(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】亀裂センサー及びこれを用いた低電力駆動型亀裂感知システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/20 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
G01N27/20 A
(21)【出願番号】P 2022518852
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 KR2020006725
(87)【国際公開番号】W WO2021060645
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0117731
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522075461
【氏名又は名称】エル テク カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EL TECH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ハン ビョンユル
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ドンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソル
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-124534(JP,U)
【文献】特開2007-263674(JP,A)
【文献】特開平07-055741(JP,A)
【文献】特開2008-191169(JP,A)
【文献】特開2003-107030(JP,A)
【文献】特表2007-505309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の亀裂部に設置されて亀裂状態を感知する亀裂センサーであって、
亀裂部の一側に亀裂方向に対応する長手方向を有し、下側面が建築物に付着され、上側面に第1電極部(111)が付着された非伝導性素材の第1基板(11)と、
亀裂部の他側に亀裂方向に対応する長手方向を有し、下側面が建築物に付着され、上側面に第2電極部(121)が付着された非伝導性素材の第2基板(12)と、
一側端と他側端がそれぞれ前記第1電極部(111)及び第2電極部(121)に接合され、伸ばされずに設定の引張力で破断される複数の抵抗パターン体(131)が順次変わる長さを有し、前記亀裂部から離隔するように撓った形態に構成された抵抗パターン部(13)と、を含むことを特徴とする、亀裂センサー。
【請求項2】
前記抵抗パターン部(13)は、各抵抗パターン体(131)の長さによって幅または厚さが変わり、備えられたすべての抵抗パターン体の抵抗が同一に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の亀裂センサー。
【請求項3】
前記抵抗パターン部(13)は、同じ長さを有する二つ以上の抵抗パターン体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の亀裂センサー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の亀裂センサー(1)と、
陽極と陰極を介して直流電源を印加する電源部(2)と、
前記直流電源を設定の周期及びパルスで前記第1電極部(111)及び第2電極部(121)に印加する駆動部(31)、前記駆動部(31)と連結され、亀裂センサーを介して流れる電流を測定する測定部(32)、及び測定される電流をモニタリングし、電流値変化によって亀裂情報を生成する算出部(34)を備える制御部(3)と、
指定されたサーバーまたは端末機と無線通信を遂行し、前記算出部による電流値変化の感知によって活性化して亀裂情報を送信する通信部(4)と、を含むことを特徴とする、亀裂感知システム。
【請求項5】
前記制御部(3)は、亀裂センサー(1)を介して流れる電流値変化に対応する亀裂値がルックアップテーブル形態に保存された保存部(33)を含み、
前記算出部(34)は、測定される電流値変化を前記保存部(33)の情報と比較して亀裂情報を生成することを特徴とする、請求項4に記載の亀裂感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は亀裂センサーに関し、詳しくは、構造及び製造工程が大きく改善された亀裂センサー及びこれを用いて設定された亀裂データを得て超低電力駆動方式で伝送することができ、設置が容易であり、多様な構造物の亀裂形態に適用可能な低電力駆動型亀裂感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は70年代以後に急激な経済発展に伴い国内の産業技術基盤が早く造成されるにつれて生活環境改善のための多様な社会間接資本の投資が増加し、これによって社会基盤施設の造成及び建築構造物の新築も活発になされた。
【0003】
しかし、このような速い成長による問題が十数年の後である近来に現れている。その中で代表的なものが建築物の崩壊事故であり、シンヘンジュ大橋の崩壊(1992年7月)、チョンジュのウアム商店街の崩壊(1993年1月)、ソンス大橋の崩壊(1994年10月)、サンプン百貨店の崩壊(1995年6月)、キョンジュのマウナリゾートの崩壊(2014年2月)のような大型構造物の崩壊事故が大きな衝撃を与えた。
【0004】
このような構造物の崩壊は経済的損失だけではなく、大規模の人命被害につながるしかなくて、社会的不安、衝撃などの直間接的損失だけではなく国家信頼度を落として経済を阻害する要因として作用することになる。
【0005】
それで、1995年に「施設物安全管理に関する特別法」が制定され、長大橋梁などの主要施設物に義務的にセンサー基盤の計測システムを設けて運営しており、ドコク洞のタワーパレス、ヘウンデのドゥサンWe’ve The Zenith、第2ロッテタワーの場合は、風向及び風速計、振動加速度センサーなどを設けて建築物の維持管理及び安全管理を遂行している。
【0006】
しかし、老朽化した状態で使用されている多くの既存建物は依然としてこのような管理が遂行されていない場合が多く、電算モデルの不在によって地震や強風のような災害状況に対応する正確な構造性能評価が不可能な状態であり、実際構造物の動的挙動が反映された電算モデルを獲得するための建築物モニタリング及び健全度評価システムが必要な実情である。
【0007】
それで、距離測定センサー及びホール効果(Hall effect)を用いた方式などの多様な形態の亀裂センサーを開発して建築物をモニタリングしているが、このような方式の亀裂センサーは製造工程が相対的に複雑であり、これにより製造コストが高く、感知した亀裂情報を得るためのサンプリングデータ測定とサンプリングされたデータの無線伝送とを周期的に遂行することによって電力消耗が大きいので、バッテリーの寿命を短縮させ、電力供給の蹉跌による問題を持っている。
【0008】
したがって、既存の高価なセンサーを含めて高い構築費用がかかる有線方式を解決することができる無線基盤の計測装備及びシステム開発が必要であり、特に大規模の面積を占める高層建築物などにおいても効率的な費用で持続的に円滑なモニタリングが可能な亀裂感知システムに対する要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0033564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、簡単な構造によって、製造及び設置が容易であり、原価低減の効果及び優れた信頼度を有する亀裂センサーを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前述した亀裂センサーに基づいて設置した後、零点調整作業を省略することができ、感知された亀裂情報の無線伝送による消費電力を最小化し、施設物安全管理の安全性及び効率性を向上させることができる亀裂センサー及びこれを用いた低電力駆動型亀裂感知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するための本発明の亀裂センサーは、建築物の亀裂部に設置されて亀裂状態を感知する亀裂センサーであって、亀裂部の一側に亀裂方向に対応する長手方向を有し、下側面が建築物に付着され、上側面に第1電極部が付着された非伝導性素材の第1基板と、亀裂部の他側に亀裂方向に対応する長手方向を有し、下側面が建築物に付着され、上側面に第2電極部が付着された非伝導性素材の第2基板と、一側端と他側端がそれぞれ前記第1電極部及び第2電極部に接合され、伸ばされず、設定の引張力で破断される複数の抵抗パターン体が順次変わる長さを有し、前記亀裂部から離隔するように撓った形態に構成された抵抗パターン部とを含むことを特徴とする。
【0013】
ここで、前記抵抗パターン部は、各抵抗パターン体の長さによって幅または厚さが変わり、備えられたすべての抵抗パターン体の抵抗が同一に構成されることができる。
【0014】
また、前記抵抗パターン部は、同じ長さを有する二つ以上の抵抗パターン体を含むことができる。
【0015】
前記のような目的を達成するための本発明の亀裂感知システムは、前述した亀裂センサーと、陽極と陰極を介して直流電源を印加する電源部と、前記直流電源を設定の周期及びパルスで前記第1電極部及び第2電極部に印加する駆動部、前記駆動部と連結され、亀裂センサーを介して流れる電流を測定する測定部、及び測定される電流をモニタリングし、電流値変化によって亀裂情報を生成する算出部を備える制御部と、指定されたサーバーまたは端末機と無線通信を遂行し、前記算出部による電流値変化の感知によって活性化して亀裂情報を送信する通信部とを含むことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記制御部は、亀裂センサーを介して流れる電流値変化に対応する亀裂値がルックアップテーブル形態に保存された保存部を含み、前記算出部は、測定される電流値変化を前記保存部の情報と比較して亀裂情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は多様な建築物で発生した亀裂を電気抵抗の離散的変化によって感知し、これをサーバーまたは端末機に伝送することにより、現在の亀裂進行状況の実時間確認及び対応が可能である。
【0018】
特に、軟性や展性がほとんどない非伝導性基板と半田クリームのような伝導性物質を使って製作することにより工程及び費用上の利点を得ることができ、単純な構造によってどの形態の構造物であっても着脱が非常に容易である。ここで、基板の素材として紙くずのような再活用資源などを活用することによって優れた経済性を有する。
【0019】
また、順次的で離散的な抵抗破断によって亀裂イベントが感知される場合にのみ通信がなされることにより、超低電力動作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による亀裂センサーの製造のためのマスクを示す平面図である。
【
図2】本発明による電極部が整列された亀裂センサーの平面図である。
【
図3】本発明による電極部が整列された亀裂センサーの正面図である。
【
図4】本発明の原理による並列連結抵抗を示す回路図である。
【
図5】本発明による亀裂感知システムの構成及び連結関係を示すブロック図である。
【
図6】本発明による亀裂感知手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の他の実施例による亀裂センサーの製造のためのマスクを示す平面図である。
【
図8】本発明の亀裂センサーの屈曲面の設置状態を示す使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づいて本発明の亀裂センサー及びこれを用いた低電力駆動型亀裂感知システムの構造及び構成を具体的に説明する。
【0022】
まず、本発明による亀裂センサー1は多様な建築物で発生する亀裂部に設けられて亀裂の進行を感知するためのセンサーであり、亀裂部を中心に亀裂部の一側に第1基板11が、亀裂部の他側には第2基板12がそれぞれ付着される。
【0023】
前記第1基板11及び第2基板12はいずれも非伝導性素材からなり、下側面は多様な接着手段を介して建築物の表面に付着される方式で設置され、前記第1基板11及び第2基板12の間に抵抗パターン部13が設けられ、これらに周期的に直流電源を印加して電流をモニタリングし、電流値の変化によって亀裂の進行を判断するようになる。
【0024】
このために、前記第1基板11及び第2基板12にはそれぞれ第1電極部111及び第2電極部121が設けられ、前記抵抗パターン部13は一端と他端がそれぞれ前記第1電極部111及び第2電極部121に接合され、伸ばされず、設定の引張力によって破断される複数の抵抗パターン体131が順次変わる長さをもって撓う形態に構成され、亀裂が進行して亀裂部が広がることにより、最も短い抵抗パターン体131から順次的で離散的に切れるように構成される。
【0025】
本発明による亀裂センサー1は製造工程が非常に簡単でありながらも原価を大きく節減することができることが大きな特徴の一つであり、設置も容易であり、低電力駆動の特性によって運用上多くの利点がある。
【0026】
図1は本発明による亀裂センサーの製造のためのマスクを示す平面図である。このような亀裂センサーの具体的な構造を製造工程とともに説明すると次のようである。
【0027】
まず、第1基板11及び第2基板12を多様な非伝導性板材から構成することができる。本発明の実施例では、特に紙くずなどのような紙材で第1基板11及び第2基板12を構成することにより、工程の容易性及び費用節減を極大化することができ、必ずしも本発明で言及する素材ではないとしても紙のように軟性や展性が非常に低い多様な非伝導性素材から第1基板11及び第2基板12を構成することができる。
【0028】
また、本発明の実施例のように同じ素材で第1基板11及び第2基板12を同時に製造することが好ましいが、これらは同じ特性を有する他の素材から構成することもできるというのは言うまでもない。
【0029】
上述した特性の材料から適用対象の亀裂部の位置及びサイズに対応して適正の長さを有するように第1基板11及び第2基板12の枠を準備した後、その上側に第1電極部111及び第2電極部121の基盤を設けるようになる。
【0030】
本発明の実施例では、前記第1基板11及び第2基板12を形成すべき素材上に0.05~0.5mm厚さの薄いメタルマスクを載せて第1電極部111及び第2電極部121の基盤を設ける。ここで、第1電極部111になる部分は所定の長さを有する単一のメタルマスクから構成され、第2電極部121に対応する部分は抵抗パターン体131の個数に対応する個数で設けられ、第1電極部111になるメタルマスクから順次遠くなるか近くなるように所定の間隔で配列される。
【0031】
実質的に、第1基板11側のメタルマスクは第1電極部111としてすぐ使われることができるが、第2基板12側に設けられる複数のメタルマスクは結局単一の導体に一直線上に付かなければならないので、接点部132によって区分することができる。
【0032】
その後、抵抗パターン体131を形成するようになる。ここで、好ましくは、半田クリーム(またはクリーム種類の伝導性物質)を前記第1電極部111に対応するメタルマスクと接点部132に対応するメタルマスクとの間を連結する形態に塗布し、互いに平行に所定の個数で設けられる。ここで、接点部132を成す複数のメタルマスクの第1電極部111に対応するメタルマスクからの距離が変わることにより、半田クリームも複数の相異なる長さに塗布される。
【0033】
その後、オーブンなどによって約240℃の条件で約5秒程度焼成して、
図1のような半田クリームパターン、すなわち抵抗パターン部13を形成する。このような条件は一実施例であり、塗布された伝導性物質によって約180~280℃の成形条件を有し、成形時間も適切に調節することができるというのは明らかである。
【0034】
他の実施例として、半田クリームで抵抗パターン部13を形成する他の方法でグラビア印刷方法を用いることもでき、半田クリームをインクジェット方式で直接基板材料上に噴射して半田クリームパターンを形成することもできる。
【0035】
それだけでなく、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine-doped tin oxide)などの透明導電酸化物(Transparent Conductive Oxide)系の薄膜を形成した後、専用のパターニング工程を用いる方式で抵抗パターン部13を形成することもできる。
【0036】
このような過程により、
図1のように形成された抵抗パターン体131と第1電極部111及び接点部132を刀あるいは刃付きプレスなどで分離する。
【0037】
図2は本発明による電極部が整列された亀裂センサーの平面図である。上述した過程の後、銅のような導体(または多様な商用の金属導体)上に接点部132を成す金属マスクを添付の
図3のように整列して一直線状になった導体板である第2電極部121に付ける。
【0038】
このような製造工程は概念的な部分であり、実質的に添付図面のような形態の亀裂センサー1を製作するための多様な方法があり得るというのは言うまでもない。
【0039】
図3は本発明による電極部が整列された亀裂センサーの正面図であり、実施例で、陽極電極になる第1電極部111と陰極電極になる第2電極部121とが導体板に付いて形成された製品を正面から見た状態を示す。多様な銅テープ(Copper tape)または導電性物質を使って第2電極部121を構成することができる。
【0040】
その後、使用された材料の腐食を防止するために、防水ペイントなどを用いて防水処理することにより、室外での円滑な使用を保障し、耐久性を向上させる。
【0041】
言及したものとは違う方式として、抵抗パターン部13は、伸ばされずに撓うことはできるが、容易に切れる導電性物質の導体線から構成することもできる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine-doped tin oxide)などの透明導電酸化物(Transparent Conductive Oxide)系の薄膜を形成した後、パターニング工程によって各抵抗パターン体131を形成することもできる。
【0042】
本発明は、このような簡単な構造により、製造が容易であり、製造コストが安いだけでなく、設置が容易であり、設置の後に既存製品のような零点調整が必ずしも必要ではない。本発明では、抵抗パターン部13を構成する多数の抵抗パターン体131の中で最も短い抵抗パターン体が切断される時点が直ちに零点調整と言える。
【0043】
図4は本発明の原理による並列連結抵抗を示す回路図である。
【0044】
オームの法則V=IRにより、
図4のような回路図の全体抵抗Rは(1/(1/R1+1/R2+1/R3…1/Rn))で示すことができる。
【0045】
したがって、一つの最も短い抵抗パターン体が切れれば、全体抵抗値が高くなり、二番目で短い抵抗パターン体が切れれば、全体抵抗値がさらに高くなることにより、順次的で離散的な抵抗値の変化は電流値の変化を引き起こし、基準電流値の測定によって構成された電流値対亀裂値を表すルックアップテーブルによって現在の変位量(亀裂進行度)が分かる。
【0046】
図5は本発明による亀裂感知システムの構成及び連結関係を示すブロック図、
図6は本発明による亀裂感知手順を示すフローチャートである。前述した亀裂センサー1をIoT技術と融合させて、亀裂サンプリング及びセンシングされた亀裂情報の無線伝送時の消費電力を最小化することにより、バッテリーの寿命が重要なIoT亀裂センサーとして適したシステムを構築することができる。また、測定された亀裂情報をサーバーに伝送し、これを管理者が確認することができるので、現在の亀裂状態を実時間で受けて迅速な対応を支援する。
【0047】
具体的には、本発明によるシステムは、前述した亀裂センサー1の他に、電源部2、制御部3、及び通信部4の構成を含む。
【0048】
前記電源部2は多様なバッテリーからなり、陽極と陰極から直流電源を前記制御部3を介して亀裂センサーの第1電極部111及び第2電極部121に印加することができるように構成される。
【0049】
亀裂センサー1のサイズ及び使用年限によって適正の商用バッテリーを使うことができる。前述したように、順次的で離散的な亀裂センシング情報に対して亀裂イベントが発生する場合にのみ情報を伝送するようにすることにより、超低電力動作が可能であり、一つのAA型乾電池で3年以上の長期間にわたってバッテリー交替なしに使用することができる。
【0050】
ここで、バッテリーの電源をそのまま使うこともできるが、バッテリーの出力電圧を適正のレベル(3.3V/2.5V/1.8V/1.3V/0.8Vなど)に昇圧または降圧し、バッテリーが定電圧源として動作するようにする。
【0051】
前記電源部2は、このような電圧の調節のために、電圧調節回路からなる調節部21と、定電圧動作のために定電圧レギュレーターからなる変換部22とを備える。
【0052】
前記制御部3はMCUに相当する構成であり、駆動部31と、測定部32と、保存部33と、算出部34と、設定部35との詳細構成を備える。
【0053】
前記駆動部31は前記電源部の直流電源を所定の周期及びパルスで前記第1電極部及び第2電極部側に印加する構成である。これはDC-ACコンバータを用いたパルス発生器から具現することもでき、効率的な消費電力節減のために、MCUの次元で単一パルス発生の機能を果たすことが好ましい。
【0054】
測定周期は測定の目的及び応用によって数~数百ミリ秒(ms)程度を適用することができるが、一般的に数秒~数分程度を適用することができる。測定パルス幅は測定周期の1/100,000,000~1/100程度が適当であるが、測定の目的及び応用によって加減することができるというのは言うまでもない。
【0055】
前記測定部32は前記駆動部31と連結され、亀裂センサーに流れる電流を測定する電流センサーの構成であり、前記算出部34は測定される電流をモニタリングし、電流値の変化によって亀裂情報を生成する。
【0056】
このために、まず所定の測定周期及びパルス幅で亀裂センサー1に流れる基準電流値を測定して、電流値対亀裂値を示すルックアップテーブルを作成する必要がある。前記ルックアップテーブルは、抵抗パターン部13の図面上の数値と、これを構成する材料、すなわち本発明の実施例で半田クリームの比抵抗値とから計算によって求めることができるが、半田クリームによって抵抗パターン体131を形成する工程上の偏差によって理論値と実測値が変わることがあるので、基準電流値を測定してルックアップテーブルを作成することが好ましい。
【0057】
前記保存部33は亀裂センサーに流れる電流値の変化に対応する亀裂値をルックアップテーブル形態に保存する構成であり、前記設定部35は測定周期と測定パルス幅をそれぞれの亀裂をセンシングする目的に合わせて設定するとともに定電圧レベルを設定することができるように構成される。
【0058】
前記通信部4はIoT基盤の無線通信モジュールであり、指定されたサーバーまたは端末機と無線通信を遂行し、前記算出部による電流値変化の感知によって活性化して亀裂情報を送信する。
【0059】
すなわち、設定の定電圧レベル、測定周期及びパルス幅によって前記亀裂センサー1で測定された電流値を直前に測定されて前記保存部に保存された電流値と比較し、変動状況がなければ、通信部4が非活性化状態を維持し、計算された亀裂情報を伝送しなく、変動状況がある場合にのみ前記通信部4が活性化して亀裂情報を伝送する。
【0060】
このような動作により、前記通信部が活性化して亀裂情報を伝送する回数が設計された抵抗パターンR1~Rnの個数(n)と同じn回のみ動作して亀裂センサー及び全体システムの電力消耗を最小化することができる。
【0061】
また、本発明において、ルックアップテーブルを直観的で容易に作成するために、前記抵抗パターン部13は各抵抗パターン体の長さに対応して幅または厚さが変わり、備えられたすべての抵抗パターン体の抵抗が同一であるように構成されることができる。
【0062】
すなわち、
図4のような並列回路図でR1~Rnの抵抗値をすべて同じに設計し、製作の便宜上R1~Rn抵抗の厚さは同一であると仮定する。
【0063】
例えば、R1の長さをL1、幅をW1と、R2の長さをL2、幅をW2というとき、それぞれのスクエア(square)数を同じにすれば、両抵抗の値が同じになる。
【0064】
すなわち、L1/W1=L2/W2になるW2の値はW2=W1×L2/L1になる。
【0065】
W2をW1に比べてL2/L1の分だけ大きく設計すればR1=R2を満たし、このようにR3~Rnの線幅を設定すればすべての抵抗値が同じになる。
【0066】
図7は本発明の他の実施例による亀裂センサーの製造のためのマスクを示す平面図であり、前記抵抗パターン部13に同じ長さを有する二つ以上の抵抗パターン体を備えた状態を示す。
【0067】
すなわち、
図7のようにR1~Rnと同様な抵抗パターンセットをもう一つ(R1’~Rn’)備えることにより、製造工程上の問題などによって特定の抵抗パターン体に既に断線が発生した場合、同じ長さを有する抵抗パターン体に代替することができ、さらに一つの抵抗パターン体の切断に対して、正常な亀裂サイズの増加による切断であるか否かを二重にチェックすることができるので、より正確な亀裂判断を遂行することができる。
【0068】
図8は本発明の亀裂センサーの屈曲面設置状態を示す使用状態図である。
【0069】
本発明の亀裂感知システムは、建築物の平面はもちろんのこと、
図8のように、円柱のような曲面上の亀裂測定において曲面に沿って発生する亀裂の総量を測定するのに、従来の他の方式の亀裂センサーより非常に卓越した性能を示す。
【0070】
本発明の権利は以上で説明した実施例に限定されず、請求範囲に記載したものによって定義され、本発明の分野で通常の知識を有する者が請求範囲に記載した権利範囲内で多様な変形及び改作が可能であるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 亀裂センサー
11 第1基板
111 第1電極部
12 第2基板
121 第2電極部
13 抵抗パターン部
131 抵抗パターン体
132 接点部
2 電源部
21 調節部
22 変換部
3 制御部
31 駆動部
32 測定部
33 保存部
34 算出部
35 設定部
4 通信部