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特許7264508プロセスのデジタル化のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】プロセスのデジタル化のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20230418BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G06Q10/08
G05B19/418 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020540803
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019014930
(87)【国際公開番号】W WO2019147792
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】62/621,623
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/621,709
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514140551
【氏名又は名称】ビート インク
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】ワン デイビッド ジングキウ
(72)【発明者】
【氏名】ロメン アーロン グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ロメン ダニエル フィリップ
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075941(JP,A)
【文献】特表2013-503800(JP,A)
【文献】特開2016-071830(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211308(JP,U)
【文献】特開2008-234114(JP,A)
【文献】特開2010-015288(JP,A)
【文献】米国特許第09741007(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材の行動を追跡する方法であって、該方法は、
上記施設内のトラッカー位置に対象物トラッカーを位置決めするステップと、
上記施設に複数の可動資材を提供するステップと、
を含み、
各可動資材は、その可動資材に固有の識別子を含み、
該可動資材はデータベース内において、上記識別子、資材ID及び資材種別に関連付けられており、
上記対象物トラッカーは、上記トラッカー位置に基づく検出ゾーンを画定し、
上記対象物トラッカーは、
上記検出ゾーン内でセンサ入力を収集するように構成されたセンサと、
上記センサ入力を受けるように上記センサと通信するトラッカーコンピュータと、
上記センサ入力に検出時刻を刻時し、上記識別子を特定するように上記センサ入力を処理し、上記識別子に関連付けられた上記資材ID及び上記資材種別を特定するように上記識別子を処理し、上記検出時刻における上記可動資材の位置を特定するように上記センサ入力を処理し、さらには上記資材ID、上記資材種別、上記検出時刻における上記可動資材の位置及び上記検出時刻を含む資材エントリを生成する少なくとも1つのアルゴリズムと、
を含み、
該システムは、
上記対象物トラッカーが上記センサを介してセンサ入力を収集するステップであって、該可動資材が上記検出ゾーン内に配置されているときに上記識別子を検出することを含む、センサ入力を収集するステップと、
上記対象物トラッカーが上記トラッカーコンピュータを介して、上記センサ入力を受けるステップと、
上記対象物トラッカーが上記トラッカーコンピュータを介して、上記センサ入力に検出時刻を刻時するステップと、
上記対象物トラッカーが上記トラッカーコンピュータを介して、上記識別子を特定するように上記センサ入力を処理するとともに、
上記トラッカーコンピュータを介して、上記識別子に関連付けられた上記資材ID及び上記資材種別を特定するように上記識別子を処理するステップと、
上記対象物トラッカーが上記トラッカーコンピュータを介して、上記検出時刻における上記可動資材の位置を特定するステップと、
上記対象物トラッカーが上記トラッカーコンピュータを介して、上記資材エントリを生成するステップと、
をさらに含み、
上記対象物トラッカーは、ネットワークを介して中央データブローカと通信するように構成されており、
該方法は、
上記対象物トラッカーが上記対象物トラッカーコンピュータを使って、上記資材エントリをデジタル化するステップと、
上記対象物トラッカーが上記ネットワークを介して上記中央データブローカまで、上記デジタル化された資材エントリを送信するステップと、
上記中央データブローカを使って、資材行動リストに上記資材エントリをマップするステップと、
上記データベースに上記資材行動リストを保存するステップであって、上記資材エントリと上記資材行動リストの各々が、上記識別子に関連する上記資材ID及び上記資材種別に関連付けられている、保存するステップと、
上記データベースと通信するアナリストを介して、上記資材行動リストを分析するステップと、
をさらに含み、
上記資材行動リストを分析するステップは、
上記資材行動リストによって画定される行動イベントを決定し、
上記行動イベントの行動イベント持続時間を決定し、
上記行動イベント持続時間とベースライン持続時間とを比較することを含む、
方法。
【請求項2】
該方法は、上記アナリストを介して、上記資材行動リストによって画定される追跡マップを生成するステップをさらに含み、
上記追跡マップは、上記資材ID及び資材種別を介して上記資材行動リストに関連付けられている該可動資材によって実行される少なくとも1つの行動を視覚的に表示するものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該方法は、上記アナリストを介して、上記資材行動リストを使って画定される鼓動を生成するステップをさらに含み、
上記鼓動は、上記行動イベント持続時間と上記行動イベントを視覚的に表示するものであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
上記資材行動リストを分析するステップは、
上記資材行動リストによって画定される複数の行動イベントを決定するステップと、
上記複数の行動イベントの各行動イベントについて、それぞれの行動イベント持続時間を決定するステップと、
上記複数の行動イベントを発生時刻に従った順序のシークエンスに並べるステップと、
上記アナリストを介して、上記鼓動を生成するステップと、
を含み、
上記鼓動は、上記複数の行動イベントの各々の行動イベント持続時間と行動イベントを上記シークエンス内に視覚的に表示するものであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記センサはカメラを含み、
上記センサ入力は、上記カメラによって収集された上記検出ゾーンの画像であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記カメラは、赤外線感知カメラであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記カメラは、サーモグラフィー赤外線感知カメラであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
上記センサはRFID読取り装置を含み、
上記識別子はRFIDタグを含み、
上記センサ入力は、上記RFID読取り装置によって上記RFIDタグから読み取られるRFIDデータであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該可動資材は、1つのパターンとなるように配置された複数のラベルを含み、
上記パターンは、上記識別子を画定するものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記対象物トラッカーは、所定の位置に固定されるように上記施設の構造物に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記対象物トラッカーは、可動性となるように上記複数の可動資材のうちの1つに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記対象物トラッカーは、上記検出時刻における該可動資材の相互作用を特定するように上記センサ入力を処理する少なくとも1つのアルゴリズムを有し、
該方法は、
上記トラッカーコンピュータを介して、上記相互作用を特定するように上記センサ入力を処理するステップと、
上記資材エントリに上記相互作用を入力するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記対象物トラッカーは、上記検出時刻における該可動資材の位置を特定するように上記センサ入力を処理する少なくとも1つのアルゴリズムを有し、
該方法は、
上記トラッカーコンピュータを介して、該可動資材の位置を特定するように上記センサ入力を処理するステップと、
この位置を上記資材エントリに入力するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記対象物トラッカーは、複数の対象物トラッカーのうちの1つであり、
上記複数の対象物トラッカーの各々が、上記トラッカー位置に基づく検出ゾーンを画定しており、
該方法は、
上記複数の対象物トラッカーの各々を上記施設内のそれぞれのトラッカー位置に位置決めするステップをさらに含み、
上記複数の対象物トラッカーの各々の検出ゾーンは、上記複数の対象物トラッカーのうちの少なくとも1つの他の検出ゾーンとオーバラップしていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
上記複数の可動資材は、
少なくとも1つの構成部品と、
少なくとも1つの部品キャリアと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該可動資材は、少なくとも1つの構成部品を運ぶように構成された部品キャリアであり、
上記対象物トラッカーは、上記少なくとも1つの部品キャリアによって運ばれる構成部品の量を決定するように上記センサ入力を処理する少なくとも1つのアルゴリズムを有し、
該方法は、
上記トラッカーコンピュータを介して、上記構成部品を定量化するように上記センサ入力を処理するステップと、
この定量化したものを上記資材エントリに入力するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該可動資材は構成部品であり、
上記対象物トラッカーは、上記センサ入力を使って上記構成部品についての検査結果を決定するように上記センサ入力を処理する少なくとも1つのアルゴリズムを有し、
該方法は、
上記トラッカーコンピュータを介して、上記検査結果を決定するように上記センサ入力を処理するステップと、
上記検査結果を上記資材エントリに入力するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材の行動を追跡するシステムであって、該システムは、
施設内のトラッカー位置に位置決めされた対象物トラッカーと、
上記施設内に配置された複数の可動資材と、
を備え、
各可動資材は、その可動資材に固有の識別子を含み、
該可動資材は、データベース内において、上記識別子、資材ID及び資材種別に関連付けられており、
上記対象物トラッカーは、上記トラッカー位置に基づく検出ゾーンを画定し、
上記対象物トラッカーは、
上記検出ゾーン内でセンサ入力を収集するように構成されたセンサであって、該センサ入力を収集することは、該可動資材が上記検出ゾーン内に配置されているときに上記識別子を検出することを含む、センサと、
上記センサ入力を受けるように上記センサと通信するトラッカーコンピュータと、
上記センサ入力に検出時刻を刻時し、上記識別子を特定するように上記センサ入力を処理し、上記識別子に関連付けられた上記資材ID及び上記資材種別を特定するように上記識別子を処理し、上記検出時刻における上記可動資材の位置を特定するように上記センサ入力を処理し、さらには上記資材ID、上記資材種別、上記検出時刻における上記可動資材の位置及び上記検出時刻を含む資材エントリを生成する少なくとも1つのアルゴリズムと、
を含み、
該システムは、
上記対象物トラッカーと通信する中央データブローカと、
上記データベースと通信するアナリストと、
をさらに備え、
上記対象物トラッカーはさらに、上記トラッカーコンピュータを使って上記資材エントリをデジタル化し、
ットワークを介して上記中央データブローカまで、上記デジタル化された資材エントリを送信するように構成されており、
上記中央データブローカはさらに、資材行動リストに上記資材エントリをマップし、
上記データベースに上記資材行動リストを保存するように構成されており、
上記資材エントリと上記資材行動リストの各々が、上記識別子に関連する上記資材ID及び上記資材種別に関連付けられており、
上記アナリストは、上記資材行動リストを分析するように構成されており、
上記資材行動リストを分析することは、
上記資材行動リストによって画定される行動イベントを決定し、
上記行動イベントの行動イベント持続時間を決定し、
上記行動イベント持続時間とベースライン持続時間とを比較することを含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材(モバイル・アセット)の行動(動きを含む)を追跡するシステム及び方法に関する。
【0002】
なお、本願は、2018年1月25日に出願された米国特許仮出願第62/621,623号明細書、及び2018年1月25日に出願された米国特許仮出願第62/621,709号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これらの全体が本願の参照となる。
【背景技術】
【0003】
施設内でプロセスを実行するのに要求される構成部品の材料フローは、製造環境におけるダウンタイム(休止時間)の最大原因の一つである。施設内での構成部品の動きに関する動的性質は、施設内で動かされ処理されるワークピースや原材料などの直接的な製造部品を追跡することを要求するだけでなく、ワークピースや原材料を運搬するのに用いられるキャリア(乗り物及び/又は作業員による構成部品の動きを含み得る)を追跡することも要求する、複雑で変動し易いものなので、構成部品の材料フローはまた、プロセスにおいて最もデジタル化の進んでいないものの1つである。多くの構成部品、キャリア及び人間の相互作用に関するそのようなオープンエンド(開放端)のプロセスをデジタル化することはとても複雑で、そもそも抽象的になり易いものであり、例えば、施設全体における構成部品の移動経路が変動すること、その部品を運ぶためのキャリアが様々であること、及び移動プロセス中の人間の相互作用が変動することなどに左右される。そのため、施設内で材料フローに関するデータを有意義なやり方で収集することは非常に困難なものとなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有意義なやり方でデータを収集することができない場合において、欠陥や遅れを生じさせている原因を特定するとともに施設内の部品の移動や活用を改善する時機を特定するために行なわれ得る定量分析は、相対的に最小限のものとなる。そして、施設における構成部品の移動の変化は概して、単純に許容され、つまり施設内で実行されるプロセスの計画済みの処理時間内へ追加的な及び/又は不要なリードタイムとして加えられることにより補填される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に説明するシステム及び方法は、施設内の可動資材の行動を監視し、検出し、さらにはデジタル化するために施設内にくまなく配置された複数の対象物トラッカー(対象物トレーサー)を利用して、施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材の行動(動きを含む)を追跡し且つ分析する手段を提示する。一実施例において、対象物トラッカーが可動資材を検出するやいなや資材の動きと位置をリアルタイムに追跡することができるように、該可動資材は、該可動資材に固有の識別子が対象物トラッカーの各々によって検出されることによって特定され得るが、この実施例に限定されない。各対象物トラッカーは、資材及び資材識別子を監視し検出する少なくとも1つのセンサを含み、そのセンサによって検知されるセンサ入力は、対象物トラッカー内のコンピュータまで送られ、このコンピュータは、検出時刻を刻時し且つ資材(その識別子に関連付けられた資材ID及び資材種別、検出時刻における施設内での該資材の位置、並びに検出時刻における該資材の相互作用を含む)を特定する1つ又は複数のアルゴリズムを使って、センサ入力を処理する。対象物トラッカーによって検出された情報(資材ID、資材種別、検出時刻、検出位置及び検出相互作用を含む)は、検出イベント(検出済みのイベント)についての行動エントリとしてデータブローカに送信され、検出された資材に関連する行動リストデータ構造内に保存され得るように、各対象物トラッカーは、施設ネットワークを介してデータブローカと通信する。なお、本明細書において、対象物トラッカー内のコンピュータのことをトラッカーコンピュータともいう。センサ入力は、例えば、行動エントリを生成するためにトラッカーコンピュータによって処理される検知画像、RFID信号、位置入力等を含み、図示した実施例において、行動エントリは、施設ネットワークを介してデータブローカまで送信するJSONストリングとして、JaVaScript Object Notation(JSON)内に発生する。トラッカーコンピュータを使って各検出イベントについてのセンサ入力をデジタル化することにより、施設ネットワーク全体に亘ってセンサ入力を送信する必要がなく、各検出イベントについて施設ネットワークを介してデータブローカまで送信されるデータ量を実質的に減らすことができるという利点がある。
【0006】
施設内で一連の行動を通して資材が動かされ及び/又は起動されると、対象物トラッカーは資材について検出し続けて、各検出イベント中に収集された情報をデータブローカに報告する。これにより、収集されたデータは、データアナライザ(本明細書において、アナリストともいう)によって分析され、施設内でのプロセス中の可動資材の各動き及び/又は行動の実際の持続時間が決定され、一連の動き及び/又は行動が特定され、検出時刻及び/又はこれを含む時間における資材の位置が施設マップ上の位置に示され、実際の持続時間とベースラインの持続時間とが比較され、且つ/或いは施設内での資材フローを改善する時機(例えばプロセスの時間を減らすことやプロセスの処理能力及び生産性を向上させること等を目的として各動き及び/又は行動の持続時間を減らす時機を含む)が特定される。本システム及び方法の利点としては、収集されたデータを使って可視化出力を生成することができ、この可視化出力としては例えば、全時刻に亘る資材の動きを追跡している施設の詳細なマップ、施設内での資材の連続的な動き及び行動の実際の持続時間及び/又はベースラインの持続時間を利用した資材の鼓動(ハートビート)がある。可視化出力は、例えば、アナリストと通信するユーザデバイスを介して表示され得る。
【0007】
各図を参照しつつ説明したシステム及び方法の一実施例において、追跡され且つ分析される可動資材は、部品キャリア及び構成部品が含まれるが、この例に限定されない。一実施例において、対象物トラッカーによって検出され且つ追跡される可動資材の行動は、動き(例えば、運搬、持ち上げ、及び可動資材の配置などの該可動資材の運動)を含むが、この例に限定されない。図示した実施例において、検出される行動は、部品キャリアから構成部品を積み降ろすこと及び/又は部品キャリアに構成部品を載せることを含み得る。なお、本明細書において使用される「構成部品」との語句は、施設内でプロセスを実行するために使用される構成要素のことである。図示した実施例において、構成部品(本明細書において、部品ともいう)は、1つ又は複数のワークピース、該ワークピースを含むアセンブリ、該ワークピースないしアセンブリを形成するのに使用される原材料、及び/又は施設内で実行されるプロセスに使用される工具、ゲージ、固定具、又は他の構成要素として構成され得るが、この例に限定されない。部品キャリアとは、施設内で構成部品を動かすために使用されるキャリアのことである。図示した実施例において、部品キャリア(本明細書において、単にキャリアともいう)は、構成部品の移動又は起動に使用される種々の資材を含み得るところ、資材としては例えば、施設内で構成部品を移動中若しくは起動中に構成部品を収容し又は支持するために使用されるコンテナ、ビン、パレット、トレイ等があり、さらに、コンテナ、ビン、パレット、トレイ等を運搬するのに使用される可動資材、並びに/或いは1つ又は複数の構成部品例えばリフト付きトラック、フォークリフト、パレット用ジャッキ、無人搬送車(AGV)、カート、及び機械操作員等の人々があり、さらに、構成部品を運搬するために構成部品やキャリアを動かし及び/又は作動させる材料ハンドリングの人員がある。
【0008】
一実施例において、センサ入力は、検出済みの資材の1つ又は複数の相互作用を決定するためにトラッカーコンピュータによって使用され得る。例えば、検出済みの資材が第2の部品キャリアによって運ばれている第1の部品キャリアであるところ、トラッカーコンピュータによって決定される相互作用は、第1の部品キャリアを運搬するために使用されている第2の部品キャリアの資材ID及び資材種別であり得る。例えば、第1の部品キャリアがAGVによって運搬されている部品トレイである場合に、検出される資材は部品トレイであり、相互作用はAGVの資材ID及び資材種別である。他の相互作用は、例えば、対象物トラッカーが受信する第1の部品キャリアの画像センサ入力を使って、部品トレイ上に運ばれている部品の数、種別、及び/又は状態が定量化されたものであり得る(部品の条件は、一実施例において、対象物トラッカーにより画像センサ入力から決定され得る寸法、特徴、又は他のパラメータなどの部品パラメータを含み得る)。利点として、資材の一連の行動の資材リストエントリ(全時刻に亘る位置及び相互作用データを含む)を使って、プロセスを通しての構成部品のブロックチェーン追跡可能性(トレーサビリティ)が、その資材の行動リストデータ構造から決定され得る。
【0009】
施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材の行動を追跡する方法を提示する。該方法は、施設内のトラッカー位置に対象物トラッカー(各対象物トラッカーはその対象物トラッカーに固有の識別子を含む)を位置決めし、該施設に複数の可動対象物を提供することを含む。可動対象物は、データベース内において、識別子、資材ID及び資材種別に関連付けられている。対象物トラッカーは、トラッカー位置に基づく検出ゾーンを画定する。対象物トラッカーは、検出ゾーン内でセンサ入力を収集するように構成されたセンサを含み、このセンサ入力を収集することは、検出ゾーン内に可動資材があるときに識別子を検出することを含む。対象物トラッカーは、センサと通信してセンサ入力を受信するトラッカーコンピュータをさらに含むとともに、少なくとも1つのアルゴリズムであって、センサ入力の検出時刻を刻時し、識別子を特定するようにセンサ入力を処理し、その識別子に関連付けられた資材ID及び資材種別を特定するように識別子を処理し、さらには、資材ID、資材種別及び検出時刻を含む資材エントリを生成する少なくとも1つのアルゴリズムをさらに含む。
【0010】
該方法は、センサを介してセンサ入力を収集すること、トラッカーコンピュータを介してセンサ入力を受信すること、トラッカーコンピュータを介してセンサ入力に検出時刻を刻時すること、識別子を特定するようにトラッカーコンピュータを介してセンサ入力を処理すること、その識別子に関連付けられた資材ID及び資材種別を特定するようにトラッカーコンピュータを介して識別子を処理すること、並びにトラッカーコンピュータを介して資材エントリを生成することをさらに含む。該方法は、対象物トラッカー、ネットワークを介して中央データブローカと通信している該対象物トラッカーのトラッカーコンピュータを使って資材エントリをデジタル化すること、ネットワークを介して中央データブローカまで資材エントリを送信すること、中央データブローカを使って資材行動リストに資材エントリをマップすること、並びに該資材行動リストをデータベースに保存すること、をさらに含む(資材エントリ及び資材行動リストの各々は、識別子に関連する資材ID及び資材種別に関連付けられている)。該方法は、データベースと通信するアナリストを介して、資材行動リストを分析することを含み得るところ、この資材行動リストを分析することは、資材行動リストによって画定される行動イベントを決定すること、及び行動イベントの行動イベント持続時間を決定すること含む。該方法は、アナリストを介して、1つ又は複数の可視化出力を生成することをさらに含み得る。例えば、該方法は、アナリストを介して、資材行動リストを使って画定される追跡マップを生成することを含み得るところ、この追跡マップは、資材ID及び資材種別を介して資材行動リストに関連付けられた可動資材によって実行される少なくとも1つの行動を視覚的に表示するものである。該方法は、アナリストを介して、資材行動リストを使って画定される鼓動を生成することをさらに含み、この鼓動は、行動イベント持続時間及び行動イベントを視覚的に表示するものである。一実施例において、資材行動リストを分析することは、該資材行動リストによって画定される複数の行動イベントを決定すること、複数の行動イベントの各イベントについてそれぞれの行動イベント持続時間を決定すること、複数の行動イベントを発生時刻に従って順序でシークエンス内に並べること、さらにはアナリストを介して鼓動を生成すること、を含み、この鼓動は、複数の行動イベントの各行動イベントのそれぞれの行動イベント持続時間及び行動イベントをシークエンス内に視覚的に表示するものである。
【0011】
本発明の上記の特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲に画定される本発明を実施するためのいくつかの最良の形態及び他の形態についての以下の詳細な説明と添付の図面を参照することにより容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】施設内でプロセスを実行するために使用される可動資材の行動を追跡し且つ分析する複数の対象物トラッカーを含むシステムを含む施設を概略的に示す斜視図。
図2図1に示した施設とシステムの一部を概略的に示す平面図。
図3図1に示したシステムの一部を概略的に示す図であって、複数の対象物トラッカー(対象物トレーサー)によって画定された検出ゾーンを示している。
図4図1に示したシステムの一部を概略的に示す図であって、対象物トラッカーを概略的に示している。
図5】部品キャリアとして構成され且つ少なくとも1つの資材識別子を含む可動資材の一例を概略的に示す斜視図。
図6】構成部品として構成され且つ少なくとも1つの資材識別子を含む可動資材の一例を概略的に示す斜視図。
図7図1に示したシステムのデータフローの一例とデータ構造の一例を概略的に示す図。
図8図7に示したデータ構造に含まれる資材行動リストの一例を概略的に示す図。
図9図1に示したシステムを使って可動資材の行動を追跡し且つ分析する方法を示す図。
図10】可動資材が行った一連の行動について、図1に示したシステムによって生成された鼓動の可視化出力の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において図を参照しつつ説明する開示の実施形態における要素は、様々な構成においてアレンジされ、設計変更され得る。従って、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲を開示範囲に限定することを意図するものではなく、単に実施可能な代表的実施例を示すものである。加えて、本明細書中に開示される実施形態のすべてを理解してもらうために、以下の説明において特定の数値的条件が述べられているが、いくつかの実施形態は、そのような条件のうちのいくつかがなくとも実施され得る。さらには、簡潔に説明する目的で、開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、関連技術分野において一般に理解されている一定の技術的な材料については詳細に説明していないことがある。さらには、本明細書中で図示され且つ説明されている開示は、本明細書中に詳しく開示されていない要素がない場合にも実施され得る。各図において、同様の参照符号は同様の構成要素を示しており、図1図10に示される要素の規模や比率は、正確に示されているとは限らない。従って、図示した特定の寸法や適用については、本明細書において限定的に解釈されるべきものではない。
【0014】
図1図10を参照すると、以下に詳述するシステム100及び方法200は、施設10内での可動資材24の行動(施設10内での可動資材24の動きを含む)を監視し、検知し、さらにはデジタル化するために、施設10全体にくまなく配置された複数の対象物トラッカー(対象物トレーサー)12を利用して、施設10内でプロセスを実行するために使用される可動資材24の行動を追跡し且つ分析するものである。なお、本明細書において、可動資材24のことを資材24ともいう。各可動資材24は、識別子30を含むとともに、資材特定因子(資材ID)86と資材種別88を割り当てられている。可動資材24についての資材ID86と資材種別88は、可動資材24の資材説明84に関連する資材事実104としてデータベース122内に保存されている。非限定的な一実施例において、各可動資材24は、対象物トラッカー12によって画定される検出ゾーン42内に該可動資材24が位置したときに(図2を参照)該対象物トラッカー12によって検出され得る識別子30を含み且つこれにより特定され得るものであり、これにより、対象物トラッカー12は、該対象物トラッカー12の検出ゾーン42内に可動資材24を検出すると直ぐに、その対象物トラッカー12の検出ゾーン42内に検出された可動資材24の動きと位置をリアルタイムに追跡することができる。データベース122内において、可動資材24の識別子30が資材事実104例えば資材ID86と資材種別88に関連付けられていることにより、対象物トラッカー12は、検出済みの可動資材24の識別子30を特定することで、検出済みの可動資材24の資材ID86と資材種別88を特定することができる。各対象物トラッカーは、検出ゾーン42を監視して該検出ゾーン42内に可動資材24及び/又は資材識別子30が存在するときに検出する少なくとも1つのセンサ64を含み、そのセンサ64によって検知されるセンサ入力は、対象物トラッカー12内のコンピュータ60へ送信されて、検出時刻92を刻時するとともに、1つ又は複数のアルゴリズム70を使って該センサ入力を処理するが、そのアルゴリズム70は、検出済みの識別子30を特定し、識別子30に関連付けられた資材ID86と資材種別88を含む検出済みの可動資材24を特定し、検出時刻92における施設10内での資材24の位置96を決定し、さらには検出時刻92における資材24の1つ又は複数の相互作用98を決定するものである。各対象物トラッカー12は、施設ネットワーク20を介して中央データブローカ28と通信しており、これにより、対象物トラッカー12によって検出された資材情報(資材ID86、資材種別88、検出時刻92、検出済みの行動タイプ94.検出位置96及び検出済みの1つ又は複数の相互作用98を含む)は、その検出イベントについての行動エントリ90として中央データブローカ28へ送信され、その検出済みの資材24に関連する行動リストデータ構造102に保存される。なお、本明細書中において、対象物トラッカー12内のコンピュータ60のことをトラッカーコンピュータ60ともいう。対象物トラッカー12内に含まれる1つ又は複数のセンサ64から受信するセンサ入力としては、例えば、検知された画像、RFID信号、位置入力などがあるが、このセンサ入力は、トラッカーコンピュータ60によって各検出イベントについての行動エントリ90を生成するように処理される。図示した実施例において、行動エントリ90は、JavaScript Object Notation(JSON)内で生じるが、これは例えば、施設ネットワーク20を介してデータブローカ28まで行動エントリ90として送信をするJSONストリング内へ行動エントリデータをシリアライズすることによる。トラッカーコンピュータ60を使って、各検出イベントについて処理されたセンサ入力を行動エントリ90内へデジタル化することにより、施設ネットワーク20全体に未処理のセンサ入力を送る必要がなくなり、各検出イベントについて施設ネットワーク20を介してデータブローカ28まで送信されるべきデータの量が実質的に低減されるとともに、構造が簡素化されるという利点がある。
【0015】
可動資材24が施設10内で一連の行動114に亘って動かされると、施設10内に配置された様々な対象物トラッカー12が可動資材24を検出し続け、各追加検出イベント中にセンサ入力を収集し、その検出イベントについての追加の行動エントリ90を生成するようにセンサ入力を処理し、中央データブローカ28へ追加の行動エントリ90を送信する。中央データブローカ28は、追加の行動エントリ90を受けると、可動資材24を特定している資材ID86を含む行動エントリデータをデシリアライズし、追加の行動エントリ90から呼び出されるデータを、該行動エントリ90内において特定済みの該可動資材24に関連する資材行動リスト102として構成されたデータ構造にマップする(図7を参照)。追加の行動エントリ90からのデータを含むように更新された資材行動リスト102は、図3図4及び図7に示されるように中央データブローカ28と通信するデータベース122に保存される。一実施例において、データベース122は、中央データブローカ28、ローカルサーバ56ないし遠隔サーバ46のうちの1つに保存され得るが、この例に限定されない。
【0016】
一実施例において、遠隔サーバ46は、該遠隔サーバ46及び中央データブローカ28と通信するネットワーク48を介してアクセス可能なクラウドサーバとして構成されている。一実施例において、ネットワーク48はインターネットである。サーバ46、56は、資材データと行動データを受信し、データベース122(例えば各可動資材24についての識別子30データ、資材事実104データ、資材エントリ90データ及び資材行動リスト102を含む)の(本明細書で説明した)データ構造内に保存するように構成され得る。サーバ46は、サーバ46,56と通信するアナリスト54が行動データを使って生成する可視化出力、例えば追跡マップ116や可動資材の鼓動110を受けて保存するように構成され得る。
【0017】
アナリスト54は、データベース122に保存されたデータを分析する1つ又は複数のアルゴリズムを実行する中央演算処理装置(CPU)66と、メモリを含む。アナリスト54は例えば、資材行動リスト102を分析するため、資材イベント期間108を決定するため、並びに、資材イベントの鼓動110及び追跡マップ116等を含む可視化出力を生成し分析するアルゴリズムを含み得る。メモリ(少なくともその一部が有形であり且つ不揮発性である)としては、例えば、アルゴリズムを実行し、データベースを保存し、並びに/或いは中央データブローカ28、サーバ46,56、ネットワーク48、1つ若しくは複数のユーザデバイス50、及び/又は1つ若しくは複数の出力ディスプレイ52と通信するために充分なサイズと速度を有するROM、RAM、EEPROMなどがある。
【0018】
サーバ46,56は、システム100内の資材データ、行動データ及びこれらに由来するデータ(可視化データ、鼓動データ、マップデータなどを含む)を受信し、保存し、且つ/或いは提供する1つ又は複数のアプリケーション及びメモリと、それらのアプリケーションを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含む。メモリ(少なくともその一部が有形であり且つ不揮発性である)としては、例えばアプリケーションを実行し、データベース(データベース122であり得る)を保存し、並びに/或いは中央データブローカ28、アナリスト54、ネットワーク48、1つ若しくは複数のユーザデバイス50、及び/又は1つ若しくは複数の出力ディスプレイ52と通信するのに充分なサイズと速度を有するROM、RAM、及びEEPROMなどがある。
【0019】
アナリスト54(本明細書において、データアナライザともいう)は、サーバ46,56と通信し、資材行動リスト102に保存されたデータを分析するが、これがなされるのは例えば、施設10内でプロセス中に可動資材24の各行動及び/又は動きの実際の持続時間108を決定し、その行動及び/又は動きが確定する一連の行動イベント114を特定し、施設マップ116上に、検出時刻92及び/又はこれを含む時間における可動資材24の位置をマップし、実際の行動イベント持続時間108とベースラインの行動イベント持続時間とを比較し、さらには/或いは、施設10内での資材の動きの効率性と流れ(フロー)を改善する時機(プロセス時間を減らし及び/又はプロセスの処理能力と生産性を増大させてプロセスの効果を高めるように、各動き及び/又は行動の行動持続時間108を減らす時機を含む)を特定するためである。このシステム100及び方法200は、データベース122内に保存されたデータを使って可視化出力(例えば、施設10の詳細なマップ116であって、施設10内の資材24の一連の動きや行動の行動持続時間108を使って一定の時間に亘る可動資材24の追跡済みの動き、及び資材24の行動イベント40についての鼓動110を紹介するもの)を生成することができるという利点を有する。その可視化出力は、例えば、アナリスト54と通信するユーザデバイス50及び/又は出力ディスプレイ52を介して、表示され得る。
【0020】
図1図8に示される実施例におけるシステム100は、施設10内でプロセスを実行するのに使用される可動資材24の行動を追跡し且つ分析する。施設10は、1つ若しくは複数の構造上エンクロージャ14及び/又は1つ若しくは複数の外側構造16を含み得る。一実施例において、施設10内でプロセスを実行するには、外側構造16における及び/又は構造上エンクロージャ14と外側構造16との間における、構造上エンクロージャ14内で1つ又は複数の可動資材24が動くことが要求され得る。図1に示した実施例において、施設10は、少なくとも1つのプロセス・ライン18を含む生産建屋として構成された少なくとも1つの構造上エンクロージャ14と、フェンス120を含む格納庫として構成された少なくとも1つの外側構造16と、を含む生産施設として構成されている。この例において、構造上エンクロージャ14と外側構造16との間で可動資材24を動かすためのアクセスは、ドア118を介してもたらされる。この例に限定されず、施設10は、追加の生産建屋及び倉庫、並びに追加の外側構造体16のような追加の構造上エンクロージャ14を含み得る。
【0021】
システム100は、施設10内で少なくとも1つのプロセスを実行するのに使用される1つ又は複数の可動資材24の行動を監視し、検出し、さらにはデジタル化するために、施設10にくまなく配置された複数の対象物トラッカー12を含む。各対象物トラッカー12は、検出ゾーン42(図2を参照)によって特徴付けられており、可動資材24が対象物トラッカー12の検出ゾーン42内に存在するときに、その対象物トラッカー12が可動資材24を検知し及び/又は検出することができるように、対象物トラッカー12は、該対象物トラッカー12に設けられた1つ又は複数のセンサ64を使って検出ゾーン42を監視するように構成されている。図2に示されるように、対象物トラッカー12の検出ゾーン42が少なくとも1つの他の対象物トラッカー12の検出ゾーン42とオーバラップするように、複数の対象物トラッカー12が施設10内に配置され得る。対象物トラッカー12の各々が、施設ネットワーク20例えばローカルエリアネットワーク(LAN)と通信する。対象物トラッカー12は、施設ネットワーク20と通信するために、有線例えばイーサネット・ケーブル62を介して、施設ネットワーク20と接続され得る。図示した実施例において、イーサネット・ケーブル62は、パワー・オーバー・イーサネット(PoE)ケーブルであり、対象物トラッカー12は、PoEケーブル62を介して送られる電気によって供電される。対象物トラッカー12は、例えばWiFi又はBluetooth(登録商標)を介して、施設ネットワーク20とワイヤレス通信し得る。
【0022】
図1を参照すると、複数の対象物トラッカー12は、構造上対象物トラッカーS...S、ライン対象物トラッカーL...L、及び可動対象物トラッカーM...Mの組合せを含んでおり、これらの各々は、実質的に図4に示されるように構成され得るが、対象物トラッカー12の型式(S,L,M)に従って異なる機能がある。一実施例においては、対象物トラッカー12の各々が、その対象物トラッカー12のIPアドレスであるトラッカーIDによって特定され得るが、この例に限定されない。対象物トラッカー12のIPアドレスは、データベース122内に保存され、対象物トラッカー12の型式(S,M,L)、及び施設10内における対象物トラッカー12の位置のうちの1つ又は複数と関連付けられ得る。一実施例においては、対象物トラッカー12の送信したデータと一緒にトラッカーIDが中央データブローカ28へ送信されることで、中央データブローカは、そのデータを送信している対象物トラッカー12を特定することがで、さらには/或いは送信されたデータをデータベース122内においてその対象物トラッカー12及び/又はトラッカーIDに関連付けることができる。対象物トラッカー12の構造上(S)、ライン(L)及び可動(M)の型式は、施設10内の対象物トラッカー12の位置によって異なり(固定されているか否か又は可動式であるか否かに応じて)、対象物トラッカー位置が決められる方法によって異なり、さらには/或いは、対象物トラッカー12が施設ネットワーク20へデータを送信する方法(本明細書中で後述する)によって異なり得る。なお、本明細書において、構造上対象物トラッカーSは概して、構造上対象物トラッカーS...Sのうちの1つであり、ライン対象物トラッカーLは概して、対象物トラッカーL...Lのうちの1つであり、可動対象物トラッカーMは概して、可動対象物トラッカーM...Mのうちの1つである。
【0023】
各構造上対象物トラッカーS、各ライン対象物トラッカーL、及び各可動対象物トラッカーMが他の対象物トラッカー12の各々とワイヤレスで例えばWiFi及び/又はBluetooth(登録商標)を使って通信することができるように、対象物トラッカー12の各々は通信モジュール80を含む。各構造上対象物トラッカーS、各ライン対象物トラッカーL及び各可動対象物トラッカーMが施設ネットワーク20に接続されたときに該施設ネットワーク20に接続された他の対象物トラッカー12の各々と該施設ネットワーク20を介して通信できるように、対象物トラッカー12の各々は、PoEケーブル62を介して接続するためのコネクタを含む。図1に示されている実施例における複数の対象物トラッカー12は、構造上対象物トラッカーS...S、ライン対象物トラッカーL...L、及び可動対象物トラッカーM...Mの組合せを含む。
【0024】
各構造上対象物トラッカーSは、構造上エンクロージャ14及び外側構造16のうちの一方に接続されており、作動時においても施設10に対して所定の位置に固定されている。図1に示される一実施例において、施設10内に位置決めされた構造上対象物トラッカーS...Sの各々の位置は、施設10について画定された一式のX-Y-Z基準軸と参照点26によるXYZ直交座標で表示されるが、この例に限定されない。この例に限定されず、施設10内に位置決めされた構造上対象物トラッカーS...Sの各々の位置を示すためにGPS座標などの他の座標系が採用されることもある。構造上対象物トラッカーS...Sの各々の位置は、対象物トラッカー12の追跡済みIDに関連付けられて、データベース122内に保存され得る。図示した実施例において、複数の構造上対象物トラッカーSは、該構造上エンクロージャ14の天井に分散して取り付けられるように、該構造上エンクロージャ14内に位置決めされている。複数の構造上対象物トラッカーSは、その構造上対象物トラッカーSに関連する所定の位置に構造上対象物トラッカーSの各々を保持するのに適切な手段を使って接続され得る。例えば、構造上対象物トラッカーSは、天井、屋根の結合部などに直接接続される場合もあれば、ケーブルないしブラケットのような取付け部材からのサスペンション(緩衝装置)を介して取り付けられる場合もある。図2に示されるように、構造上対象物トラッカーS...Sの各々の検出ゾーン42(図2を参照)が、少なくとも1つの他の構造上対象物トラッカーS...Sの検出ゾーン42にオーバラップするように、図1及び図2に示される実施例において、構造上対象物トラッカーSは、構造上エンクロージャ14の天井に亘るX-Y平面状に分配されている。可動資材24が存在し得ると予想される各領域が少なくとも1つの構造上対象物トラッカーSの検出ゾーン42によってカバーされるように、構造上対象物トラッカーSが施設10内に分散して配置されることが好ましい。例えば、図1において、構造上対象物トラッカーSは、構造上エンクロージャ14内へ進入し或いは構造上エンクロージャ14内から進出する可動資材24の動きを監視するために、構造上エンクロージャ14のドア118の位置に配置され得る。外側構造16内の可動資材の動きを監視するために、1つ又は複数の構造上対象物トラッカーSが外側構造16内に配置され得るところ、これは例えば、図1に示されるように、例えば、フェンス122、ゲート(門)、据え付けポール、及び照明用支柱などに取り付けられている。
【0025】
図2に示されるように、施設10は、可動資材24が存在し得るとは予想されない1つ又は複数の第2の領域44(例えば、オフィスの領域、及び/又は、実際に構造上対象物トラッカーSが備え付けられそうもない場所)を含み得る。これらの第2の領域44は、例えば、必要に応じて、1つ又は複数の可動対象物トラッカーMを使って監視される。図示した例において、各構造上対象物トラッカーSは、PoEケーブル62を介して給電されPoEケーブル62を介して施設ネットワーク20と通信することができるように、PoEケーブル62を介して施設ネットワーク20に接続されている。図1及び図2に示されるように、施設ネットワーク20は、該施設ネットワーク20に2つ以上の対象物トラッカー12を接続する1つ又は複数のPoEスイッチ22を含み得る。
【0026】
各ライン対象物トラッカーLはプロセス・ライン18のうちの1つに接続されていることで、作動時においてもプロセス・ライン18に対して所定の位置に固定されている。図1に示される実施例において、施設10内に位置決めされた各ライン対象物トラッカーLの位置は、施設10について画定された一式のX-Y-Z基準軸と参照点26によるXYZ直交座標で表示され得るが、この例に限定されない。この例に限定されず、施設10内に配置された各ライン対象物トラッカーLの位置を示すためにGPS座標などの他の座標系が採用されることもある。ライン対象物トラッカーLの各々の位置は、対象物トラッカー12の追跡済みIDに関連付けられ、データベース122内に保存され得る。図示した実施例において、1つ又は複数のライン対象物トラッカーLが各プロセス・ライン18上に配置されていることにより、1つ又は複数のライン対象物トラッカーLの1つ又は複数の検出領域がプロセス・ライン18を概ね覆うように延在し、プロセス・ライン18によって実行されるべきプロセスの実行中に使用される可動資材24を監視し追跡する。各ライン対象物トラッカーLは、プロセス(ライニング)ライン18に対して所定の位置に該ライン対象物トラッカーLを保持するための適切な手段によって接続され、データベース122内においてそのライン対象物トラッカーLに関連付けられた所定の位置に配置され得る。例えば、ライン対象物トラッカーLは、プロセス・ライン18に直接取り付けられる場合もあれば、ブラケット等の取付け手段を使ってプロセス・ライン18に取り付けられる場合もある。図示した例において、各ライン対象物トラッカーLは、PoEケーブル62を介して給電されPoEケーブル62を介して施設ネットワーク20と通信することができるように、PoEケーブル62を介して施設ネットワーク20に接続されている(プロセス・ライン18の構成に基づいて実現可能である場合)。PoEケーブル62を介してライン対象物トラッカーLを接続することが実現可能でない場合、ライン対象物トラッカーLは、構造上対象物トラッカーSの1つを介して施設ネットワーク20と通信することができるが、これは例えば、データを送るそれぞれのライン対象物トラッカーLとこれに応じてデータを受ける構造上対象物トラッカーSからなる通信モジュール80を介して、信号及び/又はデータ(デジタル化された行動エントリ90データを含む)を構造上対象物トラッカーSへ送信することによる。一実施例において、構造上対象物トラッカーSによって受信されるライン対象物トラッカーLからのデータが、受信側の構造上対象物トラッカーSへデータを送信しているライン対象物トラッカーLのトラッカーIDを含んでいることにより、構造上対象物トラッカーSは、ライン対象物トラッカーLから受信したデータと一緒にそのトラッカーIDを中央データブローカ28へ送信することができる。
【0027】
各可動対象物トラッカーMは、可動式となるように、可動資材24のうちの1つに接続されており、該可動対象物トラッカーMが接続されている可動資材24によって施設10内のあちらこちらに動かされる。各可動対象物トラッカーMは、施設10内での該可動対象物トラッカーMの動きに伴って動く検出ゾーン42を確定する。一実施例において、施設10における各可動対象物トラッカーMの位置は、例えばそれの位置モジュール82とSLAMアルゴリズム70を該可動対象物トラッカーMが任意の時刻に使うことにより決定されるが(可動対象物トラッカーMは、それ自体の位置を決定するための入力を提供するために、固定位置を有する他の対象物トラッカー24と通信する)、この例に限定されない。この例に限定されず、他の方法も採用され得る。例えば、位置モジュール82は、位置を決定するために、可動対象物トラッカーMのGPS座標を決定するように構成され得る。図示した例において、各可動対象物トラッカーMは、例えば、構造上対象物トラッカーSのうちの1つを介して施設ネットワーク20と通信するが、この通信は、データを送信する各可動対象物トラッカーMと、そのデータを受信する構造上対象物トラッカーSとの通信モジュール80を介して、信号及び/又はデータ(デジタル化済みの行動エントリ90を含む)をその構造上対象物トラッカーSまで送ることによる。一実施例において、構造上対象物トラッカーSによって可動対象物トラッカーMから受信されるデータが、受信側の構造上対象物トラッカーSへデータを送信している可動対象物トラッカーMのトラッカーIDを含んでいることにより、構造上対象物トラッカーSは、可動対象物トラッカーMから受信したデータと一緒にそのトラッカーIDを中央データブローカ28へ送信することができる。可動対象物トラッカーMが、該可動対象物トラッカーMの検出ゾーン42において検出された可動資材24を特定して検出された各可動資材24についての資材エントリ90を生成すると、該可動対象物トラッカーMはその生成済みの資材エントリ90を該可動対象物トラッカーMから中央データブローカ28へ送信するのに待ち時間や遅延が生じないように施設ネットワーク20を介して中央データブローカ28へ再送信するために、その生成済みの資材エントリ90をリアルタイムに構造上対象物トラッカーSへ送る。可動対象物トラッカーMを含むすべての対象物トラッカー12によって生成されるすべてのデータを単一のアウトレット(出口)を通して送信することにより、施設ネットワーク20、データの機密保護が制御される。各可動対象物トラッカーMは、例えば、該可動対象物トラッカーMに接続されている可動資材が提供する電源、並びに/又は電池などの携帯可能及び/若しくは充電可能な電源から給電され得る。
【0028】
一実施例において、追跡され且つ分析されている可動資材24は、図1に示されているように、部品キャリアC...C及び構成部品P...Pを含むが、この例に限定されない。一実施例において、対象物トラッカー12によって検出され且つ追跡される可動資材24の行動は、動き例えば、可動資材24を運ぶこと、持ち上げること、及び配置することなどの可動資材の運動を含み得るが、この例に限定されない。図示した実施例において、検出されるべき行動は、部品キャリアCから構成部品Pを降ろすこと、及び/又は部品キャリアCまで構成部品Pを動かすことを含み得る。本明細書中において、構成部品Pは概して、構成部品P...Pのうちの1つのことである。本明細書中で使用される「構成部品」との語句は、施設10内でプロセスを実行するために使用される構成要素のことである。図示した実施例において、構成部品Pは、ワークピース、該ワークピースを含むアセンブリ、該ワークピースないしアセンブリを形成する際に使用される原材料、ツール、ゲージ、作り付けの備品、及び/又は施設10内で実行されるプロセスで使用される他の構成要素のうちの1つとして構成され得るが、この例に限定されない。なお、本明細書中において、構成部品のことを単に部品ともいう。
【0029】
本明細書中において、部品キャリアCとは概して、部品キャリアC...Cのうちの1つのことである。本明細書中において用いられる「部品キャリア」との語句は、施設10内で構成部品Pを動かすために使用されるキャリアCのことである。図示した例において、部品キャリアCは、構成部品Pを動かし或いは行動させるために使用される種々の可動資材24を含み、この可動資材24としては例えば、施設10内で構成部部品Pを動かすか或いは作動させる際に構成部品Pを収容し或いは支持するように構成されたコンテナ、ビン、パレット及びトレイなどがあるが、この例に限定されない(図1において部品Pを収容しているキャリアCの例を参照されたい)。部品キャリアCは、機械オペレータや材料取扱者などの人間であり得る(図1において部品Pを運搬しているキャリアCの例を参照されたい)。部品キャリアCは、検出イベント時に何も収容していない場合もあれば、少なくとも1つの構成部品Pを収容している場合もある。図1を参照すると、部品キャリアCは、他の部品キャリアを運搬するのに使用される可動資材24例えばリフト付きトラック(例えば、図1におけるC,Cを参照されたい)、フォークリフト、パレットジャッキ、無人搬送車(AGVs)、カート、及び人々等として構成される場合もある。その運搬される部品キャリアは、何も収容していない場合もあれば、少なくとも1つの部品Pを収容している場合もある(例えば、図1において部品Pを収容しているキャリアCを運搬しているキャリアCの例を参照されたい)。なお、本明細書中において、部品キャリアのことを単にキャリアともいう。
【0030】
図4に示される実施例においては、対象物トラッカー12がコンピュータ60及び少なくとも1つのセンサ64を含んでいるが、この例に限定されない。一実施例において、対象物トラッカー12は、IP67の国際的保護(IP)等級を有するトラッカーエンクロージャ58によって取り囲まれており、該トラッカーエンクロージャ58が固体粒子及び塵埃の侵入を防ぐとともに液体の浸入(浸透を含む)を防ぎ、ひいては該トラッカーエンクロージャ58に取り囲まれたコンピュータ60及びセンサ64を過酷な環境条件や、汚染から保護するが、この例に限定されない。トラッカーエンクロージャ58は、該トラッカーエンクロージャ58内まで引き込むようにイーサネット・ケーブル62を受けているIP67のケーブルグランドを含み得る。なお、本明細書中において、コンピュータ60のことをトラッカーコンピュータともいう。少なくとも1つのセンサ64がカメラ76を含み、このカメラ76は、対象物トラッカー12の検出ゾーン42を監視し、該カメラ76が検出する画像(該カメラ76が検出する資材識別子30の画像を含む)についての画像データを生成する。対象物トラッカー12内のセンサ64は、検出ゾーン42内で検出された資材識別子30(RFIDタグ38を含む)からRFID信号を受信するRFID読取り装置78を含み得る。一実施例において、RFIDタグ38は受動的なRFIDタグである。RFID読取り装置78がRFIDタグ38から受信するタグデータは、トラッカーコンピュータに入力され、このトラッカーコンピュータは、識別子30(RFIDタグ38を含む)の特定と、識別子30に関連付けられた可動資材24の特定とを含む処理を行う。対象物トラッカー12内のセンサ64が含み得る位置モジュール82と通信モジュール80は、別の対象物トラッカー12からその対象物トラッカー12までワイヤレス送信される信号及び/又はデータなどのWiFi信号やBluetooth(登録商標)信号を含むワイヤレス通信を受ける。一実施例において、位置モジュール82は、センサ入力を使って、対象物トラッカー12の検出ゾーン42内で検出された可動資材24の位置を決定するように構成され得る。例えば対象物トラッカー12が可動対象物トラッカーMとして構成されている場合に、位置モジュール82は、複数のアルゴリズム70のうちの1つを使って、その対象物トラッカー12の位置を決定するように構成されている。一実施例において、位置モジュール82によって使用されるアルゴリズム70は、位置の特定とマッピングを同時に行う(SLAM)アルゴリズムであり、所定の時刻にある地点に存在する可動対象物トラッカーMの位置を決定するために、所定の固定位置を有する構造上対象物トラッカーS...Sを含む他の対象物トラッカー12から検知された信号を利用することができる。
【0031】
図1図5及び図6に示される実施例において、識別子30の様々な種別や構成が、可動資材24に関連付けられていて、対象物トラッカー12が受けたセンサ入力を該対象物トラッカー12が使うことにより特定され得るが、この例に限定されない。各可動資材24は、少なくとも1つの資材識別子30を含み、これによって特定され得る。可動資材24は、対象物トラッカー12によって検出されるべき複数の資材識別子30を含む必要がない場合においても、該可動資材24が複数の識別子30を含んでいれば、可動資材24内の1つの識別子30に損失や破損が生じたときに該可動資材24内の他の識別子30を使って該可動資材24が検出され且つ追跡され得るので、有利となり得る。
【0032】
本実施例における可動資材24は、1つ又は複数の部品Pを運ぶためのキャリアCとして構成されており(図5を参照)、上述した目的を達するために、複数の資材識別子30を含み、資材識別子30としては、QRコード(登録商標)32、複数のラベル34、キャリアCに付されたラベル34の配置により形成される1つのパターン(多角形abcd)によって画定される基準特徴部36、1つ又は複数の次元(寸法)l,h,wによって画定される基準特徴部、並びにRFIDタグ38がある。識別子30の各種別32,34,36,38は、対象物トラッカー30の少なくとも1つのセンサ64を介して受信したセンサ入力を該対象物トラッカー30が使うことにより検出され且つ特定され得るものであるとともに、トラッカーコンピュータ60が1つ又は複数のアルゴリズム70を使うことにより処理され得るものである。可動資材24に含まれている各識別子30は、これが含まれている可動資材24に固有のセンサ入力及び/又は識別子データを提供するように構成されている。固有の識別子30がデータベース122内において、その固有の識別子30を含む可動資材24に関連付けられるのは、例えば、その固有の識別子30を含む可動資材24の資材事実104にその固有の識別子30の識別データをマップすることによる。例えば、キャリアCが対象物トラッカー12の検出ゾーン42にあるときに、キャリアCに付されたRFIDタグ38(非限定的な一実施例において、受動的なRFIDタグである)が、対象物トラッカー12のRFID読取り装置78によって起動され得るとともに、該RFID読取り装置78によってRFIDタグ38から固有のRFIDデータが読み取られ得る。そして、キャリアCは、RFIDタグ38から送信され且つRFID読取り装置78によって読み取られたRFIDデータをトラッカーコンピュータ60が使うことにより特定され、これはセンサ入力としてRFID読取り装置78によってトラッカーコンピュータ60に入力され、該トラッカーコンピュータ60が、可動資材24を特定するためにデータベース122内に保存されているデータ(例えば、RFIDデータにマップされているキャリアC)を使うことにより処理され得る。
【0033】
他の実施例においては、キャリアCに付されたQRコード(登録商標)32が、対象物読取り装置12のカメラ76を使って検知されるキャリアCの画像を使って検出され、センサ入力としてトラッカーコンピュータ60に入力されることで、該トラッカーコンピュータ60は、その画像センサ入力を処理することによって、データベース122内においてキャリアCの資材事実104にマップされているQRコード(登録商標)データを検出することができ、そのQRコード(登録商標)データを使ってキャリアCを特定することができる。他の実施例においては、ラベル34が、対象物読取り装置12のカメラ76によって検知されるキャリアCの画像を使って検出され、センサ入力としてトラッカーコンピュータ60に入力されることで、該トラッカーコンピュータ60は、画像センサ入力を処理することにより各ラベルを検出することができる。一実施例において、複数のラベル34のうちの少なくとも1つが、キャリアCを一義的に特定しているシリアルナンバーやバーコードのようなマークを含み、これが、データベース122内においてキャリアCの資材事実104にマップされていることにより、トラッカーコンピュータ60は、その画像センサ入力を処理する際にそのマークを特定し、そのマークを使ってキャリアCを特定することができる。他の実施例においては、ラベル34の組合せが、キャリアに付されたラベル34の配置により形成される1つのパターンとしての基準特徴部36(図5を参照)を画定し得るところ、このパターンは、図5に示した実施例において、キャリアCに固有の多角形abcdを画定しており、画像センサ入力の処理中にトラッカーコンピュータ60によって検出され得る。基準特徴部36(例えば、固有の多角形abcd)によって画定された識別子30がデータベース122内においてキャリアCの資材事実にマップされていることにより、トラッカーコンピュータ60は、画像センサ入力を処理する際に多角形abcdを特定し、これを使ってキャリアCを特定することができる。一実施例において、カメラ76によって捕捉される画像内で識別子30を視認し及び/又は検出することが容易となるように、識別子30は、例えば、反射性材料から形成されているか或いは反射性材料を含んでいる。
【0034】
図5に示した実施例において、部品Pとして構成されている可動資材24は、説明する目的で複数の資材識別子30を含んでおり、資材識別子30としては、部品特徴部e,f,gのうちの少なくとも1つ又は組合せや、ラベル34によって画定される少なくとも1つの基準特徴部36がある。図5に即して説明したように、ラベル34は、部品Pを一義的に特定しているシリアルナンバーやバーコードのようなマークであって、トラッカーコンピュータ60が画像センサ入力を処理する際にそのマークを特定しこれを使って部品Pを特定することができるように、データベース122内において部品Pの資材事実104にマップされている。部品特徴部e,f,gのうちの少なくとも1つ又は組合せによって画定される基準特徴部36が、寸法fと、孔パターンe及びポート孔間隔gのうちの少なくとも一方と、の組合せ(これらの組合せは部品Pに固有のものである)によって形成されている場合、トラッカーコンピュータ60は、その画像センサ入力を処理する際にそのマークを特定し、そのマークを使って部品Pを特定することができる。
【0035】
図1に示した実施例において、キャリアCとして構成された可動資材24が、可動対象物トラッカーM(図示した実施例において、可動対象物トラッカーMは、キャリアCについての識別子30である)と、該可動対象物トラッカーMのトラッカーIDとを含み、このトラッカーIDは、これが付されているキャリアCの資材事実104とデータベース122内において関連付けられている。可動対象物トラッカーMを含むキャリアCが、構造上対象物トラッカーS図1及び図2を参照)などの他の対象物トラッカー12の検出ゾーン42内へ進入すると、構造上対象物トラッカーSは、これの通信モジュール80を介して、可動対象物トラッカーMから通信モジュール80を介して無線信号を受信し、この無線信号は、センサ入力として、構造上対象物トラッカーSの通信モジュール80から構造上対象物トラッカーSのトラッカーコンピュータ60に入力されることで、該トラッカーコンピュータ60は、そのセンサ入力を処理する際に、可動対象物トラッカーMのトラッカーIDを特定することができ、ひいては可動対象物トラッカーMと、該可動対象物トラッカーMの付されたキャリアCとを特定することができる。
【0036】
図1を参照すると、キャリアCとして特定されている可動資材24は、図1に示した実施例において部品Pを運搬している製造オペレータないし材料取扱者などの人間である。キャリアCが含み得る1つ又は複数の識別子30(識別子30は、データベース122内においてキャリアCにマップされている)は、対象物トラッカー12によって収集されたセンサ入力を該対象物トラッカー12が使うことにより検出され得る。図示した実施例において、キャリアCは、該キャリアCに固有のラベル34又はQRコード(登録商標)32のような識別子30を含む1つの衣類例えば帽子を着用することができる。図示した実施例において、キャリアCは、RFIDタグ38を着用することができ、これは例えば、該RFIDタグ38が、衣類、リストバンド、バッジ又は他の着用可能なアイテムに付されていて、これらがキャリアCによって着用されることによる。図示した実施例において、キャリアCは、該キャリアCに固有の無線信号を出力するように構成された識別子30(例えば、対象物トラッカー12の通信モジュール80によって検出され得る携帯電話、スマートウォッチ、及びワイヤレストラッカーなどの携帯デバイス)を着用し或いは携帯することができる。
【0037】
図4に示した対象物トラッカー12を再び参照すると、トラッカーコンピュータ60は、少なくとも1つのセンサ64から受信されるセンサ入力を保存するとともに、これがデジタル化されたデータ(各検出イベントについ生成された行動エントリ90データを含む)を保存し及び/又は送信するためのメモリ68を含む。トラッカーコンピュータ60は、アルゴリズム70を実行させる中央演算処理装置(CPU)66を含み、このアルゴリズム70としては、対象物トラッカー12の検出ゾーン42内の少なくとも1つのセンサ64によって検知された可動資材24及び資材識別子30を検出するように、少なくとも1つのセンサ64から受信したセンサ入力を処理し、検出済みの資材識別子30を特定するようにそのセンサ入力を処理し及び/又はデジタル化し、さらには検出イベントで検出された検出済みの可動資材24についての行動エントリ90を投入するためのデータを、該アルゴリズム70を使って生成するものを含む。一実施例において、アルゴリズム70は、センサ入力を処理するアルゴリズム、センサ入力に検出時刻92を刻時するアルゴリズム、検知された画像内において可動資材24及び/又は資材識別子30を特定するように画像データをフィルタリングするアルゴリズム、センサ入力から資材識別子30を検出するアルゴリズム、資材識別子30に関連付けられた資材ID86及び資材種別88を特定するアルゴリズム、検出済みの可動資材24の位置を画像データ及び/又は他の位置入力を使って特定するアルゴリズム、並びに各検出イベントについての行動エントリ90をデジタル化し且つ生成するアルゴリズムがあるが、これらに限定されない。メモリ68(これの少なくとも一部が有形であり且つ不揮発性である)としては、例えば、アルゴリズム70を実行し、対象物トラッカー12によって受信されたセンサ入力を保存し、さらにはローカルネットワーク20及び/又は他の対象物トラッカー12と通信するのに充分なサイズと速度を有するROM,RAM,EEPROMなどがある。一実施例において、トラッカーコンピュータ60によって受信されたセンサ入力は、該トラッカーコンピュータ60がセンサ入力を処理するのに充分な時間だけメモリ68に保存される。すなわち、トラッカーコンピュータ60が、センサ入力から検出された各可動資材24についての行動エントリ90を投入するのに要求されるデジタル化検出イベントデータを得るように該センサ入力を処理すると、そのセンサ入力は、メモリ68から消去される。こうして、各対象物トラッカー12に要求されるメモリの量を減らすことができる。
【0038】
図4に示されるように、対象物トラッカー12は、該対象物トラッカー12の検出ゾーン42内からの画像入力を監視し且つ収集する1つ又は複数のカメラ76、1つ又は複数の発光ダイオード(LEDs)72、及び赤外線(IR)通過フィルタ74を含む。一実施例において、カメラ76が可視光と赤外線を使って画像入力を受けることができるように、対象物トラッカー12は、赤外線(IR)感知カメラからなるカメラ76を含み、LEDs72は赤外線LEDsであるが、この例に限定されない。一実施例において、対象物トラッカー12は、熱及び/又は放射線画像入力を検知し且つ収集する、サーモグラフィー(熱探知)カメラとしての赤外線カメラ76を含むが、この例に限定されない。なお、対象物トラッカー12に含まれる1つ又は複数のカメラ76は、該対象物トラッカー12が、それの検出ゾーン42を監視するのに広範な照明条件(可視光、赤外線、熱輻射、微光、又は停電に近い条件を含む)のスペクトルについて監視することができるように構成され得る。非限定的な一実施例において、対象物トラッカー12はカメラ76を含み、このカメラ76は、例えば、構成部品Pの基準特徴部や寸法、可動資材24に付された識別番号及び/若しくはマークなどの識別子30、並びに/又はラベルやタグ等に付された識別番号及び/若しくはマークを含む識別子30の画像を捕捉する高解像度及び/若しくは高分解能のカメラである。この実施例において、対象物トラッカー12は、どのような施設条件(例えば、照明がないか薄暗い倉庫内ないし保管庫内(外側構造16を含む)の場所で自動作業中に生じ得る微光ないし微小光の条件を含む)においても、可動資材24を監視し、検出し、さらには追跡することを効果的に行うことができるという利点を有する。カメラ76がトラッカーコンピュータ60へセンサ入力を送り、該トラッカーコンピュータ60がアルゴリズム70を使ってそのセンサ入力(例えば、画像入力)を処理することができるように、カメラ76は、トラッカーコンピュータ60と通信する。一実施例において、カメラ76が画像入力を収集し続けて、処理を担うトラッカーコンピュータ60へ送り続けるように、対象物トラッカー12は構成されている。一実施例において、カメラ76が定期的に(例えばトラッカーコンピュータ60によって制御される所定の周期で)画像を収集し始めるように、対象物トラッカー12は構成されている。一実施例において、その収集の周期は、施設10内での停止条件などの稼働条件に基づいて調節可能ないし変動可能なものである。一実施例において、カメラ76が、該カメラ76が検出ゾーン42で検出する監視画像内に変化を検知しただけで画像の収集を開始するように、対象物トラッカー12は構成されている。他の実施例において、検出ゾーン42の所定の領域内で画像を検出するように、カメラ76が構成されており、及び/又は画像入力がフィルタリングされ得る。例えば、施設内42内のある領域(可動資材24が存在しそうもないオフィスの領域など)に検出ゾーン42がオーバラップする場所においては、可動資材24が存在しそうもない検出ゾーン42の領域から受けた画像入力を除去するようにフィルタリング・アルゴリズムが適用され得る。図1を参照すると、検出ゾーン42の所定の領域例えば、構造上エンクロージャ14の床から可動資材24の存在しそうな場所の最高位と同じ垂直方向高さまで延在する領域において、撮像データを最適化するようにカメラ76が構成されている。
【0039】
トラッカーコンピュータ60は、対象物トラッカー12に含まれる様々なセンサ64からセンサ入力(1つ又は複数のカメラ76からの画像入力を含む)を受信するが、このセンサ入力としては、RFID読取り装置78からの1つ又は複数のRFIDタグデータ入力、位置モジュール82からの位置データ入力、及び通信モジュール80からの無線データがあり得る。センサ入力は、施設ネットワーク20から獲得される時点の時刻、又はプロセッサ66から獲得される時点の時刻(以降の例において、このプロセッサ時刻は施設ネットワーク20の時刻と同期されている)を用いてトラッカーコンピュータ60によって刻時されている。施設ネットワーク20の時刻は、例えば、施設ネットワーク20と通信する中央データブローカ28又はサーバ(ローカルサーバ56など)によって確定される。センサ入力の刻時の正確性と、検出済みの可動資材24の検出時刻92を決める際の正確性を期すために、対象物トラッカー12のプロセッサ66の各々が施設ネットワーク20と同期されている。
【0040】
センサ入力が対象物トラッカー12の検出ゾーン42内の可動資材24の種々の識別子30を検出したか否か(検出ゾーン42に識別子30を検出することは検出イベントである)を判断するために、センサ入力は、トラッカーコンピュータ60が1つ又は複数のアルゴリズム70を使うことによって処理される。1つ又は複数の識別子30が検出されると、各識別子はトラッカーコンピュータ60によって処理され、データベース122内の識別子30にマップされた資材事実104を特定することによって、その識別子30に関連付けられた可動資材24が特定される(識別子30に関連付けられた可動資材24の資材事実104は、特定済みの可動資材24の資材ID86と資材種別88を含む)。トラッカーコンピュータ60が、識別子30データを使って、検出済みの可動資材24にマップされた資材ID86を呼び出し、その検出イベントについてトラッカーコンピュータ60が投入している行動エントリ90内へエントリすることができるように、資材ID86は、可動資材24にマップされた単一の固有の整数としてデータベース122内に保存されている。各資材種別88がデータベース122内において整数にマップされるように、資材の種別のリストが、データベース122内に保存されている。トラッカーコンピュータ60は、データベース122内において資材IDに関連付けられた資材種別88にマップされた整数を呼び出し、行動エントリ90内へ投入する。一実施例において、データベース122は、中央データブローカ28及びアナリスト54と通信するサーバ46,56に保存され、その保存データは、中央データブローカ28、アナリスト54、及び/又は中央データブローカ28を介する対象物トラッカー12によってアクセス可能なものである。サーバとしては、1つ又は複数のローカルサーバ56とリモートサーバ46(ネットワーク48を介してアクセス可能なクラウドサーバ)がある。本実施例に限定されず、データベース122は、例えば中央データブローカ28やアナリスト54内に保存される場合もある。図示した実施例において、資材種別は、部品キャリア、構成部品などの資材のカテゴリーであり得る。また、ビン、パレット、トレイ、固定具、アセンブリ及びこれらの組合せなど(例えば、キャリアビン、キャリアパレット、部品固定具、部品アセンブリなど)の特定の資材種別であり得る。可動資材24に関連付けられ得る識別子30の様々な種別及び組合せの例について、図5及び図6を参照しつつ本明細書中の詳細な説明において後述するが、それらの例に限定されない。
【0041】
トラッカーコンピュータ60は、検出イベント中に検出される可動資材24の識別子30に基づいて決定される資材ID86及び資材種別88を、行動エントリ90内において対応するデータフィールド内へ投入するとともに、センサ入力のタイムスタンプを検出時刻92として投入することで、各検出イベントについての行動エントリ90データ構造(図7を参照)を実装する。トラッカーコンピュータ60はセンサ入力を処理し、行動エントリ90データ構造に含まれる残りのデータエレメント(行動種別94を含む)を決定する。例えば、追跡され得る行動種別94は、可動資材24を配置すること、可動資材24を識別すること、ある位置から他の位置までの可動資材24の動きを追跡すること、可動資材24を持ち上げること(キャリアC又は部品Pを持ち上げること等を含む)、可動資材24を配置すること(生産ライン18上にキャリアC又は部品Pを配置すること等を含む)、可動資材24を他の可動資材24から取り外すこと(キャリアC(例えば、パレット)を他のキャリアC(例えば、リフト付きトラック)から降ろすこと等を含む)、キャリアCを他のキャリアCに載せること、部品PをキャリアCに載せること、キャリアC内の部品Pを数えること等のうちの1つ又は複数を含むが、これらは説明するための例として挙げたものであり、これらの例に限定されない。トラッカーコンピュータ60は、センサ入力を処理し、そのセンサ入力から追跡される行動の種別を決定し、検出イベント中に検出される資材24によって実行されている行動種別94とともに行動エントリ9を投入する。各行動種別94がデータベース122内において整数にマップされるように、行動の種別のリストがデータベース122内に保存されている。トラッカーコンピュータ60は、行動エントリ90内の対応する行動種別フィールド内へ投入するために、検出済みの資材24によって実行されている行動種別94にマップされている整数を呼び出す。
【0042】
トラッカーコンピュータ60は、検出イベント中に検出された可動資材24の位置96を決定するようにセンサ入力を処理し、行動エントリ90内の対応する1つ又は複数のフィールド内へエントリする。図7に示される実施例において、行動エントリ90のデータ構造は、x座標のエントリについての第1のフィールドと、y座標のエントリについての第2のフィールドとを含み、これらのx座標とy座標は例えば、xyz直交座標と施設10についての参照点(位置)26によって画定されるxy平面上で検出された可動資材24が存在する位置のx座標とy座標となる。一実施例において、トラッカーコンピュータ60は、例えば、検出イベントの時刻における対象物トラッカー12の位置とセンサ入力との組合せを使用して、検出済みの可動資材24の位置96を確定する。構造上対象物トラッカーSについて及びライン対象物トラッカーLについて、対象物トラッカー12の位置は、施設10内の対象物トラッカーS,Lの固定位置から認識される。可動対象物トラッカーMとして構成された対象物トラッカー12について、該可動対象物トラッカーMに含まれているトラッカーコンピュータ60及び/又は位置モジュール82は、例えば、SLAMアルゴリズム70と、他の対象物トラッカー12(所定の固定位置を有する構造上対象物トラッカーS...Sを含む)から検知された信号と、を使って、検出イベントの時刻における該可動対象物トラッカーMの位置を決定し、トラッカーコンピュータ60がこの位置とセンサ入力との組合せを使用して、検出済みの可動資材24の位置96を決定し、行動エントリ90内の対応する1つ又は複数の位置フィールド内へ入力する。行動エントリ90内へX座標96とY座標96を入力する旨の本実施例は非限定的なものであり、例えば、GPS座標などの他の位置指標が行動エントリ90に入力される場合もあれば、X座標とY座標にZ座標が追加される場合もある。
【0043】
一実施例において、センサ入力は、検出済みの資材24の1つ又は複数の相互作用98を決定するためにトラッカーコンピュータ60によって使用され得る。行動エントリ90の相互作用フィールド98内へ入力されるデータエントリの種別及び形式は、検出イベント中に検出された可動資材24について決定される相互作用のタイプに依存して異なる。例えば、図1に示されるように、検出済みの資材24が、第1の部品キャリアCである他の可動資材24によって運ばれている第2の部品キャリアCである場合、トラッカーコンピュータ60によって決定される相互作用98が、検出済みの資材24(例えば、第2の部品キャリアC)を運ぶために使用されている第1の部品キャリアCの資材ID86及び資材種別88であり得る。図1に示したのと同じ例に即して説明すると、第2の部品キャリアCは、構成部品Pを運搬しているコンテナであり、これにより、トラッカーコンピュータ60によって決定され得る他の相互作用98としては、例えば、第2の部品キャリアCに収容されている部品Pの数、種別及び/又は部品条件(状態)を定量化した1つ又は複数のものがあり、部品条件の一例としては、対象物トラッカー60によって画像センサ入力から決定され得る寸法、特徴部、及び他のパラメータなどの部品パラメータがある(図6を参照)。一実施例において、その部品条件がその指定に適合するものであるか否かを決定するために、部品パラメータは、対象物トラッカー60及び/又はアナリスト54によって、パラメータ仕様と対比され得る。本実施例において、部品パラメータ(例えば、寸法)は、部品Pに関連する相互作用98として保存され、パラメータの条件のデジタル化された記録となる。部品条件が仕様に不適合である場合、適切な処置(封止、修正など)がとられ得るように、システム100は、部品Pが不適合であることを示すアラート(報知)を出力するように構成され得る。本実施例における不適合の検出は、不適合の部品Pが次のプロセスへ進む前や施設10から出荷される前に封止され及び/又は修正され得るように、部品Pが施設内にあるときに行われることが好ましい。第2の部品キャリアCの後続の追跡とそれの相互作用は、第1の部品キャリアCから第2の部品キャリアCの荷物の積み降ろし、第2の部品キャリアCから第1の構成部品Pの積み降ろし、積み降ろされた構成部品Pを施設10内の他の位置まで(例えば生産ラインLまで)動かすことの検出を含み、これらの行動の各々は、少なくとも1つの対象物トラッカー12によって検出され、対象物トラッカー12を介して、キャリアC,C及び部品Pのうちの少なくとも1つと関連付けられた行動エントリ90を生成する。行動エントリ90の各々は、検出された資材24であり、さらには/或いはキャリアC,C、及び部品Pのうちの少なくとも2つ以上の間における相互作用である。一実施例において、施設10内でプロセス中に様々な対象物トラッカー12によって検出される動きに基づくキャリアC,C及び部品Pのブロックチェーン追跡可能性(トレーサビリティ)を生じさせるために、検出済みの資材24(キャリアC,C及び部品P)の後続の行動における行動エントリ90、及びこれらの資材24の検出時に中央データブローカ28まで送信される行動エントリ90は、キャリアC,C及び部品Pの各々に関連する様々な行動エントリ90及び/又は行動リストデータ構造102からの検出時刻データT、位置データ96及び相互作用データ98をアナリスト54が使うことにより分析され得る。
【0044】
一実施例において、トラッカーコンピュータ60は、資材ID86、資材種別88、行動種別94及び位置96のうちの1つ又は複数の組合せに基づいて確定される相互作用98を入力するように指示され得る。図1及び図6を参照すると、図示した実施例において、ライン対象物トラッカーLが切込コンベヤプロセスに載せられて動いているか或いはプロセス・ライン18によって処理されている部品P図6を参照)を検出すると、ライン対象物トラッカーLのトラッカーコンピュータ60がその部品Pの少なくとも1つのパラメータを検査する(例えば、図6に示されている寸法「g」を測定し、図6において「e」で示されるポート孔パターンが特定のパターンに適合するか否かを判断する) ために画像センサ入力を処理するように指示され、その検査結果(例えば、特定の孔パターンに適合する部品Pの孔パターンの「g」、及び「Y」又は「N」の寸法の測定値)を相互作用98フィールド内へ入力させるようにトラッカーコンピュータ60を促す。一実施例において、部品Pがプロセス・ライン18によって処理され且つ/或いは施設10内を動くときに生じる、行動エントリ90内へ投入される相互作用98データは、資材(この例においては部品P)についての行動リスト102データ構造から決定される、部品Pのブロックチェーン追跡可能性(トレーサビリティ)を提供することができる。一実施例において、ライン対象物トラッカーLは、そのパターンが特定の孔パターンに適合しないことを見出すやいなや、例えばプロセス・ライン18に対してアラートを発出し、後続のプロセスの前にその不適合の部品Pを修正し及び/又は封止することを指示され得るが、この例に限定されない。
【0045】
トラッカーコンピュータ60が検出イベントについて行動エントリ90のデータフィールド86,88,90,92,94,96,98を入力し終わると、行動エントリ90は、トラッカーコンピュータ60によってデジタル化され、施設ネットワーク20を介して中央データブローカ28へ送信される。図示した実施例において、行動エントリ90は、JaVaScript Object Notation(JSON)内で検出イベントについての行動エントリ90として送信するために、JSONストリング内へデータフィールド86,88,90,92,94,96,98を投入しているデータをシリアライズすることにより生成される。図7及び図8に示されるように、中央データブローカ28は、行動エントリ90データをデシリアライズし、資材事実104例えば検出済みの資材24の資材ID86及び資材種別88を使って、検出済みの資材24についての行動リスト102のデータ構造に、検出済みの資材24についての行動エントリ90データをマップする。検出イベントについての行動エントリ90におけるデータフィールド90,92,94,96,98からのデータは、行動リスト102内に組み込まれている行動エントリ90A,90B,90C...90nに追加される行動として、行動リスト102内の対応するデータフィールドにマップされる。行動リスト102は、データベース122に保存され、データアナリスト54によって分析される。この行動リスト102は、資材事実104によって特定される資材24についての資材記述子84を含み得る。
【0046】
経時的に、施設10内でプロセスを実行中に資材24が使用されているときに、1つ又は複数の対象物ロケータ(位置を示すための装置)12によって追加の行動が検出されると、追加の行動を検出している対象物ロケータ12によって追加の行動エントリ90が生成され、可動資材24の行動リスト102に追加される。例えば、図2に示した行動イベント40において、キャリアCとして図2に示した可動資材24は、図1にパレットキャリアCとして示した第2の可動資材24を呼び出すことを要求されているとともに、図2に符号C’で示した呼出し位置から図2に符号Cで示した目的位置(その配送位置は、図1に示したキャリアCの位置に対応している)まで、そのパレットキャリアCを運ぶことを要求されている。呼出し位置から目的位置までパレットキャリアCを運搬しているキャリアCの行動イベント40は、図2に太い破線40で示されている経路で図示されている。行動イベント40の実行時に、キャリアC及びパレットキャリアCは、図2に示した構造上対象物トラッカーS,S,S及びSによって画定された検出ゾーン並びにライン対象物トラッカー によって画定された検出ゾーンを含む数多くの検出ゾーン42を通過するが、キャリアCによる行動イベント40が完了するときに、これらの対象物トラッカー12の各々は、キャリアC,Cの各々についての1つ又は複数の行動エントリ90を生成し、中央データブローカ28まで送信する。これに加え、行動40が実行される時に、キャリアCに取り付けられた対象物トラッカーMが、キャリアC,Cの各々について1つの又は複数の行動エントリ90を生成して、送信している。上述したように、中央データブローカ28は、様々な対象物トラッカーS,S,S,S,L及びMによって生成された行動エントリ90の各々を受けるやいなや、行動エントリの各々から行動エントリデータをデシリアライズし、そのデシリアライズされた行動エントリデータを行動エントリ90に対応する資材行動リスト102内へ入力し、その資材行動リスト102をデータベース122内に保存する。
【0047】
パレットキャリアCについて生成された資材行動リスト102の例に即して説明すると、データアナリスト54が分析する資材行動リスト102は、行動イベント40時にキャリアCによってパレットキャリアCが呼出し位置から目的位置まで運ばれたときに、様々な対象物トラッカー12によって検出されたパレットキャリアCの行動について生成された様々な行動エントリ90を含んでいる。アナリスト54が資材行動リスト102及びこれに含まれる行動エントリ90を分析することは、1つ又は複数のアルゴリズムを使用することを含み得るところ、このアルゴリズムは例えば、行動イベント40の時に様々な対象物トラッカーS,S,S,S,L及びMが生成した様々な行動エントリ90を調整し、資材行動リスト102内の様々な行動エントリ90から行動種別94データ、位置96データ及びタイムスタンプ92データを使って、行動イベント40時にパレットキャリアCが実際に通った経路を決定し、行動イベント40についての実際の行動イベント持続時間108を資材行動リスト102内の様々な行動エントリ90からの行動イベント持続時間108及びタイムスタンプ92データを使って決定し、行動イベント40時にパレットキャリアCが実際に通った経路を示す追跡マップ116を生成し、可動資材24(この例では、パレットキャリアC)の鼓動110を生成し、実際の行動イベント40を例えばベースライン行動イベント40と比較し、例えば行動イベント持続時間108などに関して比較統計解析するために行動イベント40を統計学的に定量化するものである。アナリスト54は、可動資材24(この例では、パレットキャリアC)の資材事実104に行動イベント40を関連付けてデータベース122内に保存することができ、追跡マップデータ(行動イベント40中にパレットキャリアCが移動する経路を特定する経路データを含む)に関連付けて、さらには、行動イベント40について決定される行動イベント持続時間108に関連付けてデータベース122内に保存することができる。図示した実施例において、行動イベント40は、比較解析するために共通の特徴を有する行動イベントの1つ又は複数のグループに関連付けられる(同様の行動グループ内に関連付けられる行動イベントが共有する共通の特徴は、例えばイベント種別、行動種別、可動資材種別、相互作用などである)。
【0048】
追跡マップ116と可動資材の鼓動110は、アナリスト54が生成する複数の可視化出力の例であり、データベース122内に保存され、例えばユーザデバイス50又は出力ディスプレイ52を介して表示され得るものであるが、これらの例に限定されない。一実施例において、これらの可視化出力を使ってアラートを発出し、行動イベントの状況等を示し、リアルタイムに修正され及び/又は改善された行動の特定と実施をし易くするために、追跡マップ116と可動資材の鼓動116を含む可視化出力が、アナリスト54によってほぼリアルタイムに生成され得る。なお、本明細書中で用いられる「行動イベント」とは、行動イベント40が例えば、行動イベント40を完了するまでに実行される累積の行動を含む点において「行動」とは区別されている。本実施例において、行動イベント40は、呼出し位置(図2において符号C’で示されている)から目的位置(図2において符号Cで示されている)まで、パレットキャリアCを運ぶことであり、この行動イベント40は、複数の行動イベント40(例えば.対象物トラッカーSの検出ゾーン42内で対象物トラッカーSによって検出されるパレットキャリアCの各行動であってそれについて対象物トラッカーSが行動エントリ90を生成したものや、対象物トラッカーSの検出ゾーン42内で対象物トラッカーSによって検出されるパレットキャリアCの各行動であってそれについて対象物トラッカーSが行動エントリ90を生成したもの等を含む)の寄せ集めが行われる時に対象物トラッカーS,S,S,S,L及びMによって検出される複数の行動の寄せ集めである。なお、本明細書中において、例えば行動イベント持続時間108に適用される「ベースライン」との語句は、その行動イベント40についての1つ又は複数の設計意図(設計上)の持続時間のことであり、類似する行動イベント40について収集されたデータから導き出されるその行動イベント40の平均持続時間などの統計学的に算出される値のことである。
【0049】
追跡マップ116は、その行動イベント40についてパレットキャリアCが実際の運搬経路に沿った様々な位置に配置されているときの実際の時刻や、その行動イベント40についての実際のイベント持続時間108などの追加の情報を含み得るものであり、カラーコード化されている場合もあれば、比較情報を示している場合もある。追跡マップ116は、例えば、実際の行動イベント40についてベースラインイベント40からの視覚的な偏差を呈するように、実際のイベント40と一緒にベースライン行動イベント40を表示する。例えば、その行動イベント40についてのベースラインのイベント持続時間108よりも長い実際のイベント持続時間108を有する行動イベント40は、アラートの発出を示すか又は改善すべき時機にあることを示す赤色にコード化され得る。また、その行動イベント40についてのベースラインのイベント持続時間108よりも短い実際のイベント持続時間108を有する行動イベント40は、青色にコード化され、今後その種類の行動イベントを反復するときのために、その実証された改善の理由が調査される。追跡マップ116は、該追跡マップ116に示される行動イベント40の行動種別94(例えば、その行動イベント40が運搬、持ち上げ、又は配置の種別の行動であるか否か)を特定しているアイコンを含み得る。一実施例において、追跡マップ116上に表示される各行動イベント40は、例えばユーザインターフェイスエレメント(UIE)を介して、その行動イベント40についての詳細な情報例えば、実際のイベント持続時間108、ベースラインイベント持続時間、イベント相互作用、ベースラインイベントに対する実際のイベント40などにリンクされている。
【0050】
図10は、可動資材24が実行する一連の行動イベント114についてアナリスト54が生成した鼓動110の一例を示すものであり、本実施例において、可動資材24は、資材種別88「キャリア」と資材ID「62」を有するものとして鼓動110に特定されたパレットキャリアCである。この一連の行動イベント114は、「認証の要求」、「パレットの呼出し」及び「パレットの運搬」として示されている行動イベント40を含み、本実施例における「パレットの運搬」との行動イベント40は、呼出し位置(図2では符号C’で示されている)から目的位置(図2では符号Cで示されている)までパレットキャリアCを運搬することである。行動イベント持続時間108は、各イベント40の各々について表示される(パレットキャリアCで運搬される部品Pに対応している部品の特定が示されるように、一連の行動イベント114についての相互作用98が表示される)。一連の行動イベント114についてのサイクルタイム112(実際のサイクルタイム112とベースラインサイクルタイムを含む)が示される。行動イベント114のシークエンスについての鼓動110が生成されるのは、2014年11月4日に発行された米国特許第8,880,442B2号明細書(発明の名称「機械の鼓動を生成する方法」)に記載されているように、行動イベント114のシークエンスを有する行動イベント40の行動イベント持続時間108を発生順に並べることによる。鼓動110は、図10の上側部分にバーチャートとして示されるか又は図10の下側部分に示されるように表示され得る(一連の行動イベント114を含む)。表示されるエレメント(例えば、行動イベント持続時間108、サイクルタイム112など)の各々は、カラーコード化される場合もあれば、視覚的分析用の追加情報を運ぶように視覚的に異なっている場合もある。一実施例において、行動イベント持続時間108のそれぞれが、アラートを発出するレベルの持続時間を超えたか否か、ベースライン持続時間よりも長いか否か、ベースライン持続時間以下の長さか否か、又は改善すべき時機(にあること)を示しているベースライン持続時間よりも実質的に短いか否かを示すように、行動イベント持続時間108の各々が、「赤色」、「黄色」、「緑色」又は「青色」に色付けられている。一実施例において、鼓動110で表示される1つ又は複数のエレメント(例えば、行動イベント40、行動イベント持続時間108、相互作用98、シークエンスサイクルタイム112、一連の行動イベント114を含む)は、例えばユーザインターフェイスエレメント(UIE)を介してそのエレメントの詳細な情報にリンクされている。例えば、行動イベント持続時間108に対応する行動40を示すために、行動イベント持続時間108は追跡マップ110にリンクされ得る。
【0051】
一実施例において、施設10内の可動資材24の行動を追跡してデジタル化することにより、プロセスの一連の動作を実施するのに要求されるサイクルタイム全体が正確に定量化され、改善(行動イベント40の行動イベント持続時間108を短縮することを含む)すべき時機を呈するように分析されるために、行動イベント114のシークエンスは、行動イベント40(既知の行動イベント40である)からなり、例えば、施設10内でプロセスを実行するために実施される一連のオペレーションに含まれ得る。一実施例において、対象物トラッカー12が追跡するすべての行動が、既知の行動イベント40によって画定されるわけではない。この例において、アナリスト54が行動エントリ90を分析し、例えば施設10内の可動資材12の行動のパターン(繰り返し行動イベント40を起こすことを確定するパターンを含む)を特定することに利点があり、これらは改善のために分析され、定量化され、ベースライン化され、さらには体系的に監視され得る。
【0052】
今度は図9を参照すると、施設10内でプロセスを実行するために使用される可動資材24の行動を追跡する方法が示されている。この方法は、ステップ208において、対象物トラッカー24を含み、該対象物トラッカー24は、該対象物トラッカー24によって画定される検出ゾーン42内からのセンサ入力を監視し且つ収集している。センサ入力は、RFIDタグ38を含む識別子30から受けたRFIDデータ(符号202で示されている)、カメラ(赤外線感知カメラであり得る)72を使って収集された画像センサ入力(符号204で示されている)、及び位置モジュール82を使って収集された位置データ(符号206で示されている)を含み得る。位置データはまた、本明細書において上述したように、例えば通信モジュール80を介して収集され得る。ステップ210で、センサ入力が対象物トラッカー12によって受信され、(本明細書中で上述したように)刻時され、該対象物トラッカー12は、検出ゾーン42内に位置する各可動資材24についての少なくも1つの識別子30に対して、例えば1つ又は複数のアルゴリズムを使って、ステップ212でRFID識別子38を特定し、ステップ214で視覚的識別子30(1つ又は複数のバーコード識別子32、ラベル識別子34を含み得る)を特定し、さらにはステップ216で基準の識別子36を特定するように、センサ入力データを処理する。対象物トラッカー12は、ステップ210で決定された識別子データを使って、ステップ218で、センサ入力において見出された各検出イベントについての行動エントリ90を追加しデジタル化して例えばJSONストリング内へ入力し、そのデジタル化された行動エントリ90を中央データブローカ28まで送信する。ステップ220で、中央データブローカ28は、行動エントリ90をデシリアライズし、その行動エントリ90内で特定された検出済みの資材24に対応する資材行動リスト102に行動エントリ90をマップする。マップされた行動エントリ90データは、行動エントリ90(検出された可動資材24についてその資材行動リスト102に保存される複数の行動エントリ90のうちの1つであり得る)として資材行動リスト102内へ投入される。ステップ220でさらに、中央データブローカ28は、データベース122に資材行動リスト102を保存する。ステップ222で、対象物トラッカー12の検出ゾーン42からセンサ入力を監視し且つ収集している該対象物トラッカー12のプロセスは、図9に示されるように継続し、その検出ゾーン42において対象物トラッカー12が検出する追加の識別子30に対応する追加の行動エントリ90を生成する。ステップ224で、データアナリスト54は、データベース122内の資材行動リスト102にアクセスし、本明細書において上述したように、資材行動リスト102を分析する(アナリスト54が資材行動リスト102データを使って特定した各行動イベント40についての行動イベント持続時間108をステップ224において決定し分析することを含む)。ステップ226で、アナリスト54は、追跡マップ116及び/又は行動イベントの鼓動110などの1つ又は複数の可視化出力を生成する。ステップ228で、アナリスト54は、資材行動リスト102データを使って、修正行動及び/又は改善すべき時機を特定するが、これは、本明細書において上述したように、修正の行動及び改善すべき時機を決定するためにデータを見直し、解釈し、さらには分析するのに使用するために、ステップ230及びステップ232において、データ及びアラートを表示すること、ステップ226で生成された追跡マップ116及び/又は行動イベントの鼓動110、出力アラート等の1つ又は複数の可視化出力を表示することを含む。
【0053】
本明細書において使用される「備える」との語句及びこれのバリエーションは、「含む」の類義語として使用されており、これらのバリエーションの語句はオープンエンド(開放端)つまり非限定的な意味で使われている。様々な実施例について説明するために本明細書において、「備えている」や「含んでいる」の語句が使われているが、「から実質的に構成されている」や「から構成されている」も、さらにとり得る実施形態があることを示すために「備えている」や「含んでいる」と代替的に使用される。本開示及び特許請求の範囲において使用されている「1つ」、「1つの」、「その」などの単数形で示されているものは、別段の記載のない限りにおいて、複数の場合も含む。
【0054】
この発明の詳細な説明の記載及び添付の図面は本開示をサポートし、説明するためのものであり、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって定められる。特許請求の範囲に記載の開示を実施するための最良の形態及び他の実施形態について詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲に定められる開示を実行するために様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。さらには、各図に示した実施形態または本説明で言及した様々な実施形態の特徴は、互いに独立した実施形態として理解されるべきものとは限らない。実施形態の複数の例のうちの1つに記載された特徴の各々が、他の実施形態からの1つ又は複数の他の望ましい特徴と組み合わされることにより、文言上も各図を参照しても説明されていない別の実施例が生じ得る。そのような他の実施形態も添付の特許請求の範囲のフレームワークに含まれる。
図1
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図10