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特許7264136力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法
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  • 特許-力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/162 20200101AFI20230418BHJP
   G01L 5/165 20200101ALI20230418BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01L5/162
G01L5/165
G01L5/00 101Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020144899
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039736
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】濃野 友人
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021869(JP,A)
【文献】特開2020-123119(JP,A)
【文献】特開2019-015591(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110849514(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0224018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 5/16-5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された複数の力センサと、
前記基板を固定する固定部材と、を備え、
前記固定部材は、ランダムに折り曲げられた状態の前記基板を固定しており、
前記力センサが1つの方向の力のみを検出可能な場合は、少なくとも3つ以上の前記力センサが前記基板上に形成されている、力検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力検出装置において、
前記複数の力センサは、前記基板上に2次元に分布して形成されている、力検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の力検出装置において、
前記基板は、フレキシブルな基板である、力検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の力検出装置において、
前記固定部材は、樹脂である、力検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の力検出装置と、演算装置と、を備える力検出システムであって、
前記演算装置は、
前記力検出装置に予め印加された力に基づいて算出された校正値を格納している記憶部と、
前記校正値に基づいて、前記力検出装置に印加された力を算出する制御部と、を備える、力検出システム。
【請求項6】
力検出装置の製造方法であって、
複数の力センサを基板上に形成するステップと、
前記基板をランダムに折り曲げるステップと、
ランダムに折り曲げられた状態の前記基板を固定部材によって固定するステップと、を含み、
前記形成するステップは、前記力センサが1つの方向の力のみを検出可能な場合は、少なくとも3つ以上の前記力センサを前記基板上に形成する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば触覚を検出することができる力センサが知られている。力センサの用途として、例えば、ロボットの手に力センサを装着し、ロボットの手に触覚を検出させる用途などが知られている。
【0003】
個々の力センサは、通常、一方向の力を検出することができる。しかしながら、力センサには多軸の方向の力を検出することが求められることがある。
【0004】
例えば特許文献1は、力を検出可能な触覚センサ装置を開示している。触覚センサ装置は、複数の触覚センサユニットを備え、各触覚センサユニットは、90度ずつずらして平面上に配置された4つの触覚センサを備える。触覚センサは、曲げることによって形成された起立部を有する。特許文献1に記載の触覚センサ装置は、このような構造により、多軸の方向の力を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-26178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、曲げることによって形成された複雑な構造を有するため製造にコストがかかる。
【0007】
そこで、本開示は、シンプルな構造で3軸の方向の力を検出することが可能な、力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態に係る力検出装置は、基板と、前記基板上に形成された複数の力センサと、前記基板を固定する固定部材と、を備え、前記固定部材は、折り曲げられた状態の前記基板を固定している。このような力検出装置によれば、シンプルな構造で3軸の方向の力を検出することができる。
【0009】
一実施形態に係る力検出装置において、前記固定部材は、ランダムに折り曲げられた状態の前記基板を固定していてよい。このように、ランダムに折り曲げられた状態の基板を固定していることにより、基板上に形成された複数の力センサを、3次元的に複数の方向に向けることができる。
【0010】
一実施形態に係る力検出装置において、前記固定部材は、規則的に折り曲げられた状態の前記基板を固定していてよい。このように、規則的に折り曲げられた状態の基板を固定していることにより、基板上に形成された複数の力センサを、意図的に3次元的に複数の方向に向けることができる。
【0011】
一実施形態に係る力検出装置において、前記複数の力センサは、前記基板上に2次元に分布して形成されていてよい。このように、複数の力センサが基板上に2次元に分布して形成されていることにより、力検出装置は、力検出装置に印加された力の分布を詳細に検出することができる。
【0012】
一実施形態に係る力検出装置において、前記基板は、フレキシブルな基板であってよい。このように、基板がフレキシブルな基板であることにより、力検出装置は柔軟性を有することができる。これにより、力検出装置が大きく変形したときに、基板が壊れることを防ぐことができる。
【0013】
一実施形態に係る力検出装置において、前記固定部材は、樹脂であってよい。このように、固定部材が樹脂であることにより、力検出装置は柔軟性を有することができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る力検出システムは、幾つかの実施形態に係る力検出装置と、演算装置と、を備える。前記演算装置は、前記力検出装置に予め印加された力に基づいて算出された校正値を格納している記憶部と、前記校正値に基づいて、前記力検出装置に印加された力を算出する制御部と、を備える。このように、制御部が、記憶部に格納されている校正値に基づいて力検出装置に印加された力を算出することにより、力検出システムは、力検出装置に応じて算出された校正値に基づいて、力検出装置に印加された力を算出することができる。
【0015】
幾つかの実施形態に係る力検出装置の製造方法は、複数の力センサを基板上に形成するステップと、前記基板を折り曲げるステップと、折り曲げられた状態の前記基板を固定部材によって固定するステップと、を含む。このような力検出装置の製造方法によれば、シンプルな構造で3軸の方向の力を検出することができる力検出装置を、容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、シンプルな構造で3軸の方向の力を検出することが可能な、力検出装置、力検出システム及び力検出装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る力検出システムの概略構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る力検出装置の概略構成を示す上面図である。
図3】一実施形態に係る力検出装置の概略構成を示す断面図である。
図4】折り曲げられる前の状態における基板の上面図である。
図5】力検出装置に校正のための力が印加されている様子の一例を示す図である。
図6】力検出装置が印加されている力を測定している様子の一例を示す図である。
図7】力検出装置の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係る力検出システム1の概略構成を示す図である。力検出システム1は、力検出装置10と、演算装置20とを備える。
【0020】
力検出装置10は、触覚を検出することができる装置である。すなわち、力検出装置10は、力検出装置10に印加された力を検出することができる。力検出装置10は、3軸の方向の力を検出することができる。力検出装置10は、3軸の方向の力について、大きさ、向き及び分布を検出することができる。力検出装置10は、演算装置20と電気的に接続されている。
【0021】
演算装置20は、力検出装置10に予め印加された力に基づいて、力検出装置10を校正するための校正値を算出する。演算装置20は、算出された校正値を格納している。演算装置20は、校正値を格納した後は、格納されている校正値に基づいて力検出装置10が検出した値を校正し、力検出装置10に印加された力を算出する。
【0022】
図2及び図3を参照して、力検出装置10の概略構成を説明する。図2は、一実施形態に係る力検出装置10の概略構成を示す上面図である。図3は、一実施形態に係る力検出装置10の概略構成を示す断面図である。
【0023】
図2に示すように、力検出装置10は、複数の力センサ11と、基板12と、固定部材13と、配線14とを備える。図2に示す例においては、配線14は、縦配線14Aと、横配線14Bとを備える。なお、図3に示す力検出装置10の断面図においては、力センサ11及び配線14の図示を省略している。
【0024】
力センサ11は、力センサ11に印加された力を検出することができるセンサである。力センサ11は、少なくとも一方向の力を検出することができる。力センサ11は、例えば、ピエゾ抵抗式のひずみセンサ、又は、静電容量式のひずみセンサなどであってよい。力センサ11は、フレキシブルな材料で構成されていることが好ましい。力センサ11は、可撓性を有し変形可能であることが好ましい。力検出装置10を例えばロボットの手に装着した場合、力センサ11は、触覚センサとして機能することができる。
【0025】
図2に示すように、複数の力センサ11が、基板12上に形成されている。複数の力センサ11は、例えば、マトリックス状に配置されて、基板12上に形成されていてよい。ただし、複数の力センサ11の配置は、マトリックス状の配置に限定されるものではなく、複数の力センサ11は、任意の配置で、基板12上に形成されていてよい。
【0026】
基板12は、例えば折り曲げることなど変形することが可能な平板状の基板である。基板12は、フレキシブルな基板であることが好ましい。基板12がフレキシブルであることにより、容易に折り曲げることができる。また、基板12がフレキシブルであることにより、力検出装置10が大きく変形したときに、基板12が壊れることを防ぐことができる。基板12は、薄いことが好ましい。基板12が薄いことにより、力検出装置10を小型化することができる。基板12は、例えば、プラスチック又はゴムなどのフィルムであってよい。
【0027】
基板12は、元々は平板状であるが、折り曲げられた状態で、固定部材13によって固定されている。基板12が折り曲げられた状態で固定部材13によって固定されていることは、図2及び図3によって、概略的に示されている。
【0028】
図4は、折り曲げられる前の状態の基板12を示す図である。図4に示すように、複数の力センサ11が、基板12上に2次元に分布して形成されている。複数の力センサ11は、折り曲げられる前の状態の基板12において、例えば、マトリックス状に規則的に配置されていてよい。図4に示すような平板状の基板12が折り曲げられた状態で固定されていることにより、基板12は、一例として、図2の上面図及び図3の断面図に示すような形状となっている。
【0029】
本実施形態において、基板12が折り曲げられているとは、平面上の基板12が凹凸形状を有するように変形されていることを意味する。基板12における凹凸形状は、例えば、折り目によって形成されていてもよいし、しわによって形成されていてもよい。
【0030】
図2及び図3に示すように、固定部材13が、折り曲げられた状態の基板12を固定していることから、基板12上に形成されている複数の力センサ11は、一様な方向ではなく、3次元的に複数の方向を向いている。従って、複数の力センサ11は、たとえ個々の力センサ11が1つの方向の力のみを検出可能な場合であっても、3次元的に複数の方向の力を検出することができる。すなわち、複数の力センサ11は、3軸の方向の力を検出することができる。
【0031】
また、折り曲げられる前の基板12は、図4に示すような平板状の基板である。図4に示すように、折り曲げられる前の基板12上において、複数の力センサ11は、規則的に配置されて形成されていてよい。このように、基板12上に力センサ11を規則的に配置させて形成することは、シンプルな工程で可能である。例えば、複数の方向の力を検出可能とするために、複数の力センサのそれぞれを3次元的に複数の方向に向けて基板上に形成することも考えられるが、そのような製造方法は工程が複雑となるため製造コストが高くなる。これに対し、本実施形態に係る力検出装置10のように、折り曲げられる前の基板12上において、複数の力センサ11を1次元的又は2次元的に規則的に配置して形成する製造方法は、工程がシンプルであるため、製造コストを低減することができる。
【0032】
基板12は、ランダムに折り曲げられた状態で固定部材13によって固定されていてもよいし、規則的に折り曲げられた状態で固定部材13によって固定されていてもよい。
【0033】
固定部材13は、折り曲げられた状態の基板12を固定している。固定部材13は、フレキシブルな材料で構成されていることが好ましい。固定部材13は、例えば、樹脂であってよい。固定部材13は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂又はウレタン樹脂などであってよい。基板12は、折り曲げられた状態で固定部材13の中に入れられて、その後に固定部材13によって固定されてもよいし、固定部材13に入れられた後で折り曲げられて、その後に固定部材13によって固定されてもよい。
【0034】
配線14は、力センサ11が出力する信号を取り出すための配線である。配線14は、電気信号を伝送するための導体を含む。図2に示すように、それぞれの力センサ11において、力センサ11の一端が縦配線14Aに電気的に接続され、力センサ11の他端が横配線14Bに電気的に接続されている。
【0035】
図2に示す例においては、配線14は、基板12上に2次元的に配置された複数の力センサ11をマトリックス状に接続している。力検出装置10は、このように、複数の力センサ11を配線14によってマトリックス状に接続することで、複数の力センサ11が出力する信号を取り出すために必要な配線14の本数を低減することができる。
【0036】
続いて、再び図1を参照して、演算装置20の概略構成を説明する。演算装置20は、入力部21と、記憶部22と、表示部23と、制御部24とを備える。
【0037】
入力部21は、力検出装置10が出力する信号を受け付け可能な入力用インタフェースを含む。入力部21は、力検出装置10と電気的に接続されている。入力部21は、複数の力センサ11が出力する信号の入力を受け付ける。
【0038】
記憶部22は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部22は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、演算装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム及びアプリケーションプログラムなどの各種情報等を記憶してよい。
【0039】
記憶部22は、力検出装置10に予め印加された力に基づいて算出された校正値を格納している。記憶部22に格納されている校正値の詳細については後述する。
【0040】
表示部23は、各種情報を表示する。表示部23は、例えば液晶ディスプレイであってよい。表示部23は、液晶ディスプレイに限定されず、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどであってもよい。
【0041】
制御部24は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部24は、演算装置20の各部を制御しながら、演算装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0042】
(力検出システムの校正)
力検出システム1の校正について、図5などを参照して説明する。力検出装置10において、基板12は、折り曲げられた状態で固定部材13によって固定されている。基板12がどのように折り曲げられて固定部材13に固定されているかは、個々の力検出装置10によって異なるため、ある力が印加されたときに力検出装置10がどのような出力をするかは、個々の力検出装置10によって異なる。
【0043】
従って、力検出システム1においては、予め力検出装置10の校正を行い、算出された校正値が、演算装置20の記憶部22に格納されている。
【0044】
図5に、校正のために、力検出装置10に力101が印加されている様子の一例を示す。図5に示すように、力検出装置10の校正を行う際は、力検出装置10に特定の大きさ及び向きの分布の力101が印加される。
【0045】
演算装置20の制御部24は、特定の大きさ及び向きの分布の力101が印加されたときの力検出装置10の出力を、力101の大きさ及び向きの分布と関連づけて、記憶部22に格納する。力検出装置10には、様々な大きさ及び向きの分布の力101が印加され、演算装置20の制御部24は、それぞれの大きさ及び向きの分布の力101について、力検出装置10の出力を、力101の大きさ及び向きの分布と関連づけて、記憶部22に格納する。
【0046】
制御部24は、記憶部22に格納された、力検出装置10の出力と、力101の大きさ及び向きの分布とを関連づけた複数のデータに基づいて、校正値を算出する。制御部24は、例えば、機械学習又は多変量解析を行うことなどによって、校正値を算出してよい。制御部24は、算出した校正値を記憶部22に格納する。
【0047】
(力検出装置に印加された力の測定)
図6に、既に校正値が算出された後の力検出装置10によって、印加された力102及び力103を検出している様子を示す。
【0048】
力検出装置10は、力102及び力103が印加されると、印加された力に対応する信号を出力する。
【0049】
演算装置20の制御部24は、力検出装置10が出力した信号を取得すると、取得した信号と、記憶部22に格納されている力検出装置10の校正値とに基づいて、力検出装置10に印加された力を算出する。
【0050】
力検出装置10が3次元的に複数の方向を向いた複数の力センサ11を備えているため、演算装置20の制御部24は、力検出装置10に印加された力の大きさ及び向きの分布を算出することができる。
【0051】
制御部24は、算出した、力検出装置10に印加された力の大きさ及び向きの分布を、記憶部22に格納してよい。あるいは、制御部24は、算出した、力検出装置10に印加された力の大きさ及び向きの分布を、表示部23に表示させてもよい。
【0052】
(力検出装置の製造方法)
続いて、図7に示すフローチャートを参照して、力検出装置10の製造方法の一例について説明する。
【0053】
ステップS101において、基板12上に、複数の力センサ11と、配線14とが形成される。
【0054】
ステップS102において、基板12が折り曲げられる。基板12は、ランダムに折り曲げられてもよいし、規則的に折り曲げられてもよい。
【0055】
ステップS103において、折り曲げられた状態の基板12は、固定部材13によって固定される。なお、基板12は、折り曲げられた状態で固定部材13の中に入れられて、その後に固定部材13によって固定されてもよいし、固定部材13に入れられた後で折り曲げられて、その後に固定部材13によって固定されてもよい。
【0056】
以上のような一実施形態に係る力検出装置10において、複数の力センサ11が、基板12上に形成されている。また、固定部材13が、折り曲げられた状態の基板12を固定している。このように、複数の力センサ11が形成された基板12が、折り曲げられた状態で固定部材13によって固定されていることで、複数の力センサ11は、3次元的に複数の方向を向いている。そのため、たとえ個々の力センサ11が1つの方向の力のみを検出可能な場合であっても、力検出装置10は、3軸の方向の力を検出することができる。従って、一実施形態に係る力検出装置10は、このようなシンプルな構造で3軸の方向の力を検出することができる。
【0057】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0058】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0059】
また、本開示において、装置を中心に説明してきたが、本開示は装置の各構成部が実行するステップを含む方法、装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0060】
例えば、上述した実施形態において、複数の力センサ11は、基板12上にマトリックス状に配置されているが、複数の力センサ11の基板12上における配置は、これに限定されない。複数の力センサ11は、任意の配置で基板12上に形成されていてよい。折り曲げられる前の状態の基板12において、複数の力センサ11の配置をマトリックス状の規則的な配置とした場合、複数の力センサ11を基板12上に高密度で形成することができる。そのため、力検出装置10は、印加された力を高い空間分解能で検出することができる。
【0061】
例えば、上述した実施形態において、配線14は、基板12上に配置された複数の力センサ11をマトリックス状に接続している。しかしながら、配線14は、複数の力センサ11から信号を取り出すことができれば、任意の接続形態で複数の力センサ11に接続されていてよい。例えば、それぞれの力センサ11に、当該力センサ11に専用の配線14が2本ずつ接続される構成であってもよい。配線14が、基板12上に配置された複数の力センサ11をマトリックス状に接続する場合、配線14の本数を減らすことができ、その結果、力検出装置10を小型化することができる。
【0062】
例えば、上述した実施形態において、力検出装置10の校正について説明したが、力検出装置10を校正することは必須ではない。例えば、基板12を予め規定した所定の形状で折り曲げた場合、校正をしなくても、予め規定した所定の形状に対して計算した理論値、シミュレーション値などを記憶部22に格納しておけばよい。
【0063】
例えば、上述した実施形態において、複数の力センサ11が基板12上に形成されているが、複数の力センサ11は、必ずしも基板12上に形成されていなくてもよい。複数の力センサ11は、2次元に配置されていて、配線14によって電気的に接続されていればよい。
【0064】
例えば、上述した実施形態において、基板12が平板状の基板であるとして説明したが、基板12は、網目状などであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 力検出システム
10 力検出装置
11 力センサ
12 基板
13 固定部材
14 配線
14A 縦配線
14B 横配線
20 演算装置
21 入力部
22 記憶部
23 表示部
24 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7