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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】物品掛け具
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/02 20060101AFI20230418BHJP
   A45D 20/12 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A47B67/02 503B
A45D20/12 H
A47B67/02 503Z
A47B67/02 502J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018225512
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020081737
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】尾花 博和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明彦
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-072133(JP,U)
【文献】特開2007-130390(JP,A)
【文献】特開平11-009364(JP,A)
【文献】実開昭51-161262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/02
A45D 20/12
A47K 1/02
A47B 61/00-61/02
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板と天井板と底板と背板により構成された前面開放型のボックスと、前記ボックスを複数の収納スペースに区分する縦仕切り板と、前記側板と前記縦仕切り板の左右に対向する部分に上下方向に間隔をあけて複数、水平、かつ、前記側板及び前記縦仕切り板に沿って前記収納スペースの奥行き方向に形成された凹溝と、前記凹溝に嵌合するトレーを有する化粧キャビネットに適用される物品掛け具であって、
前記物品掛け具が、対向配置された2つの挿入片とこれら挿入片の一端側を連接片により連結した平面視コ字状であって左右に対向する前記凹溝にそれぞれ前記挿入片を挿入して左右の前記凹溝間に架け渡し挿入される挿入部と、前記挿入部の一端より離隔する方向に延設され、前記挿入部の前記凹溝への架け渡し状態において前記ボックスの前面からの開き側の側方に延出する掛け部を備えたことを特徴とする物品掛け具。
【請求項2】
前記扉が鏡扉であることを特徴とする請求項1に記載の物品掛け具。
【請求項3】
前記挿入部に、前記2つの挿入片を連結するとともに前記連接片と平行に配置された連接部材を有する請求項1または請求項2に記載の物品掛け具。
【請求項4】
前記掛け部がロッド部材からなり、前記掛け部の先端に前記ロッド部材の外径より径の大きな膨張部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の物品掛け具。
【請求項5】
前記掛け部に複数の屈曲部が形成され、前記凹溝に対する前記挿入部の挿入状態において、前記複数の屈曲部から、上下に少なくとも2 段配置される支持部が構成され、前記少なくとも2段の支持部にドライヤーのグリップを挿入して前記ドライヤーが支持可能とされたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の物品掛け具。
【請求項6】
前記物品掛け具の全体が線材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の物品掛け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧鏡の鏡扉などの開閉を阻害することなく、着脱自在に取付位置を移動可能とする物品掛け具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧鏡の前で使用するドライヤー等を一時的に仮置きする場所として、化粧鏡の棚や洗面台のボウルなどを利用し、化粧鏡などにフック等を設けて掛けておく方法が広く用いられている。
【0003】
そこで、化粧台側面の差し込み孔にドライヤーフックの基部を差し込み、ドライヤーフックの取付部を化粧ネジで保持し、取付部にドライヤーの把手を挿入して支持する方法が開示されている。(特許文献1参照)
【0004】
また、洗面化粧台の脇戸棚内壁面に取付けた案内板を介し引出し自在としたフックを、鏡板を開いた状態で手前に引出して、ドライヤーの把手を挿入して固定する方法が開示されている。(特許文献2参照)
【0005】
また、化粧台に隣接されたサイドキャビネットや洗面化粧台用パーティションに取り付けられたガイドレールに沿って、スライド自在に移動するドライヤー保持部材のアーム部材に、ドライヤーのグリップ部を落とし込んで保持する方法が開示されている。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭62-178904号公報
【文献】実開昭62-117906号公報
【文献】実開平7-30903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来技術では、化粧鏡にドライヤーフックを取付けるための突隆部に孔を設ける必要があり、ドライヤーフックを取付ける位置が固定されてしまう等の問題点があった。
さらに、ドライヤーフックを固定するための、化粧ネジ、補強板、スプリング等の複数の部材を用いるためコストアップと、化粧ネジの紛失を招く虞があるなどの問題点があった。
【0008】
特許文献2に記載の構造では、案内板を脇戸棚内壁面に取付けてフックを引出した状態で使用するため、ハンガーを使用している間は鏡板を開いておく必要があり、この場合に鏡を鏡として利用することができない等の問題点があった。
さらに、特許文献1と同様に案内板が固定されておりフックの取付位置が限定されてしまう等の問題点があった。
【0009】
特許文献3に記載の構造では、ドライヤー保持部材が移動することでドライヤーの位置を移動可能としているが、ミラーキャビネットの手前側に配置されているため、ミラーキャビネットを利用するに際し邪魔であり、特に鏡(扉)の開閉に支障を及ぼす問題がある。また、ガイドレールやベース部材が露出した状態で取り付けられており、見栄えと清掃性を悪化させる等の問題点があった。
また、近年ミラーキャビネットの主流である前面を3分割の鏡(扉)とし、それらの背面側を収納スペースとした3面鏡タイプでは、ドライヤー保持部材の取付けスペースを確保できない等の問題点があった。
【0010】
本発明は、上記の従来の問題点を鑑みなされたものであって、化粧鏡の鏡(扉)などの開閉を阻害することなく、着脱自在に取付位置を移動可能な物品掛け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る化粧鏡の物品掛け具は、左右の側板と天井板と底板と背板により構成された前面開放型のボックスと、前記ボックスを複数の収納スペースに区分する縦仕切り板と、前記側板と前記縦仕切り板の左右に対向する部分に上下方向に間隔をあけて複数、水平、かつ、前記側板及び前記縦仕切り板に沿って前記収納スペースの奥行き方向に形成された凹溝と、前記凹溝に嵌合するトレーを有する化粧キャビネットに適用される物品掛け具であって、前記物品掛け具が、対向配置された2つの挿入片とこれら挿入片の一端側を連接片により連結した平面視コ字状であって左右に対向する前記凹溝にそれぞれ前記挿入片を挿入して左右の前記凹溝間に架け渡し挿入される挿入部と、前記挿入部の一端より離隔する方向に延設され、前記挿入部の前記凹溝への架け渡し状態において前記ボックスの前面からの開き側の側方に延出する掛け部を備えたことを特徴とする。
【0012】
(2)本発明の物品掛け具において、前記扉が鏡扉であることが好ましい。
(3)本発明の物品掛け具において、前記挿入部に、前記2つの挿入片を連結するとともに前記連接片と平行に配置された連接部材を有することが好ましい。
【0013】
(4)本発明の物品掛け具において、前記掛け部がロッド部材からなり、前記掛け部の先端に前記ロッド部材の外径より径の大きな膨張部が設けられた構成を採用できる。
【0014】
(5)本発明の物品掛け具において、前記掛け部に複数の屈曲部が形成され、前記凹溝に対する前記挿入部の挿入状態において、前記複数の屈曲部から、上下に少なくとも2 段配置される支持部が構成され、前記少なくとも2段の支持部にドライヤーのグリップを挿入して前記ドライヤーが支持可能とされたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の物品掛け具。
(6)本発明の物品掛け具において、前記物品掛け具の全体が線材で構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品掛け具によれば、左右の側板と縦仕切り板の相対向する位置に設けた凹溝であって、上下方向に所定の間隔で複数設けた凹溝を利用し、2つの挿入片を左右の凹溝挿入し、左右の凹溝間に架け渡すように挿入部を着脱できるので、取付位置を凹溝の設置位置に応じて上下に位置調節できる。また、掛け部をボックスの前面側の側方に突出させることができるので、掛け部で物品を支持できるとともに、挿入部の設置位置を調節し、上下に掛け部を移動させることにより、掛け部により種々の位置に物品を支持できる。
掛け部の取付位置を扉の開き側としておくならば、扉の開閉に支障は無く、扉を閉めた状態において扉の開き側の側方に掛け部を突出させることができる。このため掛け部は、
扉の開閉に左右されずに物品を支持することが可能となる。
2つの挿入片を左右の凹溝に挿入して左右の凹溝間に挿入部を架け渡すので、物品掛け具を安定支持することができ、掛け部に物品を安定支持できる。
【0016】
前記物品収納庫が化粧キャビネットであり、前記扉が鏡扉である場合、掛け部にドライヤーなどの化粧用物品を支持させておくならば、自身の姿見を行いながら掛け部を利用してドライヤーなどの化粧用物品の使用ができるので、使い勝手の良い化粧キャビネットを提供できる。
【0017】
化粧鏡に設けられるトレー支持用の凹溝を利用するならば、着脱自在に取付け位置を移動でき、掛け部をボックスと鏡扉の隙間より外側に突出させて物品を掛けることができ、且つ、鏡扉の開閉を阻害することがない使い勝手の良い化粧鏡用の物品掛け具を提供できる。
また、収納スペースに設けられるトレー支持用の凹溝を挿入部の着脱用に兼用するならば、物品掛け具のために別途凹溝を設けることなく、トレー支持用の凹溝を利用して物品掛け具の設置ができる。この構造であるならば、物品掛け具の支持のために別途化粧ネジや補強部材、スプリング等の複数の取付け部材は不要であり、容易に実施できる特徴を有する。
【0018】
また、掛け部の先端に膨張部を設けたことで、掛け部により支持した物品の脱落防止を図ることができる。
【0019】
また、挿入部の対向する挿入辺を連接する連接部材を設けたことで、連接部材を利用して収納スペース内の物品を支持して収納できると共に、物品掛け具の剛性アップを図ることができる。
【0020】
さらに、掛け部を複数屈曲させた上下2段の支持部を設けることで、2段の支持部でドライヤーのグリップを支持することができ、ハンドフリーでドライヤーを利用することが可能となり、使い勝手の良好な物品掛け具を提供できる。
【0021】
また、線材を屈曲させて物品掛け具をシンプルに構成することで、コストアップの抑制や清掃性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態の物品掛け具について、化粧鏡の鏡扉を閉めた状態での使用状態を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の物品掛け具について、化粧鏡の鏡扉を開けた状態での使用状態を示す正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の物品掛け具について、化粧鏡の鏡扉を閉めた状態での側面断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態の物品掛け具の斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態の物品掛け具について、ドライヤーフック部の使用状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態の物品掛け具について、化粧鏡の鏡扉を閉めた状態での使用例を示す参考図である。
図7】本発明の第1の実施形態の物品掛け具について、化粧鏡の鏡扉を開けた状態での使用例を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「第1の実施形態」
以下、本発明の実施形態について図を挙げて詳細を説明する。
本発明品の物品掛け具1は図1に示す様に、洗面台3の上方に載置される化粧鏡1に物品掛け具2を挿入し鏡扉120を閉めた状態で、物品掛け具2より延設された掛け部220が、鏡扉120とボックス110の隙間を介し化粧鏡1の側方に突出され、この掛け部220を利用してドライヤー400を掛けることができる。
【0024】
化粧鏡1は、図1図3に示すように、洗面台3の上部に立設された3面鏡タイプのミラーキャビネットからなり、中央に幅の広い前面開放型の第1のボックス1Aが設けられ、その左右側に幅の狭い前面開放型の第2のボックス1Bと第3のボックス1Cが設けられている。左側の第2ボックス1Bの前面側には鏡扉120が開閉自在に設けられ、中央の第1ボックス1Aの前面側には鏡扉121が開閉自在に設けられ、右側の第3ボックス1Cの前面側には鏡扉122が設けられている。
【0025】
図2に示すように左側の鏡扉120は、鏡扉120において鏡扉121に近い側の上下部に取り付けられているヒンジ部材122により左側開き可能なように開閉自在に支持されている。また、右側の鏡扉122は同様な図示略のヒンジ部材により右側開き可能なように開閉自在に支持されている。なお、鏡扉121においても図示略のヒンジ部材により右側開き自在あるいは左側開き自在に鏡扉121が取り付けられている。鏡扉121において右側開きあるいは左側開きについてはどちらに設定されていても良い。
【0026】
以下、化粧鏡1とボックス1A、1B、1Cの全体構造について、図1図3を基に説明する。
図1図3に示すように本実施形態の構造では、天板11と底板12と左右の側板13とからなる前面開放型のボックス15が構成され、このボックス15を左右2枚の縦仕切り板111で3つに区分することで第1~第3のボックス1A、1B、1Cが構成されている。この例では、2枚の縦仕切り板111が第1~第3のボックス1A、1B、1Cの側板を兼ねる構成とされる。
【0027】
このため、図2に示すように鏡扉120を開いた状態で第2のボックス1Bの内部を見た場合、天板11の一部と側板13と縦仕切り板111と底板12の一部に囲まれてボックス1Bが区画され、第2のボックス1Bの内部に収納スペース112が設けられている。なお、第1~第3のボックス1A~1Cの背面側には図3に示すように3つのボックスに共通の背板16が設けられている。
本実施形態の化粧鏡1では、天板11と底板12と左右の側板13と2枚の縦仕切り板111と背板16が樹脂等により一体成形されている。
なお、第1のボックス1Aと第3のボックス1Cにおいてもボックス1Bと同様に各部が樹脂により一体成形されているが、これらは第2のボックス1Bと同等構造のため、詳細説明は省略する。
【0028】
図2に示す第2のボックス1Bにおいて、左側の側板13と右側の縦仕切り板111の左右に相対向する同一高さ位置に凹溝113が形成されている。これらの凹溝113は、左側の側板13と右側の縦仕切り板111の高さ方向に所定の間隔で複数形成されている。図2に示す構造では、左側の側板13と右側の縦仕切り板111の高さ方向に数cm間隔で10数個程度の凹溝113が形成されている。
図2に示す左側の側板13に形成された凹溝113は、図3に示すように左側の側板13の前面端から背面部近くまでほぼ水平に形成されている。右側の縦仕切り板111に形成された凹溝113は、右側の縦仕切り板111の前面端から背面部近くまでほぼ水平に形成されている。
これらの凹溝113は、図2に示すトレー130を係止する凹溝として兼用するために上下に複数設けられている。トレー130は、浅底の角皿形の収容部本体130Aの両端部に突出片130Bを有する。このトレー130は、左右の突出片130Bを左右の凹溝113に挿入することで図2に示すように支持され、棚状の支持部を構成する。
【0029】
図2に示すように本実施形態に係る物品掛け具2が一番上の左右の凹溝113に支持されている。
物品掛け具2は、図4の斜視図に示すように平面視コ字型の挿入部210とこの挿入部210の一端から側方に延出された掛け部220からなる。挿入部210は、平行に対向配置された丸棒状の挿入片211、211と、これら挿入片211の端部どうしを連接した丸棒状の連接片212を備えた平面視コ字型に構成されている。また、相対向する挿入片211、211の長さ方向中央部どうしを接続した丸棒状の連接片240が設けられている。
【0030】
一方の挿入片211の先端部に該挿入片211に対し直角に、かつ、連接片212と平行な方向に延在するように丸棒状の掛け部220が形成されている。掛け部220は、この実施形態では挿入片211と同等程度の長さに形成され、その先端部に球状の膨張部230が形成されている。膨張部230は、掛け部220の外径よりも大きな直径を有するので、掛け部220の先端部から周囲に膨出するように形成されている。
【0031】
前記挿入片211の長さは、側板13あるいは縦仕切り板111の奥行き方向に沿う凹溝113の長さと同程度に形成されている。連接片212の長さは側板13と縦仕切り板111の間隔に対し各々の凹溝113の溝深さを加算した長さと同程度に形成されている。また、挿入片211の太さは前記凹溝113の溝幅と同程度に形成されている。
このため、物品掛け具2は、左右の挿入片211を左右の凹溝113に挿入することができ、その状態で掛け部220を第2のボックス1Bの前面側に沿わせることができ、かつ、掛け部220の先端側を例えば図2に示すように第2のボックス1Bの左側方に延在させることができる。
なお、図4に示すように挿入片211の先端側にシリコンチューブからなる滑り止め部材250が装着されている。この滑り止め部材250は凹溝113に挿入片211を挿入した状態で凹溝113に対する挿入片211の遊びを無くして挿入片211を凹溝113に嵌め込みできようにする。
【0032】
図2は鏡扉120を開けた状態で物品掛け具2を凹溝113間に装着した状態を示すが、図1に示すように鏡扉120を閉めた状態ではボックス1Bの側方に掛け部220のみが水平に突出した状態となる。この状態において鏡扉120は側板13の前面との間に掛け部220を挟んだ状態となるが、鏡扉120は完全に閉じた状態となるため、化粧鏡1の使用に問題は無い。
完全に閉じた状態とは、鏡扉120において、鏡扉120の開き側の端部裏面とボックス1A、1Cの開口部との間に、鏡扉120を閉じた状態を維持するための磁石等の係止具を設けた構造であって、鏡扉120を閉じた状態において鏡扉120の裏面とボックス1A、1Cの開口部との間に若干の隙間が形成される場合に鏡扉120を完全に閉じた状態にできる、の意味となる。
この場合、前記隙間の幅以下の外径の線材を用いて物品掛け具2を構成するならば、鏡扉120を完全に閉じることができる。
【0033】
従って、鏡扉120を見ながらドライヤー400にて髪の毛の乾燥やセットの途中や終了時に鏡扉120を開くことなく、ドライヤー400の引っ掛け部を掛け部220に掛けることができ、化粧鏡1での使い勝手を向上させることができる。
【0034】
図2に示す様に、鏡扉120を開いた状態で、物品掛け具2の挿入部210が、収納スペース112の左右の凹溝113に挿入され、挿入部210および/または連接片240に図2図4に示すS字フック260等を介して、カールドライヤー410やヘアバンド420を掛けることができる。
【0035】
従って、収納スペース112内に皿形のトレー130では収納に不向きな長尺品のカールドライヤー410や、ヘアバンド420などを効率良く収納することができる。
【0036】
また、凹溝113は収納スペース112の上下方向に複数設けられてトレー130の取付け用と共用化されているため、収納スペース112内へ収納する物品により、物品掛け具2とトレー130を複数組み合わせて適時選択することで、化粧鏡1の収納方法の使い勝手を向上させることができる。
【0037】
さらに、図1図2および図3で示す様に、物品掛け具2は鏡扉120と第2のボックス1Bの前面との隙間を利用し、掛け部220を貫通配置することができるので、鏡扉120の開閉を阻害することがなく、物品掛け具2を利用しながら鏡扉120の開閉を行うことができ、化粧鏡1の使い勝手の低下を招く虞がない。
【0038】
図3に示す様に、挿入部210をボックス110の背板16より前方の位置にすることで、S字フック260等の補助具を利用することができ、さらに、連接片240を設けることで収納量をアップさせることができる。
【0039】
図4に示す様に、物品掛け具2の基本構成部材は、コ字状の挿入部210の一端より延設された掛け部220であり、この掛け部220を利用して物品を掛けることができる。
また、掛け部220の先端部に膨張部230を設けることで物品が脱落することを防止することができる。尚、図4において膨張部230の形状は球体であるが、棒状や円盤状の形状を採用することもできる。
また、挿入部210の対向する挿入片211を連接する連接片240を1以上設けることで、掛け部220に重量物を掛けた場合に挿入部210がねじれることを抑制することができ、物品掛け具2に重量物を安定して掛けることができる。
【0040】
本発明品の物品掛け具2は、ステンレス鋼やアルミニウムなどからなる金属線材を曲げ加工により成形して構成することができ、コストアップの抑制や清掃性の向上を図ると共に、他の付属部品やスライド機構が必要ではなく、シンプルで耐久性に優れている。
なお、本発明の物品掛け具2は硬質樹脂やセラミックスから構成されていても良い。
【0041】
「第2の実施形態」
本発明品の物品掛け具2の掛け部220においては、図5に示す様に複数屈曲させて上下2段の支持部271、273を有する支持部270を設け、図5の2点鎖線で示すようにドライヤー400のグリップ401を挿入して支持することで、ドライヤー400をハンドフリーで使用することができる。
【0042】
第2の実施形態の物品掛け具2における掛け部220は、掛け部220の先端部に平面視コ字型に屈曲させて設けた第1の支持部271を有し、第1の支持部271の先端部から上方に延出させて設けた延出片272を有し、延出片272の上端に平面視ロ字型に屈曲させて設けた第2の支持部273を有する。
【0043】
第1の支持部271と第2の支持部273は、金属線材を折り曲げ加工して構成されているので、ドライヤー400のグリップ401を挿入して支持するために充分な強度を有する。また、挿入片211、211に対し連接片240を設けて挿入部210をねじれに強い構成としているため、ドライヤー400のグリップ401を挿入して安定支持することができる。
例えば、第2の実施形態の物品掛け具2を第2のボックス1Bあるいは第3のボックス1Cに設けられている複数の凹溝113のうち、ドライヤー使用者の頭部の高さ位置に設けられている凹溝113に装着することが好ましい。この高さの凹溝113に第2の実施形態の物品掛け具2を装着することで、使用者の頭部近くにドライヤー400を支持できるので、ドライヤー400をハンドフリーで使用する場合に楽な姿勢で頭髪の手入れができる。
【0044】
図6は本発明の第1の実施形態の物品掛け具2を、化粧鏡1の第3のボックス1Cに取り付けるとともに、鏡扉122を閉めた状態で、ドライヤー400を右側に突出した掛け部220に掛けた状態を示す参考図である。
【0045】
図7は本発明の第1の実施形態の物品掛け具2を、化粧鏡1の右側の第3のボックス1Cに取り付けるとともに、化粧鏡1の鏡扉120を開けた状態で、掛け部220にS字フック260を介して、カールドライヤー410を掛けた状態を示す参考図である。
【0046】
図6図7に示すように物品掛け具2は、右側の第3のボックス1Cに取り付けることが可能であり、図1図2に示すように左側の第2のボックス部1Bに取り付けることも可能である。従って、物品掛け具2は図4に示す方向に、あるいは、その左右反対向きとするように方向を反転させることで、左右のどちら側のボックス1B、1Cにも適用することができる。
【0047】
化粧鏡1は、その右側あるいはその左側に洗濯機等の水廻り設備が設置されていることがあるので、どちらか一方に物品掛け具2を装着できないことがある。このため、物品掛け具2は化粧鏡1の左右どちら側にも装着できることが望ましい。これにより、左右に設置される設備の状況に応じて使い分けができる。
また、化粧鏡1は左右のどちらか一方に仕切り壁や棚が設けられる場合もあるが、物品掛け具2の掛け部220が仕切壁や棚と干渉しないのであれば、あるいは前述した水廻り設備と干渉しないのであれば、設置可能である。
【0048】
なお、上述した実施形態では化粧鏡1のボックス15を縦仕切り板111により3つの収納スペースに区分した構造に適用したが、化粧鏡が1ボックスタイプであって、縦仕切り板により区切られておらず、左右の側板に相対向するように凹溝が形成された化粧鏡に本発明を適用できるのは勿論である。また、化粧鏡1のボックス15を1枚の縦仕切り板で2つに区分した構造に適用することもできる。
ただし、鏡扉開閉用のヒンジ取付側ではなく、鏡扉の開放側に物品掛け具2の掛け部220を突出させることが必要となる。これにより、鏡扉の開閉を阻害することなく物品掛け具2を利用できることとなる。
【0049】
また、上述の実施形態では、化粧鏡1に本発明の物品掛け具2を適用した形態についてのみ説明したが、本発明の物品掛け具2を鏡扉ではなく鏡を有しない通常の扉を有する物品収納庫一般に適用しても良いのは勿論である。
この場合も、左右の側板あるいは縦仕切り板に設けられている凹溝を利用し、物品掛け具2を取り付けることができる。開閉扉の開き側に掛け部220を突出させることで、化粧鏡1に限らず、一般的な物品収納庫において物品掛け具2を利用し、物品の支持ができる。
【符号の説明】
【0050】
1…化粧鏡(物品収納庫)、1A…第1のボックス、1B…第2のボックス、
1C…第3のボックス、11…天板、12…底板、13…側板、15…ボックス、
16…背板、
110…ボックス、111…縦仕切り板、112…収納スペース、
113…凹溝、120、121、122…鏡扉、130…トレー、
2…物品掛け具、210…挿入部、220…掛け部、230…膨張部、
240…連接部材、250…シリコンチューブ(滑り止め部材)、
260…S字フック、270…支持部、271…第1の支持部、
273…第2の支持部、
3…洗面台、400…ドライヤー、401…グリップ、410…カールドライヤー、
420…ヘアバンド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7