(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤及び使用
(51)【国際特許分類】
C08F 2/50 20060101AFI20230418BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20230418BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20230418BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20230418BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230418BHJP
C07D 233/88 20060101ALI20230418BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C08F2/50
G03F7/031
G03F7/033
G03F7/027 502
G03F7/004 501
G03F7/004 512
C07D233/88
H05K1/03 610H
H05K1/03 610K
H05K1/03 610L
H05K1/03 610N
H05K1/03 630H
(21)【出願番号】P 2021531320
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2019120524
(87)【国際公開番号】W WO2020108421
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】201811451262.4
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521231307
【氏名又は名称】常州正潔智造科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU ZHENGJIE INTELLIGENT MANUFACTURE TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Qianjia Industry, Yaoguan Town Changzhou, Jiangsu 213100 China
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼彬
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-036354(JP,A)
【文献】特開2015-087429(JP,A)
【文献】特開2017-181646(JP,A)
【文献】特開2010-122381(JP,A)
【文献】特開2004-191738(JP,A)
【文献】特開2011-237736(JP,A)
【文献】特開昭62-066254(JP,A)
【文献】特表2003-536104(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1727999(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/50
G03F 7/031
G03F 7/033
G03F 7/027
G03F 7/004
C07D 233/88
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)に示される構造を有し、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有
して互いに異なる立体構造を有するビスイミダゾール化合物
(ただし、前記ビスイミダゾール化合物が複数種含まれている場合、一部のビスイミダゾール化合物は1-2’の結合位置を有するものと1’-2の結合位置を有するものの立体構造が同じであり、2-3’の結合位置を有するものと2’-3の結合位置を有するものの立体構造が同じでも良い。)を含有し、且つヘキサアリールビスイミダゾール混合光開始剤における
前記ビスイミダゾール化合物の総含有量が92
~100重量%である、ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤。
【化1】
一般式(I)において、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6は、同じであっても異なっていてもよく、互いに独立して置換又は未置換のアリール基を表
し、
1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有する前記ビスイミダゾール化合物は以下の構成を有する。
(1)T1-1,T1-2,T2-1,T2-2,T2-3,T2-4,T3-1,T3-2,T3-3,及びT3-4、
(2)T2-1,T2-2,T2-3,T2-4,T4-1,T4-2,T4-3,T4-4,T5-1,T5-2,T5-3,及びT5-4、
(3)T1-1,T1-2,T6-1,T6-2,T7-1,T7-2,T7-3,及びT7-4、又は
(4)T1-1,T1-2,T8-1,T8-2,T9-1,T9-2,T9-3,及びT9-4、
T1-1:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾール、
T1-2:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾール、
T2-1:2,2’,5,5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾール、
T2-2:2,2’,4、5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、
T2-3:2,2’,5,5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、
T2-4:2,2’,4、5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾール、
T3-1:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール、
T3-2:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2’,3-ジイミダゾール、
T3-3:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2,3’-ジイミダゾール、
T3-4:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾール、
T4-1:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾール、
T4-2:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-4、5’-ビス(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、
T4-3:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、
T4-4:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-4’,5-ビス(o-クロロフェニル)-4、5’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾール、
T5-1:2-(4-クロロフェニル)-2’,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾール、
T5-2:2’-(4-クロロフェニル)-2,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、
T5-3:2-(4-クロロフェニル)-2’,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾール、
T5-4:2’-(4-クロロフェニル)-2,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1’、2-ジイミダゾール、
T6-1:2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾール、
T6-2:2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾール、
T7-1:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2,3’-ジイミダゾール、
T7-2:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1’、2-ジイミダゾール、
T7-3:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾール、
T7-4:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾール、
T8-1:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(2-ナフチル)-1,2’-ジイミダゾール、
T8-2:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(2-ナフチル)-2’,3-ジイミダゾール、
T9-1:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(2-ナフチル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール、
T9-2:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(2-ナフチル)-4’,5’-ジフェニル-2’,3-ジイミダゾール、
T9-3:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(2-ナフチル)-4’,5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾール、
T9-4:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(2-ナフチル)-4’,5’-ジフェニル-2,3’-ジイミダゾール。
【請求項2】
混合光開始剤における一般式(I)に示される構造を満たす1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物の総含有量が95
~100重量%である、ことを特徴とする請求項
1に記載のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤。
【請求項3】
一般式(I)に示される構造を満たす1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物のみからなる、ことを特徴とする請求項
1に記載のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤。
【請求項4】
請求項1-
3のいずれか1項に記載のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤を含有する、感光性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、アルカリ可溶性ポリマー、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、他の光開始剤及び/又は増感剤、及び任意の助剤を含有する、請求項
4記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記アルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸系重合体、スチレン系重合体、エポキシ系重合体、脂肪族ポリウレタン(メタ)アクリレート重合体、芳香族ポリウレタン(メタ)アクリレート重合体、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、及びフェノール系樹脂から選択される、ことを特徴とする請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記アルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーである、ことを特徴とする請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和カルボン酸、及び他の共重合可能な単量体で共重合されてなる(メタ)アクリレート系重合体である、ことを特徴とする請求項
7記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物である、ことを特徴とする請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、ビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物及び分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物から選択される、ことを特徴とする請求項
5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記他の光開始剤及び/又は増感剤は、ビスイミダゾール類、ピラゾリン類、芳香族ケトン類、アントラキノン類、ベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類、オキシムエステル類、トリアジン類、トリフェニルアミン類、クマリン類、チオキサントン類、アクリジン類光開始剤の少なくとも一種から選択される、ことを特徴とする請求項
5記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記助剤は、染料、光発色剤、顔料、充填剤、可塑剤、安定剤、コーティング助剤、剥離促進剤の少なくとも一種から選択される、ことを特徴とする請求項
5記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項
4-
12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂層と、当該感光性樹脂層を支持する支持体とを含む、感光性樹脂積層体。
【請求項14】
プリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージの製造における請求項
13記載の感光性樹脂積層体の使用。
【請求項15】
プリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージの製造における請求項
4-
12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化技術分野に属し、具体的には、ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤、当該光開始剤を含む感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路板、集積回路、薄膜トランジスタ、半導体パッケージ等の超小型電子回路の製造には、通常、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成することが含まれる。フォトリソグラフィーでは、基板上にコーティングされた感光性樹脂組成物層又は積層体を、所定のパターンを有するマスクにて露光し、その後、露光部分と非露光部分に対する溶解度が異なる現像液で現像して、レジストパターンを形成し、更にレジストパターンをマスクとし、基板にめっきおよび/またはエッチングすることにより、基板上に必要な導体パターンを形成する。
【0003】
精密電子デバイスのプリント基板の小型化に伴い、高感光度、高解像性と分解能を有する感光性樹脂組成物は、研究のホットスポットになっている。感光性樹脂組成物における不可欠な成分の1つとして、光開始剤は、高い開始効率、体系との良い相溶性及び良い溶解性等の優れた性能を有することが要求される。ヘキサアリールビスイミダゾール類化合物(HABI)は、非常に重要なラジカル光開始剤であり、紫外線の作用により光分解されて高分子ラジカルを発生できるが、HABI及びその誘導体は通常固体であり、系での溶解度が低くなりやすい。ここで、光開始剤の十分な溶解と分散は、それが樹脂システムにおける開始効率に直接に関連する。
【0004】
溶解度と感光度の要件以外に、現在の研究では、感光性組成物の水相現像可能性または水相加工性も更に強調されている。感光性樹脂組成物の成分が現像液への溶解度が低い場合、現像液への分散性が低い不溶性成分は、現像工程を繰り返す行う際に著しく増加され、凝集物(スラッジ)が現れる。現像工程を引き続き行うと、凝集物が基板上に再付着し、短絡、又は現像タンクの配管の詰まりを招来する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HABIおよびその誘導体を光開始剤として使用する従来の感光性樹脂組成物は、レジストパターンを形成する際の高感光度、高溶解性、および現像廃棄物の低減という利点を兼備することができないという欠点を有するしている。そして、本発明の目的は、HABI類混合光開始剤を提供することにある。
【0006】
本発明のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤は、一般式(I)に示されるような構造を有し、その中で、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置(結合方式)を有するビスイミダゾール化合物を含み、且つ当該4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物の総含有量が、混合光開始剤全体に対して92質量%以上である。
【0007】
【0008】
一般式(I)中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6は、同じであっても異なっていてもよく、互いに独立して置換又は未置換のアリール基を示す。前記アリール基は、単純な芳香環に由来する任意の官能基または置換基を意味し、例えば、フェニル、o-トリル、1-ナフチル(またはα-ナフチル)、2-ナフチルなどを含む。
【0009】
本発明の目的は、上記の混合光開始剤を含む感光性樹脂組成物、更に、プリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージ等の製造におけるこの組成物の使用を提供することにある。
【0010】
上記のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤を含む感光性樹脂組成物は、相溶性によく、感光度に優れ、現像廃棄物量が少なく、ドライフィルムとウェットフィルムの方式で幅広く使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的に基づいて、以下、各方面について更に詳しく説明する。
【0012】
本出願における“スラッジ”と“現像廃棄物”という用語は、現像液に蓄積し、現像液に溶解せず、現像された基材上に再堆積し、それにより現像液の効率を低下させる物質を指す。
【0013】
<ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤>
本発明のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤は、一般式(I)に示されるような構造を有し、その中で、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物を含み、且つ当該4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物の総含有量が、混合光開始剤全体に対して92質量%以上である。
【0014】
【化2】
一般式(I)中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6は、同じであっても異なっていてもよく、互いに独立して置換又は未置換のアリール基を示す。
【0015】
具体的には、一般式(I)に示される構造を満たす1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物は、以下の構造を有する。
【0016】
【0017】
前記の置換されるアリール基はモノ置換であってもよく、複数置換であってもよい。
【0018】
好ましくは、アリール基上の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1-C20のアルキル基又はアルケニル基、C1-C8のアルコキシ基であってもよく、各独立変数(即ち、各置換基)中のメチレン基は任意的に酸素、硫黄、またはイミノ基で置き換えても良い。
【0019】
より好ましくは、アリール基の置換基は、フッ素、塩素、臭素、ニトロ、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1-C10のアルキル基又はアルケニル基、C1-C5のアルコキシ基であってもよく、各独立変数中のメチレン基は任意的に酸素、硫黄、およびイミン基で置き換えても良い。
【0020】
更に好ましくは、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6の少なくとも1つは、ハロゲン置換基を含むアリール基である。ハロゲン置換基により、硬化途中での変色効果を改善し、現像時の電子眼の識別能力を高めることができ(注:感光性樹脂層は、露光後に色が変化し、露光されていない領域と色収差を形成して、電子カメラに識別されるが、本発明は色収差をより明らかにする)、更に、使用される製品の品質を高める。特に好ましくは、ハロゲン置換基は、塩素である。
【0021】
本出願で言及されたHABIは、ヘキサアリールジイミダゾールを指し、2つのトリアリールイミダゾール(アリール基の置換基によるが、同じであっても異なっていてもよい)の結合により形成される。芳香環の置換基の誘導効果により、芳香環のπ電子雲密度が低下しており、誘導効果により芳香環の歪みが促進され、イミダゾール環の共役中心がシフトし、アリール置換基とイミダゾールが同一平面上にならず(トリアリールイミダゾールが曲面態となる)、最終的に2つのイミダゾールの結合時、N、Cの連結は、異なる立体構造を示し、HABIの性能に大きく影響する。
【0022】
前記に記載された1’-2、2-3’、1-2’、2’-3の4種類の結合位置以外に、HABI類光開始剤は、更に、1-4’,1-5’、3-4’、3-5’、1-1’、1-3’、3-1’、3-3’、4-1’、4-3’,5-1’,5-3’等の結合位置を有する。しかしながら、発明者の研究によると、1’-2、2-3’、1-2’、2’-3の4種類の結合位置が存在し、且つその総含有量がHABI合計量の92質量%以上を占める場合のみ、HABIが最も優れた溶解性と感光度を表すことができる。何れか1種の結合位置の単一物質の溶解性は、本発明の混合物の溶解性よりはるかに低く、これらの4種類の結合位置の総含有量が92質量%未満であると、感光度が明らかに低くなる傾向がある。
【0023】
本発明のHABI類混合光開始剤としては、一般式(I)に示される構造を満たす1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物の総含有量が、混合光開始剤全体に対して、95質量%以上であることが好ましく、HABI類混合光開始剤が、一般式(I)に示される構造を満たす1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物のみからなることが特に好ましい。
【0024】
代表的に、先行技術において、CN1292892Aには、フォトレジスト光重合系で使用されるHABI類光開始剤として、通常“TCDM-HABI”と呼ばれる、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2-ジイミダゾールが開示されている。この文献には、少なくとも1つの親水性置換基(例えば、メトキシ)を含むHABIを使用すると、リサイクル現像液中のスラッジ量を大幅に減らすことができると開示されている。しかしながら、本発明者の研究によると、単純な2,-2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール又は2,-2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾールの場合、ブタノン又はPGMEAへの溶解度が非常に低く、例えば、PGMEAへの2,-2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1、2’-ジイミダゾールの溶解度が3%未満であり、これら2つの単純なHABIで調製した感光性樹脂組成物を使用すると、現像する際に、現像液中のスラッジ量はが予想した効果よりはるかに遠い。驚いたことは、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2’,3-ジイミダゾール、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2,3’-ジイミダゾール、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾールの4種類を混合した場合、溶媒へのこの混合物の溶解度が大幅に向上し、且つこの混合物を感光性樹脂組成物に使用すると、リサイクルされた現像液中のスラッジ量を大幅に低減できるため、現像液を複数回も再利用して効果的に使用できる。
【0025】
HABI類光開始剤は、フォトレジスト分野でよく知られている光開始剤であり、トリフェニルイミダゾール類又は置換トリフェニルイミダゾール類化合物の酸化カップリングによって調製することができる。具体的な調製工程は、例えば、US3784557、US4622286及びUS4311783等の先行技術での記載を参照することができる(ここで参考としてその全文を引用する)。従来工程に基づいて、溶媒再結晶工程を追加すると、便利的に本発明の上記の組成要件を満たすHABI類混合光開始剤が得られる。前記溶媒は、トルエン、メタノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、水の一種又は2種以上の組成物であってもよい。
【0026】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のHABI類混合光開始剤以外に、通常に、アルカリ可溶性ポリマー、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、他の光開始剤及び/又は増感剤、及び任意の助剤を更に含む。
【0027】
アルカリ可溶性ポリマー
アルカリ可溶性ポリマーは、感光性樹脂組成物に皮膜形成機能を与えることができる。アルカリ可溶性ポリマーとして、このような特性を有する重合体であれば、特に制限なく使用できる。
【0028】
例えば、適用されるアルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、エポキシ系重合体、脂肪族ポリウレタン(メタ)アクリレート重合体、芳香族ポリウレタン(メタ)アクリレート重合体、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、及びフェノール系樹脂等であって良い。
【0029】
さらに、アルカリ可溶性ポリマーは、重合性単量体のラジカル重合によって得られてよい。重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-クロロスチレン等のα-位又は芳香族環上で置換された重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、アクリロニトリル、ビニルn-ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類誘導体、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロロ(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマル酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸、N-ビニルカプロラクタム;N-ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
さらに、アルカリ現像性と密着性の観点から、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーを使用することが好ましい。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーは、単量体単位として(メタ)アクリル酸を含むアクリル酸樹脂であってもよく、これは単量体単位として(メタ)アクリル酸を使用することでカルボキシル基を導入する;(メタ)アクリル酸に加えて単量体単位としてアルキル(メタ)アクリレートを更に含む共重合体であっても良く、(メタ)アクリル酸に加えて単量体成分として(メタ)アクリル酸とアルキル(メタ)アクリレート以外の重合性単量体(例えば、エチレン性不飽和基を有する単量体)を更に含む共重合体であっても良い。
【0031】
さらに、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシル基を有する重合性単量体と他の重合性単量体とのラジカル重合により得られ、特に、(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和カルボン酸と他の共重合可能な単量体で共重合されてなる(メタ)アクリレート系重合体である。前記の(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等であっても良い。これらの(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記のエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、ブテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸であってもよく、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらのエチレン性不飽和カルボン酸は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記の他の共重合可能な単量体は、(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルナフタレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルシクロヘキサン等であっても良い。これらの他の共重合可能な単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
アルカリ可溶性ポリマーは、一種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を組み合わせて使用されるアルカリ可溶性ポリマーとしては、異なる共重合成分で構成した2種以上のアルカリ可溶性ポリマー、重量平均分子量の異なる2種以上のアルカリ可溶性ポリマー、分散度の異なる2種以上のアルカリ可溶性ポリマー等が挙げられる。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、機械的強度とアルカリ現像性の方面で総合的に考えると、重量平均分子量は、15000-200000が好ましく、30000-150000がより好ましく、30000-120000が特に好ましい。重量平均分子量が15000を超えると、露光後の耐現像液性が更に向上する傾向があり、当該重量平均分子量が200000未満であると、現像時間がより短くなる傾向があり、且つ光開始剤等の他の成分との相溶性を維持できる。アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定され、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することで得られる。
【0034】
さらに、アルカリ現像性が良い観点から、アルカリ可溶性ポリマーの酸価は、50-300mgKOH/gが好ましく、50-250mgKOH/gがより好ましく、70-250mgKOH/gが更に好ましく、100-250mgKOH/gが特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、十分な現像速度を確保することが困難であり、300mgKOH/gを超えると、密着性が低下し、パターンのショートが発生しやすく、且つ組成物の貯蔵安定性が低下し、粘度が上昇する問題が起こりやすい。
【0035】
アルカリ可溶性樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.5-6.0が好ましく、1.8-3.7が特に好ましい。分子量分布が前記范囲にいると、現像性に優れている。
【0036】
感光性樹脂組成物の合計量100質量部に対して、組成物中のアルカリ可溶性ポリマーの含有量は、20-70質量部が好ましく、30-60質量部がより好ましい。アルカリ可溶性ポリマーの含有量が、20質量部以上の場合、感光性樹脂組成物のめっき処理、エッチング処理等への耐久性が向上することを確保でき、含有量が70質量部以下の場合、感光性樹脂組成物の感光度の向上に有利である。
【0037】
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、感光性樹脂組成物の成膜を促進する。
【0038】
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は特に限定されないが、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物であれば使用できる。例えば、α、β-不飽和カルボン酸をポリオールと反応させて得られる化合物、ビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物、α、β-不飽和カルボン酸をグリシジル基含有化合物と反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタン単量体、ノニルフェノキシポリビニルオキシアクリレート、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-フタレート、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-フタレート、フタル酸類化合物、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記のα、β-不飽和カルボン酸をポリオールと反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレンオキシ基数が2-14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ基数が2-14のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ基数が2-14且つプロピレンオキシ基数が2-14のポリエチレンオキシ基・ポリプロピレンオキシグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、EO、PO変性トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリス(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、“EO”は、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、オキシエチレン基のブロック構造を有する化合物を指し;“PO”は、プロピレンオキシドを示し、PO変性された化合物は、オキシプロピレン基のブロック構造を有する化合物を指す。
【0040】
上記のビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。上記の2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシヘプトエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。上記の2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のオキシエチレン基数は、4-20が好ましく、8-15がより好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記の分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリル酸類単量体とジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)の付加反応生成物、トリス((メタ)アクリロイルオキシテトラエチレングリコールイソシアナート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
上記のノニルフェノキシポリビニルオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカビニルオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカビニルオキシアクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記のフタル酸類化合物としては、例えば、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、β-ヒドロキシアルキル-β’-(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エトキシル化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリプロプレンエーテルジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ポリテトラヒドロフランジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その中で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
分解能、耐めっき性、密着性の向上の観点から、前記のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、ビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物と分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。感光度と解像度を向上できる観点から、ビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物が好ましい。ビスフェノールA類(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、新中村化学工業(株)制、BPE-200)、ポリエトキシビスフェノールAメタクリレート(例えば、新中村化学工業(株)制、BPE-5000;日立化成(株)制、FA-321M)、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリブトキシ)フェニル)プロパン(例えば、新中村化学工業(株)、BPE-1300)等があげられる。
【0046】
感光性樹脂組成物100質量部において、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、20-50質量部が好ましく、25-45質量部がより好ましい。前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の含有量が20質量部以上であると、感光性樹脂組成物の感光度と解像度が更に向上でき、その含有量が50質量部以下であると、感光性樹脂組成物の薄膜化がよりし易くなり、且つエッチング処理に対する耐久性が更に向上する。
【0047】
HABI類混合光開始剤
前記のように、本発明のHABI類混合光開始剤は、一般式(I)に示されるような構造を有し、その中で、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物を含み、且つ混合光開始剤における当該4種類の結合位置を有するビスイミダゾール化合物の総含有量が92質量%以上、好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%であった。
【0048】
【化4】
一般式(I)中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6は、同じであっても異なっていてもよく、互いに独立して置換又は未置換のアリール基を示す。
【0049】
上記の特徴限定の範囲内で、例えば、本発明のHABI類混合光開始剤は、
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
から選択される又はこれらを含むことができる。
【0050】
本発明のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤において、例えば化合物A1、化合物A2等の化合物は、単独で存在してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
感光性樹脂組成物100質量部において、本発明のヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤は、1-10質量部であることが好ましい。この含有量の範囲内で、組成物は、良い系相溶性及び優れた硬化性能を示すことができる。
【0052】
他の光開始剤及び/又は増感剤
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、相乗効果により感光樹脂系の相溶性、感光度及び解像度を増加するために、他の光開始剤又は増感剤を含んでもよい。
【0053】
前記の他の光開始剤及び/又は増感剤は、ビスイミダゾール類、ピラゾリン類、芳香族ケトン類、アントラキノン類、ベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類、オキシムエステル類、トリアジン類、トリフェニルアミン類、クマリン類、チオキサントン類、アクリジン類及び他の当業者に知られている光開始剤を含むことができる(ただし、これらに限定されない)。これらの光開始剤は単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
【0054】
ビスイミダゾール類化合物は、例えば、包括:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1、1’-ジイミダゾール、2,2’,5-トリス(2-フルオロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-フルオロフェニル)-4-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-5,5’-ジ(o-クロロフェニル)-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-(o-クロロフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-5,5’-ジ(o-クロロフェニル)-ジイミダゾール、2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,5-ジ(o-クロロフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、及びその類似物であっても良い。これらのビスイミダゾール類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
ピラゾリン類化合物は、例えば、1-フェニル-3-(4-t-ブチルスチリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)ピラゾリン、1-フェニル-3-ビフェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)ピラゾリン、エトキシル化(9)トリメチロールピラゾリンエステル、エトキシル化(10)ビスフェノールAピラゾリンエステル、及びその類似物であっても良い。これらのピラゾリン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
芳香族ケトン類化合物は、例えば、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、4-ベンゾイルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-エチルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-プロピルジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-p-トルエンメルカプトベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(メチル、エチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α,α’-ジメチルベンジルケタール、α,α-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルアセトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-p-ヒドロキシエチルエーテルフェニルアセトン、2-メチル1-(4-メチルメルカプトフェニル)-2-モルホリン1-アセトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリンフェニル)1-ブタノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4、6(トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-1-{3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェニル]-1、1,3-トリメチル-インデン-5-イル}-2-メチルアセトン;及び2-ヒドロキシ-1-{1-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェニル]-1,3,3-トリメチル-インデン-5-イル}-2-メチルアセトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、及びその類似物であっても良い。これらの芳香族ケトン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
アントラキノン類化合物は、例えば、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、2-エチルアントラセン-9,10-ジエチルエステル、1,2,3-トリメチルアントラセン-9,10-ジオクチルエステル、2-エチルアントラセン-9,10-ビス(4-クロロ酪酸メチルエステル)、2-(3-((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)-3-オキソプロピル)アントラセン-9,10-ジエチルエステル、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシ-2-エチルアントラセン、9,10-ビス(3-クロロプロポキシ)アントラセン、9,10-ビス(2-ヒドロキシエチルメルカプト)アントラセン、9,10-ビス(3-ヒドロキシ-1-プロピルメルカプト)アントラセン、及びその類似物を含む。これらのアントラキノン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
ベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類化合物は、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、及びその類似物を含む。これらのベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
オキシムエステル類化合物は、例えば、1-(4-フェニルチオフェニル)-n-オクタン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-エタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-ブタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-1-シクロヘキシル-メタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-シクロヘキシルカルボン酸オキシムエステル、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチルアセトン)-1-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチルアセトン)-1-オキシムシクロヘキシルカルボキシレート、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチルアセトン)-1-オキシムシクロヘキシルカルボキシレート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-o-メチル安息香酸オキシムエステル、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-シクロヘキシルカルボン酸オキシムエステル、1-(4-テノイル-ジフェニレンスルフィド-4’-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-ニトロ-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-テノイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシルアセトン)-1-オキシムアセテート、1-(6-フルフルフリルホルミル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチルアセトン)-1-オキシムアセテート、1,4-ジフェニルプロパン-1,3-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-フロイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-フルフルフリルホルミル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシルアセトン)-1-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-3-安息香酸オキシムエステル、1-(6-テノイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、2-((ベンゾイルオキシ)イミノ)-1-フェニルプロパン-1-オン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(オキソアセチル)オキシム、1-(4-フェニルチオフェニル)-2-(2-メチルフェニル)-エタン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(9,9-ジブチル-7-ニトロフルオレン-2-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-(4-(チオフェン-2-ホルミル)チオフェニル)フェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(9,9-ジブチル-2-イル)-3-シクロヘキシルプロピルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)-3-シクロヘキシルプロピル-9-エチルカルバゾール-3-イル)オクタン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(7-ニトロ-9,9-ジアリルフルオレン-2-イル)-1-(2-メチルフェニル)メタノン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-安息香酸オキシムエステル、1-(7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジブチルフルオレン-2-イル)-3-シクロヘキシルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-(フラン-2-ホルミル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシルプロパン-1,2-ジオン-2-エトキシカルボニルオキシムエステル、及びその類似物を含む。これらのオキシムエステル類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
例えば、トリアジン類化合物が、2-(4-エチルビフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4-メチレンオキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロパン酸エステル、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エトキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3,-ブタジエニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、及びその類似物を含む。これらのトリアジン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
トリフェニルアミン類化合物は、例えば、N,N-ビス-[4-(2-スチリル-1-イル)-フェニル]-N,N-ビス(2-エチル-6―メチルフェニル)-1,1-ビスフェニル-4,4-ジアミン、N,N-ビス-[4-(2-スチリル-1-イル)-4′-メチルフェニル]-N,N-ビス(2-エチル-6―メチルフェニル)-1,1-ビスフェニル-4,4-ジアミン、及びその類似物を含む。これらのトリフェニルアミン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
クマリン類化合物は、例えば、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミンクマリン)、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミンクマリン、3,3’-カルボニルビス(7-メトキシクマリン)、7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン、3-(2-ベンゾチアゾール)-7-(ジエチルアミン)クマリン、7-(ジエチルアミノ)-4-メチル-2H-1-ベンゾピラン-2-オン(7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン)、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、及びその類似物を含む。これらのクマリン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
チオキサントン類化合物は、例えば、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン及類似物を含む。これらのチオキサントン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
アクリジン類化合物は、例えば、9-フェニルアクリジン、9-p-メチルフェニルアクリジン、9-m-メチルフェニルアクリジン、9-o-クロロフェニルアクリジン、9-o-フルオロフェニルアクリジン、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルシクロエタンエーテルの[4-(9-アクリジニル)フェノキシ]アセテート(即ち、PAD107、Changzhou Tronly New Electronic Materials製)、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、9-エチルアクリジン、9-(4-ブロモフェニル)アクリジン、9-(3-クロロフェニル)アクリジン、1,7-ビス(9-アクリジン)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジンペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジン)プロパン、及びその類似物を含む。これらのアクリジン類化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
感光性樹脂組成物100質量部において、前記の他の光開始剤及び/又は増感剤の含有量は、8質量部を超えないことが好ましい。
【0066】
助剤
上記の各成分以外に、本発明の感光性樹脂組成物には、任意的に、必要に応じて、適量の他の助剤を更に含むことができる。例えば、助剤は、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、無色のクリスタルバイオレット等の光発色剤、顔料、充填剤、可塑剤、安定剤、コーティング助剤、剥離促進剤等であっても良い。
【0067】
上記の染料、顔料及び光発色剤としては、例えば、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン、トリス(4-ジメチルアミノ-2メチルフェニル)メタン、フルオラン染料、トルエンスルホン酸一水和物、アルカリ性フクシン、フタロシアニングリーン及びフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、オーラミン塩基、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ダイアモンドグリーン、ベーシックブルー20、ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンナトリウムB、メチルグリーン、フェノールフタレイン、アリザリンレッドS、チモールフタレインフタレイン、メチルバイオレット2B、キナディンレッド、ローズベンガルナトリウム寒天、ミタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7-ジクロロフルオレセイン、パンメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、フェナセチン、メチルバイオレット、ビクトリアピュアブルーBOH、ローダミン6G、ジフェニルアミン、ジベンジルフェニルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン(diphenyl-p-phenylenediamine)、トルイジン、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、4,4’-ビフェニルジアミン、o-クロロフェニルアミン、ホワイトクリスタルバイオレット、ホワイトマラカイトグリーン、ホワイトフェニルアミン、ホワイトメチルバイオレット、アゾ系等の有機顔料、二酸化チタン等の無機顔料であっても良い。良いコントラストを有する点から、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(即ち、ロイコクリスタルバイオレット、LCV)を使用することが好ましい。これらの染料、顔料及び光発色剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0068】
上記の充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤(上記の無機顔料を除く)であっても良い。充填剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0069】
上記の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジアリル等のフタル酸エステル、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等のエチレングリコールエステル、p-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、n-ブチルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド類、トリフェニルホスフェイト、トリメチルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、トリキシリルホスフェート、トリルジフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、2-ナフチルジフェニルホスフェート、トリルビス-2,6-キシリルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ハロゲン含有縮合リン酸エステル、トリエチレングリコールジカプリレート、ビス(2-エチルヘキサン酸)トリエチレングリコールエステル、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、セバシン酸ジエチル、スベリン酸ジブチル、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、Brij30〔C12H25(OCH2CH2)4OH〕、及びBrij35〔C12H25(OCH2CH2)20OH〕等であっても良い。可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0070】
上記の安定剤としては、例えば、ハイドロキノン、1,4,4-トリメチル-ジアゾビシクロ(3.2.2)-ノン-2-エン-2,3-ジオキシド、1-フェニル-3-ピラゾリジノン、p-メチルオキシフェノール、アルキルとアリールで置換されたハイドロキノンおよびキノン、t-ブチルカテコール、1,2,3-ベンゼントリオール、レジネート、ナフチルアミン、β-ナフトール、塩化第一銅、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-トルオキノン及びクロラニル等であっても良い。安定剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
安全性、汎用性を考えると、上記のコーティング助剤としては、アセトン、メタノール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジクロロメタン等であっても良い。コーティング助剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0072】
上記の剥離促進剤としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、メチル、プロピル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル等のアルキルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。剥離促進剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0073】
感光性樹脂組成物100質量部において、助剤の含有量は、10質量部を超えないことが好ましい。
【0074】
<使用>
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂積層体などのドライフィルムに製造されて、プリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージの製造に使用することができ、各々の工程を経て異なる基材に必要なパターンを形成する。
【0075】
本発明の感光性樹脂組成物は、ウェットフィルムコーターにより対応する各製造ステップにおける対応する基材上に塗布することができる。即ち、ウェットフィルムとしてプリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージの製造に使用されて、各々の工程を経て異なる基材上に必要なパターンを形成する。
【0076】
ドライフィルムの使用
本発明のドライフィルム、即ち、感光性樹脂積層体は、感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂層、及び当該感光性樹脂層を支持する支持体を含む。
【0077】
一般に、ドライフィルムの作製は、感光性樹脂組成物を支持体に塗布し、乾燥して感光性樹脂層を形成することと、任意的に、必要に応じてカバーフィルム(保護層)を貼り付けることを含む。乾燥条件は、60-100℃で0.5-15minの乾燥であることが好ましい。感光性樹脂層の厚さは、5-95μmが好ましく、10-50μmがより好ましく、15-30μmが更に好ましい。感光性樹脂層の厚さが5μm未満であると、絶縁性が悪く、感光性樹脂層の厚さが95μmを超えると、解像度が低下する場合がある。
【0078】
支持体としての具体的な例は、各種のプラスチックフィルムであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロプレン、ポリエチレン、酢酸セルロース、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロハン、塩化ビニル共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、及びその類似物である。さらに、2種又はそれ以上の材料で形成する複合材を使用することができる。好ましくは、極めて優れた光透過性を有するポリエチレンテレフタレートを使用する。支持体の厚さは、好ましくは5-150μmであり、より好ましくは10-50μmである。
【0079】
感光性樹脂組成物の塗布は、特に制限されないが、例えば、スプレーコーティング、ドラムコーティング、ロータリー式コーティング、スリットコーティング、圧縮コーティング、カーテンコーティング、染料コーティング、ラインコーティング、ナイフコーティング、ロールコート法、ナイフコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング法等の通常の方法を使用することができる。
【0080】
さらに、本発明は、
(1)感光性樹脂積層体を銅張積層板又はフレキシブル基板に積層する積層工程と、
(2)感光性樹脂積層体における感光性樹脂層を露光し、画像状に活性光線を照射し、露光された部分を光硬化させる露光工程と、
(3)感光性樹脂層の露光されてない部分を現像液で除去して保護パターンを形成する現像工程と、
(4)保護パターンで覆われていない銅張積層板又はフレキシブル基板の表面の部分をエッチングまたはめっきする導体パターン形成工程と、
(5)保護パターンを該銅張積層板又はフレキシブル基板から剥離する剥離工程、
を含むプリント回路板の製造における上記のドライフィルムの使用を提供する。
【0081】
さらに、本発明は、上記のような積層工程、露光工程及び現像工程を含む保護パターンの製造における上記のドライフィルムの使用を提供しており、相違点は、積層工程において、感光性樹脂積層体は、各種の異なる材質の基板に積層されることにある。
【0082】
さらに、本発明は、前記のような積層工程、露光工程、現像工程及び導体パターン形成工程を含む導体パターンの製造における上記のドライフィルムの使用を提供しており、相違点は、積層工程において、感光性樹脂積層体は、金属板又は金属皮膜絶縁板に積層されることにある。
【0083】
さらに、本発明は、前記のような積層工程、露光工程、現像工程、及び導体パターン形成工程を含むリード線の製造における上記のドライフィルムの使用を提供しており、相違点は、積層工程において、感光性樹脂積層体は、金属板上に積層され、導体パターン形成工程において、保護パターンで覆われていない部分に対してエッチングすることにある。
【0084】
さらに、本発明は、前記のような積層工程、露光工程、現像工程、及び導体パターン形成工程を含む半導体パッケージの製造における上記のドライフィルムの使用を提供しており、相違点は、積層工程において、感光性樹脂積層体は、大規模集積回路を有する晶片に積層し、導体パターン形成工程において、保護パターンで覆われていない部分に対してめっきすることにある。
【0085】
ウェットフィルムの使用
本発明の感光性樹脂組成物は、ウェットフィルムの形で直接に基板に塗布することで、プリント回路板、保護パターン、導体パターン、リード線、半導体パッケージ等の製造に使用されることができる。
【0086】
ロールコーティング、ナイフコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング等の通常の方法を制限なく利用して感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥した後、感光性樹脂層を形成することができる。
【0087】
基板に感光性樹脂層を形成した後、例えば露光工程、現像工程、導体パターン形成工程及び剥離工程などの後続工程は、いずれもドライフィルムの使用方式を参照して行うことができる。
【0088】
工程ステップ
露光工程において、露光は、例えば、マスク露光法(配線パターンのネガティブまたはポジティブマスクパターンを用いて画像状に活性光線を照射する方法)、投影露光法が挙げられ、レーザー直接成像露光法、デジタル光学処理露光法等の直接描画露光法により画像状に活性光線を照射する方法も採用しても良い。活性光線の光源としては、公知の光源、例えばカーボンアークランプ、水銀蒸気アークランプ、超高圧インジケータランプ、高圧インジケータランプ、キセノンランプ、アルゴンガスレーザー等のガスレーザー、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー及び窒化ガリウム系青紫色レーザー等の紫外線を効果的に射出する光源を使用することができる。さらに、写真用フラッド電球、蛍光灯等の可視光を効果的に射出する光源も使用することができる。
【0089】
本発明の感光性樹脂組成物は、活性光線の光源種類について特に制限されないが、露光量は、10-1000mJ/cm2であることが好ましい。
【0090】
現像工程において、感光性樹脂層の未露光部分を現像液で除去する。感光性樹脂層上に支持体が存在する場合は、まず、自動剥離器等を用いて支持体を除去し、その後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶媒等の現像液を使用して未露光部分を除去する。アルカリ性水溶液の例は、例えば、0.1-5質量%の炭酸ナトリウム溶液、0.1-5質量%の炭酸カリウム溶液、0.1-5質量%の水酸化ナトリウム溶液等であっても良く、pH値は、好ましくは9-11である。アルカリ性水溶液に、更に、界面活性剤、消泡剤、有機溶媒等を加えることができる。現像の方式は、浸漬、噴霧、ブラッシング等の通常の方式であっても良い。
【0091】
エッチング処理において、基板上に形成されたレジストパターン(即ち、保護パターン)をマスクとし、覆われていない回路形成用基板の導体層をエッチングして除去することで、導体パターンを形成する。エッチング処理の方法は、除去される導体層に応じて選択することができる。エッチング液としては、例えば、酸化銅溶液、酸化鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液等が挙げられる。
【0092】
めっき処理において、基板上に形成されたレジストパターンをマスクとし、覆われていない回路形成用基板の絶縁板上に銅とはんだ等をめっきする。めっき処理後、レジストパターンを除去することで、導体パターンを形成する。めっき処理の方法としては、電気めっき処理であっても良く、無電解メッキ処理であっても良く、無電解メッキ処理が好ましい。無電解メッキ処理としては、例えば、硫酸銅メッキ及びピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、高均一なはんだ(high-throw solder)メッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル-塩化ニッケル)メッキ及びスルファミン酸ニッケルメッキ等のニッケルメッキ、ハード金メッキ及びソフト金メッキ等の金メッキが挙げられる。
【0093】
レジストパターンの除去は、現像工程で使用されるアルカリ性水溶液よりもアルカリ性が強い水溶液によって剥離することができる。アルカリ性が強い水溶液の例としては、例えば1-10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は、化合物a1の高速液体クロマトグラフチャートである。
【
図2】
図2は、T1の単結晶回折で得られた構造スペクトルである。
【
図3】
図3は、化合物a1、a2、a3、a8、a9、a10の感光度測定結果の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下、具体的な実施例を組み合わせて、本発明について更に詳しく説明するが、本発明の保護范囲に対する制限として理解されるべきではない。
【0096】
1.ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤
1.1ヘキサアリールビスイミダゾール類混合光開始剤a1の調製
窒素ガスの保護下で、1Lの4つ口フラスコに、31.8gの2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール(M1)、51.3gの2、5-ジ(o-クロロフェニル)-4-(4,5-ジメトキシフェニル)-イミダゾール(M2)、30%液体苛性ソーダ4.2g、臭化テトラブチルアンモニウム4.0g、及びトルエン300gを投げ込み、加熱して攪拌し、60-65℃で85gの次亜塩素酸ナトリウム(11%水溶液)を滴下し、滴下後に保温して反応させ、サンプリングはHPLCにより制御され、M1とM2の両方が1%未満になるまで、反応してから終了し、保温を終了する。
【0097】
保温反応終了後、純水100gで4回洗浄し、その後、水層をトルエン20gで1回抽出し、有機層を減圧下で蒸留した。蒸留で得られた物料にメタノール70gを加え、溶解するまで加熱攪拌し、その後、溶解液をメタノール30gと純水50gで形成した再結晶溶液に滴下し、滴下後に、ろ過、リンス、乾燥して、79.1g生成物a1を得た。
【0098】
高速液体クロマトグラフを使用して生成物について分析した。
【0099】
図1は、生成物a1の高速液体クロマトグラフチャートである。分析結果として、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置の製品のピーク総含有量が92.5%であった。
【0100】
生成物a1は、T1、T2およびT3を含む、2つの異なるモノイミダゾール(即ち、M1、M2)が自己結合および相互結合により得られた混合物である。生成物の構造を正確に検証するために、それぞれに成分a1-1、a1-2、およびa1-3について検証分析を行った。
【0101】
モノイミダゾールの自己結合、カラムクロマトグラフィー、クロマトグラフィー分離などにより、純粋なT1、T2、T3が得られ、それぞれに構造を確認した。
【0102】
T1は液体クロマトグラムにおけるピークが1つだけあるが、
図2に示すように、単結晶回折によって2つのピーク形状が得られる。構造的な特性を組み合わせると、2つのモノイミダゾールの結合による主な生成物は、一方のイミダゾールの水素含有Nともう一方のイミダゾールの2位のCとで連結した混合物であると確認できる。これは、T1の構造が本発明に記載の1-2’および2’-3の2種類の結合位置であることを示している。
【0103】
T1を合成するためのイミダゾールはM1であり、対称型イミダゾールに属するため、得られが1-2’と2’-3は極性が類似しており、液相での分離が困難となる。更に、M1の構造対称性により、自己結合によって得られる生成物の構造では、1-2’と1’-2とは構造が同じ、2’-3と2-3’とは構造も同じである。よって、T1の主な構造は1-2’と2’-3の2種結合位置の生成物であり、構造式は次のとおりである。それぞれ、T1-1:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾールとT1-2:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾールである。
【0104】
【0105】
同様に、分離された純粋なT2を分析したところ、主な構造は4種類の結合位置の製品であり、構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、849と850の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量が848であり、T+1とT+2と一致しており、4つの生成物の構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。T2を合成するモノイミダゾールM2は非対称モノイミダゾールに属し、M2には、以下に示すように、M2-1とM2-2の2つの構成が存在している。
【0106】
【0107】
T2は非対称モノイミダゾールの結合で合成される。理論的には、1-2と2-3の結合位置で連結された8つの主な構造が存在しているが、自己結合のモノイミダゾールの場合、構造内に1-2’と1’-2の構造が同じ、2’-3と3-2’の構造も同じであるため、T2の場合、実際には1-2と2-3の結合位置で連結された4つの主な構造が存在しており、それらの構成は次のとおりである。
【0108】
T2-1:2,2’,5,5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾール、T2-2:2,2’,4、5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、T2-3:2,2’,5,5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、T2-4:2,2’,4、5’-テトラ(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾールであり、構造は次のとおりである。
【0109】
【0110】
T3は、M1とM2が互いに結合してなり、分離により得られた純粋なT3の液相での主な構造は、4種類の結合位置の製品であり、4種類の結合位置の製品の構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、755と756の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量は754であり、T+1とT+2と一致しており、4つの生成物の構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。T3は、対称イミダゾールM1と非対称イミダゾールM2が互いに結合してなり、1-2と2-3の結合位置で連結される4種類の主要な構造が存在している。それらの組成は次のとおりである。
【0111】
T3-1:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール、T3-2:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2’,3-ジイミダゾール、T3-3:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-2,3’-ジイミダゾール、T3-4:2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾールであり、構造は次のとおりである。
【0112】
【0113】
前記の実験分析に基づいて、生成物a1は、T1(T1-1、T1-2)、T2(T2-1、T2-2、T2-3、T2-4)とT3(T3-1、T3-2、T3-3、T3-4)で構成され、a1における1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置で構成されているビスイミダゾール化合物の含有量が92.5%であった。
【0114】
1.2a2-a10の調製
それぞれに調製してa2-a10を得て、各製品の状況を表1に示す。
【0115】
【0116】
上記表の溶解度データから、単一構造の純粋なHABI(a6とa7)の溶解度は非常に低く、他のHABI(a4とa5)と混合しても溶解度を改善できないことが分かる。本発明に示される最適な溶解度を達成するために、本発明に記載のHABI類混合光開始剤は、同じ置換基の構造について、同時に4種類の結合位置を有さなければならない。
【0117】
1.3感光度測定
純粋なT2-3またはT3-4を使用すると溶解度が低くなるため、感光度を測定することは困難となる。そのため、ただa1、a2、a3、a8、a9、およびa10の感光度データを測定した。
【0118】
感光度測定を行うために、表2に示す配合に従って、比較例1-6の感光性樹脂組成物を調製する。表中の各物質使用量の単位は全てgである。
【0119】
【0120】
上記の表1には、TMPTAは、Tianjin Beilian Fine Chemicals Development社から購入し、NPGは、Shenzhen Pengshunxing Technologyから購入し、PGMEAは、Jinan Huifengda Chemicalから購入する。
【0121】
上記の配合に従って試料を調製し、均一に混合した後、試料1.0mgを取り、るつぼの底に広げ、その後、示差走査熱量計(型番:DSC8000、メーカー:PerkinElmer)の炉に入れて測定を行った。
【0122】
ピーク値は、最大放熱量mw/mgを示し、放熱量が大きいほど、感光度が高くなる。傾きは、硬化速率を示し、傾きが小さいほど、感光度が高くなる。
【0123】
結果は
図3に示すように、感光度テストの結果は、a10(76.1%)<a9(83.0%)≒a8(88.5%)<a1(92.5%)≒a2(95.6%)≒a3(98.3)です。これにより、混合光開始剤の4つの結合位置1’-2、2-3’、1-2’、および2’-3で構成されるビスイミダゾール化合物の総質量が感光度に一定の影響を与えることがさらに確認される。含有量が92%を超えると、感光度が改善される。
【0124】
1.4 a11の調製
窒素ガスの保護下で、1Lの4つ口フラスコに、2-(4-クロロフェニル)-5-(6-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-イミダゾール(M3)50g、2、5-ジ(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-イミダゾール(M2)51g、30%液体苛性ソーダ5.6g、臭化テトラブチルアンモニウム4.0gとトルエン300gを投げ込み、加熱して攪拌し、60-65℃で次亜塩素酸ナトリウム90g(11%の水溶液)を滴下し、滴下後に反応を保温し、サンプリングはHPLCにより制御され、M2とM3の両方が1%未満になるまで、反応してから完了し、保温を終了する。
【0125】
保温反応終了後、純水100gで4回洗浄し、その後、水層をトルエンで1回抽出し、有機層を減圧下で蒸留した。蒸留で得られた物料にメタノール70gを加え、溶解するまで加熱攪拌し、その後、溶解液をメタノール30gと純水50gで形成した再結晶溶液に滴下し、滴下後に、リンス、排水、乾燥して、98g生成物a11を得た。
【0126】
分析結果として、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置の製品ピークの総含有量が92.5%であった。
【0127】
生成物a11は、T2、T4およびT5を含む、2つの異なるモノイミダゾール(即ち、M2、M3)の自己結合および相互結合により得られた混合物である。生成物の構造を正確に検証するために、それぞれに成分T2、T4、及びT5について検証分析を行った。
【0128】
モノイミダゾールの自己結合、カラムクロマトグラフィー、クロマトグラフィー分離などにより、純粋なT2、T4とT5が得られ、それぞれに構造を確認した。
【0129】
T2と化合物a1は構造が一致している。
【0130】
T4は、非対称モノイミダゾールM3の自己結合によって形成される。1-2と2-3の結合位置で連結された4つの主要な構造が存在している。それらの組成は以下の通りである。
【0131】
T4-1:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾール、T4-2:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-4、5’-ビス(o-クロロフェニル)-4’,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、T4-3:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、T4-4:2,2’-ビス(4-クロロフェニル)-4’,5-ビス(o-クロロフェニル)-4、5’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾールであり、構造式は以下の通りである。
【0132】
【0133】
構造はLCMSによって確認され、4つの構造スペクトルが一致している。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを使用して、849と850の分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が848であり、T+1及びT+2と合致している。そのため、当該4つの生成物のピーク構造が類似で分子量が同じであることが証明されている。
【0134】
T5は、非対称的なM2と非対称的なM3が互いに結合してなり、1-2と2-3の4種類の結合位置で連結した主な構造が存在しており、それらの構成は次のとおりである。
【0135】
T5-1:2-(4-クロロフェニル)-2’,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3’-ジイミダゾール、T5-2:2’-(4-クロロフェニル)-2,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,2’-ジイミダゾール、T5-3:2-(4-クロロフェニル)-2’,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,3-ジイミダゾール、T5-4:2’-(4-クロロフェニル)-2,5,5’-トリス(o-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1’、2-ジイミダゾールであり、構造式は以下の通りである。
【0136】
【0137】
構造はLCMSによって確認され、4つの構造スペクトルが一致している。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを使用して、849と850の分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が848であり、T+1及びT+2と合致している。そのため、当該4つの生成物のピーク構造が類似で分子量が同じであることが証明されている。
【0138】
前記の実験分析に基づいて、生成物a11は、T2(T2-1、T2-2、T2-3、T2-4)、T4(T4-1、T4-2、T4-3、T4-4)とT5(T5-1、T5-2、T5-3、T5-4)で構成され、a11における1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置で構成されているビスイミダゾール化合物の含有量が92.5%であった。
【0139】
それぞれ調製してa12-a20を得て、各製品の状況を表3に示す。
【0140】
【0141】
上記表の溶解度データから、単一構造の純粋なHABI(a16とa17)の溶解度は非常に低く、他のHABI(a14とa15)と混合しても溶解度を改善できないことが分かる。本発明に示される最適な溶解度を達成するために、本発明に記載のHABI類混合光開始剤は、同じ置換基の構造について、同時に4種類の結合位置を有さなければならない。
【0142】
1.5 a21の調製
窒素ガスの保護下で、1Lの4つ口フラスコに、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール(M1)35g、2-(2,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール(M4)39g、30%液体苛性ソーダ5.6g、臭化テトラブチルアンモニウム4.0gとトルエン250gを投げ込み、加熱して攪拌し、60-65℃で次亜塩素酸ナトリウム87gを滴下し、滴下後に反応を保温し、サンプリングはHPLCにより制御され、M1とM4の両方が1%未満になるまで、反応してから完了し、保温を終了する。
【0143】
保温反応終了後、純水100gで4回洗浄、その後、水層をトルエン20gで1回抽出し、有機層を減圧下で蒸留した。蒸留で得られた物料にメタノール60gを加え、溶解するまで加熱攪拌し、その後、溶解液をメタノール30gと純水50gで形成した再結晶溶液に滴下し、滴下後に、リンス、排水、乾燥を行い、66g生成物a21を得た。
【0144】
分析結果として、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置の製品ピーク総含有量が92.1%であった。
【0145】
生成物a21は、T1、T6およびT7を含む、2つの異なる対称型モノイミダゾール(即ち、M1、M4)の自己結合および相互結合により得られた混合物である。生成物の構造を正確に検証するために、それぞれに成分T1、T6とT7について検証分析を行った。
【0146】
モノイミダゾールの自己結合、カラムクロマトグラフィー、クロマトグラフィー分離などにより、純粋なT1、T6とT7が得られ、それぞれに構造を確認した。
【0147】
T1と化合物a1は構造が一致している。
【0148】
T6は2種類の構造があるが、液体クロマトグラムにピークが1つだけあり、その構造はT1と似ている。T6は対称イミダゾールの自己結合によって得るため、得られた1-2’と2’-3は極性が類似しており、液相の分離が困難となる。構造式は次のとおりであり、それぞれがT6-1:2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾールとT6-2:2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾールである。
【0149】
【0150】
分離されたT6を分析し、構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、729と730の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量が728であり、T+1及びT+2と合致している。2つの生成物のピークの構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。
【0151】
T7は、対称的なM1と対称的なM4が互いに結合されてなり、1-2と2-3の4種類の結合位置で連結した主な構造が存在しており、それらの構成は次のとおりである。
【0152】
T7-1:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2,3’-ジイミダゾール、T7-2:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1’、2-ジイミダゾール、T7-3:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ジイミダゾール、T7-4:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2’,3-ジイミダゾールであり、構造式は以下の通りである。
【0153】
【0154】
分離されたT7を分析し、構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、695と696の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量が694であり、T+1及びT+2と合致している。2つの生成物のピークの構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。
【0155】
前記の実験分析に基づいて、生成物a21は、T1(T1-1、T1-2)、T6(T6-1、T6-2)とT7(T7-1、T7-2、T7-3、T7-4)で構成され、a21における1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置で構成されているビスイミダゾール化合物の含有量が92.1%であった。
【0156】
それぞれに調製してa22-a30を得て、各製品の状況を表4に示す。
【0157】
【0158】
上記表の溶解度データから、単一構造の純粋なHABI(a26とa27)の溶解度は非常に低く、他のHABI(a24とa25)と混合しても溶解度を改善できないことが分かる。本発明に示される最適な溶解度を達成するために、本発明に記載のHABI類混合光開始剤は、同じ置換基の構造について、同時に4種類の結合位置を有さなければならない。
【0159】
1.5 a31の調製
窒素ガス保護下で、1Lの4つ口フラスコに、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール(M1)35g、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(2-ナフチル)-イミダゾール(M5)44g、30%液体苛性ソーダ5.6g、臭化テトラブチルアンモニウム4.0g、およびトルエン300gを投げ込み、加熱して攪拌し、60-65℃で次亜塩素酸ナトリウム97gを滴下し、滴下後に反応を保温し、サンプリングはHPLCにより制御され、M1とM5の両方が1%未満になるまで、反応してから完了し、保温を終了する。
【0160】
保温反応終了後、純水100gで4回洗浄し、その後、水層をトルエン20gで1回抽出し、有機層を減圧下で蒸留した。蒸留で得られた物料にメタノール60gを加え、溶解するまで加熱攪拌し、その後、溶解液をメタノール30gと純水50gで形成した再結晶溶液に滴下し、滴下後に、リンス、排水、乾燥して、76g生成物a31を得た。
【0161】
分析結果として、1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置の製品ピークの総含有量が92.7%であった。
【0162】
生成物a31は、T1、T8とT9を含む、2つの異なる対称型モノイミダゾール(即ち、M1、M5)の自己結合および相互結合により得られた混合物である。生成物の構造を正確に検証するために、成分T1、T8とT9のそれぞれについて検証分析を行った。
【0163】
モノイミダゾールの自己結合、カラムクロマトグラフィー、クロマトグラフィー分離などにより、それぞれにT1、T8とT9が得られ、それぞれに構造を確認した。
【0164】
T1と化合物a1は構造が一致している。
【0165】
T8には2種類の構造があるが、液体クロマトグラムにピークが1つだけあり、その構造はT1と似ている。T8は対称イミダゾール(M5)の自己結合によって得られるため、得られた1-2’と2’-3は極性が類似しており、液相の分離が困難となる。構造式は次のとおりであり、それぞれがT8-1:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(2-ナフチル)-1,2’-ジイミダゾール、およびT8-2:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(2-ナフチル)-2’,3-ジイミダゾールである。
【0166】
【0167】
分離されたT8を分析し、構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、860と861の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量が859であり、T+1及びT+2と合致している。そのため、2つの生成物のピークの構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。
【0168】
T9は、対称的なM1と対称的なM5が互いに結合してなり、1-2と2-3の結合位置で連結される4種類の主要な構造が存在している。それらの組成は次のとおりである。
【0169】
T9-1:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(2-ナフチル)-4’5’-ジフェニル-1,2’-ジイミダゾール、T9-2:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(2-ナフチル)-4’5’-ジフェニル-2’,3-ジイミダゾール、T9-3:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(2-ナフチル)-4’5’-ジフェニル-1’、2-ジイミダゾール、T9-4:2,2’-ジ(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(2-ナフチル)-4’5’-ジフェニル-2,3’-ジイミダゾール、構造は次のとおりである。
【0170】
【0171】
分離されたT9を分析し、構造はLCMSによって確認される。質量分析では、機器に付属のソフトウェアを利用して、760と761の分子フラグメントピークが得られる。製品の分子量が759であり、T+1及びT+2と合致している。そのため、当該4つの生成物のピーク構造が類似し、分子量が同じであることが証明されている。
【0172】
前記の実験分析に基づいて、生成物a31は、T1(T1-1、T1-2)、T8(T8-1、T8-2)とT9(T9-1、T9-2、T9-3、T9-4)で構成され、a21における1’-2、2-3’、1-2’と2’-3の4種類の結合位置で構成されているビスイミダゾール化合物の含有量が92.7%であった。
【0173】
それぞれに調製してa32-a40を得て、各製品の状況を表5に示す。
【0174】
【0175】
上記表の溶解度データから、単一構造の純粋なHABI(a36とa37)の溶解度は非常に低く、他のHABI(a34とa35)と混合しても溶解度を改善できないことが分かる。本発明に示される最適な溶解度を達成するために、本発明に記載のHABI類混合光開始剤は、同じ置換基の構造について、同時に4種類の結合位置を有さなければならない。
【0176】
2.感光性樹脂組成物の調製
表5-7に示す配合に従って、各成分を均一に混合して、感光性樹脂組成物を調製した。特に説明がない限り、表に示す部数はすべて質量部である。
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
表6-9における各成分の符号で示す意味は表10の通りである。
【0182】
【0183】
表10において、アルカリ可溶性ポリマーC1の調製方法は以下の通りである。窒素ガス雰囲気で、攪拌機、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えるフラスコに、メチルセロソルブとトルエンを質量比3:2で調製した混合溶媒500gを加えて、攪拌して80℃に加熱する。メタクリロイル酸100g、メタクリロイル酸エチル200g、プロピレン酸エチル100g、スチレン100g及びアゾビスイソブチロニトリル0.8gを混合して溶液を調製し、フラスコにゆっくりと滴下し、滴下時間は4時間であり、滴下後に引き続き2時間で反応を行う。次に、フラスコにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した混合溶媒(組成同上)100gを滴下し、滴下時間が10分間であり、滴下後に、80℃で更に3時間反応させ、更に90℃に昇温して引き続き2時間で反応を行う。反応完了後、ろ過し、アルカリ可溶性ポリマーC1が得られ、重量平均分子量が、約80000である。
【0184】
3.性能評価
3.1評価方法
ドライフィルム使用方式を例として、上記の実施例及び比較例に示す感光性樹脂組成物の各使用性能を検出する。
【0185】
<ドライフィルムの作製>
感光性樹脂組成物を十分に攪拌し、バーコータを使用して、それを支持体としての厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に均一に塗布し、乾燥機で95℃で5分間乾燥し、厚さ40μmの感光性樹脂層を形成し、その後、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されていない表面に保護層としての厚さ15μmのポリエチレンフィルムを貼り付け、ドライフィルムが得られる。
【0186】
<基板表面の整面>
基板として、厚さ35μmの圧延銅箔を積層した厚さ1.2mmの銅張積層板を使用し、表面について湿式バフロールによる研磨を行った(3M社で製造されるScotch-Brite(登録商標)HD#600、通過2回)。
【0187】
<積層>
ポリエチレンフィルムの保護層をドライフィルムから剥離し、その後、ホットロールラミネーター(旭化成(株)で製造されるAL-70)を使用して、105℃のロール温度でそれを60℃に予熱した銅張積層板に積層する。ガス圧力が0.35MPaであり、積層速度が1.5m/minである。
【0188】
<露光>
支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム上にマスクを置き、超高圧水銀ランプ(ORCMANUFACTURINGCO.、LTD.で製造されるHMW-201KB)を用いて露光を行う。
【0189】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、アルカリ現像機(FujiKikoCo.、Ltd.で製造されるドライフィルム用現像機)を使用して、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を感光性樹脂層に噴霧し、最小現像時間の2倍の時間で感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去する。未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに必要な最短時間を最小現像時間とする。
【0190】
3.2評価内容
(1)相溶性
感光性樹脂組成物を十分に攪拌し、バーコータを使用して組成物を均一に支持体としての厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布する。乾燥機で95℃で5min乾燥し、感光性樹脂層を形成する。その後、感光性樹脂層表面を目視で観察し、下記のように分類した。
◇:表面が均一となっている、
◆:表面に未溶物が析出した。
【0191】
(2)感光度
透明から黒色までの21段階の輝度変化を有するStouffer製21段階の段階式露光表を使用して、感光性樹脂層を15分間露光させ、その感光度を評価する。露光後、最小現像時間の2倍の時間で現像を行い、レジストフィルムが完全に残った段階式露光表の級数が8の露光量に基づいて、下記のような分類を行う。
○:露光量が20mJ/cm2以下である。
◎:露光量が20mJ/cm2-50mJ/cm2であり、端点値を除く。
●:露光量が50mJ/cm2以上である。
【0192】
(3)分解能
Line/Space=10:10-150:150(単位:μm)の配線パターンを有する光マスクを利用して露光現像を行った後、ドライフィルムの分解能を測定する。分解能は、露光後に現像により形成されたレジストパターンのうち、未露光部分が除去された後のパターンの最小値である。
○:分解能値が30μm以下である、
◎:分解能値が30μm-50μmであり、端点値を除く、
●:分解能値が50μm以上である。
【0193】
(4)親水性
親水性は、感光性樹脂層が溶解した後の沈殿量によって評価されている。
【0194】
感光性樹脂組成物を十分に攪拌し、バーコータを使用して支持体としての厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に均一に塗布する。乾燥機で95℃で4min乾燥し、感光性樹脂層を形成し、層厚が約30.5μmであり、層重が約3.2gである。
【0195】
炭酸ナトリウム20gを2Lの水に溶解し、1.5mlのP1uronic RPG3110(BASF、Mt.Olive、NJ、この試薬はポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン共重合体可塑剤である)を加え、現像液を調製する。上記の感光性樹脂層付きフィルムを100g現像液に入れ、樹脂層が溶解するまでに試料を静置し、沈殿量を下記の等級に従って確定する。
0=沈殿量が0.005g未満である。
1=少量の細かく分散した淡黄色の物質があり、沈殿量が0.005-0.01gである。
5=中等量程度の淡黄色の物質(通常は細かい)があり、沈殿量が0.05-0.08gである。
10=大量の固体層の淡黄色の物質(通常は薄片状)があり、沈殿量が0.1g以上である。
【0196】
(5)現像性
現像後、走査型電子顕微鏡(SEM)によりフォトレジストパターンを観察し、現像性を評価した。
現像性は、以下の標準で評価した。
□:未露光部分に残存物が見られなかった。
△:未露光部分に少量の残存物が見られるが、残存量が許容範囲内にある。
×:未露光部分に明らかな残存物が見られる。
【0197】
3.3評価結果
評価結果は表11の通りである。
【0198】
【0199】
本発明のHABI類混合光開始剤は、感光性樹脂組成物に適用した場合に優れた相溶性を有し、組成物の感光度が高く、分解能と現像性がよく、且つすぐてた親水性を有するため、現像液を再利用でき、フィルターが現像ゴミによってブロックされる状況が現れない。比較例1-28の感光性樹脂組成物と比べて、本発明の総合的な適用性能の利点が顕著である。
【0200】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記の実施例に制限されることではなく、他の何ら本発明の思想と原理から逸脱しない範囲内で行われる他の変更、修正、置換、組み合わせ、および簡略化は、いずれも同等の置換方法に属し、それらは全て本発明の保護范囲に含まれるべきである。