IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

<>
  • 特許-アミン化合物及び有機電界発光素子 図1
  • 特許-アミン化合物及び有機電界発光素子 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】アミン化合物及び有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 333/76 20060101AFI20230418BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230418BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20230418BHJP
【FI】
C07D333/76
C07D409/14
H10K50/15
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018222248
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2019108321
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0174912
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】三宅 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】宇野 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】高田 一範
(72)【発明者】
【氏名】糸井 裕亮
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0125689(US,A1)
【文献】国際公開第2011/059099(WO,A1)
【文献】特許第7123466(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0301004(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0113783(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0059609(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0143627(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるアミン化合物。
【化1】

(前記化学式1において、
Arは置換若しくは無置換のナフチル基、または置換若しくは無置換のフェナントリル基であり
Lは置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基であり、
及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
前記Lがフェニレン基であり、該フェニレン基の1位がNに結合し、且つ該フェニレン基の3位に前記Arが結合する場合、該フェニレン基の5位は無置換であり、
前記Arがナフチル基であり、且つ該ナフチル基の1位が前記Lと結合する場合、該ナフチル基の8位は無置換であり、
a及びbはそれぞれ独立して0以上7以下の整数であり、
cは1以上4以下の整数である。)
【請求項2】
前記Lは、置換若しくは無置換のフェニレン基、または置換若しくは無置換のナフチレン基である請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表される請求項1に記載のアミン化合物。
【化2】



(前記化学式2-1~化学式2-3において、
dは0または1であり、
は重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
nは0以上6以下の整数である。)
【請求項4】
前記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されるアミン化合物は、下記化学式2-1-1~化学式2-3-2のうちいずれか一つで表される請求項3に記載のアミン化合物。
【化3】






(前記化学式2-1-1~化学式2-3-2において、
n1、n3及びn5は、それぞれ独立して0以上4以下の整数であり、
n2、n4及びn6はそれぞれ独立して0以上6以下の整数である。)
【請求項5】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式3-1~化学式3-3のうちいずれか一つで表される請求項1に記載のアミン化合物。
【化4】



(前記化学式3-1~化学式3-3において、
~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
eは0以上7以下の整数であり、
及びgはそれぞれ独立して0以上9以下の整数である。)
【請求項6】
前記a及びbのうち少なくとも一つが1または2であり、
前記R及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のフェナントリル基、置換若しくは無置換のカルバゾリル基、置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェニル基である請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項7】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式4で表される請求項1に記載のアミン化合物。
【化5】

前記化学式4において、
h及びiは0以上2以下の整数で、h及びiのうち少なくとも一つは1または2である。
【請求項8】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式5で表される請求項1に記載のアミン化合物。
【化6】

(前記化学式5において、
11~R14、及びR21~R24は、はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、R11~R14、及びR21~R24のうち少なくとも一つは重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
11及びR21、R12及びR22、R13及びR23、R14及びR24のうち少なくとも一対は互いに異なる。)
【請求項9】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式6で表される請求項1に記載のアミン化合物。
【化7】

(前記化学式6において、
、R、及びR10は、それぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
はそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、Rが複数の場合、2つ以上のR8が互いに結合されて環を形成し、
j及びkはそれぞれ独立して0以上7以下の整数であり、
lは0以上7以下の整数であり、
uは0以上6以下の整数であり、
mは0または1である。)
【請求項10】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つである請求項1に記載のアミン化合物。
[第1化合物群]
【化8】





【請求項11】
第1電極と、
前記第1電極の上に配置され、請求項1乃至請求項10のうちいずれか一つのアミン化合物を含む正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に配置される発光層と、
前記発光層の上に配置される電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含む有機電界発光素子。
【請求項12】
前記正孔輸送領域は、
前記第1電極の上に配置される正孔注入層と、
前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層と、を含み、
前記正孔輸送層は、請求項1乃至請求項10のうちいずれか一つのアミン化合物を含む請求項11に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記正孔輸送領域は複数の層を含み、
前記複数の層のうち、前記発光層に接触する層は前記請求項1乃至請求項10のうちいずれか一つのアミン化合物を含む請求項11に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用アミン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が活発に行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置などとは異なって、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層で再結合させることで、発光層に含まれる有機化合物である発光材料を発光させて表示を実現するいわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光表示装置に用いられる有機電界発光素子としては、例えば、第1電極、第1電極の上に配置された正孔輸送層、正孔輸送層の上に配置された発光層、発光層の上に配置された電子輸送層、及び電子輸送層の上に配置された第2電極で構成された有機電界発光素子が知られている。第1電極からは正孔が注入され、注入された正孔は正孔輸送層を移動して発光層に注入される。一方、第2電極からは電子が注入され、注入された電子は電子輸送層を移動して発光層に注入される。発光層に注入された正孔と電子が再結合されることで、発光層内で励起子が生成される。有機電界発光素子は、その励起子が更に基底態に落ちる際に発生する光を利用して発光する。また、有機電界発光素子は上述した構成に限らず、様々な変更が可能である。有機電界発光素子を表示装置に応用するに当たって、有機電界発光素子の高効率化及び長寿命化が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、発光効率が高く寿命が長い有機電界発光素子を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、発光効率が高く寿命が長い有機電界発光素子に適用されるアミン化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、下記化学式1で表されるアミン化合物が提供される。
【化1】

前記化学式1において、Arは置換若しくは無置換の環形成炭素数10以上60以下のアリール基であり、Lは置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基であり、R1~R2はそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、a及びbはそれぞれ独立して0以上7以下の整数であり、cは1以上4以下の整数である。
【0007】
前記Lは置換若しくは無置換のフェニレン基、または置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0008】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化2】



前記化学式2-1~化学式2-3において、dは0または1であり、Rは重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、nは0以上6以下の整数である。Ar、R、R、a及びbは、化学式1の説明において定義したとおりである。
【0009】
前記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されるアミン化合物は、下記化学式2-1-1~化学式2-3-2のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化3】






前記化学式2-1-1~化学式2-3-2において、n1、n3及びn5は、それぞれ独立して0以上4以下の整数であり、n2、n4及びn6はそれぞれ独立して0以上6以下の整数である。Ar、R、R、R、a及びbは、化学式1及び化学式2-1~化学式2-3の説明において定義したとおりである。
【0010】
前記Arは置換若しくは無置換のナフチル基、または置換若しくは無置換のフェナントリル基であってもよい。
【0011】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式3-1~化学式3-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化4】



前記化学式3-1~化学式3-3において、R~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、eは0以上7以下の整数であり、f及びgはそれぞれ独立して0以上9以下の整数である。前記化学式3-1~化学式3-3において、R、R、a、b、及びLは、化学式1の説明において定義したとおりである。
【0012】
前記a及びbのうち少なくとも一つが1または2であり、前記R~Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のフェナントリル基、置換若しくは無置換のカルバゾール基、置換若しくは無置換のジベンゾフラン基、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェン基であってもよい。
【0013】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式4で表されてもよい。
【化5】

前記化学式4において、h及びiは0以上2以下の整数で、h及びiのうち少なくとも一つは1または2であり、R1~R2はそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。前記化学式4において、Ar、L及びcは、化学式1の説明において定義したとおりである。
【0014】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式5で表されてもよい。
【化6】

前記化学式5において、R11~R14、及びR21~R24は、それぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、R11~R14、及びR21~R24のうち少なくとも一つは重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよい。R11及びR21、R12及びR22、R13及びR23、R14及びR24のうち少なくとも一対は互いに異なってもよい。前記化学式5において、Ar、L及びcは、化学式1の説明において定義したとおりである。
【0015】
前記化学式1で表されるアミン化合物は、、下記化学式6で表されてもよい。
【化7】

前記化学式6において、R、R及びR10はそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、Rはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、複数のRが互いに結合されて環を形成し、j及びkはそれぞれ独立して0以上7以下の整数であり、lは0以上7以下の整数であり、mは0または1であり、uは0以上6以下の整数である。
【0016】
本発明の一実施形態によると、第1電極と、前記第1電極の上に配置された正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置された発光層、前記発光層の上に配置された電子輸送領域と、前記電子輸送領域の上に配置された第2電極と、を含み、前記正孔輸送領域が、前記化学式1で表されるアミン化合物を含む、有機電界発光素子が提供される。
【0017】
前記正孔輸送領域は、前記第1電極の上に配置される正孔注入層、及び前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層は、前記化学式1で表されるアミン化合物を含んでもよい。
【0018】
前記正孔輸送領域は、複数の層を含み、前記複数の層のうち、前記発光層に接触する層は、前記化学式1で表されるアミン化合物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、発光効率及び寿命が優れている。本発明の一実施形態によるアミン化合物は、有機電界発光素用材料として使用される。本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む有機電界発光素子は、高い発光効率及び長寿命を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施例による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述した本発明の目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付した図面及び下記実施形態を介して容易に理解できるはずである。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限らず、他の形態で実現されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底で完全なものになるように、そして通常の技術者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0022】
各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用している。添付した図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示している。第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない限り第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0023】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の構成がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下部に」にあるとする場合、これは他の部分の「直下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の構成がある場合も含む。
【0024】
【0025】
本明細書において、「置換若しくは無置換の」とは重水素原子、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ホウ素基、アリールアミン基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びヘテロ環基を含む群から選択される一つ以上の置換基に置換される若しくは無置換であることを意味する。また、例示された置換基それぞれは、置換若しくは無置換であってもよい。例えば、ビフェニル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0026】
本明細書において、「隣接する基と互いに結合して環を形成する」とは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換された炭化水素環、または置換若しくは無置換されたヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は、単環及び多環であってもよい。また、互いに結合して形成された環は、他の環と結合されてスピロ構造を形成するものであってもよい。
【0027】
本明細書において、「隣接する基」とは当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基または当該置換基と立体構造的に最も隣接した置換基を意味する。例えば、1、2-ジメチルベンゼンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈され、1、1-ジエチルシクロペンテンにおける2つのエチル基は互いに「隣接する基」と解釈される。
【0028】
本明細書において、単結合(direct linkage)は単一結合を意味する。
【0029】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0030】
本明細書において、アルキル基は直鎖、分枝鎖、または環状であってもよい。アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上15以下、1以上10以下、または1以上6以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルペプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、tーオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2ーエチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0031】
本明細書において、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導された任意の作用基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下であってもよい。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、テルフェニル基、クォーターフェニル基、キンクフェニル基、セクシフェニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0032】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。フルオレニル基が置換される場合の例示は以下のようである。但し、これに限らない。
【化8】



【0033】
本明細書において、ヘテロアリール基はヘテロ原子としてO、N、P、Si及びSのうち一つ以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基がヘテロ原子を2つ含む場合、2つのヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上30以下、または2以上20以下である。ヘテロアリール基は、単環式ヘテロアリール基または多環式ヘテロアリール基であってもよい。多環式ヘテロアリール基は、例えば2環または3還構造を有するものであってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピリジニル基、キノリニル基、キナゾリル基、キノキサリル基、フェニキサジニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N-アリールカルバゾリル基、N-ヘテロアリールカルバゾリル基、N-アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロニル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、ジベンゾシロリル基、及びジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0034】
本明細書において、アリーレン基は2価基であることを除いては、上述したアリール基と同様である。ヘテロアリーレン基は2価基であることを除いては、上述したヘテロアリール基と同様である。
【0035】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0036】
本明細書において、アミノ基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下であってもよい。アミノ基は、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基などが挙げられるが、これに限らない。
【0037】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限らないが、炭素数1以上40以下、1以上30以下、または1以上20以下であってもよい。例えば、下記構造を有してもよいが、これに限らない。
【化9】
【0038】
本明細書において、スルフィニル基及びするスルホニル基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下であってもよい。スルフィニル基は、アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基を含む。スルホニル基は、アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基を含む。
【0039】
本明細書において、チオ基はアルキルチオ基及びアリールチオ基を含む。
【0040】
本明細書において、オキシ基はアルコキシオキシ基及びアリールオキシ基を含む。アルコキシ基は直鎖、分枝鎖、または環状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限らないが、例えば、1以上20以下、または1以上10以下であってもよい。オキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられるが、これに限らない。
【0041】
本明細書において、ホウ素基はアルキルホウ素基及びアリールホウ素基を含む。ホウ素基の例としては、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、ジフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などが挙げられるが、これに限らない。
【0042】
本明細書において、アルケニル基は直鎖または分枝鎖であってもよい。炭素数は特に限らないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1、3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチリルビニル基などが挙げられるが、これに限らない。
【0043】
本明細書において、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、アルキルアリール基、アルキルアミノ基、アルキルホウ素基、アルキルシリル基のうちのアルキル基は上述したアルキル基のとおりである。
【0044】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホキシ基、アリールアミノ基、アリールホウ素基、アリールシリル基のうちのアリール基は上述したアリール基のようである。
【0045】
まず、図1及び図2を参照して本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【0047】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0048】
正孔輸送領域HTRは、本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む。以下、本発明の一実施形態によるアミン化合物を詳しく説明した上で、有機電界発光素子10の各層について説明する。
【0049】
本発明の一実施形態によるアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【化10】
【0050】
前記化学式1において、Lは置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基である。Lは置換若しくは無置換のフェニレン基、または置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0051】
Arは置換若しくは無置換の環形成炭素数10以上60以下のアリール基である。Arは置換若しくは無置換のナフチル基、または置換若しくは無置換のフェナントリル基であってもよい。
【0052】
及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。R及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のフェナントリル基、置換若しくは無置換のカルバゾリル基、置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0053】
a及びbはそれぞれ独立して0以上7以下の整数である。a及びbはそれぞれ独立して0以上2以下の整数であってもよい。aが1であればRは上記何れかの置換基であってもよく、bが1であればRは上記何れかの置換基であってもよい。aが0であれば、化学式1で表されるアミン化合物はR基に置換されていないことを意味する。bが0であれば、化学式1で表されるアミン化合物はR基に置換されていないことを意味する。例えば、a及びbは全て0であり、化学式1で表されるアミン化合物はジベンゾチオフェニル基に置換基が置換されていなくてもよい。または、aが2以上の整数であれば、複数のRは互いに同じであってもよく異なってもよい。bが2以上の整数であれば、複数のRは互いに同じであってもよく異なってもよい。
【0054】
cは1以上4以下の整数である。cが2以上の整数であれば、複数のLは互いに同じであるか異なってもよい。cが2以上の整数であれば、Lが一列に結合されていることを意味してもよい。より詳しくは、Lが複数であれば、一つのLはNと結合され、他の一つのLはArと結合され、残りのLはNと結合されたLと、Arと結合されたLの間を結合するものであってもよい。例えば、cが2で、複数のLはそれぞれフェニレン基とナフチレン基である場合、前記フェニレン基と前記ナフチレン基が一列に結合されてもよい。また、cは1で、一つのフェニレン基またはナフチレン基がNとArとを結合するものであってもよい。
【0055】
本発明の一実施形態によるアミン化合物は、モノアミン化合物であってもよい。
【0056】
化学式1において、cは1であってもよい。但し、これに限らず、cは1以上3以下の整数であってもよい。
【0057】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【化11】
【0058】
化学式2において、Rは重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、nは0以上6以下の整数であり、R、R、a、b及びArは前記化学式1の説明で定義したとおりである。
【0059】
化学式2において、dは0または1である。dが0であれば、化学式1においてLがフェニレン基である場合に対応する。dが1であれば、化学式1においてLがナフチレン基である場合に対応する。
【0060】
化学式2において、nが1であればRは水素原子でなくてもよく、nが2以上であれば複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0061】
化学式2で表されるアミン化合物は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化12】


【0062】
化学式2-1~化学式2-3において、R、R、R、a、b、n、Ar及びdは上記で定義したとおりである。
【0063】
化学式2-1で表されるアミン化合物は、下記化学式2-1-1または化学式2-1-2で表されてもよい。
【化13】

【0064】
化学式2-1-1~化学式2-1-2において、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0以上6以下の整数であり、R、R、R、a、b及びArは上記で定義したとおりである。
【0065】
化学式2-2で表されるアミン化合物は、下記化学式2-2-1または化学式2-2-2で表されてもよい。
【化14】

【0066】
化学式2-2-1~化学式2-2-2において、n3は0以上4以下の整数であり、n4は0以上6以下の整数であり、R、R、R、a、b及びArは上記で定義したとおりである。
【0067】
化学式2-3で表されるアミン化合物は、下記化学式2-3-1または化学式2-3-2で表されてもよい。
【化15】

【0068】
化学式2-3-1~化学式2-3-2において、n5は0以上4以下の整数であり、n6は0以上6以下の整数であり、R、R、R、a、b及びArは上記で定義したとおりである。
【0069】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式3-1~化学式3-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化16】


【0070】
化学式3-1~化学式3-3において、R及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。例えば、R及びRは、それぞれ独立して置換若しくは無置換のフェニル基、または置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。
【0071】
eは0以上7以下の整数であってもよい。eが0であれば、化学式3-1で表されるアミン化合物はR基に置換されていないことを意味する。eが2以上の整数であれば、複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0072】
f及びgはそれぞれ独立して0以上9以下の整数であってもよい。fが0であれば、化学式3-2で表されるアミン化合物はR基に置換されていないことを意味する。fが2以上の整数であれば、複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。gが0であれば、化学式3-3で表されるアミン化合物はR基に置換されていないことを意味する。gが2以上の整数であれば、複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0073】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式4で表されてもよい。
【化17】
【0074】
化学式4において、Ar、L及びcは上記で定義したとおりである。h及びiは0以上2以下の整数で、h及びiのうち少なくとも一つは1または2である。
【0075】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式5で表されてもよい。
【化18】
【0076】
化学式5において、Ar、L及びcは上記で定義したとおりである。化学式5において、R11~R14、及びR21~R24は、それぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。この際、R11~R14、及びR21~R24のうち少なくとも一つは、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。例えば、R11~R14、及びR21~R24のうち少なくとも一つは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよい。
【0077】
11及びR21、R12及びR22、R13及びR23、R14及びR24のうち少なくとも一つは互いに異なってもよい。例えば、R11は置換若しくは無置換のフェニル基、または置換若しくは無置換のナフチル基であり、R21は水素原子であってもよい。または、R12はフッ素原子または塩素原子であり、R22は水素原子であってもよい。例えば、R13は置換若しくは無置換のエチル基であり、R23は水素原子であってもよい。つまり、R11~R14が置換されたジベンゾチオフェニル基であり、R21~R24が置換されたジベンゾチオフェニル基であれば、特定炭素位置に互いに異なる置換基が置換され、窒素原子を中心に互いに非対称の構造を有する。
【0078】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記化学式6で表されてもよい。
【化19】
【0079】
化学式6において、R、R、及びR10は、それぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。R及びRはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のフェナントリル基、置換若しくは無置換のカルバゾリル基、置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基、または置換若しくは無置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0080】
化学式6において、j及びkはそれぞれ独立して0以上7以下の整数であり、mは0または1であり、uは0以上6以下の整数である。jが1以上であればRは上記何れかの置換基であり、jが2以上であれば複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。kが1以上であればRは上記何れかの置換基であり、kが2以上であれば複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。uが1以上であればR10は上記何れかの置換基であり、uが2以上であれば複数のR10は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0081】
化学式6において、Rは重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。Rは置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。または、Rは隣接する基と互いに結合されて環を形成してもよい。より詳しくは、化学式6で表されるアミン化合物において、ナフチル基が2つのRに置換され、置換した2つのR基が互いに結合されて6員芳香族環を形成してもよい。2つのR基が互いに結合されて6員芳香族環を形成することで、化学式6で表されるアミン化合物は、フェナントリル基がフェニレンリンカーまたはナフタレンリンカーを介してアミンコアに結合されているものであってもよい。化学式6において、lは0以上7以下の整数である。lが1以上であればRは上記何れかの置換基であり、lが2以上であれば複数のRは互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0082】
化学式1で表されるアミン化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つであってもよい。但し、これに限らない。
【0083】
[第1化合物群]
【化20】
【0084】
化学式1~化学式6を参照すると、本発明の一実施形態によるアミン化合物は、アミンコアに直接結合した2つのジベンゾチオフェニル基を含み、ジベンゾチオフェニル基は、4位の炭素位置でアミンコアと直接結合する。また、アミンコアにはフェニレン基またはナフチレン基などのリンカーを介して、炭素数10以上のアリール置換基が置換されている。
【0085】
化学式1~化学式6で表されるアミン化合物は、有機電界発光素子に適用されると高い発光効率及び長寿命を確保することができる。化学式1~化学式6で表されるアミン化合物は、4位の炭素位置でアミンコアに直接結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含んでおり、高いアモルファス性を有するため、有機電界発光素子に適用されて高い発光効率及び長寿命が実現される。また、アミンコアに結合されたフェニル基またはナフチル基が炭素数10以上のアリール置換基によって保護され、素子駆動時にアミン化合物の分解が抑制されるため、発光効率が高く維持されて素子の寿命が長くなる。
【0086】
更に図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。発光層EMLは、上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む。例えば、正孔輸送領域HTRは化学式1で表されるアミン化合物を含む。
【0087】
以下では上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物との差を中心に詳しく説明するが、説明されていない部分は上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物と同様である。
【0088】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は画素電極または正極(アノード)である。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などからなる。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、第1電極EL1は、これらの化合物や混合物で形成された反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造を有してもよい。
【0089】
以下では、上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物が正孔輸送領域HTRに含まれ場合を例に挙げて説明する。但し、これに限らず、本発明の一実施形態によるアミン化合物は第1電極EL1及び第2電極EL2の間に配置された1層以上の有機層のうち少なくとも一つの層に含まれてもよい。例えば、本発明の一実施形態によるアミン化合物は発光層EMLに含まれてもよい。
【0090】
上述したように、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、正孔輸送領域HTRに上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む。
【0091】
例えば、正孔輸送領域HTRは化学式6で表されるアミン化合物を含んでもよい。正孔輸送領域HTRは第1電極EL1の上に配置される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0092】
正孔輸送領域HTRは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有してもよい。
【0093】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質とで形成された単一構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質を有する単一層の構造を有するか、第1電極EL1側から順番に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔阻止層の構造を有してもよいが、これに限らない。
【0094】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0095】
正孔輸送領域HTRは、上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む。正孔輸送領域HTRは、上述した本発明の一実施形態によるアミン化合物を正孔輸送領域材料として含む。正孔輸送領域HTRが上述したように複数の層を含む場合、複数の層のうち発光層EMLに接触する層に本発明の一実施形態によるアミン化合物が含まれることが好ましい。例えば、図2のように正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLからなる場合、正孔輸送層HTLに本発明の一実施形態によるアミン化合物が含まれてもよい。
【0096】
正孔輸送層HTLが本発明の一実施形態によるアミン化合物を含む場合、正孔注入層HILは、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物と、DNTPD(N、N’-ジフェニル-N、N’-ビス-[4-フェニル-m-トリル-アミノ)-フェニル]-ビフェニル-4、4’-ジアミン)、m-MTDATA(4、4’、4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミノ)、TDATA(4、4’、4”-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、1-TNATA(4、4’、4”-トリス{N,-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ}-トリフェニルアミン)、PEDOT/PSS(ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート))、PANI/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PANI/CSA(ポリアニリン/カンファースルホン酸)、PANI/PSS(ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート)、NPD(N、N’-ジ(1-ナフチル)-N、N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、トリフェニルアミンを含むポリエテールケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、HAT-CN(1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボ二トリル)などを含んでもよい。
【0097】
正孔輸送層HTLは、本発明の一実施形態によるアミン化合物以外に公知の物質を更に含んでもよい。正孔輸送層HTLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリにビルカルバゾール、mCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)などのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニル-[1、1-ビフェニル]-4、4’-ジアミン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPD(N、N’-ジ(1-ナフチル)-N、N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、TAPC(4、4’-シクロへキシリデンビス[N、N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4、4’-ビス[N、N’-(3-トリル)アミノ]-3、3’-ジメチルビフェニル)などを含んでもよい。
【0098】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約15nm~約1200nm、例えば、約15nm~約150nmであってもよい。正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを全て含む場合、正孔注入層HILの厚さは約10nm~約1000nm、例えば、約10nm~約100nmであり、正孔輸送層HTLの厚さは約5nm~約100nmであってもよい。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、及び正孔輸送層HTLの厚さは上述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性が得られる。
【0099】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含んでもよい。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散されている。電荷発生物質は、例えば、p-ドーパントである。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうちいずれか一つであってもよいが、これに限らない。例えば、p-ドーパントの例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-テトラフルオロ-テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物などが挙げられるが、これに限らない。
【0100】
上述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTL以外に、正孔バッファ層及び電子阻止層のうち少なくとも一つを更に含んでもよい。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光放出効率を増加させる。正孔バッファ層に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれ得る物質を使用してもよい。電子阻止層は、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割をする層である。
【0101】
発光層EMLは正孔輸送領域HTRの上に配置される。発光層EMLは正孔輸送層HTLの上に配置され、正孔輸送層HTLと接触するものであってもよい。発光層EMLの厚さは、例えば、約10nm~約60nmであってもよい。発光層EMLは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有してもよい。
【0102】
発光層EMLは、赤色光、緑色光、青色光、白色光、黄色光、シアン光のうち一つを発するものであってもよい。発光層EMLは、蛍光物質またはりん光物質を含んでもよい。発光層EMLは、熱活性遅延蛍光発光物質(TADF)を含んでもよい。
【0103】
発光層EMLはホスト及びドーパントを含む。発光層EMLのホスト材料としては、アントラセン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、クレセン誘導体、フェナントレン誘導体などから選択されるが、好ましくは、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、クレセン誘導体、フェナントレン誘導体、アントラセン誘導体が挙げられる。例えば、発光層EMLのホスト材料として、下記化学式7で表されるアントラセン誘導体を使用してもよい。
【化21】
【0104】
化学式7において、Y~Yはそれぞれ独立して重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上15以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、m1及びm2はそれぞれ独立して0以上4以下の整数であり、m3及びm4はそれぞれ独立して0以上5以下の整数である。化学式7において、Y~Yはそれぞれ独立して隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0105】
化学式7で示される化合物としては、一例として下記構造式で示した化合物が挙げられる。但し、化学式7で表示される化合物は以下に限らない。
【化22】
【0106】
ホストは通常使用している物質であれば特に限らないが、例えば、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、CBP(4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル)、PVK(ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、TBADN(3-テルト-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリーレン)、CDBP(4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2”-ジメチル-ビフェニル)、MADN(2-メチル-9,10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン)などを含んでもよい。
【0107】
ドーパントとしては、例えば、スチリル誘導体(例えば、1、4-ビス[2-(3-N-エチルカルバゾリル)ビニル」ベンゼン(BCzVB)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン-2-イル)ビニル)フェニル)-N-フェニルベンゼンアミン(N-BDAVBi)、ぺリレン及びその誘導体(例えば、2、5、8、11-テトラ-tert-ブチルぺリレン(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1、1-ジピレン、1、4-ジピレニルベンゼン、1-4-ビス(N、N-ジフェニルアミノ)ピレンなどが挙げられる。ドーパントは、ACRSA(10-フェニル-10H、10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン)であってもよい。
【0108】
発光層EMLが赤色光を発する場合、発光層EMLは、例えば、PBD:Eu(DBM)3(Phen)(トリス(ジベンゾイルメタナト)フェナントロリンユウロピウム)またはペリレンを含む蛍光物質を更に含んでもよい。発光層EMLが赤色光を発する場合、発光層EMLに含まれたドーパントは、例えば、PIQIr(acac)(ビス(1-フェニルイソキノリン)アセチルアセトネートイリジウム)、PQIr(acac)(ビス(1-フェニルキノリン)アセチルアセトネートイリジウム)、PQIr(トリス(1-フェニルキノリン)イリジウム)、及びPtOEP(オクタエチルポルフィリンプラチナ)のような金属錯化合物、または有機金属錯体、ルブレン及びその誘導体、及び4-ジシアノメチレン-2-(p-ジメチルアミノスチリル)-6-メチル-4H-ピラン(DCM)及びその誘導体から選択されてもよい。
【0109】
発光層EMLが緑色光を発する場合、発光層EMLは、例えば、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)を含む蛍光物質を更に含んでもよい。発光層が緑色光を発する場合、発光層EMLに含まれたドーパントは、例えば、Ir(ppy)(fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム)のような金属錯化合物、または有機金属錯体、及びクマリン及びその誘導体から選択されてもよい。
【0110】
発光層EMLが青色光を発する場合、発光層EMLは、例えば、スピロ-DPVBi、スピロ-6P、DSB(ジスチリル-ベンゼン)、DSA(ジスチリル-アリーレン)、PFO(ポリフルオレン)系高分子、及びPPV(ポリ(p-フェニレンビニレン)系高分子からなる群から選択されたいずれか一つを含む蛍光物質を更に含んでもよい。発光層が青色光を発する場合、発光層EMLに含まれるドーパントは、例えば、(4,6-F2ppy)Irpicのような金属錯化合物、または有機金属錯体、及びぺリレン及びその誘導体から選択されてもよい。
【0111】
電子輸送領域ETRは、発光層EMLの上に配置される。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層、電子輸送層ETL及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むが、これに限らない。
【0112】
電子輸送領域ETRは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有する。
【0113】
例えば、電子輸送領域ETRは電子注入層のEILまたは電子輸送層ETLの単一層の構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質で形成された単一構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、第1電極EL1側から順番に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有してもよいが、これに限らない。
【0114】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、LB法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法などのような多様な方法を利用して形成されてもよい。
【0115】
電子輸送層ETLは、例えば、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1、3、5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2、4、6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1、3、5-トリアジン、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イルフェニル)-9、10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)及びこれらの混合物を含むが、これに限らない。電子輸送層ETLの厚さは、約10nm~約100nm、例えば約15nm~約50nmであってもよい。電子輸送層HTLの厚さが上述したような範囲を満たせば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性が得られる。
【0116】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、Al、Ag、Li、Mg及びCaなどの金属及びこれらの混合物を含んでもよい。但し、これに限らない。例えば、電子注入層EILには、LiF、LiQ(Lithum quinolate)、LiO、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタン族金属、またはRbCl、RbIのようなハロゲン化金属などが使用されてもよいが、これに限らない。電子注入層EILはまた、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩が混合された物質からなってもよい。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップが約4eV以上の物質であってもよい。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩(metal acetate)、安息香酸金属塩(metal benzoate)、アセト酢酸金属塩(metal acetoacetate)、アセチルアセト酢酸金属塩(metal acetylacetonate)、またはステアリン酸金属塩(stearate)を含んでもよい。電子注入層EILの厚さは、約1nm~約10nmであってもよい。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満たせば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性が得られる。
【0117】
電子輸送領域ETRは、上述したように、正孔阻止層を含む。正孔阻止層は、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、及びBphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)のうち少なくとも一つを含んでもよいが、これに限らない。
【0118】
第2電極EL2は電子輸送領域ETRの上に配置される。第2電極EL2は、共通電極または負極(カソード)である。第2電極層EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は、透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる。
【0119】
第2電極層EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極層EL2は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、第2電極層EL2は、前記物質で形成された反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0120】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と接続されてもよい。第2電極EL2が補助電極と接続されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0121】
有機電界発光素子10において、第1電極EL1と第2電極EL2とにそれぞれ電圧が印加されることで、第1電極EL1から注入された正孔は正孔輸送領域HTRを介して発光層EMLに移動し、第2電極EL2から注入された電子は電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動する。電子と正孔とは発光層EMLで再結合して励起子を生成し、励起子が励起状態から基底状態に落ちる際に発光する。
【0122】
有機電界発光素子10が前面発光型であれば、第1電極EL1は反射型電極で、第2電極EL2は透過型電極または半透過型電極であってもよい。有機電界発光素子10が背面発光型であれば、第1電極EL1は透過型電極または半透過型電極で、第2電極EL2は反射型電極であってもよい。
【0123】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、化学式1~化学式6で表されるアミン化合物を含み、高い発光効率及び長寿命を確保することができる。本発明の一実施形態によるアミン化合物は正孔輸送材料として使用され、有機電界発光素子の高い発光効率及び長寿命を実現する。詳しくは、化学式1~化学式6で表されるアミン化合物は、4位の炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含んで高いアモルファス性を有するため、高い正孔輸送特性を有することができ、有機電界発光素子の発光効率及び長寿命が確保される。また、アミンコアに結合されたフェニル基またはナフチル基が炭素数10以上のアリール置換基を介して保護されるため、素子の駆動時にアミン化合物の分解が抑制され、発光効率が高く維持されて素子の寿命が長くなる。
【0124】
以下、具体的な製造方法、実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限ることはない。
【0125】
本発明の一実施形態によるアミン化合物は、例えば、下記のように合成してもよい。但し、これに限らない。
【0126】
1.化合物1の合成
【化23】

化合物A(14.0g、63.9mmol)、化合物B(33.6g、127.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(5.8g、6.4mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン)(P(tBu))(2.1g、10.2mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(24.5g、6.4mmol)のトルエン懸濁液(1150mL)を脱気し、アルゴン(Ar)雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物1(26.5g、45.3mmol、71%)を得た。FAB-MS測定で測定された化合物1の分子量は583であった。
【0127】
2.化合物4の合成
(中間体Eの合成)
【化24】

化合物C(37.6g、146.1mmol)、化合物D(20.0g、146.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(8.4g、7.3mmol)、炭酸カリウム(KCO)(24.2g、175.3mmol)のトルエン/EtOH/HO懸濁液(1200/120/240mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、中間体E(25.5g、94.9mmol、65%)を得た。FAB-MS測定で測定された中間体Eの分子量は269であった。
【0128】
(化合物4の合成)
【化25】

中間体E(14.0g、52.0mmol)、化合物B(27.4g、104.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(4.8g、5.2mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン)(1.7g、8.3mmol)(P(tBu))、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(20.0g、5.2mmol)のトルエン懸濁液(940mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物4(22.4g、35.4mmol、68%)を得た。FAB-MS測定で測定された化合物4の分子量は633であった。
【0129】
3.化合物12の合成
(中間体Hの合成)
【化26】

化合物F(22.1g、107.0mmol)、化合物G(20.0g、187.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)(6.2g、5.35mmol)、炭酸カリウム(KCO)(17.7g、128.3mmol)のトルエン/EtOH/HO懸濁液(880/90/180mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、中間体H(15.8g、58.8mmol、55%)を得た。FAB-MS測定で測定された中間体Hの分子量は269であった。
【0130】
(化合物12の合成)
【化27】

中間体H(14.0g、52.0mmol)、化合物B(27.4g、104.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(4.8g、5.2mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン))(P(tBu))(1.7g、8.3mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(20.0g、5.2mmol)のトルエン懸濁液(940mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物12(24.7g、39.0mmol、75%)を得た。FAB-MS測定で測定された化合物12の分子量は633であった。
【0131】
4.化合物27の合成
(中間体Iの合成)
【化28】

中間体A(20.0g、91.2mmol)、化合物B(24.0g、91.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(8.4g、9.1mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン)(P(tBu))(3.0g、14.6mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(17.5g、182.4mmol)のトルエン懸濁液(1600mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、中間体I(28.9g、72.1mmol、79%)を得た。
【0132】
(化合物27の合成)
【化29】

中間体I(25.0g、62.3mmol)、化合物J(21.1g、62.3mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(5.7g、6.2mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン)(P(tBu))(2.0g、10.0mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(12.0g、124.5mmol)のトルエン懸濁液(1100mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物27(29.6g、44.8mmol、72%)を得た。FAB-MS測定で測定された化合物の分子量は659であった。前記結果を介して、合成した化合物が化合物27であることが分かった。
【0133】
5.化合物38の合成
【化30】

中間体I(20.0g、49.8mmol)、化合物K(22.2g、49.8mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(4.6g、5.0mmol)、トリ(tert-ブチルホスフィン)(P(tBu))(1.6g、8.0mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaO(tBu))(9.6g、99.6mmol)のトルエン懸濁液(900mL)を脱気し、アルゴン雰囲気下で4時間80℃に加熱した。空冷後、反応液をフロリジルろ過・濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物38(25.9g、33.9mmol、68%)を得た。FAB-MS測定で測定された化合物の分子量は765であった。前記結果を介して、合成した化合物が化合物38であることが分かった。
【実施例
【0134】
(素子作成例)
上述した化合物1、4、12、27及び38を正孔輸送材料として使用し、実施例1~5の有機電界発光素子を製作した。
[実施例化合物]
【化31】
【0135】
下記比較例化合物c1~c6を比較例素子作成に使用した。
[比較例化合物]
【化32】
【0136】
実施例1~5、及び比較例1~6の有機電界発光素子は、ITOで150nm厚さの第1電極を形成し、1-TNATA(4-4’-4’’-トリス{N,-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ}-トリフェニルアミン)で60nm厚さの正孔注入層を形成し、実施例化合物または比較例化合物で30nm厚さの正孔輸送層を形成し、ADN(ジナフチルアントラセン)にTBP(2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン)を3%塗布した25nm厚さの発光層を形成し、Alpで25nm厚さの電子輸送層を形成し、LiFで1nm厚さの電子注入層を形成し、Alで100nm厚さの第2電極を形成した。各層は、真空雰囲気下で蒸着法によって形成した。
【0137】
(実験例)
上述した実験例化合物1、4、12、27、及び38、及び比較例化合物c1~c6で製作した有機電界発光素子の発光効率及び発光寿命を評価した。評価結果を下記表1に示す。発光効率及び発光寿命は、比較例1の有機電界発光素子の発光効率及び発光寿命を100%とした際の各実施例及び比較例の相対的な発光効率比及び発光寿命比を測定した。
【表1】
【0138】
表1の結果を参照すると、実施例1~実施例5は、比較例1~比較例6に比べ発光効率及び/または素子寿命が向上されていることが分かる。より詳しくは、実施例1~実施例5は、類似した構造の正孔輸送材料を含む比較例1~比較例6に比べ発光効率及び素子寿命が向上されている。
【0139】
実施例1~実施例5に含まれた化合物は、4位の炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含む。よって、化合物が高いアモルファス性を有するため、正孔輸送材料として使用されると高い正孔輸送特性を有するようになり、有機電界発光素子の発光効率及び長寿命が確保される。また、アミンコアに結合されたフェニル基またはナフチル基が炭素数10以上のアリール置換基によって保護されるため、素子駆動時にアミン化合物の分解が抑制される。そのため、発光効率が高く維持されて素子の寿命が長くなる。
【0140】
比較例1に含まれた比較例化合物c1は、4位の炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含むが、アミンコアに結合したナフチル基に置換された置換基が存在していない。よって、実施例化合物に比べナフチル基が保護される効果が実現されないため、素子駆動時においてアミン化合物が分解されることにより、実施例に比べ比較例1の発光効率及び素子寿命が減少される。
【0141】
比較例2に含まれた比較例化合物c2は、4位炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含むが、トリフェニレニル基がアミンコアに結合されている。トリフェニレニル基はアミン化合物のLUMOを下げるため、比較例化合物2は実施例化合物に比べ正孔輸送特性が落ちてしまい、実施例に比べ比較例2の発光効率及び素子寿命が減少される。
【0142】
比較例3及び4に含まれた比較例化合物c3及びc4はジベンゾチオフェニル基がアミンコアに結合しているが、一つのジベンゾチオフェニルが4位の炭素位置ではなく3位の炭素位置でアミンコアに結合されている。ジベンゾチオフェニル基が3位の炭素位置でアミンコアに結合すると、アミン化合物の結晶性が上がるため、実施例化合物に比べアモルファス性が低下する。それによって、比較例化合物3及び4は実施例化合物に比べ正孔輸送特性が落ちてしまい、実施例に比べ比較例3及び4の発光効率及び素子寿命が減少される。
【0143】
比較例5に含まれた比較例化合物c5は、4位炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含み、アミンコアにフェニレン基を介して置換基が置換されている。但し、比較例化合物c5にはフェニレン基にジベンゾフラニル基が結合れており、化合物の安定性が落ちて実施例化合物に比べ分解されやすい。それによって、実施例に比べ比較例5の発光効率及び素子寿命が減少される。
【0144】
比較例6に含まれた比較例化合物c6は、4位の炭素位置でアミンコアに結合する2つのジベンゾチオフェニル基を含むが、ジベンゾチオフェニル基がアミンコアに直接結合せず、フェニレン基または2価のビフェニレン基を介して結合されている。そのため、ジベンゾチオフェニル基とアミンコアとの距離が遠くなり、実施例化合物に比べ比較例化合物c6の正孔輸送特性が低下する。それによって、実施例に比べ比較例6の発光効率及び素子寿命が減少される。
【0145】
これまで添付した図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずも他の具体的な形態に実施され得ることを理解できるはずである。よって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものであると理解すべきである。
図1
図2