(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】調湿ガス発生装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20230418BHJP
F24F 6/02 20060101ALN20230418BHJP
【FI】
B01J19/00 A
F24F6/02 B
(21)【出願番号】P 2021541380
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2019032425
(87)【国際公開番号】W WO2021033260
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521489171
【氏名又は名称】マイクロ・イクイップメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正大
【審査官】本間 友孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-087664(JP,A)
【文献】実開昭62-103421(JP,U)
【文献】実開昭63-090425(JP,U)
【文献】国際公開第2018/127331(WO,A1)
【文献】特表2007-514915(JP,A)
【文献】特開2004-340565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02、
14/00-19/32
B01D 53/26-53/28
F24F 6/02
G01D 22/00、27/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス域と前記ガス域の下方にある貯水域とを内部に有する飽和槽本体と、
前記飽和槽本体の内部に配置されたガス還流装置と
を有し、
前記ガス還流装置は、ガス戻り管と、ガス送出管と、排水管と、トラップ箱とを有し、
前記ガス戻り管は、前記ガス域内に配置されたガス入口から前記貯水域内を通過して前記トラップ箱内に配置されたガス出口に至り、
前記ガス送出管は、前記トラップ箱内に配置されたガス送入口から前記飽和槽本体の外部に配置されたガス送出口に至り、
前記貯水域内の前記ガス送出管と略同じ高さに、前記貯水域の水温制御に用いられる水温センサが配置され、
前記排水管は、前記トラップ箱内に配置された水入口から前記飽和槽本体の外部に配置された水出口に至る調湿ガス発生装置。
【請求項2】
ガス域と前記ガス域の下方にある貯水域とを内部に有する飽和槽本体と、
前記飽和槽本体の内部に配置されたガス還流装置と
を有し、
前記ガス還流装置は、ガス戻り管と、ガス送出管と、排水管と、トラップ箱とを有し、
前記ガス戻り管は、前記ガス域内に配置されたガス入口から前記貯水域内を通過して前記トラップ箱内に配置されたガス出口に至り、
前記ガス送出管は、前記トラップ箱内に配置されたガス送入口から前記飽和槽本体の外部に配置されたガス送出口に至り、
前記排水管は、前記トラップ箱内に配置された水入口から前記飽和槽本体の外部に配置された水出口に至り、
前記飽和槽本体は、上側キャップ部と、前記上側キャップ部の下端に結合された中間胴部とを有し、
前記飽和槽本体は、前記上側キャップ部と前記中間胴部の相互結合を解除することで、互いに分離された前記上側キャップ部と前記中間胴部に分解することができ、
前記貯水域の水面は前記中間胴部内にあって前記上側キャップ部に到達せず、前記上部キャップの内側は前記ガス域であり、
前記飽和層本体は、前記ガス域内のガスを加熱するための第一ヒータと、前記貯水域内の水を加熱するための第二ヒータを有することを特徴とする調湿ガス発生装置。
【請求項3】
ガス域と前記ガス域の下方にある貯水域とを内部に有する飽和槽本体と、
前記飽和槽本体の内部に配置されたガス還流装置と
を有し、
前記ガス還流装置は、ガス戻り管と、ガス送出管と、排水管と、トラップ箱とを有し、
前記ガス戻り管は、前記ガス域内に配置されたガス入口から前記貯水域内を通過して前記トラップ箱内に配置されたガス出口に至り、
前記ガス送出管は、前記トラップ箱内に配置されたガス送入口から前記飽和槽本体の外部に配置されたガス送出口に至り、
前記排水管は、前記トラップ箱内に配置された水入口から前記飽和槽本体の外部に配置された水出口に至り、
前記ガス戻り管が前記貯水域内で上下方向に配置され、
前記貯水域内での前記ガス戻り管の水平方向の断面寸法が、前記トラップ箱の水平方向の断面寸法より小さいことを特徴とする調湿ガス発生装置。
【請求項4】
前記ガス戻り管の前記ガス出口が、前記トラップ箱の内面に向けられ且つ前記内面の近傍に配置されていることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項5】
前記ガス出口の端面の少なくとも一部は前記トラップ箱の内面に接するように斜め方向にカットされた形状であることを特徴とする請求項
4に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項6】
前記飽和槽本体の内表面は純水に対する耐食性をもつ耐食性樹脂の層でコートされ、
前記ガス還流装置の外表面は純水に対する耐食性をもつ耐食性樹脂の層でコートされている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項7】
前記上側キャップ部の下端部及び前記中間胴部の上端部には、それぞれ前記飽和槽本体の外方に突出するフランジ部が形成され、
これらフランジ部の相対する面は純水に対する耐食性をもつ耐食性樹脂の層でコートされている
ことを特徴とする請求項2に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項8】
前記ガス戻り管の一部は、前記ガス出口から排出されるガスが前記トラップ箱を上面視した際にこのトラップ箱内において回転流を形成するように湾曲されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項9】
前記ガス出口の下端は、前記トラップ箱内において前記ガス送入口の下端より下方に位置することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調湿ガス発生装置。
【請求項10】
前記調湿ガス発生装置は予備水タンクを有し、
前記予備水タンクの下部は前記貯水域に連通し、前記予備水タンクの上部は前記ガス域に連通している
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調湿ガス発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の湿度に調整されたガスを発生する調湿ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、定湿ガス発生装置の飽和槽を開示する。その開示によると、飽和槽本体内に気体導出管が設けられる。飽和槽本体の内部は、上部の空間部分を残して、水が充てんされる。気体導出管は、飽和槽本体内の空間部分から水中を通って水面下の気体出口に至る。
【0003】
飽和槽本体内の水の温度が希望温度に制御され、空間部分の温度が水温より高く制御される。飽和槽の底部から気体が気泡の形で水中へ導入される。気泡は水中を通る間に飽和気体になって上部空間に至る。気体は上部空間で増湿され、その後に気体導出管に入る。気体が気体導出管を通過する間に、余分な水蒸気が凝縮して、水温に相当する飽和水蒸気圧の気体になり、気体出口から外部へ送出される。
【0004】
この飽和槽を用いると、恒温水槽が不要なので、定湿ガス発生装置を小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定湿ガス発生装置の用途の一例として、半導体製造工程におけるシリコンウェハのドライ洗浄を挙げることができ、そこでは、湿度が所定値に調整されたガスが用いられる。
【0007】
半導体製造工程のドライ洗浄用の調湿ガスを生成する調湿ガス発生装置は、複数の高度な要求性能を満たす必要がある。例えば、純水への良好な耐久性、長寿命のための保守管理の容易さ、出力ガスの高いクリーン性(含有する金属イオンなどの不純物を極度の低濃度)、湿度制御の高精度、小型性及び低コスト性などである。
【0008】
特許文献1の開示は、小型性及び低コスト性において優れた定湿ガス発生装置を教示しているが、半導体製造工程への適用を可能にするためには不十分であり、更なる改良が要求される。
【0009】
本発明の一つの目的は、半導体製造工程に適用可能とするための調湿ガス発生装置の改良を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、耐水性、保守管理性、出力ガスのクリーンさ、または出力ガスの湿度の制御性においてすぐれた調湿ガス発生装置の改良を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に従う調湿ガス発生装置は、ガス域とガス域の下方にある貯水域とを内部に有する飽和槽本体と、飽和槽本体の内部に配置されたガス還流装置とを有する。
【0012】
ガス還流装置は、ガス戻り管と、ガス送出管と、排水管と、トラップ箱を有する。ガス戻り管は、ガス域内に配置されたガス入口から貯水域内を通過してトラップ箱内に配置されたガス出口に至る。ガス送出管は、トラップ箱内に配置されたガス送入口から飽和槽本体の外部に配置されたガス送出口に至る。排水管は、トラップ箱内に配置された水入口から飽和槽本体の外部に配置された水出口に至る。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成された調湿ガス発生装置は、従来の調湿ガス発生装置に比較して、耐水性、保守管理性、出力ガスのクリーンさ、または出力ガスの湿度の制御性において、従来の調湿ガス発生装置より優れることが期待され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る調湿ガス発生装置の縦断面図である。
【
図2】一実施形態に係る調湿ガス発生装置のフランジ部を拡大して示した縦断面図である。
【
図3】一実施形態に係る調湿ガス発生装置のガス還流装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、一実施形態に係る調湿ガス発生装置の縦断面図である。
【0017】
図1に示されるように、一実施形態にかかる調湿ガス発生装置1は、飽和槽本体2と、予備水タンク3と、ガス還流装置4とを備える。
【0018】
飽和槽本体2は、全体として上下に細長いほぼ円筒又は多角筒(例えば正方筒)の形状を有する。飽和槽本体2は、上側キャップ部20と、中央胴部21と、底ベース部22との3つの部品から構成される。飽和槽本体2のこれら部品の主材料は、耐久性の高い金属、例えばステンレススティールである。
【0019】
上側キャップ部20の周壁の下端面に中央胴部21の周壁の上端面が密着し、中央胴部21の周壁の下端面に底ベース部22の中央部の上面が密着する態様で、これら3つの部品が順次に結合されて、飽和槽本体2が形成される。これら3つの部品間の結合は、上側キャップ部20の周壁の下端部のフランジ20aと中央胴部21の周壁の上端部のフランジ21aとの間のボルト締結と、中央胴部21の周壁の下端部のフランジ21bと底ベース部22の外縁側のフランジ22aとの間のボルト結合によりなされる。従って、それらのボルト締結を解除すれば、飽和槽本体2は3つの部品に分解される。
【0020】
調湿ガス発生装置1の作動時には、飽和槽本体2の内部に、その上部のガスが存在すべき領域を残して、水が充填される。調湿ガス発生装置1がシリコンウェハのドライ洗浄に利用される場合、飽和槽本体2に充填される水は超純水である。飽和槽本体2内の水が充填された領域を以下、貯水域Wといい、上部のガスの領域を以下、ガス域Gという。
飽和槽本体2の上側キャップ部20と中央胴部21との高さ寸法は、次の条件を満たすように選ばれる。すなわち、水面は中央胴部21のほぼ上側半分の高さ領域にあって、上側キャップ部20に到達することはなく、よって、常に上側キャップ部20の内部はガス域Gに該当する。
【0021】
飽和槽本体2の上側キャップ部20の周壁の外表面にガス域G内のガスを加熱するためのガスヒータ(加温部)5が設けられる。上側キャップ部20は、その外表面の大部分がガスヒータ5でおおわれていてよい。
【0022】
飽和槽本体2の内部の下部、例えば、底ベース部22に近い高さ位置に、貯水域Wの水を加熱するための水ヒータ6が配置される。なお、ヒータは、飽和槽本体2の壁、例えば中央胴部21の周壁の外面に配置されてもよい。水ヒータ6に代えて、水の過熱と冷却を行える水ヒータ・クーラ、例えばペルチェ効果を利用したヒートポンプが、飽和槽本体2の壁の外表面に密着していてもよい。
【0023】
飽和槽本体2の底ベース部22の壁内には、ガス導入路22bが形成される。ガス導入路22bのガス入口22cは底ベース部22の壁の外表面に開口し、そのガス出口22dは底ベース部22の壁の貯水域Wに向けて開口する。そのガス出口22dには、そこから貯水域Wに放出されるガスを微細な気泡Bにするための多孔体7が設けられる。
【0024】
飽和槽本体2の外部に、予備水タンク3が配置される。予備水タンク3は、上側部30と下側部31とを有する。上側部30の周壁の下端面に下側部31の壁の上面が密着する態様で、これら2つの部品が結合されて、予備水タンク3が形成される。これら2つの部品間の結合は、上側部30の周壁の下端部のフランジ30aと下側部31の外縁側のフランジ31aとの間のボルト結合によりなされる。従って、それらのボルト締結を解除すれば予備水タンク3は2つの部品に分解され得る。
【0025】
予備水タンク3の主材料は、耐久性の高い金属、例えばステンレススティールである。
【0026】
予備水タンク3の上側部30の壁、例えば天壁、に開口30bが設けられ、飽和槽本体2の上側キャップ部20の上部の壁にも開口20bが設けられ、両開口30b、20bがガス連通管8で接続される。また、予備水タンク3の下側部31の壁、例えば底壁に開口31bが設けられ、飽和槽本体2の下部の壁、例えば中央胴部21の下部の周壁、にも開口21cが設けられ、両開口31b、21cが水連通管9で接続される。
【0027】
予備水タンク3の高さ寸法と飽和槽本体2に対する配置の高さは、次の条件を満たすように選ばれる。すなわち、その水面の高さは予備水タンク3の内部の高さ寸法内に収まる。したがって、予備水タンク3の内部の水面高さと飽和槽本体2内の水面高さは等しく、予備水タンク3の内部にも同様に、ガス域Gと貯水域Wとが存在する。
【0028】
このように、予備水タンク3の内部と飽和槽本体2の内部はガス域Gと貯水域Wの両方で連通している。したがって、飽和槽本体2内部で水が消費されて減ったならば、予備水タンク3から飽和槽本体2内部へ水が補充される。
【0029】
予備水タンク3の壁には、別の開口30cが設けられており、その開口30cには給水管10が接続される。飽和槽内の水位が下がりすぎた場合、給水管10から予備水タンク3内に、手動または自動で水を補給することができる。
【0030】
飽和槽本体2の内部に、ガス還流装置4が配置される。ガス還流装置4は、ガス戻り管40と、ガス送出管41と、排水管42と、トラップ箱43とを備える。ガス還流装置4の主材料は、耐久性の高い金属、例えばステンレススティールである。
【0031】
ガス戻り管40は、ほぼ直線的な形状で上下方向、例えばほぼ垂直、に配置され、その上端にガス入口40a、下端にガス出口40bをもつ。ガス戻り管40のガス入口40aは、飽和槽本体2内のガス域Gの上部、例えば、上側キャップ部20の天壁に近い位置に配置される。ガス戻り管40はガス域G内のガス入口40aから貯水域W内を通過してトラップ箱43の内部のガス出口40bに至る。
【0032】
ガス戻り管40のガス出口40bは、トラップ箱43の内部の最上位置より低い位置、例えば、トラップ箱43の天壁から所定距離だけ下がった位置、に配置される。ガス戻り管40のガス出口40bの近傍部分は、垂直に対して斜めに傾斜するように曲がってガス出口40bに至る(
図3参照)。そして、ガス出口40bの水平面での向きは、そのガス出口40bから見た水平面でのガス送出管41のガス送入口41aの存在する方向とは異なる方向である。よって、ガス出口40bから吹き出るガス流は、ガス送出管41のガス送入口41aとは異なる方向に向かう。
【0033】
また、
図3に示すように、ガス戻り管40のガス出口40bの前端面40cはほぼ円形であるが、その円形の端面の少なくとも一部がトラップ箱43の内面に接するように、斜め方向にカットされている。より詳細には、ガス出口40bはトラップ箱43の内壁の内面の近傍に配置され、その壁の内面に向いており、かつ、ガス出口40bの一部分(例えば、ガス出口40bの中で最も先方に延びた先端部)がトラップ箱43の内面に接触している。
【0034】
以上の構成により、ガスがガス戻り管40内を通る間に凝縮した水がガス出口40bから出てトラップ箱43内に落下するとき、それがガス出口40bから吹き出るガス流に運ばれてガス送出管41のガス入口40aに入り込んでしまう問題が低減される。
【0035】
また、
図3に示すように、ガス戻り管40のガス出口40bにおけるガス戻り管40の中心軸は、トラップ箱43の内壁の内面に対して周方向へ傾斜した向きになっている。
【0036】
ガス域G内のガス戻り管40のガス入口40aとほぼ同じ高さに、ガスの温度を検出するガス温度センサ11が配置される。このガス温度センサ11の検出信号は、飽和槽本体2の外部に配置された図示しない制御装置に入力されて、ガスヒータによるガス温度制御に利用される。
【0037】
ガス送出管41は、例えば逆L字型に曲がった形状もち、上下方向に配置されて、そのほぼ垂直に立った部分の下端にガス送入口41aをもち、そのほぼ水平に配された部分の上端にガス送出口41bをもつ。
【0038】
ガス送出管41のガス送入口41aは、トラップ箱43の内部のガス戻り管40のガス出口40bより高い位置に配置される。ガス送出管41は、ガス送入口41aから上に伸びてトラップ箱43の外へ出て貯水域W内に入り、そこでほぼ水平に向きを変えてから、中央胴部21の壁の水面より下方の個所を貫通して、飽和槽本体2の外部に配置されたガス送出口41bに至る。
【0039】
貯水域W内のガス送出管41とほぼ同じ高さに、水の温度を検出する水温センサ12が配置される。この水温センサ12の検出信号は、飽和槽本体2の外部に配置された図示しない制御装置に入力されて、水ヒータ6による水の温度制御に利用される。
【0040】
排水管42は、トラップ箱43の内部のほぼ最下部に配置された水入口42aと、飽和槽本体2の外部に配置された水出口42bとをもつ。排水管42は、水入口42aから伸びてトラップ箱43の外へ出て、中央胴部21の壁を貫通して飽和槽本体2の外部へ出る。
【0041】
トラップ箱43は、飽和槽本体2の中央胴部21内の貯水域W内であって、前述した水ヒータ6より高い高さの位置に、配置される。
【0042】
図3に示すように、トラップ箱43の水平断面積は、ガス戻り管40の水平断面積より大きく、トラップ箱43内でガス戻り管40のガス出口40bとガス送出管41のガス入口40aは水平方向において所定距離だけ離れて配置される。そして、前述したようにトラップ箱43内では、ガス戻り管40のガス出口40bが、そのガス出口40bからガス送出管41のガス入口40aを見た方向とは異なる方向を向く。さらに、トラップ箱43は所定値以上の高さ寸法を有し、トラップ箱43内でガス戻り管40のガス出口40bは、ガス送出管41のガス入口40aより低い位置に配置される。またさらに、トラップ箱43の内部で、水が溜まることになるトラップ箱43の底面から所定高さだけ離れた高い位置に、ガス送出管41のガス送入口41aが配置される。
【0043】
飽和槽本体2のガス域Gと貯水域Wに接する内表面の全面は、純水に対する耐久が飽和槽本体2の主材料、例えばステンレススティールよりより高い耐食性材料、例えばフッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))、の層でコートされる。
図2に示すように、飽和槽本体2の上側キャップ部20と中央胴部21との相互の密着面(双方のフランジ20a、21aの相対向する密着面)、及び、中央胴部21と底ベース部22の相互の密着面(双方のフランジの密着面)も、同じ耐食性材料の層でコートされる。
【0044】
予備水タンク3のガス域Gと貯水域Wに接する内表面も、同じ耐食性材料の層でコートされる。予備水タンク3の上側部30と下側部31の相互の密着面(双方のフランジ30a、31aの相対向する密着面)も、同じ耐食性材料の層でコートされる。
【0045】
ガス還流装置4のガス域Gと貯水域Wに接する外表面(例えばトラップ箱43の外表面)も、同じ耐食性材料の層でコートされる。
【0046】
以上説明した本実施形態の調湿ガス発生装置1は、従来の調湿ガス発生装置に比較して、耐水性、保守管理性、出力ガスのクリーンさ、または出力ガスの湿度の制御性において、従来の調湿ガス発生装置より優れることが期待され得る。
【0047】
本実施形態の調湿ガス発生装置1は、半導体製造工程のドライ洗浄工程に好適に用いることができ、また、他の半導体製造工程、例えば露光工程におけるステッパ内の雰囲気の調湿、スピンコータなどによる塗装工程における雰囲気の調湿などにも好適に用いることができる。
【0048】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0049】
また、図示した各構成要素の寸法、形状等は必ずしも正確に図示されているとは限らず、本実施形態の特徴を強調するために適宜修正されていることもありうる。
【符号の説明】
【0050】
1…調湿ガス発生装置 2…飽和槽本体 3…予備水タンク 4…ガス還流装置 5…ガスヒータ(加温部) 20…上側キャップ部 20a…フランジ 21…中央胴部 21a…フランジ 22…底ベース部 30…上側部 30a…フランジ 31…下側部 31a…フランジ 40…ガス戻り管 40a…ガス入口 40b…ガス出口 40c…前端面 41…ガス送出管 41a…ガス送入口 41b…ガス送出口 42…排水管 42a…水入口 42b…水出口 43…トラップ箱 G…ガス域 W…貯水域