(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A01C11/02 350F
(21)【出願番号】P 2022005254
(22)【出願日】2022-01-17
(62)【分割の表示】P 2019214980の分割
【原出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】根田 満夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】沖本 章
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174895(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102308694(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付け装置(100)により植付けられる苗を載せて車体左右方向において往復移動させられる苗載せ台(200)と、
苗載せ台ガイドレール本体部材(310)および苗載せ台ガイドレール端部材(320)を有し、前記往復移動させられる苗載せ台(200)をガイドする苗載せ台ガイドレール(300)と、
前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)を前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の端へ連結し固定する取付けロッド(400)と、
前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)が前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の前記端へ固定されるときに、前記取付けロッド(400)を回す取付けロッドハンドル(500)と、を備え、
前記取付けロッドハンドル(500)は、前記取付けロッド(400)の前記外側端へ取付けられたハンドルカラー部材(510)であり、
前記ハンドルカラー部材(510)は、前記取付けロッド(400)の前記外側端へ遊嵌されていることを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記取付けロッド(400)の長手方向は、前記車体左右方向であり、前記取付けロッドハンドル(500)は、前記取付けロッド(400)の外側端へ取付けられた折畳み可能なハンドルであり、前記ハンドルカラー部材(510)へ折畳み可能に取付けられたハンドル本体部材(520)を有することを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記ハンドル本体部材(520)は、両端が前記ハンドルカラー部材(510)へ回動可能に取付けられた馬蹄部(521)と、前記馬蹄部(521)へ取付けられた把持部(522)と、を有し、前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)が前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の前記端へ固定されるときに、前記馬蹄部(521)は、前記ハンドルカラー部材(510)に対して回動され、前記車体左右方向において車体外側から車体内側へ向かう向きに前記取付けロッド(400)の前記外側端へ篏合された後、前記把持部(522)へ印加された力により前記車体左右方向と直交する向きに回されることにより、前記取付けロッド(400)を回すことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗載せ台ガイドレール本体部材および苗載せ台ガイドレール端部材を有し、往復移動させられる苗載せ台をガイドする苗載せ台ガイドレールと、苗載せ台ガイドレール端部材を苗載せ台ガイドレール本体部材の端へ連結し固定する取付けロッドと、苗載せ台ガイドレール端部材が苗載せ台ガイドレール本体部材の端へ固定されるときに、取付けロッドを回す取付けロッドハンドルと、を有する田植え機が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような移植機においては、畦との干渉などによる取付けロッドハンドルの破損が発生しやすいことがある。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、畦との干渉などによる取付けロッドハンドルの破損を低減することができる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、植付け装置(100)により植付けられる苗を載せて車体左右方向において往復移動させられる苗載せ台(200)と、
苗載せ台ガイドレール本体部材(310)および苗載せ台ガイドレール端部材(320)を有し、前記往復移動させられる苗載せ台(200)をガイドする苗載せ台ガイドレール(300)と、
前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)を前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の端へ連結し固定する取付けロッド(400)と、
前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)が前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の前記端へ固定されるときに、前記取付けロッド(400)を回す取付けロッドハンドル(500)と、を備え、
前記取付けロッドハンドル(500)は、前記取付けロッド(400)の前記外側端へ取付けられたハンドルカラー部材(510)であり、
前記ハンドルカラー部材(510)は、前記取付けロッド(400)の前記外側端へ遊嵌されていることを特徴とする移植機である。
【0007】
第2の本発明は前記取付けロッド(400)の長手方向は、前記車体左右方向であり、前記取付けロッドハンドル(500)は、前記取付けロッド(400)の外側端へ取付けられた折畳み可能なハンドルであり、前記ハンドルカラー部材(510)へ折畳み可能に取付けられたハンドル本体部材(520)を有することを特徴とする第1の本発明の移植機である。
【0008】
第3の本発明は、前記ハンドル本体部材(520)は、両端が前記ハンドルカラー部材(510)へ回動可能に取付けられた馬蹄部(521)と、前記馬蹄部(521)へ取付けられた把持部(522)と、を有し、前記苗載せ台ガイドレール端部材(320)が前記苗載せ台ガイドレール本体部材(310)の前記端へ固定されるときに、前記馬蹄部(521)は、前記ハンドルカラー部材(510)に対して回動され、前記車体左右方向において車体外側から車体内側へ向かう向きに前記取付けロッド(400)の前記外側端へ篏合された後、前記把持部(522)へ印加された力により前記車体左右方向と直交する向きに回されることにより、前記取付けロッド(400)を回すことを特徴とする第2の本発明の移植機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、畦との干渉などによる取付けロッドハンドル(500)の破損を低減することが可能である。そして、本発明により、このような効果に加えて、取付けロッドハンドル(500)の使いやすさを向上することが可能である。
【0010】
本発明に関連する第1の発明により、畦との干渉などによる取付けロッドハンドル(500)の破損を低減することが可能である。
【0011】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、畦との干渉などによる取付けロッドハンドル(500)の破損を低減することが可能である。
【0012】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、取付けロッドハンドル(500)の使いやすさを向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の斜視図
【
図2】本発明における実施の形態の田植え機の動力伝達系のブロック図
【
図3】本発明における実施の形態の田植え機の植付け装置近傍の部分右側面図
【
図4】(a)本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール近傍の部分正面図、(b)本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール近傍の部分平面図、(c)本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール近傍の部分右側面図
【
図5】(a)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の模式的な部分分解斜視図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の模式的な部分分解斜視図(その二)
【
図6】本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の模式的な部分斜視図
【
図7】(a)本発明における実施の形態の田植え機の馬蹄部の側面形状の模式的な説明図、(b)本発明における変形例の実施の形態の田植え機の馬蹄部の側面形状の模式的な説明図(その一)、(c)本発明における変形例の実施の形態の田植え機の馬蹄部の側面形状の模式的な説明図(その二)
【
図8】(a)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の部分右側面図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の部分右側面図(その二)、(c)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の部分右側面図(その三)、(d)本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル近傍の部分右側面図(その四)
【
図9】(a)本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール近傍の部分平面図、(b)本発明における実施の形態の田植え機の施肥装置近傍の部分右側面図
【
図10】本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット近傍の部分斜視図(その一)
【
図11】本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット近傍の部分斜視図(その二)
【
図12】本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット近傍の部分斜視図(その三)
【
図13】本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット近傍の部分左側面図
【
図14】本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット近傍の部分平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本実施の形態の田植え機は、本発明における移植機の例である。
【0016】
はじめに、
図1および2を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0017】
ここに、
図1は本発明における実施の形態の田植え機の斜視図であり、
図2は本発明における実施の形態の田植え機の動力伝達系のブロック図である。
【0018】
本実施の形態の田植え機は8条植えの乗用マット苗田植え機であり、植付け装置100は4個の植付けユニットを有し、各々の植付けユニットは左右一対の2個の植付け具を有する。
【0019】
もちろん、田植え機は、8条植えの乗用マット苗田植え機に限らず、たとえば、10条植えの乗用ポット苗田植え機であってもよい。
【0020】
最初に説明されるのは、本実施の形態の田植え機の基本的な構成および動作である。したがって、取付けロッドハンドル500などについては、後に詳細に説明する。
【0021】
運転ユニット50は、エンジン20の上方に設けられた座席51を有する。
【0022】
座席51の前方には、前輪31を操作するためのステアリングハンドル52が設けられている。そして、エンジン20の左右両側には、水平なステップフロアが設けられている。さらに、ステアリングハンドル52の左右両側には、予備苗載せ台101が設けられている。
【0023】
走行装置30は、前輪31および後輪32で車体10を走行させる装置である。
【0024】
整地装置60は、整地ローター機構61および整地フロート機構62で圃場を整地する
装置である。
【0025】
線引きマーカー80は、つぎの植付け走行経路の目安となる直線のマーキングを圃場へ形成する、車体10へ収納可能に取付けられたマーカーである。
【0026】
植付け装置100は、植付け装置昇降装置90を介して車体10の後側へ取付けられている。
【0027】
メインフレームへ取付けられたエンジン20の回転動力は、HST(Hydro Static Transmission)機構である主変速機構41などへ伝達される。主変速機構41および副変速機構42において変速された回転動力は、走行装置30などにおいて利用される走行動力と、植付け装置100などにおいて利用される外部取出動力と、に分離される。
【0028】
走行動力の一部は左右の前輪ファイナルケースへ伝達されて左右一対の前輪31を駆動し、走行動力の残りが左右の後輪ギヤケース43へ伝達されて左右一対の後輪32を駆動する。そして、後輪ギヤケース43へ伝達された走行動力の一部は、整地装置60および施肥装置70へ伝達される。
【0029】
つぎに、
図3から6を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0030】
ここに、
図3は本発明における実施の形態の田植え機の植付け装置100近傍の部分右側面図であり、
図4(a)は本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール300近傍の部分正面図であり、
図4(b)は本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール300近傍の部分平面図であり、
図4(c)は本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール300近傍の部分右側面図であり、
図5(a)および5(b)は本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル500近傍の模式的な部分分解斜視図(その一および二)であり、
図6は本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル500近傍の模式的な部分斜視図である。
【0031】
図4(b)には、取付けロッドハンドル500が折畳まれている状態と、取付けロッドハンドル500が折畳まれていない状態と、が両方とも示されている。
【0032】
苗載せ台ガイドレール300は、苗載せ台ガイドレール本体部材310および苗載せ台ガイドレール端部材320を有し、植付け装置100により植付けられる苗を載せて車体左右方向において往復移動させられる苗載せ台200をガイドするレールである。
【0033】
取付けロッド400は、苗載せ台ガイドレール端部材320を苗載せ台ガイドレール本体部材310の端へ連結し固定するロッドである。
【0034】
取付けロッドハンドル500は、苗載せ台ガイドレール端部材320が苗載せ台ガイドレール本体部材310の端へ固定されるときに、取付けロッド400を回すハンドルである。
【0035】
取付けロッド400の長手方向は、車体左右方向である。
【0036】
取付けロッドハンドル500は、取付けロッド400の外側端へ取付けられた折畳み可能なハンドルである。
【0037】
苗載せ台ガイドレール端部材320が苗載せ台ガイドレール本体部材310の端から離隔される、または折畳まれるときにも、取付けロッドハンドル500は取付けロッド400を回す。
【0038】
苗載せ台ガイドレール300の姿勢が車体10の横幅を減少させるためのこのような折畳みにより使用姿勢から収納姿勢に切替えられても、苗載せ台200の往復移動そのものを行うことはできる。しかしながら、圃場から圃場への移動または倉庫収納などが行われるときに、苗載せ台ガイドレール300の姿勢が収納姿勢であるにもかかわらず苗載せ台200の往復移動が誤操作により行われると、田植え機が苗載せ台ガイドレール300との干渉により破損することがあるので、左右の苗載せ台ガイドレール端部材320をより安全な車体10の前内側または後内側へ退避させることができる構成が採用される。
【0039】
たとえば、苗載せ台ガイドレール端部材320の前後方向および左右方向におけるフレキシブルな回動が実現されるように、一端が車体10の内側の苗載せ台ガイドレール本体部材310などへ固定された略U字形状の湾曲した苗載せ台ガイドレール端部材スライドフック322が利用される。苗載せ台ガイドレール端部材スライドフック322の他端は無支持な自由端であり、苗載せ台ガイドレール端部材320の孔などを苗載せ台ガイドレール端部材スライドフック322へ引掛け、車体10の内側へ苗載せ台ガイドレール端部材320を苗載せ台ガイドレール端部材スライドフック322に沿って三次元的にスライドさせる操作は容易である、退避された苗載せ台ガイドレール端部材320は、背面が車体10の内側に向くように、収納位置保持ステーとも呼ばれるステー部材へのロックなどにより車体10へ固定され、苗載せ台200および苗載せ台ガイドレール300の折畳みにともなう苗載せ台ガイドレール端部材320の落下および紛失などはほぼ全く発生しない。
【0040】
取付けロッドハンドル500は、取付けロッド400の外側端へ取付けられたハンドルカラー部材510と、ハンドルカラー部材510へ折畳み可能に取付けられたハンドル本体部材520と、を有する。
【0041】
折畳まれたハンドル本体部材520は、いわゆる畦際植えなどにおける畦との干渉などにより破損しにくい。
【0042】
ハンドル本体部材520は、両端がハンドルカラー部材510へ回動可能に取付けられた馬蹄部521と、馬蹄部521へ取付けられた把持部522と、を有する。
【0043】
苗載せ台ガイドレール端部材320が苗載せ台ガイドレール本体部材310の端へ固定されるときに、馬蹄部521は、ハンドルカラー部材510に対して回動され、車体左右方向において車体外側から車体内側へ向かう向きに取付けロッド400の外側端へ篏合された後、把持部522へ印加された力により車体左右方向と直交する向きに回されることにより、取付けロッド400を回す。
【0044】
ハンドルカラー部材510は、取付けロッド400の外側端へ遊嵌されている。
【0045】
苗載せ台ガイドレール端部材係止フック321は、苗載せ台ガイドレール端部材320が使用されずに収納されるときに、上述されたように苗載せ台ガイドレール端部材320を車体10と係止させるためのフックである。
【0046】
取付けロッドハンドル係止フック501は、取付けロッドハンドル500が使用されずに収納されるときに、取付けロッドハンドル500を苗載せ台ガイドレール端部材320と係止させるためのフックであり、苗載せ台ガイドレール端部材係止フック321と一体的に構成されている。このような単一部品仕様により、苗載せ台ガイドレール構成がコンパクト化されるのみならず、部品点数の削減なども実現される。
【0047】
取付けロッドハンドル抜け防止ナット504は、取付けロッド400の車体最外位置に位置する、取付けロッドハンドル500の取付けロッド400の外側端からの抜けを防止するためのナットである。
【0048】
取付けロッドハンドル500が使用されるときに、ハンドル本体部材520は、把持部522の反対側の取付けロッドハンドル回動ピン502の周りに、回動ステーとしてのハンドルカラー部材510に対して回動され、取付けロッド400の外側端へ固定された略四角形状の角張った取付けロッドハンドル篏合ナット503へしっかりと篏合される。
【0049】
図7(a)から7(c)に示されているように、取付けロッド400の外側端へ篏合される馬蹄部521の上端は(a)引込んでいてもよいし、(b)飛出していてもよいし、(c)なだらかであってもよいが、スムーズな馬蹄部521の篏合が容易に行われるように、馬蹄形状が略多角形状の取付けロッドハンドル篏合ナット503が最初に入込む部分において外側へ向かって広げられていることが望ましい。
【0050】
ここに、
図7(a)は本発明における実施の形態の田植え機の馬蹄部521の側面形状の模式的な説明図であり、
図7(b)および7(c)は本発明における変形例の実施の形態の田植え機の馬蹄部521の側面形状の模式的な説明図(その一および二)である。
【0051】
図8(a)から8(d)に示されているように、使用姿勢の取付けロッドハンドル500が苗載せ台200と干渉しないのみならず、植付け装置100の横幅が大きくならない構成が実現される。
【0052】
ここに、
図8(a)から8(d)は、本発明における実施の形態の田植え機の取付けロッドハンドル500近傍の部分右側面図(その一から四)である。
【0053】
すなわち、取付けロッド400が取付けロッドハンドル500により回される、取付けロッド締付け作業または取付けロッド緩め作業が終了した後、取付けロッドハンドル篏合ナット503から外されて取付けロッドハンドル回動ピン502の周りに回動されたハンドル本体部材520はハンドルカラー部材510に対して引起される。ハンドルカラー部材510とともに収納向きまで取付けロッド400の周りに回動されたハンドル本体部材520がハンドルカラー部材510に対して倒されることにより、取付けロッドハンドル500の姿勢は使用姿勢から収納姿勢に切替えられる。
【0054】
図9(a)および9(b)に示されているように、取付けロッドハンドル係止フック501によりロックされた取付けロッドハンドル500の車体最外位置は、前板ガードとも呼ばれるガード部材301の取付け位置である、左右方向において往復移動させられる苗載せ台200の車体最外位置と比べて外側へ飛出しておらず、取付けロッドハンドル500は側面視において苗載せ台200とオーバーラップしない。
【0055】
ここに、
図9(a)は本発明における実施の形態の田植え機の苗載せ台ガイドレール300近傍の部分平面図であり、
図9(b)は本発明における実施の形態の田植え機の施肥装置70近傍の部分右側面図である。
【0056】
図9(a)には、取付けロッドハンドル500が折畳まれている状態と、取付けロッドハンドル500が折畳まれていない状態と、が両方とも示されている。
【0057】
もちろん、苗載せ台ガイドレール300の姿勢が上述されたように使用姿勢から収納姿勢に切替えられても、取付けロッドハンドル500の車体最内位置は苗載せ台ガイドレール300の車体最内位置と比べて内側へ引込んでおらず、取付けロッドハンドル500は側面視において施肥ホースとも呼ばれる施肥装置70のホース部材71などとオーバーラップしない。
【0058】
つぎに、
図10から14を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0059】
ここに、
図10から12は本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット50近傍の部分斜視図(その一から三)であり、
図13は本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット50近傍の部分左側面図であり、
図14は本発明における実施の形態の田植え機の運転ユニット50近傍の部分平面図である。
【0060】
エンジンカバー600がフロント部分カバー610、センター部分カバー620およびリア部分カバー630に分割されているエンジンカバー三分割仕様が、エンジンカバーボックス形状仕様の代わりに採用される。したがって、フロント部分カバー610、センター部分カバー620およびリア部分カバー630の内、取外しが要求される部分カバーのみを取外す簡単な作業で、上方に設けられた座席51そのものの取外しなしにメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0061】
後述されるように、フロント部分カバー610、センター部分カバー620およびリア部分カバー630は、取付けられたリア部分カバー630の浮上がりなしに、しっかり取付けられるのみならず、螺子および工具などは部分カバーの取付けおよび取外しに不要である。
【0062】
フロント部分カバー610は、樹脂を利用して形成されたフード形状のカバーであり、座席支柱フレーム601などに設けられたフロント部分カバー回動ピン613の周りに回動可能である。フロント部分カバー610が閉じられているときには、下側に位置した略U字形状のフロント部分カバー前フック611は座席支柱フレーム601などに係止しており、リア部分カバー前フック631とは干渉しないように車体左右方向においてずらされて配置されている、上側に位置した略J字形状の折曲げられたフロント部分カバー後フック612はフロント部分カバー回動ピン613に係止している。
【0063】
センター部分カバー620は、エンジン20を上方から覆う、鉄などの金属を利用して形成されたプレート形状のカバーであり、車体前後方向においてスライド可能である。
【0064】
リア部分カバー630は、樹脂を利用して形成されたフード形状のカバーであり、取外し可能である。リア部分カバー630が取付けられているときには、フロント部分カバー後フック612とは干渉しないように車体左右方向においてずらされて配置されている、略J字形状の折曲げられたリア部分カバー前フック631はフロント部分カバー回動ピン613を上方から乗越えてフロント部分カバー回動ピン613に係止しており、略U字形状のリア部分カバー後フック632は座席支柱フレーム601などに係止している。
【0065】
部分カバーの取外し作業においては、リア部分カバー630がリア部分カバー前フック631の係止などを外すことによりはじめに取外され、フロント部分カバー610がフロント部分カバー後フック612の係止などを外すことによりつぎに開けられ、必要であれば、センター部分カバー620が前向きにスライドされる。
【0066】
フロント部分カバー回動ピン613は、回動部材、ならびにフロント部分カバー後フック612の係止部材およびリア部分カバー前フック631の係止部材としてのみならず、リア部分カバー前フック631の折曲げ形状と協働しながら、取付けられたリア部分カバー630の前向きのずれを防止するストッパー部材としても機能するので、部品点数の削減および廉価性が実現される。
【0067】
ドリンク容器ホルダー650は、リア部分カバー630の左上面などを利用して設けられた凹部である。
【0068】
小物入れ660は、リア部分カバー630の左上面などを利用して、車体前後方向においてドリンク容器ホルダー650の前側に設けられた凹部である。
【0069】
ドリンク容器ホルダー650は、小物入れ660と比べて、エンジン20から離れており、ドリンク容器ホルダー650に収納されたドリンク容器はエンジン20の熱に影響されにくい。
【0070】
ステップフロアのようなメインフロア700は、小物入れ660の下方には設けられていないが、ドリンク容器ホルダー650の下方には設けられている。二層断熱構成がメインフロア700およびドリンク容器ホルダー650により形成されるので、ドリンク容器ホルダー650に収納されたドリンク容器はさらにエンジン20の熱に影響されにくい。
【0071】
ドリンク容器ホルダー650の側壁が小物入れ660の側壁よりも上下方向にかなり長くなるように、ドリンク容器ホルダー上端縁部652は上方へ向かって突出しており、ドリンク容器ホルダー650に収納されたペットボトルのようなドリンク容器は倒れにくい。
【0072】
ドリンク容器ホルダー650と小物入れ660との間の側壁は略U字形状に切欠かれており、小物入れ660はドリンク容器ホルダー650と繋がっているので、ドリンク容器ホルダー650が空である場合には長尺な小物を小物入れ660に収納することができる。
【0073】
ドリンク容器ホルダー650の底は、ドリンク容器ホルダー排水孔651が穿孔されている中心に向かって傾斜している。
【0074】
ドリンク容器ホルダー650の底は小物入れ660の底より低く、ドリンク容器ホルダー650に近い側が低くなる小物入れ底傾斜面が形成されているので、ドリンク容器ホルダー650および小物入れ660の泥水などはドリンク容器ホルダー排水孔651からドリンク容器ホルダー650の下方のメインフロア700へ全て排出される。排出された泥水がエンジン20へ侵入しないように、車体10の外側が低くなるメインフロア傾斜面が形成されているのみならず、エンジン20の側にはメインフロア立上がり縁部701が立設されている。したがって、泥水による錆などがエンジンカバー600により覆われたエンジン20およびエアクリーナーなどに発生する恐れは、ほとんどない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明における移植機は、畦との干渉などによる取付けロッドハンドルの破損を低減することができ、田植え機などのような移植機に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0076】
10 車体
20 エンジン
30 走行装置
31 前輪
32 後輪
41 主変速機構
42 副変速機構
43 後輪ギヤケース
50 運転ユニット
51 座席
52 ステアリングハンドル
60 整地装置
61 整地ローター機構
62 整地フロート機構
70 施肥装置
71 ホース部材
80 線引きマーカー
90 植付け装置昇降装置
100 植付け装置
101 予備苗載せ台
200 苗載せ台
300 苗載せ台ガイドレール
301 ガード部材
310 苗載せ台ガイドレール本体部材
320 苗載せ台ガイドレール端部材
321 苗載せ台ガイドレール端部材係止フック
322 苗載せ台ガイドレール端部材スライドフック
400 取付けロッド
500 取付けロッドハンドル
501 取付けロッドハンドル係止フック
502 取付けロッドハンドル回動ピン
503 取付けロッドハンドル篏合ナット
504 取付けロッドハンドル抜け防止ナット
510 ハンドルカラー部材
520 ハンドル本体部材
521 馬蹄部
522 把持部
600 エンジンカバー
601 座席支柱フレーム
610 フロント部分カバー
611 フロント部分カバー前フック
612 フロント部分カバー後フック
613 フロント部分カバー回動ピン
620 センター部分カバー
630 リア部分カバー
631 リア部分カバー前フック
632 リア部分カバー後フック
650 ドリンク容器ホルダー
651 ドリンク容器ホルダー排水孔
652 ドリンク容器ホルダー上端縁部
660 小物入れ
700 メインフロア
701 メインフロア立上がり縁部