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特許7263886駆動装置管理方法、および駆動装置管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】駆動装置管理方法、および駆動装置管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/40 20180101AFI20230418BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G16H40/40
G02C13/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019066517
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166565
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 貴光
(72)【発明者】
【氏名】日野 秀樹
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 3/00- 3/18
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置と、端末装置と、前記駆動装置および前記端末装置とは異なる拠点に配置される情報処理装置とを備え、前記駆動装置の状態を管理する駆動装置管理システムにおいて実行される駆動装置管理方法であって、
前記端末装置が、前記駆動装置の駆動情報を含む装置情報を、前記駆動装置から取得する装置情報取得ステップと、
前記端末装置が、ユーザによって入力される付加情報を前記装置情報に付加することで、前記駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
前記端末装置が前記状態情報を前記情報処理装置へ送信する状態情報送信ステップと、
を含むことを特徴とする駆動装置管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置管理方法であって、
前記駆動装置が、前記装置情報を示す識別子を表示部に表示させる装置情報識別子表示ステップをさらに含み、
前記装置情報取得ステップでは、前記端末装置は、前記駆動装置が前記表示部に表示させた前記装置情報の識別子を識別子リーダーによって読み取ることで、前記装置情報を前記駆動装置から取得することを特徴とする駆動装置管理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動装置管理方法であって、
前記情報処理装置が、前記端末装置から送信される前記状態情報に基づいて決定される、前記駆動装置の設定内容を指示する設定情報を、前記端末装置に送信する設定情報送信ステップを含むことを特徴とする駆動装置管理方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の駆動装置管理方法であって、
前記状態情報取得ステップでは、前記端末装置は、前記駆動装置が検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行している間の動作音の音声データ、および前記駆動装置の画像データの少なくとも一方を、前記状態情報に含めることを特徴とする駆動装置管理方法。
【請求項5】
眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置と、端末装置と、前記駆動装置および前記端末装置とは異なる拠点に配置される情報処理装置とを備え、前記駆動装置の状態を管理する駆動装置管理システムにおいて実行される駆動装置管理プログラムであって、
前記駆動装置管理プログラムが前記駆動装置管理システムのコントローラによって実行されることで、
前記端末装置が、前記駆動装置の駆動情報を含む装置情報を、前記駆動装置から取得する装置情報取得ステップと、
前記端末装置が、ユーザによって入力される付加情報を前記装置情報に付加することで、前記駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
前記端末装置が前記状態情報を前記情報処理装置へ送信する状態情報送信ステップと、
が前記駆動装置管理システムによって実行されることを特徴とする駆動装置管理プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置の状態を管理する駆動装置管理システムによって実行される駆動装置管理方法、および駆動装置管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科または眼鏡に関する各種情報を管理するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の眼科用医療製品の受発注方法では、眼科用医療製品に添付されたシリアルコードを利用して、眼科用医療製品の売り上げの管理、および在庫管理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-211549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メーカーが製造した駆動装置は、世界各国のあらゆる場所に設置される場合が多い。従って、駆動装置の管理(例えば、動作不良発生時のメンテナンス、動作が正常に行われているか否かの把握等)に精通した熟練者(例えば、駆動装置の開発者等)が、駆動装置が設置されている拠点を常に訪問できるとは限らない。駆動装置の管理が必要となった場合、従来は、例えばメーカーの代理店の作業者等が、駆動装置が設置されている拠点を訪問し、電話またはメール等で熟練者と連絡を取り合いながら、駆動装置の管理を行っていた。また、駆動装置を使用しているユーザ自身が、熟練者と連絡を取り合う場合もあった。しかし、従来の方法では、作業者またはユーザの熟練度、駆動装置の動作環境、作業者等と熟練者の使用言語の相違等によって、駆動装置の管理が適切に行われない場合があった。
【0005】
本開示の典型的な目的は、眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置の状態を適切に管理することが可能な駆動装置管理方法、および駆動装置管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における典型的な実施形態が提供する駆動装置管理方法は、眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置と、端末装置と、前記駆動装置および前記端末装置とは異なる拠点に配置される情報処理装置とを備え、前記駆動装置の状態を管理する駆動装置管理システムにおいて実行される駆動装置管理方法であって、前記端末装置が、前記駆動装置の駆動情報を含む装置情報を、前記駆動装置から取得する装置情報取得ステップと、前記端末装置が、ユーザによって入力される付加情報を前記装置情報に付加することで、前記駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、前記端末装置が前記状態情報を前記情報処理装置へ送信する状態情報送信ステップと、を含む。
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供する駆動装置管理プログラムは、眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置と、端末装置と、前記駆動装置および前記端末装置とは異なる拠点に配置される情報処理装置とを備え、前記駆動装置の状態を管理する駆動装置管理システムにおいて実行される駆動装置管理プログラムであって、前記駆動装置管理プログラムが前記駆動装置管理システムのコントローラによって実行されることで、前記端末装置が、前記駆動装置の駆動情報を含む装置情報を、前記駆動装置から取得する装置情報取得ステップと、前記端末装置が、ユーザによって入力される付加情報を前記装置情報に付加することで、前記駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、前記端末装置が前記状態情報を前記情報処理装置へ送信する状態情報送信ステップと、が前記駆動装置管理システムによって実行される。
【0008】
本開示における駆動装置管理方法および駆動装置管理プログラムによると、眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置の状態が、適切に管理される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】駆動装置管理システム1の概略構成を示すブロック図である。
図2】駆動装置管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本開示で例示する駆動装置管理システムは、駆動装置、端末装置、および情報処理装置を備える。駆動装置は、眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定および加工(以下、「検査および加工等」という)の少なくともいずれかを実行する。情報処理装置は、駆動装置および端末装置とは異なる拠点に配置される。駆動装置管理システムは、装置情報取得ステップ、状態情報取得ステップ、および状態情報送信ステップを実行する。装置情報取得ステップでは、端末装置が、駆動装置の駆動情報を含む装置情報を、駆動装置から取得する。状態情報取得ステップでは、端末装置が、ユーザによって入力される付加情報を装置情報に付加することで、駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報を取得する。状態情報送信ステップでは、駆動装置が状態情報を情報処理装置へ送信する。
【0011】
本開示に係る技術によると、駆動装置の駆動情報を含む装置情報が、駆動装置から端末装置を介して情報処理装置に送信される。従って、駆動装置が設置された拠点にいる作業者等の熟練度、駆動装置の動作環境、使用言語の相違等に関わらず、駆動装置の状態が情報処理装置側で適切に管理される。さらに、ユーザによって入力される付加情報が装置情報に付加されることで、駆動装置の状態を少なくとも示す状態情報が取得されて、情報処理装置に送信される。付加情報には、駆動装置自身が装置情報として取得することが困難な情報(例えば、駆動装置の外部からでのみ取得することが可能な駆動装置の情報等)を含めることも可能である。また、装置情報の情報量が少ない場合に、装置情報に追加することが望ましい情報を付加情報として装置情報に付加することも可能である。従って、装置情報だけが情報処理装置に送信される場合に比べて、駆動装置の状態がより適切に情報処理装置側で把握される。よって、本開示に係る技術によると、駆動装置の管理がより適切に実行される。
【0012】
装置情報は、例えば、駆動装置の電源のオン・オフが行われた時間、駆動装置が駆動した時間、駆動装置による検査または加工等の動作が実行された時間の長さ、駆動装置による検査または加工等の動作が実行された回数、駆動装置に接続されている機器の情報、駆動装置を識別する識別情報(例えば、装置を識別するシリアルナンバー等)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。この場合、駆動装置の動作履歴を含む駆動装置の状態が、装置情報に適切に含まれる。
【0013】
装置情報は、駆動装置によって実行された検査または加工等の種別を示す情報、および、駆動装置による検査または加工等の動作を制御した際のパラメータの少なくともいずれかを含んでいてもよい。例えば、駆動装置が眼鏡レンズ加工装置である場合、パラメータの情報は、加工された眼鏡レンズが嵌め込まれるフレームの形状の情報(つまり、加工したい眼鏡レンズの形状の情報)等であってもよい。この場合、駆動装置による検査または加工等の動作不良発生時等に、検査または加工等の種別、およびパラメータの少なくともいずれかに基づいて、駆動装置の動作が適切に把握される。
【0014】
また、装置情報は、駆動装置によって実行された検査または加工等の対象に関する情報を含んでいてもよい。例えば、駆動装置が眼科検査装置または眼科治療装置である場合、実行された検査または治療の対象の情報は、検査または治療の対象が被検者の左眼および右眼のいずれであったかを示す情報であってもよい。この場合、駆動装置による動作不良発生時等に、左眼および右眼のいずれの検査または治療が実行されたかに応じて、動作不良等の原因となった駆動装置の動作内容が適切に把握される。また、駆動装置が眼鏡レンズ加工装置である場合、実行された加工の対象の情報は、加工されたレンズの種類の情報であってもよい。この場合、駆動装置による動作不良発生時等に、加工されたレンズの種類に応じて、動作不良等の原因となった駆動装置の動作内容が適切に把握される。
【0015】
付加情報は、例えば、駆動装置の動作不良等が発生した日付、時間、駆動装置が使用されている国・地域、駆動装置が使用されている環境(例えば温度等)に関する情報、端末装置を操作するユーザ(例えば、メーカーの代理店の作業者等)の情報、ユーザの連絡先、ユーザのコメント(例えば、駆動装置の動作不良の内容等)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。例えば、駆動装置が時計の機能を有さない場合でも、日付および時間等の情報を付加情報として装置情報に付加することで、駆動装置の状態がより適切に把握される。また、駆動装置が温度計および湿度計を備えていない場合でも、温度および湿度の少なくともいずれかの情報を付加情報として装置情報に付加することで、駆動装置の状態がより適切に把握される。また、駆動装置の外部から駆動装置を観察した結果のコメント等の情報を、付加情報として装置情報に付加することで、駆動装置の状態がより適切に把握される。
【0016】
駆動装置は、装置情報を示す識別子を表示部に表示させる装置情報識別子表示ステップを実行してもよい。装置情報取得ステップでは、端末装置は、駆動装置が表示部に表示させた装置情報の識別子を識別子リーダーによって読み取ることで、装置情報を駆動装置から取得してもよい。この場合には、駆動装置と端末装置の間でデータの送受信が行われない場合でも、正確な装置情報が端末装置によって取得される。
【0017】
ただし、端末装置が装置情報を取得するための具体的な方法を変更することも可能である。例えば、駆動装置と端末装置の間でデータの送受信(例えば、NFC、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、または有線通信等による送受信)が行われる場合には、装置情報を示すデータが、駆動装置から端末装置に送信されてもよい。この場合、駆動装置は、端末装置から装置情報の送信指示を受信した場合に、装置情報を端末装置に送信してもよい。また、駆動装置は、予め設定されたタイミングで(例えば一定時間毎に)装置情報を端末装置に送信してもよいし、故障が生じたタイミングで装置情報を端末装置に送信してもよい。
【0018】
情報処理装置は、端末装置から送信される状態情報に基づいて決定される、駆動装置の設定内容を指示する設定情報を、端末装置に送信する設定情報送信ステップを実行してもよい。換言すると、端末装置は、状態情報に基づいて決定される、駆動装置の設定内容を指示する設定情報を、情報処理装置から受信してもよい。この場合、駆動装置の管理(例えばメンテナンス等)に精通した熟練者(例えば、駆動装置の開発者等)が、駆動装置が設置されている拠点にいない場合でも、端末装置から送信される状態情報に基づいて、駆動装置の望ましい設定内容が適切に端末装置に送信される。
【0019】
なお、設定情報は、状態情報を把握したユーザから入力される指示に応じて生成されてもよい。また、情報処理装置等の制御部が、状態情報に基づいて自動で設定情報を生成してもよい。
【0020】
駆動装置管理システムは、設定情報識別子表示ステップ、および設定情報取得ステップをさらに実行してもよい。設定情報識別子表示ステップでは、端末装置が、設定情報の識別子を表示部に表示させる。設定情報取得ステップでは、駆動装置が、端末装置によって表示部に表示された設定情報の識別子を識別子リーダーによって読み取ることで、設定情報を取得する。この場合には、ユーザが設定情報を確認しながら駆動装置の設定を行う場合とは異なり、状態情報に基づいて決定された設定内容が、より正確に駆動装置に反映される。また、駆動装置と端末装置の間でデータの送受信が行われない場合でも、駆動装置の設定が正確に行われる。
【0021】
ただし、駆動装置が設定情報を取得するための具体的な方法を変更することも可能である。例えば、駆動装置と端末装置の間でデータの送受信が行われる場合には、識別子のデータの代わりに、設定情報を示すデータが、端末装置を介して情報処理装置から駆動装置に送信されてもよい。また、ユーザが、端末装置の表示部に表示された設定情報を確認しながら、手動で駆動装置の設定を行うことも可能である。
【0022】
駆動装置は、検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかに使用するカメラを備えていてもよい。設定情報取得ステップでは、駆動装置は、カメラを識別子リーダーとして兼用して識別子を読み取ってもよい。この場合、識別子リーダーを駆動装置に別途搭載しなくても、設定情報が適切に駆動装置によって取得される。
【0023】
駆動装置管理システムは、設定情報記憶ステップを実行してもよい。設定情報記憶ステップでは、端末装置および駆動装置の少なくともいずれかが、情報処理装置から送信された設定情報を記憶装置に記憶させる。この場合、駆動装置の設定を、状態情報に基づいて適切に決定された駆動装置の設定内容にいつでも戻すことができる。つまり、駆動装置の設定のバックアップが適切に行われる。なお、設定情報は、識別子として記憶されてもよいし、設定情報を示すデータとして記憶されてもよい。
【0024】
上記技術は以下のように表現することも可能である。眼科または眼鏡に関する検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行する駆動装置であって、検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかに使用するカメラと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラを識別子リーダーとして兼用して、前記駆動装置の動作条件の設定内容を指示する設定情報の識別子を読み取り、読み取った前記設定情報に基づいて前記動作条件を設定することを特徴とする駆動装置。
【0025】
状態情報取得ステップでは、端末装置は、駆動装置が検査、治療、測定、および加工の少なくともいずれかを実行している間の動作音の音声データ、および駆動装置の画像データの少なくとも一方を、状態情報に含めてもよい。この場合、駆動装置のメンテナンス等に精通した熟練者が、駆動装置が設置されている拠点にいない場合でも、動作音および画像の少なくとも一方によって、駆動装置の状態が適切に把握される。
【0026】
例えば、駆動装置が眼鏡レンズ加工装置である場合、動作音は、眼鏡レンズ加工装置によってレンズが加工されている間の加工音であってもよい。この場合、加工音も考慮されたうえで適切に加工の状態が把握される。また、動作音の音声データは、端末装置のマイクによって端末装置に入力されてもよい。また、駆動装置と端末装置の間でデータの送受信が行われる場合には、駆動装置が備えるマイクによって音声データが取得された後、駆動装置から端末装置に音声データが送信されてもよい。また、画像データは、動画のデータ(例えば、動作中の駆動装置の動画データ等)であってもよいし、静止画のデータ(例えば、故障個所の静止画データ等)であってもよい。
【0027】
<実施形態>
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態における駆動装置管理システム1のシステム構成について概略的に説明する。本実施形態の駆動装置管理システム1は、端末装置10、駆動装置20、情報処理装置30、およびパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)40を備える。端末装置10は、駆動装置20が設置されている拠点(本実施形態では拠点A)で使用される。情報処理装置30およびPC40は、端末装置10および駆動装置20とは異なる拠点に配置される。本実施形態では、情報処理装置30が配置される拠点(本実施形態では拠点B)と、PC40が配置される拠点(本実施形態では拠点C)も異なる。しかし、情報処理装置30とPC40が同じ拠点に配置されていてもよい。
【0028】
端末装置10は、駆動装置20が設置されている拠点のユーザによって使用される。端末装置10のユーザは、例えば、駆動装置20のメーカーの業務の一部を委託された代理店の作業者、または、駆動装置20を使用しているユーザ自身等であってもよい。本実施形態の端末装置10は、スマートフォンまたはタブレット端末等の携帯端末である。しかし、携帯端末以外のデバイス(例えばPC等)が、端末装置10として使用されてもよい。
【0029】
端末装置10は、各種制御処理を行う制御ユニット11と、通信I/F14を備える。制御ユニット11は、制御を司るコントローラであるCPU12と、プログラムおよびデータ等を記憶することが可能な記憶装置13を備える。記憶装置13には、後述する駆動装置管理処理(図2参照)の一部を実行するための駆動装置管理プログラムが記憶されている。通信I/F14は、ネットワーク5(例えばインターネット等)を介して、端末装置10を外部機器(例えば情報処理装置30)と接続する。
【0030】
端末装置10は、操作部16、モニタ(表示部)17、カメラ(撮影部)18、およびマイク(音声入力部)19を備える。操作部16は、ユーザが各種指示を端末装置10に入力するために、ユーザによって操作される。操作部16には、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の少なくともいずれかを使用できる。モニタ17は、各種画像を表示することが可能な表示部の一例である。カメラ18は、各種画像を撮影する。詳細は後述するが、本実施形態のカメラ18は、識別子を読み取る識別子リーダーとしても使用される。マイク19は、各種音声を入力し、音声に応じた信号を制御ユニット11に出力する。なお、操作部16、モニタ17、カメラ18、およびマイク19の少なくともいずれかは、端末装置10に内蔵されていない外部機器であってもよい。
【0031】
駆動装置20には、眼科分野または眼鏡分野に関する検査、治療、測定、および加工等の少なくともいずれかを実行する種々の装置を用いることができる。本実施形態では、眼鏡のレンズを加工する眼鏡レンズ加工装置が駆動装置20として使用される場合を例示して説明を行う。しかし、駆動装置20は、例えば、OCT装置、眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、眼軸長測定装置、角膜形状測定装置、眼圧測定装置、眼屈折力測定装置、眼科用レーザ治療装置、眼鏡のフレーム形状を測定するトレーサー等であってもよい。
【0032】
駆動装置20は、各種制御処理を行う制御ユニット21と、駆動部25を備える。制御ユニット21は、制御を司るコントローラであるCPU22と、プログラム及びデータ等を記憶することが可能な記憶装置23を備える。記憶装置23には、後述する駆動装置管理処理(図2参照)の一部を実行するための駆動装置管理プログラムが記憶されている。駆動部25は、駆動装置20が検査、治療、測定、および加工等の少なくともいずれかを行うために必要な各種構成を備える。一例として、本実施形態の駆動部25には、駆動装置20が眼鏡レンズ加工装置として駆動するための各種モータ、ソレノイド、センサ等が含まれる。また、駆動部25には、駆動装置20が検査、治療、測定、および加工等の少なくともいずれかを実行するために使用されるカメラ28が設けられている。一例として、本実施形態の駆動部25に設けられているカメラ28は、レンズの玉型形状および穴位置の撮影等に使用される。
【0033】
駆動装置20は、操作部26およびモニタ27を備える。操作部26は、ユーザが各種指示を駆動装置20に入力するために、ユーザによって操作される。操作部26には、例えば、各種ボタン、タッチパネル、キーボード、マウス等の少なくともいずれかを使用できる。モニタ27は、各種画像を表示することが可能な表示部の一例である。
【0034】
情報処理装置30には、例えばサーバ等を使用できる。情報処理装置30がサーバである場合、情報処理装置30は、例えばクラウドサービスを提供するメーカーのサーバ(所謂クラウドサーバ)であってもよいし、クラウドサーバ以外のサーバ(例えば、駆動装置20を製造するメーカーのサーバ等)であってもよい。また、後述するPC40が情報処理装置30として機能してもよいし、サーバおよびPC40以外の各種情報を処理することが可能なデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット端末等)が情報処理装置30として機能してもよい。これらの場合、サーバを省略することも可能である。
【0035】
情報処理装置30は、各種制御処理を行う制御ユニット31と、通信I/F34を備える。制御ユニット31は、制御を司るコントローラであるCPU32と、プログラムおよびデータ等を記憶することが可能な記憶装置33を備える。記憶装置33には、後述する駆動装置管理処理(図2参照)の一部を実行するための駆動装置管理プログラムが記憶されている。通信I/F34は、ネットワーク5を介して、情報処理装置30を外部機器(例えば、端末装置10およびPC5)と接続する。
【0036】
PC40は、駆動装置20の管理に精通した熟練者(例えば、駆動装置20のメーカーの開発者等)によって使用される。PC40は、各種制御処理を行う制御ユニット41と、通信I/F44を備える。制御ユニット41は、制御を司るコントローラであるCPU42と、プログラムおよびデータ等を記憶することが可能な記憶装置43を備える。通信I/F44は、ネットワーク5を介して、PC40を外部機器(例えば情報処理装置30)と接続する。また、PC40は、操作部46およびモニタ47に接続されている。
【0037】
図2を参照して、駆動装置管理システム1が実行する駆動装置管理処理の一例について説明する。本実施形態で例示する駆動装置管理処理は、記憶装置13,23,33,43の各々に記憶された駆動装置管理プログラムに従って、端末装置10のCPU12、駆動装置20のCPU22、情報処理装置30のCPU32、およびPC40のCPU42によって実行される。
【0038】
まず、駆動装置20のCPU22は、駆動部25を駆動させて、駆動装置20としての動作(眼科分野または眼鏡分野に関する検査、治療、測定、および加工等の少なくともいずれか)を駆動装置20に実行させる(S21)。ここで、本実施形態では、ユーザが駆動装置20の操作部26を操作することで、動作不良が生じていると思われる動作(例えば、本実施形態では、レンズが予定通り加工されない場合の動作)を、駆動装置20に実行させる。
【0039】
端末装置10のCPU12は、駆動装置20が動作(S21)を実行している間に、動作音の録音および動画の撮影の少なくとも一方を実行する。その結果、動作音の音声データおよび画像のデータの少なくともいずれかが取得される(S11)。つまり、本実施形態では、動作不良が生じていると思われる駆動装置20の動作中の動作音(本実施形態では、レンズの加工音)、および動画の少なくともいずれかのデータが、端末装置10によって取得される。なお、画像のデータは静止画のデータであってもよい。この場合、静止画は、駆動装置20の動作中の静止画に限定されない。
【0040】
次いで、端末装置10のCPU12は、駆動装置20の駆動情報を含む装置情報を、駆動装置20から取得する(S12)。装置情報には、例えば、駆動装置20の電源のオン・オフが行われた時間、駆動装置20が動作を行った時間、駆動装置20が検査または加工等の動作を行った時間の長さ、駆動装置20が検査または加工等の動作を行った回数、駆動装置20に接続されている機器の情報、駆動装置20を識別する識別情報等の少なくともいずれかが含まれる。また、装置情報には、駆動装置20によって実行された検査または加工等の種別(本実施形態では、具体的な加工の種類)が含まれる。また、装置情報には、駆動装置20による検査または加工等の動作を制御した際のパラメータ(本実施形態では、例えば、加工されたレンズが嵌め込まれる眼鏡フレームの形状の情報等)が含まれる。また、装置情報には、駆動装置20によって実行された検査または加工等の対象に関する情報(本実施形態では、例えば、加工されたレンズの種類の情報等)が含まれる。以上の情報が装置情報として用いられることで、駆動装置20の状態が適切に把握される。
【0041】
また、本実施形態では、駆動装置20のCPU22は、ユーザによって入力される指示に応じて、装置情報を示す識別子(例えば、QRコード(登録商標)またはバーコード等)を生成し、生成した識別子をモニタ27に表示させる(S22)。端末装置10のCPU12は、駆動装置20がモニタ27に表示させた装置情報の識別子を、識別子リーダー(本実施形態ではカメラ18)によって読み取ることで、装置情報を駆動装置20から取得する(S12)。従って、駆動装置20が設置された拠点にいるユーザの熟練度、駆動装置20の動作環境、使用言語の相違等に関わらず、駆動装置20の状態が適切に把握される。ユーザ同士のコミュニケーション不良等も生じない。駆動装置20と端末装置10の間でデータを送受信する必要も無い。
【0042】
次いで、端末装置10のCPU12は、ユーザによる付加情報の入力を受け付ける(S13)。付加情報とは、駆動装置20の管理をより適切に実行するために、装置情報と共に情報処理装置30に送信される情報である。付加情報には、例えば、駆動装置20の動作不良等が発生した日付、時間、駆動装置20が使用されている国・地域、駆動装置20が使用されている環境(例えば、温度および湿度等)に関する情報、端末装置10を操作するユーザの情報、端末装置10を操作するユーザの連絡先、ユーザのコメント(例えば、駆動装置20の動作不良の内容等)の少なくともいずれかが含まれる。つまり、本実施形態の付加情報には、駆動装置20自身が装置情報として取得することが困難な情報が含まれる。なお、本実施形態では、付加情報は、端末装置10の操作部17が操作されることで、端末装置10に入力される。しかし、付加情報の入力方法を変更することも可能である。例えば、マイク19を介して付加情報が入力されてもよい。
【0043】
次いで、端末装置10のCPU12は、少なくとも駆動装置20の状態を示す状態情報を取得する(S14)。詳細には、CPU12は、S12で駆動装置20から取得した装置情報に、S13でユーザによって入力された付加情報を付加することで、状態情報を取得する。さらに、本実施形態のCPU12は、S11で取得した駆動装置20の動作音および画像の少なくともいずれかのデータを、状態情報に含める。その結果、駆動装置20の状態が、動作音または画像も考慮されたうえで適切に把握される。
【0044】
次いで、端末装置10のCPU12は、S14で取得した状態情報を情報処理装置30へ送信する(S15)。情報処理装置30のCPU32は、端末装置10から送信された状態情報を取得し、取得した状態情報をPC40へ送信する(S31)。なお、PC40が情報処理装置30を兼ねる場合は、情報処理装置30からPC40へ状態情報を送信する処理(S31)を省略してもよい。
【0045】
次いで、PC40のCPU42は、駆動装置20の設定内容を指示する設定情報を生成する(S41)。設定情報の具体的な生成方法は、適宜選択できる。一例として、本実施形態のCPU42は、情報処理装置30から受信した状態情報をモニタ47に表示させる。また、CPU42は、状態情報に含まれる音声・画像のデータに基づいて、駆動装置20の動作音の再生、および画像の表示の少なくともいずれかを実行する。PC40のユーザ(本実施形態では、駆動装置20の管理に精通した熟練者)は、モニタ47に表示された内容、および再生された動作音等に基づいて、駆動装置20の状態を把握する。PC40のユーザは、把握した駆動装置20の状態に基づいて、駆動装置20の適切な設定内容を指示する設定情報を、操作部46を操作してPC40に入力する。CPU42は、操作部46からの入力結果に応じて設定情報を生成する。なお、CPU42は、状態情報に基づいて自動で設定情報を生成してもよい。
【0046】
PC40のCPU42は、S41で生成した設定情報を情報処理装置30へ送信する(S42)。情報処理装置30のCPU32は、PC40から送信された設定情報を取得し、取得した設定情報を端末装置10へ送信する(S32)。
【0047】
端末装置10のCPU12は、情報処理装置30から設定情報を受信すると、受信した設定情報を記憶装置13に記憶させる(S15)。なお、S15の処理は、後述するS16の処理の後に実行されてもよい。
【0048】
次いで、駆動装置20のCPU22は、情報処理装置30から端末装置10に送信された設定情報を取得する(S23)。CPU22は、取得した設定情報に応じて動作条件を設定する(S24)。その結果、駆動装置20の動作条件が、状態情報に基づいて決定された内容に適切に設定される。
【0049】
ここで、駆動装置20による設定情報の取得方法について説明する。本実施形態では、端末装置10のCPU12は、設定情報を情報処理装置30から取得すると、取得した設定情報を示す識別子をモニタ17に表示させる(S16)。駆動装置20のCPU22は、端末装置10がモニタ17に表示させた設定情報の識別子を読み取ることで、設定情報を端末装置10から取得する(S23)。従って、ユーザが設定情報を確認しながら手動で駆動装置20の設定を行う場合とは異なり、状態情報に基づいて決定された設定内容が、より容易且つ正確に駆動装置20に反映される。駆動装置20と端末装置10の間でデータを送受信する必要も無い。なお、設定情報を示す識別子のデータは、PC40または情報処理装置30によって予め生成されたうえで、端末装置10に送信されてもよい。また、端末装置10のCPU12が、情報処理装置30から受信した設定情報に基づいて、設定情報を示す識別子のデータを生成してもよい。
【0050】
また、駆動装置20のCPU22は、検査、治療、測定、および加工等の少なくともいずれかを実行するために使用されるカメラ28を識別子リーダーとして兼用して、端末装置10のモニタ17に表示された識別子を読み取る。従って、識別子リーダーがカメラ28とは別で駆動装置20に搭載されなくても、設定情報が適切に駆動装置20によって取得される。
【0051】
次いで、駆動装置20のCPU22は、情報処理装置30から送信された設定情報を記憶装置23に記憶させる(S25)。なお、S25の処理は、S24の処理の前に実行されてもよい。また、設定情報を記憶装置に記憶させる場合、駆動装置20の記憶装置23、および端末装置10の記憶装置13の一方にのみ設定情報が記憶されてもよい。また、設定情報は、識別子として記憶されてもよいし、設定情報を示すデータとして記憶されてもよい。設定情報が記憶されることで、駆動装置20の設定のバックアップが適切に行われる。
【0052】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態で例示された技術の一部のみを実行することも可能である。具体的には、駆動装置20の動作音・画像のデータを情報処理装置30へ送信する処理(S11,S14)を省略してもよい。また、状態情報を取得して送信する処理(S21,S22,S11~S15,S31)を省略し、検査または加工等を実行するカメラ28を識別子リーダーとして兼用して設定情報の識別子を読み取る処理(S16,S23)のみが実行されてもよい。また、駆動装置20の動作条件を設定するための処理(S41,S42,S32,S15,S16,S23~S25)を省略し、状態情報を取得して送信する処理(S21,S22,S11~S15,S31)の少なくとも一部のみが実行されてもよい。
【0053】
図2のS12で装置情報を取得する処理は、装置情報取得ステップの一例である。S14で状態情報を取得する処理は、状態情報取得ステップの一例である。S15で状態情報を情報処理装置30へ送信する処理は、状態情報送信ステップの一例である。S22で装置情報の識別子をモニタ27に表示させる処理は、装置情報識別子表示ステップの一例である。S32で設定情報を端末装置10へ送信する処理は、設定情報送信ステップの一例である。S16で設定情報の識別子をモニタ17に表示させる処理は、設定情報識別子表示ステップの一例である。S23で設定情報を取得する処理は、設定情報取得ステップの一例である。S15およびS25で設定情報を記憶装置に記憶させる処理は、設定情報記憶ステップの一例である。
【符号の説明】
【0054】
1 駆動装置管理システム
10 端末装置
12 CPU
13 記憶装置
17 モニタ
18 カメラ
19 マイク
20 駆動装置
22 CPU
23 記憶装置
27 モニタ
28 カメラ
30 情報処理装置
32 CPU

図1
図2