(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】自律型電気掃除装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 L
(21)【出願番号】P 2017113522
(22)【出願日】2017-06-08
【審査請求日】2020-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】井澤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/96046(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/91291(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/48046(WO,A1)
【文献】特開2003-47579(JP,A)
【文献】特開2007-149088(JP,A)
【文献】特開2010-57647(JP,A)
【文献】特開2007-309921(JP,A)
【文献】特開2013-214(JP,A)
【文献】特開2015-211364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/28
G05D1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被掃除面を自律して移動可能であり、底面に吸込口を有する掃除機本体と、
前記吸込口に吸い込み負圧を生じさせる電動送風機と、
前記吸込口に配置される回転清掃体と、
前記回転清掃体を駆動させる回転清掃体駆動部と、
前記掃除機本体を移動可能に支える駆動輪と、
前記駆動輪を駆動させる駆動輪駆動部と、
前記被掃除面の種類を検知する被掃除面検知部と、
前記被掃除面検知部が検知した前記被掃除面の種類に基づいて前記吸込口に作用する吸込負圧の強弱、前記回転清掃体の回転数の大小、前記回転清掃体の回転方向、および前記駆動輪の回転数の大小の少なくともいずれかの制御量を変更する制御部と、を備え、
前記被掃除面検知部は、前記吸込口、前記回転清掃体、および前記駆動輪のうち制御量の変更対象よりも前方の検知位置で前記被掃除面の種類を検知し、
前記制御部は、前記掃除機本体の前進中に前記被掃除面検知部が前記被掃除面の種類の変化を検知したときにおける制御量の変更対象の位置から前記検知位置までの距
離を前記制御量の変更対象が前進移動して種類の異なる前記被掃除面に達するときに前記変更対象の制御量を変更する自律型電気掃除装置。
【請求項2】
前記被掃除面検知部は、前記掃除機本体よりも前方で前記被掃除面の種類を検知する請求項1に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項3】
前記被掃除面検知部は、前記掃除機本体の真下で前記被掃除面の種類を検知する請求項1に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項4】
前記被掃除面検知部は、前記検知位置の画像を取得するイメージセンサ部を有している請求項1から3のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項5】
前記被掃除面検知部は、前記検知位置の赤外線を検知する赤外線センサ部を有している請求項1から3のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記吸込口が対面している現被掃除面の種類と前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、前記制御量の変更対象として前記電動送風機の回転数を変更する請求項1から5のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回転清掃体が接している現被掃除面の種類と前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、前記制御量の変更対象として前記回転清掃体駆動部の回転数および回転方向の少なくともいずれかを変更する請求項1から6のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記駆動輪が接している現被掃除面の種類と前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、前記制御量の変更対象として前記駆動輪駆動部の回転数を変更する請求項1から7のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記吸込口が対面している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の凹凸が粗い場合には、前記制御量の変更対象として前記電動送風機の回転数をより高回転に変更する請求項6に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記吸込口が対面している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の凹凸が細かい場合には、前記制御量の変更対象として前記電動送風機の回転数をより低回転に変更する請求項6または9に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記回転清掃体が接している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の摩擦係数が大きい場合には、前記制御量の変更対象として前記回転清掃体駆動部の回転数をより高回転に変更する請求項7に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記回転清掃体が接している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の摩擦係数が小さい場合には、前記制御量の変更対象として前記回転清掃体駆動部の回転数をより低回転に変更する請求項7または11に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面に前記回転清掃体が達したときに前記回転清掃体の回転方向を反転させる請求項7、11および12のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記駆動輪が接している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の摩擦係数が大きい場合には、前記制御量の変更対象として前記駆動輪駆動部の回転数をより低回転に変更する請求項8に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記駆動輪が接している現被掃除面に比べて前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面の摩擦係数が小さい場合には、前記制御量の変更対象として前記駆動
輪駆動部の回転数をより高回転に変更する請求項8または14に記載の自律型電気掃除装置。
【請求項16】
前記掃除機本体の底面に設けられ、前記吸込口の左右それぞれの側方に配置される左右一対の第二回転清掃体と、
それぞれの前記第二回転清掃体を駆動させる左右一対の第二回転清掃体駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記被掃除面検知部が検知する次期被掃除面に前記第二回転清掃体が達したときに前記第二回転清掃体の回転数の大小、前記第二回転清掃体の回転方向、および前記第二回転清掃体の昇降位置の少なくともいずれかを変更する請求項1から15のいずれか1項に記載の自律型電気掃除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、自律型電気掃除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを備える自律型電気掃除装置が知られている。自律型電気掃除装置は、カメラで撮影した画像を利用して周辺環境の変化や動きを追跡する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な居室を掃除する場合において、自律型電気掃除装置は、カーペット、マット、タイル、およびフローリングを含む様々な種類の被掃除面を移動し、掃除する。これらの被掃除面は、塵埃の吸込み易さ(吸い込み難さ)、車輪の転がり抵抗、ブラシのような回転清掃体に対する回転負荷(回転抵抗)などの観点で、それぞれに異なる性質を有している。
【0005】
また、自律型電気掃除装置は、電池(もっぱら二次電池)の電力を消費しつつ移動し、掃除を行う。
【0006】
しかしながら、吸込負圧の強弱、回転ブラシの回転数、および駆動輪の回転数を実質的に同じにしたまま異なる種類の被掃除面を往来し、掃除することは、ある種類の被掃除面に対しては電力の過剰な消費を生じさせ、他の種類の被掃除面に対しては掃除が不十分になって塵埃の取り残しを生じさせてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、被掃除面の種類に応じて吸込負圧の強弱、回転ブラシの回転数、および駆動輪の回転数などを適宜に設定し、効率的な掃除が可能な自律型電気掃除装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置は、被掃除面を自律して移動可能であり、底面に吸込口を有する掃除機本体と、前記吸込口に吸い込み負圧を生じさせる電動送風機と、前記吸込口に配置される回転清掃体と、前記回転清掃体を駆動させる回転清掃体駆動部と、前記掃除機本体を移動可能に支える駆動輪と、前記駆動輪を駆動させる駆動輪駆動部と、前記被掃除面の種類を検知する被掃除面検知部と、前記被掃除面検知部が検知した前記被掃除面の種類に基づいて前記吸込口に作用する吸込負圧の強弱、前記回転清掃体の回転数の大小、前記回転清掃体の回転方向、および前記駆動輪の回転数の大小の少なくともいずれかの制御量を変更する制御部と、を備え、前記被掃除面検知部は、前記吸込口、前記回転清掃体、および前記駆動輪のうち制御量の変更対象よりも前方の検知位置で前記被掃除面の種類を検知し、前記制御部は、前記掃除機本体の前進中に前記被掃除面検知部が前記被掃除面の種類の変化を検知したときにおける制御量の変更対象の位置から前記検知位置までの距離を前記制御量の変更対象が前進移動して種類の異なる前記被掃除面に達するときに前記変更対象の制御量を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置を左斜め上方から見た斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置を右斜め下方から見た斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置のブロック図。
【
図4】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置と被掃除面の検知位置との関係を示す図。
【
図5】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置と被掃除面の検知位置との関係を示す図。
【
図6】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理を示すフローチャート。
【
図7】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図8】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図9】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図10】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図11】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図12】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図13】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図14】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図15】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図16】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図17】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【
図18】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る自律型電気掃除装置の実施形態について
図1から
図18を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号を付している。
【0011】
本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、いわゆるロボットクリーナであり、自律して被掃除面を移動して被掃除面の塵埃を捕集する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置を左斜め上方から見た斜視図である。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置を右斜め前、下方から見た斜視図である。
【0014】
図3は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置のブロック図である。
【0015】
図1および
図2の実線矢印Fは、自律型電気掃除装置1の前進方向を示している。自律型電気掃除装置1の後退方向は、実線矢印Fの反対方向である。自律型電気掃除装置1の幅方向は、実線矢印Fに直交する方向である。自律型電気掃除装置1の左右は、前進方向に従う。
【0016】
図1から
図3に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、底面12aに吸込口11を有する掃除機本体12と、吸込口11に吸い込み負圧を生じさせる電動送風機13と、吸込口11に配置される回転清掃体15と、回転清掃体15を駆動させる回転清掃体駆動部16と、掃除機本体12を移動可能に支える駆動輪17と、駆動輪17を駆動させる駆動輪駆動部18と、電動送風機13、回転清掃体駆動部16、および駆動輪駆動部18を制御して掃除機本体12を自律的に移動させるロボット制御部19と、を備えている。
【0017】
また、自律型電気掃除装置1は、掃除機本体12の底面12aに設けられ、吸込口11の左右それぞれの側方に配置される左右一対の第二回転清掃体21と、それぞれの第二回転清掃体21を駆動させる左右一対の第二回転清掃体駆動部22と、を備えている。
【0018】
さらに、自律型電気掃除装置1は、掃除機本体12の後部に着脱自在に設けられる集塵容器25と、電源としての二次電池26と、を備えている。
【0019】
さらにまた、自律型電気掃除装置1は、被掃除面の種類を検知する被掃除面検知部27を備えている。
【0020】
掃除機本体12は、例えば円盤形状の中空体であり、例えば合成樹脂の成形品である。
【0021】
吸込口11は、掃除機本体12の底面12aの後半部の幅方向中央部に配置されている。吸込口11は、掃除機本体12の幅方向に長い長方形状の開口である。吸込口11は、掃除機本体12の幅寸法、つまり直径寸法の3分の2程度の幅寸法を有している。吸込口11は、集塵容器25を経て電動送風機13の吸込み側に流体的に接続されている。
【0022】
電動送風機13は、二次電池26の電力によって駆動する電動機(図示省略)と、電動機によって回転し、吸込み負圧を生じさせる遠心ファン(図示省略)と、を備えている。電動送風機13が発生させる吸込み負圧は、集塵容器25を経て吸込口11に作用する。
【0023】
回転清掃体15は、吸込口11に配置されている。回転清掃体15は、掃除機本体12の幅方向に延びる回転中心のまわりに回転可能な軸状のブラシである。回転清掃体15は、例えば長尺な軸部(図示省略)と、軸部の径方向に延び、かつ軸部の長手方向へ螺旋状に並ぶ複数条のブラシ(図示省略)と、を備えている。回転清掃体15は、吸込口11から突出し、自律型電気掃除装置1を被掃除面に置いた状態でブラシを被掃除面に接触させる。回転清掃体15は、回転清掃体駆動部16によって回転駆動されて被掃除面の塵埃を掻き上げ、また被掃除面の塵埃を拭い取る。
【0024】
回転清掃体駆動部16は、掃除機本体12内に収容されている。回転清掃体駆動部16は、二次電池26の電力によって駆動する電動機である。
【0025】
駆動輪17は左右一対あって、掃除機本体12の底面12aに配置されている。一対の駆動輪17は、吸込口11よりも前側に配置され、かつ吸込口11の左右それぞれの側方に配置されている。
【0026】
一対の駆動輪17は、掃除機本体12の底面12aから突出し、掃除機本体12を被掃除面に置いた状態で被掃除面に接地する。また、一対の駆動輪17は、掃除機本体12の前後方向において略中央部に配置され、かつ吸込口11の真正面を避けて底面12aの左右それぞれの側部寄りに配置されている。一対の駆動輪17の回動軸は、掃除機本体12の幅方向に沿って延びる直線上に配置されている。自律型電気掃除装置1は、左右の駆動輪17を互いに同一方向に回転させることによって前進または後退し、左右の駆動輪17を互いに反対方向に回転させることによって右回りまたは左回りに旋回する。
【0027】
自律型掃除ユニット2は、駆動輪17とともに掃除機本体12を支える旋回輪28を備えている。旋回輪28は、旋回自在な従動輪であり、いわゆるキャスターである。旋回輪28は、掃除機本体12の底面12aの幅方向の略中央部、かつ、前部に配置されている。換言すると、掃除機本体12は、一対の駆動輪17と旋回輪28との3点で被掃除面に接地し、支えられている。
【0028】
駆動輪駆動部18は、二次電池26の電力によってそれぞれの駆動輪17を独立に駆動させる一対の電動機である。
【0029】
第二回転清掃体21は、補助的な清掃体である。一対の第二回転清掃体21は、回転清掃体15の真正面を避け、掃除機本体12の底面12aの前部の左右それぞれの側部に配置されている。第二回転清掃体21は、自律型電気掃除装置1の前進過程において回転清掃体15が通過しない部位、つまり、吸込口11の左右それぞれの側方から塵埃を掻き集めて吸込口11、または吸込口11の真正面へ導く。例えば、自律型電気掃除装置1が壁に沿って移動する場合には、第二回転清掃体21は、壁際の被掃除面の塵埃を掻き集めて吸込口11、または吸込口11の真正面へ導く。
【0030】
それぞれの第二回転清掃体21は、掃除機本体12の上下方向に延びる回転中心を有するブラシ基部31と、ブラシ基部31の径方向に向けて放射状に突出する例えば3つの線状清掃体32と、を備えている。
【0031】
それぞれのブラシ基部31は、吸込口11および一対の駆動輪17よりも前方、かつ旋回輪28よりも後方であって、吸込口11よりも掃除機本体12の左右それぞれの側部に寄せて配置されている。
【0032】
複数の線状清掃体32は、ブラシ基部31から放射状、例えば三方向へ延び、ブラシ基部31の周方向(回転方向)へ等間隔に並んでいる。なお、第二回転清掃体21は、ブラシ基部31ごとに4つ以上の線状清掃体32を備えていてもよい。それぞれの線状清掃体32は、先端側に清掃部材としての複数のブラシ毛を備えている。さらに、ブラシ毛は、掃除機本体12の外周縁よりも外側へ拡がる軌跡を描いて旋回する。
【0033】
それぞれの第二回転清掃体駆動部22は、下方に突出して第二回転清掃体21のブラシ基部31に接続される回転軸(図示省略)を備えている。それぞれの第二回転清掃体駆動部22は、被掃除面の塵埃を吸込口11へ掻き集める方向へ第二回転清掃体21を回転させる。
【0034】
掃除機本体12には、第二回転清掃体駆動部22が収容されるハウジング35が設けられている。ハウジング35は、掃除機本体12の水平面において掃除機本体12の中心部から放射方向へ出没可能である。通常時、ハウジング35は、掃除機本体12から突出して一対の第二回転清掃体21を掃除機本体12の左右に広げてより広範囲から塵埃を掻き集める。他方、例えば掃除機本体12が旋回してハウジング35が壁や家具に干渉しそうな場合には、ハウジング35は、掃除機本体12の中心方向へ向かって移動し、壁や家具との干渉を回避する。
【0035】
また、ハウジング35は、掃除機本体12の上下方向に昇降する。例えば掃除機本体12がフローリングからカーペットに乗り上がる際、自律型電気掃除装置1は、ハウジング35を上昇させて第二回転清掃体21のブラシがカーペットとフローリングとの間に入り込むことを回避する。ハウジング35の昇降は、ハウジング昇降駆動部36によって行われる。ハウジング昇降駆動部36は、二次電池26の電力によって駆動する電動機である。
【0036】
ロボット制御部19は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。ロボット制御部19は、電動送風機13、回転清掃体駆動部16、駆動輪駆動部18、第二回転清掃体駆動部22、およびハウジング昇降駆動部36に電気的に接続されている。
【0037】
ロボット制御部19は、マイクロプロセッサで実行される自律走行プログラムに従って電動送風機13、回転清掃体駆動部16、駆動輪駆動部18、および第二回転清掃体駆動部22を制御することによって被掃除面を自律的に移動し、被掃除面を掃除する。
【0038】
詳細には、ロボット制御部19は、電動送風機13の入力を増減することによって吸込口11に作用する吸込負圧の強弱を変更する。ロボット制御部19は、回転清掃体駆動部16の入力を増減することによって回転清掃体15の回転数を変更する。ロボット制御部19は、駆動輪駆動部18の入力を増減することによって駆動輪17の回転数を変更し、ひいては自律型電気掃除装置1の移動速度、および移動方向を変更する。ロボット制御部19は、第二回転清掃体駆動部22の入力を増減することによって第二回転清掃体21の回転数を変更する。ロボット制御部19は、ハウジング昇降駆動部36の入力を増減することによってハウジング35の昇降、ひいては第二回転清掃体21を昇降させる。
【0039】
また、ロボット制御部19は、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて吸込口11に作用する吸込負圧の強弱、回転清掃体15の回転数の大小、回転清掃体15の回転方向、および駆動輪17の回転数の大小の少なくともいずれかの制御量を変更する。換言すると、ロボット制御部19は、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて電動送風機13の回転数、回転清掃体駆動部16の回転数、および駆動輪駆動部18の回転数の少なくともいずれかの制御量を変更する。
【0040】
さらに、ロボット制御部19は、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて第二回転清掃体21の回転数の大小、第二回転清掃体21の回転方向、および第二回転清掃体21の昇降位置の少なくともいずれかを変更しても良い。換言すると、ロボット制御部19は、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて第二回転清掃体駆動部22の回転数、第二回転清掃体駆動部22の回転方向、およびハウジング35の昇降位置の少なくともいずれかを変更しても良い。
【0041】
集塵容器25は、電動送風機13が発生させる吸込負圧によって吸込口11から吸い込まれる塵埃を蓄積する。空気から塵埃を濾過して捕集するフィルタや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離によって空気から塵埃を分離して蓄積する分離装置などが集塵容器25に適用される。集塵容器25は、吸込口11よりも後方であって掃除機本体12の後部に配置されている。
【0042】
二次電池26は、電動送風機13、回転清掃体駆動部16、駆動輪駆動部18、第二回転清掃体駆動部22、およびロボット制御部19に電力を供給する。二次電池26は、例えば旋回輪28と吸込口11との間に配置されている。二次電池26は、掃除機本体12の底面12aに配置される一対の充電端子41に電気的に接続されている。
【0043】
自律型電気掃除装置1は、居室の掃除を終えると、被掃除面の適宜の箇所に配置される充電台(図示省略)に帰巣し、充電台の充電電極(図示省略)に充電端子41を接続して二次電池26の充電を行いつつ次の掃除運転の開始を待機する。
【0044】
被掃除面検知部27は、掃除機本体12の正面(
図1および
図2中に実線で示す被掃除面検知部27)および底面12a(
図2中に破線で示す被掃除面検知部27)の少なくともいずれかに配置されている。
【0045】
被掃除面検知部27は、カーペット、マット、フローリング、およびタイルなどの被掃除面の種類を検知する。被掃除面検知部27は、検知位置DPの画像を取得するイメージセンサ部42、および検知位置DPの赤外線を検知する赤外線センサ部43の少なくともいずれかを含んでいる。被掃除面検知部27は、イメージセンサ部42が撮影した画像を解析し、または赤外線センサ部43が検知した赤外線を解析して被掃除面の種類を識別し、特定する。この被掃除面の識別、または特定は、公知の画像処理技術によって処理され、またロボット制御部19で処理しても良い。
【0046】
図4および
図5は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置と被掃除面の検知位置との関係を示す図である。
【0047】
図4および
図5に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1の被掃除面検知部27は、掃除機本体12の正面に設けられる場合、掃除機本体12よりも前方で被掃除面の種類を検知する(
図4)。他方、被掃除面検知部27は、掃除機本体12の底面12aに設けられる場合、掃除機本体12の真下で被掃除面の種類を検知する(
図5)。
【0048】
また、被掃除面検知部27は、吸込口11、回転清掃体15、および駆動輪17のうち制御量の変更対象よりも前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0049】
具体的には、電動送風機13の回転数を変更することによって吸込口11に作用する吸込負圧の強弱を変更する場合には、被掃除面検知部27は、少なくとも吸込口11よりは前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0050】
また、回転清掃体駆動部16の回転数を変更することによって回転清掃体15の回転数を変更する場合には、被掃除面検知部27は、少なくとも回転清掃体15、ひいては吸込口11よりは前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0051】
また、回転清掃体駆動部16の回転方向を変更することによって回転清掃体15の回転方向を変更する場合には、被掃除面検知部27は、少なくとも回転清掃体15、ひいては吸込口11よりは前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0052】
さらに、駆動輪駆動部18の回転数を変更することによって駆動輪17の回転数の大小を変更する場合には、被掃除面検知部27は、少なくとも駆動輪17よりは前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0053】
本実施形態に係る被掃除面検知部27は、吸込口11、回転清掃体15、および駆動輪17よりも前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0054】
また、制御量の変更対象には、第二回転清掃体21が含まれていても良い。つまり、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて第二回転清掃体駆動部22の回転数、第二回転清掃体駆動部22の回転方向、およびハウジング35の昇降位置の少なくともいずれかが変更される場合、還元すると、被掃除面検知部27が検知した被掃除面の種類に基づいて第二回転清掃体21の回転数、回転方向、および昇降位置の少なくともいずれかが変更される場合、被掃除面検知部27は、第二回転清掃体21よりも前方の検知位置DPで被掃除面の種類を検知する。
【0055】
なお、「検知位置DP」とは、イメージセンサ部42の画像に映り込む場所や範囲であり、赤外線センサ部43が赤外線を検知する場所や範囲である。また、「検知位置」は、自律型電気掃除装置1が前進過程で通過する箇所に設定されている。
【0056】
図6は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理を示すフローチャートである。
【0057】
図6に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1のロボット制御部19は、被掃除面検知部27の検知位置DPが掃除機本体12の前方であっても、真下であっても、掃除機本体12の移動過程(ステップS1からステップS5)で制御量の変更対象が被掃除面検知部27の検知位置DPとの距離の差分を移動したときに(ステップS3、ステップS4 Yes)変更対象の制御量を変更する(ステップS5)。
【0058】
詳細には、ロボット制御部19は、吸込口11、回転清掃体15、駆動輪17、および第二回転清掃体21のうち制御量の変更対象が現在対面している被掃除面(以下、「現被掃除面」と言う。)の種類と被掃除面検知部27が検知する検知位置DPの被掃除面(以下、「次期被掃除面」と言う。)の種類とを比較し(ステップS2)、制御量の変更対象が対面している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には(ステップS2 Yes)、制御量の変更対象が次期被掃除面に達したときに(ステップS3、ステップS4 Yes)変更対象の制御量を変更する(ステップS5)。
【0059】
なお、「制御量の変更対象が次期被掃除面に達したとき」とは、「制御量の変更対象が被掃除面検知部27の検知位置DPとの距離の差分を移動したとき」と実質的に同じである。
【0060】
また、ロボット制御部19は、制御量の変更対象が対面している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが同じ場合には(ステップS2 No)、変更対象の制御量を保ったまま、つまり変更せずに移動を続ける(ステップS1)。
【0061】
さらに、ロボット制御部19は、制御量の変更対象が対面している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なっている場合(ステップS2 Yes)であっても、制御量の変更対象が次期被掃除面に達するまでは(ステップS4 No)変更対象の制御量を保ったまま、つまり変更せずに移動を続ける(ステップS3)。制御量の変更対象が次期被掃除面に達しているか否かの判断は、制御量の変更対象と被掃除面検知部27との離間距離と自律型電気掃除装置1の移動距離、例えば駆動輪17の回転回数との差異による。制御量の変更対象と被掃除面検知部27との離間距離は、予め定められている。
【0062】
具体的には、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に吸込口11に作用する吸込負圧が含まれ、かつ吸込口11が対面している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、吸込口11が次期被掃除面に達したときに電動送風機13の回転数を変更する。
【0063】
また、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に回転清掃体15の回転数、または回転方向が含まれ、かつ回転清掃体15が接している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、回転清掃体駆動部16が次期被掃除面に達したときに回転清掃体駆動部16の回転数および回転方向の少なくともいずれかを変更する。
【0064】
さらに、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に駆動輪17の回転数が含まれ、かつ駆動輪17が接している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、駆動輪駆動部18が次期被掃除面に達したときに駆動輪駆動部18の回転数を変更する。
【0065】
さらにまた、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に第二回転清掃体21の回転数が含まれ、かつ第二回転清掃体21が接している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、第二回転清掃体21が次期被掃除面に達したときに第二回転清掃体駆動部22の回転数を変更する。
【0066】
また、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に第二回転清掃体21の回転方向が含まれ、かつ第二回転清掃体21が接している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、第二回転清掃体21が次期被掃除面に達したときに第二回転清掃体駆動部22の回転方向を変更する。
【0067】
さらに、ロボット制御部19は、変更対象の制御量に第二回転清掃体21の昇降位置が含まれ、かつ第二回転清掃体21が接している現被掃除面の種類と被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の種類とが異なる場合には、第二回転清掃体21が次期被掃除面に達したときにハウジング35の昇降位置を変更する。
【0068】
図7から
図14は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図である。
【0069】
図7から
図10には、被掃除面検知部27の検知位置が掃除機本体12の前方に設定されている場合が図示されている。
【0070】
図11および
図14には、被掃除面検知部27の検知位置が掃除機本体12の真下に設定されている場合が図示されている。
【0071】
図7および
図11に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、電動送風機13を低回転モード、回転清掃体15を低回転モード、駆動輪17を高回転モード(実線矢印H)に設定してフローリングFLを掃除する。
【0072】
自律型電気掃除装置1がカーペットCの縁部に接近し、被掃除面検知部27の視野、つまり検知位置DPにカーペットCが映り込むと、ロボット制御部19は、現被掃除面と次期被掃除面との性質が異なることを判断する。
【0073】
そして、
図8および
図12に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、次期被掃除面であるカーペットCに達すると、電動送風機13を高回転モード、回転清掃体15を高回転モード、駆動輪17を低回転モード(実線矢印L)に変更してカーペットCを掃除する。
【0074】
また、
図9および
図13に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、電動送風機13を高回転モード、回転清掃体15を高回転モード、駆動輪17を低回転モード(実線矢印L)に設定してカーペットCを掃除する。
【0075】
自律型電気掃除装置1がカーペットCの縁部に接近し、被掃除面検知部27の視野、つまり検知位置DPにフローリングFLが映り込むと、ロボット制御部19は、現被掃除面と次期被掃除面との性質が異なることを判断する。
【0076】
そして、
図10および
図14に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、次期被掃除面であるフローリングFLに達すると、電動送風機13を低回転モード、回転清掃体15を低回転モード、駆動輪17を高回転モード(実線矢印H)に変更してフローリングFLを掃除する。
【0077】
つまり、自律型電気掃除装置1は、現被掃除面と次期被掃除面との種類(性質)が異なることを判断しても、変更対象の制御量を即時に変更するのではなく、現被掃除面と次期被掃除面と離間距離を移動した後に、変更対象の制御量を変更する。
【0078】
カーペットCはフローリングFLよりも塵埃を除去し難いため、自律型電気掃除装置1は、カーペットCを掃除する際には、電動送風機13および回転清掃体15を高回転モードに設定する一方、駆動輪17を低回転モードにして移動速度を遅め、確実に塵埃を除去する。
【0079】
他方、フローリングFLはカーペットCよりも塵埃を除去し易いため、自律型電気掃除装置1は、フローリングFLを掃除する際には、電動送風機13および回転清掃体15を低回転モードに設定する一方、駆動輪17を高回転モードにして移動速度を早め、電力の消費を抑制しつつ迅速に掃除を行う。
【0080】
このように、自律型電気掃除装置1は、被掃除面の種類に応じて変更対象の制御量を変更することによって、塵埃の除去力と電力の消費量とを好適にバランスさせる。
【0081】
なお、被掃除面の種類には、例えばカーペット、マット、フローリング、およびタイルがある。これらの被掃除面は、カーペット、マット、フローリングの順に塵埃を除去し易い。この掃除のし易さの違いは、カーペット、マット、フローリングの順に表面の凹凸が細かくなること、この順に摩擦係数や転がり抵抗係数が小さくなることに起因している。
【0082】
そこで、ロボット制御部19は、吸込口11が対面している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の凹凸が粗い場合には、電動送風機13の回転数をより高回転に変更する。
【0083】
また、ロボット制御部19は、吸込口11が対面している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の凹凸が細かい場合には、電動送風機13の回転数をより低回転に変更する。
【0084】
さらに、ロボット制御部19は、回転清掃体15が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が大きい場合には、回転清掃体駆動部16の回転数をより高回転に変更する。
【0085】
また、ロボット制御部19は、回転清掃体15が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が小さい場合には、回転清掃体駆動部16の回転数をより低回転に変更する。
【0086】
さらに、ロボット制御部19は、回転清掃体15が次期被掃除面に達したときに回転清掃体15の回転方向を反転させても良い。回転清掃体15を駆動輪17と同じ方向へ回転させることで掃除機本体12の推進力を補助したり、回転清掃体15を駆動輪17の逆方向へ回転させることで掃除機本体12の推進力を弱めたりすることが可能になる。
【0087】
また、ロボット制御部19は、駆動輪17が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が大きい場合には、駆動輪駆動部18の回転数をより低回転に変更する。
【0088】
さらに、ロボット制御部19は、駆動輪17が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が小さい場合には、駆動輪駆動部18の回転数をより高回転に変更する。
【0089】
また、ロボット制御部19は、第二回転清掃体21が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が大きい場合には、第二回転清掃体駆動部22の回転数をより高回転に変更する。
【0090】
また、ロボット制御部19は、第二回転清掃体21が接している現被掃除面に比べて被掃除面検知部27が検知する次期被掃除面の摩擦係数が小さい場合には、第二回転清掃体駆動部22の回転数をより低回転に変更する。
【0091】
さらに、ロボット制御部19は、第二回転清掃体21が被掃除面検知部27の検知位置DPに達したときに第二回転清掃体21の回転方向を反転させても良い。
【0092】
これら変更対象の制御量の強弱関係、大小関係、および回転方向の関係は、自律型電気掃除装置1を使用する被掃除面の性質や、塵埃の除去のし易さ(し難さ)に応じて適宜に設定される。つまり、想定される現被掃除面と次期被掃除面との性質の違いによっては、変更対象の制御量の変更の態様が逆転(強弱関係、大小関係、方向関係を逆に設定)していても良い。
【0093】
なお、タイルはフローリングと同程度に塵埃を除去し易い。
【0094】
また、自律型電気掃除装置1は、電動送風機13、回転清掃体15、駆動輪17、および第二回転清掃体21を同時に変更しても良いし、次期被掃除面に到達する順にバラバラに変更しても良い。
【0095】
図15から
図18は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除装置の制御量変更処理の様子を例示する図である。
【0096】
図15に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、第二回転清掃体21を低位置に設定してフローリングFLを掃除する。
【0097】
自律型電気掃除装置1がカーペットCの縁部に接近し、被掃除面検知部27の視野、つまり検知位置DPにカーペットCが映り込むと、ロボット制御部19は、現被掃除面と次期被掃除面との性質が異なることを判断する。
【0098】
そして、
図16に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、次期被掃除面であるカーペットCに達すると、第二回転清掃体21を高位置に変更してカーペットCに侵入する。
【0099】
カーペットCやマットのような敷物は、フローリングFLとの間に段差を生じる。第二回転清掃体21を低位置に設定してフローリングFLを掃除しながらカーペットCに侵入すると、第二回転清掃体21のブラシの先端がカーペットCとフローリングFLとの段差に引っ掛かり、あるいはカーペットCとフローリングFLとの間に入り込んでしまう虞がある。そこで、自律型電気掃除装置1は、フローリングFLからカーペットCへ乗り込む際には、第二回転清掃体21を低位置に設定して第二回転清掃体21の引っ掛かりや入り込みを回避する。
【0100】
図17に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、第二回転清掃体21を高位置に設定してカーペットCを掃除する。
【0101】
カーペットCやマットのような敷物は、第二回転清掃体21による塵埃の掻き集め効果が小さい。そこで、自律型電気掃除装置1は、カーペットCを掃除する際に、敢えて第二回転清掃体21を高位置に設定し、回転を停止させている。
【0102】
そして、
図18に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、次期被掃除面であるフローリングFLに達すると、第二回転清掃体21を低位置に変更してフローリングFLの塵埃を掻き集める。
【0103】
本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、制御量の変更対象、例えば電動送風機13、回転清掃体15、駆動輪17、または第二回転清掃体21が被掃除面検知部27の検知位置DPとの距離の差分を移動したときに変更対象の制御量を変更するため、被掃除面の種類に応じて吸込負圧の強弱、回転清掃体15の回転数、および駆動輪17の回転数などを適宜に設定し、塵埃の除去力と電力の消費量とを好適にバランスさせることができる。換言すれば、自律型電気掃除装置1は、無駄な電力の消費が抑えられて効率化される。
【0104】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、掃除機本体12よりも前方で被掃除面の種類を検知するため、進行方向の状態に応じた事前処理、例えば画像の解析や認識を行うための処理時間を確保しやすい。
【0105】
さらに、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、掃除機本体12の真下で被掃除面の種類を検知するため、仮に進行経路上に障害物が置かれていたとしても、これら障害物に邪魔されることなく、制御量の変更処理を現在位置の直近で的確に行うことができる。
【0106】
さらにまた、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、検知位置DPの画像を取得するイメージセンサ部42を有しているため、画像解析によって被掃除面の種類を正確に特定することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1は、検知位置DPの赤外線を検知する赤外線センサ部43を有しているため、安価な構成で被掃除面の種類を特定することができる。
【0108】
したがって、本実施形態に係る自律型電気掃除装置1によれば、被掃除面の種類に応じて吸込負圧の強弱、回転清掃体15の回転数、および駆動輪17の回転数などを適宜に設定し、効率的な掃除が可能である。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1…自律型電気掃除装置、11…吸込口、12…掃除機本体、12a…底面、13…電動送風機、15…回転清掃体、16…回転清掃体駆動部、17…駆動輪、18…駆動輪駆動部、19…ロボット制御部、21…第二回転清掃体、22…第二回転清掃体駆動部、25…集塵容器、26…二次電池、27…被掃除面検知部、28…旋回輪、31…ブラシ基部、32…線状清掃体、35…ハウジング、36…ハウジング昇降駆動部、41…充電端子、42…イメージセンサ部、43…赤外線センサ部。