IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建設機械 図1
  • 特許-建設機械 図2
  • 特許-建設機械 図3
  • 特許-建設機械 図4
  • 特許-建設機械 図5
  • 特許-建設機械 図6
  • 特許-建設機械 図7
  • 特許-建設機械 図8
  • 特許-建設機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/10 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B62D55/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019133144
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021017117
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】松本 潤
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-129079(JP,A)
【文献】特開2012-148626(JP,A)
【文献】特開平05-213236(JP,A)
【文献】特開2000-142497(JP,A)
【文献】特開2002-347672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体を備える建設機械であって、
上記下部走行体が、
走行する向きに対して左右の方向に延びる複数のアクスルを有するトラックフレームと、
上記トラックフレームの上記複数のアクスルに連結される少なくとも左右一対のクローラフレームと
を備え、
上記アクスルの先端部が上記アクスルの本体部に対して水平方向に回転可能に構成され、
上記先端部と上記本体部との間に装着されて上記先端部の回転を規制する固定部材を有し、
上記先端部の回転を規制する位置が、上記本体部から上記先端部が真直に延びる真直位置と、上記本体部から上記先端部が垂直に屈曲する屈曲位置とを含む建設機械。
【請求項2】
上記固定部材が、上記先端部と上記本体部との間に配設されるブラケットである請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
上記先端部及びブラケットには、それぞれ対応する位置に第1貫通孔及び第2貫通孔が形成され、
両端部のうち少なくとも一方の端部にピン孔が形成されているとともに上記第1貫通孔及び第2貫通孔に挿入される固定ピン、及び
上記第1貫通孔及び第2貫通孔への固定ピンの挿入状態を維持すべく上記ピン孔に装着される抜け止めピンをさらに備える請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
上記先端部が、上記固定部材と当接する当接面を有しており、
上記当接面が、上記真直位置において上記本体部の先端面に対向し、上記屈曲位置において上記本体部の側面に対向するよう構成されており、
上記固定部材が、上記先端面と上記当接面との間、又は上記側面と上記当接面との間に装着されることにより、上記先端部の回転を規制するように構成されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
上記固定部材の装着状態において、上記アクスルの上記本体部の上面及び上記先端部の上面、並びに上記固定部材の上面が面一である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の下部走行体としては、クローラ間隔を拡大及び縮小可能にできるものとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この下部走行体は、走行する向きに対して左右の方向に延びる複数のアクスルと、このアクスルの先端においてアクスルに対して水平方向に回転可能に設けられる延長ビームとを備えている。
【0003】
上記下部走行体にあっては、クローラ間隔を縮小する場合には、アクスルから延長ビームが垂直に屈曲する屈曲位置とし、クローラ間隔を拡大する場合には、アクスルから延長ビームが真直に延びる真直位置として用いられる。真直状態にあっては、延長ビームは、
回転止めプレートによってアクスルに対する回転が規制される。
【0004】
クローラ付き建設機械を輸送する際には、クローラ間隔を縮小するために、延長ビームを屈曲位置として輸送されることが多い。上記クローラ付き建設機械にあっては、輸送時における回転止めプレートの紛失を防止するために、クローラフレームには、屈曲位置の延長ビームの下方に回転止めプレートの保管場所が設けられている。また、クローラフレームには、屈曲位置の延長ビームの回転を規制する手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-129079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、輸送重量の規制の強化から、輸送重量を小さくすためにクローラを取り外した状態で輸送することがなされている。この状態で輸送する場合、上記従来のクローラ付き建設機械では、回転止めプレートの保管場所がなくなり、回転止めプレートを紛失するおそれがある。また、屈曲位置の延長ビームの回転を規制する手段がなくなるため、輸送中に延長ビームが不用意に回転するおそれがある。
【0007】
上述の事情に鑑み、本発明は、クローラフレームを取り外した状態であっても、容易かつ確実にアクスルの先端部の回転を規制でき、かつ上記先端部の回転を規制する固定部材を紛失することを防止できる建設機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた当該建設機械は、下部走行体を備える建設機械であって、上記下部走行体が、走行する向きに対して左右の方向に延びる複数のアクスルを有するトラックフレームと、上記トラックフレームの上記複数のアクスルに連結される少なくとも左右一対のクローラフレームとを備え、上記アクスルの先端部が上記アクスルの本体部に対して水平方向に回転可能に構成され、上記先端部と上記本体部との間に装着されて上記先端部の回転を規制する固定部材を有し、上記先端部の回転を規制する位置が、上記本体部から上記先端部が真直に延びる真直位置と、上記本体部から上記先端部が垂直に屈曲する屈曲位置とを含む。
【0009】
上記固定部材が、上記先端部と上記本体部との間に装着されて上記先端部の回転を規制することにより、上記先端部が真直位置及び屈曲位置で回転が規制される。このように屈曲位置の上記先端部にあっても、固定部材によって回転が規制されるため、クローラフレームを取り外していても上記先端部が回転されにくく、また、固定部材が上記回転の規制に用いられるため、固定部材の紛失が生じにくい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、クローラフレームを取り外した状態であっても、容易かつ確実にアクスルの先端部の回転を規制でき、かつ上記先端部の回転を規制する固定部材を紛失することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械の下部構造体を示す概略的斜視図である。
図2図2は、図1の建設機械の下部走行体からクローラフレームを取り外した状態を示す概略的斜視図である。
図3図3は、図1の建設機械のアクスルの延長ビーム(真直位置)を示す概略的要部拡大斜視図である。
図4図4は、図1の建設機械のアクスルの延長ビーム(屈曲位置)を示す概略的要部拡大斜視図である。
図5図5は、図4の状態において固定部材を装着した状態を示す概略的要部拡大斜視図である。
図6図6は、図1の建設機械の固定部材を示す概略的要部拡大斜視図である。
図7図7は、図3の状態において固定部材を装着した状態を示す概略的要部拡大斜視図である。
図8図8は、図1の建設機械のクローラフレームの概略的要部拡大側面図である。
図9図9は、図1の建設機械のアクスルの延長ビーム(屈曲位置)をクローラフレームに固定した状態を示す概略的要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
当該建設機械は、下部走行体を備える建設機械であって、上記下部走行体が、走行する向きに対して左右の方向に延びる複数のアクスルを有するトラックフレームと、上記トラックフレームの上記複数のアクスルに連結される左右一対のクローラフレームとを備え、上記アクスルの先端部が上記アクスルの本体部に対して水平方向に回転可能に構成され、上記先端部と上記本体部との間に装着されて上記先端部の回転を規制する固定部材を有し、上記先端部の回転を規制する位置が、上記本体部から上記先端部が真直に延びる真直位置と、上記本体部から上記先端部が垂直に屈曲する屈曲位置とを含む。
【0013】
上記固定部材が、上記先端部と上記本体部との間に装着されて上記先端部の回転を規制することにより、上記先端部が真直位置及び屈曲位置で回転が規制される。このように屈曲位置の上記先端部にあっても、固定部材によって回転が規制されるため、クローラフレームを取り外していても上記先端部が回転されにくく、また、固定部材が上記回転の規制に用いられるため、固定部材の紛失が生じにくい。これにより、当該建設機械は、クローラフレームを取り外した状態であっても、容易かつ確実にアクスルの先端部の回転を規制でき、かつ上記先端部の回転を規制する固定部材を紛失することを防止できる。
【0014】
当該建設機械にあっては、上記固定部材が、上記先端部と上記本体部との間に配設されるブラケットであるとよい。これにより、ブラケットによって容易かつ確実にアクスルの先端部の回転を規制できる。
【0015】
上記先端部及びブラケットには、それぞれ対応する位置に第1貫通孔及び第2貫通孔が形成され、当該建設機械が、両端部のうち少なくとも一方の端部にピン孔が形成されているとともに上記第1貫通孔及び第2貫通孔に挿入される固定ピン、及び上記第1貫通孔及び第2貫通孔への固定ピンの挿入状態を維持すべく上記ピン孔に装着される抜け止めピンをさらに備えるとよい。これにより、挿入状態の固定ピンのピン孔に抜け止めピンを装着することで、固定部材の先端部からの不用意な離脱を的確に抑制できる。
【0016】
当該建設機械にあっては、上記先端部が、上記固定部材と当接する当接面を有し、上記当接面が、上記真直位置において上記本体部の先端面に対向し、上記屈曲位置において上記本体部の側面に対向するよう構成されており、上記固定部材が、上記先端面と上記当接面との間、又は上記側面と上記当接面との間に装着されることにより、上記先端部の回転を規制するように構成されている。これにより、上記固定部材が、上記先端面と上記当接面との間、又は上記側面と上記当接面との間に装着されることで、上記先端部の回転を規制でき、上記真直位置、又は上記屈曲位置からの上記先端部の回転を容易かつ確実に抑制できる。
【0017】
当該建設機械にあっては、上記固定部材の装着状態において、上記アクスルの上記本体部の上面及び上記先端部の上面、並びに上記固定部材の上面が面一であるとよい。これにより、容易かつ確実にアクスルにクローラフレームを連結することができる。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態の建設機械について図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態においては、建設機械の一例としてクローラクレーンを例にとり説明する。なお、以下の説明において、「前」とは、通常の走行時(前進時)の前方を意味し、「後」とは、通常の走行時の後方を意味する。また、「左」とは、前進方向に向かって左方を意味し、「右」とは、前進方向に向かって右方を意味する。
【0019】
[全体構成]
当該建設機械は、図1に示すような下部走行体100と、この下部走行体100の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体(図示省略)と、この上部旋回体に設けられたブーム(図示省略)とを備える。
【0020】
下部走行体100は、図1及び図2に示すように、走行する向きに対して左右の方向に延びる複数(2本)のアクスル2を有するトラックフレーム1と、トラックフレーム1の複数のアクスル2に連結される左右一対のクローラフレーム3とを備えている。クローラフレーム3は、トラックフレーム1に対して着脱可能に設けられている。なお、アクスル2とは、例えば、走行する向きに対して左右の方向に延びるよう設けられ、クローラフレーム3に連結され、当該建設機械の荷重をクローラフレーム3に伝達する部材を意味する。
【0021】
上記アクスル2は、その先端部が本体部に対して水平方向に回転可能に構成されている。具体的には、アクスル2は、本体部として走行する向きに対して左右の方向に延びるアクスル本体5と、先端部としてアクスル本体5の先端に設けられる延長ビーム6とを有している。延長ビーム6は、アクスル本体5から真直に延びる真直位置と、アクスル本体5から垂直に屈曲する屈曲位置との間を回転可能に設けられている。また、下部走行体100は、アクスル本体5と延長ビーム6との間に装着されて延長ビーム6の回転を規制する固定部材11を有している(図3等参照)。固定部材11の詳細については後述する。
【0022】
上記クローラフレーム3には、上記アクスル2の端部(アクスル本体5及び延長ビーム6)が挿入可能な連結孔4が前後2箇所に設けられている。クローラフレーム3の外周には、クローラが装着される(図1参照)。延長ビーム6が真直位置であるアクスル2にクローラフレーム3が連結されることで、左右のクローラ間隔が最大となり、延長ビーム6が屈曲位置であるアクスル2にクローラフレーム3が連結されることで、左右のクローラ間隔が最小となる。なお、本実施形態においては、クローラが左右一対のものについて説明するが、前後に左右2対のクローラが設けられているもの(前後左右に4つのクローラが設けられているもの)であってもよい。クローラフレーム3は、屈曲位置の延長ビーム6の回転を規制可能に設けられているが、詳細な説明は後述する。
【0023】
<アクスル及び固定部材>
アクスル2は、上述のように複数のアクスル本体5と、複数のアクスル本体5の両端部にそれぞれ設けられているとともに鉛直方向の軸を中心として水平方向に回転可能に設けられている延長ビーム6とを有しており、延長ビーム6は、真直位置及び屈曲位置において固定部材11が装着されることで、回転が規制されるように設けられている(図3図7参照)。より具体的には、上記アクスル本体5は、端部に延長ビーム6を取付けるための凹部を有し、延長ビーム6は、このアクスル本体5の凹部に左右方向中央側端部が介在し、この端部付近において上記鉛直方向の軸に軸支されている。また、延長ビーム6は、上記アクスル本体5の凹部から突出する側の端部において上下方向に隆起し、延長ビーム6の隆起部分の上面及び下面の一部は、アクスル本体5の上面及び下面と面一に設けられている(同一高さの平面を有する)。
【0024】
延長ビーム6は、装着された固定部材11と当接する当接面8を有しており、当接面8が、真直位置においてアクスル本体5の先端面9(左端面及び右端面)に対向し、屈曲位置においてアクスル本体5の側面10(先端側の前面又は後面)に対向するよう構成されている。そして、固定部材11は、アクスル本体5の先端面9と真直位置の延長ビーム6の当接面8との間に装着されることで、真直位置の延長ビーム6の回転を規制する。また、固定部材11は、アクスル本体5の側面10と屈曲位置の延長ビーム6の当接面8との間に装着されることで、屈曲位置の延長ビーム6の回転を規制する。
【0025】
具体的に説明すると、延長ビーム6を取付けるための凹部を構成するアクスル本体5の上板部材の左端面及び右端面によって上記先端面9が構成されている(図3参照)。また、アクスル本体5の上記上板部材の前面又は後面によって上記側面10が構成されている(図4参照)。さらに、上述のようにアクスル本体5の上記凹部から突出する側の端部において上方に隆起する鉛直ビーム6の鉛直面によって上記当接面8が構成されている(図3及び図4参照)。また、当接面8は、真直位置及び屈曲位置の延長ビーム6の先端面9及び側面10との間に隙間をもって対向するように設けられており、この隙間に形成される凹み部(当接面8と先端面9又は側面10との間の空間)に固定部材11が嵌め込まれることで、延長ビーム6は真直位置及び屈曲位置での回転が規制される。なお、先端面9及び側面10とは、延長ビーム6の回転軸である上記鉛直方向の軸との間隔が同一となるよう設けられている。
【0026】
固定部材11は、ブラケットから構成されている。このブラケット11は、真直位置及び屈曲位置の延長ビーム6の当接面8と先端面9及び側面10との間に形成される上記凹み部に装着可能に設けられた部材である。このブラケット11は、装着時に当接面8と先端面9又は側面10との間に当接する板状の本体部材12と、この板状の本体部材12の下面に固着されているとともに装着時に上記凹み部の底面と当接する板状の下部材16とを有する。延長ビーム6は上述のように上面が隆起する角部が徐々に隆起する曲線状(R状)に設けられており、上記下部材16は上記角部と干渉しないように本体部材12よりも左右方向の幅が狭く設けられている(真直状態の延長ビーム6への装着状態)。
【0027】
また、上記凹み部への装着時にブラケット11の上面(本体部分12の上面)が、アクスル本体5の上面及び延長ビーム6の隆起部分の一部の上面と面一に設けられている(同一高さの平面を有する)。
【0028】
ブラケット11は、本体部材12及び下部材16の両端面それぞれに(真直状態の延長ビーム6への装着状態における前端面及び後端面に)下方に向けて突出するよう設けられた側板部材をさらに有している。つまり、固定部材11は、本体部材12、下部材16及び一対の側板部材によって断面略倒C字状のブラケットとして設けられている。一対の側板部材は、ブラケット11が延長ビーム6の上記凹み部に装着された際に、図5及び図7に示すように、延長ビーム6を挟み込む位置にとなるよう設けられている。
【0029】
延長ビーム6及びブラケット11には、それぞれ対応する位置に第1貫通孔7及び第2貫通孔13が形成されている。つまり、延長ビーム6の上記凹み部にブラケット11が装着された状態において、延長ビーム6の第1貫通孔7及びブラケット11の上記側板部材の第2貫通孔13の位置が合致する。
【0030】
ブラケット11の側板部材は、本体部材12よりも先端側(真直位置の延長ビーム6の先端側)に突出する突出部位を有している。第1貫通孔7及び第2貫通孔13は、延長ビーム6の隆起部位に設けられている。つまり、第1貫通孔7及び第2貫通孔13は、上記側板部材の突出部位かつ上記凹み部の上面よりも上方側に位置している。このため、作業時等(例えば、吊り荷を吊る時や、吊った吊り荷を移動させている時等)において、第1貫通孔7及び第2貫通孔13に応力が集中しにくい。
【0031】
下部走行体100は、図6に示すように、両端部にピン孔(図示省略)が形成されるとともに第1貫通孔7及び第2貫通孔13に挿入される固定ピン14と、第1貫通孔7及び第2貫通孔13への固定ピン14の挿入状態を維持すべく上記ピン孔に装着される抜け止めピン15とをさらに備えている(図6及び図7参照)。これにより、挿入状態の固定ピン14のピン孔に抜け止めピン15を装着することで、ブラケット11の延長ビーム6からの不用意な離脱を的確に抑制できる。
【0032】
<クローラフレーム>
クローラフレーム3は、上述のように屈曲位置の延長ビーム6の回転を規制可能に設けられている。つまり、図8及び図9に示すように、クローラフレーム3及び延長ビーム6には、上記屈曲位置の上記先端部の回転を規制すべく、上記屈曲位置においてそれぞれ対応する位置にピン孔23,22が形成されている(図8図9及び図3参照)。これにより、屈曲位置の延長ビーム6のピン孔22と、クローラフレーム3のピン孔23とに図9に示すようにピン24を装着することで、延長ビーム6の不用意な回転が抑制できる。
【0033】
クローラフレーム3は、固定部材であるブラケット11が嵌まり込む収容部25を有ししている(図8及び図9参照)。この収容部25は、屈曲位置にある延長ビーム6の下方に位置し、収容部25に収容されているブラケット11の上面と屈曲位置にある延長ビーム11の下面とが対向するよう構成されている。このため、延長ビーム6が真直状態にある状態で収容部25に嵌め込み、その後、延長ビーム6を屈曲位置に回転し、この屈曲位置の延長ビーム6のピン孔22及びクローラフレーム3のピン孔23にピン24を装着して延長ビーム6の回転を規制した際、収容部25に収容されているブラケット11の上面と屈曲位置にある延長ビーム6の下面とが対向しているので、ブラケット11の収容部25からの不用意な離脱を抑制できる。
【0034】
[動作説明]
次に、上述のように構成された当該建設機械の動作について説明する。
【0035】
図3に示すように延長ビーム6を真直位置に回転させ、延長ビーム6の当接面8とアクスル本体5の先端面9との間の凹み部にブラケット11を嵌め合わせることで、延長ビーム6の不用意に回転が規制される。そして、このブラケット11が凹み部に位置する状態において、延長ビーム6の第1貫通孔7とブラケット11の第2貫通孔13とに固定ピン14を挿入することで、ブラケット11の不用意な離脱が抑制される。さらに、第1貫通孔7と第2貫通孔13に挿入された固定ピン14の両端部に抜け止めピン15を挿入することで、固定ピン14の不用意な離脱が抑制でき、ブラケット11の不用意な離脱をより確実に抑制できる。
【0036】
また、図4に示すように延長ビーム6を屈曲位置に回転させ、延長ビーム6の当接面8とアクスル本体5の側面10との間の凹み部にブラケット11を嵌め合わせることで、延長ビーム6の不用意な回転が規制される。そして、このブラケット11が凹み部に位置する状態において、延長ビーム6の第1貫通孔7とブラケット11の第2貫通孔13とに固定ピン14を挿入することで、ブラケット11の不用意な離脱が抑制される。さらに、第1貫通孔7と第2貫通孔13に挿入された固定ピン14の両端部に抜け止めピン15を挿入することで、固定ピン14の不用意な離脱が抑制でき、ブラケット11の不用意な離脱をより確実に抑制できる。このように屈曲位置の延長ビーム6にあっても、ブラケット11によって回転が規制されるため、クローラフレーム3を取り外していても延長ビーム6の回転を的確に抑制でき、また、ブラケット11が上記回転の抑制に用いられるため、ブラケット11の紛失が生じにくい。つまり、当該建設機械にあっては、輸送重量を小さくすためにクローラフレーム3を取り外した状態で例えばトレーラーなどによって輸送する場合であっても、上述のように屈曲状態の延長ビーム6の回転の抑制がなされ、そのためにブラケット11を有効に利用できるため、輸送に際してのブラケット11の管理が容易となる利点を有する。また、輸送時に延長ビーム6を屈曲位置に位置するように折り畳むことができ、長さを短くして輸送できるので、トレーラーの荷台上の占有面積を小さくすることができ、荷台のスペースの有効活用(他の荷物を載せる等)を図ることができる。
【0037】
なお、当該建設機械にあって、クローラフレーム3を取付けた状態で輸送する場合であっても、上述のようにブラケット11を保管しつつ屈曲状態の延長ビーム6の回転を抑制できる(図9参照)。
【0038】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0039】
上記実施形態においては、固定部材が、板状の本体部材、板状の下部材及び一対の側板部材から構成されるブラケットであるものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。固定部材は、アクスルの先端部が真直位置と屈曲位置における回転を規制できるものであれば適宜設計変更可能である。
【0040】
また、固定部材11が上記実施形態のような一対の側板部材を有するものであっても、具体的な構成は上述のものに限定されるものではなく、さらには固定部材11が一対の側板部材を有する場合であっても側板部材の先端側(本体部材12よりも先端側)に突出する突出部位に固定部材11の離脱防止手段(貫通孔13)が形成されているものに限定されない。つまりは、側板部材の本体部材12よりも下方の部位に形成された貫通孔によって固定部材の離脱防止手段が構成されているものであってもよいが、応力集中の観点からは上記実施形態のように当接面8の先端側(真直位置の先端部の先端側)に固定部材の離脱防止手段が設けられていることが好ましい。
【0041】
さらに、固定部材11の離脱防止手段として上記実施形態においては第1貫通孔7及び第2貫通孔13への固定ピン14の装着を例にとり説明したが、その他の種々の手段を採用することが可能である。さらに、上記実施形態のように固定ピン14の装着を採用する場合であっても、上記実施形態のように固定ピン14の両端部へ抜け止めピン15を装着することで固定ピン14の離脱を防止するものに限定されるものではなく、種々の構成を採用することができ、例えば、固定ピンの一端部のみに抜け止めピン15を装着可能として、他端部を貫通孔を挿通不能な頭部とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の建設機械は、クローラ間隔が拡大及び縮小可能なクローラ式建設機械に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 トラックフレーム
2 アクスル
3 クローラフレーム
4 連結孔
5 本体部(アクスル本体)
6 先端部(延長ビーム)
7 第1貫通孔
8 当接面
9 先端面
10 側面
11 固定部材
12 固定部材本体
13 第2貫通孔
14 固定ピン
15 抜け止めピン
16 沈み込み防止部
21 突出片
22 第1ピン穴
23 第2ピン穴
24 固定ピン
25 収容部
100 下部走行体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9