IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図1
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図2
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図3
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図4
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図5
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図6
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図7
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図8
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図9
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図10
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図11
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図12
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図13
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図14
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図15
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図16
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図17
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図18
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図19
  • 特許-障害物検出装置及び障害物検出方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】障害物検出装置及び障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/931 20200101AFI20230418BHJP
   G01S 15/87 20060101ALI20230418BHJP
   G01S 15/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S15/87
G01S15/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019111421
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020204493
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088279(JP,A)
【文献】特開平07-159531(JP,A)
【文献】特開昭57-066372(JP,A)
【文献】特開昭58-161643(JP,A)
【文献】特開2006-084428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52-7/64
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する複数の超音波センサと、
複数の前記超音波センサによる超音波の送信を制御する送信指令部と、
前記超音波センサによる反射波の受信結果から障害物を検出する検出部と、
を備え、
複数の前記超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって超音波センサ群が構成され、
前記検出部は、
前記送信指令部が前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信させた際に、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に障害物ありと判定する判定部と、
前記判定部が障害物ありと判定した場合に、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサ同時に超音波を送信してから複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信するまでに要する時間である送受信時間を測定して該送受信時間と閾値と比較するとともに、反射波を受信した超音波センサを認識し、前記送受信時間が前記閾値よりも短い場合に、前記認識された超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであると特定することで前記障害物の方向を推定するとともに、前記送受信時間が前記閾値よりも長い場合に、前記送信指令部に前記超音波センサ群を構成する各超音波センサから個別に超音波を送信させ、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する推定部と、を有することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記超音波センサ同士の間隔であるセンサ間距離に基づいて設定される請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記超音波センサから送信された超音波が該超音波を送信した超音波センサとは別の前記超音波センサに最短距離で到達するのに必要な理論上の時間よりも長い時間に設定される請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項4】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する複数の超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって構成された超音波センサ群について、前記超音波センサ群を構成する2以上の前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に障害物ありと判定するステップと、
障害物ありと判定した場合に、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサが同時に超音波を送信してから複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信するまでに要する時間である送受信時間を測定するステップと、
反射波を受信した超音波センサを認識するステップと、
前記送受信時間と閾値と比較し、前記送受信時間が前記閾値よりも短い場合に、前記認識された超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであると特定することで前記障害物の方向を推定するとともに、前記送受信時間が前記閾値よりも長い場合に、前記超音波センサ群を構成する各超音波センサから個別に超音波を送信させ、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定するステップと、を有することを特徴とする障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置及び障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射した反射波を受信する受信機能とを有する超音波センサを用いて、障害物を検出する障害物検出装置が知られている。障害物検出装置は、超音波センサによる超音波の送信を制御するとともに、超音波センサによる反射波の受信結果から障害物を検出する。超音波センサから超音波を送信した際、超音波センサの検出範囲内に障害物が存在する場合、送信された超音波は障害物に当たって反射する。一方、超音波の検出範囲内に障害物が存在しない場合、送信された超音波は障害物に当たって反射することなく減衰する。障害物検出装置は、超音波センサが反射波を受信した場合、障害物ありと判定し、超音波センサが反射波を受信しなかった場合、障害物なしと判定する。
【0003】
障害物検出装置には、超音波センサを複数備えるものがある。なお、超音波を送信した超音波センサと該超音波の反射波を受信する超音波センサは同一であることが多いが、障害物の形状によっては、超音波を送信した超音波センサとは別の超音波センサが反射波を受信することもある。複数の超音波センサから個別に超音波を送信する場合、反射波の送信源となる超音波センサは、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサと一致する。このため、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定することで、特定した超音波センサの検出範囲から障害物検出装置に対する障害物の方向を推定できる。
【0004】
複数の超音波センサを備える障害物検出装置の一例として、特許文献1には、第1~第4超音波センサを備える障害物検出装置が開示されている。第1~第4超音波センサは、順に並べられている。第1超音波センサ及び第3超音波センサは、第1超音波センサ群を構成し、第2超音波センサ及び第4超音波センサは、第2超音波センサ群を構成している。第1超音波センサ群を構成する第1超音波センサ及び第3超音波センサは、同時に超音波を送信し、第2超音波センサ群を構成する第2超音波センサ及び第4超音波センサは同時に超音波を送信する。このように超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信することによって、第1~第4超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-298266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の超音波センサから同時に超音波を送信する場合、以下のような問題が生じる虞がある。例えば、第1超音波センサ及び第3超音波センサが同時に超音波を送信して第3超音波センサが反射波を受信した場合、反射波の送信源としては、第1超音波センサのみ、第3超音波センサのみ、又は第1超音波センサ及び第3超音波センサの両方の3パターンが考えられる。つまり、複数の超音波センサから同時に超音波を送信することにより、反射波の受信直前に超音波を送信した超音波センサを特定できなくなる。その結果、障害物検出装置に対する障害物の方向も推定できなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、障害物の有無を早期に判定できるとともに、障害物の方向を推定できる障害物検出装置及び障害物検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための障害物検出装置は、超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する複数の超音波センサと、複数の前記超音波センサによる超音波の送信を制御する送信指令部と、前記超音波センサによる反射波の受信結果から障害物を検出する検出部と、を備え、複数の前記超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって超音波センサ群が構成され、前記検出部は、前記送信指令部が前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信させた際に、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に障害物ありと判定する判定部と、前記判定部が障害物ありと判定した場合に、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサ同時に超音波を送信してから複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信するまでに要する時間である送受信時間を測定して該送受信時間と閾値と比較するとともに、反射波を受信した超音波センサを認識し、前記送受信時間が前記閾値よりも短い場合に、前記認識された超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであると特定することで前記障害物の方向を推定するとともに、前記送受信時間が前記閾値よりも長い場合に、前記送信指令部に前記超音波センサ群を構成する各超音波センサから個別に超音波を送信させ、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定する推定部と、を有することを要旨とする。
【0009】
これによれば、障害物の有無を判定する際には、送信指令部は、超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信させるため、複数の超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部が障害物ありと判定した場合、推定部は、送受信時間と閾値とを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定できる。
【0010】
また、上記障害物検出装置について、前記閾値は、前記超音波センサ同士の間隔であるセンサ間距離に基づいて設定されるのが好ましい。
これによれば、センサ間距離は取得し易い情報であるため、閾値の設定を容易に行うことができる。
【0011】
また、上記障害物検出装置について、前記閾値は、前記超音波センサから送信された超音波が該超音波を送信した超音波センサとは別の前記超音波センサに最短距離で到達するのに必要な理論上の時間よりも長い時間に設定されるのが好ましい。
【0012】
これによれば、障害物の方向の推定をより正確に行うことができる。
上記問題点を解決するための障害物検出方法は、超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する複数の超音波センサのうちの2以上の超音波センサによって構成された超音波センサ群について、前記超音波センサ群を構成する2以上の前記超音波センサから同時に超音波を送信し、複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信した場合に障害物ありと判定するステップと、障害物ありと判定した場合に、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサが同時に超音波を送信してから複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信するまでに要する時間である送受信時間を測定するステップと、反射波を受信した超音波センサを認識するステップと、前記送受信時間と閾値と比較し、前記送受信時間が前記閾値よりも短い場合に、前記認識された超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであると特定することで前記障害物の方向を推定するとともに、前記送受信時間が前記閾値よりも長い場合に、前記超音波センサ群を構成する各超音波センサから個別に超音波を送信させ、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から前記障害物の方向を推定するステップと、を有することを要旨とする。
【0013】
これによれば、障害物の有無を判定する際には、超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサから同時に超音波を送信することで、複数の超音波センサから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、障害物ありと判定した場合、送受信時間を測定し、測定した送受信時間と閾値とを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、障害物の有無を早期に判定できるとともに、障害物の方向を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は第1実施形態の障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略側面図、(b)は障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略背面図。
図2】フォークリフトの構成を示すブロック図。
図3】障害物検出装置の構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図5】(a)は例1-1における障害物検出方法を模式的に示す平面図、(b)は例1-1における超音波の送受信タイミングを示す図。
図6】(a)~(c)は例1-2における障害物検出方法を模式的に示す平面図、(d)は例1-2における超音波の送受信タイミングを示す図。
図7】(a)~(c)は例1-3における障害物検出方法を模式的に示す平面図、(d)は例1-3における超音波の送受信タイミングを示す図。
図8】(a)は第2実施形態の障害物検出装置が搭載されるフォークリフトの概略背面図、(b)はカウンタウェイトに対する超音波センサの配置を模式的に示す平面図。
図9】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図10】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図11】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図12】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図13】(a),(b)は例2-1における障害物検出方法を示す概略平面図。
図14】例2-1における超音波の送受信タイミングを示す図。
図15】(a)~(d)は例2-2における障害物検出方法を示す概略平面図。
図16】例2-2における超音波の送受信タイミングを示す図。
図17】(a)~(d)は例2-3における障害物検出方法を示す概略平面図。
図18】例2-3における超音波の送受信タイミングを示す図。
図19】(a)は例4-1における超音波センサ及び障害物の配置を模式的に示す平面図、(b)は例4-2における超音波センサ及び障害物の配置を模式的に示す平面図。
図20】第4実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第1実施形態を図1図7にしたがって説明する。なお、第1実施形態では、説明の便宜上、障害物によって反射した超音波は超音波センサによって受信されることを前提として説明する。
【0017】
図1(a)に示すように、フォークリフト10は、車体11と、車体11の前方に設けられた荷役装置12と、車体11の後方に設けられたカウンタウェイト13とを備える。図1(b)に示すように、カウンタウェイト13の後端面は、第1面13aと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの左側に位置する第2面13bと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの右側に位置する第3面13cとを有する。第1面13aは、前後方向と直交する。第2面13bは、左端が右端よりも前方に位置するように傾斜している。第3面13cは、右端が左端よりも前方に位置するように傾斜している。なお、本実施形態のフォークリフト10は、搭乗者による運転が行われるフォークリフトである。
【0018】
図2に示すように、フォークリフト10は、メインコントローラ17と、荷役装置12を動作させる荷役機構14と、フォークリフト10を走行させる駆動機構15と、フォークリフト10の起動状態と停止状態とを切り替えるキースイッチ16とを備える。
【0019】
メインコントローラ17は、CPU18及びメモリ19を備える。メモリ19には、フォークリフト10を動作させるためのプログラム等が記憶されている。CPU18は、メインコントローラ17に入力された情報や、メモリ19に記憶されたプログラム等の情報などを用いて演算を行う。メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている場合、駆動機構15や荷役機構14を制御することで荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせる。一方で、メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされている場合、荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0020】
また、フォークリフト10には、超音波によって障害物を検出する障害物検出装置20が搭載されている。障害物検出装置20は、超音波センサ群21を備える。
図1(b)及び図3に示すように、本実施形態の超音波センサ群21は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの2つの超音波センサによって構成されている。各超音波センサ21a,21bは、超音波の送信と受信の両方を1つの素子で行う送受信兼用型である。
【0021】
各超音波センサ21a,21bは、図示しない圧電振動子を備える。圧電振動子は、電気信号を振動に変換可能であるとともに、振動を電気信号に変換可能である。圧電振動子は、後述する送信指令部31から送信信号が入力されることにより振動する。圧電振動子が振動することにより、各超音波センサ21a,21bから超音波が送信される。第1超音波センサ21aから送信される超音波の周波数と、第2超音波センサ21bから送信される超音波の周波数は同じである。超音波の送信方向の先に障害物がある場合、送信された超音波は、障害物に当たって反射することにより反射波となる。圧電振動子は、反射波を受けると振動し、後述する検出部32に受信信号を出力する。つまり、各超音波センサ21a,21bは、超音波を送信する送信機能と、反射波を受信する受信機能とを有する。なお、圧電振動子は送受信兼用型であるため、各超音波センサ21a,21bが超音波を送信している間、反射波を受信することはできない。また、各超音波センサ21a,21bは、自身が送信した超音波の反射波だけでなく、他の超音波センサが送信した超音波の反射波も受信可能である。よって、超音波を送信した超音波センサ21a,21bと該超音波の反射波を受信する超音波センサ21a,21bとが同一の場合もあれば異なる場合もある。
【0022】
図1(b)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、フォークリフト10の左右方向に間隔を空けて配置されている。第1超音波センサ21aは、カウンタウェイト13の第1面13aに対し、フォークリフト10の左右方向の中央Cよりも左側に取り付けられている。第2超音波センサ21bは、カウンタウェイト13の第1面13aに対し、フォークリフト10の左右方向の中央Cよりも右側に取り付けられている。フォークリフト10の左右方向における第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとの間隔をセンサ間距離Lとする。本実施形態では、センサ間距離Lは、0.50mに設定されている。なお、フォークリフト10の左右方向における各超音波センサ21a,21bの寸法はセンサ間距離Lに対して十分小さい。
【0023】
第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bはそれぞれ、車体11の後方に超音波を送信する。よって、障害物検出装置20により検出される障害物は、フォークリフト10の後方に存在する障害物である。
【0024】
例えば、図5(a)に示すように、フォークリフト10の後方には、各超音波センサ21a,21bによる障害物の検出が可能な検出範囲Aが存在する。第1超音波センサ21aの検出範囲Aは、フォークリフト10の後方の左側に存在し、第2超音波センサ21bの検出範囲Aは、フォークリフト10の後方の右側に存在する。本実施形態では、第1超音波センサ21aの検出範囲Aは、第1超音波センサ21aからフォークリフト10の後方0.6m以内の範囲に設定されている。また、第2超音波センサ21bの検出範囲Aは、第2超音波センサ21bからフォークリフト10の後方0.6m以内の範囲に設定されている。つまり、各超音波センサ21a,21bから送信された超音波は、フォークリフト10の後方0.6mまで到達可能である。本実施形態では、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとは、検出範囲Aの一部が重なり合う状態で配置されている。
【0025】
図2に示すように、障害物検出装置20は、制御ECU30を備える。制御ECU30は、CPUと、RAM及びROM等からなる記憶部とを備える電子制御ユニット:Electronic Control Unitである。記憶部には、障害物検出装置20を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御ECU30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御ECU30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びにRAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。制御ECU30は、メインコントローラ17と相互に通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、制御ECU30はメインコントローラ17とは別体である。
【0026】
図3に示すように、制御ECU30は、送信指令部31と、送信指令部31と接続された検出部32とを備える。送信指令部31及び検出部32はそれぞれ、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bと接続されている。
【0027】
送信指令部31は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bによる超音波の送信を制御する。具体的には、送信指令部31は、第1超音波センサ21aに送信信号を出力することで第1超音波センサ21aに超音波を送信させる。同様に、送信指令部31は、第2超音波センサ21bに送信信号を出力することで第2超音波センサ21bに超音波を送信させる。送信指令部31は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている間、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方に送信信号を所定の間隔で繰り返し出力する。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは、送信指令部31から送信信号が入力される度に超音波を送信する。よって、送信指令部31による送信信号の出力間隔は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方による超音波の送信間隔と同じになる。なお、本実施形態の超音波の送信間隔は、検出範囲A内に障害物が存在する場合に、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が超音波を送信してから、次に第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が超音波を送信するまでの間に反射波が受信されるように設定される。
【0028】
第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波センサ21aから送信された超音波は障害物に当たって反射する。同様に、第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波センサ21bから送信された超音波は障害物に当たって反射する。第1超音波センサ21aは、第1超音波センサ21aが送信した超音波の反射波、及び第2超音波センサ21bが送信した超音波の反射波の少なくとも一方を受信すると検出部32に受信信号を送信する。同様に、第2超音波センサ21bは、第1超音波センサ21aが送信した超音波の反射波、及び第2超音波センサ21bが送信した超音波の反射波の少なくとも一方を受信すると検出部32に受信信号を送信する。
【0029】
検出部32は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bによる反射波の受信結果から障害物を検出する。検出部32は、フォークリフト10の後方における障害物の有無を判定する判定部33と、判定部33がフォークリフト10の後方に障害物があると判定した場合に、障害物の方向を推定する推定部34とを有する。
【0030】
判定部33は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方から受信信号が入力された場合に、フォークリフト10の後方に障害物があると判定する。判定部33は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから受信信号が入力されなかった場合、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無いと判定する。つまり、判定部33は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが反射波を受信したか否かによって障害物の有無を判定する。
【0031】
推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサを特定することで、特定した超音波センサの検出範囲Aから障害物検出装置20に対する障害物の方向を推定する。推定部34による具体的な障害物の方向の推定方法については後述する。推定部34は、推定した方向をメインコントローラ17に出力する。メインコントローラ17は、障害物があると推定された方向への走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0032】
次に、障害物検出方法について説明する。
フォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20は障害物の検出を開始する。障害物検出装置20は、まず、フォークリフト10の後方における障害物の有無を判定する。
【0033】
図4に示すように、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに同時に超音波を送信させる(ステップS11)。第1超音波センサ21aから送信される超音波を第1超音波Us1とし、第2超音波センサ21bから送信される超音波を第2超音波Us2とする。
【0034】
第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波Us1は障害物に当たって反射するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波Us1は障害物に当たることなく減衰するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。
【0035】
同様に、第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波Us2は障害物に当たって反射するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第2超音波Us2の反射波Ur2を受信する。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波Us2は障害物に当たることなく減衰するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。
【0036】
第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が反射波Ur1及び反射波Ur2の少なくとも一方を受信した場合(ステップS12でYES)、判定部33は、フォークリフト10の後方に障害物があると判定する(ステップS13)。一方、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが反射波Ur1及び反射波Ur2を受信しない場合(ステップS12でNO)、判定部33は、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無いと判定する(ステップS14)。
【0037】
判定部33が障害物ありと判定すると、推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサを特定することで障害物の方向を推定する。ここで、反射波Ur1,Ur2の送信源となる超音波センサとしては、第1超音波センサ21a、第2超音波センサ21b、又は第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方の3パターンが考えられる。このため、推定部34は、反射波Ur1,Ur2の送信源となる超音波センサが第1超音波センサ21a、第2超音波センサ21b、又は第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの両方であるかを特定する必要がある。
【0038】
推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサを特定する手法として、後述する第1手法及び第2手法を有する。推定部34は、まず、第1手法によって障害物の方向の推定を試み、第1手法では障害物の方向を推定できなかった場合に第2手法によって障害物の方向を推定する。
【0039】
第1手法では、推定部34は、反射波を受信した超音波センサを認識する(ステップS15)。続いて、推定部34は、超音波の送受信時間T[s]を測定する(ステップS16)。
【0040】
送受信時間T[s]とは、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが同時に超音波を送信してから、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が反射波を受信するまでに要する時間である。反射波の送信源となる超音波センサから障害物までの距離を往路距離X[m]とし、障害物から反射波を受信する超音波センサまでの距離を復路距離Y[m]とする。また、往路距離Xと復路距離Yとの和X+Yを往復距離Z[m]とする。送受信時間T[s]は、音速V[m/s]と往復距離Z[m]から、T=Z/Vと表される。つまり、往復距離Z[m]が長いほど、送受信時間T[s]は長くなる。
【0041】
推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとを比較し、その比較結果から反射波の送信源となる超音波センサを特定することで障害物の方向を推定する。閾値Txは、送受信時間Tの測定結果から反射波の送信源となる超音波センサを特定するために予め設定された時間である。本実施形態の閾値Txは、センサ間距離L:0.50mに基づいて設定される。具体的には、音速Vが340m/sであると仮定したとき、閾値Txは、L/V:1.47msに設定される。つまり、閾値Txは、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bのうちの一方の超音波センサから送信された超音波が他方の超音波センサに最短距離で到達するのに必要となる理論上の時間である。
【0042】
図5(a)には、例1-1として、第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に障害物P11が存在する場合を示す。障害物P11と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.24mである。例1-1では、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物P11に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。この場合、往路距離X及び復路距離Yはそれぞれ0.24mとなり、往復距離Zは0.48mとなる。よって、往復距離Zは、センサ間距離Lよりも短くなる。また、音速Vが340m/sであると仮定したとき、例1-1における送受信時間Tは1.41msとなる。よって、送受信時間Tは、閾値Txよりも短くなる。
【0043】
図6(a)には、例1-2として、第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に障害物P12が存在する場合を示す。障害物P12と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.30mである。例1-2では、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物P12に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。この場合、往路距離X及び復路距離Yはそれぞれ0.30mとなり、往復距離Zは0.60mとなる。よって、往復距離Zは、センサ間距離Lよりも長くなる。また、例1-2における送受信時間Tは、1.76msとなる。よって、送受信時間Tは、閾値Txよりも長くなる。
【0044】
このように、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであり、かつ超音波センサと障害物との距離がセンサ間距離Lの1/2以下、すなわち0.25m以下の場合、送受信時間Tは閾値Tx以下になる。一方、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサが同じ超音波センサであり、かつ超音波センサと障害物との距離が0.25mよりも大きい場合、送受信時間Tは閾値Txよりも長くなる。つまり、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサである場合、送受信時間Tと閾値Txとの大小関係は、超音波センサと障害物との距離によって決まる。
【0045】
図7(a)には、例1-3として、第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に障害物P13が存在する場合を示す。障害物P13と第2超音波センサ21bとの最短距離は0.25mであり、障害物P13と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.35mである。例1-3では、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物P13に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第1超音波センサ21aは、第2超音波Us2の反射波Ur2を受信する。この場合、往路距離Xは0.25mとなり、復路距離Yは0.35mとなり、往復距離Zは0.60mとなる。よって、往復距離Zは、センサ間距離Lよりも長くなる。また、例1-3における送受信時間Tは、1.76msとなる。よって、送受信時間Tは、閾値Txよりも長くなる。
【0046】
このように、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが異なる超音波センサである場合、往復距離Zはセンサ間距離Lよりも常に長くなる。よって、送受信時間Tも閾値Txよりも常に長くなる。
【0047】
以上のことを踏まえると、送受信時間Tが閾値Tx以下の場合、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであると特定できる。一方、送受信時間Tが閾値Txよりも長い場合、反射波の送信源となる超音波センサを特定できない。
【0048】
図4に示すように、送受信時間Tが閾値Tx以下であり(ステップS17でYES)、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aである場合(ステップS18でYES)、推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサは第1超音波センサ21aであると特定する。推定部34は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。
【0049】
送受信時間Tが閾値Tx以下であり(ステップS17でYES)、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aでない場合(ステップS18でNO)、すなわち、反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bである場合、推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサは第2超音波センサ21bであると特定する。推定部34は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS20)。
【0050】
送受信時間Tが閾値Txよりも長い場合(ステップS17でNO)、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとの比較結果では、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、第2手法による障害物の推定を開始する。
【0051】
第2手法では、推定部34は、送信指令部31に駆動信号を出力する。送信指令部31は、推定部34から駆動信号が入力されると、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信させる。推定部34は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。推定部34は、第1超音波センサ21aによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。推定部34は、第2超音波センサ21bによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。
【0052】
具体的には、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ21aに第1超音波Us10を送信させる(ステップS21)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が第1超音波Us10の反射波Ur10を受信した場合(ステップS22でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側にあると推定する(ステップS23)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが第1超音波Us10の反射波Ur10を受信しなかった場合(ステップS22でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側に無いと推定する(ステップS24)。
【0053】
送信指令部31は、次に、第2超音波センサ21bに第2超音波Us20を送信させる(ステップS25)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が第2超音波Us20の反射波Ur20を受信した場合(ステップS26でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS27)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが第2超音波Us20の反射波Ur20を受信しなかった場合(ステップS26でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に右側に無いと推定する(ステップS28)。
【0054】
なお、障害物検出装置20は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされるまで図4に示すフローを繰り返し行う。すなわち、判定部33が障害物なしと判定した場合、又は推定部34が障害物の方向の推定を終えた場合には、障害物の有無の判定を再開する。
【0055】
次に、障害物の検出の具体的な流れを例1-1~1-3を用いて説明する。なお、例1-1~1-3では、フォークリフト10及び障害物は移動しないものとする。
例1-1~1-3において、フォークリフト10が起動状態にされると、まず、送信指令部31は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bに同時に第1超音波Us1及び第2超音波Us2を送信させる(ステップS11)。
【0056】
例1-1では、図5(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P11に当たることにより、第1超音波センサ21aに向けて反射する。一方、第2超音波Us2は、障害物P11に当たることなく減衰する。このため、図5(b)に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信し、第2超音波センサ21bは、反射波を受信しない。判定部33は、第1超音波センサ21aが反射波Ur1を受信することで(ステップS12でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P11があると判定する(ステップS13)。
【0057】
例1-2では、図6(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P12に当たることにより、第1超音波センサ21aに向けて反射する。一方、第2超音波Us2は、障害物P12に当たることなく減衰する。このため、図6(d)に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信し、第2超音波センサ21bは、反射波を受信しない。判定部33は、第1超音波センサ21aが反射波Ur1を受信することで(ステップS12でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P12があると判定する(ステップS13)。
【0058】
例1-3では、図7(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P13に当たることなく減衰する。一方、第2超音波Us2は、障害物P13に当たることにより、第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、図7(d)に示すように、第1超音波センサ21aは、第2超音波Us2の反射波Ur2を受信し、第2超音波センサ21bは、反射波を受信しない。判定部33は、第1超音波センサ21aが反射波Ur2を受信することで(ステップS12でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P13があると判定する(ステップS13)。
【0059】
例1-1~1-3において、ステップS13で判定部33が障害物ありと判定すると、推定部34は、反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aであると認識する(ステップS15)。推定部34は、送受信時間Tを測定する(ステップS16)。上述したように、例1-1では、送受信時間Tは1.41msになり、例1-2,1-3では、送受信時間Tは1.76mになる。推定部34は、送受信時間Tと閾値Tx:1.47msとを比較し、その比較結果から障害物P11~P13の方向を推定する。
【0060】
例1-1では、送受信時間Tは閾値Tx以下になる(ステップS17でYES)。また、反射波を受信した超音波センサは第1超音波センサ21aである(ステップS18でYES)。よって、推定部34は、障害物P11がフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS19)。例1-2及び例1-3では、送受信時間Tは閾値Txよりも長くなる(ステップS17でNO)。このため、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0061】
例1-2及び例1-3において、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ21aに第1超音波Us10を送信させる(ステップS21)。
図6(b)に示すように、例1-2では、第1超音波Us10は、障害物P12に当たることにより、第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、図6(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波Us10を送信した後、第1超音波センサ21aは第1超音波Us10の反射波Ur10を受信する(ステップS22でYES)。よって、推定部34は、障害物P12が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS23)。
【0062】
図7(b)に示すように、例1-3では、第1超音波Us10は、障害物P13に当たることなく減衰する。このため、図7(d)に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波Us10を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない(ステップS22でNO)。よって、推定部34は、障害物P13が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にないと推定する(ステップS24)。
【0063】
例1-2及び例1-3において、送信指令部31は、次に、第2超音波センサ21bに第2超音波Us20を送信させる(ステップS25)。
図6(c)に示すように、例1-2では、第2超音波Us20は、障害物P12に当たることなく減衰する。このため、図6(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波Us20を送信した後、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない(ステップS26でNO)。よって、推定部34は、障害物P12が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にないと推定する(ステップS28)。
【0064】
図7(c)に示すように、例1-3では、第2超音波Us20は、障害物P13に当たることにより、第1超音波センサ21aに向けて反射する。このため、図7(d)に示すように、第2超音波センサ21bが第2超音波Us20を送信した後、第1超音波センサ21aは第2超音波Us20の反射波Ur20を受信する(ステップS26でYES)。よって、推定部34は、障害物P13が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS27)。
【0065】
第1実施形態の作用について説明する。
障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信させる。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。
【0066】
判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定する。第1実施形態では、閾値Txは、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとのセンサ間距離Lと音速VとからL/Vに設定されている。このため、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じである場合、送受信時間Tは閾値Tx以下になり得る。一方、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが異なる場合、送受信時間Tが閾値Tx以下になることはない。よって、送受信時間Tが閾値Tx以下になる場合には、推定部34は、反射波を受信した超音波センサが反射波の送信源となる超音波センサであると特定し、特定した超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定する。
【0067】
次に、第1実施形態における障害物の検出時間について、比較例における障害物の検出時間と比較する。障害物の検出時間とは、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波Us1,Us2を送信してから、障害物ありと判定された場合に障害物の方向を推定するまでに要する時間である。
【0068】
比較例では、推定部34は、障害物の方向を推定する手法として第2手法のみを有する。このため、判定部33が障害物ありと判定すると、送信指令部31は、第1超音波センサ21aに第1超音波Us10を送信させ、続いて第2超音波センサ21bに第2超音波Us20を送信させる。推定部34は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。例えば、図7(d)に示すように、比較例では、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波Us1,Us2を送信してから、第2超音波センサ21bが反射波Ur20を受信するまでに要する時間が、障害物の検出時間T2となる。
【0069】
これに対し、本実施形態の推定部34は、障害物の方向を推定する手法として第1手法及び第2手法を有する。推定部34は、まず第1手法により障害物の方向の推定を試みる。推定部34は、第1手法により障害物の方向を推定できた場合には、第2手法による障害物の方向の推定を省略する。第1手法により障害物の方向を推定できた場合の障害物の検出時間T1aは、図7(d)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波Us1,Us2を送信してから、第1超音波センサ21aが反射波Ur2を受信するまでに要する時間となる。
【0070】
推定部34は、第1手法により障害物の方向を推定できなかった場合には、第2手法により障害物の方向を推定する。第2手法により障害物の方向を推定した場合の障害物の検出時間T1bは、図7(d)に示すように、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波Us1,Us2を送信してから、第2超音波センサ21bが反射波Ur20を受信するまでに要する時間となる。
【0071】
つまり、第2手法により障害物の方向を推定した場合には、障害物の検出時間T1bは比較例における障害物の検出時間T2と同じになるが、第1手法により障害物の方向を推定できた場合には、障害物の検出時間T1aは、比較例における障害物の検出時間T2よりも短くなる。
【0072】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信させる。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定できる。
【0073】
(1-2)閾値Txは、センサ間距離Lに基づいて設定される。センサ間距離Lは取得し易い情報であるため、閾値Txの設定を容易に行うことができる。
(1-3)推定部34は、障害物の方向を推定する手法として第1手法及び第2手法を有する。推定部34は、まず第1手法により障害物の方向の推定を試みる。推定部34は、第1手法により障害物の方向を推定できた場合には、第2手法による障害物の方向の推定を省略する。よって、第1手法により障害物の方向を推定できた場合には、推定部34が第2手法のみを有する比較例よりも障害物の検出時間を短縮できる。
【0074】
(第2実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第2実施形態を図8図18にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。また、第2実施形態では、説明の便宜上、障害物によって反射した超音波は超音波センサによって受信されること、及び、障害物はフォークリフトの左右方向の左側又は右側に1つ存在することを前提として説明する。
【0075】
フォークリフト10の操舵輪の操舵角は、乗用車の操舵角と比較して大きいため、障害物検出装置20には、フォークリフト10の後方における側方寄りの範囲についても障害物を検出することが求められる。このため、超音波センサは、カウンタウェイト13の第1面13aだけでなく、カウンタウェイト13の第2面13b及び第3面13cにも取り付けられるのが好ましい。
【0076】
図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施形態の障害物検出装置20は、カウンタウェイト13の後端面に対し、左右方向に1列に並べて取り付けられた第1~第4超音波センサ21a~21dを備える。左右方向の左から右に向かって、第1~第4超音波センサ21a~21dとする。第1超音波センサ21aは、カウンタウェイト13の第2面13bに取り付けられている。第2超音波センサ21b及び第3超音波センサ21cは、カウンタウェイト13の第1面13aに取り付けられている。第4超音波センサ21dは、カウンタウェイト13の第3面13cに取り付けられている。
【0077】
図8(b)に示すように、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとの間隔を第1センサ間距離L1とする。本実施形態では、第1センサ間距離L1は、0.60mに設定されている。第2超音波センサ21bと第3超音波センサ21cとの間隔を第2センサ間距離L2とする。本実施形態では、第2センサ間距離L2は、0.50mに設定されている。第3超音波センサ21cと第4超音波センサ21dとの間隔を第3センサ間距離L3とする。本実施形態では、第3センサ間距離L3は、0.60mに設定されている。第1センサ間距離L1及び第3センサ間距離L3はそれぞれ、第2センサ間距離L2よりも長く設定されている。本実施形態では、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとは、検出範囲Aの一部が重なり合わない状態で配置されている。第2超音波センサ21bと第3超音波センサ21cとは、検出範囲Aの一部が重なり合う状態で配置されている。第3超音波センサ21cと第4超音波センサ21dとは、検出範囲Aの一部が重なり合わない状態で配置されている。
【0078】
本実施形態では、第1超音波センサ群211及び第2超音波センサ群212の2つの超音波センサ群が存在することが第1実施形態とは大きく異なる。第1超音波センサ群211は、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cによって構成されている。第2超音波センサ群212は、第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dによって構成されている。第1~第4超音波センサ21a~21dのそれぞれには、送信指令部31及び検出部32が接続されている。障害物検出装置20は、第1超音波センサ群211と第2超音波センサ群212とを切り替えながら障害物の検出を行う。
【0079】
次に、第2実施形態の障害物検出方法について説明する。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、各超音波センサ21a~21dから送信された超音波の反射波は、隣り合う超音波センサまで到達可能であるとする。つまり、第1超音波センサ21aから送信された超音波の反射波を受信可能な超音波センサは、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bである。第2超音波センサ21bから送信された超音波の反射波を受信可能な超音波センサは、第1~第3超音波センサ21a~21cである。第3超音波センサ21cから送信された超音波の反射波を受信可能なセンサは、第2~第4超音波センサ21b~21dである。第4超音波センサ21dから送信された超音波の反射波を受信可能な超音波センサは、第3超音波センサ21c及び第4超音波センサ21dである。
【0080】
図9に示すように、送信指令部31は、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cに同時に超音波を送信させる(ステップS41)。第1超音波センサ21aから送信される超音波を第1超音波Us1とし、第3超音波センサ21cから送信される超音波を第3超音波Us3とする。
【0081】
第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物がある場合、第1超音波Us1は障害物に当たって反射するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方は、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。第1超音波センサ21aの検出範囲A内に障害物が無い場合、第1超音波Us1は障害物に当たることなく減衰するため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bは反射波を受信しない。
【0082】
第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物がある場合、第3超音波Us3は障害物に当たって反射するため、第2~第4超音波センサ21b~21dの少なくとも1つは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物が無い場合、第3超音波Us3は障害物に当たることなく減衰するため、第2~第4超音波センサ21b~21dは反射波を受信しない。
【0083】
第1~第4超音波センサ21a~21dの少なくとも1つが反射波Ur1及び反射波Ur3の少なくとも一方を受信した場合(ステップS42でYES)、判定部33は、フォークリフト10の後方に障害物があると判定する(ステップS43)。一方、第1~第4超音波センサ21a~21dが反射波Ur1及び反射波Ur3を受信しない場合(ステップS42でNO)、判定部33は、フォークリフト10の後方における第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cの検出範囲A内に障害物が無いと判定する(ステップS44)。
【0084】
判定部33が障害物ありと判定すると、推定部34は、まず、第1手法によって障害物の方向の推定を試みる。推定部34は、送受信時間Tを測定する(ステップS45)。推定部34は、送受信時間Tと第1閾値Tx1とを比較し、その比較結果から反射波の送信源となる超音波センサを特定することで障害物の方向を推定する。本実施形態では、第1閾値Tx1は、第1センサ間距離L1:0.60mに基づいて設定される。具体的には、音速Vが340m/sであると仮定したとき、第1閾値Tx1は、L1/V:1.76msに設定される。
【0085】
図13(a)には、例2-1として、第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に障害物P21が存在する場合を示す。障害物P21と第3超音波センサ21cとの最短距離は0.25mであり、障害物P21と第2超音波センサ21bとの最短距離は0.35mである。例2-1では、第3超音波センサ21cから送信された第3超音波Us3は、障害物P21に当たることにより第2超音波センサ21bに向かって反射する。第2超音波センサ21bは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。この場合、往路距離Xは0.25mとなり、復路距離Yは0.35mとなり、往復距離Zは0.60mとなる。よって、往復距離Zは、第2センサ間距離L2よりも長くなり、第1センサ間距離L1と同じになる。また、送受信時間Tは1.76msとなる。よって、送受信時間Tは、第1閾値Tx1と同じになる。
【0086】
図15(a)には、例2-2として、第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に障害物P22が存在する場合を示す。障害物P22と第3超音波センサ21cとの最短距離は0.30mであり、障害物P22と第2超音波センサ21bとの最短距離は0.54mである。例2-2では、第3超音波センサ21cから送信された第3超音波Us3は、障害物P22に当たることにより第2超音波センサ21bに向かって反射する。第2超音波センサ21bは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。この場合、往路距離Xは0.30mとなり、復路距離Yは0.54mとなり、往復距離Zは0.84mとなる。よって、往復距離Zは、第2センサ間距離L2よりも長くなり、さらに第1センサ間距離L1よりも長くなる。また、送受信時間Tは2.47msとなる。よって、送受信時間Tは、第1閾値Tx1よりも長くなる。
【0087】
このように、反射波を受信する超音波センサが第2超音波センサ21bであり、反射波の送信源となる超音波センサと第3超音波センサ21cである場合、送受信時間Tと第1閾値Tx1との大小関係は、第2センサ間距離L2、及び第3超音波センサ21cと障害物との距離によって決まる。
【0088】
図17(a)には、例2-3として、第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に障害物P23が存在する場合を示す。障害物P23と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.25mであり、障害物P23と第2超音波センサ21bとの最短距離は0.53mである。例2-3では、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物P23に当たることにより第2超音波センサ21bに向かって反射する。第2超音波センサ21bは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。このため、往路距離Xは0.25mとなり、復路距離Yは0.53mとなり、往復距離Zは0.78mとなる。よって、往復距離Zは、第1センサ間距離L1よりも長くなる。また、送受信時間Tは2.29msとなる。よって、送受信時間Tは、第1閾値Tx1よりも長くなる。
【0089】
このように、反射波を受信する超音波センサが第2超音波センサ21bであり、反射波の送信源となる超音波センサが第1超音波センサ21aである場合、往復距離Zは第1センサ間距離L1よりも常に長くなる。よって、送受信時間Tも第1閾値Tx1よりも常に長くなる。
【0090】
以上のことを踏まえると、送受信時間Tが第1閾値Tx1以下の場合、反射波を受信した超音波センサが分かれば、反射波の送信源となる超音波センサが分かる。一方、送受信時間Tが第1閾値Tx1よりも長い場合、反射波の送信源となる超音波センサを特定できない。
【0091】
推定部34は、送受信時間Tが第1閾値Tx1以下の場合(ステップS46でYES)、反射波を受信した超音波センサを認識する。
反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aである場合(ステップS47でYES)、推定部34は、障害物が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS48)。
【0092】
反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aでなく第2超音波センサ21bである場合(ステップS47でNO、ステップS49でYES)、推定部34は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS50)。
【0093】
反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bでなく第3超音波センサ21cである場合(ステップS49でNO、ステップS51でYES)、推定部34は、障害物が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS52)。
【0094】
反射波を受信した超音波センサが第3超音波センサ21cでない場合(ステップS51でNO)、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
また、送受信時間Tが第1閾値Tx1よりも長い場合(ステップS46でNO)、推定部34は、送受信時間Tと第1閾値Tx1との比較結果では、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0095】
第2手法では、推定部34は、送信指令部31に駆動信号を出力する。送信指令部31は、推定部34から駆動信号が入力されると、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cから個別に超音波を送信させる。推定部34は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。推定部34は、第1超音波センサ21aによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを推定する。推定部34は、第3超音波センサ21cによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを推定する。
【0096】
具体的には、図10に示すように、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ21aに第1超音波Us10を送信させる(ステップS53)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの少なくとも一方が第1超音波Us10の反射波Ur10を受信した場合(ステップS54でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側にあると推定する(ステップS55)。第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bが反射波を受信しなかった場合(ステップS54でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側に無いと推定する(ステップS56)。
【0097】
送信指令部31は、次に、第3超音波センサ21cに第3超音波Us30を送信させる(ステップS57)。第2~第4超音波センサ21b~21dの少なくとも1つが第3超音波Us30の反射波Ur30を受信した場合(ステップS58でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS59)。第2~第4超音波センサ21b~21dが反射波を受信しなかった場合(ステップS58でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に右側に無いと推定する(ステップS60)。
【0098】
図11に示すように、判定部33が障害物なしと判定する、又は推定部34が障害物の方向の推定を終えると、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから同時に超音波を送信させる(ステップS61)。第2超音波センサ21bから送信される超音波を第2超音波Us2とし、第4超音波センサ21dから送信される超音波を第4超音波Us4とする。
【0099】
第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物がある場合、第2超音波Us2は障害物に当たって反射するため、第1~第3超音波センサ21a~21cの少なくとも1つは、第2超音波Us2の反射波Ur2を受信する。第2超音波センサ21bの検出範囲A内に障害物が無い場合、第2超音波Us2は障害物に当たることなく減衰するため、第1~第3超音波センサ21a~21cは反射波を受信しない。
【0100】
第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物がある場合、第4超音波Us4は障害物に当たって反射するため、第3超音波センサ21c及び第4超音波センサ21dの少なくとも一方は、第4超音波Us4の反射波Ur4を受信する。第4超音波センサ21dの検出範囲A内に障害物が無い場合、第4超音波Us4は障害物に当たることなく減衰するため、第3超音波センサ21c及び第4超音波センサ21dは反射波を受信しない。
【0101】
第1~第4超音波センサ21a~21dの少なくとも1つが反射波Ur2及び反射波Ur4の少なくとも一方を受信した場合(ステップS62でYES)、判定部33は、フォークリフト10の後方に障害物があると判定する(ステップS63)。一方、第1~第4超音波センサ21a~21dが反射波Ur2及び反射波Ur4を受信しない場合(ステップS62でNO)、判定部33は、フォークリフト10の後方における第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dの検出範囲に障害物が無いと判定する(ステップS64)。
【0102】
判定部33が障害物ありと判定すると、推定部34は、まず、第1手法によって障害物の方向の推定を試みる。推定部34は、送受信時間Tを測定する(ステップS65)。推定部34は、送受信時間Tと第2閾値Tx2とを比較し、その比較結果から反射波の送信源である超音波センサを特定することで障害物の方向を推定する。第2閾値Tx2は、第3センサ間距離L3:0.60mに基づいて設定される。具体的には、第2閾値Tx2は、L3/V:1.76msに設定される。
【0103】
第2超音波センサ群212についても、第1超音波センサ群211のときと同様に考えると、送受信時間Tが第2閾値Tx2以下の場合、反射波を受信した超音波センサが分かれば、反射波の送信源となる超音波センサが分かる。一方、送受信時間Tが第2閾値Tx2よりも長い場合、反射波の送信源となる超音波センサを特定できない。
【0104】
推定部34は、送受信時間Tが第2閾値Tx2以下の場合(ステップS66でYES)、反射波を受信した超音波センサを認識する。
反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bである場合(ステップS67でYES)、推定部34は、障害物が第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS68)。
【0105】
反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bでなく第3超音波センサ21cである場合(ステップS67でNO、ステップS69でYES)、推定部34は、障害物が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS70)。
【0106】
反射波を受信した超音波センサが第3超音波センサ21cでなく第4超音波センサ21dである場合(ステップS69でNO、ステップS71でYES)、推定部34は、障害物が第4超音波センサ21dの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS72)。
【0107】
反射波を受信した超音波センサが第4超音波センサ21dでない場合(ステップS71でNO)、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
また、送受信時間Tが第2閾値Tx2よりも長い場合(ステップS66でNO)、推定部34は、送受信時間Tと第2閾値Tx2との比較結果では、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0108】
第2手法では、推定部34は、送信指令部31に駆動信号を出力する。送信指令部31は、推定部34から駆動信号が入力されると、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから個別に超音波を送信させる。推定部34は、個別に行われる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から障害物の方向を推定する。推定部34は、第2超音波センサ21bによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の左側にあるか否かを検出する。推定部34は、第4超音波センサ21dによる超音波の送信に対応する反射波の受信結果から、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあるか否かを検出する。
【0109】
具体的には、図12に示すように、送信指令部31は、まず、第2超音波センサ21bに第2超音波Us20を送信させる(ステップS73)。第1~第3超音波センサ21a~21cの少なくとも1つが第2超音波Us20の反射波Ur20を受信した場合(ステップS74でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側にあると推定する(ステップS75)。第1~第3超音波センサ21a~21cが反射波を受信しなかった場合(ステップS74でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に左側に無いと推定する(ステップS76)。
【0110】
送信指令部31は、次に、第4超音波センサ21dに第4超音波Us40を送信させる(ステップS77)。第3超音波センサ21c及び第4超音波センサ21dの少なくとも一方が第4超音波Us40の反射波Ur40を受信した場合(ステップS78でYES)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS79)。第3超音波センサ21c及び第4超音波センサ21dが反射波を受信しなかった場合(ステップS78でNO)、推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方に右側に無いと推定する(ステップS80)。
【0111】
なお、障害物検出装置20は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされるまで図9図12に示すフローを繰り返し行う。
次に、障害物の検出の具体的な流れを例2-1~2-3を用いて説明する。なお、例2-1~2-3では、フォークリフト10及び障害物は移動しないものとする。
【0112】
例2-1~2-3において、フォークリフト10が起動状態にされると、まず、送信指令部31は、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cに同時に第1超音波Us1及び第3超音波Us3を送信させる(ステップS41)。
【0113】
例2-1では、図13(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P21に当たることなく減衰する。第3超音波Us3は、障害物P21に当たることにより、第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、図14に示すように、第2超音波センサ21bは第3超音波Us3の反射波Ur3を受信し、第1超音波センサ21a、第3超音波センサ21c、及び第4超音波センサ21dは反射波を受信しない。判定部33は、第2超音波センサ21bが反射波Ur3を受信することにより(ステップS42でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P21があると判定する(ステップS43)。
【0114】
例2-2では、図15(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P22に当たることなく減衰する。第3超音波Us3は、障害物P22に当たることにより、第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、図16に示すように、第2超音波センサ21bは第3超音波Us3の反射波Ur3を受信し、第1超音波センサ21a、第3超音波センサ21c、及び第4超音波センサ21dは反射波を受信しない。判定部33は、第2超音波センサ21bが反射波Ur3を受信することにより(ステップS42でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P22があると判定する(ステップS43)。
【0115】
例2-3では、図17(a)に示すように、第1超音波Us1は、障害物P23に当たることにより、第2超音波センサ21bに向けて反射する。第3超音波Us3は、障害物P23に当たることなく減衰する。このため、図18に示すように、第2超音波センサ21bは第1超音波Us1の反射波Ur1を受信し、第1超音波センサ21a、第3超音波センサ21c、及び第4超音波センサ21dは反射波を受信しない。判定部33は、第2超音波センサ21bが反射波Ur1を受信することにより(ステップS42でYES)、フォークリフト10の後方に障害物P23があると判定する(ステップS43)。
【0116】
例2-1~2-3において、ステップS43で判定部33が障害物ありと判定すると、推定部34は、送受信時間Tを測定する(ステップS45)。上述したように、例2-1では、送受信時間Tは1.76msになり、例2-2では、送受信時間Tは2.47msになり、例2-3では、送受信時間Tは2.29msになる。
【0117】
推定部34は、測定した送受信時間Tと第1閾値Tx1:1.76msとを比較する(ステップS46)。例2-1では、送受信時間Tは第1閾値Tx1以下である(ステップS46でYES)。このため、推定部34は、反射波を受信した超音波センサを認識する。例2-1では、反射波を受信した超音波センサは第2超音波センサ21bである(ステップS47でNO、ステップS49でYES)。よって、推定部34は、障害物P21がフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS50)。例2-2及び例2-3では、送受信時間Tは第1閾値Tx1よりも長くなる(ステップS46でNO)。このため、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0118】
例2-2及び例2-3において、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ21aに第1超音波Us10を送信させる(ステップS53)。
図15(b)に示すように、例2-2では、第1超音波Us10は、障害物P22に当たることなく減衰する。このため、図16に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波Us10を送信した後、第1~第4超音波センサ21a~21dは反射波を受信しない(ステップS54でNO)。よって、推定部34は、障害物P22が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にないと推定する(ステップS56)。
【0119】
図17(b)に示すように、例2-3では、第1超音波Us10は、障害物P23に当たることにより、第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、図18に示すように、第1超音波センサ21aが第1超音波Us10を送信した後、第2超音波センサ21bは第1超音波Us10の反射波Ur10を受信する(ステップS54でYES)。よって、推定部34は、障害物P23が第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS55)。
【0120】
例2-2及び例2-3において、送信指令部31は、次に、第3超音波センサ21cに第3超音波Us30を送信させる(ステップS57)。
図15(c)に示すように、例2-2では、第3超音波Us30は、障害物P22に当たることにより、第2超音波センサ21bに向けて反射する。このため、図16に示すように、第3超音波センサ21cが第3超音波Us30を送信した後、第2超音波センサ21bは第3超音波Us30の反射波Ur30を受信する(ステップS58でYES)。よって、推定部34は、障害物P22が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS59)。
【0121】
図17(c)に示すように、例2-3では、第3超音波Us30は、障害物P23に当たることなく減衰する。このため、図18に示すように、第3超音波センサ21cが第3超音波Us30を送信した後、第1~第4超音波センサ21a~21dは反射波を受信しない(ステップS58でNO)。よって、推定部34は、障害物P23が第3超音波センサ21cの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側にないと推定する(ステップS60)。
【0122】
例2-1~2-3において、推定部34が障害物の方向を推定し終えると、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから同時に超音波を送信させる(ステップS61)。
【0123】
図13(b)、図15(d)、及び図17(d)に示すように、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物P21~P23に当たることなく減衰する。また、第4超音波センサ21dから送信された第4超音波Us4も、障害物P21~P23に当たることなく減衰する。このため、第1~第4超音波センサ21a~21dは反射波を受信しない。判定部33は、第1~第4超音波センサ21a~21dが反射波を受信ないことから(ステップS62でNO)、フォークリフト10の後方における第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dの検出範囲に障害物が無いと判定する(ステップS64)。
【0124】
第2実施形態の作用及び効果について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、第1超音波センサ群211を構成する第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cから同時に超音波を送信させる。このため、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと第1閾値Tx1とを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定する。
【0125】
第2実施形態では、第1閾値Tx1は、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとの第1センサ間距離L1と音速VとからL1/Vに設定されている。第2超音波センサ21bと第3超音波センサ21cとの第2センサ間距離L2は、第1センサ間距離L1よりも短い。このため、反射波を受信する超音波センサが第2超音波センサ21bであり、反射波の送信源となる超音波センサが第3超音波センサ21cである場合、送受信時間Tは第1閾値Tx1以下になり得る。一方、反射波を受信する超音波センサが第2超音波センサ21bであり、反射波の送信源となる超音波センサが第1超音波センサ21aである場合、送受信時間Tが第1閾値Tx1以下になることはない。よって、送受信時間Tが第1閾値Tx1以下であり、かつ第2超音波センサ21bが反射波を受信した場合には、推定部34は、送信源となる超音波センサは第3超音波センサ21cであると特定する。よって、推定部34は、特定した超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【0126】
また、障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、第2超音波センサ群212を構成する第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから同時に超音波を送信させる。このため、第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと第2閾値Tx2とを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定する。
【0127】
第2実施形態では、第2閾値Tx2は、第3超音波センサ21cと第4超音波センサ21dとの第3センサ間距離L3と音速VとからL3/Vに設定されている。第2センサ間距離L2は、第3センサ間距離L3よりも短い。このため、反射波を受信する超音波センサが第3超音波センサ21cであり、反射波の送信源となる超音波センサが第2超音波センサ21bである場合、送受信時間Tは第2閾値Tx2以下になり得る。一方、反射波を受信する超音波センサが第3超音波センサ21cであり、反射波の送信源となる超音波センサが第4超音波センサ21dである場合、送受信時間Tが第2閾値Tx2以下になることはない。よって、送受信時間Tが第2閾値Tx2以下であり、かつ第3超音波センサ21cが反射波を受信した場合には、推定部34は、送信源となる超音波センサは第2超音波センサ21bであると特定する。よって、推定部34は、特定した超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【0128】
(2-2)第1閾値Tx1は、第1センサ間距離L1に基づいて設定される。第1センサ間距離L1は取得し易い情報であるため、第1閾値Tx1の設定を容易に行うことができる。また、第2閾値Tx2は、第3センサ間距離L3に基づいて設定される。第3センサ間距離L3は取得し易い情報であるため、第2閾値Tx2の設定を容易に行うことができる。
【0129】
(第3実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第3実施形態を説明する。なお、閾値Txの設定以外は第1実施形態と同じであるため詳細な説明を省略する。
【0130】
第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1が障害物に当たることにより第2超音波センサ21bに向かって反射するか否かは実験により予め確認できる。同様に、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2が障害物に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射するか否かは実験により予め確認できる。なお、超音波を送信した超音波センサとは異なる超音波センサが該超音波の反射波を受信するか否かは、例えば、カウンタウェイト13に対する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの配置や想定する障害物などにより決まる。
【0131】
例えば、音速Vが340m/sであると仮定したときの送受信時間Tが境界値Ty:1.62ms以下の場合、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物に当たっても第2超音波センサ21bに向かって反射することはないことが実験により分かっている。また、送受信時間Tが境界値Ty:1.62ms以下の場合、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物に当たっても第1超音波センサ21aに向かって反射することはないことが実験により分かっている。
【0132】
第3実施形態では、閾値Txは、送受信時間Tの境界値Ty:1.62msに設定される。第3実施形態の閾値Txは、第1実施形態の閾値Txよりも大きい。つまり、第3実施形態の閾値Txは、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bのうちの一方の超音波センサから送信された超音波が他方の超音波センサに最短距離で到達するのに必要となる理論上の時間よりも長い時間に設定される。送受信時間Tが閾値Tx以下の場合には、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ超音波センサであることが分かるため、反射波の送信源となる超音波センサを特定できる。送受信時間Tが閾値Txよりも長い場合は、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0133】
第3実施形態の作用及び効果について説明する。第3実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(3-1)障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信させる。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定する。
【0134】
第3実施形態では、送受信時間Tが境界値Ty以下の場合、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサは同じ超音波センサになることが実験により分かっている。このため、第3実施形態では、閾値Txは、境界値Tyに設定されている。よって、送受信時間Tが閾値Tx以下である場合には、推定部34は、反射波を受信した超音波センサが反射波の送信源となる超音波センサであると特定でき、特定した超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【0135】
(3-2)閾値Txは、実験により得られた送受信時間Tの境界値Tyに設定される。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bの配置(搭載位置)や想定される障害物などに関する、所定の条件での障害物を検出する場合に有効である。
【0136】
(3-3)本実施形態の閾値Txは、センサ間距離Lに基づいて設定された第1実施形態の閾値Txよりも大きい値に設定される。このため、第1実施形態では、送受信時間Tが閾値Txよりも長いことにより、第1手法では障害物の方向を推定できなかった場合について、第3実施形態では、送受信時間Tが閾値Tx以下になることで障害物の方向の推定をより正確に行うことができる。
【0137】
(第4実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第4実施形態を図19及び図20にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成及び方法については説明を省略する。
【0138】
第4実施形態では、閾値Txは、超音波センサの検出範囲Aに基づいて設定される。具体的には、閾値Txは、2A/V:3.53msに設定される。
図19(a)には、例4-1として、第1超音波センサ21aの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の左側に障害物P41が存在する場合を示す。障害物P41と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.60mである。つまり、障害物P41は、第1超音波センサ21aから送信された超音波が到達可能な限界位置に存在する。第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物P41に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。この場合、往路距離X及び復路距離Yはそれぞれ0.60mとなり、往復距離Zは1.20mとなる。また、例4-1における送受信時間Tは、3.53msとなる。よって、送受信時間Tは、閾値Txと同じになる。
【0139】
なお、往復距離Z:1.20mは、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ場合の往復距離Zの最大値である。また、送受信時間T:3.53msは、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ場合の送受信時間Tの最大値である。よって、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じ場合、送受信時間Tは、閾値Txよりも長くなることはない。
【0140】
図19(b)には、例4-2として、第2超音波センサ21bの検出範囲A内、すなわちフォークリフト10の後方の右側に障害物P42が存在する場合を示す。障害物P42と第2超音波センサ21bとの最短距離は0.6mであり、障害物P42と第1超音波センサ21aとの最短距離は0.7mである。第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物P42に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第1超音波センサ21aは、第2超音波Us2の反射波Ur2を受信する。この場合、往路距離Xは0.60mとなり、復路距離Yは0.7mとなり、往復距離Zは1.3mとなる。また、例4-2における送受信時間Tは、3.82msとなる。よって、送受信時間Tは、閾値Txよりも長くなる。このように、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが異なる場合、送受信時間Tは、閾値Txよりも長くなり得る。
【0141】
図20に示すように、送受信時間Tが閾値Txよりも長く(ステップS17でYES)、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aである場合(ステップS18でYES)、推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサは第2超音波センサ21bであると特定する。推定部34は、障害物がフォークリフト10の後方の右側にあると推定する(ステップS19)。
【0142】
送受信時間Tが閾値Txよりも長く(ステップS17でYES)、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aでない場合(ステップS18でNO)、すなわち、反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bである場合、推定部34は、反射波の送信源となる超音波センサは第1超音波センサ21aであると特定する。推定部34は、障害物はフォークリフト10の後方の左側にあると推定する(ステップS20)。
【0143】
送受信時間TがTx以下の場合(ステップS17でNO)、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとの比較結果では、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、推定部34は、第2手法により障害物の方向を推定する。
【0144】
第4実施形態の作用及び効果について説明する。第4実施形態では、第1実施形態の効果(1-3)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(4-1)障害物の有無を判定する際には、送信指令部31は、超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから同時に超音波を送信させる。このため、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する場合と比較して、障害物の有無を早期に判定できる。また、判定部33が障害物ありと判定した場合、推定部34は、送受信時間Tと閾値Txとを比較することで、その比較結果から障害物の方向を推定する。
【0145】
第4実施形態では、閾値Txは、各超音波センサ21a,21bの検出範囲Aと音速Vとから2A/Vに設定されている。このため、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが同じである場合、送受信時間Tが閾値Txよりも長くなることはない。一方、反射波を受信する超音波センサと反射波の送信源となる超音波センサとが異なる場合、送受信時間Tは閾値Txよりも長くなり得る。よって、送受信時間Tが閾値Txよりも長い場合には、推定部34は、反射波を受信した超音波センサとは異なる超音波センサが反射波の送信源となる超音波センサであると特定でき、特定した超音波センサの検出範囲から障害物の方向を推定できる。
【0146】
(4-2)閾値Txは、各超音波センサ21a,21bの検出範囲Aに基づいて設定される。各超音波センサ21a,21bの検出範囲Aは取得し易い情報であるため、閾値Txの設定を容易に行うことができる。
【0147】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 超音波センサ群を構成する超音波センサの数は3以上であってもよい。
【0148】
○ 超音波センサ群の数は3以上であってもよい。
○ 各超音波センサ21a~21dは、カウンタウェイト13に形成された穴に挿入されることでカウンタウェイト13に取り付けられていてもよいし、ブラケット等を介してカウンタウェイト13にネジ留めによって取り付けられていてもよい。
【0149】
○ 各超音波センサ21a~21dは、フォークリフト10が備えるピラーやサイドフレーム等に取り付けられていてもよい。
○ 第1実施形態において、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとは、検出範囲Aの一部が重なり合わない状態で配置されていてもよい。
【0150】
○ 第2実施形態において、第1超音波センサ21aと第2超音波センサ21bとは、検出範囲Aの一部が重なり合う状態で配置されていてもよい。第2超音波センサ21bと第3超音波センサ21cとは、検出範囲Aの一部が重なり合わない状態で配置されていてもよい。第3超音波センサ21cと第4超音波センサ21dとは、検出範囲Aの一部が重なり合う状態で配置されていてもよい。
【0151】
○ 各超音波センサ21a~21dが並べられる方向は左右方向に限定されない。各超音波センサ21a~21dは、例えば、上下方向に並べられていてもよい。この場合、推定部34は、障害物が上下方向の上側にあるか下側にあるかを推定する。
【0152】
○ 障害物検出装置20は、フォークリフト10の前方や、フォークリフト10の側方に存在する障害物を検出するものでもよい。この場合、障害物を検出したい方向に超音波が送信されるように超音波センサをフォークリフト10に取り付ければよい。なお、障害物検出装置20としては、前方、後方、及び側方の何れかの方向の障害物を検出するものであってもよいし、複数の方向の障害物を検出するものであってもよい。
【0153】
○ 制御ECU30は、メインコントローラ17と一体でもよい。
○ 各超音波センサ21a~21dは、送信用の圧電振動子と受信用の圧電振動子とを備える超音波センサであってもよい。
【0154】
○ 各超音波センサ21a~21dにおいて、受信信号を検出部32に送信するか否かを判定するための反射波の受信強度の閾値は可変であってもよい。
○ 第1実施形態において、第1手法では推定できなかった障害物の方向の推定が可能になるのであれば、第2手法は適宜変更されてもよい。
【0155】
例えば、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信する際、第2超音波センサ21bから超音波を送信した後、第1超音波センサ21aから超音波を送信してもよい。また、推定部34は、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bから個別に超音波を送信した後で、障害物の方向を推定してもよい。
【0156】
○ 第2実施形態において、第1手法では推定できなかった障害物の方向の推定が可能になるのであれば、第2手法は適宜変更されてもよい。
例えば、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cから個別に超音波を送信する際、第3超音波センサ21cから超音波を送信した後で、第1超音波センサ21aから超音波を送信してもよい。第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dから個別に超音波を送信する際、第4超音波センサ21dから超音波を送信した後で、第2超音波センサ21bから超音波を送信してもよい。
【0157】
また、推定部34は、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cによる超音波の送信が完了した後で障害物の方向を推定してもよい。推定部34は、第2超音波センサ21b及び第4超音波センサ21dによる超音波の送信が完了した後で障害物の方向を推定してもよい。
【0158】
○ 第1実施形態において、推定部34が反射波を受信した超音波センサを認識するタイミングは適宜変更してもよい。一例として、推定部34は、送受信時間Tを測定した後で、反射波を受信した超音波センサを認識してもよい。他の例として、推定部34は、送受信時間Tが閾値Tx以下である場合のみ、反射波を受信した超音波センサを認識してもよい。
【0159】
○ 第2実施形態において、推定部34が送受信時間Tを測定するタイミングは適宜変更してもよい。例えば、推定部34は、判定部33が障害物ありと判定した直後に、送受信時間Tを測定してもよい。
【0160】
○ 制御ECU30は、送受信時間Tを測定する測定部を推定部34とは別に有していてもよい。
○ 第3実施形態において、送受信時間Tが第1境界値Ty1以下の場合、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物に当たっても第2超音波センサ21bに向かって反射しないことが実験により分かっているものとする。また、送受信時間Tが第2境界値Ty2以下の場合、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物に当たっても第1超音波センサ21aに向かって反射しないことが分かっているものとする。第1境界値Ty1と第2境界値Ty2は異なる値である。この場合、第1境界値Ty1を第1閾値Tx1とし、第2境界値Ty2を第2閾値Tx2としてもよい。
【0161】
第1超音波センサ21aが反射波を受信した場合には、推定部34は、送受信時間Tと第2閾値Tx2との比較結果から障害物の方向を推定する。第2超音波センサ21bが反射波を受信した場合には、推定部34は、送受信時間Tと第1閾値Tx1との比較結果から障害物の方向を推定する。
【0162】
○ 第4実施形態において、第1超音波センサ21aの検出範囲Aと第2超音波センサ21bの検出範囲Aとが異なる場合、第1超音波センサ21aの検出範囲Aに基づいて第1閾値Tx1を設定し、第2超音波センサ21bの検出範囲Aに基づいて第2閾値Tx2を設定してもよい。
【0163】
第1超音波センサ21aが反射波を受信した場合には、推定部34は、送受信時間Tと第2閾値Tx2との比較結果から障害物の方向を推定する。第2超音波センサ21bが反射波を受信した場合には、推定部34は、送受信時間Tと第1閾値Tx1との比較結果から障害物の方向を推定する。
【0164】
○ 下記のように閾値Txを設定してもよい。
例えば、第3実施形態の閾値Txを第1閾値Tx1として設定し、第4実施形態の閾値Txを第2閾値Tx2として設定する。
【0165】
送受信時間Tが第1閾値Tx1以下であり、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aである場合、推定部34は、障害物はフォークリフト10の後方の左側にあると推定する。送受信時間Tが第1閾値Tx1以下であり、かつ反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bである場合、推定部34は、障害物はフォークリフト10の後方の右側にあると推定する。
【0166】
送受信時間Tが第2閾値Tx2よりも長く、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aである場合、推定部34は、障害物はフォークリフト10の後方の右側にあると推定する。送受信時間Tが第2閾値Tx2よりも長く、かつ反射波を受信した超音波センサが第1超音波センサ21aでない場合、すなわち、反射波を受信した超音波センサが第2超音波センサ21bである場合、推定部34は、障害物はフォークリフト10の後方の左側にあると推定する。
【0167】
送受信時間Tが第1閾値Tx1よりも長く、かつ第2閾値Tx2以下である場合、推定部34は、送受信時間Tと閾値Tx1,Tx2との比較結果では、反射波の送信源となる超音波センサを特定できないため、第2手法によって障害物の方向を推定する。
【0168】
○ 検出範囲Aの具体的な数値は、例えば、障害物検出装置20が搭載される装置や、検出する障害物に応じて適宜変更してよい。
○ 閾値の算出に用いられる音速Vは、例えば、障害物の検出が行われる環境の温度や湿度、媒質によって補正されてもよい。
【0169】
例えば、温度によって音速Vを補正する場合、例えば、フォークリフト10には温度センサが取り付けられる。温度センサは、障害物の検出が行われる環境の温度を測定して制御ECU30に出力する。制御ECU30は、温度に関連する音速Vの補正に必要な情報を記憶している。制御ECU30は、温度センサによって検出された温度に基づいて音速Vを補正する。なお、フォークリフト10の運転者が障害物の検出が行われる環境の温度を制御ECU30に入力してもよい。
【0170】
例えば、湿度によって音速Vを補正する場合、例えば、フォークリフト10には湿度センサが取り付けられる。湿度センサは、障害物の検出が行われる環境の湿度を測定して制御ECU30に出力する。制御ECU30は、湿度に関連する音速Vの補正に必要な情報を記憶している。制御ECU30は、湿度センサによって検出された湿度に基づいて音速Vを補正する。なお、フォークリフト10の運転者が障害物の検出が行われる環境の湿度を制御ECU30に入力してもよい。
【0171】
例えば、媒質によって音速Vを補正する場合、例えば、フォークリフト10には位置センサが取り付けられる。位置センサは、フォークリフト10の位置、すなわち障害物の検出が行われる位置を検出して制御ECU30に出力する。制御ECU30は、フォークリフト10の位置情報と関連する媒質の特性と、媒質に関連する音速Vの補正に必要な情報とを記憶している。制御ECU30は、位置センサによって検出されたフォークリフト10の位置から媒質を特定し、特定した媒質に基づいて音速Vを補正する。なお、フォークリフト10の運転者がフォークリフト10の位置を制御ECU30に入力してもよい。
【0172】
○ 第1実施形態において、センサ間距離Lの具体的な数値は適宜変更されてもよい。
○ 第2実施形態において、第1~第3センサ間距離L1~L3の具体的な数値は適宜変更されてもよい。
【0173】
例えば、第1センサ間距離L1と第2センサ間距離L2は同じ値であってもよいし、第2センサ間距離L2と第3センサ間距離L3は同じ値であってもよい。また、第1センサ間距離L1と第3センサ間距離L3は異なる値であってもよい。
【0174】
例えば、第1センサ間距離L1は、第2センサ間距離L2よりも短くてもよい。この場合、第1閾値Tx1は、第2センサ間距離L2に基づいて設定される。具体的には、音速Vが340m/sであると仮定したとき、第1閾値Tx1は、L2/V:1.76msに設定される。推定部34は、送受信時間Tが第1閾値Tx1よりも長い場合、反射波の送信源となる超音波センサは第3超音波センサ21cであると特定する。
【0175】
例えば、第3センサ間距離L3が第2センサ間距離L2よりも短くてもよい。この場合、第2閾値Tx2は、第2センサ間距離L2に基づいて設定される。推定部34は、送受信時間Tが第2閾値Tx2よりも長い場合、反射波の送信源となる超音波センサは第2超音波センサ21bであると特定する。
【0176】
○ 第3実施形態において、送受信時間Tの境界値Tyの具体的な数値は、実験結果に応じて変更され得る値である。
○ 第3実施形態において、閾値Txの設定に用いられる境界値は、送受信時間Tの境界値Tyに限定されない。
【0177】
例えば、往路距離Xが境界値Xy以下の場合、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は、障害物に当たっても第2超音波センサ21bに向かって反射しないことが実験により分かっているものとする。また、往路距離Xが境界値Xy以下の場合、第2超音波センサ21bから送信された第2超音波Us2は、障害物に当たっても第1超音波センサ21aに向かって反射しないことが分かっているものとする。なお、復路距離Yは、往路距離Xの境界値Xyとセンサ間距離Lから算出可能である。この場合、閾値Txは、往路距離Xの境界値Xyに基づいて設定される。具体的には、往路距離Xの境界値Xyと算出された復路距離Yとの和を往復距離Zの境界値Zyとしたとき、閾値Txは、Zy/Vに設定される。つまり、閾値Txの設定に用いられる境界値は、往路距離Xの境界値Xyであってもよい。
【0178】
○ 第3実施形態において、送受信時間Tや往路距離Xの境界値によって設定される閾値Txは、第1実施形態の閾値Txよりも小さい値になることもあり得る。つまり、第3実施形態の閾値Txは、第1超音波センサ21a及び第2超音波センサ21bのうちの一方の超音波センサから送信された超音波が他方の超音波センサに最短距離で到達するのに必要となる理論上の時間よりも短い時間に設定されることもある。
【0179】
○ フォークリフト10は、自動で運転が行われるフォークリフトであってもよい。
○ 障害物検出装置20は、乗用車、トーイングトラクタ等の産業車両、自律移動するロボット等、障害物の検出を要する移動体であれば、どのような移動体に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0180】
20…障害物検出装置、21…超音波センサ群、21a~21d…超音波センサとしての第1~第4超音波センサ、31…送信指令部、32…検出部、33…判定部、34…推定部、211…超音波センサ群としての第1超音波センサ群、212…超音波センサ群としての第2超音波センサ群、L…センサ間距離、L1…センサ間距離としての第1センサ間距離、L3…センサ間距離としての第3センサ間距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20