(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】歯科診療管理装置
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20230418BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G16H40/40
A61C19/00 Z
(21)【出願番号】P 2018218454
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 忠明
(72)【発明者】
【氏名】坂田 和隆
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-226258(JP,A)
【文献】特表2018-532541(JP,A)
【文献】特開2013-149116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた作業スケジュールに沿って動作する歯科診療装置を管理する歯科診療管理装置であって、
患者の診療に関する診療内容情報と予約患者の診療時間情報とを含む診療情報を記憶する診療情報記憶部から前記診療情報を取得する診療情報取得部と、
前記診療情報記憶部から取得された診療情報を用いて、所定の診療に伴って前記歯科診療装置が行う作業スケジュールの情報である装置行動情報を作成する装置行動情報作成部と、
前記作成された装置行動情報を前記歯科診療装置に出力する装置行動情報出力部と、
前記歯科診療装置に出力された装置行動情報から取得された情報であって当該歯科診療装置の現在状態を示す装置状態情報を、当該歯科診療装置に要求して取得する装置状態情報取得部と、を備え
、
前記装置行動情報作成部は、前記診療情報を用いると共に、予約患者数、前記歯科診療装置の台数、術者数、および、診療に伴って前記歯科診療装置の作業が必要かどうかの各条件から、予め作成されたルールに沿って、前記装置行動情報を作成し、前記装置状態情報を取得している場合、前記診療情報と前記装置状態情報とを用いて装置行動情報を作成する歯科診療管理装置。
【請求項2】
前記装置状態情報から当該歯科診療装置が診療に伴う作業を受け付けて動作できる状態にあるか否かを判定する装置状態情報判定部を備え、
前記装置行動情報作成部は、診療に伴う作業を受け付けて動作できる状態にある歯科診療装置に対して前記装置行動情報を作成する、請求項1に記載の歯科診療管理装置。
【請求項3】
前記装置行動情報作成部は、所定期間内において前記歯科診療装置が行うべき複数の作業が重複する時間帯があるか否かを判別し、複数の作業が重複する時間帯がある場合、優先順位が予め定められた複数の歯科診療装置に複数の作業をそれぞれ割り当て、前記優先順位に基づいて作業が割り当てられた歯科診療装置毎に前記装置行動情報をそれぞれ作成し、
前記装置行動情報出力部は、前記作業が割り当てられた歯科診療装置に対して、前記作成された装置行動情報をそれぞれ出力する、請求項1
又は2に記載の歯科診療管理装置。
【請求項4】
前記装置行動情報作成部は、所定期間内において複数の歯科診療装置の稼働率が平均化するように、前記歯科診療装置が行うべき複数の作業を複数の歯科診療装置に割り当て、前記作業が割り当てられた歯科診療装置毎に前記装置行動情報をそれぞれ作成し、
前記装置行動情報出力部は、前記作業が割り当てられた歯科診療装置に対して、前記作成された装置行動情報をそれぞれ出力する、請求項1
又は2に記載の歯科診療管理装置。
【請求項5】
前記診療情報取得部は、入力された日時情報で規定される所定期間内の診療情報を前記診療情報記憶部から予約患者の診療時間情報に基づいて取得し、
前記装置行動情報作成部は、前記入力された日時情報で規定される所定期間内分の装置行動情報を作成する、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の歯科診療管理装置。
【請求項6】
前記装置行動情報に沿って作業をした作業履歴を内部に記録可能な前記歯科診療装置から、所定の診療に伴う作業に実際に要した作業時間の情報を含む装置実作業情報を取得する装置実作業情報取得部と、
前記装置実作業情報を記憶する装置実作業情報記憶部と、を備え、
前記診療情報取得部は、前記診療情報記憶部から、前記装置実作業情報によって更新された診療所要時間を、前記診療時間情報として取得し、
前記装置行動情報作成部は、前記装置実作業情報により更新された診療所要時間を用いて前記装置行動情報を作成する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の歯科診療管理装置。
【請求項7】
所定の診療についての作業の度にその時点までに前記歯科診療装置が作業した時間を累計した累計作業時間を作成し、前記累計作業時間をその時点までの作業回数で平均化した平均作業時間を前記装置実作業情報として作成する装置実作業情報作成部をさらに備え、
前記診療情報取得部は、前記診療情報記憶部から、前記所定の診療についての前記平均作業時間によって更新された診療所要時間を、前記所定の診療についての前記診療時間情報として取得し、
前記装置行動情報作成部は、前記所定の診療に伴う作業を行う歯科診療装置に対して、前記平均作業時間により更新された診療所要時間を用いて前記装置行動情報を作成する、請求項6に記載の歯科診療管理装置。
【請求項8】
前記装置実作業情報作成部は、術者別に、前記装置実作業情報を作成し、
前記診療情報取得部は、診療所要時間を術者別に記憶した前記診療情報記憶部から、前記装置実作業情報によって更新された術者別の診療所要時間を、前記診療時間情報として取得し、
前記装置行動情報作成部は、前記装置実作業情報により更新された術者別の診療所要時間を用いて前記装置行動情報を作成する、請求項7に記載の歯科診療管理装置。
【請求項9】
前記歯科診療装置は移動手段及びバッテリを有し、前記移動手段は前記バッテリにより駆動する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の歯科診療管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や診療所などの医療機関において、患者の診療日時の予約処理を精度よく行う技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された診療予約処理装置は、予約患者に対して行われる診療内容を取得し、その診療内容と記憶された診療情報から、診療の所要時間を予測し、予約可能時間帯を提示する。
また、術者が訪問先での移動診療時に使用する歯科診療モジュールを備えた装着型の歯科診療装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば歯科診療に対して、歯科診療モジュールを運搬するロボットや装着型の歯科診療装置(以下、単に歯科診療装置という)を用いる場合、歯科診療装置を効率よく利用できる仕組みが望まれるが、従来、そのような仕組みは知られていなかった。
歯科診療装置を必要なときに利用する手法としては、歯科診療装置の予約を採用することが想定される。この場合、歯科医師やアシスタント等の患者予約を担当するオペレータが、予約患者名、日時、術者名、治療内容等の情報を既存の患者予約システムに入力する際に、必要な歯科診療装置も予約することになる。しかしながら、例えば患者予約キャンセル、術者の変更、治療方針の変更等に伴って歯科診療装置の利用状況も刻々と変化する。よって、何ら対策を行うことなく歯科診療装置の予約を採用すると、情報入力を行うオペレータの負担になってしまう。
【0005】
本発明は、前記した実情に鑑みてなされたものであり、歯科診療装置の使用状況を管理する歯科診療管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る歯科診療管理装置は、予め定められた作業スケジュールに沿って動作する歯科診療装置を管理する歯科診療管理装置であって、患者の診療に関する診療内容情報と予約患者の診療時間情報とを含む診療情報を記憶する診療情報記憶部から前記診療情報を取得する診療情報取得部と、前記診療情報記憶部から取得された診療情報を用いて、所定の診療に伴って前記歯科診療装置が行う作業スケジュールの情報である装置行動情報を作成する装置行動情報作成部と、前記作成された装置行動情報を前記歯科診療装置に出力する装置行動情報出力部と、前記歯科診療装置に出力された装置行動情報から取得された情報であって当該歯科診療装置の現在状態を示す装置状態情報を、当該歯科診療装置に要求して取得する装置状態情報取得部と、を備え、前記装置行動情報作成部は、前記診療情報を用いると共に、予約患者数、前記歯科診療装置の台数、術者数、および、診療に伴って前記歯科診療装置の作業が必要かどうかの各条件から、予め作成されたルールに沿って、前記装置行動情報を作成し、前記装置状態情報を取得している場合、前記診療情報と前記装置状態情報とを用いて装置行動情報を作成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、歯科診療装置の使用状況を管理する歯科診療管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る歯科診療管理装置を含む歯科診療システムを示す模式図である。
【
図2】歯科診療装置の外観を示す斜視図であり、(a)はインスツルメントハンガーの収納状態、(b)はインスツルメントハンガーの外部固定状態をそれぞれ示している。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る歯科診療管理装置による処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は診療開始前の処理、(b)は予約割込等の処理、(c)は診療終了後の処理をそれぞれ示している。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る歯科診療管理装置を含む歯科診療システムを示す模式図である。
【
図5】他の歯科診療装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る歯科診療管理装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る歯科診療管理装置が複数候補から歯科診療装置を選択する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の歯科診療管理装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る歯科診療管理装置を含む歯科診療システムを示す模式図である。歯科診療システム100は、歯科診療管理装置1と、診療情報記憶部2と、歯科診療装置3と、を備えている。
【0010】
[歯科診療装置]
歯科診療装置3は、予め定められた作業スケジュールに沿って動作する装置である。歯科診療装置3は、診療室に固定された一般的な歯科治療ユニットとは異なり、商用電源や水道管と繋ぐケーブルやホースを外しても動作できるように構成されている。歯科診療装置3は、インスツルメントと、インスツルメントにエネルギや水を供給する駆動源とを含む歯科診療モジュールを備えている。
【0011】
インスツルメントは、歯科治療において、診断、治療または歯の清掃のために用いる器具である。インスツルメントを取り替えて用いたり、インスツルメントの先端のハンドピースを取り替えて用いたりすることがある。例えば歯科用タービンハンドピースのうち、エアタービンハンドピースは、注水されながら圧縮空気の力によって切削工具を高速回転させて歯を研削するものである。また、マイクロモーターハンドピースは、注水されながら電気モータの力によって切削工具を高速回転させて歯を研削するものである。インスツルメントは、例えばスケーラであってもよい。
【0012】
歯科診療装置3の一例について
図2を参照して説明する。歯科診療装置3は、歯科診療モジュールとして、インスツルメント37と、図示しないバッテリや水タンク等を備えている。また、歯科診療装置3は、インスツルメント37、および、インスツルメント37を掛け留めするインスツルメントハンガー34を収納可能なキャビネット31を備えている。
【0013】
キャビネット31は、
図2(a)および
図2(b)に示すように、例えば円筒形で上面および下面が密閉されている。このキャビネット31は、縦割りにした前部がドア32として形成されている。ドア32は縦方向の一辺側を中心にして前方に回動自在な開き戸式に構成されている。
【0014】
また、歯科診療装置3は、移動手段33を備えており、移動手段33の上にキャビネット31が配置されている。移動手段33は、キャビネット31やその収納物を搭載して例えば歯科医院内を移動できる手段である。移動手段33は、移動手段用のバッテリを内蔵しており、このバッテリにより駆動する。つまり、本実施形態では、歯科診療装置3は、自走式であることとした。移動手段33において床面に当接する部材は、図示したキャスター以外に、車軸に連結された車輪やキャタピラでもよい。移動手段33は、公知の自動搬送車や搬送ロボットでもよい。自動で移動する場合、例えば、予め定められたスタート-ゴール間の経路上を移動する移動制御を行うことができる。あるいは、例えばカメラや画像処理を用いて外部環境を認識しながら、登録されたプログラムに基づいて障害物を回避しながら移動する移動制御を行っても構わない。
【0015】
インスツルメントハンガー34は、ドア32の内面に沿って形成された円弧状のアーム35を介してピン36を中心に回動自在にドア32の内面に設けられている。歯科診療装置3の移動時などの非使用時には、インスツルメント37をキャビネット31内に収納してドア32を閉める。一方、使用時には、ドア32を開き、アーム35を回動してインスツルメントハンガー34をキャビネット31の外部に固定する。インスツルメントハンガー34からインスツルメント37を取り出して治療を開始することができる。
なお、本実施形態において、歯科診療装置3が備えるインスツルメント37等の歯科モジュール、および、歯科診療装置3自体の外観や構造は、
図2(a)および
図2(b)に例示したものに限定されるものではない。
【0016】
図1に戻って、歯科診療システム100の構成について説明を続ける。
[診療情報記憶部]
診療情報記憶部2は、例えば、患者予約システムとして機能するプログラムがインストールされているパーソナルコンピュータで構成される。また、患者情報や処方内容が記載されるレセプト(診療報酬明細書)を作成するコンピュータであるレセプトコンピュータに、患者予約システムとして機能するプログラムをインストールして、診療情報記憶部2として用いることもできる。
ここでは、一例として、歯科診療管理装置1と診療情報記憶部2は、同じ筺体のパーソナルコンピュータ内にあることとする。なお、歯科診療管理装置1と診療情報記憶部2はそれぞれ別体のパーソナルコンピュータに備えられていてもよい。
【0017】
診療情報記憶部2は、診療内容情報4と、診療時間情報5と、を含む診療情報を記憶するものである。例えばアシスタント等のオペレータは、予約受付時や、患者が来院したときなどの所定のタイミングで、患者の診療情報を診療情報記憶部2に入力する。なお、このとき、オペレータは、歯科診療装置3の情報については入力しない。
【0018】
診療内容情報4は、患者に対して診療日当日に行われる診療に関する情報である。診療内容情報4は、例えば治療種別の情報として、う蝕治療、根管治療、カウンセリング等を含んでいる。この診療内容情報4は、例えば、日時、患者、術者等の情報と関連付けられている。
【0019】
診療時間情報5は、予約患者の予約時間に関する情報である。診療時間情報5は、例えば開始予定時間や終了予定時間等を含んでいる。この診療時間情報5は、例えば、日時、患者、術者等の情報と関連付けられている。
【0020】
[歯科診療管理装置]
歯科診療管理装置1は、予め定められた作業スケジュールに沿って動作する歯科診療装置3を管理する装置である。
歯科診療管理装置1は、診療情報取得部10と、装置情報部20と、を備えている。
診療情報取得部10は、診療情報記憶部2から、診療情報を取得する。本実施形態では、診療情報取得部10は、入力された日時情報で規定される所定期間内の診療情報を診療情報記憶部2から予約患者の診療時間情報5に基づいて取得する。診療情報取得部10は、取得した診療情報を装置情報部20に受け渡す。ここで、所定期間とは、例えば1日である。なお、処理頻度を変更すれば、1日に限らず、半日や1週間など、適宜変更することができる。
【0021】
診療情報取得部10は、診療情報記憶部2との間で情報をやり取りするために、診療内容情報取得部11と、診療時間情報取得部12と、を備えている。
診療内容情報取得部11は、診療開始前の処理のためにオペレータにより診療情報記憶部2に入力された日時情報で規定される所定期間内の予約患者の診療内容情報4を診療情報記憶部2から取得する。
ここで、診療開始前の処理とは、診療情報記憶部2にデータを入力済みの予約患者の診療を開始する前に行う処理を意味する。診療開始前の処理は、例えば、診療日の一日分の予約患者についての診療情報を用いて当日の朝に行う歯科診療管理装置の処理である。すなわち、当日の朝、歯科医院での患者の受付開始時間よりも前にスタッフの打ち合わせ等の準備時間に歯科診療管理装置1が行う処理である。
【0022】
また、診療内容情報取得部11は、予約割込等の処理のためにオペレータによって診療情報記憶部2に入力された診療内容情報(以下、割込診療内容情報という)を診療情報記憶部2から取得する。割込診療内容情報は、予約割込等の処理のために入力された診療内容情報である。
ここで、予約割込等の処理とは、予約割込があった場合の処理、予約割込以外に装置が終了時間になっても作業が終了していない場合の処理、患者の予約がキャンセルになった場合の処理等を意味する。このうち、予約割込があった場合の処理とは、診療開始前の処理を行った後に行う処理を意味する。例えば、診療日において患者の受付開始時間以降、予約のないまま患者が来院したり、初めての患者が来院したりした場合に、その患者のデータが診療情報記憶部2に入力された際の処理である。また、電話等により依頼された診療希望日について、診療開始前の処理が既に行われている場合に、患者の依頼を受け付けて、その患者のデータが診療情報記憶部2に入力された際の処理である。なお、診療開始前の処理が既に行われた後に、診療情報記憶部2に入力済みの歯科医師やアシスタントに関するデータに変更があった場合に行われる処理も予約割込等の処理とすることができる。
診療時間情報取得部12は、診療開始前の処理において、診療情報記憶部2から、予約患者の診療内容情報4に対応する診療時間情報5を取得する。
診療時間情報取得部12は、予約割込等の処理において、診療情報記憶部2から、割込診療内容情報に対応する診療時間情報(以下、割込診療時間情報という)を取得する。
【0023】
装置情報部20は、歯科診療装置3との間で情報をやり取りするために、装置行動情報作成部21と、装置行動情報出力部22と、を備えている。
装置行動情報作成部21は、診療情報記憶部2から取得された診療情報を用いて、所定の診療に伴って歯科診療装置3が行う作業スケジュールの情報である装置行動情報を作成する。この装置行動情報は、診療内容情報4および診療時間情報5から決定される情報であり、歯科診療装置3がどの診療の作業を行うかのスケジュール情報である。
【0024】
装置行動情報は、予約患者数、歯科診療装置3の台数、歯科医師(術者)数、診療に伴って歯科診療装置3の作業が必要かどうか等の各種条件によって、適宜決定される。
装置行動情報作成部21は、例えば上記の各種条件から予め作成されたルールに沿って装置行動情報を作成する。
例えば、診療内容情報4が、う蝕治療を示す場合、歯科診療装置3は作業を行う。この場合、歯科診療装置3が行う作業は、必要なインスツルメントを術者に届ける運搬作業、待機作業、回収作業等の一連の作業である。この場合、装置行動情報には、運搬作業開始時刻や、う蝕治療の所要時間情報等が含まれる。
また、例えば、診療内容情報4がカウンセリングを示す場合、インスツルメントは不要なので、歯科診療装置3は、運搬作業を行わない。
また、例えば、診療時間情報5において、歯科診療装置3の作業の終了予定時間が、当該歯科診療装置3が作業する他の診療の開始予定時間を過ぎると分かる場合、当該歯科診療装置3は、他の診療に伴う作業を行わない。
【0025】
装置行動情報作成部21は、入力された日時情報で規定される所定期間内分の装置行動情報を作成する。装置行動情報作成部21は、診療開始前の処理において、例えば、診療日の一日分の予約患者についての診療情報を用いて当日の朝に装置行動情報を作成する。なお、診療日の予約が1週前に既に決定していれば、当日を待たずに、前もって、装置行動情報を作成することもできる。
また、装置行動情報作成部21は、予約割込等の処理がある場合、割込診療内容情報と割込診療時間情報を用いて装置行動情報を再度作成する。
【0026】
装置行動情報出力部22は、作成された装置行動情報を歯科診療装置3に出力する。この装置行動情報出力部22は、診療開始前の処理において、装置行動情報を出力する。また、装置行動情報出力部22は、予約割込等の処理がある場合、装置行動情報を再度出力する。装置行動情報出力部22は、無線によって歯科診療装置3に通信可能に接続される。なお、距離無線通信規格には、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)を含む。
【0027】
歯科診療管理装置1によれば、既存の患者予約システム等に記憶された診療情報から作成した装置行動情報を歯科診療装置3に割り振ることができる。また、歯科診療管理装置1は、歯科診療装置3が自走式であっても、各歯科診療装置3が自らの装置行動情報に基づいて作業をすることで、歯科診療装置3同士の作業の重複化を抑制し、作業の効率化を図ることができる。
【0028】
歯科診療システム100において、複数の歯科診療装置3がある場合、装置行動情報作成部21は、例えば、複数の歯科診療装置3の1つに優先的に作業を割り当てることができる。この場合、装置行動情報作成部21は、例えば所定の診療日等の所定期間内において歯科診療装置3が行うべき複数の作業が重複する時間帯があるか否かを判別する。そして、複数の作業が重複する時間帯がある場合、優先順位が予め定められた複数の歯科診療装置3に複数の作業をそれぞれ割り当て、優先順位に基づいて作業が割り当てられた歯科診療装置3毎に装置行動情報をそれぞれ作成する。また、装置行動情報出力部22は、作業が割り当てられた歯科診療装置3に対して、作成された装置行動情報をそれぞれ出力する。これにより、歯科診療装置3の実動台数を低減する観点における効率化を図ることができる。
【0029】
また、歯科診療システム100において、複数の歯科診療装置3がある場合、装置行動情報作成部21は、例えば、複数の歯科診療装置3へ平均的に作業を割り当てることができる。この場合、装置行動情報作成部21は、例えば1日、1週間、1カ月、1年等の所定期間内において複数の歯科診療装置3の稼働率が平均化するように、歯科診療装置3が行うべき複数の作業を複数の歯科診療装置3に割り当てる。そして、作業が割り当てられた歯科診療装置3毎に装置行動情報をそれぞれ作成する。また、装置行動情報出力部22は、作業が割り当てられた歯科診療装置3に対して、作成された装置行動情報をそれぞれ出力する。これにより、各歯科診療装置3の寿命を平均化していつでも多くの装置を利用できる観点における効率化を図ることができる。
【0030】
本実施形態では、歯科診療システム100において、歯科診療装置3が、装置行動情報に沿って作業をした作業履歴を内部に記録可能であることとする。そして、この場合、
図1に示すように、装置情報部20は、装置実作業情報取得部23と、装置実作業情報記憶部25と、装置実作業情報出力部26と、を備えている。
装置実作業情報取得部23は、装置行動情報に沿って作業をした作業履歴を内部に記録可能な歯科診療装置3から装置実作業情報を取得する。装置実作業情報取得部23は、無線によって歯科診療装置3に通信可能に接続される。ここで、装置実作業情報は、歯科診療装置3が行った作業に関する情報である。この装置実作業情報は、例えば、所定の診療に伴って歯科診療装置3の作業した時間の情報を含む。
装置実作業情報記憶部25は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)からなり、装置実作業情報等の必要な情報を記憶するものである。なお、装置実作業情報記憶部25には、診療情報取得部10や装置情報部20の各部が動作するためのプログラムがインストールされている。
装置実作業情報出力部26は、装置実作業情報取得部23が取得した装置実作業情報を装置実作業情報記憶部25に出力する。なお、装置実作業情報出力部26は、装置実作業情報を歯科診療管理装置1の外部に出力するようにしてもよい。
また、この場合、診療情報取得部10は、診療情報記憶部2から、装置実作業情報によって更新された診療所要時間を、診療時間情報5として取得することができる。そして、装置行動情報作成部21は、装置実作業情報により更新された診療所要時間を用いて装置行動情報を作成することができる。
これにより、歯科診療装置3が実際に作業をした結果を示す装置実作業情報をフィードバックして、歯科診療管理装置1による次回の装置行動情報の作成に反映させることができる。
【0031】
図1に示すように、装置情報部20は、さらに、装置実作業情報作成部24を備えることが好ましい。装置実作業情報作成部24は、所定の診療についての作業の度にその時点までに歯科診療装置3が作業した時間を累計した累計作業時間を作成し、累計作業時間をその時点までの作業回数で平均化した平均作業時間を装置実作業情報として作成する。この場合、診療情報取得部10は、診療情報記憶部2から、所定の診療についての平均作業時間によって更新された診療所要時間を、所定の診療についての診療時間情報5として取得する。そして、装置行動情報作成部21は、所定の診療に伴う作業を行う歯科診療装置3に対して、平均作業時間により更新された診療所要時間を用いて装置行動情報を作成する。
これにより、歯科診療装置3の装置実作業情報を繰り返し歯科診療管理装置1にフィードバックして作成した装置行動情報において、作業の所要時間の精度を高めることができる。
【0032】
前記装置実作業情報作成部24は、術者別に、装置実作業情報を作成することが好ましい。この場合、診療情報取得部10は、診療所要時間を術者別に記憶した診療情報記憶部2から、装置実作業情報によって更新された術者別の診療所要時間を、診療時間情報5として取得する。そして、装置行動情報作成部21は、装置実作業情報により更新された術者別の診療所要時間を用いて装置行動情報を作成する。
これにより、術者の違いによる診療時間情報5の変動ムラや、術者個人における診療毎の所要時間の変動ムラを低減することができる。したがって、歯科診療管理装置1にフィードバックして作成した装置行動情報において、作業の所要時間の精度を高めることができる。歯科診療管理装置1によれば、診療内容および術者の情報から、診療における歯科診療装置3の作業の所要時間を予測することができる。したがって、歯科診療管理装置1は、例えば歯科診療装置3が備えるインスツルメント37の交換時間やエネルギの補給時間等を考慮することで、効率的な歯科診療装置3の行動情報を作成することもできる。
【0033】
なお、診療情報取得部10および装置情報部20は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムをRAMに展開して実行することによりその機能が実現されるものである。したがって、診療情報取得部10および装置情報部20は、一般的なコンピュータに、前記した機能を実行させるプログラムを実行することで実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して提供することも可能であるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0034】
次に、
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る歯科診療管理装置による処理の流れについて説明する。
図3(a)に示すように、診療開始前には、歯科診療管理装置1は、診療内容情報取得部11によって、診療情報記憶部2から、オペレータによって入力された診療内容情報4を取得すると共に、診療時間情報取得部12によって、診療情報記憶部2から、入力された診療時間情報5を取得する(ステップS1)。つまり、歯科診療管理装置1は、この時点で診療情報記憶部2に入力済みの診療情報を取得する。そして、歯科診療管理装置1は、装置行動情報作成部21によって、診療情報から装置行動情報を作成する(ステップS2)。そして、歯科診療管理装置1は、装置行動情報出力部22によって、歯科診療装置3に対して装置行動情報を出力する(ステップS3)。
【0035】
図3(b)に示すように、予約割込時等の際には、歯科診療管理装置1は、診療内容情報取得部11によって、診療情報記憶部2から、入力された割込診療内容情報を取得すると共に、診療時間情報取得部12によって、診療情報記憶部2から、入力された割込診療時間情報を取得する(ステップS11)。そして、歯科診療管理装置1は、装置行動情報作成部21によって、装置行動情報を再作成する(ステップS12)。そして、歯科診療管理装置1は、装置行動情報出力部22によって、歯科診療装置3に対して装置行動情報を再出力する(ステップS13)。
【0036】
図3(c)に示すように、診療終了後には、歯科診療管理装置1は、装置実作業情報取得部23によって、歯科診療装置3から装置実作業情報を取得する(ステップS21)。そして、歯科診療管理装置1は、装置実作業情報出力部26によって、装置実作業情報を装置実作業情報記憶部25へ出力する(ステップS22)。ここで、診療終了後の処理とは、歯科診療装置3を用いた診療を終了した後に行う処理を意味する。診療終了後の処理は、例えば、歯科診療装置3を用いた患者の診療を終える度に行う歯科診療管理装置の処理である。また、例えば診療日の全患者の診療を終了した後に
図3(c)に示す処理を行うこともできる。
【0037】
さらに、歯科診療装置3を用いた患者の診療を終える度、あるいは、例えば診療日の全患者の診療を終了した後に、例えば装置実作業情報作成部24による処理を行ってもよい。すなわち、装置実作業情報作成部24は、所定の診療についての作業の度にその時点までに歯科診療装置3が作業した時間を累計した累計作業時間を作成し、累計作業時間をその時点までの作業回数で平均化した平均作業時間を装置実作業情報として作成することもできる。
以上説明したように、第1実施形態の歯科診療管理装置1によれば、情報入力を行うオペレータに負担を与えることなく歯科診療装置3の使用状況を適切に管理することができる。
【0038】
(第2実施形態)
第1実施形態では、歯科診療管理装置1は、1日分の予約患者の診療情報をもとに、歯科診療装置3の装置行動情報を予め作成することとしたが、新規に受け付けた診療を歯科診療装置3に随時分担するようにしてもよい。第2実施形態は、予約割込等の際に新規に受け付けた診療を歯科診療装置3に随時分担する形態である。以下、第2実施形態に係る歯科診療管理装置を含む歯科診療システムについて
図4および
図5を参照(適宜
図1参照)して説明する。なお、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
歯科診療システム100Bは、歯科診療管理装置1Bと、診療情報記憶部2と、歯科診療装置3Bと、を備えている。
【0039】
[歯科診療装置]
歯科診療装置3Bは、
図5に示すように、歯科診療装置基板38と、バッテリ39と、を備えている。歯科診療装置3Bは、
図2(a)および
図2(b)に示した歯科診療装置3と同様に、インスツルメント37等の歯科診療モジュール、移動手段33、キャビネット31等を備えている。
図5ではこれらの構成の図示を省略しているが、以下では、歯科診療装置3Bもこれらの構成を備えているものとして説明する。なお、歯科診療装置基板38とバッテリ39とは、例えばキャビネット31の所定箇所に設置されている。
【0040】
バッテリ39は、例えばインスツルメント37等の歯科診療モジュールを駆動させる電源であり、充電可能に構成されている。なお、歯科診療装置3Bにおいて、バッテリ39と、移動手段33が内蔵する移動手段用のバッテリと、を共用化することも可能である。このように共用化した場合、移動手段33は、バッテリ39により駆動する。つまり、バッテリ39は、歯科診療モジュールを駆動させるだけでなく、移動手段33も駆動させることができる。ただし、ここでは、説明を簡便にするために、歯科診療装置3Bは、移動手段用のバッテリとは別体のバッテリ39を備えているものとして説明する。
【0041】
歯科診療装置基板38は、装置状態情報を取得して歯科診療管理装置1Bに送信する処理を行うものである。装置状態情報は、歯科診療装置3Bの現在の状態に関する情報である。装置状態情報は、例えば、当該歯科診療装置3Bが現在占有されているかという情報、現在の作業の終了予定時刻情報、歯科診療装置3B内にあるエネルギの現在の残量情報といった装置状態の観測情報等である。なお、歯科診療装置3Bが現在占有されているとは、装置が使用状態にある場合と、使用されてはいないが使用を前提に装置が確保されている場合と、を含んでいる。
【0042】
以下では、歯科診療装置3B内にあって歯科診療モジュールを駆動させるためのエアタンクやバッテリ、注液装置などの残量等に関する情報を、診療エネルギ情報とも呼ぶ。また、診療エネルギ情報は、一例として、バッテリ39についてのバッテリ残量情報であるものとして説明する。なお、歯科診療装置3Bが、所定の診療を行うにあたり、その所定の診療に伴う作業のために必要とするエネルギに関する情報を、以下では駆動エネルギ情報とも呼ぶ。
【0043】
歯科診療装置基板38は、
図5に示すように、装置状態観測部51と、記憶部52と、通信部53と、装置状態情報制御部54と、を備えている。
装置状態観測部51は、例えばバッテリ39における電力量の残量をバッテリ残量情報(装置状態情報)として観測する。装置状態観測部51は、バッテリ残量情報を記憶部52に出力する。
【0044】
記憶部52は、RAMやROMからなり、観測された装置状態情報や歯科診療管理装置1Bから受信する装置行動情報等の必要な情報を記憶するものである。記憶部52には、装置状態情報を取得して歯科診療管理装置1Bに送信するための動作プログラムがインストールされている。
通信部53は、例えばネットワークカード等の所定の通信インタフェースからなり、通信ネットワークを介して歯科診療管理装置1Bとの間で装置状態情報を含む情報の送受信を行うものである。
【0045】
装置状態情報制御部54は、歯科診療管理装置1Bから、歯科診療管理装置1Bの装置状態情報の要求があった場合に、応答として、その時点の装置状態情報を歯科診療管理装置1Bに送信する制御を行うものである。この装置状態情報制御部54は、例えば、当該歯科診療装置3Bが現在使用状態にあるかという情報や現在の作業の終了予定時刻情報については、記憶部52に記憶された装置行動情報から取得する。また、装置状態情報制御部54は、例えば、バッテリ残量情報(診療エネルギ情報)については、装置状態観測部51で観測されて記憶部52に記憶された装置行動情報から取得する。なお、装置状態情報制御部54は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムをRAMに展開して実行することによりその機能が実現される。
【0046】
[歯科診療管理装置]
歯科診療管理装置1Bは、
図4に示すように、診療情報取得部10と、装置情報部20Bと、を備えている。
診療情報取得部10は、予約割込等の際にオペレータによって入力された新規の診療情報を診療情報記憶部2から取得する。診療情報取得部10は、取得した診療情報を装置情報部20Bに受け渡す。
装置情報部20Bは、装置状態情報取得部27と、装置状態情報判定部28と、をさらに備えている点が、第1実施形態の装置情報部20と相違している。
装置状態情報取得部27は、歯科診療装置3の現在状態を示す装置状態情報を取得する。装置状態情報取得部27は、無線によって歯科診療装置3Bに通信可能に接続される。
【0047】
装置状態情報判定部28は、装置状態情報から当該歯科診療装置3が新規の診療に伴う作業を受け付けて動作できる状態にあるか否かを判定する。具体的には、第1の観点として、装置状態情報判定部28は、歯科診療装置3Bが現在占有されているか否かを判定する。また、第2の観点として、装置状態情報判定部28は、歯科診療装置3Bがたとえ現在占有されていたとしても新規の診療の開始には間に合うか否かを判定する。また、第3の観点として、装置状態情報判定部28は、診療エネルギ情報が駆動エネルギ情報より大きいか否かを判定する。なお、分岐判定の詳細については後記する動作フローで説明する。そして、新規の診療に伴う作業を受け付けて動作できる状態にある歯科診療装置3に対しては、装置行動情報作成部21が、装置行動情報を作成する。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態に係る歯科診療管理装置による処理の流れについて
図6を参照(適宜
図3(a)参照)して説明する。なお、
図3(a)と同じ処理には同じ符号を付している。本実施形態では、まず、予約割込等の際にオペレータが新規の診療情報を診療情報記憶部2に入力する。すると、診療情報取得部10が当該新規の診療情報を診療情報記憶部2から取得する。すなわち、
図6に示すように、歯科診療管理装置1Bは、診療内容情報取得部11によって、診療情報記憶部2から、入力された診療内容情報4を取得すると共に、診療時間情報取得部12によって、診療情報記憶部2から、入力された診療時間情報5を取得する(ステップS1)。つまり、歯科診療管理装置1Bは、予約割込等の際に新規に診療情報記憶部2に入力された診療情報を取得する。そして、歯科診療管理装置1Bは、装置状態情報取得部27によって、歯科診療装置3Bを選択し(ステップS4)、選択した歯科診療装置3Bに対して現在状態を示す装置状態情報を要求し、装置状態情報を取得する(ステップS5)。
【0049】
そして、歯科診療管理装置1Bの装置状態情報判定部28は、装置状態情報に基づいて、前記第1の観点として、現在、歯科診療装置3Bが占有されているか否かを判定する(ステップS6)。歯科診療装置3Bがフリーである場合(ステップS6においてNo)、装置状態情報判定部28は、前記第3の観点として、当該歯科診療装置3Bには診療に必要なエネルギが十分あるか否かを判定する(ステップS7)。すなわち、診療エネルギ情報が駆動エネルギ情報より大きいか否かを判定する。診療エネルギが十分にある場合(ステップS7においてYes)、歯科診療管理装置1Bは、装置行動情報作成部21によって、診療情報から装置行動情報を作成する(ステップS2)。そして、歯科診療管理装置1Bは、装置行動情報出力部22によって、歯科診療装置3Bに対して装置行動情報を出力し(ステップS3)、処理を終了する。
【0050】
また、前記したステップS6において歯科診療装置3Bが占有されている場合(ステップS6においてYes)、装置状態情報判定部28は、前記第2の観点として、当該歯科診療装置3Bの終了予定時間が、ステップS1で入力された診療時間情報5で示される開始時間を過ぎるか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、歯科診療装置3Bがたとえ現在占有されていたとしても新規の診療の開始には間に合うか否かを判定する。当該歯科診療装置3Bの作業の終了予定時間が開始時間より前である場合(ステップS8においてNo)、すなわち間に合う場合、装置状態情報判定部28は、前記第3の観点の判定を行うためにステップS7に戻る。
【0051】
また、前記したステップS7において歯科診療装置3Bのエネルギが不足している場合(ステップS7においてNo)、または、前記したステップS8において歯科診療装置3Bの終了予定時間が開始時間を過ぎる場合(ステップS8においてYes)、歯科診療管理装置1Bは、装置状態情報取得部27によって、他の歯科診療装置3Bが存在するか否かを判定する(ステップS9)。他の歯科診療装置3Bが存在する場合(ステップS9においてYes)、装置状態情報取得部27はステップS4に戻る。一方、他の歯科診療装置3Bが存在しない場合(ステップS9においてNo)、歯科診療管理装置1Bは、処理を終了する。
なお、歯科診療管理装置1Bは、診療終了後には、第1実施形態の歯科診療管理装置1と同様に、
図3(c)に示す処理を行うことで、歯科診療装置3Bから取得する装置実作業情報を装置実作業情報記憶部25へ出力することができる。
【0052】
次に、
図7を参照(適宜
図6参照)して、3台の歯科診療装置3Bが存在する場合につて歯科診療管理装置1Bの処理の具体例を説明する。なお、3台の歯科診療装置3Bを、例えば優先度の高い順に歯科診療装置3c、3a、3bと表記する。
歯科診療管理装置1Bは、予約割込等の際に、例えば
図7に示す歯科診療装置3c、3a、3bへの問い合わせを順次行う。問い合わせの結果、歯科診療装置3cが現在占有され(ステップS6:Yes)、かつ、新規の診療の開始には間に合わない場合(ステップS8:Yes)、歯科診療管理装置1Bは、歯科診療装置3cの装置行動情報を作成することなく、他の歯科診療装置3aを選択する(ステップS9:Yes)。また、問い合わせの結果、歯科診療装置3aがフリーであり(ステップS6:No)、かつ、バッテリ残量が少なく診療エネルギが不足する場合(ステップS7:No)、歯科診療管理装置1Bは、歯科診療装置3aの装置行動情報を作成することなく、他の歯科診療装置3bを選択する(ステップS9:Yes)。さらに、問い合わせの結果、歯科診療装置3bが現在フリーであり(ステップS6:No)、バッテリ残量に問題なく診療エネルギが十分にある場合(ステップS7:Yes)、歯科診療管理装置1Bは、歯科診療装置3bの装置行動情報を作成して、当該歯科診療装置3bに送信する。
【0053】
以上説明したように、第2実施形態の歯科診療管理装置1Bによれば、情報入力を行うオペレータに負担を与えることなく歯科診療装置3Bの使用状況を適切に管理することができる。
【0054】
本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、歯科診療管理装置1,1Bによって管理する歯科診療装置3,3Bは、歯科医院内で使用される形態に限られるものではなく、訪問先での移動診療時に使用される形態であってもよい。訪問診療の現場としては、例えば患者の自宅、被災地の避難施設、病院、看護施設等を挙げることができる。そして、訪問先での移動診療時に使用される歯科診療装置は、移動手段が必須ではなく、例えば、装着型歯科診療装置(例えば、特許第6383466号公報参照)や可搬式歯科診療装置であってもよい。
【0055】
また、歯科診療管理装置1,1Bによって管理する歯科診療装置3,3Bは、1歯科医院で使用される形態に限られるものではなく、複数の歯科医院が協力して使用する形態や、複数の歯科医院が加盟する歯科医師会や行政単位において共同で使用する形態であってもよい。また、歯科診療装置3,3Bは、歯科医院等による所有の態様に限らずレンタルの態様であっても構わない。歯科診療装置3,3Bは自走式に限らず、移動手段33は、手動のキャリーカートでもよい。
【符号の説明】
【0056】
100,100B歯科診療システム
1,1B 歯科診療管理装置
2 診療情報記憶部
3,3B,3a,3b,3c 歯科診療装置
4 診療内容情報
5 診療時間情報
10 診療情報取得部
11 診療内容情報取得部
12 診療時間情報取得部
20,20B 装置情報部
21 装置行動情報作成部
22 装置行動情報出力部
23 装置実作業情報取得部
24 装置実作業情報作成部
25 装置実作業情報記憶部
26 装置実作業情報出力部
27 装置状態情報取得部
28 装置状態情報判定部