(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】美容器具
(51)【国際特許分類】
A61N 2/08 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A61N2/08 A
(21)【出願番号】P 2019111055
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519217249
【氏名又は名称】中元 麻友美
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中元 麻友美
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3215681(JP,U)
【文献】特開2017-000176(JP,A)
【文献】特開2013-202303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0303420(US,A1)
【文献】登録実用新案第3083079(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/00- 2/08
A61H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の耳に取り付けて使用する美容器具であって、
前記耳を挿通させる挿通孔を有した本体部を備え、
当該本体部は、挿通された前記耳を締め付けられるように弾性変形可能に構成されており、
前記本体部は、肉厚部分と肉薄部分とを備え、前記肉厚部分に磁石が内蔵されていることを特徴とする美容器具。
【請求項2】
前記挿通孔は、縦長形状となっており、
前記肉薄部分は、前記挿通孔の短辺側に設けられ、
前記肉厚部分は、前記挿通孔の長辺側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の美容器具。
【請求項3】
前記磁石は、前記挿通孔の両側の各肉厚部分にそれぞれ内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載の美容器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、人の耳に取り付けて使用する美容器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人の耳にリング状のバンドを取り付け、耳を一時的に締め付ける美容器具が知られている。具体的には、この美容器具は、伸縮性素材で構成された肉薄のリング形状をしており、人の耳に取り付ける際は、リング部分を引き伸ばして耳を挿通させていた。そして、耳を一時的に締め付けることで、耳周辺に分布している咬筋を引き伸ばすことができる。この咬筋は、日常生活の中で緊張状態が続くと、次第に硬く縮んでしまうので、フェイスラインを崩す原因となるが、美容器具により咬筋を引き伸ばすことで、本来あるべき美しいフェイスラインへ戻すことができるのである。
【0003】
そして近年では、美しいフェイスラインへ戻す効果をより高めるために、磁石の利用が検討されており、磁石を内蔵するのに適した構造の美容器具の開発が望まれていた。さらに、その美容器具には、磁石を内蔵しても、人の耳に容易に取り付けて使用できることも望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本願発明は上記問題に鑑み、磁石を内蔵するのに適した構造を備えると共に、人の耳に容易に取り付けて使用できる美容器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の美容器具は、人の耳に取り付けて使用する美容器具であって、前記耳を挿通させる挿通孔を有した本体部を備え、当該本体部は、挿通された前記耳を締め付けられるように弾性変形可能に構成されており、前記本体部は、肉厚部分と肉薄部分とを備え、前記肉厚部分に磁石が内蔵されていることを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、肉厚部分に磁石を無理なく内蔵できることから、磁石を内蔵するのに適した構造となっており、美容器具の製造が容易となる。また、肉薄部分が存在することで、その肉薄部分を起点に本体部を上下に引き伸ばしやすくなり、美容器具を人の耳に容易に取り付けて使用することが出来る。
【0007】
さらに、本願発明の美容器具は、前記挿通孔が、縦長形状となっており、前記肉薄部分は、前記挿通孔の短辺側に設けられ、前記肉厚部分は、前記挿通孔の長辺側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、本体部の挿通孔を縦長形状とし、肉薄部分を挿通孔の短辺側に設けたため、人の耳に非常に容易に取り付けることが出来る。さらに、人の耳に合わせて、本体部の挿通孔を縦長形状としたため、挿通孔の長辺側は、耳の前面と裏面に密着できる。そのため、長辺側に位置する肉厚部分に内蔵された磁石の磁力線は、耳の前面又は裏面の広い範囲に向けて放射されるため、より広範囲の血行を効果的に良くすることができる。
【0009】
本願発明の美容器具は、前記磁石は、前記挿通孔の両側の各肉厚部分にそれぞれ内蔵されていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、耳の前面と裏面の両側から挟み込むように、磁石の磁力線を放射することができ、血行をより効果的に良くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記に記したように、本願発明の人の耳に取り付けて使用する美容器具は、磁石を内蔵するのに適した構造を備えると共に、人の耳に容易に取り付けて使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】(a)は美容器具の平面図、(b)は美容器具の側面図、(c)は美容器具の正面図である。
【
図3】(a)及び(b)は、人の耳に美容器具を取り付ける様子を示した側面図である。
【
図4】人の耳に美容器具を取り付けた状態の側面図である。
【
図5】(a)は本願発明の変形例1に係る美容器具の平面図、(b)は本願発明の変形例2に係る美容器具の平面図、(c)は本願発明の変形例3に係る美容器具の平面図、(d)は本願発明の変形例4に係る美容器具の平面図である。
【符号の説明】
【0013】
100 美容器具
200 本体部
210 挿通孔
220 肉厚部分
230 肉薄部分
240 磁石
E 耳
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0015】
まず、
図1及び
図2に本願発明の美容器具100を示す。なお、
図1は、美容器具100の全体斜視図、
図2(a)は美容器具100の平面図、
図2(b)は美容器具100の側面図、
図2(c)は美容器具100の正面図である。
【0016】
美容器具100は、人の耳に取り付けることができるもので、人の耳を挿通させる挿通孔210を有した本体部200を備える。この挿通孔210は、本体部200を貫通しており、人の耳の形状に合わせて略楕円形の縦長形状となっている。そして、本体部200は、挿通孔210の周りを環状に囲っている。また、本体部200は、スチレン系エラストマーや、その他の合成樹脂等によって伸縮性を備えるように形成され、柔軟に弾性変形することができる。そして、挿通孔210は人の耳より小さくなっているので、後述するように、挿通孔210に挿通させた人の耳は、弾性変形する本体部200によって締め付けられるようになっている。
【0017】
また、挿通孔210は、厚さD1の肉厚部分220と、厚さD2の肉薄部分230とを備えている。肉厚部分220の厚さD1は、肉薄部分230の厚さD2と比較して厚くなっている(つまり、厚さD1>厚さD2となっている)。そして、肉薄部分230は、挿通孔210の短辺221側に設けられ、肉厚部分220は、挿通孔210の長辺222側に設けられている。さらに、本体部200は、
図2(a)に示すように平面視ハート型となっており、優れた意匠性を備えている。なお、後述するように、厚さD2の肉薄部分230の方が、厚さD1の肉厚部分220よりも、より小さい力で弾性変形させることができる。
【0018】
さらに、肉厚部分220の内部には、球状の磁石240が内蔵されている。対になった磁石240は、挿通孔210の両側の肉厚部分220にそれぞれ設けられている。
【0019】
なお、
図1及び
図2に示すように、挿通孔210は平面視で縦長形状となっているが、これに限定されず、平面視で円形形状や正方形形状など任意の形状としてもよい。また、美容器具100は、平面視ハート型となっているが、これに限定されず、円形形状や正方形形状など任意の形状としてもよい。さらに、挿通孔210の短辺221側に肉薄部分230を設け、挿通孔210の長辺222側に肉厚部分220を設けているが、これに限定されず、挿通孔210の短辺221側に肉厚部分220を設け、挿通孔210の長辺222側に肉薄部分230を設けてもよい。また、本体部200は、弾性変形できるように、スチレン系エラストマーやその他の合成樹脂等によって形成されているが、弾性変形が可能であれば、適宜任意の素材を利用してもよい。また、挿通孔210の両側の肉厚部分220にそれぞれ磁石240を内蔵しているが、これに限定されることはなく、挿通孔210の片側の肉厚部分220のみに磁石240を内蔵してもよい。また、磁石240はネオジム磁石を採用しているが、これに限定されず、適宜任意の種類の磁石を採用してもよい。さらに、磁石240は、肉厚部分220に一つ内蔵されているが、これに限定されず、肉厚部分220周辺に複数内蔵してもよい。また、
図1及び
図2に示す美容器具100では、肉厚部分220のみに磁石240を内蔵しているが、肉薄部分230に磁石240を内蔵してはならないというわけではなく、磁石240が肉薄部分230に容易に内蔵できる程度に小さいのであれば、磁石240を肉薄部分230に内蔵してもよい。
【0020】
では次に、
図3及び
図4を参照して、本願発明の美容器具100の使用態様について説明する。なお、
図3(a)及び(b)は、人の耳に美容器具100を取り付ける様子を示した側面図、
図4は、人の耳に美容器具100を取り付けた状態の側面図である。なお、
図3及び
図4では、人の片側の耳のみを示して説明しているが、実際は両側の耳に美容器具100をそれぞれ取り付けて使用する。
【0021】
まず、
図3(a)に示すように、美容器具100の使用者は、片方の手H1の指F1を挿通孔210に通して折り曲げ、肉薄部分230を指F1で引っ掛ける。そして、もう片方の手H2の指F2を挿通孔210に通して折り曲げ、指F1の反対側の肉薄部分230を指F2で引っ掛ける。その状態で、指F1と指F2とで相対する各肉薄部分230を上下に引っ張り、挿通孔210が長尺方向(縦長方向)へ伸びるように、本体部200を弾性変形させる。
【0022】
次に、
図3(b)に示すように、縦方向へ引き伸ばされた挿通孔210に、耳Eを挿通させる。その際、上下の指F1と指F2で、耳Eを上下から押さえつけることで、耳Eを挿通孔210内に挿通させ易くなる。そして、挿通孔210内に耳Eが挿通したら、上下の指F1と指F2を肉薄部分230から離す。すると、上下に引き伸ばされていた本体部200は、弾性変形前の元の形状に復帰する。すると、美容器具100の挿通孔210は、耳Eより小さくなっているので、
図4に示すように、元の形状に復帰した本体部200によって、耳Eは締め付けられることになる。
【0023】
図4に示すように、耳Eが美容器具100によって締め付けられると、緊張状態で硬く縮んだ咬筋が引き伸ばされる。さらに、
図4に示す状態で、顔F3(頬などのフェイスラインに沿った部分)のマッサージを行い、顔F3内部に溜まった老廃物を排出し易くする。そして、数分後に、耳Eから美容器具100を取り外すと、耳E周辺の血行が一気に良くなり、顔F3に溜まった老廃物もリンパ管へ一気に排出され、マッサージ効果がより一層効果的に発揮されるのである。このように、美容器具100により咬筋を引き伸ばし、マッサージ効果も向上させることで、本来あるべき美しいフェイスラインへより一層効果的に戻すことができるのである。特に、美容器具100には磁石240が内蔵されているので、磁石240から発生している磁力によって血行を良くし、硬く縮んだフェイスライン周辺の組織をほぐし、またリンパの流れを良くして蓄積された老廃物をより効果的に排出することができるのである。
【0024】
このように、本願発明の美容器具100によれば、本体部200に肉厚部分220と肉薄部分230を備え、肉厚部分220に磁石240を内蔵している。そのため、肉厚部分220に磁石240を無理なく内蔵することができるため、美容器具100の製造が容易となる。また、肉薄部分230が存在することで、その肉薄部分230を起点に本体部200を上下に引き伸ばしやすくなり、美容器具100を人の耳に容易に取り付けて使用することが出来る。
【0025】
特に、従来のリング状のバンドで構成された美容器具において、磁石を内蔵しようとすると、バンド全体を肉厚にする必要があった。すると、肉厚になった分、美容器具を引き伸ばすのに強い力が必要となり、耳に取り付けにくくなってしまう。そこで、本願発明では、美容器具の本体部200に肉厚部分220と肉薄部分230を設け、肉厚部分220に磁石240を内蔵したことで、製造が容易で、尚且つ、耳にも取り付けやすくしたのである。
【0026】
さらに、本願発明では、本体部200の挿通孔210を縦長形状とし、肉薄部分230を挿通孔210の短辺221側に設けたため、人の耳Eに非常に容易に取り付けることが出来る。具体的には、人の耳Eは縦長形状であるので、その人の耳Eの形状に合わせて、本体部200の挿通孔210も縦長方向に引き伸ばし易くすれば、それだけ美容器具100を耳Eに取り付けやすくなるのである。そこで、本願発明の美容器具100の本体部200の挿通孔210を縦長形状とし、肉薄部分230を挿通孔210の短辺221側に設けることで、
図3(a)に示すように、耳Eの縦長方向に合わせて、本体部200を縦長方向に上下に容易に引き伸ばすことが出来るのである。その結果、美容器具100を、人の耳Eに非常に容易に取り付けることが出来るのである。
【0027】
さらに、本願発明では、本体部200の挿通孔210を縦長形状としているので、
図4に示すように、美容器具100が耳Eを締め付けている状態でも、挿通孔210は耳Eに沿った形状となっている。より具体的には、
図4に示すように、挿通孔210の長辺222側は、耳Eの前面と裏面に密着している。そのため、長辺222側に位置する肉厚部分220に内蔵された磁石240の磁力線は、耳Eの前面又は裏面の広い範囲に向けて放射されるため(言い換えると、磁力線が通過する面積が増えるため)、より広範囲の血行を効果的に良くすることができる。
【0028】
さらに、本願発明では、
図4に示すように、挿通孔210の両側の各肉厚部分220に磁石240が設けられているので、耳Eの前面と裏面の両側から挟み込むように、磁石240の磁力線を放射することができ、血行をより効果的に良くすることができる。
【0029】
次に、本願発明の美容器具100の変形例1から4について、
図5を参照して説明する。なお、各変形例に係る美容器具は、本体部の形状が、
図1から
図4に示す美容器具100の本体部200の形状とは異なるだけで、その他の構成については、
図1から
図4に示す美容器具100の構成と基本的に同一なので、その同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0030】
まず、
図5(a)に示すように、本願発明の変形例1に係る美容器具100Aでは、平面視ハート型であるが、本体部200Aの表面に複数の面部が形成されており、ダイヤモンドカットのような美観を備えている。また、
図5(b)に示すように、本願発明の変形例2に係る美容器具100Bでは、本体部200Bが、挿通孔210の両側にそれぞれ2つの肉厚部分220を備えており、各肉厚部分220に磁石240が内蔵されている。このように、変形例2に係る美容器具100Bは、本体部200Bが平面視で蝶のような美観を備えている。また、
図5(c)に示すように、本願発明の変形例3に係る美容器具100Cでは、本体部200Cが平面視略四角形状をしている。さらに、
図5(d)に示すように、本願発明の変形例4に係る美容器具100Dでは、本体部200Dが平面視略円形形状をしている。
【0031】
なお、本願発明の美容器具は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。