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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】着色組成物及びカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20230418BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20230418BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20230418BHJP
   C08G 63/688 20060101ALI20230418BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20230418BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20230418BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20230418BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230418BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230418BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C09D17/00
C08F2/50
C08F20/00
C08G63/688
C08L33/00
C08L67/00
C09B67/20 F
G02B5/20 101
G02F1/1335 515
H01L27/146 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022119262
(22)【出願日】2022-07-27
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2021201370
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 悠大
(72)【発明者】
【氏名】唐木田 直人
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/166855(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/196391(WO,A1)
【文献】特開2017-116857(JP,A)
【文献】特開2010-185934(JP,A)
【文献】特開2013-254127(JP,A)
【文献】特開2016-186588(JP,A)
【文献】特開2016-191866(JP,A)
【文献】特開2017-058652(JP,A)
【文献】特開2019-078878(JP,A)
【文献】特開2019-139250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
C08F 2/50
C08F 20/00
C08G 63/688
C08L 33/00
C08L 67/00
C09B 67/20
G02B 5/20
G02F 1/1335
H01L 27/146
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を含有する着色組成物であって、
前記ポリエステル分散剤は、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、および水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、1.0~1.5モルであり、
前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有する、着色組成物。
【請求項2】
前記モノアルコールが、エーテル基またはカルボニル基を有する化合物である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル分散剤の重量平均分子量が、7000~25000である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項4】
請求項1~3いずれかに記載の着色組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含む、感光性着色組成物。
【請求項5】
基材、および請求項4記載の感光性着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5記載のカラーフィルタを備える、固体撮像素子。
【請求項7】
請求項5記載のカラーフィルタを備える、画像表示装置。
【請求項8】
顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を混合して得る着色組成物の製造方法であって、
前記ポリエステル分散剤は、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物と、水酸基を2個以上有する化合物とを、前記水酸基1モルに対して前記酸無水物基を1.0~1.5モル反応させて生成したエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにエチレン性不飽和単量体を重合して生成したビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有することを特徴とする、着色組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および有機EL表示装置等の画像表示装置、ならびに固体撮像素子のカラーフィルタ等の形成に使用する着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置では、高色再現用途のカラーフィルタの開発が高度化しており、それに伴いカラーフィルタ用着色組成物に求められる要求性能も厳しくなっている。最終製品であるカラーフィルタの品質もさることながら、着色組成物の顔料分散組成物を多く含むことになり、工程面の要求も難しくなっている。特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)への再溶解性の向上が重要視されている。PGMAc再溶解性が優れない場合には、コーターにてレジスト液塗工後、乾燥膜が発生する可能性があり、容易にPGMAcへ再溶解しない場合は、その後の処理時において、乾燥膜が異物となる可能性がある。
【0003】
PGMAc再溶解性を良化させる方法としては、グラフト型分散剤を用いる方法(特許文献1)やアクリル系ブロック重合体を用いる方法(特許文献2)が挙げられる。
【0004】
しかし、これらの方法では着色組成物の分散安定性とPGMAc再溶解性を両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-227839号公報
【文献】特開2020-194131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、保存安定性、塗膜上の異物抑制、ろ過性に優れ、PGMAcに対する再溶解性が優れる着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の着色組成物は、顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を含有し、
前記ポリエステル分散剤は、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、および水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、
前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有する、着色組成物。
【0008】
また、本発明は、前記モノアルコールが、エーテル基またはカルボニル基を有する化合物である、前記着色組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、前記ポリエステル分散剤の重量平均分子量が、7000~25000である、前記着色組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、前記着色組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含む、感光性着色組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、基材、および前記感光性着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタに関する。
【0012】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備える、固体撮像素子に関する。
【0013】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備える、画像表示装置に関する。
【0014】
また、本発明の着色組成物の製造方法は、顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を含有し、
前記ポリエステル分散剤は、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、および水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、
前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明により、保存安定性、塗膜上の異物抑制、ろ過性に優れ、PGMAcに対する再溶解性が優れる着色組成物を提供できる。また、本発明は、感光性着色組成物、固体撮像素子、画像表示装置および着色組成物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表す。また、本明細書中、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0017】
本発明の着色組成物は、本発明の着色組成物は、顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を含有する着色組成物であって、
前記ポリエステル分散剤は、水酸基を2個以上有する化合物1モル、および酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルの反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有する。
ポリエステル分散剤は、水酸基を2個以上有する化合物1モル、および酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルの反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖にすることで、一分子中の顔料に吸着する部位の割合が増えることで分散性が向上する。さらに前記反応生成部位に寄与しない酸無水物基をモノアルコールで封止することで経時安定性およびPGMAcに対する再溶解性が向上する。
一般に、分散剤は顔料に吸着する部位と、顔料担体である光重合性化合物、バインダー樹脂、及び分散媒である溶剤に親和性の高い部位とを有し、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。
つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と顔料担体及び分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。ここで言う顔料担体とは、不揮発分から顔料成分と分散剤を除いた、樹脂及びその前駆体又はそれらの混合物からなる。
【0018】
<ポリエステル分散剤>
本発明に使用するポリエステル分散剤は、水酸基を2個以上有する化合物1モル、および酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルの反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、
前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有する。
ポリエステル分散剤は、前駆体である酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、前駆体である水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によりエステル結合が生成すると同時に芳香族カルボン酸が生成する。
本発明に使用するポリエステル分散剤のビニル重合体部位は、例えば、下記2つの方法で重合できる。1つ目の方法は、水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する方法である。水酸基を有する化合物は、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物が好ましく、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物がより好ましい。
2つ目の方法は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する方法である。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の水酸基と、芳香族テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体が好ましい。
上記2つの方法は、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0019】
芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖のうち、芳香族カルボン酸は、顔料吸着基として作用する。なお、芳香族カルボン酸とは、カルボキシル基と芳香環が直接結合する構造である。また、ビニル重合体部位に基づく側鎖は、顔料担体親和部位として作用する。これにより顔料の凝集を抑え分散体の安定性に優れている。
芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、水酸基を2個以上有する化合物1モル、および酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルのエステル化反応で生成する。さらに、芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖の末端の酸無水物基の少なくとも一方は、モノアルコールに由来する封止部位を有する。すなわち、酸無水物基がモノアルコールで開環し、アルコールエステルおよびカルボキシル基が生成する。これにより着色組成物のろ過性が向上し、着色組成物を塗工して形成する塗膜上の異物を抑制し、更には着色組成物を塗工する際、塗工装置に形成する着色組成物に由来する固化物物のPGMAcに対する再溶解性が向上する。なお、前記エステル化反応の際、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物の使用量は、1.0~1.3モルが好ましい。
本発明でビニル重合体部位に基づく側鎖は、エチレン性不飽和単量体の重合によって形成する。なお、ビニル重合体部位を構成する全単量体単位とは、ビニル重合後の各エチレン性不飽和単量体由来の部分構造をいう。
まず、本発明のポリエステル分散剤の各構成要素について説明する。
【0020】
〔酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物〕
本発明に使用する酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物の無水物基は、前駆体である水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によって、ポリエステル分散剤の主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散性に寄与する。
【0021】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等のが挙げられる。
【0022】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、一般式で示すと下記一般式(2)又は一般式(3)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0023】
一般式(2):
【0024】
【化1】

[一般式(2)中、kは1又は2である。]
【0025】
一般式(3):
【0026】
【化2】

[一般式(3)中、Q1は、直接結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO
-、-SO-、-C(CF-、下記一般式(4)で表される基、又は下記一般式(5)で表される基である。]
【0027】
一般式(4):
【化3】
【0028】
一般式(5):
【化4】
【0029】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、顔料に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物がより好ましい。
【0030】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、酸無水物基を2つ以上有する脂肪族化合物を併用できる。
【0031】
〔水酸基を2個以上有する化合物〕
水酸基を2個以上有する化合物は、上記の通り、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物が好ましく、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物がより好ましい。
【0032】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0033】
エチレン性不飽和単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、又はメトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;あるいは、これらの混合物が挙げられる。
【0034】
また、上記(メタ)アクリル単量体と併用できる単量体として、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0035】
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などから1種又は2種以上を選択することができる。
【0036】
上記ビニル重合体部位は、片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体から形成できる。その合成は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下にエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する方法に加え、以下の方法が挙げられる。
【0037】
〔1〕片末端領域に(メタ)アクリル基を1つ有する樹脂と、1つのアミンと2つの水酸基とを有する化合物とをマイケル付加させる方法
〔2〕片末端領域にカルボン酸基を1つ有する樹脂と、1つのエポキシ基と1つの水酸基とを有する化合物とをエポキシ付加させる方法
〔3〕片末端領域にビニルエーテル基を1つ有する樹脂と、1つのカルボン酸基と2つの水酸基とを有する化合物とを付加させる方法
〔4〕重合開始剤に2つの水酸基を有する重合開始剤を用いて、ラジカル重合又は、原子移動型ラジカル重合(リビングラジカル重合)を行う方法とがある。
これらの方法を用いることで片末端領域に2つの水酸基を有する樹脂の合成が可能であるが、多段階反応になってしまう場合が多いことや、分子量の制御が困難である場合が多く、生産性の面からも2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下にエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する方法がもっとも好ましい。
【0038】
上記ビニル重合体部位は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物を、エチレン性不飽和単量体と共に重合して合成できる。2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物は、エチレン性不飽和単量体の全単量体質量を基準として、1~10質量%を用い、より好ましくは2~9質量%、更に好ましく3~8質量%である。1質量%以上の場合、ビニル重合体部位の分子量高くなりすぎず、顔料担体及び溶剤に対する親和性部位として、その絶対量を抑えられ、顔料分散性がより向上する。10質量%以下の場合、ビニル重合体部位の分子量が低くなりすぎず、顔料担体及び溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果を十分に得ることができ、顔料分散性がより向上する。
【0039】
重合温度は、40~150℃、好ましくは50~110℃である。40℃以上であれば重合が進行し易く、150℃以下であれば分子量のコントロールが容易になる。
【0040】
重合の際、エチレン性不飽和単量体の全単量体質量を基準として、0.001~5質量%の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、アゾ系化合物及び有機過酸化物が挙げられる。
【0041】
アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0042】
有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0043】
重合開始剤は、単独または2種類以上組み合わせて使用できる。
【0044】
ビニル重合体の合成は、塊状重合または溶液重合を行うことが好ましい。溶液重合の重合溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
【0045】
ポリエステル分散剤の側鎖は、ビニル重合体部位以外にその他ポリオールに基づく部位を有することができる。
【0046】
〔その他ポリオール〕
重合の際、その他ポリオールを併用することでカルボン酸基の密度や、溶剤溶解部の割合の調整が容易になる。
【0047】
その他ポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、グリセリン、若しくはヘキサントリオールの如き多価アルコール類;
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、若しくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルグリコール類;
上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、若しくはアリルグリシジルエーテルの如き各種の(環状)エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,4-シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサトリカルボン酸、若しくは2,5,7-ナフタレントリカルボン酸等で特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、若しくは3-メチル-δ-バレロラクトンの如き各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、あるいは、上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類、若しくは各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/若しくは多価アルコール類のグリシジルエーテル、あるいは、一塩基酸及び/又は多塩基酸類のグリシジルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;あるいは、ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物、又は水酸基含有シリコン樹脂等が挙げられる。
【0048】
その他ポリオールは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40~10,000が好ましく、より好ましくは、100~2,000であり、更に好ましくは、100~1,000である。重量平均分子量が40以上である場合には、カルボン酸基の密度調整をすることができる。重量平均分子量が10,000以下である場合には、他原料との相溶性が良好となる。
【0049】
その他ポリオールとしては、ジオールが好ましい。特に、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と反応することで、主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ嵩高くなり、分散効果が得られにくくなる。ポリエステル分散剤の分子量調整や、分散液の粘度調整のため等、設計の観点から最小限に止めるべきである。配合量に関しては、後述する。
【0050】
〔ポリエステルの合成〕
本発明で用いられるポリエステル分散剤のポリエステル合成の過程について、水酸基を2つ以上有する化合物と酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物のそれぞれ好ましい化合物である、2つの水酸基を持つ化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応を例に説明する。
【0051】
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、かつ、生成するポリエステル主鎖上にペンダントカルボキシル基を残すことができる。2つの水酸基を持つ化合物のモル量をa、テトラカルボン酸二無水物のモル量をbとし、i)a>b、ii)a=b、及びiii)a<bとしたときのテトラカルボン酸二無水物と2つの水酸基を持つ化合物との反応を、下記一般式(6)、(7)、及び(8)に示す。下記一般式(6)~(8)の生成物中に残っている酸無水物基を加水分解またはアルコールによる酸無水物の開環をすれば、この反応による生成物は、構造式中のX1部分にカルボキシル基を2個又は3個を有しており、この複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位として有効である。
【0052】
i)a>b
【0053】
一般式(6):
【化5】
【0054】
ii)a=b
【0055】
一般式(7):
【化6】
【0056】
iii)a<b
【0057】
一般式(8):
【化7】

【0058】
Rは、酸無水物基を加水分解する場合は水素原子を示し、モノアルコールによる酸無水物の開環の場合は後述するモノアルコールの構造を示す。
【0059】
本発明におけるXは、テトラカルボン酸二無水物が水酸基と反応した後の反応残基、Yは、2つの水酸基を持つ化合物が酸無水物基と反応した後の反応残基である。Xの形態として好ましくは、前記一般式(2)又は一般式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物が、2つの水酸基を持つ化合物と反応した後の反応残基である。
【0060】
〔ポリエステル分散剤の合成〕
ポリエステル分散剤は、前記一般式(6)~(8)に示したポリエステルの合成の説明中、2つの水酸基を持つ化合物中のYに、S原子を介してビニル重合体を導入する方法が好ましい。以下、好ましい2つの合成パターンを示す。
【0061】
合成パターン1)
下記一般式(9)は、片末端に2つの水酸基と一つのチオール基を有する化合物(a1)の存在下、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合し、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a2)を生成させ、これとテトラカルボン酸二無水物(b1)を反応させる。
【0062】
一般式(9):
【0063】
【化8】
【0064】
(a1)のモル比をa(整数)、(b)のモル比をb(整数)とすると、本発明のモル比は2b/2a=b/a=0.9~1.5が好ましい。モル比が1未満の場合でも未反応の酸無水物が残る場合があり、モノアルコールで主鎖末端を封止する。モル比b/aが0.9以上であれば、一分子中の顔料に吸着する部位の割合が十分で異物発生が抑制され、1.5以下であれば、酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、酸無水物を開環しても酸性基が過剰にならず、顔料担体や溶剤への相溶性が良好となる。顔料分散性と安定性の観点から、c/a=1.0~1.3がより好ましい。
【0065】
合成パターン2)
下記一般式(10)および(11)は、片末端に2つの水酸基と一つのチオール基を有する化合物とテトラカルボン酸二無水物を反応させて、ビニル重合体部位を含まない化合物を最初に生成し、続いて、残存しているチオール基を連鎖移動剤としてラジカル重合することでビニル重合体部分を導入できる。
【0066】
一般式(10):
【0067】
【化9】
【0068】
一般式(11):
【0069】
【化10】
【0070】
(a1)のモル比をa(整数)、(b)のモル比をb(整数)とすると、本発明のモル比は2b/2a=b/a=0.9~1.5が好ましい。モル比が1未満の場合でも未反応の酸無水物が残る場合があり、モノアルコールで酸無水物を開環する。モノアルコールによる酸無水物の開環反応は、一般式(10)のようにラジカル重合の前でも、一般式(11)のように後でもどちらでもよい。モル比b/aが0.9以上であれば、一分子中の顔料に吸着する部位の割合が十分で異物発生が抑制され、1.5以下であれば、酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、酸無水物を開環しても酸性基が過剰にならず、顔料担体や溶剤への相溶性が良好となる。顔料分散性と安定性の観点から、b/a=1.0~1.3がより好ましい。
【0071】
[反応触媒]
ポリエステル分散剤の合成に使用する触媒は、3級アミン系化合物が好ましい。3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、又は1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等が挙げられる。
【0072】
[反応溶剤]
ポリエステル分散剤の合成には、溶剤を使用できる。溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0073】
ポリエステル分散剤中の前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、酸無水物基にモノアルコールを反応させた、モノアルコールに由来する封止部位を有する。
モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコール、1-ノニルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのモノアルコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル基を有するモノアルコール、
乳酸メチル、乳酸エチル、ダイアセトンアルコール、などのカルボニル基を有するモノアルコール等が挙げられる。これらは単独または2種類以上を使用できる。
【0074】
モノアルコールは、エーテル基またはカルボニル基を有する化合物であることが好ましい。分散剤の主鎖の末端にエーテル基またはカルボニル基を有することができ、分散剤のPGMAc再溶解性が向上する。これらの中でも、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコールが好ましい。
【0075】
芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位に加え、水と反応させた封止部位を有してもよい。
【0076】
封止部位の合成について、酸無水物基に対するモノアルコールの使用量は、主鎖に残る酸無水物基1当量に対して1~30当量が好ましく、1.5~20当量がより好ましい。1当量以上の場合は酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、30当量以下の場合はモノアルコールと分散剤のエステル結合によるエステル交換反応が起こりにくく、分子量の低下が起こりにくい。
【0077】
[反応条件]
ポリエステル合成の開環反応温度は50℃~180℃、好ましくは80℃~140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以上の場合は反応が進行し、180℃以下の場合ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応を起こさず、酸価の減少や、ゲル化が起こりにくい。
【0078】
[分子量]
ポリエステル分散剤の重量平均分子量は、2,000~35,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましく、4,000~25,000がさらに好ましい。分子量が2,000以上である場合、溶媒親和部位による立体反発効果により顔料凝集を抑制でき、顔料分散性がより向上する。分子量が35,000以下である場合に溶媒溶解性が担保され、十分な立体反発効果を保つことができ顔料分散性がより向上する。前記範囲となる場合に、立体反発効果による顔料凝集抑制効果がより良好となる。
【0079】
[酸価]
ポリエステル分散剤の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましく、20~180mgKOH/gがより好ましく、30~150mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が5mgKOH/g以上の場合は、顔料吸着能が向上して顔料分散性がより向上する。一方、200mgKOH/g以下の場合は、樹脂間の相互作用がなく顔料分散組成物の粘度を低く抑えられる。
【0080】
着色組成物中のポリエステル分散剤の含有量は、顔料の質量を基準として、好ましくは0.01~100質量%が好ましく、0.01~60質量%がより好ましく、5~40質量%がさらに好ましい。ポリエステル分散剤の含有量が0.01質量%以上の場合は良好な分散効果を得られ、100質量%以下の場合は樹脂間の相互作用がなく顔料分散組成物の粘度を低く抑えられる。
【0081】
<着色剤>
着色剤は、顔料を含む。顔料は、有機顔料無機顔料が挙げられる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い面で有機顔料が好ましい。以下に、カラーフィルタ用着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0082】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、177、224、242、269、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料である。
【0083】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、又は73等が挙げられる。
【0084】
青色顔料は、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。また青色着色組成物には、後述の紫色顔料を併用してもよい。
【0085】
紫色顔料は、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0086】
緑色顔料は、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63、特開2017-111398号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36、58、59、62、63、特開2017-111398号公報に記載された顔料である。
【0087】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料である。
【0088】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等が挙げられる。
【0089】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、19、C.I.ピグメントレッド144、146、177、169、81等が挙げられる。
【0090】
無機顔料は、例えば、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、又は金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、及び現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0091】
本発明の着色組成物には、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有できる。
【0092】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、厚さ2μmの被膜を形成すると可視光領域の400~700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。樹脂としては、熱可塑性樹脂、感光性樹脂が挙げられる。
【0093】
熱可塑性樹脂は、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、又はフェノール樹脂等が挙げられる。
【0094】
感光性樹脂は、例えば、水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、又はエポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、又はスチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が好ましい。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物、又はα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も好ましい。
【0095】
また、本発明の着色組成物を用いてアルカリ現像によりフィルタセグメントを形成させる場合には、アルカリ可溶型非感光性樹脂を含有させることが好ましい。アルカリ可溶型非感光性樹脂とは、アルカリ水溶液に溶解しラジカルにより架橋しない樹脂であり、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性官能基を有する重量平均分子量1,000~500,000、好ましくは5,000~100,000の樹脂が挙げられる。アルカリ可溶型非感光性樹脂として具体的には、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体からなる群選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性官能基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0096】
本発明の感光性着色組成物は、着色組成物、光重合性化合物、および光重合開始剤を含むことが好ましい。着色組成物および感光性着色組成物はカラーフィルタ用途に使用することが好ましい。
【0097】
<光重合性化合物>
光重合性化合物は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーである。重合性不飽和基は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
【0098】
光重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、又はポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル(メタ)フタレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、又は2-エチル,2-ブチル-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジアクリル酸亜鉛、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、又はグリセロールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
グリセロールトリグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、1,6-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、アリルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、フェニルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、スチレンオキサイド-(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、プロピレンオキサド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性フタル酸―(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸―(メタ)アクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテル―(メタ)アクリル酸付加物、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル―(メタ)アクリル酸付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物、又はその他のエポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシ(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロイル変性イソシアヌレート、(メタ)アクリロイル変性ポリウレタン、(メタ)アクリロイル変性ポリエステル、(メタ)アクリロイル変性メラミン、(メタ)アクリロイル変性シリコーン、(メタ)アクリロイル変性ポリブタジエン、又は(メタ)アクリロイル変性ロジン等の(メタ)アクリロイル変性樹脂オリゴマー類;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、又はペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル類;
(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はN-ビニルホルムアミド等のアミド類;あるいは、アクリロニトリル等が挙げられる。
光重合性化合物は、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0099】
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、又は2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン系光重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、又は4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤;
チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、又は2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤;
ボレート系光重合開始剤;
カルバゾール系光重合開始剤;
イミダゾール系光重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して使用できる。
【0100】
光重合開始剤の含有量は、顔料100質量部に対して、5~200質量部が好ましく、10~150質量部がより好ましい。
【0101】
感光性着色組成物は、光重合開始剤とともに増感剤を併用できる。これにより光反応性が向上する。増感剤は、例えば、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、又は4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0102】
増感剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1~60質量部が好ましい。
【0103】
<溶剤>
本発明の着色組成物や感光性着色組成物は、粘度調整等のために溶剤を含有できる。
【0104】
溶剤は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、又は二塩基酸エステル等が挙げられる。溶剤は、単独または2種類以上を混合して使用できる。
【0105】
本発明の着色組成物は、例えば、顔料、ポリエステル分散剤および溶剤等を使用して分散処理を行い着色組成物を作製する。顔料が有機顔料の場合、分散処理の際、色素誘導体等の分散助剤を併用すると有機顔料をより微細に分散できる、また、顔料が溶剤への溶解性が高い場合、分散処理を必要としない場合がある。顔料を2種類以上併用する場合、顔料別に着色組成物を作製し、その後混合できる。また、複数の顔料を使用して一括で、着色組成物を作製できる。
次いで、着色組成物に光重合性化合物、および光重合開始剤等を配合し、混合することで感光性着色組成物が得られる。なお、各材料を配合するタイミングが任意であることはいうまでもない。
【0106】
前記分散処理は、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の分散装置を使用できる。
【0107】
着色組成物および感光性着色組成物の作製後、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、更に好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0108】
<その他分散剤>
本明細書では、ポリエステル分散剤に加え、その他分散剤を併用できる。その他分散剤は、ポリエステル分散剤以外の樹脂型分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0109】
ポリエステル分散剤以外の樹脂型分散剤は、例えば、スチレン-無水マレイン酸共重合物、オレフィン-無水マレイン酸共重合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸-ポリビニル系マクロマー共重合体、燐酸エステル基含有アクリル樹脂、芳香族カルボキシル基含有アクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド-(メタ)アクリル酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル基を有するポリウレタン、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、又はアルギン酸ソーダ等のアニオン系樹脂型顔料分散剤;
ポリビニルアルコール、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド、又はポリマー澱粉等のノニオン系樹脂型顔料分散剤;あるいは、
ポリエチレンイミン、アミノアルキル(メタ)アクリレート共重合物、ポリビニルイミダゾリン、アミノ基を有するポリウレタン、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応物、又はサトキンサン等のカチオン系樹脂型顔料分散剤が挙げられる。
【0110】
樹脂型分散剤の市販品は、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0111】
界面活性剤の市販品は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、又はポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;
アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;あるいは、
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、又はアルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられる。その他分散剤は、単独または2種以上を混合して使用できる。
【0112】
その他分散剤の使用量は、顔料100質量部に対して、0.1~40質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましい。その他分散剤の配合量が、0.1質量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が40質量%より多いと、過剰な分散助剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0113】
<色素誘導体>
着色組成物には、顔料の分散性を改善する目的で、必要に応じて色素誘導体を使用できる。色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物(以下、酸性性誘導体という)、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物(以下、塩基性誘導体という)、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。これらの中でも塩基性誘導体が好ましい。
【0114】
本発明の着色組成物において、塩基性誘導体の配合量は、顔料の質量を基準にして、1~50質量部が好ましく、3~30質重部がより好ましく、5~25質量部がさらに好ましい。塩基性基を有する色素誘導体が1質量%以上の場合は添加した効果が得られ顔料分散性が向上し、50質量%以下の場合は耐熱性、及び耐光性に悪影響が表れにくい。
【0115】
本発明で用いられる塩基性基を有する色素誘導体の具体例を、化合物番号を付して以下に示すが、これらに限定されるわけではない。
【0116】
・化合物1
一般式(27):
【化11】
【0117】
・化合物2
一般式(28):
【化12】
【0118】
・化合物3
一般式(29):
【化13】
【0119】
・化合物4
一般式(30):
【化14】
【0120】
・化合物5
一般式(31):
【化15】
【0121】
<貯蔵安定剤>
本発明の用着色組成物には、着色組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有できる。
【0122】
貯蔵安定剤は、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、又はジエチルヒドロキシアミン塩酸塩等の4級アンモニウムクロライド;
乳酸、又はシュウ酸等の有機酸;
前記有機酸のメチルエステル;
t-ブチルピロカテコール等ピロカテコール;
テトラエチルホスフィン、又はテトラフェニルフォスフィン等の有機ホスフィン;亜リン酸塩等が挙げられる。
【0123】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
【0124】
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメント又はブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備える。又は少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、及び少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを備える。
【0125】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、本発明の着色組成物を用いて基板上に各色のフィルタセグメントを形成することで製造できる。
基板は、例えば、可視光に対して透過率の高いガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板が挙げられる。
【0126】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントの形成は、下記の方法で行う。
カラーフィルタ用着色組成物を、ガラス等の透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~10μmとなるように、より好ましくは0.2~5μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか、若しくはスプレー等により現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してカラーフィルタを製造することができる。
【0127】
更に、カラーフィルタ用着色組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱できる。フォトリソグラフィー法を使用すると、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0128】
現像には、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用できる。さらにジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリも使用できる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加できる。
【0129】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0130】
本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜等が形成される。
【0131】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0132】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0133】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の固体撮像素子用のカラーフィルタが備える構成であり、特に限定されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサ、有機CMOSセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
なお、有機CMOSセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜とCMOS信号読み出し基板を含んで構成され、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリッド構造であり、原理的には入射光に対して開口率を100%にすることができる。
有機光電変換膜は構造フリーの連続膜でCMOS信号読みだし基板上に敷設できるので、高価な微細加工プロセスを必要とせず、フィルタセグメント微細化に適している。
カラーフィルタセグメントの配置は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【実施例
【0134】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0135】
(樹脂の重合平均分子量(Mw))
樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0136】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1.0部に、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0137】
乾燥状態の分散剤の値として、酸価(mgKOH/g)を次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×α×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
α:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の消費量(ml)
F:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の力価
【0138】
(樹脂の不揮発分)
樹脂の不揮発分を求める条件としては試料の質量は約1グラム、乾燥条件は200℃、10分とする。
【0139】
(分散剤X1の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価95mgKOH/g、重量平均分子量9500の分散剤X1の溶液を得た。
【0140】
(分散剤X2~X14、比較分散剤Y1~Y3の製造例)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は分散剤X1の製造例と同様にして合成を行い、分散剤X2~X14、比較分散剤Y1~Y3の溶液を得た。
【0141】
【表1-1】

【表1-2】
【0142】
(分散剤X15の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、PMA14.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.8部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、t-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート38.0部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価93mgKOH/g、重量平均分子量10800の分散剤X15の溶液を得た。
【0143】
(分散剤X16の製造例)
表2に記載した原料と仕込み量を用いた以外は分散剤X14の製造例と同様にして合成を行い、分散剤X16の溶液を得た。
【0144】
【表2】
【0145】
表中に使用する材料を以下に列挙する。
〔エチレン性不飽和単量体〕
・t-BA:t-ブチルアクリレート
・t-BMA:t-ブチルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・EA:エチルアクリレート
・MAA:メタクリル酸
【0146】
〔分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物〕
・チオグリセロール:3-メルカプト-1,2-プロパンジオール
【0147】
〔ラジカル重合開始剤〕
・AIBN:2,2‘-アゾビスイソブチロニトリル
【0148】
〔有機溶剤〕
・PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・3MB:3-メトキシブタノール
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・DAA:ダイアセトンアルコール
〔テトラカルボン酸二無水物〕
・PMA:ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)
【0149】
〔エステル化反応触媒〕
・DBU:1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(サンアプロ社製)
【0150】
<バインダー樹脂の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。
【0151】
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体1の製造例)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の顔料分散体1を作製した。
PR254(C.I.PigmentRed254 BASFジャパン社製「イルガフォアレッドB-CF」):15.2部
塩基性誘導体1:0.8部
分散剤X1:8.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):60.0部
3-メトキシブタノール(3MB):16.0部
【0152】
(顔料分散体2~26の製造例)
表3に記載した原料と仕込み量を用いた以外は顔料分散体1の製造例と同様にして行い、顔料分散体2~26を得た。
【0153】
塩基性誘導体1:
【0154】
【化16】
【0155】
塩基性誘導体2:
【0156】
【化17】
【0157】
塩基性誘導体3:
【0158】
【化18】
【0159】
【表3】
【0160】
[実施例1]
(感光性着色組成物1)
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、感光性着色組成物1を作製した。
顔料分散体1:50.0部
アクリル樹脂溶液1:7.5部
光重合性化合物(東亞合成社製「アロニックスM-402」):2.0部
光重合開始剤(IGMResins社製「Omnirad907」):1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」):0.3部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):39.0部
【0161】
〔光重合性化合物〕
・M-402;アロニックスM-402:ジペンターエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成化学社製)
【0162】
〔光重合開始剤〕
・イルガキュアOXE02:エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン社製)
【0163】
〔増感剤〕
・EAB-F:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製)
【0164】
[実施例2~21、比較例1~3]
(感光性着色組成物2~26の製造例)
実施例1の顔料分散体1の代わりに、表4に記載した顔料分散体を用いた以外は感光性着色組成物1の製造例と同様にして行い、感光性着色組成物2~26を得た。
【0165】
(粘度安定性)
得られた感光性着色組成物を下記の方法で粘度安定性を評価した。感光性着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。この初期粘度及び経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、粘度安定性を3段階で評価した。
[経時粘度変化率]=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100
○:変化率5%未満(良好)
△:変化率5%以上10%未満(実用可能)
×:変化率10%以上(不良)
【0166】
(異物評価)
得られた感光性着色組成物をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外光を露光した。その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の着色画素層を形成した。作製した着色画素層は、230℃での熱処理後で、膜厚が2.0μmとなるよう調整した。
得られた基板を用いて、着色画素の異物の数を計測した。評価はオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」)を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。
◎:異物の数が3個未満:極めて良好
○:異物の数が3個以上、20個未満:良好
△:異物の数が21個以上、100個未満:実用可能
×:異物の数が100個以上:不良
【0167】
(ろ過性)
ろ過性の評価方法として得られた感光性着色組成物60gをトムシック社製1.5μmディスクフィルターTitan3PTFEFILTERにて、0.05MPasの圧力を一定時間かけ、その間にフィルターを通過した液量を評価した。液量が多いほど、ろ過性が優れているといえる。
○:フィルターを通過した液量が45g以上(良好)
△:フィルターを通過した液量が30g以上45g未満(実用可能)
×:フィルターを通過した液量が30g未満(不良)
【0168】
<PGMAc再溶解性>
得られた感光性着色組成物をスピンコート法によりガラス基板に塗工し、100℃3分間プレベークした後、作成した基板をPGMEAに浸漬させて目視にて溶解状態を評価した。
○:溶解(良好)
×:剥離(不良)
【0169】
【表4】
【0170】
表4に示す通り、分散剤X1~X16を使用した本発明の着色組成物は、保存安定性、塗膜上の異物抑制、ろ過性、PGMAc再溶解性に優れている。比較例1は分散剤の無水物基と水酸基のモル比が0.9未満のため、一分子中の酸無水物残基が少なくなり、顔料に対する吸着が不十分になり粘度安定性が悪く異物が発生した。比較例2は無水物基と水酸基のモル比が1.5を超えているため、粘度安定性が悪く、溶剤への相溶性が悪くなった。比較例3は分散剤に水またはアルコールを使用していなく、主鎖末端の無水物基を残したままのため、粘度安定性が悪くろ過性も劣る結果となった。
【要約】
【課題】本発明は、保存安定性、塗膜上の異物抑制、ろ過性に優れ、PGMAcに対する再溶解性が優れる着色組成物の提供を目的とする。
【解決手段】顔料を含む着色剤、ポリエステル分散剤および溶剤を含有する着色組成物であって、前記ポリエステル分散剤は、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、および水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、ならびにビニル重合体部位に基づく側鎖を有し、前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、前記芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有する、着色組成物。
【選択図】なし