(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230418BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 422
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2018226100
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 利範
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188106(JP,A)
【文献】特開2015-170139(JP,A)
【文献】特開2008-117371(JP,A)
【文献】特開2014-002667(JP,A)
【文献】特表2016-536726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0181258(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の検出電極を含む検出電極ブロックと、
前記検出電極に接続されて前記検出電極の容量の変化に応じた検出信号を検出する検出回路と、
前記検出電極と前記検出回路とを接続又は非接続にする接続回路とを備え、
前記接続回路は、
第1期間で、ウォルシュ型のアダマール行列の第1行から第r行に対応するr個の接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続する第1モードと、
第1期間より長い第2期間で、前記アダマール行列の第1行から第r行より大きい第n行に対応するn個の接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続する第2モードとを有し、
前記接続回路は、前記第1モードにおいて、前記アダマール行列の第r+1行に対応する接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続しない、
検出装置。
【請求項2】
前記検出電極は、前記第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向とにそれぞれ並ぶ
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1モード及び前記第2モードは、一方向に並ぶ複数の検出電極のうち、ウォルシュ型のアダマール行列において正の符号が付された成分に対応する配置の検出電極と前記検出回路を接続する第1選択動作と、当該ウォルシュ型のアダマール行列において負の符号が付された成分に対応する配置の検出電極と前記検出回路を接続する第2選択動作と、を含み、
前記一方向を前記第1方向と
した前記第1選択動作及び前記第2選択動作と、前記一方向を前記第2方向と
した前記第1選択動作及び前記第2選択動作と、が個別に行われる
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記検出電極と隣り合う位置に配置される駆動電極と、
前記駆動電極に接続されて駆動信号を前記駆動電極に供給する駆動信号生成回路とをさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記複数の検出電極は、基板の一面に設けられ、
前記一面からの前記駆動電極の高さは、前記一面からの前記検出電極の高さよりも高い
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記複数の検出電極と非接触の状態で対向する駆動電極と、
前記駆動電極に接続されて駆動信号を前記駆動電極に供給する駆動信号生成回路とをさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記検出電極に接続されて駆動信号を前記検出電極に供給する駆動信号生成回路とをさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第1モード及び前記第2モードは、複数の検出電極のうち、ウォルシュ型のアダマール行列において正の符号が付された成分に対応する配置の検出電極と前記検出回路を接続する第1選択動作と、当該ウォルシュ型のアダマール行列において負の符号が付された成分に対応する配置の検出電極と前記検出回路を接続する第2選択動作と、を含み、
前記第1モードの場合、
ウォルシュ型のアダマール行列の第1行から第r行に対応する配置の検出電極を対象とした前記第1選択動作
及び前記第2選択動作が複数回行われる
請求項1から7のいずれか一項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量の変化に基づいて外部近接物体を検出可能な検出装置において、複数の検出電極のうち検出に用いる検出電極と検出に用いない検出電極との組み合わせのパターンを複数切り替えることによって精度を向上させる方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法は、1回の検出において、アダマール行列の全行に対応する検出電極の組み合わせを用いる仕組みであり、1回の検出時間が長大化していた。従って、より短い時間での高速な検出が可能な検出装置が求められていた。
【0005】
本発明は、より高速な検出が可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る検出装置は、第1方向に並ぶ複数の検出電極を含む検出電極ブロックと、前記検出電極に接続されて前記検出電極の容量の変化に応じた検出信号を検出する検出回路と、前記検出電極と前記検出回路とを接続又は非接続にする接続回路とを備え、前記接続回路は、第1期間で、ウォルシュ型のアダマール行列の第1行から第r行に対応するr個の接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続する第1モードと、第1期間より長い第2期間で、前記アダマール行列の第1行から第r行より大きい第n行に対応するn個の接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続する第2モードとを有し、前記接続回路は、前記第1モードにおいて、前記アダマール行列の第r+1行に対応する接続パターンで前記検出電極と前記検出回路を接続しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、検出装置の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、検出装置が備えるセンサ部の構成例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、駆動電極から指を介して検出電極に駆動信号が伝わる様子を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、センサ部および検出回路による検出動作を説明するための等価回路の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、検出動作の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。
【
図7】
図7は、検出装置の基板の構成例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、検出装置の構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
【
図11A】
図11Aは、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図11B】
図11Bは、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図12】
図12は、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図13】
図13は、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図14】
図14は、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図15】
図15は、検出電極ブロックが列方向に並ぶn個の検出電極からなる場合の信号波形例を示す図である。
【
図16】
図16は、変形例1に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
【
図17】
図17は、変形例2に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
【
図18】
図18は、実施形態2における各動作モードにおける検出動作と所定の符号の対応関係を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態3に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
【
図20A】
図20Aは、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図20B】
図20Bは、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図21A】
図21Aは、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図21B】
図21Bは、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態3に係る検出装置において、各モードにおける復号信号と検出電極との対応関係を示す図である。
【
図24】
図24は、実施形態5に係る検出装置の構成例を示す図である。
【
図25】
図25は、実施形態6に係る検出装置の構成例を示す図である。
【
図26】
図26は、実施形態7に係る検出装置の平面図である。
【
図27】
図27は、実施形態7に係る検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、検出装置の構成例を示す模式図である。
図3は、検出装置が備えるセンサ部の構成例を示す模式図である。本実施例の検出装置100は、微細な凹凸と検出電極との間の容量を検出する検出装置であって、例えば、指紋検出装置である。
図1に示すように、検出装置100は、センサ部1と、検出制御回路11と、第1選択回路14と、第2選択回路15と、検出回路40、と、を備える。
【0010】
図2及び
図3に示すように、センサ部1は、絶縁性の基材101と、基材101の一方の面101a側に設けられた複数の検出電極Rxと、複数のスイッチ素子SW1と、スイッチ素子SW1に接続する走査線GCLと、スイッチ素子SW1に接続するデータ線SGLと、検出電極Tx(駆動電極)と、を備える。スイッチ素子SW1は、例えば、薄膜トランジスタである。走査線GCLは、スイッチ素子SW1に走査信号を供給するための配線である。走査線GCLは、例えば、スイッチ素子SW1がトランジスタの場合、トランジスタのゲートに接続される。データ線SGLは、走査線GCLからの走査信号に応じて、検出電極Rxと電気的に接続される配線である。言い換えると、データ線SGLは、検出電極Rxから検出信号Svが出力される配線である。データ線SGLは、例えば、スイッチ素子SW1がトランジスタの場合、トランジスタのソースに接続される。基材101は、例えばガラス製である。
図2に示す通り、センサ部1は、更に、検出電極Rxとスイッチ素子SW1との間にシールド層24を有する。言い換えると、基材101の一方の面101aとシールド層24との間に、スイッチ素子SW1、走査線GCL及びデータ線SGLがそれぞれ設けられている。
【0011】
第1選択回路14及び第2選択回路15は、基材101の一方の面101a側にそれぞれ設けられている。データ線SGLは第2選択回路15に接続されている。走査線GCLは第1選択回路14に接続されている。シールド層24は、固定電位(例えば、接地電位)に接続されている。これにより、検出電極Rxの電位がデータ線SGL等に影響してノイズとなることが抑制されている。なお、シールド層24は、電位が固定されていないフローティング状態にされていてもよい。
【0012】
図2に示すように、センサ部1は、検出領域DAと、検出領域DA以外の周辺領域PAを有する。検出領域DAは、例えば、四角形状である。検出領域DAには、検出電極Rxやスイッチ素子SW1が配置される。センサ部1の周辺領域PAには、検出領域DAが四角形状である場合、少なくともその1辺に沿って形成される。センサ部1の周辺領域PAには、検出電極Tx(駆動電極)が配置されている。センサ部1は、更に導電体26を有する。導電体26は、周辺領域PAに配置される。より具体的には、検出電極Rxと検出電極Txの間に配置される。導電体26は、検出回路40と接続される。導電体26は、外部物体(例えば、指Fin)のセンサ部1への接近を検出するための電極である。例えば、導電体26は、クロック信号生成回路110と接続され、駆動信号Vsが供給される。そして、指Finが導電体26に接近すると、導電体26と指Finとの間に静電容量が生じ、導電体26の容量値が増大する。導電体26と接続された検出回路40によって、導電体26の容量値の変化を検出することで、外部物体(例えば、指Fin)のセンサ部1への接近を検出することができる。なお、検出回路40は、検出回路40が導電体26によって指Finの接近を検知するまで、検出制御回路11の検出電極Txへの駆動信号Vsの供給および検出回路40の検出電極Rxからの検出信号Svの受信を停止し、導電体26によって指Finの接近を検知した場合に、検出制御回路11および検出回路40の検出電極Txおよび検出電極Rxへの動作を開始するようにしてもよい。ここで、導電体26のみを動作するモードを待ち受けモードとする。
【0013】
検出電極Txは、駆動信号Vsが供給される。検出電極Txは、例えば、検出電極Rxが配置される検出領域DAの外側に配置される。より具体的には、検出電極Txは、導電体26より外側に配置されている。つまり、センサ部1と検出電極Txとの間に、導電体26が配置されている。検出電極Rx、導電体26及び検出電極Txは、互いに離間して配置されている。
【0014】
検出制御回路11は、センサ部1、第1選択回路14、第2選択回路15、検出回路40の各動作を制御する。また、検出制御回路11は、検出電極Txに検出用の駆動信号Vsを供給する。第1選択回路14は、検出制御回路11から供給される選択信号Vgclに基づいて、選択した走査線GCLに走査信号を供給する。言い換えると、第1選択回路14は、走査線GCLに接続された行方向(X方向)に接続された複数の検出電極Rx(後述の
図12参照)を選択する選択回路である。第1選択回路14は、ゲートドライバであって、例えば、デコーダである。第2選択回路15は、検出制御回路11から供給される選択信号Vselに基づいて、選択したデータ線SGLを検出回路40に接続する。言い換えると、第2選択回路15は、データ線SGLに接続された列方向(Y方向)の検出電極Rxを選択する選択回路である。第2選択回路15は、例えば、マルチプレクサである。
【0015】
例えば、
図3に示すように、センサ部1は、検出電極Rxと、走査線GCL(k),GCL(k+1)…と、データ線SGL(l),SGL(l+1)…とを有する。k、lはそれぞれ1以上の整数である。検出電極Rxは、行方向(X方向)及び列方向(Y方向)にそれぞれ並んで配置されている。走査線GCL(k),GCL(k+1)…は、スイッチ素子SW1をオン、オフするための配線である。走査線GCL(k),GCL(k+1)…は、列方向(Y方向)に並び、行方向(X方向)に延在している。データ線SGL(l),SGL(l+1)…は、検出信号Svを出力するための配線である。データ線SGL(l),SGL(l+1)…は、行方向(X方向)に並び、列方向(Y方向)に延在している。なお、以下の説明で、走査線GCL(k),GCL(k+1)…を区別して説明する必要がないときは、単に走査線GCLという。また、データ線SGL(l),SGL(l+1)…を区別して説明する必要がないときは、単にデータ線SGLという。
【0016】
第1選択回路14は、検出制御回路11から供給される選択信号Vgclに基づいて、複数の走査線GCLの中から所定の走査線GCL(例えば,GCL(k),GCL(k+2))を選択する。そして、第1選択回路14は、選択した走査線GCL(k),GCL(k+2)に所定の電圧(走査信号)を印加する。これにより、k行目に属する検出電極Rxと、(k+2)行目に属する検出電極Rxは、データ線SGL(l),SGL(l+1)…を介して第2選択回路15に接続される。第2選択回路15は、検出制御回路11から供給される信号に基づいて、複数のデータ線SGLの中から所定のデータ線SGL(例えば,SGL(k))を選択する。そして、第2選択回路15は、選択したデータ線SGL(k)を検出回路40に接続する。これにより、k行l列目の検出電極Rxと、(k+2)行l列目の検出電極Rxとから検出回路40に検出信号Svが供給される。
【0017】
検出回路40は、検出制御回路11から供給される信号に応じて、第2選択回路15から出力される検出信号Svに基づいて、センサ部1に接触又は近接する指Fin等の表面の凹凸を検出して、指Finの形状や指紋を検出する回路である。検出回路40は、検出信号増幅回路42と、A/D変換回路43と、信号演算回路44と、座標抽出回路45と、合成回路46と、検出タイミング制御回路47と、記憶回路48とを備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給されるクロック信号に基づいて、検出信号増幅回路42と、A/D変換回路43と、信号演算回路44と、座標抽出回路45と、合成回路46とが同期して動作するように制御する。
【0018】
検出信号Svは、センサ部1から検出回路40の検出信号増幅回路42に供給される。検出信号増幅回路42は、検出信号Svを増幅する。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0019】
信号演算回路44は、A/D変換回路43の出力信号に基づいて、センサ部1に対する指Finの凹凸を検出する論理回路である。信号演算回路44は、センサ部1から出力された検出信号Svに基づいて、指Finの凹凸による検出信号Svの差分の信号(絶対値|ΔV|)を算出する。信号演算回路44は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧(第2しきい値Vth2)未満であれば、指Finの凹部が検出された状態であると判断する。一方、信号演算回路44は、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、指Finの凸部が検出された状態であると判断する。このようにして、検出回路40は、指Finの凹凸を検出することが可能となる。なお、誘電体26を介した信号が検出回路40に入力された場合も同様に、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧(第1しきい値電圧Vth1)未満であれば、指Finの非接触状態であると判断する。一方、信号演算回路44は、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、指Finが接触状態であると判断する。
【0020】
また、信号演算回路44は、後述するように、検出電極ブロックRxBからの検出信号Svを受け取って、所定の符号に基づいて演算処置を行う。演算された検出信号Svが記憶回路48に一時的に保存される。さらに、信号演算回路44は、記憶回路48に保存された検出信号Svを受け取って、所定の符号に基づいて復号処理を行う。所定の符号は、例えば記憶回路48に予め記憶されている。検出制御回路11及び信号演算回路44は、記憶回路48に記憶された所定の符号を任意のタイミングで読み出すことができる。記憶回路48は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、レジスタ回路等のいずれかであってもよい。
【0021】
座標抽出回路45は、信号演算回路44において指Finの凹凸が検出されたときに、その検出座標を求める論理回路である。座標抽出回路45は、復号された検出信号Siに基づいて検出座標を算出し、得られた検出座標を合成回路46に出力する。合成回路46は、座標抽出回路45から出力された検出座標を組み合わせて、接触又は近接する指Finの形状や指紋を示す二次元情報を生成する。合成回路46は、二次元情報を検出回路40の出力信号Voutとして出力する。また、合成回路46は、二次元情報に基づいた画像を生成し、画像情報を出力信号Voutとしてもよい。なお、座標抽出回路45及び合成回路46の少なくとも一方は、検出装置100に接続された外部装置に配置されていてもよい。言い換えると、信号演算回路44によって復号された検出信号Sidを出力信号Voutとして出力してもよい。なお、検出装置100は、指Finに限らず、検出電極RXの静電容量に影響を与えられる物体の近接を検出可能である。
【0022】
また、
図1に示すように、検出制御回路11は、クロック信号生成回路110と、駆動信号生成回路112と、カウンタ回路116と、を有する。カウンタ回路116は、第1制御回路114と第2制御回路115を有する。
【0023】
クロック信号生成回路110は、クロック信号を生成する。このクロック信号は、例えば、検出制御回路11のカウンタ回路116と、検出回路40の検出タイミング制御回路47とに供給される。
【0024】
カウンタ回路116は、クロック信号生成回路110が生成するクロック信号のパルス数を計測する。そして、カウンタ回路116は、そのパルス数の計測値に基づいて、走査線GCLを選択するタイミングを制御するための第1タイミング制御信号を生成して、第1制御回路114に供給する。また、第1制御回路114は、カウンタ回路116から供給される第1タイミング制御信号に基づいて、検出電極Rx(
図3参照)を選択するための選択信号Vgcl(例えば、後述の
図12に示す選択信号Vgclp、選択信号Vgclm)を生成して、第1選択回路14に供給する。第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclに基づいて、走査線GCLに走査信号を供給する。これにより、複数の走査線GCLの中から所定の走査線GCLが選択される。選択された走査線GCLに接続する検出電極Rxは、データ線SGLに接続される。
【0025】
また、カウンタ回路116は、上記したクロック信号のパルスの計測値に基づいて、データ線SGLを選択するタイミングを制御するための第2タイミング制御信号を生成する。そして、カウンタ回路116は、生成した第2タイミング制御信号を第2制御回路115に供給する。第2制御回路115は、カウンタ回路116から供給される第2タイミング制御信号に基づいて第2選択回路15に選択信号Vselを出力する。ここで、選択信号Vselは、第2選択回路15内のスイッチを走査する信号である。これにより、複数のデータ線SGLの中から所定のデータ線SGLが選択される。選択されたデータ線SGLは、第2選択回路15を介して検出回路40に接続される。
【0026】
駆動信号生成回路112は、検出用の駆動信号Vsを生成して、検出電極Txに出力する。
【0027】
図1から
図3に示したセンサ部1は、検出電極Rxの静電容量の変化を検出する。ここで、
図4から
図6を参照して、センサ部1による検出動作について説明する。
図4は、駆動電極から指Finを介して検出電極に駆動信号が伝わる様子を模式的に示す図である。
図5は、センサ部および検出回路による検出動作を説明するための等価回路の一例を示す説明図である。
図6は、検出動作の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。
【0028】
図4に示すように、検出電極Txと検出電極Rxとの間に容量素子C1が形成される。
図5に示すように、検出電極Txには、交流信号源Sに接続される。言い換えると、検出電極Txは、検出制御回路11から駆動信号Vsが供給される。検出電極Rxは、電圧検出器DETに接続される。電圧検出器DETは、例えば、検出回路40の検出信号増幅回路42に対応する。電圧検出器DETは、積分回路である。
【0029】
検出電極Txに印加される駆動信号Vsは、例えば、所定の周波数(例えば数kHz~数百kHz程度)の交流矩形波である。検出電極Txに駆動信号Vsが印加されると、検出電極Rxから電圧検出器DETを介して検出信号Svが出力される。
【0030】
指Finが接触又は近接していない状態(非接触状態)では、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流が流れる。検出回路40は、駆動信号Vsに応じた電流I1の変動を電圧の変動(点線の波形V1(
図6参照))に変換する。
【0031】
一方、指Finが接触又は近接した状態(接触状態)では、
図4に示すように、検出電極Txに指Finが接触する。そして、検出制御回路11から検出電極Txに供給される駆動信号Vsは、指Finと、センサ部1を保護する絶縁性の保護層33(例えば、絶縁性樹脂)とを介して検出電極Rxに影響を与える。つまり、指Finが検出電極Txの一部として作用する。このため、接触状態では、検出電極Txと検出電極Rxとの離隔距離が実質的に小さくなり、容量素子C1は、非接触状態での容量値よりも容量値の大きい容量素子として作用する。更に、指Finの凹部および凸部では、検出電極Rxと離間距離に差が生じ、容量素子C1は、指Finの凹部に生じる容量値よりも指Finの凸部に生じる容量値の方が大きくなる。そして、
図6に示すように、検出回路40は、駆動信号Vsに応じた電流I2またはI3の変動を電圧の変動(実線の波形V2または波形V3)に変換する。ここで、波形V2は、指Finの凹部が接触した状態の波形に対応し、指Finの凸部が接触した状態の波形をV3に対応する。
【0032】
この場合、波形V2および波形V3は、上述した波形V1と比べて振幅が大きくなる。また、波形V3は、波形V2に比べて振幅が大きくなる。これにより、波形V1と波形V2との電圧差分の絶対値|ΔV|は、指Finなどの外部物体の接触又は近接および外部物体の凹凸に応じて変化することになる。なお、電圧検出器DETは、波形V1と、波形V2又は波形V3との電圧差分の絶対値|ΔV|を精度よく検出するため、回路内のスイッチングにより、駆動信号Vsの周波数に合わせて、コンデンサの充放電をリセットする期間Resetを設けた動作とすることがより好ましい。
【0033】
検出回路40は、絶対値|ΔV|を第1しきい値Vth1と比較し、絶対値|ΔV|がし第1しきい値Vth1未満であれば、指Finが非接触状態であると判断する。一方、検出回路40は、絶対値|ΔV|が第1しきい値Vth1以上であれば、指Finが接触又は近接状態であると判断する。更に、検出回路40は、絶対値|ΔV|を第2しきい値Vth2と比較し、絶対値|ΔV|が第2しきい値Vth2未満であれば、指Finの凹部が接触した状態であると判断する。一方、絶対値|ΔV|が第2しきい値Vth2以上であれば、指Finの凸部が接触した状態であると判断する。なお、第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1より大きい値である。
【0034】
図7は、検出装置の基板の構成例を示す断面図である。
図7は、後述の
図8をA11-A12線で切断した断面の一部を示す図である。上述のセンサ部1は、基板10に設けられている。
図7に示すように、基板10は、基材101と、半導体層103と、絶縁膜105と、ゲート電極107と、配線層109と、絶縁膜111と、ソース電極113と、ドレイン電極115と、絶縁膜117と、シールド層24と、絶縁膜121と、検出電極Rxと、導電体26と、保護膜131とを有する。
【0035】
半導体層103は、基材101の一方の面101a上に設けられている。絶縁膜105は、基材101上に設けられており、半導体層103を覆っている。絶縁膜105の上面は平坦化されている。
【0036】
ゲート電極107は、絶縁膜105上に設けられている。絶縁膜111は、絶縁膜105上に設けられており、ゲート電極107を覆っている。絶縁膜111の上面は平坦化されている。
【0037】
絶縁膜111及び絶縁膜105には、半導体層103を底面とする貫通穴が設けられている。また、絶縁膜111上に、ソース電極113及びドレイン電極115が設けられている。ソース電極113及びドレイン電極115は、絶縁膜111及び絶縁膜105に設けられた貫通穴を介して、半導体層103にそれぞれ接続している。
【0038】
絶縁膜117は、絶縁膜111上に設けられており、ソース電極113及びドレイン電極115を覆っている。絶縁膜117の上面は平坦化されている。シールド層24は、絶縁膜117上に設けられている。絶縁膜121は、絶縁膜117上に設けられており、シールド層24を覆っている。絶縁膜121の上面は平坦化されている。絶縁膜117及び絶縁膜121には、ドレイン電極115を底面とする貫通穴が設けられている。検出電極Rxは、絶縁膜121上に設けられている。検出電極Rxは、絶縁膜121及び絶縁膜117に設けられた貫通穴を介して、ドレイン電極115に接続している。また、導電体26は、絶縁膜121上に設けられている。保護膜131は、絶縁膜121上に設けられており、検出電極Rx及び導電体26を覆っている。
【0039】
基材101上に積層される各膜の材料について、一例を挙げる。絶縁膜105、絶縁膜11、絶縁膜117、及び、絶縁膜121は、無機絶縁膜、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はシリコン酸化窒化膜で構成されている。なお、絶縁膜105、絶縁膜11、絶縁膜117、及び、絶縁膜121のいずれか一つは、有機絶縁膜であってもよい。また、絶縁膜105、絶縁膜11、絶縁膜117、及び、絶縁膜121は単層に限定されず、積層構造の膜でもよい。例えば、絶縁膜105は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜が形成された、積層構造の膜であってもよい。
【0040】
半導体層103は、例えば、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、又は、酸化物半導体膜のいずれかで構成されている。ゲート電極107は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、又は、これらの合金膜で構成されている。ソース電極113と、ドレイン電極115は、チタンとアルミニウムとの合金である、チタンアルミニウム(TiAl)膜で構成されている。シールド層24、検出電極Rx、及び、導電体26は、可視光を透過可能な導電膜で構成されている。以下、可視光を透過可能な性質を透光性という。透光性の導電膜として、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜が挙げられる。なお、検出電極Rx、及び、導電体26は、メッシュ状の開口部を有する金属細線で形成されもよい。保護膜131は、例えば、パッシベーション膜である。保護膜131は、例えば、絶縁膜であり、シリコン窒化膜等の無機材料の膜、又は樹脂膜で構成されている。保護膜131は、
図4に示す保護層33に対応する。なお、保護層131と保護層33は、別層でも良く、それぞれ異なる材料で構成されていてもよい。
【0041】
ゲート電極107は、半導体層103の上に配置されるトップゲート構造を取っているが、これに限らず、ゲート電極107は、半導体層103の下に配置されるボトムゲート構造であってもよい。また、検出装置100は、シールド電極24、及び、絶縁層121を有さなくてもよい。
【0042】
図8は、検出装置の構成例を示す平面図である。
図8に示すように、検出装置100は、基板10と、第1回路基板20と、第2回路基板30とを備える。例えば、第2回路基板30の一方の面30a側に基板10と第1回路基板20とが配置されている。第1回路基板20は、例えば、フレキシブル基板である。第2回路基板30は、例えば、プリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)等のリジッド基板である。第1回路基板20は、基板10と第2回路基板30とを中継している。
【0043】
図8に示すように、基板10には、センサ部1と、例えば、駆動信号生成回路110と、カウンタ回路116とが設けられている。カウンタ回路116は、第1選択回路14と、第2選択回路15と、を含む。センサ部1に含まれる検出電極Rxは、走査線GCLを介して第1選択回路14と接続されている。また、センサ部1に含まれる検出電極Rxは、データ線SGLを介して第2選択回路15の入力側に接続されている。カウンタ回路116は、第1選択回路14と、第2選択回路15と、駆動信号生成回路110と、に配線を介して接続している。第1選択回路14は、検出電極Rxと検出電極Txとの間に配置される。また、導電体26は、第1選択回路14と検出電極Rxとの間に配置される。
【0044】
第1回路基板20には、IC21が設けられている。第2選択回路15の出力側は、複数の配線16Aを介してIC21の複数の端子に接続している。また、導電体26は、配線16Bを介してIC21の1つの端子に接続している。また、カウンタ回路116は、配線を介してIC21に接続している。また、駆動信号生成回路110は、配線を介してIC21に接続されている。
【0045】
第2回路基板30の一方の面30a側には、検出電極Txが設けられている。駆動信号生成回路は、IC21、及び、第2回路基板30上の配線を介して検出電極Txに接続している。検出電極Txは、センサ部1を囲むリング形状でもよいが、
図8に示すように、センサ部1を囲むリングの一部を欠いた形状であってもよい。例えば、センサ部1を囲む四角形のリングにおいて、4辺のうちの1辺を欠いた形状であってもよい。例えば、検出電極Txは、平面視において、センサ部1と第2選択回路15とを接続するデータ線SGLに重畳しないように配置してもよい。また、検出電極Txは、平面視において、第2選択回路15とIC21とを接続する配線16Aに重畳しないように配置してもよい。これにより、検出電極Txに供給される駆動信号Vsが、データ線SGL又は配線16Aに影響してノイズとなることを抑制することができる。
【0046】
図1に示した検出制御回路11の少なくとも一部の構成と、検出回路40の少なくとも一部の構成は、IC21に含まれている。例えば、
図1に示した検出回路40の各種構成のうち、検出信号増幅回路42と、A/D変換回路43と、信号演算回路44と、座標抽出回路45と、合成回路46と、検出タイミング制御回路47と、記憶回路48は、IC21に含まれている。また、
図1に示した検出制御回路11の各種構成のうち、クロック信号生成回路110は、IC21に含まれている。また、
図1に示した検出回路40の少なくとも一部の構成は、基板10上に形成されている。例えば、
図1に示した検出制御回路11の各種構成のうち、カウンタ回路116、及び、駆動信号生成回路110は、基板10上に形成されている。なお、IC21は、駆動信号生成回路110及び検出電極Txと接続される回路として保護回路を有してもよい。保護回路は、例えば、ダイオードであり、検出電極TxからIC21を伝ってセンサ部1にESD(Electro-Static Discharge)が伝うことから保護する。
【0047】
なお、
図1に示した検出制御回路11の少なくとも一部の構成は、第1選択回路14に含まれていてもよい。例えば、第1制御回路114は、第1選択回路14に含まれていてもよい。また、
図1に示した検出制御回路11の少なくとも一部の構成、又は、検出回路40の少なくとも一部の構成は、IC21とは別個に設けられた、第2回路基板30上に配置されたICに含まれていてもよい。例えば、保護回路は、第2回路基板30上に設けられ、IC21を介さずに、駆動信号生成回路110と検出電極Txと接続されてもよい。また、第2回路基板30に接続された外部基板上に配置されたCPU(Central Processing Unit)に、検出制御回路11、及び、検出回路40の少なくとも一部の構成は、含まれていてもよい。また、基板10は、図示しない集積回路を有していてもよい。この場合、
図1に示した検出制御回路11の少なくとも一部の構成、又は、検出回路40の少なくとも一部の構成は、基板10が有する集積回路に含まれていてもよい。例えば、検出回路40の各種構成のうち、信号増幅回路42は、基板10が有する集積回路に含まれていてもよい。
【0048】
次に、検出装置100による指紋の検出方法について説明する。検出装置100は、複数の検出電極Rxを含む検出電極ブロックRxBについて、符号選択駆動を行うことで、指紋を検出する。ここで、符号選択駆動とは、所定の符号に基づく検出動作である。
図9は、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
図9(A)は、検出動作Td1における検出電極Rxの選択パターンを示す。
図9(B)は、検出動作Td2における検出電極Rxの選択パターンを示す。
図9(C)は、検出動作Td3における検出電極Rxの選択パターンを示す。
図9(D)は、検出動作Td4における検出電極Rxの選択パターンを示す。
図10は、実施形態1に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
【0049】
まず、1つの検出電極ブロックRxB(l)について、符号選択駆動を行うことを説明する。
図9に示すように、検出電極ブロックRxB(l)は、列方向(Y方向)に並ぶn個の検出電極Rxを含む。nは1以上の整数であって、実施形態1において、4である。また、nは、所定の符号である正方行列Hvの次数d以下の数値であって、実施形態1において、nは、正方行列Hvの次数dと等しく、4である。4つの検出電極Rxは、スイッチ素子SW1を介して共通のデータ線SGL(l)(
図3参照)に接続している。また、n個の検出電極Rxは、それぞれn個の走査線GCLと接続されている。検出制御回路11は、検出電極Txに駆動信号Vsを供給する。第1選択回路14は、第1検出電極ブロックRxB(l)において、選択された検出電極Rxに対応する走査線GCLに走査信号を供給して、選択された検出電極Rx(第1選択対象)に対応するスイッチ素子SW1をオンにする。これにより、選択された検出電極Rxはデータ線SGL(l)に接続され、データ線SGL(l)から第2選択回路15に検出信号Svが出力される。
【0050】
所定の符号を正方行列Hvとした場合の任意のf行のg番目の成分をHv
fgとすると、f回目の正方行列Hvに基づく検出動作Tdにおいて出力される検出信号Sc
fと、検出電極ブロックRxBに含まれるg番目の検出電極Rxから出力される検出信号Si
qとの関係は、下記の式(1)で表される。式(1)が示すように、選択された検出電極Rxの検出信号Si
gを統合した値が、検出信号Svとして出力される。すなわち、検出信号Sc
fは、選択された検出電極Rxから出力される検出信号Si
gの和で表される。なお、fおよびgは、例えば、1以上の整数である。
【数1】
【0051】
検出信号Scは、検出電極ブロックRxB(l)のうち所定の符号に基づいて選択された検出電極Rxから出力される信号を演算して求められる。所定の符号は、例えば、正方行列Hvで定義される。正方行列Hvは、ウォルシュ型のアダマール行列であり、「1」又は「-1」を要素とし、任意の異なった2つの行が直交行列となる正方行列である。ウォルシュ型のアダマール行列は、全て正の符号の「1」で構成される一方の行(最上行)から見て他方(下方)に向かうにつれて符号の変化する回数の少ない行順に行が並ぶアダマール行列である。正方行列Hvの次数dは、2
Naで示される。ここで、Naは1以上の整数であって、実施形態1において、下記の式(2)で示す通り、2である。なお、アダマール行列の次数とは、例えば、行列の縦方向の要素の数を示す。例えば、検出電極ブロックRxB(l)において、検出電極Rxの選択は、ウォルシュ型のアダマール行列である正方行列Hvの正負の符号に基づいて行われる。このため、検出電極ブロックRxB(l)の選択された検出電極Rxから出力される信号Svは、ウォルシュ型のアダマール行列の正負の符号によって決定される。検出電極ブロックRxB(l)から出力される信号Svは、第1選択動作において第1選択対象とされる複数の検出電極Rxの数及び第1選択対象とされる複数の検出電極Rxの並びに対応する。
【数2】
【0052】
正方行列Hvの次数dは、検出電極ブロックRxB(l)に含まれる検出電極Rxの数nより大きい。実施形態1において、正方行列Hvの次数dと検出電極ブロックRxBに含まれる検出電極Rxの数nは等しく、4である。
【0053】
図9(A)から
図9(D)に示すように、検出動作Td1、検出動作Td2、検出動作Td3及び検出動作Td4の4つの検出動作に分けて符号選択駆動の一例を説明する。検出動作Td1、検出動作Td2、検出動作Td3及び検出動作Td4はそれぞれ、正符号選択動作Tdp1,Tdp2,Tdp3,Tdp4と、負符号選択動作Tdm1,Tdm2,Tdm3,Tdm4とを含む。なお、以下の説明において、正符号選択動作Tdp1,Tdp2,Tdp3,Tdp4を区別して説明する必要がないときは、検出動作Td1、検出動作Td2、検出動作Td3、検出動作Td4を区別して説明する必要がないときは、検出動作Tdという。同様に、単に正符号選択動作Tdpという。同様に、負符号選択動作Tdm1,Tdm2,Tdm3,Tdm4を区別して説明する必要がないときは、単に負符号選択動作Tdmという。なお、正符号選択動作は、本開示の「第1選択動作」に対応している。負符号選択動作は、本開示の「第2選択動作」に対応している。
【0054】
図10に示すように正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmは連続して実行される。また、正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmとが交互に実行される。実施形態1では、第1期間で実行される正符号選択動作Tdpにおいて、検出制御回路11(
図1参照)は、正方行列Hvの成分「1」に対応する選択信号Vgclpに応じて、第1選択対象の検出電極Rxを選択する。また、検出制御回路11は、検出電極Rxのうち、第1選択対象の検出電極Rxに含まれない第2選択対象の検出電極Rxを選択する。検出制御回路11は第1選択回路14(
図1参照)に選択信号Vgclpを供給し、第1選択回路14は選択信号Vgclpに基づく走査信号を走査線GCL(
図3参照)に供給する。
【0055】
これにより、第1選択対象の検出電極Rxは検出回路40(
図1参照)に対して接続状態となり、第2選択対象の検出電極Rxは検出回路40に対して非接続状態となる。接続状態とは、選択された検出電極Rxが、データ線SGL及び第2選択回路15(
図1参照)を介して検出回路40に接続される状態のことである。非接続状態とは、選択された検出電極Rxが検出回路40に接続されない状態のことである。なお、
図9(A)から
図9(D)では、第1選択対象と第2選択対象とを区別しやすくするために、第1選択対象の検出電極Rxに斜線を付して示している。
【0056】
検出信号Svpは、検出電極Rxから1本のデータ線SGL及び第2選択回路15を介して検出回路40に出力される。ここで、検出信号Svpは、選択信号Vgclpに応じて選択された第1選択対象の検出電極Rxからの検出信号Siが統合された信号である。上述したように、選択信号Vgclpは、正方行列Hvの成分「1」に対応している。
【0057】
第1期間と異なる第2期間で実行される負符号選択動作Tdmにおいて、検出制御回路11は、正方行列Hvの成分「-1」に対応する選択信号Vgclmに応じて、第1選択対象の検出電極Rxを選択する。また、検出制御回路11は、検出電極Rxのうち、第1選択対象の検出電極Rxに含まれない第2選択対象の検出電極Rxを選択する。検出制御回路11は第1選択回路14(
図1参照)に選択信号Vgclmを供給し、第1選択回路14は選択信号Vgclmに基づく走査信号を走査線GCL(
図3参照)に供給する。これにより、第1選択対象の検出電極Rxは接続状態となり、第2選択対象の検出電極Rxは非接続状態となる。ここで、1つの検出動作Tdにおいて、正符号選択動作Tdpにおける第1選択対象の検出電極Rxは、負符号選択動作Tdmにおける第2選択対象の検出電極Rxに対応する。つまり、1つの検出動作Tdにおいて、負符号選択動作Tdmは、正符号選択動作Tdpの検出電極Rxの選択パターンを反転させた動作となる。
【0058】
検出信号Svmは、検出電極Rxから1本のデータ線SGL及び第2選択回路15を介して検出回路40に出力される。ここで、検出信号Svmは、選択信号Vgclmに応じて選択された第1選択対象の検出電極Rxからの検出信号Siが統合された信号である。上述したように、選択信号Vgclmは、正方行列Hvの成分「-1」に対応している。
【0059】
検出回路40の信号演算回路44(
図1参照)は、検出信号Svpと検出信号Svmとの差分を演算することにより、検出信号Scを算出する。より具体的には、信号演算回路44は、検出信号Svpから検出信号Svmを差し引くことで検出信号Scを出力する。信号演算回路44は、検出信号Scを記憶回路48に出力して、検出信号Scを一時的に記憶させる。言い換えると、全ての検出動作Tdの検出信号Scからなる行列ScXは、正方行列Hvに検出電極ブロックRxBに含まれる全ての検出電極Rxからの検出信号Siからなる行列SiXを掛けたHvSiXに等しい。そして、HvSiXは、正方行列Hvの成分「-1」を0に置き換えた正方行列Hvpに行列SiXを掛けたHvpSiXから、正方行列Hvの成分「1」を0に置き換え成分「-1」を「1」に置き換えた正方行列Hvmに行列SiXを掛けたHvmSiXを差し引いたものと等しい。HvpSiXは、全ての正符号選択動作Tdpによって検出される検出信号Svpの行列SvpXに対応する。また、HvmSiXは、全ての負符号選択動作Tdmによって検出される検出信号Svmの行列SvmXに対応する。
【0060】
正方行列Hvの次数dが4の場合、下記の式(3)に示すように、1つの検出電極ブロックRxBから、4つの検出信号Sc(Sc
1,Sc
2,Sc
3,Sc
4)が得られる。この場合、4つの検出信号Svp(Svp
1,Svp
2,Svp
3,Svp
4)と、4つの検出信号Svm(Svm
1,Svm
2,Svm
3,Svm
4)から、検出信号Sc(Sc
1,Sc
2,Sc
3,Sc
4)がそれぞれ求められる。
【数3】
【0061】
以下の説明では、仮に、検出信号Siが(Si1,Svi2,Si3,Si4
)=(1、3、2、7)である場合を例にとって説明する。検出信号Si1は、検出電極Rx(k)から出力される信号である。検出信号Svi2は、検出電極Rx(k+1)から出力される信号である。検出信号Svi3は、検出電極Rx(k+2)から出力される信号である。検出信号Svi4は、検出電極Rx(k+3)から出力される信号である。センサ部1では、1つの検出電極ブロックRxBから検出信号Si1,Svi2,Si3,Si4を統合した1つの検出信号Svが出力される。そこで、検出回路40は、以下のような演算により個別の検出信号Siを算出する。
【0062】
図9(A)に示すように、検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1において、検出制御回路11(
図1参照)は、正方行列Hvの1行目の成分「1」に対応する第1選択対象として、4つの検出電極Rx(k),Rx(k+1),Rx(k+2),Rx(k+3)を選択する。これにより、検出電極Rx(k),Rx(k+1),Rx(k+2),Rx(k+3)は接続状態になる。第2選択対象の検出電極Rxは、選択されない。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svp
1が出力される。検出信号Svp
1は、正符号選択動作Tdp1において、第1選択対象の検出電極Rxから出力される検出信号Siが統合された信号値である。検出信号Svp
1は、式(3)から,Svp
1=1×1+1×7+1×3+1×2=13となる。
【0063】
検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1において、検出制御回路11は、正方行列Hvの1行目の成分「-1」が存在しないため、成分「-1」に対応する第1選択対象として検出電極Rxは選択されない。検出制御回路11は、第2選択対象として、4つの検出電極Rx(k),Rx(k+1),Rx(k+2),Rx(k+3)を選択する。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svm1が出力される。検出信号Svm1は、負符号選択動作Tdm1において、第1選択対象の検出電極Rxから出力される検出信号Siが統合された信号値である。上述したように、負符号選択動作Tdm1では、第1選択対象として検出電極Rxは選択されない。このため、検出信号Svm1は,Svm1=0×1+0×7+0×3+0×2=0となる。検出信号Sc1は、検出信号Svp1と検出信号Svm1との差分であり,Sc1=Svp1-Svm1=13-0=13が得られる。
【0064】
次に、
図9(B)に示すように、検出動作Td2の正符号選択動作Tdp2において、検出制御回路11は、正方行列Hvの2行目の成分「1」に対応する第1選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+1)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k+2),Rx(k+3)を選択され、非接続状態になる。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号が出力される。検出信号Svp
2は、式(3)から,Svp
2=1×1+1×7+0×3+0×2=8となる。
【0065】
検出動作Td2の負符号選択動作Tdm2において、検出制御回路11は、正方行列Hvの2行目の成分「-1」に対応する第1検出対象として、検出電極Rx(k+2),Rx(k+3)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+1)を選択し、検出電極Rx(k),Rx(k+1)は非接続状態とする。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svm2が出力される。検出信号Svm2は,Svm2=0×1+0×7+1×3+1×2=5となる。検出信号Sc2は、検出信号Svp2と検出信号Svm2との差分であり,Sc2=Svp2-Svm2=8-5=3が得られる。
【0066】
次に、
図9(C)に示すように、検出動作Td3の正符号選択動作Tdp3において、検出制御回路11は、正方行列Hvの3行目の成分「1」に対応する第1選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+3)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k+1),Rx(k+2)を選択し、非接続状態とする。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svp
3が出力される。検出信号Svp
3は、式(3)から,Svp
3=1×1+0×7+0×3+1×2=3となる。
【0067】
検出動作Td3の負符号選択動作Tdm3において、検出制御回路11は、正方行列Hvの3行目の成分「-1」に対応する第1選択対象として、検出電極Rx(k+1),Rx(k+2)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+3)を選択し、非接続状態とする。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svm3が出力される。検出信号Svm3は,Svm3=0×1+1×7+1×3+0×2=10となる。検出信号Sc3は、検出信号Svp3と検出信号Svm3との差分であり,Sc3=Svp3-Svm3=3-10=-7が得られる。
【0068】
次に、
図9(D)に示すように、検出動作Td4の正符号選択動作Tdp4において、検出制御回路11は、正方行列Hvの4行目の成分「1」に対応する第1選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+2)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k+1),Rx(k+3)を選択し、非接続状態とする。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svp
4が出力される。検出信号Svp
4は、式(3)から、Svp
4=1×1+0×7+1×3+0×2=4となる。
【0069】
検出動作Td4の負符号選択動作Tdm4において、検出制御回路11は、正方行列Hvの4行目の成分「-1」に対応する第1選択対象として、検出電極Rx(k+1),Rx(k+3)を選択し、接続状態とする。また、検出制御回路11は、第2選択対象として、検出電極Rx(k),Rx(k+2)を選択し、非接続状態とする。このとき、検出制御回路11は検出電極Txに駆動信号Vsを供給し、検出電極ブロックRxB(l)から検出信号Svm4が出力される。検出信号Svm4は,Svm4=0×1+1×7+1×3+0×2=10となる。検出信号Sc4は、検出信号Svp4と検出信号Svm4との差分であり、Sc4=Svp4-Svm4=4-9=-5が得られる。
【0070】
信号演算回路44は、検出信号Svpと検出信号Svmから検出信号Scを順次算出し、検出信号Sc(Sc1,Sc2,Sc3,Sc4)=(13、3、-7、-5)を順次、記憶回路48に出力する。なお、信号演算回路44は、4つの検出信号Svp1,Svp2,Svp3,Svp4と、4つの検出信号Svm1,Svm2,Svm3,Svm4を、それぞれ記憶回路48に記憶させて、全ての期間の検出を行った後に4つの第3検出信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4の演算を行ってもよい。
【0071】
信号演算回路44は、正方行列Hvに全ての検出動作Tdに対応する検出信号Scからなる行列ScXを掛けることで行列SidXを得ることができる。行列SidXは、各検出電極Rxの検出信号Siを正方行列Hvの次数d倍した復号された検出信号Sidからなる行列である。具体的には、検出信号Sc(Sc
1,Sc
2,Sc
3,Sc
4=(13、3、-7、-5)を下記の式(4)で復号する。信号演算回路44は、式(4)に基づいて、復号した検出信号Sid(Si
1d,Si
2d,Si
3d,Si
4d)=(4、12、8、28)を算出する。
【数4】
【0072】
復号した検出信号Si1dは、検出電極Rx(k)に割り当てられる。復号した検出信号Si2dは、検出電極Rx(k+1)に割り当てられる。復号した検出信号Si3dは、検出電極Rx(k+2)に割り当てられる。復号した検出信号Si4dは、検出電極Rx(k+3)に割り当てられる。指Finの凹凸が接触又は近接した場合、その位置に対応する検出電極Rxの復号した検出信号Sidの値が変化する。
【0073】
以上の符号選択駆動によれば、検出信号Si(Si1,Svi2,Si3,Si4)=(1、3、2、7)に対して、式(4)による信号演算回路44の復号処理により、復号した検出信号Sid(Si1d,Si2d,Si3d,Si4d)=(4、12、8、28)が得られる。検出信号Siと、復号した検出信号Sidとを比較してわかるように、復号した検出信号Sidは、検出信号Siの4倍の信号強度となっている。すなわち、駆動信号Vsの電圧を上げることなく、時分割選択駆動の4倍の信号強度が得られることとなる。また、検出信号Svは、検出信号Svpと検出信号Svmとの差分により求められるため、外部からノイズが侵入した場合であっても、検出信号Svpのノイズ成分と検出信号Svmのノイズ成分がキャンセルされる。これにより、検出装置100のノイズ耐性を向上させることができる。
【0074】
また、実施形態1によれば、検出制御回路11は、所定の符号に基づいて選択された第1選択対象の検出電極Rxと、第1検出対象に含まれない第2選択対象の検出電極Rxとについて、接続状態と非接続状態とを切り換える。検出制御回路16の検出回路40は、異なる検出電極Rxの選択パターンごとに検出電極Rxから出力された各検出信号の復号処理を行う。
【0075】
図10は、実施形態1に係る検出回路の一動作例を示すタイミング波形図である。
図10に示すように1つの検出動作Td1に含まれる正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmは連続して実行される。また、正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmとが交互に実行される。例えば、1つの検出電極ブロックRxB(l)(
図11A、
図11B参照)に対して、正符号選択動作Tdp1、負符号選択動作Tdm1、正符号選択動作Tdp2、負符号選択動作Tdm2、正符号選択動作Tdp3、負符号選択動作Tdm3、正符号選択動作Tdp4、負符号選択動作Tdm4が、この順で連続して実行される。正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmとは異なるタイミングで実行されるので、検出電極間の容量結合を抑制して良好な検出感度が得られる。
【0076】
次に、複数の検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)について、符号選択駆動を行うことを説明する。
図11から
図14は、複数の検出電極ブロックについて、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。
【0077】
図11から
図14に示すように、4つの検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)は、列方向に並ぶ4つの検出電極Rx(k),Rx(k+1),Rx(k+2),Rx(k+3)をそれぞれ有する。また、4つの検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)は行方向に等間隔で並んでいる。
【0078】
また、1つの検出電極ブロックRxBに含まれるn個の検出電極Rxは、スイッチ素子SW1を介して、1つのデータ線SGLに接続されている。例えば、検出電極ブロックRxB(l)に含まれる4つの検出電極Rxは、スイッチ素子SW1を介してデータ線SGL(l)に接続している。同様に、検出電極ブロックRxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)に含まれる4つの検出電極Rxは、それぞれ、スイッチ素子SW1を介してデータ線SGL(l+1),SGL(l+3),SGL(l+4)に接続している。なお、以下の説明で、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)を区別して説明する必要がないときは、単に検出電極ブロックRxBという。
【0079】
第2選択回路15は、例えば、4つのスイッチ素子SW2(l),SW2(l+1),SW2(l+2),SW2(l+3)を有する。スイッチ素子SW2(l)は、データ線SGL(l)と検出回路40との接続をオン、オフする。同様に、スイッチ素子SW2(l+1),SW(l+2),SW2(l+3)は、それぞれデータ線SGL(l+1),SGL(l+2),SGL(l+3)と検出回路40との接続をオン、オフする。なお、以下の説明で、スイッチ素子SW2(l),SW2(l+1),SW2(l+2),SW2(l+3)を区別して説明する必要がないときは、単にスイッチ素子SW2という。
【0080】
検出装置100は、それぞれの検出電極ブロックRxBごとに、検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1及び負符号選択動作Tdm1と、検出動作Td2の正符号選択動作Tdp2及び負符号選択動作Tdm2と、検出動作Td3の正符号選択動作Tdp3及び負符号選択動作Tdm3と、検出動作Td4の正符号選択動作Tdp4及び負符号選択動作Tdm4と、を行う。このように、正符号選択動作Tdp1で採用される第1選択動作及び負符号選択動作Tdm1で採用される第2選択動作は複数パターンある。
【0081】
それぞれの検出電極ブロックRxBに対する正符号選択動作Tdp1,Tdp2,Tdp3,Tdp4と、負符号選択動作Tdm1,Tdm2,Tdm3,Tdm4の実行順は一例を挙げると
図10に示すように、正符号選択動作Tdpと、当該正符号選択動作Tdpを反転した負符号選択動作Tdmを交互に行うことが好ましい。
【0082】
例えば、検出装置100は、複数の検出電極ブロックRxBについて、検出動作Td1を順次行う。具体的には、
図11(A)に示すように、第2選択回路15は、第2制御回路115(
図1参照)から供給される選択信号Vselに基づいて、スイッチ素子SW2(l)をオンにし、スイッチ素子SW2(l+1),SW2(l+2),SW2(l+3)をオフにする。これにより、4本のデータ線SGLのうち、検出電極ブロックRxB(l)に接続するデータ線SGL(l)が検出回路40に接続され、他のデータ線SGLは検出回路40とは非接続となる。この状態で、第1選択回路14(
図1参照)は、第1制御回路114(
図1参照)から供給される選択信号Vgclpに基づいて、
図11(A)に示すように検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1を行う。次に、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclmに基づいて、
図11(B)に示すように検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1を行う。検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1と負符号選択動作Tdm1の手順は、
図9(A)を参照しながら説明した手順と同じである。これにより、データ線SGL(l)から検出信号Svp
1が出力され、次に、データ線SGL(l)から検出信号Svm
1が出力される。
【0083】
次に、
図11(C)に示す通り、第2選択回路15は、第2制御回路115からの信号に基づいて、スイッチ素子SW2(l+1)をオンにし、スイッチ素子SW2(l),SW2(l+2),SW2(l+3)をオフにする。これにより、検出電極ブロックRxB(l+1)に接続するデータ線SGL(l+1)が検出回路40に接続され、他のデータ線SGLは検出回路40とは非接続となる。この状態で、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclpに基づいて、検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1を行う。次に、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclmに基づいて、検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1を行う。これにより、データ線SGL(l+1)から検出信号Svp
1が出力され、次に、データ線SGL(l+1)から検出信号Svm
1が出力される。
【0084】
次に、
図11(D)に示す通り、第2選択回路15は、第2制御回路115からの信号に基づいて、スイッチ素子SW2(l+2)をオンにし、スイッチ素子SW2(l),SW2(l+1),SW2(l+3)をオフにする。これにより、検出電極ブロックRxB(l+2)に接続するデータ線SGL(l+2)が検出回路40に接続され、他のデータ線SGLは検出回路40とは非接続となる。この状態で、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclpに基づいて、検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1を行う。次に、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclmに基づいて、検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1を行う。これにより、データ線SGL(l+2)から検出信号Svp
1が出力され、次に、データ線SGL(l+2)から検出信号Svm
1が出力される。
【0085】
次に、
図11(E)に示す通り、第2選択回路15は、第2制御回路115からの信号に基づいて、スイッチ素子SW2(l+3)をオンにし、スイッチ素子SW2(l),SW2(l+1),SW2(l+2)をオフにする。これにより、検出電極ブロックRxB(l+3)に接続するデータ線SGL(l+3)が検出回路40に接続され、他のデータ線SGLは検出回路40とは非接続となる。この状態で、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclpに基づいて、検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1を行う。次に、第1選択回路14は、第1制御回路114から供給される選択信号Vgclmに基づいて、検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1を行う。これにより、データ線SGL(l+3)から検出信号Svp
1が出力され、次に、データ線SGL(l+3)から検出信号Svm
1が出力される。
【0086】
次に、検出装置100は、検出動作Td1と同様に、複数の検出電極ブロックRxBについて、第2検出動作Td2を順次行う。具体的には、
図12に示すように、第2選択回路15は、第2制御回路115からの信号に基づいて、スイッチ素子SW2(l)をオンにし、検出電極ブロックRxB(l)に接続するデータ線SGL(l)と検出部40を接続する。この状態で、第2選択回路15は、第1選択信号Vgclpに基づいて、
図12(A)に示すように第2検出動作Td2の正符号選択動作Tdp2を行う。次に、第2選択回路15は、選択信号Vgclmに基づいて、
図12(B)に示すように第2検出動作Td2の負符号選択動作Tdm2を行う。第2検出動作Td2の正符号選択動作Tdp2と負符号選択動作Tdm2の手順は、
図9(B)を参照しながら説明した手順と同じである。これにより、データ線SGL(l)から第1検出信号Svp
2が出力され、次に、データ線SGL(m)から第2検出信号Svm
1が出力される。
【0087】
検出動作Td2においても、第2選択回路15は、検出動作Td1と同様に、スイッチ素子SW2を切り替えて、データ線SGL(l),SGL(l+1),SGL(l+2),SGL(l+3)を検出回路40にそれぞれ1本ずつ接続する。そして、第1選択回路14は、データ線SGLを介して検出回路40に接続された検出電極ブロックRxBに対して、検出動作Td2の正符号選択動作Tdp2を行い、次に、検出動作Td2の負符号選択動作Tdm2を行う。これにより、データ線SGLから検出回路40に検出信号Svp2が出力され、次に、検出信号Svm2が出力される。
【0088】
次に、検出装置100は、複数の検出電極ブロックRxBについて、検出動作Td3を順次行う。具体的には、
図13に示すように、第2選択回路15は、スイッチ素子SW2(l)をオンにしデータ線SGL(l)を検出回路40に接続する。この状態で、第1選択回路14は、
図13(A)に示すように検出動作Td3の正符号選択動作Tdp3を行い、次に、
図13(B)に示すように検出動作Td3の負符号選択動作Tdm3を行う。検出動作Td3の正符号選択動作Tdp3と負符号選択動作Tdm3の手順は、
図9(C)を参照しながら説明した手順と同じである。これにより、データ線SGL(l)から検出信号Svp
3が出力され、次に、検出信号Svm
3が出力される。
【0089】
検出動作Td3においても、検出動作Td1及び検出動作Td2と同様に、第2選択回路15はスイッチ素子SW2を切り替えて、データ線SGL(l),SGL(l+1),SGL(l+2),データ線SGL(l+3)を検出回路40にそれぞれ1本ずつ接続する。そして、第1選択回路14は、データ線SGLを介して検出回路40に接続された検出電極ブロックRxBに対して、検出動作Td3の正符号選択動作Tdp3を行い、次に、検出動作Td3の負符号選択動作Tdm3を行う。これにより、データ線SGLから検出回路40に検出信号Svp3が出力され、次に、検出信号Svm3が出力される。
【0090】
次に、検出装置100は、複数の検出電極ブロックRxBについて、検出動作Td4を順次行う。具体的には、
図14(A)に示すように、第2選択回路15は、スイッチ素子SW2(l)をオンにし、データ線SGL(l)を検出回路40に接続する。この状態で、第1選択回路14は、
図14(A)に示すように検出動作Td4の正符号選択動作Tdp4を行い、次に、
図14(B)に示すように検出動作Td4の負符号選択動作Tdm4を行う。検出動作Td4の正符号選択動作Tdp4と負符号選択動作Tdm4の手順は、
図9(D)を参照しながら説明した手順と同じである。これにより、データ線SGL(l)から検出信号Svp
4が出力され、次に、検出信号Svm
4が出力される。
【0091】
検出動作Td4においても、検出動作Td1、検出動作Td2、及び、検出動作Td3と同様に、第2選択回路15はスイッチ素子SW2を切り替えて、データ線SGL(l),SGL(l+1),SGL(l+2),SGL(l+3)を検出回路40にそれぞれ1本ずつ接続する。第1選択回路14は、データ線SGLを介して検出回路40に接続された検出電極ブロックRxBに対して、検出動作Td4の正符号選択動作Tdp4を行い、次に、検出動作Td4の負符号選択動作Tdm4を行う。これにより、データ線SGLから検出回路40に検出信号Svp4が出力され、次に、検出信号Svm4が出力される。
【0092】
信号演算回路44(
図1参照)は、それぞれの検出電極ブロックRxBごとに、検出信号Svpから検出信号Svmを差し引くことで検出信号Svcを出力する。例えば、検出信号Svp
1から検出信号Svm
1を引くことで検出信号Sc
1が出力される。同様に、検出電極ブロックRxBごとに、4つの検出信号Sc
1,Sc
2,Sc
3,Sc
4を記憶回路48に出力する。信号演算回路44は、それぞれの検出電極ブロックRxBごとに、検出信号Scを上記の式(4)で復号する。具体的には、信号演算回路44は、それぞれの検出電極ブロックRxBごとに、4つの検出信号Sc
1,Sc
2,Sc
3,Sc
4を正方行列Hvで復号し、4つの複合された検出信号Si
1d,Si
2d,Si
3d,Si
4dを出力する。
【0093】
それぞれの検出電極ブロックRxBにおいて、復号した検出信号Si1dは、検出電極Rx(k)に割り当てられる。復号した検出信号Si2dは、検出電極Rx(k+1)に割り当てられる。復号した検出信号Si3dは、検出電極Rx(k+2)に割り当てられる。復号した検出信号Si4dは、検出電極Rx(k+3)に割り当てられる。それぞれの検出電極ブロックRxBにおいて、指Finの凹凸が接触又は近接した場合、その位置に対応する検出電極Rxの復号した検出信号Sidの値が変化する。
【0094】
座標抽出回路45は、それぞれの検出電極ブロックRxBにおいて、復号した検出信号Sidに基づいて、検出電極Rxのうち指Finの凹凸が接触又は近接した検出電極Rxの座標を求めることができる。座標抽出回路45は、検出座標を合成回路46に出力する。合成回路46は、復号した検出信号Si1d,Si2d,Si3d,Si4dを組み合わせて、接触又は近接する外部物体の凹凸形状を示す二次元情報を生成する。合成回路46は、二次元情報を検出回路40の出力信号Voutとして出力する。または、合成回路46は、二次元情報に基づいた画像を生成し、画像情報を出力信号Voutとしてもよい。なお、検出回路40は、座標抽出回路45が出力する座標を出力信号Voutとして出力してもよい。また、検出回路40は、座標抽出回路45及び合成回路46を設けず、復号した検出信号Sidを出力信号Voutとして出力してもよい。
【0095】
正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmは、
図10に示すように,Tdp1,Tdm1,Tdp2,Tdm2
…のように交互に測定することが好ましい。これにより、検出信号Svpと検出信号Svmとの検出時間の間隔が小さくなり、検出信号Svpに含まれるノイズ成分と、検出信号Svmに含まれるノイズ成分との差が小さくなる。検出信号Scは,Sc=Svp-Svmのように、検出信号Svpと検出信号Svmとの差分によって求められる。このため、検出信号Scにおいて、検出信号Svpのノイズ成分と検出信号Svmのノイズ成分とがキャンセルされる。
【0096】
次に、検出装置100の動作モードについて説明する。
図15は、検出電極ブロックRxBが列方向に並ぶn個の検出電極Rxからなる場合の信号波形例を示す図である。
図15(A)は、第2モードで動作する場合の信号波形例を示すタイミングチャートである。
図15(B)は、第1モードで動作する場合の信号波形例を示すタイミングチャートである。また、
図15(A)及び
図15(B)を参照した説明では、正方行列Hvの次数dが検出電極ブロックRxBに含まれる検出電極Rxの個数nである場合について説明する。コードCodeは、検出動作Tdを第1選択回路14及び第2選択回路15に実行させる命令群に対応する信号を含む。例えば、第1コードCode(1)は、1番目の検出動作Td1を第1選択回路14及び第2選択回路15に実行させる命令群に対応する信号を含む。以降、同様に、第nコードCode(n)は、n番目の検出動作Tdnを第1選択回路14及び第2選択回路15に実行させる命令群に対応する信号を含む。
【0097】
検出装置100は、リセット信号RSTを開始のトリガーとして検出動作を開始する。検出装置100は、周期的に出力されるクロック信号CLKのタイミングに応じて、検出動作Td1、検出動作Td2、…のように順次検出動作Tdを行う。リセット信号RSTは、例えばカウンタ回路116によるカウントに基づいて検出制御回路11から検出回路40に出力されるが、この信号を出力する専用の回路が設けられてもよいし、外部の装置から入力されてもよい。また、クロック信号CLKは、例えばクロック信号生成回路110から出力されるが、この信号を出力する専用の回路が設けられてもよいし、外部の装置から入力されてもよい。
【0098】
第1選択回路14及び第2選択回路15の動作モードには、第1モードと第2モードがある。第1モードは、正方行列Hvに含まれる一部の行に対応する選択動作Tdが期間T1で行われる動作モードである。第2モードは、正方行列Hvに含まれる全部の行に対応する第1選択動作が期間T2で行われる動作モードである。言い換えると、第1モードは、正方行列の第1行目から第r行目に対応するr回の選択動作Tdが実行され、第2モードは、正方行列の第1行目から第n行目に対応するn回の選択動作Tdが実行される。第1モードの選択動作Tdの回数であるrは、第2モードの選択動作Tdの回数であるnより小さい。
【0099】
まず、第2モードについて説明する。
図15(A)に示す第2モードでは、1フレームの検出動作Tdにおいて、正方行列Hvの第1行から第n行の其々に対応する第1コードCode(1)から第nコードCode(n)までが出力される。これによって、正方行列Hvの第1行から第n行の其々に対応する全ての正符号選択動作Tdp及び負符号選択動作Tdmが実行される。ここで、1フレームとは、リセット信号RSTが1度出力されてから、次に出力されるまでの期間を示す。言い換えると、1フレームは、1つのコードCodeが開始され、同一のコードCodeが次に開始されるまでの期間を示す。
【0100】
次に、第1モードについて説明する。第1モードでは、1フレームの検出動作Tdの開始からリセット信号RSTによる検出動作Tdのリセットが行われるまでの期間T1が第2モードにおける期間T2より短い。
図15(A)、
図15(B)では、期間T1と期間T2の比率がT1:T2=2:1である場合を例示しているが、これに限られるものでなく、期間T1が期間T2より長ければよい。また、第1モードにおいて、r回の選択動作Tdが実行される。ここで、第2モードの選択動作Tdの実行回数nは、2
Naに対応する。ここで、Naは1以上の整数である。一方で、第1モードの選択動作Tdの実行回数rは、2
Nbに対応する。Nbは0以上の整数であってNaより小さい。言い換えると、第1モードの選択動作の回数rは、n/2
Na-Nbで示される。ここで、実施形態1において、NaとNbとの差は、NaーNb=1である。このため、
図15(B)に示す第1モードでは、1フレームの検出動作において、第1コードCode(1)から第(n/2)コードCode(n/2)までが出力される。これによって、正方行列Hvの第1行から第(n/2)行に対応する正符号選択動作Tdp及び負符号選択動作Tdmが実行される。また、第2モードの開始から期間T1が経過するまでに行われる正符号選択動作Tdp及び負符号選択動作Tdmは、第1モードにおいて行われる正符号選択動作Tdp及び負符号選択動作Tdmと同一である。また、第1モードの場合、期間T2においてr行に対応する選択動作Tdを複数回実施してもよい。例えば、
図15(B)では、
図15(A)における期間T2に対応する期間T1×2の期間において、正方行列Hvの第1行から第r行に対応するr回の正符号選択動作Tdp及び負符号選択動作Tdmが2度行われている。
【0101】
より具体的には、第1モードにおいて、正方行列Hvの次数dが4である場合において、第1モードにおいて実行される選択動作の回数rが2である場合について説明する。言い換えると、第1モードにおいて、第1行から第2行目までに対応する検出動作Tdが実行される場合について説明する。
図10に示す通り、第1モードにおいて、各検出電極ブロックRxBに対して検出動作Td1と検出動作Td2が実行される。より具体的には、正符号選択動作Tdp1,Tdp2、負符号選択動作Tdm1,Tdm2が実行されることで、検出信号Svp
1,Svp
2,Svm
1,Svm
2が検出回路40に出力される。信号演算回路44は、以下の式(5)に示す通り、検出信号Svpから検出信号Svmを差し引くことで検出信号Svc
1,Svc
2を出力する。
【数5】
【0102】
信号演算回路44は、正方行列Hvのr列を用いて検出信号Svcを復号する。より具体的には、信号演算回路44は、以下の式(6)、(7)に示す通り、正方行列Hvの第1列から第2列までの行列を、第1モードで取得した検出信号Svc
1,Svc
2からなる行列ScXを掛け合わせることで復号された4つの検出信号(d/2)(Si
1+Si
2),(d/2)(Si
1+Si
2),(d/2)(Si
3+Si
4),(d/2)(Si
2+Si
4)を出力する。ここで、実施形態1において、d/2は、2である。
【数6】
【数7】
【0103】
信号演算回路44は、検出電極ブロックRxBに含まれる検出電極Rxに復号された検出信号を対応付ける。具体的には、検出電極Rx(k)および検出電極Rx(k+1)に検出信号(d/2)(Si1+Si2)を対応づける。また、検出電極Rx(k+2)および検出電極Rx(k+3)に(d/2)(Si3+Si4)を対応付ける。言い換えると、検出電極ブロックRxBに含まれる2Na-Nb個の隣接する隣接検出電極に同一の信号が割り当てられる。この信号は、第1選択回路14が隣接検出電極を選択した場合の検出信号のd/2Na-Nb倍に対応する。実施形態1において、正方行列Hvの次数dは4であり、Na-Nbが1であるため、d/2Na-Nbは、2である。具体的には、検出電極Rx(k)は、検出電極Rx(k)と、検出電極Rx(k)に隣接する検出電極(k+1)とが第1選択回路14に選択された場合に出力される検出信号(Si1+Si2)の2倍に対応する。検出装置100は、復号された検出信号(d/2)(Si1+Si2),(d/2)(Si3+Si4)に基づいて、外部物体である指Finの凹凸を検出する。
【0104】
このような第2モードを有することで、隣接検出電極で同一の検出信号となるために、隣接検出電極が配置される方向(例えば、列方向)における検出分解能は低減するが、期間T2より短い期間T1で1フレームの検出動作Tdを完了することが出来る。
【0105】
第1モードと第2モードの切替に関する制御は任意であるが、第1モードで検出動作Tdを行い、検出回路40が出力信号Voutをユーザ認証回路に出力し、ユーザ認証回路が登録されている指紋情報に基づきユーザ認証を行った際にユーザが認証されなかった場合において、モード切替信号を出力し、検出回路40または検出制御回路11がモード切替信号を受信した場合に、第2モードで検出動作Tdを行うようにしてもよい。ここで、ユーザ認証回路は、IC21に含まれてもよいし、IC21とは異なり、第2回路基板30上に配置されたICやCPU等に含まれていてもよい。また、ユーザ認証に限らず、アプリケーションごとに動作モードを設定できるようにし、設定された動作モードに基づいてモード切替信号が検出回路40または検出制御回路11に出力されるようにしてもよい。モードの切替制御は、検出回路40の検出結果に基づいて外部の装置又は検出制御回路11が行うようにしてもよいし、検出回路40が自律的に動作モードを切り替える構成を有していてもよい。
【0106】
以上説明したように、実施形態1によれば、第2モードよりも短い第1モードで検出を行うことができる。従って、より高速な検出が可能になる。また、正符号選択動作Tdpの実施順が、ウォルシュ型のアダマール行列において正の符号がより多い行の正負の符号に対応する行側からの並び順に対応している。ここで、ウォルシュ型のアダマール行列は、全て正の符号の「1」で構成される一方の行(最上行)から見て他方(下方)に向かうにつれて符号の変化する回数の少ない行順に行が並ぶアダマール行列である。これによって、第1モードでも検出電極ブロックRxB(l)に含まれる全ての複数の検出電極Rxを用いた検出動作Td1を含む検出動作を行うことができ、検出精度を確保することができる。また、ウォルシュ型のアダマール行列の一方の行から他方に向かう順に従って選択対象になる複数の検出電極Rxを切り替えることで、精度確保のためにより優先度の高い検出動作をより優先的に行うことができる。従って、検出精度の確保とより少ない選択動作の回数によるより高速な検出とを両立することができる。
【0107】
また、検出電極Rxは、第1方向と、第1方向と交差する第2方向とにそれぞれ並ぶ。例えば、第1方向は行方向であり、第2方向は列方向である。これによれば、指Finの形状や指紋の検出の解像度を高めることができる。
【0108】
また、検出装置100は、複数の検出電極Rxと、検出電極Rxに接続された検出回路40と、検出電極Rxと隣り合う位置に配置される検出電極Txと、検出電極Txに接続される駆動信号生成回路112と、を有する。駆動信号生成回路112は、検出電極Txに検出用の駆動信号Vsを供給する。検出回路40は、検出電極Rxの容量の変化に応じた検出信号Svを検出する。これによれば、検出電極Txから指Fin等を介して、検出電極Rxに駆動信号Vsを伝えることができる。駆動信号Vsが指Finを介さない場合と比べて、指Finの表面の凹凸が検出電極Rxの容量変化に反映され易く、指紋の検出感度が高くなる。このため、外部物体(例えば、指Fin)等に対する検出感度の向上が可能な検出装置100を提供することができる。
【0109】
また、基板10は基材101を有する。検出電極Rxは基材101の一方の面101a側に位置する。例えば
図4に示すように、一方の面101aからの検出電極Txの高さh3は、一方の面101aからの検出電極Rxの高さh1よりも高い。また、例えば
図4に示すように、一方の面101aからの検出電極Txの高さh3は、一方の面101aからの保護層33の高さh2よりも高い。これによれば、指Finが検出電極Rxに近づいたときに、指Finが検出電極Txに自然に接触することが容易となる。
【0110】
また、検出装置100は、検出電極Rxと検出回路40とを接続又は非接続にする接続回路を備える。接続回路は、例えば、検出制御回路11、第1選択回路14、及び、第2選択回路15である。接続回路は、複数の検出電極Rxのうち第1選択対象の検出電極Rxを検出回路40に接続される接続状態にし、第1選択対象に含まれない第2選択対象の検出電極Rxを検出回路40に接続されない非接続状態にする正符号選択動作Tdpを行う。また、上記の接続回路は、正符号選択動作Tdpと異なるタイミングで、正符号選択動作Tdpにおける第1選択対象の検出電極Rxを非接続状態にし、正符号選択動作Tdpにおける第2選択対象の検出電極を接続状態にする負符号選択動作Tdmと、を行う。これによれば、符号選択駆動により指紋を検出することができるので、駆動信号Vsの電圧を上げることなく、時分割選択駆動よりも高い強度の信号を得ることができる。また、正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmとは異なるタイミングで実行されるので、検出電極Rx間の容量結合を抑制して良好な検出感度が得られる。
【0111】
正符号選択動作Tdpにおいて、第1選択対象の検出電極Rxから検出回路40に検出信号Svpが出力される。負符号選択動作Tdmでは、正符号選択動作Tdpにおける第2選択対象の検出電極Rxから検出回路40に検出信号Svmが出力される。検出回路40は、検出信号Svpと検出信号Svmとの差分を算出する。検出信号Scは、検出信号Svpと検出信号Svmとの差分により求められるため、外部からノイズが侵入した場合であっても、検出信号Svpのノイズ成分と検出信号Svmのノイズ成分がキャンセルされる。これにより、検出装置100のノイズ耐性を向上させることができる。
【0112】
また、検出回路40は、正符号選択動作Tdpの第1選択対象の検出電極Rxから出力される検出信号がSi統合された検出信号Svpと、正符号選択動作Tdpの第2選択対象の検出電極Rxから出力される検出信号Siが統合された検出信号Svmとに基づいて、複数の検出電極Rxの各々から出力される検出信号Scを算出する。例えば、検出信号Svpと検出信号Svmの差分から、検出信号Scが算出される。そして、検出信号Scが復号化されることによって、複数の検出電極Rxの各々から出力される検出信号Sidが算出される。検出回路40は、各検出電極Rxの検出信号Siを統合した検出信号Svに基づいて復号処理を行うことで、各ノードの信号値の電圧を上げることなく、時分割選択駆動よりも高い信号強度を得ることができる。
【0113】
また、上記の接続回路は、正符号選択動作Tdpと当該正符号選択動作Tdpにおける選択対象と非選択対象とを反転した負符号選択動作Tdmとを交互に連続して行う。これによれば、検出信号Svpと検出信号Svmとの検出時間の間隔が小さくなり、検出信号Svpに含まれるノイズ成分と、検出信号Svmに含まれるノイズ成分との差が小さくなる。このため、検出装置100のノイズ耐性をさらに向上させることが可能である。
【0114】
また、検出装置100は、基板10に接続される第1回路基板20と、第1回路基板20に設けられるIC21と、を備える。検出電極Rxは第2選択回路15を介してIC21に接続する。導電体26は、第2選択回路15を介さずに、IC21に接続する。これによれば、導電体26のみを動作させる待ち受けモードでは、第2選択回路15を動作させる必要がない。このため、検出装置100は、待ち受けモードの消費電力を低減することができる。
【0115】
また、導電体26の容量は、検出電極Txの容量よりも小さい。これによれば、待ち受けモードとして、導電体26の代わりに検出電極Txを使用する場合と比べて、待ち受けモードの動作に伴う電力の損失が抑制される。このため、検出装置100は、待ち受けモードの消費電力を低減することができる。
【0116】
また、導電体26は、検出電極Rxと検出電極Txとの間に配置される。また、導電体26は検出電極Txよりも面積を小さくしてもよい。これによって、導電体26の低容量化が容易である。
【0117】
また、上記の実施形態1では、検出装置100が指Finの形状や指紋を検出することを説明した。しかしながら、検出装置100の検出対象は指Finに限定されるものではない。検出装置100は、指Finに限らず、検出電極Rxとの間で容量を形成する微細な凹凸を有する外部物体であればよい。例えば、手のひらを検出対象としてもよい。また、検出装置100、指Fin及び手のひらの両方を検出対象としてもよい。検出装置は、手のひらの凹凸による容量変化を検出することで、手のひらの形状や掌紋を検出することができる。
【0118】
また、実施形態1において、正方行列Hvの1行目に対応する負符号選択動作Tdm1を実行する場合について例示したが、これに限らない。正方行列Hvの1行目は全ての成分が「1」であり、負符号選択動作Tdm1における第1選択対象となる検出電極Rxがない。言い換えると、検出電極ブロックRxBに含まれる検出電極Rxはいずれもデータ線SGLと接続されず、検出信号Svm1は、実質的に0とみなすことが出来る。したがって、負符号選択動作Tdm1を実行せずに、予め検出信号Svm1を0として記憶回路48に保持して、信号演算回路44が読み出すようにしてもよい。また、検出信号Svm1が0であるため、検出信号Svp1を検出信号Sc1として保持するようにして、検出信号Sc1については、検出信号Svp1と検出信号Svm1を読み出して検出信号Sc1を算出する処理を省略してもよい。
【0119】
(変形例1)
実施形態1において、
図10に示す通り、1つの検出電極ブロックRxB(l)に対して検出動作Td1を行った後に、隣接する検出電極ブロックRxB(l+1)に対して同一の検出動作Td1を実行する場合について例示したが、これに限られない。
図16は、変形例1に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。変形例1に係る検出装置100Aでは、全ての検出電極ブロックRxBに対して検出動作Tdの正符号選択動作Tdpが実行された後に、同一の検出動作Tdの負符号選択動作Tdmが実行される。このようにすることで、第1選択回路14における1つの検出動作Tdを実行する際の正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmの切替回数を削減することができる。
【0120】
(変形例2)
また、
図17は、変形例2に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。変形例2に係る検出装置100Bでは、1つの検出電極ブロックRxBに対して全ての検出動作Tdを実行してから次の検出電極ブロックRxBに対する検出動作Tdを実行する。このようにすることで、1つの検出電極ブロックRxBに対する全ての検出動作Tdが完了した段階で、次の検出電極ブロックRxBに対する検出動作Tdと並行して、信号演算回路44による復号処理を実行することが出来る。例えば、検出電極ブロックRxB(l)に対する検出動作Td1から検出動作Td4までが実行された場合に、検出電極ブロックRxB(l+1)に対する検出動作Td1を開始するのと並行して、検出電極ブロックRxB(l)からの検出信号Scと正方行列Hvに基づき復号処理を行うことが出来る。このようにすることによって、1つの検出電極ブロックRxBに対する全ての検出動作Tdが完了するまでの時間が短縮することが出来る。また、1つの検出電極ブロックRxB(l)に対する全ての検出動作Tdが完了するまでに他の検出電極ブロックRxB(l+1)の検出動作Tdを行う場合、検出電極ブロックRxB(l)および他の検出電極ブロックRxB(l+2)の両方の検出動作Tdに基づく検出信号Svを記憶回路48に保持する必要があるが、1つの検出電極ブロックRxB(l)に対する全ての検出動作Tdが完了するまでに他の検出電極ブロックRxB(l+1)の検出動作Tdを実行しないため、記憶回路48に保持するデータ量を削減することが出来る。
【0121】
(実施形態2)
実施形態1において、所定の符号である正方行列Hvの次数dが4である場合について例示したが、これに限られない。実施形態2において次数dが8である場合について例示する。また、実施形態1において、動作モードの数が第1モードと第2モードの2種類である場合について例示したが、これに限られない。実施形態2において、第1モード、第2モード、及び、第3モードを有する場合について例示する。
図18は、実施形態2における各動作モードにおける検出動作と所定の符号の対応関係を示す図である。
【0122】
実施形態2において、検出装置200は、検出電極ブロックRxBは、列方向の並ぶ8個の検出電極Rxからなる(n=8)。例えば、検出電極ブロックRxB(l)は、8つの検出電極Rx(j),Rx(j+1),Rx(j+2),Rx(j+3),Rx(j+4),Rx(j+5),Rx(j+6),Rx(j+7)からなる。
【0123】
また、8つの検出電極Rx(j)からRx(j+7)は、それぞれスイッチ素子SW1を介して、走査線GCL(j),GCL(j+1),GCL(j+2),GCL(j+3),GCL(j+4),GCL(j+5),GCL(j+6),GCL(j+7)と接続されている。また、8つの走査線GCL(j)から走査線GCL(j+7)は第1選択回路14と接続されている。なお、各走査線GCLには、
図3に示すように行方向に配列される複数の検出電極Rxが接続される。
【0124】
図18に示すように、検出装置200は、
図9および
図10と同様に、正方行列Hvaの1行目の成分「1」に対応する検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1を実行した後に、正方行列Hvaの1行目の成分「-1」に対応する検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1を実行する。同様に、正方行列Hvaの第2行目から第8行目に対応する検出動作Tdの正符号選択動作Tdpと負符号選択動作Tdmを交互に実行する。検出装置200は、
図9と同様に、第1検出動作Td1の正符号選択動作Tdp1では、第1選択回路14は、第1制御回路114からの選択信号Vgclpに基づいて、第1選択対象として、Rx(j),Rx(j+1),Rx(j+2),Rx(j+3),Rx(j+4),Rx(j+5),Rx(j+6),Rx(j+7)に走査信号を供給する。走査信号が供給された検出電極Rxは、スイッチ素子SW1を介してデータ線SGLと接続され、検出信号Svp
1出力される。次に、第1検出動作Td1の負符号選択動作Tdm1では、第1選択回路14は、第1制御回路114からの選択信号Vgclmに基づいて、第1選択対象として検出電極Rxがなく、いずれの検出電極Rxにも走査信号が供給されない。そして、いずれの検出電極Rxもスイッチ素子SW1を介してデータ線SGLと接続されない状態の信号が、検出信号Svm
1として出力される。同様に、検出装置200は、第2モードにおいて、正方行列Hvaの第1行から第n行までのn行に対応するn回の検出動作が期間T2で実行される。nは、2
Naであって、実施形態2において8である。検出装置200において、検出動作Td1から検出動作Td8までの検出動作Tdが実行され、8つの検出信号Svp(Svp
1,Svp
2,Svp
3,Svp
4、Svp
5,Svp
6,Svp
7,Svp
8)と8つの検出信号Svm(Svm
1,Svm
2,Svm
3,Svm
4、Svm
5,Svm
6,Svm
7,Svm
8)が検出回路40に出力される。
【0125】
検出装置200の検出回路40は、式(3)に示す通り、8つの検出信号Svpから8つの検出信号Svmをそれぞれ差し引いて、8つの検出信号Sc(Sc1,Sc2,Sc3,Sc4、Sc5,Sc6,Sc7,Sc8)を算出する。更に、検出装置200の検出回路40は、式(4)に示す通り、8つの検出信号Sc(Sc1,Sc2,Sc3,Sc4、Sc5,Sc6,Sc7,Sc8)から正方行列Hvaに基づいて8つの検出信号Sid(Si1d,Si2d,Si3d,Si4d、Si5d,Si6d,Si7d,Si8d)が復号される。復号された検出信号Sidは、各検出電極Rxの検出信号Siを8倍した信号値に対応する。検出回路40は、検出信号Si1dを検出電極Rx(j)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si2dを検出電極Rx(j+1)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si3dを検出電極Rx(j+2)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si4dを検出電極Rx(j+3)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si5dを検出電極Rx(j+4)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si6dを検出電極Rx(j+5)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si7dを検出電極Rx(j+6)に対応づける。検出回路40は、検出信号Si8dを検出電極Rx(j+7)に対応づける。検出回路40は、各検出電極に対応付けられた検出信号Sidに基づいて、指Finの凹凸に応じた信号変化を検出する。
【0126】
続いて、実施形態2における第1モードについて説明する。第1モードでは、正方行列Hvaの第1行目から第r行目までr行に対応するr回の検出動作Tdを、期間T2より短い期間T1で、実行する。rは、2Nbであって、実施形態において4である。第1モードにおけるr回の検出動作Tdは、第2モードにおけるn回の検出動作Tdの一部と同様である。具体的には、第1モードおいて実施される検出動作Td1から検出動作Td4は、第2モードにおいて実施される検出動作Td1から検出動作Td4と共通する。そして、検出装置200は、第1モードにおいて、検出動作Td1から検出動作Td4までの検出動作Tdを実行し、4つの検出信号Svp(Svp1,Svp2,Svp3,Svp4)と4つの検出信号Svm(Svm1,Svm2,Svm3,Svm4)が検出回路40に出力される。検出装置200の検出回路40は、式(5)に示す通り、4つの検出信号Svpから4つの検出信号Svmをそれぞれ差し引いて、4つの検出信号Sc(Sc1,Sc2,Sc3,Sc4)を算出する。更に、検出装置200の検出回路40は、式(7)に示す通り、4つの検出信号Sc(Sc1,Sc2,Sc3,Sc4)から正方行列Hvaのr列までの行列に基づいて8つの複合された検出信号(d/2)(Si1+Si2),(d/2)(Si1+Si2),(d/2)(Si3+Si4),(d/2)(Si3+Si4),(d/2)(Si5+Si6),(d/2)(Si5+Si6),(d/2)(Si7+Si8),(d/2)(Si7+Si8)が算出される。検出回路40は、検出信号(d/2)(Si1+Si2)を検出電極Rx(j)および検出電極Rx(j+1)に対応づける。検出回路40は、検出信号(d/2)(Si3+Si4)を検出電極Rx(j+2)および検出電極Rx(j+3)に対応づける。検出回路40は、検出信号(d/2)(Si5+Si6)を検出電極Rx(j+4)および検出電極Rx(j+5)に対応づける。検出回路40は、検出信号(d/2)(Si7+Si8)を検出電極Rx(j+6)および検出電極Rx(j+7)に対応づける。ここで、実施形態2において、d/2は、4である。検出回路40は、各検出電極に対応付けられた復号された検出信号(d/2)(Si1+Si2),(d/2)(Si3+Si4),(d/2)(Si5+Si6),(d/2)(Si7+Si8)に基づいて、指Finの凹凸に応じた信号変化を検出する。
【0127】
言い換えると、検出電極ブロックRxBに含まれる2Na-Nb個の隣接する隣接検出電極に同一の信号が割り当てられる。この信号は、第1選択回路14が隣接検出電極を選択した場合の検出信号のd/2Na-Nb倍に対応する。実施形態2において、正方行列Hvaの次数dは4であり、Na-Nb=1であり、d/2Na-Nbは、4である。具体的には、検出電極Rx(j)は、検出電極Rx(j)と、検出電極Rx(j)に隣接する検出電極(j+1)とが第1選択回路14に選択された場合に出力される検出信号(Si1+Si2)の4倍に対応する。検出装置100は、復号された検出信号(d/2)(Si1+Si2),(d/2)(Si3+Si4),(d/2)(Si5+Si6),(d/2)(Si7+Si8)に基づいて、外部物体である指Finの凹凸を検出する。
【0128】
このような第2モードを有することで、隣接検出電極で同一の検出信号となるために、隣接検出電極が配置される方向(例えば、列方向)における検出分解能は低減するが、期間T2より短い期間T1で1フレームの検出動作Tdを完了することが出来る。
【0129】
続いて、実施形態2における第3モードについて説明する。第3モードでは、正方行列Hvaの第1行目から第s行目までs行に対応するs回の検出動作Tdを、期間T1より短い期間T3で、実行する。sは、2
Ncであって、実施形態2において2である。ここで、Ncは、0以上の整数であってNbより小さい値である。第3モードにおけるs回の検出動作Tdは、第2モードにおけるs回の検出動作Tdの一部と同様である。具体的には、第3モードおいて実施される検出動作Td1から検出動作Td2は、第2モードにおいて実施される検出動作Td1から検出動作Td2と共通する。そして、検出装置200は、第3モードにおいて、検出動作Td1から検出動作Td2までの検出動作Tdを実行し、2つの検出信号Svp(Svp
1,Svp
2)と2つの検出信号Svm(Svm
1,Svm
2)が検出回路40に出力される。検出装置200の検出回路40は、式(5)に示す通り、2つの検出信号Svpから2つの検出信号Svmをそれぞれ差し引いて、2つの検出信号Sc(Sc
1,Sc
2)を算出する。更に、検出装置200の検出回路40は、以下の式(8)に示す通り、2つの検出信号Sc(Sc
1,Sc
2)から正方行列Hvaのs列までの行列に基づいて8つの複合された検出信号(d/4)(Si
1+Si
2+Si
3+Si
4),(d/4)(Si
1+Si
2+Si
3+Si
4),(d/4)(Si
1+Si
2+Si
3+Si
4),(d/4)(Si
1+Si
2+Si
3+Si
4),(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8),(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8),(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8),(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8)が算出される。検出回路40は、検出信号(d/4)(Si
1+Si
2+Si
3+Si
4)を検出電極Rx(j),Rx(j+1),Rx(j+2),Rx(j+3)に対応づける。検出回路40は、検出信号(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8)を検出電極Rx(j+4),Rx(j+5),Rx(j+6),検出電極Rx(j+7)に対応づける。ここで、実施形態2において、d/4は、2である。検出回路40は、各検出電極に対応付けられた復号された検出信号(d/4)(Si
3+Si
4+Si
3+Si
4),(d/4)(Si
5+Si
6+Si
7+Si
8)に基づいて、指Finの凹凸に応じた信号変化を検出する。
【数8】
【0130】
言い換えると、検出電極ブロックRxBに含まれる2Na-Nc個の隣接する隣接検出電極に同一の信号が割り当てられる。この信号は、第1選択回路14が隣接検出電極を選択した場合の検出信号のd/4倍に対応する。具体的には、検出電極Rx(j)は、検出電極Rx(j)と、検出電極Rx(j)に隣接する検出電極(j+1)と、検出電極Rx(j+1)に隣接する検出電極(j+2)と、検出電極Rx(j+2)に隣接する検出電極(j+3)と、が第1選択回路14に選択された場合に出力される検出信号(Si1+Si2+Si3+Si4)の2倍に対応する。検出装置100は、復号された検出信号(d/4)(Si3+Si4+Si3+Si4),(d/4)(Si5+Si6+Si7+Si8)に基づいて、外部物体である指Finの凹凸を検出する。
【0131】
このような第3モードを有することで、隣接検出電極で同一の検出信号となるために、隣接検出電極が配置される方向(例えば、列方向)における検出分解能は低減するが、期間T1より短い期間T3で1フレームの検出動作Tdを完了することが出来る。
【0132】
なお、実施形態2において、検出装置200が第1モードから第3モードの3種類の動作モードを有する場合について例示したがこれに限られない。4以上の動作モードを有してもよい。また、第1モードと第2モードで実行する検出動作Tdの回数が1/2である場合について例示しているがこれに限らない。第1モードと第2モードで実行する検出動作Tdの回数は、1/2Na-Nbであればよい。例えば、検出装置200は、第1モードを除き、第2モードと第3モードのみを有してもよい。また、第1モードと第3モードで実行する検出動作Tdの回数が1/2である場合について例示しているがこれに限らない。第1モードと第3モードで実行する検出動作Tdの回数は、1/2Nb-Ncであればよい。
【0133】
(実施形態3)
実施形態1では、Y方向(第2方向)の検出について、符号選択駆動を適用した場合の動作例を説明した。実施形態3では、X方向(第1方向)及びY方向(第2方向)の検出について、符号選択駆動を適用した場合の動作例を説明する。すなわち、実施形態3では、第1選択動作及び第2選択動作は、X方向(第1方向)とY方向(第2方向)とで個別に行われる。
【0134】
図19は、実施形態3に係る検出装置の一動作例を示すタイミング波形図である。
図20Aから
図22は、実施形態3に係る、複数の検出電極ブロックに対する、符号選択駆動による検出電極の選択パターンを示す図である。実施形態3に係る検出装置300は、同一の走査線GCLに接続された複数の検出電極Rxからなる第2検出電極ブロックBKNBを有する。検出装置300は、例えば、走査線GCL(k)に接続された複数の検出電極Rxからなる第2検出電極ブロックBKNB(k)、走査線GCL(k+1)に接続された複数の検出電極Rxからなる第2検出電極ブロックBKNB(k+1)、走査線GCL(k+2)に接続された複数の検出電極Rxからなる第2検出電極ブロックBKNB(k+2)、走査線GCL(k+3)に接続された複数の検出電極Rxからなる第2検出電極ブロックBKNB(k+3)を有する。また、検出装置300の検出回路40は、第1検出回路DET1と第2検出回路DET2を有する。更に、第2選択回路15として、複数のスイッチ素子SW2aと、複数のスイッチ素子SW2bを有する。1つのスイッチ素子SW2aの一方端および1つのスイッチ素子SW2bの一方端は、1つのデータ線SGLと接続する。例えば、スイッチ素子SW2a(l)の一方端とスイッチ素子SW2b(l)の一方端は、データ線SGL(l)と接続される。また、1つの第2電極ブロックBKNBに含まれる検出電極Rxに接続されるスイッチ素子SW2aは共通配線を介して第1検出回路DET1と接続される。例えば、第2電極ブロックBKNB(k)に含まれる検出電極Rxにデータ線SGLを介して接続されるスイッチ素子SW2a(l),SW2a(l+1),SW2a(l+2),SW2a(l+3)の他方端は、共通配線を介して第1検出回路DET1に接続される。また、1つの第2電極ブロックBKNBに含まれる検出電極Rxに接続されるスイッチ素子SW2bは共通配線を介して第2検出回路DET2と接続される。例えば、第2電極ブロックBKNB(k)に含まれる検出電極Rxにデータ線SGLを介して接続されるスイッチ素子SW2b(l),SW2b(l+1),SW2b(l+2),SW2b(l+3)の他方端は、共通配線を介して第2検出回路DET2に接続される。更に、1つのデータ線SGLに接続されるスイッチ素子SW2aおよびスイッチ素子SW2bは、共通するスイッチ制御線SWLによって制御される。例えば、データ線SGL(l)に接続されるスイッチ素子SW2aおよびスイッチ素子SW2bは、スイッチ制御線SWLに制御される。ここで、スイッチSW2aは、スイッチ制御線SWLから第1電圧が供給される場合に第1検出回路DET1とデータ線SGLを接続し、第2電圧が供給される場合に第1検出回路DET1とデータ線SGLを非接続とする。一方で、スイッチSW2bは、スイッチ制御線SWLから第2電圧が供給される場合に第2検出回路DET2とデータ線SGLを接続し、第2電圧が供給される場合に第2検出回路DET2とデータ線SGLを非接続とする。実施形態3において、第1電圧は、第2電圧より高い電圧である。検出装置300は、所定の符号に基づいて、第2選択回路115のスイッチ素子SW2aおよびスイッチ素子SW2bを選択的に駆動することで、X方向(第1方向)の符号選択駆動を実施する。
【0135】
まず、検出装置300で実施される第2モードの検出動作について説明する。
図20(A)は、検出動作Te11の正符号選択動作Tep11を示し、
図20(B)は、検出動作Te11の負符号選択動作Tem11を示し、
図20(C)は、検出動作Te12の正符号選択動作Tep12を示し、
図20(D)は、検出動作Te12の負符号選択動作Tem12を示す。検出装置300において、Y方向(第2方向)の符号選択駆動で用いられる所定の符号は正方行列Hvである。実施形態1と同様に、正方行列Hvは、ウォルシュ型のアダマール行列であって、正方行列Hvの次数dは、検出電極ブロックRxBに含まれる検出電極Rxの数n以上の整数である。実施形態3において、正方行列Hvの次数dは、式(2)に示す通り、4である。
図20(A)において、Y方向(第2方向)の符号選択駆動は、式(2)に示す正方行列Hvの1行目の成分「1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k),BKNB(k+1),BKNB(k+2),BKNB(k+3)に属する検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
【0136】
また、実施形態3において、第2選択回路15は、X方向(第1方向)において正方行列Hhの各列に対応する正符号選択動作と負符号選択動作を同時に行う。より具体的には、X方向(第1方向)の正符号選択動作において、正方行列Hhの成分「1」に対応する検出電極ブロックRxBが選択され、第1選択対象として、スイッチ素子SW2aを介して、第1検出回路DET1に接続される。一方で、第1選択対象以外の第2選択対象の検出電極ブロックRxBは、第2検出回路DET2に接続される。ここで、正符号選択動作における第2選択対象は、正方行列Hhの成分「-1」に対応し、負符号選択動作における第1選択対象に対応するため、第2検出回路DET2に供給される検出信号は、負符号選択動作における検出信号と等しい。したがって、本発明において、正方行列Hhの成分「1」に対応する検出電極ブロックRxBを第1選択対象とし、正方行列Hhの成分「―1」に対応する検出電極ブロックRxBを第2選択対象とする。
図20(A)において、X方向(第1方向)の符号選択駆動は、正符号選択動作と負符号選択動作とが同時に実行される。下記の式(9)に示す正方行列Hhの1列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)に属する検出電極Rxが、正方行列Hhの第1検出対象の検出電極Rxとして選択され、第2選択回路15を介して第1検出器DET1に接続される。正方行列Hhの1列目の成分「-1」が存在しないため、成分「-1」に対応する正方行列Hhの第2検出対象として検出電極Rxは選択されない。
【数9】
【0137】
X方向(第1方向)の符号選択駆動に使用される所定の符号は、正方行列Hhであって、正方行列Hhは、ウォルシュ型のアダマール行列であり、「1」又は「-1」を要素とし、任意の異なった2つの行が直交行列となる正方行列である。正方行列Hhの次数tは、第2検出電極ブロックBKNB(l)に含まれる検出電極Rxの数u以上である。実施形態3において、正方行列Hhの次数tは、1つの第2電極ブロックBKNBに含まれる検出電極Rxの数uと等しく、式(9)に示す通り、4である。なお、Y方向(第2方向)の符号選択駆動の所定の符号である正方行列Hvの次数dと、X方向(第1方向)の符号選択駆動の所定の符号である正方行列Hhの次数tとは異なってもよい。
【0138】
検出動作Te11の正符号選択動作Tep11において、各検出電極Rxの検出信号Siを統合した信号が検出信号Svpp11として第1検出回路DET1に出力される。検出動作Te11の正符号選択動作Tep11において、第2検出回路DET2に出力される検出信号Svpm11は,Svpm11=0となる。検出装置300の信号演算回路44は、これらの差分から、検出信号Svhp11=Svpp11-Svpm11が算出される。
【0139】
図20(B)において、Y方向(第2方向)の符号選択駆動は、正方行列Hvの1行目の成分「-1」が存在しないため、第2検出電極ブロックBKNB(k),BKNB(k+1),BKNB(k+2),BKNB(k+3)に属する検出電極Rxは、成分「-1」に対応する正方行列Hvの第1検出対象として選択されない。
【0140】
検出動作Te11の負符号選択動作Tem11において、第1検出回路DET1に出力される検出信号Svmp11と第2検出回路DET2に出力される検出信号Svmm11とは,Svmp11=Svmm11=0となる。信号演算回路44は、これらの差分から、検出信号Svhm11=Svmp11-Svmm11を算出する。信号演算回路44は、検出信号Svhp11と検出信号Svhm11の差分から、検出動作Te11における検出信号Svh11を算出する。
【0141】
図20(C)において、
図20(A)と同様に、正方行列Hvの1行目の成分「1」に対応したY方向(第2方向)の正符号選択動作がなされる。また、
図20(D)において、
図20(B)と同様に、正方行列Hvの1行目の成分「-1」に対応したY方向(第2方向)の負符号選択動作がなされる。検出動作Te2の正符号選択動作Tep12および負符号選択動作Tem12において、X方向(第1方向)の符号選択駆動は、
図20(C)および
図20(D)に示す通り、正方行列Hhの2列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1)の検出電極Rxが正方行列Hhの第1検出対象として選択される。また、正方行列Hhの2列目の成分「-1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l+2),RxB(l+3)の検出電極Rxが正方行列Hhの第2検出対象として選択される。
図20(C)に示す検出動作Te12の正符号選択動作Tep12では、信号演算回路44によって、検出信号Svhp
12=Svpp
12-Svmm
12が算出される。
図20(D)に示す検出動作Te12の負符号選択動作Tem12では、信号演算回路44によって、検出信号Svhm
12=Svmp
12-Svmm
12が算出される。信号演算回路44は、検出信号Svhp
12と検出信号Svhm
12の差分から、検出動作Te12における検出信号Svh
12を算出する。
【0142】
図21(A)は、検出動作Te13の正符号選択動作Tep13を示し、
図21(B)は、検出動作Te13の負符号選択動作Tem13を示し、
図21(C)は、検出動作Te14の正符号選択動作Tep14を示し、
図21(D)は、検出動作Te14の負符号選択動作Tem14を示す。
図21(A)から
図21(D)において、Y方向(第2方向)の符号選択駆動は、
図20(A)から
図20(D)と同様である。つまり、
図21(A)および
図21(C)において、正方行列Hvの1行目の成分「1」に対応したY方向(第2方向)の正符号選択動作がなされ、
図21(B)および
図21(D)において、正方行列Hvの1行目の成分「-1」に対応したY方向(第2方向)の負符号選択動作がなされる。
【0143】
図21(A)及び
図21(B)において、X方向(第1方向)の符号選択駆動は、正方行列Hhの3列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+3)の検出電極Rxが正方行列Hhの第1検出対象として選択される。また、正方行列Hhの3列目の成分「-1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l+1),RxB(l+2)の検出電極Rxが正方行列Hhの第2検出対象として選択される。
図21(A)に示す検出動作Te13の正符号選択動作Tep13では、信号演算回路44によって、検出信号Svhp
13=Svpp
12-Svp-
13が算出される。
図21(B)に示す検出動作Te13の負符号選択動作Tem13では、信号演算回路44によって、検出信号Svhm
13=Svmp
13-Svmm
13が算出される。信号演算回路44は、検出信号Svhp
13と検出信号Svhm
13の差分から、検出動作Te13における検出信号Svh
13を算出する。
【0144】
図21(C)及び
図21(D)において、X方向(第1方向)の符号選択駆動は、正方行列Hhの4列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+2)の検出電極Rxが正方行列Hhの第1検出対象として選択される。また、正方行列Hhの4列目の成分「-1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l+1),RxB(l+3)の検出電極Rxが正方行列Hhの第2検出対象として選択される。
図21(C)に示す検出動作Te14の正符号選択動作Tep14では、信号演算回路44によって、検出信号Svhp
14=Svpp
14-Svpm
14が算出される。
図21(D)に示す検出動作Te14の負符号選択動作Tem14では、検出信号Svhm
14=Svmp
14-Svmm
14が算出される。信号演算回路44は、検出信号Svhp
14と検出信号Svhm
14の差分から、検出動作Te14における検出信号Svh
14が算出される。
【0145】
図22(A)は、検出動作Te21の正符号選択動作Tep21を示し、
図22(B)は、検出動作Te21の負符号選択動作Tem21を示す。
【0146】
図22(A)に示す検出動作Te21の正符号選択動作Tep21において、正方行列Hvの2行目の成分「1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k),BKNB(k+1)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。また、正方行列Hhの1列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)に属する検出電極Rxが、正方行列Hhの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(A)に示す検出動作Te21の正符号選択動作Tep21では、信号演算回路44によって、検出信号Svhp
21=Svpp
21-Svpm
21が算出される。
【0147】
図22(B)に示す検出動作Te21の負符号選択動作Tem21において、正方行列Hvの2行目の成分「-1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k+2),BKNB(k+3)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(B)に示す検出動作Te21の負符号選択動作Tem21では、信号演算回路44によって、検出信号Svm
21=Svmp
21-Svmm
21が算出される。信号演算回路44は、検出信号Svhp
21と検出信号Svhm
21の差分から、検出動作Te21における検出信号Svh
21が算出される。
【0148】
続いて、検出装置300は、
図20(C)から
図21(D)と同様に、検出動作Te22,Te23,Te24を順に実行する。検出動作Te22の正符号選択動作Tep22,検出動作Te23の正符号選択動作Tep23,検出動作Te24の正符号選択動作Tep24は、いずれも
図22(A)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第2行目の成分「1」に対応するY方向(第2方向)の正符号選択動作が実施される。一方で、検出動作Te22の負符号選択動作Tem22,検出動作Te23の負符号選択動作Tem23,検出動作Te24の負符号選択動作Tem24は、いずれも
図22(B)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第2行目の成分「-1」に対応するY方向(第2方向)の正符号選択動作が実施される。また、検出動作Te22において、
図20(C)および
図20(D)と同様に、正方行列Hhの2列目の成分「1」「-1」に基づいて、第2制御回路115および第2選択回路15によって、X方向(第1方向)の負符号選択駆動が実施される。検出動作Te23において、
図21(A)および
図21(B)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの3列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。検出動作Te24において、
図21(C)および
図21(D)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの4列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。
【0149】
検出装置300において、検出動作Te22,Te23,Te24を順に実行することによって、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された検出信号Svpp22,Svpp23,Svpp24と、第2検出回路DET2に出力された検出信号Svpm22,Svpm23,Svpm24と、の差分である検出信号Svhp22,Svhp23,Svhp24を算出する。また、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された3つの検出信号Svmp22,Svmp23,Svmp24と、第2検出回路DET2に出力された3つの検出信号Svmm22,Svmm23,Svmm24と、の差分である検出信号Svhm22,Svhm23,Svhm24を算出する。信号演算回路44は、検出信号Svhp22,Svhp23,Svhp2と、検出信号Svhm22,Svhm23,Svhm24との差分から、検出動作Te22の検出信号Svh22、検出動作Te23の検出信号Svh23、検出動作Te24の検出信号Svh24を算出する。
【0150】
図22(C)は、検出動作Te31の正符号選択動作Tep31を示し、
図22(D)は、検出動作Te31の負符号選択動作Tem31を示す。
【0151】
図22(C)に示す検出動作Te31の正符号選択動作Tep31において、正方行列Hvの3行目の成分「1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k),BKNB(k+3)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。また、正方行列Hhの1列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)に属する検出電極Rxが、正方行列Hhの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(C)に示す検出動作Tep31の正符号選択動作Tep31では、検出信号Svhp
31=Svpp
31-Svpm
31が算出される。
【0152】
図22(D)に示す検出動作Te31の負符号選択動作Tem31において、正方行列Hvの3行目の成分「-1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k+1),BKNB(k+2)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(D)に示す検出動作Te31の負符号選択動作Tem31では、検出信号Svhm
31=Svmp
31-Svmm
31が算出される。検出信号Svhp
31と検出信号Svhm
31の差分から、検出動作Td31における検出信号Svh
31が算出される。
【0153】
続いて、検出装置300は、
図20(C)から
図21(D)と同様に、検出動作Te32,Te33,Te34を順に実行する。検出動作Te32の正符号選択動作Tep32,検出動作Te33の正符号選択動作Tep33,検出動作Te34の正符号選択動作Tep34は、いずれも
図22(C)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第3行目の成分「1」に対応するY方向(第2方向)の正符号選択動作が実施される。一方で、検出動作Te32の負符号選択動作Tem32,検出動作Te33の負符号選択動作Tem33,検出動作Te34の負符号選択動作Tem34は、いずれも
図22(D)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第3行目の成分「-1」に対応するY方向(第2方向)の負符号選択動作が実施される。また、検出動作Te32において、
図20(C)および
図20(D)と同様に、正方行列Hhの2列目の成分「1」「-1」に基づいて、第2制御回路115および第2選択回路15によって、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。検出動作Te33において、
図21(A)および
図21(B)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの3列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。検出動作Te34において、
図21(C)および
図21(D)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの4列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。
【0154】
検出装置300において、検出動作Te32,Te33,Te34を順に実行することによって、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された検出信号Svpp32,Svpp33,Svpp34と、第2検出回路DET2に出力された検出信号Svpm32,Svpm33,Svpm34と、の差分である検出信号Svhp32,Svhp33,Svhp34を算出する。また、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された3つの検出信号Svmp32,Svmp33,Svmp34と、第2検出回路DET2に出力された3つの検出信号Svmm32,Svmm33,Svmm34と、の差分である検出信号Svhm32,Svhm33,Svhm34を算出する。信号演算回路44は、検出信号Svhp32,Svhp33,Svhp34と、検出信号Svhm32,Svhm33,Svhm34との差分から、検出動作Te32の検出信号Svh32、検出動作Te33の検出信号Svh33、検出動作Te34の検出信号Svh34を算出する。
【0155】
図22(E)は、検出動作Te41の正符号選択動作Tep41を示し、
図22(F)は、検出動作Te41の負符号選択動作Tem41を示す。
【0156】
図22(E)に示す検出動作Te41の正符号選択動作Tep41において、正方行列Hvの4行目の成分「1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k),BKNB(k+2)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。また、正方行列Hhの1列目の成分「1」に対応して、検出電極ブロックRxB(l),RxB(l+1),RxB(l+2),RxB(l+3)に属する検出電極Rxが、正方行列Hhの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(E)に示す検出動作Te41の正符号選択動作Tep41では、信号演算回路44によって、検出信号Svhp
41=Svmpp
41-Svpm
41が算出される。
【0157】
図22(F)に示す検出動作Te41の負符号選択動作Tem41において、正方行列Hvの4行目の成分「-1」に対応して、第2検出電極ブロックBKNB(k+1),BKNB(k+3)の検出電極Rxが、正方行列Hvの第1検出対象の検出電極Rxとして選択される。
図22(F)に示す検出動作Te41の負符号選択動作Tem41では、信号演算回路44によって、検出信号Svhm
41=Svmp
41-Svmm
41が算出される。信号演算回路44は、検出信号Svhp
41と検出信号Svhm
41の差分から、検出動作Te41における検出信号Svh
41が算出される。
【0158】
続いて、検出装置300は、
図20(C)から
図21(D)と同様に、検出動作Te42,Te43,Te44を順に実行する。検出動作Te42の正符号選択動作Tep42,検出動作Te43の正符号選択動作Tep43,検出動作Te44の正符号選択動作Tep44は、いずれも
図22(E)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第4行目の成分「1」に対応するY方向(第2方向)の正符号選択動作が実施される。一方で、検出動作Te42の負符号選択動作Tem42,検出動作Te43の負符号選択動作Tem43,検出動作Te44の負符号選択動作Tem44は、いずれも
図22(F)と同様に、第1制御回路114および第1選択回路14によって、正方行列Hvの第4行目の成分「-1」に対応するY方向(第2方向)の負符号選択動作が実施される。また、検出動作Te42において、
図20(C)および
図20(D)と同様に、正方行列Hhの2列目の成分「1」「-1」に基づいて、第2制御回路115および第2選択回路15によって、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。検出動作Te43において、
図21(A)および
図21(B)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの3列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。検出動作Te44において、
図21(C)および
図21(D)と同様に、第2制御回路115および第2選択回路15によって、正方行列Hhの4列目の成分「1」「-1」に基づいて、X方向(第1方向)の符号選択駆動が実施される。
【0159】
検出装置300において、検出動作Te42,Te43,Te44を順に実行することによって、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された検出信号Svpp42,Svpp43,Svpp44と、第2検出回路DET2に出力された検出信号Svpm42,Svpm43,Svpm44と、の差分である検出信号Svhp42,Svhp43,Svhp44を算出する。また、信号演算回路44は、第1検出回路DET1に出力された3つの検出信号Svmp42,Svmp43,Svmp44と、第2検出回路DET2に出力された3つの検出信号Svmm42,Svmm43,Svmm44と、の差分である検出信号Svhm42,Svhm43,Svhm44を算出する。信号演算回路44は、検出信号Svhp42,Svhp43,Svhp44と、検出信号Svhm42,Svhm43,Svhm44との差分から、検出動作Te42の検出信号Svh42、検出動作Te43の検出信号Svh43、検出動作Te44の検出信号Svh44を算出する。
【0160】
以上説明したように、検出動作Te11から検出動作Te44により、信号演算回路44(
図2参照)は、検出信号Svhのデータを算出する。検出信号Svhは、第2モードにおいて、検出信号Svh
11,Svh
12,Svh
13,Svh
14,Svh
21,Svh
22,Svh
23,Svh
24,Svh
31,Svh
32,Svh
33,Svh
34,Svh
41,Svh
42,Svh
43,Svh
44を含む。検出信号Svhのデータは記憶回路48に保存される。信号演算回路44(
図2参照)は、記憶回路48から複数の検出信号Svhのデータを受け取って、以下の式(10)に示す通り、正方行列Hhに基づいて復号処理を行う。具体的には、複数の検出信号Svhからなる行列SvhXに正方行列Hhを掛けることで、複数の検出信号Sctからなる行列SctXを算出する。検出信号Scを正方行列Hhの次数t倍した値である。信号演算回路44は、更に、式(4)に示す通り、検出信号Scから正方行列Hvに基づいて復号処理を行う。具体的には、正方行列Hvにt倍の検出信号Scからなる行列SctXを掛けることで、復号された検出信号Sidtからなる行列SidtXを算出する。実施形態3において、復号された検出信号Sidtとして、Sidt
kl,Sidt
k+1l,Sidt
k+2l,Sidt
k+3l,Sidt
kl+1,Sidt
k+1l+1,Sidt
k+2l+1,Sidt
k+3l+1,Sidt
kl+2,Sidt
k+1l+2,Sidt
k+2l+2,Sidt
k+3l+2,Sidt
kl+3,Sidt
k+1l+3,Sidt
k+2l+3,Sidt
k+3l+3が算出される。検出信号Sidt
klは、検出電極ブロックRxB(l)の走査線(k)と接続される検出電極Rx
klに対応付けられ、検出信号Sidt
k+1l,Sidt
k+2l,Sidt
k+3lは、同様に、出電極ブロックRxB(l)の検出電極Rx
k+1l,Rx
k+2l,Rx
k+3lに対応づけられる。検出信号Sidt
kl+1は、検出電極ブロックRxB(l+1)の走査線(k)と接続される検出電極Rx
kl+1に対応付けられ、検出信号Sidt
k+1l+1,Sidt
k+2l+1,Sidt
k+3l+1は、同様に、検出電極ブロックRxB(l+1)の検出電極Rx
k+1l+1,Rx
k+2l+1,Rx
k+3l+1に対応づけられる。検出信号Sidt
kl+2は、検出電極ブロックRxB(l+2)の走査線(k)と接続される検出電極Rx
kl+2に対応付けられ、検出信号Sidt
k+1l+2,Sidt
k+2l+2,Sidt
k+3l+2は、同様に、検出電極ブロックRxB(l+2)の検出電極Rx
k+1l+2,Rx
k+2l+2,Rx
k+3l+2に対応づけられる。検出信号Sidt
kl+3は、検出電極ブロックRxB(l+3)の走査線(k)と接続される検出電極Rx
kl+3に対応付けられ、検出信号Sidt
k+1l+3,Sidt
k+2l+3,Sidt
k+3l+3は、同様に、検出電極ブロックRxB(l+3)の検出電極Rx
k+1l+3,Rx
k+2l+3,Rx
k+3l+3に対応づけられる。したがって、各検出電極Rxの検出信号Siを正方行列Hvの次数d倍し、かつ、正方行列Hhの次数t倍した信号値を各検出電極Rxの信号値として取得することが出来る。
SctX=SvhX×Hh …(10)
【0161】
座標抽出回路45は、復号信号Sidtに基づいて、接触又は近接する指Fin等の二次元座標を算出することができる。
【0162】
図23は、実施形態3に係る検出装置において、各モードにおける復号信号と検出電極との対応関係を示す図である。
図23に示す通り、k行l列の検出電極Rx
klとすると、第2モードにおいて検出動作Teを期間T2で行って得られる検出信号Svhを復号することで復号された検出信号Si
kldtを検出電極Rx
klに対応付けることが出来る。検出信号Si
kldtは、検出電極Rx
klの検出信号である検出信号Si
klを正方行列Hhの次数tおよび正方行列Hvの次数d倍した値であって、実施形態3においては、16倍の信号値を取得することが出来る。
【0163】
また、検出装置300は、
図19に記載の通り、第1モードにおいて、第1検出制御回路114および第1検出回路14によって、正方行列Hvの第1行目から第r行目に対応する符号選択駆動を期間T2より短い期間T1で実行する。rは、正方行列Hvの次数dより少なく、2
Nbに対応する。Nbは、0以上の整数であって、実施形態3において1である。したがって、検出装置300は、第2モードにおける検出動作Te11から検出動作Te24と同様に、第1モードにおける検出動作Te11から検出動作Te24を実行する。検出装置300は、検出動作Te11から検出動作Te24を実行することで、検出信号Svh
11,Svh
12,Svh
13,Svh
14,Svh
21,Svh
22,Svh
23,Svh
24を算出する。信号演算回路44は、これらの検出信号Svhを正方行列Hhで復号して検出信号Sctを取得する。信号演算回路44は、更に、正方行列Hhの第1列から第r列までの行列を用いて、検出信号Sit(d/2
Na-Nb)を復号する。
【0164】
図23に示す通り、k行l列の検出電極Rx
klとすると、第1モードで検出動作Teを行って得られる検出信号Svhを復号することで得られる復号された検出信号t(d/2)(Si
kl+Si
k+1l)を検出電極Rx
klに対応付けることが出来る。検出信号Si
kl+Si
k+1lは、検出電極Rx
klと、検出電極Rx
klとY方向(第2方向)に隣接する検出電極Rx
k+1lとが同一のデータ線SGLに接続された場合に出力される検出信号に対応し、検出装置300は、第1モードにおいて、検出信号Si
kl+Si
k+1lを正方行列Hhの次数t倍、および、正方行列Hvの次数d/2倍した値であって、実施形態3においては、8倍の信号値を取得することが出来る。言い換えると、Y方向(第2方向)の検出分解能は第2モードと比較して下がるが、第2モードより短時間で8倍の信号値を得ることが出来る。
【0165】
また、検出装置300は、
図19に記載の通り、第3モードにおいて、第2検出制御回路115および第2検出回路15によって、正方行列Hhの第1列目から第u列目に対応する符号選択駆動を期間T2より短い期間T3で実行する。uは、正方行列Hhの次数tより少なく、2
Ncに対応する。Ncは、0以上の整数であって、実施形態3において1である。したがって、検出装置300は、正方行列Hhの第1列目から第u列目までに対応する検出動作Teを行う。第3モードにおける正方行列Hhの第1列目から第u列目までに対応する検出動作Teは、第2モードにおける正方行列Hhの第1列目から第u列目までに対応する検出動作Teと同様である。検出装置300は、第1列目から第u列目までに対応する検出動作Teを実施することで、検出信号Svh
11,Svh
12,Svh
21,Svh
22,Svh
31,Svh
32,Svh
41,Svh
42,を算出する。信号演算回路44は、これらの検出信号Svhを第1列から第u列までの正方行列Hhで復号して検出信号Sc(t/2
Na-Nc)を取得する。信号演算回路44は、更に、正方行列Hvを用いて、検出信号Si(t/2
Na-Nc)dを復号する。実施形態3において、Na-Nb=1である。
【0166】
図23に示す通り、k行l列の検出電極Rx
klとすると、第3モードで検出動作Teを行って得られる検出信号Svhを復号することで得られる復号された検出信号(t/2)d(Si
kl+Si
kl+1)を検出電極Rx
klに対応付けることが出来る。検出信号Si
kl+Si
kl+1は、検出電極Rx
klと、検出電極Rx
klとX方向(第1方向)に隣接する検出電極Rx
kl+1とが検出回路40に接続された場合に出力される検出信号に対応し、検出装置300は、第3モードにおいて、検出信号Si
kl+Si
kl+1を正方行列Hhの次数t/2倍、および、正方行列Hvの次数d倍した値であって、実施形態3においては、8倍の信号値を取得することが出来る。言い換えると、X方向(第1方向)の検出分解能は第2モードと比較して下がるが、第2モードより短時間で8倍の信号値を得ることが出来る。
【0167】
正符号選択動作と負符号選択動作とを連続して実行することで、ノイズ耐性を向上させることが可能である。例えば、
図20に示す検出動作Teにおいて、4つの検出信号Svpp
11、検出信号Svpm
11、検出信号Svmp
11、検出信号Svmm
11は、時分割で測定する場合、この順で測定することが好ましい。正方行列Hhの第1検出対象と、第2検出対象の検出時間の間隔が短くなるので、各検出信号にのったノイズ成分がキャンセルされる。又は、例えば、検出信号Svpp
11、検出信号Svmp
11、検出信号Svpm
11、検出信号Svmm
11の順に測定してもよい。この場合、正方行列Hvの第1検出対象と、第2検出対象の検出時間の間隔が短くなるので、各検出信号にのったノイズ成分がキャンセルされる。又は、正符号選択動作を複数回連続して実行した後に負符号選択動作を実行してもよい。
図20から
図22に示した各検出動作の順番は適宜変更してもよい。
【0168】
(実施形態4)
なお、検出装置の具体的な構成は、
図1から
図4、
図8を参照した形態に限られるものでない。
【0169】
図24は、実施形態5に係る検出装置の構成例を示す図である。なお、
図24に示すセンサ部201には、検出電極Txおよび導電体26が除かれ、検出電極Sxが検出電極Rxと同様にマトリクス状に配置されており、スイッチ素子SW1を介して走査線GCL及びデータ線SGLと接続されている。第1選択回路214は、第1選択回路14と同様の機能を有する。第2選択回路215は、第2選択回路15と同様の機能を有する。検出制御回路211は、検出制御回路11と同様の機能を有する。
【0170】
図24に示す構成では、第2選択回路215と検出回路240との間に、配線L3、複数のスイッチ素子SW3及び配線L2が設けられている。また、
図24に示す構成は、検出制御回路211が配線L1及び複数のスイッチx素子SW3を介して検出電極Sxに駆動信号Vsを供給する方式が採用された構成である。すなわち、
図24に示す構成では、検出制御回路211が備える駆動信号生成回路112は、センサ部201に設けられた検出電極Sxに接続されて駆動信号Vsを供給する。
【0171】
駆動信号Vsの供給と、検出信号Svの出力とは、例えばスイッチ素子SW3,xSW3により切り替え可能になっている。スイッチ素子SW3がオフ(非接続状態)のとき、スイッチ素子xSW3がオン(接続状態)となり、配線L1及び配線L3を介して駆動信号Vsが第2選択回路215及びデータ線SGLを介して検出対象の検出電極Sxに対して供給される。スイッチ素子SW3がオン(接続状態)のとき、スイッチ素子xSW3がオフ(非接続状態)となり、配線L2及び配線L3を介して検出対象の検出電極Sxからの検出信号Svが検出回路240に出力される。つまり、実施形態4における検出電極Sxは、実施形態1における検出電極Rxおよび検出電極Tx(駆動電極)を兼ねる電極である。
【0172】
なお、スイッチ素子SW3,xSW3及び配線L1,L2,L3の機能は、第2選択回路215に含まれていてもよいし、第2選択回路215とは別に設けられた回路であってもよい。検出制御回路11が駆動信号生成回路112の機能を含んでいてもよい。スイッチ素子SW3,xSW3及び配線L1,L2,L3は、例えば基材101上に設けられる。
【0173】
(実施形態5)
図25は、実施形態5に係る検出装置の構成例を示す図である。センサ部301は、検出電極Tx(駆動電極)が複数の検出電極Rxと非接触の状態で対向するように配置される。また、検出制御回路311の駆動信号生成回路112は、第1選択回路314を介して検出電極Txに接続され、駆動信号Vsを検出電極Txに供給する。また、センサ部301は、検出領域DAにおいて検出電極Txと接続されるスイッチ素子SW1を有さず、検出電極Txと第1選択回路314は周辺領域PAで接続されている。また、検出電極Rxは、スイッチ素子SW1を介さずに、データ線SGLと接続されている。
【0174】
検出電極Txに駆動信号Vsが供給されると、検出電極Rxに対する指Fin等の検出対象物の近接が検出電極Rxと検出電極Txとの間に生じる相互静電容量に影響を与える。
図25に示す構成では、検出信号Vsに現れる相互静電容量の変化の有無及び変化の度合いに基づいて検出を行う。
図25に示す構成では、長手方向がX方向に沿うよう設けられてX方向に並ぶ複数の検出電極Rxを同時に駆動可能な検出電極Txが、検出電極RxのY方向の配置に対応するよう複数並んで設けられているが、これは検出電極Txの形態の一例であってこれに限られるものでなく、検出電極Txの形状及び配置は適宜変更可能である。
【0175】
図25に示す構成では、データ線SGLは、第2選択回路315と検出電極Rxとを接続する。
図25に示す構成では、Y方向に並ぶ検出電極Rxの選択動作は、第1選択回路314によって、駆動信号Vsが供給される検出電極Txの選択動作によって行われる。その他の点で、第2選択回路315及び検出回路340の機能は、第2選択回路15及び検出回路40と同様である。
【0176】
(実施形態6)
実施形態1において、
図7に示す通り、シールド層24は、検出電極Rxが形成される層とスイッチ素子SW1が形成されるとの間に配置されるがこれに限られない。
図26は、実施形態7に係る検出装置700の平面図である。
図26に示す通り、シールド層124Aは、第1選択回路14及び第2選択回路15等の基材101上に形成される回路に対して平面視で重畳するように配置される。また、シールド層124Aは、検出領域DAの周辺を囲う様に配置されている。なお、実施形態7において、シールド層124Aは、四角形の検出領域DAの4辺を囲う様に配置されるが、これに限られない。少なくとも基材101上に配置される回路と重畳するように配置されていれば良く、例えば、第1選択回路14や第2選択回路15が配置される検出領域DAの2辺に沿って配置されていてもよい。
【0177】
また、
図27は、実施形態7に係る検出装置700の断面図である。
図27に示す通り、検出装置700はシールド層24を設けずに、検出電極Rxと同一の電極層を用いてシールド層124Aを構成し、基材101に構成された回路に含まれるスイッチ素子SSWを覆う様に形成される。シールド層124Aは、透明性の導電体、例えば、ITO等で形成される。スイッチ素子SSWは、例えば、第2選択回路15を構成するスイッチ素子SW2である。なお、実施形態7において、シールド層24を設けない場合について例示したが、これに限らず、シールド層124Aおよびシールド層24の両方を配置してもよい。
【0178】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。実施形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0179】
1 センサ部
10 基板
11 検出制御回路
14 第2選択回路
15 第1選択回路
40 検出回路
42 検出信号増幅部
43 A/D変換部
44 信号演算部
45 座標抽出部
46 合成部
47 検出タイミング制御部
48 記憶部
70 送信用導電体
100 検出装置
101 基材
110 クロック信号生成部
112 駆動信号生成部
114 第2制御部
114A 選択信号生成部
114B 反転回路
116 カウンタ
118 第1制御部
Rx 検出電極
RxB 検出電極ブロック
Vgclp 選択信号
Vgclm 選択信号
k、j 行番号
l 列番号
X 行方向
Y 列方向
n RxB内のRxの数
f 任意の行数
g 任意の列数
r 第2モードの行数
s 第3モードの行数
t 正方行列Hhの次数