(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置、炭化水素製造装置、および、二酸化炭素回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20230418BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20230418BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20230418BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
C01B32/50
(21)【出願番号】P 2019063582
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100227732
【氏名又は名称】小澤 祥二
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 和人
(72)【発明者】
【氏名】山本 征治
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013022021(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第104152197(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009608(US,A1)
【文献】特開2018-168205(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179351(WO,A1)
【文献】特開2010-069398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12、
53/34-53/85、
53/92、53/96
C01B 32/50
C07B 31/00-61/00、
63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素回収装置であって、
二酸化炭素を吸着可能な吸着材を内部に収容する回収器と、
二酸化炭素を含む排ガスを前記回収器に供給する排ガス供給部と、
前記回収器の内部においてパージガスを噴射するパージガス噴射部と、
前記回収器の内部を減圧する減圧ポンプと、
前記回収器から排出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの二酸化炭素濃度を推定する濃度推定部と、
前記濃度推定部が推定する前記混合ガス中の二酸化炭素濃度を用いて、前記回収器への前記排ガスの供給と、前記パージガスの噴射と、前記回収器内部の減圧とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記回収器に前記排ガスを供給して前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着工程と、前記パージガスを噴射するとともに、少なくとも一部の期間において前記回収器内部を減圧することによって、前記吸着材に吸着している二酸化炭素を前記回収器内部から取り出す脱離工程と、を実行可能であり、
前記脱離工程で
は、
前記脱離工程の開始時
、または
、前記脱離工程が開始された後であって、前記濃度推定部が推定する前記混合ガス中の二酸化炭素濃度に基づく第1のタイミングから前記脱離工程の終了時まで、前記回収器内部を減圧し
、
前記回収器内部の減圧中において、
前記第1のタイミングの後であって、前記濃度推定部が推定する前記混合ガス中の二酸化炭素濃度に基づく第2のタイミングから前記パージガスの噴射量を相対的に減少させる、
二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記制御部は、
前記脱離工程の
前記第1のタイミングから、前記回収器内部を減圧し、
前記回収器内部を減圧する前に、前記パージガスを噴射させる、
二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収装置は、さらに、
前記パージガス噴射部から噴射される前の前記パージガスを加熱する加熱部を備え、
前記制御部は、
前記回収器内に噴射する前記パージガスを加熱するか否かを制御し、
前記脱離工程では、
前記第2のタイミングから前記パージガスの噴射量を相対的に減少させたときには、加熱された前記パージガスを噴射させる、
二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記加熱部は、
前記パージガスが流れる流路の一部であり、
前記吸着材を昇温する熱媒体との熱交換によって前記パージガスを加熱する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の二酸化炭素回収装置
であって、
前記制御部は、推定された二酸化炭素濃度を用いて、前記脱離工程において前記回収器の内部に噴射される前記パージガスの温度を制御する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
炭化水素製造装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素回収装置が回収した二酸化炭素と、前記パージガスとして用いられた水素との混合ガスを用いて、炭化水素化合物を生成する炭化水素生成部と、を備える、
炭化水素製造装置。
【請求項7】
二酸化炭素回収方法であって、
二酸化炭素を吸着可能な吸着材を内部に収容する回収器に、二酸化炭素を含む排ガスを供給して、前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着工程と、
前記回収器の内部においてパージガスを噴射するとともに、少なくとも一部の期間において前記回収器内部を減圧することによって、前記吸着材に吸着している二酸化炭素を前記回収器内部から取り出す脱離工程と、
前記回収器から排出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの二酸化炭素濃度を推定する濃度推定工程と、を備え、
前記脱離工程では
、
前記脱離工程の開始時
、または
、前記脱離工程が開始された後であって、前記濃度推定工程において推定される前記混合ガス中の二酸化炭素濃度に基づく第1のタイミングから前記脱離工程の終了時まで、前記回収器内部を減圧し
、
前記回収器内部の減圧中において、
前記第1のタイミングの後であって、前記濃度推定工程において推定される前記混合ガス中の二酸化炭素濃度に基づく第2のタイミングから前記パージガスの噴射量を相対的に減少させる、
二酸化炭素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収装置、炭化水素製造装置、および、二酸化炭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸着材を用いて、複数のガスが混合されている混合ガスから特定のガスを回収するガス回収装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。また、二酸化炭素が吸着している吸着材を収容している回収器の内部に、パージガスを噴射することで、二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-261824号公報
【文献】特開平3-12212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素回収装置では、吸着材から脱離した二酸化炭素は、パージガスとともに回収器から排出される。しかしながら、この回収器から排出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの組成は、吸着材に吸着されている二酸化炭素の絶対量によって変動する。このため、吸着材から二酸化炭素を脱離させる脱離工程において、脱離工程を開始した直後と、脱離工程を終了する直前とでは、その組成が大きく異なり、組成変動が大きくなる課題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素回収装置において、回収器から取り出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの組成変動を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、二酸化炭素回収装置が提供される。この二酸化炭素回収装置は、二酸化炭素を吸着可能な吸着材を内部に収容する回収器と、二酸化炭素を含む排ガスを前記回収器に供給する排ガス供給部と、前記回収器の内部においてパージガスを噴射するパージガス噴射部と、前記回収器の内部を減圧する減圧ポンプと、前記回収器への前記排ガスの供給と、前記パージガスの噴射と、前記回収器内部の減圧とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記回収器に前記排ガスを供給して前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる吸着工程と、前記パージガスを噴射するとともに、少なくとも一部の期間において前記回収器内部を減圧することによって、前記吸着材に吸着している二酸化炭素を前記回収器内部から取り出す脱離工程と、を実行可能であり、前記脱離工程では、前記脱離工程の開始時または途中から前記脱離工程の終了時まで、前記回収器内部を減圧し、前記回収器内部の減圧中において、途中から前記パージガスの噴射量を相対的に減少させる。
【0008】
この構成によれば、制御部は、脱離工程において、一定期間、減圧ポンプで回収器内部を減圧しつつパージガスを噴射した後、回収器内部を減圧したままパージガスの噴射量を相対的に減少させる。これにより、脱離工程の終盤において二酸化炭素の脱離量が減少することで、パージガスに対する二酸化炭素の濃度が低下することを、抑制することができる。したがって、回収器から取り出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの組成変動を抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態の二酸化炭素回収装置において、前記制御部は、前記脱離工程の途中から、前記回収器内部を減圧し、前記回収器内部を減圧する前に、前記パージガスを噴射させてもよい。この構成によれば、制御部は、脱離工程において回収器内部を減圧する前に、パージガスの噴射によって二酸化炭素を回収器内部から取り出す。これにより、減圧ポンプによる減圧を利用することなく二酸化炭素を回収器内部から取り出すことができるため、減圧ポンプを駆動するエネルギーが節約され、二酸化炭素の回収で消費されるエネルギーの量を低減することができる。
【0010】
(3)上記形態の二酸化炭素回収装置は、さらに、前記パージガス噴射部から噴射される前の前記パージガスを加熱する加熱部を備え、前記制御部は、前記回収器内に噴射する前記パージガスを加熱するか否かを制御し、前記脱離工程では、途中から前記パージガスの噴射量を相対的に減少させたときには、加熱された前記パージガスを噴射させてもよい。この構成によれば、二酸化炭素の脱離量が減少する吸着工程の終盤において、制御部は、加熱部によってパージガスを加熱し、加熱されたパージガスを回収器内部に噴射することで吸着材を直接温め、吸着材からの二酸化炭素の脱離を促進する。これにより、パージガスの噴射量が減少することで減少する二酸化炭素の脱離量を補うことができる。したがって、吸着工程の終盤においてパージガスに対する二酸化炭素の濃度が低下することをさらに抑制し、回収器から取り出される混合ガスの組成変動をさらに抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の二酸化炭素回収装置において、前記加熱部は、前記パージガスが流れる流路の一部であり、前記吸着材を昇温する熱媒体との熱交換によって前記パージガスを加熱してもよい。この構成によれば、パージガスは、吸着材を昇温する熱媒体によって加熱される。これにより、パージガスを加熱するエネルギーが節約され、二酸化炭素の回収で消費されるエネルギーの量を低減することができる。
【0012】
(5)上記形態の二酸化炭素回収装置は、さらに、前記回収器から排出される二酸化炭素とパージガスとの混合ガスの二酸化炭素濃度を推定する濃度推定部を備え、前記制御部は、推定された二酸化炭素濃度を用いて、前記脱離工程において前記回収器の内部に噴射される前記パージガスの温度を制御してもよい。この構成によれば、制御部は、混合ガスの二酸化炭素の推定濃度を用いて、パージガスの温度を制御する。これにより、吸着材を温めることができるパージガスの温度の調整によって、パージガスの噴射量の変動による二酸化炭素の脱離量の変動を高精度に抑制することができる。したがって、混合ガスの組成変動を小さくすることができる。
【0013】
(6)本発明の別の形態によれば、炭化水素製造装置が提供される。この炭化水素製造装置は、上記形態の二酸化炭素回収装置と、前記二酸化炭素回収装置が回収した二酸化炭素と、前記パージガスとして用いられた水素との混合ガスを用いて、炭化水素化合物を生成する炭化水素生成部と、を備える。この構成によれば、炭化水素生成部は、パージガスである水素に対する二酸化炭素の濃度が比較的安定している二酸化炭素と、水素との混合ガスを用いて、炭化水素化合物を生成することができる。これにより、炭化水素化合物の生成量を安定させることができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、二酸化炭素回収方法、二酸化炭素回収装置の制御方法、炭化水素製造装置の制御方法、これらの制御方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム、二酸化炭素回収装置の製造方法、炭化水素製造装置の製造方法、二酸化炭素循環システム、炭化水素化合物を燃料とする燃料製造装置などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のメタン製造装置の概略構成を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態の二酸化炭素回収処理のフローチャートである。
【
図3】比較例の混合ガスの二酸化炭素濃度の時間変化を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態の混合ガスのH
2/CO
2の時間変化を示す説明図である。
【
図5】サージタンクの混合ガスのH
2/CO
2の時間変化を示す説明図である。
【
図6】第2実施形態の二酸化炭素回収装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のメタン製造装置5の概略構成を示す説明図である。本実施形態のメタン製造装置5は、二酸化炭素(CO
2)と水素(H
2)との混合ガスを用いて、メタン(CH
4)を製造する装置であり、二酸化炭素回収装置1とメタン生成部8を備える。なお、本実施形態は、CH
4以外の炭化水素化合物を製造する炭化水素製造装置にも適用可能であり、例えば、エタンやプロパンなどの炭素と水素とから構成される化合物やメタノールなどの主に炭素と水素とから構成される化合物を「炭化水素化合物」として製造する「炭化水素製造装置」にも適用可能である。
【0017】
二酸化炭素回収装置1は、燃焼炉や内燃機関などから排出される排ガスに含まれるCO2を回収する。二酸化炭素回収装置1は、複数の回収器11、12、13、14と、排ガス流路20と、オフガス流路25と、パージガス流路30と、混合ガス流路35と、サージタンク40と、減圧ポンプ45と、CO2濃度計50と、制御部55とを備える。
【0018】
複数の回収器11、12、13、14は、筒状に形成され、それぞれの内部に吸着材11a、12a、13a、14aが収容されている。吸着材11a、12a、13a、14aは、CO
2吸蔵性能を有する材料、例えば、ゼオライト、活性炭、シリカゲルなどである。回収器11、12、13、14のそれぞれには、排ガス流路20と、オフガス流路25と、パージガス流路30と、混合ガス流路35が接続されている。複数の回収器11、12、13、14のそれぞれには、図示しない熱媒体流路が形成されている。それぞれの熱媒体流路には、吸着材11a、12a、13a、14aの温度を調整可能な熱媒体(
図1の点線矢印F1、F2)が流れる。
【0019】
排ガス流路20は、燃焼炉や内燃機関などの、CO2を含む排ガスを排出する外部の排ガス供給装置に接続しており、排ガス供給装置が排出する排ガスが流れる。排ガス流路20を流れる排ガスは、排ガス分流路21、22、23、24を介して、回収器11、12、13、14に供給される。排ガス分流路21、22、23、24には、排ガス入口弁21a、22a、23a、24aが設けられている。排ガス入口弁21a、22a、23a、24aのそれぞれは、後述する制御部55の指令に応じて、回収器11、12、13、14の内部への排ガスの供給を制御する。
【0020】
オフガス流路25は、
図1に示すように、回収器11、12、13、14のそれぞれに接続されている。オフガス流路25は、排ガス流路20によって回収器11、12、13、14に供給された排ガスのうち吸着材11a、12a、13a、14aに吸着されなかったオフガスを、二酸化炭素回収装置1の外部に排出する。オフガス流路25は、回収器11、12、13、14を挟んで、排ガス分流路21、22、23、24とは反対側において、回収器11、12、13、14のそれぞれに接続するオフガス分流路26、27、28、29を有している。オフガス分流路26、27、28、29には、オフガス出口弁26a、27a、28a、29aが設けられている。オフガス出口弁26a、27a、28a、29aのそれぞれは、制御部55の指令に応じて、回収器11、12、13、14からのオフガスの流れを制御する。
【0021】
パージガス流路30は、回収器11、12、13、14の内部に、パージガスを供給する外部のパージガス供給部に接続している。パージガス流路30は、パージガス供給部が供給するパージガスを、回収器11、12、13、14の内部において噴射する。本実施形態では、パージガスとしては、二酸化炭素回収装置1の後段に設けられるメタン生成部8でのメタンの生成反応に用いられるH2を用いる。パージガス流路30には、制御部55の指令に応じて、パージガス流路30を流れるH2の流量を調整する流量制御器30aが設けられている。パージガス流路20を流れるH2は、パージガス分流路31、32、33、34を介して、回収器11、12、13、14に供給される。パージガス分流路31、32、33、34には、パージガス入口弁31a、32a、33a、34aが設けられている。パージガス入口弁31a、32a、33a、34aのそれぞれは、制御部45の指令に応じて、回収器11、12、13、14の内部へのH2の流れを制御する。
【0022】
混合ガス流路35は、
図1に示すように、回収器11、12、13、14のそれぞれに接続されている。混合ガス流路35には、パージガス流路30によって回収器11、12、13、14に供給されたH
2と、吸着材11a、12a、13a、14aから脱離したCO
2とが混合された混合ガスが流れる。混合ガス流路35は、回収器11、12、13、14を挟んで、パージガス分流路31、32、33、34とは反対側において、回収器11、12、13、14のそれぞれに接続する混合ガス分流路36、37、38、39を有している。混合ガス分流路36、37、38、39には、混合ガス出口弁36a、37a、38a、39aが設けられている。混合ガス出口弁36a、37a、38a、39aのそれぞれは、制御部55の指令に応じて、回収器11、12、13、14からの混合ガスの流れを制御する。
【0023】
サージタンク40は、混合ガス流路35に設けられている。サージタンク40は、混合ガス流路35を流れる混合ガスを一時的に貯蔵する。サージタンク40に貯蔵された混合ガスは、メタン生成部8に送られる。
【0024】
減圧ポンプ45は、回収器11、12、13、14とサージタンク40との間の混合ガス流路35に両端が接続する減圧流路46に、設けられている。減圧流路46には、制御部55の指令に応じて、減圧流路46の流れを制御する切換弁47が設けられている。また、
図1に示すように、混合ガス流路35の、減圧流路46の両端が接続する間には、制御部55の指令に応じて、混合ガス流路35の流れを制御する切換弁48が設けられている。減圧ポンプ45は、切換弁48が閉じられ、切換弁47が開かれているとき、制御部55の指令に応じて駆動し、回収器11、12、13、14の内部を減圧する。
【0025】
CO2濃度計50は、混合ガス流路35において、減圧流路46が接続する位置より上流側の位置に設けられている。CO2濃度計50は、混合ガス流路35を流れる混合ガスのCO2濃度を検出する。CO2濃度計50は、検出したCO2濃度を制御部55に出力する。
【0026】
制御部55は、ROM、RAM、および、CPUを含んで構成されるコンピュータであり、後述するCO2回収処理における回収器11、12、13、14の切り替えや、弁の開閉制御など、二酸化炭素回収装置1の全体の制御をおこなう。制御部55の制御内容の詳細は、後述する。
【0027】
メタン生成部8は、混合ガス流路35の回収器11、12、13、14に接続する側とは反対側の端部に設けられている。メタン生成部8は、サージタンク40が供給するCO2とH2との混合ガスを用いて、CH4を生成する。生成されたCH4は、メタン製造装置5の外部の装置に供給される。
【0028】
次に、二酸化炭素回収装置1における二酸化炭素回収処理について説明する。二酸化炭素回収装置1では、4つの回収器11、12、13、14のそれぞれに、順番に排ガスを供給することで、排ガスからCO2を回収する。
【0029】
図2は、二酸化炭素回収装置1における二酸化炭素回収処理のフローチャートである。二酸化炭素回収装置1では、4つの回収器11、12、13、14のそれぞれが、
図2に示す二酸化炭素回収処理を繰り返し行う。ここでは、最初に、1つの回収器、例えば、回収器11に着目して、
図2に示す二酸化炭素処理のフローを説明する。
【0030】
吸着工程(ステップS1)では、回収器11に、排ガス流路20を用いて、排ガスを供給する。具体的には、制御部55は、排ガス入口弁21aとオフガス出口弁26aを開くとともに、パージガス入口弁31aと混合ガス出口弁36aを閉じるように、それぞれの弁を制御する。これにより、排ガス流路20を流れる排ガスは、排ガス分流路21を介して、回収器11に供給される。回収器11では、排ガスに含まれるCO2が吸着材11aにトラップされ、吸着材11aにトラップされなかった窒素や水分などは、オフガスとして、オフガス分流路26を介してオフガス流路25を流れ、二酸化炭素回収装置1の外部、例えば、大気に放出される。
【0031】
次の予熱工程(ステップS2)では、回収器11に、高温の熱媒体を供給し、吸着材11aを昇温する。これにより、吸着材11aにトラップされているCO2が吸着材11aから脱離しやすくする。
【0032】
次の脱離工程(ステップS3)は、3つの小工程から構成されている。1つ目のステップである第1脱離工程(ステップS31)では、回収器11においてパージガスとしてのH2を噴射することで、吸着材11aにトラップされているCO2を脱離させる。具体的には、制御部55は、排ガス入口弁21aとオフガス出口弁26aを閉じるとともに、パージガス入口弁31aと混合ガス出口弁36aを開くように、それぞれの弁を制御する。これにより、パージガス流路30を流れるH2は、パージガス分流路31を介して、回収器11に供給される。回収器11にH2が供給されると、回収器11内部のCO2の分圧が低下するため、吸着材11aに吸着されているCO2が吸着材11aから脱離する。吸着材11aから脱離したCO2は、回収器11内部においてH2と混合される。回収器11内部のCO2とH2との混合ガスは、回収器11内部から取り出され、混合ガス分流路36を介して混合ガス流路35を流れる。第1脱離工程では、切換弁47は閉じられている一方、切換弁48は開かれているため、混合ガスは、そのまま混合ガス流路35を流れ、サージタンク40に貯蔵される。
【0033】
脱離工程における2つ目のステップである第2脱離工程(ステップS32)では、回収器11の内部においてH2を噴射しながら、減圧ポンプ45によって回収器11の内部を減圧する。具体的には、制御部55は、回収器11の内部においてH2を噴射させながら、切換弁47を開くとともに、切換弁48を閉じ、減圧ポンプ45を駆動する。これにより、回収器11の内部は、H2が流れている状態で減圧される。減圧ポンプ45によって回収器11から取り出されるCO2とH2との混合ガスは、混合ガス流路35から一旦減圧流路46を通って再び混合ガス流路35を流れ、サージタンク40に貯蔵される。
【0034】
脱離工程における3つ目のステップである第3脱離工程(ステップS33)では、回収器11の内部を減圧しながら、回収器11におけるH2の噴射量を減少させる。具体的には、制御部55は、減圧ポンプ45を駆動したまま、パージガス流路30の流量制御器30aを制御して、パージガス流路30を流れるH2の流量を減少させる。これにより、回収器11の内部では、H2の分圧が低下する。このとき、切換弁47は開いたままで、切換弁48を閉じたままであり、減圧ポンプ45は駆動しているため、回収器11内部の混合ガスは、混合ガス流路35から一旦減圧流路46を通って再び混合ガス流路35を流れ、サージタンク40に貯蔵される。
【0035】
本実施形態では、第1脱離工程から第2脱離工程への切り替えのタイミング、および、第2脱離工程から第3脱離工程への切り替えのタイミングは、CO2濃度計50によって検出される混合ガス流路35を流れる混合ガスのCO2濃度に用いて決定される。具体的には、制御部55は、例えば、CO2濃度計50によって検出される混合ガスのCO2濃度の時間変化が負となっており、かつ、H2/CO2が閾値より大きくなるとき、切換弁47を開くとともに、切換弁48を閉じ、減圧ポンプ45を駆動する。H2/CO2の閾値としては、CO2濃度計50の応答速度によって異なるが、今回の二酸化炭素回収処理より以前に行った二酸化炭素回収処理での混合ガスのCO2濃度の平均値を目安に設定してもよいし、事前に設定されていてもよい。
【0036】
次の冷却工程(ステップS4)では、例えば、常温の熱媒体を回収器11の熱媒体流路に供給し、吸着材11aを冷却する。これにより、吸着材11aは、CO2を吸着可能な状態となる。
【0037】
本実施形態の二酸化炭素回収処理では、上述した二酸化炭素回収処理の4つの工程(吸着工程、予熱工程、脱離工程、および、冷却工程)が、4つの回収器11、12、13、14のいずれかにおいて行われる。例えば、回収器11において吸着工程が実行されているとき、回収器12において予熱工程が実行され、回収器13において脱離工程が実行され、回収器14において冷却工程が実行されている。本実施形態の二酸化炭素回収装置1では、このようにして、いずれかの回収器において排ガスのCO2を吸着するととも、他のいずれかの回収器において吸着したCO2を脱離する。これにより、定常的に、混合ガスを供給することが可能である。
【0038】
図3は、比較例の混合ガスのCO
2濃度の時間変化を示す説明図である。
図3は、回収器出口、すなわち、本実施形態では、各回収器11、12、13、14の混合ガス分流路36、37、38、39に相当する位置でのCO
2濃度の時間変化を示している。ここで、比較例の二酸化炭素回収処理とは、パージガスの流量を一定としたままで、脱離工程を行う二酸化炭素回収処理を指す。
図3に示すように、脱離工程を開始した時刻t0直後から、CO
2濃度は急激に上昇するが、時刻t1を経過すると、吸着材に吸着されているCO
2の絶対量が少なくなるため、CO
2の脱離量が少なくなり、CO
2濃度は減少する。このため、比較例の二酸化炭素回収処理では、脱離工程の序盤と終盤とでCO
2の濃度が大きく変化する。すなわち、脱離工程中のCO
2濃度の変動が比較的大きくなる。
【0039】
図4は、第1実施形態の混合ガスのH
2/CO
2の時間変化を示す説明図である。
図4は、各回収器11、12、13、14の混合ガス分流路36、37、38、39でのH
2/CO
2の時間変化を示している。
図4には、H
2の流量を減少させる制御を行っていないとき、すなわち、本実施形態の第3脱離工程を行っていない場合のH
2/CO
2の時間変化を点線L1で示し、第3脱離工程を行った場合のH
2/CO
2の時間変化を実線L2で示す。また、
図4には、実線L2に対応する時間帯として、上述した脱離工程のうち、第1脱離工程が行われている時間帯を時間帯Aで示し、第2脱離工程が行われている時間帯を時間帯Bで示し、第3脱離工程が行われている時間帯を時間帯Cで示す。
【0040】
図4の点線L1に示すように、パージのみでCO
2を吸着材から脱離させる時間帯Aから、パージに減圧を加えてCO
2を吸着材から脱離させる時間帯Bに移行することによって、H
2/CO
2は、ほとんどの時間帯で閾値以下を維持する。しかしながら、第2脱離工程をそのまま進めていくと、CO
2の脱離量が減少するため、H
2/CO
2は、閾値を大幅に超えてしまう(例えば、
図4の時間帯Cでの点線L1)。
【0041】
一方、本実施形態では、H
2/CO
2が閾値を超えたタイミングで、第3脱離工程に移行することによって、H
2の流量が減少する。これにより、CO
2の脱離量が減少しても、H
2/CO
2は、閾値を大きく超えることはないため、混合ガスのH
2/CO
2が安定した値となる(
図4の実線L2)。
【0042】
図5は、サージタンク40が排出する混合ガスのH
2/CO
2の時間変化を示す説明図である。
図5には、H
2の流量を減少させる制御を行っていないときのH
2/CO
2の時間変化を点線L3で示し、H
2の流量を減少させる制御を行ったときのH
2/CO
2の時間変化を実線L4で示す。すなわち、点線L3が、
図4の点線L1に対応し、実線L4が、
図4の実線L2に対応する。なお、
図5に示す時間帯A、B、Cは、
図4に示す時間帯A、B、Cと同じ時間帯を示す。
【0043】
図4と
図5とを比較すると、H
2/CO
2の変動幅は、サージタンク40を設けることによって、点線L3と実線L4とはともに小さくなることがわかる。しかしながら、H
2の流量を減少させる制御を行っていない場合、
図5の点線L3に示すように、サージタンク40を介しても、メタン生成部8に供給される混合ガスのH
2/CO
2は、脱離工程の終盤において、閾値を超える。このことから、H
2の流量を減少させる制御を行っていない場合、H
2に対するCO
2の濃度が安定した混合ガスをメタン生成部8に供給することは難しい。
【0044】
一方、H
2の流量を減少させる制御を行った場合、
図5の実線L4に示すように、脱離工程の終盤においても、H
2/CO
2の変動幅は、小さくなる。これにより、H
2の流量を減少させる制御を行った場合、H
2に対するCO
2の濃度が安定した混合ガスをメタン生成部8に供給することが可能となる。
【0045】
従来から、物理吸着によって吸着材にトラップされているCO2を吸着材から脱離する場合、吸着材にトラップされているCO2の量が多いほど脱離し易い傾向があることが知られている。このため、吸着材からCO2を脱離させる脱離工程において、パージガスによってCO2を脱離させると、脱離工程のうち脱離を開始した時間から時間が経過するにしたがって、CO2の脱離量は少なくなり、CO2濃度は時間の経過とともに低下する。
【0046】
以上説明した、第1実施形態の二酸化炭素回収装置1によれば、制御部55は、脱離工程において、一定期間、減圧ポンプ45で回収器11、12、13、14の内部を減圧しつつパージガスであるH2を噴射した後、H2の噴射量を相対的に減少する。これにより、脱離工程の終盤において、CO2の脱離量が減少することでH2に対するCO2の濃度が低下することを、抑制することができる。したがって、回収器11、12、13、14から取り出される混合ガスの組成変動を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の二酸化炭素回収装置1によれば、制御部55は、第1脱離工程においてH2を噴射することで吸着材11a、12a、13a、14aからCO2を脱離させたのち、第2脱離工程においてH2を噴射させながら、減圧ポンプ45によって回収器11、12、13、14の内部を減圧させる。これにより、制御部55は、脱離工程において回収器11、12、13、14の内部を減圧する前に、H2の噴射によってCO2を回収器11、12、13、14の内部から取り出す。これにより、減圧ポンプ45による減圧を利用することなくCO2を回収器11、12、13、14の内部から取り出すため、CO2の回収のために消費されるエネルギーの量を低減することができる。
【0048】
従来から、吸着材にトラップされているCO2と、パージガスとしてのH2との混合ガスを用いてCH4を生成する場合、吸着材の後段に位置するメタン生成部でのCH4の生成反応においては、反応に最適なH2/CO2が知られている。具体的には、H2濃度が80%を超過すると、メタンの生成反応後に余剰のH2が残るため、H2の利用効率が低下する。また、H2濃度が80%を下回ると、CH4の生成反応の反応率が低下する。このことから、メタン生成部でCH4を安定して生成するためには、メタン生成部に、組成変動が少ないCO2とH2との混合ガスが供給される必要がある。本実施形態のメタン製造装置5によれば、メタン生成部8は、二酸化炭素回収装置1が供給するCO2とH2との混合ガスを用いてCH4を生成することができる。これにより、メタン製造装置5は、メタンの生成量を安定させることができる。
【0049】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の二酸化炭素回収装置2の概略構成を示した説明図である。本実施形態の二酸化炭素回収装置2は、回収器の構成およびパージガス流路の構成が第1実施形態と異なる。
【0050】
第2実施形態の二酸化炭素回収装置2が備える回収器11は、
図6に示すように、三重管構造をなしている。回収器11には、内側から、充填空間11bと、熱媒体流路11cと、パージガス加熱流路11dが形成されている。充填空間11bと熱媒体流路11cは、内側壁11eによって区画されている。充填空間11bには、吸着材11aが充填されている。熱媒体流路11cには、吸着材11aの温度を調整する熱媒体が流れる(
図6の点線矢印F1、F2)。熱媒体流路11cとパージガス加熱流路11dは、中間壁11fによって区画されている。パージガス加熱流路11dは、中間壁11fと外側壁11gによって、パージガスが流通可能に形成されている。ここでは、回収器11の構成を説明したが、他の回収器12、13、14についても同様の構成となっている。
【0051】
パージガス流路30には、パージガス流路30を流れるH2をパージガス加熱流路11dに導入する加熱用流路30bが設けられている。加熱用流路30bには、制御部55の指令に応じて、加熱用流路30bでのH2の流れを制御する切換弁30cが設けられている。また、パージガス流路30の、加熱用流路30bが接続する間には、制御部55の指令に応じて、パージガス流路30のH2の流れを制御する切換弁30dが設けられている。ここでは、回収器11に接続するパージガス流路30の構成を説明したが、他の回収器12、13、14についても同様の構成となっている。
【0052】
次に、二酸化炭素回収装置2における二酸化炭素回収処理について説明する。第1実施形態と同様に、吸着工程および予熱工程を実行した後、脱離工程において、第1脱離工程と第2脱離工程とを実行する。
【0053】
第2脱離工程のあとの第3脱離工程において、回収器11の内部を減圧しながら、回収器11に供給するH2の流量を減少させる。このとき、制御部55は、切換弁30cを開くとともに、切換弁30dを閉じる。これにより、パージガス流路30を流れるH2は、加熱用流路30bを通って、パージガス加熱流路11dに流入する。パージガス加熱流路11dでは、熱媒体流路11cを流れる比較低高温の熱媒体によって、H2が加熱される。加熱されたH2は、パージガス流路30に戻り、パージガス分流路31を通って、充填空間11bに流入する。充填空間11bでは、加熱されたH2が吸着材11aを加熱するため、CO2が脱離しやすくなる。
【0054】
また、第3脱離工程では、制御部55は、CO2濃度計50が検出した混合ガスのCO2濃度を用いて、回収器11において噴射するH2の温度を制御する。具体的には、制御部55は、CO2濃度計50が検出した混合ガスのCO2濃度を用いて、例えば、CO2の脱離量の将来的な変化を推定する。制御部55は、推定したCO2の脱離量の将来的な変化を用いて、CO2の脱離量が目標とする脱離量とならないことが予想されるとき、パージガス加熱流路11dを流れるH2の流量を増やし、H2をさらに加熱する。これにより、吸着材11aはさらに加熱されるため、CO2はさらに脱離しやすくなる。二酸化炭素回収装置2における二酸化炭素回収処理では、第3脱離工程の後、冷却工程を実行する。
【0055】
以上説明した、第2実施形態の二酸化炭素回収装置によれば、制御部55は、第3脱離工程において、H2の噴射量を相対的に減少させるとき、加熱したH2を噴射する。これにより、CO2の脱離量が減少する脱離工程の終盤において、加熱されたH2によって吸着材11a、12a、13a、14aを直接温め、吸着材11a、12a、13a、14aからのCO2の脱離を促進する。これにより、H2の噴射量が減少することによって減少するCO2の脱離量を補うことができる。したがって、CO2の脱離量が減少することによってH2に対するCO2の濃度が低下することをさらに抑制し、混合ガスの組成変動をさらに抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の二酸化炭素回収装置2によれば、H2は、吸着材11a、12a、13a、14aを昇温する熱媒体との熱交換によって加熱される。これにより、H2を加熱するエネルギーが節約され、CO2の回収で消費されるエネルギーの量を低減することができる。
【0057】
また、本実施形態の二酸化炭素回収装置2によれば、制御部55は、CO2濃度計50が検出した混合ガスのCO2濃度を用いて、回収器11において噴射されるH2の温度を制御する。これにより、吸着材11a、12a、13a、14aを温めることができるH2の温度の調整によって、H2の噴射量の変動によるCO2の脱離量の変動分を高精度に抑制することができる。したがって、混合ガスの組成変動を小さくすることができる。
【0058】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
[変形例1]
上述の実施形態では、「炭化水素製造装置」としてのメタン製造装置は、「炭化水素化合物」としてのCH4を製造するとした。しかしながら、炭化水素製造装置が製造する炭化水素化合物は、CH4だけでなく、例えば、エタンやプロパンなどの炭素と水素とから構成される化合物や、メタノールなどの主に炭素と水素とから構成される化合物を含んでもよい。
【0060】
[変形例2]
上述の実施形態では、脱離工程は、H2によるパージのみCO2を脱離させる第1脱離工程と、H2によるパージと減圧との併用によってCO2を脱離させる第2脱離工程と、減圧しつつ流量を減少させるH2によるパージによってCO2を脱離させる第3脱離工程を備えるとした。しかしながら、脱離工程の構成はこれに限定されない。第1脱離工程はなくてもよい。
【0061】
[変形例3]
上述の実施形態では、混合ガスのCO2濃度を用いて、第1脱離工程から第2脱離工程への切り替えのタイミング、および、第2脱離工程から第3脱離工程への切り替えのタイミングを決定するとした。しかしながら、これらの工程の切り替えのタイミングを決定する方法は、これに限定されない。CO2濃度計50によって検出される混合ガスのCO2濃度からCO2濃度の変動を推定し、その推定結果から切り替えのタイミングを決定してもよい。また、切り替えのタイミングを決定する方法は、混合ガスの流量やサージタンク40内の圧力などCO2の脱離量を推定することができる方法であればよい。
【0062】
[変形例4]
上述の実施形態では、混合ガス流路にサージタンクを設けるとした。しかしながら、サージタンクはなくてもよい。サージタンクがある場合、上述したように、混合ガスのH2/CO2を安定させることができるほか、H2の流量を逐次調整しなくてもH2/CO2を目標の範囲内とすることができる。
【0063】
[変形例5]
上述の実施形態では、CO2濃度計50は、混合ガス流路35において、減圧流路46が接続する部位より上流側の部位に設けられるとした。しかしながら、CO2濃度計を設ける場所はこれに限定されない。混合ガス流路において、バッファータンクの下流側に設けられてもよい。これにより、バッファータンクからメタン生成部に供給される混合ガスのH2/CO2に基づいて、脱離工程でのポンプの駆動やH2の流量を制御できるため、制御性を向上することができる。
【0064】
[変形例6]
第1実施形態では、混合ガスのCO2濃度を用いて、第1脱離工程から第2脱離工程への切り替えのタイミング、および、第2脱離工程から第3脱離工程への切り替えのタイミングを決定するとした。しかしながら、混合ガスのCO2濃度を用いて決定する制御の内容は、これに限定されない。混合ガスのCO2濃度を用いて、第3脱離工程におけるH2の流量を制御してもよい。
【0065】
[変形例7]
第2実施形態では、パージガスであるH2は、吸着材11a、12a、13a、14aの温度を調整可能な熱媒体との熱交換によって加熱されるとした。しかしながら、H2の加熱の方法は、これに限定されない。
【0066】
[変形例8]
第2実施形態では、回収器は、三重管構造であるとした。しかしながら、回収器の構造はこれに限定されない。吸着材の温度を調整可能な熱媒体をもちいて、パージガスが加熱されればよい。
【0067】
[変形例9]
上述の実施形態では、パージガスは、H2であるとした。しかしながら、パージガスは、H2に限定されない。
【0068】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、2…二酸化炭素回収装置
11、12、13、14…回収器
11a、12a、13a、14a…吸着材
11b…充填空間
11c…熱媒体流路
11d…パージガス加熱流路
11e…内側壁
11f…中間壁
11g…外側壁
20…排ガス流路
21、22、23、24…排ガス分流路
21a、22a、23a、24a…排ガス入口弁
25…オフガス流路
26、27、28、29…オフガス分流路
26a、27a、28a、29a…オフガス出口弁
30…パージガス流路
30a…流量制御器
30b…加熱用流路
30c、30d、47、48…切換弁
31、32、33、34…パージガス分流路
31a、32a、33a、34a…パージガス入口弁
35…混合ガス流路
36、37、38、39…混合ガス分流路
36a、37a、38a、39a…混合ガス出口弁
40…サージタンク
45…減圧ポンプ
46…減圧流路
50…CO2濃度計
55…制御部