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  • 特許-給電システム 図1
  • 特許-給電システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20230418BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20230418BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H02J50/10
B63C11/48 D
B63C11/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019130054
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021016258
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】徳良 晋
(72)【発明者】
【氏名】原 正一
(72)【発明者】
【氏名】大海 舞
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/085030(WO,A1)
【文献】特開2012-217963(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186697(WO,A1)
【文献】特開2018-078773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C1/00-15/00
B63G1/00-13/02
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中を移動する移動体との間で送電又は受電する給電システムであって、
前記移動体に搭載された移動体側コイルとの間で送電又は受電するコイルと、
送電又は受電時における前記コイルと前記移動体側コイルとの間のコイル間領域に対して、前記海水よりも導電性が低い低導電性媒体を供給する媒体供給装置と、
を備え
前記媒体供給装置は、前記海水よりもイオン濃度が低い水である淡化水を前記低導電性媒体として前記コイル間領域に供給するものであり、
さらに、前記媒体供給装置は、
前記コイル間領域への前記淡化水の供給を制御する制御部と、
前記コイル間領域におけるイオン濃度を計測する濃度計測部と、
を備え、
前記制御部は、前記濃度計測部で計測された前記イオン濃度が予め定められた基準濃度以下となるように、前記コイル間領域への前記淡化水の供給を制御する、給電システム。
【請求項2】
前記媒体供給装置は、前記海水から前記淡化水を生成する淡化水生成部を備える、請求項に記載の給電システム。
【請求項3】
前記コイル間領域の少なくとも一部を覆う壁部を更に備える、請求項1又は2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記壁部は、前記コイル間領域を上方から覆うドーム状に形成されている、請求項に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、海水中を移動する移動体に搭載された受電装置に対し、海水中において非接触で送電する送電装置が記載されている。このような送電装置及び受電装置では、送電装置に設けられたコイルと受電装置に設けられたコイルとの電磁気的な結合を用いて送電が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、海水中において送電を行う場合、送電装置のコイルと受電装置のコイルとの間のコイル間領域には海水が充満している。このため、送電時において、コイル間領域内の海水によって渦電流損失が生じ、送電の効率が低下することがある。このため、本技術分野では、移動体との間で海水中において送電又は受電を行う際に給電効率を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、海水中を移動する移動体との間で送電又は受電する給電システムであって、移動体に搭載された移動体側コイルとの間で送電又は受電するコイルと、送電又は受電時におけるコイルと移動体側コイルとの間のコイル間領域に対して、海水よりも導電性が低い低導電性媒体を供給する媒体供給装置と、を備える。
【0006】
この給電システムでは、媒体供給装置によって、コイル間領域に海水よりも導電性が低い低導電性媒体が供給される。これにより、給電システムは、コイルと移動体側コイルとの間で送電又は受電を行う際に、コイル間領域が海水で満たされている場合に比べて渦電流損失を抑制できる。従って、給電システムは、移動体との間で海水中において送電又は受電を行う際に、コイル間領域が海水で満たされている場合に比べて給電効率を向上させることができる。
【0007】
給電システムにおいて、低導電性媒体は、海水よりもイオン濃度が低い水である淡化水を低導電性媒体としてコイル間領域に供給してもよい。この場合、給電システムは、海水よりもイオン濃度が低い水である淡化水を用いることによって、給電効率を向上させることができる。
【0008】
給電システムにおいて、媒体供給装置は、海水から淡化水を生成する淡化水生成部を備えていてもよい。この場合、給電システムは、周囲に存在する海水から淡化水を生成でき、コイル間領域に淡化水を容易に供給できる。
【0009】
給電システムにおいて、媒体供給装置は、コイル間領域への淡化水の供給を制御する制御部と、コイル間領域におけるイオン濃度を計測する濃度計測部と、を更に備え、制御部は、濃度計測部で計測されたイオン濃度が予め定められた基準濃度以下となるように、コイル間領域への淡化水の供給を制御してもよい。この場合、給電システムは、コイル間領域のイオン濃度に応じて自動で淡化水を供給できる。
【0010】
給電システムは、コイル間領域の少なくとも一部を覆う壁部を更に備えていてもよい。この場合、給電システムは、壁部によって、コイル間領域に供給された低導電性媒体と海水とが混ざり合うことを抑制できる。すなわち、コイル間領域が淡化水で満たされ易くなる。これにより、給電システムは、低導電性媒体を用いて給電効率をより一層向上させることができる。
【0011】
給電システムにおいて、壁部は、コイル間領域を上方から覆うドーム状に形成されていてもよい。この場合、給電システムは、ドーム状の壁部を用いることによって、コイル間領域に供給された低導電性媒体と海水とが混ざり合うことをより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、移動体との間で海水中において送電又は受電を行う際に給電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る給電システムの概略構成を示す側面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1及び図2に示されるように、給電システム1は、海水W中を移動する水中航走体(移動体)Mに対し、海水W中において非接触で送電する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、水中航走体Mを基準とした方向とする。「上」、「下」は、鉛直方向における上下とする。上下方向は、前後方向に直交する。左右方向は、上下方向及び前後方向にそれぞれ直交する。
【0016】
水中航走体Mは、前後方向に沿って延びる略円柱状の本体部を有している。水中航走体Mの筐体Ma内の上部には、受電コイル装置(受電パッド)40が設置されている。受電コイル装置40は、受電コイル(移動体側コイル)41を有している。受電コイル装置40には、受電回路、及び充電回路等を介して、バッテリが接続される。
【0017】
給電システム1は、送電コイル装置(送電パッド)10、淡化水供給装置(媒体供給装置)20(図2参照)、及びステーション(壁部)30を備えている。
【0018】
送電コイル装置10は、送電コイル(コイル)11を有している。送電コイル11は、水中航走体Mに搭載された受電コイル41に対して送電する。送電コイル装置10には、送電回路、及び整流回路等を介して、外部電源が接続される。送電コイル装置10は、ステーション30の屋根部31の下面に設けられている。
【0019】
給電システム1から水中航走体Mへ送電を行う場合、受電コイル装置40の上方に送電コイル装置10が位置し、受電コイル装置40と送電コイル装置10とが上下方向において対向するように、海水W中で水中航走体Mを停止させる。送電コイル装置10の送電コイル11と受電コイル装置40の受電コイル41とが電磁気的に結合して電磁結合回路を形成することにより、送電コイル11から受電コイル41へと非接触給電が行われる。すなわち、受電コイル装置40は、送電コイル装置10から非接触で電力を受け取る。電磁結合回路は、「電磁誘導方式」で給電を行う回路であってもよく、「磁界共鳴方式」で給電を行う回路であってもよい。
【0020】
淡化水供給装置20は、給電システム1から水中航走体Mへの送電時において、上下方向に対向する送電コイル11と受電コイル41との間のコイル間領域Rに対して、海水Wよりも導電性が低い低導電性媒体を供給する。本実施形態において、淡化水供給装置20は、海水Wよりもイオン濃度が低い水である淡化水Tを低導電性媒体としてコイル間領域Rに供給する。淡化水Tは、海水Wよりもイオン濃度が低いため、海水Wよりも導電性が低い。なお、ここでの海水Wとは、給電システム1が設置されているエリアの海水Wである。
【0021】
より詳細には、淡化水供給装置20は、淡化水生成部21、ポンプ22、制御部23、及び濃度センサ(濃度計測部)24を備えている。淡化水生成部21は、海水Wから淡化水Tを生成する。淡化水生成部21は、例えば、海水Wから淡水を生成する海水淡水化装置であってもよい。淡化水生成部21は、例えば、逆浸透膜法、蒸留法等、周知の種々の方法を用いて淡化水Tを生成することができる。例えば、蒸留法等の熱を用いて淡化水Tを生成する場合、淡化水生成部21は、送電コイル11、送電回路等で発生する熱を利用してもよい。
【0022】
ポンプ22は、淡化水生成部21によって生成された淡化水Tをコイル間領域Rに供給する。ポンプ22は、例えば、淡化水Tを圧縮して送り出す圧縮ポンプである。ここでは、ポンプ22は、配管Lによって、ステーション30に設けられたノズル34と接続されている。ポンプ22が配管Lを介してノズル34に淡化水Tを送ることで、ノズル34からコイル間領域R内に向けて淡化水Tが供給される。
【0023】
制御部23は、コイル間領域Rへの淡化水Tの供給を制御する。制御部23は、物理的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備える電子制御ユニットである。
【0024】
より詳細には、制御部23は、ポンプ22の駆動を制御することによって、コイル間領域Rへの淡化水Tの供給を制御する。また、制御部23は、濃度センサ24で計測されたコイル間領域Rにおけるイオン濃度に基づいて、淡化水Tの供給を制御する。制御部23は、計測されたイオン濃度が予め定められた基準濃度以下となるように、淡化水Tの供給を制御する。ここでの基準濃度は、海水Wのイオン濃度よりも低い値が設定される。これにより、コイル間領域Rにおけるイオン濃度が海水Wのイオン濃度よりも低くなる。
【0025】
濃度センサ24は、コイル間領域Rにおけるイオン濃度を計測する。濃度センサ24としては、イオン濃度を計測可能な種々のセンサが用いられ得る。本実施形態において濃度センサ24は、例えば、図2に示されるように、送電コイル装置10の下面に取り付けられている。但し、濃度センサ24の取り付け位置は特に限定されない。コイル間領域Rに淡化水Tが供給されることにより、ステーション30の内側の収容空間S内が淡化水Tで満たされる。このため、例えば、濃度センサ24は、コイル間領域R以外の収容空間S内のイオン濃度をコイル間領域Rのイオン濃度として計測してもよい。
【0026】
上述した淡化水生成部21、ポンプ22、及び制御部23は、ステーション30に取り付けられていてもよく、ステーション30以外の場所に設置されていてもよい。
【0027】
ステーション30は、給電システム1から水中航走体Mへ送電を行う際の水中航走体Mの給電場所となる。ステーション30は、海底等に設置された支持体に支持されていてもよく、海水W中に浮いた状態で設置されていてもよい。
【0028】
ステーション30は、コイル間領域Rの少なくとも一部を覆う。本実施形態において、ステーション30は、コイル間領域Rを上方から覆うドーム状に形成されている。より詳細には、ステーション30は、屋根部31、前壁部32、及び後壁部33を備えている。
【0029】
屋根部31は、水中航走体Mの前後方向に沿って延在し、水中航走体Mの上部を覆うことが可能な大きさとなっている。屋根部31は、水中航走体Mの左右方向の断面が上方に向けて突出する円弧状に形成されている。屋根部31における前側の端部には、前壁部32が設けられている。屋根部31における後ろ側の端部には後壁部33が設けられている。これにより、ステーション30の内側には、左右方向の断面が略半円状の収容空間Sが形成される。言い換えると、ステーション30は、開口部を有する箱状の部材であり、開口部が下方を向くように配置されている。すなわち、ステーション30の下方は開口しており、ステーション30の下方から収容空間S内に水中航走体Mが進入できる。
【0030】
水中航走体Mは、給電システム1から送電を受ける場合、下方からステーション30に接近し、送電コイル装置10の下方に受電コイル装置40が位置するように水中航走体Mの上部を収容空間S内に進入させる。これにより、コイル間領域Rと、水中航走体Mの上部とはステーション30によって上方から覆われた状態となる。すなわち、コイル間領域Rの上部及び側部が、ステーション30によって囲まれた状態となる。
【0031】
なお、図2に示されるように、送電コイル装置10は、屋根部31の上部の下面に取り付けられている。また、屋根部31における送電コイル装置10が取り付けられた部分の近傍には、ノズル34が取り付けられている。ノズル34の入り口は配管Lに接続されている。ノズル34の出口は、収容空間S内のコイル間領域Rに向けられている。これにより、淡化水Tは、ノズル34の出口からコイル間領域Rに向けて噴射される。なお、図2ではノズル34が2つ設けられているが、ノズル34の数は特に限定されない。また、淡化水Tはノズル34から噴射されることに限定されず、屋根部31に設けられた孔から噴射されてもよい。
【0032】
ノズル34から淡化水Tが噴射されることにより、収容空間S内の海水Wが徐々に淡化水Tに置き換えられ、収容空間S内が淡化水Tで満たされる。すなわち、コイル間領域Rが淡化水Tで満たされる。なお、制御部23は、水中航走体Mがステーション30に到着してから(送電コイル装置10と受電コイル装置40とが対向してから)、淡化水Tをコイル間領域Rに供給してもよい。また、制御部23は、水中航走体Mがステーション30に到着する前に、淡化水Tを収容空間S内に供給してもよい。そして、収容空間S内が淡化水Tで満たされた状態で、水中航走体Mが収容空間S内に進入してもよい。このように、給電システム1から水中航走体Mへの送電時において、コイル間領域Rに淡化水Tが供給された状態(満たされた状態)であればよい。
【0033】
以上のように、給電システム1では、淡化水供給装置20によって、コイル間領域Rに海水Wよりも導電性が低い淡化水Tが供給される。これにより、給電システム1は、送電コイル装置10(送電コイル11)から受電コイル装置40(受電コイル41)へ送電を行う際に、コイル間領域Rが海水Wで満たされている場合に比べて渦電流損失を抑制できる。従って、給電システム1は、水中航走体Mに対して海水W中において送電を行う際に、コイル間領域Rが海水Wで満たされている場合に比べて給電効率を向上させることができる。
【0034】
給電システム1は、コイル間領域Rに供給する導電性が低い低導電性媒体として、海水Wよりもイオン濃度が低い水である淡化水Tを用いる。このように、給電システム1は、淡化水Tを用いることによって、給電効率を向上させることができる。
【0035】
淡化水供給装置20は、海水Wから淡化水を生成する淡化水生成部21を備えている。これにより、給電システム1は、周囲に存在する海水Wから淡化水Tを生成でき、コイル間領域Rに淡化水Tを容易に供給できる。
【0036】
制御部23は、濃度センサ24で計測されたコイル間領域Rのイオン濃度が基準濃度以下となるように、コイル間領域Rへの淡化水Tの供給を制御する。これにより、給電システム1は、コイル間領域Rのイオン濃度に応じて自動で淡化水Tを供給できる。
【0037】
例えば、本実施形態におけるステーション30は、下面が開口しているため、収容空間S内の淡化水Tとステーション30の下方の海水Wとの界面から収容空間S内にイオンが入り込む。これにより、収容空間S内の淡化水Tのイオン濃度が上昇し、導電性が高くなる。このような場合であっても、給電システム1は、コイル間領域Rのイオン濃度に応じて淡化水Tを供給することで、給電効率が低下することを自動で抑制できる。
【0038】
給電システム1は、コイル間領域Rを上方から覆うステーション30を備えている。これにより、給電システム1は、ステーション30によって、コイル間領域Rに供給された淡化水Tと海水Wとが混ざり合うことを抑制できる。すなわち、コイル間領域Rが淡化水Tで満たされ易くなる。これにより、給電システム1は、淡化水Tを用いて給電効率をより一層向上させることができる。
【0039】
ここで、低導電性媒体として淡化水Tを用いる場合、淡化水Tの比重は海水Wよりも低いため、海水Wに対して淡化水Tが浮き上がろうとする。これにより、給電システム1は、ステーション30の下方が開口していても、収容空間S内に淡化水Tを充満させることができる。このように給電システム1は、海水Wと淡化水Tとの比重を考慮して、コイル間領域Rに淡化水Tを適切に留まらせることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、淡化水供給装置20は、淡化水生成部21を備えていなくてもよい。この場合、淡化水供給装置20は、淡化水Tが貯蔵されたタンクを備えており、タンク内の淡化水Tをコイル間領域Rに供給してもよい。このタンクは、例えば交換式であり、タンク内の淡化水Tが空になった場合に、外部のタンク貯蔵施設等から淡化水供給装置20にタンクが運び込まれてもよい。このように、淡化水供給装置20は、淡化水Tをコイル間領域Rに供給できればよい。
【0041】
淡化水供給装置20は、ポンプ22を用いて淡化水Tをコイル間領域Rに供給(圧送)することに限定されない。例えば、淡化水供給装置20は、淡化水生成部21を備えていなくてもよい。例えば、淡化水生成部21によって生成された淡化水Tは、比重差等によって、自然とコイル間領域Rに供給されてもよい。
【0042】
制御部23は、ポンプ22の駆動を制御することによって、コイル間領域Rへの淡化水Tの供給を制御することに限定されない。制御部23は、種々の方法を用いて、淡化水Tの供給を制御することができる。例えば、制御部23は、配管Lに設けられた切替弁等を制御することによって、淡化水Tのコイル間領域Rへの供給/供給の停止を切り替えてもよい。
【0043】
制御部23は、濃度センサ24で計測されたイオン濃度に基づいて、淡化水Tの供給を制御することに限定されない。制御部23は、種々の条件に基づいて、淡化水Tの供給を制御してもよい。例えば、制御部23は、淡化水Tの供給を開始してからの経過時間が予め定められた基準時間を経過した場合に、淡化水Tの供給を停止してもよい。例えば、この基準時間は、淡化水Tの供給を開始してから収容空間S内の海水Wが全て淡化水Tに置き換わるまでの時間に基づいて設定されてもよい。
【0044】
また、給電システム1は、低導電性媒体として淡化水Tをコイル間領域Rに供給したが、低導電性媒体として淡化水Tを供給することに限定されない。給電システム1は、例えば、低導電性媒体として海水Wよりも導電性が低い空気、又は固体をコイル間領域Rに供給してもよい。
【0045】
送電コイル装置10は、ステーション30の屋根部31の下面に設けられていることに限定されない。例えば、送電コイル装置10は、ステーション30の屋根部31の上面に設けられていてもよい。すなわち、送電コイル装置10と受電コイル装置40とは、間に屋根部31を挟んだ状態で送電/受電を行ってもよい。この場合、屋根部31は、例えば、非導電性材料によって構成されていればよい。
【0046】
また、実施形態においては、送電コイル装置10の下方に受電コイル装置40が位置する状態で送電コイル装置10から受電コイル装置40へ送電したが、送電時における送電コイル装置10及び受電コイル装置40の配置はこの配置に限定されない。水中航走体Mに設けられた受電コイル装置40の配置位置に応じて送電コイル装置10が配置されていればよい。例えば、水中航走体M内の側壁部に受電コイル装置40が設けられている場合、左右方向において受電コイル装置40と対向するように送電コイル装置10が配置されていればよい。
【0047】
ステーション30の形状は、コイル間領域Rを上方から覆うドーム状であることに限定されない。ステーション30の形状は、種々の形状が採用され得る。このように、ステーション30は、コイル間領域Rの少なくとも一部を覆い、コイル間領域Rとその周囲の領域とを区画できればよい。例えば、ステーション30は、コイル間領域R及び水中航走体Mの全体を収容可能な箱状に形成されていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、給電システム1から水中航走体Mに送電したが、水中航走体Mから給電システム1に送電してもよい。この場合、給電システム1は、送電コイル装置10に代えて受電コイル装置を備えていればよい。この受電コイル装置は、水中航走体Mに搭載された送電コイル(移動体側コイル)から受電する受電コイル(コイル)を備えていればよい。そして、水中航走体Mの送電コイルと給電システム1の受電コイルとの間のコイル間領域Rに淡化水Tが供給されればよい。この場合であっても、実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0049】
さらに、給電システム1は、水中を移動する水中航走体Mとの間で送電又は受電を行うことに限定されない。給電システム1は、水中航走体M以外の種々の移動体との間で送電又は受電を行ってもよい。
【0050】
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 給電システム(給電システム)
11 送電コイル(コイル)
20 淡化水供給装置(媒体供給装置)
21 淡化水生成部
23 制御部
24 濃度センサ(濃度計測部)
30 ステーション(壁部)
41 受電コイル(移動体側コイル)
M 水中航走体(移動体)
R コイル間領域
T 淡化水(低導電性媒体)
W 海水
図1
図2