(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】マーカ取付構造
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
(21)【出願番号】P 2020026372
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-05-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 保紀
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3180212(JP,U)
【文献】実開昭52-103562(JP,U)
【文献】登録実用新案第3123809(JP,U)
【文献】実開昭53-4571(JP,U)
【文献】特開2007-62801(JP,A)
【文献】特開2013-29162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/38
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検知用のマーカをメッシュパレットに取り付けるマーカ取付構造であって、
前記マーカが貼り付けられたマーカ貼付板と、
前記メッシュパレットに着脱可能に取り付けられる1対の取付器具と、
前記マーカ貼付板を前記1対の取付器具に固定する複数の固定具とを備え、
前記メッシュパレットは、メッシュ状に構成されたパレット本体と、前記パレット本体の下部の左右両側に取り付けられた少なくとも1対の脚部とを有し、
前記脚部には、断面四角形状の角穴部が設けられており、
前記取付器具は、前記角穴部に挿入される断面四角形状の角棒部と、前記角棒部の前端側に配置され、前記マーカ貼付板の端部が装着される装着部とを有するマーカ取付構造。
【請求項2】
前記角棒部の外形寸法は、前記角穴部の外形寸法よりも小さくなっており、
前記取付器具は、前記角穴部の縁部に対して前記角棒部を押し付ける複数の押付部材を有する請求項1記載のマーカ取付構造。
【請求項3】
前記角穴部は、互いに対向する上縁部及び下縁部と、前記上縁部及び前記下縁部の対向方向に垂直な方向で互いに対向する外側縁部及び内側縁部とを有し、
前記押付部材は、前記角棒部を前記上縁部に対して押し付けると共に、前記角棒部を前記外側縁部及び前記内側縁部の何れか一方に対して押し付ける請求項2記載のマーカ取付構造。
【請求項4】
前記押付部材は、バネの付勢力によりボールを前記角穴部の縁部に当接させるボールプランジャである請求項2または3記載のマーカ取付構造。
【請求項5】
前記装着部の前端面には、前記マーカ貼付板を前記メッシュパレットの上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めする突壁部が設けられている請求項1~4の何れか一項記載のマーカ取付構造。
【請求項6】
前記固定具は、締結ボルトであり、
前記装着部には、前記締結ボルトの軸部がねじ込まれるボルト穴が設けられており、
前記マーカ貼付板の一端側には、前記軸部を貫通させる第1取付孔が設けられ、
前記マーカ貼付板の他端側には、前記軸部を貫通させる第2取付孔が設けられている請求項1~5の何れか一項記載のマーカ取付構造。
【請求項7】
前記第1取付孔及び前記第2取付孔の何れか一方は、前記メッシュパレットの左右方向に延びるような長孔状を呈している請求項6記載のマーカ取付構造。
【請求項8】
前記締結ボルトは、指でつまむためのノブ部と、前記ノブ部と前記軸部との間に配置された突部とを有し、
前記突部は、前記第1取付孔及び前記第2取付孔に収容される請求項7記載のマーカ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、物品の搬送に用いられるボックスパレットに物品の内容物を表示するためのネームプレートを取り付ける取付構造が記載されている。特許文献1に記載のボックスパレットは、複数の縦線材及び横線材によって格子状に組まれて構成されたメッシュパレットである。ネームプレートの4つの角部の近傍には、第1リベット孔が形成されている。特許文献1に記載の取付構造は、ネームプレートの両縁部をボックスパレットの縦線材に取り付けるための4つの金具を備えている。各金具は、縦線材をクランプする断面U字状のクランプ板と、このクランプ板のU字のなす一方の開口縁部に連なると共に、ネームプレートに重ねられる平坦状の取付板とを有している。取付板には、ネームプレートの第1リベット孔と合致する第2リベット孔が形成されている。第1リベット孔及び第2リベット孔にリベットの棒状部が差し込まれると、棒状部が潰されて係止部が形成される。これにより、ネームプレート及び金具が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばフォークリフトによりメッシュパレットの自動荷役を行う際には、メッシュパレットに取り付けられた位置検知用のマーカを車体に搭載されたカメラで撮影しながら走行し、カメラの撮影画像から得られたマーカの位置に基づいて、メッシュパレットの脚部の位置を検知している。ここで、マーカをメッシュパレットに取り付ける場合には、上記従来技術のように、マーカが貼り付けられたネームプレートを複数の金具によりメッシュパレットに取り付けることが考えられる。しかし、メッシュパレットにはガタツキがあるため、ネームプレートがメッシュパレットに取り付けられたときに、マーカの位置がばらつきやすくなる。従って、脚部の位置の検知精度の悪化につながる。
【0005】
本発明の目的は、メッシュパレットの脚部の位置の検知精度を向上させることができるマーカ取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、位置検知用のマーカをメッシュパレットに取り付けるマーカ取付構造であって、マーカが貼り付けられたマーカ貼付板と、メッシュパレットに着脱可能に取り付けられる1対の取付器具と、マーカ貼付板を1対の取付器具に固定する複数の固定具とを備え、メッシュパレットは、メッシュ状に構成されたパレット本体と、パレット本体の下部の左右両側に取り付けられた少なくとも1対の脚部とを有し、脚部には、断面四角形状の角穴部が設けられており、取付器具は、角穴部に挿入される断面四角形状の角棒部と、角棒部の前端側に配置され、マーカ貼付板の端部が装着される装着部とを有する。
【0007】
このようなマーカ取付構造において、位置検知用のマーカをメッシュパレットに取り付けるときは、メッシュパレットの各脚部の角穴部に各取付器具の角棒部をそれぞれ差し込み、その状態でマーカが貼り付けられたマーカ貼付板の両端部を各取付器具の装着部にそれぞれ装着する。このとき、固定具によりマーカ貼付板を各取付器具に固定する。このようにマーカは、メッシュパレットの各脚部の角穴部を基準にして、メッシュパレットにマーカ貼付板を介して取り付けられることになる。脚部は、メッシュ状に構成されたパレット本体に比べてガタツキが生じにくい。従って、マーカの位置ばらつきが抑制される。これにより、メッシュパレットの脚部の位置の検知精度が向上する。
【0008】
角棒部の外形寸法は、角穴部の外形寸法よりも小さくなっており、取付器具は、角穴部の縁部に対して角棒部を押し付ける複数の押付部材を有してもよい。角穴部の入口は、溶接による変形やメッシュパレットの流通時に発生する損傷等によって変形することがある。角穴部の入口が変形すると、角穴部の外形寸法が変化する。角棒部の外形寸法を角穴部の外形寸法よりも小さくすることにより、角穴部の入口の変形によって角穴部の外形寸法が変化しても、角棒部が角穴部に差し込まれる。このとき、複数の押付部材によって角棒部が角穴部の縁部に対して押し付けられるため、角穴部に対する角棒部の位置ずれが防止される。
【0009】
角穴部は、互いに対向する上縁部及び下縁部と、上縁部及び下縁部の対向方向に垂直な方向で互いに対向する外側縁部及び内側縁部とを有し、押付部材は、角棒部を上縁部に対して押し付けると共に、角棒部を外側縁部及び内側縁部の何れか一方に対して押し付けてもよい。このような構成では、押付部材によって角棒部が上縁部に対して押し付けられると共に、押付部材によって角棒部が外側縁部及び内側縁部の何れか一方に対して押し付けられる。このため、角穴部に対する角棒部の上下方向及び左右方向の位置ずれが防止される。また、角穴部の上縁部がパレット本体の底部により形成された構造とすることができる。
【0010】
押付部材は、バネの付勢力によりボールを角穴部の縁部に当接させるボールプランジャであってもよい。このような構成では、押付部材の構造を簡単化しつつ、角穴部に対する角棒部の位置ずれを防止することができる。
【0011】
装着部の前端面には、マーカ貼付板をメッシュパレットの上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めする突壁部が設けられていてもよい。このような構成では、マーカ貼付板の端部を装着部に装着する際に、突壁部によってマーカ貼付板がメッシュパレットの上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めされる。従って、マーカ貼付板の端部を装着部に装着しやすくなる。
【0012】
固定具は、締結ボルトであり、装着部には、締結ボルトの軸部がねじ込まれるボルト穴が設けられており、マーカ貼付板の一端側には、軸部を貫通させる第1取付孔が設けられ、マーカ貼付板の他端側には、軸部を貫通させる第2取付孔が設けられていてもよい。このような構成では、締結ボルトの軸部をマーカ貼付板の第1取付孔及び第2取付孔に通した状態で装着部のボルト穴にねじ込むことで、マーカ貼付板が装着部に締結される。従って、マーカ貼付板を取付器具に容易に固定することができる。
【0013】
第1取付孔及び第2取付孔の何れか一方は、メッシュパレットの左右方向に延びるような長孔状を呈していてもよい。このような構成では、マーカ貼付板における第1取付孔と第2取付孔との間の距離の誤差を長孔状の取付孔により吸収することができる。
【0014】
締結ボルトは、指でつまむためのノブ部と、ノブ部と軸部との間に配置された突部とを有し、突部は、第1取付孔及び第2取付孔に収容されてもよい。このような構成では、締結ボルトによりマーカ貼付板を装着部に締結する際には、作業者が締結ボルトのノブ部を指でつまんで回せばよいため、締結作業が容易になる。また、締結ボルトによりマーカ貼付板が装着部に締結された状態にあるときに、マーカ貼付板が押されて撓んでも、長孔状の取付孔によってマーカ貼付板がメッシュパレットの左右方向に逃げられるため、マーカ貼付板の破損等が防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メッシュパレットの脚部の位置の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマーカ取付構造を具備したメッシュパレットを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマーカ取付構造を具備したメッシュパレットの下部の拡大正面図である。
【
図3】
図2においてマーカ貼付板が無い状態を示す拡大正面図である。
【
図4】
図3において取付器具が無い状態を示す拡大正面図である。
【
図5】
図3に示された取付器具の外観を示す斜視図である。
【
図6】
図2に示された脚部に取付器具が取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示されたボールプランジャの構造を示す断面図である。
【
図8】
図2に示された締結ボルトによりマーカ貼付板が取付器具に締結固定された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るマーカ取付構造を具備したメッシュパレットを示す正面図である。
図1において、メッシュパレット1は、フォークリフト(図示せず)により荷役が行われる荷役対象物である。メッシュパレット1は、メッシュ状(網状)に構成された折り畳み式のパレット本体2と、このパレット本体2の下部に取り付けられた4つの脚部3とを備えている。メッシュパレット1は、例えばアルミニウム等の金属からなっている。
【0019】
パレット本体2は、メッシュパレット1の上下方向(Z方向)に延びる複数の縦線材4と、メッシュパレット1の左右方向(Y方向)及び前後方向(X方向)に延びる複数の横線材5とを有している。これらの縦線材4及び横線材5は、格子状に組まれて構成されている。
【0020】
脚部3は、パレット本体2の下部の4つの角部に取り付けられている。つまり、脚部3は、パレット本体2の下部の左右両側に2対取り付けられている。脚部3は、パレット本体2の最下部に配置された横線材5に溶接で接合されている。
【0021】
メッシュパレット1の前面(正面)には、位置検知用のマーカ6A,6Bが取り付けられている。マーカ6A,6Bは、左右1対の脚部3の位置を検知するために使用される。マーカ6A,6B、メッシュパレット1の下側部分 の左右両側に取り付けられる。
【0022】
フォークリフトは、積荷場所と出荷用のトラックとの間でメッシュパレット1を運搬する。具体的には、フォークリフトは、積荷場所において荷物が積み込まれたメッシュパレット1をトラックまで運搬し、トラックの荷台にメッシュパレット1を載せる。また、フォークリフトは、空のメッシュパレット1をトラックから積荷場所まで運搬し、積荷場所にメッシュパレット1を置く。
【0023】
このとき、フォークリフトは、積荷場所とトラックとの間で自動走行する。フォークリフトは、メッシュパレット1の正面側に位置しているときに、フォークリフトに搭載されたカメラによりマーカ6A,6Bを撮影し、その撮影画像から得られたマーカ6A,6Bの位置及び向きに基づいて、フォークリフトに対する左右1対の脚部3の位置及び向きを検知する。そして、フォークリフトは、左右1対の脚部3の位置及び向きの検知結果に応じて、パレット本体2の下側における各脚部3の間にフォーク(図示せず)を差し込むことで、自動荷役を行う。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係るマーカ取付構造を具備したメッシュパレットの下部の拡大正面図である。
図2において、本実施形態のマーカ取付構造10は、マーカ6A,6Bをメッシュパレット1に取り付ける構造である。
【0025】
マーカ取付構造10は、マーカ6A,6Bが貼り付けられたマーカ貼付板11と、メッシュパレット1に着脱可能に取り付けられる左右1対の取付器具12A,12Bと、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに固定する複数(ここでは2つ)の締結ボルト13とを備えている。
【0026】
図3は、
図2においてマーカ貼付板11が無い状態を示す拡大正面図である。
図4は、
図3において取付器具12A,12Bが無い状態を示す拡大正面図である。
図2~
図4において、マーカ貼付板11は、メッシュパレット1の左右方向に延びている。マーカ6A,6Bは、マーカ貼付板11の左右両側に貼り付けられている。
【0027】
マーカ貼付板11の一端部の下部には、締結ボルト13の軸部38を貫通させる円形状の取付孔14(第1取付孔)が設けられている(
図8参照)。つまり、取付孔14は、マーカ貼付板11の一端側に設けられている。
【0028】
マーカ貼付板11の他端部の下部には、締結ボルト13の軸部38を貫通させる取付孔15(第2取付孔)が設けられている。つまり、取付孔15は、マーカ貼付板11の他端側に設けられている。取付孔15は、マーカ貼付板11の長手方向(メッシュパレット1の左右方向)に延びるような長孔状を呈している。
【0029】
取付器具12A,12Bは、
図5及び
図6に示されるように、左右1対の脚部3に設けられた角穴部16に挿入される角棒部17A,17Bと、マーカ貼付板11の長手方向の端部が装着される装着部18A,18Bとをそれぞれ有している。装着部18A,18Bは、角棒部17A,17Bの前端側にそれぞれ配置されている。角棒部17A及び装着部18Aは、一体的に形成されている。角棒部17B及び装着部18Bは、一体的に形成されている。
【0030】
角穴部16は、脚部3の左右方向の外側上部に設けられている。角穴部16は、U字状の溝形鋼により形成されている。角穴部16は、上側に開放されるように配置された状態で、パレット本体2の最下端の横線材5に溶接で接合されている。角穴部16は、断面四角形状を呈している。ここでの断面は、脚部3の前後方向に垂直な方向で切った断面である。角穴部16の形状としては、断面長方形状でもよいし、断面正方形状でもよい。
【0031】
角穴部16は、
図6にも示されるように、下内壁面20、外側内壁面21、内側内壁面22及びパレット底23を有している。下内壁面20は、角穴部16の下縁部を構成している。外側内壁面21は、角穴部16の外側縁部を構成している。内側内壁面22は、角穴部16の内側縁部を構成している。内側内壁面22は、外側内壁面21よりも左右方向の内側に配置されている。パレット底23は、角穴部16の上縁部を構成している。パレット底23は、パレット本体2の最下端の横線材5で形成されている。
【0032】
下内壁面20及びパレット底23は、メッシュパレット1の上下方向に互いに対向している。外側内壁面21及び内側内壁面22は、メッシュパレット1の左右方向に互いに対向している。つまり、外側内壁面21及び内側内壁面22は、下内壁面20及びパレット底23の対向方向に垂直な方向で互いに対向している。
【0033】
角棒部17A,17Bは、角穴部16に対応した断面四角形状を呈している。ここでの断面は、角棒部17A,17Bの長手方向に垂直な方向で切った断面である。つまり、角棒部17A,17Bは、四角柱形状を呈している。角棒部17A,17Bは、
図6に示されるように、上壁面24、下壁面25、外側壁面26及び内側壁面27を有している。
【0034】
上壁面24は、角穴部16のパレット底23と対向する面である。下壁面25は、角穴部16の下内壁面20と対向する面である。外側壁面26は、角穴部16の外側内壁面21と対向する面である。内側壁面27は、角穴部16の内側内壁面22と対向する面である。角棒部17A,17Bの外形寸法は、角穴部16の外形寸法よりも小さい。ここでの外形寸法は、縦横の寸法のことである。
【0035】
装着部18A,18Bは、
図5に示されるように、断面略四角形状を呈している。ここでの断面は、角棒部17A,17Bと同じ方向で切った断面である。装着部18A,18Bの前端面の縁部には、マーカ貼付板11を位置決めするL字状の突壁部28が設けられている。突壁部28は、マーカ貼付板11をメッシュパレット1の上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めする。
【0036】
装着部18A,18Bの中心部には、締結ボルト13の軸部38(
図8参照)がねじ込まれるボルト穴29が設けられている。ボルト穴29は、装着部18A,18Bの前端面に開口している。
【0037】
また、取付器具12A,12Bは、
図5~
図7に示されるように、複数(ここでは2つ)のボールプランジャ30と、複数(ここでは2つ)のボールプランジャ31とを有している。ボールプランジャ30は、角棒部17A,17Bを角穴部16のパレット底23に対して押し付ける押付部材である。ボールプランジャ31は、角棒部17A,17Bを角穴部16の内側内壁面22に対して押し付ける押付部材である。
【0038】
ボールプランジャ30は、角穴部16の下内壁面20に当接するボール32と、このボール32を下内壁面20側に付勢するバネ33とを有している。バネ33は、角棒部17A,17Bに設けられた凹部34に収容されている。凹部34は、角棒部17A,17Bの下壁面25に開口している。
【0039】
従って、ボールプランジャ30は、角棒部17A,17Bの下壁面25側に設けられている。ボールプランジャ30は、バネ33の付勢力によりボール32を下内壁面20に当接させる反力によって、角棒部17A,17Bを角穴部16のパレット底23に対して押し付ける。
【0040】
ボールプランジャ31は、角穴部16の外側内壁面21に当接するボール35と、このボール35を外側内壁面21側に付勢するバネ36とを有している。バネ36は、角棒部17A,17Bに設けられた凹部37に収容されている。凹部37は、角棒部17A,17Bの外側壁面26に開口している。
【0041】
従って、ボールプランジャ31は、角棒部17A,17Bの外側壁面26側に設けられている。ボールプランジャ31は、バネ36の付勢力によりボール35を外側内壁面21に当接させる反力によって、角棒部17A,17Bを角穴部16の内側内壁面22に対して押し付ける。
【0042】
締結ボルト13は、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに締結固定する固定具である。締結ボルト13としては、ノブ付きボルトが使用される。締結ボルト13は、
図8に示されるように、装着部18A,18Bのボルト穴29にねじ込まれる軸部38と、指でつまむためのノブ部39と、軸部38とノブ部39との間に配置された円柱状の突部40とを有している。
【0043】
ノブ部39及び突部40は、締結ボルト13の頭部を構成している。ノブ部39及び突部40は、樹脂で一体的に形成されている。突部40は、ノブ部39に突設されている。突部40は、マーカ貼付板11の取付孔14,15に収容される。突部40の厚みは、マーカ貼付板11の厚みと同等である。
【0044】
締結ボルト13によりマーカ貼付板11が取付器具12Aの装着部18Aに締結された状態では、突部40は取付孔14と嵌合する。締結ボルト13によりマーカ貼付板11が取付器具12Bの装着部18Bに締結された状態では、取付孔15を画成するマーカ貼付板11の内壁面と突部40との間に、マーカ貼付板11の長手方向に沿った所定量の隙間が形成される。
【0045】
以上のようなマーカ取付構造10において、マーカ6A,6Bが貼り付けられたマーカ貼付板11をメッシュパレット1に取り付けるときは、まず取付器具12A,12Bの角棒部17A,17Bをメッシュパレット1の脚部3の角穴部16に差し込む(
図3参照)。このとき、角棒部17A,17Bの下壁面25が角穴部16の下内壁面20と対向し、角棒部17A,17Bの外側壁面26が角穴部16の外側内壁面21と対向するように、角棒部17A,17Bを角穴部16に差し込む。
【0046】
すると、ボールプランジャ30により角棒部17A,17Bが角穴部16のパレット底23に押し付けられると共に、ボールプランジャ31により角棒部17A,17Bが角穴部16の内側内壁面22に押し付けられる。このため、角穴部16に対する角棒部17A,17Bの位置が保持された状態となる。
【0047】
そして、マーカ貼付板11の左右両端部を取付器具12A,12Bの装着部18A,18Bに装着する(
図2参照)。具体的には、マーカ貼付板11の取付孔14,15が装着部18A,18Bのボルト穴29と一致するように、マーカ貼付板11を装着部18A,18Bに対して配置した状態で、締結ボルト13のノブ部39を指でつまんで、締結ボルト13の軸部38を取付孔14,15に対して貫通させてボルト穴29にねじ込んで締め付ける。これにより、マーカ貼付板11が取付器具12A,12Bに取り付けられた状態となる。
【0048】
マーカ貼付板11をメッシュパレット1から取り外すときは、締結ボルト13のノブ部39を指でつまんで、締結ボルト13の軸部38の締め付けを緩めてボルト穴29から抜き出すことで、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bから取り外す。そして、取付器具12A,12Bの角棒部17A,17Bを脚部3の角穴部16から引き抜くことで、取付器具12A,12Bを脚部3から取り外す。
【0049】
ところで、メッシュパレット1のパレット本体2は、縦線材4及び横線材5により格子状に構成されているため、ガタツキが発生しやすい。このため、マーカ6A,6Bが貼り付けられたマーカ貼付板11を結束バンド等によってパレット本体2に取り付けた場合には、マーカ6A,6Bの位置及び向きがばらつきやすくなる。従って、マーカ6A,6Bの位置及び向きに基づいて、自動荷役に必要なメッシュパレット1の脚部3の位置及び向きを検知する際に、検知精度が悪くなる。
【0050】
また、積荷時には、積荷場所において荷役作業前にマーカ貼付板11をメッシュパレット1に素早く取り付ける必要がある。一方、出荷時には、トラックの荷台にメッシュパレット1を載せた後に、マーカ貼付板11をメッシュパレット1から素早く取り外す必要がある。
【0051】
そのような課題に対し、本実施形態では、位置検知用のマーカ6A,6Bをメッシュパレット1に取り付けるときは、メッシュパレット1の各脚部3の角穴部16に取付器具12A,12Bの角棒部17A,17Bをそれぞれ差し込み、その状態でマーカ6A,6Bが貼り付けられたマーカ貼付板11の両端部を取付器具12A,12Bの装着部18A,18Bにそれぞれ装着する。このとき、締結ボルト13によりマーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに固定する。このようにマーカ6A,6Bは、メッシュパレット1の各脚部3の角穴部16を基準にして、メッシュパレット1にマーカ貼付板11を介して取り付けられることになる。脚部3は、メッシュ状に構成されたパレット本体2に比べてガタツキが生じにくい。また、脚部3は、パレット本体2の底部に溶接で接合された溶接構造体であるため、位置寸法のばらつきも少ない。従って、マーカ6A,6Bの位置ばらつきが抑制される。これにより、メッシュパレット1の脚部3の位置及び向きの検知精度が向上する。
【0052】
また、マーカ貼付板11をメッシュパレット1に取り付けるときは、上述したように、取付器具12A,12Bの角棒部17A,17Bを各脚部3の角穴部16に差し込んだ状態で、締結ボルト13を用いてマーカ貼付板11を取付器具12A,12Bの装着部18A,18Bに取り付けるので、マーカ貼付板11を短時間で取り付けることができる。一方、マーカ貼付板11をメッシュパレット1から取り外すときは、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bの装着部18A,18Bから取り外した後、取付器具12A,12Bの角棒部17A,17Bを各脚部3の角穴部16から引き抜くことで、取付器具12A,12Bを各脚部3から取り外す。従って、マーカ貼付板11を短時間で取り外すことができる。
【0053】
また、脚部3の角穴部16はパレット本体2の底部に溶接で接合されているため、溶接により角穴部16の入口が変形することがある。また、メッシュパレット1の流通時に発生する損傷等により角穴部16の入口が変形することもある。角穴部16の入口が変形すると、角穴部16の外形寸法が変化する。これに対し、本実施形態では、角棒部17A,17Bの外形寸法を角穴部16の外形寸法よりも小さくすることにより、角穴部16の入口の変形によって角穴部16の外形寸法が変化しても、角棒部17A,17Bが角穴部16に差し込まれる。このとき、ボールプランジャ30,31によって角棒部17A,17Bが角穴部16の縁部に対して押し付けられるため、角穴部16に対する角棒部17A,17Bの位置ずれが防止される。
【0054】
また、本実施形態では、ボールプランジャ30によって角棒部17A,17Bが角穴部16のパレット底23に対して押し付けられると共に、ボールプランジャ31によって角棒部17A,17Bが角穴部16の内側内壁面22に対して押し付けられる。このため、角穴部16に対する角棒部17A,17Bの上下方向及び左右方向の位置ずれが防止される。また、角穴部16の上縁部がパレット本体2の底部により形成された構造とすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、ボールプランジャ30,31を使用するので、簡単な構造で、角穴部16に対する角棒部17A,17Bの位置ずれを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態では、マーカ貼付板11の端部を装着部18A,18Bに装着する際に、突壁部28によってマーカ貼付板11がメッシュパレット1の上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めされる。従って、マーカ貼付板11の端部を装着部18A,18Bに装着しやすくなる。
【0057】
また、装着部18A,18Bの形状が断面略正方形状である場合には、取付器具12Aの向きを半時計回りに90度変えると、取付器具12Bと同じ向きとなる。このため、構造が同一である1種類の取付器具を2つ製作すれば足り、構造が異なる2種類の取付器具を製作しなくて済む。従って、取付器具12A,12Bを製作する際の工数及びコストを低減することができる。
【0058】
また、本実施形態では、締結ボルト13の軸部38をマーカ貼付板11の取付孔14,15に通した状態で装着部18A,18Bのボルト穴29にねじ込むことで、マーカ貼付板11が装着部18A,18Bに締結される。従って、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに容易に固定することができる。
【0059】
また、本実施形態では、取付孔15は、メッシュパレット1の左右方向に延びるような長孔状を呈している。従って、マーカ貼付板11における取付孔14と取付孔15との間の距離の誤差を取付孔15により吸収することができる。
【0060】
また、本実施形態では、締結ボルト13によりマーカ貼付板11を装着部18A,18Bに締結する際には、作業者が締結ボルト13のノブ部39を指でつまんで回せばよいため、締結作業が容易になる。また、締結ボルト13によりマーカ貼付板11が装着部18A,18Bに締結された状態にあるときに、フォークリフトによりマーカ貼付板11が押されて撓んでも、長孔状の取付孔15によってマーカ貼付板11がメッシュパレット1の左右方向に逃げられるため、マーカ貼付板11の破損等が防止される。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、ボールプランジャ31によって角棒部17A,17Bが角穴部16の内側内壁面22に対して押し付けられているが、特にそのような形態には限られない。ボールプランジャ31を角棒部17A,17Bの内側壁面27側に設けることにより、ボールプランジャ31によって角棒部17A,17Bを角穴部16の外側内壁面21に対して押し付けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ボールプランジャ30によって角棒部17A,17Bが角穴部16のパレット底23(上縁部)に対して押し付けられているが、特にそのような形態には限られない。例えば脚部3の角穴部16が断面四角形状の角筒体で形成されている場合には、角穴部16は、角穴部16の上縁部を構成する上内壁面を有することになる。この場合には、ボールプランジャ30を角棒部17A,17Bの上壁面24側に設けることにより、ボールプランジャ30によって角棒部17A,17Bを角穴部16の下内壁面(下縁部)に対して押し付けてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ボールプランジャ30,31によって角棒部17A,17Bが角穴部16の縁部に対して押し付けられているが、角棒部17A,17Bを角穴部16の縁部に対して押し付ける押付部材としては、特にボールプランジャ30,31には限られず、例えば板バネ等であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、角棒部17A,17Bの外形寸法は、角穴部16の外形寸法よりも小さいが、特にそのような形態には限られない。角穴部16の入口の変形による角穴部16の外形寸法の変化が殆ど無いような場合には、角棒部17A,17Bが角穴部16に嵌合可能となるように、角棒部17A,17Bの外形寸法が角穴部16の外形寸法と同等であってもよい。この場合には、角棒部17A,17Bを角穴部16の縁部に対して押し付ける押付部材は、特に無くてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、マーカ貼付板11をメッシュパレット1の上下方向の下側及び左右方向の外側に対して位置決めするL字状の突壁部28が装着部18A,18Bの前端面に設けられているが、特にそのような形態には限られない。例えば、マーカ貼付板11をメッシュパレット1の上下方向の下側に対して位置決めする突壁部と、マーカ貼付板11をメッシュパレット1の左右方向の外側に対して位置決めする突壁部とを、装着部18A,18Bの前端面に離間して設けてもよい。また、マーカ貼付板11をメッシュパレット1の上下方向の下側に対して位置決めする突壁部のみを、装着部18A,18Bの前端面に設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに締結固定する締結ボルト13としては、指でつまむためのノブ部39を有するノブ付きボルトが使用されているが、特にその形態には限られず、ノブ部39が無い通常の締結ボルトを使用してもよい。また、マーカ貼付板11を取付器具12A,12Bに固定する固定具としては、特に締結ボルトには限られず、例えば連結ピン等を使用してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、取付器具12A,12Bにおける角棒部17A,17B及び装着部18A,18Bは一体的に形成されているが、特にその形態には限られず、角棒部17A,17B及び装着部18A,18Bを別部品で構成してもよい。この場合には、角棒部17Aの一端部に装着部18Aを結合し、角棒部17Bの一端部に装着部18Bを結合する。
【0068】
また、上記実施形態では、2枚のマーカ6A,6Bがマーカ貼付板11の長手方向の左右両側に貼り付けられているが、特にその形態には限られず、例えば1枚のマーカがマーカ貼付板11の長手方向の中央部に貼り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…メッシュパレット、2…パレット本体、3…脚部、6A,6B…マーカ、10…マーカ取付構造、11…マーカ貼付板、12A,12B…取付器具、13…締結ボルト(固定具)、14…取付孔(第1取付孔)、15…取付孔(第2取付孔)、16…角穴部、17A,17B…角棒部、18A,18B…装着部、20…下内壁面(下縁部、縁部)、21…外側内壁面(外側縁部、縁部)、22…内側内壁面(内側縁部、縁部)、23…パレット底(上縁部、縁部)、28…突壁部、29…ボルト穴、30,31…ボールプランジャ(押付部材)、32…ボール、33…バネ、35…ボール、36…バネ、38…軸部、39…ノブ部、40…突部。