(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20230418BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230418BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230418BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230418BHJP
【FI】
F21S8/04 230
F21S8/04 100
F21S8/04 220
F21S2/00 355
F21V5/00 320
F21V5/00 510
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019007396
(22)【出願日】2019-01-19
【審査請求日】2022-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519021772
【氏名又は名称】株式会社ナカムラ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100154357
【氏名又は名称】山▲崎▼ 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】後藤 郁雄
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-059208(JP,A)
【文献】特開2017-033629(JP,A)
【文献】特開2011-181476(JP,A)
【文献】米国特許第09901039(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21S 2/00
F21V 5/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1光源と、
複数の第2光源であって、前記第1光源と前記第2光源とは互いに対して光色の異なる光を発することができるように構成されている、複数の第2光源と、
前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源が配置された回転照射部を有する照明部であって、前記複数の第1光源の光と前記複数の第2光源の光とが前記回転照射部の中心軸線周りに移動するように作動する、照明部と
、
複数の第3光源及び複数の第4光源が所定の配列で配置された固定照射部と
を備えた照明装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記回転照射部自体を回転させるように構成された回転機構部を更に備える、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記回転機構部は、
前記回転照射部を回転させるためのモータと、
前記回転照射部に配置された前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源を非回転電源部に接続可能にする回転コネクタと
を備える、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置は、照射対象が内部に配置されるケースの天井部に設けられ、
前記固定照射部は、前記ケースにおいて、前記回転照射部よりも、前側に配置される、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第3光源は、前記第1光源と同じ色の光を発し、
前記第4光源は、前記第2光源と同じ色の光を発する、
請求項
1から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射対象を照らすための照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等において照射対象の見栄えを良くする光を照射する照明装置が知られている。例えば、特許文献1は、店舗用の照明装置を開示する。この照明装置は、出力する光の分光分布が異なる第1光源及び第2光源を備える。それら第1及び第2光源は配光制御されることで照射対象に対してそれぞれ異なる角度の光軸に沿って光を照射する。特許文献1の記載によれば、この照明装置は、色ムラの発生を抑制し、かつ、照射対象にツヤ又はキラメキを生じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、上記照明装置では、買い物客が移動しながら照射対象を見ることで、照射対象がより煌めいて見える、とされている。このように、特許文献1に記載の照明装置は、買い物客が移動しながら照射対象を見ることを前提に構成されている。一方で、照射対象が例えば装飾品、宝石及び時計などのとき、買い物客は一か所に留まって照射対象に見入る傾向が強い。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、買い物客が一か所に留まって照射対象に見入る場合であっても、その照射対象を好適に煌びやかに見せることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
複数の第1光源と、
複数の第2光源であって、前記第1光源と前記第2光源とは互いに対して光色の異なる光を発することができるように構成されている、複数の第2光源と、
前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源が配置された回転照射部を有する照明部であって、前記複数の第1光源の光と前記複数の第2光源の光とが前記回転照射部の中心軸線周りに移動するように作動する、照明部と
を備えた照明装置
を提供する。
【0007】
好ましくは、前記照明部は、前記回転照射部自体を回転させるように構成された回転機構部を更に備える。更に好ましくは、前記回転機構部は、前記回転照射部を回転させるためのモータと、前記回転照射部に配置された前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源を非回転電源部に接続可能にする回転コネクタとを備える。
【0008】
更に、複数の第3光源及び複数の第4光源が所定の配列で配置された固定照射部が備えられるとよい。
【0009】
好ましくは、前記照明装置は、照射対象が内部に配置されるケースの天井部に設けられ、前記固定照射部は、前記ケースにおいて、前記回転照射部よりも、前側に配置される。
【0010】
前記第3光源は、前記第1光源と同じ色の光を発し、前記第4光源は、前記第2光源と同じ色の光を発するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る上記照明装置によれば、上記構成を備えるので、例えば照射対象が装飾品、宝石及び時計などであり、買い物客が一か所に留まって照射対象に見入る場合であっても、その照射対象を好適に煌びやかに見せることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の外観図であり、(a)はその斜視図を、(b)は照明装置をその照射部側からみたところを示す図である。
【
図2】
図1の照明装置の第1照明部の概略構成図である。
【
図3】
図1の照明装置の設置例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置10の外観図であり、(a)はその斜視図を、(b)は照明装置10をその照射部側からつまり
図1(a)の下方側からみたところを示す図である。
図1に示すように、照明装置10は、それのケース本体部10aに、複数のLED12が配置された2つの照明部14、16を有する。以下では、2つの照明部14、16のうちの一方を第1照明部14と称し、そのうちの他方を第2照明部16と称する。まず、第1照明部14について説明する。
【0015】
第1照明部14は、回転照射部18と、回転機構部20とを備える。
図1(b)に示すように、回転照射部18は、円盤状基板として構成され、そこに複数の発光ダイオード(LED)12が所定の配列で配置されている。なお、LED12は、それぞれ半導体素子である。
【0016】
回転照射部18の中心軸線18Aを中心として、その周りに、複数のLED12が配置されている。複数のLED12は、それぞれ光源として設けられている。複数のLED12は、2種類のLED22、24を含む。2種類のLEDのうちの一方を第1LED22と称し、そのうちの他方を第2LED24と称する。
【0017】
第1LED22と第2LED24とは、それぞれ、互いに対して光色の異なる光を発することができるように構成されているものである。本実施形態では、第1LED22は、白系の光を発するものであり、色温度が約4500Kのものである。また、本実施形態では、第2LED24は、黄色系の光を発するものであり、色温度が約3000Kのものである。なお、第1照明部14の第1LED22は第1光源に相当し、第1照明部14の第2LED24は第2光源に相当する。
図1(b)では、第1LED22との区別を容易にするべく、第2LED24を斜線部として表している。なお、斜線部として表された第2LED24以外のLEDは、全て、
図1(b)では第1LED22である。
【0018】
照明装置10の第1照明部14では、第1LED22は、
図1(b)において回転照射部18の中心軸線18A周りの略周方向に並ぶように配置されている。これに対して、第2LED24は、
図1(b)において回転照射部18の中心軸線18Aから略径方向に並ぶように配置されている。そして、回転照射部18の中心軸線18A周りに、2つの第1LED22及び2つの第2LED24が交互に並ぶように、それらLED22、24は回転照射部18に配置されている。このように回転照射部18に複数の第1LED22と複数の第2LED24とが概ね交互になるように所定の配列で配置されている。しかし、本発明は、
図1(b)に示す、これら複数の第1LED22と複数の第2LED24との配列に限定されず、その他の配列を許容する。
【0019】
なお、本発明で用いられる光源は、LEDに限定されないが、好ましくはLEDである。また、各LEDは、単色のLEDであっても、可変色LEDであってもよい。本実施形態で用いられるLED12は、全て、単色のLEDである。
【0020】
第1照明部14は、前述のように複数の第1LED22及び複数の第2LED24が配置された回転照射部18を有し、複数の第1LED22の光と複数の第2LED24の光とが回転照射部18の中心軸線18A周りに移動するように作動する。この作動機構として、上記回転機構部20を、第1照明部14は有する。
【0021】
回転機構部20について、
図2に基づいて説明する。
図2は、照明装置10における第1照明部14を部分的に断面で表したそれの概略構成図であり、ケース本体部10aを簡単に表している。回転機構部20は、回転照射部18自体をその中心軸線18A周りに回転させるように構成されている。つまり、回転照射部18に配置された第1及び第2LED22、24は、回転照射部18とともに回転する。回転機構部20は、回転照射部18を回転させるためのモータ26と、回転照射部18に配置された複数の第1LED22及び複数の第2LED24を電源部28に接続可能にする回転コネクタ30とを有する。電源部28は、回転照射部18と共に回転するものではなく、例えば電源プラグであり、非回転電源部に相当する。
【0022】
モータ26は、電動モータであり、電源部28からの電力で回転駆動力を発生する。モータ26がつながる回転軸部26Sは、回転照射部18をその中心軸線18A周りの所定の回転方向R(
図1(b)参照)に回転させるように回転照射部18に接続されている。このモータ26の回転を制御するべく、回転制御部27が設けられている。回転制御部27は、モータ26の作動のON-OFFを切り替えるための回転スイッチ27aと、モータ26の回転速度を可変調整するためのスピード調整部27bとを備える。なお、スピード調整部27bは設けられなくてもよい。モータ26の作動時の回転照射部18の回転速度は一定とされてもよい。回転照射部18がその中心軸線18A周りに回転する回転速度は、例えば10回転/分とすることができるが、照明装置10の大きさなどに応じて設定されるとよい。
【0023】
このように、第1照明部14では、LED22、24が設けられた回転照射部18は回転するが、電源部28は回転照射部18と共に回転しない。そこで、回転照射部18に配置された複数の第1LED22及び複数の第2LED24を電源部28等の静止体に接続可能にするように、回転コネクタ30が用いられている。回転コネクタ30は、所謂スリップリングである。回転コネクタ30は、一般的な構成、つまり金属製リングとブラシを備える。回転コネクタ30は、静止体である電源部28から、回転体である回転照射部18のLED22、24に、電力及び電気信号を伝達することを可能にする。回転コネクタ30として、種々のスリップリングを用いることが可能であるが、例えばJINPAT社のスリップリング、例えばLPM-04Aを採用することができる。回転コネクタ30としてのスリップリングは既知のものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。なお、
図2では、回転コネクタ30からLED22、24へと延びる配線30Wを模式的に表している。
【0024】
回転コネクタ30を介しての、電源部28からLED22、24への電力供給などの制御のために、第1照明部14は、照明のON-OFFを切り替えるための照明電源スイッチ32aと、光の強さを可変調整するための明るさ調整部32bとを備える照明制御部32を備える。なお、明るさ調整部32bは設けられなくてもよい。また、照明装置10の第1照明部14では、照明制御部32として、第1LED22の制御部と、第2LED24の制御部とを一緒にしているが、それらを別々にしてもよい。
【0025】
既に述べたように、照明装置10は、第1照明部14に加えて、第2照明部16を有する。
図1(b)に示すように、第2照明部16は、第1照明部14に並べて、照明装置10の同じ側に光を発するように配置されている。なお、
図1(b)から明らかなように、照明装置10の幅方向WDにおいて、第2照明部16の幅は、第1照明部14の幅よりも長い。
【0026】
第2照明部16は、第1LED22と第2LED24とが所定の配列で配置された固定照射部34と、前述の照明制御部32とを備える。固定照射部34は、幅方向WDにおいて延びるようにライン状につまり細長い構成を備える。固定照射部34では、第1LED22と第2LED24とは1本のライン状に交互に配置されている。そして、固定照射部34では、複数の第1LED22と複数の第2LED24とは、第1LED22の光と、第2LED24の光とがある程度以上混色するように配置されている。なお、第2照明部16において、第1LED22の光と第2LED24の光とが少なくとも部分的に混色する種々の配列で、第1LED22及び第2LED24は配置されることが可能である。好ましくは照射対象を買い物客などがみているときに、照明装置10からの光にムラや干渉縞などが生じないように第2照明部16のLED12の配列は定められる。なお、第2照明部16の第1LED22は第3光源に相当し、第2照明部16の第2LED24は第4光源に相当する。
【0027】
本実施形態では、第2照明部16の照明制御部は、前述の照明制御部32であり、第1照明部14の照明制御部に統合されている。したがって、第1照明部14のLED22、24と同じように、それとともに、第2照明部16のLED22、24は制御されて、所定の光を発する。しかし、第2照明部16の照明制御部と第1照明部14の照明制御部とは別々に構成されてもよい。つまり、第1照明部14の第1及び第2LED22、24の制御手段としての第1照明制御部は、第2照明部16の第1及び第2LED22、24の制御手段としての第2照明制御部から独立して構成されてもよい。
【0028】
上記構成を有する照明装置10は、
図3に示すように、照射対象が内部に配置される展示ケース40の天井部42に設置される。天井部42は、ここでは、照射対象の鉛直方向上側に位置する。このとき、展示ケース40において、第2照明部16の固定照射部34が第1照明部14の回転照射部18よりも買い物客側に位置するように、つまり前側40Fに位置するように、照明装置10の向き又は姿勢は定められる。なお、
図3では、展示ケース40内に、照射対象としての2つの時計W1、W2が配置されている。各時計W1、W2は、光沢のある時計本体Waと、艶のある革製のバンドWbとを有する。
【0029】
このように用いられる照明装置10に関して、作用及び効果を以下に説明する。
【0030】
まず、照明装置10は、第1照明部14を有し、第1LED22と第2LED24とは光色の異なる光を発することができるように構成されていて、上記所定の配列で配置されている。更に、第1照明部14は、回転照射部18のその中心軸線18A周りの回転により、それらLED22、24の光が回転照射部18の中心軸線18A周りに移動するように作動する。したがって、買い物客が一か所に留まって照射対象である時計W1、W2に見入る場合であっても、その照射対象を好適に煌びやかに見せることが可能になる。
【0031】
また、第1LED22は白系の光を発し、第2LED24は黄色系の光を発する。したがって、第1LED22の光により光沢のある時計本体Waは煌びやかに光り、第2LED24の光により革製のバンドWbを艶のある状態に煌びやかに見せることが可能になる。
【0032】
更に、照明装置10では、光が移動するように作動する第1照明部14に並べて、光が固定であるように作動する第2照明部16が設けられている。そして、第2照明部16の固定照射部34は、第1照明部14の回転照射部18よりも前側40Fに、つまり買い物客などにとって手前側に配置されている。したがって、第1照明部14でLED22、24が動くことに伴ってそれらから発せられた光にムラ等が生じても、買い物客等の側では、そのムラ等を打ち消すことができる。特に、第2照射部16の幅は、第1照射部14の幅よりも長い。また、第2照明部16のLED22、24は、第1照明部14のLED22、24のそれぞれと同じである。したがって、第1照明部14の光のムラや干渉縞等を第2照明部16の光でより好適に消失させることが可能になる。
【0033】
以上、本発明の代表的な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は種々の変更が可能である。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態では、第3光源としての第2照明部16の第1LED22は第1光源としての第1照明部14の第1LED22と同じであったが、異なってもよい。同様に、第4光源としての第2照明部16の第2LED24は第2光源としての第1照明部14の第1LED24と同じであったが、異なってもよい。上で説明したように、第2照明部16の2つの光源は、第2照明部16の上記作用及び効果を生じる種々の光源とすることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、展示ケース40において第1照明部14の回転照射部の前側にのみ第2照明部16の固定照射部が位置づけられた構成を照明装置10は有したが、第1照明部14の周囲を囲むように、例えば円環状に第2照明部16の固定照射部34が構成されてもよい。また、第2照明部16では、第1LED22と第2LED24とは1つずつ交互に配置されたが、千鳥状の配列、又は2つずつ交互の配列など種々の配列で配置されてもよい。
【0036】
また、上記実施形態の照明装置10では、第1照明部14は機械的に回転照射部18を動かす構成を有し、よってそこに配置された第1及び第2LED22、24のつまりそれらが発する光の周方向移動を実現した。しかし、回転照射部18自体は固定として、電気的に、LED12の発光する色を変化させることで、第1及び第2LEDが発する光の周方向移動を実現してもよい。
【0037】
図3では、照射対象として時計を例示したが、時計以外のもの、例えば装飾品、貴金属、宝石等を照らすために本発明の照明装置は用いられることが可能である。また、本発明の照明装置は、店舗等での展示ケースに適用されるとよいが、それ以外に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 照明装置
14 第1照明部
16 第2照明部
18 回転照射部
20 回転機構部
22 第1LED
24 第2LED
26 モータ
28 電源部
30 回転コネクタ
34 固定照射部