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特許726456911-メチレンステロイドの製造のための方法および新規な中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】11-メチレンステロイドの製造のための方法および新規な中間体
(51)【国際特許分類】
   C07J 1/00 20060101AFI20230418BHJP
   C07J 11/00 20060101ALI20230418BHJP
   C07J 33/00 20060101ALI20230418BHJP
   C07J 21/00 20060101ALI20230418BHJP
   C07J 43/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C07J1/00
C07J11/00
C07J33/00
C07J21/00
C07J43/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018546617
(86)(22)【出願日】2017-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017054952
(87)【国際公開番号】W WO2017149091
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-18
(31)【優先権主張番号】16382092.1
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511305427
【氏名又は名称】クリスタル ファルマ、エセ、ア、ウ
【氏名又は名称原語表記】CRYSTAL PHARMA,S.A.U.
【住所又は居所原語表記】Parque Tecnologico de Boecillo,parcela,105A, E-47151 Boecillo-Valladolid,ESPANA
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(72)【発明者】
【氏名】セルソ、ミゲル、サンドバル、ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】イグナシオ、エライツ、シエラ
(72)【発明者】
【氏名】イバノ、メッシーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス、ミゲル、イグレシアス、レトゥエルト
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-029548(JP,A)
【文献】特表平08-506116(JP,A)
【文献】特表2003-508541(JP,A)
【文献】国際公開第2014/037873(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00643071(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第02361120(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第102964418(CN,A)
【文献】OPPI BRIEFS,1997年,29,572-576
【文献】Steroids,1998年,63,21-27
【文献】Tetrahedron,1994年,50,10709-10720
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその溶媒和物
【化1】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;
Yは、それが結合している炭素原子とともにC=CHまたはC(OH)CHZを表し、ここで、Zは、HおよびSiR’から選択され、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択され;
は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;
10は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択されるか、または とC10の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13は、エチルであり;
16は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;
---は、単結合または二重結合である]
の製造方法であって、
式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化2】
[式中、X、R、R10、R13、R16、および---は、上記で定義された意味をとり得る]
を式(III)の化合物
【化3】
[式中、Zは、上記で定義された意味をとり得、かつ、Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択される]
と反応させることを含んでなる、方法。
【請求項2】
、R10、R16がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ZがSiR’基を表し、ここで、各R’はC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(a)請求項1に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を請求項1に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化4】
[式中、
Y、R、R10、R13、R16および---は、請求項1に定義され;
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基もしくはケトン保護基を形成し;かつ
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ることをさらに含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)請求項1に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を請求項1に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)請求項1に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を請求項1に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(IV)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物もしくは式(IV)の化合物またはその溶媒和物がデソゲストレル、エトノゲストレルまたはその溶媒和物にさらに変換される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
下記の工程:
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化5】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を式(III)の化合物
【化6】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化7】
を得る工程;
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物
【化8】
を得る工程;
(c)式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化9】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)RがSiR’’基である場合には、RがHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる、請求項9に記載のエトノゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
【請求項11】
下記の工程:
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化10】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を式(III)の化合物
【化11】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化12】
を得る工程:
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物
【化13】
[式中、Rは、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;
(c)式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化14】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)RがSiR’’基である場合には、RがHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる、請求項9に記載のエトノゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
【請求項12】
下記の工程:
(a)化合物(12)またはその溶媒和物
【化15】
を式(III)の化合物
【化16】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物
【化17】
を得る工程;
(b)式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物
【化18】
を得る工程;
(c)式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVb-1)の化合物またはその溶媒和物
【化19】
[式中、
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)RがSiR’’基である場合には、SiR’’基を除去してデソゲストレルまたはその溶媒和物を得る工程
を含んでなる、請求項9に記載のデソゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11,17-ジ-ケトステロイドを、エトノゲストレルおよびデソゲストレルなどのいくつかの薬学上活性な薬剤の製造における有用な中間体である、対応する11-メチレン-17-ケトステロイドへ選択的オレフィン化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デソゲストレルおよびエトノゲストレルは、強力なプロゲステロン活性を有する合成ステロイドである。それらは第3世代の避妊処方物で使用される。
【化1】
【0003】
デソゲストレルは、多くの経口避妊処方物において合成プロゲスチンとして現行使用され、一方、エトノゲストレルは、膣リング送達システムNuvaRing(登録商標)およびインプラントImplanon(登録商標)において合成プロゲスチンとして使用されている。
【0004】
いくつかの合成方法がこれらのプロゲスチン化合物の合成に関する文献に記載されている。
【0005】
デソゲストレルおよびエトノゲストレルは、デソゲストレルの合成を開示している独国特許第2361120号(米国特許第3,927,046号としても公開)で初めて記載された。米国特許第3,927,046号、ならびにHeuvel, M.J. et al. Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas 1988, vol.107, no.4, p.331-334に開示されているデソゲストレルの合成は、重要中間体として式(IV)の化合物を使用する。この化合物は、化合物(II)の11位におけるケトンのオレフィン化(この場合、3位と17位のケトン基はケタールとして保護されている)とその後の化合物(III)における保護基の切断によって得られる。
【化2】
【0006】
WO2004/014934には、11α位における微生物学的水酸化により得られる11α-ヒドロキシ-18-メチル-エストラ-4-エン-3,17-ジオンからのデソゲストレルの合成が開示されている。11位においてエキソメチレン官能基を作出する前に、17位のケトン基が保護される。
【化3】
【0007】
デソゲストレルおよびエトノゲストレルはまた、中国特許第1865276A号に記載されている方法に従って合成することもできる。11-オキソ官能基はエポキシド転位およびバーチ還元により得られ、式(I)の化合物が得られる。中間体(II)の11位におけるオレフィン化により式(III)の化合物が得られ、これはデソゲストレルおよびエトノゲストレルのいずれの製造においても重要中間体として使用される。
【化4】
【0008】
11位においてメチレン基を作出するために、GaoらによりSteroids 1997, 62(5), 398-402に開示されているエトノゲストレルの合成において、17位においてヒドロキシル保護基で置換された中間化合物に対して11-ケト基へのメチルリチウムの付加が行われた。
【化5】
【0009】
Organic Preparation and Procedure Int., 1997, 29(5), 572-576において、Gaoらは、13β-エチル-11-ヒドロキシ-ゴン-4-エン-3,17-ジオンからのデソゲストレルの合成を記載している。この場合にもまた、11位におけるケトンのオレフィン化は、3位と17位におけるジエチレンケタールとしてのケトン基の保護の後に行われる。
【化6】
【0010】
中国特許102964418号では、13-エチル-3,11,17-トリオン(I)の3-ケトンのジチオケタールとしての選択的保護とその後の(III)の17-カルボニル基のケタールとしての保護により中間体(V)および(XIII)を得た。前記保護中間体の11位におけるオレフィン化、ジオキソランの脱保護、17位におけるエチニル化よびチオケタール脱保護によりエトノゲストレルが得られた。
【化7】
【0011】
同様の戦略として、3位のケトンのジチオケタールとしての選択的保護とその後の17-ケト基のエチレングリコールによる保護もまた、WO2013/135744で使用された。11-メチレン誘導体(VII)は、ウィッティヒ反応またはピーターソンオレフィン化により得られた。続いてのアルキニル化および脱保護によりエトノゲストレルが得られた。
【化8】
【0012】
WO2013/071210には、デソゲストレルおよびエトノゲストレルの重要中間体である化合物9の合成が記載されている。スワン条件下でのアルコール5の酸化によりケトン6が得られ、これがピーターソンのオレフィン化条件下で処理された。トリエン7のバーチ還元によりジエン8が得られ、これが加水分解されて11-メチレンジケトン誘導体9が得られた。この場合にもまた、17ケトンの保護は11位におけるオレフィン化の前に行われた。
【化9】
【0013】
デソゲストレルおよびエトノゲストレルへのこの同じ重要中間体がWO2014/037873でも製造された。この場合、11位でケトンのオレフィン化を行う前に17-ケト基を保護する代わりに、それが対応するヒドロキシル化合物(V)に還元され、その後、11-メチレン基が導入された後にケトンへ再酸化された。
【化10】
【0014】
デソゲストレルの全く異なる合成がCoreyらによりJ. Am. Chem. Soc. 1999, vol. 121(4), 710-714に開示されており、この場合には、ステロイド骨格が構築された。この戦略は産業上利用可能であるとは思われず、17α-ヒドロキシ-11-メチレン-18-メチルエストル-4-エン-3-オンを得るためには少なくとも13の合成工程が必要とされる。
【0015】
要するに、エトノゲストレルおよびデソゲストレルの製造に関して従来技術に開示されている方法は長すぎ、かつ/または産業上利用可能でない。一般に、開示されているほとんどの合成は、11位のケト基のオレフィン化を含んでなる。しかしながら、これらの総ての方法では、17-ケト基の保護/脱保護または還元/酸化という付加的工程が必要とされ、合成の工程数が増える。
【発明の概要】
【0016】
よって、現況技術に属す既知の工程に関連する問題の総てまたは一部を克服する、デソゲストレルまたはエトノゲストレルなどのステロイドの合成における重要中間体を得るための、新規な方法を開発することが必要である。
【0017】
本発明は、11-メチレン-17-ケト化合物およびそれらの誘導体の改良された製造方法を提供するという課題に取り組む。特に、本発明者らは、驚くことに、11,17-ジ-ケトステロイドが本明細書に定義される式(III)の化合物との反応によって選択的にオレフィン化され得ることを見出した。このオレフィン化反応は、得られる11-メチレン-17-ケトステロイドが例えばエトノゲストレルおよびデソゲストレルなどの治療上有価な化合物の製造における中間体であることから商業上重要である。
【0018】
加えて、本発明者らにより開発された方法は、容易に入手できる出発材料を用い、かつ、大規模生産に好適な反応条件を適用し、効率的な様式で11-メチレンステロイドを製造することを可能とする。
【0019】
よって、第1の側面において、本発明は、式(I)の化合物またはその溶媒和物
【化11】
【0020】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;
Yは、それが結合している炭素原子とともにC=CHまたはC(OH)CHZを表し、ここで、Zは、HおよびSiR’から選択され、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択され;
は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;
10は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはCとC10の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13は、HおよびC-Cアルキルから選択され;
16は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]
の製造方法であって、
式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化12】
【0021】
[式中、X、R、R10、R13、R16、および---は、上記で定義された意味をとり得る]
を式(III)の化合物
【化13】
【0022】
[式中、Zは、上記で定義された意味をとり得、かつ、Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択される]
と反応させることを含んでなる方法を対象とする。
【0023】
別の側面では、本発明は、式(Ic)の中間化合物またはその溶媒和物
【化14】
【0024】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択され;
は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;
10は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはCとC10の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13は、HおよびC-Cアルキルから選択され;
16は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を対象とする。
【0025】
さらなる側面では、本発明は、式(IVc)の中間化合物またはその溶媒和物
【化15】
【0026】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し;
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択され;
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択され;
は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;
10は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはCとC10の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13は、HおよびC-Cアルキルから選択され;
16は、H、C-Cアルキルおよびハロゲンから選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
用語「アルキル」は、1~6個(「C-Cアルキル」)、好ましくは1~3個(「C-Cアルキル」)の炭素原子を含み、単結合を介して分子の残りの部分に結合された直鎖または分岐アルカン誘導体を意味する。アルキル基の実例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。
【0028】
用語「アリール」は、6~10個の間、好ましくは6または10個の炭素原子を有し、炭素-炭素結合を介して結合されたまたは互いに縮合した1または2個の芳香核を含んでなる芳香族基を意味する。アリール基の実例としては、フェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0029】
用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素を意味する。
【0030】
用語「シクロアルキル」は、3~7個(「C-Cシクロアルキル」)、好ましくは3~6個(「C-Cシクロアルキル」)の炭素原子を含むシクロアルカンに由来するラジカルを意味する。シクロアルキル基の実例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0031】
「ヘテロシクリル」は、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1~5個、好ましくは1~3個のヘテロ原子からなり、完全にもしくは部分的に飽和していてもまたは芳香族(「ヘテロアリール」)であってもよい3~10員の安定な環式基、好ましくは、5または6員の環を意味する。本発明では、ヘテロシクリルは、一環式、二環式または三環式系であり得、縮合環系を含んでもよい。ヘテロシクリル基の実例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、インドールなどが挙げられる。
【0032】
用語「ケトン保護基」は、本明細書で使用する場合、制御された条件下で除去可能な、続いての反応に関してケトン官能基を遮断する基を意味する。ケトン保護基の使用は、合成手順中の望ましくない反応に対する保護基に関して当技術分野で周知であり、このような保護基は既知である(例えば、T. H. Greene and P. G. M Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第4版, John Wiley & Sons, 2007)。事実上、いずれのケトン保護基も、本発明を実施するために使用可能である。ケトン保護基の限定されない実例としては、以下が挙げられる:
【0033】
・非環式ケタール、ジチオケタールおよびヘミチオケタール
【化16】
(Wは、酸素または硫黄であり得、各R’’’は、C-Cアルキルおよびベンジルから独立に選択され得る。非環式ケタールおよびジチオケタールの例としては、ジメチルケタール、ジエチルケタール、ジイソプロピルケタール、ジブチルケタール、ジベンジルケタール、ジメチルチオケタール、ジエチルチオケタール、ジイソプロピルチオケタール、ジブチルチオケタール、ジベンジルチオケタールが挙げられる。);
【0034】
・環式ケタール、ジチオケタールおよびヘミチオケタール
【化17】
(Wは、酸素または硫黄であり得、nは、0、1または2であり得、各R’’’は、HおよびC-Cアルキルから独立に選択され得る。環式ケタール、ジチオケタールおよびヘミチオケタールの例としては、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン、4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、4-メチル-1,3-ジオキサン、5-メチル-1,3-ジオキサン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキサン、5,5-ジメチル-1,3-ジオキサン、4,5-ジメチル-1,3-ジオキサン、4,6-ジメチル-1,3-ジオキサン、1,3-ジオキサパン、1,3-ジチオラン、1,3-ジチアン、1,3-オキサチオランが挙げられる。);
【0035】
・エノールエーテル
【化18】
(この場合、加えて、CとCの間またはCとCの間に二重結合が存在すると考えられる。R’’’は、C-Cアルキルおよびベンジルから選択され得る。エノールエーテルの例としては、メチルエノールエーテル、エチルエノールエーテル、プロピルエノールエーテル、ブチルエノールエーテル、ベンジルエノールエーテルが挙げられる。);
【0036】
・エナミン
【化19】
(この場合、加えて、CとCの間またはCとCの間に二重結合が存在すると考えられる。各R’’’は、C-Cアルキルおよびベンジルから独立に選択され得るか、または2つのR’’’基はそれらが結合している窒素原子とともに5員もしくは6員複素環式環を形成する。エナミンの例としては、ジメチルエナミン、ジエチルエナミン、ジプロピルエナミン、ジブチルエナミン、ジアリルエナミン、ピロリジンエナミン、ピペリジンエナミン、モルホリンエナミンが挙げられる。);
【0037】
・オキシム
【化20】
(R’’’は、H、C-Cアルキルおよびベンジルから選択され得る。オキシムの例としては、オキシム、O-メチルオキシム、O-ベンジルオキシム、O-フェニルチオメチルオキシムが挙げられる);および
【0038】
・ヒドラゾン
【化21】
(各R’’’は、H、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびベンジルから独立に選択され得る。ヒドラゾンの例としては、ヒドラゾン、N,N-ジメチルヒドラゾン、フェニルヒドラゾン、2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン、トシルヒドラゾンが挙げられる)。
【0039】
本発明に従う用語「溶媒和物」は、非共有結合を介してそれと結合された別の分子(最も可能性が高いのは極性溶媒)を有する化合物のいずれの形態も意味するものと理解されるできである。溶媒和物の例としては、水和物およびアルコレート、例えば、メタノレートが挙げられる。
【0040】
用語「有機溶媒」には、例えば、環式および非環式エーテル(例えば、EtO、iPrO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族溶媒(例えば、トルエン)、エステル(例えば、EtOAc)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、アミド(例えば、DMF)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、スルホキシド(DMSO)およびそれらの混合物が含まれる。
【0041】
第1の側面では、本発明は、式(I)の化合物またはその溶媒和物
【化22】
[式中、X、Y、R、R10、R13、R16および---は上記で定義された通り]
の製造方法であって、
式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化23】
を式(III)の化合物
【化24】
【0042】
[式中、
Zは、HおよびSiR’から選択され、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択され;かつ
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択される]
と反応させることを含んでなる方法を対象とする。
【0043】
特定の態様では、R、R10およびR16はHである。
【0044】
別の態様では、R13は、C-Cアルキル、好ましくは、エチルである。
【0045】
別の態様では、R、R10およびR16はHであり、かつ、R13はエチルである。好ましくは、式(I)または(II)の化合物は、式(Ia)もしくは(IIa)の化合物またはその溶媒和物である。
【化25】
【0046】
特定の態様では、XはHである。別の態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する。
【0047】
特定の態様では、ケトン保護基は、環式または非環式ケタール、環式または非環式ジチオケタール、環式または非環式ヘミチオケタール、エノールエーテル、エナミン、オキシムおよびヒドラゾンから選択される。好ましくは、ケトン保護基は、環式ケタール、環式ジチオケタール、環式ヘミチオケタール、エノールエーテルおよびエナミンから選択される。1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともに
i)
【化26】
【0048】
[式中、各Wは、OおよびSから独立に選択され;nは、0、1または2であり;かつ、各R’’’は、HおよびC-Cアルキルから独立に選択される];
ii)C-O-R’’’
【0049】
(この場合、加えてCとCの間またはCとCの間に二重結合が存在し、式中、R’’’は、C-Cアルキルおよびベンジルから選択される);および
iii)
【化27】
【0050】
(この場合、加えてCとCの間またはCとCの間に二重結合が存在すると考えられ、式中、各R’’’は、C-Cアルキルおよびベンジルから独立に選択されるか、または2つのR’’’基は、それらが結合している窒素原子とともに5員もしくは6員複素環式環を形成する)
から選択され基を形成する。
【0051】
特定の態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともに
i)
【化28】
【0052】
[式中、各Wは、OおよびSから独立に選択され;nは0であり;かつ各R’’’は、HおよびC-Cアルキルから独立に選択される];
ii)C-O-R’’’
(この場合、加えてCとCの間またはCとCの間に二重結合が存在し、式中、各R’’’は、C-Cアルキルから選択される);および
iii)
【化29】
【0053】
(この場合、加えてCとCの間またはCとCの間に二重結合が存在すると考えられ、式中、2つのR’’’基は、それらが結合している窒素原子とともに5員または6員複素環式環を形成する)
から選択される基を形成する。
【0054】
1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともに1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオラン、メチルエノールエーテル、エチルエノールエーテルおよびピロリジンエナミンから選択される基を形成する。
【0055】
さらなる態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともに1,3-ジオキソラン基を形成し、かつ、CとCの間に二重結合が存在する。1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともに1,3-ジチオラン基を形成し、かつ、CとCの間に二重結合が存在する。1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともにメチルエノールエーテルを形成し、かつ、CとCの間およびCとC10の間に二重結合が存在する。1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともにエチルエノールエーテルを形成し、かつ、CとCの間およびCとCの間に二重結合が存在する。1つの態様では、Xは、それが結合している炭素原子とともにピロリジンエナミンを形成し、かつ、CとCの間およびCとC10の間に二重結合が存在する。
【0056】
特定の態様では、Yは、それが結合している炭素原子とともにC=CH基を形成する。別の態様では、Yは、それが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を形成する。
【0057】
1つの態様では、ZはHである。
【0058】
別の態様では、ZはSiR’であり、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される(ピーターソンオレフィン化反応)。
【0059】
好ましくは、各R’は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ヘキシルおよびフェニルから独立に選択される。1つの態様では、Zは、MeSi-、EtSi-、PrSi-、PrSi-、HexSi-、BuSi-、PhSi-、MeEtSi-、BuMeSi-、BuPhSi-、MePhSi-、EtMeSi-およびPhMeSi-から選択される。より好ましくは、ZはMeSi-である。
【0060】
本発明の1つの態様では、Mは、LiおよびMgClから選択される。好ましくは、MはLiである。特定の態様では、式(III)の化合物は、MeSi-CH-Liである。
【0061】
式(II)の化合物と式(III)の化合物の反応は好ましくは、有機溶媒、好ましくは、無水有機溶媒、例えば、環式または非環式エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuOMe、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族溶媒(例えば、トルエン)またはそれらの混合物の存在下で行われる。好ましくは、有機溶媒は、環式または非環式エーテル、例えば、EtO、iPrO、tBuOMe、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランまたはそれらの混合物である。特定の態様では、有機溶媒はテトラヒドロフランである。本明細書において、無水溶媒という用語は、含有する水が500ppm未満の溶媒を意味する。
【0062】
特定の態様では、この反応は、-75℃と使用する溶媒の還流温度の間の温度で行われる。1つの態様では、この反応は、-60℃~40℃の間、好ましくは-60℃~25℃の間の温度で行われる。
【0063】
特定の態様では、式(III)の化合物は、式(II)の化合物に対して1.0~6.0モル当量、好ましくは2.0~4.0モル当量の量で存在する。
【0064】
本発明の方法は、式(II)の化合物の11位のケト基への式(III)の化合物の選択的付加を可能とする。好ましくは、式(II)の化合物またはその溶媒和物と式(III)の化合物の反応により式(I)の化合物またはその溶媒和物が、全付加物の70%(モル)を超える、好ましくは80%を超える、好ましくは90%を超える、より好ましくは95%を超える、さらにより好ましくは98%を超える選択性で得られる。
【0065】
式(II)の化合物またはその溶媒和物と式(III)の化合物の反応の後に、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を形成する式(I)の化合物が得られる。前記化合物は単離して続いての合成工程(例えば、エチニル化、ピーターソン脱離、脱水)に使用することができ、またはワンポット法でそのまま酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物を得ることもできる。よって、特定の態様では、本発明の方法は、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物を式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表し、ZがHおよびSiR’から選択され、各R’がC-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる。
【0066】
エチニル化反応(17位)
式(I)の化合物またはその溶媒和物をさらにエチニル化して式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化30】
[式中、
Y、R、R10、R13、R16および---は、上記で定義される通りであり;
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基もしくはケトン保護基を形成し;かつ
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ることができる。
【0067】
エチニル化反応は、ステロイドの11位にC=CH基を作出する前または後に行うことができる。よって、特定の態様では、本発明の方法は、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物を式(III)の化合物と反応させて、 Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる。
【0068】
別の態様では、本発明の方法は、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物を式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる。
【0069】
エチニル化反応は、ステロイドのアルキニル化に関して従来技術に開示されている反応条件下で行うことができる。特定の態様では、エチニル化反応は、式(I)の化合物またはその溶媒和物を式(V)の化合物
【化31】
[式中、
M’は、Li、Na、K、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
で処理することによって行われる。
【0070】
特定の態様では、各R’’は、C-Cアルキル、フェニルおよびClから独立に選択される。さらなる態様では、各R’’は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ヘキシル、PhおよびClから独立に選択される。好ましくは、-SiR’’は、EtSi-、MeSi-、PrSi-、PrSi-、HexSi-、BuSi-、PhSi-、ClSi-、MeEtSi-、BuMeSi-、BuPhSi-、ClPrSi-、ClMeSi-、MePhSi-、EtMeSi-、EtClSi-、MeClSi-、PhMeSi-およびPhMeClSi-から選択される。より好ましくは、-SiR’’は、MeSi-、EtSi-、PrSi-、PhMeSi-、BuMeSi-およびBuPhSi-から選択される。いっそうより好ましくは、-SiR’’はMeSi-である。
【0071】
1つの態様では、RはHである。
【0072】
好ましい態様では、RはSiR’’基である。好ましくは、RはSiR’’基であり、ここで、各R’’は、C-Cアルキルから独立に選択され、例えば、SiMeである。
【0073】
1つの態様では、M’はLiである。好ましくは、M’はLiであり、かつ、RはSiR’’基である。
【0074】
別の態様では、M’は、MgBr、MgClおよびMgIから選択される。好ましくは、M’は、MgBr、MgClおよびMgIから選択され、かつ、RはHである。
【0075】
エチニル化反応は好ましくは、有機溶媒、好ましくは、無水有機溶媒、例えば、環式または非環式エーテル(例えば、EtO、iPrO、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族溶媒(例えば、トルエン)またはそれらの混合物の存在下で行われる。好ましくは、有機溶媒は、環式または非環式エーテル、例えば、EtO、iPrO、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン;炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン;またはそれらの混合物の存在下で行われる。
【0076】
特定の態様では、この反応は、-75℃と使用する溶媒の還流温度の間の温度で行われる。1つの態様では、この反応は、-60℃~50℃の間、好ましくは-30℃~30℃の間の温度で行われる。
【0077】
特定の態様では、式(V)の化合物は、式(I)の化合物に対して1.0~5.0モル当量、好ましくは1.1~3.0モル当量の量で存在する。
【0078】
11位においてC=CH基を作出するために用いたエチニル化反応条件、ケトン保護基および/または酸もしくは塩基に応じて、式(I)の化合物またはその溶媒和物のXが、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基またはケトン基を形成する式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ることができる。
【0079】
Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する本発明の1つの態様では、式(IV)の化合物またはその溶媒和物は、エチニル化反応後に維持される。
【0080】
特定の態様では、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IV)の化合物またはその溶媒和物は、式(IV)の化合物またはその溶媒和物を、C=CH基を作出するために酸または塩基で処理した後に得られる。
【0081】
はSiR’’基である場合、RがHである式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得るためには脱シリル化を行うことができる。
【0082】
この脱シリル化反応は、従来技術で既知の方法(例えば、T. H. Greene and P. G. M Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第4版, John Wiley & Sons, 2007)によって行うことができる。特定の態様では、脱シリル化は、水、有機溶媒またはそれらの混合物の存在下でフッ素塩または塩基を用いて行われる。フッ化ピリジニウム、フッ化カリウムまたはフッ化アンモニウムなどのフッ素塩;または水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムまたは炭酸カリウムなどの無機塩基が使用できる。特定の態様では、脱シリル化反応は、無機塩基および有機溶媒の存在下で行われる。
【0083】
特定の態様では、脱シリル化反応は、-60~+100℃の間の温度で行われる。別の態様では、前記反応は-10~+60℃の間、好ましくは10~35℃の間の温度で行われる。
【0084】
脱シリル化反応は、11位におけるC=CH基の作出の前または後、およびケトン保護基の切断の前または後のいずれかで行うことができる。
【0085】
C=CH 基の作出(11位)
1つの態様では、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物もしくは式(IV)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理すると、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物もしくは式(IV)の化合物またはその溶媒和物が得られる。
【0086】
ZがSiR’基である場合、酸または塩基で処理すると、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す化合物が得られる(ピーターソン脱離反応)。
【0087】
ZがHである場合、酸で処理すると、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す化合物が得られる(脱水反応)。
【0088】
好適な酸としては、有機酸、無機酸、ルイス酸およびそれらの混合物が挙げられる。好適な酸の例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸、塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ZnCl、AlClおよびBFが挙げられる。特定の態様では、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸およびそれらの混合物から選択される。
【0089】
好適な塩基としては、例えば、水素化アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、水酸化アルカリ金属、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
【0090】
特定の態様では、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エチニル化反応前に酸または塩基で処理すると、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物が得られる。
【0091】
別の態様では、酸または塩基による処理は、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZ基を表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物が、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物に変換されるように、エチニル化反応の後に行われる。この場合、使用する酸または塩基、反応条件および/またはケトン保護基に応じて、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基またはケトン基を形成する式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ることができる。
【0092】
好ましい態様では、11位においてC=CH基を作出するために使用される酸または塩基はまた、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CHを表し、かつ、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を表す式(IV)の化合物が得られるように、3位におけるケトン保護基の切断も可能とする。
【0093】
ケトン保護基の切断(3位)
Xが水素であるか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IV)の化合物を得るためには、ケトン保護基の脱保護工程が必要とされ得る。ケトン保護基の切断は、当技術分野で公知のいずれの従来の手段によって行うこともできる(例えば、T. H. Greene and P. G. M Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第4版, John Wiley & Sons, 2007)。
【0094】
例えば、ケトン保護基がケタール、チオケタールまたはエノールエーテルである場合、酸性媒体中でデ3-ケト基を再生するためにそれを切断することができる。
【0095】
ケトン保護基がエナミンである場合、それは十分に確立された現況技術の手順に従い、酸性または塩基性媒体中での加水分解によって切断され得る。
【0096】
ケトン保護基がジチオケタールである場合、それは酸化によりまたはルイス酸の存在下で切断され得る。加えて、ケトン保護基がジチオケタールである場合、それを還元条件下で除去してXがHである化合物を得ることができる。
【0097】
特定の態様では、ケトン保護基は、両過程が一段階で起こるように、11位においてCH=CH基を作出するために使用される反応条件下で切断される。
【0098】
本明細書で提供されている情報に照らせば、当業者は、異なる工程順序が使用可能であること、および本発明を実施するためにさらなる合成工程が必要とされる場合があることを認識するであろう。
【0099】
例えば、RがHであり、かつ、Xが水素であるか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IV)の化合物を得るためには、下記の工程:
(i)XがHであるか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)RがHである式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
の一方または両方を行うことが必要となる場合がある。
【0100】
これらの工程は、任意の順序で行うことができる。すなわち、両工程が行われる場合、工程(i)は工程(ii)の前または後のいずれかに行うことができる。
【0101】
Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を、RがHであり、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成し、かつ、Yがそれが結合している炭素原子とともにCH=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物へ変換するために、下記の工程順序のいずれかを経ることができる:
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の切断;または
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、ケトン保護基の切断/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、アルキンの脱シリル化/CH=CH基の作出/必要であれば、ケトン保護基の切断;または
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の切断;または
・CH=CH基の作出/エチニル化/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の切断;または
・CH=CH基の作出/エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の切断/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の切断/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の切断/必要であれば、アルキンの脱シリル化/CH=CH基の作出。
【0102】
Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CHZを表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を、RがHであり、Xが水素であり、かつ、Yがそれが結合している炭素原子とともにCH=CHを表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物に変換するために、下記の工程順序のいずれかを経ることができる:
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離;または
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、アルキンの脱シリル化/CH=CH基の作出/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離;または
・エチニル化/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離;または
・CH=CH基の作出/エチニル化/必要であれば、アルキンの脱シリル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離;または
・CH=CH基の作出/エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離/CH=CH基の作出/必要であれば、アルキンの脱シリル化;または
・エチニル化/必要であれば、ケトン保護基の還元的脱離/必要であれば、アルキンの脱シリル化/CH=CH基の作出。
【0103】
エトノゲストレルおよびデソゲストレルの合成
本発明の方法により得られる式(I)の化合物は、いくつかの薬学上活性な薬剤、例えば、エトノゲストレルおよびデソゲストレルの製造における有用な中間体である。
【0104】
さらなる側面では、本発明は、本明細書で定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を本明細書で定義される式(III)の化合物と反応させることを含んでなる、エトノゲストレル、またはデソゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法を対象とする。
【0105】
特定の態様では、エトノゲストレルは、
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化32】
【0106】
[式中、Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する]
を式(III)の化合物
【化33】
【0107】
[式中、---、MおよびZは、本明細書に定義される通り]
と反応させて式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化34】
を得ること;
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物
【化35】
を得ること;
(c)式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化36】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ること;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)RがSiR’’基である場合には、RがHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる方法により得ることができる。
【0108】
別の態様では、エトノゲストレルは、
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化37】
[式中、Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する]
を式(III)の化合物
【化38】
[式中、---、MおよびZは、本明細書に定義される通り]
と反応させて、式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化39】
を得ること;
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物
【化40】
[式中、Rは、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ること;
(c)式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化41】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ること;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)RがSiR’’基である場合には、RがHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる方法により得ることができる。
【0109】
別の態様では、デソゲストレルは、
(a)上記に定義される方法のいずれかにより、Xがそれが結合している炭素原子とともに環式ジチオケタール基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得ること;
(b)式(IVb-1)の化合物またはその溶媒和物を得るための、還元条件下での環式ジチオケタール基の切断;並びに
(c)RがSiR’’基である場合には、RがHである式(IVb-1)の化合物またはその溶媒和物を得るための、工程(b)の前または後いずれかでのSiR’’基の除去
を含んでなる方法により得ることができる。
【0110】
本発明のさらなる態様では、デソゲストレルは、
(a)化合物(12)またはその溶媒和物
【化42】
を式(III)の化合物
【化43】
【0111】
[式中、MおよびZは本明細書で定義される通り]
と反応させて、式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物
【化44】
を得ること;
【0112】
(b)式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物
【化45】
を得ること;
【0113】
(c)式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVb-1)の化合物またはその溶媒和物
【化46】
[式中、Rは、HおよびSiR’’から選択され、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ること;並びに
【0114】
(d)RがSiR’’基である場合には、デソゲストレルまたはその溶媒和物を得るためのSiR’’基の除去
を含んでなる方法により得ることができる。
【0115】
式(Ic)および(IVc)の化合物
別の側面では、本発明は、式(Ic)の化合物またはその溶媒和物
【化47】
[式中、X、Z、R、R10、R13、R16および---は、本明細書で定義される通り]
を対象とする。
【0116】
X、Z、R、R10、R13、R16および---の好ましい態様は、上記で定義される通りである。
【0117】
特に好ましい態様では、式(Ic)の化合物において、ZはSiR’であり、ここで、各R’は、C-CアルキルおよびC-C10アリールから独立に選択される。R’の好ましい態様は、上記で定義される通りである。
【0118】
別の特定の態様では、式(Ic)の化合物は、下記を表さない。
【化48】
【0119】
特定の態様では、式(Ic)の化合物は、式(Ia-1)の化合物、または式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物である。
【0120】
好ましい態様では、式(Ic)の化合物は、
【化49】
またはその溶媒和物から選択される。
【0121】
別の側面では、本発明は、式(IVc)の化合物またはその溶媒和物
【化50】
[式中、X、Z、R、R、R10、R13、R16および---は、本明細書で定義される通り]
を対象とする。
【0122】
X、Z、R、R、R10、R13、R16および---の好ましい態様は、上記で定義される通りである。
【0123】
特に好ましい態様では、式(IVc)の化合物において、RはSiR’’であり、ここで、各R’’は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよびハロゲンから独立に選択される。R’’の好ましい態様は、上記で定義される通りである。
【0124】
特定の態様では、式(IVc)の化合物は、以下を表さない。
【化51】
【0125】
特定の態様では、式(IVc)の化合物は、式(IVa-2)の化合物、または式(IVb-2)の化合物またはその溶媒和物である。
【化52】
【0126】
好ましい態様では、式(IVc)の化合物は、
【化53】
またはその溶媒和物から選択される。
【0127】
本開示の範囲は本明細書に開示される態様のあり得る組合せの総てを含むと理解されるべきである。
【0128】
下記の実施例は本発明を例示し、本発明の限定として見なされるべきでない。
【実施例
【0129】
実施例1.18-メチル-エストラ-4-エン-3,11,17-トリオンの合成(2-スワーン酸化)
【化54】
-20℃で540mLのDCMに塩化オキサリルを加えた。この溶液を-45℃に冷却した後、450mLのDCMに希釈したDMSO(63mL)を、温度を-35℃未満に維持しつつ滴下した。添加が完了した後、反応混合物を-40℃で20分間撹拌した。次に、450mLのDCMに溶かした45gの化合物1を、温度を-35℃未満に維持しつつ加えた。反応混合物を-40℃で30分間維持した後、DIPEA(235mL)を手早く加え、冷却浴を外し、室温まで温めた(1.5時間)。675mLの3.3%酢酸溶液を加え、水相を分離した。有機相を315mLの7%NaHCO溶液で洗浄し、分離し、150mLの容量まで真空濃縮した。150mLのIPAを加え、容量を150mLに減らした。この操作を最終容量が150mLとなるまでさらに2回繰り返した。得られた懸濁液を氷浴中で30分間撹拌した後、濾過し、固体を45mLの冷IPAで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させた。39.8gの化合物2を白色固体として得た(収率=89.5%)。
【0130】
実施例2.18-メチル-エストラ-4-エン-3,11,17-トリオンの合成(2-パリック・デーリング酸化)
15gの化合物1を40mLのDMSOに溶かした後、71mLのTEAを加えた。この溶液を30℃で加熱し、70mLのDMSO中、SOPy(79g)の溶液を加えた。反応混合物を30℃で3時間撹拌した後、234mLの水中、117mLの氷酢酸の溶液に注いで沈澱を形成させた。この懸濁液を氷浴中で1時間冷却し、濾過した。固体を80mLのIPAに懸濁させ、加熱して完全に溶解させた後、0℃に冷却した。生じた固体を濾過し、真空下、40℃で乾燥させて13gの化合物2(81%)を得た。
【0131】
実施例3.化合物3の合成(ケトン保護)
【化55】
18gの化合物2を140mLのTHFに溶かした後、30mLのTEOFおよび900mgのpTsOHを加えた。反応混合物を25℃で3時間撹拌した。次に、2mLのTEAおよび90mLの7%NaHCO溶液を加えた。水相を50mL EtOAcで抽出した。合わせた有機相を湿潤固体が得られるまで濃縮し、90mLのエタノールを加え、40mLの容量まで濃縮し、氷浴中で冷却し、濾過した。固体を90mLの冷エタノールで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、14.7gの化合物3(75%)を得た。
【0132】
実施例4.化合物4の合成(ピーターソンオレフィン化)
【化56】
10gの化合物3を50mLのTHFに溶かし、-40℃で冷却した。次に、温度を-35℃未満に維持しつつ、88mLのトリメチルシリルメチルリチウムをゆっくり加え、添加が完了した後、この混合物をさらに1時間撹拌した。次に、200mLの7%NaHCO溶液を加え、分離し、水相を100mL EtOAcで抽出した。合わせた有機相を30mLに濃縮し、30mLのエタノールを加え、溶媒を最終容量30mLまで蒸発させた。この操作をさらに2回繰り返した後、懸濁液を氷浴中で1時間冷却した。固体を濾過し、10mLの冷エタノールで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、10.4gの化合物4を得た(収率83%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.09 (s, 9H); 0.82 (t, 3H); 1.17-1.39 (m, 10H); 1.63-1.66 (m, 1H); 1.68-1.72 (m, 1H); 1.84-1.87 (m, 2H); 1.92-2.12 (m, 3H); 2.21-2.35 (d, 3H); 2.39-2.51 (m, 4H); 3.69-3.79(m, 2H); 5.19 (s, 1H) 5.31 (d, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 1.1; 8.4; 14.7; 18.5; 21.3; 29.2; 30.7; 31.2; 35.1; 35.6; 37.1; 38.4; 43.4; 50.7; 51.5; 53.3; 62.4; 100.1; 117.3; 137.8; 156.2; 218.8.
【0133】
実施例5.化合物5の合成(エチニル化反応)
【化57】
0℃に冷却したヘプタン(100mL)中、ヘキシルリチウム(76mL)の溶液に、100mlのTHF/ヘプタン 1/3混合物中、トリメチルシリルアセチレン(30mL)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、100mLのTHF中、化合物4(10g)の溶液を加えた後、この混合物をさらに1時間撹拌した。水(200mL)を加えて余分なリチウム試薬を急冷し、有機相を真空濃縮した。残渣(85%の化合物5と15%の化合物4を含有する、最大レベルの変換が得られた)をシリカゲルにてEtOAc/ヘプタン 1/9で精製し、純粋な化合物5を油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.07 (s, 9H); 0.12 (s, 9H) 0.83-0.85 (m, 1H); 1.12-1.18 (m, 5H); 1.22-1.28 (m, 6H); 1.33-1.38 (m, 3H); 1.58-1.66 (m, 4H); 1.91 (d, 1H); 1.98-2.09 (m, 3H); 2.17 (d, 1H); 2.27-2.36 (m, 4H); 3.68-3.77(m, 2H); 5.18 (s, 1H) 5.29 (d, 1H).
13C (100 MHz, CDCl3): δ 1.1; 8.4; 14.7; 18.5; 21.3; 29.2; 30.7; 31.2; 35.1; 35.6; 37.1; 38.4; 43.4; 50.7; 51.5; 53.3; 62.4; 100.1; 117.3; 137.8; 156.2; 218.8.
【0134】
実施例6.エトノゲストレルの合成(エチニル化反応)
【化58】
1.9gの化合物4を19mLのTHFに溶かし、0℃に冷却し、30mLのLaCl 2LiClを加えた後、温度を10℃未満に維持しつつ、塩化エチニルマグネシウム(120mL)をゆっくり加えた。15時間後、2.5mLのTEAおよび250mLの7%NaHCO溶液を加えた。水相をEtOAc 50mL×2で抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄した。溶媒を減圧下で20mLの容量まで蒸発せ、40mLのメタノールを加えた。これを20mLまで濃縮し、2回繰り返した。最終的なメタノール溶液を2mLのHClで処理し、25℃で1時間撹拌し、2mLの7%NaHCO溶液を加えた。1mLの水を加えて固体の沈殿を促した。これを濾過し、4mLの水で洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、2gの粗エトノゲストレルを褐色固体として得た(hplc純度94%)。
【0135】
実施例7.エトノゲストレルの合成(ワンポットエチニル化/脱保護)
【化59】
-5℃に冷却したヘプタン(100mL)中、ヘキシルリチウムの溶液(65mL)に、100mlのTHF/ヘプタン 1/3混合物中、トリメチルシリルアセチレン(26mL)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物を-5℃で30分間撹拌した後、100mLのTHF/ヘプタン 1:1中、化合物4(10g)の溶液を加え、この混合物をさらに15時間撹拌した。水(200mL)を加えて余分なリチウム試薬を急冷し、有機相を真空濃縮した。残渣(90%の化合物5と10%の化合物4を含有する)を50mLのメタノールに溶かし、0.5mLのHClを加え、1時間20℃で撹拌した後、3mLの50%NaOHを加え、さらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を100mLのDCMに溶かした。これをまず3%氷酢酸溶液で、次いで7%NaHCO溶液で洗浄した。得られた粗物質を30mLのアセトンに溶かし、12mLの容量まで濃縮し、12molのIPAを加え、さらに50%の容量に減らした。この操作を2回繰り返した。この懸濁液を氷浴中で冷却し、固体を濾過し、4mLの冷IPAで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、2.1gのエトノゲストレルを得た。
【0136】
実施例8.化合物6の合成(ピーターソン脱離/脱保護)
【化60】
実施例5に従って得られた残渣を20mLのメタノールに溶かし、2mLのHCl溶液を加えた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、50mLの水を加え、この混合物を50mLのEtOAcで抽出した。粗生成物をシリカゲルにてEtOAc/ヘプタン 1/9で精製し、純粋な化合物6を白色固体として得た。
【0137】
実施例9.化合物7の合成(TMS脱保護)
【化61】
実施例5に従って得られた残渣を20mLのメタノールに溶かし、2mLの30%NaOH溶液を加えた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、50mLの水を加え、この混合物を50mLのEtOAcで抽出した。粗生成物をシリカゲルにてEtOAc/ヘプタン 1/9で精製し、純粋な化合物7を橙色の油状物として得た。
【0138】
実施例10.エトノゲストレルの合成(TMS脱保護)
【化62】
1gの化合物6を10mLのアセトンに溶かした後、4mLの容量まで希釈した。4mLのIPAを加え、4mLの容量まで濃縮した。この操作を3回繰り返した。次に、この溶液を0℃で冷却し、濾過し、2mLのIPAで洗浄した。固体を真空下で乾燥させ、純粋なエトノゲストレルを得た。
【0139】
実施例11.化合物8の合成(ケトン保護)
【化63】
化合物2(28g)をDCM(280mL)に溶かした後、14mLの1,2-エタンジチオールおよび1.4gのpTsOHを加えた。反応混合物を、毎時50mLのDCMを蒸溜しつつ(また新たな溶媒を加えつつ)5時間還流させた。140mLの7%NaHCO溶液を加え、水相を50mLのDCMで抽出した。合わせた有機相を最終容量150mLまで真空濃縮した。150mLのメタノールを加え、最終容量100mLまで減圧下で濃縮した。得られた懸濁液を氷浴中で1時間冷却した。得られた固体を濾過し、25mLの冷メタノールで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、30gの化合物8を得た。
【0140】
実施例12.化合物9の合成(ピーターソンオレフィン化)
【化64】
化合物8(20g)をTHF(100mL)に溶かし、0℃で冷却した。次に、温度を10℃未満に維持しつつ、640mLのトリメチルシリルメチルリチウムをゆっくり加え、添加が完了した後、反応混合物をさらに1時間撹拌した。次に、300mLの12%NaHCl溶液を加え、分離し、水相を100mLのEtOAcで抽出した。合わせた有機相を100mLの容量まで濃縮し、懸濁液を、氷浴を用いて1時間冷却した。生じた固体を濾過し、30mLの冷EtOAcで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、11gの化合物9を得た(43%)。
【0141】
実施例13.化合物10の合成(ピーターソン脱離)
【化65】
11gの化合物10を35mLのメタノールに溶かし、0.5mlのHClを加え、反応混合物を25℃で1時間撹拌した。pHを6に調整し、TEAを加えた後、この懸濁液を氷浴中で冷却した。生じた沈澱を濾過し、10mLのメタノールで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、7.8gの化合物11(88%)を得た。
【0142】
実施例14.化合物11の合成(エチニル化反応)
【化66】
7.0gの化合物10を35mLのTHFに溶かし、10℃に冷却し、46mLのLaCl 2LiClを加えた後、温度を15℃未満に維持しつつ、塩化エチニルマグネシウム(159mL)をゆっくり加えた。添加が完了した後、反応混合物を30℃で2時間加熱した。次に、5℃で冷却し、150mLの10%HCl溶液を加えた。水相を50mLのEtOAcで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄した。溶媒を40mLの容量まで減圧下で蒸発させ、40mLのヘプタンを加えた。これを40mLまで濃縮し、2回繰り返した。得られた懸濁液を氷浴中で1時間冷却した。固体を濾過し、10mLの冷ヘプタンで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、収率5.8gの化合物11(77%)を得た。
【0143】
実施例15.エトノゲストレルの合成(ケトン脱保護)
【化67】
チオアセタールは、WO2013/135744の実施例8Aに記載されているように過ヨウ素酸を用いて、またはWO2013/135744の実施例8Cに記載されているようにSIBXを用いて除去した。
【0144】
実施例16.化合物14の合成(ピーターソンオレフィン化)
【化68】
化合物12(10g)をTHF(50mL)に溶かし、0℃で冷却した。次に、温度を10℃未満に維持しつつ、330mLのトリメチルシリルメチルリチウムをゆっくり加え、添加が完了した後、この混合物をさらに1.5時間撹拌した。次に、150mLの12%NaHCl溶液を加え、分離し、水相を50mL EtOAcで抽出した。合わせた有機相を20mLの容量まで濃縮し、この懸濁液を、氷浴を用いて1時間冷却した。生じた固体を濾過し、20mLのメタノールに溶かし、0.25mlのHClを加えた。この反応混合物を25℃で1.5時間撹拌した。pHを6に調整し、TEAを加えた後、この懸濁液を氷浴中で冷却した。沈澱を濾過し、5mLのメタノールで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、7.6gの化合物14(76%)を得た。
【0145】
実施例17.デソゲストレルの合成(エチニル化反応)
【化69】
-5℃で冷却したヘキサン(5mL)中、ヘキシルリチウム(3.0g ヘキサン中2.3M)の溶液に、6.8mLのTHF/ヘキサン 1/7混合物中、トリメチルシリルアセチレン(1.32g)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物を-5℃で30分間撹拌した後、8mLのヘキサン中、化合物14(1.0g)の溶液を加え、この混合物を1時間、0/5℃で撹拌した。NaCl水溶液(8.5mL)を加え、相を分離した。有機相を5mLのメタノールと混合した後、1.5mLの30%NaOH水溶液を加え、さらに4時間撹拌した。10mLの3%酢酸水溶液を加えた。相を分離し、有機相を水(5.0mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を1mLのMeOHに溶かした。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を2mLのヘキサンに溶かした。得られた粗物質を60℃で加熱することにより4mLのヘキサンに溶かした。この溶液を氷浴中でゆっくり冷却し、生じた固体を濾過し、1mLの冷ヘキサンで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、0.89gのデソゲストレル(89%)を得た。
【0146】
実施例18.化合物15の合成(メチル化)
【化70】
200mgの化合物3を1.0mLのTHFに溶かした。次に、1.0mLの塩化メチルマグネシウム(22%)を、その混合物を3時間還流下で加熱しつつゆっくり加えた。反応をTEAで急冷した。次に、7%NaHCO溶液を加え、水相をEtOAcで抽出した。粗生成物をシリカゲルで精製し、化合物15(75%)およびジメチル化化合物16(24%)を得た。
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 8.3; 14.6; 18.5; 21.1; 29.2; 30.4; 33.8; 34.5; 35.5; 37.2; 43.2; 50.7; 51.8; 52.9; 62.3; 73.5; 100.1; 117.0; 137.7; 156.1; 219.2.
【0147】
実施例19.化合物15の合成(メチル化)
【化71】
200mgの化合物3を1.0mLのTHFに溶かし、0℃で冷却した。次に、2.2mLのメチルリチウム(3%)をゆっくり加え、この混合物を3時間0℃で撹拌した。反応をTEAで急冷した。次に、7%NaHCO溶液を加え、水相をEtOAcで抽出した。粗生成物をシリカゲルで精製し、化合物15(76%)およびジメチル化化合物16(23%)を得た。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]式(I)の化合物またはその溶媒和物
【化72】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;
Yは、それが結合している炭素原子とともにC=CH またはC(OH)CH Zを表し、ここで、Zは、HおよびSiR’ から選択され、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択され;
は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;
10 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはC とC 10 の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13 は、HおよびC -C アルキルから選択され;
16 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;
---は、単結合または二重結合である]
の製造方法であって、
式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化73】
[式中、X、R 、R 10 、R 13 、R 16 、および---は、上記で定義された意味をとり得る]
を式(III)の化合物
【化74】
[式中、Zは、上記で定義された意味をとり得、かつ、Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択される]
と反応させることを含んでなる、方法。
[2]R 、R 10 、R 16 がHであり;かつ
13 がC -C アルキルから選択される、上記[1]に記載の方法。
[3]ZがSiR’ 基を表し、ここで、各R’はC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5](a)上記[1]に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を上記[1]に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、上記[4]に記載の方法。
[6]式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化75】
[式中、
Y、R 、R 10 、R 13 、R 16 および---は、上記[1]に定義され;
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基もしくはケトン保護基を形成し;かつ
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得ることをさらに含んでなる、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7](a)上記[1]に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を上記[1]に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す式(I)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、上記[6]に記載の方法。
[8](a)上記[1]に定義される式(II)の化合物またはその溶媒和物を上記[1]に定義される式(III)の化合物と反応させて、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその媒和物を得ること;
(b)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エチニル化して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること;並びに
(c)Yがそれが結合している炭素原子とともにC(OH)CH Z基を表し、ZがHおよびSiR’ から選択され、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される式(IV)の化合物またはその溶媒和物を、酸または塩基で処理して、Yがそれが結合している炭素原子とともにC=CH を表す式(IV)の化合物またはその溶媒和物を得ること
を含んでなる、上記[7]に記載の方法。
[9]式(I)の化合物もしくは式(IV)の化合物またはその溶媒和物がデソゲストレル、エトノゲストレルまたはその溶媒和物にさらに変換される、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]下記の工程:
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化76】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を式(III)の化合物
【化77】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化78】
を得る工程;
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物
【化79】
を得る工程;
(c)式(Ia-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化80】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)R がSiR’’ 基である場合には、R がHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’ 基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる、上記[9]に記載のエトノゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
[11]下記の工程:
(a)式(IIa)の化合物またはその溶媒和物
【化81】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;かつ
---は、単結合または二重結合である]
を式(III)の化合物
【化82】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化83】
を得る工程:
(b)式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物
【化84】
[式中、R は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;
(c)式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物
【化85】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し、
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)必要に応じて、下記の工程:
(i)Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成する場合には、Xがそれが結合している炭素原子とともにケトン基を形成する式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのケトン保護基の切断、
(ii)R がSiR’’ 基である場合には、R がHである式(IVa-1)の化合物またはその溶媒和物を得るためのSiR’’ 基の除去
の一方または両方を任意の順序で行う工程
を含んでなる、上記[9]に記載のエトノゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
[12]下記の工程:
(a)化合物(12)またはその溶媒和物
【化86】
を式(III)の化合物
【化87】
[式中、
Mは、Li、MgBr、MgClおよびMgIから選択され;かつ
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される]
と反応させて、式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物
【化88】
を得る工程;
(b)式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物を酸または塩基で処理して、式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物
【化89】
を得る工程;
(c)式(Ib-2)の化合物またはその溶媒和物をエチニル化して、式(IVb-1)の化合物またはその溶媒和物
【化90】
[式中、
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
を得る工程;並びに
(d)R がSiR’’ 基である場合には、SiR’’ 基を除去してデソゲストレルまたはその溶媒和物を得る工程
を含んでなる、上記[9]に記載のデソゲストレルまたはその溶媒和物の製造方法。
[13]式(Ic)の化合物またはその溶媒和物
【化91】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン保護基を形成し;
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択され;
は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;
10 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはC とC 10 の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13 は、HおよびC -C アルキルから選択され;
16 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]。
[14]ZがSiR’ であり、各R’がC -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される、上記[13]に記載の化合物。
[15]上記[13]に記載の化合物(ただし、式(Ic)の化合物は
【化92】
を表さない)。
[16]式(Ia-1)の化合物またはその溶媒和物
【化93】
[式中、
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し;
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]
並びに
式(Ib-1)の化合物またはその溶媒和物
【化94】
[式中、
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択される]
から選択される、上記[13]または[14]に記載の化合物。
[17]式(IVc)の化合物またはその溶媒和物
【化95】
[式中、
Xは、Hを表すか、またはそれが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し;
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択され;
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択され;
は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;
10 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択されるか、またはC とC 10 の間に二重結合が存在する場合には存在せず;
13 は、HおよびC -C アルキルから選択され;
16 は、H、C -C アルキルおよびハロゲンから選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]。
[18]R がSiR’’ であり、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される、上記[17]に記載の化合物。
[19]上記[17]に記載の化合物(ただし、式(IVc)の化合物は
【化96】
を表さない)。
[20]式(IVa-2)の化合物またはその溶媒和物
【化97】
[式中、
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよ
びC -C 10 アリールから独立に選択され;
Xは、それが結合している炭素原子とともにケトン基またはケトン保護基を形成し;
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択され;かつ
---は、単結合または二重結合である]
並びに
式(IVb-2)の化合物またはその溶媒和物
【化98】
[式中、
Zは、HおよびSiR’ から選択され、ここで、各R’は、C -C アルキルおよびC -C 10 アリールから独立に選択され;かつ
は、HおよびSiR’’ から選択され、ここで、各R’’は、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよびハロゲンから独立に選択される]
から選択される、上記[17]に記載の化合物。
[21]
【化99】
から選択される上記[13]または[17]に記載の化合物またはその溶媒和物。