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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20230418BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20230418BHJP
   F24F 7/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
F24F7/08
F24F7/007 B
F24F7/04 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021182333
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】500439962
【氏名又は名称】株式会社ボイラエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100104330
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 誠二
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 直衛
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-054152(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1358120(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
F24F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外に配置され、室内の所定個所に設けられた給気口に接続された給気用ダクトと、
室外に配置され、室内の所定個所に設けられた排気口に接続された排気用ダクトとを備え、
前記給気用ダクトが、一端が前記給気口に固定され、他端が上方に開口した固定部分と、一端が前記固定部分の前記他端に垂直方向軸線を中心として回転するように接続され、他端が開放した、垂直方向上方に延び、風受け用の羽根材が取り付けられた回転部分とを有していることを特徴とする換気システム。
【請求項2】
前記排気口に、前記室内の空気を排気するための換気用ファンが設置されていることを特徴とする請求項1に記載された換気システム。
【請求項3】
前記室内への空気の過剰な流入を防止するための給気量制御機構をさらに備え、
前記給気量制御機構が、前記固定部分の内部に配置されたダンパと、前記固定部分の内部に配置された風量センサと、前記固定部分に流入する給気量に応じて前記ダンパの開度を調整するコントローラとを有し、
前記風量センサによって検知された給気量に応じて前記ダンパの開度を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の換気システムに関する。本発明の換気システムが設置される室内には、一般家庭、クリニック、事務所などの種々の室内が含まれる。
【背景技術】
【0002】
室内の換気は、室外から清浄な空気(外気)を室内に供給し、室内で発生した汚れた空気を室外に排出することによって行われる。このような室内の換気は基本的に、清浄な空気を室内に供給する給気手段と、汚れた空気を室外に排出する排気手段とを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、清浄な空気を室内に十分に供給するのは容易ではなく、比較的簡便な装置を用いて十分な給気を可能にするシステムに対する要請がある。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、簡便な装置を用いて十分な給気を可能にする等の新規な特徴を備えた換気システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載された換気システムは、室外に配置され、室内の所定個所に設けられた給気口に接続された給気用ダクトと、室外に配置され、室内の所定個所に設けられた排気口に接続された排気用ダクトとを備え、前記給気用ダクトが、一端が前記給気口に固定され、他端が上方に開口した固定部分と、一端が前記固定部分の前記他端に垂直方向軸線を中心として回転するように接続され、他端が開放した、垂直方向上方に延び、風受け用の羽根材が取り付けられた回転部分とを有していることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項2に記載された換気システムは、前記請求項1の換気システムにおいて、前記排気口に、前記室内の空気を排気するための換気用ファンが設置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項3に記載された換気システムは、前記請求項1又は請求項2の換気システムにおいて、前記室内への空気の過剰な流入を防止するための給気量制御機構をさらに備え、前記給気量制御機構が、前記固定部分の内部に配置されたダンパと、前記固定部分の内部に配置された風量センサと、前記固定部分に流入する給気量に応じて前記ダンパの開度を調整するコントローラとを有し、前記風量センサによって検知された給気量に応じて前記ダンパの開度を調整するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の換気システムによれば、給気用ダクトの一部が回転し、給気用ダクトの先端開口を風下側に位置させることができるので、給気用ダクトへの十分な給気が可能になる。また、給気用ダクトの回転部分に風受け用の羽根材を取り付けることにより、一層確実に給気用ダクトの先端開口を風下側に差し向けることができる。また、排気口に換気用ファンを設置することにより、室内の排気を促進して、換気を良好に行うことができる。さらに、給気量制御機構を設置することにより、室内の換気を常時良好な状態に維持することができる。本発明の換気システムは、構造が簡単であるので、比較的安価なコストで提供することができるともに、メンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい実施形態に係る換気システムの全体を示した模式図である。
図2図2(a)は、図1の線2a‐2aに沿って見た図、図2(b)は、図2(a)の線2b‐2bに沿って見た断面図、図2(c)は、図2(b)に示した給気用ダクトの分解図、図2(d)は、図1の線2d‐2dに沿って見た図である。
図3】風を受けて給気用ダクトの第2部分及び第3部分が回転している種々の状態を示した、図2(a)と同様な図である。
図4】給気量制御機構を示した模式図である。
図5】本発明の好ましい実施形態に係る換気システムの作動を説明するための図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る換気システムを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る換気システムについて詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態に係る換気システムの全体を示した模式図である。図1において全体として参照符号10で示された換気システムは、室外に配置され、室内の所定個所に設けられた給気口14に接続された給気用ダクト12を備えている。
【0012】
図2(b)は、給気用ダクト12の断面図、図2(c)は、給気用ダクト12の各部分を分解して示した断面図である。給気用ダクト12は、一端12a1から実質的に水平方向に延びた後、上方に折れ曲げられた第1部分12aを有している。第1部分12aの一端12a1は、給気口14に堅固に固定され、第1部分12aの他端12a2は、上方に開口している。給気用ダクト12はまた、実質的に垂直方向上方に延び、一端12b1が回転手段16を介して第1部分12aの他端12a2に接続された第2部分12bを有している。第2部分12bの他端12b2は、側方に折り曲げられている。給気用ダクト12はさらに、実質的に水平方向に延び、一端12c1が第2部分12bの他端12b2に接続された第3部分12cを有している。第3部分12cの他端12c2は、下方に折り曲げられている。給気用ダクト12の第1部分12a、第2部分12b、第3部分12cは連通しており、したがって、室内は、給気用ダクト12を介して室外と連通している。なお、第3部分12cの他端12c2が下方に折り曲げられているのは、給気用ダクト12内に雨水が浸入するのを防止するためである。
【0013】
給気用ダクト12の以上のような構成により、給気用ダクト12の第2部分12b及び第3部分12cは、垂直方向軸線vv(図2(b)参照)を中心として回転するようになっている。すなわち、第1部分12aは固定部分であり、第2部分12b及び第3部分12cは回転部分となる。図3は、給気用ダクト12の第2部分12b及び第3部分12cが回転する種々の態様を示した一連の図である。
【0014】
前記記載において第2部分12bと第3部分12cが別体として説明されているが、第2部分12bと第3部分12cを一体に形成してもよい。また、第1部分12aと第2部分12bの境界(換言すると、回転手段16の設置個所)がかなり下方に位置するものとして図示されているが、前記境界を図1及び図2に図示されたものより上方(例えば、後述する図6に図示されるような個所)に位置するようにしてもよい。
【0015】
回転手段16として、ベアリングを使用してもよい。或いは、回転手段16として、例えば第1部分12aの他端12a2の近傍の外面に凹部(図示せず)を設け、第2部分12bの一端12b1の近傍の内面に前記凹部に対応する形状の凸部(図示せず)を設け、前記凸部を前記凹部に嵌め込むことによって、第2部分12bを回転可能にするような他の形態を採用してもよい。
【0016】
給気用ダクト12の第3部分12cには、風受け用の羽根材18が取り付けられている。図示されている羽根材18の形状は例示的なものであり、他の任意の形状の羽根材18を採用してもよい。また、図示されている羽根材18は、単一のものであるが、複数枚の羽根材18を取り付けてもよい。さらに、羽根材18の取り付け個所は、図示された個所に限られるものではなく、回転部分(すなわち、第2部分12b及び第3部分12c)であれば、任意の個所に取り付けてもよい。
【0017】
図3(a)は、羽根材18の左側真横から風を受けた場合、図3(b)は、羽根材18の左側斜めから風を受けた場合、図3(c)は、羽根材18の右側斜めから風を受けた場合、図3(d)は、羽根材18の右側真横から風を受けた場合を示した図である。
【0018】
好ましくは、第3部分12cの他端12c2には、網12dが取り付けられている。網12dは、防塵及び/又は防虫の役目を果たす。
【0019】
なお、給気用ダクト12の第2部分12bは、支持部材20によって支持されている。図2(d)に例示される支持部材20は、第2部分12bの外径よりも僅かに大きな内径をもつリング材20aと、リング材20aを建物の外壁に連結するための連結材20bとを有しており、第2部分12bを回転可能な状態で建物の外壁に連結するように構成されている。
【0020】
換気システム10はまた、室外に配置され、室内の所定個所に設けられた排気口24に接続された排気用ダクト22を備えている。
【0021】
排気用ダクト22は、一端22aから実質的に水平方向に延びた後、下方に折れ曲げられた他端22bを有しており、他端22bに、防塵及び/又は防虫用の網22cを取り付けるのが好ましい。排気用ダクト22の他端22bが下方に折り曲げられているのは、排気用ダクト22内に雨水が浸入するのを防止するためである。
【0022】
好ましくは、排気口24には、室内の空気を強制的に排気するための換気用ファン26が設置されている。換気用ファン26としては、公知の型式のものを使用してよい。
【0023】
給気口14は室内の低所に、排気口22が室内の高所に設置するのが好ましい。これは、室内での空気の循環を良好にするためである。
【0024】
次に図5を参照して、以上のように構成された換気システム10の作動について説明する。給気用ダクト12の回転部分12b、12cは、羽根材18に当たる風によって回転し、先端開口12c2が風下側に位置することにより、十分な量の空気(外気)が給気用ダクト12を通って、給気口14から室内に流入する。室内に流入した清浄な空気が室内を循環するとともに、汚れた空気が排気口24から室外に排出される。このようにして、室内の換気が常に良好に行われる。なお、排気口24に換気用ファン26を設置して室内の空気を強制的に排気することにより、室内の換気が一層良好に行われる。
【0025】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0026】
たとえば、図示された給気用ダクト12、排気用ダクト22等の形状、寸法等は、単なる例示なものであり、図示された以外の形状、寸法等を採用してもかまわない。また、回転手段16としてベアリングを使用した場合等には、羽根材18で風を受けなくとも第2部分12b及び第3部分12cが容易に回転することが予想されるので、羽根材18の設置を省略することを検討してもよい。
【0027】
また、換気システム10に、空気(外気)の過剰な流入を防止するための給気量制御機構28を設けてもよい。図4は、給気量制御機構28を示した模式図である。給気量制御機構28は、給気用ダクト12の第1部分12aの内部に配置されたダンパ28aと、ダンパ28aを駆動するための駆動手段28b(例えば、モータ)と、第1部分12aの内部に配置された風量センサ12cと、第1部分12aの内部に流入する給気量に応じてダンパ28aの開度を調整するように構成されたコントローラ28dとを有している。なお、図4(a)は、ダンパ28aが一定程度開いた状態を示した図、図4(b)は、ダンパ28aが完全に閉じた状態を示した図である。
【0028】
コントローラ28dの構成についてより詳細に説明すると、コントローラ28dは、風量センサ12cからの風量情報αを受信する受信部と、予め設定したダンパ28aの開度データβ(α1のときβ1,α2のときβ2,・・・,αnのときβn)と受信した風量情報αを比較して開度を決める比較部と、決められた開度を駆動手段28bに送信する送信部とを有している。コントローラ28dは、風量センサ12cからの風量情報αに基づいて駆動手段28bに信号を送り、ダンパ28aの開度を所望のように調整するように構成されている。コントローラ28dとダンパ28a、駆動手段28b、風量センサ12cとの接続は、有線又は無線によって行われている。
【0029】
図6は、本発明の別の実施形態に係る換気システムを示した模式図である。図6に示される換気システムは、多層階(図6では3階)の建物に設置される点を除いて、図1に示される換気システム10と実質的に同じ構成を有している。すなわち、図6に示される換気システムは、室外に配置され、各階の室内の所定個所に設けられた給気口14に接続された給気用ダクト12と、室外に配置され、各階の室内の所定個所に設けられた排気口24に接続された排気用ダクト22とを備えている。給気用ダクト12は、固定部分12aと、回転部分12b、12cとを有し、回転部分12cには、風受け用の羽根材18が取り付けられている。各階に設けられた排気口24には、換気用ファン26が設置されている。なお、参照符号20は、給気用ダクト12の固定部分12aを建物の外壁に連結するための支持部材20を示している。
【符号の説明】
【0030】
10 換気システム
12 給気用ダクト
12a 第1部分(固定部分)
12b 第2部分(回転部分)
12c 第3部分(回転部分)
12d 網
14 給気口
16 回転手段
18 羽根材
20 支持部材
22 排気用ダクト
22a 網
24 排気口
26 換気用ファン
28 給気量制御機構
28a ダンパ
28b 駆動手段
28c センサ
28d コントローラ
【要約】
【課題】簡便な装置を用いて十分な給気を可能にする換気システムを提供する。
【解決手段】室外に配置され、室内の所定個所に設けられた給気口(14)に接続された給気用ダクト(12)と、室外に配置され、室内の所定個所に設けられた排気口(24)に接続された排気用ダクト(22)とを備え、給気用ダクトが、一端が給気口に固定され、他端が上方に開口した固定部分(12a)と、一端が固定部分の他端に垂直方向軸線を中心として回転するように接続され、他端が開放した、垂直方向上方に延びた回転部分(12b、12c)とを有している換気システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6