(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】作業手順最適化装置、作業手順最適化方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20230418BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20230418BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/06
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021040540
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 智聖
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199150(JP,A)
【文献】国際公開第2020/165982(WO,A1)
【文献】特開2009-220996(JP,A)
【文献】特開2013-242774(JP,A)
【文献】米国特許第05913201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器の保守作業に関する作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、
前記複数の機器に各々備えられる複数の部品の接続関係を示す構成情報及び
前記複数の機器や前記複数の部品の動作状態を示す動作情報のうち、前記構成情報及び前記
動作情報を最新化する情報最新化手段と、
前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記
動作情報に基づいて
前記保守作業にかかる時間が最も短くなる最適手順を導出する手順最適化手段と
を備えることを特徴とする作業手順最適化装置。
【請求項2】
前記情報最新化手段及び前記手順最適化手段は、サーバに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業手順最適化装置。
【請求項3】
前記情報最新化手段は端末に設けられ、
前記手順最適化手段はサーバに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業手順最適化装置。
【請求項4】
前記情報最新化手段は、ポーリングによって複数の機器から最新の前記構成情報及び前記
動作情報を順次取得することによって前記構成情報及び前記
動作情報を最新化することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業手順最適化装置。
【請求項5】
前記手順最適化手段は、作業員の移動時間も考慮して最適手順を導出することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の作業手順最適化装置。
【請求項6】
複数の機器の保守作業に関する作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、
前記複数の機器に各々備えられる複数の部品の接続関係を示す構成情報及び
前記複数の機器や前記複数の部品の動作状態を示す動作情報のうち、前記構成情報及び前記
動作情報を最新化する情報最新化ステップと、
前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記
動作情報に基づいて
前記保守作業にかかる時間が最も短くなる最適手順を導出する手順最適化ステップと
を有することを特徴とする作業手順最適化方法。
【請求項7】
コンピュータである作業手順最適化装置を、
複数の機器の保守作業に関する作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、
前記複数の機器に各々備えられる複数の部品の接続関係を示す構成情報及び
前記複数の機器や前記複数の部品の動作状態を示す動作情報のうち、前記構成情報及び前記
動作情報を最新化する情報最新化手段、
前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記
動作情報に基づいて
前記保守作業にかかる時間が最も短くなる最適手順を導出する手順最適化手段
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業手順最適化装置、作業手順最適化方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には作業指示システムが開示されている。この作業指示システムは、複数の機器から成るシステムの保守時間を短縮するためのものであり、予め細かい作業に分解された作業工程を、作業者の能力や手順の優先度などの情報により組み立てて作業者に提示することで、複数の機器を対象とした作業を効率化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記作業指示システムは、機器間の移動時間を考慮していないため、組み立てられた作業工程は必ずしも最適とは言えない。また、この作業指示システムでは、作業に使用される機器や部品の物理的な構成や論理的な状態の変化を考慮していないので、組み立てられた作業工程が、実際の作業時における機器や部品の構成や状態に対して最適とならない場合がある。なお、上記機器や部品の物理的な構成とは、ある機器を構成する部品やある部品同士の物理的な接続などである。また、上記機器や部品の論理的な状態とは、ある機器や部品の動作状態などである。
【0005】
この発明は、作業手順最適化装置、作業手順最適化方法及びプログラムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、作業手順最適化装置は、作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報のうち、前記構成情報及び前記論理情報を最新化する情報最新化手段と、前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記論理情報に基づいて最適手順を導出する手順最適化手段とを備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、作業手順最適化方法は、作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報のうち、前記構成情報及び前記論理情報を最新化する情報最新化ステップと、前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記論理情報に基づいて最適手順を導出する手順最適化ステップとを有する。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータである作業手順最適化装置を、作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報のうち、前記構成情報及び前記論理情報を最新化する情報最新化手段、前記作業手順情報、前記作業時間情報、前記移動時間情報、前記構成情報及び前記論理情報に基づいて最適手順を導出する手順最適化手段として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機器間の移動時間に加え、機器や部品の物理的な構成や論理的な状態をも考慮した作業手順最適化装置、作業手順最適化方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る作業手順最適化装置の構成を示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における部品Bpの交換作業手順を示す表である。
【
図3】本発明の第1実施形態における部品Bqの交換作業手順を示す表である。
【
図4】本発明の第1実施形態における移動時間情報を示す表である。
【
図5】本発明の第1実施形態における最適手順を示す表である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る作業手順最適化装置の構成を示すシステム構成図である。
【
図7】上記作業手順最適化装置の最小構成を示す図である。
【
図8】上記最小構成の作業手順最適化装置による処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る作業手順最適化装置及び作業手順最適化方法を図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、本発明の第1実施形態に係る作業手順最適化装置及び作業手順最適化方法について、
図1~
図5を用いて説明する。第1実施形態に係る作業手順最適化装置は、
図1のシステム構成図に示す管理サーバAである。
【0012】
この管理サーバAは、通信回線Nを介して複数の機器P~Sに接続されており、プログラムに基づいて所定の機能を発揮するコンピュータである。また、詳細については後述するが、この管理サーバAは、保守用端末Tと無線通信によって接続されている。
【0013】
複数の機器P~Sについて先に説明すると、機器P~Sは図示するように一例として4台である。この機器P~Qの台数は、4台に限定されるものではなく、複数つまり2以上の自然数であればいくつでも良い。
【0014】
複数の機器P~Sは、作業員が保守作業対象とする機器であり、作業員が各々に割り当てられた専用の保守作業を行う。すなわち、第1の機器Pでは作業員が第1の保守作業を行い、第2の機器Qでは作業員が第2の保守作業を行い、第3の機器Rでは作業員が第3の保守作業を行い、第4の機器Sでは作業員が第4の保守作業を行う。
【0015】
このような複数の機器P~Sは、各々に部品Bp~Bs及び応答装置Cp~Csを備えている。すなわち、第1の機器Pは部品Bp及び応答装置Cpを備え、第2の機器Qは部品Bq及び応答装置Cqを備えている。また、第3の機器Rは部品Br及び応答装置Crを備え、第4の機器Sは部品Bs及び応答装置Csを備えている。
【0016】
第1の部品Bpは、第1の機器Pが備えている1あるいは複数の要素部品の総称である。第1の応答装置Cpは、第1の部品Bpに付帯的に設けられており、当該第1の部品Bpの位置を作業員に通知する装置である。このような第1の応答装置Cpは、例えばLED(発光ダイオード)やブザーである。
【0017】
第2の部品Bqは、第2の機器Qが備えている1あるいは複数の要素部品の総称である。第2の応答装置Cqは、第2の部品Bqに付帯的に設けられており、当該第2の部品Bqの位置を作業員に通知する装置である。このような第2の応答装置Cqは、例えばLED(発光ダイオード)やブザーである。
【0018】
第3の部品Brは、第3の機器Rが備えている1あるいは複数の要素部品の総称である。第3の応答装置Crは、第3の部品Brに付帯的に設けられており、当該第3の部品Brの位置を作業員に通知する装置である。このような第3の応答装置Crは、例えばLED(発光ダイオード)やブザーである。
【0019】
第4の部品Bsは、第4の機器Sが備えている1あるいは複数の要素部品の総称である。第4の応答装置Csは、第4の部品Bsに付帯的に設けられており、当該第4の部品Bsの位置を作業員に通知する装置である。このような第4の応答装置Csは、例えばLED(発光ダイオード)やブザーである。
【0020】
ここで、上述した複数の部品Bp~Bsは、相互に接続関係にある。例えば第1の機器Pにおける第1の部品Bpと第3の機器Rにおける第3の部品Brとは、
図1に示すように相互に接続されており、また第2の機器Qにおける第2の部品Bqと第4の機器Sにおける第4の部品Bsとは、同じく
図1に示すように相互に接続されている。
【0021】
このような複数の部品Bp~Bsの接続関係は、複数の機器P~Sにおける保守作業の進行状態に応じて順次変化する。また、複数の機器P~Sや部品Bp~Bsの動作状態は、複数の機器P~Sにおける保守作業の進行状態に応じて順次変化する。
【0022】
さらに、作業員は、複数の機器P~S間を順次移動することによって複数の保守作業を行う。作業員が複数の機器P~S間を移動するのに要する時間(移動時間)は、予め見積ることが可能である。
【0023】
このような複数の機器P~Sは、上述した複数の部品Bp~Bsの接続関係を構成情報として管理サーバAに送信する。また、複数の機器P~Sは、上述した複数の機器P~Sや部品Bp~Bsの動作状態を論理情報として管理サーバAに送信する。
【0024】
一方、管理サーバAは、上述した複数の機器P~Sを管理する装置であり、図示するようにCPU1、ストレージ2、通信装置3、入力装置4及び出力装置5を備えている。なお、これら管理サーバAの構成要素のうち、CPU1は、本発明の情報最新化手段及び手順最適化手段に相当する。また、ストレージ2は、本発明の記憶手段に相当する。
【0025】
CPU1は、図示するように通信回線Nを介して複数の機器P~Sに通信自在に接続され、またストレージ2と通信自在に別途接続されている。このCPU1は、図示するように保守情報最新化部1a及び保守手順最適化部1bを内部の機能構成要素として備えている。すなわち、保守情報最新化部1a及び保守手順最適化部1bは、CPU1が実行するプログラムによって実現される機能である。
【0026】
保守情報最新化部1aは、上述した構成情報及び論理情報を複数の機器P~Sから取得してストレージ2に記憶させることにより、ストレージ2の構成情報2b及び論理情報2cを最新化する情報最新化手段である。すなわち、保守情報最新化部1aは、複数の機器P~Sに対するポーリングによって最新の構成情報及び論理情報を順次取得し、これら最新の構成情報及び論理情報を構成情報2b及び論理情報2cとしてストレージ2に格納する。
【0027】
保守手順最適化部1bは、ストレージ2に記憶された作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dに基づいて最適手順を導出する手順最適化手段である。すなわち、保守手順最適化部1bは、作業情報2a及び移動時間情報2dに加え、保守情報最新化部1aによって常に最新化された構成情報2b及び論理情報2cを用いることにより最適手順を導出する。
【0028】
この最適手順は、複数の機器P~S間における作業員の移動時間も考慮した上で、作業員が一つの保守作業を行う際または複数の保守作業を同時に行う際に最短時間で作業を完了することができる作業手順である。
【0029】
ストレージ2は、CPU1と通信自在に接続されており、作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dを記憶する記憶手段である。作業情報2aは、作業手順、作業時間及び作業条件等から構成されており、ストレージ2に予め記憶されている。
【0030】
作業手順は、保守作業について細かなステップに分解された要素作業の手順を示すものである。
図2は、第1の機器Pにおける保守作業の作業手順の一例であり、第1の部品Bpを他の部品に交換する保守作業の作業手順を示している。また、
図3は、第2の機器Qにおける保守作業の作業手順の一例であり、第2の部品Bqを他の部品に交換する保守作業の作業手順を示している。
【0031】
作業時間は、作業員が個々の要素作業を行う際の時間である。なお、上記要素作業(ステップ)は、作業員が一度に行うことのできる最も短い作業の単位であり、例えば部品Bq~Bsの動作を停止する等が当てはまる。作業条件は、上記要素作業を行う際の条件であり、例えば「当該部品が他の部品と物理的に接続されている場合のみ実施」に関する情報である。
【0032】
構成情報2bは、複数の部品Bp~Bsの属性情報及び部品Bp~Bs間の物理的な接続関係を示す接続情報である。この部品Bp~Bs間の物理的な接続関係は、上述したように各機器P~Sにおける保守作業の進行状態に応じて順次変化する。構成情報2bは、CPU1から入力される更新指令に基づいて常に最新のものに更新される。
【0033】
論理情報2cは、複数の機器P~Sや部品Bp~Bsの動作状態を示す動作情報である。この機器P~Sや部品Bp~Bsの動作状態は、上述したように各機器P~Sにおける保守作業の進行状態に応じて順次変化する。論理情報2cは、CPU1から入力される更新指令に基づいて常に最新のものに更新される。
【0034】
移動時間情報2dは、作業員が複数の機器P~S間を移動するために必要とする時間であり、ストレージ2に予め記憶されている。
図4は、第1の機器P、第2の機器Q、第3の機器R及び第4の機器Sの移動時間の一例を示している。
【0035】
通信装置3は、保守用端末Tと無線通信自在に接続され、またCPU1と通信自在に別途接続されている。この通信装置3は、CPU1と保守用端末Tとの通信を仲介するものであり、例えば保守用端末Tから最適手順の導出指示を受信してCPU1に出力すると共にCPU1から入力される最適手順を保守用端末Tに送信する。
【0036】
入力装置4は、例えばマウス等のポインティングデバイスやキーボードであり、図示するようにCPU1と通信自在に接続されている。この入力装置4は、管理サーバAを運用する作業員の操作指示を受け付けてCPU1に出力する。
【0037】
出力装置5は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置であり、図示するようにCPU1と通信自在に接続されている。この出力装置5は、CPU1から入力される出力情報を上記作業員に向けて出力する。上記出力情報は、例えば上記最適手順や作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報である。
【0038】
保守用端末Tは、作業員が保守作業の作業中に携帯する携帯端末であり、例えばタブレットやスマートフォンである。この保守用端末Tは、通信装置3と無線通信自在に接続されており、通信装置t1、入力装置t2及び出力装置t3を備える。
【0039】
通信装置t1は、管理サーバAの通信装置3と無線通信自在に接続されている。すなわち、この通信装置t1は、保守用端末Tが管理サーバAと無線通信を行うための装置である。入力装置t2は、例えばタッチパネルであり、作業員からの入力を受け付ける。出力装置t3は、例えば液晶ディスプレイであり、保守作業の作業手順の出力等を行う。
【0040】
次に、第1実施形態に係る作業手順最適化装置つまり管理サーバAの動作について詳しく説明する。この管理サーバAの動作は、管理サーバAを用いた作業手順最適化方法に相当するものである。
【0041】
この作業手順最適化装置では、情報最新化ステップとして、保守情報最新化部1aがポーリングによって最新の構成情報2b及び論理情報2cを各機器P~Sから順次取得し、ストレージ2の構成情報2b及び論理情報2cを最新化する。この情報最新化ステップによって、ストレージ2には各機器P~Sの最新状態を示す構成情報2b及び論理情報2cが常に記憶された状態となる。
【0042】
作業員は、管理サーバAの入力装置4または保守用端末Tの入力装置t2から保守作業内容を選択する。なお、以下では保守作業の一例として、第1の部品Bpの保守部品Bp’への交換作業が作業員によって選択された場合について説明を行う。
【0043】
保守手順最適化部1bは、作業員により選択された保守作業内容に基づいて作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dをストレージ2から取得する。そして、保守手順最適化部1bは、手順最適化ステップとして、これら作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dに基づいて作業員が指定した第1の部品Bpと保守部品Bp’との交換作業を行う際の最適手順を導出する。
【0044】
図5は、保守手順最適化部1bが導出した最適手順の一例を示している。この最適手順では、第1の部品Bpと保守部品Bp’とを交換するために、最初の要素作業(作業ステップ)として、第1の部品Bpの接続先部品の動作を停止させることが示されている。なお、第1の部品Bpの接続先部品は、上述したように第3の部品Brである。
【0045】
すなわち、作業員は、第1の部品Bpの接続先部品である第3の部品Brの動作を停止するために、作業中に機器間を移動する必要がある。管理サーバAの保守手順最適化部1bは、作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dを用いることにより、複数の機器P~S間の移動時間も含めて保守作業にかかる時間が最も短くなるような手順を最適手順として導出する。
【0046】
保守手順最適化部1bは、このように導出した最適手順を出力装置5に出力すると共に、通信装置3に保守用端末Tに向けて送信させる。この結果、管理サーバAの出力装置5に最適手順が出力され、また保守用端末Tの出力装置t3に最適手順が出力される。
【0047】
作業員は、出力装置5あるいは/及び出力装置t3の出力を確認することによって最適手順を理解することができる。
図5は、出力装置5及び出力装置t3の出力の一例を示す画面表示である。
【0048】
また、保守手順最適化部1bは、このような最適手順の出力と同時に、現在の要素作業(作業ステップ)つまり第1の部品Bpの接続先部品である第3の部品Brの動作停止で対象となっている第3の部品Brの応答装置(第3の応答装置Cr)に応答指示を送信する。すなわち、第3の応答装置Crは、上記応答指示に従ってLEDを発光させ、またブザーを鳴動させる。
【0049】
作業員は、第3の応答装置Crの応答に従って第3の部品Brの位置を確認し、当該第3の部品Brの動作を停止させる。そして、作業員は、保守用端末Tの入力装置t2を用いて第3の部品Brの動作停止が終了すると、この作業ステップの終了を入力装置t2に入力する。
【0050】
上記作業ステップの終了は、
図5に示すように、保守用端末Tの出力装置t3に表示されたステップ操作内容に作業員がチェックマークを付けることによって行う。この作業ステップの終了は、ステップ完了報告が保守用端末Tの通信装置t1から管理サーバAの通信装置3に送信され、通信装置3から保守手順最適化部1bに入力される。
【0051】
そして、保守手順最適化部1bは、上記作業ステップの終了が入力されると、次の要素作業(作業ステップ)つまり第1の部品Bpの動作停止で対象となる第1の部品Bpの応答装置(第1の応答装置Cp)を応答させる。作業者は、この第1の応答装置Cpの応答に従って第1の部品Bpの位置を確認し、当該第1の部品Bpの動作を停止させる。
【0052】
そして、保守手順最適化部1bは、この作業ステップの終了が入力されると、次の要素作業(作業ステップ)つまり第1の部品Bpの部品Bp’への交換で対象となる第1の部品Bpの応答装置(第1の応答装置Cp)を応答させる。作業者は、この第1の応答装置Cpの応答に従って第1の部品Bpを部品Bp’に交換し、この作業ステップの終了を保守用端末Tの入力装置t2に入力する。これによって、保守手順最適化部1bが導出した最適手順に従った一連の保守作業が終了する。
【0053】
このような第1実施形態によれば、管理サーバAの保守情報最新化部1aは、ストレージ2に記憶された構成情報2b及び論理情報2cを常に最新化するように更新する。また、管理サーバAの保守手順最適化部1bは、ストレージ2に記憶された作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dを用いることにより、複数の機器P~Sや複数の部品Bp~Bsの物理構成と論理状態が変化する状況下において、作業員の移動時間まで加味した最も効率の良い作業手順(最適手順)を導出する。
【0054】
したがって、第1実施形態によれば、複数の機器P~S間における作業員の移動時間まで加味した最も効率の良い作業手順(最適手順)を提供することに加え、複数の機器P~Sや複数の部品Bp~Bsの物理構成及び論理状態をも考慮した作業手順最適化装置(管理サーバA)及び作業手順最適化方法を提供することができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
次に、
図6を参照して本発明の第2実施形態に係る作業手順最適化装置及び作業手順最適化方法について説明する。第2実施形態に係る作業手順最適化装置は、
図6に示す管理サーバB及び保守用端末Uから構成されている。
【0056】
すなわち、第2実施形態の管理サーバEは、第1実施形態の管理サーバAにおける保守手順最適化部1bを機能構成要素として削除したものである。また、第2実施形態における保守用端末Uは、第1実施形態の保守用端末Tに保守手順最適化部1bを機能構成要素として追加したものである。
【0057】
さらに、第2実施形態に係る作業手順最適化装置は、第1実施形態のストレージ2をクラウド2Aとして設けたものである。すなわち、第2実施形態のクラウド2Aは、管理サーバE及び保守用端末Uと通信自在に接続されており、ストレージ2と同様な作業情報2a、構成情報2b、論理情報2c及び移動時間情報2dを記憶する。
【0058】
この第2実施形態では、管理サーバEの保守情報最新化部1aは、ポーリングによって取得した最新の構成情報2b及び論理情報2cをクラウド2Aにアップロードし、クラウド2A上の構成情報2bと論理情報2cを常に最新化する。
【0059】
そして、作業員が管理サーバEの入力装置4または保守用端末Uの入力装置t2を通して保守作業内容を選択すると、保守端末Uの保守手順最適化部1bがクラウド2Aから必要な情報をダウンロードして利用することによって、作業員の移動時間まで加味した最も効率の良い作業手順(最適手順)を導出する。
【0060】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、複数の機器P~S間における作業員の移動時間まで加味した最も効率の良い作業手順(最適手順)を提供することに加え、複数の機器P~Sや複数の部品Bp~Bsの物理構成及び論理状態をも考慮した作業手順最適化装置(管理サーバE及び保守端末U)並びに作業手順最適化方法を提供することができる。
【0061】
最後に、本発明に係る作業手順最適化装置の最小構成について
図7及び
図8を参照して説明する。最小構成の作業手順最適化装置Dは、情報最新化部10と手順最適化部11を少なくとも備える。情報最新化部11は、作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報のうち、構成情報及び論理情報を最新化する(ステップSa)。手順最適化部12は、作業手順情報、作業時間情報、移動時間情報、構成情報及び論理情報に基づいて最適手順を導出する(ステップSb)。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、機器間の移動時間に加え、機器や部品の物理的な構成や論理的な状態をも考慮した作業手順最適化装置、作業手順最適化方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
A、E 管理サーバ
Bp~Bs 部品
Cp~Cs 応答装置
D 作業手順最適化装置
N 通信回線
P~S 機器
T、U 保守用端末
t1 通信装置
t2 入力装置
t3 出力装置
1 CPU
1a 保守情報最新化部
1b 保守手順最適化部
2 ストレージ
2A クラウド
2a 作業情報
2b 構成情報
2c 論理情報
2d 移動時間情報
3 通信装置
4 入力装置
5 出力装置
10 情報最新化部
11 手順最適化部