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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】モーターローター
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20230418BHJP
   H02K 1/2733 20220101ALI20230418BHJP
【FI】
H02K1/28 A
H02K1/2733
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021513548
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020013110
(87)【国際公開番号】W WO2020209050
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2019074828
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 海
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】福井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】勝 義仁
(72)【発明者】
【氏名】湯本 良介
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-010545(JP,A)
【文献】国際公開第2012/089470(WO,A2)
【文献】特開平10-014147(JP,A)
【文献】特開2007-159191(JP,A)
【文献】実開昭61-065839(JP,U)
【文献】特開2013-074736(JP,A)
【文献】実開平02-094444(JP,U)
【文献】特開2011-239546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
H02K 1/2733
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、前記軸部の周囲に配置された円筒状の磁石と、前記軸部と前記磁石との隙間に充填された樹脂からなる樹脂部と、を備え、
前記軸部は、軸方向における前記磁石の端部の内周面に対向して位置し、前記軸方向における前記磁石の中央部の内周面に対向する部位よりも小径になるように形成された小径部を有し、
前記軸部において、前記磁石の中央部の内周面に対向する中央部位の全面と前記磁石との間には、前記樹脂部が充填されている、モーターローター。
【請求項2】
前記軸部の外周面には、周方向成分を含む方向に延在する溝が形成されている、請求項1に記載のモーターローター。
【請求項3】
前記軸部は、前記軸方向における前記磁石の中央部の内周面に対向する部位である大径部を有し、
周方向成分を含む方向に延在する前記溝は、前記大径部の外周面に形成されている、請求項2に記載のモーターローター。
【請求項4】
前記軸部の外周面には、前記軸部の前記外周面上で螺旋状に延びる1本のローレット溝が形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載のモーターローター。
【請求項5】
前記軸部は、前記軸方向における前記磁石の中央部の内周面に対向する部位である大径部を有し、
前記ローレット溝は、前記大径部の外周面に形成されている、請求項4に記載のモーターローター。
【請求項6】
前記軸部の外周面には、前記軸部の前記外周面上で互いに交差する2方向に螺旋状に延びる2の溝を含む綾目ローレット溝が形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載のモーターローター。
【請求項7】
前記小径部は、
前記磁石の前記中央部から前記軸方向に離れるほど縮径するように形成されたテーパ部である、請求項1~6の何れか一項に記載のモーターローター。
【請求項8】
前記テーパ部の外周面は、円錐面をなす、請求項7に記載のモーターローター。
【請求項9】
前記小径部は、
前記磁石の前記中央部に対向する部位との間に段差をもって小径に形成されている、請求項1~6の何れか一項に記載のモーターローター。
【請求項10】
前記小径部の外周面は、円柱面をなす、請求項9に記載のモーターローター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モーターローターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部の周囲に配置された円筒磁石を備えるモーターローターが知られている。(例えば、特許文献1参照。)この種のモーターローターの製造方法として、軸部に対して円筒磁石を接着して固定する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-208724号公報
【文献】特開2000-014062号公報
【文献】特開2005-198447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように軸部に対して円筒磁石を接着固定する手法によれば、軸部と円筒磁石との調心が比較的良好に図られる。しかしながら、軸部と円筒磁石との良好な接着状態を得るために、円筒磁石の内周面を研削して寸法を調整した上で、軸部と接着することが必要であり、研削処理の手間が発生する。本開示は、簡易な手法によって軸部と磁石との調心を図ることができるモーターローターを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るモーターローターは、軸部と、前記軸部の周囲に配置された円筒状の磁石と、前記軸部と前記磁石との隙間に充填された樹脂からなる樹脂部と、を備え、前記軸部は、軸方向における前記磁石の端部の内周面に対向して位置し、前記軸方向における前記磁石の中央部の内周面に対向する部位よりも小径になるように形成された小径部を有する、モーターローターである。
【発明の効果】
【0006】
本開示のモーターローターによれば、簡易な手法によって軸部と磁石との調心を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るモーターローターが適用される過給機の一例を示す断面図である。
図2】モーターローターの断面図である。
図3】インナースリーブと永久磁石とを示す側面図である。
図4】他の形態のインナースリーブと永久磁石とを示す側面図である。
図5】射出成形によって樹脂部を形成するときの金型の状態の一例を示す断面図である。
図6】インナースリーブと永久磁石とが心ずれした状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様に係るモーターローターは、軸部と、前記軸部の周囲に配置された円筒状の磁石と、前記軸部と前記磁石との隙間に充填された樹脂からなる樹脂部と、を備え、前記軸部は、軸方向における前記磁石の端部の内周面に対向して位置し、前記軸方向における前記磁石の中央部の内周面に対向する部位よりも小径になるように形成された小径部を有する、モーターローターである。
【0009】
前記軸部の外周面には、周方向成分を含む方向に延在する溝が形成されていることとしてもよい。前記小径部は、前記磁石の前記中央部から前記軸方向に離れるほど縮径するように形成されたテーパ部であってもよい。前記小径部は、前記磁石の前記中央部に対向する部位との間に段差をもって小径に形成されていることとしてもよい。
【0010】
図面を参照しながら、一実施形態に係るモーターローターについて説明する。図1は、過給機1の回転軸線Hを含む断面を取った断面図である。過給機1は、実施形態に係るモーターローターを備えた車両用過給機である。以下の説明で、単に「軸方向」、「径方向」、「周方向」と言うときは、後述する回転軸14の軸方向、径方向、周方向をそれぞれ意味する。
【0011】
過給機1は、車両等の内燃機関に適用されるものである。図1に示されるように、過給機1は、タービン2とコンプレッサ3とを備えている。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービン翼車6と、を備えている。タービンハウジング4は、タービン翼車6の周囲において周方向に延びるスクロール流路16を有している。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサ翼車7と、を備えている。コンプレッサハウジング5は、コンプレッサ翼車7の周囲において周方向に延びるスクロール流路17を有している。
【0012】
タービン翼車6は回転軸14の一端に設けられており、コンプレッサ翼車7は回転軸14の他端に設けられている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されており、回転軸14、タービン翼車6及びコンプレッサ翼車7が一体の回転体12として回転軸線H周りに回転する。
【0013】
タービンハウジング4には、排気ガス流入口(図示せず)及び排気ガス流出口10が設けられている。内燃機関(図示せず)から排出された排気ガスが、排気ガス流入口を通じてタービンハウジング4内に流入する。その後、排気ガスは、スクロール流路16を通じてタービン翼車6に流入し、タービン翼車6を回転させる。その後、排気ガスは、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
【0014】
コンプレッサハウジング5には、吸入口9及び吐出口(図示せず)が設けられている。上記のようにタービン翼車6が回転すると、回転軸14を介してコンプレッサ翼車7が回転する。回転するコンプレッサ翼車7は、吸入口9を通じて外部の空気を吸入する。この空気が、コンプレッサ翼車7及びスクロール流路17を通過して圧縮され吐出口から吐出される。吐出口から吐出された圧縮空気は、前述の内燃機関に供給される。
【0015】
更に、過給機1は電動機21を備えている。例えば車両の加速時など、回転軸14のトルクが不足する場合に、不足を補うように電動機21が回転軸14にトルクを付与する。電動機21は、例えばブラシレス直流電動機である。電動機21は、回転子であるモーターローター25と、固定子であるモータステータ27とを備えている。電動機21の駆動源として、車両のバッテリを使用することができる。また、車両の減速時においては、電動機21が回転体12の回転エネルギによって回生発電してもよい。電動機21は、回転軸14の高速回転(例えば10万~20万rpm)に対応可能な特性を有する。
【0016】
モーターローター25は、軸方向において軸受15とコンプレッサ翼車7との間に配置されている。モーターローター25は、回転軸14に固定され回転軸14と共に回転可能である。モータステータ27は、軸受ハウジング13に収容されモーターローター25を周方向に囲むように配置されている。モータステータ27は、複数のコイル及び鉄心(図示せず)を備えている。上記コイルに電流が供給され、モータステータ27が磁場を生じさせると、この磁場によってモーターローター25の永久磁石37に周方向の力が作用し、その結果、回転軸14にトルクが付与される。
【0017】
続いて、図2を参照しながら、モーターローター25について説明する。モーターローター25は、インナースリーブ31と、永久磁石37と、エンドリング39,41と、保護層43と、樹脂部50と、を備える組立体である。インナースリーブ31と、永久磁石37と、エンドリング39,41と、保護層43と、樹脂部50と、は、回転軸線Hを中心軸とする回転体形状をなしている。
【0018】
インナースリーブ31は大径部33を備えている。大径部33は、インナースリーブ31の軸方向の中央部でやや大径に設けられている。永久磁石37は、円筒状をなし、大径部33の周囲に設置されている。保護層43は円筒状の部材であり、「アーマーリング」などと呼ばれる場合もある。保護層43は、円筒状をなし、永久磁石37の周囲に設置されている。保護層43は、永久磁石37が破損した場合に破片が径方向へ飛散することを防止する。また、保護層43は、永久磁石37のひずみを抑えて永久磁石37の破損の可能性を低減するために、ある程度の剛性を持つことが必要である。
【0019】
インナースリーブ31(軸部)と永久磁石37との間には僅かな隙間が存在している。当該隙間は樹脂部50の樹脂材料によって樹脂充填される。例えば、樹脂部50は射出成形又はトランスファー成形によって形成される。この樹脂部50を介して、インナースリーブ31と永久磁石37とが一体的に連結される。そして、インナースリーブ31と永久磁石37との間のトルク伝達は、樹脂部50によって可能である。この過給機1において、伝達される上記のトルクは、例えば約0.5Nmである。
【0020】
なお、永久磁石37と保護層43との隙間にも樹脂充填されることで永久磁石37と保護層43とが連結されてもよい。その他、エンドリング39,41も充填される樹脂部を介してインナースリーブ31及び保護層43に連結されてもよい。
【0021】
上記のように、モーターローター25は一体の組立体である。このようなモーターローター25のインナースリーブ31の中空部に回転軸14が挿通され、モーターローター25とコンプレッサ翼車7とが一緒に、ナット18(図1参照)によって、回転軸14に締結されている。
【0022】
インナースリーブ31の材料としては、例えばSCM435H等の鋼材が採用され得る。永久磁石37の材料としては、例えば、ネオジム磁石(Nd-Fe-B)、サマリウムコバルト磁石などが採用され得る。保護層43の材料としては、金属材料や樹脂材料が採用され得る。上記の金属材料としては、チタン(例えばTi-6Al-4V)等の非磁性体金属が採用され得る。また、上記の樹脂材料としては、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などが採用され得る。エンドリング39,41の材料としては、例えばSUS等の非磁性体金属、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが採用され得る。
【0023】
樹脂部50の材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が採用され得る。更に具体的には、樹脂部50の材料としては、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂やエポキシ樹脂、又は熱可塑性樹脂であるLCP(液晶ポリマー)が採用され得る。なお、本発明者らの試験によれば、LCPは、フェノール樹脂に比べて射出成形時の流動性が高い点において、樹脂部50の材料として好ましい。また、LCPは、フェノール樹脂に比べて比較的入手が容易である点においても、樹脂部50の材料として好ましい。一方、フェノール樹脂は、LCPに比べて耐熱性、剛性、及び耐環境性に優れる点において、樹脂部50の材料として好ましい。また、エポキシ樹脂は、素材自体に密着性があるので樹脂部50の材料として好ましい。
【0024】
図3は、モーターローター25のうちインナースリーブ31と永久磁石37のみを示す側面図である。なお、図3では説明に係る特徴部分が誇張して描写され、他の図とは各部位の寸法比が一致しない場合がある。
【0025】
図3に示されるように、永久磁石37の内周面38は円柱内周面をなしている。以下、内周面38のうち、軸方向における永久磁石37の端部の内周面を内周面38aとし、軸方向における永久磁石37の中央部の内周面を内周面38bとする。インナースリーブ31は、小径部61を有している。小径部61は、内周面38aに対して径方向に対向する位置に形成されている。小径部61は、インナースリーブ31の中央部位63よりも小径に形成されている。中央部位63は、永久磁石37の内周面38bに対向する部位である。
【0026】
図3の例では、小径部61は、テーパ部62aである。テーパ部62aは、中央部位63から軸方向に離れるほど縮径するように形成されている。テーパ部62aの外周面は円錐面をなす。なお、小径部61はテーパ部62aには限定されない。例えば、図4に示されるように、小径部61は、中央部位63との間に段差をもって小径に形成された段差小径部62bであってもよい。段差小径部62bの外周面は円柱面をなす。
【0027】
また、図3に示されるように、インナースリーブ31の外周面31aには、周方向成分を含む方向に延在する溝65が形成されている。図3の例では、溝65には、周方向溝66aと、綾目ローレット溝66bと、が含まれる。周方向溝66aは、外周面31a上で周方向に延びている。綾目ローレット溝66bは、外周面31a上で互いに交差する2方向に螺旋状に延びている。なお溝65としては、周方向溝66aと綾目ローレット溝66bとが両方設けられることは必須ではなく、何れか一方のみ設けられてもよい。また、綾目ローレット溝66bに代えて、一方向に延びる螺旋状の溝からなるローレット溝が採用されてもよい。
【0028】
図5は、射出成形によって樹脂部50を形成するときの金型70の状態の一例を示す断面図である。図5に示されるように、金型70内には、インナースリーブ31と、永久磁石37と、が収納される。永久磁石37はインナースリーブ31の周囲に配置される。インナースリーブ31と永久磁石37との間には隙間69が存在する。金型70の左方から軸方向に溶融樹脂71が射出されると、隙間69を溶融樹脂71が右方に流動しながら当該隙間69に充填される。この溶融樹脂71が硬化して樹脂部50が形成される。
【0029】
ここで、隙間69に溶融樹脂71が導入される際には、溶融樹脂71の流動状態が周方向で不均一になるおそれがある。そうすると、図6に示されるように、インナースリーブ31と永久磁石37とが心ずれした状態で溶融樹脂71が硬化するおそれがある。この場合、隙間69が狭くなった箇所(図中の符号73)には、樹脂が行き渡らず欠陥になる可能性がある。そして、上記欠陥が樹脂部50の剥離の要因となる場合もある。
【0030】
これに対し、図3及び図4に示されるように、インナースリーブ31が小径部61を有している。これにより、溶融樹脂71の入口である永久磁石37の端部の位置において、隙間69が径方向に拡がっている。この構造によれば、小径部61と内周面38aとの隙間が比較的広いので、当該隙間において溶融樹脂71の射出速度は比較的遅い。従って、小径部61と内周面38aとの隙間で、溶融樹脂71は周方向全体に行き渡り易い。そして溶融樹脂71は、周方向全体に行き渡ると共に軸方向に流動して隙間69に充填される。このように、隙間69への溶融樹脂71の入口を広くすることで、溶融樹脂71は隙間69に対して周方向に均等に行き渡り易い。その結果、インナースリーブ31と永久磁石37との調心が図られる。
【0031】
以上のように、本実施形態のモーターローター25の構造によれば、インナースリーブ31に小径部61を設けるといった簡易な手法によってインナースリーブ31と永久磁石37との調心を図ることができる。
【0032】
また、インナースリーブ31の外周面31aに形成された溝65は、周方向成分を含む方向に延在する。これにより、溝65は、周方向成分を含む方向に溶融樹脂71の流動を案内する。従って、溝65は、隙間69内における溶融樹脂71の周方向の流動を促進する。従って、溝65の存在によっても、溶融樹脂71が隙間69に対して周方向に均等に行き渡り易くなる。また、図5に示されるように、射出成形時には、永久磁石37の左端面37aと金型70との間に空間75が形成されている。この空間75が樹脂溜まりとして機能し、溶融樹脂71を周方向に行き渡らせる。従って、隙間69内における溶融樹脂71の周方向の流動がさらに促進される。
【0033】
また、樹脂部50が溝65に入り込んで形成されることにより、樹脂部50とインナースリーブ31との密着性が高められ、ひいては、インナースリーブ31と永久磁石37との密着性が高められる。溝65が周方向成分を含む方向に延在するので、特に軸方向の密着性が高められる。その結果、インナースリーブ31に対して永久磁石37が軸方向に位置ずれすることが抑制される。また、溝65が綾目ローレット溝66bを含むので、インナースリーブ31に対して永久磁石37が周方向に位置ずれすることも抑制される。
【0034】
本開示は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0035】
実施形態では、中空構造のインナースリーブ31と永久磁石37との連結について説明したが、例えば、中実構造の軸部に永久磁石37を連結させる場合にも、前述の構造が適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
25 モーターローター
31 インナースリーブ(軸部)
31a 外周面
37 永久磁石
38a 内周面
38b 内周面
50 樹脂部
61 小径部
62a テーパ部
62b 段差小径部
63 中央部位
65 溝
66a 周方向溝
66b 綾目ローレット溝

図1
図2
図3
図4
図5
図6