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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】誘導灯装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20230418BHJP
   H05B 47/10 20200101ALI20230418BHJP
【FI】
F21V33/00 430
H05B47/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019091408
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020187911
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-241457(JP,A)
【文献】特開2003-068482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
H05B 47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点滅させる点滅回路と、
前記点滅回路に動作電源を供給する電池と、
前記電池から、避難を促す音声を発する音声出力部への電源供給の有無を判別し、前記音声出力部への電源供給が無い場合は、前記電池の電圧が前記点滅回路への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで前記点滅回路に前記光源の点滅を継続させ、前記音声出力部への電源供給がある場合は、前記電池の電圧が前記音声出力部への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで前記音声出力部に前記音声の出力を継続させ、前記点滅回路を前記音声出力部に先んじて停止させることで、前記音声出力部への電源供給が無い場合に、前記音声出力部への電源供給がある場合よりも、前記光源を長く点滅させる制御部と、
を備えることを特徴とする誘導灯装置
【請求項2】
前記電池から電源を供給され前記音声出力部の動作電源を生成する電源回路と、
前記電源回路から前記音声出力部に電力を供給する第1配線に流れる電流を検出する出力電流検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記出力電流検出部の検出電流が予め定められた値よりも大きい場合に、前記電池から前記音声出力部への電源供給があると判別することを特徴とする請求項1に記載の誘導灯装置。
【請求項3】
前記出力電流検出部は、前記第1配線に設けられた第1検出抵抗であることを特徴とする請求項に記載の誘導灯装置。
【請求項4】
前記電池の放電電流を検出する入力電流検出部を備え、
前記制御部は、前記入力電流検出部の検出電流が予め定められた値よりも大きい場合に、前記電池から前記音声出力部への電源供給があると判別することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の誘導灯装置。
【請求項5】
前記入力電流検出部は、前記電池の出力端子に接続された第2検出抵抗であることを特徴とする請求項に記載の誘導灯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電池と前記点滅回路とを接続する第2配線の電流波形または電圧波形から、前記電池から前記音声出力部への電源供給の有無を判別することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の誘導灯装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電池から前記音声出力部への電源供給がある場合、火災を報知する火災信号に応じて前記点滅回路と前記音声出力部を動作させ、前記点滅回路による前記光源の点滅よりも前記音声出力部による前記音声の出力を長く継続させることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の誘導灯装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記電池から前記音声出力部への電源供給がある場合、前記電池の電圧を検出し、前記電池の電圧に応じて、前記光源の点滅の延長時間を算出することを特徴とする請求項に記載の誘導灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池と、蓄電池にスイッチを介して接続されるキセノン点滅部と、キセノン点滅部と並列に接続される音声出力部と、制御部とを備えた避難誘導装置が開示されている。制御部は、火災報知設備からの火報信号を受信した非常時に、スイッチをオンしてキセノン点滅部と音声出力部とを蓄電池に接続させる。火報信号の受信直後は、制御部がキセノン点滅部と音声出力部とを蓄電池を電源として動作させる。制御部は、所定時間後にキセノン点滅部の動作を停止させて音声出力部のみを動作継続させる。これにより、非常時における音声出力部の必要動作時間が確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-241457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点滅装置と音声出力部とが電池を共用する誘導灯装置において、音声出力部を接続しない場合を考える。この場合、特許文献1のように所定時間後に点滅装置の動作を停止させると、電池容量を温存することになる。即ち、点滅装置だけであれば、まだ動作を継続できるのにもかかわらず、動作が止まってしまう。これは、避難誘導システムにおいて、できるだけ点滅動作を継続する方が良いと言う発想に反するものである。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、電池容量を有効に利用できる誘導灯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る誘導灯装置は、光源と、該光源を点滅させる点滅回路と、該点滅回路に動作電源を供給する電池と、該電池から、避難を促す音声を発する音声出力部への電源供給の有無を判別し、該音声出力部への電源供給が無い場合は、該電池の電圧が該点滅回路への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで該点滅回路に該光源の点滅を継続させ、該音声出力部への電源供給がある場合は、該電池の電圧が該音声出力部への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで該音声出力部に該音声の出力を継続させ、該点滅回路を該音声出力部に先んじて停止させることで、該音声出力部への電源供給が無い場合に、該音声出力部への電源供給がある場合よりも、該光源を長く点滅させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る誘導灯装置では、制御部は電池から音声出力部の電源供給の有無を判別し、音声出力部の接続が無い場合に、音声出力部の接続がある場合よりも、光源を長く点滅させる。従って、電池容量を有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る誘導灯装置の斜視図である。
図2】実施の形態1の変形例に係る誘導灯装置の斜視図である。
図3】誘導灯装置の分解斜視図である。
図4】誘導灯装置の回路ブロック図である。
図5】音声出力部の接続の有無の検出方法を説明する図である。
図6】出力電流検出部と入力電流検出部を説明する図である。
図7】誘導灯装置の電流波形および電圧波形を示す図である。
図8】誘導灯装置の機種を説明する図である。
図9】機種Dの誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。
図10】機種Cの誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。
図11】機種Bの誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。
図12】機種Aの誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。
図13】比較例に係る誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る誘導灯装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る誘導灯装置110の斜視図である。誘導灯装置110は、異常時に点滅する第2光源4を有する。以下で異常時は、誘導灯装置120が火災を報知する火災信号を受信した状態を示す。これに対し、通常時は火災信号を受信していない状態を示す。
【0011】
誘導灯装置120は、本体1、表示パネル2、第2光源用カバー3、第2光源4、本体カバー7を備える。本体カバー7は本体1を覆う。また、本体カバー7には、表示パネル2を露出させる開口が設けられる。表示パネル2には誘導表示が設けられる。表示パネル2は避難口の位置または避難方向を示す。
【0012】
本体1の下面には第2光源4が設けられる。第2光源4は、第2光源用カバー3に覆われる。第2光源4は例えば短時間に大光量を発生するランプである。第2光源4は、例えばLEDから構成されるモジュールである。第2光源4はキセノンランプであっても良い。
【0013】
図2は、実施の形態1とは別の誘導灯装置120の斜視図である。図3は、誘導灯装置120の分解斜視図である。誘導灯装置120は、異常時に避難を促す音声を発するスピーカ8を備える点が誘導灯装置110と異なる。誘導灯装置120は、音声付加点滅型誘導灯である。誘導灯装置120において、本体カバー7には、スピーカ8と対向する位置にスピーカ用穴7aが設けられる。
【0014】
本体1には、点灯回路11a、電池13a、スピーカ8、電池13b、共有回路11b、点滅回路14および音声回路15が収納されている。表示パネル2の上方には、第1光源12が設けられる。第1光源12は、常用時および非常時に表示パネル2を照らす。ここで、常用時は商用電源10からの電力供給がある状態を示す。また、非常時は商用電源10からの電力供給がない停電状態を示す。
【0015】
誘導灯装置110の構造は、音声回路15およびスピーカ8を備えない点が誘導灯装置120と異なる。その他の回路構成は、誘導灯装置120と同じである。誘導灯装置110、120では、同一の制御部112bが用いられる。また、誘導灯装置110は、音声出力部25を備えない為、誘導灯装置120よりも小型である。
【0016】
図4は、誘導灯装置120の回路ブロック図である。点灯回路11aは、充電回路111aおよび制御部112aを有する。また、点灯回路11aには商用電源10および電池13aが接続される。商用電源10は例えば交流電源である。充電回路111aは、常用時は商用電源10から電力を供給され電池13aを充電する。第1光源12は、常用時には充電回路111aを介して商用電源10から電力を供給され点灯する。また、第1光源12は、非常時には電池13aから電力を供給され点灯する。
【0017】
制御部112aは充電回路111aを制御する。制御部112aは、例えばマイコンを含む。制御部112aは、常用時は商用電源10から電力を供給され動作する。また、制御部112aは、非常時には電池13aから電力を供給され動作する。
【0018】
共有回路11bは、充電回路111b、制御部112bおよび昇圧回路114bを有する。また、共有回路11bには商用電源10、電池13bおよび火災報知部200が接続される。充電回路111bは、常用時に商用電源10から電力を供給され電池13bを充電する。電池13bは例えば蓄電池である。
【0019】
また、共有回路11bには、点滅回路14、音声回路15および煙感電源回路16が接続される。点滅回路14は第2光源4を点滅させる。音声回路15はスピーカ8と接続される。音声回路15はスピーカ8から避難を促す音声を出力させる。この音声は誘導音とも呼ばれる。音声回路15とスピーカ8は音声出力部25を構成する。煙感電源回路16は煙感知器6に接続される。煙感電源回路16は煙感知器6を動作させる。煙感電源回路16は煙感知器6からの検出信号を制御部112bに送信しても良い。
【0020】
電池13bは、異常時に点滅回路14に動作電源を供給する。点滅回路14は電池13bの電圧を、内部に有する昇圧回路14bで昇圧する。これにより点滅回路14は、第2光源4を点滅させるための電圧を生成する。
【0021】
昇圧回路114bは、異常時に電池13bから電力を供給され、音声回路15および煙感電源回路16の動作電源を生成する電源回路である。昇圧回路114bは電池13bの電圧を例えば24Vまで昇圧する。音声出力部25は、昇圧回路114bから電力の供給を受け、避難を促す音声を発する。煙感電源回路16は、電源回路110bから電力の供給を受け動作する。このように、点滅回路14、音声回路15および煙感電源回路16は、異常時には電池13bから共有回路11bを介して電力を供給される。
【0022】
制御部112bは、充電回路111b、昇圧回路114b、点滅回路14、昇圧回路14b、音声回路15および煙感電源回路16を制御する。制御部112bは例えばマイコンを含む。制御部112bは、常用時は商用電源10から充電回路111bを介して電力を供給され動作する。また、制御部112bは、非常時には電池13bから電力を供給され動作する。
【0023】
制御部112bは、充電回路111bを制御して電池13bを充電する。また、制御部112bは、昇圧回路114bが有するスイッチング素子のオンオフを制御して、昇圧回路114bの出力電圧を制御する。また、制御部112bは、昇圧回路14bが有するスイッチング素子のオンオフを制御して、昇圧回路14bの出力電圧を制御する。ここまでは、昇圧回路114bが音声回路15および煙感電源回路16に共通の回路であることを想定している。これに限らず、昇圧回路114bを共通とせず、音声回路15および煙感電源回路16の各々で昇圧回路を持つ構成でも構わない。
【0024】
制御部112bには、火災報知部200が接続される。火災報知部200は、火災検出部201、火災報知設備202および誘導灯用信号装置203を有する。火災検出部201は火災を検出する。誘導灯用信号装置203は、火災報知設備202を介して、火災検出部201から火災の検出信号を受信する。誘導灯用信号装置203は、検出信号に応じて制御部112bに火災を報知する火災信号を送信する。
【0025】
制御部112bは火災信号を受信すると、共有回路11bおよび制御部112bの電源を商用電源10から電池13bに切り替える。また、制御部112bは、火災信号に応じて点滅回路14と音声回路15を動作させる。
【0026】
このように、誘導灯装置120は、通常時は商用電源10から電力の供給を受け動作し、異常時は電池13a、13bから電力の供給を受け動作する。点滅回路14と音声回路15とで電池13bを共用することで、誘導灯装置120の部品点数を削減できる。また、点滅回路14と音声回路15とで共有回路11bを共用することで、さらに誘導灯装置120の部品点数を削減できる。
【0027】
また、誘導灯装置110のように音声出力部25は設けられない場合がある。制御部112bは、音声出力部25の共有回路11bへの接続の有無を判別する。制御部112bは、判別結果に応じて第2光源4の点滅の継続時間を変更する。
【0028】
図5は、音声出力部25の接続の有無の検出方法を説明する図である。誘導灯装置120は出力電流検出部115bおよび入力電流検出部113bを備える。図6は、出力電流検出部115bと入力電流検出部113bを説明する図である。出力電流検出部115bは、昇圧回路114bから音声出力部25に電力を供給する第1配線115aに設けられた第1検出抵抗R1である。また、入力電流検出部113bは、電池13bの出力端子に接続された第2検出抵抗R2である。第2検出抵抗R2は、電池13bと点滅回路14とを接続する第2配線113aに設けられる。
【0029】
図7は、誘導灯装置110、120の電流波形および電圧波形を示す図である。出力電流検出部115bは、第1配線115aに流れる電流を、第1検出抵抗R1に印加される電圧に変換して検出する。音声出力部25の接続が無い場合、第1検出抵抗R1による検出電流Isはゼロである。また、音声出力部25の接続がある場合、昇圧回路114bから音声出力部25に供給される電流は検出電流Isとして検出される。このため、制御部112bは、出力電流検出部115bの検出電流Isがゼロよりも大きい場合に、音声出力部25の接続があると判別できる。このように、制御部112bは、検出電流Isによって、電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別できる。
【0030】
ここで、誘導灯装置120に音声出力機能を設けない場合、音声回路15を備えてスピーカ8を備えなくても良い。このような構成において、音声回路15を無負荷の状態で動作させると、検出電流Isはゼロではなくなる。しかし、この場合もスピーカ8は動作させないため、スピーカ8を動作させる場合と比較して検出電流Isが小さくなる。従って、制御部112bは、出力電流検出部115bの検出電流Isが予め定められた値よりも大きい場合に、電池13bからスピーカ8への電源供給があると判別できる。なお、音声回路15を備えてスピーカ8を備えない場合において、音声回路15を全く動作させなくても良い。この場合、消費電力を抑制できる。
【0031】
出力電流検出部115bによれば、昇圧回路114bから音声出力部25に流れる電流を直接検出するため、音声出力部25の接続の有無を正確に検出できる。また、点滅回路14と同様に、昇圧回路114bを介さずに電池13bから音声出力部25に直接給電されても良い。この場合も、共有回路11bから音声出力部25に電力を供給する配線を流れる電流から、音声出力部25の有無を判別できる。
【0032】
また、入力電流検出部113bは、第2配線113aに流れる電流を、第2検出抵抗R2に印加される電圧Vbatに変換して検出する。つまり、入力電流検出部113bは電池13bの放電電流を検出する。音声出力部25の接続がある場合は、接続が無い場合よりも電池13bからの放電電流が大きくなる。つまり、第2検出抵抗R2による検出電流Ibatは、音声出力部25の接続がある場合に、接続が無い場合よりも大きくなる。制御部112bは、入力電流検出部113bの検出電流Ibatが予め定められた値よりも大きい場合に、電池13bから音声出力部25への電源供給があると判別する。
【0033】
また、制御部112bは、第2配線113aの電流波形または電圧波形から、電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別しても良い。図7の枠41、42で囲まれた部分に示されるように、音声出力部25の接続がある場合、第2配線113aの電流波形および電圧波形に歪みまたは飛びが生じる。制御部112bは、電流波形または電圧波形の歪みまたは飛びの有無から、音声出力部25の接続の有無を判別しても良い。
【0034】
制御部112bは、例えば音声出力時の電流波形または電圧波形と、音声出力が無い場合の電流波形または電圧波形を記憶している。制御部112bは、第2配線113aの電流波形または電圧波形と、記憶した波形を比較することで、電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別できる。
【0035】
また、出力電流検出部115bと入力電流検出部113bの一方のみを設けても良い。また、制御部112bは、第1配線115aの電流波形または電圧波形から、音声出力部25への電源供給の有無を判別しても良い。さらに、制御部112bは、電池電圧の下がり方を検出し、音声出力部25への電源供給の有無を判別しても良い。電池電圧の下がり方は、例えば時間当たりの電池電圧の変化量である。以上から、制御部112bは、この器具がスピーカ8を組込んだ機種なのか否かを判別できる。
【0036】
なお、第2光源4にキセノンランプを用いる場合、一般に点滅回路14の消費電力が音声回路15の消費電力と比較して非常に大きくなる。これに対し、第2光源4にLEDを用いる場合、点滅回路14の消費電力と音声回路15の消費電力の差異が小さくなる。このため、電池13bから音声出力部25への電源供給の有無による電流のピーク値または波形の違いを明確に区別できる。従って、精度よく音声出力部25の接続の有無を判定できる。
【0037】
図8は、誘導灯装置の機種を説明する図である。誘導灯装置には、一般に音声の有無および動作時間の違いによってA~Dの4種類がある。機種Aは点滅の継続時間が25分であり、音声の継続時間が75分である。機種Bは点滅の継続時間と音声の継続時間が共に75分である。機種Cは点滅の継続時間が25分であり、音声の出力がない。機種Dは点滅の継続時間が75分であり、音声の出力がない。機種A、Bは音声点滅機種であり、機種C、Dは点滅機種である。
【0038】
なお、日本照明工業会規格のJIL5502では、誘導灯器具及び避難誘導灯システム用装置技術基準が示されている。この規格によれば、点滅装置の動作時間は25分間又は75分間の2種類ある。また、誘導音装置の動作時間は75分間のみの1種類である。
【0039】
誘導灯装置120は機種AまたはBに対応する。誘導灯装置120から音声出力部25を取り外した機種および誘導灯装置110は、機種CまたはDに対応する。
【0040】
次に、本実施の形態に係る誘導灯装置110、120の動作を説明する。まず、誘導灯装置110の動作の一例として、機種Dの動作について説明する。図9は、機種Dの誘導灯装置110の動作を示すタイムチャートである。図9に示される火災信号は、Highが火災信号を受信していない状態、Lowが火災信号を受信した状態を示す。また、第2光源は、Highが点滅状態、Lowが消灯状態を示す。また、音声出力はHighが音声出力をしている発声状態、Lowが音声出力をしていない無音状態を示す。
【0041】
時刻t0よりも前では、充電回路111bは商用電源10を受けて電池13bを充電している。また、点滅回路14は待機状態であり、第2光源4は消灯状態である。火災報知部200は火災を検出すると、火災信号を制御部112bに送信する。制御部112bは、時刻t0において火災信号を受信すると、電池13bから点滅回路14への電力供給を開始する。これにより、第2光源4は点滅を開始する。点滅に伴い電池電圧は低下する。第2光源4の点滅は、少なくとも予め定められた時間である75分間継続される。時刻t0から75分経過した時刻を時刻t2とする。
【0042】
時刻t0の直後に、制御部112bは、出力電流検出部115bまたは入力電流検出部113bを用いて、電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別する。なお、音声出力部25への電源供給の有無の判別は、時刻t0よりも後で時刻t2以前であれば、いつ実施されても良い。
【0043】
誘導灯装置110では、音声出力部25への電源供給は無いと判別される。このとき、音声出力部25に電池13bから電力を供給する必要がない。従って、制御部112bは可能な限り点滅を継続させる。つまり、点滅回路14は、電池13bの電圧が放電基準電圧を下回り、動作できなくなるまで第2光源4の点滅を継続する。点滅回路14は、電池13bの電圧が放電基準電圧の時に、第2光源4は点滅させることが可能な規定値以上の出力電圧が得られるように設計されている。
【0044】
電池13bの電圧が放電基準電圧を下回ったあと、時刻t5において点滅回路14が停止する。従って、第2光源4は点滅を終了する。点滅回路14は、電池13bの電圧が点滅回路14への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで、第2光源4の点滅を継続しても良い。これにより、時刻t2の後、延長時間tβだけ点滅を延長できる。
【0045】
次に、機種Cの動作について説明する。図10は、機種Cの誘導灯装置110の動作を示すタイムチャートである。時刻t0までの動作は、機種Dと同じである。制御部112bは、時刻t0において火災信号を受信すると、共有回路11bから点滅回路14への電力供給を開始する。これにより、第2光源4は点滅を開始する。第2光源4の点滅は、少なくとも予め定められた時間である25分間継続される。時刻t0から25分経過した時刻を時刻t1とする。
【0046】
時刻t0の直後に、制御部112bは音声出力部25への電源供給の有無を判別する。なお、音声出力部25の接続の有無の判別は、時刻t0よりも後で時刻t1以前であれば、いつ実施されても良い。誘導灯装置110では、音声出力部25への電源供給は無いと判別される。従って、制御部112bは可能な限り点滅を継続させる。点滅回路14は、電池13bの電圧が放電基準電圧を下回ったあとも、電池13bによる駆動が可能な限り、第2光源4の点滅を継続する。時刻t5において点滅回路14が停止し、第2光源4は点滅を終了する。
【0047】
次に、誘導灯装置120の動作の一例として、長時間定格の機種Bの動作について説明する。図11は、機種Bの誘導灯装置120の動作を示すタイムチャートである。時刻t0よりも前では、音声回路15は待機状態、スピーカ8は動作していない状態、点滅回路14は待機状態、第2光源4は消灯状態である。
【0048】
制御部112bは、時刻t0において火災信号を受信すると、点滅回路14及び音声回路15を動作させる。これにより、第2光源4は点滅を開始する。また、音声出力部25が誘導音の出力を開始する。点滅と音声発生に伴い、電池電圧は低下する。第2光源4の点滅およびスピーカ8の発声は、少なくとも予め定められた時間である75分間継続される。時刻t0から75分経過した時刻を時刻t2とする。本実施の形態において時刻t2の時点では、電池13bの電圧は放電基準電圧を上回る。
【0049】
時刻t0の直後に、制御部112bは電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別する。誘導灯装置120では、電池13bから音声出力部25への電源供給があると判別される。次に、制御部112bは電池13bの電圧を検出する。制御部112bは、電池13bの電圧に応じて、時刻t2からの第2光源4の点滅の延長時間tαを算出する。点滅動作の延長時間tαは、電池13bの電圧によって変わる。なお、電池13bの電圧の検出および延長時間tαの算出は、時刻t0よりも後で時刻t2以前であれば、いつ実施されても良い。
【0050】
制御部112bは、時刻t2から延長時間tαだけ第2光源4の点滅を継続してから、時刻t5において第2光源4の点滅を停止させる。つまり、時刻t5において電池13bから点滅回路14への電力供給が停止する。
【0051】
この後も、制御部112bは音声出力を継続する。電池13bの電圧が放電基準電圧を下回った後、時刻t6において音声出力部25は音声出力を終了する。音声出力部25は、電池13bの電圧が、音声出力部25への動作電源の供給が可能な下限電圧となるまで音声の出力を継続する。
【0052】
次に、誘導灯装置120の動作の別の例として、機種Aの動作について説明する。図12は、機種Aの誘導灯装置120の動作を示すタイムチャートである。時刻t0よりも前の状態は、機種Bと同様である。
【0053】
制御部112bは、時刻t0において火災信号を受信すると、点滅回路14及び音声回路15を動作させる。第2光源4の点滅およびスピーカ8の発声は、予め定められた時間である25分間継続される。時刻t0から25分経過した時刻を時刻t1とする。
【0054】
時刻t0の直後に、制御部112bは電池13bから音声出力部25への電源供給の有無を判別する。誘導灯装置120では、電池13bから音声出力部25への電源供給があると判別される。次に、制御部112bは電池13bの電圧を検出する。制御部112bは、電池13bの電圧に応じて、時刻t1からの第2光源4の点滅の延長時間tαを算出する。なお、電池13bの電圧の検出および延長時間tαの算出は、時刻t0よりも後で時刻t1以前であれば、いつ実施されても良い。制御部112bは、時刻t1から延長時間tαだけ第2光源4の点滅を継続してから、時刻t5において第2光源4の点滅を停止させる。
【0055】
この後も、制御部112bが音声出力を継続する。電池13bの電圧が放電基準電圧を下回った後、時刻t6において、音声出力部25は音声出力を終了する。なお、時刻t6は、時刻t0から75分経過した時刻t2よりも後の時刻である。時刻t2では、電池13bの電圧は放電基準電圧を大幅に上回る。
【0056】
次に、本実施の形態の効果について説明する。本実施の形態の比較例として、点滅および音声の継続時間を25分または75分である規定時間と同じ長さに設定した場合、例えば電池が少し劣化してきた場合に、部品バラツキによって規定時間を下回る可能性がある。また、避難誘導システムにおいて、点滅および音声の継続時間は長い方が好ましい。
【0057】
また、別の比較例として、電池電圧が低下して動作不可能となるまで、点滅と音声発生を継続することが考えられる。図13は、比較例に係る誘導灯装置の動作を示すタイムチャートである。比較例に係る誘導灯装置は、機種Bであるものとする。
【0058】
比較例に係る誘導灯装置が、時刻t0において火災を報知する火災信号を受信すると、第2光源は点滅発光を開始する。また、スピーカが誘導音を発声する。第2光源の点滅およびスピーカの発声は、予め定められた時間である75分間継続される。時刻t0から75分経過した時刻を時刻t2とする。誘導灯装置は、時刻t2までは放電基準電圧以上の電池電圧で動作しなければならない。電池電圧が放電基準電圧を下回った後、時刻t5において誘導灯装置は点滅及び音声発声を終了する。
【0059】
図13に示される比較例では、電池電圧が放電基準電圧を下回るまで動作が継続される。ここで、第2光源がキセノンランプである場合、点滅回路の消費電力は例えば9Wであり、音声回路の消費電力は例えば3Wである。点滅回路の消費電力は音声回路の消費電力の略3倍である。このとき、電池からの電力が点滅回路で多く消費され、例えば電池が少し劣化してきた場合に、動作を継続すべき必要動作時間を確保できない可能性がある。
【0060】
特に、機種Aにおいて、点滅の継続時間は確保されても、音声が75分まで継続できないおそれがある。また、火災時に煙が充満してきた場合、点滅光源は見えにくくなる可能性がある。このため、点滅よりも誘導音による避難口への誘導を優先させることが好ましい場合がある。
【0061】
これに対し、本実施の形態の制御部112bは、電池13bから音声出力部25への電源供給がある場合に、点滅回路14による第2光源4の点滅よりも音声出力部25による音声の出力を長く継続させる。これにより、点滅よりも誘導音による避難口への誘導を優先させることができる。
【0062】
また、制御部112bは、音声出力部25の動作を一定時間継続するために、時刻t1またはt2における電池13bの電圧から、点滅回路14と音声回路15を両方動作させることが可能な時間を算出する。この算出結果に応じて、制御部112bは、点滅回路14を音声回路15に先んじて停止させる。これにより、音声回路15の一定の動作時間を確実に確保できる。
【0063】
なお、特に機種Bにおいて、第2光源4の点滅およびスピーカ8の発声を並行して実施した場合、電池13bの劣化等によっては、時刻t2まで電池13bの電圧を放電基準電圧以上に維持できないことがある。これに対し、本実施の形態では、制御部112bは、予め定められた時刻t2よりも前に、音声出力部25への電源供給の有無の判別と、電池13bの電圧の検出を実施する。これにより、制御部112bは、電池13bの電圧に応じて、音声出力部25の動作が時刻t2以上でなるべく長く継続できるように、第2光源4の点滅の延長時間tαを算出しても良い。また、制御部112bは、時刻t0以前を含めて常時、電池電圧を検出していても良い。
【0064】
また、本実施の形態では、音声回路15は電池13bの電圧が低下し動作不可能になるまで発声を続ける。このため、音声の発生時間をなるべく長くして誘導効果を高めることができる。
【0065】
ここで、音声出力部25が設けられない機種において図11、12で示されるような音声出力を優先させる制御が実施されると、電池容量を残したまま時刻t5で点滅が停止する。つまり、電池電圧が放電基準電圧まで下がる前に点滅動作が止まってしまう。従って、電池容量が無駄になる。また、放電が浅い状態が継続すると、電池のメモリ効果によって電池の性能が低下するおそれがある。
【0066】
これに対し、本実施の形態では、制御部112bが音声出力部25の接続の有無を判別する。判別結果に応じて、音声出力部25の接続が無い機種では、音声出力部25への電力供給を考慮せずに点滅が継続される。つまり、制御部112bは、音声出力部25への電源供給が無い場合に、音声出力部25への電源供給がある場合よりも、第2光源4を長く点滅させる。このため、図9、10に示されるように、時刻t1、t2からの点滅の延長時間tβを、図11、12の延長時間tαよりも長くできる。従って、点滅のみの機種であっても、電池容量を有効に利用し、長い動作時間を確保できる。また、電池のメモリ効果を抑制できる。
【0067】
なお、部品の共通化のために、音声点滅機種および点滅機種において、共有回路11bとして同じものが用いられることが多い。これは、誘導灯装置110、120は特殊な器具であり、生産数が少ないためである。共有回路11bは一般に、25分定格のものと75分定格のものの2種である。このため、音声出力部25の有無により制御方法を変えるためには、制御部112bが音声出力部25の有無を判別することが好ましい。
【0068】
また、誘導灯装置にスイッチを設け、組立時にスイッチにより、当該誘導灯装置が点滅機種および音声点滅機種の何れの機種であるか設定することが考えられる。しかし、設定を誤ると、非常時に既定の動作が実現できなくなる。
【0069】
これに対し本実施の形態では、制御部112bが自動で機種の違いを判別し、制御方法を変える。従って、確実に既定の動作を実現できる。また、組立工程が複雑化することを防止できる。
【0070】
本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 本体、2 表示パネル、3 第2光源用カバー、4 第2光源、6 煙感知器、7 本体カバー、7a スピーカ用穴、8 スピーカ、10 商用電源、11a 点灯回路、11b 共有回路、12 第1光源、13a 電池、13b 電池、14 点滅回路、15 音声回路、16 煙感電源回路、25 音声出力部、110 誘導灯装置、110a 電源回路、111a 充電回路、111b 充電回路、112a 制御部、112b 制御部、113a 第2配線、113b 入力電流検出部、114b 昇圧回路、115a 第1配線、115b 出力電流検出部、120 誘導灯装置、200 火災報知部、201 火災検出部、202 火災報知設備、203 誘導灯用信号装置、R1 第1検出抵抗、R2 第2検出抵抗
図1
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