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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A63F5/04 603A
A63F5/04 650
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021036398
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136677
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】長村 友和
(72)【発明者】
【氏名】深堀 早太
【審査官】馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-089657(JP,A)
【文献】特開2016-185236(JP,A)
【文献】特開2017-217462(JP,A)
【文献】特開2017-109045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列された複数のリールと、
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
入賞判定する入賞判定手段と、
表示手段と、
前記表示手段の表示に関する制御を行う演出制御手段と、を備え、
前記表示手段は、前方から見て前記リールと重なる範囲に形成された第1表示領域と、前方から見て前記リールと重ならない範囲に形成された第2表示領域と、を備え、
前記演出制御手段は、前記第1表示領域に表示物が表示される演出の実行を制御し、前記リールが回転している間に実行する前記演出では、前記リールの回転が停止している間に実行する前記演出よりも、前記第1表示領域に表示される表示物の透過性を高くすることができ
前記第1表示領域のうち有効ラインに対応する表示領域以外の表示領域を特定領域とすると、
前記演出制御手段は、前記演出において、第1表示物を、透過性を高めることなく前記特定領域に表示させることができ、
前記リールが回転している間に前記演出を実行する場合であって、前記第1表示物を前記特定領域に表示させ、かつ所定の透過性を有する第2表示物を前記第1表示領域に表示させる場合、前記第1表示物の透過率を、前記第2表示物の透過率と同じとする、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、複数の図柄が配列された複数のリール、スタートレバー、およびストップボタン等を備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技媒体(メダル)がベットされた後、スタートレバーが操作されたことを検出すると、複数のリールの回転が開始する。また、各リールに対応して設けられたストップボタンが操作されたことを検出すると、当該ストップボタンに対応するリールの回転が停止する。
【0003】
スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示されて、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、所定枚数のメダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われ、遊技者に遊技上の利益が付与される。
【0004】
スロットマシンには液晶表示装置を備えたものがある。液晶表示装置は、その表示面に画像を表示させることにより、演出を実行可能となっている。特許文献1に開示されたスロットマシンでは、液晶の表示領域が、複数のリールの前方に形成された表示領域を含むように設けられており、当該表示領域に画像を表示させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-25303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、リールの前方に表示物が表示された場合におけるリールの視認性の低下を抑制することが求められている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、リールの前方に表示物が表示された場合におけるリールの視認性の低下が抑制された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
外周面に複数種類の図柄が配列された複数のリールと、
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールが停止した状態で、役毎に定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されていることに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
表示手段と、
前記表示手段の表示に関する制御を行う演出制御手段と、を備え、
前記表示手段は、前方から見て前記リールと重なる範囲に形成された第1表示領域と、前方から見て前記リールと重ならない範囲に形成された第2表示領域と、を備え、
前記演出制御手段は、前記第1表示領域に表示物が表示される演出の実行を制御し、前記リールが回転している間に実行する前記演出では、前記リールの回転が停止している間に実行する前記演出よりも、前記第1表示領域に表示される表示物の透過性を高くすることができる。
【0009】
リール回転中に前記演出が実行される場合に、リール停止中に前記演出が実行される場合よりも、第1表示領域に表示される表示物の透過性を高めることで、リール前演出が実行された場合に、第1表示領域を介してのリールの視認性が低下するのを抑制できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記演出制御手段は、画像を所定のレイヤに配置し、複数のレイヤを重ね合わせて前記表示手段に表示物を表示させ、前記複数のレイヤには、第1レイヤと、前記第1レイヤよりも上位の第2レイヤと、が含まれ、前記第1表示領域に表示される表示物に係る画像を第1画像とすると、前記第1画像を前記第1レイヤに配置するとともに、透明度が所定の値に設定された透過素材を前記第2レイヤに、前記第1画像の少なくとも一部と重なるように配置することで、前記第1表示領域に表示される表示物の透過性を高くする。
【0011】
透明度が所定の値に設定された透過素材を第1画像に重ね、第1表示領域に表示される表示物の透過性を高める。このため、透過素材に覆われる第1画像が複数ある場合、それらに対応するすべての表示物の透過性(透過率)が一度に設定される。これにより、各画像の透過率をそれぞれ設定する手法を用いる場合に比べて、処理の負荷を低減できる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記第1表示領域のうち前記有効ラインに対応する表示領域以外の表示領域を特定領域とすると、前記演出制御手段は、前記演出において、所定の表示物を、透過性を高めることなく前記特定領域に表示させることができる。
【0013】
所定の表示物を前記特定領域に透過性を高めることなく表示させることで、遊技の興趣を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記演出制御手段は、前記リールが回転している間に前記演出を実行する場合であって、第1表示物を前記特定領域に表示させ、かつ所定の透過性を有する第2表示物を前記第1表示領域に表示させる場合、前記第1表示物の透過率を、前記第2表示物の透過率と同じとする。
【0015】
特定領域に表示される第1表示物と、第1表示領域に表示される所定の透過性を有する第2表示物とがある場合に、各表示物の透過率が異なると遊技者が違和感を抱くおそれがある。そこで、特定領域に表示される第1表示物の透過率を、第2表示物の透過率と同じとし、同等の視認性とすることで、遊技者が違和感を抱くおそれを低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の遊技機によれば、リールの前方に表示物が表示された場合におけるリールの視認性低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
図2】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】同、内部抽選テーブルを説明するための図である。
図4】同、小役の当選態様を説明するための図である。
図5】同、小役の配当を説明するための図である。
図6】同、遊技状態の状態遷移図である。
図7】同、遊技区間および演出状態の状態遷移図である。
図8】同、液晶表示装置を示すもので、(a)は液晶表示装置およびその周囲を正面から見た図であり、(b)は液晶パネルを正面から見た斜視図であり、(c)は液晶パネルを背面から見た斜視図である。
図9】同、画面を構成するレイヤ構造を説明するための図である。
図10】同、(a)は液晶パネルの第1表示領域について説明するための図であり、(b)は液晶パネルの第1表示領域について説明するための別の図であり、(c)は有効ラインについて説明するための図である。
図11】同、リール前演出について説明するための図であり、(a)はリールが回転している間にリール前演出が実行された場合を示すもので、(b)はリールの回転が停止している間にリール前演出が実行された場合を示すものである。
図12】同、画像の透過率の制御について説明するための図である。
図13】同、画像が配置されるレイヤについて説明するための図である。
図14】同、所定のレイヤに配置される透過制御素材について説明するための図である。
図15】同、4つのリールを備える場合について、(a)は液晶パネルの第1表示領域について説明するための図であり、(b)は有効ラインについて説明するための図である。
図16】同、リール前演出について説明するための図であり、(a)はリールが停止している間にリール前演出が実行された場合を示すもので、(b)はリールが回転している間にリール前演出が実行された場合(その1)を示すもので、(c)はリールが回転している間にリール前演出が実行された場合(その2)を示すものである。
図17】同、リール前演出について説明するための図であり、(a)は操作契機演出が実行された場合に表示される画像を示すもので、(b)はリールが回転している間に操作契機演出が実行された場合(その1)を示している。
図18】同、リールが回転している間にリール前演出(操作契機演出)が実行された場合(その2)について説明するための図である。
図19】同、リールが回転している間にリール前演出(操作契機演出)が実行された場合(その3)について説明するための図である。
図20】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機における液晶表示装置の表示の一例を示す図である。
図21】同、ウインドウ演出が実行された場合における液晶表示装置の表示の一例を示す図である。
図22】同、画像のレイヤへの配置について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12と、を備えている。筐体11には、回転自在な第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダルの払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、筐体11に対して開閉自在となっている。なお、前面扉12は、上扉と下扉とに分割されていてもよい。
【0020】
前面扉12には、液晶表示装置200、スピーカ14、照明装置15等の演出装置、および、表示窓16(リール窓)が設けられている。液晶表示装置200は、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置としては、液晶表示装置200やスピーカ14、照明装置15の他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けてもよい。
【0021】
表示窓16の奥には、リール20a~20cを備えるリールユニットが、その一部が表示窓16の外から視認可能となるように配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を介して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)、合計9個の図柄が表示(視認)される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの中段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
【0022】
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0023】
前面扉12には、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットするためのベットボタン23、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー(開始操作手段)24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン(停止操作手段)26a,26b,26c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。また、メダル投入口22の奥には、メダル投入口22から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサ29(図2参照)が設けられている。
【0024】
なお、図示は省略するが、前面扉12には、遊技情報表示部および有利区間表示器が設けられている。遊技情報表示部は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、有利区間表示器はLEDを有しており、このLEDの点灯および消灯により、有利区間に滞在しているか否かが報知されるようになっている。
【0025】
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。
【0026】
図2に示すように、スロットマシン10の内部には、メイン制御基板(主制御装置)31と、サブ制御基板(副制御装置)32とが設けられている。メイン制御基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c、メダルセンサ29等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板32は、メイン制御基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶表示装置200、スピーカ14および照明装置15等の演出装置の制御を行う。
【0027】
また、メイン制御基板31とサブ制御基板32とは電気的に接続されており、メイン制御基板31からサブ制御基板32へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板32からメイン制御基板31へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板31やサブ制御基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0028】
メイン制御基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
また、サブ制御基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
【0029】
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づきナビ演出(補助演出)を行うか否かを決定する。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいはナビ演出を行うか否かの決定に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。
【0030】
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口22にメダルが投入されると、メダルセンサ29がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
【0031】
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口22にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0032】
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0033】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。具体的には、本実施形態の遊技機は、図3に示す、内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3までの、3種類の内部抽選テーブルを含む複数の内部抽選テーブルを有している。内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0034】
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。また、各乱数値には、1つの当選役が対応付けられているものと、複数の当選役が対応付けられているものとが存在する。したがって、内部抽選によって、1つの役が当選する場合と、複数の役が重複して当選する場合とが存在する。
【0035】
本実施形態の遊技機では、小役として、通常ベルA、ベルB、ベルC、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B、弱チェリー、強チェリーおよびスイカが用意されており、複数種類の小役が重複して当選する小役の当選態様として、打順ベル(打順ベル1~打順ベル8:第1当選態様)と、JAC1(第2当選態様)およびJAC2とが設定されている。
【0036】
打順ベルについて図4を参照しながら具体的に説明すると、打順ベル1~打順ベル4は、図4(a)に示すように、ベルAと、ベルBと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル1~打順ベル4において、ベルAと、ベルBと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルBと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。また打順ベル5~打順ベル8は、図4(a)に示すように、ベルAと、ベルCと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル5~打順ベル8において、ベルAと、ベルCと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルCと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。
【0037】
また、JACについて図4を参照しながら具体的に説明すると、JAC1は、図4(b)に示すように、ベルAと、ベルBと、ベルCと、特殊小役Bと、スイカと、弱チェリーと、強チェリーとが重複して当選することを示している。また、JAC2は、図4(b)に示すように、特殊小役A1~特殊小役A4と、特殊小役Bと、ベルAとが重複して当選することを示している。
【0038】
また、本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において小役の当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル1~3においてリプレイの当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル3では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは異なる態様で小役が当選するようになっている。そして、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2では、打順ベル1~打順ベル8によってベルBとベルCが互いに重複せずに当選するようになっており、内部抽選テーブル3ではJAC1によってベルBとベルCが重複して当選するようになっている。
【0039】
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしてビッグボーナス(BB)が用意されており、内部抽選テーブル1では、ビッグボーナスが抽選対象として設定されているが、内部抽選テーブル2および内部抽選テーブル3では、ビッグボーナスが抽選対象から除外されている。
なお、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しているが、第一種特別役物や、第二種特別役物に係る役物連続作動装置等であってもよい。また、ボーナスは一種類に限られず、複数のボーナスを搭載していてもよい。
【0040】
また、本実施形態の遊技機では、リプレイおよびボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されているが、重複して当選する場合が設定されていてもよい。例えば、リプレイとボーナスとが重複して当選する場合や、小役とボーナスとが重複して当選する場合や、複数種類のリプレイが重複して当選する場合等が設定されていてもよい。
【0041】
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAM60aに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
【0042】
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナスがある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役、およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
【0043】
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると内部抽選テーブル1~3からなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
【0044】
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0045】
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0046】
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が通常状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段72のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
【0047】
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
【0048】
すなわち、リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0049】
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0050】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
【0051】
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0052】
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0053】
また、打順ベル1~打順ベル8には、それぞれ正解打順と特定打順とが設定されており、正解打順および特定打順のいずれとも異なる順序が不正解打順として扱われる。特に本実施形態では、正解打順と特定打順とでは最初に停止させるべきリールが同一であり、2番目に停止させるリールにおいて正解打順であると判断される場合と特定打順であると判断される場合に分岐するようになっている。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、最初に押下されたストップボタンの種類が正解打順および特定打順に対応している場合には、最初に停止するリールについてはメダルの払出数が最も多く、かつ有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、2番目以降に停止するリールについては、有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示することができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0054】
そして本実施形態の遊技機では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、特定打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルAを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルBやベルCを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように遊技順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役Bを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0055】
また、JAC1に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルBあるいはベルCを入賞させることができ、JAC2に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルAを入賞させることができるようになっている。
【0056】
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0057】
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパー装置に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパー装置によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
【0058】
本実施形態の遊技機では、図5に示すように、ベルA、特殊小役A1~A4または特殊小役Bに入賞すると1枚のメダルが払い出され、ベルBまたはベルCに入賞すると7枚のメダルが払い出され、スイカに入賞すると3枚のメダルが払い出され、弱チェリーまたは強チェリーに入賞すると2枚のメダルが払い出されるようになっている。
【0059】
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ処理手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0060】
遊技状態制御手段49は、図6に示すように、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
【0061】
内部抽選手段42は、遊技状態に応じて図3に示す内部抽選テーブルのうちから内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。具体的には、通常状態では、ビッグボーナスが抽選対象に設定されている内部抽選テーブル1を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル3を参照して内部抽選を行う。なお、スロットマシン10は、リプレイの当選確率の異なる複数の内部抽選テーブルを備え、遊技状態制御手段49が、所定の契機で(例えば、所定の役の当選に基づいて)、リプレイの当選確率の異なる複数の遊技状態(RT状態)の間で遊技状態を移行させるようになっていてもよい。
【0062】
遊技状態は、初期状態においては、通常状態となっている。
また、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、通常状態においてビッグボーナスが当選した場合に、遊技状態をボーナス成立状態へ移行させる。
【0063】
ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0064】
ボーナス状態は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。また、ボーナス状態では、ボーナス状態において払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、定められた所定枚数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ移行させる。
なお、本実施形態では、ボーナス状態の終了条件がメダルの払出数の合計によって定められているが、ボーナス状態での遊技回数や小役の入賞回数等によって終了条件が定められていてもよい。またボーナス状態は、1回の遊技で終了するように終了条件が定められたものであってもよい。
【0065】
指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典抽選手段82とを備えている。
【0066】
遊技区間制御手段80は、図7に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典抽選手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(ここでは、1500回とする)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態ではナビ演出(より正確には打順を指示するナビ演出)を行うことができず、有利区間に設定されている場合に限りナビ演出(打順を指示するナビ演出)を行うことができるようになっている。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である1500回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
【0067】
特典抽選手段82は、非有利区間においては、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーの当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。そして、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
【0068】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー24に対する遊技開始操作を契機として、記憶手段60のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ65に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ65への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値が閾値(上限値)「1500」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が1500回に設定されており、有利区間において1500回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
【0069】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において、記憶手段60のRAMに設けられた差枚数カウンタ(図示せず)の値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、7枚のメダルの払い出しがあった場合には「7」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタの値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタへの加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタの記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタの値がしきい値(例えば、「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタの値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタの値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタの値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタの値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
【0070】
また、有利区間表示器は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。なお、有利区間表示器は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初のナビ演出(打順を指示するナビ演出)を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
【0071】
演出状態制御手段81は、図7に示すように、非有利区間演出状態、通常演出状態およびAT演出状態(ナビ演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0072】
非有利区間演出状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間においては、演出状態制御手段81は、演出状態を非有利区間演出状態に設定している。非有利区間演出状態においては、上述のように特典抽選手段82が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に移行させる。
【0073】
通常演出状態においては、特典抽選手段82は、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。具体的には、特典抽選手段82は、通常演出状態において、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーに当選した場合に、AT抽選を行う。
【0074】
AT抽選に当選すると、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させることを決定する。AT抽選に当選し、演出状態をAT演出状態へ移行させることを決定した場合、演出状態制御手段81は、記憶手段60のRAMに設けられたAT遊技数カウンタ67の記憶値に所定の値を設定し、演出状態をAT演出状態へ移行させる。本実施形態においては、AT遊技数カウンタ67には、例えば50回分の遊技に相当する値として「50」が設定される。また、AT演出状態においては、特典抽選手段82は、スイカ、弱チェリーまたは強チェリーに当選した場合に、AT演出状態での遊技回数を増加させるか否か決定する(AT演出状態の継続期間を増加させるか否か決定する)抽選(上乗せ抽選)を行い、当該抽選結果に基づいて決定された遊技の回数に相当する値がAT遊技数カウンタ67に加算される。
なお、AT演出状態の開始時にAT遊技数カウンタ67に設定される値は、抽選等により決定されるものであってもよい。
【0075】
演出状態制御手段81は、AT演出状態において遊技が行われる毎に、AT遊技数カウンタ67の記憶値から、一回分の遊技回数に相当する値「1」を減算するデクリメント処理を行う。そして、AT遊技数カウンタ67の記憶値が閾値「0」に達すると、AT演出状態の終了条件が成立したものと判断してAT演出状態を終了させ、演出状態を通常演出状態(または非有利区間演出状態)に移行させる。
【0076】
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態がボーナス成立状態である場合にAT演出状態に移行し、通常状態やボーナス状態においてはAT演出状態に移行しないようになっていてもよい。換言すると、通常状態やボーナス状態においては、例えば、AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、AT抽選を行わないようにしてもよい。
【0077】
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がボーナス成立状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するボーナス状態の終了後に通常状態を経由して再びボーナス成立状態に移行するまでの間、AT演出状態(AT遊技数カウンタ67の更新)を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞するとナビ演出を止め、再びボーナス成立状態に移行するとナビ演出を再開させるようにしてもよい。
【0078】
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が通常区間に移行する際に、ナビ演出に係る情報として記憶手段60のRAMに記憶されている情報を初期化するナビ情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値、差枚数カウンタの記憶値、ATフラグ記憶領域66に記憶された情報等のナビ演出に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、AT遊技数カウンタ67の記憶値、投入数記憶領域68の記憶値、払出数記憶領域69の記憶値等を初期化する。すなわち、ナビ演出(指示機能)に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、初期化手段48が、設定値が変更された際に行う上述の初期化処理を行うと、ここで示したナビ演出に係る情報も初期化されるようになっている。
【0079】
演出制御手段100は、演出状態がAT演出状態である場合に、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助するナビ演出を液晶表示装置200およびスピーカ14等の演出装置に実行させる制御を行う。ナビ演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると必ずベルBまたはベルCが入賞して7枚のメダルを獲得することができるようになっている。
なお、ナビ演出を行う場合には、遊技情報表示部の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
【0080】
図8(a)に示す液晶表示装置200(表示手段)は、リール20a~20cを備えるリールユニットの前方側に配置されている。液晶表示装置200は、その表示面に表示物(演出画像)を表示させることにより、演出を実行可能となっている。液晶表示装置200は、遊技の演出に関する表示物や遊技の情報に関する表示物等を表示可能となっている。液晶表示装置200の前面側には、板状の液晶保護ガラス(図示せず)が配置されている。
【0081】
図8(b)および図8(c)に示すように、液晶表示装置200(液晶ディスプレイ)は、透過型の液晶パネル210と、液晶パネル210を背面側から照明するバックライト220と、を備えている。図8(b)に示すように、液晶パネル210は、四角形状に形成されており、正面(前方)から見た場合にリール20a~20cと重畳する部分(範囲)である第1表示領域211と、正面から見た場合にリール20a~20cと重畳しない部分(範囲)である第2表示領域212と、を備えている。換言すると、リール窓16(図8(a))の内側に対応する表示領域(第1表示領域211)と、リール窓16の外側に対応する表示領域(第2表示領域212)と、を備えている。
【0082】
ここで、隣り合うリール20aとリール20bとの間の領域を第1の隙間とし、隣り合うリール20bとリール20cとの間の領域を第2の隙間とする。本実施形態では、液晶パネル210について、正面(前方)から見た場合にリール20a~20cと重畳する部分(第1表示領域211)という場合、正面から見た場合に第1の隙間および第2の隙間と重畳する部分が含まれないものとするが、当該部分が含まれるものとしてもよい。換言すると、本実施形態では、正面から見てリール間の隙間と重なる部分は、第1表示領域211に含まれず、第2表示領域212となっているものとするが、当該部分が第1表示領域211となっていてもよい。
【0083】
第1表示領域211(透過領域)は、表示物を表示可能であるとともに、その後方側に配置されているリール20a~20c(各リールの上段図柄、中段図柄および下段図柄)の視認が可能となるように形成されている。換言すると、第1表示領域211における表示物の表示態様によって、リール20a~20cの視認性が変化するようになっている。
【0084】
第2表示領域212は、液晶パネル210の表示領域のうち第1表示領域211を除く表示領域であり、第1表示領域211を囲むように形成されている。なお、第1表示領域211は、第2表示領域212よりも後方側に窪んでいて、窪みの深さが例えば1mm程度となっていてもよい。第1表示領域211と第2表示領域212とは、それぞれに異なる表示物を表示可能であるとともに、双方に亘って(双方に跨って)1つのまとまりのある表示物を表示可能となっている。
【0085】
液晶パネル210は、液晶層、配向膜、透明電極、カラーフィルタ、ガラス基板および偏光フィルタ等を備えて形成され、複数層構造を有している。カラーフィルタとしては、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の領域が画素毎に設けられたものが用いられる。
【0086】
バックライト220は、図示を省略するが、四角形の板状に形成された導光板や、導光板に光を入射する光源(LED)等を備えている。光源は、例えば、導光板の端部に沿って配置されている。光源の光が導光板に入射すると、導光板は面発光するようになっている。また、バックライト220は、第1表示領域211に対応する領域に、厚さ方向に貫通するように形成された開口部221を備えている。換言すると、バックライト220における第1表示領域211に対応する領域は、第1表示領域211と同形・同大の大きさでくり抜かれている。このため、第2表示領域212の背面側にはバックライト220が存在しているが、第1表示領域211の背面側にはバックライト220が存在していない状態となっている。
【0087】
図示を省略するが、リール20a~20cの内側には、停止した各リールにおける上段図柄、中段図柄および下段図柄に向かって光を照射するリールバックライトが設けられている。このリールバックライトは、第1表示領域211の背後からの照明をも担っている。換言すると、リールバックライトが、液晶パネル210(第1表示領域211)のバックライトとしても機能し、第1表示領域211を背面側から照射するようになっている。
【0088】
液晶表示装置200(液晶パネル210)に表示される表示物は、描画素材(素材画像)が配置された複数のレイヤを重ね合わせて形成された合成画像となっている。図9は、各演出に対応する素材画像が配置されるレイヤの概念を示す図である。
【0089】
液晶表示装置200に表示される演出画面は、例えば1秒間が30コマ(以下、フレームという)で構成されている(いわゆる30fpsのフレームレート)。したがって、例えば1分間の長さを持った演出パターンの場合、その演出画面は全体で60秒×30フレームの計1800フレームにより成り立っている。図9には、その最小単位に当たる1つのフレームを構成するレイヤ構造が示されている。
【0090】
各フレームの実体は、複数の素材画像が重ね合わせられた1つの合成画像である。各フレーム内には仮想的な透明のレイヤがN枚存在し、各レイヤに各種素材画像が配置される。重ね合わせられる個々の素材画像には優先度が設定されており、優先度のより低い素材画像が下位のレイヤに配置され、優先度のより高い素材画像が上位のレイヤに配置される。
なお、各フレームを成す合成画像は、N枚全てのレイヤに素材画像を配置することにより構成することが可能であるが、演出の内容に応じて各合成画像を構成する素材画像の数は変動し、必ずしもN枚全てのレイヤに素材画像を配置することにより構成されるものではない。また、合成画像を構成する素材画像が配置される際に、レイヤが必ずしも空き番なく下位から詰めて使用されるとは限らず、フレーム画像の合成処理における効率等を考慮してレイヤが使用されるため、不使用のレイヤが中間部分に適宜発生し得る。
【0091】
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い素材画像から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の素材画像で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)素材画像が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)素材画像が、優先順位5位の素材画像が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。このようにして優先度に従い素材画像が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)素材画像が優先順位2位の素材画像が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての素材画像を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として液晶表示装置200に表示される。換言すると、合成画像を液晶表示装置200で見た場合、下位のレイヤに配置された素材画像は、上位のレイヤに配置された素材画像に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、液晶表示装置200における表示上の優先度が高いといえる。
【0092】
なお、各合成画像の描画処理は、サブ側記憶手段72のVRAM内の1領域であるフレームバッファを用いて実行される。新たな素材画像を上位のレイヤに描画することは、新たな素材画像をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを意味する。あるフレームを構成する素材画像を優先度の低い方から順にフレームバッファに描画していき、全ての素材画像を描画し終えると、フレームバッファ上に完成した合成画像が当該フレームの画像(表示物)として液晶表示装置200に表示されることとなる。なお、素材画像は、サブ側記憶手段72の素材画像記憶領域(ROM)に記憶されている。
【0093】
優先度の低い素材画像は、その上から優先度のより高い素材画像が重ねて描画されることにより、その一部又は全部が視認できない場合がある。ただし、各素材画像の透過率(透明度)を設定可能としてもよい。上位に重ねられる素材画像に設定された透過率が0%(透明度が0)(すなわち完全に不透明)でない場合、透過率(透明度)の度合いに応じて、その下位側に隠れた素材画像がフレーム画像において視認できる場合がある。
【0094】
なお、1枚のレイヤに1個の素材画像が配置されることとしてもよく、1枚のレイヤに複数の素材画像が配置されることとしてもよい。
【0095】
演出サブ制御手段70は、所定の演出の実行に伴い、所定の画像(素材画像)を所定のレイヤに配置し、表示物を液晶表示装置200に表示させる。ここでいう「配置」とは、液晶表示装置200への表示を行う際に、該当するレイヤを使用して描画がされることとも言える。
【0096】
演出サブ制御手段70は、遊技の進行状況に応じてリール20a~20cの前方に設けられた第1表示領域211に表示物を表示させる演出(リール前演出)を実行可能である。リール前演出が実行され、第1表示領域211に表示物が表示されると、リール20a~20cの視認性(視認態様)が変化する。なお、リール前演出という場合、第1表示領域211(のみ)に表示物が表示されるものに限らず、第1表示領域211および第2表示領域212(第1表示領域211を含む表示領域)に表示物が表示されるものであってもよい。リール前演出には、遊技中に実行され、所定の役が当選した可能性を示唆するものや、非遊技中に実行され、遊技の結果を報知するもの、遊技を盛り上げるためのもの等がある。
【0097】
図10(a)に示すように、第1表示領域211には、第1リール20aの上段に対応する表示領域D11と、第1リール20aの中段に対応する表示領域D12と、第1リール20aの下段に対応する表示領域D13と、第2リール20bの上段に対応する表示領域D21と、第2リール20bの中段に対応する表示領域D22と、第2リール20bの下段に対応する表示領域D23と、第3リール20cの上段に対応する表示領域D31と、第3リール20cの中段に対応する表示領域D32と、第3リール20cの下段に対応する表示領域D33と、がある。なお、図10(b)は、正面から見てリール間の隙間と重なる部分も第1表示領域211となっている場合における各表示領域の割り当てを示している。図10(a)に示す場合であっても、図10(b)に示す場合であっても、上段と中断との間、および中断と下段との間には隙間は形成されない。
【0098】
図10(c)に示すように、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの中段とによって有効ラインLNが構成されている。第1表示領域211のうち、有効ラインLNに対応する表示領域を有効ライン上の表示領域とすると、有効ライン上の表示領域は、表示領域D12、表示領域D22および表示領域D32となる。また、有効ライン上の表示領域以外の表示領域を特定領域(無効ライン上の表示領域)とすると、特定領域は、表示領域D11、表示領域D13、表示領域D21、表示領域D23、表示領域D31および表示領域D33となる。なお、本実施形態の遊技機では1つの有効ラインLNが設けられているものとしたが、有効ラインLNは複数設けられていてもよい。
【0099】
本実施形態の遊技機では、リール前演出が実行される場合に、リール20a~20cが回転しているか否かに基づき第1表示領域211に表示される表示物の透過性(透過率)が制御される。ここで、すべてのリール20a~20cの回転が停止している状態をリール停止状態とし、リール20a~20cのうちの少なくとも1つのリールが回転している状態をリール回転状態とする。
【0100】
(リール回転状態)
本実施形態の遊技機は、リールが回転している間(リール回転状態)に実行されるリール前演出では、リールの回転が停止している間(リール停止状態)に実行されるリール前演出よりも、第1表示領域211に表示される表示物(リール前演出に係る表示物)の透過性を高くすることができる。
【0101】
図11(a)は、リール回転状態である場合に所定のリール前演出が実行された状態を示しており、第1表示領域211(表示領域D31)に表示される表示物の透過率が所定の値(0%を除く所定の値:例えば透過率30%)に設定(制御)されている。換言すると、第1表示領域211に表示される表示物が透過性を有するように設定されている。さらに換言すると、第1表示領域211に表示される表示物は、その背後のリール(図柄)が視認可能となる表示態様で表示される。所定の値とは、表示物の背後に位置(存在)するリールの視認が可能となる値であり、固定値に限らず、表示される表示物の色等に応じて適宜設定可能となっている。
【0102】
透過性を有する表示物が第1表示領域211に表示された場合、正面から見て、表示物が視認可能であるとともに、表示物の後方(背後)に位置するリールが視認可能な状態となる。換言すると、表示物とリールとが重なって視認される。仮にリールの回転中に透過率0%の表示物が第1表示領域211に表示された場合、リールの視認性が阻害され、遊技者が狙うべき図柄とは異なる図柄を狙ってリールの回転を停止させてしまう(目押しミス)等、遊技者が不利益を被るおそれがある。本実施形態では、リールが回転している間に表示物を第1表示領域211に表示させる場合、当該表示物が透過性を有するものとなるように制御される。このため、リールの視認が不可能となることがなく、遊技者が不利益を被る可能性を低減できる。
【0103】
(リール停止状態)
本実施形態の遊技機は、リールの回転が停止している間(リール停止状態)に実行されるリール前演出では、第1表示領域211に、表示物(リール前演出に係る表示物)を、透過性を高めることなく表示できる。換言すると、第1表示領域211に表示される表示物を、透過性を有さない(透過性を有していない)ものとすることができる。
【0104】
図11(b)は、リール停止状態である場合に所定のリール前演出が実行された状態を示しており、第1表示領域211(表示領域D31)に表示される表示物の透過率が0%(完全に不透明)に設定されている。換言すると、第1表示領域211に表示される表示物が透過性を有さないように設定されている。さらに換言すると、第1表示領域211に表示される表示物は、その表示物の背後に位置するリールが視認不可能(視認困難)となる表示態様で表示される。なお、表示物の透過率が0%となっていればよく、第1表示領域211に実際に表示された際に、表示物の背後のリールが全く透けて見えないものとなっていなくてもよい。換言すると、表示物の透過率が0%となっていても、例えば表示物が明るい場合等、表示物を介してリールが透けて見える場合があってもよい。
【0105】
透過率0%の表示物が第1表示領域211に表示されると、正面から見て、表示物の後方側(背後)に位置するリールは視認困難な状態となる。この場合、リールの回転が停止しているため、表示物の背後に位置するリールが視認できない状態となっても遊技者にとって不利益となる可能性は低い。したがって、リールの回転が停止している状態では、第1表示領域211に表示される表示物を、鮮明な表示物(見やすい表示物)とすることで、遊技の興趣を向上させることができる。
【0106】
なお、本実施形態では、リール前演出が実行される場合に、リールが回転しているか否かに基づき第1表示領域211に表示される表示物の透過性(透過率)が制御されるとしたが、リール前演出が実行される場合に、遊技中であるか否かに基づいて第1表示領域211に表示される表示物の透過率が制御されるとしてもよい。
【0107】
この場合、遊技中にリール前演出が実行される場合、第1表示領域211に表示される表示物を、透過性を有するものとすることができ、非遊技中にリール前演出が実行される場合、第1表示領域211に透過性を有さない表示物を表示させることができる。遊技中は例えば、有効化されたスタートレバー24が操作されて遊技が開始されてから、ストップボタン26a~26cが操作されてリール20a~20cの回転が停止するまでの期間としてもよい。また、遊技中には、リール20a~20cの回転が停止して当選役に入賞したと判定された場合における、入賞した当選役に対応する処理(すなわち入賞処理)が完了するまでの期間が含まれるとしてもよい。また、遊技の開始を、メダル投入口22にメダルが投入された時点またはベットボタン23が操作(押下)された時点としてもよい。
【0108】
表示物が透過性を有するという場合、表示物の透過率が100%である場合が含まれる。第1表示領域211に表示される表示物が透過率100%である場合、当該表示物は視認できない状態となる。
【0109】
なお、図8(b)で示した第2表示領域212には透過率0%の表示物(透過性を有さない表示物)が表示される。
【0110】
(表示物の透過率の制御)
次に第1表示領域211に表示される表示物の透過率を制御する方法について説明する。(1)レイヤに配置される画像(素材画像)ごとに透過率の設定が可能である場合、画像ごとに透過率を設定する方法がある。なお、1つの画像について透過率の異なる複数の画像がサブ側記憶手段72の素材画像記憶領域(ROM)に記憶されており、画像をレイヤに配置する際に、所定の透過率を有する画像が適宜選択されるようになっていてもよい
【0111】
また、(2)画像が配置されるレイヤごとに透過率の設定が可能である場合、レイヤごとに透過率を設定する方法がある。この場合、仮に1つのレイヤに複数の画像が配置されている状態でそのレイヤの透過率を設定した場合、当該複数の画像の透過率が一度に同じ値に設定される。
【0112】
また、(3)所定の画像の上に、透明度が所定の値に設定された透過制御素材(透過素材)を重ねて、表示物の透過率を設定する方法がある。図12では、所定の画像SAが所定のレイヤ(下位の所定レイヤ)(第1レイヤ)に配置され、透過制御素材Cが、画像SAが配置されているレイヤよりも優先度が高い(上位の)レイヤ(上位の所定レイヤ)(第2レイヤ)に、画像SAの表示物SB(画像SAの少なくとも一部)と重なるように配置されている。透過制御素材Cは、下位のレイヤにおける重なる位置に配置されている表示物の透過率を制御(決定)するのに用いられ、本実施形態では白色の平面画像(白平面)となっている。また、透過制御素材Cは、透明度を設定することが可能となっている。なお、透過制御素材Cよりも下位のレイヤの表示物(下位のすべてのレイヤの合成画像)の透過率は0%となっている。
【0113】
透過制御素材Cの透明度が0%(不透明度100%)に設定された場合、透明度0%の透過制御素材Cが配置されている範囲は、各画素のRGBが最大輝度(R:255、G:255、B:255)となるように制御される。換言すると、液晶の光の透過性が最も高い状態(最大透過状態)となるように制御される。これにより、第1表示領域211において透明度0%の透過制御素材Cが配置されている範囲は、表示物が視認されずに透明に視認され、リールのみが視認される状態となる。本実施形態では、このとき、表示物の透過率が100%となっているとする。
【0114】
透過制御素材Cの透明度が例えば70%(不透明度30%)に設定された場合、透明度70%の透過制御素材Cが配置されている範囲は、液晶の光の透過性が所定の値(最大透過状態よりも低い値)となるように制御される。これにより、第1表示領域211において透明度70%の透過制御素材Cが配置されている範囲は、透過率30%の表示物が視認され、かつ表示物の背後に位置するリールが視認可能な状態となる。
【0115】
なお、図12では、透過制御素材Cに覆われる表示物を1つ(表示物SB)としたが、当該表示物は複数であってもよい。
【0116】
(透過制御素材)
各レイヤについて、図13に示すように、図10(a)で示した表示領域D11に対応する位置を位置P11とする。また、表示領域D12に対応する位置を位置P12とする。また、表示領域D13に対応する位置を位置P13とする。また、表示領域D21に対応する位置を位置P21とする。また、表示領域D22に対応する位置を位置P22とする。また、表示領域D23に対応する位置を位置P23とする。また、表示領域D31に対応する位置を位置P31とする。また、表示領域D32に対応する位置を位置P32とする。また、表示領域D33に対応する位置を位置P33とする。また、第1表示領域211の表示領域全体(リール窓全体)に対応する位置を位置PAとする。
【0117】
本実施形態では、10個の透過制御素材Cが用意されている。図14に示すように、透過制御素材Cについて、表示領域D11に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P11に配置(描画)される透過制御素材Cを透過制御素材C11とする。また、表示領域D12に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P12に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C12とする。また、表示領域D13に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P13に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C13とする。また、表示領域D21に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P21に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C21とする。また、表示領域D22に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P22に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C22とする。また、表示領域D23に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P23に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C23とする。また、表示領域D31に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P31に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C31とする。また、表示領域D32に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P32に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C32とする。また、表示領域D33に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置P33に配置される透過制御素材Cを透過制御素材C33とする。また、第1表示領域211の表示領域全体(リール窓全体)に対応する大きさを有し、所定のレイヤの位置PAに配置される透過制御素材Cを透過制御素材CAとする。
【0118】
図11(a)では、リール回転状態である場合に所定のリール前演出が実行され、透過性を有する表示物(透過率30%)が表示領域D31に表示された状態を示したが、この透過性を有する表示物は、例えば、所定のレイヤの位置P31(図13)に画像(第1表示領域211に表示される表示物に係る第1画像)が配置され、かつ当該レイヤよりも上位のレイヤの位置P31に透明度が70%に設定された透過制御素材C31(図14)が配置されることにより、生成(実現)されている。なお、透過制御素材C31が配置される代わりに、リール窓全体の大きさに対応する透過制御素材CA(図14)が配置されてもよい。その場合、第1表示領域211において、透過制御素材CAに覆われるその他の表示物が存在する場合、当該表示物も透過率30%となる。また、所定のレイヤにおける位置P21と位置P31とに跨って画像(表示物に係る画像)が配置される場合、当該レイヤよりも上位のレイヤにおける位置P21および位置P31に透明度が所定の値(例えば70%)に設定された透過制御素材C21および透過制御素材C31が配置され、透過性を有する表示物(例えば透過率30%)が表示されるようにしてもよい。
【0119】
ここで、本実施形態の遊技機は3つのリールを備えているものとしたが、4つのリールを備えているものとしてもよい。遊技機が、4つのリール(第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cおよび第4リール20d)を備えている場合、図15(a)に示すように、第1表示領域211には、第1リール20aの上段に対応する表示領域D11と、第1リール20aの中段に対応する表示領域D12と、第1リール20aの下段に対応する表示領域D13と、第2リール20bの上段に対応する表示領域D21と、第2リール20bの中段に対応する表示領域D22と、第2リール20bの下段に対応する表示領域D23と、第3リール20cの上段に対応する表示領域D31と、第3リール20cの中段に対応する表示領域D32と、第3リール20cの下段に対応する表示領域D33と、第4リール20dの上段に対応する表示領域D41と、第4リール20dの中段に対応する表示領域D42と、第4リール20dの下段に対応する表示領域D43と、がある。
【0120】
また、図15(b)に示すように、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの中段と、第4リール20dの中段とによって有効ラインLNが構成されているものとする。なお、図15(b)では有効ラインLNが1つ設けられているものとしたが、有効ラインLNは複数設けられていてもよい。
【0121】
第1表示領域211のうち有効ラインLNに対応する表示領域を有効ライン上の表示領域とすると、有効ライン上の表示領域は、表示領域D12、表示領域D22、表示領域D32および表示領域D42となる。また、有効ライン上の表示領域以外の表示領域を特定領域(無効ライン上の表示領域)とすると、特定領域は、表示領域D11、表示領域D13、表示領域D21、表示領域D23、表示領域D31、表示領域D33、表示領域D41および表示領域D43となる。
【0122】
なお、図示は省略するが、4つのリールを備える遊技機の場合、図15(a)で示した第各表示領域に対応する透過制御素材Cと、リール窓全体に対応する透過制御素材CAと、が用意されていてもよい。
【0123】
(常時表示演出)
本実施形態の遊技機では、無効ライン上の表示領域(特定領域)のうちの少なくとも1つの表示領域に、所定の表示物(表示物Tとする)を表示させるリール前演出(常時表示演出とする)が実行される場合がある。以下、常時表示演出について、遊技機が4つのリールを備える場合を例に説明する。
【0124】
図16(a)は、リール停止状態(非遊技中)である場合に常時表示演出が実行され、無効ライン上の表示領域(表示領域D41および表示領域D43)に、透過性を有さない表示物Tが表示された状態を示している。本実施形態では、表示物Tは、横長の四角形状を有する黒色の表示であって、キャラクタの顔や文字(例えば、機種名等の当該機種に関する情報)等を含むものとなっている。
【0125】
図16(b)は、図16(a)で示した常時表示演出が実行されている間にリールの回転が開始された場合の一例を示すもので、リール回転状態となっても無効ライン上の表示領域における透過性を有さない表示物Tの表示が継続されている状態を示している。換言すると、リール回転状態であっても、無効ライン上の表示領域であれば透過性を有さない表示物Tを表示させることが可能となっている。リール回転状態である場合に(遊技中に)透過性を有さない表示物Tが表示されることでリールの視認性が阻害されるが、表示物Tが無効ライン上の表示領域に表示される場合、表示物Tが有効ライン上の表示領域に表示される場合に比べて遊技者が不利益を被る可能性が低い。そこで、リール回転状態(遊技中)において、無効ライン上の表示領域の表示物を鮮明な表示とし、遊技者にとって見やすい表示とすることができる。
【0126】
図16(c)は、図16(a)で示した常時表示演出が実行されている間にリールの回転が開始された場合の一例を示すもので、無効ライン上の表示領域に表示させていた透過性を有さない表示物Tが、リール回転状態となったことに基づき透過性を有する表示物Tとなった状態を示している。このときの表示物Tの透過率を30%とすると、透過率30%の表示物Tは、例えば、透明度70%の透過制御素材C(表示領域D41に対応する透過制御素材Cおよび表示領域D43に対応する透過制御素材C)を重ねることによって実現される。リールの回転が開始したことに基づき、表示物Tが透過性を有するものとなることで、遊技者は、表示物Tの背後に位置するリールを視認することができる。
【0127】
なお、無効ライン上の表示領域に表示物Tを表示させる常時表示演出は、4つのリールを有する遊技機に限らず、3つのリールを有する遊技機において実行されてもよい。また、常時表示演出は、例えば他の所定の演出の実行に伴い中断される(実行されない状態となる)ものであってもよく、当該他の所定の演出は、遊技機において遊技者が遊技を行っていない状態が所定時間にわたって継続した場合に実行されるデモ演出としてもよい。
【0128】
(操作契機演出)
リール前演出には、遊技開始後の所定のストップボタンの操作(停止操作)に基づき、表示物(表示物Uとする)を所定の表示領域に表示させる演出(操作契機演出)がある。本実施形態では、図17(a)に示すように、表示物Uは、黒色の表示(少なくとも一部に黒色を含む)であり、キャラクタの顔を表す表示となっている。なお、表示物Uは、記号、符号、しるし等のマークを表す表示であってもよい。また、黒色以外の色であってもよい。
【0129】
(表示物Uが第1表示領域に表示される場合)
図17(b)は、ストップボタンの停止操作(例えば第1停止操作)に基づき操作契機演出が実行され、第1表示領域211における所定の表示領域(表示領域D21)に、表示物Uが表示された状態を示している。リール回転状態(遊技中)であることに基づき、表示物Uは透過性を有するように制御される。
【0130】
ここで、常時表示演出(表示物Tを表示させる演出)が実行されている状態で遊技が開始され、表示物Uを表示させる操作契機演出が実行されたとし、表示物Uが透過性を有するように制御される一方、表示物Tは透過性を有さないままとされた場合(表示物Uと表示物Tの透過率が異なる場合)、第1表示領域211において、透過率が異なる表示物が表示されることによって遊技者が違和感を抱くおそれがある。
【0131】
本実施形態の遊技機では、操作契機演出の実行に基づき透過性を有する表示物Uを所定の表示領域(表示領域D21)に表示させる際に、特定領域(無効ライン上の表示領域)に透過性を有さない表示物T(表示物Uと透過率が異なる表示物T)を表示させている場合、表示物T(第1表示物)の透過率が表示物U(第2表示物)の透過率と同じ透過率となるように制御される(表示物Tが透過性を有する表示物となるように制御される)。したがって、図17(b)に示すように、表示物Uの透過率が30%である場合には、表示物Tの透過率も30%となる。表示物Tの透過率と表示物Uの透過率がともに30%となり、両表示物が同等の視認性(透過性)となることで、両表示物の視認性が異なることに基づき遊技者が違和感を抱くおそれを低減できる。なお、表示物Uを表示させる場合に、無効ライン上の表示領域であって、表示物Uとは異なる表示であることに基づき、表示物Tを、透過性を有さない表示のままとしてもよい。
【0132】
表示物Tの透過率と表示物Uの透過率を同じ透過率(30%)とする方法としては、表示物Tが配置されているレイヤおよび表示物Uが配置されているレイヤよりも上位のレイヤに、透明度70%の透過制御素材Cを配置するものがある。この場合、表示物Tに透過制御素材C33(図14)を重ね、かつ表示物Uに透過制御素材C21(図14)を重ねてもよく、あるいは表示物Tおよび表示物Uにリール窓全体の大きさに対応する透過制御素材CA(図14)を重ねてもよい。
【0133】
また、操作契機演出の実行に基づき表示される表示物Uの数は1つに限らず、複数であってもよい。また、最後のストップボタンの停止操作(第3停止操作)に基づき操作契機演出が実行されて表示物Uが表示されてもよく、その場合に、表示される表示物Uの大きさが大きいほど、遊技者に特典が付与される期待度が大きいとしてもよい。
【0134】
(表示物Uが第1表示領域と第2表示領域とに跨って表示される場合)
図18は、ストップボタンの停止操作(例えば第1停止操作)に基づき操作契機演出が実行され、第1表示領域211における所定の表示領域(表示領域D21とする)と第2表示領域212とに跨る位置に、表示物Uが表示された状態を示している。このとき、表示物Uのうち第1表示領域211に表示される部分を部分Xとすると、部分Xが透過性を有するように制御される。
【0135】
部分Xを所定の透過率(透過率30%)とする方法としては、表示物Uが配置されているレイヤよりも上位のレイヤに、透明度70%の透過制御素材Cを配置するものがある。この場合、部分Xに透過制御素材C21(図14)を重ねてもよく、あるいは部分Xに透過制御素材CA(図14)を重ねてもよい。第1表示領域211と第2表示領域212とに跨る表示物Uを表示させる場合に、部分Xに透過性を持たせることで、その背後に位置するリール(図柄)の視認が可能となる。これにより、リールの視認性が阻害されるのを防止できる。
【0136】
なお、表示物Uのうち、第2表示領域212に表示される部分は、透過制御素材Cに覆われず、表示物Uに設定された色(本例では黒色)がそのまま表示される。また、表示物Uが、第2表示領域212のうち正面から見てリール間の隙間に対向する部分と、第1表示領域211とに跨って表示される場合も、上記と同様としてもよい。
【0137】
(有効ライン上の表示領域)
遊技中(リール回転状態である場合)に、所定のレイヤにおける有効ライン上の表示領域に対応する位置(例えば図13で示した位置P12、位置P22および位置P23)に、透過制御素材C(例えば図14で示した透過制御素材C12、透過制御素材C22および透過制御素材C32)が配置され、各透過制御素材Cの透明度は0%に設定される。また、非遊技中(リール停止状態である場合)には、当該各透過制御素材Cの透明度が所定の値(例えば70%)に設定される。
【0138】
この場合、遊技中に有効ライン上の表示領域に表示される表示物の透過率が100%となり、有効ライン上の表示領域が透明に視認され、リール(図柄)の視認性が確保される。また、非遊技中に(リール停止状態である場合に)、有効ライン上の表示領域に表示される表示物は所定の透過率(例えば30%)となるため、当該表示物とともに、有効ライン上に表示された図柄が視認可能となる。
【0139】
(無効ライン上の表示領域)
遊技中(リール回転状態である場合)に、所定のレイヤにおける無効ライン上の表示領域に対応する位置に(図13で示した位置P11、位置P13、位置P21、位置P23、位置P31および位置P33)に、透過制御素材C(図14で示した透過制御素材C11、透過制御素材C13、透過制御素材C21、透過制御素材C23、透過制御素材C31および透過制御素材C33)が配置され、各透過制御素材Cの透明度が所定の値(例えば70%)に設定されるとしてもよい。この場合、遊技中に無効ライン上の表示領域に表示される表示物の透過率が所定の値(30%)となり、当該表示物の背後に位置するリール(図柄)の視認が可能となる。
また、非遊技中(リール停止状態である場合)にも、当該各透過制御素材C(透明度70%)の配置が継続されるとしてもよく、その場合、非遊技中に、無効ライン上の表示領域と有効ライン上の表示領域とで同じ透過率(例えば30%)の表示物を表示させることが可能となる。
【0140】
図19は、遊技中に、透過制御素材Cが上記態様で配置されている状態で操作契機演出が実行され、複数の表示物Uが表示された状態を示している。表示位置が有効ライン上の表示領域である表示物Uは視認されないが、表示位置が無効ライン上の表示領域である表示物U(透過率30%)や、表示位置が第2表示領域212である表示物U(100%)は視認される。
【0141】
また、遊技中(リール回転状態である場合)は、所定のレイヤにおける位置PA(図13)に透明度0%の透過制御素材CA(図14)が配置され、第1表示領域211全体が透明に視認され、リール(図柄)の視認性が確保されるようにしてもよい。また、この場合に、遊技が終了したこと(リール停止状態となったこと)に基づき、所定の透明度(例えば70%)の透過制御素材CAが配置され、第1表示領域211に所定の透過率(例えば30%)の表示物が表示されるようにしてもよい。
【0142】
(継続演出)
リール前演出には、複数回の遊技にわたって実行される演出(継続演出)がある。ここで、継続演出が実行され、第1表示領域211と第2表示領域212とに跨る表示物(表示物Vとする)が表示されているものとする。遊技が開始されたこと(リールの回転が開始したこと)に基づき、所定のレイヤにおける位置PAに透明度0%の透過制御素材CA(リール窓全体サイズ)が配置されると、第1表示領域211が透明に視認され、表示物Vの一部が表示されない状態となる。換言すると、表示物Vが第2表示領域212のみに表示される状態となる。また、当該遊技においてリールの回転が停止したことに基づき(最後のストップボタンの停止操作がされたことに基づき)、透過制御素材CAの透明度が70%に変更されると(透明度70%の透過制御素材CAが配置されると)、第1表示領域211に表示物Vの一部が透過率30%で表示される状態となる。換言すると、第1表示領域211に表示物Vの一部が透過率30%で表示され、かつ第2表示領域212に表示物Vの一部が透過率0%で表示される状態となる。また、次遊技が開始されると、透過制御素材CAの透明度が0%に変更されて(透明度0%の透過制御素材CAが配置されて)、再び第1表示領域211が透明に視認され、表示物Vの一部が表示されない状態となる。なお、継続演出が実行される場合の遊技中において、第1表示領域211のうちの有効ライン上の表示領域は透明に視認され、かつ無効ライン上の表示領域では表示物Vが所定の透過率(例えば30%)で表示されるようにしてもよい。
【0143】
なお、上述の説明において、リール窓全体の大きさを有する透過制御素材CAが配置されるとした箇所について、当該透過制御素材CAの代わりに、第1表示領域211の各表示領域に対応するすべての透過制御素材C(3リールの場合は9個の透過制御素材C)が配置される、としてもよい。リール間の隙間に対向する部分が第2表示領域212ではなく、第1表示領域211となっている場合において、透過制御素材CAの代わりに9個の透過制御素材Cを配置した場合、リールに対向する部分に透過性を有する表示物を表示させつつ、リール間の隙間に対向する部分には、透過性を有さない表示物を表示させることが可能となる。
【0144】
(画像の透過率を揃える制御)
本実施形態では、第1表示領域211に表示される表示物の透過率を制御する方法の1つとして、表示物に係る画像に透過制御素材Cを重ねる方法を示した。透過制御素材Cの透明度が70%に設定されると、透過制御素材Cに覆われている表示物の透過率は30%となる。また、透過制御素材Cの透明度が80%に設定されると、透過制御素材Cに覆われている表示物の透過率が20%となる。透過制御素材Cの透明度は、第1表示領域211に表示させる表示物の色に基づいて決定される。例えば、表示物に黒色の部分が比較的多く含まれる場合、表示物の透過率を比較的高い透過率(30%)とすることが決定され、透過制御素材Cの透明度が70%に設定される。また、表示物に含まれる黒色の部分が比較的少ない場合、表示物の透過率を比較的低い透過率(20%)とすることが決定され、透過制御素材Cの透明度が80%に設定される。
【0145】
本実施形態の遊技機では、所定のリール前演出の実行に基づき透過性を有する表示物が第1表示領域211に表示されている状態で、別のリール前演出が実行され、別の透過性を有する表示物を第1表示領域211に表示させる場合がある。換言すると、複数種類のリール前演出が同時に(重複して)実行される場合がある。その場合に、第1表示領域211に表示させる各表示物の透過率が異なる場合、各表示物の透過率が同じ透過率となるように制御される。このとき、すべての表示物の透過率が、透過率が最も高く設定されている表示物の透過率と同じ透過率となるように制御される。例えば、透過率の高い表示物(例えば、第1のリール前演出に係る表示物)と低い表示物(例えば、第2のリール前演出に係る表示物)との2つの表示物がある場合、透過率が低い方の表示物の透過率が、透過率が高い方の表示物の透過率と同じ透過率となるように制御される。
【0146】
透過率20%の表示物(表示物Pとする)が表示されている状態で、さらに透過率30%の表示物(表示物Qとする)を表示させる場合、表示物Pの透過率が、表示物Qの透過率と同じ透過率となるように制御される。具体的には、表示物Pが配置されているレイヤおよび表示物Qが配置されているレイヤよりも上位のレイヤにおける位置PAに、透明度70%の透過制御素材CA(リール窓全体サイズ)が配置され、表示物Pおよび表示物Qが透過制御素材CAによって覆われる。これにより、表示物Pおよび表示物Qの透過率が30%となる。
【0147】
表示物Pに所定の透明度の透過制御素材Cを重ね、かつ表示物Qに所定の透明度の透過制御素材Cを重ねることで、表示物Pおよび表示物Qの透過率を個別に設定することは可能である。ただしその場合、各レイヤに描画する画像の数が増えるため、処理の負荷が高くなる。そのため、透過制御素材CAの配置(1つの透過制御素材の配置)に基づいて各表示物の透過率を制御する(複数の表示物の透過率を一度に決定する)場合の方が、処理負荷の増大を抑制できる。
【0148】
本実施形態の遊技機は、
外周面に複数種類の図柄が配列された複数のリールと、
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールが停止した状態で、役毎に定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されていることに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
表示手段と、
前記表示手段の表示に関する制御を行う演出制御手段と、を備え、
前記表示手段は、前方から見て前記リールと重なる範囲に形成された第1表示領域と、前方から見て前記リールと重ならない範囲に形成された第2表示領域と、を備え、
前記演出制御手段は、前記第1表示領域に表示物が表示される演出の実行を制御し、前記リールが回転している間に実行する前記演出では、前記リールの回転が停止している間に実行する前記演出よりも、前記第1表示領域に表示される表示物の透過性を高くすることができる。
【0149】
リール回転中に前記演出が実行される場合に、リール停止中に前記演出が実行される場合よりも、第1表示領域に表示される表示物の透過性を高めることで、リール前演出が実行された場合に、第1表示領域を介してのリールの視認性が低下するのを抑制できる。
【0150】
また、前記演出制御手段は、画像を所定のレイヤに配置し、複数のレイヤを重ね合わせて前記表示手段に表示物を表示させ、前記複数のレイヤには、第1レイヤと、前記第1レイヤよりも上位の第2レイヤと、が含まれ、前記第1表示領域に表示される表示物に係る画像を第1画像とすると、前記第1画像を前記第1レイヤに配置するとともに、透明度が所定の値に設定された透過素材を前記第2レイヤに、前記第1画像の少なくとも一部と重なるように配置することで、前記第1表示領域に表示される表示物の透過性を高くする。
【0151】
透明度が所定の値に設定された透過素材を第1画像に重ね、第1表示領域に表示される表示物の透過性を高める。このため、透過素材に覆われる第1画像が複数ある場合、それらに対応するすべての表示物の透過性(透過率)が一度に設定される。これにより、各画像の透過率をそれぞれ設定する手法を用いる場合に比べて、処理の負荷を低減できる。
【0152】
また、前記第1表示領域のうち前記有効ラインに対応する表示領域以外の表示領域を特定領域とすると、前記演出制御手段は、前記演出において、所定の表示物を、透過性を高めることなく前記特定領域に表示させることができる。
【0153】
所定の表示物を前記特定領域に透過性を高めることなく表示させることで、遊技の興趣を向上させることができる。
【0154】
また、前記演出制御手段は、前記リールが回転している間に前記演出を実行する場合であって、第1表示物を前記特定領域に表示させ、かつ所定の透過性を有する第2表示物を前記第1表示領域に表示させる場合、前記第1表示物の透過率を、前記第2表示物の透過率と同じとする。
【0155】
特定領域に表示される第1表示物と、第1表示領域に表示される所定の透過性を有する第2表示物とがある場合に、各表示物の透過率が異なると遊技者が違和感を抱くおそれがある。そこで、特定領域に表示される第1表示物の透過率を、第2表示物の透過率と同じとし、同等の視認性とすることで、遊技者が違和感を抱くおそれを低減できる。
【0156】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。以下、第1の実施形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0157】
図20は、液晶表示装置200の表示の一例を示すもので、所定の演出状態(通常演出状態)において所定の演出(通常演出)が実行され、液晶パネル210の表示領域に、背景表示EとUI表示Fとが表示されている状態を示している。背景表示Eは、液晶パネル210の表示領域における上方側に表示されている。本実施形態では、背景表示Eは、街並みやキャラクタ等の表示物を含む表示となっている。本実施形態の遊技機では、正面から見てリール間の隙間と重なる部分が、第1表示領域211となっているものとする。換言すると、第1表示領域211が横長の1つの四角形状となるように形成されている。
【0158】
UI表示F(ユーザーインターフェース表示)は、液晶パネル210の表示領域における下方側に表示され、遊技に関する情報を報知する表示物としての、貯留数(クレジット数)を示す貯留数情報F1や、払出数を示す払出数情報F2等を含んでいる。本実施形態では、UI表示Fは、リール20a~20cの左側、右側および下側となる位置に表示され、貯留数情報F1や払出数情報F2の他に、所定の模様を表す模様F3を含んでいる。なお、UI表示Fには、その他の表示物が含まれていてもよく、例えば、付与されたポイントが累積されて表示されるポイントカウンタ等が含まれていてもよい。
【0159】
(ウインドウ演出)
本実施形態の遊技機では、所定の遊技において、遊技者への特典の付与の期待度を示唆する表示物(ウインドウ表示)が液晶表示装置200に表示される演出(ウインドウ演出)が実行される。なお、特典としては、例えば、所定の演出状態(遊技者にとって有利な演出状態)への移行の決定等がある。ウインドウ演出は、所定の契機で実行され、例えば遊技の開始操作や所定のストップボタンの停止操作に基づき実行される。
【0160】
図21は、ウインドウ演出が実行され、ウインドウ表示G(第1特定表示)(ウインドウ画像)が表示された状態を示している。ウインドウ表示Gは、例えば、キャラクタを含む窓状の表示となっている。特典付与の期待度は、ウインドウ表示Gの大きさやウインドウ表示Gの枠の色によって示唆される。例えば、所定のウインドウ演出(ウインドウステップアップ演出)は、ウインドウ表示Gの大きさが次第に(段階的に)拡大されていき、最終的に表示されたウインドウ表示Gの大きさが大きいほど、特典付与の期待度が高くなっていてもよい。
【0161】
本実施形態では、ウインドウ演出が実行されると、図20で示した背景表示Eが暗転されるとともに、ウインドウ表示Gが暗転されずに表示される。図22に示すように、背景表示Eに係る画像(背景画像)が所定のレイヤ(レイヤ1とする)に配置されているとすると、ウインドウ演出の実行に基づき、暗転表示Hに係る暗転素材(暗転画像素材)が、レイヤ1よりも優先度の高いレイヤ(レイヤ2とする)における背景画像と重なる位置に配置される。これにより背景画像の暗転が実現される。本実施形態では、暗転素材は、液晶パネル210の全表示領域に対応する大きさを有している。このため、下位のレイヤ(レイヤ1)に配置されているすべての画像が暗転素材に覆われることとなる。なお、暗転素材は、下位のレイヤに配置される画像(背景画像等)が視認しにくくなるものであればよく、透過性を有していてもよい。また、暗転素材は、下位のレイヤに配置される画像が視認不可能となるように、透過性を有していないものであってもよい。暗転させるとは、下位レイヤの画像を視認しにくくする、あるいは視認不可能とすることであり、換言すると、下位レイヤの視認性を阻害することである。暗転は、真っ暗(真っ黒)となり下位の画像が視認されなくなるものでもよく、明るさ(色の三属性(すなわち色相、明度、彩度)における明度)を低下させるものであってもよく、実行されると暗転前に比べて黒に近くなっているものであればよい。
【0162】
また、ウインドウ表示Gに係る画像(ウインドウ画像)は、暗転素材が配置されているレイヤ2よりもさらに優先度の高いレイヤに配置される。このため、ウインドウ画像は暗転素材に覆われず、暗転しない。
【0163】
図21に示すように、暗転表示Hが表示され(背景表示Eが暗転し)、かつウインドウ表示Gは暗転せずに表示されるため、ウインドウ表示Gが背景表示E(図20)に埋もれることなく際立って表示される。これにより、遊技者をウインドウ表示Gに着目させることができる。
【0164】
また、図22に示すように、UI表示F(第2特定表示)に係る画像は、暗転素材が配置されるレイヤ2よりも優先度の高いレイヤに配置されている。したがって、ウインドウ演出の実行に伴い暗転素材がレイヤ2に配置された場合であっても、UI表示Fに係る画像は暗転素材に覆われず、暗転しない(UI表示Fの表示が継続される)。
【0165】
図21に示すように、暗転表示Hが表示され(背景表示Eが暗転し)、ウインドウ表示Gが際立たつように表示されるとともに、UI表示Fは暗転せずに表示されるため、遊技者は、ウインドウ演出の実行中であっても、遊技に関する情報(貯留数等)を把握できる。
【0166】
ウインドウ表示Gの大きさは、液晶パネル210の表示領域全体の大きさよりも小さい所定の大きさとなっている。換言すると、ウインドウ表示Gの大きさは、表示領域全体を占めるものではない。また、本実施形態では、ウインドウ表示Gの大きさは、背景表示Eの大きさよりも小さくなっている。また、ウインドウ表示Gは、全体が第2表示領域212内(液晶パネル210の表示領域における上方側の範囲内)に表示され、第1表示領域211には表示されない。
【0167】
図22に示すように、レイヤ2に配置される暗転素材は、液晶パネル210の全表示領域に対応する大きさを有しているが、暗転素材を当該大きさとする場合、他の演出等にも汎用的に用いることができ、用意する暗転素材の数を削減し、容量の圧迫を抑制できるという効果を奏する。なお、ウインドウ演出用としての暗転素材を設けてもよく、その場合、暗転素材は、少なくとも背景画像を覆うことが可能な大きさ(形状)を有していればよい。
【0168】
上述のとおり、ウインドウ演出の実行に伴い、全表示領域に対応する大きさを有する暗転素材がレイヤ2に配置されるが、その場合であっても、第1表示領域211を介してリール20a~20cの視認が可能となっている(図21参照)。換言すると、ウインドウ演出が実行された場合であっても、第1表示領域211は暗転しないようになっている。
【0169】
本実施形態の遊技機では、図22に示すように、透過制御素材CAが、暗転素材が配置されているレイヤ2よりも優先度の高い(上位の)レイヤに配置されている。透過制御素材CAは第1表示領域211(リール窓16)に対応する大きさを有しており、透明度が0%に設定されている。したがって、暗転素材における透過制御素材CAに覆われる範囲(部分)は、透過率100%となる。このため、ウインドウ演出の実行に基づき暗転素材がレイヤ2に配置された場合であっても、第1表示領域211は透明に視認されてリール20a~20cの視認が可能となる。透過制御素材CAは、第1表示領域211におけるリール20a~20cの視認を可能とする透過素材と言える。
【0170】
なお、透過制御素材CAには0%以外の透明度が設定される場合があってもよく、例えば、リールが停止している状態で実行される所定の演出において、透過制御素材CAの透明度が70%に設定され、第1表示領域211において透過率30%の暗転表示Hが表示されるようにしてもよい。
【0171】
ここで、図22に示すように、UI表示Fに係るUI画像が配置されるレイヤをレイヤ3(第1レイヤ)とする。このとき、透明度0%の透過制御素材CAは、レイヤ3よりも優先度の高いレイヤ(レイヤ4:第2レイヤ)に配置される。このため、仮にUI画像の一部が第1表示領域211に対応する位置に配置(描画)された場合であっても、その部分は透過制御素材CA(透明度0%)に覆われて透過率100%となる。これにより、UI表示Fが第1表示領域211内に表示されることによってリールの視認性が阻害されるのを抑制できる。
【0172】
ウインドウ表示Gに係るウインドウ画像は、UI画像が配置されるレイヤ3および透過制御素材CAが配置されるレイヤ4よりもさらに優先度の高いレイヤ(例えばレイヤ5)に配置されるとしてもよい。この場合、ウインドウ演出が実行された場合に、ウインドウ表示Gの表示が優先され、ウインドウ表示Gが他の表示によって遮られることがない。これにより、ウインドウ表示Gを視認しやすい表示とすることができる。
【0173】
なお、ウインドウ画像が、暗転素材が配置されるレイヤよりも上位のレイヤであって、透過制御素材CAが配置されるレイヤよりも下位のレイヤに配置されていてもよい。その場合、仮に、ウインドウ画像のうち透過制御素材CA(透明度0%)に覆われる部分が存在すると、その部分は透過率100%となる。つまり、ウインドウ演出が実行された際に、ウインドウ表示Gの一部であって、第1表示領域211に表示される部分が存在する場合、その部分は透過率100%となる。したがって、ウインドウ表示Gが第1表示領域211内に表示されることによってリールの視認性が阻害されるのを抑制できる。
【0174】
また、ウインドウ画像が、暗転素材が配置されるレイヤよりも上位のレイヤであって、UI画像が配置されるレイヤよりも下位のレイヤに配置されていてもよい。その場合、ウインドウ画像のうちUI画像に覆われる部分は視認できない状態(隠れた状態)となる。つまり、ウインドウ演出が実行された際に、ウインドウ表示Gの一部であって、UI表示Fと重なる部分はUI表示Fの表示が優先される。したがって、ウインドウ表示GによってUI表示Fが隠され、遊技者が遊技に関する情報を把握できないという事態を招くのを防止できる。
【0175】
また、所定のレイヤ(レイヤ4)に配置される透過制御素材CAとは別に、レイヤ4よりも上位の所定のレイヤに配置される透過制御素材(透過制御素材CBとする)が用意されていてもよい。透過制御素材CBは、第1表示領域211(リール窓16)に対応する大きさを有している。透過制御素材CAの透明度を0%とし、透過制御素材CBの透明度を70%とする場合、透過制御素材CAよりも下位のレイヤに配置されている画像(表示物)は透明となり、透過制御素材CAと透過制御素材CBとの間のレイヤに配置されている画像(表示物)は、透過率30%となる。仮に、ウインドウ画像の一部が透過制御素材CAと透過制御素材CBとの間のレイヤに配置された場合、その部分は透過率30%となる。
【0176】
本実施形態の遊技機は、
表示手段と、
前記表示手段の表示に関する制御を行う演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、所定の契機で第1特定表示が前記表示手段に表示される演出の実行を制御し、前記演出を実行する際に、前記表示手段に表示されている背景表示を暗転させるとともに、前記第1特定表示を暗転させずに表示させる。
【0177】
前記演出を実行する際に、背景表示が暗転し、かつ第1特定表示が暗転せずに表示されるため、第1特定表示が背景表示に埋もれることなく際立って表示される。これにより、遊技者を第1特定表示に着目させ、遊技の興趣を高めることができる。
【0178】
また、前記演出制御手段は、前記第1特定表示とは異なる第2特定表示を前記表示手段に表示させている状態で前記演出を実行する場合、前記第2特定表示を暗転させずに表示させる。
【0179】
前記演出を実行する場合に、第2特定表示が暗転せずに表示される。このため、前記演出が実行された場合であっても、所定の表示(第2特定表示)の視認性が阻害されるのを防止できる。例えば、遊技者に所定の情報を報知する所定の表示の視認性が阻害されるのを防止できる。仮に、第2特定表示がUI表示であり、UI表示が遊技に関する情報を報知する表示を含む場合、遊技者は、前記演出が実行された場合であっても、遊技に関する情報を把握できる。
【0180】
また、外周面に複数種類の図柄が配列された複数のリールを備え、前記表示手段の表示領域には、前方から見て前記リールと重なる範囲に形成された第1表示領域と、前方から見て前記リールと重ならない範囲に形成された第2表示領域と、があり、前記演出制御手段は、画像を複数のレイヤに分けて管理しており、透過素材を所定のレイヤに配置することで他のレイヤに配置された画像の透過性を高め、前記第1表示領域を介しての前記リールの視認を可能とする。
【0181】
透過素材が所定のレイヤに配置されて他のレイヤに配置された画像の透過性が高められて、第1表示領域を介してのリールの視認が可能となる。このため、第1表示領域に所定の表示(例えば暗転表示)が表示され、リールの視認性が阻害されるのを防止できる。
【0182】
また、前記演出制御手段は、前記第2特定表示に係る画像を第1レイヤに配置するとともに、前記透過素材を前記第1レイヤよりも優先度の高い第2レイヤに配置する。
【0183】
透過素材の方が第2特定表示に係る画像よりも優先度の高いレイヤに配置されるため、仮に、第2特定表示に係る画像において透過素材に覆われる部分が存在する場合、その部分は透過性を有するように設定される。このため、当該部分が第1表示領域に表示され、リールの視認性が阻害されるのを防止できる。
【0184】
上述した各実施形態では、遊技価値としてのメダルを用いて遊技を行うようにしたが、遊技価値は電気的な情報であってもよい(いわゆるメダルレスであってもよい)。この場合、当選役が入賞したときに、当選役に対応する価値量を遊技者に電気的な情報で付与すればよい。
【0185】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0186】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0187】
20a,20b,20c (複数の)リール
42 内部抽選手段
44 入賞判定手段
100 演出制御手段
200 表示手段
211 第1表示領域
212 第2表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22