコードや2次元コードのシンボルを撮像する。CPU11は、スキャナ部17により撮像されたシンボルの画像データをデコードして当該2次元コードに含まれるデータを取得する。また、スキャナ部17は、シンボルとしてのバーコードにレーザー光を照射しその反射光の入力により得られた信号をデコードしてスキャンデータを得るレーザスキャナとしてもよい。
【0026】
ROM18は、情報を読み出し可能な不揮発性の記憶部である。ROM18には、自機のハンディターミナル10の製造時に固定的に付与された、個体ごとにユニークなシリアル番号などの情報が記憶されている。
【0027】
ハンディターミナル10には、図示しないが電池などの電源部を備え、他にも、NFC(Near Field Communication)などの近距離通信部、ワイヤレスWAN(Wide Area Network)の無線通信部、USB(Universal Serial Bus)などの有線通信部、スピーカなどの音声出力部などを備える構成としてもよい。
【0028】
つぎに、
図3~
図11を参照して、端末管理システム1の動作を説明する。
図3は、第1の親機処理を示すフローチャートである。
図4は、PC2から親機のハンディターミナル10Aへのファイル群のコピーを示す図である。
図5(a)は、端末個別設定リスト153を示す図である。
図5(b)は、操作記録ファイル154を示す図である。
図6は、操作記録ファイル154が生成された親機のハンディターミナル10Aを示す図である。
図7は、ログイン画面30及び入力情報を示す図である。
図8は、親機のハンディターミナル10Aから子機のハンディターミナル10B,10Cへのファイル群のコピーを示す図である。
図9は、子機処理を示すフローチャートである。
図10は、キッティング中の子機のハンディターミナル10Bを示す図である。
図11は、使用者情報入力画面40を示す図である。
【0029】
複数のハンディターミナル10を所定の導入先に導入するケースを考える。この複数のハンディターミナル10のうち1台をキッティングの親機として、他の残りを子機として扱いキッティングを行う。親機は、子機のキッティングを行う。ここでは、簡単のため、親機のハンディターミナル10をハンディターミナル10Aとし、子機のハンディターミナル10をハンディターミナル10B,10C…とする。
【0030】
予め、PC2において、全てのハンディターミナル10に適用するためのファイル群が用意されて記憶されている。ファイル群は、業務用のマスタデータ、各種設定情報などを含む各種ファイルと、業務用アプリなどのアプリケーションと、ハンディターミナル10毎に異なるキッティング時の入力項目である端末個別設定情報のリストファイル(端末個別設定リストとする)と、を含む。端末個別設定リストは、端末個別設定情報として、各ハンディターミナル10のシリアル番号、使用者の社員番号、使用者名、ログイン名、パスワードなどの情報を含む。
【0031】
PC2は、ダイレクトの無線LAN通信機能を有する。PC2は、例えば、ダイレクトの無線LAN通信のアクセスポイントとして機能し、ダイレクトの無線LAN通信により、シリアル番号の要求を各ハンディターミナル10に送信し、シリアル番号を各ハンディターミナル10から受信するものとする。各ハンディターミナル10のCPU11は、記憶部15に記憶されたダイレクトの無線LAN通信のプログラムに従い、無線通信部16を介して、ダイレクトの無線LAN通信により、シリアル番号の要求をPC2から受信した場合に、シリアル番号を自機のROM18から読み出してPC2に送信する。PC2(の制御部)は、操作者からの操作入力と、受信した各ハンディターミナル10のシリアル番号とに応じて、シリアル番号と端末個別設定情報とを対応付けた端末個別設定リストを生成する。
【0032】
次いで、
図3~
図8を参照して、親機のハンディターミナル10Aで実行される第1の親機処理を説明する。
【0033】
工場出荷されたハンディターミナルの箱から複数のハンディターミナル10が取り出され、キッティングが行われる。操作者は、複数のハンディターミナル10から親機としてハンディターミナル10Aを選択したものとする。ハンディターミナル10Aにおいて、操作部12を介して操作者から、第1の親機処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶された第1の親機処理プログラムP1に従い、第1の親機処理を実行する。親機は、複数のハンディターミナル10から任意に選択されるため、第1の親機処理プログラムP1は、全てのハンディターミナル10の記憶部15に記憶されている。
【0034】
図3に示すように、まず、親機のハンディターミナル10AのCPU11は、無線通信部16を介して、ダイレクトの無線LAN通信により、PC2に記憶されたファイル群をPC2から受信して記憶部15に記憶する(ステップS11)。ここでは、例えば、PC2がダイレクトの無線LAN通信のアクセスポイントとして機能し、親機のCPU11は、記憶部15に記憶されたダイレクトの無線LAN通信のプログラムに従い、クライアントとして機能する。
【0035】
ステップS11では、
図4に示すように、PC2の記憶部25に記憶された各種ファイル、アプリケーション、端末個別設定リストが、親機のハンディターミナル10Aの記憶部15に、各種ファイル151、アプリケーション152、端末個別設定リスト153として記憶される。
図5(a)に示すように、端末個別設定リスト153は、項目識別子毎に、端末個別設定情報が格納されている。項目識別子は、端末個別設定情報を識別するための識別子であり、通常の操作入力では使用されることがないとみなされた特殊な文字列とする。端末個別設定リスト153では、項目識別子として、例えば、「*9*0#」、「*9*1#」、「*9*2#」、「*9*3#」、「*9*4#」…が格納されている。「*9*0#」は、端末個別設定情報としてのハンディターミナル10のシリアル番号を示すこととする。「*9*1#」は、端末個別設定情報としての使用者の社員番号を示すこととする。「*9*2#」は、端末個別設定情報としての使用者名を示すこととする。「*9*3#」は、端末個別設定情報としての使用者のログインIDを示すこととする。「*9*4#」は、端末個別設定情報としての使用者のパスワードを示すこととする。
【0036】
端末個別設定リスト153は、シリアル番号をキーとして管理される情報とするが、これに限定されるものではない。シリアル番号に代えて、IMEI(International Mobile Equipment Identifier:国際移動体装置識別番号)」などのハンディターミナルの他の個体識別情報としてもよい。また、予め固定されたシリアル番号に対応付けて、操作者などによりハンディターミナル10毎に任意に付与された端末IDなどの識別情報を対応付け、当該任意の識別情報で端末個別設定リスト153の端末個別設定情報を管理する構成としてもよい。
【0037】
図3に戻り、親機のCPU11は、操作部12を介して、操作者からのキッティングのための操作情報の入力を受け付け、当該操作情報の内容、時刻などの履歴を示す操作履歴情報を取得する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、
図6に示すように、キッティング時に入力された操作情報に応じた操作履歴情報が取得される。
【0038】
そして、親機のCPU11は、ステップS13で入力された操作情報に基づき、記憶部15にコピーされたファイル群を用いて、自機をキッティングする(ステップS13)。ステップS13のキッティングは、自機への各種ファイル151の適用、自機へのアプリケーション152のインストール(アクセス権限の許可操作を含む)などを含む。
【0039】
操作履歴情報は、例えば、
図5(b)の操作記録ファイル154内の情報に示すように、操作部12のタッチパネルのタップ操作におけるタッチ入力の時刻及び2次元座標、タッチリリースの時刻及び2次元座標、キー入力した文字情報などが、操作入力の時系列順に含まれる。タッチパネルの操作としては、タップ操作のみならず、ドラッグや、タッチしたまま特定の形を描くジェスチャのいずれも記録できる。特に、キッティングにおいて、OS標準設定画面の設定項目入力画面、WEB画面などが表示され、端末個別設定情報が適宜キー入力された場合に、その操作履歴情報も取得される。
【0040】
例えば、アプリケーション152のインストールの際に、
図7に示すようなログイン画面30が親機の表示部14に表示された場合を考える。ログイン画面30は、ログインID入力欄31と、パスワード入力欄32と、を有する。操作者は、操作部12を介して、使用者のログインIDをログインID入力欄31に文字入力し、使用者のログインIDに対応するパスワードをパスワード入力欄32に文字入力する。
【0041】
このとき、使用者のログインID、パスワードは、端末個別設定情報である。このため、操作者は、一旦、使用者の端末個別設定情報に対応する項目識別子を入力した後、当該項目識別子を削除し、当該端末個別設定情報の内容を入力し、終了識別子を入力し、当該終了識別子を削除するという特殊な操作入力を行う。この特殊な操作入力も、操作履歴情報とされる。
【0042】
例えば、
図7に示すように、使用者名「山田太郎」のログインID「aaa1234」を入力する場合に、実際には、ログインIDの項目識別子「*9*3#」+項目識別子分の削除情報「←←←←←(←:バックスペース)」+ログインID「aaa1234」+終了識別子「*9*END#」+終了識別子分の削除情報「←←←←←←←」が順に入力される。このため、最終的には、「aaa1234」のみ入力されている状態となるが、操作履歴情報には、ログインIDのみならず、項目識別子、終了識別子、削除情報の全ての入力情報を含む。パスワード(項目識別子「*9*4#」)、他の端末個別設定情報の入力についても同様の特殊な操作入力が行われる。
【0043】
図3に戻り、親機のCPU11は、ステップS13のキッティングが終了したか否かを判別する(ステップS14)。キッティングが終了していない場合(ステップS14;NO)、ステップS12に移行される。キッティングが終了した場合(ステップS14;YES)、親機のCPU11は、ステップS12で取得された操作履歴情報のうち、特殊な操作入力に対応する項目識別子と終了識別子の削除情報とで挟まれた文字列を当該項目識別子に変換する(置き換える)(ステップS15)。
【0044】
そして、親機のCPU11は、ステップS15で変換された操作履歴情報から操作記録ファイルを作成し記憶部15に記憶する(ステップS16)。
図6に示すように、例えば、項目識別子への変換後の操作履歴情報を含む操作記録ファイル154が生成されて、親機の記憶部15に記憶される。
【0045】
そして、親機のCPU11は、無線通信部16を介して、ダイレクトの無線LAN通信により、記憶部15に記憶された操作記録ファイルを含むファイル群を子機のハンディターミナル10に送信し(ステップS17)、第1の親機処理を終了する。ステップS17では、例えば、
図8に示すように、親機のハンディターミナル10Aの記憶部15に記憶された各種ファイル151、アプリケーション152、端末個別設定リスト153、操作記録ファイル154を含むファイル群が、ダイレクトの無線LAN通信により、子機のハンディターミナル10B,10C…に送信される。このとき、例えば、親機のハンディターミナル10Aは、ダイレクトの無線LAN通信のプログラムの実行により、アクセスポイントとして機能し、子機のハンディターミナル10B,10Cは、ダイレクトの無線LAN通信のプログラムの実行により、クライアントとして機能しているものとする。
【0046】
次いで、
図9~
図11を参照して、子機のハンディターミナル10で実行される子機処理を説明する。ここでは、子機のハンディターミナル10Bの動作を代表的に説明するが、他の子機のハンディターミナル10でも同様である。予め、操作者は、複数のハンディターミナル10から子機としてハンディターミナル10Bを選択したものとする。ハンディターミナル10Bにおいて、操作部12を介して操作者から、子機処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶された子機処理プログラムP2に従い、子機処理を実行する。
【0047】
図9に示すように、まず、子機のハンディターミナル10BのCPU11は、
図3の第1の親機処理のステップS17に対応して、無線通信部16を介して、ダイレクトの無線LAN通信により、ファイル群を親機のハンディターミナル10Aから受信し、記憶部15に記憶する(ステップS21)。ステップS21において、
図8に示すように、子機のハンディターミナル10Bの記憶部15には、各種ファイル151、アプリケーション152、端末個別設定リスト153、操作記録ファイル154が記憶される。
【0048】
そして、子機のCPU11は、シリアル番号をROM18から読み出し、記憶部15のファイル群の端末個別設定リスト153を参照し、読み出したシリアル番号に対応するレコードにおいて、記憶部15に記憶された操作記録ファイル154の項目識別子を、当該項目識別子に対応する端末個別設定リスト153の端末個別設定情報で変換することにより、操作記録ファイル154を変換する(ステップS22)。ステップS22では、例えば、
図10に示すように、操作記録ファイル154の項目識別子が、端末個別設定リスト153の当該項目識別子に対応する端末個別設定情報で置き換えられる。
【0049】
例えば、子機のハンディターミナル10Bのシリアル番号が「2655」であり、
図5(a)の端末個別設定リスト153が参照される場合、操作記録ファイル154の端末個別設定識別子「*9*3#」、「*9*4#」(図示略)は、端末個別設定リスト153のシリアル番号「2655」のレコードのログインID「aaa1235」、パスワード「Pa34wd」に変換される。
【0050】
図9に戻り、子機のCPU11は、ステップS22で変換された操作記録ファイル154の操作履歴情報を再生することで、記憶部15に記憶されたファイル群を用いて、自機のキッティングを行う(ステップS23)。自機のキッティングは、自機への各種ファイル151の適用、自機へのアプリケーション152のインストールを含む。その際に、例えば、
図11に示すログイン画面30Bが子機の表示部14に表示された場合を考える。ログイン画面30Bは、ログインID入力欄31と、パスワード入力欄32と、を有する。ステップS22により、「*9*3#」、「*9*4#」が、ログインID「aaa1235」、パスワード「Pa34wd」に変換されているため、ステップS23で、ログインID入力欄31、パスワード入力欄32に、「aaa1235」、「Pa34wd」が自動的に入力されてキッティングがなされる。
【0051】
図9に戻り、子機のCPU11は、ステップS23のキッティングが終了したか否かを判別する(ステップS24)。ステップS23のキッティングが終了していない場合(ステップS24;NO)、ステップS23に移行される。ステップS23のキッティングが終了した場合(ステップS24;YES)、子機処理が終了する。
【0052】
以上、本実施の形態によれば、親機としてのハンディターミナル10Aは、操作部12を介して自機に対する設定内容が入力される際に、操作部12に対する操作者による操作履歴情報を取得し、取得された操作履歴情報としての操作記録ファイル154に所定の操作シーケンスが含まれる際に、所定の操作シーケンスを、子機のハンディターミナル10の端末個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する。ハンディターミナル10Aは、自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、変換された操作記録ファイル154を子機のハンディターミナル10に送信する。子機のハンディターミナル10は、操作記録ファイル154を親機のハンディターミナル10Aから受信し、操作記録ファイル154に応じて、項目識別子に対応する端末個別設定情報の設定を含む自機の設定(キッティング)を行う。
【0053】
このため、複数のハンディターミナルに対して個別に異なる端末個別設定情報を含む設定変更(キッティング)を容易に実施でき、操作者の作業負担を低減でき、作業時間を短縮できる。
【0054】
また、ハンディターミナル10Aは、操作部12に対する操作情報に応じて、自機の設定(キッティング)を行う。このため、ハンディターミナル10Aは、自機の端末個別設定情報を含む設定(キッティング)を実施できる。
【0055】
また、親機のハンディターミナル10Aは、子機のハンディターミナル10の個別設定情報としての端末個別設定リスト153と、操作記録ファイル154と、を子機のハンディターミナル10に送信する。子機のハンディターミナル10は、子機のハンディターミナル10の端末個別設定リスト153と、操作記録ファイル154と、を親機のハンディターミナル10Aから受信し、受信された子機のハンディターミナル10の端末個別設定リスト153に基づいて、操作記録ファイル154のうちの項目識別子を含む所定の操作シーケンスを当該子機のハンディターミナル10に対応する端末個別設定情報に変換し、変換された操作記録ファイル154に応じて、自機の設定(キッティング)を行う。このため、子機のハンディターミナル10が、項目識別子の変換に用いる端末個別設定情報を容易に取得して、自機を設定(キッティング)できる。
【0056】
また、操作記録ファイル154の所定の操作シーケンスは、項目識別子、当該項目識別子の削除情報、端末個別設定情報、終了識別子、当該終了識別子の削除情報を順に有する文字情報を含む。親機のハンディターミナル10Aは、操作記録ファイル154の所定の操作シーケンスのうちの項目識別子から終了識別子の削除情報までの文字情報を当該項目識別子に変換する。このため、親機のハンディターミナル10Aにおいて、項目識別子、その削除情報、自機の端末個別設定情報、終了識別子、その削除情報を順に操作入力することで、子機のハンディターミナル10側で自機の端末個別設定情報を用いて自機の設定(キッティング)を確実に実施できるとともに、子機のハンディターミナル10用に不要な操作情報を除去して項目識別子を操作記録ファイル154に確実に含めることができる。
【0057】
(変形例)
図12及び
図13を参照して、上記の実施の形態の変形例を説明する。
図12は、第2の親機処理を示すフローチャートである。
図13(a)は、項目識別子変換前の使用者情報入力画面40aを示す図である。
図13(b)は、項目識別子変換後の使用者情報入力画面40bを示す図である。
【0058】
上記実施の形態では、親機のハンディターミナル10Aが、キッティングの際に、項目識別子、端末個別設定情報などを入力し、端末個別設定情報のみが残るような特殊な操作入力を受け付けて、操作履歴情報の当該特殊な操作の文字列を項目識別子に変換して操作記録ファイル154を生成する構成であった。本変形例では、親機のハンディターミナル10Aが、キッティングの際に、端末個別設定情報の入力のため、項目識別子の操作入力を受け付けて操作記録ファイルを生成し、当該入力の際に項目識別子を項目識別子に変換して親機のキッティングを行う構成である。
【0059】
本変形例の装置構成は、上記実施の形態と同様に、端末管理システム1を用いる。ただし、ハンディターミナル10において、第1の親機処理プログラムP1に代えて、後述する第2の親機処理を実行するための第2の親機処理プログラムが記憶されているものとする。
【0060】
つぎに、
図12及び
図13を参照して、端末管理システム1の動作を説明する。親機のハンディターミナル10Aで、上記実施の形態の第1の親機処理に代えて、
図12に示す第2の親機処理が実行され、子機のハンディターミナル10で、上記実施の形態の子機処理が実行される。このため、第2の親機処理のみを主として説明する。
【0061】
親機のハンディターミナル10Aにおいて、操作部12を介して操作者から、第2の親機処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶された第2の親機処理プログラムに従い、第2の親機処理を実行する。
【0062】
図12に示すように、親機のCPU11は、
図3の第1の親機処理のステップS11,S12と同様のステップS31,S32を実行する。そして、親機のCPU11は、ステップS32で入力された操作情報が項目識別子であるか否かを判別する(ステップS33)。
【0063】
操作情報が項目識別子である場合(ステップS33;YES)、親機のCPU11は、自機のシリアル番号をROM18から読み出し、記憶部15に記憶された端末個別設定リスト153から自機のシリアル番号に対応するレコードのステップS32で入力された項目識別子に対応する端末個別設定情報を読み出し、ステップS32で入力された操作情報を、読み出した端末個別設定情報に変換する(ステップS34)。
【0064】
例えば、親機のハンディターミナル10Aのシリアル番号が「2654」であり、
図5(a)の端末個別設定リスト153が参照され、操作情報として端末個別設定識別子「*9*1#」、「*9*2#」が入力されている場合、端末個別設定識別子「*9*1#」、「*9*2#」は、端末個別設定リスト153のシリアル番号「2654」のレコードの社員番号「12345」、使用者名「山田太郎」に変換される。
【0065】
図12に戻り、操作情報が項目識別子でない場合(ステップS32;NO)、又はステップS34の実行後、親機のCPU11は、変換されていない又はステップS34で変換された操作情報に基づき、記憶部15に記憶されたファイル群を用いて、自機のキッティングを行う(ステップS35)。ステップS35のキッティングは、自機への各種ファイル151の適用、自機へのアプリケーション152のインストールを含む。ステップS32で、例えば、
図13(a)に示す使用者情報入力画面40aが親機の表示部14に表示された場合を考える。
【0066】
使用者情報入力画面40aは、社員番号入力欄41と、使用者名入力欄42と、を有する。使用者情報入力画面40aの社員番号入力欄41、使用者名入力欄42には、入力された項目識別子「*9*1#」、「*9*2#」が表示され、操作履歴情報に含められる。そして、ステップS34に移行され、その実行後、使用者情報入力画面40aに代えて、
図11(b)に示す使用者情報入力画面40bが親機の表示部14に表示される。使用者情報入力画面40bの社員番号入力欄41、使用者名入力欄42には、変換後の社員番号「12345」、使用者名「山田太郎」が表示されて、入力される。ステップS36~S38は、
図3のステップS14,S16,S17と同様である。
【0067】
以上、本変形例によれば、操作履歴情報の所定の操作シーケンスは、項目識別子である。親機のハンディターミナル10Aは、操作部12に対する操作情報の項目識別子を自機の端末個別設定情報に変換し、また操作履歴情報の所定の操作シーケンスを項目識別子に変換して(所定の操作シーケンスの項目識別子をそのまま用いて)操作記録ファイル154として端末個別設定リスト153とともに子機のハンディターミナル10に送信する。子機のハンディターミナル10は、端末個別設定リスト153、操作記録ファイル154を親機のハンディターミナル10Aから受信し、端末個別設定リスト153、操作記録ファイル154に応じて、項目識別子に対応する端末個別設定情報の設定を含む自機の設定(キッティング)を行う。このため、親機のハンディターミナル10Aにおいて、項目識別子を入力することで、自機の端末個別設定情報を用いて自機の設定(キッティング)を確実に実施できるとともに、項目識別子を操作記録ファイル154に確実に含めて子機のハンディターミナル10に送信でき、子機のハンディターミナル10において、自機の端末個別設定情報を用いて自機の設定(キッティング)を確実に実施できる。
【0068】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM、メモリカードなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0069】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る情報端末、端末管理システム及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0070】
上記実施の形態及び変形例においては、項目識別子から実際の子機の端末個別設定情報への変換は、
図9の子機処理のステップS22において、子機のハンディターミナル10において行うこととしていた。
【0071】
しかし、例えば、親機のハンディターミナル10Aにおいて、親機のCPU11は、全ての子機のシリアル番号などを取得の上で、操作記録ファイル154において、端末個別設定リスト153を用いて、子機ごとに項目識別子から端末個別設定情報への変換を行って子機ごとの操作記録ファイルを生成し、シリアル番号を子機のハンディターミナル10から受信して、受信したシリアル番号に対応する各操作記録ファイルを当該子機のハンディターミナル10に送信する構成としてもよい。この構成では、子機のハンディターミナル10では、
図9のステップS22を除く子機処理が実行される。
【0072】
この構成によれば、親機のハンディターミナル10Aは、子機のハンディターミナル10の端末個別設定情報に基づいて、操作記録ファイル154のうちの項目識別子を当該子機のハンディターミナル10に対応する端末個別設定情報に変換する。子機のハンディターミナル10は、項目識別子が当該子機のハンディターミナル10に対応する端末個別設定情報に変換された操作記録ファイル154を親機のハンディターミナル10Aから受信する。このため、子機のハンディターミナル10のキッティングにおける端末個別設定情報の入力を自動化でき、操作者の作業負担を低減でき、作業時間を短縮できるとともに、親機のハンディターミナル10Aの処理負担を低減できる。
【0073】
また、上記実施の形態において、
図3の第1の親機処理でステップS15を実行せず、子機のハンディターミナル10のCPU11が、子機処理において、ステップS15と同様の処理を実行する構成としてもよい。
【0074】
また、シリアル番号と操作入力内容との対応が不要である場合には、親機のCPU11は、単に親機のハンディターミナル10Aと通信を行った子機のハンディターミナル10の先着順に、端末個別設定リスト153の記載順に従って、項目識別子を入力すべき端末個別設定情報に変換後の操作記録ファイルを子機のハンディターミナル10に送信する構成としてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態及び変形例では、親機のハンディターミナル10Aと子機のハンディターミナル10との間で、ダイレクトの無線LAN通信を行う構成としたが、これに限定されるものではない。親機のハンディターミナル10Aと子機のハンディターミナル10とに、アクセスポイントを介する無線LAN通信の通信設定を行ってから、アクセスポイントを介して、親機と子機との間で、アクセスポイント又はアクセスポイントにネットワーク接続されたサーバを経由して無線LAN通信を行う構成としてもよい。サーバを経由する場合、親機のハンディターミナル10Aから送信された
図9の子機処理のステップS22の操作記録ファイル154の変換を当該サーバが行って、子機のハンディターミナル10に送信する構成としてもよい。
【0076】
また、親機のハンディターミナル10Aと子機のハンディターミナル10との間の通信は、Bluetooth(登録商標)などの他の無線通信、ケーブルを介するUSBなどの有線通信、SDカード(登録商標)などの着脱式の記録媒体を介する情報送受信など、他の通信を行う構成としてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態及び変形例では、項目識別子(及び終了識別子)を特殊な所定の文字列として入力する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、親機のハンディターミナル10Aにおける項目識別子(及び終了識別子)の入力は、端末個別設定情報入力前後に短時間の複数回タップ(ダブルタップ、トリプルタップなど)の特殊なタップ操作、特殊なジェスチャ操作などにより行う構成としてもよい。
【0078】
また、上記の実施の形態及び変形例では、親機のハンディターミナル10Aが操作履歴情報を操作記録ファイルに格納して子機のハンディターミナル10に送信する構成としていたが、これに限定するものではない。例えば、親機のハンディターミナル10Aが、リモートデスクトップのように、取得した操作履歴情報をリアルタイムで子機のハンディターミナル10に送信し遠隔操作を行う構成としてもよい。ただし、親機又は子機側で、操作履歴情報の項目識別子(及び終了識別子)を判別する処理と、項目識別子(から終了識別子の削除情報)から端末個別設定情報への変換の処理とをリアルタイムで行う構成となる。
【0079】
さらに、親機のハンディターミナル10Aが、操作履歴情報を複数の子機のハンディターミナル10に同時に配信することにより、複数の子機のキッティングを同時に行う構成としてもよい。この場合、端末個別設定リスト153は親機のハンディターミナル10Aから事前に各子機のハンディターミナル10に送信しておき、操作履歴情報から項目識別子(及び終了識別子)を判別する処理と、項目識別子(から終了識別子の削除情報)から端末個別設定情報への変換の処理とを、各子機のハンディターミナル10において行う。
【0080】
また、上記実施の形態及び変形例では、情報端末としてハンディターミナル10をキッティングする構成としたが、これに限定されるものではない。ハンディターミナル以外のスマートフォンなどの情報端末をキッティングする構成としてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態及び変形例における端末管理システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0082】
本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態及び変形例に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
操作手段を介して自機に対する設定内容が入力される際に、前記操作手段に対するユーザによる操作履歴情報を取得する取得手段と、
前記取得された操作履歴情報に所定の操作シーケンスが含まれる際に、当該所定の操作シーケンスを、他の情報端末の個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する第1の変換手段と、
自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、前記第1の変換手段で変換された前記操作履歴情報を他の情報端末に送信する送信手段と、を備える情報端末。
<請求項2>
前記操作手段に対する操作情報に応じて、自機の設定を行う第1の設定手段を備える請求項1に記載の情報端末。
<請求項3>
前記送信手段は、前記他の情報端末の個別設定情報と、前記操作履歴情報と、を当該他の情報端末に送信する請求項1又は2に記載の情報端末。
<請求項4>
前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子、当該項目識別子の削除情報、個別設定情報、終了識別子、当該終了識別子の削除情報を順に有する文字情報を含み、
前記第1の変換手段は、前記所定の操作シーケンスのうちの前記項目識別子から前記終了識別子の削除情報までの文字情報を当該項目識別子に変換する請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
<請求項5>
前記所定の操作シーケンスは、前記項目識別子を含み、
前記操作手段に対する操作情報の前記項目識別子を自機の個別設定情報に変換する第2の変換手段を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
<請求項6>
前記他の情報端末の個別設定情報に基づいて、前記所定の操作シーケンスの前記項目識別子を当該他の情報端末に対応する個別設定情報に変換する第3の変換手段を備える請求項1又は2に記載の情報端末。
<請求項7>
請求項1又は2に記載の情報端末としての第1の情報端末と、
前記他の情報端末としての第2の情報端末と、を備え、
前記第2の情報端末は、
前記操作履歴情報を前記第1の情報端末から受信する受信手段と、
前記操作履歴情報に応じて、前記項目識別子に対応する個別設定情報の設定を含む自機の設定を行う第2の設定手段と、を備える端末管理システム。
<請求項8>
前記受信手段は、前記第2の情報端末の個別設定情報と、前記操作履歴情報と、を前記第1の情報端末から受信し、
前記第2の情報端末は、
前記受信された第2の情報端末の個別設定情報に基づいて、前記所定の操作シーケンスの前記項目識別子を当該第2の情報端末に対応する個別設定情報に変換する第4の変換手段を備え、
前記第2の設定手段は、前記第4の変換手段により変換された操作履歴情報に応じて、自機の設定を行う請求項7に記載の端末管理システム。
<請求項9>
前記受信手段は、前記項目識別子が前記第2の情報端末に対応する個別設定情報に変換された操作履歴情報を前記第1の情報端末から受信する請求項7に記載の端末管理システム。
<請求項10>
情報端末のコンピュータを、
操作手段を介して自機に対する設定内容が入力される際に、前記操作手段に対するユーザによる操作履歴情報を取得する取得手段、
前記取得された操作履歴情報に所定の操作シーケンスが含まれる際に、当該所定の操作シーケンスを、他の情報端末の個別設定情報に置き換えるための項目識別子に変換する第1の変換手段、
自機に対する設定が完了したタイミングに基づいて、前記第1の変換手段で変換された前記操作履歴情報を他の情報端末に送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0083】
1 端末管理システム
10,10A,10B,10C ハンディターミナル
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 無線通信部
17 スキャナ部
18 ROM
19 バス
2 PC
25 記憶部