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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】遊技用装置、遊技用プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 352L
A63F7/02 330
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019117032
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021003168
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 康平
(72)【発明者】
【氏名】小川 周二
【審査官】進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-017735(JP,A)
【文献】特開2010-252931(JP,A)
【文献】特開2013-116142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置されている遊技機に対応して設けられた遊技用装置において、
前記遊技機に外部から持ち込まれた持込遊技媒体数を特定可能な特定手段と、
前記特定手段により特定された持込遊技媒体数が所定数である場合、特定報知を実行可能な報知手段と、
操作者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する操作の無効状態及び有効状態を制御可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始から所定条件が成立するまでは、前記無効状態に制御し、
前記所定条件が成立した後は、前記有効状態に制御し、
前記報知手段は、前記特定報知を実行中において、
前記無効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知の実行を維持し、
前記有効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知を終了し、
前記所定条件は、
計数手段により所定数の遊技媒体が計数されることにより成立可能な条件である
ことを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
遊技場に設置されている遊技機に対応して設けられた遊技用装置において、
前記遊技機に外部から持ち込まれた持込遊技媒体数を特定可能な特定手段と、
前記特定手段により特定された持込遊技媒体数が所定数である場合、特定報知を実行可能な報知手段と、
操作者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する操作の無効状態及び有効状態を制御可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始から所定条件が成立するまでは、前記無効状態に制御し、
前記所定条件が成立した後は、前記有効状態に制御し、
前記報知手段は、前記特定報知を実行中において、
前記無効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知の実行を維持し、
前記有効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知を終了し、
前記所定条件は、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始後、所定時間経過することにより成立可能な条件である
ことを特徴とする遊技用装置。
【請求項3】
前記特定手段は、
前記遊技機で使用された使用遊技媒体数と、前記遊技機で付与された付与遊技媒体数と、計数手段により計数された計数遊技媒体数と、前記計数手段により計数された計数遊技媒体数のうち払出手段により払い出された払出遊技媒体数と、前記遊技機で使用するために貸し出された貸出遊技媒体数と、に基づいて、持込遊技媒体数を特定可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技用装置。
【請求項4】
前記特定手段は、
前記計数遊技媒体数と前記使用遊技媒体数との合算値から、前記貸出遊技媒体数と前記払出遊技媒体数と前記付与遊技媒体数との合算値を減算することによって、持込遊技媒体数を特定可能である
ことを特徴とする請求項に記載の遊技用装置。
【請求項5】
遊技場に設置されている遊技機に対応して設けられたコンピュータを、
前記遊技機に外部から持ち込まれた持込遊技媒体数を特定可能な特定手段、
前記特定手段により特定された持込遊技媒体数が所定数である場合、特定報知を実行可能な報知手段、
操作者が操作可能な操作手段、
前記操作手段に対する操作の無効状態及び有効状態を制御可能な制御手段、
として機能させ、
前記制御手段を、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始から所定条件が成立するまでは、前記無効状態に制御し、
前記所定条件が成立した後は、前記有効状態に制御するように機能させ、
前記報知手段を、前記特定報知を実行中において、
前記無効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知の実行を維持し、
前記有効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知を終了するように機能させ
前記所定条件は、
計数手段により所定数の遊技媒体が計数されることにより成立可能な条件である
ことを特徴とする遊技用プログラム。
【請求項6】
遊技場に設置されている遊技機に対応して設けられたコンピュータを、
前記遊技機に外部から持ち込まれた持込遊技媒体数を特定可能な特定手段、
前記特定手段により特定された持込遊技媒体数が所定数である場合、特定報知を実行可能な報知手段、
操作者が操作可能な操作手段、
前記操作手段に対する操作の無効状態及び有効状態を制御可能な制御手段、
として機能させ、
前記制御手段を、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始から所定条件が成立するまでは、前記無効状態に制御し、
前記所定条件が成立した後は、前記有効状態に制御するように機能させ、
前記報知手段を、前記特定報知を実行中において、
前記無効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知の実行を維持し、
前記有効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知を終了するように機能させ
前記所定条件は、
前記報知手段による前記特定報知の実行開始後、所定時間経過することにより成立可能な条件である
ことを特徴とする遊技用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場で用いられる遊技用装置、遊技用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動先の遊技機である一の遊技機に対して、移動元の遊技機である他の遊技機から持ち込んだ持込玉数が異常値を示す場合、異常報知を実行し、管理者等の操作に応じて、この異常報知を終了させる遊技用装置があった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-29520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の遊技用装置は、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の遊技用装置は、遊技場に設置されている遊技機に対応して設けられた遊技用装置において、前記遊技機に外部から持ち込まれた持込遊技媒体数を特定可能な特定手段と、前記特定手段により特定された持込遊技媒体数が所定数である場合、特定報知を実行可能な報知手段と、操作者が操作可能な操作手段と、前記操作手段に対する操作の無効状態及び有効状態を制御可能な制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記報知手段による前記特定報知の実行開始から所定条件が成立するまでは、前記無効状態に制御し、前記所定条件が成立した後は、前記有効状態に制御し、前記報知手段は、前記特定報知を実行中において、前記無効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知の実行を維持し、前記有効状態中に前記操作手段が操作された場合、前記特定報知を終了し、前記所定条件は、計数手段により所定数の遊技媒体が計数されることにより成立可能な条件であることを特徴とする構成にした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の遊技システムの全体の構成を説明する図である。
図2】第1実施形態の遊技システムの各装置の詳細を説明する図である。
図3】第1実施形態の遊技システムの装置間で通信される主要な情報を説明する図である。
図4】第1実施形態の異常報知処理の流れを説明する図である。
図5】第1実施形態の遊技機に遊技玉を持ち込んで、遊技した例を説明する図である。
図6】第1実施形態の遊技機に遊技玉を持ち込んで、遊技した他の例を説明する図である。
図7】第2実施形態の異常報知処理の流れを説明する図である。
図8】第2実施形態の遊技機に遊技玉を持ち込んで、遊技した例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態)
以下、図1図8等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の遊技システム1の全体の構成を説明する図である。
なお、図1は、複数の遊技機10のうち1つのパチンコ機及び1つのスロットマシンを拡大して図示し、他の遊技機10は、縮小して図示したり、図示を省略した。
図2は、第1実施形態の遊技システム1の各装置の詳細を説明する図である。
図2は、複数の遊技機10のうちの1つ、複数の島システム50のうちの1つのみを図示したが、他の遊技機10、他の島システム50も、同様な構成である。
【0008】
(遊技システム1)
遊技システム1は、遊技場内のシステムである。
図1図2に示すように、遊技システム1は、遊技機10、台計数部20(計数手段)、台間機30、呼び出しランプ39、台コンピュータ40、島コンピュータ55、無線インカム61(無線インターコミュニケーション)(報知手段)、無線操作機63、無線通信装置65、ホールコンピュータ70を備える。
遊技機10、台計数部20、台間機30、台コンピュータ40、島コンピュータ55、ホールコンピュータ70の間は、LAN等の通信網2、通信ケーブル等で接続されており、必要に応じて通信可能である。
【0009】
なお、実施形態において、コンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、各装置10,20,30,39,40,51,55,70は、それぞれ記憶部、制御部を備え(図示を適宜省略する)、コンピュータの概念に含まれる。
記憶部は、各装置10,20,30,39,40,51,55,70の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
制御部は、各装置10,20,30,39,40,51,55,70の動作に必要な演算処理をしたり、各装置10,20,30,39,40,51,55,70を統括的に制御するための装置である。制御部は、例えば、CPU(中央処理装置)等を備える。制御部は、記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
また、実施形態では、適宜、スロットマシンで用いられるメダル、パチンコ機で用いられる遊技玉の両方を、総括して遊技玉という。
遊技機10と、遊技機10に併設された台計数部20、台間機30、呼び出しランプ39及び台コンピュータ40等の周辺機器とは、これらが1組のシステムである。遊技機10の機類は、パチンコ機、スロットマシン等である。
島システム50は、遊技場内の遊技島に配置された装置によって構成される。島システム50は、遊技機10及びその周辺機器によって構成される上記システムを、複数組備える。1つの島システム50は、通常、同一種別(例えば、パチンコ機、スロットマシン等の機類、機種、遊技玉の玉レート等の種別等)の遊技機10が配置されている。つまり、各島システム50と、他の島システム50とは、遊技機10の種別等が異なる。なお、これに限定されず、1つの島システム50には、複数機種の遊技機10が混在して配置されていてもよい。
そして、遊技システム1は、複数の島システム50によって構成されている。
【0010】
各装置の詳細を説明する。
遊技機10は、玉使用操作部11、玉払出部12、記憶部15、制御部16を備える。
玉使用操作部11は、遊技のための遊技玉を使用する操作を受け付けるハンドル、スタートレバー等を備える。パチンコ機であれば、ハンドル操作に応じて、上皿内に収容された遊技球が盤面に投入されることにより使用される。スロットマシンであれば、スタートレバーの操作に応じて、メダル投入口に投入されたメダル等が掛け数分だけ使用されることにより、リールの図柄が変動する。
玉払出部12は、遊技者が獲得した遊技玉を、遊技機10外部に払い出す払出装置等を備える。玉払出部12は、遊技機10内部にストックした遊技玉を、外部の受け皿に払い出す。
記憶部15は、遊技のための各プログラム、各種テーブル等を記憶する。
制御部16は、記憶部15の各プログラム、各種テーブル等に基づいて、遊技機10でのゲームを実行する。
【0011】
台計数部20は、遊技者の持玉を計数する装置である。
台計数部20は、遊技機10がパチンコ機である場合には、遊技機10から払い出された遊技玉等を流入させて計数する。台計数部20が計数した計数玉数は、景品へと交換可能な玉数であり、つまり景品交換玉数である。遊技機10がスロットマシンの場合には、遊技者がメダルを手で掴んで、台計数部20の流入口に運ぶような形態でもよい。
台計数部20が計数した計数玉数は、台間機30に出力され、台間機30によって他の装置との間で通信される。つまり、台計数部20は、台間機30によって制御されており、実施形態では、図2等に示すように、適宜、台間機30の一部を構成する装置として説明する。
【0012】
台間機30は、遊技者に遊技玉を貸し出したり、一般カード30a(図1参照)に対応した遊技者の持玉を、遊技者に払い出したりする。また、台間機30は、台計数部20の制御等を行う。
遊技者の持玉の情報は、一般カード30aのICチップに記憶したり、一般カード30aの識別情報に対応付けて、ホールコンピュータ70が記憶することができる。実施形態では、持玉の情報をICチップに記憶する例を説明する。
一般カード30a(ビジターカード等ともいう)は、遊技者が遊技機10外で所有する持玉を記憶し、遊技の当日に一時的に遊技者に貸し出されるカードである。
なお、遊技者が所持するカードの種別は、一般カード30aの他に、遊技場の会員に発行される会員カード(図示せず)を有する。会員カードは、遊技者が持玉を複数日に渡って払い出しできるカードである。実施形態では、会員カードに記憶した持玉を貯玉ともいう。遊技者は、一般カード30aと同様に、会員カードに対応付いた遊技者の貯玉を、台間機30から払い出すことができる。
【0013】
台間機30は、現金受け入れ部31、カード入出部32、玉供与部33、記憶部35、制御部36を備える。なお、図1は、現金受け入れ部31、カード入出部32、玉供与部33等の符号の図示を、適宜省略した。
現金受け入れ部31は、遊技者が遊技玉を借りる際に、現金を受け入れる装置である。現金受け入れ部31は、紙幣の挿入口、挿入された紙幣を検出する検出部等を備える。
カード入出部32は、一般カード30a等の挿入、排出をする装置である。カード入出部32は、一般カード30a等の挿入及び排出のための入出口、一般カード30a等の貯玉情報の読み取り及び書き込みをするためのリーダライタ、一般カード30aを回収及び貯留するためのカードストック部等を備える。
玉供与部33は、現金に投入に応じた貸玉、一般カード30a等に記憶された持玉を、遊技者に払い出すための装置等を備える。
【0014】
呼び出しランプ39は、遊技者が店員等を呼び出すための装置である。呼び出しランプ39は、呼び出しボタンの操作に応じて、ON、OFFされ店員等を呼び出すための呼び出し情報(呼出信号)を、ホールコンピュータ70に送信する。また、呼び出しボタンが再度操作されることに応じて、呼び出し情報の送信を解除する。ホールコンピュータ70は、これらの呼び出し情報及びその解除情報を、無線インカム61に送信することにより、店員等にこれらの情報を伝える。
また、島端にあるランプ(代表ランプ等)(図示せず)は、呼び出し情報ONに応じて点灯することにより店員等に対して呼出の要求があることを知らせ、その後、呼び出し情報OFFに応じて消灯する。
なお、呼び出しランプ39は、遊技機10の各種情報(当日の遊技玉の投入数、大当たり回数等)を遊技者に表示するデータ表示機を兼用してもよい。
【0015】
台コンピュータ40は、各台コンピュータ40に対応する遊技機10、台間機30、呼び出しランプ39の管理等を行う。なお、各遊技機10の周辺機器(例えば呼び出しランプ39等)が台コンピュータ40を兼用してもよい。また、1台の台コンピュータ40が、複数台の遊技機10等の管理を行ってもよい。
台コンピュータ40は、店員等(操作者)が携行する無線操作機63(操作手段)によって操作可能である。
台コンピュータ40は、記憶部45、制御部46を備える。
記憶部45は、遊技機10の識別情報を記憶する。実施形態では、この識別情報(例えばID002等)を、台番号を示すものとして説明する。
【0016】
島コンピュータ55は、遊技島に配置された装置の管理等を行う。島コンピュータ55は、例えば、台コンピュータ40から収集した遊技情報を、ホールコンピュータ70に送信することができる。
無線インカム61は、無線を用いたインターコミュニケーション用の端末である。遊技システム1は、複数の無線インカム61を備えている。各店員等は、それぞれ、1つの無線インカム61を携行する。
無線操作機63は、台コンピュータ40を操作するための無線装置である。遊技システム1は、複数の無線操作機63を備えている。各店員等は、それぞれ、1つの無線操作機63を携行する。
無線通信装置65は、無線インターコミュニケーション用の通信装置である。無線通信装置65は、ホールコンピュータ70に対して通信ケーブル等によって接続されている。無線通信装置65は、ホールコンピュータ70によって制御されることにより、各種音情報(後述する異常報知の情報を含む)を無線インカム61に対して送信することができる。
【0017】
ホールコンピュータ70は、遊技場の各装置を、統括して管理可能なコンピュータである。
ホールコンピュータ70は、操作部71、表示部72(表示手段)、記憶部75(記憶手段)、制御部76(特定手段)を備える。
操作部71は、遊技者の管理者等が、ホールコンピュータ70を操作するための装置である。操作部71は、例えば、マウス、キーボード等を備える。
表示部72は、液晶表示装置等の表示装置である。
【0018】
記憶部75は、管理プログラム75a(遊技用プログラム)、玉情報記憶部75bを有する。
管理プログラム75aは、遊技玉を管理するためのプログラムであり、後述する異常報知処理に関するプログラムを含む。
玉情報記憶部75bは、遊技玉の玉数に関する各種情報等を記憶する。
制御部76は、遊技システム1の全体を統括的に管理する。制御部76は、例えば、後述する異常報知処理に関する各種制御、処理等を行う。
【0019】
(装置間の情報通信)
図3は、第1実施形態の遊技システム1の装置間で通信される主要な情報を説明する図である。
なお、遊技玉の玉数に関する情報は、パチンコ機であれば10個のパチンコ玉あたり1パルスの信号に変換され、一方、スロットマシンであれば1枚のメダルあたり1パルスの信号に変換される。
装置間では、例えば、以下の情報が通信される。
【0020】
(遊技機10→台コンピュータ40)
遊技機10は、下記情報を台コンピュータ40に対して出力する。
アウト玉数(O)(使用遊技媒体数):遊技機10に投入された遊技媒体の玉数に関する情報である。アウト玉数は、パチンコ機であれば、盤面に打ち出された玉数である。一方、アウト玉数は、スロットマシンであればゲームをするために掛けられたメダル枚数である。スロットマシンの場合には、メダルを掛けた状態でスタートレバーが操作されることにより、アウト玉数が出力される。
セーフ玉数(S)(付与遊技媒体数):遊技の結果、遊技者に払い出された(付与された)玉数に関する情報である。
遊技状態信号:スロットマシンの場合等に、現時点の遊技状態(例えば、BB状態、RT状態等)を示す情報である。
確変信号、時短信号:パチンコ機の場合等に、遊技機10がそれぞれ確変状態、時短状態にあるかを示す情報である。
スタート信号:特別図柄やリールの1ゲームごとの変動を示す情報である。
ガラス開閉信号:パチンコ機の場合等に、ガラス扉の開閉状態を示す情報である。
ドア開閉信号:スロットマシンの場合等に、前扉の開閉状態を示す情報である。
【0021】
(台間機30→台コンピュータ40)
台間機30は、下記情報を、台コンピュータ40に出力する。
計数玉数(H)(計数遊技媒体数):台計数部20が計数した玉数に関する情報である。
持玉払出数(C)(払出遊技媒体数):遊技者が一般カード30aに記憶した持玉から払い出した玉数に対応した情報である。
売上玉数(R)(貸出遊技媒体数):遊技者が遊技機10で遊技するために、台間機30が貸し出した玉数に対応した情報である。また、遊技者が会員カードに対応付けられた貯玉から払い出した玉数に対応した情報である。
カード情報:カードに関する各種情報である。一般カード30aに関しては、例えば、カード入出部32に一般カード30aが挿入されたことを示す情報、ID情報(カード識別情報)等である。また、会員カードに関しては、例えば、カード入出部32に会員カードが挿入されたことを示す情報、会員番号(カード識別情報)等である。
【0022】
(台コンピュータ40→島コンピュータ55)
台コンピュータ40は、下記情報と、遊技機10の識別情報とを対応付けて、島コンピュータ55に出力する。
台コンピュータ40は、遊技機10、台間機30から受信した各種情報(アウト玉数、セーフ玉数、計数玉数、持玉払出数、売上玉数等)を、島コンピュータ55に出力する。
また、台コンピュータ40は、無線操作機63から受信した操作情報を、島コンピュータ55に出力する。
【0023】
(島コンピュータ55→ホールコンピュータ70)
島コンピュータ55は、台コンピュータ40、島計数機51から受信した各種情報と、遊技島の識別情報とを対応付けて、ホールコンピュータ70に出力する。
【0024】
(異常報知処理)
異常報知処理について説明する。
図4は、第1実施形態の異常報知処理の流れを説明する図である。
異常報知処理は、各台における遊技玉に関する異常の報知をしたり、また、この報知を解除したりする処理である。以下の処理では、持込玉の異常及び持出玉の異常のうち、主に、前者の処理について説明する。
また、特定の台番号の遊技機10には、適宜、識別情報を付して示す(例えば遊技機10(ID002)等)。
【0025】
S1~S5に示すように、遊技者の遊技、台間機30の操作に応じて、遊技機10、台間機30は、アウト玉数、セーフ玉数、計数玉数、持玉払出数、売上玉数を、ホールコンピュータ70に出力する。
すなわち、遊技機10の制御部16は、遊技機10への遊技玉の投入、遊技者への遊技玉の払い出しに応じて、アウト玉数、セーフ玉数をホールコンピュータ70に送信する。
台間機30の制御部36は、台計数部20が遊技者の遊技機10外の持玉を計数することに応じて、計数玉数をホールコンピュータ70に送信する。また、制御部36は、遊技者が一般カード30aの持玉払出の操作をすることにより、持玉払出数をホールコンピュータ70に送信する。さらに、制御部36は、遊技者が貸玉払出の操作、又は会員カードの貯玉払出の操作をすることにより、売上玉数をホールコンピュータ70に送信する。
【0026】
S10において、ホールコンピュータ70の制御部76は、各装置10,30から受信した各玉情報を、玉情報記憶部75bに記憶する。
S20において、ホールコンピュータ70の制御部76は、誤差玉数を、玉情報記憶部75bに記憶した玉情報に基づいて、以下の式1によって算出する。
なお、実施形態では、誤差玉数(E)は、遊技者が各遊技機10(遊技機10(ID002)等)の外部から各遊技機10に持ち込んだ遊技玉の玉数(持込玉数)であるものとして説明する。
また、詳細な説明は省略するが、制御部76は、誤差玉数の算出結果が「+(正)」であれば「持込玉」として判定し、一方、「-(負)」であれば「持出玉」として判定することにより、算出結果の正負に基づいて「持込玉」、「持出玉」の何れであるか判定できるようにしてもよい。
【0027】
E=(H+O)-(R+C+S)・・・式1
E:誤差玉数
H:計数玉数(計数遊技媒体数)
O:アウト玉数(使用遊技媒体数)
R:売上玉数(貸出遊技媒体数)
C:持玉払出数(払出遊技媒体数)
S:セーフ玉数(付与遊技媒体数)
【0028】
なお、式1は、以下の式2に変形できる。
E=H-((R+C)+(S-O))
式2の各要素は、以下の内容を示す。
R+C:台間機30の払出玉数
S-O:増減玉数(差玉数)
(R+C)+(S-O):持込をしないで遊技を行った際の持玉数(推定台間景品玉数ともいう)
【0029】
このように、制御部76は、誤差玉数(E)(持込遊技媒体数)を、アウト玉数(O)、セーフ玉数(S)、計数玉数(H)、持玉払出数(C)、売上玉数(R)に基づいて、算出可能である。すなわち、制御部76は、誤差玉数(E)を、計数玉数(H)とアウト玉数(O)との合算値(H+O)から、売上玉数(R)と持玉払出数(C)とセーフ玉数(S)の合算値(R+C+S)を減算することによって特定可能である。
なお、誤差玉数(E)とは、遊技者が現時点で所有している持玉数(つまり(H))と、遊技者が遊技玉の持込又は持出をせずに各遊技機10で遊技したならば所有すべき持玉数(つまり((R+C)+(S-O))との差をあらわす。
【0030】
S30において、ホールコンピュータ70の制御部76は、誤差玉数(E)が200玉を超える枚数(つまりE>200)である場合(S30:YES)、誤差玉の異常があると判定し(つまり持込異常が発生したと判定し)S40に進み、一方、誤差玉数(E)が200を超えない枚数(つまりE≦200)である場合(S30:NO)、誤差玉の異常がないと判定しS10からの処理を繰り返す。
なお、パチンコ機では、誤差玉数(E)が200玉を超えた場合であっても、210玉になるまで、異常判定されない。これは、パチンコ機は、玉数10玉につき1パルスを出力する仕様になっているためである。
【0031】
S40において、ホールコンピュータ70の制御部76は、異常報知情報を無線インカム61に対して送信し、また、異常報知情報を表示部72に表示する。
この異常報知情報は、誤差玉異常が発生したことを報知する情報、及びその遊技機10の識別情報(遊技機10を特定可能な情報)を有する。
また、制御部76は、報知解除を「無効」に設定する。つまり、制御部76は、「無効」に設定され後述するS70の条件が成立するまでの間は、台コンピュータ40に対して報知解除のための操作がされても、この操作を受け付けず無効とする状態(無効状態)に制御し、かつ、無線インカム61に対する異常報知情報を継続して送信する制御を実行する。
【0032】
図示は、省略するが、無線インカム61は、ホールコンピュータ70からの異常報知情報を受信すると、例えば、「台番号ID002の遊技機で誤差玉異常が発生しました」等といった情報を、報知解除が行われるまで繰り返し音声出力することにより、誤差玉異常の報知(特定報知)を実行する。また、表示部72は、同様な情報をテキスト等で表示する。
店員等は、この音声を確認すると、遊技機10(ID002)に移動して、遊技玉を遊技機10(ID002)以外から持ち込んだか否か、どこから持ち込んだか(持込元情報)等を、口頭等で確認する。また、店員等は、遊技玉が他の遊技機10(例えば遊技機10(ID001)等)から持ち込まれたものであると遊技者から聞いた場合には、この他の遊技機10の誤差玉を、管理者等に問い合わせる。管理者等は、ホールコンピュータ70を操作することにより、他の遊技機10の誤差玉を確認し、その結果を店員等に知らせる。このようにして、店員等は、遊技玉の持ち込みが適正であるか否かを、判定することができる。
【0033】
持ち込みが適正である場合は、例えば、遊技者よって遊技機10(ID002)に持ち込まれた遊技玉が、遊技機10(ID002)と同一店舗で使用される遊技玉であり、遊技機10(ID002)と同じ玉レートの遊技玉(例えば遊技機10から払い出された遊技玉等)である場合等である。
この場合には、店員等は、遊技者に対して、遊技を一時停止して、持玉計数の操作をするように促す。
【0034】
持ち込みが不適正である場合は、例えば、遊技玉が、店舗外から持ち込まれたものである場合、遊技機10(ID002)と同一店舗内であって異なる玉レートの遊技機10から払い出されたものである場合等である。この場合には、店員等は、遊技者に対して、遊技を中止させて遊技玉を回収し、例えば、これ以降、持玉で遊技を行わせなかったり、適正な玉レートで玉計数等を行ったりする。
【0035】
以下の説明は、遊技玉の持ち込みが適正である場合の処理である。
遊技者は、店員等の促しに従って、現時点での持玉を、台計数部20で計数する。
S45において、台間機30の制御部36は、台計数部20によって計数された計数玉数を、ホールコンピュータ70に送信する。
なお、実施形態において、遊技者の持玉を計数することにより台間機30がその計数玉数(H)を記憶することと、さらに計数玉数(H)をカード等に記憶させてカード化することとは、両者とも遊技者が所有する現物の持玉をシステム側に取り込んで数量を情報化することである。このため、両者は、同様な技術的作用を奏するという意味では同義である。つまり、実施形態において、カード化とは、台間機30がその計数玉数(H)を記憶することを含む概念である。
S50において、ホールコンピュータ70の制御部76は、台間機30から受信した計数玉数及び遊技機10の識別情報を、計数情報として玉情報記憶部75bに記憶する。これにより、制御部76は、遊技機10(ID002)において持玉が計数済みであると判定する。
【0036】
S55において、台間機30の制御部36は、遊技者の操作等に応じて、一般カード30aを遊技者に発行する。つまり、制御部36は、持玉の計数後、カード発行の操作がされた場合には、S45で計数された計数情報を、リーダライタを制御して一般カード30aに書き込んで、一般カード30aを遊技者に払い出す。なお、この場合、遊技者が持玉を有する一般カード30aを既に所有していた場合には、制御部36は、この一般カード30aに記憶されている持玉残と、上記計数情報とを加算して、持玉残の情報を更新する。
そして、制御部36は、カード発行済であることを示す情報を、ホールコンピュータ70に送信する。
S60において、ホールコンピュータ70の制御部76は、台間機30から受信したカード発行済であることを示す情報及び台番号を、玉情報記憶部75bに記憶する。
なお、S55、S60の処理は、遊技者がカード発行の操作をした場合に行われる処理であり、カード発行の操作をしない場合には、これらの処理は、不要である。
【0037】
S70において、ホールコンピュータ70の制御部76は、持玉が計数済みであることに応じて(S50)、報知解除を「無効」から「有効」に設定する。つまり、制御部76は、持玉が計数されたことを条件に、台コンピュータ40の無線操作機63によって報知解除のための操作がされた場合にこの操作を受け付けて有効とする状態(有効状態)に制御する。
ホールコンピュータ70の制御部76は、報知解除を「有効」に設定したことによって、台コンピュータ40において報知解除のための操作がされた場合に、この操作を受け付ける。
なお、報知解除を設定する条件として、持玉が計数されたことに加えて、カード発行済であること(S60)を付加してもよい。
【0038】
店員等は、遊技者の持玉の計数の操作(S45)の確認後、無線操作機63で報知解除ための操作を行う。
S75において、台コンピュータ40の制御部46は、無線操作機63の報知解除の操作情報を、ホールコンピュータ70に送信する。
S80において、ホールコンピュータ70の制御部76は、報知解除の操作情報を、台コンピュータ40から受信したことに応じて、報知解除の処理を行い、また、O,S,H,C,Rのクリア処理を行う。
報知解除の処理では、無線インカム61、表示部72に対する異常報知を解除する。これにより、無線インカム61の上記音声出力が解除され、また、表示部72の上記テキスト表示等が解除される。
【0039】
このように、遊技システム1は、遊技機10に持ち込まれた遊技玉を適切に処理したこと等を条件に、異常報知を終了することができる。
クリア処理では、各玉情報(O,S,H,C,R)を全て0(玉)に設定する。
その後、ホールコンピュータ70の制御部76は、S10からの処理を繰り返す。
【0040】
店員等は、遊技者が持玉の計数操作(S45)を行い、無線インカム61に対する異常報知を解除されたこと(S80)を確認すると、遊技者に対して、引き続き遊技することを許可する。遊技者は、遊技機10(ID002)で遊技したり、一般カード30aを発行して他の遊技機10に移動して遊技したりすることができる。
【0041】
遊技者が引き続き遊技機10(ID002)で遊技をする場合には、繰り返すS1~S5の処理によって、アウト玉数、セーフ玉数、計数玉数、持玉払出数、売上玉数がホールコンピュータ70に出力される。
そして、繰り返すS10からの処理で、ホールコンピュータ70の制御部76は、改めて誤差玉(E)を算出し、これ以降の処理を進める。
これにより、再度、遊技者が再度遊技をすることにより、適正に210玉以上を打ち込む等の遊技した場合等に、遊技システム1は、異常報知をすることがない。
【0042】
以下、上記処理について、図5図6の例を示しながら説明する。
図5は、第1実施形態の遊技機10(ID002)に1000玉の遊技玉を持ち込んで、遊技した例を説明する図である。
♯1に示すように、遊技者は、遊技機10に持ち込んだ遊技玉1000玉のうち210玉を打ち込む。
なお、この例では、持ち込んだ1000玉のみを用いて遊技をするので、計数玉数(H)、持玉払出数(C)、売上玉数(R)は、0玉である。また、遊技中において、遊技機10から遊技玉の払い出しがなく、セーフ玉数(S)が0玉とする。
【0043】
このため、持込1000玉のうち210玉が遊技機10に投入された時点で、ホールコンピュータ70の制御部76は、「E=210(=(0+210)-(0+0+0))」と算出するので(S10,S20)、持込異常があったと判定する(S30:YES)。
これにより、ホールコンピュータ70の制御部76は、無線インカム61及び表示部72に異常報知を行い、また、報知解除を「無効」に設定する(S40)。
【0044】
♯2に示すように、店員等は、遊技者に遊技玉の持ち込みの経緯を確認し、適正であると判断したら、♯3に示すように、持玉の計数を促す。
遊技者は、店員等の促しに従って、台計数部20で持玉の計数を行う。これにより、持玉残790玉が計数される。台間機30は、持玉790玉の情報をホールコンピュータ70に送信する。
なお、図5は、持玉の計数後、♯4に示すように、一般カード30aを発行する例を示すが、一般カード30aを発行しなくてもよい。
ホールコンピュータ70の制御部76は、持玉790玉を受信すると、異常報知後において、持玉が異常報知後に計数されたと判定し(S50)、報知解除を「有効」に設定する(S70)。
♯5に示すように、店員等は、無線操作機63を操作して異常報知の解除の操作を行い、台コンピュータ40は、その操作情報をホールコンピュータ70に送信する。
ホールコンピュータ70の制御部76は、異常報知の解除の操作情報を受信すると、報知解除、クリア処理(S80)を行う。これにより、玉情報記憶部75bに記憶した玉情報を「O,S,H,C,R=0」に設定し、また、無線インカム61に対する異常報知を解除する。
【0045】
ここで、♯6に示すように、遊技者が一般カード30aを発行後、この一般カード30aを用いて、持玉790のうち500玉を引き出して、遊技機10(ID002)で、引き続き遊技をする例を説明する。
台間機30は、持玉の払い出しに応じて、払出玉数をホールコンピュータ70に出力する。
ホールコンピュータ70の制御部76は、払出玉数(C=500)を受信すると、「誤差玉E=-500(=(0+0)-(0+500+0))」と算出する(繰り返すS10,S20)。
ホールコンピュータ70の制御部76は、「誤差玉E=-500≦210」であるので、適正であると判定する(繰り返すS30:NO)。
【0046】
その後、♯7に示すように、遊技者が引き出した500玉のうち210玉を遊技機10に投入した時点で、ホールコンピュータ70の制御部76は、アウト玉数(O=210)を受信すると、「誤差玉E=-290(=(0+210)-(0+500+0))」と算出する(繰り返すS10,S20)。
ホールコンピュータ70の制御部76は、「誤差玉E=-290≦210」であるので、適正であると判定する(繰り返すS10,S20:NO)。
なお、制御部76は、持玉を計数後、カード発行されることなく遊技機10(ID002)で引き続き遊技された場合にも、玉情報記憶部75bに記憶した計数情報を「H=0」に設定するので(S80)、同様に適正であると判定することができる。
すなわち、本実施形態の異常判定の処理では、遊技者の持玉を計数し台間機30の記憶部に記憶することと、計数後にカード発行することとは、同様な作用、効果を奏する。
【0047】
このように、遊技玉を遊技機10に持ち込み、最初に210玉を打ち込んだ時点で異常判定されたのに対して、報知解除後に210玉を打ち込んだ場合には、異常判定されない。
これにより、遊技システム1は、遊技者が遊技玉を遊技機10に持ち込んだ場合でも、店員等が適正であると判定した場合には、異常報知解後に持玉の計数をされことを条件に、引き続き遊技を続行可能に制御できる。
【0048】
図6は、第1実施形態の遊技機10(ID002)に1000玉の遊技玉を持ち込んで、遊技した他の例を説明する図である。
図6の例は、図5の例と同様に、遊技機10(ID002)に1000玉の遊技玉が持ち込まれているが、図5の例とは異なり、遊技機10(ID002)、台計数部20での計数及び台間機30から遊技玉の払い出しが行われている。
すなわち、図6の例は、♯1a~♯1cに示すように、ある時点での遊技玉に関する情報が以下の状態であった。
【0049】
遊技中に、遊技機10に200玉を投入した(O=200)。
遊技中に、入賞することにより、遊技機10から50玉払い出された(S=50)。
遊技中に、台間機30に現金を投入して、貸玉を払い出した(R=250)。
遊技中に、持玉が台計数部20に流入されることにより計数された。この結果、計数玉数が310玉であった(H=310)。
なお、持玉払出数は、図5の例と同じく、0玉であった(C=0)。
【0050】
この場合、ホールコンピュータ70の制御部76は、これらの情報に基づいて、誤差玉Eを「E=210」と算出する(S10,S20)。
ホールコンピュータ70の制御部76は、「E=210」と算出した時点で、「E=210>200」が成立するため、異常があると判定する(S30:YES)。
このように、遊技システム1は、アウト玉数(O)の他に遊技玉に関する出力情報があった場合にも、誤差玉異常の判定を適正に行うことができる。なお、遊技者が一般カード30aを有しており、これを用いて持玉の払い出しをした場合にも、ホールコンピュータ70の制御部76は、持玉払出数(C)を、式1に代入することにより、誤差玉異常の判定を適正に行うことができる。
【0051】
図6の例のその後の処理は、図5の例の処理と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0052】
このように、実施形態の遊技システム1は、誤差玉の異常報知の解除操作を受け付けた後、さらに、遊技者が継続して遊技した場合、誤差玉異常の判定を適正に行うことができるので、その遊技が適正であるときには、誤報知をすることがない。
【0053】
これに対して、従来の遊技用装置(例えば、特許文献1に記載の遊技用装置)は、異常報知の解除操作の有効期間が設けられていないことから、店員等は、どのタイミングでも異常報知を解除できてしまう。このため、例えば、遊技者が他の遊技機から一の遊技機に異常値の2倍以上持玉を持ち込んだ場合、最初の異常報知後に持玉がリセットされても、異常報知が再度実行される可能性があった。
具体的には、他の遊技機から一の遊技機へ1000玉持ち込まれ、そのうち210玉が使用された場合、アウト信号が210玉分発生するため、持玉が-210玉となり、最初の異常報知が実行される。
そして、最初の異常報知実行後、異常報知の対象である一の遊技機に移動した店員等が、1000玉が他店ではなく、店舗内の他の遊技機からの持ち込みを確認することにより、適正であると判断して、リモコン操作を実行する。
リモコン操作を実行することで持玉が0玉になり、最初の異常報知が終了するが、最初の異常報知終了後、遊技者が持ち込んだ残り790玉の中から210玉を使用した場合、再度異常報知が実行されることになってしまう。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能、処理を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
図7は、第2実施形態の異常報知処理の流れを説明する図である。
この例では、遊技者が遊技機210(ID001)で払い出し等された遊技玉を、遊技機210(ID002)に持ち込んで、遊技した例を説明する。また、遊技機210(ID001)及び遊技機210(ID002)は、玉レート等が同一であり、両遊技機間での遊技玉の持ち込みは、適正であるとする。
S1~S10の処理は、第1実施形態と同様である。
S220において、ホールコンピュータ270の制御部は、以下の式によって、誤差玉(E)を算出する。
E=(H+O)-(R+C+S)-a・・・式21
a:残玉補正値
【0055】
残玉補正値(a)は、後述するS285で入力される。台コンピュータ240の制御部は、残玉補正値(a)の入力がない場合には、「a=0」を式21に代入して、誤差玉(E)を算出する。
【0056】
S30,S40の処理は、第1実施形態と同様である。
店員等は、異常報知の音声(S40)を無線インカム61から確認すると、第1実施形態と同様に、遊技者に確認することにより、遊技玉の持ち込みが適正であるか否かを判定する。
そして、店員等は、遊技玉の持ち込みが適正である場合には、無線操作機63で報知解除ための操作を行う。
S75において、台コンピュータ240の制御部は、無線操作機63の報知解除の操作情報を、ホールコンピュータ270に送信する。この処理は、第1実施形態と同様である。
S280において、ホールコンピュータ270の制御部は、報知解除の操作情報を、台コンピュータ240から受信したことに応じて、報知解除の処理を行い、また、H,O,S,C,R,aのクリア処理を行う。この処理は、第1実施形態と同様である。
【0057】
この場面で、店員等は、遊技玉の持ち込みが適正である場合には、無線操作機63を操作することにより、残玉補正値(a)を台コンピュータ240に入力する。
残玉補正値(a)は、遊技者の残玉数を示し、計数玉数(H)と、遊技機外に存在し計数されていない玉数との和を表す。
【0058】
店員等は、残玉補正値(a)の情報を、以下のように取得できる。
店員等は、上記遊技玉の持ち込みの確認の際に、遊技者が遊技玉を遊技機210(ID001)から持ち込んだことを特定できる。店員等は、遊技機210(ID001)の遊技玉の払出状況等を、管理者等に問い合わせをすることにより、遊技者の残玉数を知ることができ、その情報を台コンピュータ240に入力できる。
すなわち、ホールコンピュータ270の玉情報記憶部は、遊技機210(ID001)の玉情報を記憶している。このため、管理者等は、ホールコンピュータ270を操作することにより、遊技者が遊技機210(ID001)の遊技を終了した時点の持玉数、及び遊技機210(ID002)での投入玉数等を確認できる。管理者等は、これらの情報に基づいて、遊技者の現時点での残玉数(つまり残玉補正値(a))を確認でき、また、その情報を店員等に伝えることができる。
【0059】
S285において、台コンピュータ240の制御部は、無線操作機63から入力された残玉補正値(a)を、ホールコンピュータ270に出力する。
S290において、ホールコンピュータ270の制御部は、台コンピュータ240から受信した残玉補正値(a)を、玉情報記憶部に記憶する。
その後、ホールコンピュータ270の制御部は、S10からの処理を繰り返す。
繰り返すS10からの処理では、ホールコンピュータ270の制御部は、上記S290で玉情報記憶部に記憶した残玉補正値(a)を式21に代入して誤差玉(E)を算出後(S220)、異常判定を行う(S30)。
【0060】
このように、本実施形態では、異常報知の解除、クリア処理を実行した後(S280)、残玉補正値(a)の入力情報を記憶し(S280)、繰り返す処理では、残玉補正値(a)を反映して誤差玉(E)を算出できる。
【0061】
図8は、第2実施形態の遊技機210(ID001)から遊技機210(ID002)に遊技玉1000玉を持ち込んで、遊技した例を説明する図である。
上記処理、遊技者、店員等の動作について、図8を参照しながら説明する。
♯1に示すように、遊技者は、遊技機210(ID001)から持ち込んだ持玉1000玉のうち210玉を、遊技機210(ID002)で打ち込んでいる。
遊技玉210玉を打ち込んだ時点では、残玉補正値(a)の入力がないため、「a=0」である。
このため、ホールコンピュータ270の制御部は、第1実施形態と同様に、「E=210(=(0+210)-(0+0+0)-0)」と算出するので(S10,S220)、持込異常があったと判定する(S30:YES)。
【0062】
♯2に示すように、店員等は、遊技者に遊技玉の持ち込みの経緯を確認し、遊技機210(ID001)から遊技機210(ID002)に持ち込んだことを確認すると、適正な遊技であると判定する。
♯5に示すように、店員等は、適正であると判断したら、無線操作機63を操作して異常報知の解除の操作を行い、台コンピュータ240は、その操作情報をホールコンピュータ270に送信する。
ホールコンピュータ270の制御部は、異常報知の解除の操作情報を受信すると、報知解除、クリア処理(S280)を行う。これにより、ホールコンピュータ270の制御部は、「O,S,C,R,a=0」に設定し、また、無線インカム61及び表示部72に対する異常報知を解除する。
【0063】
♯206に示すように、ここで、店員等は、遊技者の現時点の残玉数を、管理者等に問い合わせる。管理者等は、ホールコンピュータ270を操作することにより、遊技者が遊技機210(ID001)の遊技を終了した時点の持玉数が1000玉であること、及び遊技機210(ID002)での投入玉数が210玉であることを確認する。そして、管理者等は、遊技者の現時点での残玉数790(a)を店員等に伝える。
店員等は、管理者等に、遊技者の現時点の残玉数を確認すると、無線操作機63を操作することにより、「残玉補正値a=790」を台コンピュータ240に入力する。
ホールコンピュータ270の制御部は、残玉補正値(a=790)を玉情報記憶部に記憶後(S290)、S10からの処理を繰り返す。
なお、ホールコンピュータ270の制御部は、持込元である遊技機210(ID001)の玉情報を参照することにより、遊技機210(ID001)の誤差玉が1000玉であることを確認してもよい。この場合には、制御部は、店員等の操作を受け付けることなく、遊技機210(ID001)の誤差玉数を、持込先である遊技機210(ID002)の残玉補正値(a)として記憶してもよい。
【0064】
♯7に示すように、第1実施形態と同様に、持玉数790のうち210玉を遊技機210(ID002)に投入した時点で、ホールコンピュータ270の制御部は、払出玉数(O=210)を受信すると、「誤差玉E=-580(=(0+210)-(0+0+0)-790)」と算出する(繰り返すS10,S220)。ホールコンピュータ270の制御部は、「誤差玉E=-580≦210」であるので、適正であると判定する(繰り返すS30:NO)。
【0065】
このように、本実施形態の遊技システムは、第1実施形態と同様に、報知解除後に適正に遊技した場合、210玉を打ち込んだ時点でも、異常判定することがない。
なお、本実施形態の遊技システムは、図6の例のような払出玉数以外の出力があった場合にも、各玉数の情報を、式21に代入することにより、同様に処理することができる。
なお、本実施形態の遊技システムは、残玉補正値(a)といった変数を設定することなく、S285で入力された補正値を持玉払出数(C)として、補正するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の遊技装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技装置は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
なお、前述した実施形態の各構成及び後述する変形形態の各構成は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0067】
(変形形態)
(1)第1実施形態において、異常報知の報知解除を「有効」に設定するための条件は、遊技者の持玉が計数されたことである例を示したが、これに限定されない。
上記条件は、例えば、以下の内容でもよい。
(a)異常報知の実行開始後、新たに一般カード又は会員カードが台間機に挿入されたこと
(b)異常報知の実行開始後、さらに稼働OFF(所定時間、遊技機からアウト信号等が出力されない状態)後に、売上信号(台間機への入金、貸出ボタンの操作情報、貯玉再プレイ等)を検出したこと
(c)異常報知の実行開始後、さらに稼働OFF後に、景品戻り信号を検出したこと(つまり、持玉再プレイがされたこと)
上記(a)~(c)の条件を適用することにより、例えば、異常報知の実行開始後、遊技者が入れ替わった場合等に、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。
【0068】
(d)異常報知の実行開始後、一定時間が経過したこと
この場合には、異常報知の実行開始後、十分な時間が経過した場合等に、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。
(e)一定のアウト数、差玉数、スタート数等の信号収集によって、所定カウント値をカウントしたこと
この場合には、異常報知の実行開始後、例えば、十分な回数の遊技が行われた場合等、上記(d)と同様に十分な時間が経過した場合等に、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。
【0069】
(f)遊技機の挙動の変化を検出したこと
この場合には、大当りの開始及び終了の信号に基づいて、大当りの開始及び終了後、次回の大当りの開始及び終了をした場合に、遊技機の挙動が変化したことを理由に、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。
同様に、確変開始及び終了、BB(ビックボーナス)、RB(レギュラーボーナス)等についても、各信号に基づいて遊技機の挙動の変化を判定し、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。
【0070】
(g)ドア開閉、ガラス開閉、店員等の呼出等のイベントが発生したこと、又はこれらが復帰したこと
(h)アウト異常、ベース異常、セーフ異常等の異常イベントが発生したこと、又はこれらが復帰したこと
ここで、アウト異常とは、アウトタンク詰まり等により、遊技玉が全く流れない状態等をいう。この玉詰まりが解消され、玉が流れることにより復旧する。このため、セーフ信号の出力が指定回数分あるにも関わらず、アウト信号の出力がない場合にアウト異常であると判定される。
ベース異常とは、打込んだ玉数(アウト)に対する賞球玉数の率(ベース)が多過ぎる状態、又は少な過ぎる状態(つまり一定量のアウトに達したとき、ベースが一定の範囲に収まらない状態)をいう。このため、ベース異常は、アウトタンク又は遊技玉の補給メーターに玉詰まりがあり、遊技玉が正常に流れていない場合、不正に賞球が出ている場合等に発生する。
セーフ異常とは、補給メーターの蛇腹部分の玉詰まり等により、全く賞球されない状態をいう。このため、アウト信号の出力が指定回数分あるにもかかわらず、セーフ信号の出力が無い場合に発生する。玉詰まりが解消され、玉が流れ出すと復旧する。
これら(g)、(h)の場合にも、上記(d)と同様に十分な時間が経過した場合等に、異常報知の報知解除を「有効」に設定できる。また、(g)、(h)の場合には、店員等は、例えば、誤差玉異常の異常発生時には、一旦、遊技機の経過を観察するようにし、上記異常イベント発生時等に、誤差玉異常の再判定を行うような運用をすることができる。
【0071】
(2)実施形態において、異常報知の解除操作、残玉補正値(a)の入力操作は、台コンピュータが受け付ける例を示したが、これに限定されない。これらの入力操作は、例えば、ホールコンピュータが受け付けてもよい。また、呼び出しランプ、データ表示機等が、台コンピュータを兼用する場合には、これらの入力操作は、これらの装置が受け付けてもよい。
【0072】
(3)実施形態において、誤差玉(E)の判定値は、固定値(210玉等)である例を示したが、これに限定されない。誤差玉(E)の判定値は、ホールコンピュータ等が設定操作を受け付けることにより、店舗の事情等に応じて、適宜、任意の値に設定できるようにしてもよい。
(4)第1実施形態において、誤差玉の異常報知の解除操作の受け付け条件は、遊技者の全持玉を計数すること(S45,S50等)である例を示したが、これに限定されない。解除操作の受け付け条件は、例えば、「異常復帰操作可能玉数設定」等のような設定値を設けることにより、持込玉数の所定割合(例えば5割)を計数することでもよく、持込玉数のうち残りの玉数に対する所定割合(例えば5割)を計数することでもよい。
【0073】
(5)実施形態において、持玉払出数(C)の用語を、一般カードからの持玉払出数の意味で用い、また、売上玉数(R)の用語を、遊技玉の貸出玉数、又は会員カードからの貯玉払出数の意味で用いたが、これに限定されない。これらの用語及びその意味は、適宜設定でき、すなわち、誤差玉の判定式に含まれる「C+R」の数値が同じなるものであればよい。
例えば、Cを「一般カードの持玉払出数、又は会員カードの貯玉払出数」とし、Rを「遊技玉の貸出玉数」としてもよい。
【0074】
(6)実施形態において、遊技者の持玉は、台計数部で計数される例を示したが、これに限定されない。例えば、台計数部が設けられておらず、各島システム(つまり各遊技島)に島計数機が設置されている遊技場では、遊技者の持玉は、島計数機が計数してもよい。この場合には、店員等が、遊技者が遊技していた遊技機の台番号を島計数機に入力することにより、島コンピュータが台番号及び計数情報(H)をホールコンピュータに出力する。この場合にも、実施形態と同様に、誤差玉異常に関する処理を行うことができる。
【0075】
(7)実施形態において、ホールコンピュータの制御部は、誤差玉(E)の異常判定(S30:YES)の後、報知解除(S80、S280)等がされるまでは、誤差玉(E)の算出等を行わない例を示したが、これに限定されない。制御部は、異常判定後、各玉情報に基づいて誤差玉(E)を継続して算出し、誤差玉(E)を常時監視してもよい。また、この場合には、報知解除の処理を直接的に行うのではなく、H,O,S,C,R等のクリア処理(S80、S280)において「E=0」のクリア処理も行い、これに応じて「E=0≦200」が成立することに応じて、報知解除の処理をするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:遊技システム
10,210:遊技機
20:台計数部
30:台間機
40,240:台コンピュータ
61:無線インカム
63:無線操作機
65:無線通信装置
70,270:ホールコンピュータ
75a:管理プログラム
75b:玉情報記憶部
a:残玉補正値
C:持玉払出数
E:誤差玉数
H:計数玉数
O:アウト玉数
R:売上玉数
S:セーフ玉数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8