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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】障害物検出装置及び障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20230418BHJP
   G01S 15/87 20060101ALI20230418BHJP
   G01S 15/931 20200101ALN20230418BHJP
【FI】
G01S7/524 R
G01S15/87
G01S15/931
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019128230
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021014997
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-115075(JP,A)
【文献】特開2006-298266(JP,A)
【文献】特開平07-191138(JP,A)
【文献】特開2007-203519(JP,A)
【文献】特開昭58-158573(JP,A)
【文献】国際公開第2010/146619(WO,A1)
【文献】米国特許第5239515(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102009002870(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する2以上の超音波センサによって構成された複数の超音波センサ群と、
前記超音波センサによる超音波の送信を制御する送信指令部と、
前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物の有無を検出する検出部と、
を備える障害物検出装置であって、
前記送信指令部は、
複数の前記超音波センサ群を切り替えながら、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサに超音波を同時に送信させることによって、全ての前記超音波センサから前記超音波センサ群毎に順に超音波を送信させる第1送信処理
前記第1送信処理により複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信することで前記検出部が障害物ありと仮検出した場合には、複数の前記超音波センサのうち、前記第1送信処理による前記反射波の受信結果に基づき再送信センサとして設定された全ての超音波センサから超音波を同時に送信させる第2送信処理と、を行い、
前記検出部は、前記第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出し、
前記送信指令部は、前記第2送信処理における前記再送信センサとして設定された全ての超音波センサから超音波を同時に送信させる処理を前記第1送信処理よりも後に行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記送信指令部は、前記第1送信処理を連続して複数回行う請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記第1送信処理により前記反射波を受信した超音波センサを受信センサとし、前記受信センサが前記反射波を受信する直前に超音波を送信した超音波センサ群を送信センサ群としたとき、
前記送信センサ群が超音波を送信してから前記受信センサが反射波を受信するまでに要する時間に基づいて算出された検出距離が、障害物の検出対象範囲に基づいて設定された判定距離以下である場合、前記送信指令部は前記第2送信処理を行うとともに前記検出部は障害物の有無を本検出し、
前記検出距離が前記判定距離よりも長い場合、前記検出部は障害物なしと本検出する請求項1又は請求項2に記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記送信指令部は、前記第2送信処理を複数回行うとともに、前記第2送信処理における前記再送信センサによる超音波の送信間隔を、前記第1送信処理における前記超音波センサ群による超音波の送信間隔と異ならせ、
前記検出部は、前記第1送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第1判定用時間と、前記第2送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第2判定用時間とを取得し、
前記第1判定用時間と前記第2判定用時間との差である判定値と閾値との比較結果に基づいて前記障害物が近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定する請求項1又は請求項2に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する2以上の超音波センサによって構成されるとともに送信指令部によって超音波の送信が制御される複数の超音波センサ群による反射波の受信結果から検出部が障害物の有無を検出する障害物検出方法であって、
前記送信指令部が、前記超音波センサ群を切り替えながら、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサに超音波を同時に送信させることによって、全ての前記超音波センサから前記超音波センサ群毎に順に超音波を送信させる第1送信処理を行う第1ステップと、
前記送信指令部が、前記第1送信処理により複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信することで前記検出部が障害物ありと仮検出した場合には、複数の前記超音波センサのうち、前記第1送信処理による前記反射波の受信結果に基づき再送信センサとして設定された全ての超音波センサから超音波を同時に送信させる第2送信処理を行う第2ステップと、
前記検出部が、前記第2送信処理にる反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する第3ステップと、
を有し、
前記第2ステップにおける前記再送信センサとして設定された全ての超音波センサから超音波を同時に送信させる処理は、前記第1送信処理よりも後に行われることを特徴とする障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置及び障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する超音波センサを用いて障害物を検出する障害物検出装置が知られている。障害物検出装置は、超音波センサによる超音波の送信を制御する送信指令部と、超音波センサによる反射波の受信結果から障害物の有無を検出する検出部とを備える。超音波センサから超音波を送信した際、超音波センサの検出可能範囲内に障害物が存在する場合、送信された超音波は障害物に当たって反射する。一方、超音波センサの検出可能範囲内に障害物が存在しない場合、送信された超音波は障害物に当たって反射することなく減衰する。検出部は、超音波センサが反射波を受信した場合に障害物ありと検出する。
【0003】
特許文献1に開示されるように、障害物検出装置には、複数の超音波センサを備えるものがある。例えば、特許文献1に開示の障害物検出装置は、第1~第4超音波センサを備える。第1~第4超音波センサは、順に並べられている。第1超音波センサ及び第3超音波センサは第1超音波センサ群を構成し、第2超音波センサ及び第4超音波センサは第2超音波センサ群を構成する。つまり、障害物検出装置は、2つの超音波センサによって構成された超音波センサ群を2つ備える。送信指令部は、複数の超音波センサ群を切り替えながら、超音波センサ群を構成する2つの超音波センサに超音波を同時に送信させる。具体的には、送信指令部は、第1超音波センサ群を構成する第1超音波センサ及び第3超音波センサに同時に超音波を送信させた後、第2超音波センサ群を構成する第2超音波センサ及び第4超音波センサに同時に超音波を送信させる。この場合、第1~第4超音波センサから個別に超音波を送信する場合よりも障害物の有無を早期に検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-298266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、超音波センサが反射波を1回受信した時点で検出部が障害物ありと検出する場合、誤検出の可能性が高くなる。このため、送信指令部は、超音波センサによる超音波の送信を繰り返し、その間の反射波の受信回数が所定の回数以上になった場合に検出部が障害物ありと検出するのが好ましい。しかしながら、超音波センサによる超音波の送信を繰り返すことで、障害物の有無の検出に遅れが生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる障害物検出装置及び障害物検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための障害物検出装置は、超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する2以上の超音波センサによって構成された複数の超音波センサ群と、前記超音波センサによる超音波の送信を制御する送信指令部と、前記超音波センサによる反射波の受信結果から前記障害物の有無を検出する検出部と、を備える障害物検出装置であって、前記送信指令部は、複数の前記超音波センサ群を切り替えながら、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサに超音波を同時に送信させる第1送信処理を行うとともに、前記第1送信処理により複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信することで前記検出部が障害物ありと仮検出した場合には、複数の前記超音波センサのうち、前記第1送信処理による前記反射波の受信結果に基づき再送信センサとして設定された超音波センサに超音波を送信させる第2送信処理を行い、前記検出部は、前記第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出することを要旨とする。
【0008】
これによれば、検出部は、超音波センサによる反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出するため、超音波センサが反射波を1回受信した時点で障害物ありと検出する場合と比較して誤検出を抑制できる。
【0009】
また、検出部が障害物ありと仮検出した場合には、送信指令部は第2送信処理を行い、検出部は第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する。送信指令部は、第1送信処理では、各超音波センサ群から順に超音波を送信させるのに対し、第2送信処理では、第1送信処理による反射波の受信結果に基づいて設定された再送信センサに超音波を送信させる。第2送信処理では、複数の超音波センサ群から順に超音波を送信しない分、第2送信処理に要する時間は第1送信処理に要する時間よりも短くなる。よって、検出部が障害物ありと仮検出した後も、送信指令部が第1送信処理を繰り返し行い、検出部が障害物の有無を本検出する場合と比較して、障害物の有無を本検出するまでに要する時間を短縮できる。よって、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる。
【0010】
また、上記障害物検出装置について、前記送信指令部は、前記第1送信処理を連続して複数回行うのが好ましい。
これによれば、送信指令部が第1送信処理を1回行う場合と比較して、誤検出をより抑制できる。
【0011】
また、上記障害物検出装置について、前記第1送信処理により前記反射波を受信した超音波センサを受信センサとし、前記受信センサが前記反射波を受信する直前に超音波を送信した超音波センサ群を送信センサ群としたとき、前記送信センサ群が超音波を送信してから前記受信センサが反射波を受信するまでに要する時間に基づいて算出された検出距離が、障害物の検出対象範囲に基づいて設定された判定距離以下である場合、前記送信指令部は前記第2送信処理を行うとともに前記検出部は障害物の有無を本検出し、前記検出距離が前記判定距離よりも長い場合、前記検出部は障害物なしと本検出するのが好ましい。
【0012】
障害物検出装置には、検出対象範囲内にある障害物を検出することが求められる。このため、検出対象範囲が超音波センサによる障害物の検出可能範囲よりも小さい場合には、検出対象範囲外かつ検出可能範囲内にある障害物については検出不要である。しかしながら、超音波センサは、検出対象範囲内にある障害物によって反射した反射波だけでなく、検出対象範囲外かつ検出可能範囲内にある障害物によって反射した反射波も受信する。
【0013】
第1送信処理により送信された超音波が検出対象範囲外かつ検出可能範囲内の障害物に当たって反射した場合、検出距離は判定距離よりも長くなる。一方、第1送信処理により送信された超音波が検出対象範囲内の障害物に当たって反射した場合、検出距離は判定距離以下になる。このため、検出距離が判定距離よりも長い場合には、検出部は障害物なしと本検出する。よって、検出対象範囲内に障害物が無いことをより早期に検出できる。また、検出距離が判定距離以下の場合には、送信指令部は第2送信処理を行い、検出部は障害物の有無を本検出する。よって、検出対象範囲内について障害物の有無の誤検出を抑制できる。
【0014】
また、上記障害物検出装置について、前記送信指令部は、前記第2送信処理を複数回行うとともに、前記第2送信処理における前記再送信センサによる超音波の送信間隔を、前記第1送信処理における前記超音波センサ群による超音波の送信間隔と異ならせ、前記検出部は、前記第1送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第1判定用時間と、前記第2送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第2判定用時間とを取得し、前記第1判定用時間と前記第2判定用時間との差である判定値と閾値との比較結果に基づいて前記障害物が近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定するのが好ましい。
【0015】
超音波センサが受信する反射波としては、反射波の受信直前に送信された超音波が近距離障害物によって反射したものである場合と、反射波の受信直前に送信された超音波よりも前に送信された超音波が遠距離障害物によって反射したものである場合とが考えられる。前者の場合、反射波を受信するタイミングは、反射波の受信直前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まり、後者の場合、反射波を受信するタイミングは、反射波の受信直前の超音波の送信よりも前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まる。このため、第1送信処理における超音波の送信間隔を第2送信処理における超音波の送信間隔と異ならせることで、第1判定用時間と第2判定用時間との差である判定値と閾値との比較結果は前者の場合と後者の場合とで異なる。よって、検出した障害物が近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定できる。
【0016】
上記課題を解決するための障害物検出方法は、超音波を送信する送信機能と障害物によって反射された反射波を受信する受信機能とを有する2以上の超音波センサによって構成された複数の超音波センサ群について、前記超音波センサ群を切り替えながら、前記超音波センサ群を構成する2以上の超音波センサに超音波を同時に送信させる第1送信処理を行うステップと、前記第1送信処理により複数の前記超音波センサの少なくとも1つが反射波を受信することで障害物ありと仮検出した場合には、前記第1送信処理による前記反射波の受信結果に基づき複数の前記超音波センサから再送信センサを設定するステップと、前記再送信センサに超音波を送信させる第2送信処理を行うステップと、前記第2送信処理における反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出するステップと、を有することを要旨とする。
【0017】
これによれば、超音波センサによる反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出するため、超音波センサが反射波を1回受信した時点で障害物ありと検出する場合と比較して誤検出を抑制できる。
【0018】
また、障害物ありと仮検出した場合には、第2送信処理を行い、第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する。第1送信処理では、各超音波センサ群から順に超音波を送信させるのに対し、第2送信処理では、第1送信処理による反射波の受信結果に基づいて設定された再送信センサに超音波を送信させる。第2送信処理では、複数の超音波センサ群から順に超音波を送信しない分、第2送信処理に要する時間は第1送信処理に要する時間よりも短くなる。よって、障害物ありと仮検出した後も、第1送信処理を繰り返し行い、障害物の有無を本検出する場合と比較して、障害物の有無を本検出するまでに要する時間を短縮できる。よって、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は障害物検出装置が搭載されたフォークリフトの概略側面図、(b)は障害物検出装置が搭載されたフォークリフトの概略背面図。
図2】フォークリフトの構成を示すブロック図。
図3】障害物検出装置の構成を示すブロック図。
図4】(a),(b)は障害物の検出範囲を示す概略図。
図5】第1実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図6】(a)~(f)は例1における超音波センサ及び障害物の配置を示す概略図。
図7】例1における超音波の送受信タイミングを示す図。
図8】第2実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図9】第4実施形態の障害物検出方法を示すフローチャート。
図10】(a)~(f)は例4-1における超音波センサ及び障害物の配置を示す概略図。
図11】例4-1における超音波の送受信タイミングを示す図。
図12】(a)~(f)は例4-2における超音波センサ及び障害物の配置を示す概略図。
図13】例4-2における超音波の送受信タイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第1実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、フォークリフト10は、車体11と、車体11の前方に設けられた荷役装置12と、車体11の後方に設けられたカウンタウェイト13とを備える。図1(b)に示すように、カウンタウェイト13の後端面は、第1面13aと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの左側に位置する第2面13bと、第1面13aと連続する面であり、第1面13aの右側に位置する第3面13cとを有する。第1面13aは、前後方向と直交する。第2面13bは、左端が右端よりも前方に位置するように傾斜している。第3面13cは、右端が左端よりも前方に位置するように傾斜している。なお、フォークリフト10は、搭乗者による運転が行われるフォークリフトである。
【0022】
図2に示すように、フォークリフト10は、荷役装置12を動作させる荷役機構14と、フォークリフト10を走行させる駆動機構15と、フォークリフト10の起動状態と停止状態とを切り替えるキースイッチ16と、メインコントローラ17とを備える。
【0023】
メインコントローラ17は、CPU18及びメモリ19を備える。メモリ19には、フォークリフト10を動作させるためのプログラム等が記憶されている。CPU18は、メインコントローラ17に入力された情報や、メモリ19に記憶されたプログラム等の情報などを用いて演算を行う。メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている場合、駆動機構15や荷役機構14を制御することで荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせる。一方で、メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされている場合、荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0024】
フォークリフト10には、超音波によって障害物を検出する障害物検出装置20が搭載されている。
図3に示すように、障害物検出装置20は、複数の超音波センサを備える。本実施形態の障害物検出装置20は、第1~第6超音波センサ21a~21fの6つの超音波センサを備える。各超音波センサ21a~21fは、超音波の送信と受信の両方を1つの素子で行う送受信兼用型である。
【0025】
各超音波センサ21a~21fは、図示しない圧電振動子を備える。圧電振動子は、電気信号を振動に変換可能であるとともに、振動を電気信号に変換可能である。圧電振動子は、後述する送信指令部31から送信信号が入力されることにより振動する。圧電振動子が振動することにより、各超音波センサ21a~21fから超音波が送信される。各超音波センサ21a~21fから送信される超音波の周波数は同じである。超音波の送信方向の先に障害物がある場合、送信された超音波は、障害物に当たって反射することにより反射波となる。圧電振動子は、反射波を受けると振動し、後述する検出部32に受信信号を出力する。つまり、各超音波センサ21a~21fは、超音波を送信する送信機能と、反射波を受信する受信機能とを有する。
【0026】
なお、圧電振動子は送受信兼用型であるため、各超音波センサ21a~21fが超音波を送信している間、反射波を受信することはできない。また、各超音波センサ21a~21fは、自身が送信した超音波の反射波だけでなく、他の超音波センサが送信した超音波の反射波も受信可能である。なお、第1実施形態では、超音波を送信した超音波センサと該超音波の反射波を受信する超音波センサとは同一であることを前提とする。
【0027】
本実施形態の障害物検出装置20は、フォークリフト10の後方に存在する障害物を検出するために用いられる。また、フォークリフト10の操舵輪の操舵角は、乗用車の操舵角と比較して大きいため、障害物検出装置20には、フォークリフト10の後方における側方寄りの範囲についても障害物を検出することが求められる。
【0028】
図1(b)に示すように、第1~第6超音波センサ21a~21fは、カウンタウェイト13の後端面に対し、左右方向の左から右に向かって1列に並べて取り付けられている。第1超音波センサ21aは、カウンタウェイト13の第2面13bに取り付けられている。第2~第5超音波センサ21b~21eは、カウンタウェイト13の第1面13aに取り付けられている。第6超音波センサ21fは、カウンタウェイト13の第3面13cに取り付けられている。
【0029】
図4(a)及び図4(b)に示すように、各超音波センサ21a~21fは、車体11の後方に超音波を送信する。本実施形態では、各超音波センサ21a~21fが障害物を検出可能な範囲(以下、検出可能範囲Aという)は、各超音波センサ21a~21fの後方5.10mまでの範囲を想定して設定されている。つまり、各超音波センサ21a~21fから送信された超音波は、少なくとも5.10m先まで到達可能である。
【0030】
図3に示すように、第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dは、第1超音波センサ群21を構成している。第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eは、第2超音波センサ群22を構成している。第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fは、第3超音波センサ群23を構成している。よって、本実施形態の障害物検出装置20は、2つの超音波センサから構成された超音波センサ群を3つ備える。
【0031】
図2に示すように、障害物検出装置20は、制御ECU30を備える。制御ECU30は、CPUと、RAM及びROM等からなる記憶部とを備える電子制御ユニット:Electronic Control Unitである。記憶部には、障害物検出装置20を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御ECU30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御ECU30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びにRAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。制御ECU30は、メインコントローラ17と相互に通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、制御ECU30はメインコントローラ17とは別体で形成されている。
【0032】
図3に示すように、制御ECU30は、各超音波センサ21a~21fと接続された送信指令部31を備える。送信指令部31は、第1~第6超音波センサ21a~21fによる超音波の送信を制御する。具体的には、送信指令部31は、各超音波センサ21a~21fに送信信号を出力することで各超音波センサ21a~21fに超音波を送信させる。送信指令部31は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている間、繰り返し送信信号を出力する。各超音波センサ21a~21fは、送信指令部31からの送信信号が入力される度に超音波を送信する。各超音波センサ21a~21fが超音波を送信するタイミングは、送信指令部31が各超音波センサ21a~21fに送信信号を出力するタイミングと対応する。
【0033】
制御ECU30は、各超音波センサ21a~21fと接続された検出部32を備える。検出部32は、各超音波センサ21a~21fから受信信号が入力されることにより、各超音波センサ21a~21fが反射波を受信したことを認識する。検出部32は、送信指令部31と接続されている。
【0034】
送信指令部31は、第1~第3超音波センサ群21~23を切り替えながら、超音波センサ群を構成する2つの超音波センサに超音波を同時に送信させる第1送信処理を行う。本実施形態では、送信指令部31は、第1超音波センサ群21→第2超音波センサ群22→第3超音波センサ群23の順に超音波センサ群を切り替える。つまり、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dに同時に超音波を送信させる。送信指令部31は、次に、第2超音波センサ群22を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる。送信指令部31は、次に、第3超音波センサ群23を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる。送信指令部31は、後述する第1送信間隔Taで第1~第3超音波センサ群21~23に超音波を送信させる。
【0035】
第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つの検出可能範囲A内に障害物がある場合、第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つは反射波を受信する。第1送信処理により送信された超音波の反射波を受信した超音波センサを受信センサとし、受信センサが反射波を受信する直前に超音波を送信した超音波センサ群を送信センサ群とする。
【0036】
第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信した場合、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があると仮検出する。また、検出部32は、第1送信処理による反射波の受信結果に基づいて、第1~第6超音波センサ21a~21fから再送信センサを設定する。本実施形態では、検出部32は、受信センサを再送信センサとして設定する。第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fが反射波を受信しなかった場合、検出部32は、フォークリフト10の後方における第1~第6超音波センサ21a~21fの検出可能範囲A内には障害物が無いと本検出する。
【0037】
送信指令部31は、再送信センサとして設定された超音波センサに超音波を送信させる第2送信処理を行う。複数の超音波センサが再送信センサとして設定されている場合、送信指令部31は、再送信センサとして設定された全ての超音波センサに同時に超音波を送信させる。送信指令部31は、後述する第2送信間隔Tbで再送信センサに超音波を送信させる。本実施形態では、送信指令部31は、第2送信処理を3回繰り返し行う。
【0038】
検出部32は、第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する。本実施形態では、検出部32は、3回分の第2送信処理により再送信センサが反射波を受信した回数である受信回数Nを取得する。なお、複数の超音波センサが再送信センサとして設定されている場合、検出部32は、各再送信センサについて、3回分の第2送信処理による反射波の受信回数Nを取得する。
【0039】
検出部32は、反射波の受信回数Nと、予め設定された判定回数Nhとを比較することにより、障害物の有無を本検出する。判定回数Nhは、例えば2回に設定されている。受信回数Nが判定回数Nh以上の場合、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。なお、複数の超音波センサが再送信センサとして設定されている場合、検出部32は、複数の再送信センサのうちの少なくとも1つについて、受信回数Nが閾値Nh以上であれば、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。受信回数Nが判定回数Nh未満の場合、検出部32は、フォークリフト10の後方における第1~第6超音波センサ21a~21fの検出可能範囲A内には障害物が無いと本検出する。
【0040】
検出部32は、検出結果をメインコントローラ17に出力する。メインコントローラ17は、検出部32がフォークリフト10の後方に障害物があると本検出した場合、走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0041】
ところで、図4(a)に示すように、超音波センサから障害物Pまでの距離X[m]は、超音波センサが超音波を送信してから該超音波の反射波が超音波センサによって受信されるまでに要する時間である送受信時間t[sec]と、音速V[m/sec]とから、X=V×t/2で表される。よって、超音波センサから障害物Pまでの距離X[m]が長くなるほど送受信時間t[sec]も長くなる。上述したように、本実施形態では、超音波センサの検出可能範囲Aは、5.10mに設定されている。このため、例えば、音速Vを340[m/sec]とすると、超音波センサが超音波を送信してから約30ms後までに反射波を受信しない場合、検出可能範囲A内には障害物Pが存在しないことが分かる。
【0042】
本実施形態では、検出可能範囲A内にある障害物を検出可能としつつ、障害物を早期に検出するために、第1送信間隔Taは30msに設定されている。このため、第1送信処理では、第1超音波センサ群21が超音波を送信した時刻から30ms後に第2超音波センサ群22が超音波を送信し、第2超音波センサ群22が超音波を送信した時刻から30ms後に第3超音波センサ群23が超音波を送信する。また、第2送信間隔Tbも、第1送信間隔Taと同様、30msに設定されている。このため、第3超音波センサ群23が超音波を送信した時刻から30ms後に再送信センサは1回目の超音波の送信を行い、再送信センサが1回目の超音波の送信を行った時刻から30ms後に再送信センサは2回目の超音波の送信を行う。さらに、再送信センサが2回目の超音波の送信を行った時刻から30ms後に再送信センサは3回目の超音波の送信を行う。
【0043】
次に、第1実施形態の障害物検出方法について例1とともに説明する。
図6(a)~図6(f)に示すように、例1では、第1超音波センサ21aの検出可能範囲A内に障害物P1が存在し、第3超音波センサ21cの検出可能範囲A内に障害物P2が存在する。なお、フォークリフト10及び障害物P1,P2はそれぞれ移動しないものとする。また、図6(a)~図6(f)では、障害物P1,P2の形状を簡略化して図示している。
【0044】
キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20の運転が開始される。送信指令部31は、第1送信処理を行う。
具体的には、図5に示すように、送信指令部31は、第1送信処理の一部として、まず、第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dに同時に超音波を送信させる(ステップS11)。第1超音波センサ21aから送信される超音波を第1超音波Us1とし、第4超音波センサ21dから送信される超音波を第4超音波Us4とする。
【0045】
図6(a)に示すように、例1では、第1超音波センサ21aの検出可能範囲A内には障害物P1が存在するため、第1超音波Us1は障害物P1に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第4超音波センサ21dの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第4超音波Us4は障害物に当たることなく減衰する。よって、図7に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。第1超音波センサ21aは、受信センサであり、第1超音波センサ群21は送信センサ群である。
【0046】
図5に示すように、送信指令部31は、第1送信処理の一部として、次に、第2超音波センサ群22を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる(ステップS12)。第2超音波センサ21bから送信される超音波を第2超音波Us2とし、第5超音波センサ21eから送信される超音波を第5超音波Us5とする。
【0047】
図6(b)に示すように、例1では、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第2超音波Us2及び第5超音波Us5は障害物に当たることなく減衰する。よって、図7に示すように、第1~第6超音波センサ21a~21fは反射波を受信しない。
【0048】
図5に示すように、送信指令部31は、第1送信処理の一部として、次に、第3超音波センサ群23を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる(ステップS13)。第3超音波センサ21cから送信される超音波を第3超音波Us3とし、第6超音波センサ21fから送信される超音波を第6超音波Us6とする。
【0049】
図6(c)に示すように、例1では、第3超音波センサ21cの検出可能範囲A内には障害物P2が存在するため、第3超音波Us3は障害物P2に当たることにより第3超音波センサ21cに向かって反射する。第6超音波センサ21fの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第6超音波Us6は障害物に当たることなく減衰する。よって、図7に示すように、第3超音波センサ21cは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。第3超音波センサ21cは受信センサであり、第3超音波センサ群23は送信センサ群である。
【0050】
図5に示すように、第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fが反射波を受信しなかった場合(ステップS14でNO)、検出部32は、障害物なしと本検出する(ステップS15)。第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信した場合(ステップS14でYES)、検出部32は、障害物ありと仮検出し(ステップS16)、受信センサを再送信センサとして設定する(ステップS17)。
【0051】
例1では、第1超音波センサ21aが反射波Ur1を受信し、第3超音波センサ21cが反射波Ur3を受信したことから、検出部32は、障害物ありと仮検出する。また、検出部32は、第1超音波センサ21a及び第3超音波センサ21cを再送信センサに設定する。
【0052】
送信指令部31は、再送信センサに超音波を送信させる第2送信処理を行う。送信指令部31は、第2送信処理を3回繰り返し行う(ステップS18~S20)。
図6(d)に示すように、送信指令部31は、1回目の第2送信処理として、第1超音波センサ21aに第1超音波Us11を送信させるとともに、第3超音波センサ21cに第3超音波Us31を送信させる。第1超音波Us11は、障害物P1に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第3超音波Us31は、障害物P2に当たることにより第3超音波センサ21cに向かって反射する。図7に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us11の反射波Ur11を受信する。第3超音波センサ21cは、第3超音波Us31の反射波Ur31を受信する。
【0053】
図6(e)に示すように、送信指令部31は、2回目の第2送信処理として、第1超音波センサ21aに第1超音波Us12を送信させるとともに、第3超音波センサ21cに第3超音波Us32を送信させる。第1超音波Us12は、障害物P1に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第3超音波Us32は、障害物P2に当たることにより第3超音波センサ21cに向かって反射する。図7に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us12の反射波Ur12を受信する。第3超音波センサ21cは、第3超音波Us32の反射波Ur32を受信する。
【0054】
図6(f)に示すように、送信指令部31は、3回目の第2送信処理として、第1超音波センサ21aに第1超音波Us13を送信させるとともに、第3超音波センサ21cに第3超音波Us33を送信させる。第1超音波Us13は、障害物P1に当たることにより第1超音波センサ21aに向かって反射する。第3超音波Us33は、障害物P2に当たることにより第3超音波センサ21cに向かって反射する。図7に示すように、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us13の反射波Ur13を受信する。第3超音波センサ21cは、第3超音波Us33の反射波Ur33を受信する。
【0055】
図5に示すように、検出部32は、3回分の第2送信処理による反射波の受信回数Nを取得する(ステップS21)。例1では、検出部32は、第1超音波センサ21aによる反射波の受信回数N1:3回と、第3超音波センサ21cによる反射波の受信回数N3:3回とを取得する。
【0056】
検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nが閾値Nh以上の場合(ステップS22でYES)、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する(ステップS23)。検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nが判定回数Nh以上でない場合(ステップS22でNO)、すなわち再送信センサによる反射波の受信回数Nが判定回数Nh未満の場合、フォークリフト10の後方における第1~第6超音波センサ21a~21fの検出可能範囲A内には障害物が無いと本検出する(ステップS24)。
【0057】
例1では、第1超音波センサ21aによる反射波の受信回数N1:3回は、判定回数Nh:2回以上である(Nh≦N1)。また、第3超音波センサ21cによる反射波の受信回数N3:3回は、判定回数Nh:2以上である(Nh≦N3)。よって、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。
【0058】
障害物検出装置20は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされるまで図5に示すフローを繰り返し行う。
第1実施形態の作用について、比較例と比較しながら説明する。
【0059】
先に、比較例の障害物検出方法について説明する。
比較例では、送信指令部31は、第1実施形態と同様、第1送信処理を行う。つまり、送信指令部31は、第1送信間隔Taで第1~第3超音波センサ群21~23から順に超音波を送信させる。第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信すると、検出部32は障害物ありと仮検出する。検出部32が障害物ありと仮検出すると、送信指令部31は、第1送信処理を3回繰り返し行う。検出部32は、障害物が仮検出された後の3回分の第1送信処理によって各超音波センサ21a~21fが反射波を受信した回数である受信回数N1~N6を取得する。検出部32は、第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つについて、反射波の受信回数N1~N6が判定回数Nh:2回以上の場合、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。検出部32は、各超音波センサ21a~21fについて、反射波の受信回数N1~N6が判定回数Nh:2回未満の場合、フォークリフト10の後方における第1~第6超音波センサ21a~21fの検出可能範囲A内には障害物が無いと本検出する。
【0060】
このように、比較例では、検出部32は、各超音波センサ21a~21fによる反射波の受信回数N1~N6に基づいて、障害物の有無を本検出する。また、第1実施形態においても、検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nに基づいて障害物の有無を本検出する。このため、検出部32が、最初の第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を1回受信した時点で、障害物ありと検出する場合と比較して誤検出が抑制される。
【0061】
ところで、送信指令部31は、第1送信処理では、第1送信間隔Taで第1~第3超音波センサ群21~23から順に超音波を送信させる。このため、1回の第1送信処理に要する時間は、第1送信間隔Ta:30ms×超音波センサ群の数:3から90msになる。送信指令部31は、第2送信処理では、第2送信間隔Tbで再送信センサに超音波を送信させる。このため、1回の第2送信処理に要する時間は30msである。つまり、第2送信処理に要する時間は、第1送信処理に要する時間よりも短い。
【0062】
比較例では、検出部32が障害物ありと仮検出すると、送信指令部31は第1送信処理を3回繰り返し行い、検出部32は第1送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無の本検出を行う。このため、比較例では、検出部32が障害物ありと仮検出してから障害物の有無を本検出するまでに要する時間は、第1送信処理×3回分の270msとなる。
【0063】
一方、第1実施形態では、検出部32が障害物ありと仮検出すると、送信指令部31は第2送信処理を3回繰り返し行い、検出部32は第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無の本検出を行う。よって、本実施形態では、検出部32が障害物ありと仮検出してから障害物の有無の本検出を行うまでに要する時間は、第2送信処理×3回分の90msとなる。
【0064】
第1実施形態では、検出部32が障害物ありと仮検出した場合、検出部32は再送信センサを設定し、送信指令部31は再送信センサに超音波を送信させる第2送信処理を行う。第2送信処理では、障害物の有無の本検出に必要な超音波センサから超音波を送信し、障害物の有無の本検出に不要な超音波センサからは超音波を送信しない。第2送信処理では、第1~第3超音波センサ群21~23から順に超音波を送信しない分、第2送信処理に要する時間は第1送信処理に要する時間よりも短い。その結果、第1実施形態では、誤検出を抑制しつつ、比較例よりも早期に障害物の有無を本検出できる。
【0065】
第1実施形態の効果について説明する。
(1)検出部32は、超音波センサによる反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出するため、超音波センサが反射波を1回受信した時点で障害物ありと検出する場合と比較して誤検出を抑制できる。
【0066】
また、検出部32が障害物ありと仮検出した場合には、送信指令部31は第2送信処理を行い、検出部32は第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する。送信指令部31は、第1送信処理では、各超音波センサ群21~23から順に超音波を送信させるのに対し、第2送信処理では、第1送信処理による反射波の受信結果に基づいて設定された再送信センサに超音波を送信させる。第2送信処理では、複数の超音波センサ群21~23から順に超音波を送信しない分、第2送信処理に要する時間は第1送信処理に要する時間よりも短くなる。よって、検出部32が障害物ありと仮検出した後も、送信指令部31が第1送信処理を繰り返し行い、検出部32が障害物の有無を本検出する場合と比較して、障害物の有無を本検出するまでに要する時間を短縮できる。よって、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる。
【0067】
(第2実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0068】
図4(b)に示すように、障害物の検出が行われる状況によっては、検出可能範囲Aよりも、障害物の検出が要求される範囲(以下、検出対象範囲B)の方が小さいことがある。第2実施形態では、検出対象範囲Bは、各超音波センサ21a~21fの後方3.40mまでの範囲を想定して設定されている。
【0069】
検出対象範囲B内にある障害物を近距離障害物とし、検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内にある障害物を遠距離障害物としたとき、有無の検出が要求されるのは近距離障害物であり、遠距離障害物の有無を検出する必要はない。しかしながら、各超音波センサ21a~21fは、検出対象範囲B内にある障害物によって反射した反射波だけでなく、検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内にある障害物によって反射した反射波も受信する。このため、第1実施形態では、検出部32は、第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信した場合、その反射波が近距離障害物によって反射したものであるか、遠距離障害物によって反射したものであるかに関わらず、障害物ありと仮検出する。
【0070】
第2実施形態では、検出部32は、第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信すると、反射波の第1検出時間Txを測定する。ここで、第1検出時間Txとは、図7に示すように、送信センサ群が超音波を送信してから受信センサが反射波を受信するまでに要する時間である。言い換えると、第1検出時間Txとは、第1送信処理により受信センサが反射波を受信した時刻と該反射波の受信直前に行われた超音波の送信時刻との差である。なお、第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fが反射波を複数回受信した場合、検出部32は、各回について反射波の第1検出時間Txを測定する。
【0071】
検出部32は、測定した第1検出時間Txと音速Vとから検出距離L=V×Tx/2を算出する。検出部32は、算出した検出距離Lと判定距離Lhとを比較する。判定距離Lhは、検出対象範囲Bに基づいて設定された距離である。本実施形態では、判定距離Lhは、検出対象範囲B:3.40mに設定されている。障害物が近距離障害物である場合、検出距離Lは判定距離Lh以下になる。障害物が遠距離障害物である場合、検出距離Lは判定距離Lhよりも長くなる。
【0072】
検出距離Lが判定距離Lh以下の場合、受信センサが受信した反射波は近距離障害物によって反射したものとして、送信指令部31は第2送信処理を行い、検出部32は障害物の有無の本検出を行う。検出距離Lが判定距離Lhよりも長い場合、受信センサが受信した反射波は遠距離障害物によって反射したものとして、検出部32は障害物なしと本検出する。この場合、送信指令部31は第2送信処理を行わない。
【0073】
第2実施形態の障害物検出方法について、例2とともに説明する。
例2では、障害物P1は、第1超音波センサ21aから4.42m離れた位置に存在し、障害物P2は、第3超音波センサ21cから1.02m離れた位置に存在するものとする。つまり、障害物P1は、第1超音波センサ21aの検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内に存在する遠距離障害物であり、障害物P2は、第3超音波センサ21cの検出対象範囲B内に存在する近距離障害物である。
【0074】
キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20の運転が開始される。
図8に示すように、送信指令部31は、第1送信処理を行う(ステップS31~S33)。具体的には、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dに同時に超音波を送信させる(ステップS31)。送信指令部31は、次に、第2超音波センサ群22を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる(ステップS32)。送信指令部31は、次に、第3超音波センサ群23を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる(ステップS33)。
【0075】
例2では、第1超音波センサ21aは、第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。反射波Ur1の送受信時間t1は26msとなる。また、第3超音波センサ21cは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。反射波Ur3の送受信時間t3は6msとなる。
【0076】
第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信した場合(ステップS34でYES)、検出部32は、反射波の第1検出時間Txを測定する。例2では、検出部32は、図7に示すように、反射波Ur1の第1検出時間Tx1:26msと、反射波Ur3の第1検出時間Tx2:6msとを測定する。なお、図7では、第1検出時間Tx1,Tx2が同じ場合を図示しており、例2における第1検出時間Tx1,Tx2とは対応していない。
【0077】
検出部32は、測定した第1検出時間Txと音速Vとから検出距離Lを算出する(ステップS36)。例2では、検出部32は、反射波Ur1の第1検出時間Tx1と音速Vから検出距離L1:4.42mを算出する。また、検出部32は、反射波Ur3の第1検出時間Tx2と音速Vから検出距離L2:1.02mを算出する。
【0078】
検出部32は、算出した検出距離Lと判定距離Lhとを比較する(ステップS37)。検出距離Lが判定距離Lh:3.40m以下の場合(ステップS37でYES)、検出部32は、障害物ありと仮検出する(ステップS38)。一方、算出した検出距離Lが判定距離Lh:3.40m以下でない場合(ステップS37でNO)、すなわち検出距離Lが判定距離Lhよりも長い場合、検出部32は、障害物なしと本検出する(ステップS39)。例2では、検出距離L1:4.42mは判定距離Lh:3.40mよりも長く、検出距離L2:1.02mは判定距離Lh:3.40m以下である。よって、検出部32は、障害物ありと仮検出する。
【0079】
検出部32が障害物ありと仮検出した後のフローについては、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第2実施形態の作用及び効果について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0080】
(2-1)障害物検出装置20は、検出対象範囲B内にある近距離障害物の有無を検出できればよい。このため、検出対象範囲Bが各超音波センサ21a~21fによる障害物の検出可能範囲Aよりも小さい場合には、検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内にある遠距離障害物の有無は検出不要である。
【0081】
第1送信処理により送信された超音波が近距離障害物に当たって反射した場合、検出距離Lは判定距離Lh以下になる。一方、第1送信処理により送信された超音波が遠距離障害物に当たって反射した場合、検出距離Lは判定距離Lhよりも長くなる。検出距離Lが判定距離Lh以下の場合、検出部32は、障害物ありと仮検出する。この場合、送信指令部31は第2送信処理を行い、検出部32は、第2送信処理による反射波の受信回数に基づいて障害物の有無を本検出する。一方、検出距離Lが判定距離Lhよりも長い場合、検出部32は障害物なしと本検出する。この場合、送信指令部31は第2送信処理を行わない。よって、検出対象範囲B内について障害物の有無の誤検出を抑制できるとともに、障害物の有無の検出をより早期に検出できる。
【0082】
(第3実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第3実施形態を説明する。なお、第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と同じ部分について説明を省略する。
【0083】
第1超音波センサ21aの検出可能範囲A内に障害物P1がある場合、第1超音波センサ21aから送信された第1超音波Us1は障害物P1に当たって反射する。このとき、第1実施形態のように、第1超音波Us1は第1超音波センサ21aに向かって反射することが多いが、障害物の形状や超音波センサの配置、障害物の検出が行われる環境によっては、第1超音波Us1は、送信源である第1超音波センサ21aとは異なる超音波センサに向かって反射することもある。例えば、第1超音波Us1は、送信源である第1超音波センサ21aに最も近い第2超音波センサ21bに向かって反射することがある。なお、第2~第6超音波センサ21b~21fから送信される第2~第6超音波Us2~Us6についても同様に、送信源である超音波センサとは異なる超音波センサに向かって反射することもある。つまり、第1実施形態では、超音波を送信した超音波センサと該超音波の反射波を受信する超音波センサとは同一であることを前提としていたが、第3実施形態では、超音波を送信した超音波センサと該超音波の反射波を受信する超音波センサとが異なることもある。
【0084】
第3実施形態では、受信センサが送信センサ群を構成する超音波センサである場合、検出部32は、受信センサを再送信センサに設定する。一方、受信センサが送信センサ群を構成する超音波センサと異なる場合には、検出部32は、送信センサ群を構成する超音波センサのうち、受信センサに最も近い超音波センサを再送信センサに設定する。
【0085】
第3実施形態の障害物検出方法について、例3とともに説明する。
送信指令部31は、第1送信処理を行う。
図6(a)に示すように、送信指令部31は、まず、第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dに同時に超音波を送信させる。例3では、図6(a)に二点鎖線で示すように、第1超音波Us1は、障害物P1に当たることにより第2超音波センサ21bに向かって反射する。第2超音波センサ21bは第1超音波Us1の反射波Ur1を受信する。第4超音波Us4は、障害物に当たることなく減衰する。よって、第2超音波センサ21bは受信センサであり、第1超音波センサ群21は送信センサ群である。
【0086】
図6(b)に示すように、送信指令部31は、次に、第2超音波センサ群22を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる。第2超音波Us2及び第5超音波Us5は、障害物に当たることなく減衰する。
【0087】
図6(c)に示すように、送信指令部31は、次に、第3超音波センサ群23を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる。第3超音波Us3は、障害物P2に当たることにより第3超音波センサ21cに向かって反射する。第3超音波センサ21cは、第3超音波Us3の反射波Ur3を受信する。よって、第3超音波センサ21cは受信センサであり、第3超音波センサ群23は送信センサ群である。
【0088】
第2超音波センサ21b及び第3超音波センサ21cが反射波を受信することにより、検出部32は、障害物ありと仮検出し、再送信センサの設定を行う。例2では、受信センサである第2超音波センサ21bは、送信センサ群である第1超音波センサ群21を構成する超音波センサとは異なる。このため、検出部32は、送信センサ群である第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dのうち、第2超音波センサ21bに近い方の第1超音波センサ21aを再送信センサに設定する。また、受信センサである第3超音波センサ21cは、送信センサ群である第3超音波センサ群23を構成する超音波センサである。このため、検出部32は、第3超音波センサ21cを受信センサに設定する。
【0089】
なお、検出部32が再送信センサを設定した後のフローについては、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第3実施形態の作用及び効果について説明する。第3実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0090】
(3-1)検出部32は、受信センサが送信センサ群を構成する超音波センサである場合、受信センサを再送信センサに設定する。一方、検出部32は、受信センサが送信センサ群を構成する超音波センサと異なる場合、送信センサ群を構成する超音波センサのうち、受信センサに最も近い超音波センサを再送信センサに設定する。よって、第1送信処理により送信された超音波が、送信源である超音波センサとは異なる超音波センサに向かって反射した場合であっても、誤検出を抑制しつつ、障害物の有無を早期に検出できる。
【0091】
(第4実施形態)
以下、障害物検出装置及び障害物検出方法を具体化した第4実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0092】
第2実施形態で説明したように、障害物の検出が行われる状況によっては、検出対象範囲Bが検出可能範囲Aよりも小さいことがある。障害物が近距離障害物である場合、送受信時間tは最大20msとなり、障害物が遠距離障害物である場合、送受信時間tは20msよりも長く30ms以下になる。第4実施形態では、近距離障害物を検出可能としつつ、障害物をより早期に検出するため、第1送信間隔Taを20msに設定している。つまり、第4実施形態の第1送信間隔Ta:20msは、第1実施形態の第1送信間隔Ta:30msよりも短く設定されている。
【0093】
送信指令部31は、第1送信処理を行う。送信指令部31は、第1送信処理では、第1送信間隔Ta:20msで第1~第3超音波センサ群21~23に超音波を送信させる。送信指令部31は、第2送信処理を3回繰り返し行う。送信指令部31は、1回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb1で再送信センサに超音波を送信させる。第2送信間隔Tb1は、第1送信間隔Taと同じ20msに設定されている。送信指令部31は、2回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb2で再送信センサに超音波を送信させる。第2送信間隔Tb2は、第1送信間隔Taよりも短い18msに設定されている。送信指令部31は、3回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb3で再送信センサに超音波を送信させる。第2送信間隔Tb3は、第1送信間隔Taよりも長い22msに設定されている。
【0094】
検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nが判定回数Nh以上であることから、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出した場合、本検出した障害物の少なくとも1つが近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定する。
【0095】
検出部32は、第1送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第1判定用時間Tpを取得する。また、検出部32は、第2送信処理により送信された超音波の反射波の受信時刻と該反射波の受信前に行われた超音波の送信時刻との差である第2判定用時間Tqを取得する。本実施形態では、第1送信処理における反射波の第1検出時間Txを第1判定用時間Tpとし、第2送信処理における反射波の第2検出時間Tyを第2判定用時間Tqとしている。ここで、第2検出時間Tyとは、再送信センサが超音波を送信してから超音波センサが該超音波の反射波を受信するまでに要する時間である。言い換えると、第2検出時間Tyとは、第2送信処理により超音波センサが反射波を受信した時刻と該反射波の受信直前に行われた超音波の送信時刻との差である。
【0096】
検出部32は、第1判定用時間Tpと第2判定用時間Tqとの差の絶対値である判定値ΔT=|Tp-Tq|を算出し、算出した判定値ΔTと閾値ΔThとの比較結果から障害物が近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定する。本実施形態では、閾値ΔThは1msに設定されている。判定値ΔTが閾値ΔTh以下の場合、検出部32は、障害物が遠距離障害物であると判定する。なお、判定値ΔTが複数存在する場合、少なくとも1つが閾値ΔTh以下であれば、障害物の少なくとも1つが近距離障害物であると判定する。検出部32は、算出した判定値ΔTが閾値ΔThよりも大きい場合、障害物の少なくとも1つが遠距離障害物であると判定する。
【0097】
第4実施形態の障害物検出方法について、例4-1及び例4-2とともに説明する。
図10(a)~図10(f)に示すように、例4-1では、障害物P41は、第4超音波センサ21dから4.42m離れた位置、かつ第5超音波センサ21eから4.42m離れた位置に存在する。つまり、障害物P41は、第4超音波センサ21dの検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内に存在するとともに、第5超音波センサ21eの検出対象範囲B外かつ検出可能範囲A内に存在する遠距離障害物である。
【0098】
図12(a)~図12(f)に示すように、例4-2では、障害物P42は、第5超音波センサ21eから1.02m離れた位置に存在する。つまり、障害物P42は、第5超音波センサ21eの検出対象範囲B内に存在する近距離障害物である。
【0099】
キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされると、障害物検出装置20の運転が開始される。
図9に示すように、送信指令部31は、第1送信処理を行う(ステップS51~S53)。送信指令部31は、まず、第1超音波センサ群21を構成する第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dに同時に超音波を送信させる(ステップS51)。なお、説明の便宜上、第1超音波センサ群21から超音波を送信する時刻を0msとする。
【0100】
図10(a)に示すように、例4-1では、第1超音波センサ21aの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第1超音波Us1は障害物に当たることなく減衰する。第4超音波センサ21dの検出可能範囲A内には障害物P41があるため、第4超音波Us4は障害物P41に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第4超音波Us4の反射波Ur4を受信する。図11に示すように、反射波Ur4の送受信時間t4は26msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur4を受信するのは、第1超音波センサ群21が超音波を送信した時刻0msから26ms後の時刻26msである。
【0101】
図12(a)に示すように、例4-2では、第1超音波センサ21a及び第4超音波センサ21dの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第1超音波Us1及び第4超音波Us4は障害物に当たることなく減衰する。よって、図13に示すように、第1~第6超音波センサ21a~21fは反射波を受信しない。
【0102】
図9に示すように、送信指令部31は、次に、第1送信間隔Taで第2超音波センサ群22を構成する第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eに同時に超音波を送信させる(ステップS52)。図11及び図13に示すように、第2超音波センサ21b及び第5超音波センサ21eは、第1超音波センサ群21が超音波を送信した時刻0msから20ms後の時刻20msにおいて超音波を送信する。よって、例4-1では、第2超音波センサ群22が超音波を送信した後で、第5超音波センサ21eは第4超音波Us4の反射波Ur4を受信する。
【0103】
図10(b)に示すように、例4-1では、第2超音波センサ21bの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第2超音波Us2は障害物に当たることなく減衰する。第5超音波センサ21eの検出可能範囲A内には障害物P41があるため、第5超音波Us5は障害物P41に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us5の反射波Ur5を受信する。図11に示すように、反射波Ur5の送受信時間t5は26msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur5を受信するのは、第2超音波センサ群22が超音波を送信した時刻20msから26ms後の時刻46msである。
【0104】
図12(b)に示すように、例4-2では、第2超音波センサ21bの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第2超音波Us2は障害物に当たることなく減衰する。第5超音波センサ21eの検出可能範囲A内には障害物P42があるため、第5超音波Us5は障害物P42に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us5の反射波Ur5を受信する。図13に示すように、反射波Ur5の送受信時間t5は6msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur5を受信するのは、第2超音波センサ群22が超音波を送信した時刻20msから6ms後の時刻26msである。
【0105】
図9に示すように、送信指令部31は、次に第1送信間隔Taで第3超音波センサ群23を構成する第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fに同時に超音波を送信させる(ステップS53)。図11及び図13に示すように、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fは、第2超音波センサ群22が超音波を送信した時刻20msから20ms後の時刻40msにおいて超音波を送信する。よって、例4-1では、第3超音波センサ群23が超音波を送信した後で、第5超音波センサ21eは第5超音波Us5の反射波Ur5を受信する。
【0106】
図10(c)及び図12(c)に示すように、例4-1及び例4-2では、第3超音波センサ21c及び第6超音波センサ21fの検出可能範囲A内には障害物が無いため、第3超音波Us3及び第6超音波Us6は障害物に当たることなく減衰する。
【0107】
図9に示すように、第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fが反射波を受信しなかった場合(ステップS54でNO)、検出部32は、障害物なしと本検出する(ステップS55)。第1送信処理により第1~第6超音波センサ21a~21fの少なくとも1つが反射波を受信した場合(ステップS54でYES)、検出部32は、障害物ありと仮検出し(ステップS56)、受信センサを再送信センサとして設定する(ステップS57)。
【0108】
例4-1では、第5超音波センサ21eが反射波Ur4,Ur5を受信したことから、検出部32は、障害物ありと仮検出し、第5超音波センサ21eを再送信センサに設定する。例4-2では、第5超音波センサ21eが反射波Ur5を受信したことから、検出部32は、障害物ありと仮検出し、第5超音波センサ21eを再送信センサに設定する。
【0109】
次に、送信指令部31は、再送信センサに超音波を送信させる第2送信処理を行う。送信指令部31は、第2送信処理を3回繰り返し行う(ステップS58~S60)。送信指令部31は、1回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb1で再送信センサに超音波を送信させる(ステップS58)。送信指令部31は、2回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb2で再送信センサに超音波を送信させる(ステップS59)。送信指令部31は、3回目の第2送信処理では、第2送信間隔Tb3で再送信センサに超音波を送信させる(ステップS60)。
【0110】
例4-1,4-2では、送信指令部31は、1回目の第2送信処理として、第2送信間隔Tb1で第5超音波センサ21eに第5超音波Us51を送信させる。図11及び図13に示すように、第5超音波センサ21eは、第3超音波センサ群23が超音波を送信した時刻40msから20ms後の時刻60msにおいて第5超音波Us51を送信する。
【0111】
図10(d)に示すように、例4-1では、第5超音波Us51は、障害物P41に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us51の反射波Ur51を受信する。図11に示すように、反射波Ur51の送受信時間t51は26msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur51を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us51を送信した時刻60msから26ms後の時刻86msである。
【0112】
図12(d)に示すように、例4-2では、第5超音波Us51は、障害物P42に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us51の反射波Ur51を受信する。図13に示すように、反射波Ur51の送受信時間t51は6msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur51を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us51を送信した時刻60msから6ms後の時刻66msである。
【0113】
図9に示すように、例4-1,4-2では、送信指令部31は、2回目の第2送信処理として、第2送信間隔Tb2で第5超音波センサ21eに第5超音波Us52を送信させる。図11及び図13に示すように、第5超音波センサ21eは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us51を送信した時刻60msから18ms後の時刻78msにおいて第5超音波Us52を送信する。よって、例4-1において、第5超音波センサ21eが第5超音波Us52を送信した後で、第5超音波センサ21eは反射波Ur51を受信する。
【0114】
図10(e)に示すように、例4-1では、第5超音波Us52は、障害物P41に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us52の反射波Ur52を受信する。図11に示すように、反射波Ur52の送受信時間t52は26msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur52を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us52を送信した時刻78msから26ms後の時刻104msである。
【0115】
図12(e)に示すように、例4-2では、第5超音波Us52は、障害物P42に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us52の反射波Ur52を受信する。図13に示すように、反射波Ur52の送受信時間t52は6msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur52を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us52を送信した時刻78msから6ms後の時刻84msである。
【0116】
例4-1,4-2では、送信指令部31は、3回目の第2送信処理として、第2送信間隔Tb3で第5超音波センサ21eに第5超音波Us53を送信させる。図11及び図13に示すように、第5超音波センサ21eは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us52を送信した時刻78msから22ms後の時刻100msにおいて第5超音波Us53を送信する。よって、例4-1では、第5超音波センサ21eが第5超音波Us53を送信した後で、第5超音波センサ21eは反射波Ur52を受信する。
【0117】
図10(f)に示すように、例4-1では、第5超音波Us53は、障害物P41に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us53の反射波Ur53を受信する。図11に示すように、反射波Ur53の送受信時間t53は26msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur53を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us53を送信した時刻100msから26ms後の時刻126msである。
【0118】
図12(f)に示すように、例4-2では、第5超音波Us53は、障害物P42に当たることにより第5超音波センサ21eに向かって反射する。よって、第5超音波センサ21eは、第5超音波Us53の反射波Ur53を受信する。図13に示すように、反射波Ur53の送受信時間t53は6msであるため、第5超音波センサ21eが反射波Ur53を受信するのは、第5超音波センサ21eが第5超音波Us53を送信した時刻100msから6ms後の時刻106msである。
【0119】
図9に示すように、検出部32は、再送信センサについて、3回分の第2送信処理による反射波の受信回数Nを取得する(ステップS61)。例4-1では、検出部32は、第5超音波センサ21eによる反射波の受信回数N5:2回を取得する。例4-2では、検出部32は、第5超音波センサ21eによる反射波の受信回数N5:3回を取得する。
【0120】
検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nが閾値Nh以上の場合(ステップS62でYES)、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する(ステップS63)。検出部32は、再送信センサによる反射波の受信回数Nが判定回数Nh以上でない場合(ステップS62でNO)、すなわち再送信センサによる反射波の受信回数Nが判定回数Nh未満の場合、フォークリフト10の後方における第1~第6超音波センサ21a~21fの検出可能範囲A内には障害物が無いと本検出する(ステップS64)。
【0121】
例4-1では、第5超音波センサ21eによる反射波の受信回数N5:2回は、判定回数Nh:2回以上である(Nh≦N5)。よって、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。例4-2では、第5超音波センサ21eによる反射波の受信回数N5:3回は、判定回数Nh:2回以上である(Nh≦N5)。よって、検出部32は、フォークリフト10の後方に障害物があると本検出する。
【0122】
検出部32は、第1判定用時間Tp及び第2判定用時間Tqを取得する(ステップS65)。上述したように、本実施形態では、第1検出時間Txを第1判定用時間Tpとし、第2検出時間Tyを第2判定用時間Tqとしている。よって、検出部32は、第1検出時間Tx及び第2検出時間Tyを測定することにより、第1判定用時間Tp及び第2判定用時間Tqを取得する。
【0123】
例4-1では、検出部32は、反射波Ur4の第1検出時間Tx1:6msと、反射波Ur5の第1検出時間Tx2:6msとを測定する。また、検出部32は、反射波Ur51の第2検出時間Ty1:8msと、反射波Ur52の第2検出時間Ty2:4msとを測定する。
【0124】
例4-2では、検出部32は、反射波Ur5の第1検出時間Tx1:6msを測定する。また、検出部32は、反射波Ur51の第2検出時間Ty1:6msと、反射波Ur52の第2検出時間Ty2:6msと、反射波Ur53の第2検出時間Ty3:6msとを測定する。
【0125】
検出部32は、第1判定用時間Tpと第2判定用時間Tqとの差である判定値ΔT=|Tp-Tq|を算出する(ステップS66)。本実施形態では、検出部32は、第1検出時間Txと第2検出時間Tyとの差である判定値ΔT=|Tx-Ty|を算出する。検出部32は、算出した判定値ΔTが閾値ΔTh以下の場合(ステップS67でYES)、障害物が近距離障害物であると判定する(ステップS68)。検出部32は、判定値ΔTが閾値ΔTh以下でない場合(ステップS67でNO)、すなわち判定値ΔTが閾値ΔThよりも大きい場合、障害物が遠距離障害物であると判定する(ステップS69)。
【0126】
例4-1では、第1検出時間Tx1,Tx2は同じ長さである。このため、検出部32は、判定値ΔT1=|Tx1-Ty1|と、判定値ΔT2=|Tx1-Ty2|とを算出する。判定値ΔT1,ΔT2はそれぞれ、2msとなる。判定値ΔT1,ΔT2それぞれが閾値ΔThよりも大きいことから、検出部32は、障害物が遠距離障害物であると判定する。
【0127】
例4-2では、検出部32は、判定値ΔT1=|Tx1-Ty1|と、判定値ΔT2=|Tx1-Ty2|と、判定値ΔT3=|Tx1-Ty3|とを算出する。判定値ΔT1,ΔT2,ΔT3はそれぞれ0msとなる。判定値ΔT1,ΔT2,ΔT3それぞれが閾値ΔTh以下であることから、検出部32は、障害物が近距離障害物であると判定する。
【0128】
第4実施形態の作用について説明する。
第5超音波センサ21eが受信する反射波としては、例4-1のように反射波の受信直前に送信された超音波よりも前に送信された超音波が遠距離障害物によって反射したものである場合と、例4-2のように反射波の受信直前に送信された超音波が近距離障害物によって反射したものである場合とが考えられる。
【0129】
例4-1の場合、受信センサが反射波を受信するタイミングは、反射波の受信よりも2回前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まる。このため、2回目の第2送信処理における第2送信間隔Tb2を第1送信間隔Taと異ならせると、第1検出時間Tx1と第2検出時間Ty1とは異なる。よって、判定値ΔT1は閾値ΔThよりも大きくなる。また、3回目の第2送信処理における第2送信間隔Tb3を第1送信間隔Taと異ならせると、第1検出時間Tx1と第2検出時間Ty2とは異なる。よって、判定値ΔT2は閾値ΔThよりも大きくなる。
【0130】
例4-2の場合、受信センサが反射波を受信するタイミングは、反射波の受信直前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まる。このため、2回目の第2送信処理における第2送信間隔Tb2を第1送信間隔Taと異ならせたとしても、第1検出時間Tx1と第2検出時間Ty1とはほぼ同じになる。よって、判定値ΔT1は閾値ΔTh以下となる。また、3回目の第2送信処理における第2送信間隔Tb3を第1送信間隔Taと異ならせたとしても、第1検出時間Tx1と第2検出時間Ty2とはほぼ同じになる。よって、判定値ΔT2は閾値ΔTh以下となる。
【0131】
以上のことから、判定値ΔTと閾値ΔThとの比較結果により、検出した障害物が近距離障害物であるか近距離障害物であるかを判定できる。
第4実施形態の作用及び効果について説明する。第4実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0132】
(4-1)各超音波センサ21a~21fが受信する反射波としては、反射波の受信直前に送信された超音波が近距離障害物によって反射したものである場合と、反射波の受信直前に送信された超音波よりも前に送信された超音波が遠距離障害物によって反射したものである場合とが考えられる。前者の場合、反射波を受信するタイミングは、反射波の受信直前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まり、後者の場合、反射波を受信するタイミングは、反射波の受信直前の超音波の送信よりも前に行われる超音波の送信のタイミングによって決まる。このため、第1送信間隔Taを第2送信間隔Tbと異ならせることで、第1判定用時間Tpと第2判定用時間Tqとの差である判定値ΔTと閾値ΔThとの比較結果は、前者の場合と後者の場合とで異なる。よって、検出した障害物が近距離障害物であるか遠距離障害物であるかを判定できる。
【0133】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 障害物検出装置20が備える超音波センサ群の数は、3に限定されず、2以上であれば適宜変更してよい。
【0134】
○ 超音波センサ群を構成する超音波センサの数は、2に限定されず、3以上でもよい。また、超音波センサ群を構成する超音波センサの数は、超音波センサ群毎に異なっていてもよい。
【0135】
○ 第1送信処理において、送信指令部31が第1~第3超音波センサ21a~21cを切り替える順番は、第1超音波センサ21a→第2超音波センサ21b→第3超音波センサ21cに限定されず、適宜変更してよい。
【0136】
○ 送信指令部31が第1送信処理を行う回数は1回に限定されない。送信指令部31は、第1送信処理を連続して複数回行ってもよい。この場合、送信指令部31が第1送信処理を1回行う場合と比較して、誤検出をより抑制できる。第1送信処理を行う回数は、例えば、障害物の仮検出に求められる精度や時間を考慮して設定される。
【0137】
○ 送信指令部31が第2送信処理を繰り返し行う回数は3回に限定されない。送信指令部31は、第2送信処理を1回だけ行ってもよいし、2回繰り返して行ってもよいし、4回以上繰り返して行ってもよい。第2送信処理を行う回数は、例えば、障害物の有無の本検出に求められる精度や時間を考慮して設定される。
【0138】
○ 検出部32は、第1送信処理による反射波の受信回数と第2送信処理による反射波の受信回数との合計Nsを取得するとともに、受信回数の合計Nsと判定回数Nhとの比較結果に基づいて障害物の有無を本検出してもよい。
【0139】
○ 第4実施形態において、第1判定用時間Tp及び第2判定用時間Tqの定義を変更してもよい。例えば、第1送信間隔Taと第1検出時間Txとの和であるTa+Txを第1判定用時間Tpとし、第2送信間隔Tbと第2検出時間Tyとの和であるTb+Tyを第2判定用時間Tqとしてもよい。この場合、検出部32は、判定値ΔTが閾値ΔTh以下の場合に(ステップS67でYES)、障害物を遠距離障害物と判定し(ステップS69)、判定値ΔTが閾値ΔTh以下でない場合に(ステップS67でNO)、障害物を近距離障害物と判定する(ステップS68)。
【0140】
○ 第4実施形態では、複数の判定値ΔTのうちの少なくとも1つが閾値ΔTh以下であれば、近距離障害物であると判定するとしたが、判定条件は適宜変更してよい。例えば、複数の判定値ΔTのうちの過半数が閾値ΔTh以下であるときに、検出部32は、障害物が近距離障害物であると判定するようにしてもよい。
【0141】
○ 第1~第6超音波センサ21a~21fは、カウンタウェイト13に形成された穴に超音波センサを挿入することでカウンタウェイト13に取り付けられていてもよいし、ブラケット等を介してピラーやサイドフレーム、カウンタウェイト13等にネジ留めによって取り付けられていてもよい。
【0142】
○ カウンタウェイト13の後端面の第1~第3面13a~13cの全てに超音波センサが取り付けられていなくてもよい。例えば、第1面13aのみに超音波センサが取り付けられていてもよい。
【0143】
○ 第1~第6超音波センサ21a~21fが並べられる方向は左右方向に限定されない。第1~第6超音波センサ21a~21fは、例えば、上下方向に並べられていてもよい。
【0144】
○ 障害物検出装置20は、フォークリフト10の前方や、フォークリフト10の側方に存在する障害物を検出するものでもよい。この場合、障害物を検出したい方向に超音波が送信されるように超音波センサをフォークリフト10に取り付ければよい。なお、障害物検出装置20としては、前方、後方、及び側方の何れかの方向の障害物を検出するものであってもよいし、複数の方向の障害物を検出するものであってもよい。
【0145】
○ 各超音波センサ21a~21fは、送信用の圧電振動子と受信用の圧電振動子とを備える超音波センサであってもよい。この場合、各超音波センサ21a~21fは、超音波を送信している間も反射波を受信できる。
【0146】
○ 検出可能範囲Aの具体的な数値は、例えば、障害物検出装置20が搭載される移動体や、検出する障害物に応じて適宜変更してよい。
○ 検出対象範囲Bの具体的な数値は、例えば、各超音波センサ21a~21fの仕様によって異なる。
【0147】
○ 音速Vは、例えば、障害物の検出が行われる環境の温度や媒質によって補正されてもよい。
○ 判定回数Nhの具体的な数値は、例えば、障害物の有無の本検出に求められる精度に応じて適宜変更してもよい。
【0148】
○ 判定距離Lhは、例えば、超音波の送受信時刻の誤差等を考慮して、検出対象範囲B:3.40mよりも長く設定されていてもよい。
○ 閾値ΔThは、例えば、遠距離障害物と近距離障害物との判定に求められる精度に応じて適宜変更してもよい。
【0149】
○ 第1~第3実施形態において、第1送信間隔Ta及び第2送信間隔Tbの具体的な数値は、例えば、障害物の検出状況に応じて適宜変更してよい。
○ 第4実施形態において、第2送信間隔Tb1~Tb3の具体的な数値は、適宜変更してよい。ただし、第2送信間隔Tb2,Tb3は、第1送信間隔Taと異なり、かつ第1送信間隔Taと第1検出時間Txとの和Ta+Txと異なるものとする。
【0150】
○ 制御ECU30は、メインコントローラ17と一体でもよい。
○ 受信信号を検出部32に送信するか否かを判定するための反射波の受信強度の閾値は可変であってもよい。
【0151】
○ フォークリフト10は、自動で運転が行われるフォークリフトであってもよい。
○ 障害物検出装置20は、乗用車、トーイングトラクタ等の産業車両、自律移動するロボット等、障害物の検出を要する移動体であれば、どのような移動体に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0152】
20…障害物検出装置、21a~21f…超音波センサとしての第1~第6超音波センサ、21~23…超音波センサ群としての第1~第3超音波センサ群、31…送信指令部、32…検出部。
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