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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20230418BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230418BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20230418BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230418BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21W103:60
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020001417
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2020205237
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019109667
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-13286(JP,A)
【文献】特開2008-155767(JP,A)
【文献】特開2018-98066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/14
F21W 103/60
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズで集光された光を部分的に通す照射スリットが設けられた遮光部材と、
前記遮光部材を通過した光を投影して照射パターンを形成する投影レンズと、を備え、
前記照射スリットは、前記照射パターンにおいて最も離れた位置に投影される最遠部に対応する最遠箇所と、前記照射パターンにおいて最も近い位置に投影される最近部に対応する最近箇所と、を有し、
前記集光レンズは、前記遮光部材上において、上下方向では前記最遠箇所を最も明るくかつ前記最近箇所を最も暗くするとともに、光軸方向および上下方向に直交する幅方向では前記光源から出射された光を上下方向よりも拡散させることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記照射パターンは、並べられた複数の照射図柄を有し、
前記照射スリットは、前記照射図柄に個別に対応するスリット部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記集光レンズは、前記遮光部材上において、幅方向では前記スリット部内で前記光源からの光を拡散させることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記集光レンズは、前記遮光部材上において、幅方向で前記スリット部が設けられる設定範囲内で前記光源からの光を拡散させることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記照射スリットは、前記最近箇所が上側でかつ前記最遠箇所が下側とされて複数の前記スリット部が上下方向に並べられ、
前記スリット部は、前記最近箇所から前記最遠箇所に向かうに連れて小さくされて、光軸よりも上側に位置する数よりも光軸よりも下側に位置する数の方が多くされており、
前記集光レンズは、上下方向で上側レンズ部と下側レンズ部とで構成され、
前記上側レンズ部は、少なくとも光軸近傍の光束を前記スリット部と前記投影レンズとの間で光軸に交差させ、
前記下側レンズ部は、光軸から最も離れた位置を通る光束を前記スリット部と前記投影レンズとの間において最も前記スリット部側で光軸に交差させることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記投影レンズは、前記遮光部材において光軸から径方向で所定の間隔とされた径方向位置からの平行光に対する焦点面が、前記径方向位置が大きくなるに連れて曲率半径が小さくされていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記焦点面は、前記径方向位置に拘わらず前記遮光部材とは反対側に曲率中心が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、車両の周辺の路面に照射パターンを形成することが考えられている。
【0003】
ここで、このような車両用灯具は、車両に取り付けられて、その車両の周辺の路面に対して傾斜する方向で照射パターンを投影する。このため、その車両用灯具は、照射パターン内の位置によって車両の設置位置から路面までの距離が変化するので、照射パターンにおける車両から離れた個所が極端に暗くなってしまう。
【0004】
そこで、車両用灯具は、光源からの光を投影する投影レンズとしてマイクロアレイレンズを用いることが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。そうすると、照射パターンにおける路面までの距離に応じてマイクロアレイレンズにおける各レンズ部の焦点位置を調節することで、照射パターンにおける輝度分布を所望のものにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2012-530263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術は、路面までの距離に応じて各レンズ部の焦点位置を調節したマイクロアレイレンズを用いる必要があるので、複雑な構成となってしまう。
【0007】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、簡易な構成としつつ照射パターンにおける輝度分布を所望のものにできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の車両用灯具は、光源と、前記光源から出射された光を集光する集光レンズと、前記集光レンズで集光された光を部分的に通す照射スリットが設けられた遮光部材と、前記遮光部材を通過した光を投影して照射パターンを形成する投影レンズと、を備え、前記照射スリットは、前記照射パターンにおいて最も離れた位置に投影される最遠部に対応する最遠箇所と、前記照射パターンにおいて最も近い位置に投影される最近部に対応する最近箇所と、を有し、前記集光レンズは、前記遮光部材上において、上下方向では前記最遠箇所を最も明るくかつ前記最近箇所を最も暗くするとともに、光軸方向および上下方向に直交する幅方向では前記光源から出射された光を上下方向よりも拡散させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の車両用灯具によれば、簡易な構成としつつ照射パターンにおける輝度分布を所望のものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る車両用灯具が車両に搭載されて照射パターンを形成した様子を示す説明図である。
図2】実施例1の車両用灯具の構成を示す説明図である。
図3】フィルタの構成を示す説明図である。
図4】車両用灯具において光軸方向と幅方向とを含む横断面上で集光レンズを通過した光が進行する様子を示す説明図である。
図5】車両用灯具において光軸を含む縦断面で集光レンズの上側レンズ部を通過した光が進行する様子を示す説明図である。
図6】車両用灯具において光軸を含む縦断面で集光レンズの下側レンズ部を通過した光が進行する様子を示す説明図である。
図7】フィルタ上における光束分布を示す説明図である。
図8】投影レンズにおけるフィルタからの平行光に対する焦点面の関係性を示す説明図である。
図9】スクリーン上に投影した照射パターンを示す説明図である。
図10】路面上に投影した照射パターンを示す説明図である。
図11】路面上に投影した照射パターンにおける各照射図柄Diの輝度を示すグラフであり、縦軸で輝度値を示し、横軸で各照射図柄Di(その位置)を示している。
図12】車両用灯具で形成した照射パターンの一例としての使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例1について図面を参照しつつ説明する。なお、図1では、車両用灯具10が設けられている様子の把握を容易とするために、車両1に対して車両用灯具10を強調して示しており、必ずしも実際の様子とは一致するものではない。
【実施例1】
【0012】
本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、図1から図12を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、図1に示すように、自動車等の車両1の灯具として用いられるもので、車両1に設けられる前照灯とは別に、車両1の周辺の路面2に照射パターンPiを形成する。ここで、車両1の周辺とは、車両1に設けられる前照灯により照射される前照灯領域よりも車両1に近い近接領域を必ず含むものであり、部分的に前照灯領域を含む場合もある。車両用灯具10は、実施例1では、車両の前部の左右両側の灯室に配置されている。その灯室は、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成されている。車両用灯具10は、灯室において、光軸Laが路面2に対して傾斜した状態で設けられる。これは、灯室が路面2よりも高い位置に設けられていることによる。以下の説明では、車両用灯具10において、光を照射する方向となる光軸Laが伸びる方向を光軸方向(図面ではZとする)とし、光軸方向を水平面に沿う状態とした際の鉛直方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向および上下方向に直交する方向(水平方向)を幅方向(図面ではXとする)とする(図2等参照)。
【0013】
車両用灯具10は、図2に示すように、光源部11と集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14とが筐体15に収容され、その筐体15に放熱部材16が取り付けられており、プロジェクタタイプの路面投影ユニットを構成する。筐体15は、下側部材15aと上側部材15bとで構成されており、下側部材15aに上記の各部材(11から14)が設置された状態で、上側部材15bが嵌め合わされる。筐体15では、集光レンズ12を嵌め入れる集光レンズ溝15cと、フィルタ13を嵌め入れるフィルタ溝15dと、投影レンズ14を嵌め入れる投影レンズ溝15eとが設けられている(下側部材15a側のみ図示)。
【0014】
光源部11は、光源21が基板22に実装されている。光源21は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、出射光軸が光軸Laと一致されて設けられる。光源21は、実施例1では、光軸Laを中心とするランバーシアン分布で、アンバー色の単色光(縦軸を光量とし横軸を波長としたグラフにおいてピークが1つとされたもの)を出射する。なお、光源21は、出射する光における、色(波長帯域)や、分布の態様や、色の数(上記したグラフでのピークの数)等は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0015】
基板22は、点灯制御回路からの電力を適宜供給して光源21を点灯させる。基板22は、放熱部材16の設置面(光源設置部16a)に取り付けられた状態で、筐体15の後端部(投影レンズ溝15eとは光軸方向で反対側の端部)に収容される。
【0016】
集光レンズ12は、光源21から出射された光を集光するものであり、フィルタ13上に光を集める。集光レンズ12は、実施例1では両凸レンズで形成されて、入射面12aおよび出射面12b(図4等参照)が自由曲面とされている。集光レンズ12における光学的な設定については後述する。集光レンズ12では、幅方向の両端に取付フランジ部12cが設けられている。各取付フランジ部12cは、筐体15の集光レンズ溝15cに嵌め入れることが可能とされている。集光レンズ12は、光軸方向に延びるレンズ軸を有する。そのレンズ軸は、集光レンズ12において光軸方向での厚さが最も大きい位置を通る光学的な軸線である。集光レンズ12は、取付フランジ部12cが集光レンズ溝15cに嵌め入れられるとレンズ軸の延びる方向が光軸Laと一致される。なお、入射面12aと出射面12bとは、集光レンズ12を凸レンズとするものであって後述の光学的な設定を満たすものであれば、凸面でもよく凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0017】
フィルタ13は、集光レンズ12で集光された光源21からの光を部分的に通すことで照射パターンPiを形成する遮光部材の一例である。その照射パターンPiは、図1等に示すように、4つの照射図柄Diが車両1から遠ざかる方向に略等しい間隔で整列されている。各照射図柄Diは、大きく開くV字形状とされており、互いに略等しい大きさとされている。ここで、各照射図柄Diは、個別に示す際には、車両1から最も遠いものを第1照射図柄Di1とし、そこから車両1に順に近づくにつれて、第2照射図柄Di2、第3照射図柄Di3、第4照射図柄Di4とする。このため、照射パターンPiでは、第1照射図柄Di1が最遠部となり、第4照射図柄Di4が最近部となる。照射パターンPiは、V字形状の頂点が略一直線上に位置されて4つの各照射図柄Diが並べられることで、車両1から所定の方向を指し示す矢印のように見せることができる。実施例1では、車両用灯具10は、車両1の左右の先端部にそれぞれ設けられ、車両1の前後方向の前側であって幅方向の外側へ向けて斜めに指し示すように、周辺の路面2上に照射パターンPiを形成する。この照射パターンPiは、車両1が進む方向を周辺に知らせることができ、実施例1ではターンランプと連動して形成される。
【0018】
フィルタ13は、図3に示すように、フィルタ部23がフィルタ枠部24に設けられている。フィルタ枠部24は、フィルタ部23を取り囲む枠状とされており、筐体15のフィルタ溝15dに嵌め入れることが可能とされている(図1参照)。
【0019】
フィルタ部23は、基本的に光の透過を阻む板状のフィルム部材で形成されており、照射スリット25が設けられている。照射スリット25は、集光レンズ12で集光された光源21からの光を部分的に透過させることで、照射パターンPiの形状に成形する。照射スリット25は、照射パターンPiに対応されており、実施例1では4つのスリット部26で構成されている。4つのスリット部26は、4つの照射図柄Diに一対一で対応しており、各照射図柄Diと同様に大きく開くV字形状とされ、各照射図柄Diとは異なり互いに異なる大きさとされるとともに異なる間隔とされている。詳細には、車両用灯具10は、路面2に対して光軸Laが傾斜して設けられることでフィルタ13および投影レンズ14から路面2までの距離が異なるので、投影レンズ14により路面2上に投影されると各スリット部26(そこを透過した光である各照射図柄Di)がその距離に応じた大きさおよび間隔とされる。このため、各スリット部26は、路面2上で各スリット部26(各照射図柄Di)が略等しい大きさで略等間隔となるように、路面2までの距離に応じて大きさおよび間隔が設定されている。
【0020】
また、各スリット部26は、照射パターンPiの各照射図柄Diの位置関係に対して、光軸Laを中心として回転対象な位置関係とされている。詳細には、車両用灯具10は、投影レンズ14が反転させてフィルタ13(照射スリット25)を路面2に投影させることから、路面2上で各照射図柄Diが狙った位置関係となるように、各照射図柄Diに対して光軸Laを中心として回転対象な位置関係で各スリット部26を設けている。このため、各スリット部26は、上下方向の最も下側の第1スリット部261が、照射パターンPiの第1照射図柄Di1(最遠部)に対応する最遠箇所となる。そして、各スリット部26は、その上の第2スリット部262が第2照射図柄Di2に対応し、その上の第3スリット部263が第3照射図柄Di3に対応し、最も上側の第4スリット部264が照射パターンPiの第4照射図柄Di4(最近部)に対応する最近箇所となる。実施例1のフィルタ13では、上下方向において、第3スリット部263が光軸Laを跨いで設けられ、その上に第4スリット部264が設けられ、第3スリット部263の下に第2スリット部262と第1スリット部261とが設けられている。
【0021】
ここで、車両用灯具10は、図1に示すように、車両1の左右で、車両1の幅方向に直交する面に関して面対称に照射パターンPiを形成するものとされている。このため、車両用灯具10では、図3に示すように、車両1の右前に設けられた際の右側用のフィルタ13Rと、車両1の左前に設けられた際の左側用のフィルタ13Lと、の2つが設定されている。この両フィルタ13R、13Lは、幅方向に直交する面に関して面対称とされて照射スリット25(その各スリット部26)が設けられていることを除くと、互いに等しい構成とされている。このフィルタ13(照射スリット25の各スリット部26を透過した光)は、投影レンズ14により路面2に投影される。
【0022】
投影レンズ14は、図2に示すように、光軸方向で見て円形状の凸レンズとされたレンズ本体部27と、その周辺を取り巻くフランジ部28と、を備える。レンズ本体部27は、実施例1では、入射面27aおよび出射面27bが、凸面とされた自由曲面とされている。投影レンズ14のレンズ本体部27における光学的な設定については後述する。投影レンズ14は、光軸方向に延びるレンズ軸を有する。このレンズ軸は、レンズ本体部27において光軸方向での厚さが最も大きい位置を通る光学的な軸線である。なお、入射面27aと出射面27bとは、レンズ本体部27を凸レンズとするものであって後述の光学的な設定を満たすものであれば、凸面でもよく凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0023】
フランジ部28は、レンズ本体部27から光軸Laを中心とする放射方向に突出しており、光軸Laを中心する周方向で全周に亘っている。フランジ部28は、筐体15の投影レンズ溝15eに嵌め入れることが可能とされている。投影レンズ14は、フランジ部28が投影レンズ溝15eに嵌め入れられるとレンズ軸の延びる方向が光軸Laと一致される。
【0024】
放熱部材16は、光源21で発生する熱を外部に逃がすヒートシンク部材であり、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成される。この放熱部材16は、光源部11(その基板22)が設置される光源設置部16aと、複数の放熱フィン16bとを有する。放熱部材16は、光源設置部16aに設置された光源部11で発生した熱を各放熱フィン16bから外部に放熱する。
【0025】
車両用灯具10は、図2を参照して以下のように組み付けられる。先ず、基板22に光源21が実装されて光源部11が組み付けられ、その光源部11が放熱部材16の光源設置部16aに固定される。その後、筐体15の下側部材15aにおいて、集光レンズ溝15cに集光レンズ12を嵌め入れ、フィルタ溝15dにフィルタ13を嵌め入れ、投影レンズ溝15eに投影レンズ14を嵌め入れる。そして、光源21の出射光軸が光軸Laと一致させて位置決めした状態で、筐体15の下側部材15aの後端部に基板22を収容しつつ、下側部材15aの後端に放熱部材16の光源設置部16aを固定する。その後、下側部材15aの上側に上側部材15bを嵌め合わせることで、光源部11と集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14とが筐体15に収容されつつ放熱部材16が取り付けられる。これにより、光源部11の光源21の光軸La上に、光源21側から集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14との順に並べて所定の位置関係で配置されるとともに、光源部11に放熱部材16が固定されて、車両用灯具10が組み付けられる。
【0026】
この車両用灯具10は、光軸Laが車両1の外側の斜め前側に向けられつつ車両1の周辺の路面2に対して傾斜された状態で灯室に設けられる(図1参照)。車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を基板22から光源21に供給することで、光源21を適宜点灯および消灯することができる。光源21からの光は、集光レンズ12で集光されてフィルタ13を照射し、その照射スリット25(各スリット部26)を透過した後に、投影レンズ14により投影されることで、4つの照射図柄Diが略一直線上に並ぶ照射パターンPiを路面2上に形成する。
【0027】
次に、集光レンズ12の光学的な設定について、図4から図7を用いて説明する。その図7では、色が濃くなるほど相対的に明るいことを示し、色が薄くなるほど相対的に暗いことを示す。先ず、集光レンズ12は、基本的に、光源21からの光を集光することで、フィルタ13における設定範囲Sr(図3参照)内を照射させる。設定範囲Srは、実施例1では、右側用のフィルタ13Rおよび左側用のフィルタ13Lの双方の照射スリット25(その各スリット部26)が設けられている範囲、すなわち左右双方のフィルタ13R、13Lの照射スリット25を網羅する範囲とされている。設定範囲Srは、光軸Laを中心とする略楕円形状とされており(図7参照)、集光レンズ12も設定範囲Srに合わせて光軸Laを中心とする略楕円形状とされている。なお、設定範囲Srは、照射スリット25の形状に合わせて形状を設定すればよく、また、集光レンズ12も設定範囲Srに合わせて形状を設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。以下では、光軸Laに直交する方向を径方向とする。
【0028】
集光レンズ12は、図4に示すように、光軸方向と幅方向とを含む横断面において、光源21からの光を出射面12bからフィルタ13までの間で、径方向で光軸Laの近傍を通る光束を拡散させるとともに、径方向で光軸Laから離れた位置を通る光束を平行とさせる。すなわち、集光レンズ12は、ランバーシアン分布とされて光量が高い光軸Laの近傍では光を拡散させるとともに、光軸Laの近傍から外側へ向かうほど光を集めるものとしている。このため、集光レンズ12は、横断面すなわち幅方向において、光源21からの光をフィルタ13の設定範囲Sr内で、略等しい光量分布となるように略均等に拡散させる。
【0029】
集光レンズ12は、図5および図6に示すように、光軸Laを中心として上下方向で上側レンズ部31と下側レンズ部32とからなる自由曲面とされている。その上側レンズ部31は、図5に示すように、光軸方向と上下方向とを含む縦断面において、光源21からの光を光軸Laと交差させるように集光する。上側レンズ部31は、光源21からの光のうち少なくとも光軸La近傍の光束を、フィルタ13と投影レンズ14との間において他の光束よりも最もフィルタ13側で光軸Laに交差させる。そして、上側レンズ部31は、光軸La近傍の光束を除く大半の光束を、投影レンズ14を超えてから光軸Laに交差させる。なお、上側レンズ部31は、少なくとも光軸La近傍の光束をフィルタ13と投影レンズ14との間で他の光束よりも最もフィルタ13側で光軸Laに交差させるものであれば、それ以外の光束に関しては投影レンズ14の前後のいずれで光軸Laに交差させてもよい。これにより、上側レンズ部31は、自らを通過した光源21からの光を、設定範囲Srにおける光軸Laよりも上側において、上下方向で満遍なく拡散させつつ、径方向で光軸Laに近づくほど多くの光を集める。なお、図5では、上側の方が多くの光束が集められているようにも見えるが、集光レンズ12の形状に応じて光源21からの光束を記載しているためであり、実際には上記の設定により光軸Laに近づくほど多くの光を集めている。
【0030】
下側レンズ部32は、図6に示すように、上記の縦断面において、光源21からの光を光軸Laと交差させるように集光する。下側レンズ部32は、光源21からの光のうち径方向で光軸Laから最も離れた位置を通る光束を、フィルタ13と投影レンズ14との間において最もフィルタ13側で光軸Laに交差させる。すなわち、下側レンズ部32は、光源21からの光において、光軸Laから最も離れた位置を通る光束を最も手前で光軸Laに交差させ、光軸Laに近づく光束ほどフィルタ13から離れた位置で光軸Laに交差させる。そして、下側レンズ部32は、光軸La近傍の光束を含む大半の光束を、フィルタ13と投影レンズ14との間で光軸Laに交差させる。なお、下側レンズ部32は、少なくとも光軸Laから最も離れた位置を通る光束をフィルタ13と投影レンズ14との間で光軸Laに交差させるものであれば、それ以外の光束に関しては投影レンズ14の前後のいずれで光軸Laに交差させてもよい。これにより、下側レンズ部32は、自らを通過した光源21からの光を、設定範囲Srにおける光軸Laよりも下側において上下方向で満遍なく拡散させつつ、径方向で光軸Laから遠ざかるほど光を集める。
【0031】
この集光レンズ12は、上記した光学的な設定とされることで、自らを通過した光源21からの光を、図7に示すように、フィルタ13(図示の例では左側用のフィルタ13L)に対して設定範囲Sr内を照射させる。その設定範囲Srでは、集光レンズ12(その上側レンズ部31および下側レンズ部32)における上下方向での設定により、上下方向において、最遠箇所となる第1スリット部261が最も明るく、最近箇所となる第4スリット部264が最も暗くなるように、第1から第4のスリット部261、262、263、264の順に徐々に明るさが変化している。すなわち、集光レンズ12は、上下方向において、最遠箇所となる第1スリット部261が設けられている位置を最も明るくしつつ(ピークとして)、そこから離れるに連れて漸次的に暗くして、光源21からの光で設定範囲Sr内を照射させる。このため、集光レンズ12は、光源21からの光を集光することで、フィルタ13の縦断面すなわち上下方向において、最遠箇所を最も明るくしかつ最近箇所を最も暗くするように光軸Laを挟んで明るさを漸次的に変化させている。
【0032】
また、設定範囲Srでは、集光レンズ12における横断面(幅方向)での設定により、各スリット部26すなわち上下方向での各位置において、幅方向における明るさが略均一なものとされている。すなわち、集光レンズ12は、幅方向において、上下方向と比較して明るさの差が生じないように拡散させて、光源21からの光で設定範囲Sr内を照射させる。そして、設定範囲Srは、上記のように設定されているので、左右のいずれのフィルタ13R、13Lを用いた場合であっても、同様の光束分布で照射スリット25(各スリット部26)を照射できる。このような光束分布とされたフィルタ13すなわち各スリット部26を透過した光が、投影レンズ14により路面2に投影される。
【0033】
次に、投影レンズ14の光学的な設定について、図8を用いて説明する。図8では、(a)に6mmの径方向位置から出射された場合を示し、(b)に4mmの径方向位置から出射された場合を示し、(c)に2mmの径方向位置から出射された場合を示す。そのレンズ本体部27(投影レンズ14)は、図8に示すように、焦点面Fpを設定している。その焦点面Fpは、フィルタ13が設けられた光軸方向での位置(符号13で示す面)において、光軸La上および光軸Laから径方向に所定の間隔とされた径方向位置dからの平行光を集光させる点が位置する面である。その径方向位置dは、光軸Laに対する上下左右の全ての径方向での位置であり、レンズ本体部27は光軸Laに直交するいずれの方向であっても同様の設定とされている。レンズ本体部27は、径方向位置dが大きくなるほど、焦点面Fpの曲率半径rが小さくなる、すなわち焦点面Fpの曲率が大きくなるように設定している。そして、レンズ本体部27は、径方向位置dに拘わらず、焦点面Fpに対してフィルタ13とは反対側(図8で焦点面Fpよりも左側)に曲率中心Cc(一番上と真ん中には記載)を設定しており、焦点面Fpを投影レンズ14側に凸としている。すなわち、レンズ本体部27は、径方向位置dが変化しても、焦点面Fpの凸方向が逆転しないものとしている。
【0034】
実施例1のレンズ本体部27は、一例として次のように焦点面Fpを設定している。レンズ本体部27は、図8の一番上に示すように、6mmの径方向位置dおよび光軸La上から出射された平行光に対しては、焦点面Fpの曲率半径rを約7mmとしている。また、レンズ本体部27は、図8の真ん中に示すように、4mmの径方向位置dおよび光軸La上から出射された平行光に対しては、焦点面Fpの曲率半径rを約14mmとしている。そして、レンズ本体部27は、図8の一番下に示すように、2mmの径方向位置dおよび光軸La上から出射された平行光に対しては、焦点面Fpの曲率半径rを約128mmとしている。なお、レンズ本体部27は、径方向位置dが大きくなるほど焦点面Fpの曲率半径rを小さくするものであれば、径方向位置dに対する曲率半径rの値は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。特に、レンズ本体部27は、近軸エリア(実施例1では径方向位置dで2mm未満)よりも径方向位置dが大きくなる位置(近軸エリアの外側)で、上記の焦点面Fpの設定(径方向位置dと曲率半径rとの関係)としている。これにより、レンズ本体部27は、近軸エリアを含む全面で設定した場合と比較して、殆ど変わりなく照射パターンPiの輪郭を鮮明としてボケを抑制でき、効率の良い光学的な設定とすることができる。
【0035】
この投影レンズ14は、上記した光束分布とされたフィルタ13の照射スリット25(その各スリット部26)を投影することで、図9および図10に示すように、照射パターンPiを形成する。図9は、光軸Laに直交させて配置したスクリーン上に形成した照射パターンPiを示し、図10は、光軸Laに対して傾斜する路面2上に形成した照射パターンPiを示す。照射パターンPiは、スクリーン上において、輪郭が鮮明とされており、ボケが抑制されている。これは、投影レンズ14(レンズ本体部27)を上記した設定とすることにより、投影レンズ14の像面湾曲の影響を低減することができることによる。
【0036】
また、照射パターンPiは、路面2上においても、輪郭が鮮明とされており、ボケが防止されている。これは、投影レンズ14(レンズ本体部27)を上記した設定とすることにより、光軸Laに対する路面2の傾斜により路面2までの距離が変化する影響を低減することができることによる。
【0037】
特に、実施例1の車両用灯具10では、光源21を単色光としているので、投影レンズ14における色収差の影響を大幅に抑制することができる。このため、投影レンズ14は、輪郭が鮮明とされてボケが抑制された照射パターンPiの形成できる。
【0038】
この照射パターンPiは、路面2上において、各照射図柄Diが図11に示す輝度値とされている。図11は、各照射図柄DiにおけるV字形状とされた頂点近傍の輝度値を示している。なお、図11では、一般に明るさの感覚が輝度の対数に比例することが知られているので、縦軸の輝度値を対数としている。図11に示すように、照射パターンPiは、車両1から最も遠い第1照射図柄Di1を最も暗く、かつ車両1に最も近い第4照射図柄Di4を最も明るくしつつ、車両1からの距離の変化に対する明るさの変化の度合いが対数的に直線状とされている。すなわち、照射パターンPiは、各照射図柄Diが互いに等しい間隔で配置されるとともに、第1照射図柄Di1、第2照射図柄Di2、第3照射図柄Di3、第4照射図柄Di4の順で、直線的に明るさが大きくされている。
【0039】
この作用の説明のために、比較例の車両用灯具を用いる。その比較例の車両用灯具は、車両用灯具10と同様の構成であって、フィルタ13の設定範囲Srすなわち各スリット部26を、集光レンズ12を通過した光源21からの光で一様な明るさで照射したものとする。比較例の車両用灯具は、路面2に投影すると、最近箇所の第4照射図柄Di4から、第3照射図柄Di3、第2照射図柄Di2、第1照射図柄Di1の順に暗くなっていくことは実施例1の車両用灯具10と同様であるが、その変化が直線的とはならず最遠箇所(第1照射図柄Di1)に近づくと急激に暗くする。これは、投影レンズ14で投影された照射パターンPiでは、投影レンズ14から投影面(この例では路面2)までの距離の二乗に比例して明るさが変化することによる。このため、比較例の車両用灯具は、最遠箇所(第1照射図柄Di1)の視認性が悪くなるとともに、明るさの急激な変化により見ている者に違和感を与えてしまう。
【0040】
これに対して、実施例1の車両用灯具10は、第1スリット部261が最も明るくかつ第4スリット部264が最も暗くなるように、フィルタ13の設定範囲Srを第1から第4のスリット部261、262、263、264の順に徐々に明るさを変化させて、光源21からの光でフィルタ13を照射している。すなわち、車両用灯具10は、照射パターンPiの各照射図柄Diにおける明るさとは逆に、最遠箇所の第1照射図柄Di1に対応する第1スリット部261を最も明るくし、最近箇所の第4照射図柄Di4に対応する第4スリット部264を最も暗くしている。このため、車両用灯具10は、投影レンズ14で路面2に投影することによる距離の変化に起因する明るさの急激な変化を、フィルタ13における明るさの設定で緩和することができ、各照射図柄Diの明るさの変化を直線的にできる。このため、車両用灯具10は、最遠箇所(第1照射図柄Di1)の視認性を確保できるとともに、明るさの直線的な変化とすることで見ている者の違和感を抑制できる。
【0041】
次に、この車両用灯具10の作用について、図12を用いて説明する。車両用灯具10は、ターンランプと連動されており、左右いずれかのターンランプが点灯されると、その点灯された側に設けられたものの光源21が点灯されて、照射パターンPiを路面2上に形成する。例えば、図12に示す例では、見通しの悪い路地から出てくる車両1が左折しようとしている場面を示している。車両1では、左側のターンランプが点滅されることで、左前に設けられた車両用灯具10が照射パターンPiを路面2上に形成する。すると、図12を正面視して右側から進行してきた車両1Aの運転手は、車両1を視認できない場合であっても、路面2上に形成された照射パターンPiを視認することができる。
【0042】
また、車両1は、左右の車両用灯具10がターンランプと連動されているので、ハザードランプが点灯された場合には、左右の2つの車両用灯具10が同時に照射パターンPiを路面2上に形成することとなる(図1参照)。このため、車両用灯具10は、左右のターンランプのみを点滅させている場合と比較して、車両1の周辺にいる者に対して、ハザードランプが点灯されていることをより確実に認識させることができる。
【0043】
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0044】
車両用灯具10は、光源21から出射された光を集光する集光レンズ12と、集光レンズ12で集光された光を部分的に通す照射スリット25が設けられた遮光部材としてのフィルタ13と、フィルタ13を通した光を投影して照射パターンPiを形成する投影レンズ14と、を備える。そして、車両用灯具10は、集光レンズ12が、フィルタ13上において、上下方向では照射スリット25の最遠箇所を最も明るくしかつ照射スリット25の最近箇所を最も暗くするとともに、幅方向では光源21から出射された光を上下方向よりも拡散させている。このため、車両用灯具10は、投影レンズ14から投影面までの距離の変化に起因する明るさの急激な変化を、フィルタ13における明るさの設定で緩和することができる。これにより、車両用灯具10は、光軸Laが路面2に対して傾斜して設けられた場合であっても、集光レンズ12によるフィルタ13上での明るさの設定により、照射パターンPiにおける輝度分布を所望のものにできる。そして、車両用灯具10は、単一の入射面12aおよび出射面12bで構成される集光レンズ12と、単一の出射面27bおよび入射面27aで構成される投影レンズ14と、により照射パターンPiを所望の輝度分布としているので、簡単な構成にできる。
【0045】
また、車両用灯具10は、照射パターンPiが並べられた複数の照射図柄Diを有し、照射スリット25が照射図柄Diに個別に対応するスリット部26を有する。このため、車両用灯具10は、各スリット部26の明るさを集光レンズ12で設定することで、各照射図柄Diを所望の明るさにでき、照射パターンPiの視認性を向上できる。
【0046】
さらに、車両用灯具10は、集光レンズ12が、フィルタ13上において、幅方向でスリット部26が設けられる設定範囲Sr内で光源21からの光を拡散させる。このため、車両用灯具10は、設定範囲Sr内であれば、例えば実施例1の幅方向に直交する面に関して面対称とされて照射スリット25(各スリット部26)が設けられている左右のフィルタ13を用いることのように、各スリット部26の位置を変更しても同様の光束分布とすることができる。これにより、車両用灯具10は、簡単な構成としつつ、汎用性を高めることができる。
【0047】
車両用灯具10は、照射スリット25では最近箇所が上側でかつ最遠箇所が下側とされて複数のスリット部26が上下方向に並べられている。また、車両用灯具10は、スリット部26では、最近箇所から最遠箇所に向かうに連れて小さくされて、光軸Laよりも上側に位置する数よりも光軸Laよりも下側に位置する数の方が多くされている。そして、車両用灯具10は、上下方向で上側レンズ部31と下側レンズ部32とで構成されている。加えて、車両用灯具10は、上側レンズ部31が少なくとも光軸La近傍の光束をスリット部26と投影レンズ14との間で光軸Laに交差させ、下側レンズ部32が光軸Laから最も離れた位置を通る光束をスリット部26と投影レンズ14との間において最もスリット部26側で光軸Laに交差させている。このため、車両用灯具10は、光軸Laが路面2に対して傾斜して設けられた場合であっても、複数の照射図柄Diを等しい大きさとしつつそれぞれを所望の明るさとすることができる。また、車両用灯具10は、最近箇所となる上側よりも最遠箇所となる下側にスリット部26の数を多く設けているので、光軸Laからの径方向で等しい範囲の中に全てのスリット部26を入れることができ、光源21からの光を効率良く利用することができる。
【0048】
車両用灯具10は、投影レンズ14において、フィルタ13からの平行光に対する焦点面Fpが、光軸Laの近傍から径方向に遠ざかるに連れて曲率半径が小さくされている。このため、車両用灯具10は、光軸Laが路面2に対して傾斜して設けられた場合であっても、投影レンズ14の像面湾曲の影響を低減してフィルタ13(照射スリット25(各スリット部26))を路面2上に投影でき、輪郭が鮮明でボケが抑制された照射パターンPiを路面2上に形成できる。
【0049】
車両用灯具10は、焦点面Fpが、光軸Laから径方向での距離に拘わらずフィルタ13とは反対側に曲率中心Ccが設定されている。このため、車両用灯具10は、光軸Laが路面2に対して傾斜して設けられた場合であっても、より輪郭が鮮明でボケがより抑制された照射パターンPiを路面2上に形成できる。
【0050】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、簡易な構成としつつ照射パターンPiにおける輝度分布を所望のものにできる。
【0051】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0052】
なお、実施例1では、4つの照射図柄Diを車両1から遠ざかる方向に略等しい間隔で整列させて照射パターンPiを構成している。しかしながら、照射パターンPiは、車両1の周辺の路面2に形成されて、実施例1のターンランプやハザードランプを示すもののように、車両1の周辺の者に対して運転手の何らかの意図を知らせるものであれば、図柄等は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、照射パターンPiは、単一の照射図柄Diで形成されていたり、互いに異なる図柄とされた各照射図柄Diで形成されていたり、してもよく、大きさや図柄が並び順で変化していてもよい。
【0053】
また、実施例1では、集光レンズ12が、左右のフィルタ13R、13Lに対応可能とするために、幅方向で各スリット部26が設けられる設定範囲Sr内で光源21からの光を拡散させるものとしている。しかしながら、集光レンズ12は、幅方向において、光を拡散させることで、各スリット部26を透過する光の輝度を略等しくするものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この一例として、集光レンズ12は、幅方向において、左右のいずれか一方のフィルタ13のスリット部26内で光源21からの光を拡散させる、すなわちスリット部26の幅方向での大きさに合わせた範囲に集光しつつその中で拡散させるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。このように、集光レンズ12は、幅方向でスリット部26の範囲に集光すると、最遠箇所に近付くほどスリット部26が小さくされているので、より効率良く第4から第1のスリット部264、263、262、261の順に徐々に明るくしていくことができる。
【0054】
さらに、実施例1では、各スリット部26において、幅方向における明るさを略均一なものとしている。しかしながら、各スリット部26における幅方向での明るさは適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、各スリット部26では、V字形状とされた頂点近傍を明るくすることができる。この場合、集光レンズ12は、横断面において、光源21からの光を出射面12bからフィルタ13までの間で、径方向で光軸Laの近傍を通る光束を平行とし、そこよりも径方向で外側の光束を拡散させるとともに、径方向で光軸Laから離れた位置を通る光束を平行とさせるものとする。このようにすると、照射パターンPiは、4つの照射図柄Diが略一直線上に並ぶ方向を指し示している様子を強調することができる。
【0055】
実施例1では、集光レンズ12において、光軸Laを中心として上下方向で上側レンズ部31と下側レンズ部32とが設定されている。しかしながら、集光レンズ12は、上下方向の上側に上側レンズ部31が設定されるとともに下側に下側レンズ部32が設定されていれば、それぞれの位置は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0056】
実施例1では、遮光部材として、集光レンズ12で集光された光を照射スリット25から透過させるフィルタ13を用いている。しかしながら、遮光部材は、集光レンズ12で集光された光を部分的に通す照射スリット25が設けられたものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。その他の構成としては、例えば、光を通さない板状の部材に、その部材を貫通する照射スリットを設け、集光レンズ12を経た光を照射スリットから通過させる遮光板とすることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 車両用灯具 12 集光レンズ 13 (遮光部材の一例としての)フィルタ 14 投影レンズ 21 光源 25 照射スリット 26 スリット部 31 上側レンズ部 32 下側レンズ部 Cc 曲率中心 d 径方向位置 Di 照射図柄 Fp 焦点面 La 光軸 Pi 照射パターン r 曲率半径 Sr 設定範囲
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